説明

化合物

【課題】有機溶媒への溶解性に優れ、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用な化合物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される化合物。


[式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表す。R2は、水素原子、シアノ基等を表す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基等を表す。R〜Rは、互いに独立に、水素原子、アルキル基等、又は式(Ia)で表される基を表す。


[式(Ia)中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用な化合物等に関する。
【背景技術】
【0002】
染料は、例えば、繊維材料、液晶表示装置、インクジェット等の分野で反射光又は透過光を利用して色表示するために使用されている。
例えば、特許文献1の実施例1には、下記式で表される化合物が記載されている。
【0003】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−2630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の化合物は、耐光性及び耐熱性に優れた水性インクとして知られている。当該化合物は有機溶媒への溶解性が低く、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として利用するのは容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]〜[7]記載の発明を含む。
[1]式(I)で表される化合物。

[式(I)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
2は、水素原子、シアノ基、又はカルバモイル基を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又は式(Ia)で表される基を表し、R〜Rのうち少なくとも1つは式(Ia)で表される基を表す。]

[式(Ia)中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。]
【0007】
[2]Rが、式(Ia)で表される基である[1]記載の化合物。
[3]Rが、−L−X−Rで表される基である[1]又は[2]記載の化合物。
[式中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。Xは、−CO−O−を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。]
[4]Rが、−L−X−L−X−R10で表される基である[1]〜[3]のいずれか記載の化合物。
[式中、L及びLは、互いに独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。X及びXは、−CO−O−を表す。R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。]
[5]Xが、*−O−CO−である[3]又は[4]記載の化合物。
[式中、*は、Lとの結合手を表す。]
[6]R〜Rのうち少なくとも1つがニトロ基である[1]〜[5]のいずれか記載の化合物。
[7][1]〜[6]のいずれか記載の化合物を有効成分とする染料。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れ、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)ということがある。)である。
【0010】

【0011】
[式(I)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
2は、水素原子、シアノ基、又はカルバモイル基を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又は式(Ia)で表される基を表し、R〜Rのうち少なくとも1つは式(Ia)で表される基を表す。]
【0012】

【0013】
[式(Ia)中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。]
【0014】
で表される1価の炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基及びこれらを組み合わせた基が挙げられ、その炭素数は1〜30である。前記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルファニル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基及び炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
前記の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。置換基を有する脂肪族炭化水素基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−アミノエチル基、2−スルファニルエチル基等が挙げられる。
前記の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が挙げられる。置換基を有する脂環式炭化水素基としては、4−メチルシクロヘキシル基、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル基、4−アミノシクロヘキシル基、4−(N,N’−ジメチルアミノ)シクロヘキシル基、2−アミノシクロヘキシル基、2−(N,N’−ジメチルアミノ)シクロヘキシル基、4−カルボキシシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、2−カルボキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
前記の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基を有する芳香族炭化水素基としては、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−カルボキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基等が挙げられる。
前記の1価の炭化水素基は、炭素数1〜20が好ましく、炭素数2〜16がより好ましい。
【0015】
は、好ましくは−L−X−Rで表される基であり、より好ましくは−L−X−L−X−R10で表される基である。Rがこれらの基であると、本発明の化合物の有機溶媒への溶解度が向上する傾向がある。
及びLは、互いに独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が挙げられる。
は、好ましくは炭素数1〜5のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数2〜4のアルカンジイル基である。
は、好ましくは炭素数1〜4のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数1〜2のアルカンジイル基である。
【0016】
及びXは、−CO−O−である。Xとしては、*−O−CO−(*は、Lとの結合手を表す。)であることが好ましい。Xが*−O−CO−であると、本発明の化合物の製造が容易である。
は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。Rで表される脂肪族炭化水素基としては、Rで表される1価の脂肪族炭化水素基として挙げた基のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
10は、水素原子、メチル基又はエチル基である。
【0017】
−L−X−Rで表される基としては、例えば、式(f−1)〜式(f−25)でそれぞれ表される基(各式中、●は窒素原子との結合手を表す。)等が挙げられる。中でも、−L−X−L−X−R10が好ましく、例えば、式(f−1)〜式(f−20)で表される基が挙げられ、より好ましくは式(f−1)、式(f−2)、式(f−5)、式(f−6)、式(f−9)、式(f−10)、式(f−13)、式(f−14)、式(f−17)又は式(f−18)で表される基が挙げられ、さらに好ましくは、式(f−2)、式(f−6)、式(f−10)、式(f−14)又は式(f−18)で表される基が挙げられる。
【0018】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】
は、水素原子、シアノ基、又はカルバモイル基である。中でも、シアノ基が、原料を入手しやすい点で、好ましい。
【0023】
で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。該アルキル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。水素原子がハロゲン原子で置換されている炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
としては、メチル基又はトリフルオロメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0024】
〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又は式(Ia)で表される基であり、R〜Rのうち少なくとも1つは式(Ia)で表される基である。化合物(I)が式(Ia)で表される基を有することで、化合物(I)の有機溶媒への溶解性が高くなる傾向にある。中でも、Rが式(Ia)で表される基であることが好ましい。
化合物(I)は、R〜Rとして、式(Ia)で表される基に加え、水素原子、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、塩素原子又は臭素原子を有することが好ましい。
【0025】

