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化合物の腸内吸収を測定するために昆虫モデルを利用する方法
説明

化合物の腸内吸収を測定するために昆虫モデルを利用する方法

初期の創薬プロセスにおける化合物スクリーニング手順/過程を改善するために、脊椎動物、特にヒトにおける種々の化合物の胃腸管吸収を測定するための昆虫スクリーニングモデルを提供する。昆虫モデルは判断過程のツールとして既存のインビトロモデルよりも信頼性が高く、薬物スクリーニングのプロセスをスピードアップして後期段階の減少率を小さくすることから、従来技術に比べて多くの利点がある。また、創薬の段階で犠牲となる哺乳動物の数を減らすことにもなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎動物の腸すなわち腸管における薬物などの化合物の吸収を反映することを目的とした昆虫モデルに関する。このモデルは特に、中腸にカテーテルを挿入して様々なタイミングで血リンパを採取するバッタ(locust)などの昆虫の断頭標本に基づくものである。
【背景技術】
【0002】
創薬はコストのかかるものであるが、費用と時間の点で主なコストの1つがインビボ研究である。これらのコストを減らすために、多くのインビトロモデルが開発されており、インビボ研究に最も適した化合物を選定するためのフィルタとして利用されている。しかしながら、インビトロモデルは簡略化されすぎていることが多く、判断を誤らせるおそれがある。したがって、インビトロモデルよりも信頼性が高くてかつ、従来の脊椎動物のインビボモデルよりも迅速で安価な中間的なモデルが求められている。
【0003】
生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)が良好であることは薬物が全身循環に到達できることを意味するため、製薬業界では経口経路での薬物の吸収が重点的かつ継続的な研究の対象となっている。経口吸収は薬物の性質と胃腸管の生理機能の両方、たとえば、投薬剤からの薬物の溶解や、薬物が水性環境および膜と相互作用する挙動、膜透過、腸や肝臓、肺などの器官を初回通過することによる不可逆的な除去などの影響を受ける(非特許文献1)。
【0004】
腸および肝臓が初回通過による除去に関与していることから、肝臓だけでなく腸も、経口投与された薬物の吸収の程度を調節する重要な組織である(非特許文献2,3)。薬物吸収の大部分は小腸において起こるが、小腸においては絨毛および微絨毛の存在によって吸収面積が著しく増大している。十二指腸と空腸はこれらの領域に絨毛および微絨毛が最も集中していることにより最大の表面積を有しており、回腸では表面積が最も小さい(非特許文献4)。
【0005】
肝臓への血液供給の大部分を腸静脈血が占めており、全肝臓血流の75%にのぼるという点で、腸は独特のものである。腸によって吸収された薬物は、代謝および除去のために肝臓および肺に到達することになる(非特許文献5〜7)。
【0006】
腸の機能、さらには経口投与された薬物の取り込みには多数の要因影響することから(非特許文献6,8〜11)、腸モデルには、脊椎動物の腸機能を表現するだけでなく、高い再現性を有することも強く求められる。
【0007】
経口摂取後の薬物が初回通過する器官として腸が重要であることから、特定の化学物質の生物学的利用能を予測するために、ハイスループットのインビトロ系を開発して腸内吸収、代謝および排出を評価することが行われてきた。遺伝子発現系(非特許文献12〜15)は、個々の輸送体または酵素の関与について直接的な情報を与える。そのため、腸膜切片/標本(非特許文献16〜19)、細胞(非特許文献20,21)、反転嚢(非特許文献22,23)、およびウッシングチャンバ(非特許文献24)などがある。フラックス測定の場合、薬物投与のためにドナー区画が用いられ、サンプリングのために受容区画が用いられる。粘膜側に薬物を与えることで、基底外側の区画への流入だけでなく、薬物の吸収、代謝および流出もサンプリングによって調べることができる。また、漿膜区画に薬物を与えることにより、基底外側から粘膜管腔への純フラックスを確かめることもできる。
【0008】
よく知られているインビトロ系のひとつに、ヒト結腸癌細胞由来のCaco−2細胞系列がある(非特許文献25)。欠点は、親油性の薬物の輸送の障壁となりうる非攪拌水層(unstirred water layer)が存在することである(非特許文献26)。Caco−2透過モデルの開発によって大きく進歩が促進され、Pgp基質として幅広いクラスの薬物の試験へとつながった(非特許文献27)。
【0009】
