説明

化学化合物

本発明は、さまざまな治療的用途を有する新規な化合物を開示する。より特定的には、本発明は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーションに特に有用な新規な対称トリフェニル化合物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、さまざまな治療的用途を有する新規な化合物、より特定的には、選択的エストロゲンレセプターモジュレーション(SERM)に特に有用な対称トリフェニル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エストロゲンは、生殖器系の発生および維持に関与する細胞過程における周知の内分泌レギュレーターである。エストロゲンはまた、骨、肝臓、心臓血管系、および中枢神経系のような多くの非生殖器組織においても重要な作用を有することが明らかにされている。エストロゲンがどのようにその作用を発揮するかに関する最も広く受け入れられている仮説は、細胞内ステロイドホルモンレセプターへの結合である。レセプターおよび結合されたリガンドが細胞の核に移行した後、複合体がDNA中の認識部位に結合することにより、特定の遺伝子のモジュレーションが可能になる。このほか、エストロゲンが膜開始シグナリングカスケードを介してその作用を媒介する可能性があることが、現在、明らかになりつつあるが、この研究の大部分は、依然として実験的なものである。Kousteni et al., Journal of Clinical Investigation, (2003), 111, 1651-1664(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。
【0003】
ある種の物質はその生物学的活性を「組織選択的」に呈しうることが実証されている。言い換えれば、組織選択性により、特定の組織ではエストロゲンアゴニストとして機能するが、他の組織ではエストロゲンアンタゴニストとして作用することが可能になる。「選択的エストロゲンレセプターモジュレーター」(SERM)という用語は、こうした分子を指して用いられてきた。SERMの例としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、クロミフェン、およびナフォキシジンが挙げられる。この組織選択的活性の分子レベルの基本原理は、完全には解明されていない。なんら特定の理論に限定するものではないが、エストロゲンレセプターにさまざまなコンフォメーション状態をとらせてコアクチベータータンパク質およびコリプレッサータンパク質ならびに転写レギュレーションに関与する他の重要なタンパク質を示差的に動員できるようにするリガンドの能力が一翼を担うと考えられる。McDonnell, D. P., The Molecular Pharmacology of SERMs, Trends Endocrinol. Metab. 1999, 301-311(そのような内容に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0004】
歴史的にみると、エストロゲンは、エストロゲンレセプターα(ERα)と現在呼ばれる単一のエストロゲンレセプターを介してその生物学的活性を呈すると考えられていた。しかしながら、つい最近、エストロゲンレセプターβ(ERβ)と呼ばれる第2のサブタイプのエストロゲンレセプターが発見された。Kuiper et al., WO 97/09348およびKuiper et al.,Cloning of a Novel Estrogen Receptor Expressed in Rat Prostate and Ovary, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1996, pp. 5925-5930(そのようなサブタイプに関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。ERβは、ヒトにおいて発現される。Mosselman et al., ERβ: Identification and Characterization of a Novel Human Estrogen Receptor, FEBR S Lett., 1996, pp. 49-53(そのような発現に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。この第2のサブタイプのエストロゲンレセプターの発見により、エストロゲンシグナリングの生物学的複雑さが著しく増大された。また、この発見は、現在入手可能なSERMの組織選択的作用の一部に貢献していると思われる。
【0005】
先に述べたように、エストロゲンは、多くの非生殖器組織において重要な作用を有する。したがって、エストロゲンのモジュレーション(調整)は、骨、肝臓、および中枢神経系をはじめとするそのような組織に関連する疾患および病状の治療および/または予防に有用であると考えられる。たとえば、骨粗鬆症は、単位体積あたりの骨量の純損失により特徴付けられる。そのような骨損失が起こると、身体の適切な構造支持を提供する骨格の破損がもたらされ、それにより骨折を起こす危険性が増大する。最も多く見受けられるタイプの骨粗鬆症の1つは、女性における月経停止後の骨損失の加速および内因性エストロゲンレベルの低下に関連する閉経後骨粗鬆症である。エストロゲンレベルの低下に起因して急速な骨損失が進行している閉経周辺期および閉経後の女性では、骨塊の密度測定値と骨折を起こす危険性との間に逆相関が存在する。Slemenda, et al., Predictors of Bone Mass in Perimenopausal Women, A Prospective Study of Clinical Data Using Photon Abr sorptiometry, Ann. Intern. Med., 1990, pp. 96-101およびMarshall, et al., Meta-Analysis of How Well Measures of Bone Mineral Density Predict Occurrence of Osteoporotic Fractures, Br Med. J., 1996, pp. 1254-1259(いずれも、そのような相関に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。高齢の女性では、現在のところ、生涯にわたり骨折を起こす危険性は約75%である。さらに、米国の50歳過ぎの白人女性では、股関節部骨折を起こす危険性は約40%である。骨粗鬆症性骨折による経済的負担は、入院が必要であるのでかなり大きい。さらに、骨粗鬆症は一般的には命にかかわるものと考えられていないが、股関節部骨折の4ヶ月間以内の死亡率は、現在、約20〜30%である。閉経後骨粗鬆症に対する現在の療法としては、ホルモン補充療法またはビスホスホネートやカルシトニンのような他の抗吸収剤による治療が挙げられる。同様に、SERMは、閉経後骨粗鬆症の治療に有効であることが明らかにされている(Lindsay, R. : Sex steroids in the pathogenesis and prevention of osteoporosis. In: Osteoporosis 1988. Etiology, Diagnosis and Management. Riggs BL (ed)l, Raven Press, New York, USA (1988):333-358; Barzel US: Estrogens in the prevention and treatment of postmenopausal osteoporosis: a review. Am J. Med (1988) 85:847-850; およびEttinger, B., Black, D.M., et al., Reduction of Vertebral Fracture Risk in Postmenopausal Women with Osteoporosis Treated with Raloxifene, JAMA, 1999, 282, 637-645(いずれも、そのような教示に関して、参照により組み入れられるものとする)を参照されたい)。
【0006】
他の例として、乳房組織(特定的には乳癌)に及ぼすエストロゲンの作用については、十分に報告がなされている。たとえば、すでに同定されているSERMのタモキシフェンは、再発乳癌、対側乳癌に罹患する危険性および死亡率を減少させるとともに、疾患の多くの病期において乳癌患者の無病生存率を増大させる。Cosman, F., Lindsay, R. Selective Estrogen Receptor Modulators: Clinical Spectrum, Endocrine Rev., 1999, pp. 418-434(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。しかしながら、タモキシフェンのプロファイルは、子宮組織のような生殖器組織に対して相互作用性を有する可能性があるので理想的なものではない。そのような癌を治療するために療法を改善する余地がある(すなわち、生殖器組織に対して低減されたアゴニスト性を有するSERM)。
【0007】
心臓血管疾患は、閉経後の女性の主要な死亡原因である。最近まで、心臓血管疾患に罹患する危険性が閉経後の女性におけるエストロゲン補充療法により低減されることが圧倒的多数のデータから示唆されたが、全死亡率に対して有益な効果がないことがいくつかの研究で報告された。Barrett-Connor, E. et al., The Potential of SERMs for Reducing the Risk of Coronary Heart Disease, Trends Endocrinol. Metab., 1999, pp. 320-325(参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。エストロゲンが心臓血管系に対してその有益な効果を発揮すると考えられた機序は、完全には明らかになっていない。可能性として、血清コレステロールおよびリポタンパク質に及ぼすエストロゲンの作用、抗酸化性、血管平滑筋増殖、ならびに動脈コレステロール蓄積の抑制が一翼を担うと考えられていた。上掲文献参照。また、Cosman, F., Lindsay, R. Selective Estrogen Receptor Modulators: Clinical Spectrum, Endocrine Rev., 1999, pp. 418-434(参照により本明細書に組み入れられるものとする)をも参照されたい。しかしながら、HERS IIおよびWHI研究に関する最近の報告から判断して、連続的組合せホルモン療法(すなわち、CEE+MPA[コンジュゲート化ウマエストロゲン+酢酸メドロキシプロゲステロン])は、閉経期の女性において心臓血管に有益な効果を示さない。Hulley S., Grady, D., Bush, T., et al., Randomized trial of estrogen plus progestin for secondary prevention of coronary heart disease in postmenopausal women. Heart and Estrogen/progestin Replacement Study (HERS) Research Group. J. Am. Med. Assoc. (1998) 280:605-613およびWassertheil-Smoller S., Hendrix, S.L., Limacher, M., et al., for the WHI Investigators. Effect of estrogen plus progestin on stroke in postmenopausal women: the Women’s Health Initiative: a randomized trial. JAMA (2003) 289, 2673-2684(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。これらの知見がどの程度までSERMにあてはまりうるかは、いまだに決着のついていない問題である。
【0008】
