説明

化学修飾リガーゼ補因子、ドナーおよびアクセプター

本明細書では、修飾ライゲーション構成要素、特に修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプターおよび修飾ドナーを含有するポリヌクレオチドのライゲーション方法を提供する。該方法は、修飾補因子の使用によってマッチ鋳型とミスマッチ鋳型の識別が改善される、核酸配列を検出するためのライゲーション系アッセイに容易に適用される。さらに、修飾ライゲーション構成要素の使用によって、核酸鋳型が存在しない場合のライゲーションが低減または排除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年7月6日出願の「化学修飾リガーゼ補因子、ドナーおよびアクセプター」と題する米国特許仮出願第61/223,364号に基づく優先権を主張し、その全体はあらゆる目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の説明
米国政府は、国立一般医科学研究所による認可番号GM085860に従って本発明の一定の権利を有する。
【0003】
本明細書では、核酸ライゲーションのための方法および組成物を提供する。特定の態様および実施形態では、該方法および組成物は、マッチ核酸標的とミスマッチ核酸標的の間のリガーゼ特異性を改善し、かつ/または修飾リガーゼ補因子、ドナーおよびアクセプターならびにその組合せを使用して鋳型非依存性ライゲーションを低減もしくは阻害する。
【背景技術】
【0004】
以下の説明は、読み手の理解を支援するために提供されるものである。提供される情報または引用される参考文献はいずれも、本発明に対する従来技術であると認めるものではない。
【0005】
核酸リガーゼは、ATPまたはNAD+などの補因子の存在下で、核酸(例えばRNAまたはDNA)の隣接する3’−ヒドロキシル末端と5’−ホスホリル末端の間のホスホジエステル結合の形成を触媒する種類の酵素に属する。リガーゼは、核酸配列検出、一塩基多型(SNP)検出、タンパク質検出、ライゲーションによるシークエンシングおよびリガーゼ連鎖反応(LCR)を含むいくつかの分子生物学用途において用いられる。
【0006】
生化学的忠実度の実験では、DNAリガーゼは、様々な核酸基質のミスマッチに許容性を示すことが見出されている。例えば、T4DNAリガーゼは、ミスマッチに対する許容性を有する結果、103個のミスマッチ二本鎖のうち1個を封鎖する傾向がある。Showalter,A.K.ら、106 Chem.Rev、340〜360頁(2006年)。それと比較して、従来のDNAポリメラーゼの誤差率は、105〜106個のdNTP挿入のうち約1個という誤差であり、これはリガーゼよりも数桁高い忠実度である。DNAリガーゼの他の非定型接合反応には、分子内のループ形成(Western,L.ら、19 Nucleic Acids Res、809〜813頁(1991年))、非オーバーラップの平滑末端二本鎖の接合(Barringer,K.ら、89 Gene、117〜122頁(1990年)、Cao,W.、22 Trends Biotechnol.、38〜44頁(2004年))および鋳型非依存性反応(Barringer,K.ら、Kuhn,H.ら、272 FEBS J、5991〜6000頁(2005年))が含まれる。
【0007】
DNAライゲーションの忠実度を改善するための様々な手法が記載されている。例えば、Luo,J.ら、24 Nucleic Acids Res、3079〜3085頁(1996年)は、3’−OHから上流の3番目のヌクレオチドの修飾、ユニバーサル塩基である3−ニトロピロールを有するアクセプターおよびリガーゼタンパク質の部位特異的な突然変異誘発を開示している。Tong,J.ら、27 Nucleic Acids Res、788〜794頁(1999年);Feng,H.ら、43 Biochemistry、12648〜12659頁(2004年);Jeon,H.ら、237 FEMS Microbiol Lett.、111〜118頁(2004年);Lim,J.ら、388 Arch Biochem Biophys.、253〜260頁(2001年);およびLuo,J.ら、24 Nucleic Acids Res、3071〜3078頁(1996年)は、DNAリガーゼの変異するアミノ酸残基を開示している。Cao,W.、22 Trends Biotechnol.、38〜44頁(2004年)は、ライゲーション反応におけるエンドヌクレアーゼの使用を開示している。Egholm,M.ら、US特許第6,297,016は、アクセプターの修飾を開示している。Fung,S.ら、US特許第5,593,826号は、3’−NH2置換アクセプタープローブを開示している。Bandaru,R.ら、US特許第6,811,986号および同第6,635,425号は、ドナーの(5’−リン酸)鎖における5’−チオリン酸の使用を開示している。
【0008】
修飾リガーゼ補因子は、リガーゼ補因子依存性を決定するために、ライゲーション阻害剤として使用されている。例えば、Montecucco,A.ら、271 Biochem J.、265〜268頁(1990年);Shuman,S.、34 Biochemistry、16138〜16147頁(1995年);Raae,A.ら、81 Biochem.Biophys.Res.Commun.、24〜27頁(1978年);Cherepanov,A.V.ら、269 Eur.J.Biochem.、5993〜5999頁(2002年);Belford,H.G.ら、268 J Biol Chem、2444〜2450頁(1993年);Doherty,A.J.ら、271 J Biol Chem、11083〜11089頁(1996年);Ho,C.K.ら、71 J Virol、1931〜1937頁(1997年);Lai,X.ら、6 Extremophiles、469〜477頁(2002年);およびSriskanda,V.ら、28 Nucleic Acids Res、2221〜2228頁(2000年)参照。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、核酸ライゲーションのための方法および組成物を提供する。これらの方法は、核酸ライゲーション反応における核酸リガーゼ、核酸基質、リガーゼ補因子、ドナー、アクセプターの使用を含む。特定の態様では、該方法は、修飾リガーゼ補因子、修飾ドナー、修飾アクセプターまたはその組合せ(本明細書ではまとめて「修飾リガーゼ構成要素」と呼ぶ)の使用を伴い、これにより、核酸ライゲーションの忠実度を改善する。好ましい実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、修飾ATPおよび修飾NAD+である。
【0010】
一態様によれば、標的核酸の変異を検出する方法を提供する。本発明で提供する諸態様の特定の実施形態では、該方法は、標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は修飾されており、そして、ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターすることを含み、ここで、ライゲーションの量は、変異の有無を示すことを特徴とする。
【0011】
第2の態様では、標的核酸の一塩基多型(SNP)部位における代替塩基の1つの有無を検出する方法を提供する。本発明で提供する諸態様の特定の実施形態では、該方法は、標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は修飾されており、そして、ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターすることを含み、ここで、ライゲーションの量は、標的核酸の一塩基多型(SNP)部位において代替塩基の1つの有無を示すことを特徴とする。
【0012】
第3の態様では、標的核酸中の第1の核酸配列または第2の核酸配列の存在を識別する方法を提供する。本発明で提供する諸態様の特定の実施形態では、該方法は、標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は修飾されており、そして、ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターすることを含み、ここで、ライゲーションした核酸の存在または量は、標的核酸中の第1の核酸配列の存在もしくは量を示し、および/または標的核酸中の第2の核酸配列の非存在を示し、ライゲーションの非存在は、標的核酸中の第1の核酸配列の非存在を示すことを特徴とする。
【0013】
第4の態様では、標的核酸の特定の位置における特定のヌクレオチドの有無を決定する方法を提供する。本発明で提供する諸態様の特定の実施形態では、該方法は、標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は修飾されており、そして、ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターすることを含み、ここで、ライゲーションした核酸の存在は、標的核酸の特定の位置における特定のポリヌクレオチドの存在を示し、ライゲーションの非存在は、標的核酸の特定の位置における特定のポリヌクレオチドの非存在を示すことを特徴とする。
【0014】
第5の態様では、本発明で提供する組成物を含むキットおよび本発明で提供する方法を実施するためのキットを提供する。本明細書に記載の通りライゲーションを実施するための修飾ライゲーション構成要素を含むキットも提供する。例えばキットは、酵素であるリガーゼおよび修飾補因子を含有して、対立遺伝子に特異的な産物などの共通の核酸標的を検出することができる。修飾ライゲーション構成要素を含有するキットは、核酸ライゲーション用に印を付された容器、核酸ライゲーションを実施するための指示、ならびに/または修飾補因子、核酸リガーゼおよび反応バッファーからなる群から選択される1つもしくは複数の試薬を含むことができる。修飾ライゲーション構成要素を含有するキットは、1つまたは複数のドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドを含むこともできる。一実施形態では、修飾ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドは修飾されている。キットは、核酸ライゲーション用に印を付された容器、核酸ライゲーションを実施するための指示、ならびに少なくとも1つの修飾ライゲーション構成要素および/またはリガーゼ補因子、核酸リガーゼ、マグネシウム、ドナー配列、アクセプター配列および反応バッファーからなる群から選択される1つもしくは複数の試薬を含むことができる。
【0015】
本発明で提供される第6の態様では、本明細書に記載の通りライゲーションを実施するための修飾ライゲーション構成要素を同定する方法も提供する。いくつかの実施形態では、該方法は、天然ライゲーション構成要素または他の修飾ライゲーション構成要素と比較して高い特異性を有する修飾補因子を同定する。例えば、該方法は、マッチ鋳型またはミスマッチ鋳型の存在下での修飾補因子の性能を評価することができる。いくつかの実施形態では、ミスマッチ領域はドナープローブにハイブリダイズし、他の実施形態では、ミスマッチ領域はアクセプタープローブにハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、修飾補因子の性能は、核酸鋳型が存在しない場合のライゲーション活性の低減または阻害について評価される。いくつかの実施形態では、該方法は、天然または非修飾補因子と比較して、改善されたライゲーション特異性を有する修飾ライゲーション構成要素を同定する。いくつかの実施形態では、該方法は、修飾ライゲーション構成要素の使用が、天然または非修飾補因子と比較して類似のライゲーション率をマッチ核酸に提供するような修飾ライゲーション構成要素を同定することができる。他の実施形態では、該方法は、天然または非修飾補因子と比較して、ミスマッチ核酸の存在下で改善されたライゲーション特異性を有する修飾ライゲーション構成要素を同定することができる。さらなる他の実施形態では、該方法は、ライゲーション接合点またはライゲーション接合点の10塩基以内において1つまたは複数の塩基対のミスマッチが存在する場合のライゲーションの量または収率について、修飾ライゲーション構成要素を評価する。またさらなる実施形態では、該方法は、核酸鋳型が存在しない場合のライゲーションを低減または阻害する能力について、修飾ライゲーション構成要素を評価する。
【0016】
第7の態様では、標的核酸が存在しない場合のライゲーションを低減または阻害するための方法を提供する。本発明で提供する諸態様の特定の実施形態では、該方法は、標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートすることを含み、ここで、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は修飾されており、この方法では、その修飾ライゲーション構成要素が存在する場合、標的核酸が存在しない場合のライゲーションが低減または阻害される。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明で提供する組成物および方法は、修飾ライゲーション構成要素、特に修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプター、修飾ドナーおよびそれらの組合せを含む。特定の実施形態では、修飾ライゲーション構成要素には、本明細書でさらに詳説する式I〜IIIに図示のものが含まれる。
【0018】
本発明で提供する方法および組成物の修飾ライゲーション構成要素は、著しい利点を有する。例えば、最終使用者は、非修飾/天然補因子(すなわち、ATPおよびNAD+)、非修飾ドナープローブまたは非修飾アクセプタープローブを用いて既に行っているのと同じまたは類似のライゲーションプロトコルおよび方法を使用することができる。本発明で提供する方法および組成物の修飾ライゲーション構成要素は、既存のライゲーション系および試薬と適合性があり、追加の酵素または試薬を必要としないが、それらを使用することもできる。
【0019】
本発明で提供する方法および組成物の修飾ライゲーション構成要素は、相補的な標的の存在下での核酸ライゲーションについて、非修飾ライゲーション構成要素と比較して、好ましくは少なくともほぼ同じ効率を有する。好ましくは、修飾ライゲーション構成要素が、その対応する非修飾ライゲーション構成要素と比較して、ライゲーション反応における試薬として少なくとも50%有効性が低い場合、好ましくはその対応する非修飾ライゲーション構成要素と比較して、ライゲーション反応における試薬として少なくとも60%有効性が低い、好ましくは少なくとも70%有効性が低い、より好ましくは少なくとも80%有効性が低い、より好ましくは少なくとも90%有効性が低い、より好ましくは少なくとも95%有効性が低い、より好ましくは少なくとも99%有効性が低い、最も好ましくは100%有効性が低い場合に、非相補的またはミスマッチ標的核酸の存在下でのライゲーションが損なわれるとみなされる。当業者は、修飾ライゲーション構成要素のライゲーション活性および効率のレベルを容易に決定することができる。
【0020】
本発明で提供する方法および組成物の修飾ライゲーション構成要素は、非修飾ライゲーション構成要素と比較して、好ましくはミスマッチ標的の存在下での核酸ライゲーション効率をもたず、またはその効率が低い。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「リガーゼ補因子」は、リガーゼのリシンのε−アミノ基が、補因子(例えば、ATPまたはNAD+)のαリン酸(すなわち、アデノシン構成要素の5’酸素に直接結合しているリン酸)を攻撃して共有結合性のホスホルアミド酸結合を形成するように(例えば、図1に示す通り)、リガーゼと相互作用する化合物を指す。特定の実施形態では、リガーゼ補因子は、ATP、NAD+またはGTPである。一般にリガーゼは、ATP依存性またはNAD+依存性である。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「修飾リガーゼ補因子」は、置換基が結合しているリガーゼ補因子を指す。好ましい実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、修飾ATPまたは修飾NAD+である。いくつかの実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、2つ以上の置換基を有する。修飾補因子には、本明細書に図示した、例えば式Iのものが含まれる。特定の実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、ATP−αS(すなわち、5’−α−チオアデノシン三リン酸)、ATP−γS(すなわち、5’−[γ−チオ]−三リン酸)またはAMP−PNP(すなわち、5’−[β,γ−イミド]−三リン酸)ではない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「修飾リガーゼ補因子」に関連する用語「非修飾リガーゼ補因子」または「天然リガーゼ補因子」は、置換基を含まない対応するリガーゼ補因子を指す。例えば、修飾ATPに対する非修飾リガーゼ補因子は、ATPである。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「ドナー」、「ドナーポリヌクレオチド」、「5’−リン酸化ドナーポリヌクレオチド」または「ドナープローブ」は、アクセプターにライゲーションすることができる5’リン酸を有するポリヌクレオチドを指す。ドナーは、核酸ライゲーションに適した条件下で、相補的な標的核酸上のアクセプターの近接でハイブリダイズする場合のライゲーションに適しており、好ましくは、アクセプターおよびドナーは、相補的な標的核酸上で互いに隣接してハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ドナーは、標的核酸と相補的でない(ミスマッチである)少なくとも1つの核酸部位を有する。特定の実施形態では、ミスマッチは、対象となるヌクレオチド(例えばSNP部位)に存在する。本発明で提供する方法および組成物に適したさらなる代替のポリヌクレオチドには、それに限定されるものではないが、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、修飾リン酸−糖−主鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド類似体およびそれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、ドナーはオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、用語「修飾ドナー」、「修飾ドナーポリヌクレオチド」または「修飾ドナープローブ」は、置換基を有するドナーを指す。好ましくは、置換基は、ライゲーション接合点に近接している(例えば、ライゲーション接合点の1、2、3、4または5ヌクレオチド下流)。好ましい実施形態では、置換基は、リボースおよび/または1つもしくは複数のヌクレオチド間リン酸の2’位置にある。いくつかの実施形態では、修飾ドナーは、2つ以上の置換基を有する。修飾ドナーには、本明細書に図示した、例えば式IIIのものが含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「アクセプター」、「アクセプターポリヌクレオチド」、「3’−ヒドロキシル末端アクセプターポリヌクレオチド」または「アクセプタープローブ」は、ドナーにライゲーションすることができる3’OH基を有するポリヌクレオチドを指す。アクセプターは、核酸ライゲーションに適した条件下で、相補的な標的核酸上のドナーの近接でハイブリダイズする場合のライゲーションに適しており、好ましくは、アクセプターおよびドナーは、相補的な標的核酸上で互いに隣接してハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、アクセプターは、標的核酸と相補的でない(ミスマッチである)少なくとも1つの核酸部位を有する。特定の実施形態では、ミスマッチは、対象となるヌクレオチド(例えばSNP部位)にある。本発明で提供する方法および組成物に適したさらなる代替のポリヌクレオチドには、それに限定されるものではないが、修飾リボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、修飾リン酸−糖−主鎖オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド類似体およびそれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、アクセプターはオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、用語「修飾アクセプター」、「修飾アクセプターポリヌクレオチド」または「修飾アクセプタープローブ」は、置換基を有するアクセプターを指す。好ましくは、置換基は、ライゲーション接合点に近接している(例えば、ライゲーション接合点の1、2、3、4または5ヌクレオチド上流)。好ましい実施形態では、置換基は、リボースおよび/または1つもしくは複数のヌクレオチド間リン酸の2’位置にある。いくつかの実施形態では、修飾アクセプターは、2つ以上の置換基を有する。修飾アクセプターには、本明細書に図示した、例えば式IIのものが含まれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「置換基」は、リガーゼ補因子、ドナーまたはアクセプターに結合することができる任意の化学的な部分を指す。置換基は、それに限定されるものではないが、リン酸、糖、三リン酸、ヌクレオシド塩基部分およびヌクレオチド間結合を含む位置に結合することができる。置換基は、核酸ライゲーションの過程と適合性のある任意の性質の基であってよい。好ましい実施形態では、置換基は、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドまたはアクセプターポリヌクレオチドに結合している場合、核酸ライゲーションの特異性または忠実度を増大する(例えば、相補的な核酸をライゲーションし、非相補的な核酸をライゲーションしないか、またはそのライゲーションを低減する能力)。好ましい実施形態では、置換基は、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドまたはアクセプターポリヌクレオチドに結合している場合、置換基が存在しない場合のライゲーションと比較して、非相補的な核酸のライゲーションを低減、阻害または排除する。好ましい実施形態では、置換基は、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドまたはアクセプターポリヌクレオチドに結合している場合、相補的な核酸のライゲーションと比較して、非相補的な核酸のライゲーションを低減、阻害または排除する。好ましい実施形態では、置換基は、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドまたはアクセプターポリヌクレオチドに結合している場合、鋳型が存在しない場合のライゲーションを低減、阻害または排除する。一実施形態では、置換基は、検出可能な標識を含むことができる。したがって標識化核酸は、ライゲーション後に、その大きさ、質量、アフィニティーキャプチャーおよび/または色によって同定することができる。検出可能な標識には、それに限定されるものではないが、発色団、蛍光部分、酵素、抗原、重金属、磁気プローブ、色素、リン光基、放射性材料、化学発光部分および電気化学的な検出部分が含まれる。検出可能な標識は、好ましくは蛍光色素であり、好ましいアフィニティーキャプチャー標識はビオチンである。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「修飾ライゲーション構成要素」は、修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプターおよび修飾ドナーを指し、各構成要素を個々に、まとめて、またはそれらの組合せによって指す。