説明

化学分析装置および化学分析カートリッジ

【課題】 攪拌と加温が容易な化学分析装置を提供する。
【解決手段】 化学分析装置は、モータ、モータにより回転可能な保持ディスク、保持ディスク上に配置された複数の検査カートリッジ、検査カートリッジに穿孔するための穿孔機、加温装置及び検出装置を有する。検査カートリッジは、凹部によって形成された容器及び流路を有する基板を含む、基板には、容器及び流路を覆うカバーが装着される。保持ディスクの回転によって生成される遠心力を利用して、回転軸線に対して内周側の容器から流路を経由して回転軸線に対して外周側の容器へ溶液を移動させる。検査カートリッジには、容器内の溶液を攪拌するための攪拌手段と容器内の溶液を加温するための加温手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料中の特定の化学物質を抽出し検出する化学分析装置および化学分析カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の化学物質を含む試料から核酸等の特定の化学物質を抽出し分析する化学分析装置としては、特表2001−527220号公報に、一体型流体操作カートリッジが記載されている。この装置では、一体型カートリッジ内部に溶解液や洗浄液や溶離液等の試薬、及び核酸を捕獲する捕獲構成部品を備え、核酸を含む試料をカートリッジ内部に注入した後、前記試料と溶離液を混合させて前記捕獲構成部品に通過させ、さらに捕獲構成部品に洗浄液を通過させ、さらに捕獲構成部品に溶離液を通過させ、捕獲構成部品を通過した後の溶離液をPCR試薬に接触させ反応チャンバへと流している。そして、温度制御手段としては薄膜ヒータを用いた加熱の内容が開示されている。
【0003】
また、特表2003−502656号公報では回転ディスクを備え向心力を用いて試料を定量し、核酸のPCR増幅法を用いる装置が提案されている。回転ディスク内には、PCR増幅法における変性温度、アニーリング温度、伸長温度に設定するための温度制御手段を用いた構造が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特表2001−527220号公報、
【特許文献2】特表2003−502656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特表2003−502656号公報と特表2003−502656号公報に記載の従来技術は、どちらも温度サイクルを繰返すPCR増幅法での核酸増幅法を用いている。PCR増幅法では、温度サイクルの一例として95、55、72℃を繰返すことによりその回数に応じて核酸が増幅されるが、サイクルの途中で試薬を分注する必要がない。
【0006】
一方、定温核酸増幅法のNucleic Acid Sequence−Based Amprification(NASBA)法では一定温度条件下で酵素を添加する必要がある。そのため、酵素添加後の反応液の攪拌は重要な問題であり、遠心を用いる構造体内で液を流動による抽出増幅させる場合には攪拌の問題について検討する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、攪拌と加温が容易な化学分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
化学分析装置は、モータ、モータにより回転可能な保持ディスク、保持ディスク上に配置された複数の検査カートリッジ、検査カートリッジに穿孔するための穿孔機、加温装置及び検出装置を有する。検査カートリッジは、凹部によって形成された容器及び流路を有する基板を含む、基板には、容器及び流路を覆うカバーが装着される。保持ディスクの回転によって生成される遠心力を利用して、回転軸線に対して内周側の容器から流路を経由して回転軸線に対して外周側の容器へ溶液を移動させる。
【0009】
内周側の容器から外周側の容器へ溶液を移動させる流路は、内周側の容器の外周側端から始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を経由して、外周側の容器の内周側端にて終わる。
【0010】
検査カートリッジには、容器内の溶液を攪拌するための攪拌手段と容器内の溶液を加温するための加温手段が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、攪拌と加温が容易な化学分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明による化学分析装置の例を示す図である。化学分析装置1は、モータ11、モータ11により回転可能な保持ディスク12、保持ディスク12上に配置された複数の検査カートリッジ2、検査カートリッジ2に穿孔するための穿孔機13、加温装置14及び検出装置15を有する。操作者は検査項目ごとに検査カートリッジ2を用意し、保持ディスク12に装着し、化学分析装置1を起動させる。
【0013】
本例の化学分析装置では、加温装置14と検出装置15はそれぞれ別の場所に設けられているが例えば両者を一体化し、加温と検出を同一の位置で行ってもよい。また、加温装置、及び、検出装置は、保持ディスク12の上面に位置されているが、どちらか一方又は両方を保持ディスク12の下面に配置してもよい。
【0014】
図2は検査カートリッジ2の斜視図である。検査カートリッジ2は略6角形の薄い基板からなる。6角形の短辺(図2の左上側の辺)が保持ディスクの回転中心の内周側に配置され、6角形の長辺(図2の右下側の辺)が外周側に配置される。従って、以下に、6角形の短辺側を内周側、6角形の長辺側を外周と称する。内周側と外周側を結ぶ線分を半径方向と呼ぶ。
【0015】
本例の検査カートリッジ2は第1部分20と第2部分30からなり、両者は接合部にて互いに接続されている。検査カートリッジ2の第1部分20は、基板21と基板の上面の全体を覆うように接合された、フィルム又は薄板等で構成されるカートリッジカバー22からなる。同様に、検査カートリッジ2の第2部分30は、基板31と基板の上面の全体を覆うように接合されたフィルム又は薄板等で構成されるカートリッジカバー32からなる。
【0016】
図3は、検査カートリッジ2の第1部分20の外観を示す。検査カートリッジ2の第1部分20には、溶解液容器220、追加液容器230、洗浄液容器240、250、260、溶離液容器270、及び、検出試薬溶解液容器280、290が形成されている。これらの容器には予め所定量の試薬が分注されている。これらの容器には出口流路221、231、241、251、261、271、281、291が接続されている。また、第1部分20の接合部には、出口流路221を含む突起1221、出口流路231を含む突起1231、出口流路241、251、271を含む突起1241、出口流路261を含む突起1261、出口流路281を含む突起1281、出口流路291を含む突起1291が設けられている。
【0017】
図4は検査カートリッジ2の第2部分30の外観を示す。検査カートリッジ2の第2部分30には、核酸捕捉部301、試料容器310、血球貯蔵容器311、血清定量容器312、全血廃棄容器315、溶離液回収容器390、廃液貯蔵容器402、混合容器410、反応容器420、及び、保持容器701が設けられている。核酸捕捉部301は、石英やガラスの多孔質材や繊維フィルタ等を有する。これらの容器には流路が接続されている。また、第2部分の接合部には、これらの流路を含む凹部1321、1331、1341、1361、1381、1391が設けられている。第1部分20の凸部と第2部分30の凹部の形状は互いに対応している。
【0018】
検査カートリッジ2に形成された容器、及び、流路は、基板の上面に形成された凹部である。流路の深さは、容器の深さより小さい。
【0019】
