説明

包装装置

【課題】トレー方式の包装装置とノントレー方式の包装装置とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能な包装装置を得る。
【解決手段】包装装置1は、フィルムを用いて物品を包装する包装装置であって、包装対象である物品を載置するための載置部2と、載置部2から供給された物品を、フィルムを用いて包装する封止部3と、封止部3によって包装された物品を排出する排出部5とを備え、封止部3は、トレー201を用いずに載置台10上に載置された物品100を、フィルム50を用いて包装する包装手段801と、トレー201上に置かれた状態で載置台10上に載置された物品200を、ストレッチフィルム82を用いて包装する包装手段802,803と、包装手段801〜803を切り替える選択手段804とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを展張状態で保持し、トレー上に物品が載置された商品を下方から持ち上げてフィルムに押し当て、フィルムの周辺部をトレーの底面側に折り込むことによって、フィルムによる商品の包装を行う包装装置(以下、本明細書において「折り込み式包装機」と称す)が、例えば下記特許文献1に開示されている。
【0003】
また、フィルムを展張状態で保持し、トレー上に物品が載置された商品を下方から持ち上げてフィルムに押し当て、トレーの開口部周縁に沿ってフィルムを溶着及び溶断することによって、フィルムによる商品の包装を行う包装装置(以下、本明細書において「トップシール式包装機」と称す)が、例えば下記特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−97309号公報
【特許文献2】特開2001−301705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した折り込み式包装機及びトップシール式包装機によると、トレー上に物品が載置された商品がフィルムによって包装される。つまり、これらの包装機はいずれも、トレーを用いる包装形態(以下、本明細書において「トレー方式」と称す)の包装装置である。しかし、近年における消費者の環境意識の高まりにより、消費者からはゴミの排出量の削減が求められているため、トレーを用いない包装形態(以下、本明細書において「ノントレー方式」と称す)の実現が望まれる。また、ノントレー方式の包装装置が実現されれば、トレーの購入及び管理に要するコストを削減できるとともに、トレーの保管場所を確保する必要もなくなるため、製造業者にとっても有益である。
【0006】
しかしながら、ノントレー方式の包装装置ではトレーを用いないため、刺身の盛り合わせ等のようにトレー上に食品が盛り付けられた状態で販売される商品や、豆腐等のように食品の形が崩れやすい商品においては、ノントレー方式は採用し難い。従って、ノントレー方式の包装装置が実現されても、トレー方式の包装装置に対する需要は完全には無くならない。
【0007】
ところで、この種の包装装置は店舗のバックヤード等に設置されるが、店舗のバックヤード等には余剰のスペースが少ないことが多い。従って、トレー方式の包装装置を既に設置している店舗においては、既存のトレー方式の包装装置とは別にノントレー方式の包装装置を新たに設置するためのスペースを、店舗内に確保できない場合も多い。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、トレー方式の包装装置とノントレー方式の包装装置とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能な包装装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る包装装置は、包材を用いて物品を包装する包装装置であって
、包装対象である物品を載置するための載置部と、前記載置部から供給された物品を、包材を用いて包装する包装部と、前記包装部によって包装された物品を排出する排出部とを備え、前記包装部は、物品収納容器を用いずに前記載置部上に載置された物品を、第1の包材を用いて包装する第1の包装手段と、物品収納容器上に置かれた状態で前記載置部上に載置された物品を、第2の包材を用いて包装する第2の包装手段と、前記第1の包装手段と前記第2の包装手段とを切り替える選択手段とを有することを特徴とするものである。
【0010】
第1の態様に係る包装装置によれば、包装部は、物品収納容器を用いずに載置部上に載置された物品を、第1の包材を用いて包装する第1の包装手段と、物品収納容器上に置かれた状態で載置部上に載置された物品を、第2の包材を用いて包装する第2の包装手段と、第1の包装手段と第2の包装手段とを切り替える選択手段とを有する。従って、一台の包装装置を用いて、第1の包装手段によるノントレー方式の包装動作と、第2の包装手段によるトレー方式の包装動作とを、切り替えて実行することができる。その結果、トレー方式の包装装置とノントレー方式の包装装置とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る包装装置は、第1の態様に係る包装装置において特に、前記載置部、前記包装部、及び前記排出部を、略同一平面内に配置し、前記第1の包装手段は、所定箇所に物品が載置された前記第1の包材を前記包装部に搬送し、前記所定箇所より前方部分の前記第1の包材を、当該物品を越えて後方に折り返した後に上方から降下させる包材搬送手段を含み、前記第2の包装手段は、前記第2の包材の両辺部を挟持して搬送する包材搬送手段と、前記第2の包材を挟持している前記包材搬送手段を物品収納容器の上方から降下させることにより、物品収納容器の開口部に前記第2の包材を展張状態で当接させる駆動手段とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
第2の態様に係る包装装置によれば、載置部、包装部、及び排出部が略同一平面内に配置されていることにより、物品は包装装置内の物品搬送経路をほぼ落差無く進行する。従って、物品を昇降させるための動作が不要となり、そのためのスペースや駆動機構を省略できるため、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る包装装置は、第2の態様に係る包装装置において特に、前記第2の包装手段は、前記駆動手段による前記包材搬送手段の降下量を、物品収納容器の種別に応じて調整する調整手段をさらに含むことを特徴とするものである。
【0014】
第3の態様に係る包装装置によれば、調整手段は、駆動手段による包材搬送手段の降下量を物品収納容器の種別に応じて調整する。従って、過大な降下量に起因する押圧によって物品収納容器が潰れる事態を回避でき、また、過少な降下量に起因して物品収納容器と包材との密封度が不足する事態を回避できる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る包装装置は、第2又は第3の態様に係る包装装置において特に、前記第2の包装手段は、トップシール式包装手段及び折り込み式包装手段の少なくとも一方を含み、前記トップシール式包装手段は、前記駆動手段によって物品収納容器に当接された前記第2の包材を、当該物品収納容器の開口部の周縁に溶着させるシール手段を有し、前記折り込み式包装手段は、前記駆動手段によって物品収納容器に当接された前記第2の包材を、物品収納容器の底面側に折り込む折り込み手段を有することを特徴とするものである。
