説明

化学分析装置、試料順分析方法、キュベット取扱装置およびキュベット装填方法

本発明は、化学分析装置、試料順分析方法、キュベットの取扱装置およびキュベットの装填方法を提案するものである。化学分析装置(1)は、キュベット(70)を装填可能とした開口部(21)を有する回転可能なインキュベータ(20)と、インキュベータ(20)の周囲に配置された分析手段(60)と、キュベット(70)を開口部(21)内に装填するための装填手段(40)を含んでいる。さらに、装填手段(40)は、直線状のキュベット(70)を開口部(21)に適合するように湾曲させる装填ガイド(30)と、キュベット(70)を、装填ガイド(30)を経てインキュベータ(20)の開口部(21)内に押し込むラム(41)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析を行うための自動分析装置および方法に関する。本発明は特に、自動分析装置により、試料および試薬からなる溶液を分析する分析技術に関する。より具体的には、本発明は、各独立請求項の前段に記載した分析装置、分析方法およびその関連技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料は従来から分析装置を使用することによって分析され、そのための分析装置は、手動操作による検査装置から自動化された多用途の装置に置き換えられてきた。現在の分析装置は、複数の異なる検査を実施することが可能であり、比較的短いスループットタイムのみならず、人件費を低く抑えても好ましい生産性を達成することができる。従来の自動分析装置は、回転可能な円形のインキュベータが使用されており、その外周部にはキュベットを装填するための開口部が設けられている。インキュベータに装填されるキュベットは、通常は、分析すべき物質と試薬を分析装置により注入して反応を生じさせる反応容器である。
【0003】
従来のインキュベータにおいては、個別的な反応容器から、複数の反応容器を連続させたキュベットに移行することによって、分析装置の生産性向上が図られた。
【0004】
上述した形式の装置の問題点は、分析装置や分析装置に使用されるキュベットモジュール化が十分に達成されていない点にある。多量の分析を行えるよう、現在のシステムに対応して設計された分析装置としては、多量のキュベットを装填することができる大規模のインキュベータが存在している。しかし、これらのキュベットは、より少量の試料を対象とする分析装置には利用することができない。そのため、各分析装置の規模に応じた専用のキュベットが必要となり、購入および保管コストの増加が避けられなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における問題点の少なくとも幾つかを解消するために、複数の試料を収めることができ、湾曲可能として標準化されたキュベットを使用可能とする化学分析装置および分析方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る化学分析装置は、回転可能なインキュベータを含み、該インキュベータは、装填されたキュベットを収納するための開口部を備える。分析装置は、インキュベータの周囲に配置された分析手段と、キュベットを湾曲させた状態で前記開口部内に装填するための装填手段を更に備える。分析装置の装填手段は装填ガイドを含み、これにより、直線状のキュベットをインキュベータに設けられている円弧状の開口部内に装填できるように湾曲させるものである。装填手段は、装填ガイドを経てキュベットをインキュベータの開口部内に押し込むためのラムを更に含んでいる。
【0007】
本発明に係る化学分析装置は、より具体的には、請求項1の後段に記載した事項を特徴とする。
【0008】
本発明に係る試料分析方法において、分析工程は試料順に実行され、その工程に従って、試料および試薬が分注される少なくとも二個の反応容器から構成されたキュベットをインキュベータの開口部内に装填するものである。試料の分析に際し、少なくとも一種類の試料は、反応容器としてのキュベット内において分析する。
【0009】
発明に係る試料分析方法は、より具体的には、請求項10の後段に記載した事項を特徴とする。
【0010】
本発明に係るキュベット取扱装置は、回転可能なインキュベータと、装填手段を含む。インキュベータには、キュベットを収納・搬送するための少なくとも一個の開口部が設けられている。装填手段は、未装填状態の直線状キュベットを保管し、インキュベータまで搬送するための装填トラックと、装填トラックにおけるインキュベータ側の端部からインキュベータの開口部内までキュベットを押込むためのラムとを含む。装填手段は、装填ガイドを含む。この装填ガイドは、ラムによって押込まれる直線状のキュベットをガイドしながら湾曲させて、インキュベータにおける円弧状をなす開口部内に装填可能とするものである。
【0011】
発明に係るキュベット取扱装置は、より具体的には、請求項13の後段に記載した事項を特徴とする。
【0012】
