説明

化合物

経口受入可能な組成物、例えば食料品、飲料、歯磨剤または医薬品などのフレーバーを調節する方法であって、少なくとも1種の式I、


式中、
Xは、CHOH、C=O、CH−COおよびCH=C(OH)から選択され、Yは、C1−C7直鎖および分枝鎖アルキルならびにCHCHOHから選択され、Zは、CHおよび式II、


式中、波状の結合はZ〜Xに結合している結合を示し、およびRおよびRは、以下の選択肢(i)両方が水素元素;(ii)独立してOHおよびOCH;および
(iii)RおよびRが、フェニル環との結合と一緒になって、−O−CH−O−で表される環を形成する;から選択され、ただし、ZがCHのとき、XはC=Oであり、YはCHCHOHである、で表される化合物をフレーバーを調節する割合で添加することを含む、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレーバー調節(flavor modulation)およびこれを達成する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
経口受入可能な組成物、例えば食料品、飲料、医薬品、マウスウォッシュなどにおいて、フレーバーを付与または調節する食用物質の添加によるフレーバーの調節は、このような組成物の製造において重要な要素になっている。本明細書において、「調節(modulation)」の使用は、フレーバーを付与することおよびフレーバーを調節することに及ぶ。
【0003】
新しいフレーバーは、絶えず求められている。また、既存するフレーバーの調節に関心が集まっている。これは、極めて重要になっており、特に健康食品における、塩、旨味および砂糖の味の強化である。一般的に、これは物質、典型的には塩、グルタミン酸ナトリウム(monosodium glutamate; MSG)または砂糖が、実際よりも多く存在するような印象を与えることを伴う。したがって、元の材料の量を減らすことができ、結果として重要な健康と栄養の利点を与える。このような場合において、一般的に添加される食用物質の量は極めて少ないため、味わうことはできない。この作用の性質は完全には解明されていない。
【発明の概要】
【0004】
本発明において、経口受入可能な製品のフレーバーに対して、そのような調節効果を有することができる特定の物質のクラスを見出した。したがって、経口受入可能な製品のフレーバーを調節する方法を提供し、これは少なくとも1種の式I
【化1】

式中、
Xは、CHOH、C=O、CH−COおよびCH=C(OH)から選択され、
Yは、C1−C7直鎖および分枝鎖アルキルならびにCHCHOHから選択され、
Zは、CHおよび式II
【化2】


