説明

包餡製品製造装置

【課題】粘性の低い外皮材を有する内包製品の成形を容易にした包餡製品製造装置を提供する。
【解決手段】この装置は、内包材入口16及び内包材出口18を有する内包材供給筒12と、該内包材供給筒との間に環状空間34をあけて同軸状に設定される外皮材供給筒14とを有する。外皮材供給筒は外皮材入口38と、内包材出口18よりも下方の位置にある外皮材出口40とを有する。外皮材供給筒14を上方に向けて動かしながら外皮材Dを外皮材出口40を通して材料受け面Bに供給するとともに、材料受け面に対して外皮材が一定量供給された時点から外皮材の供給を終了する前までの間に、外皮材出口40からの外皮材Dの供給を続けながら該内包材出口18を通して内包材Aを排出することにより該外皮材出口40を通して、該内包材Aの周囲を該外皮材Dが囲うようにした状態で排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内包材を外皮材で包んだ包餡製品を製造するための装置に関し、特に、粘性が低い外皮材を用いた包餡製品を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包餡製品を作るために、ノズルを通して外皮材を供給しながら、同じくノズルを通してその外皮材の中に具材である内包材を供給するようにした包餡製品製造装置は、種々開発されてきている(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1は、特に、粘性が低く流動性の高い外皮材を用いた包餡製品の製造装置を開示している。そのような外皮材は、ノズルからコンベアなどの上に排出された場合、その保形が難しく、内包材が外皮材から露出するようになりやすい。特許文献1に開示の装置では、コンベアでカップ状の成形容器を搬送し、その中に外皮材及び内包材の供給を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−248545
【特許文献2】特開平11−206309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、粘性が低く保形が難しく、また、内包材を適正に保持することが難しい外皮材を用いた包餡製品を、成形容器などを用いることなく作ることを可能とする装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
内包材(以下に述べる実施形態においては参照符号Aで示す。以下の括弧書きは同様の表示を示す。)を受け入れる内包材入口(16)と、受け入れた内包材を水平に設定された材料受け面(B)に向けて下向きに排出する内包材出口(18)を有する内包材供給筒(12)と、
該内包材供給筒との間に環状空間(34)をあけて同軸状に設定される外皮材供給筒(14)であって、該環状空間に外皮材を受け入れるための外皮材入口(38)と、該内包材出口(18)よりも下方の位置にあり、外皮材入口(38)から受け入れた外皮材(D)を該材料受け面に向けて下向きに排出する外皮材出口(40)を有し、上下方向で可動とされた外皮材供給筒(14)と、
を有し、
該外皮材供給筒(14)を上方に向けて動かしながら外皮材(D)を該外皮材出口(40)を通して該材料受け面(B)に供給するとともに、該材料受け面に対して外皮材が一定量供給された時点から外皮材の供給を終了する前までの間に、外皮材出口(40)からの外皮材(D)の供給を続けながら該内包材出口(18)を通して内包材(A)を排出することにより該外皮材出口(40)を通して、該内包材(A)の周囲を該外皮材(D)が囲うようにした状態で排出するようにした、外皮材(D)の内部に内包材(A)を含む包餡製品を成形する包餡製品製造装置を提供する。
【0006】
この包餡製品製造装置では、外皮材を材料受け面(B)上に供給するときに、外皮材供給筒(14)を上昇しながら行うので、外皮材供給筒(14)内から外皮材出口(40)を通して外皮材に係る圧力が軽減され、それにより該材料受け面(B)上に載置された外皮材の形が保たれやすくなり、従ってまた、その内部に供給される内包材を適正に保持することが可能となる。
【0007】
具体的には、該外皮材供給筒の該外皮材入口(38)は、外皮材(D)を該環状空間(34)に間歇的に供給する第1ポンプに接続され、該内包材供給筒(12)の該内包材入口(16)は、内包材(A)を該内包材供給筒(12)内に供給する第2ポンプに接続され、該内包材供給筒(12)には、該第2ポンプから該内包材供給筒への内包材の供給を間歇的に遮断して、該内包材(A)を該内包材出口(18)から間歇的に排出供給するようにするための弁部材(28)が取り付けられるようにすることができる。
