説明

包装装置

【課題】トレイの底部に折り込まれるフィルムが、トレイの底部外周より外側にはみ出るのを防止できる包装装置を提供する。
【解決手段】フィルムロール配置部6にセットしたフィルムロール7のフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段9,9’で挟持して所定長さ引き出し、カットして包装部5まで搬送し、該包装部に展張したフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板11,11’、及び後折り込み板12の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、前記一対のフィルムフィード手段9,9’のうち、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段9を、他方のフィルムフィード手段側9’に向けて移動自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装装置に関し、更に詳しくは包装部に展張されたフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、該被包装物の周面を覆うフィルムを被包装物の底部側に折り込んで包装する包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装部に展張したフィルムに対し、被包装物が収容されたトレイを下方から突き上げて該被包装物(トレイ)の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板及び後折り込み板でトレイの底部側に折り込み、更に前記トレイを排出プッシャで排出方向に押し出すことにより、包装が完成される包装装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、前記包装装置では、トレイを覆うフィルムのうち排出側に面している前側のフィルムは、三方(左右側及び後側)のフィルムが折り込まれたトレイが排出プッシャで排出方向に押し出されることで、前記前側のフィルムが前折り込みローラによってトレイの底部に折り込まれ、既に折り込まれているフィルムの上に最後に折り込まれ、熱シール装置の熱或いはフィルム自体の自己粘着性によって付着される。
【0004】
ところで、包装に使用するフィルムに対し、トレイ(被包装物)のサイズが小さい場合、排出プッシャによる押し出しで折り込まれる排出側(前側)のフィルムが長く残る場合がある。その場合、該排出側のフィルムはトレイの底部の前側から後側に折り返され、後側縁から後方に前記折り返されたフィルムの一部がはみ出すようになる。
【0005】
そして、上記のように包装されたトレイは、折り込まれたフィルムの一部が該トレイの底部の範囲から外にはみ出すと、外観的に見た目にもよくないので、包装装置の作業者は前記はみ出したフィルムをトレイの底部範囲内に収まるように手作業で折畳んでいる。
しかし、前記はみ出しフィルムの折畳みは手間がかかり大変である。
【0006】
また、前記はみ出しフィルムを折畳まずに、はみ出したままの状態で該トレイがショーケースに陳列された場合は、そのはみ出したフィルムの上に別のトレイが載って陳列される場合もあり、その時に、フィルムがはみ出しているトレイを顧客によって取り上げられると、そのはみ出しているフィルムに載った別のトレイも一緒に動き、その別のトレイはひっくり返されるという虞れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−30898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、トレイの底部に折り込まれるフィルムが、トレイの底部外周より外側にはみ出るのを防止できる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成する為に本発明の包装装置は、フィルムロール配置部にセットしたフィルムロールのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して所定長さ引き出し、カットして包装部まで搬送し、該包装部に展張したフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、前記一対のフィルムフィード手段のうち、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他方のフィルムフィード手段側に向けて移動自在とした(請求項1)。
前記移動するフィルムフィード手段は、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段のみ、或いは被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段の移動に合わせて反対側のフィルムフィード手段も一緒に移動させる、何れの方法でもよい。
【0010】
前記排出方向と反対側に位置するフィルムフィード手段は、前記移動とは別に、フィルム幅を拡張する方向にストレッチするための移動機構を備えていてもよい。
また、本発明の包装装置は、被包装物の排出方向が該被包装物の搬入方向と同方向(前搬入・前排出)、或いは被包装物の搬入方向と排出方向が逆方向(前搬入・後排出)の、何れの形態でもよい。
【0011】