インキュベータの開口部内にキュベットを装填するための本発明に係る装填方法は、キュベットをインキュベータの開口部領域まで搬送し、ラムを作動させることによりキュベットを開口部内に装填するものである。キュベットは、その装填に際し、インキュベータの開口部に適合するように成形する。その成形は、ラムを作動させ、キュベットを湾曲した装填ガイドに沿ってガイドすることにより行うものである。
【0013】
本発明に係る装填方法は、より具体的には、請求項20の後段に記載した事項を特徴とする。
【0014】
本発明によれば、大きな利点を得ることができる。すなわち、分析装置に独自の装填ガイドを設けたことによって、仕様の異なる分析装置であっても、複数の試料容器を含み、かつ同一寸法に標準化したキュベットを使用することが可能である。標準化したキュベットに適した分析装置により多数の試料を検査すれば、キュベットの購入に際して、大量一括購入によるコストダウンを達成することが可能となる。一種類のキュベットのみで足りるために保管も安価であり、キュベットの在庫管理が容易となる。更に、キュベットは直線状に形成されているため、例えば、初めから湾曲させてあるキュベットよりも保管が容易である。
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る分析装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の分析装置の斜視図である。
【図3】図1および図2における装填ガイドの斜視図である。
【図4】バッチ式分析と試料順分析とにおける分析手順の相違を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2に示すように、本発明に係る分析装置1は、加熱可能なインキュベータ20を含み、その外周にキュベットを装填するための開口部21が設けられている。特に本発明のインキュベータは、十分な弾性および透明性を有する材料で構成されるキュベットの使用に適している。弾性により、キュベットの最長側面に対する結合ウェブの弾性曲げが可能となる。他方、透明性により、キュベット内に納められている試料を、キュベットの壁を通して分析することが可能となり、分析に際してキュベットから試料を採取する必要がなくなる。本発明においては、複数の反応容器と、これら反応容器を互いに結合する結合ウェブとから構成されたキュベット70を、インキュベータ20の開口部21内に装填する。キュベット70は、結合ウェブが相互に平行に配置されるように、例えば10個の反応容器を整列させた構成とすることが可能である。この場合、キュベット70は直線状の形態を有し、10個の異なる試料を収納することができる。更に、特に有利なキュベット70においては、最外側の反応容器に可撓性を有するブラケットが設けられている。このブラケットにより、キュベット70における最外側の試料容器を直接圧縮することなく、キュベット70を容易かつ確実に湾曲させることが可能である。上述した構成のキュベットは、特に本発明に適しており、フィンランド国特許出願第20085509号明細書に開示されている。
【0018】
本発明による円形のインキュベータ20は、中心に位置するベアリング上に設けられ、回転駆動手段(図示せず)が設けられている。この回転駆動手段は、インキュベータ20を、所望の角度だけ所望の方向に回転させることが可能である。回転駆動手段は、例えば、サーボモータで構成することができる。サーボモータは、極めて高い位置決め精度を有する反面、相当に高価である。これに対してインキュベータ20の動力伝達系を、費用効率が高く、十分な精度を有するステップモータの軸上に直結する場合には、動力伝達部に十分な精度を持たせることが可能である。これにより、伝達部は必要最小限の可動部位のみを備え、遊びの原因となり得る部位を最小化することが可能である。回転駆動手段の動力伝達系にあっては、回転速度および位置決め精度が十分に高いこと、また、インキュベータ20の加速を緩やかに制御できることが不可欠である。
【0019】
分析装置1は、更にインキュベータ20に接続している装填手段40を備えている。装填手段40は、キュベット70をインキュベータ20まで搬送するための手段を含む。装填手段40は装填トラック50を含み、この装填トラック50に沿って、インキュベータ20の開口部21内に装填すべきキュベット70が搬送される。装填トラック50は、最も単純な実施形態ではU字形断面の通路であり、この通路50は、底部が装填すべきキュベット70の下端部に対応する広さを有し、更に垂直縁部がキュベット70よりも実質的に高く構成されている。従って、キュベット70は、ラグにより装填トラック50に沿って搬送することが可能である。その際、キュベット70のラグは装填トラック50の上端部に位置決めされ、キュベットの下端部は装填トラック50の底部から隔てられる。キュベット70の下端部と装填トラック50の底部との間に空隙が存在するため、キュベット70の下端部が装填トラック50の底部に引きずられることがなく、従って異音の発生や、摩擦によるキュベットの傷付きを防止することができる。