説明

化合物、該化合物の製造法及び該化合物を含むフォトレジスト組成物

【課題】良好なパターン形状を形成することができるフォトレジスト組成物を与える化合物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物。


[Yは、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基を表す。Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基又は−CX−SO−R基を表す。Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。Rは、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表す。nは、1〜6の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、該化合物の製造法及び該化合物を含むフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学増幅型フォトレジスト組成物に含有される酸発生剤として、1−ヘプタノン,1−(9H−フルオレン−2−イル)7H−ドデカフルオロ,O−(ノナフルオロブチルスルホニル)オキシムを用いることが知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/074242号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1−ヘプタノン,1−(9H−フルオレン−2−イル)7H−ドデカフルオロ,O−(ノナフルオロブチルスルホニル)オキシムを含む化学増幅型フォトレジスト組成物を用いるよりも、良好なパターン形状を形成できる化学増幅型フォトレジスト組成物を与える酸発生剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、以下の発明である。
1. 式(I)で表される化合物。

[式(I)中、Yは、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基又は−CX−SO−R基を表す。ここで、Xは、ハロゲン原子又は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。
は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO−または−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ芳香族炭化水素基およびアルキル基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されていてもよい。
は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基で置換されていてもよい。
は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
nは、1〜6の整数を表す。]
【0006】
2. nが1である1.記載の化合物。
【0007】
3. Yにおける置換基を有してもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基が、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいアントリル基、置換基を有してもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基である1.又は2.記載の化合物。
(ただし、前記のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基フルオレニル基およびフェナントリル基における置換基は、ハロゲン原子又はRを表す。Rは、式(I)におけるものと同じ意味を表す。)
【0008】
4. Zが、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基である1.〜3.のいずれか記載の化合物。
【0009】
5. Q及びQが、互いに独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である1.〜4.のいずれか記載の化合物。
【0010】
6. Q及びQが、フッ素原子である1.〜5.のいずれか記載の化合物。
【0011】
7. Rが、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基あるいは炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を有する直鎖状又は分岐状の炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基である1.〜6.のいずれか記載の化合物。
ただし、前記の各基において、該基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよく、さらに該基に含まれる水素原子がハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜4のヒドロキアルキル基で置換されてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【0012】
8. Rが、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を有する直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基である1.〜6.のいずれか記載の化合物。
ただし、前記脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の少なくとも1つがカルボニル基で置換されている。
【0013】
9. Rが、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−カルボニル基で置換されていてもよい1.〜6.のいずれか記載の化合物。
ただし、Rは、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【0014】
10. 式(I)で表される化合物が、式(III)である1.記載の化合物。

[式(III)中、Rは、単環式又は多環式の炭素数3〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基はカルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は水酸基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよい。
は、単結合または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基であり、前記の置換基はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。]
【0015】
11. Yが、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フルオレニル基又はフェナントリル基である10.記載の化合物。
【0016】
12. Rが、単環式又は多環式の炭素数3〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基の少なくとも1つがカルボニル基で置換されている10.又は11.記載の化合物。
【0017】
13. 式(I)で表される化合物が、式(Va)で表される化合物である1.記載の化合物。

[式(Va)中、Rは直鎖状、分岐状、環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。]
【0018】
14. 式(Va)において、Q及びQがフッ素原子であり、Wが−C(=O)−O−である13.記載の化合物。
【0019】
15. Rが、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である13.又は14.記載の化合物。
ただし、前記の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【0020】
16. 式(VII)で表される化合物と式(VIII)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる式(I)で表される化合物の製造方法。

[式(VII)、式(VIII)及び式(I)中、Yは、置換基を有していてもよいn価の炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基、−CX−SO−R基を表す。ここで、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。
は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO2−または−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ芳香族炭化水素基およびアルキル基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されていてもよい。
は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基で置換されていてもよい。
は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
nは、1〜6の整数を表す。
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
【0021】
17. 1.〜15.記載の化合物と樹脂とを含有するフォトレジスト組成物。
【0022】
18. 樹脂が、酸に不安定な基を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸と作用した該樹脂はアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である17.記載のフォトレジスト組成物。
【0023】
19. さらに塩基性化合物を含有する17.又は18.記載のフォトレジスト組成物。
【0024】
20. 式(Va)で表される化合物から導かれる構造単位を有する重合体。

[式(Va)中、Rは直鎖状、分岐状、環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。]
【0025】
21. さらに、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、かつ酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得るモノマーから導かれる構造単位を有する20.記載の重合体。
【0026】
22. 20.又は21.記載の重合体及び塩基性化合物を含有するフォトレジスト組成物。
【0027】
23. さらに酸発生剤を含有する22.記載のフォトレジスト組成物。
【発明の効果】
【0028】
本発明の化合物によれば、該化合物を含むフォトレジスト組成物は、良好なパターン形状を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の化合物は、式(I)で表される。
【0030】

【0031】
[式(I)中、Yは、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基又は−CX−SO−R基を表す。ここで、Xは、ハロゲン原子又は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。
は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO−または−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ芳香族炭化水素基およびアルキル基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されていてもよい。
は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基で置換されていてもよい。
は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
nは、1〜6の整数を表す。]
【0032】
Yにおける置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基のうち、1価の基としては、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられ、以下、n価の基としては前記1価の芳香族炭化水素基の環上にあるn−1個の水素原子が取れて結合手となったものが挙げられる。
前記の炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基として、好ましくはフェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、フェニレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基が挙げられ、より好ましくはフェニル基、フェニレン基が挙げられ、さらに好ましくはフェニレン基が挙げられる。
Yは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基であることが好ましい。ただし、前記の置換基はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−又はカルボニル基で置換されていてもよい。
Zにおける炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基及び以下の基などが挙げられる。
【0033】

【0034】
Zにおける−CX−R基としては、以下の基などが挙げられる。
【0035】

【0036】
Zにおける−CX−SO−R基としては、以下の基などが挙げられる。
【0037】

【0038】
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0039】
Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子が挙げられ、より好ましくはフッ素原子が挙げられる。
Xにおける炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基としては、Zにおけるものと同じものが挙げられる。
及びQにおける炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基などが挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基が挙げられる。Q及びQがフッ素原子であることが好ましい。
Wとしては、−C(=O)−O−が好ましい。
における炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘニコサニル基、ドコサニル基、トリコサニル基、テトラコサニル基、ペンタコサニル基、ヘキサコサニル基、ヘプタコサニル基、オクタコサニル基、ノナコサニル基、トリアコンタニル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられる。
分岐状の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メチルペンチル基、エチルペンチル基、メチルヘキシル基、エチルヘキシル基、プロピルヘキシル基、tert−オクチル基などが挙げられ、好ましくはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、エチルヘキシル基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基としては、以下の基が挙げられる。
【0040】

【0041】

【0042】
環状の脂肪族炭化水素基を含む基としては、以下の基が挙げられる。

【0043】

【0044】

【0045】
脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基が、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO2−または−N(R)−で置換されている環状の脂肪族炭化水素基としては、以下の基が例示される。
【0046】

【0047】

【0048】
脂肪族炭化水素基含まれる1以上の水素原子が、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されている脂肪族炭化水素基としては、下記の基が挙げられる。
【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】
における炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0061】

【0062】
における炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基としては、例えば、以下の基が挙げられる。
【0063】

【0064】
炭素数6〜14の芳香族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子が、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されている炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としては、下記の基が挙げられる。
【0065】

【0066】

【0067】
炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子が、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されている炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基としては、下記の基が挙げられる。
【0068】

【0069】
における直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基のうち、炭素数が1〜20であるものが挙げられる。
nは、1〜6の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表し、より好ましくは1を表す。
【0070】
式(I)で表される化合物のうち式(Ia−1)で表される基の例を以下に示す。
【0071】

[式(Ia−1)中、Y及びZは、上記と同じ意味を表す。]
【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】
式(I)で表される化合物において、式(Ia−1)で表される基として式(Y−1)〜式(Y−87)で表される基と、Q及びQとしてフッ素原子と、Wとしてカルボニルオキシ基と、Rとしてメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、エチルヘキシル基、アダマンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、アダマンチルメチル基又は式(R−1)〜式(R−221)で表される基とを、任意に組み合わせることができる。
【0085】
式(I)で表される化合物のうち、好ましいものとして、式(III)で表される化合物が挙げられる。
【0086】