上記手段によれば、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を他方のフィルムフィード手段側、即ち、包装部中心方向(包装部に展張されたフィルムのテンションを緩める方向)に移動させることができ、後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムよりも後に、被包装物の排出方向に面するフィルム周縁が被包装物の底部に折り込まれるので、包装部に展張したフィルムの前側半部を、包装部の中心に対して後側に移動すると、被包装物の前側半部を覆うフィルムが少なくなるので、被包装物の排出によって該被包装物の底部に折り込まれる前側のフィルムの折り込み量を、移動することなく折り込んだ場合の折り込み量に比べて少なくすることができる。
よって、排出方向に面するフィルムが底部に折り返されて底部外にはみ出して包装されるのを防止できる。尚、排出方向と反対側に面するフィルムは前記移動によって底部への折り込み量が長くなるが、該部分の折り込みは少なくとも排出方向に面するフィルムの折り込みより前に折り込まれ、排出方向に面するフィルムにより被われるようになるので表面に出ることはなく、従って、前記移動によって多少長くなっても問題ない。
【0012】
前記フィルムフィード手段の移動は、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段と反対側に位置するフィルムフィード手段の両方を移動させてもよい。具体的には、前記被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他方のフィルムフィード手段側に向けて移動する際、他方側のフィルムフィード手段も、該排出方向側に位置するフィルムフィード手段から離れる方向に移動するよう制御する(請求項2)。
【0013】
上記手段によれば、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段の移動に合わせて、他方のフィルムフィード手段も、排出方向側に位置するフィルムフィード手段から離れる方向に移動するので、包装部に展張されたフィルムはフィルムの搬送方向と直交する方向へ平行移動され、それにより、確実に被包装物の前側半部と接するフィルム量が短くなり、最後に被包装物の底部に折り返されるフィルムが被包装物の底部からはみ出るのを確実に防止できる。尚、他方側のフィルムフィード手段の移動量は、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段の移動量と同量、或いはそれよりも多くてもよい。
【0014】
また、前記フィルムフィード手段の移動は、フィルムフィード終了以降、前記被包装物が前記引き出されたフィルムと接する前に行なわれるよう制御する(請求項3)。
【0015】
上記手段によれば、フィルムが包装部に搬送された後、該フィルムに被包装物が接触する前にフィルムフィード手段を移動させることで、被包装物が移動するフィルムに対し抵抗となることなく確実に被包装物に対するフィルムの位置をずらすことが可能になる。それにより、フィルムのはみ出しを確実に解消できる。
【0016】
前記フィルムフィード手段の移動は、例えば、被包装物のサイズに応じて移動させる。具体的には、被包装物が包装部に展張されたフィルムに向けて突き上げられる前までに該被包装物のサイズを計測する計測手段と、該計測手段による計測データに基づき前記排出方向側に位置するフィルムフィード手段の移動を制御する制御手段を備える(請求項4)。
前記被包装物のサイズを計測する計測手段は、例えば、被包装物の奥行き寸法(被包装物を装置内に搬入する時の搬入方向に沿って寸法)のみを計測する(請求項5)。
また、前記計測データに基づく移動の制御は、例えば、フィルムロール(フィルム幅)毎に、移動の有無を判断する基準値を設定し、その基準値と計測値の比較により移動の有無を判定する。
また、移動させる場合、その移動量は前記基準値より計測値が小さければ一律、一定量(例えば、10〜20mm)を移動させる方法、或いは前記基準値に対する計測値の差の大小に応じて移動量を数段階に変える方法等、何れでもよい。
【0017】
上記手段によれば、前記フィルムフィード手段の移動は、包装装置に搬入される被包装物の搬入過程で、計測手段によって計測される被包装物の奥行き寸法が、予めフィルムロール(フィルム幅)毎に設定した基準値(移動の限界値)と比較し、基準値より小さい場合に移動させる。それにより、移動制御を安定して迅速に行うことができる。
【0018】
本発明は、所定位置(フィルムロール配置部)にセットしたフィルムロールから引き出したフィルムを、包装部に搬送後、被包装物のサイズに応じて排出方向側のフィルムフィード手段を反対側のフィルムフィード手段側に移動させるようにしたが、フィルムロール配置部にセットされるフィルムロール自体を、被包装物のサイズに応じて排出方向と反対の方向に移動させ、それに応じてフィルムフィード手段も移動させ、移動後の位置でフィルムをフィードするようにしてもよい。
即ち、フィルムロールから引き出したフィルムを所定長さにカットし、該カットしたフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して包装部まで搬送し、該包装部に展張したフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、前記フィルムロール配置部にセットしたフィルムロールを、被包装物の排出方向と反対方向に移動調整自在とし、該フィルムロールの移動に合わせて前記一対のフィルムフィード手段のうち、少なくとも被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他方のフィルムフィード手段側に向けて移動自在とする(請求項6)。
