説明

化学化合物

本発明は、式(I):
【化1】


[式中、記号は本明細書中で定義されている]の化合物;該化合物の製造方法;およびケモカイン(例えばCCR3)またはH1介在疾病状態の処置における該化合物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬理活性を有するピペリジン誘導体、該誘導体の製造方法、該誘導体を含む医薬組成物、および活性な治療薬としての該誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬学的に活性なピペリジン誘導体は、WO 99/38514、WO 99/04794、および WO 00/35877 に開示されている。
【0003】
ヒスタミンは、塩基性のアミンである2−(4−イミダゾリル)−エチルアミンであり、ヒスチジン デカルボキシラーゼによって、ヒスチジンから形成される。ヒスタミンは、身体の大部分の組織で見出されるが、肺、皮膚、および胃腸管において、高濃度で存在する。細胞レベルでは、肥満細胞や好塩基球のような炎症性細胞が、大量のヒスタミンを蓄えている。肥満細胞や好塩基球の脱顆粒と、続くヒスタミンの放出は、アレルギー過程の臨床的発症に対応する基本的なメカニズムであると認識されている。ヒスタミンは、H1、H2、およびH3の3つの主要なタイプである特異的ヒスタミン G−タンパク質結合受容体への効果によって、その作用を生じる。ヒスタミン H1 アンタゴニストは、アレルギー性疾患、特に鼻炎および蕁麻疹を有する患者の処置に用いられる薬物の最も大きなクラスを構成する。H1のアンタゴニストは、例えば毛細血管後の静脈の平滑筋へのヒスタミンの作用をブロックし、その結果血管の透過性、滲出、および浮腫を減少させることによって、アレルギー応答を制御するのに有用である。該アンタゴニストはまた、c−タイプの痛覚神経線維上のH1 受容体へのヒスタミンの作用をブロックし、その結果かゆみとくしゃみを減少させる。
【0004】
ケモカインは、広く様々な細胞によって放出され、マクロファージ、T細胞、好酸球、好塩基球、および好中球を炎症部位に引き寄せる走化性サイトカインであり、また免疫系の細胞の成熟にも役割を果たしている。ケモカインは、喘息、アレルギー性疾患、およびリウマチ性関節炎やアテローム硬化症のような自己免疫性疾病を含む、種々の疾患において、免疫応答および炎症応答に重要な役割を果たしている。これらの分泌された小分子は、保存された4個のシステイン・モチーフによって特徴付けられている8〜14kDaのタンパク質の増大しつつあるスーパーファミリーである。ケモカインのスーパーファミリーは、特徴的な構造モチーフを示す、Cys−X−Cys (C−X−C、またはα)ファミリーと Cys−Cys (C−C、またはβ)ファミリーの、2つの主要なグループに分類される。これらは、システイン残基のNH−隣接ペアの間への1個のアミノ酸の挿入、および配列の類似性に基づいて分類されている。
【0005】
C−X−Cケモカインは、インターロイキン−8(IL−8)や好中球活性化ペプチド 2(NAP−2)のような、幾つかの好中球の強力な走化性物質とアクチベーターを含む。
C−Cケモカインは、単球とリンパ球の強力な走化性物質を含むが好中球の走化性物質を含まず、例えばヒトの単球走化性タンパク質1−3(MCP−1、MCP−2、およびMCP−3)や、RANTES(Regulated on Activation, Normal T Expressed and Secreted)や、エオタキシンやマクロファージ炎症性タンパク質 1αおよび1β(MIP−1αおよびMIP−1β)である。
【0006】
研究の結果、ケモカインの作用が、CCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、およびCXCR4と名付けられた受容体である受容体のうち、Gタンパク質結合受容体のサブファミリーによって、媒介されていることが証明された。これらの受容体は、これらの受容体を調節する薬剤が上記の疾患の処置に有用であることから、薬剤を開発するのに好適なターゲットとなっている。
【0007】
ウイルスの感染は、肺の炎症を引き起こすことが知られている。一般的な風邪は、気道において、粘膜のエオタキシン産出を増大させることが実験的に示されている。鼻へのエオタキシンの滴下は、幾つかの一般的な風邪の兆候と症状を模造し得る (Greiff L et al Allergy (1999) 54(11) 1204-8 [Experimental common cold increase mucosal output of eotaxin in atopic individuals] および Kawaguchi M et al Int. Arch. Allergy Immunol. (2000) 122 S1 44 [Expression of eotaxin by normal airway epithelial cells after virus A infection] を参照のこと)。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
nおよびmは、独立して、0または1であり;
A、B、D、E、Gは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
Qは、水素またはヒドロキシであり;
Wは、CH、O、NH、またはN(C1−4アルキル)であり;
は、所望によりハロゲン、シアノ、C(O)NH、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシによって置換されているフェニルであり;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、NR、C1−6アルキル(所望によりハロゲンで置換されている)、C1−6アルコキシ(所望によりハロゲンで置換されている)、S(O)(C1−6アルキル)、S(O)CF、またはS(O)NRであり;
は、水素、C1−6アルキル、またはベンジルであり;
pおよびqは、独立して、0、1、または2であり;
、R、R、およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル(所望によりハロゲン、ヒドロキシ、またはC3−6シクロアルキルによって置換されている)、CH(C2−5アルケニル)、フェニル{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された通りの環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された通りの環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}、または複素環{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}であり、
あるいは、NRまたはNRは、独立して、4〜7員環の複素環式環、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼピン、モルホリン、またはピペラジンを形成してもよく、後者は、所望により、遠位の窒素で、C1−4アルキルによって置換されている]の化合物、もしくはそのN−オキシド;もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を提供する。
【0009】
本発明のある種の化合物は、異なる異性体(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体)の形態で存在し得る。本発明は、このような異性体の全て、および全ての割合のそれらの混合物を含む。
【0010】
適切な塩は、酸付加塩、例えば塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、酢酸塩、二酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩を含む。
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば水和物)として存在してもよく、本発明は、全てのこのような溶媒和物を含む。
【0011】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。ハロゲンは、例えば、フッ素または塩素である。
【0012】
アルキル基およびアルキル部分は、直鎖または分枝鎖であり、例えば1から6個(例えば1から4個)の炭素原子を含む。アルキルの例は、メチル、エチル、−プロピル、iso−プロピル、またはtert−ブチルである。
【0013】
ハロアルキル基および部分は、上記で定義した通りのアルキル部分を含み、かつ1個もしくはそれ以上 (例えば1から6個)の同一もしくは異なるハロゲン原子を含む。ハロアルキルは、例えばCFである。
【0014】
アルケニル基は、例えば2から6個(例えば2から4個)の炭素原子を含む。アルケニル基の例は、ビニルまたはアリルである。
【0015】
1つの具体的態様において、シクロアルキル基は、3から6個の炭素原子を含み、単環式である。シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0016】
複素環は、所望により1個もしくはそれ以上の他の環が縮合している、窒素、酸素および硫黄を含む群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、芳香族性もしくは非芳香族性の5員環もしくは6員環であるか;またはそのN−オキシド、またはそのS−オキシドもしくはS−ジオキシドである。複素環は、例えば、フリル、チエニル(チオフェニルとしても知られている)、ピロリル、2,5−ジヒドロピロリル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピリジニル、ジヒドロピリジニル(例えば6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジニル部分における)、ピリミジニル、インドリル、2,3−ジヒドロインドリル、ベンゾ[b]フリル(ベンゾフリルとしても知られている)、ベンゾ[b]チエニル(ベンゾチエニルまたはベンゾチオフェニルとしても知られている)、2,3−ジヒドロベンゾ[b]チエニル(例えば1−ジオキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[b]チエニル部分における)、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(例えば1H−ベンゾチアゾール−2−オン−イル部分における)、2,3−ジヒドロベンゾチアゾリル(例えば2,3−ジヒドロベンゾチアゾール−2−オン−イル部分における)、1,2,3−ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル(例えばイミダゾ[1,2a]ピリジニル)、チエノ[3,2−b]ピリジン−6−イル、1,2,3−ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフラザン(2,1,3−ベンゾオキサジアゾリルとしても知られている)、キノキサリニル、ジヒドロ−1−ベンゾピリリウミル(例えばクマニルもしくはクロモニル部分における)、3,4−ジヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジニル(例えば2−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−1H−2,1−ベンゾチアジニル部分における)、ピラゾロピリジン(例えば1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル)、プリン(例えば3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン−8−イル部分における)、キノリニル、イソキノリニル、ジヒドロイソキノリニル(例えば2H−イソキノリン−1−オン−イル部分における)、ナフチリジニル(例えば[1,6]ナフチリジニル、または[1,8]ナフチリジニル)、ジヒドロ[1,8]ナフチリジニル(例えば1H−[1,8]ナフチリジン−4−オン−イル部分における)、ベンゾチアジニル、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば4H−ベンゾ[1,4]チアジン−3−オン−イル部分における)、ベンゾ[d]イミダゾ[2,1−b]チアゾール−2−イル、またはジベンゾチオフェニル(ジベンゾチエニルとしても知られている);またはそのN−オキシド、またはそのS−オキシドもしくはS−ジオキシドである。
【0017】
式(I)の化合物の−オキシドは、例えば、1−オキシ−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル化合物である。
【0018】
1つの特定の態様において、本発明は、式(I):
【化2】