は、炭素数1〜8のアルカンジイル基である。該アルカンジイル基としては、L及びLで表される炭素数1〜8のアルカンジイル基として挙げたものと同じ基が挙げられる。炭素数1〜4のアルカンジイル基が好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
【0026】
また、R〜Rのうち少なくとも1つがニトロ基であることが好ましい。化合物(I)がニトロ基を有すると、分光濃度が高くなる傾向がある。R〜Rのうち、ニトロ基は好ましくは1〜2つ、より好ましくは1つである。中でも、R又はRがニトロ基であることが好ましく、さらにRがニトロ基であることがより好ましい。ニトロ基がこれらの位置にあると、さらに分光濃度が高くなる傾向がある。
【0027】
炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、1−(1−メチルエチル)ブチル基、1−(1−メチルエチル)−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−n−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1−(1−メチルエチル)ペンチル基、1−ブチルブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−エチル−1−メチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、4,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−エチル−3−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、2−エチル−1−メチルペンチル基、2−エチル−2−メチルペンチル基、2−エチル−3−メチルペンチル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、3−エチル−1−メチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、3−エチル−4−メチルペンチル基、1−プロピル−1−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルブチル基、1−プロピル−3−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−1−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−2−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−3−メチルブチル基、1,1−ジエチルブチル基、1,2−ジエチルブチル基等の分枝鎖状アルキル基が挙げられる。
【0028】
炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0029】
炭素数2〜8のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、1−エトキシプロピル基、2−エトキシプロピル基、1−エトキシ−1−メチルエチル基、1−メチル−2−エトキシエチル基、1−(1−メチルエトキシ)プロピル基、2−(1−メチルエトキシ)プロピル基、1−(1−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、2−(1−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、3−エトキシプロピル基等が挙げられる。
【0030】
化合物(I)としては、例えば、表1〜4に示す化合物(I−1)〜化合物(I−126)等が挙げられる。表1〜4中、Rの欄は、上記に例示した基の式の番号を記す。
【0031】

【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
中でも、化合物(I−1)〜化合物(I−22)、化合物(I−45)、化合物(I−46)、化合物(I−65)、化合物(I−66)、化合物(I−85)、化合物(I−86)及び化合物(I−105)〜化合物(I−126)が好ましく、化合物(I−45)、化合物(I−46)、化合物(I−65)、化合物(I−66)、化合物(I−85)、化合物(I−21)、化合物(I−125)及び化合物(I−86)がより好ましい。
化合物(I)がこれらの化合物であれば、有機溶媒への溶解性がより高い傾向にある。
【0037】
本発明の化合物を製造する方法について説明する。
化合物(I)において、例えば、Rが式(Ia)で表される基である場合、式(a4)で表されるアゾ化合物が有するカルボキシ基と、式(a5)で表される化合物が有するヒドロキシ基とを反応(エステル化)させることにより、式(Iaa)で表される化合物(以下「化合物(Iaa)」という場合がある)を得ることができる。R〜Rのいずれかが式(Ia)で表される基である場合も、化合物(Iaa)を製造する方法と同様にして、製造することができる。
【0038】

