説明

化学化合物、医薬組成物および方法

本発明は、心血管疾患を治療するための式(I)および(II)で表される化合物およびその誘導体を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、特定の新規化学物質、医薬組成物ならびに血清ビリルビンを増加するための方法、およびヒトにおける疾患、特に心血管疾患を予防または治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの研究で報告されているように、血清ビリルビン濃度が低いと、冠動脈性心疾患 (CHD)のリスクが高い(非特許文献1)。フラミンガム子孫研究の血清ビリルビンおよび心疾患 (CVD)に関するプロスペクティブ研究によると、血清ビリルビン濃度が高いとCVD、CHDおよび心筋梗塞 (MI)のリスクが減少した(非特許文献2)。
【0003】
血清ビリルビンレベルとアテローム性動脈硬化との明白な反比例関係は、L Novotnyによる予備的なメタ分析研究にて示された(非特許文献3)。ビリルビン濃度と構成的アンドロスタン受容体 (CAR)との関係がW Huangによって調べられた(非特許文献4)。非特許文献5において、H Schwertnerは血清ビリルビン濃度と冠動脈疾患 (CAD)発症との間にある反比例関係について説明した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Lin in Circulation, October 3, 2006, pages 1476-1481
【非特許文献2】L. Djousse in Am J Cardiology, 2001;87;1196-1200
【非特許文献3】Exp Biol Med 228:568-571 (2003)
【非特許文献4】PNAS, April 1, 2003, Vol. 100, No. 7 at pages 4156-4161 and www.pnas.org
【非特許文献5】Clinical Chemistry 49, No. 7 at pages 1039-1040 (2003)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、本発明は、化合物 2-(ベンズヒドリルアミノ)-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸またはその塩もしくはエステルに関する。
【0006】
一実施形態において、本発明は心疾患を予防または治療するための新規医薬組成物に関する。一実施形態において、医薬組成物に用いられる化合物は、2-(ベンズヒドリルアミノ)-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸またはその塩もしくはエステルである。一実施形態において、医薬組成物に用いられる化合物は2-(ベンズヒドリルアミノ)-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミドまたはその塩である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書中にて用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明するためのみに用いられ、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲によって特定されるということを理解されるべきである。
【0008】
特記しない限り、本明細書中にて用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に理解されているような通常の意味を有すると意図される。本明細書中に記載されるのと同様のまたはそれらに相当するあらゆる方法および材料を本発明の実施またはテストに用いることができるが、代表的な方法、デバイスおよび材料を今回は記載する。
【0009】
特記しない限り、本明細書中および特許請求の範囲にて用いられる含有量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての例示において「約」という用語によって修正されると理解すべきである。したがって、矛盾しない限り、本明細書中および特許請求の範囲にて示される数値パラメーターは、近似値であって、本発明より得ることが求められる所望の特性に応じて変化しうる。
【0010】
本発明は、式(I)の化合物および式(I)または(II)の化合物(式(I)の示されたカルボン酸、式(II)のアミドならびに異性体、塩、互変異性体、溶媒和物および多型結晶構造を含むその対応する活性部分等価物の形態の化合物を含む)を含有する組成物に関すると理解される。このような実施形態(式(I)のエステルを含む)は、本明細書中例えば、医薬組成物を説明する際に、単に式(I)および(II)の化合物として記載され得る。さらに、エステル自体も塩であって良く、従って本発明の新規化合物および新規組成物に用いられる化合物には、単一の態様(例えばエステル)ならびに化合物の複数の態様(例えば、溶媒和物の形態のエステル塩)を含む点に気付くであろう。
【0011】
「治療有効量」なる用語は、治療を必要とする被験体に対して投与した場合に、治療効果を発揮するのに十分な調節因子、薬剤またはその他の分子の量を指す。治療有効量は治療されるべき被験体および疾患症状、被験体の体重および年齢、疾患症状の重篤度、投与方法等によって変化する。当業者は治療有効量を容易に決定することができる。
【0012】
「溶媒和物」とは、溶質 (本発明においては、式(I)の化合物またはその塩)および溶媒によって可変化学量論的に形成される複合体を指す。本発明の目的においてこのような溶媒は溶質の生物学的活性を妨げない。好適な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、用いられる溶媒は製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の例には、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。最も好ましくは、用いられる溶媒は水である。
【0013】
通常、本発明の塩は製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」という用語の範囲内に包含される塩は、本発明の化合物の無毒性塩を指す。本発明の化合物の塩は、本発明の化合物の置換基の窒素に由来する酸付加塩を含み得る。代表的な塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート塩、エシレート塩、フマル酸塩、グルセプテート塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコールアニサレート塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、一カリウムマレイン酸塩、ムケート塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート塩、トシル酸塩、トリエチオダイド塩、トリメチルアンモニウム塩及びバレリアン酸塩を包含する。製薬上許容されないものである他の塩は、本発明の化合物の製造において有用なことがあり、これらは本発明のもう一つの態様を形成すると考えるべきである。
【0014】
一実施形態において、本発明は式(I)の化合物およびその製薬上許容される塩またはエステルを提供する:
【化1】