インシトゥ(in situ)血管灌流ラットの小腸標本は、経口的かつ全身的に投与された薬剤の動態を調べるのに有用な標本である(非特許文献28,29)。この標本では、代謝、吸収および分泌の程度を同時に調べることができるように、循環に関しては小腸の自然のままの構成(architecture)が維持されている。この技術により、薬物の全身投与または管腔投与(たとえば、閉じたループすなわち切片での管腔投与など)を伴う単回通過実験または再循環実験が可能となる。
【0010】
薬物の腸内吸収を調べるためのインビボ技術がある。ドルイシオ(Doluisio)の方法は、管腔内に薬物を投与するためにインシトゥのラット腸管技術を使用することを必要とする(非特許文献30)。いくつかのラット標本では、選択した切片の流入および流出を薬物の消失について監視し、動脈血を採取してその血液量を輸血によって補給した(非特許文献23)。いくつかの研究では、ラット(十二指腸、空腸または回腸)(非特許文献7)またはヒト(非特許文献31)の選択した切片すなわち閉じた切片に薬物を管腔注入することを必要とする。
【0011】
昆虫の消化管は、前腸、中腸および後腸の主に3つの領域に分けられる。前腸および後腸は外胚葉を起源とし、中腸は内胚葉を起源とする。前腸の細胞は通常、扁平であり、吸収や分泌には関与しない。前腸の一部は貯蔵器官である素嚢であり、ほとんどの昆虫において素嚢は前腸の伸縮可能な部分である。貯蔵器官としての素嚢の有効性は(特に、流動体を餌とする昆虫の場合)、親水性の分子を通さないことにある。直翅目の昆虫では素嚢は、食物を制動するための丈夫なクチクラ板または歯を有する粉砕器に発達している。
【0012】
中腸の細胞は、栄養素の吸収だけでなく、酵素生産にも積極的に関与している。細胞の多くはいわゆる主細胞(principal cell)である。これらの細胞は背の高い柱状細胞であって、脊椎動物の腸内の腸細胞と似ており、管腔側に向かって莫大な数の微絨毛を呈する。この形態は、主細胞が代謝的に非常に活性であり、栄養吸収と消化酵素分泌における主役であることを強く示すものである(非特許文献32)。また、脊椎動物の腸と似て中腸には、脊椎動物の腸における幹細胞と同じ機能を有する増殖帯(proliferative zone)すなわち巣体(nidi)がある(非特許文献33)。脊椎動物の腸細胞と同様、昆虫の中腸の主細胞は限られた寿命を有することから、高い再生能力が必要となる。巣体由来の未分化細胞である娘細胞からは分化した柱状主細胞および内分泌細胞の両方が生じる。
【0013】
後腸は通常、幽門、回腸および直腸に区別される。腸のこの部分の主な機能は、マルピーギ管にまで運ばれた水を吸収することであり、したがって腸のこの部分の細胞は代謝活性がある。
【0014】
植物を餌とする昆虫もまた、その昆虫にとって有毒な食物中の化合物を処理する必要があるため、効率的なシトクロームP−450系が発達しており、それらの化合物を水溶性の生成物に変換してマルピーギ管を通じて排出する。P−450系は中腸に高度に発現している。
【0015】
昆虫の腸は、その構造と機能から、腸内での薬物の取り込みを調べるための有力な候補となるものであり、高効率の研究、ならびに経口投与を目的とした化合物の初期評価、考証および選定に関するモデルとなりうる。
【0016】
本発明の目的は、脊椎動物の腸すなわち腸管における薬物の吸収を反映することを目的とした昆虫モデルを使用することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Martinez MN and Amidon GL(マルチネス エム エヌ他)(2002) A mechanistic approach to understanding the factors affecting drug absorption: a review of fundamentals.(薬物吸収に影響する要因を理解するための機構的手法:基本の見直し)J Clin Pharmacol 42: 620-643
【非特許文献2】Gibaldi M, Boyes RN, and Feldman S(ギバルディ エム他)(1971) The influence of first pass effect on availability of drugs.(薬物の有効性に対する初回通過効果の影響)J Pharm Sci 60: 1338-1340
【非特許文献3】Rowland M(ローランド エム)(1972) The influence of route of administration on drug availability.(薬物有効性に対する投与経路の影響)J Pharm Sci 101: 70-74
【非特許文献4】Magee DF and Dalley AF II(マギー ディー エフ他)(1986) Digestion and The Structure and Function of The Gut(消化および腸管の構造と機能)(Karger Continuing Education Series, vol. 8). Karger, Basel.
