化学分析装置
【課題】
試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析を行うことができる化学分析装置を提供する。
【解決手段】
試料が注入され、前記試料と反応させる試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、前記構造体は、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続するよう形成されている。
試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析を行うことができる化学分析装置を提供する。
【解決手段】
試料が注入され、前記試料と反応させる試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、前記構造体は、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続するよう形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAを含む液体試料からDNAを抽出する方法としては、特表2003−502656号公報に、小型化されたインビトロ増幅アッセイを行うための装置および方法が記載されている。この装置では、DNA混合液を無機基体としてのガラスフィルタに通過させた後、洗浄液及び溶離液を通過させてDNAのみを回収している。ガラスフィルタは回転可能な構造体に設けてあり、洗浄液や溶離液等の試薬は同じ構造体内の各試薬リザーバに保持してある。各試薬は構造体が回転することにより発生する遠心力で流動し、各試薬リザーバとガラスフィルタを結ぶ微細流路に設けたバルブを開くことにより試薬がガラスフィルタを通過する。
【0003】
複数の化学物質を含む試料から核酸等の特定の化学物質を抽出し分析する化学分析装置としては、特表2001−527220号公報に、一体型流体操作カートリッジが記載されている。この装置では、一体型カートリッジ内部に溶解液や洗浄液や溶離液等の試薬、及び核酸を捕獲する捕獲構成部品を備え、核酸を含む試料をカートリッジ内部に注入した後、前記試料と溶離液を混合させて前記捕獲構成部品に通過させ、さらに捕獲構成部品に洗浄液を通過させ、さらに捕獲構成部品に溶離液を通過させ、捕獲構成部品を通過した後の溶離液をPCR試薬に接触させ反応チャンバへと流している。
【0004】
【特許文献1】特表2003−502656号公報
【0005】
【特許文献2】特表2001−527220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの公報記載の形態は、試薬貯蔵部と反応部等がすべて一体となった形態となっており、各種試薬を予め貯蔵しようとすると、試薬の特性に応じた管理を十分行うことはできない。また、前記特表2003−502656号公報記載の装置では、バルブには加熱することで溶けるワックス等を使用しているので、通過した試薬がバルブ部に残り回収したDNAを汚染する可能性がある。すなわちDNA混合液や洗浄液がバルブ部に残り、遠心力で溶離液をガラスフィルタに通過させている工程で、バルブ部に残ったDNA混合液や洗浄液が流れ込む可能性がある。
【0007】
また前記特表2001−527220号公報記載の一体型流体操作カートリッジでは、各試薬をポンプで送液する際、各試薬チャンバと捕獲構成部品を結ぶ微細流路に設けたバルブ等を開くことで試薬が捕獲構成部品を通過する。さらに捕獲構成部品を通過した試薬のうち洗浄液は廃液チャンバへ、溶離液は反応チャンバへと流れるように捕獲構成部品と各チャンバとの間の流路に設けたバルブ等で切り替えている。ポンプで複数の試薬を送液する場合流路壁に試薬が残り、特にバルブ等の障害物があると液が残りやすく、一旦液が残ると流動することがないため、別の試薬との合流部で汚染する可能性がある。また、捕獲構成部品を通過した洗浄液と溶離液とをバルブ等で切り替えて別々のチャンバに流動させる場合、先に廃液チャンバへと流動した洗浄液が反応チャンバへ切り替えるバルブ等の上流流路を汚染するため、溶離液に洗浄液が混入する恐れがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題の少なくとも一つを解決することができ、液体試料中の特定の化学物質を高精度に抽出し検出する簡易な化学分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は例えば以下の形態を備えることにより解決する。
(1)試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置された状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置である。
【0010】
これにより、各種試薬を予め貯蔵する場合でも、試薬の特性に応じた管理を十分行うことができる。また、効果的な試料或は試薬の流動を形成することができる。また、カートリッジ高さを抑えることができ、それを収容する収容部での高さをより低く抑えることができる。
【0011】
例えば、試薬カートリッジの外周側に流路カートリッジの内周側側面が対向する。具体的には、前記接続部で前記流路カートリッジの前記回転中心側と前記試薬カートリッジの前記回転外周側とが対向するよう形成されることが好ましい。
【0012】
なお、複数の試薬カートリッジを有する場合は、各試薬カートリッジの外周側側面が、流路カートリッジに対向するよう形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記接続部の前記流路カートリッジの試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジの試薬流路断面積より大きいことが好ましい。
【0014】
また更に、例えば、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、前記試料は核酸を含むものであり、前記流路カートリッジは前記試料の核酸を捕捉する捕捉部を有し、前記検出機構は前記構造体の外部に配置される。
【0015】
または、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成されることを特徴とする分析装置である。
【0016】
これにより、カートリッジの安定性を向上させることができ、分析装置の精度良い分析を行うことができる。
【0017】
具体的には、例えば、前記接続部で前記流路カートリッジの回転中心側と前記試薬カートリッジの回転外周側とが勘合する。
【0018】
または、(1)において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいことを特徴とする化学分析装置である。
【0019】
または、(1)において、
前記試薬カートリッジには複数の試薬貯蔵容器と、前記試薬貯蔵容器と前記試薬カートリッジの端部とを連絡する流路を有し、第一の試薬貯蔵容器と第一の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジの第一の端に連絡する第一の流路と、第二の試薬貯蔵容器と第二の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジの第二の端に連絡する第二の流路と、を備え、流路カートリッジは前記試薬カートリッジと流路カートリッジとを接続した状態で、前記第一の試薬貯蔵容器内の試薬と前記第二の試薬貯蔵容器内の試薬とが前記流路カートリッジの前記試薬流路を介して連通した空間を形成するよう形成されたことを特徴とする化学分析装置である。
試薬貯蔵部はバルブレスの形態にする場合、試薬カートリッジを流路カートリッジに接続することで前記複数の試薬貯蔵部が流路カートリッジ内の試薬流路で連通するよう形成することが好ましい。
【0020】
また、(1)において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、前記試薬カートリッジ或は前記流路カートリッジは、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置である。
【0021】
これにより、前述した作用に加えてカートリッジの接続安定性を高め、高速回転の制御を行う場合であっても安定した液の流動を確保できる。このため、精度良い計測を行うことができる。
【0022】
また、更に、以下の形態を有することが好ましい。
【0023】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジを複数備え、第一の試薬カートリッジは第二の試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることを特徴とする。また更に好ましくは、前記第一の試薬カートリッジは前記第二の試薬カートリッジより体積が小さいことを特徴とする。
【0024】
前記いずれかの形態において、前記流路カートリッジは試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備え、前記流路カートリッジは前記試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることが好ましい。
【0025】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジを複数備え、前記流路カートリッジの第一の領域に対向して第一の試薬カートリッジが配置され、前記流路カートリッジの第二の領域に対向して第二の試薬カートリッジが配置されることが好ましい。
【0026】
また、構造体としては、以下の形態を有することが好ましい。
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用構造体であって、
前記構造体は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、
前記試薬カートリッジが接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路カートリッジと、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析用構造体である。
【0027】
具体には、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された流路構造体である。
【0028】
更に具体例としては、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする流路構造体である。
【0029】
又は、試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路構造体に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬構造体である。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析を行うことができる化学分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、本願の特許請求の範囲や明細書に記載の形態に限定するものではなく、公知技術や公知技術となった技術に基づいて構成を変更することを妨げるものではない。
【0032】
図1〜図19を参照して、本発明による遺伝子検査装置の一実施例を説明する。
【0033】
図1は本発明による遺伝子検査装置の全体構成図である。遺伝子分析装置1は、モータ11により回転可能に支持された保持ディスク12と、保持ディスク12上に配置された複数の検査モジュール2と、液体の流動を制御するための穿孔機13と、加温装置14及び検出装置15を備えている。操作者は各検査項目ごとに検査モジュール2を用意し、保持ディスク12に装着し、遺伝子検査装置1を起動させる。
【0034】
図2は検査モジュール2の構成図である。検査モジュール2は、試薬カートリッジ本体21に透明な試薬カートリッジカバー22を接合した試薬カートリッジ20を、検査カートリッジ本体31に透明な検査カートリッジカバー32を接合した検査カートリッジ30に装着して構成している。各試薬は各試薬容器220、230、240、250、260、270、280,290,380,390に予め所定量だけ分注されている。試薬カートリッジ20の側面(図3)には、各試薬容器に連通する試薬流出口221、231,241,251,261,271,281,291が設けてあり、検査カートリッジ30に装着することで、図4に示す検査カートリッジ30の各試薬流入口321,331,341,361,381,391に接続する。本実施例では試薬流出口241,251,271はまとめて試薬流入口341に接続している.試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着した時点で、各試薬容器は各試薬流出口および対応する各試薬流入口を通して検査カートリッジ内で連通する。
【0035】