【0015】
本発明のさらなる態様において、本発明は式(I)の化合物またはその塩もしくはエステルならびに式(II)の化合物およびその塩を一以上含み得る医薬組成物を提供する:
【化2】

【0016】
心血管疾患の予防、発症の遅延または治療に使用するために、式(I)または(II)の化合物は未処理の化学物質として投与することが可能であるが、医薬組成物として有効成分を提供することもできる。したがって、本発明はさらに医薬組成物を提供し、これは本発明の心疾患または障害の治療方法において投与することができる。医薬組成物は式(I)または(II)の化合物またはその塩並びに1種以上の医薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む。担体、希釈剤又は賦形剤は、製剤の他の成分と適合性であり、そして医薬組成物のレシピエントにとって有害でないという意味で、許容されねばならない。
【0017】
心血管疾患の予防、発症の遅延または治療のための、式(I)または(II)の化合物の推定されるヒト投与量は、必要に応じて1〜4回に分けて投与しても良く、患者の正常ビリルビンのレベルを(例えば、実施例Aに示す正常ビリルビン範囲内に)高める。したがって、投与量は体重1kgあたり約6〜60mgであり、特に体重1kgあたり約3〜30mg/kgで1日あたり2回投与される。約65kgの平均的なヒトに関して、推定される投与量は約400〜4000mg/dayである。医薬製剤は単位用量あたり所定量の有効成分を含有する単位用量形態で提供されて良く、これによって治療有効量の有効成分が患者に投与される。このような単位は例えば約100〜1000 mgの式(I)または(II)の化合物を含み得、これは1日あたりの投与量、式(I)または(II)の化合物の生体利用性および水溶性に応じて変わり得る。投与量および単位用量は、治療される症状、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて医師によって決められる。好ましい単位用量製剤は、活性成分の上記に挙げられる1日量若しくは下位投与量、又はその適切な分割量を含有する製剤である。さらに、このような医薬製剤は、製薬技術において周知の任意の方法により製造することができる。
【0018】
式(I)または(II)の化合物は、任意の適当な経路で投与することができる。好適な経路として、経口、直腸、鼻、局所(口腔および舌下を包含する)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外)を含む。好ましい経路はレシピエントの状態等によって変化し得ると理解されるであろう。
【0019】
経口投与に適する医薬製剤は、個別の単位、例えばカプセル又は錠剤;粉末若しくは顆粒;それぞれ水性若しくは非水性液体を含む溶液若しくは懸濁液;可食性フォーム若しくはホイップ;又は水中油型液状エマルジョン若しくは油中水型液状エマルジョンとして提供することができる。
【0020】
例えば、錠剤又はカプセルの形態で経口投与するために、活性薬剤成分を、経口用の無毒性の医薬上許容される不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。一般に、粉末は、本化合物を好適な微細サイズまで粉砕し、適切な製薬用担体、例えば可食性炭水化物、例えば澱粉又はマンニトールなどと混合することにより製造される。矯味矯臭剤、保存剤、分散剤及び着色剤が存在していてもよい。
【0021】
カプセルは、上記のような粉末混合物を製造し、そしてゼラチンのシース(sheath)でカプセル封入することにより製造される。流動促進剤及び潤滑剤、例えばコロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体ポリエチレングリコールを、カプセル封入前に混合物に加えることができる。カプセルが摂取されるときに医薬の利用可能性を改善するために、崩壊又は可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウムを加えることもできる。
【0022】