【0019】
上記手段によれば、フィルムロール自体を、被包装物の排出方向と反対方向に移動させ、その移動に合わせてフィルムフィード手段も移動させてフィルムを引き出し搬送するため、包装部に展張されるフィルムは、移動前のフィルムロール位置から引き出されて展張される位置に比べて、排出方向より反対側に移動した位置となる。それにより、前側のフィルムの折り込み量は短くなり(少なくなり)、底部の範囲から外側にはみ出すことはなくなる。
【0020】
また、本発明はフィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、該引き出されカットされたフィルムが被包装物を包装する包装部まで移送され、該包装部に位置するフィルムの幅方向の両側縁を張架する一対のフィルム張架手段を有し、該フィルム張架手段にて張架されたフィルムに被包装物が突き上げられ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、前記被包装物の寸法に応じて、前記突き上げられる被包装物と前記包装部に張架されたフィルムとの位置関係を変えるよう、前記フィルム張架手段を移動する移動手段を備えた構成としてもよい(請求項7)。
【0021】
上記手段によれば、包装部に張架されるフィルムと突き上げられる被包装物との位置関係が変わるようにフィルム張架手段の位置が移動するので、例えば、排出方向側のフィルム張架手段の位置を、排出方向側と反対側のフィルム張架手段の方へ移動させることで、被包装物が包装される前側半部のフィルムの量が少なくなるので、底部に折り込まれた排出方向側のフィルムが底部からはみ出るのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の包装装置は、請求項1に記載の構成により、少なくとも被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を包装部中心方向に移動させることができるので、包装部に展張したフィルムの前側半部を、包装部の中心に対して後側に移動することができる。それにより、被包装物の前側半部に接するフィルムが少なくなるので、被包装物の排出によって該被包装物の底部に折り込まれる前側のフィルムの折り込み量を、移動することなく折り込んだ場合の折り込み量に比べて少なくすることができ、底部に折り込まれる排出方向に面するフィルムが底部に折り返されて底部外にはみ出して包装されるのを防止できる。
また、請求項2に記載の構成により、包装部に展張されたフィルムはフィルムの搬送方向と直交する方向へ平行移動するようになるので、被包装物の前側半部と接するフィルム量が確実に短くなり、最後に折り返されるフィルムが被包装物の底部からはみ出るのを確実に防止できる。
【0023】
また、請求項3記載の構成により、確実に被包装物に対するフィルムの位置をずらすことが可能になる。それにより、フィルムのはみ出しを確実に解消できる。
また、請求項4、5記載の構成により、移動制御を安定して迅速に行うことができる。
【0024】
また、請求項6記載の構成により、フィルムロール自体を、被包装物の排出方向と反対方向に移動させ、その移動に合わせてフィルムフィード手段も移動させてフィルムを引き出し搬送するため、包装部に展張されるフィルムは、移動前のフィルムロール位置から引き出されて展張される位置に比べて、排出方向より反対側に移動した位置となる。それにより、前側のフィルムの折り込み量は短くなり(少なくなり)、底部の範囲から外側にはみ出すことはなくなる。
また、請求項7記載の構成により、包装部に張架されるフィルムと突き上げられる被包装物との位置関係が変わるようにフィルム張架手段の位置が移動するので、例えば、排出方向側のフィルム張架手段の位置を、排出方向側と反対側のフィルム張架手段の方へ移動させることで、被包装物が包装される前側半部のフィルムの量が少なり、底部に折り込まれた排出方向側のフィルムが底部からはみ出るのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る包装装置の概略を示す縦断側面図。
【図2】同縦断正面図。
【図3】フィルム搬送コンベアの移動を示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図4】包装動作を示す説明図。
【図5】フィルムフィード手段の移動の判定の基準となる移動判定ファイルで、(a)は被包装物の奥行き寸法によって移動を判定するファイル、(b)は被包装物の奥行き寸法と高さ寸法の合計値によって移動を判定するファイル。
【図6】移動前と移動後のフィルムと被包装物とフィルムフィード手段の位置関係を説明図で、(a)は通常時(移動前)のフィルムと被包装物の位置関係を示す図、(b)は通常時の包装完了時の図、(c)はフィルムフィード手段とフィルムと被包装物の関係を示す図、(d)はフィルムフィード手段を移動させた後のフィルムと被包装物の位置関係を示す図、(e)は同包装完了時の図、(f)はフィルムフィード手段とフィルムと被包装物の関係を示す図。
【図7】移動前と移動後の包装仕上がりを示す底面図。
【図8】フィルム搬送コンベアの移動の流れを示すフローチャート図。