療法の他の選択肢としては、血管運動性症状、泌尿生殖器萎縮、鬱病、および糖尿病の治療に有用であると思われるエストロゲン補充療法および/またはホルモン補充療法が挙げられる。女性の75%超は、更年期中に血管運動性症状を体験する。血管運動性症状や泌尿生殖器萎縮のような臨床徴候は、エストロゲン補充療法で治療すると寛解する。Sagraves, R., J. Clin. Pharmacol. (1995), 35(9 Suppl):2S-10S(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。エストラジオールが閉経周辺期中における鬱病を軽減する可能性があることおよびエストロゲンと選択的セロトニン再取込み阻害剤との組合せが閉経後の期間中における鬱病を軽減する可能性があることが予備データから示唆される。Soares, C. N., Poitras, J. R., and Prouty, J., Drugs Aging, (2003), 20(2), 85-100(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。さらに、ホルモン補充療法により、糖尿病の女性で血糖コントロールが改善される可能性がある。Palin, S.L. et al., Diabetes Research and Clinical Practice, (2001), 54, 67-77; Ferrara, A. et al., Diabetes Care, (2001), 24(7), 1144-1150)(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。しかしながら、より良好な副作用プロファイルを呈する改善された療法が必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明者らは、エストロゲンレセプターαおよびエストロゲンレセプターβに結合しかつそれらをモジュレートする対称トリフェニル化合物の新規なグループを見いだした。SERMとして、これらの化合物は、閉経期または閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器または外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰のような病状の治療および/または予防ならびに骨粗鬆症の治療および/または予防に有用であると考えられる。
【0010】
本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
は、C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ−OH、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、−S−R、−SO−R、および−SO−Rよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、−O−R−Rから選択され;
は、水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、C〜Cアルキレンから選択され;
は、置換型もしくは無置換型のC〜Cアルキル基であり;
は、NR10および1〜4個のNヘテロ原子を含有する飽和または不飽和のヘテロ環から選択され;そして
およびR10は、独立して、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、およびメトキシ(C〜C)アルキルから選択されるか、またはRおよびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、1個以上のハロゲンおよび/もしくは1個以上のC〜Cアルキルで場合により置換されていてもよい4〜8員のヘテロ環を形成する〕
で示される化合物または製薬上もしくは生理学上許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0011】
一実施形態によれば、式Iで示される化合物は、実施例のいずれか1つに記載されるように提供される。
【0012】
他の実施形態によれば、本発明は、活性治療物質として使用するための式Iで示される化合物、その塩または溶媒和物を提供する。
【0013】
他の実施形態によれば、本発明は、式Iで示される化合物、その塩または溶媒和物と、製薬上許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
他の実施形態によれば、本発明は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーションの影響を受ける病状または障害の治療(予防を包含する)に使用するための式Iで示される化合物、その塩または溶媒和物を提供する。
【0015】
他の実施形態によれば、本発明は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーションの影響を受ける病状または障害の治療(予防を包含しうる)に使用するための式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0016】
他の実施形態によれば、本発明は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーションの影響を受ける病状または障害の治療(これ以降では予防を包含して使用される)に使用するための医薬の製造における式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0017】
他の実施形態によれば、本発明は、式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物を用いて治療の必要な哺乳動物において選択的エストロゲンレセプターモジュレーションの影響を受ける病状または障害を治療(予防を包含しうる)する方法を提供する。
【0018】
他の実施形態によれば、本発明は、閉経期または閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器または外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、子宮内膜症、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰、および骨粗鬆症から選択されるような病状を治療する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
当業者に公知でありかつ理解されている用語を用いて本明細書に記載の発明を記述する。参照を容易にするために、特定の用語の定義を行う。しかしながら、特定の用語の定義がなされているからといって、定義のなされていない用語がすべて不確定であることが示唆されるものとみなしてはならない。そうではなく、使用される用語はすべて、当業者が範囲を理解できかつ本発明を実施できるように本発明を明確に記述するものと考えられる。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「アルキル」という用語、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素を意味する。本明細書中で使用される「アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本明細書中で使用する場合、「アルキレン」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の二価炭化水素基を意味する。本明細書中で使用される「アルキレン」の例としては、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0023】
本明細書中で使用する場合、「ハロアルキル」という用語は、少なくとも1個のハロゲンで置換された本明細書中に定義されるアルキル基を意味する。本発明に有用な分枝鎖状もしくは直鎖状の「ハロアルキル」基の例としては、1個以上のハロゲン、たとえば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードで独立して置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびt−ブチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「ハロアルキル」という用語は、ペルフルオロアルキル基(すなわちトリフルオロメチル)などのような置換基を包含すると解釈されるものとする。
【0024】
本明細書中で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、−OR基(ここで、Rは、上記に定義されるアルキルである)を意味する。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「アシル」という用語は、−C(O)R基(ここで、Rは、本明細書中にそれぞれ定義されているアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである)を意味する。
【0026】
本明細書中で使用する場合、「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を意味する。
【0027】
本明細書中で使用する場合、「カルボキシ」という用語は、−C(O)OH基を意味する。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「ニトロ」という用語は、−NO基を意味する。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「アミノ」という用語は、−NH基を意味するか、または置換型アミノとして参照されるときはアルキルで置換されたそのような基を記述する。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「シクロアルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を有する非芳香族の飽和もしくは不飽和の単環式もしくは二環式の炭化水素環を意味する。代表的な「シクロアルキル」基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「アリール」という用語は、フェニル環を意味するか、または1個以上の追加のフェニル環に縮合されて、たとえばアントラセン環系、フェナントレン環系、またはナフタレン環系を形成したフェニル環系を意味する。「アリール」基の例としては、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロアリール」という用語は、単環式五員〜七員芳香環を意味するか、またはそのような単環式五員〜七員芳香環を2個含む縮合二環式芳香環系を意味する。これらのヘテロアリール環は、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、この場合、N−オキシド、硫黄オキシド、および硫黄ジオキシドは、許容しうるヘテロ原子置換である。本明細書中で使用される「ヘテロアリール」基の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書中で使用する場合、「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」という用語は、1以上の不飽和度を場合により含有していてもよくかつN、O、および/またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子をも含有する非芳香族の単環式もしくは二環式の環系を意味する。「ヘテロ環」および「ヘテロシクリル」は、ヘテロ原子のNまたはSがオキソで置換されてN−オキシドおよび硫黄オキシドを提供するそれらのバリアントをも包含する。好ましいヘテロ原子としては、N、O、またはその両方が挙げられる。好ましくは、環は、三員〜十員であり、飽和であるかまたは1以上の不飽和度を有するかのいずれかである。そのような環は、場合により、1個またはそれ以上の別の「ヘテロ環式」環、ヘテロアリール環、アリール環、またはシクロアルキル環と縮合されてもよい。「ヘテロ環式」基の例としては、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
典型的には、本発明に係る塩は、製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩は、本発明に係る化合物の無毒の塩を意味する。本発明に係る化合物の塩は、酸付加塩を含みうる。代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウムエデテート塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、モノカリウムマレエート塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド塩、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩が挙げられる。製薬上許容されない他の塩が本発明に係る化合物の調製に有用なこともあり、これは、本発明のさらなる態様をなすとみなされるものとする。
【0035】
本明細書中で使用する場合、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式Iで示される化合物またはその塩もしくは生理学的機能性誘導体)と溶媒とにより形成される種々の化学量論組成の複合体を意味する。そのような溶媒は、本発明の目的では、溶質の生物学的活性を阻害しないものとする。好適な溶媒の非限定例としては、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用される溶媒は、製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、使用される溶媒は水である。
【0036】
本明細書中で使用する場合、置換基は、以下の表記:
【化2】