例えば、修飾ライゲーション構成要素は、修飾リガーゼ補因子のみ;1種類の修飾を有する修飾リガーゼ補因子;2種類以上の修飾を有する修飾リガーゼ補因子;修飾リガーゼ補因子および修飾ドナー;修飾リガーゼ補因子および修飾アクセプター;または修飾リガーゼ補因子、修飾リガーゼアクセプターおよび修飾リガーゼドナーを指すことができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「ライゲーション」または「ライゲーションする」は、ポリヌクレオチドを接合するための、当技術分野で公知の方法を指す。好ましくは、ライゲーションは、アクセプターポリヌクレオチドの3’末端を、ドナーポリヌクレオチドの5’末端に接合することを指す。いくつかの実施形態では、二本鎖核酸のニックがライゲーションされて、ホスホジエステル結合または等価なヌクレオチド間結合を形成し、それによって鋳型核酸配列のより長い相補的なコピーが形成される。ニック付き二本鎖核酸は、相補的な核酸鋳型にハイブリダイズした3’−ヒドロキシル末端アクセプターオリゴヌクレオチドと、アクセプターオリゴヌクレオチドのすぐ下流にハイブリダイズした5’−リン酸化ドナーオリゴヌクレオチドからなる。本発明で提供する組成物および方法を伴うライゲーションは、核酸リガーゼによる接合と共に、1つまたは複数の修飾補因子、1つまたは複数の修飾ドナーおよび修飾アクセプターポリヌクレオチドを用いることができる。標的核酸上でのドナーおよびアクセプタープローブのライゲーションは、ライゲーションされるプローブのターンオーバーを伴って、またはそれなしに生じ得る。好ましくは、ライゲーションはターンオーバーを伴って生じる。鋳型核酸は、DNA、RNA、cDNA、PNA、LNAおよび/もしくは修飾核酸鋳型、またはそれらの任意の組合せであってよい。以下に記載の例示的な方法はライゲーションに関するものであるが、本発明で提供する方法および組成物に適した核酸の酵素的ライゲーションのための数々の他の方法が、当技術分野で公知である。本明細書で使用される場合、用語「ライゲーション接合点」は、ドナープローブとアクセプタープローブがライゲーションされる、鋳型に沿った2つの隣接する核酸の位置を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「リガーゼ」または「核酸リガーゼ」は、核酸をライゲーションすることができる酵素を指す。好ましくは、リガーゼは、アクセプターポリヌクレオチドの3’末端を、ドナーポリヌクレオチドの5’末端にライゲーションすることができる。他の実施形態では、ニック付き二本鎖は、DNA、RNA、cDNA、PNA、LNAおよび/もしくは他の修飾ヌクレオシド、またはそれらの任意の組合せを含有することができる。いくつかの実施形態では、リガーゼは、以下のものの1つである。バクテリオファージT4DNAリガーゼ、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)DNAリガーゼ、アクイフェクス・エオリクス(Aquifex aeolicus)DNAリガーゼ、テルムス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAリガーゼ、9°N(商標)DNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)RNAリガーゼ、フェロプラズマ・アシディフィルム(Ferroplasma acidiphilum)DNAリガーゼ、ヒトDNAリガーゼI、ヒトDNAリガーゼII、ヒトDNAリガーゼIII、ヒトDNAリガーゼIV、ワクチニアウイルスDNAリガーゼ、クロレラ(Chlorella)ウイルスDNAリガーゼ、ピュロコックス・フリオシス(Pyrococcus furiosis)DNAリガーゼ、ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)DNAリガーゼ、アシディアヌス・アムビバレンス(Acidianus ambivalens)DNAリガーゼ、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)DNAリガーゼ、アエロピュルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)DNAリガーゼ、ケナルケオン・シュンビオスム(Cenarcheon symbiosum)DNAリガーゼ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Haloarcula marismortui)DNAリガーゼ、フェロプラズマ・アシダルマヌス(Ferroplasma acidarmanus)DNAリガーゼ、ナトロノモナス・パラオシス(Natronomonas pharaosis)DNAリガーゼ、ハロクアドラタム・ウォルズビイ(Haloquadratum walsbyi)DNAリガーゼ、ハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)DNAリガーゼ、メタノコッコイデス・ブルトニ(Methanococcoides burtonii)DNAリガーゼ、メタノスピリラム・ヒュンガテイ(Methanospirillum hungatei)DNAリガーゼ、メタノカルドコックス・ヤンナスキ(Methanocaldococcus jannaschii)DNAリガーゼ、メタノピュルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)DNAリガーゼ、メタノコックス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)DNAリガーゼ、メタノサエタ・テルモフィラ(Methanosaeta thermophila)DNAリガーゼ、メタノスパエラ・スタドトマナエ(Methanosphaera stadtmanae)DNAリガーゼ、メタノテルモバクター・テルムアウトトロフィクス(Methanothermobacter thermautotrophicus)DNAリガーゼ、ナノアルカエウム・エクゥィタンス(Nanoarchaeum equitans)DNAリガーゼ、パイロコックス・アビシ(Pyrococcus abyssi)DNAリガーゼ、ピロバクルム・アエロフィルム(Pyrobaculum aerophilum)DNAリガーゼ、パイロコックス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)DNAリガーゼ、ピクロフィルス・トリドゥス(Picrophilus torridus)DNAリガーゼ、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)DNAリガーゼ、スルホロブス・シバタエ(Sulfolobus shibatae)DNAリガーゼ、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)DNAリガーゼ、スルフォロブス・トコダイ(Sulfolobus tokodaii)DNAリガーゼ、テルモプラズマ・アキドフィルム(Thermoplasma acidophilum)DNAリガーゼ、テルモコックス・フミコランス(Thermococcus fumicolans)DNAリガーゼ、テルモコックス・カダカレンシス(Thermococcus kodakarensis)DNAリガーゼ、テルモコックス種NA1DNAリガーゼ、テルモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)DNAリガーゼ、スタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DNAリガーゼ、テルムス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)NAD+−DNAリガーゼ、T4RNAリガーゼ、スタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)DNAリガーゼ、テルムス種AK16DのDNAリガーゼ、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)DNAリガーゼ、テルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus)DNAリガーゼ、バクテリオファージT7DNAリガーゼ、ヘモフィルス・インフルエンザDNAリガーゼ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)DNAリガーゼ、デイノコックス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)RNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)RNAリガーゼ、ロドテルムス・マリヌス(Rhodothermus marinus)RNAリガーゼ、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)RNAリガーゼ、バクテリオファージT4RNAリガーゼ1、Ampligase、およびバクテリオファージT4RNAリガーゼ2。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「ライゲーションをモニターする」とは、ライゲーションされた核酸の存在を検出すること、非存在を検出すること、および/またはその量を測定することを指す。ライゲーションは、例えば、ゲル電気泳動法もしくは検出可能な標識(例えば、蛍光または化学発光プローブ)を使用してライゲーション産物を検出し、かつ/もしくはその量を定量化することによって、またはその後の過程による産物の存在および/もしくは量を、ライゲーション産物の存在および/もしくは量と関連付けることによって(例えば、ライゲーションされた産物のその後の増幅の存在および/または量を、ライゲーション産物の量と直接関連付けることによって)、モニターすることができる。またライゲーションをモニターすることは、核酸の大きさを評価してライゲーションが生じたか否かを示し、または試料内に存在するすべての核酸のどの部分がライゲーションされ、どの部分がライゲーションされなかったかを評価する任意の方法を含み、かかる結果は、百分率または比率として表すことができる。ライゲーションをモニターすることは、本明細書に開示の方法ならびに当技術分野で公知の方法のいずれかを含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「核酸」は、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはその任意のフラグメント、任意のリボ誘導体もしくはデオキシリボ誘導体を指し、天然および/または修飾ヌクレオチド残基およびヌクレオチド間結合を含有する、天然に存在するまたは合成の分子を指す。これらの句はまた、一本鎖、二本鎖、三本鎖もしくは四本鎖であってよく、センス鎖もしくはアンチセンス鎖であってよい天然起源の(例えばゲノムの)もしくは合成起源のDNAもしくはRNAを指し、または任意のDNAのようなもしくはRNAのような材料を指す。DNA配列に関する「RNA等価物」は、窒素性塩基であるチミンのすべてまたはほとんどの存在がウラシルで置き換えられ、糖主鎖が2’−デオキシリボースの代わりにリボースから構成されていることを除き、参照DNA配列と同じ直線状ヌクレオチド配列から構成される。本発明で提供する方法および組成物に適したさらなる代替の核酸主鎖には、それに限定されるものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエート、アルキルホスホトリエステル、アリールホスホトリエステル、アルキルホスホネート、アリールホスホネート、Locked核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)およびホスホボロネート(phosphoboronate)、ならびにそれらの組合せが含まれる。RNAは、本明細書に記載の方法において使用することができ、かつ/または本明細書に記載の方法において使用するために、逆転写によってcDNAに変換することができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は、通常は単一鎖の核酸鎖を指し、これは天然に存在するものまたは合成のものであってよい。本願を通して、核酸は5’末端から3’末端に向かって表記される。標準の核酸、例えばDNAおよびRNAは、「3’から5’に向かって」、すなわち成長する核酸の5’末端にヌクレオチドを付加することによって化学的に合成されることが多い。ポリヌクレオチドには、DNA、RNA、PNA、LNA、他の修飾ヌクレオシドまたはそれらの組合せが含まれ得る。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドはオリゴヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオチド」は、リン酸基、5−炭素糖および窒素性塩基からなる核酸のサブユニットを指す。RNAにおいて見出される5’−炭素糖は、リボースである。DNAでは、5’−炭素糖は2’−デオキシリボースである。この用語は、かかるサブユニットの類似体も含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、約5〜約200ヌクレオチド、より好ましくは約10〜約100ヌクレオチド、より好ましくは約10〜約70、より好ましくは約10〜約50ヌクレオチド、より好ましくは約10〜約30ヌクレオチド、またはより好ましくは約15〜約25ヌクレオチドの配列を有するポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも5ヌクレオチド、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも35ヌクレオチド、少なくとも40ヌクレオチド、少なくとも45ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも55ヌクレオチド、少なくとも60ヌクレオチド、少なくとも65ヌクレオチド、少なくとも70ヌクレオチド長、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも80ヌクレオチド長、少なくとも90ヌクレオチド長、少なくとも100ヌクレオチド長、少なくとも200ヌクレオチド長、または200ヌクレオチド未満、150ヌクレオチド未満、100ヌクレオチド未満、90ヌクレオチド未満、80ヌクレオチド未満、70ヌクレオチド未満、65ヌクレオチド未満、60ヌクレオチド未満、55ヌクレオチド未満、50ヌクレオチド未満、45ヌクレオチド未満、40ヌクレオチド未満、35ヌクレオチド未満、30ヌクレオチド未満、25ヌクレオチド未満、20ヌクレオチド未満、15ヌクレオチド未満、またはそれらの組合せの長さの配列を含む。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチド長である。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「プライマー」または「オリゴヌクレオチドプライマー」は、酵素をベースとする核酸の伸長反応、例えば増幅およびライゲーションを開始するのに適したポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを指す。当業者は、標的配列の伸長に適したプライマーを設計し、調製することができる。本発明で提供する方法および組成物において使用するためのプライマーの長さは、ヌクレオチド配列の同一性、およびこれらの核酸をハイブリダイズする温度またはインビトロでの核酸の伸長中に使用される温度を含むいくつかの因子に応じて変わる。特定の配列同一性のプライマーの好ましい長さを決定するのに必要な考慮すべき点は、当業者に知られている。例えば、短い核酸またはオリゴヌクレオチドの長さは、そのハイブリダイゼーションの特異性または選択性に関係し得る。本明細書で使用される場合、用語「プライマー結合性配列」または「PBS」は、特異的プライマーに特異的にハイブリダイズし、またはアニールする核酸領域を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「プローブ」または「オリゴヌクレオチドプローブ」は、特異的な核酸の有無を検出するのに適したポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「標的核酸」は、対象となる任意の核酸を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「鋳型核酸」は、ドナーおよび/またはアクセプターに結合することができる核酸を指す。好ましくは、鋳型核酸は標的核酸を含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「変異」は、第2の核酸配列と比較した場合の第1の核酸配列の配列の差異を指す。例えば変異は、第2の核酸配列と比較した第1の標的核酸配列における、核酸の置換(一塩基多型など)、欠失、挿入および転移を含む。第2の核酸配列は、野生型配列または代替の変異部位の配列であってよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「ミスマッチ」は、標的ヌクレオチドまたは核酸と相補的でないヌクレオチドまたは核酸を指す。本明細書で使用される場合、用語「ミスマッチ鋳型」または「ミスマッチな鋳型」は、一方の鎖上の少なくとも1つの塩基残基が、任意の残基と対になっていないか、または不正確な塩基と対になっている(例えば、Tと対になっていないA、またはGと対になっていないC)二重鎖核酸を指す。100%未満の忠実度/特異性を有するライゲーション反応は、ミスマッチライゲーション産物を形成する。本明細書で使用される場合、用語「マッチ鋳型」は、あらゆる塩基がドナーおよびアクセプタープローブと相補的な標的核酸を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「一塩基多型」または「SNP」は、ある種または他の特異的な集団の異なる個体間における一塩基の遺伝的配列変異を指す。いくつかの実施形態では、SNPは、ある集団(複数可)の正常な個体において異なる配列代替物(対立遺伝子)が存在する、ゲノムDNAの特異的な核酸部位における一塩基対の位置のことであり、この場合最も頻度の低い対立遺伝子は、1%以上、または0.8%以上、または0.5%以上、または0.4%以上、または0.3%以上、または0.2%以上、または0.1%以上の存在度を有する。いくつかの実施形態では、対象となるSNPは当業者に公知であり、例えば特定のSNPは、Pubmed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/で利用可能)を介して利用できる、Science、Nature、PNASおよびNEJMなどの科学誌により発表されている。いくつかの実施形態では、SNPは、Entrez SNP(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=snpで利用可能)に見出されるものなどの多型のデータベースまたはヒトSNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/で利用可能)に見出すことができる。いくつかの実施形態では、集団は、特定の人種、国籍、地理上の領域、家系、宗教、性別、年齢または特定の時期もしくは時代のヒトの群などのヒト全体またはそのサブセットとしてのあらゆるヒトを含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「一塩基多型部位」、「SNP部位」または「SNP位置」は、SNPが存在することが知られている核酸の位置を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチド(好ましくはオリゴヌクレオチド)に関連する用語「末端」は、ポリヌクレオチドの3’または5’末端におけるヌクレオチドを指す。好ましくは、ポリヌクレオチドの末端は、末端の6つのヌクレオチド、より好ましくは末端の5つのヌクレオチド、より好ましくは末端の4つのヌクレオチド、より好ましくは末端の3つのヌクレオチド、より好ましくは末端の2つのヌクレオチド、またはより好ましくは末端のヌクレオチドを含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「標識」または「検出可能な標識」は、標識を検出することによって分子を直接的または間接的に検出できるように分子と結合することができ、またはその他の方法で連結することができる任意の化合物または化合物の組合せを指す。検出可能な標識は、放射性同位体(例えば、炭素、リン、ヨウ素、インジウム、硫黄、トリチウム等)、質量同位体(例えば、H2、C13またはN15)、色素もしくはフルオロフォア(例えば、シアニン、フルオレセインまたはローダミン)、ハプテン(例えば、ビオチン)、または直接的もしくは間接的に検出され得る任意の他の薬剤であってよい。標識は、標識化NTPをアンプリコンまたは他の重合化生成物に組み込んだ後に検出することができる。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリダイズする」または「特異的にハイブリダイズする」は、2つの相補的な核酸鎖が、適切には厳密な条件下で互いにアニールする過程を指す。標的核酸へのハイブリダイゼーションは、一般に、好ましくはプローブの長さの、好ましくは20〜100ヌクレオチド長の核酸分子を用いて実施される。核酸ハイブリダイゼーション技術は、当技術分野で知られている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Press、Plainview、N.Y.(1989年);Ausubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、Secaucus、N.J.(1994年)参照。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、完全に相補的でない2つの核酸をハイブリダイゼーションすることができないハイブリダイゼーション条件を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「試料」または「試験試料」は、対象となる核酸を含むと考えられる任意の液体または固体材料を指す。試験試料は、培養物もしくは組織試料中の細胞などの任意の生物学的な供給源(すなわち生物学的試料)から得ることができ、または化学的に合成された鋳型を含み、合成により生成することができる。
【0047】
本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの文脈(すなわち、オリゴヌクレオチドプライマーまたは標的核酸などのヌクレオチドの配列)における用語「補体」、「相補的な」または「相補性」は、標準のワトソン/クリック塩基対合則を指す。補体配列は、DNAの配列またはそのDNA配列に相補的なRNAまたはその補体配列であってもよく、cDNAであってもよい。例えば、配列「5’−A−G−T−C−3’」は、配列「3’−T−C−A−G−5’」と相補的である。天然核酸には一般に見出されず、または化学的に合成される特定のヌクレオチドは、本明細書に記載の核酸に含まれ、これらには、それに限定されるものではないが、イノシン、7−デアザグアノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン、Locked核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)ならびにそれらの組合せなどの、塩基および糖修飾ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸が含まれる。相補性は完全である必要はなく、安定な二本鎖は、ミスマッチ塩基対、縮重またはマッチしていないヌクレオチドを含有することができる。核酸技術の分野の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成およびオリゴヌクレオチドの配列、ミスマッチ塩基対の発生率、イオン強度、他のハイブリダイゼーションバッファーの構成要素および条件を含むいくつかの変数を考慮して、二本鎖の安定性を経験的に決定することができる。
【0048】
