説明

化学分析装置

【課題】試薬の攪拌を十分に行えると共に、装置構成を簡単にできる化学分析装置を提供することにある。
【解決手段】搬送機構120には、試薬を収納した複数の試薬容器を設置した試薬容器設置部104と、生体サンプルを収納した複数の検体容器を設置した検体容器設置部101と、分注ノズルの先端に取り付けられる複数の分注チップを設置した分注チップ設置部118とが設置されている。搬送機構120は、検体容器設置部101や分注チップ設置部118を、分注ノズル110の移動時の軌跡上に搬送する際に、同時に、試薬容器設置部104も移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血液、尿等の生体サンプルの定性・定量分析、もしくは、免疫反応分析を自動で行う分析装置において、分析に使用する試薬が入った試薬容器を分注ノズルの軌跡上に搬送する試薬搬送機構を有する化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置では容器内の試薬を部分的に取出して分析する。安定した分析結果を得るために、試薬の構成成分が容器内で均一であることが求められる。しかし、重力による沈殿や分子間力による凝縮などの影響により、時間経過に伴って容器内に構成成分の分布が生じる。一定時間間隔で試薬を攪拌することで、試薬の均一性を保っている。
【0003】
攪拌の方法としては、回転するへらを容器内に挿入して試薬を攪拌するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のものでは、へらやその駆動源が必要となり、装置構成が複雑になる。
【0005】
それに対して、試薬ディスクに複数の試薬を設置するとともに、試薬ディスクを回転して、分注機構の分注位置まで移動する構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3765255号公報
【特許文献2】特開平2002−286726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2記載のものでは、試薬ディスクの回転・停止動作によりある程度の試薬攪拌は行えるものの、攪拌効果は十分でないため、別途試薬の攪拌機構を備えている。そのため、装置構成が複雑になるものである。
【0008】
本発明の目的は、試薬の攪拌を十分に行えると共に、装置構成を簡単にできる化学分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、生体サンプルの定性・定量分析、もしくは免疫反応分析を自動的に行う化学分析装置であって、分注ノズルを移動して、前記生体サンプルや試薬を分注する分注機構と、試薬を収納した複数の試薬容器を設置した試薬容器設置部が設置され、該試薬容器設置部を前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する搬送機構とを備え、前記搬送機構には、前記生体サンプルを収納した複数の検体容器を設置した検体容器設置部若しくは前記分注ノズルの先端に取り付けられる複数の分注チップを設置した分注チップ設置部も設置されており、前記搬送機構が、前記検体容器設置部若しくは前記分注チップ設置部を、前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する際に、同時に、前記試薬容器設置部も移動するようにしたものである。
かかる構成により、試薬の攪拌を十分に行えると共に、装置構成を簡単にできるものとなる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記搬送機構には、前記検体容器設置部および分注チップ設置部が設置されているものである。
【0011】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記搬送機構には、使用済みの分注チップを廃棄する廃棄ケースが設置されており、前記搬送機構が、前記検体容器設置部若しくは前記分注チップ設置部および前記廃棄ケースを、前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する際に、同時に、前記試薬容器設置部も移動するものである。
【0012】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記搬送機構は、回転して、前記試薬容器設置部を前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送するものであり、前記廃棄ケースは、前記搬送機構の回転中心に近い位置に設けられ、前記使用済みの分注チップを前記廃棄ケース内に投入するための投入口を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、試薬の攪拌を十分に行えると共に、装置構成を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態による化学分析装置の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第5の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第6の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1を用いて、本発明の第1の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による化学分析装置の構成を示す平面図である。