【0087】
[式(III)中、Rは、単環式又は多環式の炭素数3〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基はカルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は水酸基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよい。
は、単結合または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基であり、前記の置換基はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。]
【0088】
における炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基は、上記と同じものが挙げられる。
は、Rにおける炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基のうち、単環式又は多環式の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
は、Yにおける置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基のうち、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基及び置換基を有していてもよいフェナントリル基と同じものが挙げられ、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フルオレニル基又はフェナントリル基が挙げられる。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、Rにおける炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基のうち、炭素数が1〜20であるものが挙げられる。
【0089】
また、式(I)で表される化合物のうち、Rにアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物としては、式(Va)で表される化合物が挙げられる。
【0090】

【0091】
[式(Va)中、Rは直鎖状、分岐状、環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。]
【0092】
としては、前記のRに含まれる1個の水素原子が取れて結合手となった2価の基が挙げられる。
として、好ましくはその脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基が酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0093】
式(I)で表される化合物の製造方法としては、例えば、式(VII)で表される化合物と式(VIII)で表される化合物とを、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン等の不活性溶媒中にて、塩基存在下に、0〜150℃程度の温度範囲、好ましくは0〜100℃程度の温度範囲にて攪拌して反応させて、式(I)で表される化合物を得る方法などが挙げられる。
【0094】

【0095】
[式(VII)及び式(VIII)中、Y、Z、W、R、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
【0096】
式(VIII)で表される化合物の使用量としては、通常、式(VII)で表される化合物1モルに対して、0.9n〜2nモル程度で、好ましくは1n〜1.5nモル程度である。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのような無機アルカリあるいは、ピリジン、トリエチルアミン、ルチジンのような有機塩基、又はこれらの混合物が挙げられる。塩基の使用量としては、通常、式(VII)で表される化合物1モルに対して、1n〜3nモル程度で、好ましくは1n〜2nモル程度である。式(I)で表される化合物は分液水洗処理を行ってもよいし、再結晶を行ってもよいし、カラムクロマトグラフィーを行ってもよい。
【0097】
式(VII)で表される化合物は対応するケトン化合物にヒドロキシルアミンを反応させることで得ることができる。
【0098】
式(VIII)で表される化合物は例えば、式(VIIIa)で表される化合物と式(VIIIb)で表される化合物をエステル化反応を行うことで得ることができる。
【0099】

[式(VIIIa)、式(VIIIb)中、R、Q、Q及びLは、上記と同じ意味を表す。]
【0100】
式(I)で表される化合物が、式(IX)で表される化合物である場合、その製造方法としては、例えば、式(X)で表される化合物とアクリル酸クロリドまたはメタクリル酸クロリドとを、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン等の不活性溶媒中にて、塩基存在下に、−100〜150℃程度の温度範囲、好ましくは−20〜50℃程度の温度範囲にて攪拌して反応させて、式(X)で表される化合物を得る方法などが挙げられる。
【0101】

【0102】
[式(IX)及び式(X)中、Y、Z、W、R、R、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。]
【0103】
アクリル酸クロリドまたはメタクリル酸クロリドの使用量としては、通常、式(IX)で表される化合物1モルに対して、0.9〜5モル程度で、好ましくは1〜1.5モル程度である。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのような無機アルカリあるいは、ピリジン、トリエチルアミン、ルチジンのような有機塩基、又はこれらの混合物が挙げられる。塩基の使用量としては、通常、式(VII)で表される化合物1モルに対して、1〜5モル程度で、好ましくは1〜2モル程度である。式(IX)で表される化合物は再結晶で取り出してもよいし、カラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0104】
式(I)で表される化合物が、式(IX)で表される化合物である場合、その製造方法としては、例えば、式(X)で表される化合物とアクリル酸またはメタクリル酸を、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、二塩化エチレン、モノクロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で脱水剤を用いることも可能である。反応温度は、−30〜200℃、好ましくは、−20〜150℃である。脱水剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−アルキル−2−ハロピリジニウム塩、1,1−カルボニルジイミダゾール、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジ−2−ピリジル炭酸塩、ジ−2−ピリジルチオノ炭酸塩、6−メチル−2−ニトロ安息香酸無水物/4−(ジメチルアミノ)ピリジン(触媒)が挙げられる。
【0105】
アクリル酸またはメタクリル酸の使用量は、式(X)で表される化合物1モルに対して、0.5〜5倍モル量、好ましくは、0.8〜2倍モル量であり、脱水剤の使用量は、1〜3倍モル量、好ましくは、1〜2倍モル量である。得られた縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。式(IX)で表される化合物は再結晶で取り出してもよいし、カラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0106】
式(I)で表される化合物が式(IX)で表される化合物である場合、その製造方法としては、例えば、式(XI)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とを、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン等の不活性溶媒中にて、塩基存在下に、0〜150℃程度の温度範囲、好ましくは0〜100℃程度の温度範囲にて攪拌して反応させて、式(IX)で表される化合物を得る方法などが挙げられる。
【0107】

【0108】
[式(XI)及び(XII)中、R、R、Y、Z、W、L、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。]
【0109】
式(XII)で表される化合物の使用量としては、通常、式(XI)で表される化合物1モルに対して、0.9〜2モル程度で、好ましくは1〜1.5モル程度である。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムのような無機アルカリあるいは、ピリジン、トリエチルアミン、ルチジンのような有機塩基、又はこれらの混合物が挙げられる。塩基の使用量としては、通常、式(XII)で表される化合物1モルに対して、1〜3モル程度で、好ましくは1〜2モル程度である。式(IX)で表される化合物は再結晶で取り出してもよいし、カラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0110】
式(XII)で表される化合物のうち、Wがカルボニルオキシで表されるエステル化合物の製造方法としては、例えば、式(XIII)で表される化合物と式(XIV)で表される化合物とを、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、二塩化エチレン、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、その反応温度は、−30〜200℃、好ましくは用いられる溶媒の沸点〜150℃である。反応は酸触媒を添加することが好ましく、例えば、トリフルオロスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸、濃硫酸、塩酸、塩化水素、ナフィオン等の無機酸、あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0111】
前記の反応において、式(XII)で表される化合物の反応中の重合を防ぐために重合禁止剤を添加することが好ましく、該重合禁止剤として、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどのフェノール系化合物が用いられる。
【0112】

【0113】
[式(XIII)及び(XIV)中、R、R、L、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。]
【0114】
式(XIII)で表される化合物の使用量は、式(XIV)で表される化合物1モルに対して、0.5〜5倍モル量、好ましくは0.8〜2倍モル量であり、酸触媒の使用量は、0.001〜3倍量、好ましくは0.01〜1倍モル量であり、重合禁止剤の使用量は好ましくは0.01ppm〜0.1倍モル量、より好ましくは1ppm〜0.01倍モル量である。得られた縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。この縮合物は、クロマトグラフィー、再結晶あるいは蒸留によって精製することも可能である。
【0115】
式(XII)で表される化合物のうち、Wがカルボニルである化合物の製造方法としては、式(XIII)で表される化合物と式(XIV)で表される化合物とを、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、二塩化エチレン、モノクロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アニソール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で脱水剤を用いることも可能である。反応温度は、−30〜200℃、好ましくは−20〜150℃である。脱水剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−アルキル−2−ハロピリジニウム塩、1,1−カルボニルジイミダゾール、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジ−2−ピリジル炭酸塩、ジ−2−ピリジルチオノ炭酸塩、6−メチル−2−ニトロ安息香酸無水物/4−(ジメチルアミノ)ピリジン(触媒)が挙げられる。
【0116】
式(XIII)で表される化合物の使用量は、式(XIV)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5〜5倍モル量、好ましくは0.8〜2倍モル量であり、脱水剤の使用量は、通常、1〜3倍モル量、好ましくは1〜2倍モル量である。得られた縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。式(IX)で表される化合物は再結晶で取り出してもよいし、カラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0117】