相補性は部分的であってよく、この場合、2つの核酸鎖のヌクレオチド塩基の一部のみが、塩基対合則に従ってマッチしている。相補性は、完全または全体的であってよく、この場合、2つの核酸鎖のヌクレオチド塩基のすべてが、塩基対合則に従ってマッチしている。相補性がなくてもよく、この場合、2つの核酸鎖のヌクレオチド塩基はいずれも、塩基対合則に従ってマッチしていない。核酸鎖間の相補性の度合いは、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に対して著しい効果を有する。このことは、ライゲーションおよび増幅反応、ならびに核酸間の結合に応じて変わる検出方法では特に重要である。これらの用語は、個々のヌクレオチドに関連して、特にポリヌクレオチドの文脈において使用することもできる。例えば、オリゴヌクレオチドにおける特定のヌクレオチドは、別の核酸鎖におけるヌクレオチドとのその相補性または相補性の欠如について、オリゴヌクレオチドの残りと核酸鎖の間の相補性と対照または比較して言及することができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に相補的な」は、ほぼ厳密なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする2つの配列を指す。当業者は、実質的に相補的な配列が、それらの全長に沿ってハイブリダイズする必要がないことを理解されよう。特に、実質的に相補的な配列は、厳密なハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズする塩基の連続配列の3’または5’に位置する、標的配列にハイブリダイズしない塩基の連続配列を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プライマーまたはプローブは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプライマーのポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプライマーハイブリダイゼーション配列が、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプライマーおよび核酸が整列しているときの核酸の一部と少なくとも50%の配列同一性を有する場合に、核酸に「特異的」である。核酸に特異的なポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプライマーは、適切なハイブリダイゼーションまたは洗浄条件下で、対象となる標的にハイブリダイズすることができ、対象とならない核酸配列には実質的にハイブリダイズしないプライマーである。高レベルの配列同一性が好ましく、それには、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、より好ましくは100%の配列同一性が含まれる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオシド」には、天然の核酸に見出されるあらゆる形態のヌクレオシド塩基およびフラノシドを含む、天然に存在するすべてのヌクレオシドが含まれる。天然に存在するヌクレオシドに最も一般的に見出される塩基環は、プリン環およびピリミジン環である。天然に存在するプリン環には、例えばアデニン、グアニンおよびN6−メチルアデニンが含まれる。天然に存在するピリミジン環には、例えば、シトシン、チミンおよび5−メチルシトシンが含まれる。天然に存在するヌクレオシドには、例えば、それに限定されるものではないが、アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジン、イノシン、7−デアザグアノシン、7−メチルグアノシンのリボ誘導体および2’−デオキシリボ誘導体が含まれる。天然に存在するヌクレオシドは、2’−O−メチルウリジンに見られるものなどのリボース糖への修飾も含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオシド類似体」、「修飾ヌクレオシド」または「ヌクレオシド誘導体」は、本明細書に記載の合成ヌクレオシドを含む。ヌクレオシド誘導体には、保護基を伴うまたは伴わない修飾塩基または/および糖部分を有するヌクレオシドも含まれる。かかる類似体には、例えば2’−デオキシ−2’−フルオロウリジン等が含まれる。本発明で提供する化合物および方法は、かかる塩基環およびその合成類似体、ならびに非天然の複素環で置換された塩基糖、さらに非環式置換塩基糖を含む。さらに、ヌクレオシド誘導体には、他のプリンおよびピリミジン誘導体、例えばハロゲン置換プリン(例えば、6−フルオロプリン)、ハロゲン置換ピリミジン、N6−エチルアデニン、N4−(アルキル)−シトシン、5−エチルシトシン等が含まれる。ヌクレオシド誘導体および類似体は、米国特許第6,762,298号に記載のものなどの多様な修飾を包含する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「ユニバーサル塩基」、「縮重塩基」、「ユニバーサル塩基類似体」および「縮重塩基類似体」は、例えば、好ましくはdA、A、dT、dU、U、dC、C、dG、Gなどのヌクレオシドの任意の特異的核酸塩基および他の特異的核酸塩基の代用として核酸リガーゼによって認識され得る人工塩基を有する類似体を含む。ユニバーサル塩基または縮重塩基を含有するヌクレオシドを使用することもでき、その例は、Loakes,D.、29 Nucleic Acids Res.2437〜2447頁(2001年);Crey−Desbiolles,C.ら、33 Nucleic Acids Res.1532〜1543頁(2005年);Kincaid,K.ら、33 Nucleic Acids Res.2620〜2628頁(2005年);Preparata,FP、Oliver,JS、11 J.Comput.Biol.753〜765頁(2004年);およびHill,F.ら、95 Proc Natl Acad Sci USA 4258〜4263頁(1998年)に見出すことができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「ヌクレオチド間結合」は、オリゴヌクレオチドプライマーまたは核酸の2つのヌクレオシドをつなぐ1つまたは複数の結合を指し、天然ホスホジエステル結合または修飾結合であってよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「アシル」は、基−C(O)Raを示し、Raは、水素、低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール等である。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「置換アシル」は、基−C(O)Ra'を示し、Ra'は、置換低級アルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクリル、置換アリール、置換ヘテロアリール等である。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「アシルオキシ」は、基−OC(O)Rbを示し、Rbは、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール等である。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「アルカン」は、炭素原子および水素原子を含み、C−H結合を含み、さらにメタン以外のアルカンにおいてC−C単結合を含む有機化合物を指す。用語「アルカン」は、1〜20個の炭素原子を有するアルカンなどの直鎖アルカンを含む。いくつかの実施形態では、アルカンは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタンなどの1〜8個の炭素原子を有するアルカンなどの直鎖アルカンを含む。用語「アルカン」はまた、それに限定されるものではないが、2−メチルプロパン、2,2−ジメチルプロパン、2−メチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2,2−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、3−エチルペンタン、3−エチル−2−メチルペンタン、3−エチルヘキサンなどの、それに限定されるものではないが1〜20個の炭素原子を有する、いくつかの実施形態では1〜8個の炭素原子を有する分岐鎖アルカンなどの分岐鎖アルカンを含む。アルカンのC−CまたはC−H結合は、ヒドロキシル基、F、Cl、BrもしくはIなどのハロゲン、スルフヒドリル基、またはアミン基などの別の基との結合で置き換えることができる。かかる基で置き換えられたアルカンは、それぞれ、ヒドロキシアルカン、フルオロアルカン、クロロアルカン、ブロモアルカン、ヨードアルカンなどのハロアルカン、メルカプトアルカンおよびアミノアルカンと呼ぶことができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、1つまたは複数の二重結合を有し、別段特定されない限り、約2〜約20個の炭素原子、好ましくは約2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子、最も好ましくは約2〜約6個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビルを指す。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、1,4−ブタジエニル、イソプロペニル等が含まれる。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニルアリール」は、アルケニルで置換されたアリール基を指し、「置換アルケニルアリール」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアルケニルアリール基を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニレン」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、一般に、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を含有する二価の直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指し、「置換アルケニレン」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアルケニレン基を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、通常は1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子の単結合鎖の炭化水素を指し、その例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等が含まれる。かかるアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、ドデカニル等が含まれる。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「低級アルキル」は、通常は1〜6個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子の直鎖または分岐鎖の炭化水素を指す。その例には、エチル、プロピル、イソプロピル等が含まれる。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、2つの水素原子が、同じ炭素原子または異なる炭素原子から除去されている、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分岐の二価のヒドロカルビルを指す。アルキレンの例には、それに限定されるものではないが、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)等が含まれる。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を有し、約2〜20個の炭素原子、好ましくは約2〜10個の炭素原子、より好ましくは約2〜8個の炭素原子、最も好ましくは約2〜6個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖ヒドロカルビルを指す。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニル(プロパルギル)、ブチニル等が含まれる。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニルアリール」は、アルキニルで置換されたアリール基を指し、「置換アルキニルアリール」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアルキニルアリール基を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、基−ORcを示し、Rcは、定義通りの低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキルである。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「低級アルコキシ」は、基−ORdを示し、Rdは低級アルキルである。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルアリール」は、アルキルで置換されたアリール基を指し、「置換アルキルアリール」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアルキルアリール基を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルカルボニルアミノ」は、基−NReC(O)Rfを示し、Reは、任意に置換されていてもよいアルキルであり、Rfは、水素またはアルキルである。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルスルフィニル」は、基−S(O)Rgを示し、Rgは、任意に置換されていてもよいアルキルである。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルスルホニル」は、基−S(O)2gを示し、Rgは、任意に置換されていてもよいアルキルである。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルスルホニルアミノ」は、基−NReS(O)2fを示し、Reは、任意に置換されていてもよいアルキルであり、Rfは、水素またはアルキルである。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルチオ」は、基−S−Rhを示し、Rhはアルキルである。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「置換アルキルチオ」は、基−S−Riを示し、Riは置換アルキルである。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニレン」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、一般に、約2〜12個の炭素原子、好ましくは約2〜8個の炭素原子を有する二価の直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指し、「置換アルキニレン」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアルキニレン基を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「アミド」は、基−C(O)NRjj'を示し、RjおよびRj'は、独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであってよい。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「置換アミド」は、基−C(O)NRkk'を示し、RkおよびRk'は、独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、但し、RkおよびRk'の少なくとも一方は水素ではない。Rkk'は、窒素と組み合わさって、任意に置換されていてもよい複素環式環またはヘテロアリール環を形成することができる。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「アミジノ」は、基−C(=NRm)NRm'm''を示し、Rm、Rm'およびRm''は、独立に、水素または任意に置換されていてもよいアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「アミノ」または「アミン」は、基−NRnn'を示し、RnおよびRn'は、独立に、水素、本明細書に定義の低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであってよい。「二価のアミン」は、基−NH−を示す。「置換されている二価のアミン」は、基−NR−を示し、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「置換アミノ」または「置換アミン」は、基−NRpp'を示し、RpおよびRp'は、独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールであり、但し、RpおよびRp'の少なくとも一方は水素ではない。Rpp'は、窒素と組み合わさって、任意に置換されていてもよい複素環式環またはヘテロアリール環を形成することができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルキニル」は、アリールで置換されたアルキニル基を指し、「置換アリールアルキニル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアリールアルキニル基を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「アラルキル」は、アルキルの水素原子が本明細書に定義のアリールによって置き換えられている、本明細書に定義のアルキルを指す。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−ナフチルプロピル、2−ナフチルプロピル、3−ナフチルプロピル、3−ナフチルブチル等が含まれる。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「アロイル」は、ベンゾイルなどのアリール−カルボニル種を指し、「置換アロイル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアロイル基を指す。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルキル」は、アリールで置換されたアルキル基を指し、「置換アリールアルキル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアリールアルキル基を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、単独または組合せで、任意に、好ましくは5〜7個、より好ましくは5〜6個の環員のシクロアルキルを有していてもよく、かつ/またはハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキル、アリールもしくはヘテロアリール基で任意に一置換もしくは二置換されていてもよいアミノ、アミジノ、アルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基で任意に置換されていてもよい尿素、アルキル、アリールもしくはヘテロアリール基で任意にN−一置換もしくはN,N−二置換されていてもよいアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ等の1〜3個の基もしくは置換基で任意に置換されていてもよい、フェニル、ナフチルまたは縮合芳香族複素環を指す。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「アリールカルボニルアミノ」は、基−NRqC(O)Rrを示し、Rqは、水素または低級アルキルまたはアルキルであり、Rrは、任意に置換されていてもよいアリールである。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語「アリーレン」は、一般に6個〜最大14個の炭素原子を有する二価の芳香族基を指し、「置換アリーレン」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているアリーレン基を指す。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「アリールオキシ」は、基−OArを示し、Arは、アリールまたは置換アリール基である。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「アリールスルホニルアミノ」は、基−NRqS(O)2rを示し、Rqは、水素または低級アルキルまたはアルキルであり、Rrは、任意に置換されていてもよいアリールである。
【0091】