【0016】
本実施形態の化学分析装置は、生体サンプル中に含有される特定の化学成分、もしくは生体由来の含有物を定性的、定量的に分析する機能を有している。
【0017】
搬送機構120の上には、検体容器設置部101と、試薬容器設置部104と、前処理容器設置部117と、分注チップ設置部118とが設置されている。検体容器設置部101には、複数の検体容器119が設置されている。試薬容器設置部104には、複数の試薬容器105が設置されている。前処理容器設置部117には、複数の前処理容器112が設置されている。分注チップ設置部118には、複数の分注チップ113が設置されている。
【0018】
搬送機構120は、モータ等の駆動源121により、Y軸方向に直線的に往復動される。搬送機構120が往復動することによって、検体容器設置部101と試薬容器設置部104と前処理容器設置部117と分注チップ設置部118とは、同時に往復動する。
【0019】
分注機構103は、分注ノズル110を備えている。分注ノズル110は、モータ等の駆動源111により、X軸方向に直線的に往復動される。図中の一点鎖線は、分注ノズル110の軌跡を示している。図中の一点鎖線に示すように、分注ノズル110は、検体容器設置部101の上部,試薬容器設置部104の上部,前処理容器設置部117の上部,分注チップ設置部118の上部,反応容器102の上部および廃棄ケース115の上部の位置を移動可能である。図示の例では、分注ノズル110の先端には、使い捨てタイプの分注チップ113Aが取り付けられている。使用済みの分注チップ113Aは、分注機構103により廃棄ボックス115の投入口116に廃棄される。また、分注ノズル110は、駆動源111により、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に上下動する。
【0020】
反応容器搬送機構109は、分注ノズル110により検体および試薬の分注された反応容器102をインキュベータ106に搬送する。また、反応容器搬送機構109は、インキュベータ106において所定温度で所定時間加温された反応容器102を光学測定部108に搬送する。さらに、反応容器搬送機構109は、光学測定部108において測定の終了した反応容器102を、洗浄機構107に搬送する。また、反応容器搬送機構109は、洗浄機構107で洗浄の終了した反応容器102を分注ノズル110の下方の初期位置に搬送する。
【0021】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注機構103の分注ノズル110をX軸方向およびZ軸方向に駆動する。制御部130は、駆動源121を制御して、搬送機構120をY軸に往復駆動する。さらに、制御部130は、反応容器搬送機構109や、インキュベータ106や、光学測定部108や、洗浄機構107を制御する。
【0022】
次に、本実施形態の化学分析装置の分析動作について説明する。
【0023】
最初に全体的な分析処理の流れについて説明する。まず、血液等の生体サンプルが封入された検体容器119は、自動、もしくは、オペレータにより用手で検体容器設置部101にセットされる。
【0024】
検体容器119の中の生体サンプルは、分注機構103により、反応容器102に分注される。次に、試薬容器設置部104上の試薬容器105に保管されている分析項目に応じた試薬が、分注機構103により反応容器102に分注される。生体サンプルと試薬の反応液を内部に収納した反応容器102は、反応容器搬送機構109により、インキュベータ106に搬送される。インキュベータ106では、温度等の環境条件を制御され、さらに必要に応じて攪拌操作等を加えられることにより化学反応を促進される。
【0025】
化学反応は、分析項目に応じて1回、もしくは、複数回繰り返される。必要回数の化学反応が終了すると、反応容器102は、反応容器搬送機構109により光学測定部108に搬送され、分光、吸光、もしくは蛍光による光量測定を行い、測定結果から検体中の成分分析が行なわれる。
【0026】
測定が終了すると、反応容器102は、反応容器搬送機構109により洗浄機構107に搬送され、反応容器102が洗浄される。洗浄が終了した反応容器102は、反応容器搬送機構109により、分注ノズル110の下方の初期位置に戻され、次の化学反応工程に必要な検体や試薬が分注機構103によって反応容器に分注され、反応容器102に分注された試薬はインキュベータ106で化学反応を促進される。
【0027】
次に、分注機構で試薬や生体サンプルを分注する動作について述べる。
【0028】
