説明

化合物、樹脂、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】マスクエラーファクター(MEF)に優れ、欠陥の発生数が少ないレジストパターンを形成することを目的とする。
【解決手段】式(a)で表される化合物。


[式中、Aは、置換基を有していてもよいアルカンジイル基又は式(a−1)


(式中、sは0又は1;A10及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基;A11は、単結合又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基;X10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基;ただしA10、A11、A12、X10及びX11の炭素数の合計は6以下である)で表される基;Rは水素原子又はメチル基;Rは芳香族炭化水素基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、樹脂、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の微細加工技術として、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長光を露光源とする光リソグラフィ技術が活発に検討されている。このような光リソグラフィ技術に用いられるレジスト組成物としては、例えば、式(u−A)で表される構造単位及び式(u−B)で表される構造単位からなる樹脂と、式(u−B)で表される構造単位、式(u−C)で表される構造単位及び式(u−D)で表される構造単位からなる樹脂と、酸発生剤とを含有するレジスト組成物が知られている(特許文献1)。


【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の樹脂を含有するレジスト組成物から製造されるレジストパターンは、マスクエラーファクター(MEF)が必ずしも満足できない場合や、レジストパターン製造時において欠陥の発生数が極めて多い場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(a)で表される化合物。

[式(a)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは、0又は1を表す。
10及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
11は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
ただし、A10、A11、A12、X10及びX11の炭素数の合計は6以下である)
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。]
【0006】
〔2〕前記(A)が、前記式(a)のAがエチレン基である化合物に由来する構造単位を有する樹脂である前記〔1〕記載のレジスト組成物。
〔3〕前記(B)が、前記式(B1)のYが置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基である塩を含む前記〔1〕又は〔2〕記載のレジスト組成物。
〔4〕前記式(a)のRが、式(a1−1)で表される基又は式(a1−2)で表される基である前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の化合物。

〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の化合物に由来する構造単位を有する樹脂。
〔6〕前記〔5〕記載の樹脂及び酸発生剤を含むレジスト組成物。
〔7〕さらに塩基性化合物を含む前記〔6〕記載のレジスト組成物。
【0007】
〔8〕さらに溶剤を含む〔6〕又は〔7〕のいずれか記載のレジスト組成物。 〔9〕(1)前記〔6〕〜〔8〕のいずれか1つに記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化合物に由来する構造単位を有する樹脂によれば、マスクエラーファクター(MEF)に優れ、欠陥の発生数が少ないレジストパターンを製造し得るレジスト組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環状をとることができるものは、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。また、*は結合手を表す。
【0010】
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
脂肪族炭化水素基は、鎖式及び環式の双方を含み、特に定義しない限り、鎖式及び環式の脂肪族炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。また、これら脂肪族炭化水素基は、その一部に炭素‐炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の基が好ましい。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち1価のものとしては、典型的にはアルキル基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、ヘキサデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキシルデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などが挙げられる。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち2価のものとしては、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基及びプロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
【0011】
環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という)は、典型的には、シクロアルキル基を意味し、以下に示す単環式及び多環式のいずれをも包含する。
【0012】
脂環式炭化水素基のうち1価のものとして、単環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。

【0013】
多環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−8)〜(KA−22)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。

【0014】
脂環式炭化水素基のうち2価のものとしては、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
【0015】
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定されない限り、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C7)、オクチルオキシ基(C8)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などが挙げられる。
アルキルチオ基としては、アルコキシ基の酸素原子が硫黄原子に置き換わったものが挙げられ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基及びドデシルチオ基などが挙げられる。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキサノイル基(C)、ヘプタノイル基(C7)、オクタノイル基(C8)、デカノイル基(C10)及びドデカノイル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの、ベンゾイル基(C7)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C7)、フェネチル基(C8)、フェニルプロピル基(C9)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C)、ナフチルオキシ基(C10)、アントニルオキシ基(C14)、ビフェニルオキシ基(C12)、フェナントリルオキシ基(C14)及びフルオレニルオキシ基(C13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
【0016】
芳香族炭化水素基としては、典型的には、アリール基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントリル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などが挙げられる。
芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。このような置換基は、特に限定されない限り、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
【0017】
また、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」及び「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
【0018】
〈式(a)で表される化合物〉
本発明の化合物は、式(a)で表される化合物(以下、場合により「化合物(a)」という)である。

[式(a)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは0又は1を表す。
10及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
11は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
ただし、A10、A11、A12、X10及びX11の炭素数の合計は6以下である)
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。]
【0019】
式(a)において、脂肪族炭化水素基の置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基などが好ましい。
【0020】
以下、基(a−1)について具体例を示す。
酸素原子を有する基(a−1)としては、以下の基が挙げられる。

【0021】
カルボニル基を有する基(a−1)としては、以下の基が挙げられる。

【0022】
カルボニルオキシ基を有する基(a−1)としては、以下の基が挙げられる。

【0023】
オキシカルボニル基を有する基(a−1)としては、以下の基が挙げられる。

【0024】
1は炭素数1〜6のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
は、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましく、中でも、式(a1−1)で表される基又は式(a1−2)で表される基がより好ましく、式(a1−1)で表される基がさらに好ましい。

【0025】
式(a)で表される化合物は、例えば以下の化合物が挙げられる。

【0026】
また、式(a1)〜式(a8)のいずれかで表される式(a)の化合物において、以下に示す部分構造(Mc)を部分構造(Ac)に置き換えたものも化合物(a)の具体例として挙げることができる。

【0027】
化合物(a)は、例えば以下に示すように、式(as−1)で表される化合物と式(as−2)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。