を用いて環構造に付記したものとして示されうる。この表記は、具体的に特定した置換基または基により占められていない環構造上の任意の位置にR置換基が配置されうることを示す。
【0037】
本発明は、式I:
【化3】

〔式中、
は、C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ−OH、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、−S−R、−SO−R、および−SO−Rよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、−O−R−Rから選択され;
は、水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、C〜Cアルキレンから選択され;
は、置換型もしくは無置換型のC〜Cアルキル基であり;
は、NR10および1〜4個のNヘテロ原子を含有する飽和または不飽和のヘテロ環から選択され;そして
およびR10は、独立して、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、およびメトキシ(C〜C)アルキルから選択されるか、またはRおよびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、1個以上のハロゲンおよび/もしくは1個以上のC〜Cアルキルで場合により置換されていてもよい4〜8員のヘテロ環を形成する〕
で示される化合物または製薬上もしくは生理学上許容されるその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0038】
本発明の一実施形態では、Rは、水酸基である。
【0039】
他の実施形態によれば、RはC1〜6アルキルであり、有利にはRはエチルである。
【0040】
他の実施形態によれば、Rは有利には水素である。
【0041】
他の実施形態によれば、Rは、−NCHCH
【化4】

から選択される。
【0042】
他の実施形態によれば、Rは、
【化5】

から選択され、かつMe、F、およびジフルオロから選択される少なくとも1個の置換基で置換される。
【0043】
本発明に係る特に好ましい化合物としては、以下の化合物が挙げられる:
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ブテン−1,1−ジイル}ジフェノール;
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ペンテン−1,1−ジイル}ジフェノール;
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ヘキセン−1,1−ジイル}ジフェノール
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;および
4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール。
【0044】
式(I)で示される化合物は、2種以上の形態で結晶化可能であり(多形性として知られる特性)、そのような多形形態(「多形体」)は、式(I)の範囲内にある。多形性は、一般的には、温度、圧力、またはその両方の変化に対する応答として生じうる。多形性はまた、結晶化過程の変動から生じる可能性もある。多形体は、X線粉末回折パターン、赤外スペクトル、溶解度、および融点のような当技術分野で公知の種々の物理的特性により識別可能である。
【0045】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、1個以上のキラル中心を含有するか、またはそれ以外に複数の立体異性体として存在しうる可能性がある。本発明の範囲には、立体異性体の混合物さらには精製されたエナンチオマーまたはエナンチオマー的/ジアステレオマー的に富化された混合物が包含される。本発明の範囲内には、式(I)で表される化合物の個々の異性体さらにはそれらの任意の完全平衡化混合物もしくは部分平衡化混合物もまた包含される。本発明はまた、1個以上のキラル中心が反転されている異性体との混合物としての上記の式で表される化合物の個々の異性体をも包含する。
【0046】
他の実施形態によれば、それぞれ存在する場合、各アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびアルキレン(alkalene)は、場合により置換されていてもよい。本明細書中で使用する場合、本明細書全体を通して、「場合により置換されていてもよい」という語句またはその変形表現は、1個以上の置換基を有する任意の置換(多重置換を包含する)を意味する。この語句は、本明細書中に具体的に記載または図示された置換パターンを不明確または重複したものとするように解釈されるべきものではない。そうではなく、当業者であればわかるであろうが、この語句は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲内に包含される自明な変更形態を提供すべく加えられたものである。
【0047】
本発明は、治療の必要な哺乳動物(たとえばヒト)において選択的エストロゲンレセプターモジュレーションの影響を受ける病状または障害の治療に使用するための式Iで示される1種以上の化合物を包含する。一実施形態では、本発明は、以下のリストAから選択される病状または障害を治療する方法を提供する。
【0048】
リストA(選択的エストロゲンレセプターモジュレーションにより影響を受けかつ式Iで示される化合物により治療可能な病状または障害):骨粗鬆症、骨脱灰、骨の量、密度、もしくは成長の減少、変形性関節症、骨折の修復および治癒の促進、関節置換における治癒の促進、歯周病、歯の修復もしくは成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋肉疲労、筋肉の強度および機能の維持および増強、虚弱もしくは加齢性機能低下(「ARFD」)、骨格筋減少症、慢性疲労症候群、慢性筋肉痛(chronic myaligia)、急性疲労症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、無重力状態、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満症、摂食障害(悪液質もしくは老化に関連する食欲不振を包含する)、高コルチゾール症およびクッシング症候群、心臓血管疾患もしくは心機能不全、鬱血性心不全、高血圧、乳癌、アンドロゲンレセプターを含有する悪性腫瘍細胞(乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺のものを包含する)、前立腺肥大症、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症、前立腺の腺腫および新形成、高インスリン血症、インスリン抵抗症、糖尿病、X症候群、脂質異常症、尿失禁、アテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)、性欲亢進、性機能不全、鬱病、抑鬱症状、神経過敏症、過敏性、ストレス、精神的エネルギー低下および低自尊心、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の抑制、月経前症候群(premenstral syndrome)、避妊、子宮類繊維疾患および/もしくは大動脈平滑筋細胞増殖、膣乾燥症、掻痒症、性交疼痛、排尿障害、頻尿症、尿路感染症、高コレステロール血症、高脂血症、末梢血管疾患、再狭窄、血管痙攣、免疫応答に起因する血管壁損傷、アルツハイマー病、骨疾患、老化、炎症、関節リウマチ、呼吸器疾患、気腫、再灌流傷害、ウイルス性肝炎、結核、乾癬、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、脳梗塞、CNS外傷、痴呆、神経変性、乳房痛および月経困難症、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、性欲の亢進用、性的機能低下障害の治療用、性的興奮障害、オルガスムの頻度および強度の増大用、膣痙、骨減少症、子宮内膜症、BPH(良性前立腺肥大症)、月経困難症、自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、重症筋無力症、または虚血心筋の再灌流損傷。より好ましくは、治療は、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、子宮内膜症、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰、または骨粗鬆症に関係する。
【0049】
また、本発明は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーションに関連する病状または障害の治療に使用するための医薬の製造における式Iで示される1種以上の化合物の使用を包含する。好ましくは、医薬は、上記のリストAの病状および障害の治療に使用されるものである。
【0050】
本発明は、式Iで示される少なくとも1種の化合物を投与することを含む選択的エストロゲンレセプターモジュレーションに関連する病状または障害の治療方法を包含する。好ましくは、治療は、上記のリストAの病状および障害に関係する。
【0051】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、閉経期もしくは閉経後の障害の治療に有利でありうる。
【0052】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、血管運動性症状の治療に有利でありうる。
【0053】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮の治療に有利でありうる。
【0054】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、萎縮性膣炎の治療に有利でありうる。