【0118】
[式(XV)、(XVI)及び(Vb)中、Rは、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜30の炭化水素基を表し、前記炭化水素基に含まれるメチレン基は酸素原子、硫黄原子、カルボニル基又は−N(R)−で置換されていてもよい。Rは、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、メチル基または水素原子を表す。
Y、Z、R、R、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。]
【0119】
式(I)で表される化合物が、式(Vb)で表される化合物である場合、その製造方法としては、例えば、式(XV)で表される化合物とアクリル酸または式(XVI)で表される化合物とを、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、n−ヘプタン、クロロホルム、塩化メチレン等の不活性溶媒中にて、金属触媒存在下、室温〜150℃程度の温度範囲、好ましくは50〜100℃程度の温度範囲にて攪拌して反応させて、式(Vb)で表される化合物を得る方法などが挙げられる。
【0120】
式(XVI)で表される化合物の使用量としては、通常、式(XV)で表される化合物1モルに対して、0.9〜5モル程度で、好ましくは1〜2モル程度である。金属触媒としては、例えば、Ti(OiPr)触媒、Sm(OiPr)が挙げられる。触媒の使用量としては、通常、式(XV)で表される化合物1モルに対して、0.01〜0.8モル程度、好ましくは0.03〜0.02モル程度である。式(XV)で表される化合物は、再結晶で取り出してもよいし、カラムクロマトグラフィーで精製してもよい。
【0121】
本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物は、式(I)で表される化合物と樹脂とを含有する化学増幅型フォトレジスト組成物であって、該樹脂は酸に不安定な基を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸と作用した該樹脂はアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である。
式(I)で表される化合物は、酸発生剤の有効成分として用いられ、露光により生じた酸は、樹脂中の基で酸に不安定な基に対して触媒的に作用して開裂し、樹脂はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。
【0122】
酸に不安定な基としては、酸素原子の隣接位が4級炭素原子であるアルキルエステルを有する基、脂環式エステルなどのカルボン酸エステルを有する基、酸素原子の隣接位が4級炭素原子であるラクトン環を有する基などが挙げられる。
ここで、4級炭素原子とは、水素原子以外の置換基と結合していて水素とは結合していない炭素原子を意味し、酸に不安定な基としては、酸素原子の隣接位の炭素原子が3つの炭素原子と結合した4級炭素原子であることが好ましい。
【0123】
酸に不安定な基の1種であるカルボン酸エステルを有する基を−COORのRエステルとして例示すると(−COO−C(CHをtert−ブチルエステルという形式で称する。)、tert−ブチルエステルに代表される酸素原子の隣接位が4級炭素原子であるアルキルエステル;
メトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、1−〔2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)エトキシ〕エチルエステル、テトラヒドロ−2−フリルエステル及びテトラヒドロ−2−ピラニルエステルなどのアセタール型エステル;イソボルニルエステル及び1−アルキルシクロアルキルエステル、2−アルキル−2−アダマンチルエステル、1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルエステルなどの酸素原子の隣接位が4級炭素原子である脂環式エステルなどが挙げられる。
【0124】
このようなカルボン酸エステルを有する基としては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ノルボルネンカルボン酸エステル、トリシクロデセンカルボン酸エステル、テトラシクロデセンカルボン酸エステルを有する基が挙げられる。
【0125】
酸に不安定な基を与える構造単位として、式(Xa)で表される構造単位が挙げられる。

(式(Xa)中、R1aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を表す。Zaは、単結合又は−[CH2ka−CO−X4a−基を表す。kaは、1〜4の整数を表す。X1a、X2a、X3a及びX4aは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。mは、1〜3の整数を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
式(Xa)で表される構造単位を導くモノマーとしては、具体的には、例えば、以下のモノマーを挙げることができる。
【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】

【0132】
式(Xa)で表される構造単位を導くモノマーは例えば、式(Xb)で表される化合物とメタクリル酸クロリドとを塩基性条件下で反応を行うことで得ることができる。
【0133】

(式(Xb)中、Zaは、単結合又は−[CH2ka−CO−X4a−基を表す。kaは、1〜4の整数を表す。X2a、X3a及びX4aは、それぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表す。mは、1〜3の整数を表す。nは、0〜3の整数を表す。)
【0134】
本発明のレジスト組成物の樹脂は、酸に不安定な基とオレフィン性二重結合とを有するモノマーを付加重合して製造することができる。
かかるモノマーとしては、酸に不安定な基として、2−アルキル−2−アダマンチル基、1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル基などのような脂環式構造などの嵩高い基を含むモノマーが、得られるレジストの解像度が優れる傾向があることから好ましい。
嵩高い基を含むモノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、メタクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−ジアルキル、アクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−ジアルキル5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−アルキル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−ジアルキル、α−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−ジアルキルなどが挙げられる。
【0135】
とりわけメタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルやα−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルをモノマーとして用いた場合は、得られるレジストの解像度が優れる傾向があることから好ましい。
【0136】
具体的には、メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−n−ブチル−2−アダマンチルなどが挙げられ、α−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、α−クロロアクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、α−クロロアクリル酸2−エチル−2−アダマンチルなどが挙げられる。
【0137】
これらの中でもメタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル又はメタクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチル、アクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチルを用いた場合、得られるレジストの感度が優れ耐熱性にも優れる傾向があることから好ましい。
【0138】
メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは、通常、2−アルキル−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとの反応により製造できる。
【0139】
本発明に用いられる樹脂は、酸に不安定な基を有する構造単位に加えて、酸に安定な構造単位を含んでいてもよい。ここで、酸に安定な構造単位とは、本発明の塩(I)又は塩(II)によって開裂しない構造を意味する。
具体的には、アクリル酸やメタクリル酸のような遊離のカルボン酸基を有するモノマーに由来する構造単位、無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物に由来する構造単位、2−ノルボルネンに由来する構造単位、メタクリロニトリルやアクリロニトリルに由来する構造単位、酸素原子の隣接位が2級炭素原子又は3級炭素原子のアルキルエステルや1−アダマンチルエステルであるメタクリル酸エステルやアクリル酸エステル類に由来する構造単位、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位、ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいメタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位などを挙げることができる。尚、1−アダマンチルエステルは、酸素原子の隣接位が4級炭素原子であるが、酸に安定な基であり、1−アダマンチルエステルには水酸基などが結合していてもよい。
【0140】
具体的な酸に安定なモノマーとしては、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、式(k1)で表される構造単位を導く化合物、式(k2)で表される構造単位を導く化合物、ヒドロキシスチレン、ノルボルネンなどの分子内にオレフィン性二重結合を有する脂環式化合物、無水マレイン酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸などが例示される。
【0141】
これらの中でも、特に、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルまたはアクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、メタクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルまたはアクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、式(k1)で表される構造単位、及び式(k2)で表される構造単位を有する樹脂が好ましい。
【0142】

【0143】
[式(k1)及び式(k2)中、R21及びR22は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表す。
23及びR24は、互いに独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を表す。
p及びqは、互いに独立に、1〜3の整数を表す。pが2又は3のときには、R23は互いに異なる基であってもよく、qが2又は3のときには、R24は互いに異なる基であってもよい。]
【0144】
メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸3、5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸3、5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルなどのモノマーは、市販されているが、例えば、対応するヒドロキシアダマンタンをメタクリル酸やアクリル酸又はそのハライドと反応させることにより、製造することもできる。
【0145】
また、メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンなどのモノマーは、ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−もしくはβ−ブロモ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸もしくはメタクリル酸を反応させるか、又はラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−もしくはβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸ハライドもしくはメタクリル酸ハライドを反応させることにより製造できる。
【0146】
式(k1)及び式(k2)で表される構造単位を与えるモノマーは、具体的には、次のような水酸基を有する脂環式ラクトンのメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルそれらの混合物等が挙げられる。これらのエステルは、例えば、対応する水酸基を有する脂環式ラクトンとメタクリル酸やアクリル酸類との反応により製造し得る(例えば特開2000−26446号公報)。
【0147】