【図9】本発明に係る包装装置の他の例を示す該略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る包装装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す包装装置は上包み方式の包装装置で、機枠1の前方に被包装物Wを載置する商品載置部2を設け、該商品載置部2に載せた被包装物(トレイ)Wを商品搬入コンベア3により機枠1内部に設けたエレベータ4まで搬送する。前記エレベータ4の上方には包装部5が設けられ、その包装部5の側方(上流側)にフィルムロール配置部6とそのフィルムロール配置部6にセットされたフィルムロール7から繰り出されるフィルム7’の先端部を保持するフィルム保持手段8が設けられ、そのフィルム保持手段8で保持されているフィルムを挟持して引き出し、前記包装部5まで搬送する一対のフィルムフィード手段9(被包装物の排出方向側のフィルムフィード手段),9’(被包装物の排出方向側と反対側のフィルムフィード手段:他方のフィルムフィード手段)が前記フィルム保持手段の先端に接近させて配置され、且つフィルム保持手段8とフィルムフィード手段9,9’との間には該フィルムフィード手段9,9’で挟持され引き出されたフィルム7’を所定長さに切断するカッター10が配置されている。
また、前記フィルムフィード手段9,9’の上方には左右折り込み板11,11’と後折り込み板12、及び後折り込み板の上方に位置して排出プッシャ13が配設され、更に排出方向前方位置には排出方向に面する前側のフィルムを被包装物の底部に折り込む前折り込みローラ17、底部に折り込まれたフィルムを加熱シールするヒートコンベア18が配置されている。
【0027】
前記商品搬入コンベア3の搬送路の側部には、該商品搬入コンベア3で搬送される被包装物Wの搬送方向に沿った奥行き寸法(D)と、高さ寸法(H)を計測する計測手段14が設置されている。前記計測手段14は光センサで構成されている。
前記計測手段14は被包装物Wの計測値を後述する制御手段に出力し、制御手段はその計測値に基づいてフィルムフィード手段9の移動を制御する。フィルムフィード手段9の移動の制御については、後段で説明する。
【0028】
前記フィルム保持手段8は、フィルムロール配置部6にセットされたフィルムロール7から引き出されるフィルム7’の幅方向の両側を挟持して保持するもので、図2に示すように、フィルム7’の下側に配置されるフィルム受け部材8aと、そのフィルム受け部材8aの表面に支持されるフィルム7’をフィルム受け部材8a側に押し付ける押圧部材8bとで構成され、そのフィルム受け部材8aと押圧部材8bからなる保持手段がフィルム幅の間隔と対応する間隔をおいて左右に配置されている。
前記フィルム受け部材8aは、モータによって駆動回転される無端ベルト8cに固定されている。
それにより、無端ベルト8cの正回転によりフィルム受け部材8aと押圧部材8bによって保持されているフィルム7’の先端部を後述するフィルムフィード手段9,9’へ移動受け渡すようになっている。尚、フィルム保持手段8は、フィルムロール配置部6にセットするフィルムロール7に対応できるように、フィルム幅に応じて保持手段の一方または両方を幅方向に移動できるように構成してもよい。
【0029】
フィルムフィード手段9,9’は、フィルム7’の幅方向の側縁部を挟持する上下一対の無端状の弾性ベルト9a,9a’と、下側の弾性ベルト9a’を上側の弾性ベルト9a側へ圧接するクランプ板9bと、下側の弾性ベルト9a’の始端側の上面に重ね合わせて配置した押えベルト9cとで構成され、それらが包装部5を挟んで前後に配置されている。前後のフィルムフィード手段9,9’相互の間隔は、前記したフィルム保持手段8を構成する前後一対の保持手段の間隔と同じ間隔である。
そして、その前後一対の構成部材はそれぞれ取り付け枠15,15’に支持され、その取り付け枠15,15’は該取り付け枠15,15’の下側に直角に交叉して配置された2本の案内杆16,16’に連結部材を介して支持されており、被包装物Wの排出方向と反対側のフィード手段9’を取り付けた取り付け枠15’と、被包装物Wの排出方向側のフィード手段9を取り付けた取り付け枠15は前記案内杆16,16’に沿って移動自在に構成され、その両方のフィード手段9,9’に移動手段(例えば、ステッピングモータ)が連結されて両方のフィード手段9,9’は被包装物の排出方向と反対の方向に移動し得るように構成されている(図3参照)。
【0030】
前記フィルムフィード手段9,9’を構成する上下一対の無端状の弾性ベルト9a,9a’はフィルム7’を挟持して搬送し得るよう同方向に駆動回転され、その駆動方式は減速機付モータ17で下側の弾性ベルト9a’が巻回されている駆動ローラ9d’を回転し、且つその駆動ローラ9dの軸に固着したチェーンスプロケット(図示省略)と上側の弾性ベルト9aが巻回されている駆動ローラ9dの軸に固着したチェーンスプロケット(図示省略)とに亘ってチェーンを巻回して動力伝達が行われ、上側の弾性ベルト9aも回転するように構成されている。
【0031】
また、上側の弾性ベルト9aに対して下側の弾性ベルト9a’を圧接するクランプ板9bは複数個(図示例は5個)に分割され、そのクランプ板9bは電磁ソレノイド等で下側の弾性ベルト9a’に接離自在に構成されている。
【0032】
次に、図3に示すように、前記フィルムフィード手段9,9’が、被包装物の排出方向と反対の方向に、同じ量移動する例について説明する。