【0016】
第4の態様に係る包装装置によれば、第2の包装手段は、トップシール式包装手段及び折り込み式包装手段の少なくとも一方を含む。従って、ユーザが取り扱う商品の種類に応
じてトップシール式及び/又は折り込み式の包装を行うことができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。また、トップシール式包装手段及び折り込み式包装手段の双方を含む場合には、一台の包装装置を用いて、トップシール式の包装動作と折り込み式の包装動作とを切り替えて実行することができる。その結果、トップシール式包装機と折り込み式包装機とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能となる。
【0017】
本発明の第5の態様に係る包装装置は、第4の態様に係る包装装置において特に、前記トップシール式包装手段は、物品収納容器への前記第2の包材の当接の前後で生じる包材長の差に相当する長さの包材を貯留する貯留手段をさらに有することを特徴とするものである。
【0018】
第5の態様に係る包装装置によれば、貯留手段は、トップシール式包装を行う場合において、当接の前後で生じる包材長の差に相当する長さの包材を貯留する。従って、当接時に第2の包材に対して過剰の負荷が加わることを回避できるため、トップシール式包装を支障なく実行することが可能となる。
【0019】
本発明の第6の態様に係る包装装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記第1の包装手段を使用する場合には、前記第1の包材を、前記載置部を経由する第1の方向から前記包装部に供給し、前記第2の包装手段を使用する場合には、前記第2の包材を、前記載置部を経由しない第2の方向から前記包装部に供給することを特徴とするものである。
【0020】
第6の態様に係る包装装置によれば、第1の包装手段を使用する場合には、第1の包材が、載置部を経由する第1の方向から包装部に供給され、第2の包装手段を使用する場合には、第2の包材が、載置部を経由しない第2の方向から包装部に供給される。このように、第1の包装手段及び第2の包装手段のいずれを使用するかに応じて、包装部への包材の供給方向を異ならせることにより、装置内のスペースを有効に活用することができる。その結果、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0021】
本発明の第7の態様に係る包装装置は、第6の態様に係る包装装置において特に、前記第1の包材と前記第2の包材とで兼用され、前記包装部に供給される包材を貯留するための供給ロールを支持する供給ロール支持手段と、前記第1の包材と前記第2の包材とで兼用され、前記包装部から不要の包材を回収して貯留するための回収ロールを支持する回収ロール支持手段と、前記第1の包装手段及び前記第2の包装手段のいずれを使用するかに応じて、前記供給ロール支持手段及び前記回収ロール支持手段の位置を変更する変更手段とをさらに備えることを特徴とするものである。
【0022】
第7の態様に係る包装装置によれば、供給ロール支持手段及び回収ロール支持手段は第1の包材と第2の包材とで兼用され、変更手段は、第1の包装手段及び第2の包装手段のいずれを使用するかに応じて、供給ロール支持手段及び回収ロール支持手段の位置を変更する。従って、第1の包材と第2の包材とで個別に供給ロール支持手段及び回収ロール支持手段を設ける場合と比較すると、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る包装装置は、第1〜第7のいずれか一つの態様に係る包装装置において特に、前記包装部は、前記載置部から供給された物品を支持するための支持手段として、前記第1の包装手段を選択した場合に使用される、平面状の物品載置面を有する第1の支持手段と、前記第2の包装手段を選択した場合に使用される、複数の柱状構造によって底面から物品を支持する第2の支持手段とを有することを特徴とするものである。
【0024】
第8の態様に係る包装装置によれば、第1の包装手段を選択した場合には、平面状の物品載置面を有する第1の支持手段が使用され、第2の包装手段を選択した場合には、複数の柱状構造によって底面から物品を支持する第2の支持手段が使用される。従って、トレー方式及びノントレー方式のそれぞれに適した支持手段を使用でき、それぞれの方式の包装動作を支障なく実行することが可能となる。
【0025】
本発明の第9の態様に係る包装装置は、第8の態様に係る包装装置において特に、前記第1の支持手段は前記第2の支持手段の上方に配置され、前記第1の支持手段が略水平方向にスライドすることによって前記第2の支持手段を露出させることを特徴とするものである。
【0026】
第9の態様に係る包装装置によれば、第1の支持手段が略水平方向にスライドすることによって第2の支持手段を露出させる。従って、第2の包装手段が選択された場合には、単に第1の支持手段をスライドさせることで第2の支持手段が使用可能状態となるため、第2の支持手段を駆動するための駆動機構が不要となり、装置の小型化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、トレー方式の包装装置とノントレー方式の包装装置とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能な包装装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装装置の全体構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】包装装置における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。
【図3】図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。
【図4】フィルム引き込みユニットの構造を示す正面図である。
【図5】フィルム引き込みユニットの構造を示す側面図である。
【図6】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図7】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図8】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図9】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図10】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図11】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図12】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図13】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図14】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図15】封止部による物品の包装動作を工程順に示す図である。