図5(a)は、検査カートリッジを図2の切断線A−A部にて切断し、且つ、第1部分20と第2部分30を分離したときの断面構成を示し、図5(b)は、第1部分20と第2部分30を合体させたときの断面構成を示す。図5(a)に示すように、検査カートリッジ2の第1部分20の接合部の凸部1221、1231、1241、1261、1281、1291の端面は、保護シート23によって覆われている。同様に、検査カートリッジ2は第2部分30の接合部の凹部1321、1331、1341、1361、1381、1391の端面は、保護シート33によって覆われている。従って、検査カートリッジ2の第1部分20及び第2部分30に形成された容器、流路等は、カートリッジカバー及び保護シートによって密閉されている。
【0020】
検査カートリッジ2の第1部分20と第2部分30を組み立てる場合、先ず、接合部における保護シート23、33を剥がす。次に、第1部分20の接合部の凸部が第2部分30の接合部の凹部に係合するように、第1部分20と第2部分30の接合部を互いに係合させる。図5(b)に示すように、第1部分20のカートリッジカバー22の縁と、第2部分30のカートリッジカバー32の縁を接着剤又はシール剤によってシールする。それにより、検査カートリッジの容器、流路等は密閉空間を形成する。
【0021】
本例では、検査カートリッジ2は第1部分20の接合部の凸部は流路を含むように形成され、第2部分30の接合部の凹部は流路を含むように形成されている。従って、凸部と凹部の係合によって、第1部分20の流路と第2部分30の流路は接合部にて繋がり、溶液が接合部にて漏れ出すことはない。即ち、第1部分20の接合部の凸部と第2部分30の接合部の凹部は位置決め機能を有する。尚、ここでは、検査カートリッジ2の第1部分20の接合部に凸部を設け、第2部分30の接合部に凹部を設けているが、逆に、検査カートリッジ2の第1部分20の接合部に凹部を設け、第2部分30の接合部に凸部を設けてよい。
【0022】
本例では、遠心力を利用して、流路によって互いに接続されている2つの容器間にて試薬又は溶液を移動させる。先ず、2つの容器を覆うカートリッジカバーを穿孔し、2つの容器を大気圧に開放する。次に、保持ディスク12を回転させることにより、容器内の試薬又は溶液は、遠心力の作用によって、内周側の容器から外周側の容器に移動する。このような操作を順次繰り返すことにより、所定の処理を実行することができる。
【0023】
図6を参照して、全血を試料として用いた場合のウイルス核酸の抽出および分析動作を説明する。ステップS1では、全血分注を行う。操作者は、先ず、真空採血管等で採血した全血を、図4に示した検査カートリッジの第1部分30の試料注入口310aより試料容器310に注入する。次に、図5(a)に示したように、保護シート23、33を剥がし、図5(b)に示したように、検査カートリッジの第1部分20を第2部分30に装着する。ステップS2では、必要な数の検査カートリッジを保持ディスク12に装着する。
【0024】
以下に、化学分析装置1を稼動させ、全血から核酸を抽出する核酸抽出工程と、ウイルスの遺伝子を増幅・検出する増幅・検出工程を実行する。一例としてNASBA法でのC型肝炎検査の例を説明する。ステップS3にて、核酸を抽出し、ステップS4にて、核酸抽出後の試料と増幅液の混ざった反応液を65℃で約5分間保持する。ステップS5にて、酵素至適温度の41℃に下げる。ステップS6にて、酵素を添加し、ステップS7にて、41℃で約90分間保持する。このときの蛍光発光量をリアルタイムで測定することによりウイルスの遺伝子量が評価できる。
【0025】
次に、図7を参照して、攪拌のタイミングについて説明する。図7は、横軸は時間、縦軸は反応液温度である。核酸の抽出工程は、室温にて実行する。抽出工程の次の増幅工程にて、攪拌を行う。先ず、抽出工程にて抽出された核酸に増幅液を添加して攪拌する。次に、第1の反応温度である65℃で5分間、保持する。第2の反応温度である酵素至適温度41℃に温度を制御し、酵素液を添加し、攪拌する。即ち、増幅試薬を添加したときと酵素を添加したときに、攪拌を行う。
【0026】
図8を参照して、検査カートリッジにおける液の流動状態を説明する。溶解液容器220には血清中のウイルスの膜蛋白を溶解して核酸を溶出させるための溶解液が分注されている。溶解液は、血清中のウイルスや細菌の膜であるタンパク質を溶解して働きをするが、さらに核酸捕捉部301への核酸の吸着を促進させる。溶解液は、例えば、DNAの溶出及び吸着には塩酸グアニジン、RNAの溶出及び吸着にはグアニジンチオシアネートであってよい。
【0027】
追加液容器230には、溶解液を補充するための追加液が分注されている。追加液は、例えば、溶解液そのものであってよい。第1洗浄液容器240には、核酸捕捉部301に付着した蛋白等の不要成分を洗浄するための第1洗浄液が分注されている。第1洗浄液は、例えば溶解液或いは溶解液の塩濃度を低減した液であってよい。第2洗浄液容器250には、核酸捕捉部301に付着した塩等の不要成分を洗浄するための第2洗浄液が分注されている。第2洗浄液は、例えばエタノール或いはエタノール水溶液であってよい。
【0028】
第3洗浄液容器260には、溶離液回収容器390に付着した塩等の成分を洗浄するための第3洗浄液が分注されている。第3洗浄液は、例えば滅菌水又はpHを7から9に調整した水溶液であってよい。溶離液容器270には核酸捕捉部301から核酸を溶離するための溶離液が分注されている。溶離液は、滅菌水又はpHを7から9に調整した水溶液であってよい。
【0029】
第1検出試薬容器285および第2検出試薬容器295には、それぞれ乾燥状態の第1検出試薬および第2検出試薬が保存されている。2つの試薬に含まれる全ての成分を一種類の試薬として第2検出試薬容器295に保持してもよい。その場合には第1検出試薬容器285は不要となる。
【0030】
検出試薬を乾燥状態にして保存することで、長期間かつ常温あるいは冷蔵での保存が可能となる。しかし、乾燥状態での保存が不要な場合には、溶離液に予め検出試薬を溶解しておけばよい。
【0031】
第1検出試薬溶解液容器280及び第2検出試薬溶解液容器290には、それぞれ乾燥状態の第1検出試薬および第2検出試薬を溶解するための溶解液が保存されている。
【0032】
試薬容器220、230、240、250、260、270、280、290の内周端には、通気孔222、232、242、252、262、272、282、292が設けられている。全血廃棄容器315、溶離液回収容器390、廃液貯蔵容器402、反応容器420の内周端には、通気孔317、394、403、423が設けられている。これらの通気孔の上側にて、カバーを穿孔することにより、これらの容器は大気圧に接続される。
【0033】
試料容器310には試料注入口310aが設けられている。操作者は、検査カートリッジの試料注入口310aの上側にてカートリッジカバーを穿孔し、真空採血管等で採血した全血を試料注入口310aより試料容器310に注入する。
【0034】
先ず、血清分離処理について説明する。穿孔機13によって全血廃棄容器通気孔317の上側にてカバーを穿孔する。それによって、全血廃棄容器315は、全血廃棄容器通気孔317を介して大気圧に接続される。尚、試料容器310は試料注入口310aを介して大気圧に接続されている。モータ11を駆動し、保持ディスク12を回転させる。試料容器310内の全血は、遠心力の作用により、外周方向に移動し、血球貯蔵容器311および血清定量容器312に流れる。
【0035】
血清定量容器312と全血廃棄容器315の間には、血清定量容器312の内周端より始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を有するオーバーフロー流路が設けられている。オーバーフロー流路は、血清定量容器312から折り返し部までの断面積が小さいオーバーフロー細管流路313と折り返し部から全血廃棄容器315までの断面積が大きいオーバーフロー太管流路314を含む。即ち、折り返し部にて、オーバーフロー細管流路313とオーバーフロー太管流路314は接続されている。従って、血球貯蔵容器311および血清定量容器312が全血によって満たされると、全血は、オーバーフロー流路を介して、全血廃棄容器315に流れる。