【0039】
[式(a4)及び式(a5)中、R〜R及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0040】

【0041】
[式(Iaa)中、R〜R及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0042】
式(a4)で表されるアゾ化合物は、特公平7−88633号公報記載の方法に準じ、式(a2)で表されるジアゾニウム塩と式(a3)で表されるピリドン化合物とをジアゾカップリングさせることにより製造できる。
式(a2)で表されるジアゾニウム塩は、例えば、式(a1)で表されるアミンを、亜硝酸、亜硝酸塩又は亜硝酸エステルによりジアゾ化することによって得ることができる。
式(a3)で表されるピリドン化合物は、例えば、式(a4)で表されるアミンを、式(a5)で表される化合物と式(a6)で表される化合物と反応させることによって得ることができる。
【0043】



【0044】
[式(a1)、式(a2)、式(a3)、式(a4)、式(a5)及び式(a6)中、R〜Rは、それぞれ上記と同じ意味を表す。Aは、無機アニオン又は有機アニオンを表す。]
【0045】
前記無機アニオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン等が挙げられる。
前記有機アニオンとしては、例えば、CHCOO、PhCOO等が挙げられる。
好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、CHCOOが挙げられる。
【0046】
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と、式(a3)で表されるピリドン化合物とを、水性溶媒中でジアゾカップリングさせることにより、式(a4)で表されるアゾ化合物を製造することができる。反応温度は、−5℃〜60℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、1時間〜4時間がより好ましい。前記水性溶媒としては、水、N−メチルピロリドン等が挙げられ、水が好ましい。
【0047】
次いで、式(a4)で表されるアゾ化合物と式(a5)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下でエステル化反応させることにより、化合物(Iaa)を得ることができる。
該エステル化反応には、縮合剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩及びジシクロヘキシルカルボジイミド等)及び/又は添加剤(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、トリエチルアミン、(±)−10−カンファースルホン酸等)を用いることが好ましい。反応温度は、−5℃〜60℃が好ましく、0℃〜30℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。
【0048】
式(a5)で表される化合物の使用量は、式(a4)で表されるアゾ化合物1モルに対して、0.5〜10モルが好ましく、より好ましくは1〜5モルである。
前記有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;N−メチルピロリドン等のアミド溶媒;が挙げられる。
【0049】
本発明の化合物において、Rが、−L−X−Rで表される基であり、かつXが、*−O−CO−である化合物(I)(*は、Lとの結合位置を表す。)である場合、すなわち式(Ib)で表される化合物(以下「化合物(Ib)」ということがある)である場合の製造方法について説明する。
【0050】

【0051】
[式(Ib)中、R〜R、R、L及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0052】
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と、式(b3)で表されるピリドン化合物とを、前記と同様の方法でジアゾカップリングさせることにより、式(b4)で表されるアゾ化合物を製造することができる。
【0053】

【0054】
[式(b3)及び式(b4)中、R〜R及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0055】
次いで、式(b4)で表されるアゾ化合物と式(b5)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下で反応させることにより、式(b6)で表されるアゾ化合物を得ることができる。反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、1時間〜4時間がより好ましい。
【0056】

【0057】
[式(b5)及び式(b6)中、R〜R、R及びLは、それぞれ前記と同じ意味を表す。Zは塩素原子又は臭素原子を表す。]
前記有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶媒;ニトロベンゼン等のニトロ炭化水素溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;N−メチルピロリドン等のアミド溶媒;が挙げられる。
【0058】
式(b5)で表される化合物の使用量は、式(b4)で表されるアゾ化合物1モルに対して、1モル以上8モル以下であり、好ましくは1モル以上4モル以下である。
【0059】
次いで、式(b6)で表されるアゾ化合物と式(a5)で表される化合物とを、前記と同様の方法でエステル化反応させることにより、化合物(Ib)を得ることができる。
【0060】
本発明の化合物において、Rが、−L−X−Rで表される基であり、かつXが、*−CO−O−である化合物(I)(*は、Lとの結合位置を表す。)、すなわち式(Ic)で表される化合物(以下「化合物(Ic)」ということがある)の製造方法について説明する。
【0061】