式中、波状の結合はZからXに結合している結合を示し、
およびRは、以下の選択肢
(i)両方が水素元素;
(ii)独立してOHおよびOCH;および
(iii)RおよびRが、フェニル環との結合と一緒になって、−O−CH−O−で表される環を形成する;
で表される部分から選択され、
ただし、ZがCHのとき、XはC=Oであり、YはCHCHOHである、で表される化合物のフレーバーを調節する割合で添加することを含む。
【0005】
上述した化合物のいくつかは新規のものである。したがって、上記の式Iで表され、
式中、
Xは、CHOHおよびC=Oから選択され、
Yは、n−ヘプチル、ヘプタン−4−イルおよびCHCHOHから選択され、
Zは、式IIの部分であり、式中RおよびRは以下の1つから選択される:
(a)RがOHであり、かつRがOCHである;
(b)RがOCHであり、かつRがOHである;
(c)RおよびRが、フェニル環との結合と一緒になって、式−O−CH−O−で表される環を形成している、
化合物を提供する。
【0006】
特定の具体例は、
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソ−2−フェニルアセトアミド、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソアセトアミド、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソアセトアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミド、
N−ヘプチル−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミド、
N−ヘプチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミド、
N−ヘプチル−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソ−プロパノイルアミドである。
【0007】
化合物は当業者に既知のいくつかの方法で調製することができる。典型的な方法の1つは、カップリング剤、典型的な例はカリボジイミドの存在下、遊離酸と対応するアミンとの反応を伴う。別の方法は、塩基性触媒の存在下、エステルと所望のアミンとの反応を伴う。塩基性触媒は、そのアミン自体であってもよい。反応は有機溶媒の有無にかかわらず行うことができる。カップリング剤を用いる場合は、THF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタンまたはクロロホルムが好ましかった。α−ケトカルボン酸エステルを使用する場合は、溶媒の有無にかかわらず反応を行うことができ、特にエタノールが適している。
【0008】
反応温度は、化合物の反応性に依存するが、室温から120℃の間である。
選択した条件下で、他の反応をしてしまう官能基を保護することが必要とされることがある。また、アミド結合が形成された後に、変換が必要とされる可能性がある。当業者は、このような保護が必要な場合を容易に認識できる。
【0009】
化合物は、従来の手法によって経口受入可能な組成物に組み込まれてもよい。用語「経口受入可能な組成物」には、楽しみ、栄養や薬用の理由のため、何らかの理由で摂取または吐き出すために、口に入れる全ての組成物が含まれる。これらは、限定されるものではないが、食料品、飲料、医薬品、マウスウォッシュを含むデンタクルケア製品を含む。
【0010】
食品は、穀物製品、米製品、パスタ製品、ラビオリ、タピオカ製品、サゴ製品、パン類製品(baker’s products)、ビスケット製品、ペストリー製品、パン製品(bread products)、菓子製品、デザート製品、ガム、チューインガム、チョコレート、氷、蜂蜜製品、糖蜜製品、酵母製品、塩およびスパイス製品、セイボリー製品、マスタード製品、ビネガー製品、ソース類(調味料)、加工食品、調理した果物および野菜製品、肉および肉製品、肉類似物/代替物、ゼリー、ジャム、フルーツソース、卵製品、牛乳および乳製品、チーズ製品、バターおよびバター代用製品、牛乳の代用製品、大豆製品、食用油および脂肪製品、医薬、食品エキス、植物エキス、肉エキス、調味料、栄養補助食品、ゼラチン、錠剤、トローチ、ドロップ、乳剤、エリキシル、シロップ、およびそれらの組み合わせを含む。
【0011】
他の特定の組成物は、調味料およびソース(冷、温、インスタント、プリザーブド(preserved)、サテー、トマト、バーベキューソース、ケチャップ、マヨネーズおよび類似物、ベシャメル)、グレービー、チャツネ、サラダドレッシング(長期保存、冷蔵)、バターミックス、ビネガー、ピザ、インスタントヌードル、フライドポテト、クルトン、塩味スナック(ポテトチップ、クリスプ(crisps)、ナッツ、トルティーヤ−トスターダ、プレッツェル、チーズスナック、コーンスナック、ポテトスナック、即食べられる(ready to eat)ポップコーン、電子レンジポップコーン、キャラメルコーン、ポークラインズ(pork rinds)、ナッツ)、クラッカー(Saltines、「リッツ(Ritz)」タイプ)、「サンドイッチタイプ」クラッカースナック、朝食用シリアル、チーズおよびチーズ類似物を含むチーズ製品(減ナトリウムチーズ、殺菌プロセスチーズ(食品、スナック&スプレッド)、セイボリースプレッド、コールドパックチーズ製品、チーズソース製品)、肉、アスピック、燻製肉(ハム、ベーコン)、昼食/朝食肉(ホットドッグ、コールドカット、ソーセージ)、大豆ベース製品、トマト製品、ポテト製品、乾燥スパイスまたは調味組成物、ペースト、マリネを含む液体スパイスまたは調味組成物、スープタイプ/食品代替飲料(meal-alternative beverages)、およびトマトジュース、にんじんジュース、ミックスベジタブルジュースおよび他の野菜ジュースを含む野菜ジュースを含む。
【0012】
飲料は、液体で利用可能なまたは消費のために溶解状(dissolvable form)である、任意の液体を含み、ジュース、フルーツジュース、野菜ジュース、茶、茶ベース飲料、コーヒー、コーヒーベース飲料、ソフトドリンク、炭酸飲料、発酵および蒸留アルコール飲料、例えばビール、ラガー、スタウト、ワイン、および「アルコポップス(alcopops)」などのフレーバーアルコール飲料を含む。
【0013】
加工食品はマーガリン、ピーナッツバター、スープ(吸い物(clear)、缶、クリーム、インスタント、UHT)、缶ジュース、缶野菜ジュース、缶トマトジュース、缶フルーツジュース、缶ジュース飲料、缶詰野菜、パスタソース、冷凍アントレ、冷凍ディナー、冷凍ハンドヘルドアントレ、ドライパッケージディナー(マカロニ&チーズ、ドライディナー−肉追加(dry dinners-add meat)、ドライサラダ/サイドディッシュミックス、ドライディナー−肉付属(dry dinners-with meat)を含む。スープは濃縮湿潤物(condensed wet)、即席、ラーメン、乾燥およびブイヨンを含む、様々な形態であってよく、ならびに加工および調理済み低ナトリウム食品であってもよい。
【0014】
したがって、また製品基材(product base)および上記定義したとおりの式Iで表される化合物を含む、経口受入可能な製品を提供する。「製品基材」は、対象としている特定の経口受入可能な製品の標準的な全ての成分の全体を意味し、当該分野で認識される量で用いられる。式Iで表される1種以上の化合物が用いられ、そして単数形の「化合物(a compound)」の使用は、組成物をかかる化合物の1種に限定しないことが理解され得る。
【0015】
用いる濃度は、特定の組成および所望される調節の性質に依存し得る。当業者は容易にあらゆる場合に適切な濃度を決定することができるが、限定しない、一般的な指標として、濃度は0.1〜100ppmの間にある。香味料(flavourant)としての使用の場合において、典型的な濃度は5〜100ppmの間になり得るのに対し、フレーバー調節のための典型的な濃度は、0.1〜10ppmの間になり得る。
【0016】
したがって、
(a)上記定義したとおりの式Iで表される化合物0.1〜100ppmの添加を含む、経口受入可能な製品のフレーバー付け方法;および
(b)上記定義したとおりの式Iで表される化合物0.1〜10ppmの添加を含む、経口受入可能な製品のフレーバーを調節するための方法もまた提供する。
【0017】
ここで、方法を以下の例を参照してさらに記載するが、これは特定の態様を例示するものであって、何ら限定することを意図するものではない。
【0018】
例1
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソ−2−フェニルアセトアミドの調製
【化3】