【0148】
ここで、メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンやアクリロイロキシ−γ−ブチロラクトンとしては、例えば、α−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0149】
KrFエキシマレーザー露光の場合は、樹脂の構造単位として、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位を用いても充分な透過率を得ることができる。このような共重合樹脂を得る場合は、該当する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアセトキシスチレン、及びスチレンをラジカル重合した後、酸によって脱アセチルすることによって得ることができる。
【0150】
また、2−ノルボルネンに由来する構造単位を含む樹脂は、その主鎖に直接脂環式骨格を有するために頑丈な構造となり、ドライエッチング耐性に優れるという特性を示す傾向がある。2−ノルボルネンに由来する構造単位は、例えば、対応する2−ノルボルネンの他に無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を併用したラジカル重合により主鎖へ導入し得る。したがって、ノルボルネン構造の二重結合が開いて形成されるものは式(k3)で表すことができ、無水マレイン酸無水物及び無水イタコン酸無水物の二重結合が開いて形成されるものはそれぞれ式(k4)及び式(k5)で表すことができる。
【0151】

【0152】
[式(k3)中、R25及びR26は、互いに独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基もしくは−COOU(Uはアルコール残基である)を表すか、あるいは、R25及びR26が結合して、−C(=O)OC(=O)−で表されるカルボン酸無水物残基を表す。]
【0153】
25及びR26が基−COOUである場合は、カルボキシルがエステルとなったものであり、Uに相当するアルコール残基としては、例えば、置換されていてもよい炭素数1〜8程度のアルキル基、2−オキソオキソラン−3−又は−4−イル基などを挙げることができる。ここで、該アルキル基は、水酸基や脂環式炭化水素残基などが置換基として結合していてもよい。
25及びR26における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などが挙げられ、水酸基が結合したアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
【0154】
このように、酸に安定な構造単位を与えるモノマーである、式(k3)で表されるノルボネン構造の具体例としては、次のような化合物を挙げることができる。
2−ノルボルネン、
2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、
5−ノルボルネン−2−メタノール、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物。
【0155】
なお、式(k3)中のR25及びR26における−COOUのUが、その酸素原子の隣接位が4級炭素原子である脂環式エステルなどの酸に不安定な基を有する場合、ノルボルネン構造を有するといえども、酸に不安定な基を有する構造単位である。ノルボルネン構造と酸に不安定な基を含むモノマーとしては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが例示される。
【0156】
さらに、酸に安定な基として、式(b1)で表される構造単位及びフッ素原子を含有する構造単位を含有してもよい。
【0157】

【0158】
[式(b1)中、R1は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
ARは、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる水素原子の少なくとも1個以上がフッ素原子に置換されている。該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、水酸基あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0159】
式(b1)で表される構造単位を導くモノマーとしては、具体的には、以下のモノマーを挙げることができる。
【0160】

【0161】

【0162】
本発明のレジスト組成物で用いる樹脂は、パターニング露光用の放射線の種類や酸に不安定な基の種類などによっても変動するが、通常、樹脂における酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位の含有量を10〜80モル%の範囲に調整する。
【0163】
そして、酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位として特に、メタクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルメタクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルメタアクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルに由来する構造単位を含む場合は、該構造単位が樹脂を構成する全構造単位のうち15モル%以上となると、樹脂が脂環基を有するために頑丈な構造となり、与えるレジストのドライエッチング耐性の面で有利である。
【0164】
なお、分子内にオレフィン性二重結合を有する脂環式化合物及び脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物をモノマーとする場合には、これらは付加重合しにくい傾向があるので、この点を考慮し、これらは過剰に使用することが好ましい。
【0165】
さらに、用いられるモノマーとしてはオレフィン性二重結合が同じでも酸に不安定な基が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基が同じでもオレフィン性二重結合が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基とオレフィン性二重結合との組合せが異なるモノマーを併用してもよい。
【0166】
本発明に用いられる樹脂は、さらに、式(Va)で表される化合物に由来する構造単位を含有してもよい。
【0167】

【0168】
[式(Va)中、Y、Z、W、R、R、Q及びQは、上記と同じ意味を表す。
【0169】
さらに、式(I)で表される化合物において、Rがアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基で末端が置換された炭素数4〜20のアクリロイルオキシアルキル基またはメタクリロイルオキシアルキル基である場合、当該式(I)で表される化合物(式(XV)とする)は、前記の樹脂の構造単位の一部をなしてもよい。
【0170】
式(Va)で表される化合物から導かれる構造単位を有する重合体を酸発生剤(D)として用いることもできる。
酸発生剤(D)は、前述した酸に不安定な基を有するモノマ−を含有してもよい。
酸発生剤(D)が酸に不安定な基を有するモノマーから導かれる構造単位を有する場合、その割合は、好ましくは5〜95%であり、より好ましくは30〜90%である。
酸発生剤(D)は、前述した酸に安定な基を有するモノマ−を含有してもよい。
酸発生剤(D)が酸に安定な基を有するモノマーから導かれる構造単位を有する場合、その割合は、好ましくは5〜95%であり、より好ましくは30%から60%である。さらに好ましくは20〜50%である。
【0171】
酸発生剤(D)は式(Va)のみからなる重合体であってもよい。
【0172】
また、本発明のレジスト組成物を化学増幅型レジスト組成物として用いる場合、塩基性化合物、好ましくは、塩基性含窒素有機化合物、とりわけ好ましくはアミン又はアンモニウム塩を含有させる。塩基性化合物をクエンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良することができる。クエンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で表されるようなものが挙げられる。
【0173】

【0174】
[式中、R11、R12及びR17は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数5〜20の芳香族炭化水素基を表す。前記の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基及び芳香族炭化水素基上の水素原子の少なくとも1個は、互いに独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、又は1〜6個の炭素数を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、互いに独立に、1〜4個の炭素数を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0175】
13、R14及びR15は、互いに独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基又はアルコキシ基を表す。
該脂肪族炭化水素基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該芳香族炭化水素基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有し、該アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
更に、該脂肪族炭化水素基、該シクロアルキル基、該芳香族炭化水素基、又はアルコキシ基上の水素原子の少なくとも1個は、互いに独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、又は1〜6個程度の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0176】
16は、脂肪族炭化水素基又はシクロアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有する。更に該アルキル基又はシクロアルキル基上の水素原子の少なくとも1個は、互いに独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0177】
17、R18、R19及びR20は、互いに独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有する。更に、該アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基上の水素原子の少なくとも1個は、互いに独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0178】
は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルフィド基又はジスルフィド基を表す。該アルキレン基は、好ましくは2〜6程度の炭素原子を有する。
また、R11〜、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19及びR20において、直鎖構造と分岐構造の両方をとり得るものについては、そのいずれでもよい。
【0179】
このような化合物として、具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−又は2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−イソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)などを挙げることができる。
【0180】
さらには、特開平11−52575号公報に開示されているような、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物をクエンチャーとすることもできる。
【0181】
本発明の組成物は、その全固形分量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%程度、そして(式1)で表される酸発生剤を0.1〜20重量%程度の範囲で含有することが好ましく、(式1)で表される酸発生剤と他の酸発生剤とを組み合わせて用いる場合、酸発生剤の合計量の割合が、0.1〜20重量%程度の範囲で含有することが好ましい。
本明細書中、固形分とは、組成物中の溶剤成分を除く合計量をいう。
化学増幅型フォトレジスト組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を含有することもできる。
【0182】
さらに本発明の酸発生剤とは異なる酸発生剤を添加することも可能である。添加する酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物などが包含される。具体的には、次のような化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0183】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0184】
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムアダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
トリフェニルスルホニウム1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
トリフェニルスルホニウム1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウム4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
【0185】
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0186】
1−ベンゾイル−1−フェニルメチルp−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルp−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、
2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホネート、2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、4−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート、
【0187】
ジフェニルジスルホン、
ジ−p−トリルジスルホン、
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0188】
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0189】
本発明の化学増幅型フォトレジスト組成物は、通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態で化学増幅型フォトレジスト組成物とされ、シリコンウェハーなどの基体上に、スピンコーティングなど、通常、工業的に用いられている方法によって塗布される。ここで用いられる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で、通常、工業的に用いられている溶剤が使用できる。
【0190】
前記の溶剤としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0191】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0192】
本発明の酸発生剤は、熱によって分解する熱酸発生剤としての利用も可能である。
本発明の化合物は、これを酸発生剤の有効成分として用いると、優れた解像度及びパターン形状を形成できる化学増幅型フォトレジスト組成物を与えることができ、中でも、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィならびにArF液浸露光リソグラフィに好適な化学増幅型フォトレジスト組成物用の酸発生剤として用いることができる。
【実施例】
【0193】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例及び比較例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり質量基準である。
また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムはTSKgel Multipore HXL−M3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
また、化合物の構造はNMR(GX−270型又はEX−270型;日本電子製)、質量分析(LC;Agilent製1100型、MASS;Agilent製LC/MSD型又はLC/MSD TOF型)で確認した。
【0194】
実施例1
酸発生剤(B1)の合成
【0195】