【0062】
[式(Ic)中、R〜R、R、L及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0063】
式(a2)で表されるジアゾニウム塩と、式(c3)で表されるピリドン化合物とを、前記と同様の方法でジアゾカップリングさせることにより、式(c4)で表されるアゾ化合物を製造することができる。

【0064】
[式(c3)及び式(c4)中、R〜R及びLは、それぞれ上記と同じ意味を表す。]
【0065】
次いで、式(c4)で表されるアゾ化合物と式(c5)で表される化合物とを、有機溶媒の存在下で反応させることにより、式(c6)で表されるアゾ化合物を得ることができる。反応温度は、30℃〜180℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましい。反応時間は、1時間〜12時間が好ましく、1時間〜4時間がより好ましい。
ここで用いられる有機溶媒としては、式(b4)で表されるアゾ化合物と式(b5)で表される化合物との反応で用いられるものと同じ溶媒が挙げられる。
【0066】

【0067】
[式(c5)及び式(c6)中、R〜R、R及びLは、それぞれ前記と同じ意味を表す。]
式(c5)で表される化合物の使用量は、式(c4)で表されるアゾ化合物1モルに対して、1モル以上8モル以下であり、好ましくは1モル以上4モル以下である。
【0068】
式(c4)で表されるアゾ化合物と式(c5)で表される化合物との反応をスムーズに進行させるために、酸性触媒を加えるとさらに好ましい。酸性触媒としては、硫酸、塩酸等の鉱酸等が挙げられる。
これらの触媒の使用量は任意であるが、好ましくは式(c5)で表される化合物1モルに対して、0.01〜4モル、さらに好ましくは、0.8〜2モルである。
【0069】
次いで、式(c6)で表されるアゾ化合物と式(a3)で表される化合物とを、前記と同様の方法でエステル化反応させることにより、化合物(Ic)を得ることができる。
【0070】
反応混合物から目的化合物である本発明の化合物を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法が採用できる。例えば、反応混合物を酸(例えば、酢酸等)及び水と共に混合し、析出した結晶を濾取することが好ましい。前記酸は、予め酸の水溶液を調製してから、反応混合物を前記水溶液に添加することが好ましい。反応混合物を添加するときの温度は、10℃以上50℃以下、好ましくは20℃以上50℃以下、好ましくは20℃以上30℃以下である。また反応混合物を酸の水溶液に添加後は、同温度で0.5〜2時間程度攪拌することが好ましい。濾取した結晶は、水等で洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶等の公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0071】
本発明の染料は、化合物(I)を含有する。本発明の染料は、化合物(I)のみからなる染料であってもよいし、化合物(I)以外の後述する染料を含んでいてもよい。本発明の染料は、化合物(I)を、好ましくは70〜100重量%の割合で含有する。
【0072】
化合物(I)は、有機溶媒への溶解性に優れているので、着色感光性樹脂組成物の着色剤として有用である。かかる着色感光性樹脂組成物は、本発明の化合物を含む着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)、樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含む。
【0073】
着色剤(A)は、化合物(I)のほかに、さらに化合物(I)とは異なる染料及び/又は顔料を含んでいてもよい。
化合物(I)以外の染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)、又はバット(Vat)に分類されている化合物等が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0074】
顔料としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。
また有機顔料及び無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0075】
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173及び180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65及び71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255及び、264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37及び38;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36及び47等。
【0076】
着色剤(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%である。ここで、固形分とは、着色感光性樹脂組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤(A)中の化合物(I)の含有量は、好ましくは3〜100質量%である。
化合物(I)、化合物(I)とは異なる染料及び顔料は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含む樹脂であることがより好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0078】
樹脂(B)としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0079】
樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000〜35,000が好ましく、より好ましくは6,000〜30,000である。
樹脂(B)の酸価は、50〜150が好ましく、より好ましくは60〜135である。
樹脂(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、7〜65質量%であり、好ましくは13〜60質量%である。
【0080】
重合性化合物(C)は、光又は熱の作用によって重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合を開始しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。
例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
【0081】
前記の重合性化合物(C)としては、重合性基を3以上有する光重合性化合物であることが好ましい。ここで重合性基とは、前記の活性ラジカル、酸等によって重合反応する基のことをいう。重合性基を3以上有する光重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。前記の重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合性化合物(C)の分子量は、通常150〜800、好ましくは190〜700である。
重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0082】
前記の重合開始剤(D)としては、活性ラジカル発生剤、酸発生剤等が挙げられる。活性ラジカル発生剤は光又は熱の作用によって活性ラジカルを発生する。
【0083】
前記の活性ラジカル発生剤としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン化合物;
2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン化合物;
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等のトリアジン化合物;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。
【0084】
前記の酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。
前記の光重合開始剤(D)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
光重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計量に対して、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。光重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上することから好ましい。
【0086】
溶剤(E)としては、例えば、エーテル、ケトン、アルコール、エステル、アミド等が挙げられる。
【0087】
前記のエーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0088】
前記のケトンとしては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
前記のアルコールとしては、例えば、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0089】
前記のエステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0090】
前記のアミドとしては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
着色感光性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0092】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0093】
本発明の化合物は、染料として有用である。有機溶媒への溶解性が高いことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
また、上述の着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタをその構成部品の一部として備える表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で、利用することができる。
【実施例】
【0094】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例、参考例及び比較例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
【0095】
以下の実施例において、化合物の構造はNMR(JMM−ECA−500;日本電子(株)製)で確認した。
【0096】
実施例1
5−ニトロアントラニル酸(東京化成工業(株)製)18.2部に水80部を加えた後、水酸化ナトリウム0.4部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム水溶液19.7部を加え、ついで35%塩酸26.2部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0097】
一方、アセト酢酸エチルエステル(東京化成工業(株)製)26.0部、シアノ酢酸メチル(東京化成製)20.8部及び2−アミノエタノール(和光純薬工業(株)製)24.4部を混合し、95℃で24時間攪拌した。上記の反応液を室温まで冷却後、水304部、35%塩酸35部の混合液中に添加し室温で1時間攪拌した。析出した結晶を吸引ろ過の残渣として取得後乾燥し、式(d1)で表される化合物20.4部を得た。
【0098】