DCM(50ml)に、フェニルグリオキシル酸(2g、13.3mmol)を撹拌し、冷却(0℃)した溶液に、EDCl(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド)(3g、15.6mmol)およびHOBt(1−ヒドキシベンゾトリアゾール)(0.2g、1.5mmol)を添加した。得られた反応混合物を−5℃に冷却し、その後エタノールアミン(2g、32.8mmol)を、0℃以下の反応温度で滴加した。添加したら、得られた懸濁液を0℃以下の反応温度で1時間撹拌し、その後室温で一晩撹拌した。反応混合物を1%塩酸水溶液(30ml)に注いだ。DCM相を水で洗浄し、真空で濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン(1:2)を溶離液として用いて、シリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけ、黄色油状物として標記化合物(0.5g、収率19.5%)を得た。
【0019】
【化4】

【0020】
例2
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソアセトアミドの調製
【化5】


エタノール(40ml))に、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−オキソ酢酸エチルエステル(2.5g、11mmol))を撹拌した溶液に、エタノールアミン(3.5g、49mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を2時間加熱還流した。その後、エタノールを留去し、120℃で1時間撹拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、THF50mlおよびHCl水溶液100mlを添加し、30分間攪拌した。混合物をDCM(50ml)で2回抽出した。有機相を水(50ml)で二回洗浄し、蒸発させ、暗色の粘着生成物を得た。生成物をさらにペンタン/酢酸エチルで結晶化させた。標記化合物の赤色結晶(0.9g、収率34.5%)が得られた。
【0021】
【化6】