このように、本実施例の化学分析装置は、試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体である検査モジュール2を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出装置15と、を備える化学分析装置であって、前記検査モジュール2は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとなる検査カートリッジ30とを備え,前記試薬カートリッジ20の側面と前記検査カートリッジ30の側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されている。
【0036】
これにより、各種試薬を予め貯蔵する場合でも、試薬の特性に応じた管理を十分行うことができる。また、効果的な試料或は試薬の流動を形成することができる。また、カートリッジ高さを抑えることができ、それを収容する収容部での高さをより低く抑えることができる。
【0037】
例えば、試薬カートリッジ20の外周側に検査カートリッジ30の内周側側面が対向する。具体的には、前記接続部で前記検査カートリッジ30の前記回転中心側と前記試薬カートリッジ20の前記回転外周側とが対向するよう形成されることが好ましい。
【0038】
なお、複数の試薬カートリッジを有する場合は、各試薬カートリッジ20の外周側側面が、検査カートリッジ30に対向するよう形成されていることが好ましい。
【0039】
また、前記接続部の前記検査カートリッジ30の試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジ20の試薬流路断面積より大きいことが好ましい。
【0040】
また更に、例えば、前記検査モジュール2は回転可能に前記収容部に設置され、前記試料は核酸を含むものであり、前記検査カートリッジ30は前記試料の核酸を捕捉する捕捉部を有し、前記検出機構は前記検査モジュール2の外部に配置される。
【0041】
または、前記検査モジュール2体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジ20が接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する検査カートリッジ30とを備え,前記試薬カートリッジ20と前記検査カートリッジ30とは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成される。
【0042】
これにより、カートリッジの安定性を向上させることができ、分析装置の精度良い分析を行うことができる。
【0043】
具体的には、例えば、前記接続部で前記検査カートリッジ30の回転中心側と前記試薬カートリッジ20の回転外周側とが勘合する形態であることが好ましい。
【0044】
または、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ20内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいように構成する。
【0045】
または、前記試薬カートリッジ20には複数の試薬貯蔵容器と、前記試薬貯蔵容器と前記試薬カートリッジ20の端部とを連絡する流路を有し、第一の試薬貯蔵容器と第一の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジ20の第一の端に連絡する第一の流路と、第二の試薬貯蔵容器と第二の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジ20の第二の端に連絡する第二の流路と、を備え、検査カートリッジ30は前記試薬カートリッジ20と検査カートリッジ30とを接続した状態で、前記第一の試薬貯蔵容器内の試薬と前記第二の試薬貯蔵容器内の試薬とが前記検査カートリッジ30の前記試薬流路を介して連通した空間を形成するよう形成されることが好ましい。
【0046】
なお、試薬貯蔵部はバルブレスの形態にする場合、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に接続することで前記複数の試薬貯蔵部が検査カートリッジ30の試薬流路で連通するよう形成することが好ましい。
【0047】
または、前記検査モジュール2は回転可能に前記収容部に設置され、前記試薬カートリッジ20或は前記検査カートリッジ30は、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることが好ましい。
【0048】
これにより、前述した作用に加えてカートリッジの接続安定性を高め、高速回転の制御を行う場合であっても安定した液の流動を確保できる。このため、精度良い計測を行うことができる。
【0049】
また、更に、以下の形態を有することが好ましい。
【0050】
前記試薬カートリッジ20を複数備え、第一の試薬カートリッジは第二の試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容される。また更に好ましくは、前記第一の試薬カートリッジは前記第二の試薬カートリッジより体積が小さくする。
【0051】
また、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた前記検査カートリッジは前記試薬カートリッジ20より低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることが好ましい。
【0052】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジ20を複数備え、前記検査カートリッジ30の第一の領域に対向して第一の試薬カートリッジが配置され、前記流路カートリッジの第二の領域に対向して第二の試薬カートリッジが配置されることが好ましい。
【0053】
また、構造体である検査モジュール2としては、以下の形態を有することが好ましい。
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用検査モジュール2であって、前記検査モジュール2は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジ20が接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する検査カートリッジ30と、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記検査カートリッジ30の側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されている。
【0054】
具体的には、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ30に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された検査カートリッジである。
【0055】
更に具体例としては、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする検査カートリッジ30である。
【0056】
又は、試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する検査カートリッジ30に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬カートリッジ20である。
【0057】
図6に、図2で示したA−A部における試薬カートリッジ20および検査カートリッジ30の接続部縦断面図を、図5に、試薬カートリッジ20と検査カートリッジ30の接続前の上記A−A部に対応する縦断面図を示す。試薬カートリッジ20の接続部には、試薬カートリッジ20内に予め貯蔵されている試薬の漏れや蒸発を防ぐため、試薬カートリッジ保護シート23が接着されている。また、検査カートリッジ30の接続部には、検査カートリッジ30内部の汚染を防ぐため、検査カートリッジ保護シート33が接着されている。
【0058】
操作者は、試薬カートリッジ保護シート23および検査カートリッジ保護シート33をはがし、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着する。試薬流出口を構成する突起部(例えば図5の299)は試薬流入口と嵌め合うことで両カートリッジを位置決めし、かつ試薬が検査カートリッジの外に漏れ出すことはない。あるいは、検査カートリッジ保護シートの接着している検査カートリッジカバー32に接着剤が添付することで、試薬カートリッジの接合面を接着し、試薬の漏れを防いでもよい。
尚、上記試薬カートリッジに設けた突起部(例えば図5の269)は、検査カートリッジ側に設けてもよい。
【0059】
このように、凹凸構造を有する点を特徴とする。
【0060】
試薬カートリッジ30は試薬容器に連通する流路を備えた突起部を備え、検査カートリッジはこの突起を収容し、前記流路に対応する流路を備えた凹状の入口部を備える点を特徴とする。なお、前記突起部と入口部とは反対側のカートリッジに形成された組合わせであってもよい。突起は側方に伸びる形態であることが望ましい。
【0061】
以下全血を試料として用いた場合のウイルス核酸の抽出及び分析動作を説明する。図7に、操作者による本発明の遺伝子検査装置の操作手順を、図8および図9に遺伝子検査装置内での動作手順を示す。
【0062】
操作者は、真空採血管等で採血した全血を、検査カートリッジ30の試料注入口301より試料容器310に注入し(図10)、図5に示した試薬カートリッジ保護シート23および検査カートリッジ保護シート33をはがした後、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着する(図2)。
【0063】
このとき検査カートリッジ30の試料注入口301は試薬カートリッジ20により塞がれるため、以後試料が検査カートリッジ30より漏れ出ることはない。あるいは試薬カートリッジ20に試料通気孔313を貫通させておき(図2および図3)、空気は通すが試料およびそのミストは通さないフィルタを装着しておき、試料の流動時に通気が可能な状態にしてもよい。
【0064】
試薬カートリッジが形成された核酸結合部に供給する洗浄液は、溶離液の貯蔵容器からの流路が流路カートリッジの対応流路と接続する接続部は、試薬容器310より外周側に位置することが効率的に液を流す上で好ましい。または、試薬カートリッジに形成された、回収した核酸を含む液に供給する増幅液又は検査液を貯蔵する貯蔵容器からの流路が、流路カートリッジの対応流路と接続する接続部は試薬容器310より外周側に位置することが効率的に液を流す上で好ましい。
【0065】
組上げた分析モジュール2を図1の保持ディスク12に必要な数だけ装着し、遺伝子検査装置1を稼動させれば、全血からウイルスの遺伝子が抽出され、最終的に遺伝子が検出される。
【0066】
以下に、遺伝子検査装置1内部での各動作における液の流動状態を図11から図17に示す。全血501を注入後、モータ11で保持ディスク12を回転する。試料容器310に注入された全血は、保持ディスク12の回転により発生する遠心力の作用で外周側に流動し、血球貯蔵容器311および血清定量容器312を満たし、余分な全血はオーバーフロー細管流路313からオーバーフロー太管流路314を通って全血廃棄容器315へ流れる(図11)。全血廃棄容器315には全血廃棄用通気流路316が設けてあり、全血廃棄容器通気孔317を通して空気が自由に出入り可能である。オーバーフロー細管流路313からオーバーフロー太管流路314にかけての接続部は急拡大しておりかつオーバーフロー細管流路313の最内周側(半径位置601)にある
ため、全血はオーバーフロー細管流路313を満たした状態で前記接続部で切れる。したがって半径位置601より内周側に液は存在できないので、血清定量容器312の液面も半径位置601になる。また、血清定量容器312から分岐している血清毛細管318にも全血が流れ込み、ここでも全血の最内周部は半径位
置601になる。
【0067】
さらに回転を続けると全血501は血球と血清に分離し(遠心分離)、血球502は外周側の血球貯蔵容器311へ移動し、血清定量容器312内は血清503だけになる(図12)。
【0068】
上記一連の血清分離動作時に、試薬カートリッジ20にある各試薬容器の通気孔222、232、242、252、262、272,282,292は試薬カートリッジカバー22(図5)で蓋をされていて空気が入らない状態になっている。遠心力により各試薬は試薬容器外周側より流出しようとするが、容器内に空気が入らないため試薬容器内の圧力が低下し、遠心力と釣り合って試薬は流出することができない。
しかし回転数が増加し遠心力が大きくなると、試薬容器内の圧力は徐々に低下し、試薬の飽和蒸気圧以下になると気泡が発生する。そこで、図12に示すように、各試薬容器外周側から流出する試薬を一旦内周側に戻すような流路構造(戻り流路223、233、243、253、263、273,283,293)とすることで、試薬容器内の圧力低下を抑制し、気泡の発生を防ぐ。このように血清分離動作時には、各試薬は試薬容器に保持されたまま流動しない。
【0069】
また,戻り流路部での圧力が飽和蒸気圧以下になっても気泡が発生する可能性がある.流路内で気泡が発生すると,試薬が流出する途中で液が切れてしまい,試薬容器内に液が残ってしまう可能性がある.戻り流路最内周部より下流側の流路においては,流路内を試薬が連続して流動している場合には,遠心力の作用で流路下流側の液が上流側の液を引っ張るため,戻り流路最内周部で圧力が最も低くなる.