このような反応は、通常、塩基性触媒及び溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。塩基性触媒としては、ピリジンなどが挙げられる。
式(as−1)で表される化合物としては、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。このヒドロキシエチルメタクリレートは市場から容易に入手できる。
式(as−2)で表される化合物としては、クロロギ酸フルオレニルメチルなどが挙げられる。このクロロギ酸フルオレニルメチルは市場から容易に入手できる。
【0028】
〈レジスト組成物〉
本発明のレジスト組成物は、樹脂(以下、場合により「樹脂(A)」という)及び酸発生剤(以下、場合により「酸発生剤(B)」という)を含む。さらに必要に応じて、溶剤及び/又はクエンチャーと呼ばれる塩基化合物などの添加剤を含むことがある。
【0029】
〈樹脂(A)〉
本発明のレジスト組成物は、酸発生剤(B)と相互作用によりレジストパターンを形成できる樹脂を含有する。このような樹脂は、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる特性(以下、場合により「酸作用特性」という)を有する。ここで「酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる」とは、酸の接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となることを意味する。
樹脂(A)は、化合物(a)に由来する構造単位(以下、場合により「構造単位(a)」という)を有する限り、酸作用特性を有するもの(以下、場合により「樹脂(AA)」という)であっても、酸作用特性を有しないもの(以下、場合により「樹脂(AB)」という)であってもよい。ただし、樹脂(A)が後者である場合、酸作用特性を有し、樹脂(A)とは異なる樹脂(以下、場合により「樹脂(X)」という)が本発明のレジスト組成物に含有される。樹脂(AA)及び樹脂(AB)のいずれにおいても、それらに含有される構造単位(a)は、1種であっても、複数種であってもよい。
【0030】
酸作用特性を有する樹脂(AA)は、分子内にある親水性基の一部又は全部が、酸の接触により脱離し得る保護基により保護されているものであり、酸と接触するとその保護基が脱離して、アルカリ水溶液に可溶となる。該保護基により保護されている親水性基を、以下「酸不安定基」という。該親水性基としては、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基がより好ましい。
酸作用特性を有しない樹脂(AB)は、本発明のレジスト組成物においては、添加剤として使用できる。
樹脂(AA)及び/又は樹脂(AB)等の樹脂(A)を含有することにより、本発明のレジスト組成物は、欠陥の発生量が少なく、マスクエラーファクター(MEF)が良好なレジストパターンを製造することができる。
【0031】
樹脂(A)は、構造単位(a)の構造及び特性(酸に安定又は不安定)に応じて、樹脂(AA)又は樹脂(AB)のいずれかに分類される。構造単位(a)が酸不安定基を有さない場合には、樹脂(AA)は、構造単位(a)の他に、酸不安定基を有する構造単位を有する。また、樹脂(AA)は、酸不安定基を有する構造単位及び構造単位(a)以外の構造単位として、例えば、後述する酸安定モノマーに由来する構造単位を有していてもよい。樹脂(AA)は、酸作用特性を有する範囲で、樹脂(AA)が有する酸不安定基を有する構造単位も、1種であっても、複数種であってもよい。
樹脂(AB)は、構造単位(a)以外に、例えば、後述する酸安定モノマーに由来する構造単位を有していてもよい。この構造単位は、1種であっても、複数種であってもよい。
【0032】
樹脂(A)において、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対する構造単位(a)の合計モル量(樹脂(A)の構造単位(a)の含有割合)は1〜100モル%の範囲が好ましく、5〜95モル%の範囲がより好ましく、10〜90モル%の範囲がさらに好ましい。なお、このような範囲とするためには、構造単位(a)を含む樹脂(A)は、樹脂(A)製造時に用いる全モノマーの総モル量に対する化合物(a)の使用モル量を調節すればよい。
上述したように、樹脂(AA)及び/又は樹脂(AB)が、構造単位(a)を複数種有する場合には、これら構造単位(a)の合計含有割合が、上述した樹脂(A)における構造単位(a)の含有割合を満たす範囲で、適宜調整することができる。同様に、樹脂(AA)又は樹脂(AB)が、構造単位(a)以外の構造単位を有する場合には、上述した樹脂(A)における化合物(a)の含有割合を満たす範囲で、構造単位(a)以外の構造単位の合計含有割合を、適宜調整することが好ましい。
【0033】
<酸不安定基を有するモノマー(a1)>
モノマー(a1)において、親水性基がカルボキシ基である場合の酸不安定基は、カルボキシ基の水素原子が有機残基に置き換わり、カルボキシ基の−O−と結合する該有機残基の炭素原子が第三級炭素原子である基が挙げられる。このような酸不安定基としては、好ましくは、例えば、以下の式(1)で表される基(以下、場合により「酸不安定基(1)」という)である。

式(1)中、
a1〜Ra3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2が互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Ra1及びRa2が互いに結合して形成される環又は脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0034】
−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基において、Ra1及びRa2が互いに結合して形成する環としては、例えば、以下のものが挙げられる。

このような環の炭素数は、好ましくは3〜12である。
【0035】
酸不安定基(1)としては、例えば、
1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3が全てアルキル基である基、このアルキル基のうち、1つはtert−ブトキシカルボニル基であることが好ましい。)、
2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が互いに結合し、これらが結合する炭素原子とともにアダマンチル環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び
1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0036】
親水性基がヒドロキシ基である場合の酸不安定基は、このヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造又はケタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸不安定基としては、好ましくは、例えば、以下の式(2)で表される基(以下、場合により「酸不安定基(2)」という)である。

式(2)中、
b1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、あるいはRb2及びRb3は互いに結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成し、前記環又は炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0037】
式(2)では、Rb1及びRb2のうち、少なくとも1つは水素原子であるものが好ましい。
酸不安定基(2)としては、例えば、以下の基が挙げられる。

【0038】
酸不安定基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
モノマー(a1)は、好ましくは、酸不安定基(1)及び/又は酸不安定基(2)と、炭素−炭素二重結合とをともに分子内に有するモノマーであり、より好ましくは酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーである。
【0039】
酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、酸不安定基(1)が、炭素数5〜20の脂肪族環構造を有する基であることが好ましい。立体的に嵩高い脂肪族環構造を有する基を有するモノマー(a1)を重合して得られる樹脂(AA)は、該樹脂(AA)を含むレジスト組成物を用いてレジストパターンを製造したとき、より良好な解像度でレジストパターンを製造することができる。
【0040】
脂肪族環構造とする酸不安定基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーの中でも、式(a1−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−1)」という)を与えるモノマー又は式(a1−2)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−2)」という)を与えるモノマーが好ましい。樹脂(AA)製造の際には、これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

式(a1−1)及び式(a1−2)中、
a1及びLa2は、それぞれ独立に、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。ここで、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
a4及びRa5は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
a6及びRa7は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表し、n1は0〜10の整数を表す。n1’は0〜5の整数を表す。
【0041】
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又はk1が1〜4の整数である*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基であり、より好ましくは酸素原子又はk1が1の*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a4及びRa5は、それぞれ、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7は、それぞれ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8の脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜6の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1である。
【0042】
式(a1−1)で表される構造単位としては、以下のものが挙げられる。

【0043】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】
式(a1−1−1)〜式(a1−1−38)のいずれかで表される構造単位(a1−1)の具体例において、以下の部分構造(Mc’)を部分構造(Ac’)に置き換えたものも構造単位(a1−1)の具体例として挙げることができる。

【0049】
構造単位(a1−1)のなかでも、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)並びにこれらの構造単位(a1−1)の部分構造(Mc)を部分構造(Ac)に置き換えたものが好ましく、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がより好ましく、式(a1−1−1)及び式(a1−1−2)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がさらに好ましい。なお、これら好ましい構造単位(a1−1)を有する樹脂(AA)は、該樹脂(AA)を製造する際に、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート又は2−イソプロピルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートなどを製造用原料(モノマー)として用いればよい。
【0050】
式(a1−2)で表される構造単位としては、以下のものが挙げられる。