【非特許文献5】Gugler R, Lain P, and Azarnoff DL(ググラー アール他)(1975) Effect of portacaval shunt on the disposition of drugs with and without first-pass effect.(初回通過効果のある場合とない場合での薬物の動態に対する門脈大静脈吻合の効果)J Pharmacol Exp Ther 195: 416-423
【非特許文献6】Xu X, Hirayama H, and Pang KS(シュー エックス他)(1989) First pass metabolism of salicylamide Studies in the once through vascularly perfused rat intestine-liver preparation(サリチルアミドの初回通過代謝、1回通過血管灌流ラットの腸−肝臓標本における研究)Drug Metab Dispos 17: 556-563
【非特許文献7】Hirayama H, Morgado J, Gasinska I, and Pang KS(ヒラヤマ エイチ他)(1990) Estimations of intestinal and liver extraction in the in vivo rat: studies on gentisamide conjugation.(インビボラットにおける腸および肝臓摘出の評価:ゲンチサミド抱合に関する研究)Drug Metab Dispos 18: 580-587
【非特許文献8】Hirayama H and Pang KS(ヒラヤマ エイチ他)(1990) First-pass metabolism of gentisamide: influence of intestinal metabolism on hepatic formation of conjugates. Studies in the once-through vascularly perfused rat intestine-liver preparation.(ゲンチサミドの初回通過代謝:肝臓での抱合体形成に対する腸代謝の影響、1回通過血管灌流ラットの腸−肝臓標本における研究)Drug Metab Dispos 18: 580-587
【非特許文献9】Chen J and Pang KS(チェン ジェイ他)(1997) Effect of flow on first-pass metabolism of drugs: single pass studies on 4-methylumbelliferone (4MU) conjugation in the serially perfused rat intestine and liver preparations.(薬物の初回通過代謝に対する流量の効果:連続灌流ラットの腸および肝臓標本における4−メチルウンベリフェロン(4MU)抱合に関する単回通過の研究)J Pharmacol Exp Ther 280: 24-31
【非特許文献10】Welling PG (ウェリング ピー ジー)(1984) Effects of gastrointestinal disease on drug absorption, in Pharmadynamic Basis for Drug Treatment(薬物吸収に対する胃腸管疾患の影響、薬物治療の薬物動態的根拠)(Benet LZ, Massoud N, and Gambertoglio JG eds) pp 29-47, Raven Press, New York
【非特許文献11】Kimura T and Higaki K(キムラ ティー他)(2002) Gastrointestinal transit and drug absorption.(胃腸管輸送および薬物吸収)Biol Pharm Bull 25: 149-164
【非特許文献12】Smit JW, Weert B, Schinkel AH, and Meijer DK(スミット ジェイ ダブリュ他)(1998b) Heterologous expression of various P-glycoproteins in polarized epithelial cells induces directional transport of small (type 1) and bulk (type 2) cationic drugs.(極性化した上皮細胞における種々のP−糖タンパク質の異種発現は、小さい(タイプ1)および大きい(タイプ2)カチオン性薬物の指向性輸送を誘導する)J Pharmacol Exp Ther 286: 321-327
【非特許文献13】Cvetkovic M, Leake B, Fromm MF, Wilkinson GR, and Kim RB(ツヴェトコヴィッチ エム他)(1999) OATP and P-glycoprotein transporters mediate the cellular uptake and excretion of fexofenadine.(OATPおよびP−糖タンパク質輸送体は、フェキソフェナジンの細胞への取り込みと排出を媒介する)Drug Metab Dispos 27: 866-871
【非特許文献14】Gotoh Y, Suzuki H, Kinoshita S, Hirohashi T, Kato Y, and Sugiyama Y(ゴトウ ワイ他)(2000) Involvement of an organic anion transporter (canalicular multispecific organic anion transporter/multidrug resistance-associated protein 2) in gastrointestinal secretion of glutathione conjugates in rats.(ラットにおけるグルタチオン抱合体の胃腸管分泌への有機アニオントランスポータ(細管状の多特異的有機アニオン輸送体/多剤耐性関連タンパク質2)の関与)J Pharmacol Exp Ther 292: 433-439