【0196】
(B1−a)5.0部とジメチルホルムアミド6.6部との溶液に、2,6ルチジン3.0部と(B1−b)9.9部とを加えて、室温で16時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B1)8.7部を得た。
【0197】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.61(5H,m),2.54(2H,s),2.31−2.23(7H,m),1.98(2H,d,J=12.2Hz),1.84(2H,d,J=12.2Hz)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−61.96,−99.47
MS(ESI(+)Spectrum):〔M+Na〕 518.0(C2018NOS=495.1)
【0198】
実施例2
酸発生剤(B2)の合成
【0199】

【0200】
(B1-a)3.0部とジメチルホルムアミド4.0部との溶液に、2,6ルチジン1.8部と(B2-b)6.6部とを加えて、室温で16時間攪拌した。得られた反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B2)5.0部を得た。
【0201】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.69(1H,m),7.69−7.63(2H,m),7.60(2H,d,J=6.9Hz),4.00(2H,s),1.94−1.90(3H,m),1.62(6H,dd,J=51.6,11.8Hz),1.47(6H,d,J=2.3Hz)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−62.25,−99.26
【0202】
実施例3
酸発生剤(B3)の合成
【0203】

【0204】
(B1-a)2.0部とジメチルホルムアミド3.0部との溶液に、2,6ルチジン0.9部と(B3-b)2.0部とを加えて、室温で17時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B3)1.9部を得た。
【0205】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.59(5H,m),4.22(2H,d,J=6.1Hz),1.72−1.57(6H,m),1.27−0.87(5H,m)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−62.25, −99.50
MS(ESI(+)Spectrum):〔M+Na〕 466.0(C1718NOS=443.0)
【0206】
実施例4
酸発生剤(B4)の合成
【0207】

【0208】
(B1-a)2.0部とジメチルホルムアミド3.0部との溶液に、2,6ルチジン0.9部と(B4−b)1.6部とを加えて、室温で17時間攪拌した。反応混合溶液をに飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B4)1.2部を得た。
【0209】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.60(5H,m),3.98(3H,s)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−62.25,−99.50
MS(ESI(+)Spectrum):〔M+Na〕 384.0(C11NOS=361.0)
【0210】
実施例5
酸発生剤(B5)の合成
【0211】

【0212】
(B1-a)1.0部とジメチルホルムアミド0.9部との溶液に、2,6ルチジン0.7部と(B5-b)4.6部とを加えて、室温で18時間攪拌した。反応混合溶液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、(B5)1.7部を得た。
【0213】
H−NMR(DMSO−d)δ=7.74−7.56(5H,m),4.54−4.46(1H,m),4.37(2H,t,J=6.4Hz),3.76−3.65(1H,m),3.64−3.51(1H,m),3.45−3.20(2H,m),1.76−1.13(18H,m)
【0214】
実施例6
酸発生剤(B6)の合成
【0215】

【0216】
(B5)0.5部をメタノール1部に溶解させ、パラトルエンスルホン酸1水和物0.01部を加えて室温で6時間攪拌した。反応混合溶液にメタノール10部とヘプタン10部とを加え、メタノール層を抽出した。抽出したメタノール層にイオン交換水3部を加え、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層を洗浄後、減圧濃縮を行い、(B6)0.3部を得た。
【0217】
H−NMR(DMSO−d)δ=7.74−7.55(5H,m),4.37(3H,t,J=6.3 Hz),3.40−3.23(2H,m),1.65−1.12(12H,m).
【0218】
実施例7
酸発生剤(B7)の合成
【0219】

【0220】
(B6)0.3部とテトロヒドロフラン2.3部との溶液に、2、6−ルチジン0.2部とメタクリル酸クロリド0.2部とを加えて、0℃で1時間攪拌した。反応混合溶液をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、(B7)0.3部を得た。
【0221】
H−NMR(DMSO−d)δ=7.73−7.54(5H,m),6.02−5.98(1H,m),5.66−5.62(1H,m),4.37(2H,t,J=6.4Hz),4.17−3.91(2H,m),1.94−1.90(3H,m),1.65−1.17(12H,m)
【0222】
実施例8
酸発生剤(B8)の合成
【0223】

【0224】
(1)(B8−a)5部とジクロロエタン66部との溶液に、(B8−b)4.4部と硫酸0.05部とメトキノン(p−メトキシフェノール)0.01部とを加えて、還流下で1時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水80部を加え、クロロホルム200部によって抽出を行い、有機層を回収した。回収された有機層を水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B8−c)8.4部を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ=6.03(1H,d,J=1.5Hz),5.73−5.70(1H,m),4.77(2H,t,J=4.6Hz),4.43(2H,t,J=4.6Hz),1.87(3H,s)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−45.03,−99.46
(2)(B1−a)1.5部とジメチルホルムアミド2.5部との溶液に、2,6−ルチジン0.9部と(B8−c)3.1部とを加えて、室温で18時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B8)3.0部を得た。
【0225】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.59(5H,m),6.03(1H,s),5.67−5.66(1H,m),4.72−4.69(2H,m),4.41−4.38(2H,m),1.85(3H,s)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−99.65,−62.33
【0226】
実施例9
酸発生剤(B8)の合成
【0227】

【0228】
(B4)10部とクロロホルム50部との溶液に、(B8−b)3.5とメトキノン0.01部とチタニウムテトライソプロポキシド0.76部とを加えて、還流下で40時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、シリカゲル6部を加え、30分間攪拌した後、濾過して、濾液を回収した。回収された濾液を減圧濃縮し、n−ヘプタンとイオン交換水とを加え、抽出を行なった。得られたn−ヘプタンを含む有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B8)8.6部を得た。
【0229】
H−NMR、19F−NMR 実施例8に同じ
【0230】
実施例10
酸発生剤(B8)の合成
【0231】

【0232】
(B4)30部とクロロホルム150部との溶液に、(B8―b)12.15とメトキノン0.04部とサマリウムトリイソプロポキシド1.27部とを加えて、還流下で23時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、シリカゲルを12部加え、30分間攪拌した後、濾過して、濾液を回収した。回収された濾液を減圧濃縮し、n−ヘプタンとイオン交換水とを加え、抽出を行なった。得られたn−ヘプタンを含む有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B8)25.5部を得た。
【0233】
H−NMR、19F−NMR 実施例8に同じ
【0234】
実施例11
酸発生剤(B9)の合成
【0235】

【0236】
(1)(B9−a)5.27部とジクロロエタン25部との溶液に、(B9−b)5.0部とチタニウムテトライソプロポキシド0.34部とを加えて、還流下で5時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水80部を加え、クロロホルム200部によって抽出を行なった。得られたクロロホルムを含む有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B9−c)7.8部を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ=4.15(2H,s),2.17−2.05(2H,m),1.63−1.26(13H,m)
(2)(B1−a)1.5部とジメチルホルムアミド2.5部との溶液に、2,6―ルチジン1.18部と(B9−c)3.64部とを加えて、室温で10時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B9)5.2部を得た。
【0237】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.73−7.59(5H,m),4.46(1H,brs),4.05(2H,s),2.08(2H,s),1.56−1.31(12H,m)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−62.05,−99.11
【0238】
実施例12
酸発生剤(B10)の合成
【0239】