【図16】フィルムの状態を模式的に示す斜視図である。
【図17】フィルムの封止箇所を模式的に示す図である。
【図18】制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。
【図19】包装装置が備える複数の包装手段を示す図である。
【図20】折り込み式包装を実行する場合における、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。
【図21】シール高さ調整ユニットの退避動作を模式的に示す図である。
【図22】折り込み式包装を実行する場合における、封止部へのフィルムの供給方式を模式的に示す図である。
【図23】封止部による折り込み式包装の動作を工程順に示す図である。
【図24】封止部による折り込み式包装の動作を工程順に示す図である。
【図25】封止部による折り込み式包装の動作を工程順に示す図である。
【図26】封止部による折り込み式包装の動作を工程順に示す図である。
【図27】トップシール式包装を実行する場合における、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。
【図28】トップシール式包装を実行する場合における、封止部へのフィルムの供給方式を模式的に示す図である。
【図29】封止部によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。
【図30】封止部によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。
【図31】封止部によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。
【図32】封止部によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。
【図33】封止部によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。
【図34】トップシール式包装において、フィルム供給ロールとフィルム回収ロールとの間でのストレッチフィルムの搬送経路を模式的に示す図である。
【図35】トップシール式包装において、フィルム供給ロールとフィルム回収ロールとの間でのストレッチフィルムの搬送経路を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る包装装置1の全体構造を模式的に示す斜視図である。包装装置1は、例えばスーパーマーケットのバックヤード等に設置され、1台の装置によって物品の包装、計量、及び値付けの各処理を行うものである。処理対象となる物品は、例えば、肉、魚、野菜等の食品である。装置筐体の正面(図中のX1方向から眺めた面)には、表示部60、操作部61、及びラベルプリンタ62が配置されている。表示部60には、各種設定情報、物品の計量結果、及び計量値に応じた値付け情報等が表示される。操作部61はテンキーや操作スイッチ等を備えており、作業者は操作部61を操作することによって各種設定情報を入力する。ラベルプリンタ62からは、物品の計量値や値付け情報等が記されたラベルが、物品毎に出力される。
【0031】
図2は、包装装置1における各処理部のレイアウトを模式的に示す図である。包装装置1は、載置部2と、載置部2の奥に配置された封止部(包装部)3と、封止部3の横に配置された計量部4と、計量部4の手前に配置された排出部5とを有している。また、載置部2と封止部3との間には、引き込み部6が配置されている。載置部2では、処理対象である物品が作業者によってフィルム上に載置される。載置部2で載置された物品は、矢印L1で示すように図中のX1方向に沿ってフィルムごと封止部3に搬送される。封止部3では、フィルムを用いて物品の包装が行われる。引き込み部6は、フィルムを下方に引き込むことによって所定量のフィルムをストックする。封止部3による包装後の物品は、矢印L2で示すように図中のY方向に沿って計量部4に搬送される。計量部4では、物品の計量が行われる。物品は、矢印L3で示すように図中のX2方向に沿って搬送され、排出部5から排出される。載置部2と排出部5とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。載置部2、封止部3、計量部4、及び排出部5は、それぞれの物品載置面の高さが共通となるように、ほぼ同一平面内に配置されている。これにより、物品は、矢印L1→L2→L3の順に規定される物品搬送経路を、ほぼ落差なく進行する。
【0032】
図3は、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。載置部2は、載置台10及びローラ11を有している。封止部3は、搬送ユニット14、シール部15L,16L,17L、及びシール高さ調整ユニット18を有している。シール高さ調整ユニット18はベルトコンベアとしての機能を有しており、矢印M1で示すように図中のY方向に物品を搬送する。なお、封止部3と計量部4との間には、複数のローラ19が並んで配置されている。計量部4は、ベルトコンベア20を有しており、矢印M2で示すように図中の
X2方向に物品を搬送しながら、ロードセル等の計量手段によって物品の重量を計量する。排出部5は、複数のローラが並んだ排出台21を有している。また、引き込み部6は、ローラ13A,13Bと、ローラ13A,13B間に配置されたフィルム引き込みユニット12とを有している。図1に示したように、載置台10と排出台21とは、装置筐体のほぼ同じ高さで横に並んで配置されている。
【0033】
図4及び図5は、フィルム引き込みユニット12の構造を示す正面図及び側面図である。図4,5に示すように、フィルム引き込みユニット12は、ローラ12U,12Lと一対の側板12Sとを有している。ローラ12Uは一対の側板12の上端部間に取り付けられており、ローラ12Lは一対の側板12の下端部間に取り付けられている。これにより、ローラ12U,12L間には、物品100が通過可能な空間が設けられている。なお、搬送ユニット14も同様に、一対の側板の上端部間及び下端部間にローラ14U,14Lがそれぞれ取り付けられた構造を有している。
【0034】