装填トラック50に沿って搬送されるキュベット70は直線状であるため、搬送が容易であり、押出す際に渋滞が生じることもない。キュベット70は、プッシャー(図示せず)によって搬送される。プッシャーは、ラグによって支持されているキュベットの列をインキュベータ20に向けて押出すものである。プッシャーは、例えば、遠隔操作により制御される単純な空気圧シリンダとして構成することができる。代案として、装填トラック50を傾斜させて配置することも可能である。この場合、キュベット70は、トラックを重力加速度によって移動するため、装填ガイド30には常時、キュベットが装填可能な状態で待機することになる。ただし、二個以上のキュベットを同時に装填ガイド30にセットすることはできない。これは、先行するキュベットを装填している間、次のキュベット70が装填ガイドにセットされるのを、ラム41のシャフトが阻止するからである。
【0020】
装填手段40の一部を構成し、かつ、キュベット70をインキュベータの開口部21まで搬送する装填ガイド30は、インキュベータ20に隣接する装填トラック50の端部に配置されるものである。キュベット70の装填に際しては、装填手段40のラム41を作動させる。ラム41の下端部は、単一の動作によってキュベット70を装填ガイド30に押込むように構成されている。この場合、ラム41の下端部は、開口部21に適合する形状とされている。開口部21の曲率半径は、インキュベータ20の外周における曲率半径に対応している。キュベット70の可撓性により、キュベットは、サイズや曲率半径の異なるインキュベータ20に使用することができる。ここに、キュベットに関して「直線状」とは、曲げによって曲率半径が変化していない状態を意味する。同様に、「湾曲」とは、曲げによって曲率半径が変化した状態を意味する。
【0021】
図3に示すように、装填ガイド30は、キュベット70が装填ガイド30を通過する際に、ラム41の単一の動作によりキュベットを、開口部21内に装填するのに適した湾曲形状に成形するものである。装填ガイド30においてキュベット70をガイドするためのガイド面31は、キュベット70の移動方向に見て凸状に構成されている。従って、キュベット70は、ガイド面に沿って押し込むことにより、インキュベータ20の曲率半径に対応する形状に湾曲させることができる。装填ガイド30は、下端部の曲率半径が、インキュベータ20における開口部21の曲率半径に対応するように形成されている。換言すれば、サイズの異なるインキュベータ20に適合する種々の装填ガイド30を準備しておくことが可能である。その場合でも、同一タイプのキュベット70を使用することができるため、コスト面に関する課題が解決される。分析装置1に使用されるキュベット70は、未使用状態では直線状であるため、保管が安価である。
【0022】
装填ガイド30を収納する装填手段40の面31の凸部は平坦、すなわち一定であってもよく、また、垂直方向に漸変する凸形状とすることもできる。後者の場合、ガイド面31は、上端部においてより平坦であり、下側から見るとより急勾配の凸状湾曲を示す。この場合、キュベット70は、ガイド面31に沿って段階的に湾曲を増大するように配置される。ガイド面31が均等に湾曲している場合には、キュベット70は配置後、即座に所望の曲げ形状に成形される。装填ガイド30はガイド面の側縁部にラグを備え、これらのラグによりキュベットを側面に沿ってガイドする。従って、キュベット70は、ラグを介してのみ装填ガイド30に接するため、曲げによる摩耗や傷付きを被るのはラグとの接触領域のみである。すなわち、キュベット70のデリケートな表面が摩耗から保護される。更に、装填ガイド31の側縁部には、キュベットを湾曲させるためのガイド部33が設けられている。キュベット70が装填ガイド30の下端部に押圧されると、キュベット70のラグが内側に押し込まれて分離壁を曲げるため、キュベット70は装填ガイド30のガイド面に対して緊密に押圧され、インキュベータ20の開口部21内に同様の緊密さで装填することが可能となる。インキュベータ20が完全に正確には位置決めされていない場合でも、ラグによって、キュベット70はインキュベータ20の開口部21内に位置決めされ、センタリングされる。
【0023】
装填手段40は垂直のガイドポスト42を含み、垂直方向に移動するラム41はガイドポストの外縁部に設置されている。ラム41は、例えば、直線駆動部または電気モータによって垂直方向に移動させることができ、これら駆動部の出力軸には歯付きベルトが設けられている。ラム41のストロークは十分に長いため、キュベット70を下方向に押し下げる際、キュベットの上端部を開口部21内で所望の高さ位置まで押し下げることが可能である。従って、垂直方向における位置決めは、ラム41による押込み深度に応じて規定される。押込み深度は、望ましくは、プログラムにより適切に設定可能とする。この調整は、例えば、電気モータの回転角を制限することによって行われる。上述したように、キュベット70を開口部21内に装填する際、キュベット70のラグが摩耗をほぼ全て完全に吸収するため、キュベット70におけるその他の表面が保護される。インキュベータ20の開口部21内にキュベット70を押込んで装填した後、キュベット内には分析すべき試料または試薬が分注される。