本明細書で使用される場合、用語「カルバメート基」は、基−O−C(O)−NR2を示し、各Rは、独立に、H、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールである。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「ジチオカルバメート基」は、基−S−C(S)−NR2を示し、各Rは、独立に、H、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールである。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「炭素環」は、結合した炭素原子から構成される単環または複数の縮合環を有する、飽和、不飽和または芳香族の基を指す。環(複数可)は、任意に非置換であってよく、または例えばハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミド等で置換されていてもよい。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、3〜20個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する環式環を含有する基を指し、「置換シクロアルケニル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているシクロアルケニル基を指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3〜15個の炭素原子を含有する単環式または多環式アルキル基を指し、「置換シクロアルキル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているシクロアルキル基を指す。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキレン」は、約3〜12個の炭素原子を含有する二価の環を含有する基を指し、「置換シクロアルキレン」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているシクロアルキレン基を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「グアニジニル」は、基−N=C(NH22を示し、「置換グアニジニル」は、基−N=C(NR22を示し、各Rは、独立に、H、本明細書に記載のアルキル、置換アルキル、アリールまたは置換アリールである。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、あらゆるハロゲン、すなわち、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)およびヨード(I)を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、5個もしくは6個の環原子を含有する単環式の芳香族環構造を指し、または8〜10個の原子を有し、O、SおよびNの群から独立に選択される1つまたは複数の、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、さらにより好ましくは1〜2個のヘテロ原子を含有し、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキル、アリールもしくはヘテロアリール基で任意に一置換もしくは二置換されていてもよいアミノ、アミジノ、アルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基で任意に置換されていてもよい尿素、アルキル、アリールもしくはヘテロアリール基で任意にN−一置換もしくはN,N−二置換されていてもよいアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ等の1〜3個の基もしくは置換基で任意に置換されていてもよい二環式芳香族基を指す。ヘテロアリールはまた、スルフィニル、スルホニルおよび第3級の環窒素のN−オキシドなどの、酸化したSまたはNを含むことを企図する。炭素または窒素原子は、安定な芳香族環が保持されるようなヘテロアリール環構造の結合点である。ヘテロアリール基の例は、フタルイミド、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフリル、インドリル等である。置換ヘテロアリールは、利用可能な炭素または窒素に結合して安定な化合物をもたらす置換基を含有する。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語「置換ヘテロアリール」は、1つまたは複数の官能基、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、置換複素環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミド等で任意に一置換または多置換されていてもよい複素環を指す。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリールカルボニルアミノ」は、基−NRqC(O)Rrを示し、Rqは、水素または低級アルキルであり、Rrは、任意に置換されていてもよいアリールである。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリールオキシ」は、基−OHetを示し、Hetは、任意に置換されていてもよいヘテロアリール基である。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリールスルホニルアミノ」は、基−NRqS(O)2sを示し、Rqは、水素または低級アルキルであり、Rsは、任意に置換されていてもよいヘテロアリールである。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語「複素環」は、単環(例えば、モルホリノ、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、ナフトピリジル(naphthpyridyl)、キノキサリル、キノリニル、インドリジニルまたはベンゾ[b]チエニル)を有し、その環中に炭素原子とN、OまたはSなどの少なくとも1つのヘテロ原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の基を指し、これは任意に非置換であってもよく、または例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、複素環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミド等で置換されていてもよい。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「置換複素環」は、任意の利用可能な点に結合して安定な化合物をもたらす、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基で任意に置換されていてもよい尿素、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基で任意にN−一置換またはN,N−二置換されていてもよいアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アシル、カルボキシル、複素環、置換複素環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルホンアミドおよびオキソからなる群から選択される、1つまたは複数の、例えば1個、2個または3個の置換基で置換されている複素環を指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビル」は、その主鎖が炭素および水素だけを含む任意の有機基を指す。したがってヒドロカルビルは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニル、アルキニルアリール等を包含する。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「置換ヒドロカルビル」は、−O−、−S−、−NR−(式中、Rは、水素、アルキルまたは置換アルキルである)、−C(O)−、−C(S)−、−C(=NR’)−、−C(=CR’2)−(式中、R’は、アルキルまたは置換アルキルである)、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−O−C(O)−NR−(または−NR−C(O)−O−)、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−NR−、−S−C(O)−、−S−C(O)−O−、−S−C(O)−NR−、−O−S(O)2−、−O−S(O)2−O−、−O−S(O)2−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−NR−C(O)−、−O−NR−C(O)−O−、−O−NR−C(O)−NR−、−NR−O−C(O)−、−NR−O−C(O)−O−、−NR−O−C(O)−NR−、−O−NR−C(S)−、−O−NR−C(S)−O−、−O−NR−C(S)−NR−、−NR−O−C(S)−、−NR−O−C(S)−O−、−NR−O−C(S)−NR−、−O−C(S)−、−O−C(S)−O−、−O−C(S)−NR−(または−NR−C(S)−O−)、−NR−C(S)−、−NR−C(S)−NR−、−S−S(O)2−、−S−S(O)2−O−、−S−S(O)2−NR−、−NR−O−S(O)−、−NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)2−、−NR−O−S(O)2−O−、−NR−O−S(O)2−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)2−O−、−O−NR−S(O)2−NR−、−O−NR−S(O)2−、−O−P(O)R2−、−S−P(O)R2−、または−NR−P(O)R2−(式中、各Rは、独立に、水素、アルキルまたは置換アルキルである)などのリンカー/スペーサー部分によってヒドロカルビル部分に結合している前述の基の2つ以上を含む、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシ、置換ヒドロカルビルオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、カルボキシ、−C(S)SR、−C(O)SR、−C(S)NR2(式中、各Rは、独立に、水素、アルキルまたは置換アルキルである)、ニトロ、シアノ、ハロ、−SO3Mまたは−OSO3M(式中、Mは、H、Na、K、Zn、Caまたはメグルミンである)、グアニジニル、置換グアニジニル、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、置換ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、置換ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、置換ヒドロカルビルカルボニルオキシ、アシル、アシルオキシ、複素環式、置換複素環式、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニル、置換ヘテロアリールカルボニル、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、カルバメート基、ジチオカルバメート基、アロイル、置換アロイル、オルガノスルホニル、置換オルガノスルホニル、オルガノスルフィニル、置換アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、置換アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、置換アリールスルホニルアミノ、スルホンアミド基、スルフリル等から選択される1つまたは複数の置換基をさらに有している、先に参照したヒドロカルビル基のいずれかを指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビルオキシ」は、2〜20個の炭素原子を含有する−O−ヒドロカルビル基を示し、「置換ヒドロカルビルオキシ」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているヒドロカルビルオキシ基を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビルカルボニル」は、2〜20個の炭素原子を含有する−C(O)−ヒドロカルビル基を指し、「置換ヒドロカルビルカルボニル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているヒドロカルビルカルボニル基を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビルオキシカルボニル」は、2〜20個の炭素原子を含有する−C(O)−O−ヒドロカルビルを指し、「置換ヒドロカルビルオキシカルボニル」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているヒドロカルビルオキシカルボニル基を指す。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビルカルボニルオキシ」は、2〜20個の炭素原子を含有する−O−C(O)−ヒドロカルビル基を指し、「置換ヒドロカルビルカルボニルオキシ」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有しているヒドロカルビルカルボニルオキシ基を指す。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロカルビレン」は、その主鎖が炭素および水素だけを含む任意の二価の有機基を指す。したがってヒドロカルビレンは、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、アリールアルケニレン、アルケニルアリーレン、アリールアルキニレン、アルキニルアリーレン等を包含し、「置換ヒドロカルビレン」は、本明細書に記載の1つまたは複数の置換基をさらに有している、先に参照したヒドロカルビレン基のいずれかを指す。
【0113】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」は、基−OHを指す。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語「オルガノスルフィニル」は、基−S(O)−オルガノを示し、オルガノは、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリール部分、ならびに置換アルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリール部分を包含する。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「オルガノスルホニル」は、基−S(O)2−オルガノを示し、オルガノは、アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノ部分、ならびに置換アルキル、アルコキシまたはアルキルアミノ部分を包含する。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語「オキソ」は、結合炭素と二重結合している酸素の置換基を指す。
【0117】
本明細書で使用される場合、用語「スルフィニル」は、基−S(O)−を示す。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「置換スルフィニル」は、基−S(O)Rtを示し、Rtは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0119】
本明細書で使用される場合、用語「スルホニル」は、基−S(O)2−を示す。
【0120】
本明細書で使用される場合、用語「置換スルホニル」は、基−S(O)2tを示し、Rtは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0121】
本明細書で使用される場合、用語「スルホニルアミノ」は、基−NRqS(O)2−を示し、Rqは、水素または低級アルキルである。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「置換スルホニルアミノ」は、基−NRqS(O)2uを示し、Rqは、水素または低級アルキルであり、Ruは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキルまたは置換アラルキルである。
【0123】
本明細書で使用される場合、用語「スルフリル」は、基−S(O)2−を示す。
【0124】
用語「ほぼ」または「約」は、本明細書で数値に関連して使用される場合、表示値の10%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】ATP依存性およびNAD+依存性DNAリガーゼによるホスホジエステル結合形成の機構を示す概略図である。
【図2】リガーゼが存在しない場合のライゲーション反応(レーン2)、ATPが存在しない場合のライゲーション反応(レーン3)、核酸鋳型が存在しない場合のライゲーション反応(レーン4)、および陽性対照(ドナー、アクセプター、ATP補因子、リガーゼおよび鋳型)(レーン5)のPAGEゲルの結果を示す図である。
【図3】ライゲーション産物を検出するためのリアルタイムPCR実験の結果を示す図である。Aは鋳型が存在しない状態で実施したライゲーションから得た対照(NTC)を含む6倍希釈系列のライゲーション産物の増幅曲線である。Bは実施した反応から得たAの解離曲線である。Cは抽出したCt値を希釈係数に対してプロットした標準曲線である。
【図4】アクセプター鎖の3’末端にマッチ(T−A)およびミスマッチ(C−A)塩基対を有するATPを使用するライゲーション反応と比較した、以下の修飾補因子、7−デアザ−ATP、N1−メチル−ATP、2−アミノ−ATP、2’−アミノ−2’−デオキシ−ATP、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−ATPを用いるライゲーション反応から得られたPAGEゲルの結果を示す図である。
【図5】アクセプター鎖の3’末端における3つの異なる鋳型であるミスマッチ塩基対(C−A、G−AおよびA−A)による相対的収率に対する、アクセプター鎖の3’末端におけるマッチ塩基対(T−A)の存在下での相対的ライゲーション収率について、10種類の修飾ATP補因子を評価する一連の散布図である。好ましくは、非修飾補因子と比較して特異性が改善された修飾補因子は、T−Aマッチに対して類似のライゲーション収率(y軸の1に近似の値)およびx軸の0に近似のミスマッチライゲーション収率(C−A、G−AおよびA−A)を有する。
【図6】実施例1に記載の通り、アクセプター鎖の3’末端における3つの異なるミスマッチ塩基対(T−G、T−CおよびT−T)による相対的収率に対する、アクセプター鎖の3’末端におけるマッチ塩基対(T−A)の存在下での相対的ライゲーション収率について、修飾アクセプターを評価する一連の散布図である。研究した修飾アクセプターは、以下の単一置換基を含有していた。式IIに定義の通り、PS(X1)は、X1位置のSを示し、PS(X2)は、X2位置のSを示し、PMe(X1)は、X1位置のMeを示し、PMe(X2)は、X2位置のMeを示し、2’−OMe(Y1)は、Y1位置のOCH3を示し、2’−OMe(Y2)は、Y2位置のOCH3を示し、2’−OMe(Y3)は、Y3位置のOCH3を示し、2’−F(Y1)は、Y1位置のFを示し、2’−F(Y2)は、Y2位置のFを示し、2’−F(Y3)は、Y3位置のFを示す。好ましくは、非修飾アクセプターと比較して特異性が改善された候補修飾アクセプターは、T−Aマッチに対して類似のライゲーション収率(y軸の1に近似の値)およびx軸の0に近似のミスマッチライゲーション収率(C−A、G−AおよびA−A)を有する。
【図7】実施例1に記載の通り、アクセプター鎖の3’末端における2つの異なるミスマッチ塩基対(T−CおよびC−A)による相対的収率に対する、アクセプター鎖の3’末端におけるマッチ塩基対(T−A)の存在下での相対的ライゲーション収率について、修飾ドナーを評価する一連の散布図である。修飾ドナーは、以下の単一置換基を含有していた。式IIIに定義の通り、PMe(X1)は、X1位置のMeを示し、PMe(X2)は、X2位置のMeを示し、2’−OMe(Y1)は、Y1位置のOCH3を示し、2’−OMe(Y2)は、Y2位置のOCH3を示し、2’−OMe(Y3)は、Y3位置のOCH3を示す。好ましくは、非修飾ドナーと比較して特異性が改善された修飾ドナーは、T−Aマッチに対して類似のライゲーション収率(y軸の1に近似の値)およびx軸の0に近似のミスマッチライゲーション収率(C−A、G−AおよびA−A)を有する。
【図8】糖および主鎖を修飾したアクセプター鎖を異なる修飾ATP補因子と組み合わせて使用した、相対的ライゲーション収率の表である。これらの値は、実施例1に記載の通り、天然アクセプター鎖ならびにアクセプター鎖の3’末端にマッチ(T−A)およびミスマッチ(T−C)塩基対を有するATPを使用するライゲーション収率に対するものである。マッチしている場合(T−A)には、点の網掛けセルの値は、0.85を超える相対的ライゲーション収率を表し、網掛けなしのセルの値は、0.70〜0.85の相対的ライゲーション収率を表し、灰色の網掛けセルの値は、0〜0.70の相対的ライゲーション収率を表す。ミスマッチの場合(T−C)には、点の網掛けセルの値は、0.0〜0.01の相対的ライゲーション収率を表し、網掛けなしのセルの値は、0.01〜0.10の相対的ライゲーション収率を表し、灰色の網掛けセルの値は、0.10〜1.00の相対的ライゲーション収率を表す。好ましい性能基準を有する組合せは、マッチしている場合(T−A)には0.85を超える相対的収率を有し(例えば、図8の点の網掛けセル、上の表)、ミスマッチ鋳型(T−C)の存在下では0.01未満の相対的ライゲーション収率を有する(例えば、図8の点の網掛けセル、下の表)。
【発明を実施するための形態】
【0126】
核酸ライゲーション反応は、(a)酵素であるリガーゼのアデニル化、(b)標的核酸へのドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、その後(c)アデニル酸をドナー鎖に転移し、ライゲーションして、核酸リガーゼによって接合した核酸配列の相補的なコピーを形成することを含む。しかし、ドナーおよびアクセプターのライゲーションは、1)ドナーおよびもしくはアクセプターが、鋳型核酸に対してミスマッチを有する(非相補的である)場合、または2)鋳型核酸が存在しない場合に生じ得る。
【0127】
本明細書の方法および組成物は、核酸ライゲーションのための改善された方法および組成物を提供する。特定の態様では、該方法および組成物は、酵素的ライゲーション反応において修飾されたライゲーション構成要素を使用することを対象とする。他の態様では、核酸ライゲーション法は、1つまたは複数の修飾補因子、修飾ドナーおよび/または修飾アクセプターを使用し、その存在は、鋳型が存在しない場合またはミスマッチが存在する場合の望ましくないライゲーション産物の形成に障害を与える。
【0128】
修飾リガーゼ補因子
本発明で提供される組成物および方法の特定の態様および実施形態は、少なくとも1つの修飾リガーゼ補因子を含む。好ましい実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、1つまたは複数の置換基を有する修飾ATPである。
【0129】
本明細書の諸態様の実施形態では、本発明の修飾ATPおよびその誘導体として、式IAの化合物を提供する。
【0130】
【化1】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
1は、H、F、R2、OR2、SR2、SeR2、NR23、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、(BH3-+およびC(Y)R4からなる群から選択され、
+はカチオンであり、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択され、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択される。
【0131】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0132】
【化2】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32、C−N3およびC−OHからなる群から選択され、
1は、H、F、CH3、フェニル、OCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3、OCH2CH2CH2CH3、OCH(CH32、SH、SCH3、SCH2CH3、SCH2CH2CH3、SCH2CH2CH2CH3、SCH(CH32、SeH、SeCH3、SeCH2CH3、SeCH2CH2CH3、SeCH2CH2CH2CH3、SeCH(CH32、NH2、NHCH3、NCH3CH3、NHOCH3、NCH3OCH3、NH−NH2、NH−NHCH3、NH−NCH3CH3、NCH3−NH2、NCH3−NHCH3、NCH3−NCH3CH3、CN、N3および(BH3-+からなる群から選択され、
+はカチオンであり、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、Cl、OH、NH2、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
3は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
4は、H、F、OH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0133】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0134】
【化3】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0135】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0136】
【化4】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32、C−N3およびC−OHからなる群から選択される。
【0137】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0138】
【化5】