【0051】
式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表される構造単位(a1−2)の具体例において、化合物(a)の具体例と同様に、部分構造(Mc)を部分構造(Ac)に置き換えたものも構造単位(a1−2)の具体例として挙げることができる。
【0052】
なかでも、式(a1−2−1)、式(a1−2−2)、式(a1−2−4)及び式(a1−2−5)のいずれかで表される構造単位(a1−2)、あるいはこれらの構造単位(a1−2)の部分構造(Mc)を部分構造(Ac)に置き換えたものがより好ましく、式(a1−2−4)及び式(a1−2−4)のいずれかで表される構造単位、あるいはこれらの構造単位(a1−2)の部分構造(Mc’)を部分構造(Ac’)に置き換えたものがさらに好ましい。このような構造単位(a1−2)を有する樹脂(AA)を製造するためには、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートなどをモノマーとして用いればよい。
【0053】
構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する樹脂(AA)を製造する場合、得られる樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、これら構造単位の合計含有割合は、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましく、25〜60モル%の範囲が一層好ましい。構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)の含有割合の合計をこのような範囲にするためには、樹脂(AA)を製造する際に用いる全モノマーの使用量に対する構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量を調整すればよい。具体的には、樹脂(AA)を製造するために全モノマー量(100モル%)に対して、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量が、10〜95モル%の範囲であると好ましく、15〜90モル%の範囲であるとより好ましく、20〜85モル%の範囲であるとさらに好ましく、25〜60モル%の範囲であると一層好ましい。
【0054】
樹脂(AA)には、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)のような(メタ)アクリル系モノマーから誘導される構造単位以外に、酸不安定基(1)と炭素−炭素二重結合とを分子内に有する他の構造単位が含まれていてもよい。
他の構造単位を有するモノマーとしては、例えば、以下の式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−3)」という)が挙げられる。
モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する樹脂は、嵩高い構造を有するので、レジスト組成物に用いた場合に、解像度を向上させることができる。さらに、モノマー(a1−3)は、樹脂の主鎖に剛直なノルボルナン環を導入してレジスト組成物のドライエッチング耐性を向上させることができる。

式(a1−3)中、
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基又は−COORa13を表す。
a13は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
a10〜Ra12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表すか、或いは、Ra10及びRa11が結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成し、該脂肪族炭化水素基及び該環を構成する水素原子は、ヒドロキシ基などで置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び該環を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0055】
ヒドロキシ基を有するアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
【0056】
式(a1−3)においては、Ra13は、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基である。
a10及びRa11が互いに結合して形成される環は、脂環式炭化水素が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環がより好ましい。
【0057】
モノマー(a1−3)としては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0058】
良好な解像度でレジストパターンを製造でき、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという観点から、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対するモノマー(a1−3)に由来する構造単位の含有割合は、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0059】
さらに、他のモノマーとしては、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、「モノマー(a1−4)」という場合がある)を用いてもよい。

式(a1−4)中、
a32は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のRa33は互いに同一であっても異なってもよい。
a34及びRa35は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は置換基を有していていもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R)−で示される基に置き換わっていてもよい。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基である。
【0060】
ハロゲン原子を有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などのハロアルキル基が挙げられる。
【0061】
式(a1−4)においては、アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
a2の脂肪族炭化水素基としては、好ましくは、鎖式脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくはアルキル基である。
a3の炭化水素基としては、好ましくは、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基である。
【0062】
a34及びRa35の炭化水素基のうち、鎖式脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましく、脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基などが好ましく、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基及び2−メチル−6−エチルフェニルなどが好ましい。
a2における置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基及び炭素数2〜4のアシルオキシ基からなる群より選ばれる基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
a3における置換基は、好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基であり、より好ましくはヒドロキシ基である。
【0063】
モノマー(a1−4)としては、以下のモノマーが挙げられる。

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】
ここに示すモノマー(a1−4)において、以下に示す部分構造(V)を部分構造(P)に置き換えたものもモノマー(a1−4)の具体例として挙げることができる。

【0068】
樹脂(AA)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
【0069】
酸不安定基(2)を有するモノマー(a1)としては、(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−5)」という場合がある)が挙げられる。

[式(a1−5)中、
31は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
〜Lは、オキシ基、チオキシ基又は−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基中に含まれるメチレン基は、オキシ基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs1’は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。]
【0070】
式(a1−5)においては、R31は、好ましくは、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基であり、より好ましくは水素原子及びメチル基である。
は、酸素原子が好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であることが好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2が好ましい。
は、単結合又は−CH−CO−O−が好ましい。
【0071】
モノマー(a1−5)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。

【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】
樹脂(AA)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、10〜90モル%の範囲がより好ましく、10〜85モル%の範囲がさらに好ましく、10〜70モル%の範囲が一層好ましい。
【0078】
さらに、酸不安定基(1)と炭素−炭素二重結合とを分子内に有する他の構造単位を誘導するモノマーを用いてもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。

【0079】

【0080】

【0081】
樹脂(AA)がその他の酸不安定モノマーに由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%であり、好ましくは15〜90モル%であり、より好ましくは20〜85モル%である。
【0082】
樹脂(AA)において、アダマンチル基を有するモノマー(特に、モノマー(a1−1))をモノマー(a1)に用いる場合、該モノマー(a1)の使用量の総量(100モル%)に対して、アダマンチル基を有するモノマーの使用量を15モル%以上とすることが好ましい。この範囲とすることにより、樹脂(AA)を含むレジスト組成物から得られるレジストパターンのドライエッチング耐性がより良好になる傾向がある。
【0083】
<酸安定基を有するモノマー>
樹脂(AA)は、化合物(a)及び酸不安定基を有するモノマー(a1)由来の構造単位に加えて、酸不安定基を有さないモノマー(以下、場合により「酸安定モノマー」という)由来の構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位」という)を有していることが好ましい。
また、添加物、つまり樹脂(AB)として、化合物(a)及び酸安定モノマー由来の構造単位を含む樹脂を用いてもよい。
【0084】
酸安定モノマーを併用して樹脂(AA)を製造する場合、モノマー(a1)の使用量を基準にして、酸安定性モノマーの使用量を定めることが好ましい。モノマー(a1)の使用量と酸安定モノマーの使用量の割合は、〔モノマー(a1)〕/〔酸安定モノマー〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。
【0085】
酸安定モノマーとしては、ヒドロキシ基又はラクトン環を有するものが好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a2)」という)及び/又はラクトン環を含有する酸安定モノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a3)」という)に由来する構造単位を有する樹脂(AA)は、樹脂(AA)を含むレジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜又は塗布膜から得られる組成物層が基板との間に優れた密着性を発現し易くなる。また、このレジスト組成物は良好な解像度で、レジストパターンを製造することができる。
【0086】
<酸安定モノマー(a2)>
酸安定モノマー(a2)を樹脂(AA)の製造に用いる場合、当該樹脂(AA)を含むレジスト組成物からレジストパターンを製造する際の露光源の種類等によって、各々、好適な酸安定モノマー(a2)を1種又は2種以上選択することができる。例えば、レジスト組成物を、KrFエキシマレーザ露光(波長:248nm)、電子線又はEUVなどの高エネルギー線露光に用いる場合には、酸安定モノマー(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定モノマー(a2−0)〔例えば、ヒドロキシスチレン類等〕を用いることが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ露光(波長:193nm)を用いる場合は、酸安定モノマー(a2)として、後述の式(a2−1)で表される酸安定モノマーを用いることが好ましい。
【0087】
<酸安定構造単位(a2−0)>
フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位は、以下の式(a2−0)で表されるもの(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−0)」という)を挙げることができる。

式(a2−0)中、
a30は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31は互いに同一であっても異なってもよい。
【0088】
式(a2−0)においては、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a31のアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0089】
酸安定構造単位(a2−0)を与えるモノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a2−0)」という)としては、例えば、以下のモノマーが挙げられる。