【0099】
ついで、式(d1)で表される化合物20.4部を水100部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを9.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d2)で表される化合物を38.7部得た。
【0100】

【0101】
式(d2)で表される化合物30.1部に、式(d3)で示される化合物25.7部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d4)で表される化合物37.0部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0102】

【0103】
<式(d4)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H,t),2.49(2H,t),2.49(2H,t),2.56(3H,s),3.96(2H,q),4.10(2H,t),4.23(2H,t),8.16(1H,d),8.46(1H,dd),8.70(1H,d),14.50(1H,bs),15.56(1H,s).
【0104】
式(d4)で表される化合物30.2部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.25部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.2部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16.4部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−45)で表される化合物29.0部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0105】

【0106】
<式(I−45)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H,t),2.49(2H,t),2.49(2H,t),2.56(3H,s),2.83(2H,m),3.45(1H,m),3.97(2H,q),4.11(2H,t),4.23(2H,t),4.45(2H,m),8.21(1H,d),8.51(1H,dd),8.74(1H,d),15.03(1H).
【0107】
得られた式(I−45)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=435nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0108】
比較例1
実施例1において、5−ニトロアントラニル酸の代わりに2−アミノテレフタル酸を用い、式(d1)で表される化合物の代わりに式(e1)で表される化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、式(i)で表される化合物を得た。
【0109】

【0110】
得られた式(i)で表される化合物0.35gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=440nmで、モル吸光係数は、42000にとどまった。
【0111】
〔溶解性の評価〕
実施例1及び比較例1で得られた化合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略す)、乳酸エチル(以下、ELと略す)、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略す)への溶解度を、以下のようにして求めた。
50mLサンプル管中、下記の割合で化合物と上記溶媒とを混合し、その後、サンプル管を密栓し、30℃で3分間超音波振とう機にて振とうさせた。ついで室温で30分間放置後、濾過し、その残渣を目視で観察した。残渣として不溶物が確認できなかった場合、溶解性は良好であると判断して表5に○と記し、不溶物が確認できた場合は、溶解性は不良であると判断して表5に×と記した。結果を表5に示す。
0.5% 化合物0.01g、溶媒2g
1% 化合物0.01g、溶媒1g
3% 化合物0.03g、溶媒1g
【0112】
【表5】