式中、
1は、H、F、R1、OR1、SR1、SeR1、NR12、NR1OR1、NR1−NR11、CN、N3、(BH3-+およびC(Y)R2からなる群から選択され、
+はカチオンであり、
各R1は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2は、H、F、Cl、Br、OR1、SR1、SeR1、NR11、C(Y)R1および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0139】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0140】
【化6】

式中、
1は、H、F、CH3、フェニル、OCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3、OCH2CH2CH2CH3、OCH(CH32、SH、SCH3、SCH2CH3、SCH2CH2CH3、SCH2CH2CH2CH3、SCH(CH32、SeH、SeCH3、SeCH2CH3、SeCH2CH2CH3、SeCH2CH2CH2CH3、SeCH(CH32、NH2、NHCH3、NCH3CH3、NHOCH3、NCH3OCH3、NH−NH2、NH−NHCH3、NH−NCH3CH3、NCH3−NH2、NCH3−NHCH3、NCH3−NCH3CH3、CN、N3および(BH3-+からなる群から選択され、
+はカチオンである。
【0141】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0142】
【化7】

式中、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR23、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0143】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0144】
【化8】

式中、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、Cl、OH、NH2、NH(CH3)およびN(CH32からなる群から選択され、
3は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
4は、H、F、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0145】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0146】
【化9】

式中、
1、X2およびX3は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0147】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0148】
【化10】

式中、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
3は、H、F、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0149】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0150】
【化11】

式中、
1およびX2は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0151】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0152】
【化12】

式中、
1は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
2は、H、F、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0153】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0154】
【化13】

式中、
1およびW2は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0155】
修飾ATPの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0156】
【化14】

式中、
1およびW2は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−N3、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32およびC−OHからなる群から選択される。
【0157】
修飾ATPの特定の好ましい実施形態は、以下の通りである。
【0158】
【化15−1】

7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
7−メチル−7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
7−メチル−7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
N1−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート
N1−メチル−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
8−クロロ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−クロロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アザ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アジド−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
N6−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート
N6−メチル−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2−クロロプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート
2−アミノプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート
イノシン−5’−トリホスフェート
2’−デオキシ−イノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
【0159】
【化15−2】

3’−アミノ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アジド−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−フルオロ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−フルオロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチル−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチル−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチルアミノ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチルアミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−3’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
【0160】
【化15−3】

5’−α−チオ−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
【0161】
本発明で提供される組成物および方法の特定の態様および実施形態は、少なくとも1つの修飾リガーゼ補因子を含む。好ましい実施形態では、修飾リガーゼ補因子は、1つまたは複数の置換基を有する修飾NAD+である。
【0162】
本明細書の諸態様の実施形態では、本発明の修飾NAD+およびその誘導体は、式IBの化合物を提供する。
【0163】
【化16】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)Rおよび置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、C(R12およびNR1からなる群から選択され、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択される。
【0164】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0165】
【化17】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32、C−N3およびC−OHからなる群から選択され、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、Cl、OH、NH2、NH(CH3)およびN(CH32からなる群から選択され、
3は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
4は、H、F、OH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0166】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0167】
【化18】

式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0168】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0169】
【化19】

式中、
2、W3、W4およびW5は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32、C−N3およびC−OHからなる群から選択される。
【0170】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0171】
【化20】

式中、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0172】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0173】
【化21】

式中、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、Cl、OH、NH2、NH(CH3)およびN(CH32からなる群から選択され、
3は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
4は、H、F、OH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0174】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0175】
【化22】

式中、
1、X2およびX3は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0176】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0177】
【化23】

式中、
1は、H、NH2、OH、NHCH3およびN(CH32からなる群から選択され、
2は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
3は、H、F、OH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0178】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0179】
【化24】

式中、
1およびX2は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0180】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0181】
【化25】

式中、
1は、H、F、CH3、OH、SH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択され、
2は、H、F、OH、OCH3、NH2、NHCH3、N(CH32およびN3からなる群から選択される。
【0182】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0183】
【化26】

式中、
1およびW2は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択される。
【0184】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0185】
【化27】

式中、
1およびW2は、それぞれ独立に、N、N+−CH3、N+−CH2CH3、N+−CH2CH2CH3、N+−CH2CH2CH2CH3、N+−CH(CH32、CH、C−N3、C−CH3、C−CH2CH3、C−CH2CH2CH3、C−CH2CH2CH2CH3、C−CH(CH32、C−NH2、C−NHCH3、C−N(CH32およびC−OHからなる群から選択される。
【0186】
修飾NAD+の好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0187】
【化28】

2’−デオキシ−NAD+
2’−デオキシ−2−アミノ−NAD+
2−アミノ−NAD+
2’−デオキシ−3’−アミノ−NAD+
2’−デオキシ−3’−アミノ−2−アミノNAD+
2−アミノ−3’−アミノ−NAD+
【0188】
修飾アクセプター
本発明で提供される組成物および方法の特定の態様および実施形態は、少なくとも1つの修飾アクセプターを含む。好ましい実施形態では、修飾アクセプターは、1つまたは複数の置換基を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物を伴う使用に適した修飾アクセプターには、当技術分野で説明されているもの、例えばEgholm,M.ら、US特許第6,297,016号のPNA−DNAキメラプローブおよび3’−NH2置換プローブ(Fung,S.ら、US特許第5,593,826号)が含まれる。
【0189】
本明細書の諸態様の実施形態では、本発明の修飾アクセプターおよびその誘導体は、式IIの化合物を提供する。
【0190】
【化29】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0191】
修飾アクセプターの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0192】
【化30】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1は、独立に、OH、SH、OCH2CH3およびCH3からなる群から選択され、
2は、独立に、OH、SH、OCH2CH3およびCH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、HおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0193】
修飾ドナー
本発明で提供される組成物および方法の特定の態様および実施形態は、少なくとも1つの修飾ドナーを含む。好ましい実施形態では、修飾ドナーは、1つまたは複数の置換基を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物を伴う使用に適した修飾アクセプターには、当技術分野で説明されているもの、例えばドナーの(5’−リン酸)鎖における5’−チオリン酸の使用が含まれる(Bandaru,R.ら、US特許第6,811,986号および同第6,635,425号)。
【0194】
本明細書の諸態様の実施形態では、本発明の修飾ドナーおよびその誘導体は、式IIIの化合物を提供する。
【0195】
【化31】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0196】
修飾ドナーの好ましい実施形態は、以下の構造を有する。
【0197】
【化32】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、OCH2CH3またはCH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、HおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0198】
修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプターおよび修飾ドナーの組合せ
本発明で提供される組成物および方法の特定の態様および実施形態は、修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプターおよび修飾ドナーの組合せの使用を含む。2つ以上の任意の可能な組合せを使用することができる。いくつかの実施形態では、2種類以上のリガーゼ補因子、修飾アクセプターまたは修飾ドナーを使用することができる。
【0199】
例示的な組合せは、以下の群から選択される修飾リガーゼ補因子、修飾アクセプターおよび修飾ドナーの2つ以上の組合せを含む。
【0200】
修飾アクセプター
【化33】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0201】
修飾ドナー
【化34】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0202】
修飾補因子
【化35−1】

7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
7−メチル−7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
7−メチル−7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
N1−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート
N1−メチル−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
8−クロロ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−クロロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アザ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アジド−アデノシン−5’−トリホスフェート
8−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
N6−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート
N6−メチル−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2−クロロプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート
2−アミノプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート
イノシン−5’−トリホスフェート
2’−デオキシ−イノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
【0203】
【化35−2】

3’−アミノ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アジド−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−フルオロ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−フルオロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチル−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチル−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチルアミノ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メチルアミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−3’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート
【0204】
【化35−3】

5’−α−チオ−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−[P−ボラノ]−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−メチルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
5’−α−フェニルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
【0205】
修飾リガーゼ構成要素の特に好ましい組合せは、以下の修飾アクセプター、修飾ドナーおよび修飾補因子から選択される。
【0206】
修飾アクセプター
【化36】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1は、H、OH、SH、OCH2CH3およびCH3からなる群から選択され、
2は、H、OH、SH、OCH2CH3およびCH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、HおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0207】
修飾ドナー
【化37】

式中、
1、B2およびB3は、それぞれ独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
1およびX2は、それぞれ独立に、OH、SH、OCH2CH3およびCH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、HおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される。
【0208】
修飾補因子
【化38】