ここに例示する具体例において、ベンゼン環に結合しているメチル基及びエチル基を、Ra31として例示したその他の置換基に置き換えたものも、酸安定モノマー(a2−0)の具体例である。
【0090】
このような酸安定モノマー(a2−0)を用いて、樹脂(A)を製造する場合は、該酸安定モノマー(a2−0)にあるフェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護されているモノマーを用いることもできる。例えば、塩基又は酸で脱離する保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基は、塩基又は酸との接触により該保護基が脱保護されるため、酸安定構造単位(a2−0)が得られる。ただし、樹脂(A)は上述のとおり、酸不安定基を有する構造単位(a1)を有しているので、この前駆構造単位を脱保護する際には、構造単位(a1)の酸不安定基を著しく損なわないよう、塩基との接触により脱保護することが好ましい。塩基との接触により脱保護する保護基としては例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジン及びトリエチルアミンなどが挙げられる。
【0091】
酸安定モノマー(a2−0)としては、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。これらを用いて、樹脂(AA)を製造する際には、これらにあるフェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護したものを用いることが好ましい。
【0092】
樹脂(AA)が、酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜95モル%が適しており、好ましくは10〜80モル%の範囲、より好ましくは15〜80モル%の範囲である。
また、樹脂(AB)が、酸安定モノマー(a2−0)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、90モル%以下の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲が好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0093】
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下の式(a2−1)で表される構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−1)」という。)が挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は−O−(CH2k2−CO−O−(k2は1〜7の整数を表す。)を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0094】
式(a2−1)においては、La3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である−O−(CH2k2−CO−O−で表される基であり、より好ましくは、酸素原子又は、−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0095】
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0096】

【0097】

式(a2−1−1)〜式(a2−1−17)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)の具体例において、部分構造(Mc’)を部分構造(Ac’)に置き換えたものも酸安定構造単位(a2−1)の具体例として挙げることができる。
【0098】
酸安定構造単位(a2−1)の中でも、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)並びにこれらの酸安定構造単位(a2−1)の部分構造(Mc’)を部分構造(Ac’)に置き換えたものが好ましく、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)がより好ましい。これらの酸安定構造単位(a2−1)を有する樹脂(A)は、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルオキシカルボニル)メチルなどを、樹脂(AA)製造用のモノマーとして用いればよい。
【0099】
樹脂(AA)が、酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、3〜40モル%の範囲が好ましく、3〜35モル%の範囲がより好ましく、3〜30モル%の範囲がさらに好ましく、3〜15モル%が特に好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、90モル%以下の範囲が好まし、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0100】
<ラクトン環を有する酸安定モノマー(a3)>
ラクトン環を有する酸安定構造単位(a3)は、例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0101】
酸安定構造単位(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものが挙げられる。樹脂(A)は、これらのうち1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−1)」という場合があり、式(a3−2)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−2)」という場合があり、式(a3−3)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−3)」という場合がある。

[式(a3−1)〜式(a3−3)中、
a4〜La6は、それぞれ独立して、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18〜Ra20は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21は互いに同一であっても異なってもよい。
a22及びRa23は、それぞれ独立して、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22は、互いに同一であっても異なってもよく、r1が2以上の場合、複数のRa23は、互いに同一であっても異なってもよい。
p1は、0〜5の整数を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。]
【0102】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又はk3が1〜4の整数である*−O−(CH2k3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子又は、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0103】
酸安定構造単位(a3−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0104】

【0105】
酸安定構造単位(a3−2)としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0106】

【0107】
酸安定構造単位(a3−3)は例えば、以下のものが挙げられる。


式(a3−1−1)〜式(a3−1−11)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−11)、式(a3−3−1)〜式(a3−3−6)のいずれかで表される酸安定構造単位において、構造単位(aa)の例示と同様に、部分構造(Mc’)を部分構造(Ac’)に置き換えたものも、各々酸安定構造単位の具体例として挙げることができる。また、この例示において、ラクトン環が有する置換基(Ra21〜Ra23)としてメチル基を有するものも例示したが、このメチル基を上述のような基に置き換えたものも、酸安定構造単位(a3)の具体例として挙げられる。
【0108】
酸安定構造単位(a3)の中でも、α−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル及び(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチルなどから誘導される酸安定構造単位(a3)が好ましい。
【0109】
樹脂(AA)が、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)からなる群より選ばれる酸安定構造単位(a3)を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜65モル%の範囲がより好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましく、15〜55モル%の範囲が特に好ましく、15〜50モル%の範囲が一層好ましい。
また、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)それぞれの含有量は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜65モル%の範囲がより好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましく、15〜55モル%の範囲が特に好ましく、15〜50モル%の範囲が一層好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定構造単位(a3)を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、90モル%以下の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0110】
<その他の酸安定モノマー(a4)>
その他の酸安定モノマー(a4)としては、以下の式(3)で表される基を有するモノマー[以下、場合により、「酸安定モノマー(a4)」という。]が挙げられる。

[式(3)中、
10は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。*は結合手を表す。]
【0111】
フッ化アルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
【0112】
式(3)においては、フッ化アルキル基は、その炭素数が1〜4であるものが好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0113】
酸安定モノマー(a4)としては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。

【0114】

【0115】

【0116】
樹脂(AA)が、酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜30モル%の範囲が好ましく、3〜25モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0117】
<酸安定モノマー(a5)>
酸安定モノマー(a5)は以下の式(4)で表される基を有するモノマー[以下、場合により、「酸安定モノマー(a5)」という。]も挙げられる。

[式(4)中、
11は置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。
12は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、単結合、−(CHm10−SO−O−*又は−(CHm10−CO−O−*を表し、ここに示すアルカンジイル鎖〔−(CHm10−〕に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよく、当該アルカンジイル鎖にある水素原子は、フッ素原子に置き換わっていてもよい。
m10は、1〜12の整数を表す。]
【0118】
11における芳香族炭化水素基の置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、フェニルオキシ基及びtert−ブチルフェニル基などが挙げられる。
【0119】
11としては、以下のものが挙げられる。*は炭素原子との結合手である。

【0120】
12における炭化水素が含んでいてもよいヘテロ原子としては、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子及び窒素原子などが挙げられる。また、連結基として、スルホニル基、カルボニル基を含む形態でもよい。
このようなヘテロ原子を含むR12としては、以下の基が挙げられる。

【0121】
としては、下記に示す基が挙げられる。

【0122】
式(4)で表される基を含む酸安定モノマー(a5)としては、例えば、式(a5−1)で表される酸安定モノマー[以下、場合により「酸安定モノマー(a5−1)」という。]が挙げられる。

[式(a5−1)中、R13は、水素原子又はメチル基を表す。
11、R12及びAは、前記と同義である。]
【0123】
酸安定モノマー(a5−1)としては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。

【0124】
樹脂(AA)が、酸安定モノマー(a5−1)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜30モル%の範囲が好ましく、3〜25モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定モノマー(a5−1)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0125】
<酸安定モノマー(a6)>
酸安定モノマー(a6)は、以下の式(a6−1)で表されるもののように分子内に脂環を有する(メタ)アクリル系モノマー(以下、場合により、「酸安定モノマー(a6−1)」という。)が挙げられる。