フィルムフィード手段9,9’を、初期位置から被包装物の排出方向と反対の方向に移動させるか否かの判定は被包装物Wのサイズに基づいて行うため、制御手段には前記計測手段14で得られる被包装物Wの奥行き寸法(D)と比較する基準値などが設定された移動判定ファイル(図5参照)が記憶されている。そして、図5(a)に示す表はフィルムフィード手段9,9’を、使用するトレイの奥行き寸法に応じて移動させることを設定した移動判定ファイルであり、移動ステップの項目には移動することを示すフラグとして「1」が設定されており、その基準値は使用するフィルムロールの幅(フィルム幅)毎に設定される。
【0033】
例えば、図5(a)に示す移動判定ファイルの場合は、使用フィルム幅が350mmの場合、被包装物Wの奥行き寸法(D)が100mm以下であればフィルムフィード手段9,9’を、同じタイミングで同量同方向(被包装物の排出方向と反対の方向:包装部5に展張されたフィルム7’が装置奥側へ平行移動される)に移動させることを設定した場合の例である。
そして、具体的には、図6を用いてフィルムフィード手段9,9’の移動と包装を説明すれば、図6(a)は奥行き寸法(D)が90mm、高さ寸法(H)が20mmのトレイに商品W’が収容された被包装物(トレイ)Wと、使用するフィルム幅が350mmのフィルムとの長さの関係を示す図であり、包装部に展張されたフィルム7’の略中央に被包装物Wが突き上げられる位置にエレベータ4が配置され、該エレベータ4は常に一定位置を上下する構成になっており、フィルム7’の中央に被包装物Wが突き上げられるようになっている一例である。
【0034】
そして、図6(a)に示す被包装物(トレイ)Wとフィルム幅の場合、350mm幅のフィルム7’の中央に被包装物Wが突き上げられ、図4に示す包装動作によって図6(b)に示すように被包装物Wの周囲がフィルム7’で包まれ、該被包装物Wの周囲に垂れ下がるフィルム7’により被包装物Wの底部が包まれるようになるが、被包装物Wの排出方向に面するフィルム7’bが被包装物Wの後ろ側を包むフィルム7’aよりも後に被包装物Wの底部に折り込まれるので、該フィルム7’bの先部が被包装物Wの底部周縁から20mmはみ出て包装される。この時の被包装物(トレイ)Wを底部から見た図が図7(a)であり、Fの部分だけフィルムがはみ出ている。
尚、フィルム7’a先端も被包装物Wの排出方向側に底部周縁より20mmはみ出るが、フィルム7’aはフィルム7’bにより覆われるため、フィルム7’aが表面に出ることはない。
この時のフィルムフィード手段9,9’とフィルム7’と突き上げられる被包装物Wとの位置関係を示す図が図6(c)である。
そして、上記のようにフィルム7’bが被包装物Wの底部周縁から20mmはみ出している状態を是正するためにフィルムフィード手段9,9’を移動させる。図6(d)は移動後の展張されたフィルム7’と被包装物Wの位置関係を示す図である。
【0035】
図6(d)は、フィルムフィード手段9,9’を被包装物Wの排出方向と反対の方向(図面上では右方向)に20mm移動することで、包装部5に展張されているフィルム7’を装置の奥側へ平行移動した例であり、フィルム7’の位置と被包装物Wの位置とを示している。図6(d)における展張されているフィルム7’の図面上左側が20mm右側へ平行移動した例を示す図である。
エレベータ4は常に一定の位置で上下するが、そのエレベータ4上方に展張されるフィルム7’の位置が図の右方向へ移動される。この場合、図示例はフィルム7’を右方向へ20mm移動した場合の例で、被包装物Wの中心に対してフィルム7’の中心が右方向にズレ、被包装物Wの中心に対するフィルム7’の前後方向のフィルム量(長さ)が異なるようになる。
この場合、被包装物Wの上側周縁からフィルム7’の前側端部までの長さ(7’b)は110mmとなり、被包装物Wの奥行き寸法と高さ寸法とを加算した長さ寸法が110mmになるので、図6(e)に示すようにフィルム7’の前側部分が被包装物Wの底部に折り込まれた場合、該フィルム部分が被包装物Wの底部周縁からはみ出ることはない。この時の被包装物(トレイ)Wを底部から見た図が図7(b)であり、フィルムのはみ出しがなくなっている。尚、フィルム7’の後側部分はフィルムフィード手段9,9’の移動前より20mm長くなるが、該フィルム部分は前記したと同様、前側のフィルム部分により覆い隠されるので、後側のフィルム部分が被包装物Wの底部周縁から外にはみ出ることはない。
【0036】
そして、この時のフィルムフィード手段9,9’とフィルム7’と、突き上げられる被包装物Wとの関係を示す図が図6(f)である。フィルムフィード手段9,9’の移動前のフィルムフィード手段9,9’とフィルム7’との関係を示す図6(c)と比べると、包装部5に展張されたフィルム7’を掴んだままフィルムフィード手段9,9’が、図の右側(被包装物の排出方向と反対の方向)へ20mm移動する。
つまり、フィルムフィード手段9に掴まれている前側のフィルムは、被包装物Wの排出方向への移動に伴い被包装物Wの底部へ折り込む前折り込みローラ17と被包装物Wの上側周縁との距離は変わらないが、前折り込みローラ17とフィルムフィード手段9との距離は短くなる。
このように、後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムが先に被包装物Wの底部に折り込まれ、その後、該折り込まれたフィルムを覆い隠すように排出方向に面するフィルム周縁が被包装物Wの底部に折り込まれるので、被包装物の前側のフィルムを少なくすることで、被包装物Wの底部からはみ出る量を無くすことができる。