生体サンプルや試薬の分注において、分注ノズル110を介した相互間のコンタミネーションが分析結果におよぼす影響を小さくするために、ディスポーサルの分注チップ113を使用する。ディスポーサルチップ113は、分注チップ設置部118に設置されている。
【0029】
ディスポーサルの分注チップ113を使用する時、試薬や生体サンプルを吸引する前に分注ノズル110の軌跡上に分注チップ113が搬送される。同時に、もしくは、前後して、搬送された分注チップ113に分注ノズル110に移動して分注ノズル110の先端が分注チップ113に挿入され、分注チップ113が分注ノズル110の先端に装着される。
【0030】
試薬や生体サンプル、もしくは、それらの混合物は、それらが収納されている容器を保持する保持部101,109,117を搬送する搬送機構120によって分注ノズル110の軌跡上に移動される。同時に、もしくは、それと前後して分注ノズル110が、試薬や生体サンプル、もしくは、それらの混合物に接触して吸引する。
【0031】
吸引の後、分注機構103は、試薬や生体サンプルを吐出先である反応容器102や前処理容器設置部117に設置された前処理容器112まで移動し、それらに吸引した試薬や生体、もしくは、それらの混合物を吐出する。試薬や生体サンプルの吐出先である反応容器102や前処理容器117は、吐出に先立ち、それらを搬送する搬送機構120により、分注機構103の軌跡上に搬送される。
【0032】
分注チップ113が装着された後、試薬や生体サンプル、それらの混合物の吸引と吐出が行われる。吐出が終了した後、分注チップ113は、廃棄ケース115の投入口116から廃棄ケース115の内部に廃棄される。廃棄された分注チップは、廃棄ケース115の内部で装置上に一時保管される。廃棄された分注チップがある一定量に達した後、オペレータが廃棄ケースから使用済みの分注チップを装置外に廃棄する。なお、廃棄ケース115には、分注チップだけでなく、分析に使用した反応容器や、前処理に使用した前処理容器が廃棄される場合もある。
【0033】
一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際の具体的な動作について説明する。
【0034】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、分注チップ設置部118の上方に位置づける。同時に、制御部130は、駆動源121を制御して、分注ノズル110の下方に、未使用の分注チップ113が位置するように、搬送機構120をY軸方向に駆動する。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の先端を分注チップ113に挿入し、分注チップ113を分注ノズル110の先端に装着する。分注チップ113の装着後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0035】
なお、分注チップ113が装着された後、分注チップ設置部118の同じ位置には分注チップが存在しなくなっている。制御部130は、分注チップ設置部118のどの位置のチップが装着済みかを記憶しており,次に、分注チップ113を分注ノズル110に装着する際には、分注ノズル110の下方の位置に、未使用の分注チップ113が位置するように、分注機構103および搬送機構120を制御する。
【0036】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、検体容器設置部101の上方に位置づける。同時に、制御部130は、駆動源121を制御して、分注ノズル110の下方に、これから分析を行う検体が収納されている検体容器119が位置するように、搬送機構120をY軸方向に駆動する。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113を検体容器119の中の検体の中に挿入し、検体を吸引する。検体の吸引後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0037】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、反応容器102の上方に位置づける。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113を反応容器102の内部に挿入し、分注ノズル110の先端部に吸引済みの検体を、反応容器102の内部に吐出する。検体の吐出後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0038】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、廃棄ケース115の投入口116の上方に位置づける。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113をフックなどに引っかけた後、分注ノズル110を上方に移動することで、分注チップ113は分注ノズル110から外れ、廃棄ケース115の内部に廃棄される。