【0024】
インキュベータ20は、電気抵抗によって加熱される。温度を安定させるために、インキュベータの周囲に断熱手段を配置することもできる。加熱は、最も有利な分析条件を維持することを目的とする。加熱によって生じる熱は、キュベット70の試料容器や試料容器内に収めた試料に伝導する。例えば、ヒト由来の試料の分析においては、目標温度を37℃とすることができるが、上述したタイプのキュベット70を使用する場合には、キュベット70に設けられている分離壁やラグにより反応容器が、開口部21の端部からのみならず、相互にも分離されているため、試料容器間における温度分布のバラツキを回避することが可能である。温度が高すぎる場合には、インキュベータ20を目標温度まで冷却することも可能である。冷却は、例えば、ペルチェ素子を使用して行うことができる。
【0025】
分析手段60はインキュベータ20の周囲に配置されるため、試験中は、キュベット70を開口部21から除去する必要はない。例えば、望ましい一実施形態によれば、キュベット70の下端部を透明な材料で構成し、この透明部位によりを通して光学試験を直接実施することが可能である。この場合、キュベット70を開口部21から除去する必要はない。従って、装填トラック50からインキュベータ20の開口部21内に装填されたキュベット70の試料領域は、インキュベータ20の角度位置を変化させるだけで、複数の操作手段から物質を受けられるように配置される。分析工程は、例えば、試薬分注手段を使用して、キュベット70の反応容器内に試薬を分注するだけで実施可能である。この際、分注手段は物質を試薬保管部から採取する。試薬保管部および分注手段は、いずれもインキュベータ20の周囲に配置される。試薬の分注に際しては、インキュベータ20を正確な角度位置にまで回転させる必要がある。これにより、該当するキュベット70における正確な反応容器が、試薬分注位置まで移動する。上述した構成の基本的な考えは、試料を収めたキュベット70内でサンプルを撹拌することにある。キュベット70の位置を、インキュベータ20を回転させることによって変化させるため、分析装置1の移動量および移動方向の切り替えを最小化することが可能である。更に分析手段60は、キュベット70の反応容器から試料を吸引し、装置内で試料の特性を測定する分析装置を含むことができる。このような分析装置は、例えば、既知のイオン選択電極であってもよい。試料は、例えば測光方法等の光学分析方法により、分析される。
【0026】
分析すべき試料は、試料分注手段を使用して試料保管部から吸引し、試薬の場合と同様な条件下で分注する。試料および試薬物質の分注工程は、各分析検査に必要な手順により異なる。試料および試薬の保管部は、通常は割り出し型のカルーセルであり、保管場所および保管位置が、分析装置1全体における制御の一環として遠隔制御されるものである。試薬および試料は、インキュベータ20を別個のミキサの近傍まで回転させ、ミキサを動作させることにより混合することができる。上述した通り、各反応容器の内容物は光学的に分析することが可能であり、例えば、操作手段を有する分析装置により可能である。このような形式の分析装置は、試料を自らの検査チャンバに吸引し、基準値に対する電位差を測定するものである。検査時間や動作に関する設定およびプログラミングは既知であり、分析には、少なくとも一個以上の分析ステーションが使用される。分析における分析装置の数と位置は、インキュベータの周囲に配置されるステーションの数により規定される。
【0027】
本発明に係る方法においては、上述した構成の装置を試料分析に使用し、その際、分析を試料順に行う。試料順の分析に基づく検査工程は、実施すべき各検査に要求される時間配分を柔軟に設定することができ、各試料に要求される検査を、必要に応じて順次に実施する構成の分析装置を前提とする。この柔軟性は、分析手段、物質保管部および複数のミキサを、回転可能なインキュベータの周囲に配置したことに基づくものである。上述した柔軟性により、試料を収納する反応容器は所定の経路に左右されることなく、必要に応じて所望のステーションまで随時に搬送することができる。
【0028】
これにより、試料が分析装置1の反応容器に分注されるが、その箇所には分注、インキュベーションおよび混合に必要な時間の間のみ留まる。バッチ式分析と試料順分析における分析手順の違いは、図4に示されている。試料順分析の場合、スループットタイムの短縮化を図り、試験工程を柔軟に変更することが可能となる。試験工程の変更により、例えば、他の試料に優先させて行うべき緊急の検査を、該当する検査工程の順番を待たずして実行することが可能である。
【0029】