[式中、
nおよびmは、共に1であり;
A、B、D、E、Gは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
Qは、水素またはヒドロキシであり;
Wは、CH、O、NH、またはN(C1−4アルキル)であり;
は、所望によりハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシによって置換されているフェニルであり;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、NR、C1−6アルキル(所望によりハロゲンで置換されている)、C1−6アルコキシ(所望によりハロゲンで置換されている)、S(O)(C1−6アルキル)、S(O)CF、またはS(O)NRであり;
は、水素、C1−6アルキルまたはベンジルであり;
pおよびqは、独立して、0、1、または2であり;
、R、R、およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル(所望によりハロゲン、ヒドロキシ、またはC3−6シクロアルキルによって置換されている)、CH(C2−5アルケニル)、フェニル{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された通りの環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}、または複素環{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}であり、
あるいは、NRまたはNRは、独立して、4〜7員環の複素環式環、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼピン、モルホリン、またはピペラジンを形成してもよく、後者は、所望により、遠位の窒素で、C1−4アルキルによって置換されている]の化合物;またはそのN−オキシド;またはそれらの薬学的に許容される塩;またはそれらの溶媒和物を提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、WがOである化合物を提供する。
いっそうさらなる態様において、本発明は、nおよびmが共に1である式(I)の化合物を提供する。
【0020】
別の態様において、Rは、所望によりハロゲン(例えば塩素またはフッ素)、シアノ、C1−4アルキル(例えばメチル)、またはC1−4アルコキシ(例えばメトキシ)で置換されている(例えば独立して1置換もしくは2置換されている)フェニルである。
【0021】
さらに別の態様において、Rは、所望により、ハロゲン(例えば塩素またはフッ素)、C1−4アルキル(例えばメチル)、またはC1−4アルコキシ(例えばメトキシ)で置換されている(例えば、独立して1置換もしくは2置換されている)フェニルである。
【0022】
さらなる態様において、Rは、所望により(例えば1個、2個、もしくは3個の、同一もしくは異なる基で)、フッ素、塩素、シアノ、C1−4アルキル(例えばメチル)、またはC1−4アルコキシ(例えばメトキシ)で置換されているフェニルである。いっそうさらなる態様において、Rは、フッ素、塩素、シアノ、およびメチルから独立して選択される、1個、2個、もしくは3個の(例えば2個もしくは3個の)置換基によって置換されているフェニルである。例えば、Rは、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロ−3−メチルフェニル、3,4−ジクロロ−2−メチルフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−クロロ−2−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、または3−クロロ−4−シアノフェニルである。
【0023】
いっそうさらなる本発明の態様において、Qは水素である。
さらに別の本発明の態様において、Rは水素である。
さらなる本発明の態様において、Aは、CCO{ここで、例えばRは水素またはC1−4アルキル(例えばメチル)である}である。
【0024】
いっそうさらなる本発明の態様において、A、B、D、E、Gのうちの1つは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
ここで、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−4アルキル(例えばメチルまたはエチル)、C1−4アルコキシ(例えばメトキシまたはエトキシ)、CF、OCF、S(O)(C1−4アルキル)(例えばS(O)CH)、またはS(O)NHであり;そして
は、水素、またはC1−6アルキル(例えばメチル、エチル、またはtert−ブチル)である。
【0025】
さらに別の本発明の態様において、B、D、E、およびGのうちの1つは、CHであり、そしてそれ以外は、CR、CR、およびCRであり;
ここで、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル(例えばメチルまたはエチル)、C1−4アルコキシ(例えばメトキシまたはエトキシ)、CF、OCF、S(O)(C1−4アルキル)(例えばS(O)CH)、またはS(O)NH{例えば、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−4アルキル(例えばメトキシまたはエトキシ)、またはC1−4アルコキシ(例えばメトキシまたはエトキシ)、CF、またはOCFである}である。さらなる本発明の態様において、B、D、E、およびGは、全てCHである。
【0026】
さらなる本発明の態様において、A、B、D、E、Gは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
ここで、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン(例えばフッ素または塩素)、C1−4アルキル(例えばメチル)、C1−4アルコキシ(例えばメトキシ)、ニトロ、またはCFであり;そして
は、水素、またはC1−6アルキル(例えばメチル、エチル、またはtert−ブチル)である。
【0027】
別の態様において、本発明は、式(I):
[式中、Qは水素であり;
WはOまたはCHであり;
AはCCOであり;
B、D、E、およびGは全てCHであり;
は、ハロゲン(例えば1個もしくは2個の塩素原子によって)、シアノ、またはC1−4アルキル(例えばメチル)によって置換されているフェニルであり;そして
は、水素、またはC1−4アルキル(例えばメチル)である]
の化合物を提供する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、式(I):
[式中、nおよびmは、独立して、0または1であり;
は、所望によりハロゲン(例えばフッ素または塩素)、シアノ、C1−4アルキル(例えばメチル)、またはC(O)NHによって置換されているフェニルであり;
Wは、OまたはCHであり;
Qは、HまたはOHであり;
A、B、D、E、Gは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
ここで、R、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン(例えばフッ素または塩素)、C1−4アルキル(例えばメチル)、C1−4アルコキシ(例えばメトキシ)、ニトロ、またはCFであり;そして
は、水素、またはC1−6アルキル(例えばメチル、エチル、またはtert−ブチル)である]
の化合物を提供する。
【0029】
本発明の化合物は、下記の通りに製造され得る。
式(I)の化合物は、式(II):
【化3】

のフッ化物を、適切な溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、適切な温度(例えば10〜100℃の範囲、例えば70〜90℃)で、所望により適切な塩基(例えば炭酸カリウム)の存在下で、式(III):
【化4】

の化合物で、求核置換することによって製造され得る。
【0030】
式(I)の化合物において、
・Rが水素であるとき、該化合物は、当業界で周知の標準的なエステル化法によって、Rが水素ではない本発明の化合物に変換され得る;そして
・Rが水素ではないとき、該化合物は、当業界で周知の標準的なエステル加水分解法によって、Rが水素である本発明の化合物に変換され得る。
【0031】
式(III)の化合物は、式(IV):
【化5】