図6〜15は、封止部3による物品の包装動作を工程順に示す図である。封止部3は、上部シールユニット70U及び下部シールユニット70Lを有している。上部シールユニット70Uは、シール部15U,16U,17U、カッタ32、及びローラ31を有している。シール部15U,16U,17Uは、図3に示したシール部15L,16L,17Lにそれぞれ対応して設けられている。カッタ32は、シール部15U,16U間の隙間において、シール部15U,16Uに平行に設けられている。上部シールユニット70Uは、図示しない駆動機構によって上下方向(図中のZ1方向及びZ2方向)に駆動自在である。また、シール高さ調整ユニット18は図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在であり、フィルム引き込みユニット12も図示しない駆動機構によって上下方向に駆動自在である。さらに、搬送ユニット14は、図示しない駆動機構によって前後方向(図中のX1方向及びX2方向)に駆動自在である。
【0035】
図6に示した待機状態では、フィルム引き込みユニット12は下方に駆動されており、搬送ユニット14は前方(つまり装置筐体の正面から眺めて手前)に駆動されている。包材である帯状のフィルム50は、図中の太い破線で示すように、フィルム供給ロール30→ローラ11→載置台10の上面→ローラ13A→ローラ12U→ローラ13B→ローラ14L→ローラ14U→ローラ33→フィルム回収ロール34の順に当接する経路で架け渡されている。
【0036】
次に図7を参照して、作業者は、載置台10上において、処理対象である物品100をフィルム50上に載置する。本実施の形態に係る包装装置1では、トレーを用いることなく、物品100をフィルム50上に直接載置することが可能である。但し、必ずしもトレーの使用を禁止する意図ではなく、物品が載置されたトレーを載置台10上に載置することも可能である。
【0037】
次に図8を参照して、ローラ12Lがローラ13A,13Bに同一平面内で並ぶ位置まで、フィルム引き込みユニット12が上方に駆動される。これに連動して、搬送ユニット14が後方(つまり装置筐体の正面から眺めて奥)に駆動される。搬送ユニット14は、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間を奥に向かって進行する。この時、フィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、搬送ユニット14が進行することによってフィルム50が搬送され、それに伴って、フィルム50上に載置されている物品100は、載置台10上から、ローラ12U,12L間の空間を通って、シール高さ調整ユニット18上に搬送される。
【0038】
次に図9を参照して、フィルム引き込みユニット12が下方に駆動される。この時、フ
ィルム回収ロール34は回転が停止されており、フィルム供給ロール30は必要量だけフィルム50を供給する。これにより、次回の包装処理で使用されるフィルム50の一部が引き込み部6にストックされる。
【0039】
次に図10を参照して、物品100の厚みに応じた所定量だけ、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動される。シール高さ調整ユニット18は、シール部15L,16L,17Lの上面の高さと、厚み方向に関する物品100の中央の高さとがほぼ等しくなる位置まで、下方に駆動される。但し、物品100とシール部15L,16L,17Lとの相対位置を調整できれば良いので、シール高さ調整ユニット18を下方に駆動する代わりに、下部シールユニット70Lを上方に駆動してもよい。これにより、上下方向に関する物品100の移動がなくなる。
【0040】
次に図11,12を参照して、物品100との接触を回避し得る所定の姿勢及び軌道で、搬送ユニット14が前方に駆動される。これにより、搬送ユニット14は、上部シールユニット70Uと下部シールユニット70Lとの間の空間から排出され、図6に示した初期位置に戻る。当該空間から搬送ユニット14が排出されることにより、物品100の上方からフィルム50が降下する。なお、図11,12ではフィルム50がその自重によって上方から降下する例について述べたが、フィルム50の左右両辺を図示しない把持手段によって把持し、把持手段がフィルム50を把持している状態で上方から下方に移動することにより、フィルム50を降下させる構成としてもよい。
【0041】
図16は、フィルム50の状態を模式的に示す斜視図である。これまでの搬送ユニット14の一連の動作により、フィルム50は、物品100が載置されている第1部分501よりも前方(図中のX1方向に関する前方)の第2部分502が、物品100を越えて図中のX2方向に折り返された格好となる。このように、包材搬送手段としての搬送ユニット14は、まず、載置台10上において第1部分501に物品100が載置されたフィルム50を、載置部2から封止部3に搬送し、次に、第1部分501より前方の第2部分502を、当該物品100を越えて後方に折り返した後に上方から降下させる。
【0042】
次に図13を参照して、上部シールユニット70Uが下方に駆動されることにより、シール部15U,16U,17Uとシール部15L,16L,17Lとによって上下からフィルム50を挟み込む。そして、熱圧着によって第1部分501及び第2部分502の縁部同士を封止する。図17は、フィルム50の封止箇所を模式的に示す図である。シール部17U,17Lによって側辺部分のエリアAR1が封止され、シール部16U,16Lによって口部分のエリアAR2が封止される。これにより、第1部分501と第2部分502との間に物品100が収容された袋体40が形成される。なお、必ずしも袋体40の三方を封止する必要はなく、例えばエリアAR2の封止を保留して側辺部分のみの二方の封止としても良い。この場合、袋体40の口部分が開封しているため、作業者は、袋体40が包装装置1から排出された後に調味料の小袋等を袋体40内に投入することができる。
【0043】
また、エリアAR2の近傍のラインNに沿って、カッタ32によってフィルム50が切断される。これとともに、切断によって分離されたフィルム50同士を接合するために、ラインNの近傍のエリアAR3がシール部15U,15Lによって封止される。これにより、切断によって一旦分離されたフィルム50が、接合箇所41において再び結合される。
【0044】
次に図14を参照して、上部シールユニット70Uが上方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。その後、シール高さ調整ユニット18が上方に駆動され、これに伴って、シール高さ調整ユニット18上の袋体40も上方に駆動される。なお、図1
4に示した例ではシール高さ調整ユニット18が下部シールユニット70Lより上方まで駆動されたが、下部シールユニット70Lと同じ高さ(図6に示した初期位置)までの上方駆動にとどめてもよい。また、図10の工程において、シール高さ調整ユニット18の下方駆動の代わりに下部シールユニット70Lを上方駆動するとともに、図14の工程において、シール高さ調整ユニット18の上方駆動を省略してもよい。これにより、シール高さ調整ユニット18の上下駆動がなくなるため、上下方向に関する物品100の移動がなくなる。
【0045】