【0036】
保持ディスク12を回転し続けると、血球は外周側の血球貯蔵容器311へ移動し血清は内周側の血清定量容器312に残る。即ち、全血は血球と血清に分離する。所定の時間回転させ血清遠心分離動作が終了すると保持ディスク12の回転を停止させる。
【0037】
血清定量容器312と血球貯蔵容器311の間に堰が設けられており、血球貯蔵容器311内の血球が血清定量容器312内に戻ることはできない。
【0038】
血清定量容器312と混合容器410の間には、血清定量容器312の外周端より始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を有する血清毛細管316が設けられている。
【0039】
血清定量容器312内の血清の一部は、表面張力による毛細管力によって、血清毛細管316内を移動し、混合容器410と血清毛細管316の境界である混合容器入り口に達する。しかしながら、混合容器410では、断面積が拡大するので、毛細管力は減少し、血清がそれ以上移動することはない。同様に、血清定量容器312内の血清の一部は、表面張力による毛細管力によって、オーバーフロー細管流路313内を移動するが、オーバーフロー太管流路314では、断面積が拡大するので、毛細管力は減少し、血清がそれ以上移動することはない。半径方向位置601は、血清定量容器312、及び、オーバーフロー細管流路313における液面レベルを示す。
【0040】
本例では、血清定量容器312は所定量の血清を定量する機能を有する。例えば、血球貯蔵容器311の容積が250マイクロリットル、必要血清量が200マイクロリットルであると仮定する。試料容器310に500マイクロリットルの全血を分注すれば、全血廃棄容器315へ50マイクロリットルの全血がオーバーフローし、残りの450マイクロリットルの全血が血清と血球に分離する。このうち200マイクロリットルの血清が混合容器410へ流出する。本例では、450マイクロリットルの全血より、200マイクロリットル以上の血清を得ることができる。血清の比率が小さい全血の場合には、血球貯蔵容器の容積を大きくし全血試料を多くすればよい。
【0041】
図9に示すように、試薬容器220、230、240、250、260、270、280、290の外周側には、出口流路221、231、241、251、261、271、281、291が設けられている。出口流路には、試薬容器の外周端から始まり内周側に折り返した後に外周側に延びる折り返し部が形成されている。
【0042】
検査カートリッジの上面にはカートリッジカバー22、32が装着されているから、通気孔の位置にてカートリッジカバー22に穿孔しない限り、試薬容器220、230、240、250、260、270、280、290及び、出口流路221、231、241、251、261、271、281、291は、密閉され、そこに空気が流入することはない。しかしながら、これらの試薬容器、及び、出口流路には、カートリッジカバーを装着したときに封入された微量の空気が存在する。遠心力が作用すると、各試薬は試薬容器の外周側に移動し、出口流路内に押し込まれるが、試薬容器内に初期に封入された微量の空気が膨張し、試薬容器内に負圧が生成される。この負圧が遠心力と釣り合って試薬は試薬容器より流出することができない。
【0043】
回転数が増加し遠心力が大きくなると、試薬容器内の圧力は更に低下し、試薬の飽和蒸気圧以下になると気泡が発生する。それによって、負圧が減少し、遠心力との釣り合いが破れる。しかしながら、本例では、各試薬容器の出口流路221、231、241、251、261、271、281、291に、内周側に戻る折り返し部が設けられているから、遠心力が大きくなっても、試薬容器内の負圧の減少を抑制し、試薬が出口流路から流出することが防止される。
【0044】
以下、穿孔機13によって、各試薬容器の通気孔の位置にて、カートリッジカバーに穿孔し、各試薬容器を大気圧に接続する。モータ11によって保持ディスクを回転させることにより、遠心力によって、各試薬を遠心力で流動させる。
【0045】
次に混合工程を説明する。穿孔機13によって、溶解液容器220の通気孔222の位置にて、カートリッジカバー22に穿孔する。反応容器420の通気孔423の位置にて、カートリッジカバー32に穿孔する。それによって、溶解液容器220及び反応容器420は大気圧に接続される。
【0046】
モータ11を駆動し、保持ディスク12を回転させる。溶解液容器220内の溶解液は、遠心力の作用で外周側に流動し、折り返し部を有する溶解液容器出口流路221、混合容器410を経由して、反応容器420に移動する。
【0047】
溶解液容器220の出口の半径方向位置は、混合容器410の入り口の半径方向位置602より内周側にあるから、サイホン効果により、溶解液容器220内の全ての溶解液は混合容器410に流出する。
【0048】
血清定量容器312と血清毛細管316の接続位置を通る半径方向位置は、混合容器の入り口の半径方向位置602より内周側にある。従って、サイホン効果により血清定量容器312内の血清のうち接続位置より内周側にある血清は全て混合容器410に流れ出る。混合容器410に流出した溶解液及び血清は、反応容器420に移動する。反応容器420では、血清と溶解液が混合され、反応する。
【0049】
混合容器410は溶解液と血清を混合するための空間であるが、そこに血清と溶解液の混合を促進させる部材を設けてもよい。混合を促進させる部材には、樹脂、ガラス、紙等からなる多孔性フィルタ、繊維、エッチングや機械加工等で製作したシリコンや金属等の突起物などがある。
【0050】
反応容器420と保持容器701の間には、反応容器420の外周端より始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を有する反応容器出口流路421が設けられている。回転中、反応容器420内の液面レベルは、反応容器出口流路421の折り返し部の最内周端の半径方向位置604よりも外周側にある。従って、反応容器420内の混合液は、反応容器出口流路421の折り返し部を越えて保持容器701へ移動することはない。回転中、混合液は反応容器420に保持される。
【0051】
所定の時間回転させ、血清と溶解液の混合処理が終了するとモータ11を停止し、保持ディスク12の回転を停止させる。
【0052】
尚、混合容器410は、保持ディスクの回転が停止したとき、反応容器420内の混合液が毛細管力によって、流れ出ることを防止する機能を有する。即ち、反応容器420内の混合液が毛細管力によって、混合容器410方向に流れるとき、混合容器410の断面積は大きいから、毛細管力が減少し、それ以上、混合液が進むことはない。
【0053】
次に、核酸捕捉工程を説明する。図9に示すように、追加液容器230と反応容器420の間には、追加液容器230の外周端より始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を有する追加液容器出口流路231が設けられている。
【0054】
穿孔機13によって、追加液容器230の通気孔232の位置にて、カートリッジカバー22に穿孔し、追加液容器230を大気圧に接続する。溶離液回収容器390の通気孔394の位置にて、カートリッジカバー32に穿孔し、溶離液回収容器390を大気圧に接続する。廃液貯蔵容器402の通気孔403の位置にて、カートリッジカバー32に穿孔し、廃液貯蔵容器402を大気圧に接続する。
【0055】