の化合物を、例えば適切な溶媒(例えばジクロロメタン)中でトリフルオロ酢酸を用いて、または適切な溶媒(例えばジオキサン)中で塩化水素源を用いて、脱保護することによって製造され得る。
【0032】
Qが水素である式(IV)の化合物は、式(V):
【化6】

の化合物を、NaBH(OAc)および酢酸の存在下、適切な溶媒(例えばテトラヒドロフランまたはジクロロメタン)中で、式(VI):
【化7】

の化合物と反応させることによって製造され得る。
【0033】
Qがヒドロキシである式(IV)の化合物は、適切な溶媒(例えばC1−6脂肪族アルコール、例えばエタノール)中で、室温で、式(V)の化合物を、式(VII):
【化8】

の化合物と反応させることによって製造され得る。
【0034】
あるいは、式(I)の化合物を、Buchwald-Hartwig アミノ化、すなわち式(VIII):
【化9】

[式中、Lはブロモまたはヨードである]の化合物を、適切なパラジウム化合物(例えばトリス−(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム)、リガンド(例えば2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル)、塩基(例えば炭酸セシウム)、および溶媒(例えばエーテルを含む溶媒、例えばジオキシン)の存在下、適切な温度(例えば80〜100℃の範囲)で、式(III)の化合物と、反応させることによって製造され得る。
【0035】
種々の中間体の製造は、WO 00/66559 および WO 01/77101 で見出され得る;あるいは、それらは文献の方法を用いるまたは適合させることによって製造され得る。
さらなる式(I)の化合物は、上記の経路、当業界で記載された方法、または下記の実施例で記載された方法を適合させることによって製造され得る。
【0036】
式(II)から(VII)の化合物は、当業界で記載された方法を用いるまたは適合させることによって製造され得る。種々のフェノキシ ピペリジンの製造は、WO 01/77101 で記載されている。
【0037】
上記の方法において、酸の基またはヒドロキシまたは他の反応の可能性のある基を保護することが望ましいもしくは必要であり得る。適切な保護基および該基の付加および除去の方法は、“Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Edition (1999) by Greene and Wuts で見出され得る。
【0038】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
式(I)の化合物は、医薬として、特にケモカイン受容体(特にCCR3)活性のモジュレーターとして活性を有し、そして自己免疫性、炎症性、増殖性、または過剰増殖性疾患、または免疫介在疾患(移植された臓器もしくは組織の拒絶反応、および後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む)の処置に用いられ得る。
【0039】
これらの状態の例は、
(1)[呼吸管]
以下を含む気道閉塞疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば不可逆性COPD);喘息{例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、または塵埃喘息、特に慢性または難治性喘息(例えば遅発性喘息または気道過剰症)};気管支炎{例えば好酸球性気管支炎};急性、アレルギー性、萎縮性鼻炎、または乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎もしくは薬物性鼻炎を含む慢性鼻炎;クループ性鼻炎、フィブリン性鼻炎、または偽膜性鼻炎を含む膜性鼻炎、または腺病性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む季節性鼻炎、または血管運動神経性鼻炎;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;鼻腔ポリープ症;類肺繊維症(fibroid lung)、特発性間質性肺炎、鎮咳活性、気道の炎症状態に関連する慢性咳または医原誘発性咳の処置;
(2)[骨および関節]
リウマチ性、感染性、自己免疫性、血清反応陰性脊椎関節症を含む関節炎(例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、またはライター病)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、または全身性硬化症;
(3)[皮膚および眼]
乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎またはその他の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、皮膚脈管炎(angiodermas)、脈管炎 紅斑、皮膚好酸球増加症、ブドウ膜炎、円形脱毛症、角膜潰瘍、または春季結膜炎;
(4)[胃腸管]
セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患、または腸から離れた部位に発現する食物関連アレルギー (例えば偏頭痛、鼻炎、または湿疹);
(5)[同種移植片拒絶反応]
例えば腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚、または角膜の移植後の急性および慢性拒絶反応;または慢性移植片対宿主病;および/または
(6)[他の組織または疾患]
アルツハイマー病、多発性硬化症、アテローム硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、狼瘡疾患(例えばエリテマトーデスまたは全身性エリテマトーデス)、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、I型糖尿病、ネフローゼ症候群、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、ハンセン病(例えばらい腫性らい)、歯周病、セザリー症候群、特発性血小板減少性紫斑、または月経周期異常;
である。
【0040】
式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物はまた、H1アンタゴニストであり(従ってアレルギー性疾患の処置に用いられることが可能である);一般的に風邪と言われる兆候および/または症候(例えば一般的な風邪またはインフルエンザまたは他の関連の呼吸器ウイルス感染の兆候および/または症候)を制御するために用いられ得る。
【0041】
本発明のさらなる特徴に従って、ケモカイン介在疾病状態に罹患しているもしくはそのリスクがある哺乳動物(例えばヒト)において、ケモカイン介在疾病状態(特にCCR3介在疾病状態)を処置する方法であって、該処置が必要な哺乳動物に、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を、治療有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0042】
本発明の別の特徴に従って、H1介在疾病状態に罹患しているもしくはそのリスクがある哺乳動物(例えばヒト)において、H1に拮抗する方法であって、該処置が必要な哺乳動物に、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を、治療有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0043】
本発明のさらに別の特徴に従って、一般的に風邪と言われる兆候および/または症候を、該疾病状態に罹患しているもしくはそのリスクがある哺乳動物(例えばヒト)において処置する方法であって、該処置が必要な哺乳動物に、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を、治療有効量で投与することを含む方法を提供する。
【0044】
本発明はまた、治療に使用するための、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を提供する。
【0045】
別の態様において、本発明は、治療(例えばケモカイン受容体活性(特にCCR3受容体活性)を調節する、H1に拮抗する、または一般的に風邪と言われる兆候および/または症候を処置する)に使用する医薬の製造において、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用を提供する。
【0046】
本発明は、さらに、哺乳動物(例えばヒト)において、
(1)[呼吸管]
以下を含む気道の閉塞性疾患:慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば不可逆性COPD);喘息{例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、または塵埃喘息、特に慢性または難治性喘息(例えば遅発性喘息、または気道過剰症)};気管支炎{例えば好酸球性気管支炎};急性、アレルギー性、萎縮性鼻炎、または乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎もしくは薬物性鼻炎を含む慢性鼻炎;クループ性鼻炎、フィブリン性鼻炎、または偽膜性鼻炎を含む膜性鼻炎、または腺病性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む季節性鼻炎、または血管運動神経性鼻炎;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;鼻腔ポリープ症;類肺繊維症、特発性間質性肺炎、鎮咳活性、炎症状態に関連する慢性咳または医原誘発性咳の処置;
(2)[骨および関節]
リウマチ性、感染性、自己免疫性、血清反応陰性脊椎関節症を含む関節炎(例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、またはライター病)、ベーチェット病、シェーグレン症候群、または全身性硬化症;
(3)[皮膚および眼]
乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎またはその他の湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、皮膚脈管炎、脈管炎 紅斑、皮膚好酸球増加症、ブドウ膜炎、円形脱毛症、角膜潰瘍、または春季結膜炎;
(4)[胃腸管]
セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸疾患、または腸から離れた部位に発現する食物関連アレルギー(例えば偏頭痛、鼻炎、または湿疹);
(5)[同種移植片拒絶反応]
例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚、または角膜の移植後の急性および慢性拒絶反応;または慢性移植片対宿主病;および/または
(6)[他の組織または疾患]
アルツハイマー病、多発性硬化症、アテローム硬化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)、狼瘡疾患(例えばエリテマトーデス、または全身性エリテマトーデス)、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、I型糖尿病、ネフローゼ症候群、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、ハンセン病 (例えばらい腫性らい)、歯周病、セザリー症候群、特発性血小板減少性紫斑、または月経周期異常;
の処置に使用する医薬の製造における、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用を提供する。
【0047】
さらなる態様において、本発明は、喘息{例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、または塵埃喘息、特に慢性もしくは難治性喘息(例えば遅発性喘息もしくは気道過敏症)};または鼻炎{急性、アレルギー性、萎縮性、もしくは慢性鼻炎、例えば乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎、または薬物性鼻炎;クループ性、フィブリン性、または偽膜性鼻炎を含む膜性鼻炎、または腺病性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む季節性鼻炎、または血管運動性鼻炎を含む}の処置に使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
さらにさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、喘息の処置に有用である。
本発明はまた、喘息{例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、または塵埃喘息、特に慢性もしくは難治性喘息(例えば遅発性喘息または気道過敏症)};または鼻炎{急性、アレルギー性、萎縮性、または慢性鼻炎、例えば乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎、乾燥性鼻炎、または薬物性鼻炎;クループ性、フィブリン性、偽膜性鼻炎を含む膜性鼻炎、または腺病性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む季節性鼻炎、または血管運動性鼻炎を含む}の処置に使用する医薬の製造における、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0049】