【0055】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、子宮内膜症の治療に有利でありうる。
【0056】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、女性性機能不全の治療に有利でありうる。
【0057】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、乳癌の治療に有利でありうる。
【0058】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、抑鬱症状の治療に有利でありうる。
【0059】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、糖尿病の治療に有利でありうる。
【0060】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、骨脱灰の治療に有利でありうる。
【0061】
式Iで示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、骨粗鬆症の治療に有利でありうる。
【0062】
特定的には、本発明に係る化合物は、単独または他の薬剤との組合せのいずれにおいても、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰の治療、および骨粗鬆症の治療に有用であると考えられる。
【0063】
本明細書中で使用する場合、「有効量」という用語は、組織、系、動物、またはヒトに対して研究者や臨床医などが求めている生物学的もしくは医学的な応答を惹起する薬剤量または医薬剤量を意味する。「治療上有効量」という用語は、そのような量を摂取していない対応する被験者と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは改善、または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理機能を強化するのに有効な量をも包含する。
【0064】
本発明に係る化合物の治療上有効量は、いくつかの因子に依存するであろう。たとえば、動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な病状およびその重症度、製剤の性質、ならびに投与経路はすべて、考慮すべき因子である。治療上有効量は、最終的には、担当の医師または獣医師の自由裁量にゆだねることが望ましい。たとえば、骨粗鬆症を患っているヒトを治療するための式1で示される化合物の有効量は、一般的には、1日間あたり0.1〜100mg/kg(レシピエント(哺乳動物)の体重)の範囲内であるこが望ましい。より一般的には、有効量は、1日間あたり1〜10mg/kg(体重)の範囲内であることが望ましい。したがって、70kgの成体哺乳動物の場合、1日あたりの実際量は、通常、70〜700mgであろう。この量は、1日1回の用量でまたは合計一日用量が同じになるように1日何回か(たとえば、2、3、4、5回、もしくはそれ以上)のサブ用量で、投与することが可能である。当該化合物の塩もしくは溶媒和物の有効量は、式1で示される化合物自体の有効量に対する比率として決定可能である。エストロゲンにより媒介される本明細書中で参照される他の病状を治療する場合にも、類似の投与量が適切であろう。
【0065】
治療に使用する場合、治療上有効量の式Iで示される化合物ならびにその塩および溶媒和物は、そのまま化学物質として投与可能である。このほかに、活性成分は、医薬組成物としても提供可能である。したがって、本発明はさらに、有効量の式Iで示される化合物ならびにその塩および溶媒和物と、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。式Iで示される化合物およびその塩もしくは溶媒和物は、以上に記載されるとおりである。担体(複数種可)、希釈剤(複数種可)、または賦形剤(複数種可)は、製剤の他の成分と適合しかつ医薬組成物のレシピエントに有害でないという意味で許容しうるもでなければならない。
【0066】
本発明の他の態様によれば、式Iで示される化合物またはその塩および溶媒和物を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、混合することを含む医薬製剤の製造方法もまた提供される。
【0067】
医薬製剤は、ユニット用量あたり所定量の活性成分を含有するユニット製剤の形態で提供しうる。そのようなユニットは、たとえば、治療対象の病状、投与の経路、ならびに患者の年齢、体重、および健康状態に応じて、0.5mg〜1gの式1で示される化合物を含有しうるが、ただし、これに限定されるものではない。好ましいユニット製剤は、先に本明細書中に列挙した1日の用量もしくはサブ用量または適切なその部分用量の活性成分を含有するものである。そのような医薬製剤は、製薬技術分野で周知の方法のいずれかにより製造可能である。
【0068】
医薬製剤は、経口(頬腔内もしくは舌下を包含する)経路、経直腸経路、経鼻経路、局所(頬腔内、舌下、もしくは経皮を包含する)経路、経膣経路、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、もしくは皮内を包含する)経路などの任意の適切な経路による投与に適合化させることが可能である。そのような製剤は、製薬技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、活性成分を担体(複数種可)または賦形剤(複数種可)と組み合わせるようにすることにより、調製可能である。
【0069】
経口投与に適合化される医薬製剤は、カプセル剤もしくは錠剤;粉末剤もしくは顆粒剤;溶液剤もしくは懸濁化剤(それぞれ、水性もしくは非水性の液体を有する);可食性のフォーム剤もしくはホイップ剤;または水中油型液状エマルジョン剤もしくは油中水型液状エマルジョン剤のような個別ユニットとして提供しうる。たとえば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与に供する場合、活性薬剤成分を経口用の非毒性の製薬上許容される不活性担体(たとえば、エタノール、グリセロール、水など)と組み合わせることが可能である。一般的には、粉末剤は、本化合物を好適な微細サイズに細粒化して適切な医薬担体(たとえば、デンプンやマンニトールなどの可食性炭水化物)と混合することにより調製される。風味剤、保存剤、分散剤、および着色剤を存在させることも可能である。
【0070】
カプセル剤は、粉末混合物、液体混合物、または懸濁液混合物を調製してゼラチンまたはなんらかの他の適切なシェル材料でカプセル化することにより調製される。カプセル化の前に、流動促進剤および滑沢剤(たとえば、コロイドシリカ、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、または固体ポリエチレングリコール)を混合物に添加することが可能である。カプセルが摂取されたときの医薬の利用可能性を改善すべく、崩壊剤または可溶化剤(たとえば、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウム)を添加することも可能である。さらに、所望または所要の場合、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物に組み込むことも可能である。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖(たとえば、グルコースまたはβ−ラクトース)、コーン甘味料、天然および合成のガム(たとえば、アラビアゴム、トラガカント、またはナトリウムアルギネート)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの製剤で有用な滑沢剤としては、たとえば、ナトリウムオレエート、ナトリウムステアレート、マグネシウムステアレート、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムアセテート、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。錠剤は、たとえば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤の形態にプレスすることにより、製剤化される。粉末混合物は、適切に細粒化された本化合物を以上に記載されるような希釈剤または基剤と混合することにより調製可能である。任意成分としは、結合剤(たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginates)、ゼラチン、またはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(たとえば、パラフィン)、吸収促進剤(たとえば、第四級塩)、および/または吸収剤(たとえば、ベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウム)が挙げられる。粉末混合物は、シロップ、デンプン糊、アラビアゴム粘液、またはセルロース系材料もしくは高分子材料の溶液のような結合剤と共にスクリーンに圧入貫通させることにより湿式顆粒化が可能である。顆粒化の代替手段として、粉末混合物を錠剤機に通して処理すると、その結果、顆粒の形態に破壊される不完全に成形されたスラッグが得られる。錠剤成形ダイへの付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することにより、顆粒を滑沢化させることが可能である。次に、滑沢化混合物を錠剤の形態に圧縮する。本発明に係る化合物を自由流動性不活性担体と組み合わせて、顆粒化工程やスラッギング工程に通すことなく錠剤の形態に直接圧縮することも可能である。シェラックのシーリングコート、糖質材料または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングよりなる透明または不透明な保護コーティングを提供することも可能である。異なるユニット用量を区別するために、これらのコーティングに色素を添加することが可能である。