【非特許文献15】Shitara Y, Sugiyama D, Kusuhara H, Kato Y, Abe T, Meier PJ, ltoh T, and Sugiyama Y(シタラ ワイ他)(2002) Comparative inhibitory effects of different compounds on rat oatp1 (slc21a1)- and Oatp2 (Slc21a5)-mediated transport.(ラットOatp1(Slc21a1)およびOatp2(Slc21a5)媒介輸送に対する種々の化合物の阻害効果比較)Pharm Res (NY) 19: 147-153
【非特許文献16】Wilson FA and Treanor LL(ウィルソン エフ エイ他)(1975) Characterization of the passive and active transport mechanisms for bile acid uptake into rat isolated intestinal epithelial cells.(ラットの単離腸上皮細胞への胆汁酸の取り込みの受動および能動輸送機構の評価)Biochim Biophys Acta 406: 280-293
【非特許文献17】Hopfer U, Sigrist-Nelson K, and Groseclose R(ホプファー ユー他)(1976) Jejunal and ileal D-glucose transport in isolated brush border membranes.(単離した刷子縁膜における空腸および回腸D−グルコース輸送)Biochim Biophys Acta 426: 349-353
【非特許文献18】Lasker J and Rickert DE(ラスカー ジェイ他)(1978) Absorption and glucuronosylation of diethylstilbestrol by the rat small intestine.(ラット小腸によるジエチルスチルベストロールの吸収とグルクロノシル化)Xenobiotica 8: 665-672
【非特許文献19】Johnson BM, Charman WN, and Porter CJH(ジョンソン ビー エム他)(2001) The impact of P-glycoprotein efflux on enterocyte residence time and enterocyte-based metabolism of verapamil.(ベラパミルの腸細胞滞留時間と腸細胞に基づく代謝に対するP−糖タンパク質流出の影響)J Pharm Pharmacol 53: 1611-1619
【非特許文献20】Koster AS and Noordhoek J(コスター エイ エス他)(1983) Glucuronidation in isolated perfused rat intestinal segments after mucosal and serosal administration of 1-naphthol.(1−ナフトールの粘膜および漿膜投与後の単離灌流ラット腸切片におけるグルクロン酸化)J Pharmacol Exp Ther 226: 533-538
【非特許文献21】Traber PG, Gumucio DL, and Wang W(トレーバー ピー ジー他)(1991) Isolation of intestinal epithelial cells for the study of differential gene expression along the crypt-villus axis.(陰窩絨毛軸に沿った差次的遺伝子発現の研究のための腸上皮細胞の単離)Am J Physiol 260: G895-G903
【非特許文献22】Munck BG(ムンク ビー ジー)(1965) Amino acid transport by the small intestine of the rat. The effect of amino acid pre-loading on the trans-intestinal amino acid transport by the everted sac preparation.(ラットの小腸によるアミノ酸輸送、反転嚢標本による経腸アミノ酸輸送に対するアミノ酸のプレロードの効果)Biochim Biophys Acta 109: 142-150
【非特許文献23】Barr WH and Riegelman S(バール ダブリュ エイチ他)(1970) Intestinal drug absorption and metabolism. I . Comparison of methods and models to study physiological factors of in vitro and in vivo intestinal absorption.(腸内薬物吸収および代謝、I.インビトロおよびインビボ腸内吸収の生理的要因を調べるための方法およびモデルの比較)J Pharm Sci 59: 154-163
【非特許文献24】Fiddian-Green RG and Silen W(フィディアン−グリーン アール ジー他)(1975) Mechanisms of disposal of acid and alkali in rabbit duodenum.(ウサギ十二指腸における酸およびアルカリの処理の機構)Am J Physiol 229: 1641-1648