【0022】
例3
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソアセトアミドの調製
【化7】


エタノール(40ml))に、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−オキソ酢酸エチルエステル(2g、9mmol))を撹拌した溶液に、4−ヘプチルアミン(2.5g、22mmol)を室温で添加した。得られた反応混合物を4時間加熱還流した。その後、エタノールを留去し、110℃で2時間撹拌を続けた。反応混合物を室温まで冷却し、THF50mlおよびHCl水溶液100mlを添加し、30分間攪拌した。混合物をDCM(50ml)で二回抽出した。有機相を水(50ml)で二回洗浄し、真空で濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/ヘプタン(2:3)を溶離液として用いて、シリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけ、赤色結晶として標記化合物(0.5g、収率29%)を得た。
【0023】
【化8】

【0024】
例4
N−(ヘプタン−4−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミドの調製
【化9】


2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソアセトアミドの調製について記載したものと同様の手段によって、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−オキソ−酢酸エチルエステルと4−ヘプチルアミンとから、N−(ヘプタン−4−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミドを調製した。標記化合物(0.7g、収率34%)の白色結晶が得られた。
【0025】
【化10】

【0026】
例5
N−ヘプチル−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミドの調製
【化11】



クロロホルム(50ml)にN−ヘプチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−アセトアミド(0.5g、17mmol)を撹拌した溶液に、酸化マンガン60%(4.5g、31mmol)を室温で添加した。得られた混合物を24時間室温で撹拌し、ろ過し、酸化マンガンの残渣を除去するために遠心分離した。濾液を真空で濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/ヘプタン(2:3)を溶離液として用いて、シリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけ、淡黄色結晶として標記化合物(0.15g、収率30%)を得た。
【0027】
【化12】

【0028】
例6
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソプロパンアミドの調製
【化13】


エタノールアミン(16g、66mmol)を、撹拌したピルビン酸エチル(8g、69mmol)に22〜48℃の温度で、滴加した。その後、混合物を120℃に加熱し、この温度で3時間攪拌した。反応中に、形成されたエタノールおよび水を蒸留によって除去した。反応混合物を室温まで冷却し、水40ml中に注いだ。混合物をpH<1に酸性化し、室温で30分間攪拌した。溶液を塩化ナトリウムで飽和させ、酢酸エチルで数回抽出した。酢酸エチル相を蒸発乾固させた。残りの残油はヘプタン/酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、無色の油(1g、収率9%)を得た。
【0029】
【化14】

【0030】
例7
N−(ヘプタン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミドの調製
【化15】


1,4−ジオキサン(100ml)に、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸(5g、25.3mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(3g、26.1mmol)を撹拌した溶液に、1,4−ジオキサン(50ml)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(5.5g、26.7mmol)の溶液を室温で添加した。得られた白色懸濁液を室温で16時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過した。水(20ml)に4−ヘプチルアミンを撹拌した溶液に濾液を注ぎ、重炭酸ナトリウム(2.5g、20mmol)を添加した。得られた溶液を50℃に加熱し、1.5時間この温度で攪拌した。冷却した溶液をpH<2に塩酸5%水溶液を使用して酸性にし、酢酸エチル(100ml)で3回抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧下で蒸発により濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘプタンから結晶化によって精製し、白色結晶として標記生成物(5.5g、収率73.6%)を得た。
【0031】
【化16】

【0032】
例8
N−ヘプチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミドの調製
【化17】


N−(ヘプタン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミドの調製について記載したものと同様の手段によって、4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸とN−ヘプチルアミンとから、N−ヘプチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミドを調製した。標記化合物の白色結晶(6.7g、収率89%)が得られた。
【0033】
【化18】

【0034】
例9
N−ヘプチル−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド
【化19】


DCM(50ml)中のフェニルピルビン酸(2.1g、12.8mmol)の懸濁液を0℃まで冷却した。その後、EDCl(3g、15.6mmol)およびHOBt(0.2g、1.5mmol)を順に添加した。得られた溶液を−5℃に冷却し、その後ヘプチルアミン(1.5g、13mmol)を0℃以下の温度で滴加した。添加したら、氷浴を外し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を1%塩酸水溶液(30ml)に注いだ。DCM相を水で洗浄し、真空で濃縮した。粗生成物を、酢酸エチル/ヘキサン(1:2)を溶離液として用いて、シリカゲルカラムでクロマトグラフィーにかけ、標記化合物(0.8g、収率24%)を生成した。
【0035】
【化20】

