説明

化合物の制御送達及び持続送達のためのシルク粒子

本発明は、シルク粒子、好ましくはスパイダーシルク粒子を製造し、それに化合物を装填する方法に関する。特に本発明は、シルク粒子、好ましくはスパイダーシルク粒子に、小さい水溶性の化合物を装填するための新規の二段法を提供する。制御送達及び持続送達用途のための担体に非常に適した、少なくとも1つの化合物が装填されたシルク粒子、好ましくはスパイダーシルク粒子も開示する。さらに本発明は、制御放出及び持続放出のための、上記シルク粒子、好ましくはスパイダーシルク粒子と、薬学的に活性のある化合物又は化粧品化合物とを含む医薬組成物又は化粧品組成物に関する。本発明は、本発明による方法により入手可能な、化合物が装填されたシルク粒子、好ましくはスパイダーシルク粒子にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物が装填されたスパイダーシルク粒子を製造する方法であって、
i)少なくとも2つの同一の反復単位を含むスパイダーシルクポリペプチドを1つ又は複数含むスパイダーシルク粒子を準備する工程と、
ii)前記スパイダーシルク粒子を、水溶性であり、50Da〜20kDaの分子量を有する少なくとも1つの化合物とインキュベートする工程と、
を含む、化合物が装填されたスパイダーシルク粒子を製造する方法。
【請求項2】
工程i)で準備する該スパイダーシルク粒子を、
a)少なくとも2つの同一の反復単位を含むスパイダーシルクポリペプチドを1つ又は複数含む水溶液を準備する工程と、
b)該スパイダーシルクポリペプチドの凝集を誘起し、スパイダーシルク粒子を形成する、誘起する工程と、
c)該スパイダーシルク粒子を相分離により分離する工程と、
により作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物が該スパイダーシルク粒子のマトリクスに浸透することが可能である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
装填された化合物の少なくとも40%、又は少なくとも50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%が該スパイダーシルク粒子のマトリクス内に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
スパイダーシルク粒子が、0.1μm〜500μm、又は0.1μm〜100μm、又は0.2μm〜20μm、又は0.2μm〜1μm、又は0.25μm〜0.7μmのメジアン径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの同一の反復単位は、各々が、
i)GPGXX(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸であり、又はそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQからなる群から選択される)、
ii)GGX(ここでXは任意のアミノ酸であり、又はそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQからなる群から選択される)、及び
iii)A(ここでxは5〜10の整数である)
からなる群から選択されるコンセンサス配列を少なくとも1つ含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
スパイダーシルクポリペプチドそれぞれの反復単位が独立して、モジュールA(配列番号20)若しくはその変異体、モジュールC(配列番号21)若しくはその変異体、モジュールQ(配列番号22)若しくはその変異体、モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)、又はモジュールCKC(配列番号34)から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
スパイダーシルクポリペプチドが非反復(NR)単位を更に少なくとも1つ含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非反復(NR)単位が独立して、NR3(配列番号41及び配列番号45)又はその変異体、及びNR4(配列番号42及び配列番号46)又はその変異体からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
スパイダーシルクポリペプチドが、ADF−3(配列番号1及び配列番号47)、ADF−4(配列番号2及び配列番号48)、MaSp I(配列番号43及び配列番号53〜配列番号64)、MaSp II(配列番号44及び配列番号65〜配列番号78)、(C)NR、NR(C)、(AQ)NR、NR(AQ)、NR(QAQ)、(QAQ)NR、(C)、(AQ)、及び(QAQ)(ここで、mは8〜48の整数であり、nは6〜24の整数であり、oは8〜16の整数であり、zは1〜3の整数である)からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
スパイダーシルクポリペプチドが、C16、C32、(AQ)12、(AQ)24、C16NR4、C32NR4、(AQ)12NR3、又は(AQ)24NR3である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
水溶液中の該スパイダーシルクポリペプチドの濃度が、0.1wt%/vol〜30wt%/vol、又は1wt%/vol〜20wt%/volである、請求項2〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
凝集が、pHシフト、イオン交換、せん断力、アルコール若しくはリオトロピック塩の添加により又はそれらの組み合わせにより誘起される、請求項2〜12に記載の方法。
【請求項14】
アルコールがメタノールである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リオトロピック塩が、硫酸アンモニウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
リオトロピック塩の濃度が約400mM〜約3M、又は約1M〜約2M、又は約2Mである、請求項13又は15に記載の方法。
【請求項17】
化合物が、薬学的に活性のある化合物、化粧品物質、農業用物質、化学誘引物質、化学忌避物質、抗真菌物質、抗菌物質、栄養素、健康補助食品、色素、香料、又は止血剤、成長刺激剤、催炎物質、防汚剤、抗微生物剤及びUV保護剤からなる群から選択される作用物質である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
化合物が全体として正の正味電荷を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
化合物が静電相互作用及び/又は拡散によりスパイダーシルクマトリクスに浸透することが可能である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
化合物が中性又はアルカリ性の性質を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
方法の工程ii)を、4℃〜40℃、又は10℃〜30℃、又は20℃〜25℃の温度で行う、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
方法の工程ii)を、1〜9、又は4〜9、又は6〜8のpHで行う、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
水溶性であり、50Da〜20kDaの分子量を有する化合物が少なくとも1つ装填された、少なくとも2つの同一の反復単位を含むスパイダーシルクポリペプチドを少なくとも1つ含むスパイダーシルク粒子。