【0240】
(B10−a)2.0部とジメチルホルムアミド2.5部との溶液に、2,6―ルチジン0.8部と(B10−b)2.5部とを加えて、室温で10時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B10)1.3部を得た。
【0241】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.46(4H,s),2.54(2H,br s),2.41(3H,s),2.34−2.21(7H,m),2.02−1.95 (2H,m),1.88−1.81(2H,m).
19F−NMR(DMSO−d):δ=−75.54,−99.26,−106.46,−120.02
【0242】
実施例13
酸発生剤(B11)の合成
【0243】

【0244】
(1)(B11−a)5.27部とジクロロエタン25部との溶液に、(B11−b)5.0部とチタニウムテトライソプロポキシド0.34部とを加えて、還流下で5時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水80部を加え、クロロホルム200部によって抽出を行なった。得られたクロロホルムを含む有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B11−c)7.8部を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ=4.14(2.0H,d,J=4.29Hz),2.99(2.0H,s),2.10−1.96(2.0H,m),1.61−1.17(12.0H,m)
(2)(B1−a)1.5部とジメチルホルムアミド2.5部との溶液に、2,6―ルチジン1.18部と(B11−c)3.64部とを加えて、室温で10時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B11)5.2部を得た。
【0245】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.75−7.54(5H,m),4.37(1H,t,J=5.44Hz),4.02(2H,s),2.97(2H,d,J=5.28Hz),2.02−1.93(2H,m),1.57−1.17(12H,m)
【0246】
実施例14
酸発生剤(B12)の合成
【0247】

【0248】
(1)(B12−a)3部とジクロロエタン26部との溶液に、(B12−b)3.9部と硫酸0.03部とを加えて、還流下で2時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、イオン交換水100部を加え、クロロホルム100部によって抽出を行なった。得られたクロロホルムを含む有機層を水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行い、(B12−c)5.3部を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ=4.80(2H,t,J=5.7Hz),2.85(2H,tt,J=19.1,5.5Hz)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−76.78,−99.59,−120.29,−121.85
(2)(B1−a)1.5部とジメチルホルムアミド2.5部との溶液に、2,6―ルチジン0.9部と(B12−c)3.7部とを加えて、室温で18時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて洗浄した後、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B12)3.0部を得た。
【0249】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.74−7.54(5H,m),4.69(2H,t,J=5.60Hz),2.79(2H,tt,J=19.12,5.66Hz)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−62.43,−76.72,−99.83,−109.22,−120.21,−121.82
【0250】
実施例15
酸発生剤(B13)の合成
【0251】

【0252】
(B13−a)4.0部とジメチルホルムアミド12部との溶液に、2,6ルチジン2.2部と(B13−b)7.4部とを加えて、室温で16時間攪拌した。反応混合溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルによって抽出を行なった。得られた酢酸エチルを含む有機層をイオン交換水で洗浄後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで、(B13)4.5部を得た。
【0253】
H−NMR(DMSO−d):δ=8.32−7.46(7H,m),2.61―2.10(9H,s),2.08−1.90(2H,m),1.89−1.72(2H,m)
【0254】
実施例16
酸発生剤(B14)の合成
【0255】

【0256】
(B4)5部とクロロホルム25部との溶液に、(B14−b)4.3部とメトキノン0.01部とチタニウムテトライソプロポキシド0.19部とを加えて、還流下で22時間攪拌した。反応混合溶液を室温まで冷却した後、シリカゲル6部を加え、30分間攪拌した後、濾過して、濾液を回収した。回収された濾液を減圧濃縮し、n−ヘプタンとイオン交換水とを加え、抽出を行なった。得られたn−ヘプタンを含む有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行なうことで(B14)3.6部を得た。
【0257】
H−NMR(DMSO−d):δ=7.72−7.59(5H,m),6.10(1H,s),5.64(1H,s),4.39(2H,t,J=6.5Hz),4.08(2H,t,J=6.8Hz),1.88(3H,s),1.63−1.59(4H,m),1.39−1.18(16H,m)
19F−NMR(DMSO−d):δ=−99.56,−62.31
MS(ESI(+)Spectrum):〔M+Na〕 622.1(C2634NOS=599.1)
【0258】
次に、樹脂の合成例を示す。以下に樹脂合成で用いたモノマー構造を示す。
【0259】

【0260】
実施例17
酸発生剤(D1)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン4.65部を仕込み77℃に温調した。そこへ、(B8)4.0部、(E1)1.7部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.02部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.11部を1,4−ジオキサン8.1部に溶解した溶液を2時間かけて滴下した。得られた溶液を77℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水13.3部とメタノール53.1部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D1)を得た。
得られた酸発生剤(D1)において、その重量平均分子量(Mw)は9,600であり、分散度(Mw/Mn)は2.6であった。
【0261】

【0262】
実施例18
酸発生剤(D2)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン7.4部を仕込み77℃に温調した。そこへ、(B8)4.5部、(E2)4.1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.05部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.22部を1,4−ジオキサン4.6部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を77℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水21.5部とメタノール85.9部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D2)を得た。
得られた酸発生剤(D2)において、その重量平均分子量(Mw)は6,800であり、分散度(Mw/Mn)は1.7であった。
【0263】

【0264】
実施例19
酸発生剤(D3)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン3.9部を仕込み72℃に温調した。そこへ、(B8)5.7部、(E2)7.4部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.08部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.37部を1,4−ジオキサン15.7部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を72℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水34部とメタノール136部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D3)を得た。
得られた酸発生剤(D3)において、その重量平均分子量(Mw)は12000であり、分散度(Mw/Mn)は1.8であった。
【0265】

【0266】
実施例20
酸発生剤(D4)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン3.9部を仕込み68℃に温調した。そこへ、(B8)9.2部、(E2)3.9部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.04部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.16部を1,4−ジオキサン15.7部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を68℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水34部とメタノール136部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D4)を得た。
得られた酸発生剤(D4)において、その重量平均分子量(Mw)は31000であり、分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0267】

【0268】
実施例21
酸発生剤(D5)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン3.5部を仕込み76℃に温調した。そこへ、(B8)10.3部、(E2)1.5部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.1部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.45部を1,4−ジオキサン14.2部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を76℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水31部とメタノール123部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D5)を得た。
得られた酸発生剤(D5)において、その重量平均分子量(Mw)は12000であり、分散度(Mw/Mn)は1.9であった。
【0269】

【0270】
実施例22
酸発生剤(D6)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン8.3部を仕込み72℃に温調した。そこへ、(B8)27.6部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.1部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.45部を1,4−ジオキサン33.1部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を72℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水72部とメタノール287部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D6)を得た。
得られた酸発生剤(D6)において、その重量平均分子量(Mw)は22000であり、分散度(Mw/Mn)は2.1であった。
【0271】

【0272】
実施例23
酸発生剤(D7)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン7.5部を仕込み68℃に温調した。そこへ、(B8)4.5部、(E3)7.9部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.02部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.09部を1,4−ジオキサン11.2部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を68℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水32部とメタノール130部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D7)を得た。
得られた酸発生剤(D7)において、その重量平均分子量(Mw)は19000であり、分散度(Mw/Mn)は1.9であった。
【0273】

【0274】
実施例24
酸発生剤(D8)の合成
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン7.9部を仕込み73℃に温調した。そこへ、(B8)3.0部、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル4.0部、(E2)0.7部、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル2.1部、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン3.7部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.09部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.41部を1,4−ジオキサン7.9部に溶解した溶液を、2時間かけて滴下した。得られた溶液を73℃に保ち5時間保温した。前記溶液を室温まで冷却した後、水34部とメタノール137部との混合溶液に注ぎ、次いで、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、酸発生剤(D8)を得た。
得られた酸発生剤(D8)において、その重量平均分子量(Mw)は6,900であり、分散度(Mw/Mn)は2.2であった。
【0275】