【0071】
溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤のような経口流体剤は、所与の量が所定量の化合物を含有するように投与ユニット製剤の形態で調製可能である。シロップ剤は、たとえば、好適に風味付けされた水溶液に本化合物を溶解させることにより調製可能であり、一方、エリキシル剤は、非毒性アルコール性媒体を用いて調製される。懸濁化剤は、一般的には、非毒性媒体中に本化合物を分散させることにより製剤化可能である。可溶化剤および乳化剤(たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル)、保存剤、香味添加剤(たとえばペパーミント油)、または天然甘味剤、サッカリン、もしくは他の人工甘味剤などを添加することも可能である。
【0072】
適切であれば、経口投与に供される投与ユニット製剤をマイクロカプセル化することが可能である。放出を遅延または持続させるために、たとえば、微粒子状材料をポリマー、ワックスなどでコーティングするかまたはその中に埋め込むことにより、製剤を調製することも可能である。
【0073】
式Iで示される化合物ならびにその塩および溶媒和物は、小さい単ラメラ小胞、大きい単ラメラ小胞、およびマルチラメラ小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与することも可能である。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのようなさまざまなホスホリピドから形成可能である。
【0074】
式Iで示される化合物およびその塩もしくは溶媒和物は、化合物分子が結合される個別の担体としてモノクローナル抗体を用いることにより送達することも可能である。本化合物はまた、ターゲッティングが可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、本化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用なクラスの生分解性ポリマー、たとえば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋型または両親媒性のブロックコポリマーに結合させてもよい。
【0075】
経皮投与に適合化される医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮と十分に接触した状態に保持されるように意図された個別の貼付剤として提供可能である。たとえば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)(そのような送達システムに関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に概説されているようなイオントフォレシスによりパッチから送達可能である。
【0076】
局所投与に適合化される医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁化剤、ローション剤、粉末剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、または油剤として製剤化可能である。
【0077】
眼または他の外部組織(たとえば、口および皮膚)の治療に供する場合、製剤は、局所用の軟膏剤またはクリーム剤として適用可能である。軟膏剤の形態で製剤化する場合、活性成分は、パラフィン系軟膏基剤または水混和性軟膏基剤のいずれかと共に利用可能である。他の選択肢として、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を用いてクリーム剤の形態で製剤化可能である。眼への局所投与に適合化される医薬製剤としては、活性成分が好適な担体特に水性溶媒に溶解または懸濁される点眼剤が挙げられる。口内局所投与に適合化される医薬製剤としては、ロゼンジ剤、パステル剤、および洗口剤が挙げられる。
【0078】
担体が固体である場合、経鼻投与に適合化される医薬製剤としては、たとえば20〜500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗粉末剤が挙げられる。粉末剤は、鼻呼吸する方法で、すなわち、鼻のすぐ近くに保持された粉末剤の容器から鼻道を介して迅速な吸入を行うことにより、投与される。担体が液体である場合、経鼻スプレー剤または点鼻剤として投与するのに好適な製剤としては、活性成分の水性もしくは油性の溶液剤が挙げられる。
【0079】
吸入による投与に適合化される医薬製剤としては、種々のタイプの定量噴霧式加圧エアロゾル剤、ネブライザーまたは吸入器(insufflator)を利用することにより生成されうる微粒子のダスト剤またはミスト剤が挙げられる。
【0080】
経直腸投与に適合化される医薬製剤は、坐剤としてまたは浣腸剤として提供可能である。
【0081】
経膣投与に適合化される医薬製剤は、膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤として提供可能である。
【0082】
非経口投与に適合化される医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および対象のレシピエントの血液と製剤が等張になるようにする溶質を含有しうる水性および非水性の無菌注射溶液剤;ならびに懸濁化剤および粘稠化剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁化剤が挙げられる。製剤は、ユニット用量またはマルチ用量の容器(たとえば、密封されたアンプルおよびバイアル)に入れて提供可能であり、そして使用直前に無菌液体担体(たとえば注射用水)の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存可能である。即時注射用の溶液剤および懸濁化剤は、無菌の粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製可能である。
【0083】
以上に特記される成分に加えて、製剤は、該当する製剤タイプを考慮して当技術分野で慣用される他の薬剤を含みうる。たとえば、経口投与に好適な製剤は、香味剤を含みうる。
【0084】
本発明に係る化合物およびその塩もしくはその溶媒和物は、以上のリストAに記載される病状を治療するために単独でまたは他の治療剤との組合せで利用可能である。たとえば、骨粗鬆症の治療では、他の骨粗鬆症治療剤との組合せが想定される。したがって、本発明に係る骨粗鬆症組合せ療法は、式Iで示される少なくとも1種の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の投与と、少なくとも1種の他の骨粗鬆症治療法の使用と、を含む。好ましくは、本発明に係る組合せ療法は、式Iで示される少なくとも1種の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1種の他の骨粗鬆症治療剤たとえば骨形成剤と、の投与を含む。さらなる例として、本発明に係る組合せ療法は、本発明に係る少なくとも1種の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と、少なくとも1種の他の骨粗鬆症治療剤たとえば抗骨吸収剤と、の投与を含む。記載のごとく、可能性のある追加の骨粗鬆症治療剤の1つは、骨形成(アナボリック)剤である。骨形成剤は、抗吸収剤を用いて達成しうるよりも大きいパラメーターの増大(たとえば、骨ミネラル密度の増大)を引き起こしうる。場合により、そのようなアナボリック剤は、骨梁連結性を増大させて骨の構造完全性を高めることが可能である。
【0085】
式Iで示される化合物(複数種可)および他方の医薬活性剤(複数種可)は、一緒にまたは個別に投与可能であり、個別に投与する場合、投与は、同時にまたは任意の順序で逐次的に実施可能である。式Iで示される化合物(複数種可)および他方の医薬活性剤(複数種可)の量ならびに投与の相対的タイミングは、所望の組合せ治療効果が達成されるように選択されるであろう。式Iで示される化合物、その塩もしくは溶媒和物と、他の骨粗鬆症治療剤と、の組合せ投与は、(1)各化合物を含む単一の医薬組成物または(2)それぞれが化合物の一方を含む個別の医薬組成物の形態で併行的に投与することにより組み合わせるものであってもよい。他の選択肢として、組合せは、一方の治療剤を最初に投与し他方(複数種可)を続いて投与するかまたはその逆の順序で投与する逐次方式で個別に投与するものであってもよい。そのような逐次投与は、時間間隔が短くてもよいし時間間隔が長くてもよい。
【0086】
他の可能な療法の組合せとしては、本発明に係る他の化合物、増殖促進剤、成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン放出因子およびその類似体、成長ホルモンおよびその類似体、ソマトメジン、αアドレナリン作動性アゴニスト(alpha-ardenergic agonist)、セロトニン5−HTアゴニスト、選択的セロトニン再取込み阻害剤、ソマトスタチンもしくはその放出を阻害する薬剤、5−α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、GnRH阻害剤、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、エストロゲン、テストステロン、SERM、プロゲステロンレセプターアゴニスト、ならびに/または核ホルモンレセプターの他のモジュレーターと組み合わされる本発明に係る化合物が挙げられる。
【0087】