次に図15を参照して、シール高さ調整ユニット18のベルトコンベアが駆動されることにより、袋体40は、シール高さ調整ユニット18上から、シール部17Lを飛び越えて、ローラ19を介して計量部4のベルトコンベア20上に搬送される。また、フィルム回収ロール34が駆動されて所定量だけフィルム50を巻き取ることにより、フィルム50の接合箇所41が回収される。その後、シール高さ調整ユニット18が下方に駆動されることにより、図6に示した初期位置に戻る。これにより、次回の包装動作の待機状態となる。なお、図14,15に示した例では、シール高さ調整ユニット18を図6〜9に示したその初期位置よりも上方まで駆動した後に、シール高さ調整ユニット18のベルトコンベアを駆動しているが、初期位置の状態でベルトコンベアを駆動してもよい。シール高さ調整ユニット18を上下方向に駆動させないことにより、上下方向に関する物品100の移動がなくなる。
【0046】
図18は、包装装置1に搭載されている制御部が有する機能の一部を示すブロック図である。制御部は、設定部45と記憶部46とを有している。作業者は、図1に示した操作部61を用いて、フィルム50の長手方向に関する袋体40の大きさ(つまり袋丈)と、物品100の厚みとを入力する。袋丈の入力値はデータS1として設定部45に入力され、物品100の厚みの入力値はデータS2として設定部45に入力される。
【0047】
設定部45は、データS1に基づいて、フィルム引き込みユニット12によるフィルム50の引き込み量(つまり、図8に示した位置から図9に示した位置へのフィルム引き込みユニット12の変位量)と、搬送ユニット14によるフィルム50の搬送量(つまり、図7に示した位置から図8に示した位置への搬送ユニット14の変位量)とを設定する。袋丈が大きいほどこれらの引き込み量及び搬送量は大きくなり、袋丈が小さいほどこれらの引き込み量及び搬送量は小さくなる。具体的には、様々な袋丈と、各袋丈に対応する引き込み量及び搬送量の各適正値との関係が記述されたデータテーブルを記憶部46に予め記憶しておき、設定部45は、データS1で表される袋丈に対応する引き込み量及び搬送量を、記憶部46から読み出す。制御部45は、設定した引き込み量に関するデータS3を、フィルム引き込みユニット12の駆動部に入力する。また、制御部45は、設定した搬送量に関するデータS4を、搬送ユニット14の駆動部に入力する。
【0048】
また、設定部45は、データS2に基づいて、シール高さ調整ユニット18の駆動量(つまり、図9に示した位置から図10に示した位置へのシール高さ調整ユニット18の変位量)を設定する。設定部45は、シール高さ調整ユニット18の駆動量を、データS2で表される物品100の厚みの半分の値に設定する。制御部45は、設定した駆動量に関するデータS5を、シール高さ調整ユニット18の駆動部に入力する。
【0049】
以上では、ノントレー方式の包装動作について説明したが、本実施の形態に係る包装装置1はトレー方式の包装動作を行うことも可能である。図19は、包装装置1が備える複数の包装手段801〜803を示す図である。包装手段801は、上述のノントレー方式の包装動作を行う。包装手段802はトレー方式である折り込み式包装を行い、包装手段803はトレー方式であるトップシール式包装を行う。作業者は、操作部61への操作入力によっていずれかの包装方式を選択する。選択手段804には、作業者によって選択さ
れた包装方式を示す信号S804が入力され、選択手段804は、信号S804に基づいて包装手段801〜803のいずれかを選択する。以下、トレー方式の包装動作の例として、包装装置1によって実行される折り込み式包装及びトップシール式包装について順に説明する。なお、以下の例における包装装置1は折り込み式及びトップシール式の双方の包装動作を選択的に実行可能であるが、いずれか一方の包装動作のみを実行可能であってもよい。
【0050】
図20は、折り込み式包装を実行する場合における、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。折り込み式包装が選択されると、図3に示した搬送ユニット14、シール部15L,16L,17L、及びシール高さ調整ユニット18が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、包装装置1内の所定の箇所に退避される。その後、図20に示すように、搬送ベルト72S,73S,72T,73T、左折込板74S、右折込板74T、後折込板75、排出プッシャ76、カッタ77、及び前折込部材78が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、それぞれの退避箇所から封止部3内の所定の箇所にセットされる。また、物品載置面を有する搬送部材79が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、退避箇所から載置台10上の所定の箇所にセットされる。
【0051】
図21は、シール高さ調整ユニット18の退避動作を模式的に示す図である。図21の(A)に示すように、ノントレー方式の包装動作を実行する場合には、シール高さ調整ユニット18は複数のポスト71の上方に配置されている。その後にトレー方式の包装動作が選択された場合には、図21の(B)に示すように、シール高さ調整ユニット18が略水平方向にスライド駆動され、所定の退避箇所(例えば載置台10の下方)に退避される。ポスト71の上方位置からシール高さ調整ユニット18が移動することにより、ポスト71が露出する。このように、トレー方式の包装動作が選択された場合には、単にシール高さ調整ユニット18をスライドさせることでポスト71が露出して使用可能状態となるため、ポスト71を駆動するための駆動機構が不要となり、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0052】
図22は、折り込み式包装を実行する場合における、封止部3へのフィルムの供給方式を模式的に示す図である。折り込み式包装が選択されることにより、フィルム供給ロールを片持ち支持する支持部材80が、図示しない駆動部(変更手段)によって駆動されることにより、矢印N1で示すように軸P1を中心として90度回転駆動される。また、作業者によって、支持部材80にセットされているフィルム供給ロール30が、ストレッチフィルムのフィルム供給ロール81に交換される。これにより、ノントレー方式の包装動作では、フィルム供給ロール30から繰り出されたフィルム50が、載置部2を経由してX1方向から封止部3に供給されたのに対し、トレー方式の包装動作では、フィルム供給ロール81から繰り出されたストレッチフィルム82が、載置部2を経由しないY方向から封止部3に供給されることとなる。
【0053】
図23〜26は、封止部3による折り込み式包装の動作を工程順に示す図である。まず図20,23を参照して、作業者は、載置台10上において、物品200が置かれたトレー201(物品収納容器)を搬送部材79の物品載置面上に載置する。トレー201は、搬送部材79によって載置台10上からポスト71上に搬送され、複数のポスト71によって底面から支持される。また、ストレッチフィルム82が、その左辺が搬送ベルト72S,73Sによって挟持され、その右辺が搬送ベルト72T,73Tによって挟持されて、トレー201の開口上面の全面を覆う位置までY方向に搬送される。その後、カッタ77によってストレッチフィルム82が切断される。