モータ11を駆動し、保持ディスク12を回転させる。遠心力の作用により、追加液容器230内の追加液は追加液容器出口流路231を経て、反応容器420に移動する。それによって、反応容器420内の混合液の液面レベルは内周方向に移動する。混合液の液面が反応容器出口流路421の最内周部の位置604に達すると、混合液は反応容器出口流路421の折り返し部を越えて流れ出し、核酸捕捉部301へ流れ込む。
【0056】
血清と溶解液の混合液の壁面に対する濡れ性がよい場合、遠心力が作用しないときでも、毛細管現象によって反応容器出口流路421内を混合液が逆流する場合がある。このような場合には、追加液を必要としない。
【0057】
核酸捕捉部301に導かれた混合液は、遠心力の作用によって外周方向に移動し、核酸捕捉部301を通過する。混合液が核酸捕捉部を通過すると、混合液中の核酸は核酸捕捉部301によって捕捉され、残りの廃液は溶離液回収容器390へ流れ込む。
【0058】
核酸捕捉処理が行われると次に洗浄工程を説明する。第1洗浄液容器240に接続された第1洗浄液容器出口流路241、第2洗浄液容器250に接続された第2洗浄液容器出口流路251、及び、溶離液容器270に接続された溶離液容器出口流路271は、保持容器701にて合流する。第3洗浄液容器260に接続された第3洗浄液容器出口流路261は、溶離液回収容器390に接続されている。第1検出試薬溶解液容器280に接続された第1検出試薬溶解液容器出口流路281は、第1検出試薬を貯蔵する第1検出試薬容器285を経由して溶離液回収容器390に接続されている。第2検出試薬溶解液容器290に接続された第2検出試薬溶解液容器出口流路291は、第2検出試薬を貯蔵する第2検出試薬容器295を経由して溶離液回収容器390に接続されている。溶離液回収容器390と廃液貯蔵容器402の間には、溶離液回収容器390の外周端より始まり、内周方向に延びてから再び外周方向に延びる折り返し部を有する廃液流路393が設けられている。廃液流路393の途中に毛細管弁171が設けられているが、これについては後に図12を参照して説明する。
【0059】
洗浄工程を説明する。洗浄工程は第1、第2及び第3の洗浄工程を含む。先ず、第1洗浄工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって第1洗浄液容器240の通気孔242の位置にてカートリッジカバー22を穿孔する。それによって、第1洗浄液容器240は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、第1洗浄液は第1洗浄液容器240から第1洗浄液容器出口流路241及び保持容器701を経て、核酸捕捉部301に流れ込み、核酸捕捉部301に付着した蛋白等の不要成分を洗浄する。洗浄後の廃液は、溶離液回収容器390及び廃液流路393を経て、廃液貯蔵容器402へと流出する。
【0060】
次に、第2洗浄工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって第2洗浄液容器250の通気孔252の位置にてカートリッジカバー22を穿孔する。それによって、第2洗浄液容器250は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、第2洗浄液は第2洗浄液容器250から第2洗浄液容器出口流路251及び保持容器701を経て、核酸捕捉部301に流れ込み、核酸捕捉部301に付着した蛋白等の不要成分を洗浄する。洗浄後の廃液は、溶離液回収容器390を経て、廃液貯蔵容器402へと流出する。
【0061】
第3洗浄工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって第3洗浄液容器260の通気孔262の位置にてカートリッジカバー22を穿孔する。それによって、第3洗浄液容器260は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、第3洗浄液は第3洗浄液容器260から溶離液回収容器390に流れ込み、溶離液回収容器390に付着した塩等の成分を洗浄する。洗浄後の廃液は、廃液貯蔵容器402へと流出する。
【0062】
溶離工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって溶離液容器270の通気孔272の位置にて、カートリッジカバー22を穿孔する。それによって、溶離液容器270は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、溶離液は溶離液容器270から出口流路271及び保持容器701を経て核酸捕捉部301に流れ込む。核酸捕捉部301にて、捕捉された核酸は、溶離液によって溶離される。溶離した核酸を含む溶離液は、核酸捕捉部301から溶離液回収容器390に流れ込む。溶離液容器270の溶離液の容量は、溶離液回収容器390の容積に等しいか又はそれより小さい。従って、溶離液回収容器390に流れ込んだ溶離液は、溶離液回収容器390に保持される。
【0063】
増幅工程を説明する。増幅工程は第1及び第2の増幅工程を含む。第1の増幅工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって第1検出試薬溶解液容器280の通気孔282の位置にて、カートリッジカバー22を穿孔する。それによって、第1検出試薬溶解液容器280は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、第1検出試薬溶解液は第1検出試薬溶解液容器280から出口流路281を経て第1検出試薬容器285に流れ込み、第1検出試薬を溶解し、溶離液回収容器390に流れ込む。
【0064】
第1検出試薬は、内部コントロールや蛍光色素を含む増幅試薬である。第1検出試薬によって、溶離液回収容器390に保持された遺伝子は蛍光標識されると同時に増幅する。第1検出試薬溶液が溶離液回収容器390に流れ込んだら、加温装置14を用いて溶離液回収容器390を第1の反応温度、例えば65℃で5分間保持し、第2の反応温度例えば41℃に下げる。第2の反応温度に到達したら、第2の増幅工程を実行する。
【0065】
第2の増幅工程を説明する。モータ11を停止し、穿孔機13によって第2検出試薬溶解液容器290の通気孔292の位置にて、カートリッジカバー22を穿孔する。それによって、第2検出試薬溶解液容器290は大気圧に接続される。モータ11を回転させると、遠心力の作用によって、第2検出試薬溶解液は第2検出試薬溶解液容器290から出口流路291を経て第2検出試薬容器295に流れ込み、第2検出試薬を溶解し、溶離液回収容器390に流れ込む。
【0066】
第2検出試薬は、酵素を含む試薬である。第2検出試薬によって、溶離液回収容器390に保持された遺伝子の増幅が行われる。第2検出試薬溶液が溶離液回収容器390に流れ込んだら、加温装置14を用いて溶離液回収容器390を第2の反応温度41℃で90分間保持する。
【0067】
第2の増幅工程では、検出装置15を検査容器となる溶離液回収容器390の下に移動させ、標的核酸および内部コントロール核酸の蛍光発光量をそれぞれ検出する。
【0068】
内部コントロールは、予め定量された核酸あるいは核酸を含む合成物であり、血清中の標的核酸の抽出、増幅、検出に用いた条件及び装置と同一の条件及び装置を使用して、抽出、増幅、検出を行う。
【0069】
従って、内部コントロールの検出結果から、所定の蛍光や吸光等の信号が得られた場合には、検査カートリッジ及び検査装置は正常に機能し、抽出、増幅、検出の工程が正常に実行された仮定することができる。従って、この場合、標的核酸の蛍光発光量を正常な測定値として採用することができる。逆に、内部コントロールの検出結果の信号強度が所定値より低かったり全く検出されない場合は、検査カートリッジ又は検査装置は正常に機能しなかったと判断することができる。又は、標的核酸の検出信号を予め定量している内部コントロールの検出信号と比較することにより、標的核酸の濃度を定量評価することができる。