【0113】
参考例1
〔着色感光性樹脂組成物の調製〕
(I−45)着色剤:実施例1で合成した化合物 20部
(B−1)樹脂:メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比;30/70;重量平均分子量10700、酸価70mgKOH/g) 70部
(C−1)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製) 30部
(D−1)光重合開始剤:ベンジルジメチルケタール(イルガキュア(登録商標)651;BASFジャパン社製) 15部
(E−1)溶剤:N,N−ジメチルホルムアミド 680部
を混合して着色感光性樹脂組成物を得る。
【0114】
〔カラーフィルタの作製〕
ガラス上に、上記で得た着色感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、揮発成分を揮発させる。冷却後、パターンを有する石英ガラス製フォトマスク及び露光機を用いて光照射する。光照射後に、水酸化カリウム水溶液で現像し、オーブンで加熱してカラーフィルタを得る。
【0115】
実施例2
4−ニトロアントラニル酸(東京化成工業(株)製)18.0部に水80部を加えた後、水酸化ナトリウム0.4部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム水溶液19.8部を加え、ついで35%塩酸26.1部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。ついで、式(d1)で表される化合物20.3部を水100部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを9.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d5)で表される化合物を38.4部得た。
【0116】

【0117】
<式(d5)で表される化合物の同定>
1H-NMR: 2.38(3H,s),3.53(2H,dd),3.89(2H,t),5.23(1H,bs),7.83(1H,dd),8.04(1H,d),8.11(1H,d),16.56(1H,s).
【0118】
式(d5)で表される化合物30.0部に、式(d3)で示される化合物25.6部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d6)で表される化合物36.9部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0119】

【0120】
<式(d6)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.11(3H,t),2.48(2H,t),2.48(2H,t),2.55(3H,s),3.95(2H,q),4.09(2H,t),4.22(2H,t),7.83(1H,dd),8.04(1H,d),8.11(1H,d),14.52(1H,bs),15.54(1H,s).
【0121】
式(d6)で表される化合物30.1部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.20部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.3部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16.4部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−46)で表される化合物29.1部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0122】

【0123】
<式(I−46)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H,t),2.49(2H,t),2.49(2H,t),2.56(3H,s),2.83(2H,m),3.45(1H,m),3.97(2H,q),4.11(2H,t),4.23(2H,t),4.45(2H,m),7.83(1H,dd),8.04(1H,d),8.11(1H,d),15.10(1H).
【0124】
得られた式(I−46)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=425nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0125】
実施例3
式(d5)で表される化合物30.2部に、式(d7)で示される化合物25.4部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d8)で表される化合物37.3部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0126】

【0127】
<式(d8)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),4.11(2H),4.23(2H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),14.50(1H),15.03(1H).
【0128】
式(d8)で表される化合物30.0部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.26部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.4部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩17.0部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−86)で表される化合物28.4部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0129】

【0130】
<式(I−86)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),2.83(2H), 3.45(1H),4.11(2H),4.23(2H),4.45(2H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),15.03(1H).
【0131】
得られた式(I−86)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=425nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0132】
実施例4
式(d2)で表される化合物30.0部に、式(d7)で示される化合物25.2部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d9)で表される化合物36.9部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0133】

【0134】
<式(d9)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),4.11(2H),4.23(2H),8.22(1H),8.50(1H),8.75(1H),14.50(1H),15.03(1H).
【0135】
式(d9)で表される化合物30.1部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.27部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.5部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩17.1部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−85)で表される化合物28.4部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0136】