哺乳動物(例えばヒト)の治療的処置のために本発明の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を使用するために、該成分は、通常、標準的な製薬上の常法に従って、医薬組成物として製剤化される。従って、別の態様において、本発明は、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物(活性成分)、および薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体を含む医薬組成物を提供する。
【0050】
さらなる態様において、本発明は、該組成物の製造方法であって、活性成分を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、もしくは担体と混合することを含む方法を提供する。投与方法に依存して、医薬組成物は、例えば、0.05から99%w(重量パーセント)、例えば0.05から80%w、例えば0.10から70%w、例えば0.10から50%wの活性成分を含む。全ての重量パーセントは、組成物の総量に基づく。
【0051】
本発明の医薬組成物は、処置することが望ましい疾病状態に標準的な方法で、例えば局所の(例えば肺および/または気道に、または皮膚に)、経口の、直腸の、または非経腸の投与によって、投与され得る。これらの目的のために、本発明の化合物は、当業界で既知の方法によって製剤化され得る。本発明の適切な医薬組成物は、0.1mgから1gの活性成分を含む単位投与形で、例えば錠剤もしくはカプセル剤で、経口投与に適切なものである。
【0052】
それぞれの患者は、例えば、0.01mg/kgから100mg/kgの用量を、例えば0.1mg/kgから20mg/kgの範囲の例えば1日に1から4回投与される活性成分を、投与され得る。
【0053】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、in vivo で加水分解され得るエステル、または式(I)の化合物を含む医薬組成物もしくは製剤を、リストに挙げた1以上の状態の処置のための他の治療薬(複数を含む)と、同時にもしくは連続して投与するか、または組み合わせ製剤として投与する、併用治療に関する。
【0054】
特に、炎症性疾患、例えばリウマチ性関節炎、骨関節炎、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、および炎症性腸疾患(これらに制限されない)の処置のために、本発明の化合物は、薬剤、例えば、局所または全身に適用される非選択性シクロオキシゲナーゼ(COX)―1/COX−2阻害剤(例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、およびイブプロフェン、フェナメート、例えばメフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えばアスピリン)を含む非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAIDとする);選択性COX−2阻害剤(例えばメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ(valdecoxib)、ルマロコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブ(parecoxib)、およびエトリコキシブ(etoricoxib));シクロオキシゲナーゼ阻害一酸化窒素ドナー(CINOD);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内、または関節内の経路によって投与される);メトトレキセート、レフルノミド(leflunomide);ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィン、または他の非経腸もしくは経口の金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン(diacerein);関節内治療、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養剤、例えばグルコサミンと併用し得る。
【0055】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、α−、β−、およびγ−インターフェロンを含む、サイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(サイトカインシグナル伝達経路に作用する薬剤、例えばSOCS系のモジュレーターを含む);I型インシュリン様成長因子(IGF−1);IL 1から17を含むインターロイキン(IL)、およびインターロイキン アンタゴニストもしくは阻害剤、例えばアナキンラ(anakinra);腫瘍壊死因子α(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ;アダリムマブ(adalimumab)、およびCDP-870)、および免疫グロブリン分子(例えばエタネルセプト)を含むTNF受容体アンタゴニスト、および低分子量薬剤、例えばペントキシフィリンとの併用に関する。
【0056】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、およびCCR11(C−Cファミリーにおいて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、およびCXCR5(C−X−Cファミリーにおいて)、およびCXCR1(C−X−Cファミリーにおいて)のアンタゴニストとの併用に関する。
【0057】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、マトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMP)、すなわちストロメライシン、コラゲナーゼ、およびゼラチナーゼ、およびアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)、およびストロメライシン−3(MMP−11)、およびMMP−9、およびMMP−12の阻害剤(例えばドキシサイクリンなどの薬剤を含む)との併用に関する。
【0058】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤、または5−リポキシゲナーゼ活性化蛋白質(FLAP)アンタゴニスト、例えばジロートン(zileuton);ABT-761;フェンレウトン(fenleuton);テポキサリン(tepoxalin);Abbott-79175;Abbott-85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン;メトキシテトラヒドロピラン、例えば Zeneca ZD-2138;化合物 SB-210661;ピリジニル置換2−シアノナフタレン化合物、例えば L-739,010;2−シアノキノリン化合物、例えば L-746,530;インドールおよびキノリン化合物、例えば MK-591、MK-886、および BAY x 1005 との併用に関する。
【0059】
本発明の化合物は、さらに、本発明の化合物と、フェノチアジン−3−オール、例えば L-651,392;アミジノ化合物、例えば CGS-25019c;ベンゾキサラミン(benzoxalamine)、例えばオンタゾラスト(ontazolast);ベンゼンカルボキシイミドアミド、例えば BIIL 284/260;および化合物、例えばザフィルルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト(montelukast)、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト(CGP 45715A)、および BAY x 7195 からなる群から選択される、ロイコトリエン(LT) B4、LTC4、LTD4、およびLTE4における受容体アンタゴニストとの併用に関する。
【0060】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、テオフィリンおよびアミノフィリンを含むホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばメチルキサンタニン(methylxanthanine)、およびPDE4阻害剤およびPDE4Dのアイソフォームの阻害剤、およびPDE5の阻害剤を含む選択性PDEイソ酵素阻害剤との併用に関する。
【0061】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ヒスタミン1型受容体アンタゴニスト、例えばセチリジン、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン(desloratadine)、フェキソフェナジン、アクリバスチン(acrivastine)、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン(levocabastine)、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジン(cyclizine)、およびミゾラスチン(mizolastine)(経口、局所、または非経腸で適応される)との併用に関する。
【0062】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール)または胃保護ヒスタミン2型受容体アンタゴニストとの併用に関する。
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ヒスタミン4型受容体アンタゴニストとの併用に関する。
【0063】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、α−1/α−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮交感神経興奮薬、例えばプロピルヘキセドリン(propylhexedrine)、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩、キシロメタゾリン(xylometazoline)塩酸塩、トラマゾリン塩酸塩、およびエチルノルエピネフリン塩酸塩との併用に関する。
【0064】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ムスカリン受容体(M1、M2、およびM3)アンタゴニスト、例えばアトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート(glycopyrrrolate)、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム(tiotropium bromide)、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピン、およびテレンゼピンを含む抗コリン作動薬との併用に関する。
【0065】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、β−アドレナリン受容体アゴニスト(β−受容体サブタイプ1−4)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロール メシレート、およびピルブテロール(そのキラルなエナンチオマーを含む)との併用に関する。
【0066】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、クロモン(クロモグリク酸ナトリウムおよびネドクロミル(nedocromil) ナトリウムを含む)との併用に関する。
本発明は、さらに、本発明の化合物と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロン アセトニド、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニド(ciclesonide)、およびフランカルボン酸モメタゾンとの併用に関する。
【0067】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、核ホルモン受容体調節剤、例えばPPARとの併用に関する。
【0068】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはIg機能を調節するアンタゴニストもしくは抗体、例えば抗−IgE(例えばオマリズマブ(omalizumab))に関する。
【0069】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、サリドマイドとその誘導体、レチノイド、ジトラノール、およびカルシポトリオール(calcipotriol)を含む、他の全身もしくは局所適用抗炎症剤との併用に関する。
【0070】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、アミノサリチレートおよびスルファピリジン、例えばスルファサラジン、メサラジン、バルサラジド(balsalazide)、およびオルサラジン(olsalazine);および免疫調節剤、例えばチオプリン、およびコルチコステロイド、例えばブデソニドとの併用に関する。
【0071】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、β−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、および吸入アミノグリコシドを含む抗菌剤;アシクロビル、ファムシクロビル(famciclovir)、バラシクロビル(valaciclovir)、ガンシクロビル(ganciclovir)、シドフォビルを含む抗ウイルス剤;アマンタジン、リマンタジン(rimantadine);リバビリン;ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir);プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル;ヌクレオシド逆転写阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン;非ヌクレオシド逆転写阻害剤、例えばネビラピン(nevirapine)、エファビレンツとの併用に関する。