【0070】
本発明によれば、試薬の分注操作が不要となり作業不備による試薬の汚染が起きることがない。また各試薬の流動を制御するためのバルブを流路途中に設ける必要がなく、流路途中でのバルブ部での液残りは発生せず、前工程での試薬による汚染を防止でき、液体試料中の核酸等の特定成分を高純度に抽出でき、高精度に分析できる。
【0071】
図10は、検査カートリッジの第2の例を示す。本例の検査カートリッジでは、誘導伝導加熱方式を使用して温度制御を行う。図10(a)は、本例の検査カートリッジが保持された保持ディスクの上方から観察した状態を示し、図10(b)は、図10(a)の切断線B−Bに沿った断面構成を示す図である。本例では、検査カートリッジの上方に、誘導伝導用コイル161、及び、赤外線放射温度計164が配置されている。誘導伝導用コイル161には、電源162が接続されている。誘導伝導用コイル161は、検査カートリッジ2毎に適当な方法によって検査装置に支持される。例えば、複数の誘導伝導用コイル161を、検査カートリッジ2に対応するように、保持ディスクの上方に所定の間隔にて、検査装置に装着してよい。
【0072】
検査カートリッジ2は、保持ディスク12の凹部内に保持される。検査カートリッジ2の溶離液回収容器390の外周に沿って磁性体リング165が設けられている。磁性体リング165は、モールド成形によって形成されてよい。
【0073】
保持ディスク12には、検査カートリッジ2の溶離液回収容器390の位置にて、孔12Aが形成されている。保持ディスク12の下方に配置された検出装置15により溶離液回収容器390内の増幅液による発光量を測定するため、溶離液回収容器390の底面は平面度及び透明度が光学的に優れていることが望ましい。
【0074】
電源162から誘導伝導用コイル161に20〜30kHzの高周波の交流を印加することにより、磁界が生成され、それによって磁性体リング165に渦電流が発生する。渦電流が磁性体リング165内を流れると、ジュール熱損失によって発熱が起きる。この発熱によって、溶離液回収容器390内の溶液が加温される。
【0075】
誘導伝導用コイル161と溶離液回収容器390の間の距離をLとする。本例では、距離Lだけ離れた誘導伝導用コイル161と磁性体リング165の間の誘導伝導加熱によって、溶離液回収容器390内は加熱される。溶離液回収容器390内の温度は、赤外線放射温度計164によって測定される。測定された温度に基づいて、誘導伝導用コイル161に印加する交流の周波数又は電圧が制御される。それにより、溶離液回収容器390内の温度は所定の温度に制御される。即ち、本例では、溶離液回収容器390に対して非接触にて、温度制御がなされる。従って、保持ディスクが高速又は低速にて回転中であっても、温度制御は当然可能である。磁性体リングの材質としては、渦電流によるジュール損失が大きい材料が好ましく、銅系よりはある程度の電気抵抗をもつ鉄やステンレスなどが好ましい。
【0076】
図11〜図13を参照して、本発明による検査カートリッジの第3の例を説明する。図11(a)は、本例の検査カートリッジの平面構成を示す。図11(b)は、図11(a)の切断線C−Cに沿った検査カートリッジの断面構成を示す図である。本例の検査カートリッジは、図8に示した検査カートリッジと比較して、廃液流路393の内周側に空気溜め170が設けられている点が異なる。また、廃液流路393の途中に流路断面が拡大した毛細管弁171が設けられている。
【0077】
図12は毛細管弁171の詳細を示す。図12(a)は、毛細管弁171を含む廃液流路393の平面構成を示し、図12(b)は、図12(a)の切断線E−Eに沿った検査カートリッジの断面構成を示す図である。毛細管弁171は、廃液流路393の経路上に形成された凹部172によって構成されている。この凹部172は、廃液流路393の流路断面積より大きな流路断面積を有する。即ち、凹部172は幅及び深さは、廃液流路393の幅及び深さより大きい。
【0078】
溶離液回収容器390内の溶液が毛細管力によって廃液流路393内を進み、毛細管弁171に達する。しかしながら、そこで流路の断面積が大きくなるので毛細管力は減少し、それ以上進むことなく停止する。従って、凹部172の入口にて気液の界面173を生じる。この気液界面は、表面張力作用によって形成されたものであり、廃液流路393からの圧力が一定値以下の場合、破断しない。従って、この気液界面は、それから先に液体が流動するのと防ぐ一種の弁体の役目を果たす。
【0079】
次に、空気溜め170の機能を説明する。保持ディスクの回転中、溶離液回収容器390内の溶離液は、遠心力の作用によって、半径方向外方に押し出され、廃液流路393を経由して空気溜め170内に進入する。しかしながら、空気溜め170内には予め空気が充填されているため、空気溜め170内に溶離液が進入すると、この空気が圧縮される。空気溜め170内に進入した溶離液の圧力と空気の圧力が釣り合ったとき、溶離液の進入は停止する。このとき、溶離液回収容器390内の液面レベルの半径方向の位置170aは、溶離液回収容器390内の液面レベルの半径方向の位置390aより外周側にある。
【0080】
図13は、保持ディスクの回転を停止した状態を示す。保持ディスクの回転を停止すると、遠心力が作用しなくなり、空気溜め170内における溶離液の圧力と空気の圧力の釣り合いが破れる。従って、空気溜め170内の溶離液は、空気の圧力によって押し出され、溶離液回収容器390に戻る。従って、空気溜め170内の液面レベルの半径方向の位置170cは、空気溜め170の底面付近となる。再び、保持ディスクを回転させると、遠心力の作用により、空気溜め170内の液面レベルの半径方向の位置は、図11の位置170cに移動する。こうして本例では、保持ディスクの回転と停止を繰り返すことにより、空気溜め170内の液面レベルは変動する。空気溜め170内の液面レベルが変動すると、溶離液回収容器390内の液面レベルも変動し、空気溜め170と溶離液回収容器390の間を溶離液が行き来する。それにより溶離液回収容器390内における溶離液の攪拌が起きる。
【0081】
図7を参照して説明したように、増幅工程において、保持ディスクの回転と停止を繰り返すことにより、溶離液回収容器390内に攪拌を生成し、検出試薬と溶離液を十分に混合させることができる。
【0082】
本例では、毛細管弁171として、流路の断面が拡大する凹部172を使用したが、廃液流路393内に粘度の高く遺伝子増幅に阻害とならないゲル状の物質を充填してもよく、又は、樹脂製流路を加熱して溶解する等何ならの方法で塞ぐことによっても毛細管弁の作用を置換えることができる。
【0083】
次に、図14を参照して増幅工程における攪拌のタイミングを説明する。図に示すように増幅工程では、保持ディスクの回転と停止を繰り返す。回転速度は、加速時、定速時、減速時、及び、停止時、の4つの状態に変化する。攪拌は、保持ディスクの回転が停止してから一定時間t1にて行い、その後に、時間t2にて蛍光計測を行う。即ち、減速時が終了したら、時間tだけ攪拌を行い、その後に時間t2の蛍光計測を行う。蛍光計測が終了したら、再び、保持ディスクを回転させる。増幅工程において、溶離液回収容器390を加温しながら攪拌することにより、増幅反応が促進され検査時間の短縮が図れる。
【0084】
次に、図15は本発明による検査カートリッジの第4の例を示す。図15(a)に示すように、本例では、基板に溶離液回収容器390に隣接し、半径方向に延びる攪拌容器175が設けられている。攪拌容器175の両端は、連絡流路174a、174bによってそれぞれ溶離液回収容器390に接続されている。従って、攪拌容器175内には、溶離液が満たされている。攪拌容器175の断面は、略3角形である。即ち、基板の上面に傾斜した上面175A、平行な底面175B、及び垂直な外周側面175Cからなる。上面175Aと底面175Bの間の間隔は、内周側から外周側に向かって拡大している。攪拌容器175内には、溶離液回収容器390内の溶液より比重が小さいフロート176が配置されている。