以上に挙げた種々の疾患の治療に関連して、本発明に係る化合物は、本発明の課題である治療の対象となる病状または疾患に伴いうるかまたはそれと共存しうる他の症状または病状を治療するために選択される追加の治療剤と組み合わせることも可能である。たとえば、本発明に係る化合物は、抗糖尿病剤、抗骨粗鬆症剤、抗肥満剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗鬱剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗血栓剤および血栓溶解剤、強心配糖体、コレステロールまたは脂質低下剤、ミネラルコルチコイドレセプターアンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、甲状腺模倣剤、アナボリック剤、ウイルス療法、認知障害治療、睡眠障害治療、性機能不全治療、避妊剤、細胞傷害剤、放射線療法、抗増殖剤、および抗腫瘍剤と組み合わせて使用可能である。このほかに、本発明に係る化合物は、アミノ酸、トリグリセリド、ビタミン、ミネラル、クレアチン、リポ酸(piloic acid)、カルニチン、または補酵素Q10のような栄養補助剤と組合せ可能である。
【0088】
本発明に係る化合物は、周知の標準的合成方法をはじめとするさまざまな方法により製造可能である。例示的な一般的合成方法を以下に明記し、次に、本発明に係る特定の化合物を実施例で調製する。
【0089】
以下に記載の実施例のいずれにおいても、所要により、合成化学の一般的原理に従って、感受性基または反応性基に対して保護基を利用する。保護基は、有機合成の標準的方法に従って操作される(T. W. Green and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons(保護基に関して、参照により組み入れられるものとする))。これらの基は、当業者に自明な方法を用いて、化合物合成の都合のよい段階で除去される。方法の選択ならびにそれを実施するときの反応条件および順序は、式Iで示される化合物の調製と矛盾しないものとする。
【0090】
当業者であれば、式Iで示される化合物にキラル中心が存在するかどうかはわかるであろう。したがって、本発明は、可能な立体異性体をすべて包含し、ラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーをも包含する。化合物が単一のエナンチオマーであることが望まれる場合、立体特異的合成により、最終生成物もしくは任意の便利な中間体を分割することにより、または当技術分野で公知のキラルクロマトグラフィー法により、それを取得することが可能である。最終生成物、中間体、または出発物質の分割は、当技術分野で公知の任意の好適な方法により行うことが可能である。たとえば、Stereochemistry of Organic Compounds by E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander (Wiley-Interscience, 1994)(立体化学に関して、参照により組み入れられるものとする)を参照されたい。
【実施例】
【0091】
実験の部
略号:
本明細書中で使用する場合、これらのプロセス、スキーム、および実施例で用いられる記号および規約は、現代の科学文献、たとえば、The Journal of the American Chemical SocietyまたはThe Journal of Biological Chemistryで用いられているものと一致する。特定的には、実施例中でおよび明細書全体にわたり、以下の略号を用いることがある。
【0092】
g(グラム); mg(ミリグラム);
L(リットル); mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル); psi(ポンド毎平方インチ);
M(モル); mM(ミリモル);
Hz(ヘルツ); MHz(メガヘルツ);
mol(モル); mmol(ミリモル);
RT(室温); h(時間);
d(日数); EI(電子衝撃);
min(分); TLC(薄層クロマトグラフィー);
mp(融点); RP(逆相);
(保持時間); TFA(トリフルオロ酢酸);
TEA(トリエチルアミン); THF(テトラヒドロフラン);
TFAA(無水トリフルオロ酢酸); CDOD(重水素化メタノール);
CDCl(重水素化クロロホルム); DMSO(ジメチルスルホキシド);
SiO(シリカ); atm(気圧);
EtOAc(酢酸エチル); CHCl(クロロホルム);
HCl(塩酸); Ac(アセチル);
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド); Me(メチル);
CsCO(炭酸セシウム); EtOH(エタノール);
Et(エチル); tBu(tert−ブチル);
MeOH(メタノール); CHCl(ジクロロメタン);
MgSO(硫酸マグネシウム); CHCN(アセトニトリル);
CO(炭酸カリウム); TiCl(四塩化チタン);
EtOAc(EtOAc); CO(二酸化炭素);
Pd(OAc)(パラジウムアセテート); EtO(ジエチルエーテル);
P(o−トリル)(トリ−o−トリルホスフィン); NaSO(硫酸ナトリウム);
NaH(水素化ナトリウム); DME(1,2−ジメトキシエタン);
NaI(ヨウ化ナトリウム); NaOH(水酸化ナトリウム);
NHCl(塩化アンモニウム); NaHCO(重炭酸ナトリウム);
AlCl(塩化アルミニウム); (CO)P(O)H(ジエチルホスファイト);
NaN(アジ化ナトリウム); CBr(四臭化炭素);
PPh(トリフェニルホスフィン); CuI(ヨウ化銅(I));
Pd(PhP)(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0));
CuCN(シアン化銅); (iPrO)B(トリイソプロピルボレート);
nBuLi(ブチルリチウム); NaCO(炭酸ナトリウム);
DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン); eq(当量);
HRMS(高分解能質量分析);
LCMS(液体クロマトグラフィー質量分析);
LRMS(低分解能質量分析);
APCI(大気圧化学イオン化);
LiHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド);
Pd(PhP)Cl(ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II));
EDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド);
dpppe(1,5−ビス(ジフェニルホスファニル)ペンタン);
DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド);
HPLC(高速液体クロマトグラフィー);
tmeda(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン);
Pd(dba)(ジパラジウムトリス(ジベンジリデンアセトン));
Opv(ピボリル);
OTBS(O−ter−ブチルジメチルシラン);
OBn(O−ベンジル);
OBz(O−ベンゾイル);および
OMOM(O−メトキシ−O−メチル)。
【0093】
特に記載がないかぎり、試薬および溶媒は、供給業者から入手し、さらなる精製を行うことなく使用した。特に指示がないかぎり、反応はすべて、室温で行った。また温度はすべて、℃(摂氏度)で表される。
【0094】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60F254であらかじめコーティングされたプレートを用いて行った。検出は、UV光(254nm)に曝露することにより行った。フラッシュカラムクロマトグラフィー(flash and flush column chromatography)は、シリカゲル60を用いて行った。逆相分取HPLCおよび逆相分析HPLCは、C18カラムと調整剤として0.05%TFAを含むアセトニトリル:水グラジエントとを用いて行った。
【0095】
化合物の純度および特性解析は、H−NMR、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、高分解能質量分析(HRMS)、燃焼(元素)分析、HPLC、および融点により決定した。一般式Iで示される化合物は、典型的には、>90%の純度を有することがわかった。
【0096】
H NMRスペクトルは、Varian INOVA−300装置およびVarian INOVA−400装置により記録した。化学シフトは、百万分率(ppm、δ単位)で表される。結合定数は、ヘルツ(Hz)単位で示される。分裂パターンは、見掛けの多重度を記述し、s(一重線)、d(二重線)、dd(二重線の二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、またはbr(広幅)として記される。
【0097】
低分解能質量スペクトルは、大気圧化学イオン化(APCI)またはESIイオン化(ESI)のいずれかを用いて、Micromass Ltd., Altricham, UK製のMicromass ZQ装置、Micromass ZMD装置、Micromass QuattroMicro装置、およびMicromass GCT装置において取得した。
【0098】
高分解能質量スペクトルデータ(HRMS)は、Micromass LCT装置およびMicromass GCT装置により記録した。
【0099】
燃焼分析は、Atlantic Microlab, Inc. (Norcross, Georgia)により行われた。
【0100】
融点は、オープンキャピラリーチューブを用いて記録した。これは未補正である。
【0101】
太字の数字は、以下のスキームに示される化合物を指す。以下のスキームでは、後続の化学および官能基適合性にもよるが、当業者の熟知する合成方法を用いて特定の中間体のフェノール基を保護することが必要になることもある。
【0102】
・合成スキーム
・スキーム1
・対称トリフェニルアルケン型ERリガンドに至るマクマリー経路
【化6】