【0072】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、心血管薬、例えばカルシウム・チャネル・ブロッカー、β−アドレナリン受容体ブロッカー、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン−2受容体アンタゴニスト;抗高脂血薬、例えばスタチンおよびフィブレート;血液細胞形態のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解剤および血小板凝集阻害剤を含む抗凝血剤との併用に関する。
【0073】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、CNS薬、例えば抗うつ剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L-dopa、ロピニロール(ropinirole)、プラミペキソール(pramipexole)、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサジリン(rasagiline))、comP阻害剤(例えばタスマー(tasmar))、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチン アゴニスト、ドーパミン アゴニスト、および神経型一酸化窒素合成酵素阻害剤、および抗アルツハイマー薬(例えばドネペジル、リバスチグミン(rivastigmine)、タクリン)、COX−2阻害剤、プロペントフィリン、またはメトリホネート(metrifonate)との併用に関する。
【0074】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、中枢作用性および末梢作用性鎮痛剤、例えばオピオイド・アナログおよび誘導体、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、アミトリプチン(amitryptiline)および他の抗うつ剤、アセトアミノフェン、および非ステロイド抗炎症剤を含む急性および慢性疼痛の処置のための薬剤との併用に関する。
【0075】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、非経腸もしくは局所適用(吸入を含む)局所麻酔薬、例えばリグノカインおよびアナログとの併用に関する。
本発明の化合物はまた、ホルモン剤、例えばラロキシフェン、およびビホスホネート、例えばアレンドロネートを含む抗骨粗鬆症剤との併用に用いられ得る。
【0076】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、
(i) トリプターゼ阻害剤;
(ii) 血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;
(iii) インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;
(iv) IMPDH阻害剤;
(v) VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;
(vi) カテプシン;
(vii) チロシンキナーゼ(例えばBtk、Itk、Jak3、MAP)阻害剤(その例は、ゲフィチニブ、イマチニブ メシレートを含む)、セリン/トレオニン キナーゼ阻害剤(MAPキナーゼ(例えばp38、JNK、プロテイン キナーゼ A、B、およびC、およびIKK)阻害剤を含み、これに制限されない)、細胞周期制御に関するキナーゼ(サイクリン依存性キナーゼを含み、これに制限されない)阻害剤を含む(これらに制限されない)キナーゼ阻害剤;
(viii) グルコース−6 ホスフェート デヒドロゲナーゼ阻害剤;
(ix) キニン−B−および−B−受容体アンタゴニスト;
(x) 抗痛風剤、例えばコルヒチン;
(xi) キサンチン オキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;
(xii) 尿酸排泄剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンおよびベンズブロマロン;
(xiii) 成長ホルモン分泌促進物質;
(xiv) トランスフォーミング成長因子(TGFβ);
(xv) 血小板由来成長因子(PDGF);
(xvi) 線維芽細胞成長因子、例えば塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF);
(xvii) 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);
(xviii) カプサイシン クリーム;
(xix) タキキニン NKおよびNK受容体アンタゴニスト、例えば NKP-608C、SB-233412 (talnetant) および D-4418 からなるグループ;
(xx) エラスターゼ阻害剤、例えば UT-77 および ZD-0892 からなるグループ;
(xxi) TNF−α変換酵素(TACE)阻害剤;
(xxii) 誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;または
(xxiii) TH2細胞で発現される化学誘引物質受容体相同分子(例えばCRTH2アンタゴニスト);
(xxiv) P38阻害剤;
(xxv) トール様受容体(TLR)機能調節剤;および
(xxvi) プリン受容体(例えばP2X7)の活性調節剤;
(xxvii) 転写因子活性化阻害剤、例えばNFkB、API、およびSTATS;
との併用に関する。
【0077】
本発明の化合物はまた、癌の処置のための現存する治療薬との併用に用いられ得る。併用に適した薬剤は
(i) 例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェン マスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、およびニトロソ尿素);代謝拮抗剤(例えば葉酸代謝拮抗剤、例えばフルオロピリミジン(5−フルオロウラシルおよびテガフールなど))、ラルチトレキセド(raltitrexed)、メトトレキセート、シトシン アラビノシド、ヒドロキシ尿素、ゲムシタビン、およびパクリタキセル;抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン(アドリアマイシンなど)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、およびミトラマイシン(mithramycin));有糸分裂阻害剤(例えばビンカ アルカロイド(ビンクリスチン(vincristine)など)、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン、およびタキソイド(taxoid)(タキソールおよびタキソテールなど);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン(エトポシドおよびテニポシド(teniposide)など)、アムサクリン、トポテカン(topotecan)、およびカンプトテシン)などの医学的腫瘍学で用いられる抗増殖/抗腫瘍薬およびそれらの併用;
【0078】
(ii) 細胞分裂停止剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体下方制御因子(例えばフルベストラント(fulvestrant))、抗アンドロゲン剤(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)、および酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニスト、またはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリン、およびブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール(letrozole)、ボラゾール(vorazole)、およびエキセメスタンとして)、および5α−リダクターゼ阻害剤(例えばフィナステリド);
(iii) 癌細胞浸潤(invasion)を阻害する薬剤(例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤(マリマスタット(marimastat)など)およびウロキナーゼ・プラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤);
【0079】
(iv) 成長因子機能の阻害剤、例えば成長因子抗体、成長因子受容体抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ、および抗erbb1抗体セツキシマブ(cetuximab)[C225])、ファルネシル・トランスフェラーゼ阻害剤、チロシン・キナーゼ阻害剤、およびセリン/トレオニン・キナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリー・チロシン・キナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ, AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ(erlotinib), OSI 774)、および6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、例えば血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、および例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤を含む阻害剤;
【0080】
(v) 抗血管新生剤(例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ(bevacizumab)、例えば国際特許出願 WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856、および WO 98/13354に開示された化合物)、および他のメカニズムによって作用する化合物(例えばリノマイド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
【0081】
(vi) 血管損傷剤(例えばコンブレタスタチン(combretastatin) A4、および国際特許出願 WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434、および WO 02/08213 で開示された化合物);
(vii) アンチセンス治療(例えば上記で挙げた標的に指向性であるもの(例えば ISIS 2503、抗rasアンチセンス));
【0082】
(viii) 例えば異常遺伝子(例えば異常p53または異常BRCA1もしくはBRCA2、GDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療))アプローチ(例えばシトシン・デアミナーゼ、チミジン・キナーゼ、または微生物性ニトロ還元酵素を用いるもの)、および化学療法もしくは放射線治療に対する患者耐容性を増大させるアプローチ(例えば多薬剤耐性遺伝子治療)を含む遺伝子治療アプローチ;および
【0083】
(ix) 例えば、患者の腫瘍細胞の免疫原性を増大させる ex vivo アプローチおよび in vivo アプローチ(例えば、サイトカイン(例えばインターロイキン 2、インターロイキン 4、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)でのトランスフェクション)、T細胞アネルギーを減少させるアプローチ、トランスフェクトさせた免疫細胞(例えばサイトカインをトランスフェクトさせた樹状細胞)を用いたアプローチ、サイトカインをトランスフェクトさせた腫瘍細胞株を用いたアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチを含む、免疫治療アプローチ;
を含む。
【0084】
本発明は、以下の非制限的実施例によって説明され、別記しない限り、
(i) 記載した場合は、H−NMRデータは、300MHzまたは400MHzで、別記しない限り溶媒として重水素化DMSO−D6(CDSOCD)またはCDClを用いて測定した、主要な示性プロトンのδの値の形で、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示す;
(ii) 質量スペクトル(MS)は、70eVの電子エネルギーで、化学イオン化(CI)モードにおいて、直接曝露プローブを用いて行った;ここで、記載のイオン化は、電子衝撃(EI)、または高速原子衝撃(FAB)によって行った;ここで、m/zの値は、一般的に、親マスを示すイオンのみを示し、別記しない限り、記載した質量イオンは、正の質量イオン、すなわち(M+H)である;
(iii) 実施例の表題化合物および副題化合物および方法は、the name program from Advanced Chemistry Development Inc version 6.0 を用いて命名した;
(iv) 別記しない限り、逆相HPLCは、Symmetry(登録商標)、NovaPak(登録商標) または Xerra(登録商標) 逆相シリカカラムを用いて行った;そして
(v)以下の略号を使用する。
【表1】