【0085】
保持ディスクが回転すると、遠心力の作用により、比重が大きい溶離液は外周側面175Cの方向に移動し、比重が小さなフロート176は内周側175Dに移動する。フロート176には、遠心力の作用方向に直行する方向に重力と浮力が作用するが、攪拌容器175の内周側175Dでは、上面175Aと底面175Bの間の間隔が狭く、フロート176は重力方向又は浮力方向に移動することはできない。フロート176が遠心力の作用によって外周側から内周側に移動することによって、攪拌容器175内の溶液は、内周側の連絡流路174aを経由して溶離液回収容器390内に押し出され、逆に、溶離液回収容器390内の溶液は、外周側の連絡流路174bを経由して攪拌容器175内に流入する。
【0086】
保持ディスクの回転を停止すると、遠心力は作用しなくなるが、重力と浮力は作用する。フロート176は比重が小さいから重力より浮力のほうが大きく、従って、フロート176には浮力による上方向の力が作用する。それによって、フロート176は、上面175Aの傾斜に沿って移動し、外周側面175Cに移動する。フロート176が内周側から外周側に移動することによって、攪拌容器175内の溶液は、外周側の連絡流路174bを経由して溶離液回収容器390内に押し出され、逆に、溶離液回収容器390内の溶液は、内周側の連絡流路174aを経由して攪拌容器175内に流入する。
【0087】
保持ディスクの回転と停止を繰り返すと、フロート176が内周側と外周側の間を移動する。それによって、溶液は、連絡流路174a、174bを介して、溶離液回収容器390と攪拌容器175の間を行き来する。それによって溶離液回収容器390内の溶液は攪拌される。
【0088】
次に、図16は本発明による検査カートリッジの第5の例を示す。図16(a)に示すように、本例では、廃液流路393の内周側に空気溜め170が設けられ、この空気溜め170内には電気ヒータ180が設けられている。図16(b)は、図16(a)の線G−Gに沿った断面構成を示す。電気ヒータ180に通電することにより、空気溜め170内の空気は膨張する。空気溜め170内の空気の膨張によって、空気溜め170内の溶液は押し出され、溶離液回収容器390内に移動する。電気ヒータ180の通電を停止することにより、空気溜め170内の空気は収縮する。空気溜め170内の空気の収縮によって、溶離液回収容器390内の溶液は空気溜め170内に移動する。こうして、電気ヒータ180によって、空気溜め170内の空気の膨張と収縮を繰り返すことによって、溶液は、溶離液回収容器390と空気溜め170の間を行き来する。それによって、溶離液回収容器390内にて溶液の攪拌が行われる。
【0089】
電気ヒータ180に加えてペルチェ素子を内蔵してもよい。電気ヒータ180の通電を停止し、ペルチェ素子を通電することにより空気の収縮を促進させることができる。
【0090】
次に、図17は本発明による検査カートリッジの第6の例を示す。図17(a)に示すように、本例の検査カートリッジでは、溶離液回収容器390を囲むようにリング状の攪拌容器167が形成されている。攪拌容器167内には、図17(b)に示す磁性体リング165が配置されている。
【0091】
図18に示すように、溶離液回収容器390と攪拌容器167は上側の連絡流路166aと下側の連絡流路166bにて連通されている。従って、攪拌容器167内には溶離液が満たされている。検査カートリッジの上方には、誘導伝導用コイル161、及び、赤外線放射温度計164が配置されている。誘導伝導用コイル161には、電源162が接続されている。誘導伝導用コイル161は、検査カートリッジ2毎に適当な方法によって支持され、保持ディスクと共に回転するように構成してよい。図18(a)は、誘導伝導用コイル161に通電した状態を示す。誘導伝導用コイル161に低周波の交流又は直流を印加すると磁界が生成される。磁性体リング165は、磁界による上方向の力を受ける。磁界による上方向の力の大きさは、磁性体リング165の重さに比べて十分に大きいから、磁性体リング165は、攪拌容器167内を上方に移動する。溶離液回収容器390及び攪拌容器167は、カートリッジカバー32によって覆われているから、磁性体リング165が攪拌容器167から飛び出ることはない。
【0092】
磁性体リング165が、攪拌容器167内を上方に移動すると、攪拌容器167内の溶液は、磁性体リング165によって押し出され、上側の連絡流路166aを介して、溶離液回収容器390内に移動し、溶離液回収容器390内の溶液は下側の連絡流路166bを介して攪拌容器167内に導かれる。
【0093】
図18(b)は、誘導伝導用コイル161への通電を切断した状態を示す。磁性体リング165は、重力によって、攪拌容器167内を下方に移動する。磁性体リング165が、攪拌容器167内を下方に移動すると、攪拌容器167内の溶液は、磁性体リング165によって押し出され、下側の連絡流路166bを介して、溶離液回収容器390内に移動し、溶離液回収容器390内の溶液は上側の連絡流路166aを介して攪拌容器167内に導かれる。
【0094】
こうして本例では、誘導伝導用コイル161への通電と通電の切断を繰り返すことにより、磁性体リング165は、攪拌容器167内を上下方向に往復運動する。それによって、溶離液回収容器390と攪拌容器167の間を溶液が行き来し、溶離液回収容器390内の溶液は攪拌される。
【0095】
尚、図10を参照して説明したように、誘導伝導用コイル161に20〜30kHzの高周波の交流を印加することにより、磁性体リング165に渦電流を発生させ、それによって、溶離液回収容器390内の溶液を加熱してもよい。それにより、磁性体リング165を攪拌子として使用すると同時に、加熱ヒータとして機能させることができる。増幅工程では、攪拌と加熱を同時に行う必要がある。従って、本例の磁性体リング165は、増幅工程における攪拌と加熱を行う場合に好適である。それにより、作業工程数を少なくすることができると同時に使用する部品点数を少なくすることができる。
【0096】
磁性体リング165は溶離液回収容器390内の液と直接接触するために、遺伝子増幅に影響の無い、例えばフッ素系の樹脂等でコーティングする必要がある。
【0097】
図19は本発明による検査カートリッジの第7の例を示す。図19(a)に示すように、本例の検査カートリッジでは、溶離液回収容器390に直接、磁性体リング165が挿入されている。図19(b)は、溶離液回収容器390とそこに配置された磁性体リング165の断面構成を示す。図19(b)には、検査カートリッジの上方に設けられた、誘導伝導用コイル161、及び、赤外線放射温度計164の図示は省略されている。誘導伝導用コイル161への通電と通電の切断を繰り返すことにより、磁性体リング165は、溶離液回収容器390内を上下方向に往復運動する。それにより、溶離液回収容器390内の溶液は攪拌される。本例の場合も、磁性体リング165によって攪拌と加熱を同時に行ってよい。本例では、構造が簡単でありながら、攪拌と加熱の両者を実現することができる。
【0098】
図20及び図21は本発明による検査カートリッジの第8の例を示す。本例では、溶離液回収容器390の両側に、保持ディスクの接線方向に沿って延びる攪拌用流路168a、168bが設けられ、その流路内に磁性体の球169が配置されている。攪拌用流路168a、168bは、溶離液回収容器390に接続されている。従って、攪拌用流路168a、168bには、溶離液が満たされている。攪拌用流路168a、168bは、溶離液回収容器390より深さが浅い溝である。
【0099】