【0036】
例10
N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド
【化21】



1,4−ジオキサン(50)中のフェニルピルビン酸(2g)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.5g)の溶液に、1,4−ジオキサン(10ml)中のDCC(2.8g)の溶液を室温で添加した。得られた黄色の懸濁液を18時間室温で攪拌した。その後、反応混合物を濾過した。濾液を水中の4−ヘプチルアミンの溶液(20ml)に注ぎ、その後、NaHCO3(1.2g)を添加した。得られた反応混合物を50℃で2,5時間撹拌し、その後室温に冷却し、塩酸5%水溶液を用いてpH<2にした。酢酸エチル(100ml)を添加し、その後有機層をブライン(50ml)で二回洗浄分離し、減圧下で蒸発させ濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘプタンに溶解し、一晩冷蔵庫に置いた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;酢酸エチル/ヘプタン)によって精製し、黄色固体として標記化合物(0.5g、収率16%)を生成した。
【0037】
【化22】

【0038】
例11
化合物の試験

例11A:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaCl溶液
B 0.3%NaClおよび10ppm例1化合物の溶液
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味
溶液B:より塩味、唾液がでる(salivating)
【0039】
例11B:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaCl溶液
B 0.3%NaClおよび10ppm例5化合物の溶液。
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味
溶液B:より塩味、唾液がでる、後を引く(lingering)
【0040】
例11C:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaClおよび0.03%MSGの溶液
B 0.3%NaClおよび0.03%MSGならびに10ppm例6化合物の溶液。
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味、旨味
溶液B:より塩味、増した旨味
【0041】
例11D:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaClおよび0.03%MSGの溶液
B 0.3%NaCl、0.03%MSGおよび10ppmの例9で調製したN−ヘプチル−2−オキソ−3−フェニルプロピオンアミドの溶液。
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味、旨味
溶液B:より塩味、より強い旨味、よりブイヨン様
【0042】
例11E:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaClおよび0.03%MSGの溶液
B 0.3%NaCl、0.03%MSGおよび1ppmの例10で調製したN−(4−ヘプチル)−2−オキソ−3−フェニルプロピオンアミドの溶液。
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味、旨味
溶液B:より塩味、より強い旨味、よりブイヨン様、わずかにヒリヒリする(tingling)味
【0043】
例11F:
2種の溶液を調製した:
A 0.3%NaClおよび0.03%MSGの溶液
B 0.3%NaCl、0.03%MSGおよび1ppmの例8で調製したN−ヘプチル 3−メトキシ−4−ヒドロキシ−マンデル酸の溶液。
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
溶液A:塩味、旨味
溶液B:より塩味、増した旨味、わずかに刺激(pungent)。
【0044】
例12
トマトスープにおける使用
トマトスープミックスを、塩化ナトリウム9.4g、モノグルタミン酸ナトリウム1g、リボヌクレオチド(例、酵母)0.08g、トマトパウダー32g(例、Spreda)、グルコース25.1g、澱粉21g(Ultrasperse 5、例National Starch)、ヤシ脂肪粉末5g、酵母パウダー3g、オニオンパウダー1g、ニンジンパウダー0.15g、挽いた白胡椒(ground white pepper)0.05g、セロリエキス粉末0.3g、挽いた月桂樹の葉の粉末(ground laurel leaf powder)0.05g、およびショ糖1.85グラムから調製した。よく混合した原料25gを、沸騰水250gに加え、完全に溶解するまで攪拌した。
【0045】
対照スープと10ppmの例2で調製したN−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2−オキソアセトアミドを含有する同様のスープのバッチとを比較した。小数グループのフレーバリスト(flavourist)(男性2人、女性2人)がスープを試験し、試験スープの方がベーススープよりも旨味が増し、より後を引き、より複雑であることに同意した。
【0046】
例13
ポテトチップスにおける使用
プレーンなポテトチップスを調製した。
一部を1.2%塩化ナトリウムでフレーバー付けした(サンプルA)
一部を1.2%塩化ナトリウムおよび0.3%MSGでフレーバー付けした(サンプルB)
一部を1.2%塩化ナトリウムおよび2.5ppmの例3で調製したN−(4−ヘプチル)−2−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2−オキソ−アセトアミドでフレーバー付けした(サンプルC)
【0047】
サンプルを、30〜60歳の女性20人で構成された熟練の官能パネルによって試験した。
パネルは、サンプルCが他の2つのサンプルよりも好ましいことに同意した。サンプルAは塩味、サンプルBは塩味および旨味、ならびにサンプルCは塩味、旨味、長く残る、セイボリー、ブイヨンと表現した。サンプルCでは、わずかな苦味のオフノート(off-note)が認められた。
【0048】
例14
トマトケチャップにおける使用
トマトケチャップを、19%のトマトペースト(28〜30%乾燥重量)、8%のビネガー(15%)、3%の塩化ナトリウム、20%の砂糖および50%の水から調製した。
バッチの半分に、2ppmのN−(4−ヘプチル)2−(4−ヒドロキシ−3−メチキソフェノール)−2−オキソアセトアミド(例5)を添加した。
小数グループのフレーバリスト(男性2人、女性2人)がケチャップを試験し、試験ケチャップの方がベースケチャップと比較して、明らかに、旨味が増し、より甘く、より熟成した(full)/複雑な味あることに同意した。
【0049】
例15
トマトケチャップにおけるさらなる使用
トマトケチャップを、例12に記載のとおり調製した。バッチの半分に、20ppmの例7で調製したN−(4−ヘプチル)4−ヒドロキシ−3−メトキシ−マンデル酸アミドを添加した。
小数グループのフレーバリスト(男性2人、女性2人)がケチャップを試験し、試験ケチャップの方がベースケチャップと比較して、旨味が増し、よりブイヨン様であり、より熟成した/複雑な味であることに同意した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口受入可能な製品のフレーバーを調節する方法であって、少なくとも1種の式I
【化1】