キュベット70に設けられている試料容器についての各試験が全て完了した後、キュベット70を開口部21から排出することができる。キュベット70の排出は、装填に使用したラム41により、キュベット70を開口部21から別箇の廃棄物容器に押出し、またはフレーム10の廃棄開口部11まで押出すことにより行われる。代案として、ラム41によって新しいキュベット70を開口部21から装填ガイド30に供給することができる。この場合、使用済みのキュベット70は、新しいキュベットにより別箇の廃棄物容器に押出され、またはフレーム10の廃棄開口部11まで押出される。代案として、キュベット70が下方から開口部21内に装填されるように分析装置1を構成してもよい。この場合、装填ガイド30を含む装填手段40は、インキュベータ20の下側に配置することになるが、開口部21からのキュベット70の排出がより困難になるため、必ずしも望ましい形態ではない。
【0030】
スループットタイムの短縮化および生産性の向上を確実に達成するために、本発明による分析装置1は、望ましい一実施形態によれば、少なくとも一個のインキュベータ20、一個の試薬・試料保管部、試薬・試料のための分注手段またはその組み合わせ、一個のミキサおよび光学分析手段60を備えている。従って、一回の検査サイクルにおいて、異なる試料について複数の操作を同時に実施することが可能である。例えば、一実施形態によれば、8秒間の検査サイクルにおいて、1種類の試料および1種類の試薬を分注し、2種類の混合物を混合し、5個の試料を分析することが可能である。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学分析装置(1)であって、キュベット(70)を装填可能とした開口部(21)が設けられている、回転可能なインキュベータ(20)と、該インキュベータ(20)の周囲に配置されている分析手段(60)と、前記キュベット(70)を前記開口部(21)内に装填するための装填手段(40)とを含む装置において、
前記インキュベータ(20)の開口部(21)が湾曲しており、
前記装填手段(40)が、直線状のキュベット(70)を前記開口部(21)に適合するように湾曲させる装填ガイド(30)と、前記キュベット(70)を、前記装填ガイド(30)を経て前記インキュベータ(20)の開口部(21)内に装填するラム(41)とを備えていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)において、前記分析手段(60)のうち、少なくとも一部の分析手段は、試料を、キュベットに収められている状態で分析する分析手段であることを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(1)において、キュベットを搬送するための装填トラック(50)を更に含むことを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の装置(1)において、U字形断面の装填トラック(50)が設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の装置(1)において、
前記開口部(21)から排出されるキュベット(70)を通すための廃棄開口部(11)を有するフレーム(10)を備えていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の装置(1)において、反応容器に試薬を分注するための試薬分注手段を更に含むことを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の装置(1)において、反応容器に試料を分注するための試料分注手段を更に含むことを特徴とする化学分析装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の装置(1)において、前記インキュベータ(20)における試薬物質分注手段の可動範囲内に配置されている試薬保管部を更に含むことを特徴とする化学分析装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の装置(1)において、前記インキュベータ(20)の試料分注手段の可動範囲内に配置されている試料保管部を更に含むことを特徴とする化学分析装置。
【請求項10】
試料を試料順に分析するための方法であって、
反応容器をインキュベータ(20)の開口部(21)に装填するステップと、
前記反応容器に試薬及び試料を分注して両者を混合するステップと、
前記試料を測定するステップと、
前記反応容器を前記インキュベータ(20)から排出するステップとを含む方法において、
分析工程を試料順に規定し、更に二個以上の反応容器を含むキュベット(70)を、装填ガイド(30)により前記インキュベータ(20)における湾曲した前記開口部(21)に適合するように湾曲させながら前記インキュベータ(20)内に装填し、
更に、前記キュベット(70)のうち、少なくとも一個のキュベットに収められた試料を、試料チャンバ内において光学的に分析することを特徴とする分析方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、キュベット(70)の反応容器に試薬を分注することを特徴とする分析方法。