【実施例】
【0085】
中間体1
これは、4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペリジンの製造を説明している。
a) tert−ブチル 4−{[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エステル
4−(3,4−ジクロロフェノキシ)ピペリジン(1.27g)を、テトラヒドロフラン(20ml)に溶解し;酢酸(0.5ml)、およびtert−ブチル 4−ホルミルピペリジン−1−カルボン酸エステル(1.43g)を、溶液に加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次にトリアセトキシ 水素化ホウ素ナトリウム(1.53g)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を2M 水酸化ナトリウム溶液(50ml)に注ぎ、生成物をジエチルエーテルで抽出した。合わせたエーテル抽出物を塩水で洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発させた。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィー(979:20:1 ジクロロメタン:メタノール:水性アンモニアで溶出)によって精製し、副題化合物を得た(2.15g)。
MS 443/445 [M+H]+ (ES+)
1H NMR δ (CDCl3) 1.06 (2H, ddd), 1.45 (9H, s), 1.61 - 1.82 (5H, m), 1.92 - 1.98 (2H, m), 2.16 - 2.27 (4H, m), 2.65 - 2.73 (4H, m), 4.08 (2H, d), 4.25 (1H, dq), 6.75 (1H, dd), 6.99 (1H, d), 7.30 (1H, d)
【0086】
b) 4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−ピペリジン
tert−ブチル 4−{[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸エステル(1.0g)を、ジクロロメタン中の20% TFA(20ml)の混合物に加え、混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発によって除去し、2M 水酸化ナトリウム溶液(25ml)を残渣に加えた。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機相を塩水で洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発させ、表題化合物を得た(0.5g)。
MS 343/345 [M+H]+ (ES+)
1H NMR δ (CDCl3) 1.10 (2H, qd), 1.60 (1H, quintet), 1.73 - 1.83 (4H, m), 1.90 - 2.01 (2H, m), 2.16 - 2.26 (4H, m), 2.55 - 2.70 (4H, m), 3.09 (2H, d), 4.24 (1H, dquintet), 6.75 (1H, dd), 6.99 (1H, d), 7.27 (1H, d)
【0087】
下記の中間体を、類似の方法で、適切なアリールオキシピペリジンまたはアリールメチルピペリジンから製造した。
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
中間体12
これは、2−クロロ−4−(ピペリジン−4−イルオキシ)ベンゾニトリルの製造を説明している。
4−ピペリジノール(6.5g)を、N−メチル−2−ピロリジノン(25ml)中のカリウム tert−ブトキシド(7.2g)の溶液に加え、室温で30分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、2−クロロ−4−フルオロ−ベンゾニトリル(10g)を少しずつ加えた。反応混合物を室温に至らしめ、終夜撹拌した。LC/MSは、必要な生成物の質量で、主要なピークを示した。反応物を塩化アンモニウム溶液の添加によってクエンチし、混合物を酢酸エチルと水の層間に分配した。該酢酸エチルを、水で、次に塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空で濃縮した。粗製の物質を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、2〜5%メタノール、ジクロロメタン中の0.1%トリエチルアミンで溶出し、表題化合物を得た(6.6g)。
MS (APCI+ve) 236/238
1H NMR δ(CD3OD) 2.00 - 2.29 (4H, m), 3.22 - 3.47 (4H, m), 4.85 - 4.92 (1H, m), 7.14 (1H, dd), 7.33 (1H, d), 7.76 (1H, d).
【0090】
下記の中間体を、類似の方法で、2−クロロ−4−フルオロ−3−メチルベンゾニトリルから製造した。
【表4】