【0054】
次に図24を参照して、ストレッチフィルム82を展張させた状態で、搬送ベルト72
S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが、トレー201より下方まで降下される。これにより、トレー201の開口部にストレッチフィルム82が展張状態で当接される。また、前折込部材78(図20参照)が、上方からストレッチフィルム82を押さえ付けながら、トレー201より下方まで降下される。このとき、トレー201を持ち上げるのではなくストレッチフィルム82を降下させるため、上下方向に関するトレー201の位置は変化しない。
【0055】
ここで、図23に示した位置から図24に示した位置までの搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下量を、トレー201の種別に応じて調整することもできる。第1の例として、図18に示した例と同様に、寸法(特に高さ)や材質等の種別が異なる様々なトレーと、各トレーに対応して予め設定された適切な降下量との関係が記述されたデータテーブルを記憶しておく。そして、作業者が図1に示した操作部61を用いて現在使用しているトレー201の種別を入力すると、そのトレー201に対応する降下量が設定される。例えば、トレー201の高さが高い又は材質が柔らかいほど降下量は小さく設定され、トレー201の高さが低い又は材質が硬いほど降下量は大きく設定される。第2の例として、ポスト71の上面に圧力センサを取り付け、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下に伴って上昇する圧力値が、予め設定された所定値を超えた時点で、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下を停止する。このように、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下量を調整手段によってトレー201の種別に応じて調整することにより、過大な降下量に起因する押圧によってトレー201が潰れる事態を回避でき、また、過少な降下量に起因してトレー201とストレッチフィルム82との密封度が不足する事態を回避できる。
【0056】
次に図25を参照して、左折込板74S及び右折込板74TがそれぞれX2方向及びX1方向に駆動されるとともに、後折込板75(図20参照)がY方向に駆動される。これにより、ストレッチフィルム82がトレー201の底面側に折り込まれる。また、後折込板75の駆動に伴ってトレー201がY方向に進行することにより、トレー201の前方のストレッチフィルム82が前折込部材78によってトレー201の底面側に折り込まれる。
【0057】
次に図26を参照して、搬送ベルト73S,73Tの底面間に架け渡されている排出プッシャ76の高さが、トレー201のほぼ中央部の高さに一致するまで、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが上方に駆動される。その後、搬送ベルト73S,73Tを回転駆動する。これにより、トレー201は、排出プッシャ76によって後方から押されることによりY方向に進行し、ローラ19を介して計量部4のベルトコンベア20上に搬送される。なお、排出プッシャ76は必ずしも搬送ベルト73S,73Tに取り付けられている必要はなく、搬送ベルト73S,73Tとは別個独立に設けられていてもよい。但し、搬送ベルト73S,73T間に排出プッシャ76が架け渡された構成とすることにより、搬送ベルト73S,73Tと排出プッシャ76とで共通の駆動源を使用することができる。
【0058】
図27は、トップシール式包装を実行する場合における、図2に示した各処理部の構成を模式的に示す図である。トップシール式包装が選択されることにより、図3に示した搬送ユニット14、シール部15L,16L,17L、及びシール高さ調整ユニット18が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、包装装置1内の所定の箇所に退避される。その後、図27に示すように、搬送ベルト72S,73S,72T,73T、排出プッシャ76、及び枠状のシール部90が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、それぞれの退避箇所から封止部3内の所定の箇所にセットされる。また、物品載置面を有する搬送部材79が、図示しない駆動部によって駆動されることにより、退避箇所から載置台10上の所定の箇所にセットされる。
【0059】
図28は、トップシール式包装を実行する場合における、封止部3へのフィルムの供給方式を模式的に示す図である。トップシール式包装が選択されることにより、フィルム供給ロールを片持ち支持する支持部材80が、折り込み式包装の場合と同様に、矢印N1で示すように90度回転駆動される。これにより、フィルム供給ロール81から繰り出されたストレッチフィルム82が、載置部2を経由しないY方向から封止部3に供給されることとなる。
【0060】
また、トップシール式包装が選択されることにより、フィルム回収ロールを片持ち支持する支持部材91が、図示しない駆動部(変更手段)によって駆動されることにより、矢印N2で示すように軸P2を中心として90度回転駆動される。これにより、ノントレー方式の包装動作では、不要のフィルム50が封止部3からX2方向に排出されてフィルム回収ロール34に巻き取られたのに対し、トップシール式包装では、不要のストレッチフィルム82が封止部3からY方向に排出されてフィルム回収ロール92に巻き取られることとなる。
【0061】
図29〜33は、封止部3によるトップシール式包装の動作を工程順に示す図である。まず図27,29を参照して、作業者は、載置台10上において、物品200が置かれたトレー201を搬送部材79の物品載置面上に載置する。トレー201は、搬送部材79によって載置台10上からポスト71上に搬送され、複数のポスト71によって底面から支持される。また、ストレッチフィルム82が、その左辺が搬送ベルト72S,73Sによって挟持され、その右辺が搬送ベルト72T,73Tによって挟持されて、トレー201の開口上面の全面を覆う位置までY方向に搬送される。具体的には図34を参照して、ストレッチフィルム82は、フィルム供給ロール81→ローラ93A→ローラ93B→ローラ93C→ローラ93D→搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73T→ローラ93E→ローラ93F→ローラ93G→ローラ93H→フィルム回収ロール92の順に当接する経路で架け渡される。
【0062】
次に図30を参照して、ストレッチフィルム82を展張させた状態で、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが、トレー201より下方まで降下される。これにより、トレー201の開口部にストレッチフィルム82が展張状態で当接される。このとき、トレー201を持ち上げるのではなくストレッチフィルム82を降下させるため、上下方向に関するトレー201の位置は変化しない。なお、上述した折り込み式包装の場合と同様に、図29に示した位置から図30に示した位置までの搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下量を、トレー201の種別に応じて調整することもできる。