【0039】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、分注チップ設置部118の上方に位置づける。同時に、制御部130は、駆動源121を制御して、分注ノズル110の下方に、未使用の分注チップ113が位置するように、搬送機構120をY軸方向に駆動する。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の先端を分注チップ113に挿入し、分注チップ113を分注ノズル110の先端に装着する。分注チップ113の装着後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0040】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、試薬容器設置部104の上方に位置づける。同時に、制御部130は、駆動源121を制御して、分注ノズル110の下方に、これから分析を行う分析項目で使用される試薬が収納されている試薬容器105が位置するように、搬送機構120をY軸方向に駆動する。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113を試薬容器105の中の試薬の中に挿入し、試薬を吸引する。試薬の吸引後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0041】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、反応容器102の上方に位置づける。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113を反応容器102の内部に挿入し、分注ノズル110の先端部に吸引済みの試薬を、反応容器102の内部に吐出する。試薬の吐出後、分注ノズル110は、Z軸方向の上方に移動する。
【0042】
次に、制御部130は、駆動源111を制御して、分注ノズル110をX軸方向に駆動して、廃棄ケース115の投入口116の上方に位置づける。そして、制御部130は、駆動源111を駆動して、分注ノズル110をZ軸方向の下方に移動して、分注ノズル110の分注チップ113をフックなどに引っかけた後、分注ノズル110を上方に移動することで、分注チップ113は分注ノズル110から外れ、廃棄ケース115の内部に廃棄される。
【0043】
以上のように、搬送機構120をY軸方向に往復動するたびに、その上に設置されている試薬容器設置部104も往復動することで、そこに設置されている試薬容器105に収納されている試薬が揺れ動かされ、攪拌される。搬送機構120には、試薬容器設置部104の他に、検体容器設置部101と前処理容器設置部117と分注チップ設置部118とが設置されているため、試薬容器設置部104をY軸方向に往復動するとき以外に、検体容器設置部101や前処理容器設置部117や分注チップ設置部118を往復動するときにも同時に往復動され、攪拌動作を繰り返すことができる。
【0044】
ここで、一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際の、試薬容器設置部104の往復動動作の回数について説明する。前述したように、試薬容器設置部104をY軸方向に往復動するとき以外に、検体容器設置部101や前処理容器設置部117や分注チップ設置部118を往復動するときにも同時に往復動される。従って、1)分注ノズル110の先端に検体用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、2)検体容器119から検体を吸引する際、3)分注ノズル110の先端に試薬用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、4)試薬容器105から試薬を吸引する際の、4回往復動の動作が繰り返される。
【0045】
また、前処理容器112を用いて前処理を行う場合には、1)分注ノズル110の先端に検体用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、2)検体容器119から検体を吸引する際、3)前処理容器112に検体を分注する際、4)分注ノズル110の先端に試薬用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、5)試薬容器105から試薬を吸引する際、6)前処理容器112に試薬を分注する際、7)分注ノズル110の先端に前処理液用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、8)前処理容器112から前処理済みの液体を吸引する際、9)分注ノズル110の先端に別の試薬用の分注チップ113を装着するため、分注チップ設置部118を往復動する際、10)試薬容器105から試薬を吸引する際の、10回往復動の動作が繰り返される。
【0046】