[式(a6−1)中、
環Wは、炭素数3〜36の脂環式炭化水素環を表す。
は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよいが、Aにおいては酸素原子に結合している原子は炭素原子である。
14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。
15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。]
【0126】
式(a6−1)においては、環Wは、炭素数は5〜18の脂環式炭化水素環が好ましく、6〜12の範囲がより好ましい。具体的には、上述した式(KA−1)〜式(KA−19)で示した脂環式炭化水素環が挙げられる。すなわち、式(a6−1)において、

で示される部分構造は、式(KA−1)〜式(KA−22)で示した脂環式炭化水素に含まれる1個の水素原子がAとの結合手に、脂環式炭化水素の環原子である炭素原子の1つに結合している2つの水素原子が、−O−CO−R15及び−O−CO−R16との結合手に置き換わったものを挙げることができる。
環Wとしては、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ノルボルナン環及びノルボルネン環が特に好ましい。
【0127】
の脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が好ましい。
としては、例えば、アルカンジイル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた脂肪族炭化水素基であることが適している。このような脂肪族炭化水素基としては、以下の式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基などが挙げられる。

式中、
X1及びXX2は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、XX1及びXX2がともに単結合であることはなく、式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基の総炭素数は17以下である。
における脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、式(a)の基(a−1)で例示したものが挙げられる。
なかでも、Aは、単結合又は*−(CHs1−CO−O−(*は−O−との結合手を表し、s1は1〜6の整数を表す。)で表される基が好ましく、単結合又は*−CH−CO−O−(*は−O−との結合手を表す)で表される基がより好ましい。
【0128】
14は、水素原子又はメチル基が好ましい。
14〜R16におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が特に好ましい。
14及びR16のハロアルキル基のうち、好ましくはトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基及びペルフルオロブチル基などが挙げられ、より好ましくは、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基である。
【0129】
酸安定モノマー(a6−1)としては、例えば、以下に示すものが挙げられる。R14〜R16及びAは、前記と同義である。

【0130】
これらの中でも、以下のものが好ましい。

がより好ましい。
【0131】
酸安定モノマー(a6−1)としては、以下のものが挙げられる。

【0132】
酸安定モノマー(a6−1)は、式(a6−1−a)で表される化合物と、式(a6−1−b)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
式(a6−1−a)で表される化合物は、例えば、特開2002−226436号公報に記載されている1−メタクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタンなどが挙げられる。
式(a6−1−b)で表される化合物としては、例えば、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物及びトリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。この反応は、用いる式(a6−1−b)で表される化合物の沸点温度付近で加温することにより、実施することが好ましい。

[式(a6−1−a)及び式(a6−1−b)中、
、A、R14、R15及びR16は、前記と同義である。]
【0133】
樹脂(AA)が、酸安定モノマー(a6−1)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜30モル%の範囲が好ましく、3〜25モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定モノマー(a6−1)に由来する構造単位に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0134】
<酸安定モノマー(a7)>
樹脂(A)製造には、その他の酸安定モノマーを用いてもよい。以下、このような酸安定モノマーを「酸安定モノマー(a7)」という場合がある。
酸安定モノマー(a7)としては、たとえば、式(a7−1)で表される無水マレイン酸、式(a7−2)で表される無水イタコン酸及び式(a7−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下、「酸安定モノマー(a7−3)」という場合がある)などが挙げられる。

式(a7−3)中、
a25及びRa26は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、シアノ基、カルボキシ基又は−COORa27を表すか、或いはRa25及びRa26は互いに結合して−CO−O−CO−を形成する。
a27は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。但し−COORa27が酸不安定基となるものは除く(例えば、Ra27は、第三級炭素原子が−O−と結合するものを含まない))。
【0135】
ヒドロキシ基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などがさらに好ましい。
【0136】
酸安定モノマー(a7−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0137】
樹脂(AA)が、式(a7−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a7−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及び酸安定モノマー(a7−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位〔酸安定モノマー(a7)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜30モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、式(a7−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a7−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及び酸安定モノマー(a7−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位〔酸安定モノマー(a7)に由来する構造単位〕を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜60モル%の範囲がより好ましく、20〜50モル%の範囲がさらに好ましい。
【0138】
さらに、酸安定モノマー(a7)としては、例えば、式(a7−4)で表されるスルトン環を有するモノマー(以下、「酸安定モノマー(a7−4)」という場合がある。)などが挙げられる。

式(a7−4)中、
a7は、酸素原子又は−T−(CH2k2−CO−O−を(k2は1〜7の整数を表す。Tは酸素原子又はNHである。)表し、*はカルボニル基との結合手を表す。
a28は、水素原子又はメチル基を表す。
10は、置換基を有していてもよいスルトン環基を表す。
【0139】
スルトン環基のスルトン環としては、脂環式炭化水素に含まれる隣り合うメチレン基のうち、一方が酸素原子、他方がスルホニル基に置き換わったもの、すなわち環骨格中に−O−SO−を有する環であり、下記に示すものなどが挙げられる。スルトン環基の代表例は、下記スルトン環にある水素原子の1つが、結合手に置き換わったものであり、式(a7−4)においてはLa7との結合手が該当する。

スルトン環基に置換されていてもよい置換基は、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のアシル基及び炭素数1〜8のアシルオキシ基が挙げられる。
【0140】
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基(C)及びエトキシカルボニル基(C)等が挙げられる。
【0141】
式(a7−4)で表されるスルトン環を有する酸安定モノマーとしては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。


【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】

【0163】

【0164】

【0165】
樹脂(AA)が、式(a7−4)で表される酸安定モノマー(a7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜35モル%の範囲がより好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、式(a7−4)で表される酸安定モノマー(a7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0166】
また、樹脂(A)製造には、例えば、以下に示すようなフッ素原子を有するモノマー(以下、「酸安定モノマー(a8)」という場合がある)を用いてもよい。