【請求項24】
化合物が、50Da〜10kDa、又は50Da〜6kDa、又は50Da〜4kDa、又は50Da〜1kDaの分子量を有する、請求項23に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項25】
装填された化合物の少なくとも40%、又は50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%が該スパイダーシルク粒子のマトリクス内に位置する、請求項23又は24に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項26】
粒子のメジアン径が、0.1μm〜500μm、又は0.1μm〜100μm、又は0.2μm〜20μm、又は0.2μm〜1μm、又は0.25μm〜0.7μmである、請求項23〜25のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項27】
スパイダーシルクポリペプチドが、
i)GPGXX(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸であり、又はそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQからなる群から選択される)、
ii)GGX(ここでXは任意のアミノ酸であり、又はそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQからなる群から選択される)、及び
iii)A(ここでxは5〜10の整数である)
からなる群から選択されるコンセンサス配列をそれぞれが少なくとも1つ含む少なくとも2つの同一の反復単位を含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項28】
スパイダーシルクポリペプチドの反復単位が独立して、モジュールA(配列番号20)若しくはその変異体、モジュールC(配列番号21)若しくはその変異体、モジュールQ(配列番号22)若しくはその変異体、モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)、又はモジュールCKC(配列番号34)から選択される、請求項27に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項29】
スパイダーシルクポリペプチドが非反復(NR)単位を更に1つ又は複数含む、請求項28に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項30】
NR単位が独立して、NR3(配列番号41及び配列番号45)又はその変異体、及びNR4(配列番号42及び配列番号46)又はその変異体からなる群から選択される、請求項29に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項31】
スパイダーシルクポリペプチドが、ADF−3(配列番号1及び配列番号47)、ADF−4(配列番号2及び配列番号48)、MaSp I(配列番号43及び配列番号53〜配列番号64)、MaSp II(配列番号44及び配列番号65〜配列番号78)、(C)NR、NR(C)、(AQ)NR、NR(AQ)、NR(QAQ)、(QAQ)NR、(C)、(AQ)、及び(QAQ)(ここで、mは8〜48の整数であり、nは6〜24の整数であり、oは8〜16の整数であり、zは1〜3の整数である)からなる群から選択される、請求項23〜30のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項32】
スパイダーシルクポリペプチドが、C16、C32、(AQ)12、(AQ)24、C16NR4、C32NR4、(AQ)12NR3、又は(AQ)24NR3である、請求項31に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項33】
化合物が、薬学的に活性のある化合物、化粧品物質、農業用物質、化学誘引物質、化学忌避物質、抗真菌物質、抗菌物質、栄養素、健康補助食品、色素、香料、又は止血剤、成長刺激剤、催炎物質、防汚剤、抗微生物剤及びUV保護剤からなる群から選択される作用物質である、請求項23〜32のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項34】
化合物が全体として正の正味電荷を有する、請求項23〜33のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項35】
化合物が静電相互作用及び/又は拡散によりスパイダーシルクマトリクスに浸透することが可能である、請求項23〜34のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項36】
化合物が中性又はアルカリ性の性質を有する、請求項23〜35のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項37】
化合物が生理学的条件への曝露の際に拡散により該スパイダーシルク粒子から放出される、請求項23〜36のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項38】
化合物の20%未満、又は15%未満、又は10%未満が最初の24時間以内に放出される、請求項37に記載のスパイダーシルク粒子。
【請求項39】
請求項33〜38のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子と、付加的に薬学的に許容可能な緩衝剤、希釈剤及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物であって、該医薬組成物が制御送達及び持続送達に有用であり、該化合物が薬学的に活性のある化合物である、請求項33〜38のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子と、付加的に薬学的に許容可能な緩衝剤、希釈剤及び/又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項40】
制御送達及び持続送達のための請求項33〜38のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子を含む化粧品組成物であって、該化合物が化粧品化合物である、制御送達及び持続送達のための請求項33〜38のいずれか一項に記載のスパイダーシルク粒子を含む化粧品組成物。
【請求項41】
化合物が装填されたスパイダーシルク粒子であって、該化合物が水溶性であり、50Da〜20kDaの分子量を有し、全体として正の正味電荷を有し、該スパイダーシルク粒子が少なくとも2つの同一の反復単位を含むスパイダーシルクポリペプチドを1つ又は複数含み、該粒子が請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法により取得可能である、化合物が装填されたスパイダーシルク粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−512265(P2013−512265A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541353(P2012−541353)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007266
【国際公開番号】WO2011/063990
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512141611)アーエムシルク ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】