5’−α−チオ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2’−フルオロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート
N1−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート
7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート
2−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート
【0209】
一態様では、本明細書の方法および組成物は、修飾リガーゼ構成要素を提供する。いくつかの実施形態では、修飾リガーゼ構成要素は、1つのみの置換基を有することができる。他の実施形態では、修飾リガーゼ構成要素は、塩基、三リン酸鎖、糖またはそれらの組合せにおける修飾などの2つ以上の置換基を含有することができる。他の実施形態では、修飾リガーゼ構成要素は、2種類以上の置換基を含有することができる。修飾リガーゼ構成要素は、本明細書に記載の式I〜IIIの化学式を有することができる。
【0210】
本明細書の別の態様では、本明細書にさらに記載の式I〜IIIに図示した化学構造を有する修飾リガーゼ構成要素の合成方法を提供する。置換基は、既存の合成法または酵素的方法を使用することによって、リガーゼ補因子、アクセプターまたはドナーに組み込むことができる。本発明で提供する方法および組成物の修飾リガーゼ構成要素は、当技術分野で知られる任意の方法によって合成することができる。修飾リガーゼ構成要素の合成および精製後、いくつかの異なる手順を利用して、構造および純度の観点から修飾リガーゼ構成要素の受容性を決定することができる。かかる手順の例は、核磁気共鳴分光法、質量分析、蛍光分光法、紫外分光法、高速液体クロマトグラフィーである。これらの手順は当業者に知られている。当技術分野の分離、精製および分析に用いられている現在の方法は、本発明で提供する方法および組成物の修飾リガーゼ構成要素に対しても同様に適用することができる。
【0211】
本発明で提供する方法および組成物の目的を達成する置換基であれば、いずれも利用することができる。置換基は、その使用が、修飾リガーゼ構成要素が用いられるライゲーション反応条件下で望ましくないライゲーション産物の形成を低減し、またはそれに障害を与える置換基であるべきである。
【0212】
いくつかの実施形態では、修飾ライゲーション構成要素によって、対応する非修飾リガーゼ構成要素と比較してライゲーション特異性が改善される。ライゲーションの改善とは、マッチ核酸とミスマッチ核酸を識別するリガーゼの能力を指す。好ましくは、修飾ライゲーション構成要素が存在する場合、標的核酸(例えば、鋳型)と比較して、ドナーおよび/またはアクセプターにおいてミスマッチがある場合、ライゲーションが低減または防止される。他の実施形態では、修飾ライゲーション構成要素によって、ミスマッチ(非相補的な)核酸標的のライゲーション効率が低下することにより、ライゲーション特異性が改善される。好ましい実施形態では、修飾ライゲーション構成要素によって、マッチ核酸と比較して、少なくとも1つの塩基対のミスマッチを有する核酸のライゲーション効率が低下することにより、ライゲーション特異性が改善される。好ましい実施形態では、修飾ライゲーション構成要素を伴うライゲーションによって、ライゲーション特異性が、少なくとも0.1%、0.2%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%、または少なくとも400%改善される。
【0213】
いくつかのライゲーション反応では、ライゲーション反応におけるすべてのリガーゼ補因子、アクセプターおよび/またはドナー分子が、置換基を含有するわけではない。好ましくは、修飾リガーゼ補因子と非修飾リガーゼ補因子の両方の均等な混合物によって、修飾リガーゼ補因子を全く使用しない場合と比較して、混合集団におけるライゲーションの効率および特異性が改善される。好ましくは、初期の変性温度におけるインキュベーションの前に、修飾リガーゼ補因子は、すべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも25%、好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも50%、好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも75%、好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも90%、好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも95%、好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも98%、より好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の少なくとも99%、より好ましくはすべてのリガーゼ補因子分子の100%を構成する。別の実施形態では、2種、3種、4種またはそれ以上の種類のリガーゼ補因子分子を、ライゲーション反応において用いることができる。
【0214】
一実施形態では、1種類のみの修飾リガーゼ補因子が、ライゲーション反応において存在する。他の実施形態では、様々な種類の修飾リガーゼ補因子が、同じライゲーション反応において存在する。別の実施形態では、2種類以上の修飾リガーゼ補因子が、同じライゲーション反応において存在する。別の実施形態では、3種類以上の修飾リガーゼ補因子が、同じライゲーション反応において存在する。別の実施形態では、4種類以上の修飾リガーゼ補因子が、同じライゲーション反応において存在する。
【0215】
本発明で提供する修飾リガーゼ構成要素を伴う使用に適した例示的なライゲーション方法には、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegren,U.ら、241 Science、1077〜1080頁(1988年))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wiedmann,M.ら、3 Genome Biol、S51〜64頁(1994年))、リガーゼ媒介PCR(LM−PCR)(Mueller,P.R.ら、246 Science、780〜786頁(1989年)、Pfeifer,G.P.ら、246 Science、810〜813頁(1989年))、PCRライゲーション検出反応(PCR−LDR)(Cheng,Y.W.ら、16 Genome Res、282〜289頁(2006年))、Padlockプローブ(Antson,D.ら、28 Nucleic Acids Res、e58頁(2000年))、PCRオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(PCR−OLA)(Delahunty,C.ら、58 Am J Hum Genet、1239〜1246頁(1996年))、ギャップLCR手法(Abravaya,K.ら、23 Nucleic Acids Res、675〜682頁(1995年))、SNPlex(De la Vega,F.M.ら、573 Mutat Res、111〜135頁(2005年)、Livak,K.J.14 Genet Anal、143〜149頁(1999年))、MLPA(多重ライゲーション依存性プローブ増幅)(Schouten,J.P.ら、30 Nucleic Acids Res、e57頁(2002年))、GoldenGate遺伝子型解析アッセイ(Fan,J.B.ら、68 Cold Spring Harb Symp Quant Biol、69〜78頁(2003年)、Oliphant,A.ら、Suppl Biotechniques、56〜58頁、60〜51頁(2002年)、Shen,R.ら、573 Mutat Res、70〜82頁(2005年))、および分子反転プローブアッセイ(Fodor,S.P.ら、251 Science、767〜773頁(1991年)、Matsuzaki,H.S.ら、1 Nat Methods、109〜111頁(2004年)、Matsuzaki,H.ら、14 Genome Res、414〜425頁(2004年)、Pease,A.C.ら、91 Proc Natl Acad Sci USA、5022〜5026頁(1994年))、近接ライゲーション(Gustafsdottir,S.ら、345 Anal Biochem、2〜9頁(2005年)、Soderberg,O.ら、28 Genet Eng(NY)、85〜93頁(2007年))、およびライゲーションによる次世代シークエンシングが含まれる。
【0216】
本発明で提供する修飾リガーゼ構成要素を伴う使用に適した配列検出のための例示的なライゲーション系手法には、Barany,F.ら、US特許第7,244,831号、同第6,312,892号に記載のもの、ならびに高い忠実度の熱安定性リガーゼの使用(US特許第6,949,370号)、LDRおよびPCRの組合せ(Barany,F.ら、US特許第7,097,980号、同第6,797,470号、同第6,268,148号、同第6,027,889号、同第7,166,434号)、エンドヌクレアーゼを使用するライゲーション(Barany,F.ら、US特許第7,198,894号、同第7,014,994号)、OLA/PCR(Eggerding,F.、US特許第5,912,148号、同第6,130,073号)、ライゲーション/増幅(Lao,K.Q.、US特許第7,255,994号)、段階的ライゲーションおよび切断(Brenner,S.ら、US特許第5,714,330号、同第5,552,278号)、近接ライゲーション(Gustafsdottir,S.ら、345 Anal Biochem、2〜9頁(2005年)、Soderberg,O.ら、28 Genet Eng(NY)、85〜93頁(2007年)、Fredriksson,S.ら、20 Nat Biotechnol、473〜477頁(2002年))、病原体検出のための近接ライゲーション(Gustafsdottir,S.M.ら、52 Clin Chem、1152〜1160頁(2006年))、サイトカイン検出(Gullberg,M.ら、101 Proc Natl Acad Sci USA、8420〜8424頁(2004年))、胞子検出(Pai,S.ら、33 Nucleic Acids Res、e162頁(2005年))、癌バイオマーカー検出(Fredriksson,S.ら、4 Nat Methods、327〜329頁(2007年))、ならびにタンパク質−DNA相互作用の強度を測定するための近接ライゲーション(Gustafsdottir,S.ら、345 Anal Biochem、2〜9頁(2005年)、Schallmeiner,E.ら、4 Nat Methods、135〜137頁(2007年))が含まれる。
【0217】
本発明で提供する修飾リガーゼ構成要素を伴う使用に適した例示的なライゲーション系診断アッセイには、HIV薬物耐性株の検出(Lalonde,M.ら、45 J Clin Microbiol、2604〜2615頁(2007年))、対立遺伝子に特異的な産物の多重検出(Macdonald,S.J.ら、6 Genome Biol、R105頁(2005年))、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)を含むライゲーションによるSNP検出(Landegren,U.ら、241 Science、1077〜1080頁(1988年))、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wiedmann,M.ら、3 Genome Biol、S51〜64頁(1994年))、ライゲーションとリガーゼ媒介PCR(LM−PCR)を含むPCRの組合せを使用するSNP検出(Mueller,P.R.ら、246 Science、780〜786頁(1989年)、Pfeifer,G.P.ら、246 Science、810〜813頁(1989年))、PCRライゲーション検出反応(PCR−LDR)(Cheng,Y.W.ら、16 Genome Res、282〜289頁(2006年))、Padlockプローブ(Antson,D.ら、28 Nucleic Acids Res、e58頁(2000年))、PCRオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(PCR−OLA)(Delahunty,C.ら、58 Am J Hum Genet、1239〜1246頁(1996年))、ならびにギャップLCR手法(Abravaya,K.ら、23 Nucleic Acids Res、675〜682頁(1995年))、SNPlex(De la Vega,F.M.ら、573 Mutat Res、111〜135頁(2005年)、Livak,K.J.14 Genet Anal、143〜149頁(1999年))、MLPA(多重ライゲーション依存性プローブ増幅)(Schouten,J.P.ら、30 Nucleic Acids Res、e57頁(2002年))、IlluminaのGoldenGate遺伝子型解析アッセイ(Fan,J.B.ら、68 Cold Spring Harb Symp Quant Biol、69〜78頁(2003年)、Oliphant,A.ら、Suppl Biotechniques、56〜58頁、60〜51頁(2002年)、Shen,R.ら、573 Mutat Res、70〜82頁(2005年))、ならびにAffymetrix GeneChipアレイ上での分子反転プローブアッセイ(Fodor,S.P.ら、251 Science、767〜773頁(1991年)、Matsuzaki,H.ら、1 Nat Methods、109〜111頁(2004年)、Matsuzaki,H.ら、14 Genome Res、414〜425頁(2004年)、Pease,A.C.ら、91 Proc Natl Acad Sci USA、5022〜5026頁(1994年))が含まれる。
【0218】
本発明で提供する修飾リガーゼ構成要素を伴う使用に適したさらなる例示的なライゲーションアッセイには、従来のSangerジデオキシシークエンシング(Sanger,F.ら、74 Proc Natl Acad Sci USA、5463〜5467頁(1977年)および454シークエンシングシステムなどの次世代シークエンシングアッセイ、Illuminaゲノム分析器、Knome’s KnomeCOMPLETE(商標)ゲノムシークエンシングサービス、ならびにABI SOLiD(商標)システムによるシークエンシング技術およびライゲーションアッセイなどの他のシークエンシング(Ronaghi,M.、11 Genome Res、3〜11頁(2001年)、Mirzabekov,A.、12 Trends Biotechnol、27〜32頁(1994年)、Schmalzing,D.ら、20 Electrophoresis、3066〜3077頁(1999年))が含まれる。
【0219】
ここで、本発明で提供する方法および組成物を、以下の非限定的な実施例を参照することによってより詳細に記載する。
【実施例1】
【0220】
PAGE分析を使用するライゲーション収率の検出
プライマー結合性配列(「PBS」)を有するドナーおよびアクセプター(それぞれLP3’Tアクセプター/PBSおよびCom3Fドナー/PBS)を、相補的な鋳型(Alg鋳型)の存在下で、T4DNAリガーゼによって接合されるそれらの能力について評価した。4つの設定で実験を実施した(図2)。ドナー、アクセプター、ATP補因子、鋳型を含み、リガーゼを含まない第1のライゲーション反応混合物を設定した。ライゲーションは検出されなかった。ドナー、アクセプター、ATP補因子、リガーゼを含み、鋳型を含まない第2のライゲーション反応混合物を設定した。ライゲーションは検出されなかった。ドナー、アクセプター、リガーゼ、鋳型を含む第3のライゲーション反応混合物を設定し、追加のATP補因子は添加しなかった。少量のライゲーション産物を検出したが、これは、精製過程中に単離された少量のアデニル化リガーゼによる可能性が高い。ドナー、アクセプター、ATP補因子、リガーゼおよび鋳型を含む第4のライゲーション反応混合物を設定した。大部分のドナーおよびアクセプターが消費され、接合ライゲーション産物に効率的に変換された。
【0221】
各20μLの反応を、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、10mMのジチオトレイトール、25μg/mlのウシ血清アルブミンを含有するバッファー中で実施した。1mMのATPを、バッファーに別個に添加した。ドナー(LP3’T/PBS)、アクセプター(Com3F/PBS)および鋳型(Alg)は、0.1μMの等モル量であった。アクセプター、ドナーおよび鋳型を95℃で3分間変性させ、4℃で3分間アニールした。T4リガーゼ(New England Biolabs)400単位を各反応物に添加することによって、ライゲーションを開始した。ライゲーションを16℃で20分間進行させた。反応物を65℃で10分間加熱し、同体積の2×TBE−尿素バッファー(Invitrogen)を添加することによって、ライゲーションを終了させた。試料を、6%TBE−尿素Novexゲル(Invitrogen)で泳動した。ゲルを、製造者のプロトコルに従ってSYBR Gold核酸染色(Invitrogen)で染色した。
【0222】
【表1】

【実施例2】
【0223】
リアルタイムPCR分析を使用するライゲーション収率の検出
ドナーポリヌクレオチドとアクセプターポリヌクレオチド(それぞれLP3’Tアクセプター/PBSおよびCom3Fドナー/PBS)の間のライゲーション産物を、リアルタイム定量的PCRを使用して検出した。ライゲーション反応を、相補的な鋳型(Alg鋳型)の存在下でT4DNAリガーゼを用いて実施し、リアルタイムPCRを使用して検出した。ライゲーション反応から得た産物の連続希釈物(104〜109倍希釈のライゲーション産物)を、その後のPCR反応における鋳型として使用した。反応混合物は、反応物25μl中、1×PCRバッファー(20mMのトリス(pH8.4)、50mMのKCl、1.5mMのMgCl2)、アクセプター(LP3’TFor)の5’末端およびドナー(Com3FRev)の3’末端(各0.1μM)に設計したプライマー結合性部位に特異的なPCRプライマー、TaqDNAポリメラーゼ(5U/ul)(Invitrogen)、SYBR Green I核酸色素(1:60,000希釈)(Invitrogen)、ROX参照色素(1:30,000希釈)(Stratagene)からなっていた。熱サイクル条件は、初期変性では95℃で10分間とし、その後は95℃で40秒間、56℃で30秒間、72℃で1分間を40サイクル行い、最終的な伸長ステップを72℃で7分間行なって終了した。反応は、Stratagene Mx3005P(登録商標)QPCRシステム機器で実施した。図3からわかる通り、増幅プロットを使用して6つの希釈物のそれぞれを検出すると(図3A)、NTC(鋳型が存在しない状態で実施したライゲーション)は、著しく遅いCtを伴う増幅曲線を有していた。解離曲線(図3B)によって、鋳型の存在下で実施したすべてのライゲーションが同じ融解温度を有しており、NTCは低い融解温度を有していることが明らかになったが、このことは、Com3Fドナー/PBSに沿ってCom3FRevが伸長したことに起因する可能性が高い。最後に、Ct値を標準曲線から抽出し、ライゲーション反応のすべての希釈物を、良好な直線性を伴って検出することができた(図3C)。このアッセイは、核酸標的を定量化するその能力に起因して、修飾ライゲーション構成要素の、この場合は修飾リガーゼ補因子の効率におけるわずかな差異を引き出すのに重要性が高い。
【実施例3】
【0224】
PAGE分析を使用するマッチ鋳型とミスマッチ鋳型の間の修飾補因子の識別評価
ATP類似体を、マッチ鋳型およびミスマッチ鋳型を接合するそれらの能力について、対応する天然ATP補因子と比較した(図4)。ATP類似体を、マッチ鋳型(LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端におけるT−Aマッチ塩基対)の存在下での相対的ライゲーション収率について、ミスマッチ鋳型(LP3’Cアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のC−Aミスマッチ塩基対)を使用した場合の相対的収率に対して評価した。反応は、対象となる補因子を濃度1mMで反応物に入れて、実施例1に記載の通り実施した。天然ATP基質を、以下の修飾補因子、7−デアザ−ATP(7−デアザ−アデノシン−5’−三リン酸)、N1−メチル−ATP(N1−メチル−アデノシン−5’−三リン酸)、2−アミノ−ATP(2−アミノ−アデノシン−5’−三リン酸)、2’−アミノ−2’−デオキシ−ATP(2’−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−三リン酸)、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−ATP(3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)と比較した(図4)。マッチ鋳型を用いた場合には、あらゆる修飾補因子によって、天然ATPと類似の効率でライゲーションが支持された。しかし、ミスマッチ鋳型を用いた場合には、修飾補因子の使用によって、天然ATPと比較してライゲーション収率が著しく低下した。
【実施例4】
【0225】
特異性数値の決定
対象となるライゲーション構成要素(例えば、修飾リガーゼ補因子、修飾ドナーまたは修飾アクセプター)のライゲーション収率を決定する一方法は、特異性数値を割り当てることである。特異性数値は、例えばマッチしている場合のライゲーション収率を、そのマッチしている場合と比較して一塩基対が一致していないミスマッチの場合のライゲーション収率で割ることによって決定することができる。まず、実施例1に示す通り、PAGEゲルの濃度測定の読取りによってライゲーション収率を決定する。次いで、その収率を同じ反応における鋳型の読取りに対して正規化し、その後1.0の正規化収率を有する天然(ATP)補因子を含む反応物のライゲーション収率に対して正規化する。例えば、2’−デオキシ−ATP(2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸;図4)の場合、マッチしている場合(LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のT−Aマッチ塩基対)のライゲーション収率は、1.34であった。ミスマッチの場合(LP3’Cアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のC−Aミスマッチ塩基対)には、ライゲーション収率は0.18であった。したがって、C−Aミスマッチの場合の2’−デオキシ−ATPに割り当てられた特異性数値は、1.34÷0.18、すなわち7.44であった。これを超える値は、改善されたライゲーション特異性を示す。これ未満の値は、低いライゲーション特異性を示す。
【実施例5】
【0226】
マッチ鋳型とミスマッチ鋳型の間の修飾補因子の識別を同定するためのマトリックス評価
ATP類似体を、アクセプターの3’末端上にミスマッチ塩基対を含有する鋳型:1)LP3’Cアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;C−Aミスマッチ、2)LP3’Gアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;G−Aミスマッチ、ならびに3)LP3’Aアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;A−Aミスマッチの収率に対して、マッチ鋳型(LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のT−Aマッチ塩基対)の存在下での相対的ライゲーション収率に関して、マッチ鋳型およびミスマッチ鋳型を接合するそれらの能力について天然ATP補因子と比較した(図5)。反応は、対象となる補因子を濃度1mMで反応物に入れて、実施例1に記載の通り実施した。天然ATP補因子を、以下の10種類の修飾補因子、5’−α−チオ−アデノシン−5’−三リン酸(1−チオ−ATP)、2’アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(2’−アミノ−2’−デオキシ−ATP)、2−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(2−アミノ−2’−デオキシ−ATP)、2’−フルオロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(2’−フルオロ−2’−デオキシ−ATP)、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−ATP)、3’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(3’−デオキシ−ATP)、7−デアザ−アデノシン−5’−三リン酸(7−デアザ−ATP)、2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(2’−デオキシ−ATP)、L−異性体−2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸(2’−デオキシ−ATPのL−異性体)、およびN1−メチル−アデノシン−5’−三リン酸(N1−メチル−ATP)と比較した。対象となる4つの異なる塩基対T−A、G−A、C−AおよびA−Aに関するライゲーション収率のPAGE分析から得た積分結果を、一連の3つの散布図にプロットした。各散布図によって、マッチ鋳型(T−A)について正規化した収率を、3つの異なるミスマッチ鋳型(C−A、G−AおよびA−A)のそれぞれについて正規化した収率と比較する(図5)。対象となる主な修飾は、マッチしている場合(T−A)には天然ATPに匹敵するライゲーション収率を有し、ミスマッチ鋳型(C−A、G−AおよびA−A)の存在下ではライゲーション収率は低い。類似体のこのパネルから、5’−α−チオ−アデノシン−5’−三リン酸、2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸および3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸が、対象となる主な修飾と同定された。
【実施例6】
【0227】
マッチ鋳型とミスマッチ鋳型の間の修飾アクセプターの識別を同定するためのマトリックス評価
様々な糖および主鎖修飾アクセプター鎖を、マッチ鋳型およびミスマッチ鋳型を接合するそれらの能力について、天然非修飾アクセプター鎖と比較した。修飾アクセプター鎖を、鋳型の3’末端においてミスマッチ塩基対を含有する鋳型:1)LP3’Tアクセプター/PBSおよびGlg鋳型;T−Gミスマッチ、2)LP3’Tアクセプター/PBSおよびClg鋳型;T−Cミスマッチ、ならびに3)LP3’Tアクセプター/PBSおよびTlg鋳型;T−Tミスマッチの収率に対して、マッチ鋳型(LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプターの3’末端上のT−Aマッチ塩基対)の存在下での相対的ライゲーション収率について評価した。反応は、T4DNAリガーゼを使用し、対象となるアクセプター鎖を濃度1μMで反応物に入れて、実施例1に記載の通り実施した。NAD依存性リガーゼである大腸菌リガーゼを使用してさらなる実験を実施して(示さず)、天然アクセプター鎖の性能を、以下に示す式を有する10種類の修飾アクセプターと比較した。
【0228】
【化39】