【0063】
次に図31を参照して、シール部90が降下されることにより、トレー201とシール部90とによってストレッチフィルム82を上下から挟み込む。その後、シール部90の発熱によって、トレー201の開口部の周縁に沿ってストレッチフィルム82を溶着及び溶断する。
【0064】
次に図32を参照して、図30に示した初期位置までシール部90が上方に駆動される。
【0065】
次に図33を参照して、搬送ベルト73S,73Tの底面間に架け渡されている排出プッシャ76の高さが、トレー201のほぼ中央部の高さに一致するまで、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが上方に駆動される。その後、搬送ベルト73S,73Tを回転駆動する。これにより、トレー201は、排出プッシャ76によって後方から押されることによってY方向に進行し、ローラ19を介して計量部4のベルトコン
ベア20上に搬送される。また、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが駆動されることにより、溶断部分を含む不要のストレッチフィルム82が封止部3から排出され、フィルム回収ロール92に巻き取られる。なお、上記と同様に、排出プッシャ76は必ずしも搬送ベルト73S,73Tに取り付けられている必要はなく、搬送ベルト73S,73Tとは別個独立に設けられていてもよい。
【0066】
図34,35は、トップシール式包装において、フィルム供給ロール81とフィルム回収ロール92との間でのストレッチフィルム82の搬送経路を模式的に示す図である。図34に示すように、ストレッチフィルム82は、フィルム供給ロール81→ローラ93A→ローラ93B→ローラ93C→ローラ93D→搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73T→ローラ93E→ローラ93F→ローラ93G→ローラ93H→フィルム回収ロール92の順に当接する経路で架け渡される。ローラ93B〜93Dによる折り返しの経路によって、フィルム供給ロール81と搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tとの間で、一定長のストレッチフィルム82がストックされている。同様に、ローラ93E〜93Gによる折り返しの経路によって、フィルム回収ロール92と搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tとの間で、一定長のストレッチフィルム82がストックされている。
【0067】
図30に示したように、トップシール式包装の動作においては、トレー201の開口部にストレッチフィルム82を展張状態で当接させるべく、ストレッチフィルム82を挟持している搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tが、トレー201より下方まで降下される。この時、図35に示すように、ローラ93C,93D,93E,93Fが、ストレッチフィルム82の展張状態を保持しつつ図34に示した位置から徐々に下方に駆動されることにより、ストックしていた一定長のストレッチフィルム82を放出する。このように、ストレッチフィルム82とトレー201との当接の前後で生じるフィルム長の差に相当する一定長のストレッチフィルム82が、ローラ93B〜93D及びローラ93E〜93Gによってストックされている。そのため、当接のための降下時にストレッチフィルム82に対して過剰の負荷が加わることを回避できるため、トップシール式包装を支障なく実行することが可能となる。
【0068】
なお、図34に示した例では、ローラ93B〜93D及びローラ93E〜93Gの二箇所にストレッチフィルム82をストックしたが、ローラ93B,93Cを省略して、ローラ93E〜93Gの一箇所のみに合計長のストレッチフィルム82をストックしてもよい。この場合、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tの降下時に、ローラ93E,93Fを下方に駆動するとともに、搬送ベルト72S,73S及び搬送ベルト72T,73Tを逆方向(つまり−Y方向にストレッチフィルム82を送り出す方向)に回転駆動する。これにより、ローラ93E〜93Gにストックしておいたストレッチフィルム82の一部が、フィルム供給ロール81側に供給される。
【0069】
このように本実施の形態に係る包装装置1によれば、封止部3(包装部)は、トレー201(物品収納容器)を用いずに載置台10上に載置された物品100を、フィルム50を用いて包装する包装手段801(図19参照)と、トレー201上に置かれた状態で載置台10上に載置された物品200を、ストレッチフィルム82を用いて包装する包装手段802,803と、包装手段801〜803を切り替える選択手段804とを有する。従って、一台の包装装置1を用いて、包装手段801によるノントレー方式の包装動作と、包装手段802,803によるトレー方式の包装動作とを、切り替えて実行することができる。その結果、トレー方式の包装装置とノントレー方式の包装装置とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、載置部2、封止部3、計量部4、及び
排出部5が略同一平面内に配置されていることにより、物品100,200は包装装置1内の物品搬送経路をほぼ落差無く進行する。従って、物品100,200を昇降させるための動作が不要となり、そのためのスペースや駆動機構を省略できるため、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、包装手段802,803は、折り込み式包装(つまり、トレー201の開口部にストレッチフィルム82を展張状態で当接させ、トレー201の周囲の折り込み手段(左折込板74S、右折込板74T、後折込板75、及び前折込部材78)によってストレッチフィルム82をトレー201の底面側に折り込む包装動作)を行う包装手段802と、トップシール式包装(つまり、トレー201の開口部にストレッチフィルム82を展張状態で当接させ、シール部90によってストレッチフィルム82を当該開口部の周縁に溶着させる包装動作)を行う包装手段803との少なくとも一方を含む。従って、ユーザが取り扱う商品の種類に応じてトップシール式及び/又は折り込み式の包装を行うことができるため、ユーザの利便性を向上することが可能となる。また、包装手段802,803の双方を含む場合には、一台の包装装置1を用いて、トップシール式の包装動作と折り込み式の包装動作とを切り替えて実行することができる。