【非特許文献25】Hidalgo IJ, Raub TJ, and Borchardt RT(イダルゴ アイ ジェイ他)(1989) Characterization of the human colon carcinoma cell line (Caco-2) as a model system for intestinal epithelial permeability.(腸上皮透過性のモデル系としてのヒト結腸癌細胞系列(Caco−2)の評価)Gastroenterology 96: 736-749
【非特許文献26】Hidalgo IJ, Hillgren KM, Grass GM, and Borchardt RT(イダルゴ アイ ジェイ他)(1991) Characterization of the unstirred water layer in Caco-2 cell monolayers using a novel diffusion apparatus.(新規な拡散装置を用いたCaco−2細胞単層における非攪拌水層の評価)Pharm Res (NY) 8: 222-227
【非特許文献27】Burton PS, Conradi RA, Hilgers AR, and Ho NF(バートン ピー エス他)(1993) Evidence for a polarized efflux system for peptides in the apical membrane of Caco-2 cells.(Caco−2細胞の頂端膜におけるペプチドの極性化した流出系についての証拠)Biochem Biophys Res Commun 190: 760-766
【非特許文献28】Windmueller HG and Spaeth AE(ウィンドミューラー エイチ ジー他)(1977) Vascular perfusion of rat small intestine: metabolic studies with isolated and in situ preparations.(ラット小腸の血管灌流:単離標本およびインシトゥ標本を用いた代謝研究)Fed Proc 36: 177-181
【非特許文献29】Doherty M and Pang KS(ドハティ エム他)(2000) Route-dependent metabolism of morphine in the vascularly perfused rat small intestine preparation.(血管灌流ラットの小腸標本におけるモルヒネの経路依存性代謝)Pharm Res (NY) 17: 290-297
【非特許文献30】Doluisio JT, Billups NF, Dittert LW, Sugita ET, and Swintosky JV(ドルイシオ ジェイ ティー他)(1969) Drug Absorption. I. An in situ rat gut technique yielding realistic absorption rates.(薬物吸収、I.現実的な吸収速度を与えるインシトゥのラット腸管技術)J Pharm Sci 58: 1196-1200
【非特許文献31】Gramatte T and Richter K(グラマッテ ティー他)(1994) Paracetamol absorption from different sites in the human small intestine.(ヒト小腸の種々の部位からのパラセタモール吸収)Br J Clin Pharmacol 37: 608-611
【非特許文献32】Lehane M J and Billingsley P R(レハン エム ジェイ他)(1996) Biology of the insect midgut.(昆虫の中腸の生物学)London: Chapman and Hall
【非特許文献33】Illa-Bochaca I and Montuenga L M(イラ−ボチャカ アイ他)(2006) The regenerative nidi of the locust as a model to study epithelial cell differentiation from stem cells.(幹細胞からの上皮細胞分化を調べるためのモデルとしてのバッタの再生巣体)J Exp Biol 209: 2215-2223.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の全体的な目的は、初期の創薬段階における化合物スクリーニング手順/過程を改善するために、種々の化合物の胃腸管吸収を測定するための昆虫スクリーニングモデルを開発することにある。この目的は、昆虫モデルが判断過程のツールとして既存のインビトロモデルよりも信頼性が高く、薬物スクリーニングのプロセスをスピードアップして後期段階の減少率を小さくすることから、従来技術に比べて多くの利点を提供する。また、創薬の段階で犠牲となる哺乳動物の数を減らすことにもなる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは驚くべきことに、昆虫の中腸がこれまで想定されていたよりも哺乳動物の腸と多くの共通性を有することを発見した。昆虫の中腸は、ヒトにおいて観察されるのと非常に似た挙動で栄養素の吸収だけでなく、酵素の生産にも積極的に関与していることを見出した。
【0020】
したがって、本発明は、脊椎動物の腸すなわち腸管における薬物などの化合物の吸収を反映することを目的とした昆虫モデルに関する。具体的には、このモデルはバッタなどの昆虫の断頭標本に基づくものであり、中腸にカテーテルを挿入し、たとえば別のカテーテルを腹部に挿入することによって、あるいは目盛り付きのマイクロキャピラリー管によって、あるいはシリンジによって、あるいはピペットその他の手段によって血リンパが回収される。このモデルにより、腸の関連する部分から血リンパへの薬物の取り込みを研究することが可能となる。齧歯動物における経口投与と比較して本モデルは、化合物が腸粘膜を通過する能力の初期評価として迅速な試験を可能とし、経口投与用の候補としての選択を可能とする。別の利点は、腸に曝される化合物の実際の量が、昆虫の断頭標本を用いてよく制御されることである。