即ち、フィルム張架手段であるフィルムフィード手段9,9’を移動することで、突き上げられる被包装物と包装部に張架したフィルムとの位置関係を変える(ずらす)ことになり、それにより被包装物の底部に折り込まれるフィルムの量が変わるので、被包装物Wの底部からはみ出る量を無くすことができる。
【0037】
以上、図5(a)に示すように被包装物(トレイ)Wの奥行き寸法(D)を検知することで、該奥行き寸法(D)に応じてフィルムフィード手段9,9’を移動させる例を示したが、これに限らず、図5(b)に示す移動判定ファイルのように、被包装物(トレイ)Wの奥行き寸法(D)に高さ寸法(H)を加算し、その加算した寸法に基づきフィルムフィード手段9,9’を移動させるか否かを判断するようにしてもよい。
図5(b)は、使用フィルムロールの幅(フィルム幅)が350mmで、被包装物(トレイ)Wの奥行き寸法(D)に高さ寸法(H)を加算した合計値が120mm以下の場合にはフィルムフィード手段9,9’を移動させる例であるので、図6(a)のように、使用フィルムロールの幅が350mmで、被包装物Wの奥行き寸法(D)に高さ寸法(H)を加算した合計値は110mmであるのでフィルムフィード手段9,9’は移動の判断がされる。
【0038】
以上のように、フィルムフィード手段9,9’を、被包装物Wの排出方向と反対の方向に同量移動させることで、包装部5に展張されたフィルム7’は装置の奥側へ平行移動するようになり、エレベータ4により突き上げられる被包装物Wに対する包装部5に展張されるフィルム7’の位置を可変することができるので、被包装物の排出方向に面する前側のフィルム部は被包装物Wの底部の範囲内に納まり、底部の周縁より外方への食み出しはなくなる。
【0039】
以上、フィルムフィード手段9,9’の両方を同量移動させる例を示した。つまり、包装部5に展張されたフィルム7’が装置の奥側(被包装物の排出方向と反対の方向)へ平行移動する例を示したが、これに限らず、被包装物Wの排出方向側に位置するフィルムフィード手段9のみを被包装物Wの排出方向と反対の方向(フィルムフィード手段9’側)へ移動させてもよい。この場合、包装部5に展張されるフィルム7’のテンションは緩んだ状態になるが、図6(f)と同様に、前折り込みローラ17からフィルムフィード手段9に掴まれたフィルム端部までの距離を短くすることができる。それにより、被包装物Wの中心から前側のフィルム端部までの長さを少なく(短く)することができ、同様に被包装物Wの底部に最後に折り込まれる前側のフィルム部は被包装物Wの底部の範囲内に納まり、底部の周縁より外方への食み出しはなくなる。
【0040】
尚、上記例では、通常時、包装部5に展張されるフィルム7’の略中央に被包装物Wが突き上げられる例を示したが、これに限らず、例えば、通常時、被包装物Wの大きさによってはフィルム7’の略中央ではなく、包装装置の構成上、被包装物Wの排出側へずれた位置(フィルムフィード手段9側に寄った位置)、或いは、フィルムフィード手段9’側に寄った位置で展張されたフィルム7’に被包装物Wを突き上げるような構成の装置であってもよい。
つまり、被包装物(トレイ)Wを突き上げた位置が、フィルムの略中央からずれているような場合においても前記実施例のように、フィルムフィード手段9,9’を装置の奥側へ移動させることで、被包装物Wに対して包装部5に展張されるフィルムの位置を奥側へずらすことになるので被包装物Wの前側半部を覆うフィルムの量(長さ)を少なくすることができる。
また、上記例ではフィルムフィード手段9,9’を同量移動させる例を示したが、同量でなく、フィルムフィード手段9’が移動する量を、フィルムフィード手段9の移動量より多く移動し、フィルム7’をストレッチするようにしてもよい。
【0041】
次に、フィルムフィード手段の移動による包装動作を図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、フローチャートは、本発明に関連するフィード手段の移動についてしめし、その他については省略する。
ST1…被包装物Wが商品搬入コンベア3でエレベータ4へ搬送されるまでの間に、該被
包装物Wの奥行き寸法(D)(又は、奥行き寸法(D)と高さ寸法(H))が計 測される。そして、計測データは制御手段に送信される。
ST2…被包装物Wのサイズデータに基づいてフィルム7’がフィルムフィード手段9,
9’によって所定長さフィードされ、包装部に展張される(図4(a)参照)。
ST3…制御手段で被包装物Wの奥行き寸法(D)が移動判定ファイル(図6(a)参照
)に設定されている基準値に対し短いか比較判定される。被包装物Wの奥行き寸
法(D)が短い場合(YES)はST4に進み、被包装物Wの奥行き寸法(D)が
長い場合(NO)はST5に進む。また、被包装物Wの奥行き寸法(D)と高さ寸
法(H)の合計値で判断する場合は、図6(b)と比較して判断される。
ST4…被包装物Wの排出方向側に位置するフィルムフィード手段9を所定量、フィルム
フィード手段9’側に移動させる。この時、もう一方のフィルムフィード手段9
’は固定のままでも、或いはフィルムフィード手段9の移動量だけフィルムフィ
ード手段9の移動方向に平行移動させてもよい。尚、もう一方のフィルムフィー
ド手段9’を移動させずに固定した場合は、包装部に展張されるフィルムのテン
ションは緩んだ状態となる
ST5…被包装物Wがエレベータ4の上昇によって包装部5に展張されたフィルム7’に
突き上げられる(図4(b)参照)。
ST6…被包装物Wの周面を覆ったフィルムの端部が、左右折り込み板11,11’、後