その結果、トップシール式包装機と折り込み式包装機とを個別に設置する場合と比較すると、省スペース化を図ることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、ノントレー方式の包装手段801を使用する場合には、フィルム50が、載置部2を経由するX1方向から封止部3に供給され、トレー方式の包装手段802,803を使用する場合には、ストレッチフィルム82が、載置部2を経由しないY方向から封止部3に供給される。このように、ノントレー方式の包装手段801及びトレー方式の包装手段802,803のいずれを使用するかに応じて、封止部3へのフィルムの供給方向を異ならせることにより、装置内のスペースを有効に活用することができる。その結果、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、図22,28に示したように、支持部材80(供給ロール支持手段)及び支持部材91(回収ロール支持手段)は、ノントレー方式の包装手段801とトレー方式の包装手段802,803とで兼用され、包装手段801及び包装手段802,803のいずれを使用するかに応じて、支持部材80及び支持部材91の位置が変更される。従って、包装手段801と包装手段802,803とで個別に支持部材80,91を設ける場合と比較すると、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態に係る包装装置1によれば、封止部3に供給された物品を支持するための支持手段として、ノントレー方式の包装手段801が選択された場合には、平面状の物品載置面を有するシール高さ調整ユニット18が使用され、トレー方式の包装手段802,803が選択された場合には、複数のポスト71が使用される。従って、トレー方式及びノントレー方式のそれぞれに適した支持手段を使用でき、それぞれの方式の包装動作を支障なく実行することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1 包装装置
2 載置部
3 封止部
4 計量部
5 排出部
6 引き込み部
10 載置台
12 フィルム引き込みユニット
14 搬送ユニット
15U,15L,16U,16L,17U,17L,90 シール部
18 シール高さ調整ユニット
21 排出台
30,81 フィルム供給ロール
32 カッタ
34,92 フィルム回収ロール
40 袋体
41 接合箇所
45 設定部
50 フィルム
71 ポスト
72S,73S,72T,73T 搬送ベルト
74S 左折込板
74T 右折込板
75 後折込板
76 排出プッシャ
78 前折込部材
80,91 支持部材
82 ストレッチフィルム
93A〜93H ローラ
100 物品
501 第1部分
502 第2部分
801〜803 包装手段
804 選択手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材を用いて物品を包装する包装装置であって、
包装対象である物品を載置するための載置部と、
前記載置部から供給された物品を、包材を用いて包装する包装部と、
前記包装部によって包装された物品を排出する排出部と
を備え、
前記包装部は、
物品収納容器を用いずに前記載置部上に載置された物品を、第1の包材を用いて包装する第1の包装手段と、
物品収納容器上に置かれた状態で前記載置部上に載置された物品を、第2の包材を用いて包装する第2の包装手段と、
前記第1の包装手段と前記第2の包装手段とを切り替える選択手段と
を有する、包装装置。
【請求項2】
前記載置部、前記包装部、及び前記排出部を、略同一平面内に配置し、
前記第1の包装手段は、
所定箇所に物品が載置された前記第1の包材を前記包装部に搬送し、前記所定箇所より前方部分の前記第1の包材を、当該物品を越えて後方に折り返した後に上方から降下させる、包材搬送手段
を含み、
前記第2の包装手段は、
前記第2の包材の両辺部を挟持して搬送する包材搬送手段と、
前記第2の包材を挟持している前記包材搬送手段を物品収納容器の上方から降下させることにより、物品収納容器の開口部に前記第2の包材を展張状態で当接させる駆動手段とを含む、請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記第2の包装手段は、
前記駆動手段による前記包材搬送手段の降下量を、物品収納容器の種別に応じて調整する調整手段
をさらに含む、請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記第2の包装手段は、トップシール式包装手段及び折り込み式包装手段の少なくとも一方を含み、
前記トップシール式包装手段は、
前記駆動手段によって物品収納容器に当接された前記第2の包材を、当該物品収納容器の開口部の周縁に溶着させるシール手段
を有し、
前記折り込み式包装手段は、
前記駆動手段によって物品収納容器に当接された前記第2の包材を、物品収納容器の底面側に折り込む折り込み手段
を有する、請求項2又は3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記トップシール式包装手段は、
物品収納容器への前記第2の包材の当接の前後で生じる包材長の差に相当する長さの包材を貯留する貯留手段
をさらに有する、請求項4に記載の包装装置。
【請求項6】
前記第1の包装手段を使用する場合には、前記第1の包材を、前記載置部を経由する第1の方向から前記包装部に供給し、
前記第2の包装手段を使用する場合には、前記第2の包材を、前記載置部を経由しない第2の方向から前記包装部に供給する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項7】
前記第1の包材と前記第2の包材とで兼用され、前記包装部に供給される包材を貯留するための供給ロールを支持する供給ロール支持手段と、
前記第1の包材と前記第2の包材とで兼用され、前記包装部から不要の包材を回収して貯留するための回収ロールを支持する回収ロール支持手段と、
前記第1の包装手段及び前記第2の包装手段のいずれを使用するかに応じて、前記供給ロール支持手段及び前記回収ロール支持手段の位置を変更する変更手段と
をさらに備える、請求項6に記載の包装装置。
【請求項8】
前記包装部は、前記載置部から供給された物品を支持するための支持手段として、
前記第1の包装手段を選択した場合に使用される、平面状の物品載置面を有する第1の支持手段と、
前記第2の包装手段を選択した場合に使用される、複数の柱状構造によって底面から物品を支持する第2の支持手段と
を有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の包装装置。
【請求項9】
前記第1の支持手段は前記第2の支持手段の上方に配置され、前記第1の支持手段が略水平方向にスライドすることによって前記第2の支持手段を露出させることを特徴とする、請求項8に記載の包装装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−162240(P2011−162240A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28574(P2010−28574)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】