一方、特許文献2に記載のように、試薬容器設置部(試薬搬送機構)が、検体容器設置部(検体搬送機構)や、分注チップ設置部(チップマガジン)とはべったいの構成されている場合、一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際の、試薬容器設置部の往復動動作の回数は1回のみであるので、本実施形態のように、搬送機構120により、試薬容器設置部104と検体容器設置部101と前処理容器設置部117と分注チップ設置部118とを同時に動作させるように構成することで、試薬容器設置部104の往復動動作の回数が増加して、試薬の攪拌効果を向上することができる。したがって、へらとモータのような別体の攪拌機構を用いることなく、試薬の攪拌が行えるものとなる。
【0047】
なお、以上の説明では、搬送機構120は、試薬容器設置部104と検体容器設置部101と前処理容器設置部117と分注チップ設置部118とを同時に動作させるものとしているが、化学分析装置の分析項目によっては、前処理が不要な場合がある。従って、従来よりも、試薬容器設置部の動作回数を増加させるという観点からは、搬送機構120は、試薬容器設置部104と、検体容器設置部101若しくは分注チップ設置部118とを同時に動作させる必要がある。そして、搬送機構120は、試薬容器設置部104と、検体容器設置部101および分注チップ設置部118とを同時に動作させることで、搬送機構120の動作回数を増やし、攪拌効果をさらに、向上できる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、別途専用の攪拌機構を設けずに装置構成を簡単にできるとともに、試薬の攪拌を十分に行えるものとなる。
【0049】
次に、図2を用いて、本発明の第2の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。なお、図1と同一符号は,同一部分を示している。
【0050】
搬送機構120Aの上には、検体容器設置部101と、試薬容器設置部104と、前処理容器設置部117と、分注チップ設置部118と、廃棄ケース115が設置されている。すなわち、図1に示した例に対して、本実施形態では、搬送機構120Aには、廃棄ケース115も設置されている。検体容器設置部101には、複数の検体容器119が設置されている。試薬容器設置部104には、複数の試薬容器105が設置されている。前処理容器設置部117には、複数の前処理容器112が設置されている。分注チップ設置部118には、複数の分注チップ113が設置されている。廃棄ケース115は、使用済みの分注チップを廃棄する投入口116を備えている。
【0051】
搬送機構120Aは、モータ等の駆動源121により、Y軸方向に直線的に往復動される。搬送機構120Aが往復動することによって、検体容器設置部101と試薬容器設置部104と前処理容器設置部117と分注チップ設置部118と廃棄ケース115は、同時に往復動する。
【0052】
分注機構103は、分注ノズル110を備えている。分注ノズル110は、モータ等の駆動源111により、X軸方向に直線的に往復動される。図中の一点鎖線は、分注ノズル110の軌跡を示している。図中の一点鎖線に示すように、分注ノズル110は、検体容器設置部101の上部,試薬容器設置部104の上部,前処理容器設置部117の上部,分注チップ設置部118の上部および廃棄ケース115の上部の位置を移動可能である。図示の例では、分注ノズル110の先端には、使い捨てタイプの分注チップが取り付けられている。使用済みの分注チップは、分注機構103により廃棄ボックス115の投入口116に廃棄される。また、分注ノズル110は、駆動源111により、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に上下動する。
【0053】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注機構103の分注ノズル110をX軸方向およびZ軸方向に駆動する。制御部130は、駆動源121を制御して、搬送機構120AをY軸に往復駆動する。
【0054】
また、本実施形態の化学分析装置は、図1に示した反応容器搬送機構109や、インキュベータ106や、光学測定部108や、洗浄機構107を備えているが、ここでは、簡単のため、図示は省略している。さらに、制御部130は、反応容器搬送機構や、インキュベータや、光学測定部や、洗浄機構も制御する。
【0055】
本実施形態の特徴とする点は、搬送機構120Aには、廃棄ケース115も設置されていることにある。図1に示した例では、一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際に、試薬容器設置部104の往復動動作の回数は、4回である。それに対して、本実施形態では、検体の分注と、試薬の分注のために、2個の分注ノズルを使用する。廃棄ケース115が搬送機構120Aに設置されているため、2個の使用済みの分注ノズルの廃棄の際にも、搬送機構120Aは、往復動作をするため、試薬容器設置部104の往復動動作の回数は、図1の4回に、2回分を加えた6回となる。
【0056】
従って、本実施形態によれば、別途専用の攪拌機構を設けずに装置構成を簡単にできるとともに、試薬の攪拌をさらに十分に行えるものとなる。