たとえば第一洗浄液541が第一洗浄液戻り流路243を経て第一洗浄液流出口241から流出する場合,戻り流路最内周部の圧力P40は次式で表される.
P40=P41-(1/2)ρ4(r42-R42)ω42
ここに,P41は第一洗浄液流出口での圧力,ρ4は第一洗浄液の密度,r4およびR4はそれぞれ第一洗浄液流出口半径および第一洗浄液戻り流路最内周部半径(図21参照),ω4は回転速度である.
同様に溶離液571が溶離液戻り流路273を経て溶離液流出口271から流出する場合,戻り流路最内周部の圧力P70は次式で表される.
P70=P71-(1/2)ρ7(r72-R72)ω72
ここに,P71は溶離液流出口での圧力,ρ7は溶離液の密度,r7およびR7はそれぞれ溶離液流出口半径および溶離液戻り流路最内周部半径(図21参照),ω7は回転速度である.
第一洗浄液および溶離液の流出口半径r4およびr7はほぼ同じ長さであるが,戻り流路最内周部半径は内周側に試薬貯蔵部を持つ溶離液戻り流路最内周部半径R7が外周側に試薬貯蔵部を持つ第一洗浄液戻り流路最内周部半径R4より短いため,戻り流路最内周部での圧力は,回転速度が同じ場合,溶離液(圧力P70)のほうが第一洗浄液(圧力P40)より低くなるため,第一洗浄液戻り流路最内周部より溶離液戻り流路最内周部で飽和蒸気圧以下になりやすい.そのため,第一洗浄液541に比べて回転中心側にある溶離液571を流動させる場合は,第一洗浄液を流動させるときの回転速度(ω4)より溶離液を流動させる時の回転速度(ω7)を小さくして,戻り流路最内周部での圧力が飽和蒸気圧以下になるのを防ぐことが望ましい.
所定の時間回転させ血清分離動作が終了すると分析モジュール2は停止し、血清定量容器312内の血清503の一部が血清毛細管318内部に表面張力により毛細管流動し、混合部410と血清毛細管318との接続部である混合部入り口411まで流動し、血清毛細管318を満たす。
【0070】
以下穿孔機13が各試薬容器上流部の通気孔にひとつづつ穴をあけてはモータ11を回転し、各試薬を遠心力で流動させる。
【0071】
以下に血清分離終了後の動作を示す。
【0072】
溶解液容器220には血清中のウイルスの膜蛋白を溶解するための溶解液521が分注してある。穿孔機13が溶解液通気孔222に穴をあけた後、モータ11を回転させると、遠心力の作用により溶解液521は溶解液容器220より溶解液戻り流路223を経て、混合部410に流れ込む。
【0073】
本実施例では溶解液は、試薬カートリッジ側から流路カートリッジ側に流入した後に血清と合流するように形成されている例を示している。
【0074】
また、血清定量容器312内の血清の最内周側(血清分離終了時には半径位置601)が混合部入り口411(半径位置602)より内周側にあるため、遠心力によるヘッド差で血清定量容器312および血清毛細管318内の血清は、混合部入り口411から混合部410に流れ込む(図13)。混合部410は溶解液と血清を混合するための空間であるが,血清と溶解液を混合する部材で構成することで,混合を促進してもよい。例えば樹脂やガラス、紙等の多孔性フィルタや繊維、或いはエッチングや機械加工等で製作したシリコンや金属等の突起物などである。
図3および図4あるいは図5に示すように,検査カートリッジにおける試薬流入口321(図5では391)の流路断面積は試薬カートリッジにおける試薬流出口221(図5では291)の流路断面積より大きいため,試薬カートリッジから流出した溶解液は検査カートリッジの試薬流入口でせき止められることなく流れ,試薬カートリッジと検査カートリッジの接続部から漏れ出ることはない.
血清と溶解液は混合部410で混合し反応容器420へ流れ込む(図14)。反応容器420には反応容器用通気孔423が設けてあり、空気が自由に出入り可能である。血清定量容器312から血清毛細管318への分岐部319(半径位置603)は混合部入り口411(半径位置602)より内周側にあるため、サイホン効果により血清毛細管318内の血清はすべて混合部410に流れ出る。一方血清定量容器312の血清は遠心力で血清毛細管318に流れ込むから、血清定量容器312内での血清の液面が分岐部319(半径位置603)に到達するまで血清は混合部410に流出し続け、血清の液面が分岐部319に到達した時点で、血清毛細管318に空気が混入し空になって流動は終了する。すなわち血清分離終了時点での半径位置601から半径位置603までの血清定量容器312、オーバーフロー細管流路313および血清毛細管流路318内の血清が混合部410に流出し、溶解液と混合する。
【0075】
このように、半径位置601から半径位置603までの血清定量容器312、オーバーフロー細管流路313および血清毛細管流路318を所定の容積(必要血清量)になるよう設計すれば、全血に対する血清の比率が全血試料ごとに異なっても、分析に使用する血清を定量することができる。例えば、血球貯蔵容器の容積を250マイクロリットルとし、必要血清量を200マイクロリットルに設計したとき、全血を500マイクロリットル分注すれば、全血廃棄容器315へ50マイクロリットルの全血がオーバーフローし、残りの450マイクロリットルが血清と血球に分離し、分離した血清のうち200マイクロリットルが混合部410へ流出する。すなわち450マイクロリットルの全血に対して、血清の量が200マイクロリットル以上の全血試料については本発明のデバイスで分析が可能になる。血清の比率が小さい全血に対しては、血球貯蔵容器の容積を大きくし全血試料を多くすればよい。
【0076】
反応容器420では混合した血清と溶解液が反応する。血清と溶解液の混合液が反応容器420に流入した後の反応容器420内の液面は、反応液流路421の最内周部(半径位置604)よりも外周側にあるため、反応液流路421の最内周部を越えることができず、回転中は混合液が反応容器420に保持される。
【0077】
溶解液は、血清中のウイルスや細菌等からその膜を溶解して核酸を溶出させる働きをするが、さらに核酸結合部材301への核酸の吸着を促進させる。このような試薬としては、DNAの溶出及び吸着には塩酸グアニジンを、RNAにはグアニジンチオシアネートを用いればよく、核酸結合部材としては石英やガラスの多孔質材や繊維フィルタ等を用いればよい。
【0078】
血清と溶解液が反応容器420に保持された後、モータ11を停止し、穿孔機13で追加液容器230に空気を供給するための追加液通気孔232に穴をあけ、再びモータ11を回転させると、遠心力の作用により追加液531は追加液容器230より追加液戻り流路233を経て、反応容器420に流れ込み、反応容器内の混合液の液面を内周側に移動させる(図15)。液面が反応液流路421の最内周部(半径位置604)に達すると、混合液は反応液流路の最内周部を越えて流れ出し、核酸結合部材301へ流れ込む。追加液としては、たとえば上述の溶解液を使用すればよい。
【0079】
尚、試料によっては混合液の壁面に対する濡れ性がよく、停止状態では反応液流路421内を毛細管現象で混合液が流動する場合もあり、このときは追加液531を必要としない。このようにして溶解液と血清の混合液が核酸結合部材を通過すると、核酸が核酸結合部材301に吸着し、液は溶離液回収容器390へと流れ込む。
【0080】
溶離液回収容器390には、溶離液回収容器用通気孔394が設けてあり、空気が自由に出入り可能である。核酸結合部材301通過後の廃液391は、混合容器420のときと同様、廃液戻り流路393のために、一旦溶離液回収容器390に保持されるが、廃液量に比べて溶離液回収容器390の容積が十分小さい
ため、廃液は廃液戻り流路393の最内周側を越え、廃液流出流路399を経て廃液貯蔵容器402へと流出する(図16)。
【0081】
次にモータ11を停止し、穿孔機13で第一洗浄液容器240に空気を供給するための第一洗浄液通気孔242に穴をあけた後、再びモータ11を回転させると、遠心力の作用により第一洗浄液は第一洗浄液容器240より第一洗浄液戻り流路243経て、核酸結合部材301に流れ込み、核酸結合部材301に付着した蛋白等の不要成分を洗浄する。第一洗浄液としては、たとえば上述の溶解液或いは溶解液の塩濃度を低減した液を使用すればよい。洗浄後の廃液は、上述の混合液同様、溶離液回収容器390を経て、廃液貯蔵容器402へと流出する。
【0082】
同様の洗浄動作を複数回繰り返す。たとえば、第一洗浄液に引き続き、モータ停止の状態で、穿孔機13で第二洗浄液容器250に空気を供給するための第二洗浄液通気孔252に穴をあけ再びモータ11を回転させ、核酸結合部材301に付着した塩等の不要成分を洗浄する。第二洗浄液としては、たとえばエタノール或いはエタノール水溶液を用いればよい。
【0083】
同様に第三洗浄液容器260に空気を供給するための第三洗浄液通気孔262の蓋に穴をあける。第三洗浄液は溶離液回収容器390に直接流入し、溶離液回収容器390に付着した塩等の成分を洗浄する。第三洗浄液としては、たとえば滅菌水やpHを7から9に調整した水溶液を用いればよい。
【0084】
このように核酸結合部材301および溶離液回収容器390を洗浄した後、核酸の溶離工程および増幅,検出工程に移行する(図17)。
【0085】
すなわちモータ停止の状態で、穿孔機13で溶離液容器270に空気を供給するための溶離液通気孔272の蓋に穴をあけ再びモータ11を回転させ、核酸結合部材301に溶離液571を流す(図17)。溶離液は、核酸を核酸結合部材301から溶離する液で、水或いはpHを7から9に調整した水溶液を用いればよい。特に溶離しやすくするため、40度以上に加温することが望ましい。加温には図1の加温装置14を用い、溶離液回収容器390の上から光を照射すればよい。核酸を溶離して回収した溶離液は液量が溶離液回収容器390の容積より小さく廃液戻り流路393の最内周側を越えることができず、溶離液回収容器内に保持される。
【0086】
ここで、第一或は第二の洗浄液と溶離液とは、試薬カートリッジの端まで独立した流路を形成し、流路カートリッジ内で合流するように形成されていることが好ましい。例えば、コンタミ等を抑制するためである。溶離液容器から核酸結合部材301までの流路のうち、流路カートリッジ上での流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。或は、洗浄液容器から核酸結合部材301までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上の流路を長くなるよう形成されている。
【0087】
次にモータ停止の状態で、穿孔機13で増幅液貯蔵容器280に空気を供給するための増幅液通気孔282に穴をあけ再びモータ11を回転させ、増幅液581を流す(図18)。増幅液581は乾燥増幅試薬の入った増幅試薬容器385を経て、増幅試薬と一緒に溶離液回収容器390に流入し,核酸を溶離した溶離液と混合する.増幅試薬は、核酸を増幅するための試薬で、デオキシヌクレオシド三リン酸を含んでいる。増幅方法に応じて、加温装置14を用いて、溶離液回収容器390の上から光を照射して加温し、溶離液回収容器390内で核酸を増幅する。
【0088】
例えば、増幅液貯蔵容器280から溶離液回収容器までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。また、検査液容器から溶離液回収容器までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。好ましくは、溶離液回収容器に供給される洗浄液と増幅液と、又は更に検出液とは、それらの供給流路の合流部は流路カートリッジ側にあることが好ましい。コンタミを抑制し、効果的に反応を得るためである。