式中、
1および2は、それぞれ独立に、OH、SHおよびCH3からなる群から選択され、
1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、H、FおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、オリゴヌクレオチジル残基である。
【0229】
天然アクセプターでは、X1およびX2はOHであり、Y1、Y2およびY3はHである(図6、修飾なし)。10種類の修飾アクセプターのそれぞれは、天然アクセプターと比較して、X1がSHまたはCH3であり(図6、それぞれPS(X1)およびPMe(X1))、X2がSHまたはCH3であり(図6、それぞれPS(X2)およびPMe(X2))、Y1がFまたはOCH3であり(図6、それぞれ2’−F(Y1)または2’−OMe(Y1))、Y2がFまたはOCH3であり(図6、それぞれ2’−F(Y2)または2’−OMe(Y2))、Y3がFまたはOCH3である(図6、それぞれ2’−F(Y3)または2’−OMe(Y3))ように、部位X1、X2、Y1、Y2またはY3の1つにおいて修飾を有する。
【0230】
対象となる4つの異なる塩基対T−A、T−G、T−CおよびT−Tについて、PAGEゲル分析により決定したライゲーション収率を、一連の3つの散布図にプロットした。各散布図によって、マッチ鋳型(T−A)について正規化した収率を、3つの異なるミスマッチ鋳型(T−G、T−CおよびT−T)のそれぞれについて正規化した収率と比較した(図6)。対象となる主な修飾は、マッチしている場合(T−A)にはATPに匹敵するライゲーション収率を有し、ミスマッチ鋳型(T−G、T−CおよびT−T)の存在下ではライゲーション収率は低い。修飾アクセプターのこのパネルから、X1位置におけるCH3修飾(図6、PMe(X1))およびY2位置におけるOCH3修飾(図6、2’−OMe(Y2))が、対象となる主なアクセプター修飾と同定された。
【実施例7】
【0231】
マッチ鋳型とミスマッチ鋳型の間の修飾ドナーの識別を同定するためのマトリックス評価
様々な糖および主鎖修飾ドナー鎖を、マッチ鋳型およびミスマッチ鋳型を接合するそれらの能力について、天然ドナー鎖と比較した。修飾ドナー鎖を、鋳型の3’末端においてミスマッチ塩基対を含有する鋳型:1)Com3Fドナー/PBS、LP3’Tアクセプター/PBSおよびClg鋳型;T−Cミスマッチ、ならびに2)Com3F/PBS、LP3’C/PBSおよびAlg;C−Aミスマッチの収率に対して、マッチ鋳型(Com3Fドナー/PBS、LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のT−Aマッチ塩基対)の存在下での相対的ライゲーション収率について評価した。反応は、T4DNAリガーゼおよび対象となるドナー鎖を濃度1μMで各反応物に入れて、実施例1に記載の通り実施した。NAD依存性リガーゼである大腸菌リガーゼを使用してさらなる実験を実施した(示さず)。天然ドナー鎖を、以下の5種類の修飾ドナーと比較した。
【0232】
【化40】

式中、X1およびX2は、それぞれ別個にOHまたはCH3で置換されており、Y1、Y2およびY3は、それぞれ別個にHまたはOCH3で置換されている。
【0233】
天然ドナーでは、X1およびX2はOHであり、Y1、Y2およびY3はHである(図7、修飾なし)。5種類の修飾ドナーのそれぞれは、天然ドナーと比較して、X1がCH3であり(図7、PMe(X1))、X2がCH3であり(図7、PMe(X2))、Y1がOCH3であり(図7、2’−OMe(Y1))、Y2がOCH3であり(図7、2’−OMe(Y2))、またはY3がOCH3である(図7、2’−OMe(Y3))ように、部位X1、X2、Y1、Y2またはY3の1つにおいて修飾を有する。
【0234】
対象となる3つの異なる塩基対T−A、T−CおよびC−Aについて、PAGEゲル分析により決定した正規化ライゲーション収率を、一連の3つの散布図にプロットした。各散布図によって、マッチ鋳型(T−A)を、3つの異なるミスマッチ鋳型(T−CおよびC−A)のそれぞれと比較した(図7)。対象となる主な修飾は、マッチしている場合(T−A)におけるATPと匹敵するライゲーション収率を有し、ミスマッチ(T−CおよびC−A)の存在下では、ライゲーション収率は低い。修飾アクセプターのこのパネルから、X1(PMeX1)およびX2(PMeX2)位置におけるCH3修飾が、対象となる主なドナー修飾と同定された。
【実施例8】
【0235】
マッチ鋳型とミスマッチ鋳型を最も良好に識別する修飾ATP補因子と組み合わせた修飾アクセプターの同定の評価
実施例1、3、4および5に記載した研究に続き、いくつかの修飾ATP補因子と組み合わせたいくつかの糖および主鎖修飾アクセプター鎖を、マッチ鋳型対ミスマッチ鋳型を接合するそれらの能力について、天然アクセプター鎖およびATPと比較した。これらの研究によって、鋳型鎖の3’末端上にミスマッチ塩基対を含有する単一鋳型:1)Com3Fドナー/PBS、LP3’Tアクセプター/PBSおよびClg鋳型;T−Cミスマッチを用いた場合の相対的収率に対する、マッチ鋳型(Com3Fドナー/PBS、LP3’Tアクセプター/PBSおよびAlg鋳型;アクセプター鎖の3’末端上のT−Aマッチ塩基対)の存在下での相対的ライゲーション収率について、修飾アクセプター鎖と修飾ATP補因子の組合せを評価した。反応は、対象となるアクセプター鎖を濃度1μMで各反応物に入れ、ATP補因子を濃度1mMで入れて、実施例1に記載の通り実施した。これらの研究では、天然アクセプター鎖の性能を、以下の5種類の修飾アクセプターと比較した。
【0236】
【化41】