【0167】
このようなモノマーの中でも、単環式又は多環式の環式の炭化水素を有する(メタ)アクリル酸5−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸4,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノニルが好ましい。
【0168】
樹脂(AA)が、酸安定モノマー(a8)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
また、樹脂(AB)が、酸安定モノマー(a8)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(AB)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜80モル%の範囲がより好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
【0169】
<樹脂の製造>
樹脂(AA)は、化合物(a)と、モノマー(a1)と、任意に酸安定基を有するモノマーとを重合することによって製造することができる。より好ましくは、化合物(a)と、モノマー(a1)と、酸安定モノマー(a2)及び/又は酸安定モノマー(a3)とを共重合することにより製造することができる。
樹脂(AA)を製造する場合、モノマー(a1)として、アダマンチル基を有するモノマー(a1−1)及びシクロへキシル基を有するモノマー(a1−2)のうち、少なくとも1種を用いることが好ましく、アダマンチル基を有するモノマー(モノマー(a1−1))を用いることがさらに好ましい。酸安定モノマーとしては、ヒドロキシアダマンチル基を有する酸安定モノマー(a2−1)及び酸安定モノマー(a3)を用いることが好ましい。酸安定モノマー(a3)としては、γ−ブチロラクトン環を有するモノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有するモノマー(a3−2)の少なくとも1種を用いることが好ましい。樹脂(AA)は、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造できる。
【0170】
樹脂(AB)は、例えば、化合物(a)と、任意に酸安定基を有するモノマー、つまり、酸安定モノマー(a4)、酸安定モノマー(a5)、酸安定モノマー(a6)、酸安定モノマー(a7)及び酸安定モノマー(a8)からなる群より選ばれるモノマーとを重合することによって製造することができる。ここで、酸安定基を有するモノマーとしては、酸安定モノマー(a5)及び酸安定モノマー(a6)が好ましい。樹脂(AB)は、公知の重合法(例えばラジカル重合法)によって製造できる。
樹脂(AA)の重量平均分子量は、2,500以上50,000以下であると好ましく、3,000以上30,000以下がより好ましい。
樹脂(AB)の重量平均分子量は、特に該樹脂(AB)を本発明のレジスト組成物の添加剤として用いる場合、8,000以上80,000以下が好ましく、10,000以上60,000以下がより好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものであり、該分析の詳細な分析条件は、本願の実施例で詳述する。
【0171】
なお、本発明のレジスト組成物において、樹脂(AA)を含有させない場合は、樹脂(AB)に加えて、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶の樹脂となる特性を有する樹脂(X)を含有させることが必要である。
【0172】
樹脂(X)は、樹脂(AA)から化合物(a)に由来する構造単位を除いたものが挙げられる。特に、モノマー(a1)と、酸安定モノマー(a2)及び/又は酸安定モノマー(a3)とを共重合させたものが好ましい。樹脂(X)製造に用いるモノマー(a1)は、アダマンチル基を有するモノマー(a1−1)及びシクロへキシル基を有するモノマー(a1−2)の少なくとも1種であると好ましく、アダマンチル基を有するモノマー(a1−1)がさらに好ましい。樹脂(X)製造に用いる酸安定モノマー(a2)は、ヒドロキシアダマンチル基を有するモノマー(a2−1)が好ましく、酸安定モノマー(a3)は、γ−ブチロラクトン環を有するモノマー(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有するモノマー(a3−2)の少なくとも1種が好ましい。
樹脂(X)の製造及び重量平均分子量は、実質的に樹脂(AA)と同様のものが挙げられる。
【0173】
<酸発生剤(B)>
酸発生剤は、非イオン系とイオン系とに分類される。非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩及びヨードニウム塩など)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオンなどがある。
【0174】
酸発生剤としては、例えば、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0175】
酸発生剤は、以下の式(B1)で表される酸発生剤(以下、場合により「酸発生剤(B1)」という場合がある)が好ましい。

式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。
【0176】
ペルフルオロアルキル基としては、フッ化アルキル基のうちのペルフルオロアルキル基が挙げられる。
式(B1)においては、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基又はフッ素原子が好ましく、Q1及びQ2がともにフッ素原子がより好ましい。
【0177】
b1における脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わったものとしては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−6)のいずれかで表される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側の結合手は、C(Q1)(Q2)と結合し、右側の結合手はYと結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。*は結合手を表し、一方はYと、他方はCQの炭素原子と結合している。

式(b1−1)〜式(b1−6)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、炭素数1〜14の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
【0178】
式(b1−1)で表される2価の基は、例えば、以下のものが挙げられる。

【0179】
式(b1−2)で表される2価の基は、例えば、以下のものが挙げられる。

【0180】
式(b1−3)で表される2価の基は、例えば、以下のものが挙げられる。

【0181】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0182】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0183】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0184】
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)〜式(b1−3)のいずれかで表される基である。
これらの中でも、Lb1として、式(b1−1)で表される2価の基、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基がより好ましい。
【0185】
b1における脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基及びグリシジルオキシ基等が挙げられる。
【0186】
Yはアルキル基及び脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がさらに好ましい。
Yにおける脂肪族炭化水素基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子(但し、フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基(式中、Rb1は、炭素数1〜16の炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す)などが挙げられる。ここで、芳香族炭化水素基及びアラルキル基には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基をさらに有していてもよい。
Yの脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、環状エーテル基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つが酸素原子に置き換わった基)、環状ケトン基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった基)、スルトン環基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びスルホニル基に置き換わった基)及びラクトン環基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びカルボニル基に置き換わった基)などが挙げられる。
【0187】
Yの脂環式炭化水素基の好ましい基は、以下に示す式(Y1)〜式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基であり、これらのうち、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)及び式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基がより好ましく、式(Y1)及び式(Y2)のいずれかで表される脂環式炭化水素基がさらに好ましい。

【0188】
置換基を有する脂環式炭化水素基としては、例えば、以下のものが挙げられる。

なかでも、Yとしては、ヒドロキシアダマンチル基が特に好ましい。
【0189】
なお、Yがアルキル基であり、かつLb1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Yと結合する該2価の脂肪族炭化水素基のメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わらない。
【0190】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表されるものが挙げられる。この式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンにおいて、Lb1は式(b1−1)で表される基が好ましい。また、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、Yの脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同じであり、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基及びヒドロキシ基が好ましく、メチル基及びヒドロキシ基がより好ましい。

【0191】
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンとしては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されているスルホン酸アニオンが挙げられる。
【0192】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】
酸発生剤(B1)中の有機カチオン(Z+)は、有機オニウムカチオン、例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、有機スルホニウムカチオンがより好ましく、さらに好ましくは、以下の式(b2−1)〜式(b2−4)のいずれかで表される有機カチオンである。

式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4〜Rb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、該炭化水素基としては、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。該アルキル基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、該脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9〜Rb11は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基としては、炭素数は1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素数は3〜18の脂環式炭化水素基であることが好ましく、炭素数4〜12であることがより好ましい。
b12は、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。該炭化水素基のうち、芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
b9とRb10及び/又はRb11とRb12は、それぞれ独立に、互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)の脂肪族環を形成していてもよく、これらの3員環〜12員環の脂肪族環又は該脂肪族環を構成するメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わった環である。
【0198】
b13〜Rb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は互いに同一でも異なっていてもよく、p2が2以上であるとき、複数のRb14は互いに同一でも異なっていてもよく、s2が2以上であるとき、複数のRb15は互いに同一でも異なっていてもよく、t2が2以上であるとき、複数のRb18は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0199】
アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、tert−ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基及び2−エチルヘキシルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0200】
b9とRb10とが結合して形成する環としては、例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12とが結合して形成する環としては、例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0201】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という場合がある。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、該脂肪族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は互いに同一でも異なっていてもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は互いに同一でも異なっていてもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0202】
式(b2−1−1)においては、脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜12であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基がより好ましい。
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基であることが好ましい。
【0203】
カチオン(b2−1−1)としては、以下のものが挙げられる。

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】
式(b2−3)で表される有機カチオンとしては、以下の化合物が挙げられる。

【0208】
酸発生剤(B1)は、上述のスルホン酸アニオン及び上述の有機カチオンの組合せである。これらは、例えば、表1に示すように、任意に組み合わせることができる。表1では、式(b1−s−1)で表されるスルホン酸アニオンなどを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表す。
【0209】
【表1】