【0089】
次にモータ停止の状態で、穿孔機13で検出液貯蔵容器290に空気を供給するための増幅液通気孔292に穴をあけ再びモータ11を回転させ、検出液591を流す(図19)。検出液591は乾燥検出試薬の入った検出試薬容器395を経て、検出試薬と一緒に溶離液回収容器390に流入し,増幅液と混合する.検出試薬には、蛍光試薬等を含んでいる。
次に検出装置15を溶離液回収容器390の上に移動させ、例えば蛍光発光量を検出する。
【0090】
本発明によれば、試薬の分注操作が不要となり作業不備による試薬の汚染の心配がない。また各試薬の流動を制御するためのバルブを流路途中に設ける必要がなく、流路途中でのバルブ部での液残りは発生せず、前工程での試薬による汚染を防止でき、液体試料中の核酸等の特定成分を高純度に抽出でき、高精度に分析できる。
【0091】
また、本発明によれば、試薬カートリッジを検査カートリッジとは別に供給するため、検査項目に合わせて、例えば検査項目により試薬の液量が異なる場合には、試薬カートリッジのみを検査項目ごとに用意し、検査カートリッジは共通で使用できるため、生産コストを低減できる。
【0092】
あるいは、各検査項目毎に保存しておかなければならないのは試薬カートリッジのみで、検査カートリッジの保有数は少なくてすみ、保存スペースを小さくできる。特に試薬の温度管理が必要な場合には、試薬カートリッジのみ温度管理すればよく、温度管理に必要なスペースを小さくできる。
あるいは、停電等で試薬に不具合が生じた場合でも、検査カートリッジは独立して使用できるため、試薬カートリッジのみを購入すればよく経済的である。
【0093】
図10に示す実施例では,乾燥増幅試薬の入った増幅試薬容器385および乾燥検出試薬の入った検出試薬容器395を設けたが,図20に示すように増幅液貯蔵容器280および検出液貯蔵容器290のそれぞれ下流の流路内に凍結乾燥した増幅試薬および凍結乾燥した検出試薬を流路表面に保持しておいてもよい.例えば,凍結乾燥する前の液状試薬を前記流路内に分注し,カートリッジごと凍結乾燥すれば,液体の状態で試薬を定量でき一定量を高精度に保持できる.また,流路内に薄くかつ一様に乾燥試薬を分布させることができるため,乾燥試薬を溶解するための液状試薬(581および591)を流動させるだけで乾燥試薬を溶解でき,溶解時の攪拌操作が不要となる.
このようにすることにより、試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析装置を提供することができる。バルブ成分や複数の試薬を備えた場合の試薬間コンタミを抑制するのに好適な形態を得ることができ、分析時の高性能化を図ることができる。
【0094】
また図2に示す実施例では、各試薬は全て一体の試薬カートリッジ20に貯蔵されているが、増幅試薬によっては低温保存が必要である。そこで、増幅試薬容器のみを別カートリッジとした増幅試薬カートリッジを試薬カートリッジ20から分離し、必要に応じて増幅試薬カートリッジのみを温度管理すればよい。
【0095】
具体的には、増幅用の特に酵素を含む試薬を増幅カートリッジでマイナス20℃程度で保存し、抽出試薬や検出用の蛍光試薬等は試薬カートリッジ20で室温にて保存する。増幅用の酵素等、低温で保存する必要のある試薬は量が少なく、増幅試薬カートリッジは、試薬カートリッジ20に比べ小さい。低温用保存庫ののスペースを専有しない点で、増幅試薬カートリッジを試薬カートリッジ20とは別にするのは有利である。
【0096】
また本発明の実施形態によれば、異なる温度管理の必要な試薬カートリッジを別々に温度管理できるので、試薬の調整が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施例による遺伝子検査装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例による検査モジュールの構成図である。
【図3】本発明の一実施例による試薬カートリッジの構成図である。
【図4】本発明の一実施例による検査カートリッジの構成図である。
【図5】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび検査カートリッジの断面図である。
【図6】本発明の一実施例による検査モジュールの断面図である。
【図7】本発明の一実施例による操作手順を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例による遺伝子診断装置内での動作手順を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施例による遺伝子診断装置内での動作手順を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図11】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図12】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図13】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図14】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図15】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図16】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図17】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図18】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図19】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図20】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図21】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【符号の説明】
【0098】
1…遺伝子検査装置、2…検査モジュール、11…モータ、12…保持ディスク、13…穿孔機、14…加温装置、15…検出装置、20…試薬カートリッジ、30…検査カートリッジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAを含む液体試料からDNAを抽出する方法としては、特表2003−502656号公報に、小型化されたインビトロ増幅アッセイを行うための装置および方法が記載されている。この装置では、DNA混合液を無機基体としてのガラスフィルタに通過させた後、洗浄液及び溶離液を通過させてDNAのみを回収している。ガラスフィルタは回転可能な構造体に設けてあり、洗浄液や溶離液等の試薬は同じ構造体内の各試薬リザーバに保持してある。各試薬は構造体が回転することにより発生する遠心力で流動し、各試薬リザーバとガラスフィルタを結ぶ微細流路に設けたバルブを開くことにより試薬がガラスフィルタを通過する。
【0003】
複数の化学物質を含む試料から核酸等の特定の化学物質を抽出し分析する化学分析装置としては、特表2001−527220号公報に、一体型流体操作カートリッジが記載されている。この装置では、一体型カートリッジ内部に溶解液や洗浄液や溶離液等の試薬、及び核酸を捕獲する捕獲構成部品を備え、核酸を含む試料をカートリッジ内部に注入した後、前記試料と溶離液を混合させて前記捕獲構成部品に通過させ、さらに捕獲構成部品に洗浄液を通過させ、さらに捕獲構成部品に溶離液を通過させ、捕獲構成部品を通過した後の溶離液をPCR試薬に接触させ反応チャンバへと流している。
【0004】
【特許文献1】特表2003−502656号公報
【0005】
【特許文献2】特表2001−527220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの公報記載の形態は、試薬貯蔵部と反応部等がすべて一体となった形態となっており、各種試薬を予め貯蔵しようとすると、試薬の特性に応じた管理を十分行うことはできない。また、前記特表2003−502656号公報記載の装置では、バルブには加熱することで溶けるワックス等を使用しているので、通過した試薬がバルブ部に残り回収したDNAを汚染する可能性がある。すなわちDNA混合液や洗浄液がバルブ部に残り、遠心力で溶離液をガラスフィルタに通過させている工程で、バルブ部に残ったDNA混合液や洗浄液が流れ込む可能性がある。
【0007】
また前記特表2001−527220号公報記載の一体型流体操作カートリッジでは、各試薬をポンプで送液する際、各試薬チャンバと捕獲構成部品を結ぶ微細流路に設けたバルブ等を開くことで試薬が捕獲構成部品を通過する。さらに捕獲構成部品を通過した試薬のうち洗浄液は廃液チャンバへ、溶離液は反応チャンバへと流れるように捕獲構成部品と各チャンバとの間の流路に設けたバルブ等で切り替えている。ポンプで複数の試薬を送液する場合流路壁に試薬が残り、特にバルブ等の障害物があると液が残りやすく、一旦液が残ると流動することがないため、別の試薬との合流部で汚染する可能性がある。また、捕獲構成部品を通過した洗浄液と溶離液とをバルブ等で切り替えて別々のチャンバに流動させる場合、先に廃液チャンバへと流動した洗浄液が反応チャンバへ切り替えるバルブ等の上流流路を汚染するため、溶離液に洗浄液が混入する恐れがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題の少なくとも一つを解決することができ、液体試料中の特定の化学物質を高精度に抽出し検出する簡易な化学分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は例えば以下の形態を備えることにより解決する。
(1)試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置された状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置である。
【0010】
これにより、各種試薬を予め貯蔵する場合でも、試薬の特性に応じた管理を十分行うことができる。また、効果的な試料或は試薬の流動を形成することができる。また、カートリッジ高さを抑えることができ、それを収容する収容部での高さをより低く抑えることができる。
【0011】
例えば、試薬カートリッジの外周側に流路カートリッジの内周側側面が対向する。具体的には、前記接続部で前記流路カートリッジの前記回転中心側と前記試薬カートリッジの前記回転外周側とが対向するよう形成されることが好ましい。
【0012】
なお、複数の試薬カートリッジを有する場合は、各試薬カートリッジの外周側側面が、流路カートリッジに対向するよう形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記接続部の前記流路カートリッジの試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジの試薬流路断面積より大きいことが好ましい。