【0103】
対称トリフェニルアルケン化合物Iは、スキーム1に例示した経路に従って調製可能である。置換型ベンゾフェノンIIIと置換型フェニルアルキルケトンIIとのマクマリーカップリングによりトリフェニルアルケンIが得られる。R基は、必要な場合には当技術分野で公知の標準的反応条件を用いて脱ブロック化されうるマスキング化ヒドロキシル基、たとえば、OAc、OPv、OTBS、OBn、OBz、およびOMOMでありうる。マクマリー反応条件については、Mukaiyama et al., Chem. Lett. (1973), 1041; Lenoir, Synthesis, (1977), 553; Lenoir and Burghard, J. Chem. Res. (S) (1980), 396; McMurry, Chem. Rev. (1989), 89, 1513-1524; McMurry, Acc. Chem. Res. (1983) 16, 405-511; および S. Gauthier et al., J. Org. Chem., (1996), 61, 3890-3893(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。ケトンIIおよびIIIは、市販品として入手可能であるか、または当該分野の当業者の熟知する合成方法(たとえばスキーム2および3)により調製可能である。
【0104】
・スキーム2
・フェニルアルキルケトンIIの一般的調製
【化7】

【0105】
・スキーム3
・フェニルアルキルケトンIIの一般的調製
【化8】

【0106】
酸IVを酸クロリドに変換し、続いて、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩で処理することにより、ワインレブアミドVが得られる。酸クロリドは、当業者の熟知する十分実証されている手順を用いて調製可能である。アミドVをグリニャール試薬で処理し、続いて、脱メチル化/脱保護を行うことにより、化合物VIが得られる。一般的反応条件については、S. Nahm and S.M. Weinreb Tetrahedron Lett. (1981), 22, 3815、B.M. Kim, et al, Tetrahedron Lett. (1994), 35, 5153、総説については、M.P. Sibi, Org. prep. Proc. Intl. (1993), 25, 15(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0107】
トリフェニルアルケンIは、スキーム4に示される手順を用いて調製することも可能である。中間体1,1−ジブロモ−1−アルケンVIIは、スキーム4に示されるようにCoreyおよびFuchsにより報告された手順(E.J. Corey and P.L. Fuchs, Tetrahedron Lett. (1972), 3769(参照により本明細書に組み入れられるものとする))を用いてアルキルフェニルケトンIIから調製可能である。他の選択肢として、ジブロモ化合物VIIは、V.G.Nenajdenko, et al J.Chem.Soc., Perkin Trans. I, (2002), 883、J.F.Normant et al Synthesis (2000),109(参照により本明細書に組み入れられるものとする)に報告された手順を用いて調製することも可能である。鈴木の反応条件を用いてジブロモアルケンVIIをさまざまなアリールボロン酸VIIIとカップリングさせることによりトリフェニルアルケンIを得ることが可能である。一般的鈴木カップリング反応条件については、Miyaura, N., Suzuki, A. Chem. Rev. (1995), 95, 2457-2483; Suzuki, A., J. Organometallic Chem. (1999), 576, 147-168; および Suzuki, A. in Metal-catalyzed Cross-coupling Reactions, Diederich, F., and Stang, P. J., Eds.; Wiley-VCH: New York, (1998), pp. 49-97(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。1,1−ジブロモ−1−アルケンの鈴木カップリング反応条件については、M.W. Miller et al., Synlett (2001), 254(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。ジブロモアルケンVIIを1,1−ジボリル−1−アルケン中間体に変換することも可能であり、それをアリールハリドと反応させることにより1,1,2−トリアリール−アルケンIを生成することが可能である。関連する変換については、M. Shimizu et al., J. Am. Chem. Soc., (2005), 127, 12506(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0108】
・スキーム4
・対称トリフェニルアルケン型ERリガンドに至る金属触媒炭素−炭素結合形成法
【化9】

または任意の金属触媒C−C結合形成反応
【0109】
・スキーム5
・1,1−ジブロモ−1−アルケンVIIの一般的調製
【化10】

【0110】
ハロアルキルアミン(haloakylamine)でIXをアルキル化(スキーム6)することによりアルカン酸アミン(alkanoic amine)Xが得られる。関連するフェノールアルキル化反応の例については、Rubin, V. et al., Bioorganic & Med. Chem. (2001), 9, 1579-1586、S. Gauthier et al, J. org. Chem. (1996), 61, 3890(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。化合物IX中のRは、当技術分野で公知の標準的反応条件を用いて脱ブロック化により対応するヒドロキシル化合物を提供しうるマスキング化/保護ヒドロキシル基、たとえば、OAc、OPV、OBz、OBn、OTBS、およびOMOMでありうる。
【0111】
同様に、ハロアセトニトリルでIXをアルキル化することによりアルキル化生成物XIが得られ、これをLAH還元すれば対応する第一級アミンXIIが得られる。十分に確立された反応条件を用いてアルキル化を行うと、得られたアミンからN−アルキル化生成物XIIIが得られる。他の選択肢として、光延の反応条件を用いてヒドロキシアルキルアミンとIXとの反応によりXを得ることが可能であり、ヒドロキシル(didroxyl)基を脱保護する際に、これからトリアリールアルケンIを得ることが可能である。一般的反応条件については、O. Mitsunobu, Synthesis (1981), 1-28、D.L. Hughes, Organic Preparations and Procedures Int. (1996), 28, 127-164(いずれも、そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。
【0112】
・スキーム6
・化合物IXから対称トリフェニルアルケンに至る一般的経路
【化11】