【0021】
したがって、本発明の昆虫は、化合物の胃腸管吸収を測定するための中間的なモデルとしての役割を果たしうる。
よって、本発明は、腸内での化合物の吸収を測定するための簡易なインビボ系を生み出すための初めての合理的な戦略を提供することができる。
【0022】
一態様において、本発明は、脊椎動物における薬物をはじめとする化合物の腸内吸収を予測する方法を提供し、その方法は、
・昆虫を断頭する工程と、
・第1のカテーテルまたはプローブを昆虫の中腸に挿入する工程と、
・たとえば第2のカテーテルを昆虫の腹部に挿入するか、あるいは目盛り付きのマイクロキャピラリー管、ハミルトンシリンジまたはピペットを用いることにより、血リンパを回収する工程と、
・第1のカテーテルを通じて昆虫の中腸に化合物を投与する工程と、
・一以上の血リンパ試料を採取する工程と、
・前記一以上の血リンパ試料中の薬物の濃度を測定する工程と、
・薬物の吸収量を算出する工程とを含む。
【0023】
本発明の好ましい実施形態において、前記昆虫はディクティオプテラ(Dictyoptera)目、オルソプテラ(Orthoptera)目、ヒメノプテラ(Hymenoptera)目、ディプテラ(Diptera)目、ケロイトプテラ(Cheleutoptera)目およびレピドプテラ(Lepidoptera)目からなる群より選択される。中腸での効率的な吸収を確保するためには、前記化合物をカテーテルまたはプローブを通じて昆虫の中腸に投与することが好ましい。
【0024】
さらに、本発明は、脊椎動物における薬物をはじめとする化合物の腸内吸収を測定するためのモデル昆虫を提供し、そのモデルは、
・昆虫を断頭する工程と、
・第1のカテーテルまたはプローブを昆虫の中腸に挿入する工程と、
・たとえば第2のカテーテルを昆虫の腹部に挿入するか、あるいは目盛り付きのマイクロキャピラリー管、ハミルトンシリンジまたはピペットを用いることにより、血リンパを回収する工程と、
・第1のカテーテルを通じて昆虫の中腸に化合物を投与する工程と、
・一以上の血リンパ試料を採取する工程と、
・前記一以上の血リンパ試料中の薬物の濃度を測定する工程と、
・薬物の吸収量を算出する工程と
を含む方法によって得られる。
【0025】
好ましくは、前記昆虫は、ブラットイデア(Blattoidea)目、アクリドイデア(Acridoidea)目、ケロイトプテラ(Cheleutoptera)目、アパイン(Apine)目、ブラキセラ(Brachycera)目およびレピドプテラ(Lepidoptera)目からなる群より選択される。
【0026】
本発明の特に好ましい実施形態において、前記昆虫は、アクリドイデア(バッタ)目およびブラットデア(ゴキブリ)目から選択される。
様々な態様および実施形態において、本発明は後述する請求項に記載の主題を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、種々の化合物の腸内取り込みの初期評価および予測のための新しい方法論を提供する。本発明は総じて、創薬の初期段階において、新しく合成された化合物の効率的なスクリーニングに特に有用である。
【0028】
本発明による薬物は、生体内に吸収された場合に通常の身体機能を変化させる化合物として最も広い範囲において定義される。より具体的には、本発明による薬物は、疾病の治療、治癒、予防または診断において使用される化合物であるか、そうでなければ肉体的または精神的な健康を増進するために使用される。本発明により特に興味深いのは精神活性薬であり、それは血液脳関門(BBB)を通過して主に中枢神経系に作用し、脳機能を変化させることにより知覚、気分、意識、認識および行動に変化をもたらす。
【0029】
本発明は、以下に示す目(「動物の世界(Djurens Varld)」(ビー.ハンシュトローム(B.Hanstrom)編、Forlagshuset Norden AB刊、スウェーデン国マルメ(Malmo)、1964年)による分類)から選択される昆虫の使用に関するが、これに限定されない。
【0030】
【表1】

本発明は、腸内取り込みの評価方法に関係する昆虫種からなる以下の目にも関する。
【0031】
【表2】

本発明は、トノサマバッタ(ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria))や砂漠バッタ(シストセラ・グレガリア(Schistocera gregaria))あるいはゴキブリのような大型の昆虫を用いることが好ましく、その場合、試験化合物を投与し、その後、吸収された化合物の濃度を分析するために血リンパを採取するのに適している。バッタは大型の昆虫であり、消化管と十分に特徴的な中腸とを有することから、モデルの開発にはバッタを使用した。
【0032】
したがって、本発明は、脊椎動物の腸内での試験化合物の取り込みを反映することを目的とした昆虫モデルに焦点を置いている。腸内取り込みプロファイルの調査は、創薬の初期段階における化合物の選定において非常に重要である。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、飼育が簡単でかつ、取り込まれた化合物の濃度の定量的測定にとって適切な中腸のサイズおよび血リンパの量を有する比較的大きな昆虫であることから、トノサマバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)および/または砂漠バッタ(シストセラ・グレガリア)が用いられる。
【0034】
実施例