【0014】
また更に、例えば、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、前記試料は核酸を含むものであり、前記流路カートリッジは前記試料の核酸を捕捉する捕捉部を有し、前記検出機構は前記構造体の外部に配置される。
【0015】
または、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成されることを特徴とする分析装置である。
【0016】
これにより、カートリッジの安定性を向上させることができ、分析装置の精度良い分析を行うことができる。
【0017】
具体的には、例えば、前記接続部で前記流路カートリッジの回転中心側と前記試薬カートリッジの回転外周側とが勘合する。
【0018】
または、(1)において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいことを特徴とする化学分析装置である。
【0019】
または、(1)において、
前記試薬カートリッジには複数の試薬貯蔵容器と、前記試薬貯蔵容器と前記試薬カートリッジの端部とを連絡する流路を有し、第一の試薬貯蔵容器と第一の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジの第一の端に連絡する第一の流路と、第二の試薬貯蔵容器と第二の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジの第二の端に連絡する第二の流路と、を備え、流路カートリッジは前記試薬カートリッジと流路カートリッジとを接続した状態で、前記第一の試薬貯蔵容器内の試薬と前記第二の試薬貯蔵容器内の試薬とが前記流路カートリッジの前記試薬流路を介して連通した空間を形成するよう形成されたことを特徴とする化学分析装置である。
試薬貯蔵部はバルブレスの形態にする場合、試薬カートリッジを流路カートリッジに接続することで前記複数の試薬貯蔵部が流路カートリッジ内の試薬流路で連通するよう形成することが好ましい。
【0020】
また、(1)において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、前記試薬カートリッジ或は前記流路カートリッジは、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置である。
【0021】
これにより、前述した作用に加えてカートリッジの接続安定性を高め、高速回転の制御を行う場合であっても安定した液の流動を確保できる。このため、精度良い計測を行うことができる。
【0022】
また、更に、以下の形態を有することが好ましい。
【0023】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジを複数備え、第一の試薬カートリッジは第二の試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることを特徴とする。また更に好ましくは、前記第一の試薬カートリッジは前記第二の試薬カートリッジより体積が小さいことを特徴とする。
【0024】
前記いずれかの形態において、前記流路カートリッジは試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備え、前記流路カートリッジは前記試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることが好ましい。
【0025】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジを複数備え、前記流路カートリッジの第一の領域に対向して第一の試薬カートリッジが配置され、前記流路カートリッジの第二の領域に対向して第二の試薬カートリッジが配置されることが好ましい。
【0026】
また、構造体としては、以下の形態を有することが好ましい。
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用構造体であって、
前記構造体は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、
前記試薬カートリッジが接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路カートリッジと、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析用構造体である。
【0027】
具体には、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された流路構造体である。
【0028】
更に具体例としては、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする流路構造体である。
【0029】
又は、試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路構造体に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬構造体である。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析を行うことができる化学分析装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、本願の特許請求の範囲や明細書に記載の形態に限定するものではなく、公知技術や公知技術となった技術に基づいて構成を変更することを妨げるものではない。
【0032】
図1〜図19を参照して、本発明による遺伝子検査装置の一実施例を説明する。
【0033】
図1は本発明による遺伝子検査装置の全体構成図である。遺伝子分析装置1は、モータ11により回転可能に支持された保持ディスク12と、保持ディスク12上に配置された複数の検査モジュール2と、液体の流動を制御するための穿孔機13と、加温装置14及び検出装置15を備えている。操作者は各検査項目ごとに検査モジュール2を用意し、保持ディスク12に装着し、遺伝子検査装置1を起動させる。
【0034】
図2は検査モジュール2の構成図である。検査モジュール2は、試薬カートリッジ本体21に透明な試薬カートリッジカバー22を接合した試薬カートリッジ20を、検査カートリッジ本体31に透明な検査カートリッジカバー32を接合した検査カートリッジ30に装着して構成している。各試薬は各試薬容器220、230、240、250、260、270、280,290,380,390に予め所定量だけ分注されている。試薬カートリッジ20の側面(図3)には、各試薬容器に連通する試薬流出口221、231,241,251,261,271,281,291が設けてあり、検査カートリッジ30に装着することで、図4に示す検査カートリッジ30の各試薬流入口321,331,341,361,381,391に接続する。本実施例では試薬流出口241,251,271はまとめて試薬流入口341に接続している.試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着した時点で、各試薬容器は各試薬流出口および対応する各試薬流入口を通して検査カートリッジ内で連通する。
【0035】
このように、本実施例の化学分析装置は、試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体である検査モジュール2を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出装置15と、を備える化学分析装置であって、前記検査モジュール2は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとなる検査カートリッジ30とを備え,前記試薬カートリッジ20の側面と前記検査カートリッジ30の側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されている。
【0036】
これにより、各種試薬を予め貯蔵する場合でも、試薬の特性に応じた管理を十分行うことができる。また、効果的な試料或は試薬の流動を形成することができる。また、カートリッジ高さを抑えることができ、それを収容する収容部での高さをより低く抑えることができる。
【0037】
例えば、試薬カートリッジ20の外周側に検査カートリッジ30の内周側側面が対向する。具体的には、前記接続部で前記検査カートリッジ30の前記回転中心側と前記試薬カートリッジ20の前記回転外周側とが対向するよう形成されることが好ましい。
【0038】
なお、複数の試薬カートリッジを有する場合は、各試薬カートリッジ20の外周側側面が、検査カートリッジ30に対向するよう形成されていることが好ましい。
【0039】
また、前記接続部の前記検査カートリッジ30の試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジ20の試薬流路断面積より大きいことが好ましい。
【0040】
また更に、例えば、前記検査モジュール2は回転可能に前記収容部に設置され、前記試料は核酸を含むものであり、前記検査カートリッジ30は前記試料の核酸を捕捉する捕捉部を有し、前記検出機構は前記検査モジュール2の外部に配置される。
【0041】
または、前記検査モジュール2体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジ20が接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する検査カートリッジ30とを備え,前記試薬カートリッジ20と前記検査カートリッジ30とは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成される。
【0042】
これにより、カートリッジの安定性を向上させることができ、分析装置の精度良い分析を行うことができる。
【0043】
具体的には、例えば、前記接続部で前記検査カートリッジ30の回転中心側と前記試薬カートリッジ20の回転外周側とが勘合する形態であることが好ましい。
【0044】
または、前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ20内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいように構成する。
【0045】
または、前記試薬カートリッジ20には複数の試薬貯蔵容器と、前記試薬貯蔵容器と前記試薬カートリッジ20の端部とを連絡する流路を有し、第一の試薬貯蔵容器と第一の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジ20の第一の端に連絡する第一の流路と、第二の試薬貯蔵容器と第二の試薬貯蔵容器に連絡し、試薬カートリッジ20の第二の端に連絡する第二の流路と、を備え、検査カートリッジ30は前記試薬カートリッジ20と検査カートリッジ30とを接続した状態で、前記第一の試薬貯蔵容器内の試薬と前記第二の試薬貯蔵容器内の試薬とが前記検査カートリッジ30の前記試薬流路を介して連通した空間を形成するよう形成されることが好ましい。