【0210】
さらに好ましい酸発生剤(B1)は、式(B1−1)〜式(B1−17)のいずれかで表されるものである。中でも、酸発生剤(B)は、中でもトリフェニルスルホニウムカチオンを含む塩及びトリトリルスルホニウムカチオンを含む塩が好ましく酸発生剤(B1)である、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)又は(B1−14)で表される塩が好ましく、式(B1−2)、式(B1−3)、(B1−6)、式(B1−7)又は式(B1−11)で表される塩がより好ましい。
【0211】

【0212】

【0213】

【0214】

【0215】
酸発生剤(B)は、酸発生剤(B1)とは異なる酸発生剤を含んでいてもよい。この場合は、酸発生剤(B)の総量における酸発生剤(B1)の含有割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ただし、本発明のレジスト組成物における酸発生剤(B)は、実質的に酸発生剤(B1)のみであることがさらに好ましい。
【0216】
<塩基性化合物(以下、場合により「塩基性化合物(C)」という)>
本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物(C)を含有していてもよい。ここでいう「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、上述した酸発生剤から発生する酸を捕捉する特性を有する化合物を意味する。
【0217】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及び塩基性のアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンのいずれでもよい。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。

[式(C1)及び式(C1−1)中、
c1〜Rc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【0218】

[式(C2)〜式(C4)中、
c5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は、互いに同一でも異なっていてもよい。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0219】

[式(C5)及び式(C6)中、
c10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14はそれぞれ独立であり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は互いに同一でも異なっていてもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0220】

[式(C7)及び式(C8)中、
c18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は互いに同一でも異なっていてもよく、r3が2以上であるとき、複数のRc19は互いに同一でも異なっていてもよく、s3が2以上であるとき、複数のRc20は互いに同一でも異なっていてもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0221】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、
これらの中でも、ジイソプロピルアニリンが好ましく、2,6−ジイソプロピルアニリン特に好ましい。
【0222】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
【0223】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
【0224】
<溶剤(D)>
溶剤(D)は、用いる樹脂(A)(樹脂(AA)又は樹脂(AB))の種類及びその量、並びに、酸発生剤(B)の種類及びその量などに応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上にレジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
【0225】
溶剤(D)としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類を挙げることができる。溶剤(D)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0226】
<その他の成分>
レジスト組成物は、必要に応じて、本技術分野で広く用いられている添加剤(以下、「成分(F)」という場合がある)を含んでいてもよい。成分(F)としては、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などが挙げられる。
【0227】
<レジスト組成物の調製>
レジスト組成物は、樹脂(A)及び酸発生剤(B)並びに必要に応じて用いられる樹脂(X)、塩基性化合物(C)、溶剤(D)及び成分(F)を混合することにより調製することができる。混合順序は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、用いる化合物(a)に由来する構造単位を有する樹脂などの種類や化合物(a)に由来する繰り返し単位を含む樹脂等の溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて選べばよく、0.5〜24時間が好ましい。なお、混合手段は特に限定されず、攪拌混合などを用いることができる。
本発明のレジスト組成物を調製する際に用いる各成分の使用量により、本発明のレジスト組成物中の各成分の含有量を調節することができる。
このように、各成分を混合した後は、孔径0.01〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0228】
溶剤(D)の含有割合は、上述のとおり、樹脂(A)の種類などに応じて適宜調節できるが、レジスト組成物総質量に対して90質量%以上、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上であり、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下である。このような含有割合で溶剤(D)を含むレジスト組成物は、例えば後述するレジストパターンの製造方法において、厚み30〜300nm程度の組成物層を形成可能な薄膜レジストとして適している。この溶剤(D)の含有割合は、レジスト組成物を調製する際の溶剤(D)の使用量により制御可能であり、レジスト組成物を調製した後には、レジスト組成物を、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段に供して求めることもできる。
【0229】
樹脂(A)の含有割合は、樹脂(A)が樹脂(AA)である場合、レジスト組成物の固形分に対して、例えば、80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。ここで、レジスト組成物の固形分とは、本発明のレジスト組成物の総質量から溶剤(D)の含有量を除いた量のことをいう。溶剤(D)の含有割合が90質量%である場合、本発明のレジスト組成物の固形分は10質量%である。なお、樹脂(A)が樹脂(AB)である場合、樹脂(AB)及び樹脂(X)の合計が、本発明のレジスト組成物の固形分に対して、例えば、80質量%以上99質量%以下であることが好ましい。樹脂(AB)の含有割合は、本発明のレジスト組成物の固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0230】
酸発生剤(B)の含有質量は、レジスト組成物に含まれる樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
【0231】
レジスト組成物が塩基性化合物(C)を含む場合、本発明のレジスト組成物の固形分に対する塩基性化合物(C)の含有割合は、0.01〜1質量%程度であることが好ましい。
【0232】
これら樹脂(A)及び酸発生剤(B)並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)の各々の好適な含有割合は、レジスト組成物を調製する際の各々の使用量により制御可能である。レジスト組成物を調製した後には、レジスト組成物を、例えばガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段に供して求めることもできる。
【0233】
成分(F)をレジスト組成物に用いる場合には、成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を調節することもできる。
【0234】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。
【0235】
工程(1)におけるレジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。このようにして基板上にレジスト組成物からなる塗布膜が形成される。塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。この反射防止膜の形成には、例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0236】
工程(2)においては、塗布膜を乾燥させて、溶剤(D)を除去する。このような乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)又は減圧装置を用いた減圧手段或いはこれらの手段を組み合わせて行われる。乾燥の条件は、レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択でき、例えばホットプレートの場、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にすることが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。このようにして、基板上に組成物層が形成される。
【0237】
工程(3)は組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光することができる。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線又は超紫外光(EUV)を照射するもの等、種々のものを用いることができる。露光機は液浸露光機であってもよい。
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では組成物層に含まれる酸発生剤(B1)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸との作用により、樹脂(AA)〔又は樹脂(X)〕にある酸不安定基が脱保護反応により親水性基を生じ、結果として露光部の組成物層にある樹脂(AA)〔又は樹脂(X)〕はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、樹脂(AA)〔又は樹脂(X)〕はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。このように、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違する。
【0238】
工程(4)においては、露光部で生じうる脱保護基反応及び/又はその進行を促進するために、加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)を行う。加熱処理は工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段などが好ましい。なお、工程(4)におけるホットプレート加熱を行う場合、ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。
【0239】
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置を用いて現像する工程であ。現像する工程で、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させると、露光部の組成物層は該アルカリ水溶液に溶解して除去され、未露光部の組成物層は基板上に残るため、基板上にレジストパターンが製造される。
前記アルカリ水溶液としては、「アルカリ現像液」と称される本技術分野で公知のものを用いることができる。アルカリ水溶液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液などが挙げられる。
【0240】
現像後、製造されたレジストパターンは、好ましくは超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することがより好ましい。
【0241】
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本発明のレジスト組成物は、マスクエラーファクター(MEF)に優れ、欠陥の発生数が少ないレジストパターンを形成できる。
【0242】
<用途>
本発明のレジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、さらに液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
【実施例】
【0243】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部は」、特記しないかぎり質量基準である。樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0244】
実施例1〔式(M−E)で表される化合物(a)の合成〕