折り込み板12によって被包装物Wの底部に折り込まれ、更に排出プッシャ13
の押動で排出方向に面した前側のフィルム部Fが底部側に折り込まれて排出され
る(図4(c)、(d)、(e)、(f)参照)。
尚、ST4のフィルムフィード手段9の移動がエレベータ4の上昇前(或いは被包装物Wがフィルム7’に接する前)なので、フィルム7’と被包装物Wが接触してフィルム7’の進行が妨げられることなく、包装部5に展張されたフィルム7’を確実に移動させることができる。
【0042】
上記実施例はフィルムフィード手段9,9’両方又は一方(被包装物の排出方向側のフィルムフィード手段)9を、被包装物Wのサイズに応じて移動させる構成の包装装置を示したが、フィルムロール7自体を被包装物Wのサイズに応じて移動させることで、被包装物Wに対するフィルム7’の位置をずらして、被包装物Wの底部におけるフィルムのはみ出し量を無くすようにしてもよい。
例えば、図9に示すように、フィルムロール配置部6にセットされるフィルムロール7を、ロール軸17に沿って実線の位置から二点破線の位置へ移動自在とする。移動の方法は、モータ等を用いた電動方式、或いは手動による移動の何れでもよい。
又、フィルムロール7の移動に合わせて、フィルムフィード手段9,9’も移動させるが、フィルムフィード手段9,9’の上下の弾性ベルトによる挟み代が多い場合、フィルムフィード手段9,9’の一方または両方の移動は不要である。例えば、初期位置にセットされたフィルムロールから引き出されるフィルムに対してフィルムフィード手段9,9’による挟持位置がフィルム幅の側縁より内側で、フィルムロール7をフィルムフィード手段9’方向に所定量移動した後のフィルム幅の側縁を、初期位置のフィルムフィード手段9,9’で挟持し得る場合、フィルムフィード手段9,9’の移動は不要である。
【0043】
上記構成の包装装置によれば、包装動作が開始する前に被包装物(トレイ)Wのサイズや包装に使用するフィルムロール7のフィルム幅が設定された情報を読み込み、その情報によりフィルムロール7を、被包装物の排出方向と逆方向に所定量移動し、その移動した位置でフィルムフィード手段9,9’でフィルム7’を所定量フィードし切断して包装部に搬送展張し、以後、従来と同様の手順で包装を行うことで、被包装物Wの底部に最後に折り込まれる前側のフィルムのはみ出しを無くす、又は少なくすることができる。
また、フィルムをフィードする前に、フィルムロールの位置を移動させるため、前示実施例の片方のフィルムフィード手段9のみを移動させる場合に生じるフィルム7’のテンションの緩みは生じない。
【0044】
本発明の包装装置は、定位置に配置したフィルムロールから一対のフィルムフィード手段によって所定量引き出し包装部に展張したフィルムを、被包装物のサイズに応じて前記フィルムフィード手段の一方又は両方を移動して、被包装物の排出方向に面する面を覆うフィルム量を少なくし、それにより、被包装物の底部に折り込まれる前側(排出方向側)のフィルム端部が、被包装物Wの後ろ側を包むフィルムを覆い隠すように、後で包装されるので、該被包装物の底部からはみ出さずに包装することができる。
また、本発明の包装装置は、初期位置に配置したフィルムロールを、被包装物のサイズに応じて被包装物の排出方向と反対方向に所定量移動し、その移動後の位置から一対のフィルムフィード手段によって所定量引き出し包装部に展張したフィルムで包装するようにしたので、被包装物の排出方向に面する面を覆うフィルム量を少なくでき、それにより、被包装物の底部に折り込まれる前側(排出方向側)のフィルム端部を、該被包装物の底部からはみ出さずに包装することができる。
【0045】
また、本発明は、フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、該引き出されカットされたフィルムが被包装物を包装する包装部まで移送され、該包装部に位置するフィルムの幅方向の両側縁を張架する一対のフィルム張架手段を有し、該フィルム張架手段にて張架されたフィルムに被包装物が突き上げられ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に被包装物の底部に折り込む包装装置において、前記被包装物の寸法に応じて、前記包装部に張架されたフィルムに対して突き上げられる被包装物の位置を変えるよう、前記フィルム張架手段を移動する移動手段を備えた構成としてもよい。図示した実施の形態では、フィルムフィード手段がフィルム張架手段を兼ねている例を示したが、フィルムフィード手段とは別にフィルム張架手段を設けてもよく、そのフィルム張架手段は包装部に移送したフィルムを展張し得る構成のものであればよい。また、一対のフィルム張架手段を、排出方向側、奥側共に装置の奥側(被包装物の排出方向と反対側)へ移動させることで、被包装物の底部に折り込まれる排出方向側のフィルムを少なくすることができる。また、奥側のフィルムが長すぎて、包み込まれた被包装物の底部が盛り上がってしまうような問題の場合には、一対のフィルム張架手段を排出方向側へ平行移動させることで、被包装物の手前側のフィルム(排出方向側に面するフィルム)がその分長くなるので、前記盛り上がりを解消できる。
このように、包装部に張架されたフィルムに対し、被包装物が突き上げられてフィルムと接する位置を変えるように、フィルム張架手段の位置を変えることで張架されたフィルムと被包装物との位置関係が変わるので、フィルムにより包装され、被包装物の底部に折り込まれるフィルムの量を制御することができる。
【0046】