【0091】
中間体14
これは2−クロロ−4−フルオロ−3−メチルベンゾニトリルの製造を説明している。
THF(10ml)中の、2−クロロ−4−フルオロベンゾニトリル(1g)およびTMEDA(1.13ml)を、窒素下で−78℃まで冷却した。Sec−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.3M, 8.54ml)を、温度を−70℃以下に保ちながら、20分にわたって加えた。次に混合物を−78℃で2.5時間撹拌した。ヨウ化メチル(0.5ml)を加え、混合物を35分にわたって15℃に至らしめた。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出した。該酢酸エチルを塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た(1.28g)。
保持時間 2.12分 (スタンダード)
【0092】
実施例1
この実施例は、2−[4−[[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−ピペリジニル]メチル]−1−ピペリジニル]−安息香酸メチルの製造を説明している。
4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−ピペリジン(0.2g)、および2−フルオロ安息香酸メチル(0.08g)を、DMF(1ml)に溶解し、この溶液に炭酸カリウム(0.1g)を加えた。反応混合物を85℃で終夜加熱し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。該酢酸エチルを塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空で濃縮し、粗製の黄色の油状物を得た。これをRPHPLCによって精製し、表題化合物を得た(0.15g)。
1H NMR δ(CD3OD) 1.36 - 1.51 (2H, m), 1.66 - 1.89 (5H, m), 1.99 - 2.09 (2H, m), 2.33 - 2.46 (4H, m), 2.70 - 2.84 (4H, m), 3.26 - 3.30 (2H, m), 3.83 (3H, s), 4.38 - 4.48 (1H, m), 6.92 (1H, dd), 7.00 (1H, t), 7.11 - 7.15 (2H, m), 7.38 - 7.47 (2H, m), 7.64 (1H, dd)
MS (APCI+ve) 476/478
【0093】
表1の実施例2〜21を、実施例1と類似の方法で、適切なフッ化アリールおよびアミン物質を用いて、実施例1の一般的方法に従って製造した。
【0094】
実施例22
2−(4−{[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−イル)ニコチン酸メチル
2−クロロニコチン酸メチル(202mg)、4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−(4−ピペリジニルメチル)−ピペリジン(230mg)、および MP carbonate (Argonaut Technologies Inc)(412mg)を、ジメチルアセトアミド(4ml)中で合わせ、マイクロ波オーブン(CEM discover)中で120℃で5分間加熱した。混合物を濾過し、水と酢酸エチルに加えた。相を分離し、水層を酢酸エチルで二回抽出した。有機相を、塩水で、水で、そして再度塩水で洗浄し、次に乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン:メタノール(49:1)で溶出し、表題化合物を得た(125mg)。
MS (ES+ve) 478 / 480 (M+H)+; 保持時間 2.79 (スタンダード).
【0095】
実施例23
3−(4−{[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]メチル}ピペリジン−1−イル)安息香酸エチル
2−メチルプロパン−2−オール(7ml)およびジオキサン(7ml)中の、4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−(4−ピペリジニルメチル)−ピペリジン(350mg)、3−ヨード安息香酸エチル(161mg)、トリス−(ジベンジリジンアセトン)ジパラジウム(4.2mg)、炭酸セシウム(378mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(7mg)の混合物を、95℃で1時間加熱した。さらに3−ヨード安息香酸エチル(138mg)を加え、加熱を3時間続けた。混合物を冷却し、次に水に注ぎ;得られた混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機抽出物を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(溶出 1:1 イソヘキサン:酢酸エチル)にかけ、表題化合物を得た(336mg)。
MS (ES+ve) 491/493 (M+H)+
【0096】
表1の実施例24〜32を、実施例23と類似の方法で、適切な臭化アリールもしくはヨウ化アリール、およびアミン物質を用いて製造した。
【0097】
実施例33
この実施例は、2−[4−[[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−ピペリジニル]メチル]−1−ピペリジニル]−安息香酸の製造を説明している。
2−[4−[[4−(3,4−ジクロロフェノキシ)−1−ピペリジニル]メチル]−1−ピペリジニル]−安息香酸メチル(0.11g)を、THF(1ml)に溶解し、トリメチルシラノール酸カリウム(36mg)で処置した。反応混合物を室温で終夜撹拌し、次にメタノールで希釈し、数滴の酢酸を添加することによって、pH 5まで酸性にした。粗製の溶液をRPHPLCによって精製し、表題化合物を得た(0.080g)。
1H NMR δ(CD3OD) 1.40 - 1.56 (2H, m), 1.64 - 1.76 (2H, m), 1.87 - 1.99 (3H, m), 2.06 (2H, d), 2.28 - 2.38 (4H, m), 2.67 - 2.76 (2H, m), 3.25 - 3.32 (4H, m), 4.28 - 4.38 (1H, m), 6.80 (1H, dd), 7.01 (1H, d), 7.29 (1H, d), 7.38 - 7.44 (1H, m), 7.54 - 7.64 (2H, m), 8.08 - 8.10 (1H, m)
MS (APCI+ve) 460/462
【0098】
表2の実施例を、実施例33と類似の方法で、標準の方法を用いた対応するエステルの加水分解によって製造した。幾つかの場合において、該エステルは単離されず、上記の表に含まれていない;該エステルを上記の表の方法と類似の方法によって製造した。実施例38および94の場合において、出発エステル中のニトリルを、反応条件下で加水分解した。
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
【表7】