【0008】
より具体的には、該弁部材による内包材の供給の遮断が行われたときに、内包材供給筒12内の内包材Aがその内圧により内包材出口18から排出され続けるのを防ぐために該内包材出口での該内圧が低下するように、該弁部材によって内包材の供給が遮断される位置から該内包材出口までの距離が決められるようにすることが好ましい。
【0009】
また、該弁装置による内包材の供給の遮断が行われたときに、内包材供給筒12内の内包材Aがその内圧により内包材出口18から排出され続けるのを防ぐために該内包材供給筒内での内包材の内圧が増大するのを防ぐように、第2ポンプに接続される該内包材入口(16)の横断面積に比べて該内包材出口(18)の横断面積が大きくすることが好ましい。
【0010】
上記の構成において、内包材供給筒は上下方向で固定され、これに対して、外皮材供給筒が上下動するようにすることができる。
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る包餡製品製造装置の主要な構成を示すための部分断面側面図である。
【図2】図1の包餡製品製造装置の作動を説明するための図であり、(1)は包餡製品製造を開始する直前の状態、(2)は包餡製品の製造を開始して外皮材を材料受け面に供給し始めた状態、(3)は外皮材を供給しながら内包材の供給をしている状態、(4)は内包材の供給が終了した後に続いて外皮材が供給され、包餡製品ができあがった状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図示のように、本発明に係る包餡製品製造装置10は、基本的構成要素として内包材供給筒12と、外皮材供給筒14とを備える。
【0014】
内包材供給筒12は、包餡製品製造装置10の上部水平フレームCに懸架された同軸状の筒状の供給部15に同軸状にして連結されて支持されており、該供給部15の側壁に形成された内包材入口16を通して受け入れた内包材A(図2参照)を、下方に案内して、下端の内包材出口18からベルトコンベア等の材料載置面Bに向けて排出するようにされている。具体的には、供給部15は、内包材供給筒12内を垂直に延びる材料供給路20に連通された材料受入孔22を有しており、該材料受入孔22は、内包材入口16を介して、図示しない内包材供給ポンプから延びる内包材供給管24に連通されている。材料受入孔22内には、上部水平フレームCに固定されたモータ26によって垂直軸線を中心に回動制御されるシャフト状の弁部材28が上方から挿入されている。弁部材28の下端面は湾曲したテーパ面30とされており、図2(1)に示すようにテーパ面と反対側の円筒面によって内包材入口16を閉じる閉止位置と、図2(3)に示すようにテーパ面30が内包材入口16に面して該入口16を開放する開放位置との間で回動されるようになっている。好ましくは、内包材供給管24に接続される内包材供給ポンプはギアポンプとされ、内包材を間歇的に供給するようにする。
【0015】
外皮材供給筒14は、内包材供給筒12との間に環状空間34をあけて同軸状に設定されており、図示しない外皮材供給ポンプからの外皮材供給管36に接続され、外皮材Dを環状空間34に供給する外皮材入口38と、内包材出口18よりも下方の位置にあり、外皮材Dを材料受け面Bに向けて下向きに排出する外皮材出口40とを有し、上下方向で可動とされている。外皮材供給筒14は、図示しない駆動装置により、内包材供給管12上を上下方向で摺動するよう駆動されるようになっており、図示の例では、外皮材供給筒14の周囲を支持する水平支持枠Eが当該包餡製品製造装置の下部フレームFから上方に延びるガイドロッドGに沿って垂直方向で案内されながら、図示しない駆動装置によって上下動されることによって外皮材供給筒14が上下動されるようになっている。外皮材供給管36に接続される図示しない外皮材供給ポンプは、外皮材を間歇的に供給するものとされ、好ましくはピストンポンプが用いられる。
【0016】
包餡製品を材料受け面B上に形成する場合には、外皮材供給筒14を、その外皮材出口40が図2に示すように材料受け面Bに近接した状態から、上方に向けて動かすと同時に、外皮供給ポンプを駆動して外皮材の供給を行う(図2(2)、図2(3))。外皮材供給筒14を上方に動かすのは、材料受け面B上に供給される外皮材Dに対する外皮材供給ポンプからの加圧力を相殺して、材料受け面B状に供給された外皮材の保形を容易とするためである。
【0017】