式中、X1は、独立に、OH、SHおよびCH3からなる群から選択され、X2は、独立に、OHおよびCH3からなる群から選択され、Y1およびY2は、それぞれ独立に、HおよびOCH3からなる群から選択される。
【0237】
天然アクセプターでは(図8、修飾なし)、X1およびX2はOHであり、Y1およびY2はHである。5種類の修飾アクセプターのそれぞれは、天然アクセプターと比較して、X1がSHであり(図8、PS(X1))、X1がCH3であり(図8、PMe(X1))、X2がCH3であり(図8、PMe(X2))、Y1がOCH3であり(図8、2’−OMe(Y1))、またはY2がOCH3である(図8、2’−OMe(Y2))ように、部位X1、X2、Y1またはY2の1つにおいて修飾を有する。
【0238】
これらの5種類の修飾アクセプター鎖を、2’−デオキシ−ATP(2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)、1−チオ−ATP(5’−α−チオ−アデノシン−5’−三リン酸)、2’−アミノ−2’−デオキシ−ATP(2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)、2−アミノ−ATP(2−アミノ−アデノシン−5’−三リン酸)、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−ATP(3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)、および2−アミノ−2’−デオキシ−ATP(2−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)を含む6種類の修飾ATP類似体と組み合わせてアッセイした。ATP類似体および修飾アクセプター鎖のあらゆる可能な組合せを試験した。
【0239】
対象となる2つの異なる塩基対T−AおよびT−Cについて、PAGEゲル分析により決定したライゲーション収率(ATPに対して正規化)を、表(図8)に記録した。これらの表は、糖および主鎖修飾アクセプター鎖を異なる修飾ATP補因子と組み合わせて使用する相対的ライゲーション収率を含む。これらの値は、実施例1に記載の通り、天然アクセプター鎖ならびにアクセプター鎖の3’末端にマッチ(T−A)およびミスマッチ(T−C)塩基対を有するATPを使用するライゲーション収率に対するものである。マッチしている場合(T−A)には、点の網掛けセルの値は、0.85を超える相対的ライゲーション収率を表し、網掛けなしのセルの値は、0.70〜0.85の相対的ライゲーション収率を表し、灰色の網掛けセルの値は、0〜0.70の相対的ライゲーション収率を表す。ミスマッチの場合(T−C)には、点の網掛けセルは、0〜0.01の相対的ライゲーション収率を表し、網掛けなしのセルは、0.01〜0.1の相対的ライゲーション収率を表し、灰色のセルは、0.10〜1.00の相対的ライゲーション収率を表す。提示されたすべての収率を、ATPと非修飾アクセプター鎖の組合せに対して正規化した。好ましい性能基準を有する組合せは、マッチしている場合(T−A)には0.85を超える相対的収率を有し(例えば、図8の点の網掛けセル、上の表)、ミスマッチ鋳型(T−C)の存在下では0.01未満の相対的ライゲーション収率を有する(例えば、図8の点の網掛けセル、下の表)。これらの可能な組合せから、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−ATP(3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸)を伴うX1位置におけるCH3の修飾(図8、PMe(X1))が、対象となる主な修飾補因子および修飾アクセプターの組合せと同定され、マッチ収率は1.22であり、ミスマッチ収率は0.00であった。
【0240】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0241】
本明細書に例示的に記載した本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、1つまたは複数の制限なしに適切に実施され得る。したがって、本発明を説明する状況(特に、以下の特許請求の範囲の状況)における、例えば「a」および「an」および「the」という用語および類似の指示対象は、本明細書で別段指定されない限り、または状況と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「含む」、「有する」、「含み」、「含有する」等は、広範囲に解釈されるものであり、限定的ではない(例えば、「それに限定されるものではないが含む」を意味する)。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書で別段指定されない限り、単にその範囲に含まれるそれぞれ別個の値を個々に参照するための省略法として働くことを企図され、それぞれ別個の値は、それがあたかも本明細書に個々に列挙されるように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のあらゆる方法は、本明細書で別段指定されない限り、または状況と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本発明で提供される任意のすべての例または例示的用語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにするためのものであり、別段特許請求されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる用語も、本発明の実施に必須のものとして特許請求されていない任意の要素を示すと解釈されるべきではない。さらに、本明細書で用いた用語および表現は、限定的ではない説明用語として使用されており、示し記載した特徴またはその一部の任意の等価物を排除するような用語および表現の使用を企図するものではないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な改変が可能であることを認識されたい。したがって、本発明を好ましい実施形態によって具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書に開示の実施形態において具体化される本発明の任意の特徴、改変および変更を用いることができ、かかる改変および変更は、本発明の範囲に含まれるとみなされることを理解されたい。したがって、本発明を好ましい実施形態によって具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書に開示の実施形態において具体化される本発明の任意の特徴、改変、改善および変更を用いることができ、かかる改変、改善および変更は、本発明の範囲に含まれるとみなされることを理解されたい。ここで提供される材料、方法および例は、好ましい実施形態の代表的なものであり、例示的であり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0242】
本発明は、本明細書において広範に一般的に記載されている。属の開示に含まれる下位の種および亜属群のそれぞれも、本発明の一部を形成する。本発明は、条件付きで本発明の属の説明を含み、またはその属から任意の対象を除去する否定的な制限を、削除されるその材料が本明細書に具体的に列挙されるか否かに関わらず含む。
【0243】
さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群の観点から説明される場合、本発明は、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたは複数メンバーのサブグループの観点からも説明されることを当業者は認識されよう。
【0244】
本明細書で言及したあらゆる刊行物、特許出願文書、特許文書および他の参考文献は、あたかもそのそれぞれが参照によって個々に組み込まれるのと同程度に、それらの全体が参照によって明確に組み込まれる。不一致が生じる場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0245】
出願人らは、かかる任意の論文、特許文書、特許出願文書または他の物質的文書および電子文書からの任意のあらゆる材料および情報を本願に物理的に組み込む権利を有する。
【0246】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸の変異を検出する方法であって、
前記標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、前記リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾されており、そして
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターする、
ことを含み、ライゲーションの量は、変異の有無を示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
標的核酸の一塩基多型(SNP)部位における代替塩基の1つの有無を検出する方法であって、
前記標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、前記リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾されており、そして
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターする、
ことを含み、ライゲーションの量は、前記標的核酸の前記一塩基多型(SNP)部位において前記代替塩基の1つの有無を示すことを特徴とする方法。
【請求項3】
標的核酸中の第1の核酸配列または第2の核酸配列の存在を識別する方法であって、
前記標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、修飾リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、前記リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾されており、そして
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターする、
ことを含み、ライゲーションした核酸の存在または量は、標的核酸中の第1の核酸配列の存在もしくは量または標的核酸中の第2の核酸配列の非存在を示し、ライゲーションの非存在は、標的核酸中の第1の核酸配列の非存在を示すことを特徴とする方法。
【請求項4】
標的核酸の特定の位置における特定のヌクレオチドの有無を決定する方法であって、
前記標的核酸を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物中でインキュベートし、ここで、前記リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾されており、そして
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターする、
ことを含み、ライゲーションした核酸の存在は、標的核酸の特定の位置における特定のポリヌクレオチドの存在を示し、ライゲーションの非存在は、標的核酸の特定の位置における特定のポリヌクレオチドの非存在を示すことを特徴とする方法。
【請求項5】
ドナーポリヌクレオチドが、式5’−リン酸−X(n1)−Y(n2)−Z(n3)−3’を有し、アクセプターポリヌクレオチドが式5’−D(n4)−E(n5)−F(n6)−ヒドロキシ−3’を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法
[式中、(n2)、(n3)、(n4)および(n5)は、それぞれ独立に、0または任意の正の整数であり、
(n1)および(n6)は、それぞれ独立に、0、1、2、3または4であり、
X、Z、DおよびFは、標的核酸に相補的なヌクレオチド位置であり、
YまたはEの少なくとも一方は、対象となるヌクレオチド位置である]。
【請求項6】
(n2)および(n5)が、それぞれ独立に、0、1または2である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドが前記標的核酸にハイブリダイズすると、ドナーの5’末端がアクセプターの3’末端に隣接する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドが、それらをライゲーションに適した条件下で相補的な核酸鋳型にハイブリダイズしたときに、一緒になってライゲーションすることができる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
修飾リガーゼ補因子が存在する場合、対応する非修飾リガーゼ補因子のライゲーション効率と比較して、非相補的な核酸のライゲーションが低減または阻害される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
修飾リガーゼ補因子が存在する場合、相補的な核酸のライゲーション特異性と比較して、非相補的な核酸のライゲーションが低減または阻害される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
修飾リガーゼ補因子が存在する場合、対応する非修飾リガーゼ補因子と比較してライゲーション特異性が改善される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
修飾補因子、修飾アクセプターまたは修飾ドナーが存在する場合、アクセプターの3’末端またはドナーの5’末端のいずれかが標的核酸に対してミスマッチなヌクレオチドを含む場合と比較してアクセプターの3’末端とドナーの5’末端の両方が標的核酸にマッチする場合に、ライゲーション特異性が上昇する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
修飾補因子、修飾アクセプターまたは修飾ドナーが存在する場合、ミスマッチ核酸のライゲーションが阻害または低減され、非修飾補因子、アクセプターまたはドナーと比較して、マッチ核酸のライゲーション効率が少なくともほぼ同じになる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ライゲーション接合点の両側10塩基以内に少なくとも1つの塩基対ミスマッチが存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ミスマッチが、ライゲーション接合点のいずれかの側に存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ミスマッチが、アクセプターポリヌクレオチドの3’末端に存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ミスマッチが、ドナーポリヌクレオチドの5’末端に存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
修飾リガーゼ補因子、修飾ドナーまたは修飾アクセプターが存在する場合、対応する非修飾リガーゼ構成要素と比較して、標的核酸が存在しない場合のライゲーションが低減または阻害される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
リガーゼが、鋳型依存性DNAリガーゼまたはRNAリガーゼである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
リガーゼが、バクテリオファージT4DNAリガーゼ、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)DNAリガーゼ、アクイフェクス・エオリクス(Aquifex aeolicus)DNAリガーゼ、テルムス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAリガーゼ、9°N(商標)DNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)RNAリガーゼ、フェロプラズマ・アシディフィルム(Ferroplasma acidiphilum)DNAリガーゼ、ヒトDNAリガーゼI、ヒトDNAリガーゼII、ヒトDNAリガーゼIII、ヒトDNAリガーゼIV、ワクチニアウイルスDNAリガーゼ、クロレラ(Chlorella)ウイルスDNAリガーゼ、ピュロコックス・フリオシス(Pyrococcus furiosis)DNAリガーゼ、ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)DNAリガーゼ、アシディアヌス・アムビバレンス(Acidianus ambivalens)DNAリガーゼ、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)DNAリガーゼ、アエロピュルム・ペルニクス(Aeropyrum pernix)DNAリガーゼ、ケナルケオン・シュンビオスム(Cenarcheon symbiosum)DNAリガーゼ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Haloarcula marismortui)DNAリガーゼ、フェロプラズマ・アシダルマヌス(Ferroplasma acidarmanus)DNAリガーゼ、ナトロノモナス・パラオシス(Natronomonas pharaosis)DNAリガーゼ、ハロクアドラタム・ウォルズビイ(Haloquadratum walsbyi)DNAリガーゼ、ハロバクテリウム・サリナルム(Halobacterium salinarum)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・アセチボランス(Methanosarcina acetivorans)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)DNAリガーゼ、メタノコッコイデス・ブルトニ(Methanococcoides burtonii)DNAリガーゼ、メタノスピリラム・ヒュンガテイ(Methanospirillum hungatei)DNAリガーゼ、メタノカルドコックス・ヤンナスキ(Methanocaldococcus jannaschii)DNAリガーゼ、メタノピュルス・カンドレリ(Methanopyrus kandleri)DNAリガーゼ、メタノサルシナ・マゼイ(Methanosarcina mazei)DNAリガーゼ、メタノコックス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)DNAリガーゼ、メタノサエタ・テルモフィラ(Methanosaeta thermophila)DNAリガーゼ、メタノスパエラ・スタドトマナエ(Methanosphaera stadtmanae)DNAリガーゼ、メタノテルモバクター・テルムアウトトロフィクス(Methanothermobacter thermautotrophicus)DNAリガーゼ、ナノアルカエウム・エクゥィタンス(Nanoarchaeum equitans)DNAリガーゼ、パイロコックス・アビシ(Pyrococcus abyssi)DNAリガーゼ、ピロバクルム・アエロフィルム(Pyrobaculum aerophilum)DNAリガーゼ、パイロコックス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)DNAリガーゼ、ピクロフィルス・トリドゥス(Picrophilus torridus)DNAリガーゼ、スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)DNAリガーゼ、スルホロブス・シバタエ(Sulfolobus shibatae)DNAリガーゼ、スルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)DNAリガーゼ、スルフォロブス・トコダイ(Sulfolobus tokodaii)DNAリガーゼ、テルモプラズマ・アキドフィルム(Thermoplasma acidophilum)DNAリガーゼ、テルモコックス・フミコランス(Thermococcus fumicolans)DNAリガーゼ、テルモコックス・カダカレンシス(Thermococcus kodakarensis)DNAリガーゼ、テルモコックス種NA1DNAリガーゼ、テルモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium)DNAリガーゼ、スタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DNAリガーゼ、テルムス・スコトダクタス(Thermus scotoductus)NAD+−DNAリガーゼ、T4RNAリガーゼ、スタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)DNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)DNAリガーゼ、テルムス種AK16DのDNAリガーゼ、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)DNAリガーゼ、テルムス・テルモフィルス(Thermus thermophilus)DNAリガーゼ、バクテリオファージT7DNAリガーゼ、ヘモフィルス・インフルエンザDNAリガーゼ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)DNAリガーゼ、デイノコックス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)RNAリガーゼ、メタノバクテリウム・テルモアウトトロフィクム(Methanobacterium thermoautotrophicum)RNAリガーゼ、ロドテルムス・マリヌス(Rhodothermus marinus)RNAリガーゼ、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)RNAリガーゼ、バクテリオファージT4RNAリガーゼ1、Ampligase、およびバクテリオファージT4RNAリガーゼ2からなる群から選択される1つまたは複数のリガーゼを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ライゲーションが、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、リガーゼ媒介PCR(LM−PCR)、PCRライゲーション検出反応(PCR−LDR)、Padlockプローブ、PCRオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(PCR−OLA)、ギャップLCR手法、SNPlex、MLPA(多重ライゲーション依存性プローブ増幅)、GoldenGate遺伝子型解析アッセイおよび分子反転プローブアッセイ、近接ライゲーション、ならびにライゲーションによる次世代シークエンシングからなる群から選択される1つまたは複数の酵素的ライゲーション方法を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの修飾リガーゼ補因子が、修飾アデノシン5’−三リン酸(ATP)および修飾ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)からなる群から選択される1つまたは複数を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの修飾リガーゼ補因子が修飾ATPである、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
修飾ATPが式IAの構造:
【化1】

[式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、N3、C(Y)R4、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
1は、H、F、R2、OR2、SR2、SeR2、NR23、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、(BH3-+およびC(Y)R4からなる群から選択され、
+はカチオンであり、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、CR11およびNR1からなる群から選択され、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択される]
を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
修飾ATPが、7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート、7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、7−メチル−7−デアザ−アデノシン−5’−トリホスフェート、7−メチル−7−デアザ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、N1−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート、N1−メチル−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、8−クロロ−アデノシン−5’−トリホスフェート、8−クロロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、8−アザ−アデノシン−5’−トリホスフェート、8−アザ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、8−アジド−アデノシン−5’−トリホスフェート、8−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、N6−メチル−アデノシン−5’−トリホスフェート、N6−メチル−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2−クロロプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート、2−アミノプリン−2’−デオキシリボシド−5’−トリホスフェート、イノシン−5’−トリホスフェート、2’−デオキシ−イノシン−5’−トリホスフェート、2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、2−アミノ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、2−アミノ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−チオ−アデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−チオ−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−[P−ボラノ]−アデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−[P−ボラノ]−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−[P−ボラノ]−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−[P−ボラノ]−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−メチルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−メチルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−メチルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−メチルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−フェニルホスホネート−アデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−フェニルホスホネート−2’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−フェニルホスホネート−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、5’−α−フェニルホスホネート−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−アミノ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−アミノ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−アジド−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−アジド−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−フルオロ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−フルオロ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−フルオロ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−アラ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メチル−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メチル−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−チオ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−チオ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メチルアミノ−3’−デオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メチルアミノ−2’,3’−ジデオキシアデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メトキシ−3’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−メトキシ−2’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メトキシ−3’−デオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、3’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−トリホスフェート、2’−メトキシ−2’−デオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェート、および2’−メトキシ−2’,3’−ジデオキシ−2−アミノ−アデノシン−5’−トリホスフェートからなる群から選択される、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
修飾ATPが、2−アミノ−2’−デオキシアデノシン−5’−三リン酸、5’−α−チオ−アデノシン−5’−三リン酸、2’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸、3’−デオキシ−アデノシン−5’−三リン酸、7−デアザ−アデノシン−5’−三リン酸、および3’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−アデノシン−5’−三リン酸からなる群から選択される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの修飾リガーゼ補因子が修飾NAD+である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
修飾NAD+が式IBの構造:
【化2】

[式中、
1、W2、W3およびW4は、それぞれ独立に、N、CR1およびN+1からなる群から選択され、
各R1は、独立に、H、F、Cl、Br、I、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R4および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R2および各R3は、独立に、Hまたは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各R4は、H、F、Cl、Br、OR2、SR2、SeR2、NR23、C(Y)R2および置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され、各置換基はそれぞれ、1つまたは複数のヘテロ原子を任意に含有することができ、
各Yは、O、S、Se、C(R12およびNR1からなる群から選択され、
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、R1、NR2OR2、NR2−NR23、CN、N3、NO、NO2、NCO、NCS、OCN、SCNおよびSSR2からなる群から選択される]
を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
修飾NAD+が、2’−デオキシ−NAD+、2’−デオキシ−2−アミノ−NAD+、2−アミノ−NAD+、2’−デオキシ−3’−アミノ−NAD+、2’−デオキシ−3’−アミノ−2−アミノ−NAD+、および2−アミノ−3’−アミノ−NAD+からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの修飾アクセプターがライゲーション反応に追加される、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1つの修飾アクセプターが、式IIの構造:
【化3】

[式中、
各B1、B2およびB3は、独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
各X1およびX2は、独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
各Y1、Y2およびY3は、独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される]
を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの修飾ドナーがライゲーション反応に追加される、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの修飾ドナーが、式IIIの構造:
【化4】

[式中、
各B1、B2およびB3は、独立に、置換または非置換プリンまたはピリミジン、その任意のアザまたはデアザ誘導体、および好ましくは核酸ポリメラーゼまたはリガーゼによって認識され得る任意の「ユニバーサル塩基」または「縮重塩基」からなる群から選択され、
各X1およびX2は、独立に、OH、SH、CH3およびOCH2CH3からなる群から選択され、
各Y1、Y2およびY3は、独立に、H、F、OHおよびOCH3からなる群から選択され、
Wは、Hまたはオリゴヌクレオチジル残基から選択される]
を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
核酸ライゲーションを実施するための指示と、修飾リガーゼ補因子、修飾ドナーおよび修飾アクセプターからなる群から選択される少なくとも1つの修飾ライゲーション構成要素とを含む、核酸ライゲーションのためのキット。
【請求項35】
少なくとも1つの修飾ライゲーション構成要素が、請求項1から33のいずれかに記載の構成要素である、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
核酸ライゲーション用に印を付された容器および反応バッファーからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項34から35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
核酸ライゲーション用に印を付された容器、リガーゼおよび反応バッファーからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項34から36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
核酸リガーゼと、核酸ポリメラーゼ、第2の核酸リガーゼ、逆転写酵素または制限酵素からなる群から選択される少なくとも1つの追加の酵素とをさらに含む、請求項34から37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
別のライゲーション構成要素に対するライゲーション特異性を改善する修飾ライゲーション構成要素を同定する方法であって、
修飾ライゲーション構成要素を、補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドからなる群から選択される1つまたは複数を含む反応混合物中でインキュベートし、そして
ドナーおよびアクセプターポリヌクレオチドのライゲーションをモニターする、
ことを含み、ライゲーションの量は、修飾ライゲーション構成要素の特異性を示すことを特徴とする方法。
【請求項40】
鋳型非依存性ライゲーションを阻害または低減する方法であって、
補因子依存性核酸リガーゼ、リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドを含む反応混合物をインキュベートすることを含み、ここで、前記リガーゼ補因子、ドナーポリヌクレオチドおよびアクセプターポリヌクレオチドの1つまたは複数は、修飾されており、
修飾リガーゼ補因子、修飾ドナーまたは修飾アクセプターが存在する場合、対応する非修飾リガーゼ構成要素と比較して、標的核酸が存在しない場合のライゲーションが低減または阻害される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531928(P2012−531928A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519669(P2012−519669)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/041069
【国際公開番号】WO2011/005762
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508353008)トリリンク バイオテクノロジーズ (3)
【Fターム(参考)】