本発明の包装装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、フィード手段9の移動がモータ駆動で行なわれる例を示したが、これに限定されず、手動によって移動させてもよい。
(2)実施の形態では、被包装物の搬入と包装済みの被包装物の排出が同じ方向(装置前側)に行われる形態の包装装置を示したが、これに限らず、被包装物を装置の前側から搬入し、包装済みの被包装物を装置の後側から排出する形態の包装装置でもよい。
(3)実施の形態では、フィード手段を移動させるか否かの判定の基になる被包装物のサイズを、被包装物の搬入過程で計測する例を示したがこれに限らず、例えば被包装物の情報が設定登録される商品ファイルにトレイサイズを設定し、このトレイサイズによって判定するようにしてもよい。
(4)実施の形態では、フィード手段が一定量移動する例を示したがこれに限らず、例えば、サイズによって移動量を変えるようにしてもよい
(5)実施の形態では、フィード手段を移動させるか否かの判断(ST3)をフィルムフィード(ST2)後に行う例を示したがこれに限らず、前記判断時点はST1にて奥行き寸法が検知されたと同時に判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
5…包装部 6…フィルムロール配置部
7…フィルムロール 7’…フィルム
9,9’…フィルムフィード手段(フィルム張架手段)
11,11’…左右折り込み板 12…後折り込み板
13…排出プッシャ 14…計測手段
W…被包装物 F…最後に折り込まれるフィルム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムロール配置部にセットしたフィルムロールのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して所定長さ引き出し、カットして包装部まで搬送し、該包装部に展張したフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、
前記一対のフィルムフィード手段のうち、被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他方のフィルムフィード手段側に向けて移動自在としたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他方のフィルムフィード手段側に向けて移動する際、他方側のフィルムフィード手段も、該排出方向側に位置するフィルムフィード手段から離れる方向に移動するよう制御することを特徴とする請求項1記載の包装装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記フィルムフィード手段の移動を、フィルムフィード終了以降、前記被包装物が前記引き出されたフィルムと接する前に行なわれるよう制御することを特徴とする請求項1又は2記載の包装装置。
【請求項4】
前記被包装物が包装部に展張されたフィルムに向けて突き上げられる以前に該被包装物のサイズを計測する計測手段と、該計測手段による計測データに基づき前記排出方向側に位置するフィルムフィード手段の移動を制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の包装装置。
【請求項5】
前記計測手段は、被包装物の奥行き寸法を計測し、その奥行き寸法に基づいて前記制御手段が移動を制御することを特徴とする請求項4記載の包装装置。
【請求項6】
フィルムロール配置部にセットしたフィルムロールのフィルムの幅方向の両側縁を一対のフィルムフィード手段で挟持して所定長さ引き出し、カットして包装部まで搬送し、該包装部に展張したフィルムに対して被包装物を下方より突き上げ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、
前記フィルムロール配置部にセットしたフィルムロールを、被包装物の排出方向と反対方向に移動調整自在とし、該フィルムロールの移動に合わせて前記一対のフィルムフィード手段のうち、少なくとも被包装物の排出方向側に位置するフィルムフィード手段を、他
方のフィルムフィード手段側に向けて移動自在としたことを特徴とする包装装置。
【請求項7】
フィルムロール配置部にセットされたフィルムロールからフィルムを引き出し、該引き出されカットされたフィルムが被包装物を包装する包装部まで移送され、該包装部に位置するフィルムの幅方向の両側縁を張架する一対のフィルム張架手段を有し、該フィルム張架手段にて張架されたフィルムに被包装物が突き上げられ、被包装物の周面をフィルムで覆い、そのフィルムの周縁を左右折り込み板、及び後折り込み板の移動で被包装物の底部に折り込み、排出方向に面するフィルム周縁を、前記後折り込み板の移動により折り込まれるフィルムより後に、被包装物の底部に折り込む包装装置において、
前記被包装物の寸法に応じて、前記突き上げられる被包装物と前記包装部に張架されたフィルムとの位置関係を変えるよう、前記フィルム張架手段を移動する移動手段を備えていることを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−148541(P2011−148541A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13263(P2010−13263)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】