【0137】
<式(I−85)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),2.83(2H), 3.45(1H),4.11(2H),4.23(2H),4.45(2H),8.20(1H),8.53(1H),8.76(1H),15.05(1H).
【0138】
得られた式(I−85)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=435nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0139】
実施例5
5−ニトロアントラニル酸(東京化成工業(株)製)18.2部に水80部を加えた後、水酸化ナトリウム0.4部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム水溶液19.7部を加え、ついで35%塩酸26.2部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0140】
一方、アセト酢酸エチルエステル(東京化成工業(株)製)26.0部、シアノ酢酸メチル(東京化成製)20.8部及び2−アミノエタノール(和光純薬工業(株)製)30.0部を混合し、95℃で24時間攪拌した。上記の反応液を室温まで冷却後、水304部、35%塩酸35部の混合液中に添加し室温で1時間攪拌した。析出した結晶を吸引ろかの残渣として取得後乾燥し、式(d10)で表される化合物21.9部を得た。
【0141】

【0142】
<式(d10)で表される化合物の同定>
H−NMR:1.10(3H,t),2.49(2H,t),2.49(2H,t),2.56(3H,s),3.96(2H,q),4.10(2H,t),4.23(2H,t),8.16(1H,d),8.46(1H,dd),8.70(1H,d),14.50(1H,bs),15.56(1H,s)
【0143】
ついで、式(d10)で表される化合物21.9部を水100部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを9.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d11)で表される化合物を42.3部得た。
【0144】

【0145】
<式(d11)で表される化合物の同定>
1H-NMR: 1.12(3H),2.38(3H),3.53(2H),3.89(1H),5.23(1H),8.21(1H),8.52(1H),8.75(1H),15.44(1H).
【0146】
式(d11)で表される化合物32.9部に、式(d3)で示される化合物25.7部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d12)で表される化合物38.0部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0147】

【0148】
<式(d12)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H),1.12(3H),2.49(2H),2.49(2H),2.56(3H),3.96(2H),4.10(2H),4.23(1H),8.16(1H),8.46(1H),8.70(1H),14.50(1H),15.56(1H)。
【0149】
式(d12)で表される化合物31.0部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.25部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.2部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16.4部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−65)で表される化合物29.7部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0150】

【0151】
<式(I−65)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H),1.12(3H),2.49(2H),2.49(2H),2.56(3H),2.83(2H),3.45(1H),3.97(2H),4.11(2H),4.23(1H),4.45(2H),8.21(1H),8.51(1H),8.74(1H),15.50(1H)。
【0152】
得られた式(I−65)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=434nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0153】
実施例6
4−ニトロアントラニル酸(東京化成工業(株)製)18.3部に水80部を加えた後、水酸化ナトリウム0.4部を加え、溶解させた。氷冷下、35%亜硝酸ナトリウム水溶液19.7部を加え、ついで35%塩酸26.2部を少しずつ加えて溶解させ2時間撹拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0154】
ついで、式(d10)で表される化合物21.9部を水100部に懸濁させ、水酸化ナトリウムを用いて、pHを9.0に調整した。ここに、前記ジアゾニウム塩を含む懸濁液を15分かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌することで黄色の懸濁液を得た。1時間攪拌した。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(d13)で表される化合物を42.5部得た。
【0155】

【0156】
<式(d13)で表される化合物の同定>
1H-NMR: 1.12(3H),2.38(3H),3.53(2H),3.89(1H),5.23(1H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),15.95(1H).
【0157】
式(d13)で表される化合物32.9部に、式(d3)で示される化合物25.7部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d14)で表される化合物36.9部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0158】

【0159】
<式(d14)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H),1.12(3H),2.49(2H),2.49(2H),2.56(3H),3.96(2H),4.10(2H),4.23(1H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),14.50(1H),15.56(1H).
【0160】
式(d14)で表される化合物30.9部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.25部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.2部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩16.4部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−66)で表される化合物28.7部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0161】

【0162】
<式(I−66)で表される化合物の同定>
1H-NMR:1.10(3H),1.12(3H),2.49(2H),2.49(2H),2.56(3H),2.83(2H),3.45(1H),3.97(2H),4.11(2H),4.23(1H),4.45(2H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),15.80(1H).
【0163】
得られた式(I−66)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=424nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0164】
実施例7
式(d13)で表される化合物30.5部に、式(d7)で示される化合物27.0部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d15)で表される化合物37.2部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0165】

【0166】
<式(d15)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.14(3H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),4.11(2H),4.23(1H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),14.48(1H),15.01(1H).
【0167】
式(d15)で表される化合物30.8部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.26部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.4部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩17部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−125)で表される化合物28.3部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0168】