更に、望ましいか又は必要な場合には、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤を混合物に加えることもできる。好適な結合剤の例は、澱粉、ゼラチン、天然の糖、例えばブドウ糖又はベータ乳糖、トウモロコシ甘味料、天然及び合成ゴム、例えばアカシア、トラガント、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを包含する。これらの投与形態に適する潤滑剤は、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを包含する。崩壊剤は、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを包含するが、これらに限定されない。錠剤は、例えば、粉末混合物を製造し、潤滑剤及び崩壊剤を加えて造粒するか又は小塊状にし、そして錠剤に圧縮することにより製剤される。粉末混合物は、好適に粉砕した本化合物を上記の希釈剤又は基剤と混合することにより製造することができる。任意選択の崩壊剤は、結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、又はポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩、及び/又は吸収剤、例えばベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムを包含する。粉末混合物を、結合剤、例えばシロップ、澱粉糊、アカシア粘液又はセルロース若しくはポリマー物質の溶液と共に湿式造粒し、そしてスクリーンから押し通すことができる。造粒の別法として、粉末混合物を製錠機に通すことができ、その結果は不完全に成形された小塊であり、これが顆粒に破砕される。顆粒は、錠剤成形ダイへの粘着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油の添加により潤滑することができる。潤滑された混合物を次いで錠剤に圧縮する。本発明の化合物はまた、自由流動性不活性担体と混合し、そして造粒又は小塊化段階を経由することなく、直接錠剤に圧縮することができる。シェラックの密封コート、糖又はポリマー物質のコーティング、及びワックスの光沢コーティングを施すことができる。異なる単位用量を区別するために、これらのコーティングに染料を加えることができる。
【0023】
経口液体、例えば溶液、シロップ及びエリキシルは、所定量の化合物を含有するように、用量単位形態として製造することができる。シロップは、例えば適切に矯味矯臭した水溶液に化合物を溶解することにより製造できるが、エリキシルは無毒性アルコールビヒクルの使用により製造される。懸濁液は、無毒性ビヒクルに化合物を分散させることにより、一般に製剤することができる。可溶化剤及び乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール及びポリエチレンソルビトールエーテル、保存剤;矯味矯臭添加物、例えばペパーミント油、又は天然甘味料、サッカリン若しくは他の人口甘味料;その他を加えることもできる。
【0024】
適切ならば、経口投与のための用量単位製剤は、マイクロカプセル封入されていてもよい。この製剤はまた、例えば粒状物質をポリマー、ワックスなどで被覆するか又はそれらに埋め込むことにより、放出を遅延又は持続するように製造することができる。
【0025】
本発明に用いられる化合物の合成は以下の反応スキームに要約できる:

【実施例】
【0026】
以下の実施例は、本発明の例示的な態様を示す。以下の実施例の特定の態様は、本発明を実施するのに都合が良いことが見出されたまたは想定される技術および方法に関して記載される。これらの実施例は、発明者らの標準的な研究室実務を使用して例示される。本開示内容および当業者の技術常識を考慮すると、当業者であれば以下の実施例が例示のみを意図するものであり、様々な変更、改変および修正が本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得ることは理解されよう。1H-NMRスペクトルはVarian Gemini 400 MHz NMR分光計により記録した。1H-NMRスペクトルは、化学シフト、プロトンの数、多重度 (s, 一重項;d, 二重項;t, 三重項;m, 多重項;br s, 広幅一重項)およびHertzとして結合定数 (J)を示す。エレクトロスプレー(ES)または化学イオン化(CI)は、Hewlett Packard 5989A質量分光計で記録した。略語として以下のものを含む:MeOH (メタノール);EtOAc (酢酸エチル);HPLC (高圧液体クロマトグラフィー);THF (テトラヒドロフラン);TFA (トリフルオロ酢酸);M (モル);Et2O (ジエチルエーテル);Ph (フェニル);SBE-CD (スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン);DMSO (ジメチル スルホキシド);AST (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ);およびALT(アラニントランスアミナーゼ)。
【0027】
(実施例1)
メチル 2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキシレートトリフルオロアセテート (式(I):メチルエステル,トリフルオロ酢酸塩)