本発明の好ましい実施形態においては、アクリドイデア目から昆虫が選択され、具体的にはロクスタ・ミグラトリアおよびシストセラ・グレガリアが用いられる。特定地域の供給者から昆虫を入手してもよいし、あるいは自家飼育してもよい。28℃で12時間ごとの明暗周期のもと多数のバッタを一緒にした条件で養育し、新鮮な草とぬかを餌として与えた。実験の前、環境に配慮して栽培された小麦を2週間にわたり餌としてバッタに与えた。使用する動物は、羽化後2〜4週の成体のオス(いくつかの実験ではメス)とする。断頭後、動物の中腸に挿入したカテーテルまたはプローブを通じて試験化合物を投与する。投与後の様々なタイミングで血リンパ試料を採取して血リンパ中の薬物の濃度を定量的に測定する。試料はスナップ凍結して分析まで保存する。薬物の濃度は、HPLC、LC/MSMS、またはその他の方法によって分析する。
【0035】
以下、本発明をさらに詳細に例示する。
実施例1
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのアミノ修飾蛍光ポリスチレンナノ粒子(100nm)をカテーテルを介して投与した。
【0036】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付き(10μL)のマイクロキャピラリー管を用いて血リンパ試料を採取した。血リンパ試料を蛍光顕微鏡で分析したところ、血リンパ試料中に蛍光ナノ粒子は検出されなかった。
【0037】
実施例1は、昆虫の腸が、経口投与した大ポリスチレンナノ粒子が血リンパに入るのを妨げる機能的障壁であることを示す。このことは、経口投与された大きな分子が血液中に拡散するのを妨げる脊椎動物の腸の障壁機能を反映している。
【0038】
実施例2
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのキニジン(0.1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0039】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。分析の結果、10分後および30分後に検出可能な量のキニジンは認められなかった。
【0040】
実施例3
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのキニジン(1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0041】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均キニジン濃度はそれぞれ2960ng/mLおよび1465ng/mLであった。
【0042】
実施例4
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのプロプラノロール(0.1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0043】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均プロプラノロール濃度はそれぞれ102ng/mLおよび61ng/mLであった。
【0044】
実施例5
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのプロプラノロール(1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0045】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均プロプラノロール濃度はそれぞれ1081ng/mLおよび1564ng/mLであった。
【0046】
実施例6
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのカフェイン(0.1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0047】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均カフェイン濃度はそれぞれ177ng/mLおよび276ng/mLであった。
【0048】
実施例7
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのカフェイン(1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0049】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均カフェイン濃度はそれぞれ1154ng/mLおよび1655ng/mLであった。
【0050】
実施例8
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのアテノロール(0.1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0051】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均アテノロール濃度はそれぞれ458ng/mLおよび318ng/mLであった。
【0052】
実施例9
12時間絶食にしたオスのバッタ(ロクスタ・ミグラトリア)の頭を切り落とし、顕微鏡下で食道にプラスチックカテーテルを挿入した。ハミルトンシリンジを用いて、20μLのアテノロール(1mg/mL)をカテーテルを介して投与した。
【0053】
投与から10分後および30分後、胸部の前方の腹側膜を穿刺することにより、目盛り付きのマイクロキャピラリー管を用いて、血リンパ(10μL)を採取し、すぐに40μLの蒸留水および100μLのアセトニトリルの入ったチューブ内に吹き入れた。各試料を5分間遠心分離(4℃で10000g)し、100μLの上清をLCMS分析用の新しいチューブに移した。10分後および30分後の血リンパで測定された平均アテノロール濃度はそれぞれ336ng/mLおよび121ng/mLであった。