【0046】
なお、試薬貯蔵部はバルブレスの形態にする場合、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に接続することで前記複数の試薬貯蔵部が検査カートリッジ30の試薬流路で連通するよう形成することが好ましい。
【0047】
または、前記検査モジュール2は回転可能に前記収容部に設置され、前記試薬カートリッジ20或は前記検査カートリッジ30は、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることが好ましい。
【0048】
これにより、前述した作用に加えてカートリッジの接続安定性を高め、高速回転の制御を行う場合であっても安定した液の流動を確保できる。このため、精度良い計測を行うことができる。
【0049】
また、更に、以下の形態を有することが好ましい。
【0050】
前記試薬カートリッジ20を複数備え、第一の試薬カートリッジは第二の試薬カートリッジより低い温度で保持された後に前記収容部に収容される。また更に好ましくは、前記第一の試薬カートリッジは前記第二の試薬カートリッジより体積が小さくする。
【0051】
また、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた前記検査カートリッジは前記試薬カートリッジ20より低い温度で保持された後に前記収容部に収容されることが好ましい。
【0052】
前記いずれかの形態において、前記試薬カートリッジ20を複数備え、前記検査カートリッジ30の第一の領域に対向して第一の試薬カートリッジが配置され、前記流路カートリッジの第二の領域に対向して第二の試薬カートリッジが配置されることが好ましい。
【0053】
また、構造体である検査モジュール2としては、以下の形態を有することが好ましい。
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用検査モジュール2であって、前記検査モジュール2は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20と、前記試薬カートリッジ20が接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する検査カートリッジ30と、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記検査カートリッジ30の側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されている。
【0054】
具体的には、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ30に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された検査カートリッジである。
【0055】
更に具体例としては、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジ20に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする検査カートリッジ30である。
【0056】
又は、試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する検査カートリッジ30に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬カートリッジ20である。
【0057】
図6に、図2で示したA−A部における試薬カートリッジ20および検査カートリッジ30の接続部縦断面図を、図5に、試薬カートリッジ20と検査カートリッジ30の接続前の上記A−A部に対応する縦断面図を示す。試薬カートリッジ20の接続部には、試薬カートリッジ20内に予め貯蔵されている試薬の漏れや蒸発を防ぐため、試薬カートリッジ保護シート23が接着されている。また、検査カートリッジ30の接続部には、検査カートリッジ30内部の汚染を防ぐため、検査カートリッジ保護シート33が接着されている。
【0058】
操作者は、試薬カートリッジ保護シート23および検査カートリッジ保護シート33をはがし、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着する。試薬流出口を構成する突起部(例えば図5の299)は試薬流入口と嵌め合うことで両カートリッジを位置決めし、かつ試薬が検査カートリッジの外に漏れ出すことはない。あるいは、検査カートリッジ保護シートの接着している検査カートリッジカバー32に接着剤が添付することで、試薬カートリッジの接合面を接着し、試薬の漏れを防いでもよい。
尚、上記試薬カートリッジに設けた突起部(例えば図5の269)は、検査カートリッジ側に設けてもよい。
【0059】
このように、凹凸構造を有する点を特徴とする。
【0060】
試薬カートリッジ30は試薬容器に連通する流路を備えた突起部を備え、検査カートリッジはこの突起を収容し、前記流路に対応する流路を備えた凹状の入口部を備える点を特徴とする。なお、前記突起部と入口部とは反対側のカートリッジに形成された組合わせであってもよい。突起は側方に伸びる形態であることが望ましい。
【0061】
以下全血を試料として用いた場合のウイルス核酸の抽出及び分析動作を説明する。図7に、操作者による本発明の遺伝子検査装置の操作手順を、図8および図9に遺伝子検査装置内での動作手順を示す。
【0062】
操作者は、真空採血管等で採血した全血を、検査カートリッジ30の試料注入口301より試料容器310に注入し(図10)、図5に示した試薬カートリッジ保護シート23および検査カートリッジ保護シート33をはがした後、試薬カートリッジ20を検査カートリッジ30に装着する(図2)。
【0063】
このとき検査カートリッジ30の試料注入口301は試薬カートリッジ20により塞がれるため、以後試料が検査カートリッジ30より漏れ出ることはない。あるいは試薬カートリッジ20に試料通気孔313を貫通させておき(図2および図3)、空気は通すが試料およびそのミストは通さないフィルタを装着しておき、試料の流動時に通気が可能な状態にしてもよい。
【0064】
試薬カートリッジが形成された核酸結合部に供給する洗浄液は、溶離液の貯蔵容器からの流路が流路カートリッジの対応流路と接続する接続部は、試薬容器310より外周側に位置することが効率的に液を流す上で好ましい。または、試薬カートリッジに形成された、回収した核酸を含む液に供給する増幅液又は検査液を貯蔵する貯蔵容器からの流路が、流路カートリッジの対応流路と接続する接続部は試薬容器310より外周側に位置することが効率的に液を流す上で好ましい。
【0065】
組上げた分析モジュール2を図1の保持ディスク12に必要な数だけ装着し、遺伝子検査装置1を稼動させれば、全血からウイルスの遺伝子が抽出され、最終的に遺伝子が検出される。
【0066】
以下に、遺伝子検査装置1内部での各動作における液の流動状態を図11から図17に示す。全血501を注入後、モータ11で保持ディスク12を回転する。試料容器310に注入された全血は、保持ディスク12の回転により発生する遠心力の作用で外周側に流動し、血球貯蔵容器311および血清定量容器312を満たし、余分な全血はオーバーフロー細管流路313からオーバーフロー太管流路314を通って全血廃棄容器315へ流れる(図11)。全血廃棄容器315には全血廃棄用通気流路316が設けてあり、全血廃棄容器通気孔317を通して空気が自由に出入り可能である。オーバーフロー細管流路313からオーバーフロー太管流路314にかけての接続部は急拡大しておりかつオーバーフロー細管流路313の最内周側(半径位置601)にある
ため、全血はオーバーフロー細管流路313を満たした状態で前記接続部で切れる。したがって半径位置601より内周側に液は存在できないので、血清定量容器312の液面も半径位置601になる。また、血清定量容器312から分岐している血清毛細管318にも全血が流れ込み、ここでも全血の最内周部は半径位
置601になる。
【0067】
さらに回転を続けると全血501は血球と血清に分離し(遠心分離)、血球502は外周側の血球貯蔵容器311へ移動し、血清定量容器312内は血清503だけになる(図12)。
【0068】
上記一連の血清分離動作時に、試薬カートリッジ20にある各試薬容器の通気孔222、232、242、252、262、272,282,292は試薬カートリッジカバー22(図5)で蓋をされていて空気が入らない状態になっている。遠心力により各試薬は試薬容器外周側より流出しようとするが、容器内に空気が入らないため試薬容器内の圧力が低下し、遠心力と釣り合って試薬は流出することができない。
しかし回転数が増加し遠心力が大きくなると、試薬容器内の圧力は徐々に低下し、試薬の飽和蒸気圧以下になると気泡が発生する。そこで、図12に示すように、各試薬容器外周側から流出する試薬を一旦内周側に戻すような流路構造(戻り流路223、233、243、253、263、273,283,293)とすることで、試薬容器内の圧力低下を抑制し、気泡の発生を防ぐ。このように血清分離動作時には、各試薬は試薬容器に保持されたまま流動しない。
【0069】
また,戻り流路部での圧力が飽和蒸気圧以下になっても気泡が発生する可能性がある.流路内で気泡が発生すると,試薬が流出する途中で液が切れてしまい,試薬容器内に液が残ってしまう可能性がある.戻り流路最内周部より下流側の流路においては,流路内を試薬が連続して流動している場合には,遠心力の作用で流路下流側の液が上流側の液を引っ張るため,戻り流路最内周部で圧力が最も低くなる.
たとえば第一洗浄液541が第一洗浄液戻り流路243を経て第一洗浄液流出口241から流出する場合,戻り流路最内周部の圧力P40は次式で表される.
P40=P41-(1/2)ρ4(r42-R42)ω42
ここに,P41は第一洗浄液流出口での圧力,ρ4は第一洗浄液の密度,r4およびR4はそれぞれ第一洗浄液流出口半径および第一洗浄液戻り流路最内周部半径(図21参照),ω4は回転速度である.
同様に溶離液571が溶離液戻り流路273を経て溶離液流出口271から流出する場合,戻り流路最内周部の圧力P70は次式で表される.
P70=P71-(1/2)ρ7(r72-R72)ω72
ここに,P71は溶離液流出口での圧力,ρ7は溶離液の密度,r7およびR7はそれぞれ溶離液流出口半径および溶離液戻り流路最内周部半径(図21参照),ω7は回転速度である.
第一洗浄液および溶離液の流出口半径r4およびr7はほぼ同じ長さであるが,戻り流路最内周部半径は内周側に試薬貯蔵部を持つ溶離液戻り流路最内周部半径R7が外周側に試薬貯蔵部を持つ第一洗浄液戻り流路最内周部半径R4より短いため,戻り流路最内周部での圧力は,回転速度が同じ場合,溶離液(圧力P70)のほうが第一洗浄液(圧力P40)より低くなるため,第一洗浄液戻り流路最内周部より溶離液戻り流路最内周部で飽和蒸気圧以下になりやすい.そのため,第一洗浄液541に比べて回転中心側にある溶離液571を流動させる場合は,第一洗浄液を流動させるときの回転速度(ω4)より溶離液を流動させる時の回転速度(ω7)を小さくして,戻り流路最内周部での圧力が飽和蒸気圧以下になるのを防ぐことが望ましい.