3 mL MeOH中30 mg (0.06 mmol)の2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミド(実施例6の生成物)溶液に1 mL濃硫酸をゆっくりと加えた。反応は60℃にて一晩振とうした。反応を室温まで冷まし、飽和NaHCO3でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相をMgSO4で乾燥し、回転式エバポレーターで濃縮した。 逆相HPLC (10-100%水性CH3CN(0.05% TFAを含む)) によって精製し、8 mg (26%)の標記化合物 1を得た: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 3.07 (t, J=6.51 Hz, 2 H) 3.93 (s, 3 H) 4.36 (t, J=6.60 Hz, 2 H) 6.26 (d, J=7.31 Hz, 1 H) 6.96 - 7.00 (m, 2 H) 7.10 - 7.21 (m, 13 H) 7.45 (d, J=8.03 Hz, 1 H) 7.51 (br s, 1 H) 7.72 (d, J=1.07 Hz, 1 H) 7.89 (dd, J=8.47, 1.52 Hz, 1 H);質量スペクトル(ES) m/e= 462 (M+1)。
【0028】
(実施例2)
2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸トリフルオロアセテート (式(I):トリフルオロ酢酸塩)

0.3 mL MeOH中50 mg (0.108 mmol)のメチル 2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキシレートトリフルオロアセテート(実施例1の生成物)溶液に、18 mg (0.324 mmol)の水酸化カリウムを添加した。反応はゆるくキャップをして、35℃にて一晩撹拌した。溶媒を一晩蒸発し、さらに1 mLのMeOHおよび36 mgの水酸化カリウムを反応に添加した。6時間後、反応を3 mLのMeOHおよび10 mLのH2Oで希釈し、1 M H2SO4で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機溶媒をMgSO4で乾燥し、回転式エバポレーターで濃縮した。逆相HPLC (10-100% 水性CH3CN (0.05% TFA含有))で精製して、22 mg (46%)の標記化合物 2を得た: 1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 3.14 (t, J=6.51 Hz, 2 H) 4.62 (t, J=6.60 Hz, 2 H) 6.06 (s, 1 H) 6.98 - 7.04 (m, 2 H) 7.13 - 7.19 (m, 3 H) 7.21 - 7.26 (m, 4 H) 7.34 - 7.45 (m, 7 H) 7.87 - 7.90 (m, 1 H) 7.96 (dd, J=8.38, 1.61 Hz, 1 H);質量スペクトル(ES) m/e= 448 (M+1).
(実施例3)
2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸塩酸塩(式(I);塩酸塩)

およそ50 mgの2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸トリフルオロアセテート(実施例2の生成物)をバイアルに加え、MeOH/EtOAc中に溶解した。この溶液を飽和NaHCO3, H2Oおよびブラインで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、回転式エバポレーターで濃縮した。得られた無定形固体に1 M HClの3 mL Et2O溶液を加え、固体が形成されるまで撹拌した。溶媒を回転式エバポレーターで除去し、21 mgの標記化合物 3を得た: 1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 3.14 (t, J=6.51 Hz, 2 H) 4.62 (t, J=6.33 Hz, 2 H) 6.04 (s, 1 H) 7.00 - 7.04 (m, 2 H) 7.15 - 7.20 (m, 3 H) 7.20 - 7.25 (m, 4 H) 7.34 - 7.45 (m, 7 H) 7.88 - 7.90 (m, 1 H) 7.96 (dd, J=8.38, 1.43 Hz, 1 H);質量スペクトル(ES) m/e= 448 (M+1)。
【0029】
(実施例4)
2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸硫酸塩(式(I):硫酸塩)