【0276】
酸発生剤(D9)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例17と同様にして酸発生剤(D9)を得る。
【0277】
酸発生剤(D10)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例18と同様にして酸発生剤(D10)を得る。
【0278】
酸発生剤(D11)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例19と同様にして酸発生剤(D11)を得る。
【0279】
酸発生剤(D12)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例20と同様にして酸発生剤(D12)を得る。
【0280】
酸発生剤(D13)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例21と同様にして酸発生剤(D13)を得る。
【0281】
酸発生剤(D14)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例22と同様にして酸発生剤(D14)を得る。
【0282】
酸発生剤(D15)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例23と同様にして酸発生剤(D15)を得る。
【0283】
酸発生剤(D16)の合成
(B8)に代えて(B14)を用いる以外は実施例24と同様にして酸発生剤(D16)を得る。
【0284】
酸発生剤(D17)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例17と同様にして酸発生剤(D17)を得る。
【0285】
酸発生剤(D18)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例18と同様にして酸発生剤(D18)を得る。
【0286】
酸発生剤(D19)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例19と同様にして酸発生剤(D19)を得る。
【0287】
酸発生剤(D20)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例20と同様にして酸発生剤(D20)を得る。
【0288】
酸発生剤(D21)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例21と同様にして酸発生剤(D21)を得る。
【0289】
酸発生剤(D22)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例22と同様にして酸発生剤(D22)を得る。
【0290】
酸発生剤(D23)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例23と同様にして酸発生剤(D23)を得る。
【0291】
酸発生剤(D24)の合成
(B8)に代えて(B7)を用いる以外は実施例24と同様にして酸発生剤(D24)を得る。
【0292】
合成例1:樹脂A1
冷却管、攪拌器及び温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン25.3部を仕込み75℃に温調した。
別途、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル7.9部、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル15.1部、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン5.1部、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.16部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.75部及び1,4−ジオキサン16.9部の混合物を調製し、前記フラスコ中に、2時間かけて滴下した。その後フラスコ内を75℃に保ち5時間保温した。5時間経過後、フラスコ内を室温まで冷却した後、水73部とメタノール292部との混合溶液に注ぎ、沈殿した樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、樹脂(A1)を得た。
得られた樹脂(A1)において、その重量平均分子量(Mw)は9,200であり、分散度(Mw/Mn)は1.8であった。
【0293】

【0294】
合成例2; 樹脂A2の合成
冷却管、攪拌器、温度計を備えた四つ口フラスコに、1,4−ジオキサン29.6gを仕込み73℃に温調した。そこへ(E1)12.8g、(E2)6.0g、(E3)16.0g、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル3.1g、α−メタクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン11.5g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.36g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.62gを1,4−ジオキサン44.4gに溶解した溶液を2時間かけて滴下した。その後73℃を保ったまま5時間保温した。室温まで冷却した後、水128gとメタノール514gとの混合溶液に反応物を注ぎ、樹脂を濾別した。得られた樹脂をメタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い樹脂(A2)を得た。
得られた樹脂(A2)において、その重量平均分子量(Mw)は8,900であり、分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
【0295】

【0296】
次に、以上の合成例で得られた樹脂(A1)のほか、以下に示す原料を用いてレジスト組成物を調製し評価を行った。
【0297】
<酸発生剤>
【0298】

【0299】
<クエンチャー>
クエンチャーQ1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
溶剤Y1:
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 100部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
γ−ブチロラクトン 10.0部
【0300】
実施例19〜24及び比較例1
以下の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、化学増幅型フォトレジスト組成物(以下、表1においては組成物と略す。)1〜7を調製した。
【0301】
樹脂(種類及び量は表1記載)
酸発生剤(種類及び量は表1記載)
クエンチャー(種類及び量は表1記載)
溶剤(種類は表1記載)
【0302】
シリコンウェハー上に有機反射防止膜用組成物(ARC−29A−8;日産化学工業(株)製)を、スピンコーターを用いて塗布し、205℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ780Åの有機反射防止膜を形成させた。次いで得られた有機反射防止膜上に、上記のレジスト組成物を乾燥後の膜厚が0.15μmとなるようにスピンコートした。レジスト組成物塗布後は、プロキシミティホットプレート上にて、表3の「PB」の欄に示す温度で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、ArFエキシマステッパー(FPA−5000AS3;キヤノン(株)製、NA=0.75、2/3Annular)を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて表3の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で15秒間の現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡(S−4100;(株)日立製作所製)で観察し、その結果を表2に示した。
【0303】
パターン形状:実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンのパターン形状について、矩形状であれば良好であり○として表記し、テーパー形状であれば不良であり×として表記した。
【0304】
〔表1〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例No. 組成物 樹脂 酸発生剤 クエンチャー 溶剤 PB/PEB
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例25 1 A1/10部 B1/2.00部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
実施例26 2 A1/10部 B2/2.00部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
実施例27 3 A1/10部 B3/1.23部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
実施例28 4 A1/10部 B4/1.00部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
実施例29 5 A1/10部 B9/2.00部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
実施例30 6 A1/10部 B10/2.00部 Q1/0.01部 Y1 100℃/100℃
比較例1 7 A1/10部 C1/1.69部 Q1/0.03部 Y1 100℃/100℃
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0305】
〔表2〕
━━━━━━━━━━━
例No.パターン形状
━━━━━━━━━━━
実施例25 ○
実施例26 ○
実施例27 ○
実施例28 ○
実施例29 ○
実施例30 ○
比較例1 ×
━━━━━━━━━━━
【0306】
(B1)に代えて(B5)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物8を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0307】
(B1)に代えて(B6)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物9を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0308】
(B1)に代えて(B7)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物10を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0309】
(B1)に代えて(B8)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物11を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0310】
(B1)に代えて(B11)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物12を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0311】
(B1)に代えて(B12)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物13を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得る。
【0312】
(B1)に代えて(B13)および、または(B14)を用いる以外は実施例25と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物14を調製する。実施例25と同様に評価を行い、パターンを得ることができると期待できる。
【0313】
実施例31
樹脂(A1)10部と酸発生剤(D1)2部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部、2−ヘプタノン35部及びγ−ブチロラクトン3.5部に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物15を調製した。
シリコンウェハー上に有機反射防止膜用組成物(ARC−29A−8;日産化学工業(株)製)を、スピンコーターを用いて塗布し、205℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ780Åの有機反射防止膜を形成させた。次いで得られた有機反射防止膜上に、レジスト組成物8を乾燥後の膜厚が0.15μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、プロキシミティホットプレート上にて、125℃で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、ArFエキシマステッパー(FPA−5000AS3;キヤノン(株)製、NA=0.75、2/3Annular)を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて125℃で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で15秒間の現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡(S−4100;(株)日立製作所製)で観察した結果、実効感度50mJ/cmでライン幅250nm、スペース幅250nmのレジストパターンが確認された。
【0314】
実施例32
樹脂(A2)10部、酸発生剤(D2)0.6部、酸発生剤(C2)1.5部及び2,6−ジイソプロピルアニリン0.122部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、2−ヘプタノン35部及びγ−ブチロラクトン3部に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物16を調製した。
シリコンウェハー上に有機反射防止膜用組成物(ARC−29A−8;日産化学工業(株)製)を、スピンコーターを用いて塗布し、205℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ780Åの有機反射防止膜を形成させた。次いで得られた有機反射防止膜上に、レジスト組成物17を乾燥後の膜厚が0.08μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、プロキシミティホットプレート上にて、85℃で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、ArFエキシマステッパー(FPA−5000AS3;キヤノン(株)製、NA=0.75、2/3Annular)を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて85℃で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で15秒間の現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡(S−4100;(株)日立製作所製)で観察した結果、実効感度31mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのレジストパターンが確認された。
【0315】
YUF−2568+KH−1656
実施例33
酸発生剤(D2)に代えて酸発生剤(D3)を用いる以外は実施例32と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物17を調製した。実施例32と同様に評価を行い、実効感度30mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのパターンを得た。
【0316】
YUF−2568+KH−1729
実施例34
酸発生剤(D2)に代えて酸発生剤(D5)を用いる以外は実施例32と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物18を調製した。実施例32と同様に評価を行い、実効感度30mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのパターンを得た。
【0317】
YUF−2568+KH−1726
実施例35
酸発生剤(D2)に代えて酸発生剤(D6)を用いる以外は実施例32と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物19を調製した。実施例32と同様に評価を行い、実効感度30mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのパターンを得た。
【0318】
YUF−2568+KH−1689
実施例36
酸発生剤(D2)に代えて酸発生剤(D7)を用いる以外は実施例32と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物20を調製した。実施例32と同様に評価を行い、実効感度29mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのパターンを得た。
【0319】
酸発生剤(D2)に代えて酸発生剤(D8)から(D24)のうち少なくともひとつ以上を用いる以外は実施例32と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物を調製し、実施例32と同様に評価を行い、同様のパターンを得ることが期待できる。
【0320】
実施例37
樹脂(A2)10部、酸発生剤(D3)0.3部、酸発生剤(D6)0.3部、酸発生剤(C2)1.5部及び2,6−ジイソプロピルアニリン0.122部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、2−ヘプタノン35部及びγ−ブチロラクトン3部に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物21を調製した。実施例32と同様に評価を行い、実効感度30mJ/cmでライン幅85nm、スペース幅85nmのパターンを得た。
【0321】
実施例38
樹脂(A2)10部、酸発生剤(D3)0.5部、酸発生剤(C2)1.5部及び2,6−ジイソプロピルアニリン0.055部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート220部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、2−ヘプタノン35部及びγ−ブチロラクトン3部に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物22を調製した。
シリコンウェハーに日産化学工業社(株)製の有機反射防止膜用組成物である“ARC−29SR”を塗布して205℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ 930Åの有機反射防止膜を形成させ、次いでこの上に、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、プロキシミティホットプレート上にて、115℃で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、ArFエキシマステッパー〔(株)ASML製の“XT:1900Gi”〕を用い露光した。照明条件としてNA=1.30、c−quad、σOUTER=0.985、σINNER=0.895を適用し、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて85℃で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で21秒間の現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡(S−4800;(株)日立製作所製)で観察した結果、実効感度23mJ/cmでライン幅40nm、スペース幅40nmのレジストパターンが確認された。
【0322】
実施例39
樹脂(A2)10部、酸発生剤(D4)0.1部、酸発生剤(C2)1.5部及び2,6−ジイソプロピルアニリン0.122部を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート275部、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部、2−ヘプタノン35部及びγ−ブチロラクトン3部に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物23を調製した。
シリコンウェハーに日産化学工業社(株)製の有機反射防止膜用組成物である“ARC−29SR”を塗布して205℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ 930Åの有機反射防止膜を形成させ、次いでこの上に、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が100nmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、プロキシミティホットプレート上にて、85℃で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したウェハーに、ArFエキシマステッパー〔(株)ASML製の“XT:1900Gi”〕を用い露光した。照明条件としてNA=1.35、Annular、σOUTER=0.9、σINNER=0.675を適用し、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上にて85℃で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で32秒間の現像を行った。有機反射防止膜基板上のもので現像後のラインアンドスペースパターンを走査型電子顕微鏡(S−4100;(株)日立製作所製)で観察した結果、実効感度35mJ/cmでライン幅50nm、スペース幅50nmのレジストパターンが確認された。
【0323】
酸発生剤(D3)に代えて酸発生剤(D1)、(D2)、(D5)から(D24)のうち少なくともひとつ以上を用いる以外は実施例38と同様にして化学増幅型フォトレジスト組成物を調製し、実施例38と同様に評価を行い、同様のパターンを得ることが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0324】
本発明の化合物によれば、該化合物を含むフォトレジスト組成物は、良好なパターン形状を形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。