所定の時間回転させ血清分離動作が終了すると分析モジュール2は停止し、血清定量容器312内の血清503の一部が血清毛細管318内部に表面張力により毛細管流動し、混合部410と血清毛細管318との接続部である混合部入り口411まで流動し、血清毛細管318を満たす。
【0070】
以下穿孔機13が各試薬容器上流部の通気孔にひとつづつ穴をあけてはモータ11を回転し、各試薬を遠心力で流動させる。
【0071】
以下に血清分離終了後の動作を示す。
【0072】
溶解液容器220には血清中のウイルスの膜蛋白を溶解するための溶解液521が分注してある。穿孔機13が溶解液通気孔222に穴をあけた後、モータ11を回転させると、遠心力の作用により溶解液521は溶解液容器220より溶解液戻り流路223を経て、混合部410に流れ込む。
【0073】
本実施例では溶解液は、試薬カートリッジ側から流路カートリッジ側に流入した後に血清と合流するように形成されている例を示している。
【0074】
また、血清定量容器312内の血清の最内周側(血清分離終了時には半径位置601)が混合部入り口411(半径位置602)より内周側にあるため、遠心力によるヘッド差で血清定量容器312および血清毛細管318内の血清は、混合部入り口411から混合部410に流れ込む(図13)。混合部410は溶解液と血清を混合するための空間であるが,血清と溶解液を混合する部材で構成することで,混合を促進してもよい。例えば樹脂やガラス、紙等の多孔性フィルタや繊維、或いはエッチングや機械加工等で製作したシリコンや金属等の突起物などである。
図3および図4あるいは図5に示すように,検査カートリッジにおける試薬流入口321(図5では391)の流路断面積は試薬カートリッジにおける試薬流出口221(図5では291)の流路断面積より大きいため,試薬カートリッジから流出した溶解液は検査カートリッジの試薬流入口でせき止められることなく流れ,試薬カートリッジと検査カートリッジの接続部から漏れ出ることはない.
血清と溶解液は混合部410で混合し反応容器420へ流れ込む(図14)。反応容器420には反応容器用通気孔423が設けてあり、空気が自由に出入り可能である。血清定量容器312から血清毛細管318への分岐部319(半径位置603)は混合部入り口411(半径位置602)より内周側にあるため、サイホン効果により血清毛細管318内の血清はすべて混合部410に流れ出る。一方血清定量容器312の血清は遠心力で血清毛細管318に流れ込むから、血清定量容器312内での血清の液面が分岐部319(半径位置603)に到達するまで血清は混合部410に流出し続け、血清の液面が分岐部319に到達した時点で、血清毛細管318に空気が混入し空になって流動は終了する。すなわち血清分離終了時点での半径位置601から半径位置603までの血清定量容器312、オーバーフロー細管流路313および血清毛細管流路318内の血清が混合部410に流出し、溶解液と混合する。
【0075】
このように、半径位置601から半径位置603までの血清定量容器312、オーバーフロー細管流路313および血清毛細管流路318を所定の容積(必要血清量)になるよう設計すれば、全血に対する血清の比率が全血試料ごとに異なっても、分析に使用する血清を定量することができる。例えば、血球貯蔵容器の容積を250マイクロリットルとし、必要血清量を200マイクロリットルに設計したとき、全血を500マイクロリットル分注すれば、全血廃棄容器315へ50マイクロリットルの全血がオーバーフローし、残りの450マイクロリットルが血清と血球に分離し、分離した血清のうち200マイクロリットルが混合部410へ流出する。すなわち450マイクロリットルの全血に対して、血清の量が200マイクロリットル以上の全血試料については本発明のデバイスで分析が可能になる。血清の比率が小さい全血に対しては、血球貯蔵容器の容積を大きくし全血試料を多くすればよい。
【0076】
反応容器420では混合した血清と溶解液が反応する。血清と溶解液の混合液が反応容器420に流入した後の反応容器420内の液面は、反応液流路421の最内周部(半径位置604)よりも外周側にあるため、反応液流路421の最内周部を越えることができず、回転中は混合液が反応容器420に保持される。
【0077】
溶解液は、血清中のウイルスや細菌等からその膜を溶解して核酸を溶出させる働きをするが、さらに核酸結合部材301への核酸の吸着を促進させる。このような試薬としては、DNAの溶出及び吸着には塩酸グアニジンを、RNAにはグアニジンチオシアネートを用いればよく、核酸結合部材としては石英やガラスの多孔質材や繊維フィルタ等を用いればよい。
【0078】
血清と溶解液が反応容器420に保持された後、モータ11を停止し、穿孔機13で追加液容器230に空気を供給するための追加液通気孔232に穴をあけ、再びモータ11を回転させると、遠心力の作用により追加液531は追加液容器230より追加液戻り流路233を経て、反応容器420に流れ込み、反応容器内の混合液の液面を内周側に移動させる(図15)。液面が反応液流路421の最内周部(半径位置604)に達すると、混合液は反応液流路の最内周部を越えて流れ出し、核酸結合部材301へ流れ込む。追加液としては、たとえば上述の溶解液を使用すればよい。
【0079】
尚、試料によっては混合液の壁面に対する濡れ性がよく、停止状態では反応液流路421内を毛細管現象で混合液が流動する場合もあり、このときは追加液531を必要としない。このようにして溶解液と血清の混合液が核酸結合部材を通過すると、核酸が核酸結合部材301に吸着し、液は溶離液回収容器390へと流れ込む。
【0080】
溶離液回収容器390には、溶離液回収容器用通気孔394が設けてあり、空気が自由に出入り可能である。核酸結合部材301通過後の廃液391は、混合容器420のときと同様、廃液戻り流路393のために、一旦溶離液回収容器390に保持されるが、廃液量に比べて溶離液回収容器390の容積が十分小さい
ため、廃液は廃液戻り流路393の最内周側を越え、廃液流出流路399を経て廃液貯蔵容器402へと流出する(図16)。
【0081】
次にモータ11を停止し、穿孔機13で第一洗浄液容器240に空気を供給するための第一洗浄液通気孔242に穴をあけた後、再びモータ11を回転させると、遠心力の作用により第一洗浄液は第一洗浄液容器240より第一洗浄液戻り流路243経て、核酸結合部材301に流れ込み、核酸結合部材301に付着した蛋白等の不要成分を洗浄する。第一洗浄液としては、たとえば上述の溶解液或いは溶解液の塩濃度を低減した液を使用すればよい。洗浄後の廃液は、上述の混合液同様、溶離液回収容器390を経て、廃液貯蔵容器402へと流出する。
【0082】
同様の洗浄動作を複数回繰り返す。たとえば、第一洗浄液に引き続き、モータ停止の状態で、穿孔機13で第二洗浄液容器250に空気を供給するための第二洗浄液通気孔252に穴をあけ再びモータ11を回転させ、核酸結合部材301に付着した塩等の不要成分を洗浄する。第二洗浄液としては、たとえばエタノール或いはエタノール水溶液を用いればよい。
【0083】
同様に第三洗浄液容器260に空気を供給するための第三洗浄液通気孔262の蓋に穴をあける。第三洗浄液は溶離液回収容器390に直接流入し、溶離液回収容器390に付着した塩等の成分を洗浄する。第三洗浄液としては、たとえば滅菌水やpHを7から9に調整した水溶液を用いればよい。
【0084】
このように核酸結合部材301および溶離液回収容器390を洗浄した後、核酸の溶離工程および増幅,検出工程に移行する(図17)。
【0085】
すなわちモータ停止の状態で、穿孔機13で溶離液容器270に空気を供給するための溶離液通気孔272の蓋に穴をあけ再びモータ11を回転させ、核酸結合部材301に溶離液571を流す(図17)。溶離液は、核酸を核酸結合部材301から溶離する液で、水或いはpHを7から9に調整した水溶液を用いればよい。特に溶離しやすくするため、40度以上に加温することが望ましい。加温には図1の加温装置14を用い、溶離液回収容器390の上から光を照射すればよい。核酸を溶離して回収した溶離液は液量が溶離液回収容器390の容積より小さく廃液戻り流路393の最内周側を越えることができず、溶離液回収容器内に保持される。
【0086】
ここで、第一或は第二の洗浄液と溶離液とは、試薬カートリッジの端まで独立した流路を形成し、流路カートリッジ内で合流するように形成されていることが好ましい。例えば、コンタミ等を抑制するためである。溶離液容器から核酸結合部材301までの流路のうち、流路カートリッジ上での流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。或は、洗浄液容器から核酸結合部材301までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上の流路を長くなるよう形成されている。
【0087】
次にモータ停止の状態で、穿孔機13で増幅液貯蔵容器280に空気を供給するための増幅液通気孔282に穴をあけ再びモータ11を回転させ、増幅液581を流す(図18)。増幅液581は乾燥増幅試薬の入った増幅試薬容器385を経て、増幅試薬と一緒に溶離液回収容器390に流入し,核酸を溶離した溶離液と混合する.増幅試薬は、核酸を増幅するための試薬で、デオキシヌクレオシド三リン酸を含んでいる。増幅方法に応じて、加温装置14を用いて、溶離液回収容器390の上から光を照射して加温し、溶離液回収容器390内で核酸を増幅する。
【0088】
例えば、増幅液貯蔵容器280から溶離液回収容器までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。また、検査液容器から溶離液回収容器までの流路のうち、流路カートリッジ上の流路より試薬カートリッジ上での流路が長くなるよう形成する。好ましくは、溶離液回収容器に供給される洗浄液と増幅液と、又は更に検出液とは、それらの供給流路の合流部は流路カートリッジ側にあることが好ましい。コンタミを抑制し、効果的に反応を得るためである。
【0089】
次にモータ停止の状態で、穿孔機13で検出液貯蔵容器290に空気を供給するための増幅液通気孔292に穴をあけ再びモータ11を回転させ、検出液591を流す(図19)。検出液591は乾燥検出試薬の入った検出試薬容器395を経て、検出試薬と一緒に溶離液回収容器390に流入し,増幅液と混合する.検出試薬には、蛍光試薬等を含んでいる。
次に検出装置15を溶離液回収容器390の上に移動させ、例えば蛍光発光量を検出する。
【0090】
本発明によれば、試薬の分注操作が不要となり作業不備による試薬の汚染の心配がない。また各試薬の流動を制御するためのバルブを流路途中に設ける必要がなく、流路途中でのバルブ部での液残りは発生せず、前工程での試薬による汚染を防止でき、液体試料中の核酸等の特定成分を高純度に抽出でき、高精度に分析できる。
【0091】
また、本発明によれば、試薬カートリッジを検査カートリッジとは別に供給するため、検査項目に合わせて、例えば検査項目により試薬の液量が異なる場合には、試薬カートリッジのみを検査項目ごとに用意し、検査カートリッジは共通で使用できるため、生産コストを低減できる。
【0092】
あるいは、各検査項目毎に保存しておかなければならないのは試薬カートリッジのみで、検査カートリッジの保有数は少なくてすみ、保存スペースを小さくできる。特に試薬の温度管理が必要な場合には、試薬カートリッジのみ温度管理すればよく、温度管理に必要なスペースを小さくできる。
あるいは、停電等で試薬に不具合が生じた場合でも、検査カートリッジは独立して使用できるため、試薬カートリッジのみを購入すればよく経済的である。
【0093】
図10に示す実施例では,乾燥増幅試薬の入った増幅試薬容器385および乾燥検出試薬の入った検出試薬容器395を設けたが,図20に示すように増幅液貯蔵容器280および検出液貯蔵容器290のそれぞれ下流の流路内に凍結乾燥した増幅試薬および凍結乾燥した検出試薬を流路表面に保持しておいてもよい.例えば,凍結乾燥する前の液状試薬を前記流路内に分注し,カートリッジごと凍結乾燥すれば,液体の状態で試薬を定量でき一定量を高精度に保持できる.また,流路内に薄くかつ一様に乾燥試薬を分布させることができるため,乾燥試薬を溶解するための液状試薬(581および591)を流動させるだけで乾燥試薬を溶解でき,溶解時の攪拌操作が不要となる.