図21を参照して説明する。検査カートリッジの上方には、誘導伝導用コイル161が設けられている。誘導伝導用コイル161は電源162に接続されている。本例では、誘導伝導用コイル161を低周波の交流又は直流を印加することにより磁界を発生させた状態にて、検査カートリッジを半径方向に移動させる。図21(a)は、誘導伝導用コイル161の中心が、一方の攪拌用流路168aの外端部の位置に整合するように、検査カートリッジが配置された状態を示す。図21(b)は、誘導伝導用コイル161の中心が、他方の攪拌用流路168bの外端部の位置に整合するように、検査カートリッジが配置された状態を示す。磁性体の球169は、誘導伝導用コイル161によって生成された磁界によって引き寄せられる。溶離液回収容器390及び攪拌用流路168a、168bは、カートリッジカバー32によって覆われているから、磁性体の球169が溶離液回収容器390及び攪拌用流路168a、168bから飛び出ることはない。
【0100】
図21(a)に示すように、誘導伝導用コイル161の中心が一方の攪拌用流路168aの外端部の位置にある場合には、磁性体の球169は、一方の攪拌用流路168aの外端部に配置され、図21(b)に示すように、誘導伝導用コイル161の中心が他方の攪拌用流路168bの外端部の位置にある場合には、磁性体の球169は、他方の攪拌用流路168bの外端部に配置される。
【0101】
こうして本例では、検査カートリッジを半径方向に往復運動させることにより、磁性体の球169は、2つの攪拌用流路168a、168bに沿って往復運動する。それによって、溶離液回収容器390内の溶離液は攪拌される。蛍光計測を行う場合には、磁性体の球169は、2つの攪拌用流路168a、168bの一方の端部に配置されるから、蛍光測定の妨げとはならない。
【0102】
図22は、誘導伝導コイルに供給する電源装置の例を示す。上述の例では、攪拌時には、誘導伝導コイルに直流を供給し、誘導伝導加熱の場合には、誘導伝導コイルに、低周波の交流を供給する。即ち、攪拌と加熱を切り替える場合には、電源を切り替える必要がある。本例では、電源を切替えるための制御装置181を設ける。交流電源162にはスイッチ162aが接続され、直流電源163にはスイッチ163aが接続されている。制御装置181は、攪拌時に、スイッチ163aをオンにし、スイッチ162aをオフにする命令を供給する。制御装置181は、加温時に、スイッチ163aをオフにし、スイッチ162aをオンにする命令を供給する。制御装置181は赤外線放射温度計164からの温度信号を入力し、加温制御を行う。
【0103】
以上、本発明の例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明による化学分析装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明による検査カートリッジの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明による検査カートリッジの第1部分の外観を示す斜視図である。
【図4】本発明による検査カートリッジの第2部分の外観を示す斜視図である。
【図5】本発明による検査カートリッジの2つの部分を組み立てる方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明による化学分析装置を用いて全血からウイルス核酸の抽出処理を行う場合の操作手順の概略を説明するための説明図である。
【図7】本発明による化学分析装置を用いて全血からウイルス核酸の抽出処理を行う場合の攪拌のタイミングを説明するための説明図である。
【図8】本発明による検査カートリッジの動作説明図である。
【図9】本発明による検査カートリッジの動作説明図である。
【図10】本発明による検査カートリッジの第2の例を説明するための説明図である。
【図11】本発明による検査カートリッジの第3の例を動作説明図である。
【図12】本発明による検査カートリッジの第3の例の毛細管弁の動作説明図である。
【図13】本発明による検査カートリッジの第3の例の動作説明図である。
【図14】本発明による検査カートリッジの第3の例における攪拌と蛍光計測のタイミングを説明するための説明図である。
【図15】本発明による検査カートリッジの第4の例の動作説明図である。
【図16】本発明による検査カートリッジの第5の例の動作説明図である。
【図17】本発明による検査カートリッジの第6の例の動作説明図である。
【図18】本発明による検査カートリッジの第6の例の動作説明図である。
【図19】本発明による検査カートリッジの第7の例の動作説明図である。
【図20】本発明による検査カートリッジの第8の例の動作説明図である。
【図21】本発明による検査カートリッジの第8の例の動作説明図である。
【図22】本発明による検査カートリッジの第8の例において、攪拌と加温を切り替えるための装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
1…化学分析装置、2…検査カートリッジ、11…モータ、12…保持ディスク、13…穿孔機、14…加温装置、15…検出装置、20…検査カートリッジの第1部分、21…基板、22…カートリッジカバー、23…保護シート、30…検査カートリッジの第2部分、31…基板、32…カートリッジカバー、33…保護シート、161…誘導伝導コイル、162、163…電源、164…赤外線放射温度計、165…磁性体リング、166a、166b…連絡流路、167…攪拌容器、168a、168b…攪拌用流路、169…球、170…空気溜め、171…毛細管弁、172…凹部、175…攪拌容器、176…フロート、180…電気ヒータ、181…制御装置、220…溶解液容器、230…追加液容器、240…第1洗浄液容器、250…第2洗浄液容器、260…第3洗浄液容器、270…溶離液容器、280…第1検出試薬溶解液容器、290…第2検出試薬溶解液容器、301…核酸捕捉部、310…試料容器、311…血球貯蔵容器、312…血清定量容器、315…全血廃棄容器、320…混合容器、390…溶離液回収容器、402…廃液貯蔵容器、410…混合部、420…反応容器、701…保持容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心を通る回転軸線周りに回転可能な保持ディスクと、該保持ディスクに保持された取り外しが可能な検査カートリッジと、を有し、上記検査カートリッジは、凹部によって形成された容器及び流路を有する基板と、該容器及び流路を覆うカバーと、を有し、上記保持ディスクの回転によって生成される遠心力を利用して、上記回転軸線に対して内周側の容器から上記流路を経由して上記回転軸線に対して外周側の容器へ溶液を移動させるように構成された化学分析装置において、