[式(I)中、Yは、置換基を有していてもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基又は−CX−SO−R基を表す。ここで、Xは、ハロゲン原子又は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。
は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO−または−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ芳香族炭化水素基およびアルキル基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されていてもよい。
は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基で置換されていてもよい。
は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
nは、1〜6の整数を表す。]
【請求項2】
nが1である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yにおける置換基を有してもよい炭素数6〜14のn価の芳香族炭化水素基が、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいビフェニル基、置換基を有してもよいアントリル基、置換基を有してもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基である請求項1又は2記載の化合物。
(ただし、前記のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基フルオレニル基およびフェナントリル基における置換基は、ハロゲン原子又はRを表す。Rは、式(I)におけるものと同じ意味を表す。)
【請求項4】
Zが、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基である請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
及びQが、互いに独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である請求項1〜4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
及びQが、フッ素原子である請求項1〜5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
が、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基あるいは炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を有する直鎖状又は分岐状の炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基である請求項1〜6のいずれか記載の化合物。
ただし、前記の各基において、該基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよく、さらに該基に含まれる水素原子がハロゲン原子、水酸基又は炭素数1〜4のヒドロキアルキル基で置換されてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【請求項8】
が、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を有する直鎖状又は分岐状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基である請求項1〜6のいずれか記載の化合物。
ただし、前記脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基の少なくとも1つがカルボニル基で置換されている。
【請求項9】
が、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−カルボニル基で置換されていてもよい請求項1〜6のいずれか記載の化合物。
ただし、Rは、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【請求項10】
式(I)で表される化合物が、式(III)である請求項1記載の化合物。

[式(III)中、Rは、単環式又は多環式の炭素数3〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基はカルボニル基又は酸素原子で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は水酸基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基で置換されていてもよい。
は、単結合または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基であり、前記の置換基はアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、−N(R)−又はカルボニル基で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。]
【請求項11】
が、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フルオレニル基又はフェナントリル基である請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、単環式又は多環式の炭素数3〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基の少なくとも1つがカルボニル基で置換されている請求項10又は11記載の化合物。
【請求項13】
式(I)で表される化合物が、式(Va)で表される化合物である請求項1記載の化合物。

[式(Va)中、Rは直鎖状、分岐状、環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。]
【請求項14】
式(Va)において、Q及びQがフッ素原子であり、Wが−C(=O)−O−である請求項13記載の化合物。
【請求項15】
が、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である請求項13又は14記載の化合物。
ただし、前記の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
【請求項16】
式(VII)で表される化合物と式(VIII)で表される化合物とを、塩基存在下に反応させる式(I)で表される化合物の製造方法。

[式(VII)、式(VIII)及び式(I)中、Yは、置換基を有していてもよいn価の炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基、ニトリル基、−CX−R基、−CX−SO−R基を表す。ここで、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基を表す。
及びQは、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。
は、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基または炭素数4〜10のへテロ芳香族炭化水素基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−SO2−または−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ芳香族炭化水素基およびアルキル基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、−OR、−COOR、−O−CO−OR、−O−CO−R、−SO−OR、−OSO−R又は−SOで置換されていてもよい。
は、炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表し、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−又は−N(R)−で置換されていてもよく、脂肪族炭化水素基に含まれる1以上の水素原子は、水酸基、アクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基で置換されていてもよい。
は水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を表す。
nは、1〜6の整数を表す。
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。]
【請求項17】
請求項1〜15記載の化合物と樹脂とを含有するフォトレジスト組成物。
【請求項18】
樹脂が、酸に不安定な基を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸と作用した該樹脂はアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である請求項17記載のフォトレジスト組成物。
【請求項19】
さらに塩基性化合物を含有する請求項17又は18記載のフォトレジスト組成物。
【請求項20】
式(Va)で表される化合物から導かれる構造単位を有する重合体。

[式(Va)中、Rは直鎖状、分岐状、環状の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又は−N(R)−で置換されていてもよい。
は、水素原子あるいは直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表す。
は、水素原子又はメチル基を表す。
は、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいビフェニル基、置換基を有していてもよいアントリル基、置換基を有していてもよいフルオレニル基又は置換基を有していてもよいフェナントリル基を表す。
Zは、炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜14のハロゲン化芳香族炭化水素基を表す。
Wは、カルボニルオキシ基、メチレンオキシ基又はメチレンオキシカルボニル基を表す。]
【請求項21】
さらに、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、かつ酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得るモノマーから導かれる構造単位を有する請求項20記載の重合体。
【請求項22】
請求項20又は21記載の重合体及び塩基性化合物を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項23】
さらに酸発生剤を含有する請求項22記載のフォトレジスト組成物。

【公開番号】特開2010−159243(P2010−159243A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172872(P2009−172872)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】