このようにすることにより、試薬などを予め貯蔵する試薬カートリッジと流路が形成された流路カートリッジを用いて効果的に、高性能の分析装置を提供することができる。バルブ成分や複数の試薬を備えた場合の試薬間コンタミを抑制するのに好適な形態を得ることができ、分析時の高性能化を図ることができる。
【0094】
また図2に示す実施例では、各試薬は全て一体の試薬カートリッジ20に貯蔵されているが、増幅試薬によっては低温保存が必要である。そこで、増幅試薬容器のみを別カートリッジとした増幅試薬カートリッジを試薬カートリッジ20から分離し、必要に応じて増幅試薬カートリッジのみを温度管理すればよい。
【0095】
具体的には、増幅用の特に酵素を含む試薬を増幅カートリッジでマイナス20℃程度で保存し、抽出試薬や検出用の蛍光試薬等は試薬カートリッジ20で室温にて保存する。増幅用の酵素等、低温で保存する必要のある試薬は量が少なく、増幅試薬カートリッジは、試薬カートリッジ20に比べ小さい。低温用保存庫ののスペースを専有しない点で、増幅試薬カートリッジを試薬カートリッジ20とは別にするのは有利である。
【0096】
また本発明の実施形態によれば、異なる温度管理の必要な試薬カートリッジを別々に温度管理できるので、試薬の調整が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施例による遺伝子検査装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例による検査モジュールの構成図である。
【図3】本発明の一実施例による試薬カートリッジの構成図である。
【図4】本発明の一実施例による検査カートリッジの構成図である。
【図5】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび検査カートリッジの断面図である。
【図6】本発明の一実施例による検査モジュールの断面図である。
【図7】本発明の一実施例による操作手順を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例による遺伝子診断装置内での動作手順を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施例による遺伝子診断装置内での動作手順を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図11】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図12】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図13】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図14】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図15】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図16】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図17】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図18】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図19】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図20】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【図21】本発明の一実施例による試薬カートリッジおよび分析カートリッジの動作説明図である。
【符号の説明】
【0098】
1…遺伝子検査装置、2…検査モジュール、11…モータ、12…保持ディスク、13…穿孔機、14…加温装置、15…検出装置、20…試薬カートリッジ、30…検査カートリッジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え、
前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置された状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記接続部の前記流路カートリッジの試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジの試薬流路断面積より大きいことを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
試料が注入され、前記試料と反応させる試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいことを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項1において、前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとが前記収容部に装着された状態で、前記試薬カートリッジの第一の前記試薬貯蔵部と第二の前記試薬貯蔵部は前記流路カートリッジに形成された前記試薬流路或いは前記試料流路を介して連通した空間が形成されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ或は前記流路カートリッジは、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用構造体であって、
前記構造体は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、
前記試薬カートリッジが接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路カートリッジと、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析用構造体。
【請求項8】
試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された流路構造体。
【請求項9】
試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、
特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、
前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、
第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、
前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、
第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、
第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、
前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする流路構造体。
【請求項10】
試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、
前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路構造体に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬構造体。
【請求項1】
試料が注入され、試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は、前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え、
前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置された状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記接続部の前記流路カートリッジの試薬流路断面積は、前記試薬カートリッジの試薬流路断面積より大きいことを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
試料が注入され、前記試料と反応させる試薬が貯蔵され、前記試料と前記試薬とが反応する反応領域を有する構造体を収容する収容部と、前記反応後の前記試料の検出機構と、を備える化学分析装置であって、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、前記試薬カートリッジが接続する接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路に連絡する前記反応領域とを有する流路カートリッジとを備え,
前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとは回転方向に直交する方向よりも回転方向に沿う方向に近い複数の側面を有し、前記側面のうち、一の前記側面は他の前記側面より回転中心側に近い位置に形成されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ内で回転中心側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数のほうが回転外周側の試薬貯蔵部の試薬を流出させる回転数より大きいことを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項1において、前記試薬カートリッジと前記流路カートリッジとが前記収容部に装着された状態で、前記試薬カートリッジの第一の前記試薬貯蔵部と第二の前記試薬貯蔵部は前記流路カートリッジに形成された前記試薬流路或いは前記試料流路を介して連通した空間が形成されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記構造体は回転可能に前記収容部に設置され、
前記試薬カートリッジ或は前記流路カートリッジは、複数の側面が、回転方向に直交する方向よりも回転方向に近い方向に沿って配置され、前記側面のうち一方の面は他方の面より回転中心側に近くなるよう形成されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
特定の化学物質を含む試料の導入部と、前記試料と反応させる試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記前記試薬と反応させた試薬から前記化学物質を捕捉する捕捉部とを有する化学分析用構造体であって、
前記構造体は、複数の試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬カートリッジと、
前記試薬カートリッジが接続可能な接続部と、前記試薬が流れる試薬流路と、前記試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路カートリッジと、を備え、前記試薬カートリッジの側面と前記流路カートリッジの側面とが対向して配置され他状態で、前記接続部を介し接続しうるよう形成されていることを特徴とする化学分析用構造体。
【請求項8】
試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続できる接続部と、前記接続部を経て供給される前記試薬が流れる試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流れる試料流路と、前記試薬流路と前記試料流路が連絡る反応領域と、前記試薬と反応した前記試料中の前記化学物質を捕捉する捕捉部と、を有し、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成された流路構造体。
【請求項9】
試薬を貯蔵する試薬貯蔵部を備えた試薬構造体に接続可能に構成され、前記試薬貯蔵部の試薬が供給される接続部と、
特定の化学物質を含む試料を注入する注入口と、
前記注入口から注入された試料から検査対象の遺伝子を含む分離試料を分離する分離部と、
第一の前記接続部から供給された第一の試薬と前記分離試料とを導入して反応させる第一反応部と、
前記反応した前記分離試料から前記遺伝子を捕捉する遺伝子捕捉部と、
第二の前記接続部から供給された洗浄用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く洗浄用試薬流路と、
第三の前記接続部から供給された溶離用試薬を前記遺伝子捕捉部へ導く溶離用試薬流路と、
前記溶離された前記遺伝子を保持する保持部と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記試薬構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする流路構造体。
【請求項10】
試薬が流下する試薬流路と、特定の化学物質を含む試料が流下する試料流路と、
前記試薬流路と前記試料流路が連絡する前記反応領域と、を有する流路構造体に接続可能に形成される接続部と、前前記試薬を貯蔵する試薬貯蔵部と、前記貯蔵された試薬を前記流路構造体に導く流路と、を備え、前記接続部は自身の側面と前記流路構造体の側面とが対向して配置された状態で接続しうるよう形成されたことを特徴とする試薬構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−105638(P2006−105638A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289507(P2004−289507)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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