上記容器内の溶液を攪拌するための攪拌手段が設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、上記容器内に配置された磁性体と上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルとを有し、上記コイルに電流を供給することと該電流の供給を停止することを繰り返すことによって上記磁性体を上記容器内にて移動させるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、上記容器に流体的に接続され且つ上記容器を囲むように形成されたリング状の攪拌容器と該攪拌容器内に配置されたリング状の磁性体と上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルとを有し、上記コイルに電流を供給することと該電流の供給を停止することを繰り返すことによって上記磁性体を上記攪拌容器内にて移動させるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、2つの流路を介して上記容器に接続された攪拌容器と該攪拌容器内に配置され上記容器内の溶液より比重が小さいフロートと、を有し、遠心力が作用しているときには遠心力によって上記フロートを移動させ、遠心力が作用していないときには浮力によって上記フロートを移動させることによって、上記容器と上記攪拌容器の間で上記2つの流路を介して溶液を行き来させるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、上記容器に流体的に接続され且つ上記容器を横切るように形成された溝と該溝に配置された磁性体の球と上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルとを有し、上記コイルに電流を供給して上記溝に沿って移動させることにより、上記球を上記溝に沿って移動させ、上記球を上記容器を横断させるように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、上記容器の出口に接続された流路に接続された空気溜め容器を有し、遠心力が作用しているとき、上記容器内の溶液は上記空気溜め容器に進入し、遠心力が作用していないとき、上記空気溜め容器内に進入した溶液は上記容器内に戻るように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の化学分析装置において、上記攪拌手段は、上記容器の出口に接続された流路に接続された空気溜め容器と該空気溜め容器内に配置された電気ヒータとを有し、該電気ヒータに通電することと該通電を切断することを繰り返すことによって、上記空気溜め容器内の空気を膨張させることと収縮させることを繰り返し、それによって上記容器と上記空気溜め容器の間にて溶液の行き来をさせることにより、上記容器内の溶液を攪拌するように構成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の化学分析装置において、上記容器内の溶液を加温するための加温手段が設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項9】
請求項8記載の化学分析装置において、上記加温手段は、上記容器内に配置された磁性体と上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルとを有し、上記コイルに高周波の交流電流を供給することによって上記磁性体内に渦電流を生成し、該渦電流によって上記容器内の溶液を加温することを特徴とする化学分析装置。
【請求項10】
請求項8記載の化学分析装置において、上記容器内に配置された磁性体と上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルと該コイルに電源を供給する電源装置とを有し、上記電源装置は、上記磁性体を攪拌手段として使用する場合には、上記コイルに直流電流を供給し、上記磁性体を加温手段として使用する場合には、上記コイルに高周波の交流電流を供給することを特徴とする化学分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の化学分析装置において、上記基板には、試料を収容する試料容器と、上記試料に含まれる特定の物質を捕捉するための捕捉部と、上記捕捉部に捕捉された上記物質を溶離するための溶離液を保持する溶離液容器と、上記捕捉部から排出された上記物質を含む溶離液を収容する溶離液回収容器と、上記溶離液回収容器に収容された上記物質を含む溶離液より上記物質を検出するための検出試薬を保持するための検出試薬容器と、上記捕捉部及び上記溶離液回収容器を経由して排出された溶液を回収する廃液貯蔵容器と、が設けられ、上記攪拌手段は、上記溶離液回収容器に設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項12】
請求項8記載の化学分析装置において、上記基板には、試料を収容する試料容器と、上記試料に含まれる特定の物質を捕捉するための捕捉部と、上記捕捉部に捕捉された上記物質を溶離するための溶離液を保持する溶離液容器と、上記捕捉部から排出された上記物質を含む溶離液を収容する溶離液回収容器と、上記溶離液回収容器に収容された上記物質を含む溶離液より上記物質を検出するための検出試薬を保持するための検出試薬容器と、上記捕捉部及び上記溶離液回収容器を経由して排出された溶液を回収する廃液貯蔵容器と、が設けられ、上記加温手段は、上記溶離液回収容器に設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項13】
凹部によって形成された容器及び流路を有する基板と、該容器及び流路を覆うカバーと、を有し、上記基板に垂直な回転軸線周りの回転によって生成される遠心力を利用して、上記回転軸線に対して内周側の容器から上記流路を経由して上記回転軸線に対して外周側の容器へ溶液を移動させるように構成された化学分析カートリッジにおいて、
上記容器内の溶液を攪拌するための攪拌手段が設けられていることを特徴とする化学分析カートリッジ。
【請求項14】
請求項13記載の化学分析カートリッジにおいて、上記攪拌手段は、上記容器内に配置された磁性体を有し、上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルに電流を供給することと該電流の供給を停止することを繰り返すことによって上記磁性体を上記容器内にて移動させるように構成されていることを特徴とする化学分析カートリッジ。
【請求項15】
請求項13記載の化学分析カートリッジにおいて、上記基板には、試料を収容する試料容器と、上記試料に含まれる特定の物質を捕捉するための捕捉部と、上記捕捉部に捕捉された上記物質を溶離するための溶離液を収容する溶離液容器と、上記捕捉部から排出された上記物質を含む溶離液を収容する溶離液回収容器と、上記物質を検出するために上記溶離液回収容器からの上記物質を含む溶離液を保持するための検出容器と、上記捕捉部及び上記溶離液回収容器を経由して排出された溶液を回収する廃液貯蔵容器と、が設けられ、上記攪拌手段は上記溶離液回収容器に設けられていることを特徴とする化学分析カートリッジ。
【請求項16】
請求項13記載の化学分析カートリッジにおいて、上記容器内の溶液を加温するための加温手段が設けられていることを特徴とする化学分析カートリッジ。
【請求項17】
請求項16記載の化学分析カートリッジにおいて、上記加温手段は、上記容器内に配置された磁性体を有し、上記検査カートリッジより離れて設けられたコイルに高周波の交流電流を供給することによって上記磁性体内に渦電流を生成し、該渦電流によって上記容器内の溶液を加温することを特徴とする化学分析カートリッジ。
【請求項18】
請求項16記載の化学分析カートリッジにおいて、
上記基板には、試料を収容する試料容器と、上記試料に含まれる特定の物質を捕捉するための捕捉部と、上記捕捉部に捕捉された上記物質を溶離するための溶離液を収容する溶離液容器と、上記捕捉部から排出された上記物質を含む溶離液を収容する溶離液回収容器と、上記物質を検出するために上記溶離液回収容器からの上記物質を含む溶離液を保持するための検出容器と、上記捕捉部及び上記溶離液回収容器を経由して排出された溶液を回収する廃液貯蔵容器と、が設けられ、上記加温手段は上記溶離液回収容器に設けられていることを特徴とする化学分析カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−194843(P2006−194843A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9528(P2005−9528)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】