【0102】
【表8】

【0103】
【表9】

【0104】
【表10】

【0105】
【表11】

【0106】
表2
加水分解法
A. LiOH/水性THFまたは水性MeOHまたは水性THF−MeOH
B. KOTMS/THF/室温で3日間
C. TFA/ジクロロメタン
D. 6M 水性HCl, 還流
E. 4M HCl/ジオキサン
【0107】
【表12】

【0108】
【表13】

【0109】
【表14】

【0110】
【表15】

【0111】
【表16】

【0112】
【表17】

【0113】
【表18】

【0114】
【表19】

【0115】
【表20】

【0116】
【表21】

【0117】
【表22】

【0118】
【表23】

【0119】
【表24】

【0120】
【表25】

【0121】
【表26】

【0122】
【表27】

【0123】
【表28】

【0124】
【表29】

【0125】
【表30】

【0126】
【表31】

【0127】
【表32】

【0128】
【表33】

【0129】
【表34】

【0130】
【表35】

【0131】
【表36】

【0132】
実施例107
薬理学的な分析:カルシウム・フラックス [Ca2+]アッセイ
ヒトの好酸球
ヒトの好酸球を、前述(Hansel et al., J. Immunol. Methods, 1991, 145, 105-110)のように、EDTA抗凝固性末梢血から単離した。細胞を再度懸濁(5×10個/ml)し、低カリウム溶液 (LKS;NaCl 118mM, MgSO 0.8mM, グルコース 5.5mM, NaCO 8.5mM, KCl 5mM, HEPES 20mM, CaCl 1.8mM, BSA 0.1%, pH 7.4)中で、5μMの FLUO-3/AM+Pluronic F127 2.2μl/ml(Molecular Probes)で、室温で1時間負荷した。負荷後、細胞を200Gで5分間遠心分離し、LKS中で、2.5×10個/mlで再度懸濁した。次に、細胞を96ウェル FLIPr プレート(5μM フィブロネクチンと共に2時間プレインキュベートしたポリ−D−リジン プレート, Becton Dickinson)に、25μl/ウェルで移した。プレートを200Gで5分間遠心分離し、細胞をLKS(200μl;室温)で2回洗浄した。
【0133】
実施例の化合物を、DMSOに前もって溶解し、最終濃度0.1%(v/v) DMSOで加えた。アッセイをA50濃度のエオタキシンを添加することによって開始し、fluo-3 蛍光(λEx=490nm, λEm=520nm)における一過性の増大を、FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader, Molecular Devices, Sunnyvale, U.S.A.)を用いてモニターした。
【0134】
実施例の化合物は、エオタキシン(選択的CCR3アゴニスト)によって誘発される蛍光の増大が濃度依存で阻害された場合、アンタゴニストであることが見出された。50%までの蛍光を阻害するのに必要なアンタゴニストの濃度は、CCR3受容体でのアンタゴニストに対して、IC50を決定するために用い得る。
【0135】
実施例108
ヒトの好酸球の走化性
ヒトの好酸球は、前述(Hansel et al., J. Immunol. Methods, 1991, 145, 105-110)のように、EDTA抗凝固性末梢血から単離した。細胞を、200IU/mlのペニシリン、200μg/mlの硫酸ストレプトマイシンを含むRPMI中で、10×10個/mlで再度懸濁し、10%のHIFCSを室温で加えた。
【0136】
好酸球(700μl)を、7μlの賦形剤もしくは化合物(10% DMSO中、100×望ましい最終濃度)の何れかと共に、15分間37℃でプレインキュベートした。走化性プレート(ChemoTx, 孔径3μl, Neuroprobe)を、一定濃度の実施例の化合物もしくは溶媒を含む、28μlの一定濃度のエオタキシン (0.1から100nM)を、走化性プレートの下方のウェルに添加することによって負荷した。次にフィルターをウェルの上に置き、25μlの好酸球懸濁液を、フィルターの上部に加えた。プレートを、95% 空気/5% COの加湿雰囲気中で、37℃で1時間インキュベートして、ケモタキシスを行わせた。
【0137】
移動しなかった細胞を含む培地を、注意深くフィルター上で吸引し、除去した。フィルターを、5mM EDTAを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、全ての接着細胞を除去した。フィルターを介して移動した細胞を、遠心分離(300G, 5分, 室温)によってペレットにし、フィルターを除去し、上清を96−ウェルプレート(Costar)のそれぞれのウェルに移した。ペレットにした細胞を、0.5% Triton x100 を含む、28μlのPBSを添加することによって溶解し、凍結/解凍を2サイクル行った。次に、細胞のライセート(lysate)を上清に加えた。移動した好酸球の数は、Strath et al., J. Immunol. Methods, 1985, 83, 209 の方法に従って、上清中の好酸球のペルオキシダーゼ活性を測定することによって定量した。
【0138】
実施例の化合物は、エオタキシンに対する濃度応答がコントロールのカーブより右にシフトした場合に、エオタキシン介在ヒト好酸球走化性のアンタゴニストであることが見出された。化合物の存在下もしくは非存在下における50%走化性を与えるのに必要なエオタキシンの濃度を測定することが、本化合物のCCR3への見かけの親和性を計算することを可能とする。
【0139】
実施例109
モルモットの摘出された気管(例えば, Harrison, R.W.S., Carswell, H. & Young, J.M. (1984) European J. Pharmacol., 106, 405-409 参照)
オスのアルビノの Dunkin-Hartley モルモット(250g)を、頸部の脱臼によって殺し、全ての気管を取り出した。随伴する結合組織を除いた後、気管をそれぞれ3個の軟骨のバンドの幅で、6個の環状のセグメントに切り、次に、下記の組成(mM):NaCl 117.6、NaHPO 0.9、NaHCO 25.0、MgSO 1.2、KCl 5.4、CaCl 2.6、およびグルコース 11.1の Krebs-Henseleit 溶液を含む、20mlの器官浴中で懸濁した。緩衝液を37℃に保ち、酸素中の5% COで処理した。インドメタシン(2.8μM)を、Krebs 溶液に加え、シクロオキシゲナーゼ生成物の合成のために、平滑筋の緊張(tone)を妨げる。気管を2つの平行なタングステンのワイヤーフック(一方は Ormed beam isometric force transducer に接着し、他方は器官浴中で静止した支持体に接着している)の間に懸架した。等長力(isometric force)の変化を、2-channel Sekonic flat bed chart recorders で記録した。
【0140】
実験プロトコル
それぞれの実験の開始時に、1gの力を組織に加え、安定な休止状態に達するまで、これを60分間の平衡時間で回復させた。次に、それぞれの組織において、0.5・log10単位の増加で累積ヒスタミン濃度効果(E/[A])カーブを描いた。次に、組織を洗浄し、約30分後、試験化合物または賦形剤(20% DMSO)を添加した。60分間のインキュベーション後、ヒスタミンに対する第二のE/[A]カーブを描いた。
萎縮応答を、第一カーブの最大値のパーセンテージとして記録した。
【0141】
データ分析
実験のE/[A]カーブデータは、試験化合物の存在下または非存在下での、ヒスタミンの活性(p[A50]値)を推定する目的で分析した。試験化合物の親和性の値(pA)は、次に下記の式:
log(r−1)=log[B]+pA
[式中、r=[A]50(試験化合物存在下)/[A]50(アンタゴニスト非存在下)であり;
[B]は、試験化合物の濃度である]を用いて計算した。実施例の化合物は、H1アンタゴニストであることが見出された。
【0142】
実施例110
本発明の化合物のヒスタミン H1 受容体結合活性は、アッセイ緩衝液(2mM MgCl、250mM スクロース、および100mM NaClを含む50mM Tris(pH 7.4))中で、ヒトのH1受容体を発現させたリコンビナントのCHO−K1細胞(Euroscreen SA, Brussels, Belgium, product code ES-390-M)から調製された2μgの膜に対する、1nM [3H]−ピリラミン(Amersham, Bucks, Product code TRK 608, 比活性 30Ci/mmol)の、1時間、室温での競合置換によって評価した。
【0143】
本発明の下記の化合物は、[3H]−ピリラミン結合の阻害を行った。
【表37】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
nおよびmは、独立して、0または1であり;
A、B、D、E、Gは、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;
Qは、水素またはヒドロキシであり;
Wは、CH、O、NH、またはN(C1−4アルキル)であり;
は、所望によりハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシによって置換されているフェニルであり;
、R、およびRは、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、NR、C1−6アルキル(所望によりハロゲンで置換されている)、C1−6アルコキシ(所望によりハロゲンで置換されている)、S(O)(C1−6アルキル)、S(O)CF、またはS(O)NRであり;
は、水素、C1−6アルキル、またはベンジルであり;
pおよびqは、独立して、0、1、または2であり;
、R、R、およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル(所望によりハロゲン、ヒドロキシ、またはC3−6シクロアルキルによって置換されている)、CH(C2−5アルケニル)、フェニル{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された通りの環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された通りの環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}、または複素環{それ自身、所望によりハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、S(O)(C1−4アルキル)、S(O)NH、S(O)NH(C1−4アルキル)、S(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C(O)NH、C(O)NH(C1−4アルキル)、C(O)N(C1−4アルキル)(これらのアルキル基は一体となって下記のRおよびRで記載された環を形成し得る)、COH、CO(C1−4アルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、NHS(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、CF、またはOCFによって置換されている}であり、
あるいは、NRまたはNRは、独立して、4〜7員環の複素環式環、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼピン、モルホリン、またはピペラジンを形成してもよく、後者は、所望により、遠位の窒素で、C1−4アルキルによって置換されている]の化合物、もしくはそのN−オキシド;もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
WがOである請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
nおよびmが共に1である請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、所望によりハロゲン、シアノ、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシで置換されているフェニルである、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
Qが水素である、請求項1から4の何れか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
A、B、D、E、Gの1つが、CCO、CR、CR、CR、およびCHの何れか1つか、またはNを表し;ここで、R、R、およびRが、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、S(O)(C1−4アルキル)、またはS(O)NHであり;そしてRが、水素またはC1−6アルキルである、請求項1から5の何れか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、
a. 式(II):
【化2】

のフッ化物を、適切な溶媒の存在下で、適切な温度で、所望により適切な塩基の存在下で、式(III):
【化3】

の化合物で求核置換すること;
b. Rが水素であるとき、該化合物は、当業界で周知の標準的なエステル化法によって、Rが水素ではない本発明の化合物に変換してもよく;
c. Rが水素ではないとき、該化合物は、当業界で周知の標準的なエステル加水分解法によって、Rが水素である本発明の化合物に変換してもよく;または
d. Buchwald-Hartwig アミノ化、すなわち式(VIII):
【化4】

[式中、Lはブロモまたはヨードである]の化合物を、適切なパラジウム化合物、リガンド、塩基、および溶媒の存在下、適切な温度で、式(III):
【化5】

の化合物と反応させること;
を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物、および薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤もしくは担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
治療に使用するための、請求項1に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
治療に使用するための医薬の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
ケモカイン介在疾患に罹患しているもしくはそのリスクがある哺乳動物において、ケモカイン介在疾病状態を処置する方法であって、該処置が必要な哺乳動物に、請求項1に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を治療有効量で投与することを含む方法。

【公表番号】特表2006−525996(P2006−525996A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508044(P2006−508044)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000693
【国際公開番号】WO2004/099144
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】