該材料受け面Bに対して外皮材Dが一定量供給された時点(図2(3))から外皮材Dの供給を終了する(図2(4))前までの間に、内包材出口18を通して内包材Aを排出することにより、外皮材D及び内包材Aを、内包材Aの周囲を外皮材Dが囲うようにした状態で、外皮材出口40から排出する。
【0018】
内包材Aのこのような供給制御は、弁部材28の回動制御によって行われる。弁部材28が閉止位置とされて内包材Aの供給の遮断が行われたときに、内包材供給筒12内の内包材Aがその内圧により内包材出口18から排出され続けるのを防ぐために、弁部材28の位置から内包材出口18までの距離を十分長くして、内包材出口18近くでの内包材供給筒12内での内包材の内圧が十分低下するようにされている。同様の目的のために、内包材供給ポンプに接続される内包材入口16の横断面積に比べて内包材供給筒12及び内包材出口18の横断面積が大きくなるようにされている。
【0019】
本発明の実施形態に係る包餡製品製造装置10は以上の如きものであり、外皮材が粘性の低いものでも、該材料受け面(B)上に外皮材を適正に保形できるように供給することを可能とし、また、該外皮材が内包材を適正に保持することを可能とすることができる。
【符号の説明】
【0020】
図示のように、本発明に係る包餡製品製造装置10は、基本的構成要素として内包材供給筒12と、外皮材供給筒14とを備える。
【0021】
包餡製品製造装置10;内包材供給筒12;外皮材供給筒14;供給部15;内包材入口16;内包材A;材料載置面B;上部水平フレームC;外皮材D;水平支持枠E;下部フレームF;ガイドロッドG;内包材出口18;材料供給路20;材料受入孔22;内包材供給管24;モータ26;弁部材28;テーパ面30;環状空間34;外皮材供給管36;外皮材入口38;外皮材出口40

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内包材を受け入れる内包材入口と、受け入れた内包材を水平に設定された材料受け面に向けて下向きに排出する内包材出口を有する筒状の内包材供給筒と、
該内包材供給筒との間に環状空間をあけて同軸状に設定される外皮材供給筒であって、該環状空間に外皮材を受け入れるための外皮材入口と、該内包材出口よりも下方の位置にあり、外皮材入口から受け入れた外皮材を該材料受け面に向けて下向きに排出する外皮材出口を有し、上下方向で可動とされた外皮材供給筒と、
を有し、
該外皮材供給筒を上方に向けて動かしながら外皮材を該外皮材出口から該材料受け面に供給するとともに、該材料受け面に対して外皮材が一定量供給された時点から外皮材の供給を終了する前までの間に、外皮材出口からの外皮材の供給を続けながら該内包材出口から内包材を排出することにより、該内包材の周囲を該外皮材が囲うようにした状態で排出するようにした、外皮材の内部に内包材を含む包餡製品を成形する包餡製品製造装置。
【請求項2】
該外皮材供給筒の該外皮材入口は、外皮材を該環状空間に間歇的に供給する第1ポンプに接続され、該内包材供給筒の該内包材入口は、内包材を該内包材供給筒内に供給する第2ポンプに接続され、該内包材供給筒には、該第2ポンプから該内包材供給筒への内包材の供給を間歇的に遮断して、該内包材を該内包材出口から間歇的に排出供給するようにするための弁装置が取り付けられている請求項1に記載の包餡製品製造装置。
【請求項3】
該弁装置による内包材の供給の遮断が行われたときに、内包材供給筒内の内包材がその内圧により内包材出口から排出され続けるのを防ぐために該内包材出口での該内圧が低下するように、該弁装置によって内包材の供給が遮断される位置から該内包材出口までの距離が決められている請求項2に記載の包餡製品製造装置
【請求項4】
該弁装置による内包材の供給の遮断が行われたときに、内包材供給筒内の内包材がその内圧により内包材出口から排出され続けるのを防ぐために該内包材出口での該内圧が低下するように、第2ポンプに接続される該内包材入口の横断面積に比べて該内包材出口の横断面積が大きくされている請求項2又は3に記載の包餡製品製造装置。
【請求項5】
該内包材供給筒は、上下方向で固定されている請求項1乃至4のいずれかに記載の包餡製品製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−115113(P2011−115113A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277269(P2009−277269)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000141509)株式会社紀文食品 (39)
【Fターム(参考)】