【0054】
実施例2〜9は、流出メカニズムのために低用量では取り込まれにくいと予想されるPgp基質であるキニジン、受動拡散によって細胞透過して取り込まれる高透過性の化合物であるカフェイン、著しく異なるADME特性を有する2つのベータ遮断薬であるプロプラノロールおよびアテノロールを含んでいる。
【0055】
実施例2〜9から、低濃度(0.1mg/mL)においては血リンパへのキニジンの検出可能な取り込みは認められなかった。しかしながら、カフェインの投与後には、10分後と30分後に平均血リンパ濃度がそれぞれ177ng/mLおよび276ng/mLであった。2つのベータ遮断薬、プロプラノロールおよびアテノロールの10分後の平均血リンパ濃度はそれぞれ177ng/mLおよび458ng/mLであった。高濃度(1.0mg/mL)においては、キニジンの平均血リンパ濃度は10分後に2960ng/mLであった。また、10分後の平均カフェイン濃度は1154ng/mLであり、2つのベータ遮断薬、プロプラノロールおよびアテノロールの10分後の平均血リンパ濃度はそれぞれ1080ng/mLおよび336ng/mLであった。
【0056】
このように、予想どおり、カフェインの低用量投与後には著しい取り込みが認められた。また、予想どおり、Pgp基質化合物であるキニジンについては低濃度では検出可能な取り込みが認められなかった。しかしながら、流出(efflux)輸送体が飽和となるような高用量の場合には、FDA分類のとおりキニジンの高い透過性が認められる。低用量(0.1mg/mL)の場合の血リンパ濃度は、低透過性遮断薬であるアテノロールと比べて、高透過性ベータ遮断薬であるプロプラノロールで低かった。しかしながら、半減期が長く分布量が小さいことにより、ヒトの場合でも、プロプラノロールと比べて血漿アテノロール濃度が高くなることがヒトでの研究から示されている(Carmona他、2009年)。したがって、バッタモデルで得られた本データは、ヒトで得られるデータと高度に相関している。高用量(1.0mg/mL)の場合、カフェインおよびプロプラノロールの血リンパ濃度には、用量依存性の増加が認められた。しかしながら、アテノロールの取り込みに増加は認められなかった。このことは、アテノロールが生物薬剤分類システム(Biopharmaceutics Classification System)によるクラス3化合物であり、これらの化合物の場合、取り込み輸送体が薬物利用能の主たる決定因子であるという事実から説明することができる(ShugartsおよびBenet、2009年)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎動物における薬物をはじめとする化合物の腸内吸収を評価するためにモデル昆虫を利用する方法であって、
・昆虫を断頭する工程と、
・第1のカテーテルまたはプローブを昆虫の中腸に挿入する工程と、
・たとえば第2のカテーテルを昆虫の腹部に挿入するか、あるいは目盛り付きのマイクロキャピラリー管、ハミルトンシリンジまたはピペットを用いることにより、血リンパを回収する工程と、
・第1のカテーテルを通じて昆虫の中腸に化合物を投与する工程と、
・一以上の血リンパ試料を採取する工程と、
・前記一以上の血リンパ試料中の薬物の濃度を測定する工程と、
・薬物の吸収量を算出する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記昆虫はディクティオプテラ(Dictyoptera)目、オルソプテラ(Orthoptera)目、ヒメノプテラ(Hymenoptera)目、ディプテラ(Diptera)目、ケロイトプテラ(Cheleutoptera)目およびレピドプテラ(Lepidoptera)目からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬物の濃度はLC/MSにより測定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物は第1のカテーテルを通じて昆虫の中腸に投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
脊椎動物における薬物をはじめとする化合物の腸内吸収を測定するためのモデル昆虫であって、
・昆虫を断頭する工程と、
・第1のカテーテルまたはプローブを昆虫の中腸に挿入する工程と、
・たとえば第2のカテーテルを昆虫の腹部に挿入するか、あるいは目盛り付きのマイクロキャピラリー管、ハミルトンシリンジまたはピペットを用いることにより、血リンパを回収する工程と
を含む方法によって得られるモデル昆虫。
【請求項6】
前記昆虫は、ディクティオプテラ(Dictyoptera)目、オルソプテラ(Orthoptera)目、ヒメノプテラ(Hymenoptera)目、ディプテラ(Diptera)目、ケロイトプテラ(Cheleutoptera)目およびレピドプテラ(Lepidoptera)目からなる群より選択される、請求項5に記載のモデル昆虫。

【公表番号】特表2013−502559(P2013−502559A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524217(P2012−524217)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061590
【国際公開番号】WO2011/018449
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(511065370)
【氏名又は名称原語表記】ENTOMOPHARM APS
【Fターム(参考)】