【請求項12】
請求項10又は11の方法において、前記試料を光学的方法により分析することを特徴とする分析方法。
【請求項13】
キュベット(70)の取扱装置であって、該キュベット(70)を収納・搬送するために少なくとも一個の湾曲した開口部(21)を設けた回転可能なインキュベータ(20)と、空の直線状のキュベット(70)を保管し、前記インキュベータ(20)に搬送するための装填トラック(50)を含む装填手段(40)と、前記インキュベータ(20)に隣接する側の前記装填トラック(50)の端においてキュベット(70)を前記インキュベータ(20)の開口部(21)内に押込む取扱装置において、
前記装填手段(40)が装填ガイド(30)を更に含み、該装填ガイド(30)は、ラム(41)によって押込まれる直線状のキュベット(70)をガイドしながら湾曲させて、前記インキュベータ(20)における、円弧状をなす前記開口部(21)内に装填可能とすることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記装填手段(40)の前記ラム(41)が、前記キュベット(30)を前記装填ガイド(30)から単一の動作によって押出すように配置されていることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の装置において、前記装填手段(40)の前記ラム(41)が、使用済みのキュベット(70)を前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)から排出するように配置されていることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記装填手段(40)の前記ラム(41)が、新しいキュベット(70)を前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)内に装填して前記使用済みキュベット(70)と置換することにより、該使用済みキュベット(70)を前記開口部(21)から排出するように配置されていることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項17】
請求項13〜16の何れか一項に記載の装置において、前記装填ガイド(30)が、前記ラム(41)と前記インキュベータ(20)との間に配置されていることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項18】
請求項13〜17の何れか一項に記載の装置において、前記キュベット(70)をガイドする前記装填ガイド(30)のガイド面(31)が均等に湾曲しており、その曲率が、前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)の曲率に対応していることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項19】
請求項13〜17の何れか一項に記載の装置において、前記キュベット(70)をガイドする前記装填ガイド(30)のガイド面(31)が、前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)に向けてより急な勾配で湾曲しており、その際、前記ガイド面(31)の曲率が、前記開口部(21)側の端部において該開口部(21)の曲率に対応していることを特徴とするキュベット取扱装置。
【請求項20】
キュベット(70)をインキュベータ(20)における開口部(21)内に装填するための装填方法であって、
前記キュベット(70)を前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)の位置まで搬送するステップと、
前記キュベット(70)を、ラム(41)を作動させることにより前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)内に装填するステップとを含む装填方法において、
前記ラム(41)を用いて前記キュベット(70)を、湾曲した装填ガイド(30)に沿ってガイドすることにより、前記インキュベータ(20)における前記開口部(21)に適合するように成形することを特徴とする装填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522241(P2011−522241A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511045(P2011−511045)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050451
【国際公開番号】WO2009/144381
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(501286093)サーモ フィッシャー サイエンティフィック オイ (13)
【Fターム(参考)】