【0169】
<式(I−125)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.15(3H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),2.83(2H), 3.45(1H),4.11(2H),4.23(1H),4.45(2H),7.83(1H),8.04(1H),8.11(1H),15.03(1H).
【0170】
得られた式(I−125)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=425nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0171】
実施例8
式(d11)で表される化合物30.6部に、式(d7)で示される化合物26.8部を加え、N−メチルピロリドンの溶媒中、70℃で、3時間攪拌した。反応終了後、水にチャージし、式(d16)で表される化合物37.1部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0172】

【0173】
<式(d16)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.14(3H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),4.11(2H),4.23(1H),8.21(1H),8.51(1H),8.74(1H),14.48(1H),15.01(1H).
【0174】
式(d16)で表される化合物30.6部に、(±)−10−カンファースルホン酸1.89部、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン3.26部、2,3−エポキシ−1−プロパノール15.4部及びクロロホルム450部加え、5℃で攪拌した。この懸濁液に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩17部をクロロホルム197部に溶解させた溶液を5℃の温度を保ちながら滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸と飽和食塩水で洗浄した。分液ロートを用いて有機層を取り出し、硫酸マグネシウムを加え乾燥させ、ろ過した。ろ液をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、60℃で減圧乾燥して、式(I−21)で表される化合物28.6部を得た。H−NMRにて構造を確認した。
【0175】

【0176】
<式(I−21)で表される化合物の同定>
1H-NMR:0.75(3H),0.77(3H),1.08(2H),1.15(3H),1.18(2H),1.37(2H),1.42(2H),2.16(1H),2.55(3H),2.83(2H), 3.45(1H),4.11(2H),4.23(1H),4.45(2H), 8.23(1H),8.55(1H),8.78(1H),15.24(1H).
【0177】
得られた式(I−21)で表される化合物0.10gをジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.0080g/L)、紫外可視分光光度計(V−650DS;日本分光(株)製)(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=433nmで、鮮やかな黄色を呈し、モル吸光係数は、48000と高い値を示した。
【0178】
実施例2〜8で得られた化合物について、実施例1と同様の方法で溶解性の評価を行った。結果を表6に示す。
【0179】
【表6】

【0180】
表5及び表6の結果から、本発明の化合物は有機溶媒に対して高い溶解度を示すことがわかる。
【0181】
参考例2
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例2で合成した式(I−46)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0182】
参考例3
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例3で合成した式(I−86)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0183】
参考例4
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例4で合成した式(I−85)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0184】
参考例5
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例5で合成した式(I−65)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0185】
参考例6
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例6で合成した式(I−66)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0186】
参考例7
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例7で合成した式(I−125)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0187】
参考例8
実施例1で合成した式(I−45)で表される化合物を、実施例8で合成した式(I−21)で表される化合物に代える以外は、参考例1と同様にして、着色感光性樹脂組成物及びカラーフィルタを得る。
【0188】
本発明の化合物を含む着色感光性樹脂組成物を用いれば、異物の発生が少なく、高品質なカラーフィルタを作製することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れ、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。

[式(I)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
2は、水素原子、シアノ基、又はカルバモイル基を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
〜Rは、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又は式(Ia)で表される基を表し、R〜Rのうち少なくとも1つは式(Ia)で表される基を表す。]

[式(Ia)中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。]
【請求項2】
が、式(Ia)で表される基である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、−L−X−Rで表される基である請求項1又は2記載の化合物。
[式中、Lは、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。Xは、−CO−O−を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。]
【請求項4】
が、−L−X−L−X−R10で表される基である請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
[式中、L及びLは、互いに独立に、炭素数1〜8のアルカンジイル基を表す。X及びXは、−CO−O−を表す。R10は、水素原子、メチル基又はエチル基を表す。]
【請求項5】
が、*−O−CO−である請求項3又は4記載の化合物。
[式中、*は、Lとの結合手を表す。]
【請求項6】
〜Rのうち少なくとも1つがニトロ基である請求項1〜5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の化合物を有効成分とする染料。

【公開番号】特開2012−62461(P2012−62461A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104954(P2011−104954)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】