式(E−1)で表される化合物13.00部、メチルイソブチルケトン65.00部及びピリジン8.69部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(E−2)で表される化合物24.55部を、1時間かけて添加した。その後、温度を上げ、10℃に到達した時点で、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物にn−ヘプタン333.73部、5%塩酸水溶液32.09部及びイオン交換水100.12部を加え、23℃で30分間攪拌した。回収された有機層に、イオン交換水100.12部を仕込み23℃で30分間攪拌し、分液することにより有機層を回収した。この水洗の操作を4回行った。回収された有機層を濃縮し、式(M−E)で表される化合物30.31部を得た。
MS:352.1
【0245】
実施例2〔式(M−M)で表される化合物(a)の合成〕

式(M−1)で表される化合物13.00部、メチルイソブチルケトン65.00部及びピリジン8.69部を仕込み、23℃で30分間攪拌し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(M−2)で表される化合物16.19部を、1時間かけて添加した。その後、温度を上げ、10℃に到達した時点で、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物にn−ヘプタン308.64部、5%塩酸水溶液32.09部及びイオン交換水92.59部を加え、23℃で30分間攪拌した。回収された有機層に、イオン交換水92.59部を仕込み23℃で30分間攪拌し、分液することにより有機層を回収した。この水洗の操作を4回行った。回収された有機層を濃縮し、式(M−M)で表される化合物19.49部を得た。
MS:264.1
【0246】
以下に示すモノマー(M−A)〜モノマー(M−M)を用いて、樹脂を合成した。

【0247】
実施例3〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−K)、モノマー(M−D)、モノマー(M−C)、モノマー(M−L)及びモノマー(M−E)を用い、そのモル比(モノマー(M−K):モノマー(M−D):モノマー(M−C):モノマー(M−L):モノマー(M−E))が40:10:17:30:3となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。この溶解液をメタノール/水混合溶媒に注ぎ、樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.2×10の樹脂A1(共重合体)を収率63%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有する。

【0248】
実施例4〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−F)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−F)が30:70となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.5×10の樹脂A2(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有する。

【0249】
実施例5〔樹脂A3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−G)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−G))が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られた溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.4×10の樹脂A3(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有する。

【0250】
実施例6〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−E)及びモノマー(M−H)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−H))が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られた溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.6×10の樹脂A4(共重合体)を収率67%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。

【0251】
〔樹脂A5の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−K)、モノマー(M−J)、モノマー(M−D)、モノマー(M−L)及びモノマー(M−C)を用い、そのモル比(モノマー(M−K):モノマー(M−J):モノマー(M−D):モノマー(M−L):モノマー(M−C))が32:7:8:10:43となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを73℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られた溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量8.9×10の樹脂A5(共重合体)を収率78%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有する。

【0252】
〔樹脂A6の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−B)、モノマー(M−C)及びモノマー(M−D)を用い、そのモル比(モノマー(M−B):モノマー(M−C):モノマー(M−D))が35:45:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.0mol%及び3.0mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られた溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂A6(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂A6は、以下の構造単位を有するものである。

【0253】
〔樹脂A7の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−A)及びモノマー(M−B)を用い、そのモル比(モノマー(M−A):モノマー(M−B))が80:20となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.5mol%及び1.5mol%添加し、これらを70℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られた溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量2.8×10の樹脂A7(共重合体)を収率70%で得た。この樹脂A7は、以下の構造単位を有する。

【0254】
実施例7〔樹脂A8の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−M)及びモノマー(M−F)を用い、そのモル比(モノマー(M−M):モノマー(M−F)が30:70となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を、再びジオキサンに溶解させて溶解液を得た。得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。この再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.7×10の樹脂A8(共重合体)を収率67%で得た。この樹脂A8は、以下の構造単位を有する。

【0255】
実施例及び比較例
<レジスト組成物の調製>
表2に示す成分を、以下に示す溶剤に混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0256】
【表2】

【0257】
<樹脂>
A1〜A8:上述した樹脂の合成例で得られた樹脂A1〜樹脂A8
<酸発生剤>
B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成

B2:WO2008/99869号の実施例及び特開2010−26478号公報の実施例に従って合成

B3:特開2005−221721号公報の実施例に従って合成

【0258】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成工業(株)製)
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0259】
<レジスト組成物層の欠陥評価>
12インチのシリコン製ウェハに、レジスト組成物を、乾燥後の膜厚が0.15μmとなるようにスピンコートにより塗布した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表1のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)し、ウェハ上に組成物層を形成した。
組成物層を形成したウェハに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。
その結果を表3に示す。
【0260】
<レジスト組成物の液浸露光によるマスクエラーファクター(MEF)の評価>
12インチのシリコン製ウェハ上に、有機反射防止膜用組成物[ARC−29;日産化学(株)製]を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。
得られた有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
得られたシリコンウェハを、ダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベーク(PB)した。
このようにレジスト組成物膜を形成したウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー[XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光]を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを液浸露光した。なお、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、ホットプレート上にて、表2の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク(PEB)を行い、さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
各レジスト膜において、50nmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量を実効感度とした。
【0261】
(マスクエラーファクター(MEF)評価)
マスクサイズが48nm、50nm、52nmのマスクパターンを用いて、上述した実効感度で露光し、パターンをそれぞれ形成した。マスクサイズを横軸に、各マスクパターンを用いて形成したラインパターンの線幅を縦軸にプロットした場合の直線の傾きを、MEFとした。
この結果を表3に示す。
【0262】
【表3】

【0263】
実施例8〜14のレジスト組成物を用いて得られるレジストパターンは欠陥数が少なく、優れたMEFで、レジストパターンを形成することができた。一方、比較例1のレジスト組成物では、得られるレジストパターンの欠陥数が多く、MEFも不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明の化合物によれば、該化合物に由来する構造単位を有する樹脂を含むレジスト組成物は、優れた解像度及び露光マージンを有するレジストパターンを形成することができるため、特に、半導体の微細加工に有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(a)で表される化合物。

[式(a)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルカンジイル基又は式(a−1)で表される基を表す。

(式(a−1)中、
sは、0又は1を表す。
10及びA12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
11は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜5の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
10及びX11は、それぞれ独立に、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
ただし、A10、A11、A12、X10及びX11の炭素数の合計は6以下である。)
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。]
【請求項2】
前記式(a)のAが炭素数1〜6のアルカンジイル基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記式(a)のAがエチレン基である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記式(a)のRが、式(a1−1)で表される基又は式(a1−2)で表される基である請求項1〜3のいずれか記載の化合物。

【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の化合物に由来する構造単位を有する樹脂。
【請求項6】
請求項5記載の樹脂及び酸発生剤を含むレジスト組成物。
【請求項7】
さらに塩基性化合物を含む請求項6記載のレジスト組成物。
【請求項8】
さらに溶剤を含む請求項6又は7記載のレジスト組成物。
【請求項9】
(1)請求項6〜8のいずれか1つ記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−144707(P2012−144707A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267589(P2011−267589)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】