式中、
Xは、CHOH、C=O、CH−COおよびCH=C(OH)から選択され、
Yは、C1−C7直鎖および分枝鎖アルキルならびにCHCHOHから選択され、
Zは、CHおよび式II
【化2】

式中、波状の結合はZからXに結合している結合を示し、および
およびRは、以下の選択肢
(i)両方が水素元素;
(ii)独立してOHおよびOCH;および
(iii)RおよびRが、フェニル環との結合と一緒になって、−O−CH−O−で表される環を形成する;
で表される部分から選択され、
ただし、ZがCHのとき、XはC=Oであり、YはCHCHOHである、
で表される化合物をフレーバーを調節する割合で添加することを含む、前記方法。
【請求項2】
式Iで表される化合物が、
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソ−2−フェニルアセトアミド、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソアセトアミド、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソアセトアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミド、
N−ヘプチル−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−オキソアセトアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミド、
N−ヘプチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)アセトアミド、
N−ヘプチル−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド、
N−(ヘプタン−4−イル)−2−オキソ−3−フェニルプロパンアミド、
N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソ−プロパノイルアミドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
製品ベースおよび請求項1に記載の式Iで表される化合物を含む、経口受入可能な製品。
【請求項4】
式Iで表される化合物の濃度が0.1〜100ppmである、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
請求項1に記載の式Iで表される化合物0.1〜100ppmの添加を含む、経口受入可能な製品をフレーバー付けする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の式Iで表される化合物0.1〜10ppmの添加を含む、香味料含有経口受入可能な製品のフレーバーを調節する方法。
【請求項7】
式I
【化3】

式中、
Xは、CHOHおよびC=Oから選択され、
Yは、n−ヘプチル、ヘプタン−4−イルおよびCHCHOHから選択され、
Zは、式IIの部分であり、式中RおよびRは以下の1つから選択される:
(a)RがOHであり、かつRがOCHである;
(b)RがOCHであり、かつRがOHである;
(c)RおよびRが、フェニル環との結合と一緒になって、式−O−CH−O−で表される環を形成している、
で表される化合物。

【公表番号】特表2012−530834(P2012−530834A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516751(P2012−516751)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059027
【国際公開番号】WO2010/149754
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】