【0057】
また、本実施形態では、搬送機構120Aが試薬や生体サンプルを分注ノズルの軌跡上に搬送するごとに、分注チップの廃棄ケース115が揺すられる。廃棄ケース115が揺すられることで廃棄された分注チップが廃棄ケース内にばらまかれる。これにより、たとえば、投入口116の付近に山となって重なった分注ノズルにより投入口が塞がれ、廃棄ケース内に廃棄用のスペースがあるにもかかわらず分注チップが廃棄できなくなることを防止できる。
【0058】
次に、図3を用いて、本発明の第3の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。なお、図1と同一符号は,同一部分を示している。
【0059】
搬送機構120Bの上には、検体容器設置部101と、試薬容器設置部104と、分注チップ・前処理容器設置部114と、廃棄ケース115が設置されている。すなわち、図2に示した例と同様に、本実施形態では、搬送機構120Bには、廃棄ケース115も設置されている。検体容器設置部101には、複数の検体容器119が設置されている。試薬容器設置部104には、複数の試薬容器105が設置されている。分注チップ・前処理容器設置部114には、複数の分注チップと前処理容器とが設置されている。なお、分注チップ・前処理容器設置部114は、図1や図2に示した前処理容器設置部117および分注チップ設置部118と同一の機能を有するが、設置可能な分注チップおよび前処理容器の相数は、図1や図2に示した場合よりも少なくなっている。また、廃棄ケース115は、使用済みの分注チップを廃棄する投入口116を備えている。
【0060】
搬送機構120Bは、モータ等の駆動源121により、Y軸方向に直線的に往復動される。搬送機構120Bが往復動することによって、検体容器設置部101と試薬容器設置部104と分注チップ・前処理容器設置部114とは、同時に往復動する。
【0061】
分注機構103は、分注ノズル110を備えている。分注ノズル110は、モータ等の駆動源111により、X軸方向に直線的に往復動される。図中の一点鎖線は、分注ノズル110の軌跡を示している。図中の一点鎖線に示すように、分注ノズル110は、検体容器設置部101の上部,試薬容器設置部104の上部,分注チップ・前処理容器設置部114の上部および廃棄ケース115の上部の位置を移動可能である。図示の例では、分注ノズル110の先端には、使い捨てタイプの分注チップが取り付けられている。使用済みの分注チップは、分注機構103により廃棄ボックス115の投入口116に廃棄される。また、分注ノズル110は、駆動源111により、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に上下動する。
【0062】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注機構103の分注ノズル110をX軸方向およびZ軸方向に駆動する。制御部130は、駆動源121を制御して、搬送機構120BをY軸に往復駆動する。
【0063】
また、本実施形態の化学分析装置は、図1に示した反応容器搬送機構109や、インキュベータ106や、光学測定部108や、洗浄機構107を備えているが、ここでは、簡単のため、図示は省略している。さらに、制御部130は、反応容器搬送機構や、インキュベータや、光学測定部や、洗浄機構も制御する。
【0064】
さらに、搬送機構120Bとは別に、分注チップや前処理容器を保管する分注チップ保管部142や前処理容器保管部140を設けている。分注チップ・前処理容器搬送機構150は、分注チップ143を保管する分注チップ保管部142や前処理容器141を保管する前処理容器保管部140から、分注チップ・前処理容器設置部114に分注チップ143や前処理容器141を搬送する。
【0065】
複数の試薬を使用する分析や多数の分析を実施する場合、分析に必要な分注チップや前処理容器の数が多くなり、試薬搬送機構上のスペースでは十分な数の分注チップや前処理容器を設置できなくなることがある。このような場合でも、本例では、搬送機構に全ての分注チップや前処理容器を設置するよりも多くの分注チップや前処理容器を装置上に設置できる。
【0066】
また、本実施形態では、搬送機構120Bには、廃棄ケース115も設置されていることにある。図1に示した例では、一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際に、試薬容器設置部104の往復動動作の回数は、4回である。それに対して、本実施形態では、検体の分注と、試薬の分注のために、2個の分注ノズルを使用する。廃棄ケース115が搬送機構120Bに設置されているため、2個の使用済みの分注ノズルの廃棄の際にも、搬送機構120Bは、往復動作をするため、試薬容器設置部104の往復動動作の回数は、図1の4回に、2回分を加えた6回となる。
【0067】
従って、本実施形態によれば、別途専用の攪拌機構を設けずに装置構成を簡単にできるとともに、試薬の攪拌をさらに十分に行えるものとなる。
【0068】