およそ50 mgの2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸トリフルオロアセテート(実施例2の生成物)をバイアルに加え、MeOH/EtOAc中に溶解した。この溶液を飽和NaHCO3、H2Oおよびブラインで洗浄した。有機相をMgSO4 で乾燥し、回転式エバポレーターで濃縮した。得られた無定形固体にEt2OおよびEtOAcを固体が溶解するまで加え、その後数滴の濃縮H2SO4を加えた。この溶液を白色の沈殿物が生じるまで撹拌した。溶液をろ過し、回収した固体をEtOAcで洗浄した。塩を真空フィルター上で乾燥し、20 mgの標記化合物 4を得た: 1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 3.14 (t, J=6.42 Hz, 2 H) 4.62 (t, J=6.60 Hz, 2 H) 6.03 (s, 1 H) 7.00 - 7.04 (m, 2 H) 7.15 - 7.20 (m, 3 H) 7.20 - 7.25 (m, 4 H) 7.34 - 7.45 (m, 7 H) 7.90 (d, J=1.25 Hz, 1 H) 7.97 (dd, J=8.38, 1.43 Hz, 1 H);質量スペクトル(ES) m/e= 448 (M+1)。
【0030】
(実施例5)
2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸ナトリウム塩(式(I):ナトリウム塩)

58 mg (0.13 mmol)の2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボン酸トリフルオロアセテート(実施例2の生成物)のMeOH/EtOAc溶液を飽和NaHCO3, H2O,およびブラインで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、回転式エバポレーターで濃縮した。得られたレジンを5 mLのTHF中に溶解し、0.5 M NaHCO3 溶液0.259 mL をピペットを用いて加えた。いくらかの固体が溶液から凝結し、それを少量のH2Oを加えて溶解した。この溶液を回転式エバポレーターで濃縮し、52 mgの標記化合物 5を得た: 1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 3.08 (t, J=6.96 Hz, 2 H) 4.38 (t, J=6.96 Hz, 2 H) 6.15 (s, 1 H) 7.06 - 7.18 (m, 6 H) 7.18 - 7.26 (m, 7 H) 7.27 - 7.32 (m, 4 H) 7.75 (dd, J=8.29, 1.52 Hz, 1 H) 7.85 (d, J=1.07 Hz, 1 H);質量スペクトル(ES) m/e= 448 (M+1)。
【0031】
(実施例6)
2-(ベンズヒドリルアミノ)-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミド (式(II))