また、本実施形態では、搬送機構120Aが試薬や生体サンプルを分注ノズルの軌跡上に搬送するごとに、分注チップの廃棄ケース115が揺すられる。廃棄ケース115が揺すられることで廃棄された分注チップが廃棄ケース内にばらまかれる。これにより、たとえば、投入口116の付近に山となって重なった分注ノズルにより投入口が塞がれ、廃棄ケース内に廃棄用のスペースがあるにもかかわらず分注チップが廃棄できなくなることを防止できる。
【0069】
次に、図4を用いて、本発明の第4の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。なお、図1と同一符号は,同一部分を示している。
【0070】
搬送機構120Cは、ターンテーブル状であり、モータ等の駆動源121により、X−Y平面内で、矢印A方向に回転可能である。搬送機構120Cの上には、検体容器設置部101と、廃棄ケース115と、複数の検体容器119と、複数の前処理容器112と、複数の分注チップ113が設置されている。試薬容器設置部104には、複数の試薬容器105が設置されている。廃棄ケース115は、使用済みの分注チップを廃棄する投入口116を備えている。投入口116は、円盤状の搬送機構120Cの半径方向において、回転中心に近い位置に設けられている。
【0071】
搬送機構120Cが回転運動することによって、検体容器設置部101と廃棄ケース115と複数の検体容器,前処理容器,分注チップとは、同時に回転する。
【0072】
分注機構103は、分注ノズル110を備えている。分注ノズル110は、モータ等の駆動源111により、X軸方向に直線的に往復動される。図中の一点鎖線は、分注ノズル110の軌跡を示している。搬送機構120Cが回転することで、図中の一点鎖線に示すように、分注ノズル110は、検体容器119の上部,試薬容器設置部104の上部,前処理容器112の上部,分注チップ113の上部,および廃棄ケース115の上部の位置を移動可能である。図示の例では、分注ノズル110の先端には、使い捨てタイプの分注チップが取り付けられている。使用済みの分注チップは、分注機構103により廃棄ボックス115の投入口116に廃棄される。また、分注ノズル110は、駆動源111により、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に上下動する。
【0073】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注機構103の分注ノズル110をX軸方向およびZ軸方向に駆動する。制御部130は、駆動源121を制御して、搬送機構120Cを矢印A方向に回転する。
【0074】
また、本実施形態の化学分析装置は、図1に示した反応容器搬送機構109や、インキュベータ106や、光学測定部108や、洗浄機構107を備えているが、ここでは、簡単のため、図示は省略している。さらに、制御部130は、反応容器搬送機構や、インキュベータや、光学測定部や、洗浄機構も制御する。
【0075】
本実施形態の特徴とする点は、搬送機構120Cは、回転駆動される。そして、廃棄ケース115の投入口116はケース上において回転中心に近いほうに設けられている。投入口116から廃棄された分注チップは、搬送機構の回転で生じる遠心力によって投入口116から遠ざかる方向Fに移動し、廃棄ケース115の内部のスペースをより有効に使用できる効果が得られる。
【0076】
図1に示した例では、一つの検体について、一つの試薬を用いて所定の分析項目について分析する際に、試薬容器設置部104の往復動動作の回数は、4回である。それに対して、本実施形態では、検体の分注と、試薬の分注のために、2個の分注ノズルを使用する。廃棄ケース115が搬送機構120Cに設置されているため、2個の使用済みの分注ノズルの廃棄の際にも、搬送機構120Cは、回転動作をするため、試薬容器設置部104の回転動作の回数は、図1の4回に、2回分を加えた6回となる。
【0077】
従って、本実施形態によれば、別途専用の攪拌機構を設けずに装置構成を簡単にできるとともに、試薬の攪拌をさらに十分に行えるものとなる。
【0078】
次に、図5を用いて、本発明の第5の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図5は、本発明の第5の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。なお、図1と同一符号は,同一部分を示している。
【0079】
本実施形態の搬送機構120Cの基本的な構成は、図4に示したものと同様である。
【0080】
本実施形態では、分注機構103Cは、分注ノズル110Cを備えている。分注ノズル110Cは、モータ等の駆動源111により、X−Y平面内で,矢印B方向に回動する。図中の一点鎖線は、分注ノズル110Cの軌跡を示している。搬送機構120Cが回転することで、図中の一点鎖線に示すように、分注ノズル110Cは、検体容器の上部,試薬容器設置部の上部,前処理容器の上部,分注チップの上部,および廃棄ケースの上部の位置を移動可能である。図示の例では、分注ノズル110Cの先端には、使い捨てタイプの分注チップ113Aが取り付けられている。使用済みの分注チップは、分注機構103Cにより廃棄ボックスの投入口に廃棄される。また、分注ノズル110Cは、駆動源111により、X軸およびY軸に直交するZ軸方向に上下動する。