式(II)の2-(ベンズヒドリルアミノ)-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミド (2-[(ジフェニルメチル)アミノ]-1-(2-フェニルエチル)-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミドとしても知られる)は以下のとおりに合成した。3-フルオロ-4-ニトロ安息香酸 (1.28 g;6.9 mmol)の無水N,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)溶液を、[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート] (2.6 g;6.9 mmol)、続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン (3.6 ml, 20.7 mmol)で処理した。5分間振とうした後、混合液をポリスチレン Rink アミド AM レジン (1.0 g;0.69 mmol/g;0.69 mmol)に加え、反応を25℃にて18時間回転した。反応液を棄て、レジンをN,N-ジメチルホルムアミド (3X)、ジクロロメタン (3X)、メタノール(2X)およびジクロロメタン (3X)を順次用いて洗浄した。乾燥したレジンをN-メチルピロリジノン溶液中0.5 Mのフェネチルアミン(15.2 mL)で処理して、70℃にて15時間回転した。反応液を冷却して廃棄し、レジンをN,N-ジメチルホルムアミド (3X)、ジクロロメタン (3X)、メタノール(2X)およびジクロロメタン (3X)を順次用いて洗浄した。レジンをN-メチルピロリジノン溶液中2.0 MのSnCl2・二水和物(3.8 mL)で処理し、25℃にて24時間回転した。反応液を廃棄し、レジンを30% エチレンジアミン (3X)、N,N-ジメチルホルムアミド (3X)、ジクロロメタン (3X)、メタノール(2X)およびジクロロメタン (3X)を用いて順次洗浄した。乾燥したジアミンレジンをN-メチルピロリジノン溶液中0.5 MのベンズヒドリルイソチオシアネートおよびN-メチルピロリジノン溶液中1.0 Mのジイソプロピルカルボジイミド(7.6 mL)で処理した。80℃にて24時間回転した後、反応液を25℃まで冷却して廃棄し、レジンをN,N-ジメチルホルムアミド (3X)、ジクロロメタン (3X)、メタノール(2X)およびジクロロメタン (3X)を順次用いて洗浄した。レジンを95% トリフルオロ酢酸 (TFA)水溶液(30 ml)で処理し、25℃にて3時間回転した。レジンを排水し、ジクロロメタンで洗浄した。濾液を真空下で濃縮し、油を得た。油をジクロロメタン中に再溶解し、そしてこの溶液を飽和重炭酸ナトリウム (NaHCO3)で2回洗浄した。有機相を乾燥し (Na2SO4)、ろ過して、真空下で濃縮した。粗生成物をEt2O/ヘキサンと共に粉末にし、固体をろ過して回収し333 mg (収率98%)の標記化合物 6を灰白色の固体として得た: 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 7.68 (m, 2 H), 7.63 (d, 1 H, J = 8.4), 7.54 (dd, 1 H, J = 8.0, 1.2), 7.40-7.00 (m, 17 H), 6.36 (d, 1 H, J = 8), 4.42 (t, 2 H, J = 7.4), 2.97 (t, 2 H, J = 7.4);MS (ESP+) m/e 447 (MH+)。
【0032】
(実施例A)
ビリルビンのモンキーテスト
実施例4の生成物を5% DMSO:2% Tween 80:10% SBE-CD(1M相当のHClを伴う)中に6mg/mlにて製剤化し、30 mg/kgにて投薬した。カニクイザル(Cynomolgus monkeys (各群 n=6))より、0日目午前9時に基準となる血液を採取した。1日目、午前7時にサルに朝食を与えた。1時間後、残った餌を全て取り除き、絶食を開始した。絶食の1日目および2日目に1日2回、化合物またはビヒクルを経口投与し、3日目の朝(午前8時)に経口投与を行い、その後血液を採取した(午前9時)。この段階でサルには再び餌を与えた。経口投与はおよそ午前8時と午後4時に強制経口投与によって行った。血液生化学検査によって、基準および処理後に採血した血液を調べた。ビリルビンのレベルにおいて有意な変化を検出した。予想通り、ビリルビンは絶食状態において増加していた(総、直接的および間接的ビリルビンはそれぞれ、基準値の2.0、2.4および1.92倍に変化した)。実施例4の生成物の投与により、ビリルビンレベルはさらに増加した (総、直接的および間接的ビリルビンはそれぞれ、基準値の3.74、4.71および3.53倍に変化した)。
【0033】
ビリルビン値:
【表1】

【0034】
血中のビリルビンレベルが高い、正常または若干高いヒトの統計分析より、これらのヒトが心疾患発症のリスクが低いことが示される。
【0035】
臨床的正常値:
DBIL:直接ビリルビン:0.1〜0.3 mg/dl
TBIL:総ビリルビン:0.3〜1.5 mg/dl
IBIL:間接ビリルビン:0.2〜0.7 mg/dl
薬剤処理による血清ALTまたはASTレベルの増加は検出されなかった。
【0036】
本発明の諸構成は本発明の範囲を逸脱することなく変化できるものと理解される。さらに、上記説明は例示を目的とするのみであって、限定を目的とするものではない。本発明は特許請求の範囲によって特定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表される化合物:
【化1】

またはその製薬上許容される塩もしくはエステル。
【請求項2】
前記化合物が式(I)の化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が式(I)の製薬上許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が式(I)の製薬上許容されるエステルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
以下の式(I)もしくは(II)で表される化合物:
【化2】

または式(I)の製薬上許容される塩もしくはエステルまたは式(II)の製薬上許容される塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項5記載の医薬組成物をヒトに投与することを含む、該ヒトにおける心疾患を予防する、心疾患の発症を遅延する、または心疾患を治療する方法。

【公表番号】特表2010−518011(P2010−518011A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548401(P2009−548401)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/052376
【国際公開番号】WO2008/097766
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】