【0081】
制御部130は、駆動源111を制御して、分注機構103の分注ノズル110Cを矢印B方向およびZ軸方向に駆動する。制御部130は、駆動源121を制御して、搬送機構120Cを矢印A方向に回転する。
【0082】
また、本実施形態の化学分析装置は、図1に示した反応容器搬送機構109や、インキュベータ106や、光学測定部108や、洗浄機構107を備えているが、ここでは、簡単のため、図示は省略している。さらに、制御部130は、反応容器搬送機構や、インキュベータや、光学測定部や、洗浄機構も制御する。
【0083】
従って、本実施形態によっても、別途専用の攪拌機構を設けずに装置構成を簡単にできるとともに、試薬の攪拌をさらに十分に行えるものとなる。
【0084】
次に、図6を用いて、本発明の第6の実施形態による化学分析装置の構成および動作について説明する。
図6は、本発明の第6の実施形態による化学分析装置の要部構成を示す平面図である。なお、図1と同一符号は,同一部分を示している。
【0085】
分注チップや前処理容器、生体サンプルなどをオペレータによる用手で分析装置上に設置する際、装置の機構がオペレータに衝突しないように、装置全体、もしくは、一部の機構を停止させる。分注ノズルや生体サンプルなどを設置する際、ケース上に整列した後、装置上に設置することにより、より短時間で設置でき、装置の稼働率を向上させることができる。
【0086】
たとえば、図6に示すように、搬送機構120Dには、検体容器119を設置した検体容器ケース101Dや、分注チップ113と前処理容器112を設置した分注チップ・前処理容器ケース114Dの様に、ケースに設置してから搬送機構120D上に設置することで、設置にかかる時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0087】
101…検体容器設置部
102…反応容器
103,103C…分注機構
104…試薬容器設置部
105…試薬容器
106…インキュベータ
107…洗浄機構
108…光学測定部
109…反応容器搬送機構
110,110C…分注ノズル
111,121…駆動源
112…前処理容器
113…分注チップ
114…分注チップ・前処理容器設置部
115…プ廃棄ケース
116…投入口
117…前処理容器設置部
118…分注チップ設置部
119…検体容器
120,120A,120B,120C,120D…搬送機構
130…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルの定性・定量分析、もしくは免疫反応分析を自動的に行う化学分析装置であって、
分注ノズルを移動して、前記生体サンプルや試薬を分注する分注機構と、
試薬を収納した複数の試薬容器を設置した試薬容器設置部が設置され、該試薬容器設置部を前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する搬送機構とを備え、
前記搬送機構には、前記生体サンプルを収納した複数の検体容器を設置した検体容器設置部若しくは前記分注ノズルの先端に取り付けられる複数の分注チップを設置した分注チップ設置部も設置されており、
前記搬送機構が、前記検体容器設置部若しくは前記分注チップ設置部を、前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する際に、同時に、前記試薬容器設置部も移動することを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の化学分析装置において、
前記搬送機構には、前記検体容器設置部および分注チップ設置部が設置されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の化学分析装置において、
前記搬送機構には、使用済みの分注チップを廃棄する廃棄ケースが設置されており、
前記搬送機構が、前記検体容器設置部若しくは前記分注チップ設置部および前記廃棄ケースを、前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送する際に、同時に、前記試薬容器設置部も移動することを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項3記載の化学分析装置において、
前記搬送機構は、回転して、前記試薬容器設置部を前記分注ノズルの移動時の軌跡上に搬送するものであり、
前記廃棄ケースは、前記搬送機構の回転中心に近い位置に設けられ、前記使用済みの分注チップを前記廃棄ケース内に投入するための投入口を備えることを特徴とする化学分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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