【0113】
汎用中間体XV(スキーム7)を用いることにより、さまざまな置換型対称トリフェニルアルケンを調製することが可能である。化合物XVは、当技術分野で報告されている文献に記載の手順に従ってXIVから調製可能である。反応条件については、M. Kodomari et al Tetrahedron Lett. (2001), 3105-3107(そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする)。当技術分野で報告されている遷移金属触媒クロスカップリング炭素−炭素結合形成反応を利用して、XIVから化合物Iを製造することが可能である。
【0114】
・スキーム7
・アリールハリドXVから対称トリフェニルアルケンに至る一般的経路
【化12】

【0115】
・スキーム8
・対称トリフェニルアルケンに至る代替経路
【化13】

【0116】
トリアリール化化合物Iは、スキーム8に示される連続した2工程を用いて調製することも可能である。ピナコールカップリング法を用いてケトンIIとIIIとをカップリングすることにより、ビシナルジオールXVIを得ることが可能である。当技術分野で十分実証されている脱酸素条件を用いて、ジオール化合物XVIをオレフィンIに変換することが可能である。ピナコールカップリング反応については、T. Wirth et al Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1996, 35, 61; X. Xu et al J. Org. Chem. 2005, 70, 8594およびそこに引用されている主要参考文献を参照されたい。また、脱酸素条件によるオレフィン合成については、E. Block in Organic Reactions 1984, 30, 457を参照されたい。そのような教示に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0117】
実施例
以下の特定例は、例示として含めたものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0118】
下記実施例の多くは、マクマリーカップリング反応の標準的後処理に従う。本明細書中で使用する場合、「標準的後処理」という用語は、一般的には、マクマリー反応の標準的後処理を意味し、その例は、次のとおりである。反応混合物を室温で冷却させ、10%KCO水溶液中に徐々に注ぐ。反応混合物をセライトに通して濾過し、固形分をEtOAcで洗浄する。濾液をEtOAcで抽出する。合わせた有機分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、そして減圧下で濾液を濃縮して金黄色油として粗生成物を得る。ヘキサン:エチルアセテート(100:0〜3:2)を用いてSiOのフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して白色泡状物として標記化合物を得る。
【0119】
下記実施例の多くは、エステルの酸加水分解の標準的後処理に従う。本明細書中で使用する場合、「標準的酸後処理」という用語は、エステルの標準的酸加水分解を意味し、その例は、次のとおりである。粗生成物を1:4エーテル/ヘキサンで2回摩砕し、次に、乾燥させて灰白色固体として化合物を得る。
【0120】
実施例
以下の特定例は、例示として含めたものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0121】
実施例1():4,4’−[2−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール(
【化14】

【0122】
工程1:(オキソメタンジイル)ジベンゼン−4,1−ジイルビス(2,2−ジメチルプロパノエート)(
下、室温でCHCl(1500mL)中のビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン(50g、234mmol)の攪拌溶液にEtN(97mL、700mmol)を添加した。以上の溶液に2,2−ジメチルプロパノイルクロリド(86mL、700mL)を1時間かけて滴下して加えた。得られた混合物を室温で15時間攪拌し、次に、追加のCHCl(2000mL)で希釈した。反応混合物をHO(2×150mL)、ブライン(1×150mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、そして減圧下で濃縮して粗製物質とし、これをEtOAc/n−ヘキサンから再結晶して白色固体として77g(86%)の標記化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 1.31 (s, 19H), 7.30 (d, J = 9 Hz, 4H), 7.8 (d, J = 9 Hz, 4H). LCMS (ESI): m/z 383 (M + H) +
【0123】
工程2:[2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジベンゼン−4,1−ジイルビス(2,2−ジメチルプロパノエート)(
窒素雰囲気下、室温で漏斗を介してTHF(150mLmL)中の亜鉛粉末(8.52g、131mmol)の攪拌懸濁物にTiCl・2THF錯体(26g、79mmol)を徐々に添加した。反応混合物を還流状態で1.0時間加熱した。以上の混合物にTHF(150mL)中の(オキソメタンジイル)ジベンゼン−4,1−ジイルビス(2,2−ジメチルプロパノエート)()(10g、26mmol)および1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ペンタノン(14.0g、79mmol)の混合物を添加した。窒素雰囲気下、還流状態で攪拌しながら反応混合物をさらに3時間加熱した。反応混合物を室温で冷却させた。反応混合物を20%HCl水溶液(1000mL)中に徐々に注ぎ、0.5時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(4×250mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(1×100mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、そして減圧下で濾液を濃縮して粗生成物を得た。溶出液としてヘキサン:エチルアセテート(100:0〜3:2)を用いてSiOのフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して白色固体として4.760g(34%)の標記生成物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 0.71 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.11-1.18 (m, 2H), 1.21 (s, 9H), 1.24 (m, 2H), 1.28 (s, 9H), 2.31 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 6.54 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.77 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.88 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 9.28 (s, 1H). LCMS (ESI): m/z 529 (M + H) + and 546 (M + H) +
【0124】
工程3:[2−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジベンゼン−4,1−ジイルビス(2,2−ジメチルプロパノエート)(
化合物(0.700g、1.32mmol)、KCO(0.548g、4mmol)、水(2mL)、2−クロロ−N,N−ジメチルエタンアミン塩酸塩(0.572g、4mmol)、およびアセトン(50mL)を丸底フラスコに仕込んだ。得られた混合物を15時間還流してから室温に冷却し、濾過し、そして濃縮した。SiOカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して灰白色固体として196mg(25%)の標記生成物を得た。LCMS (ESI): m/z 600 (M + H) +
【0125】
工程4:4,4’−[2−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール(
室温でTHF(5mL)+MeOH(25mL)中の(150mg、0.25mmol)の攪拌溶液に1N NaOH(5mL)を15分間かけて滴下して加えた。得られた反応混合物を室温で2時間攪拌した。1Nクエン酸水溶液(15mL)を反応混合物に添加し、減圧下で濃縮してTHFおよびMeOHを除去した。水性相をEtOAc(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×30mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、そして減圧下で濃縮して粗生成物とし、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーに付して灰白色固体として102mg(94%)の標記生成物を得た。LCMS (ESI): m/z 432 (M + H) +
【0126】
実施例2():4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール(
【化15】

【0127】
工程1:[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジベンゼン−4,1−ジイルビス(2,2−ジメチルプロパノエート)(
化合物(0.700g、1.32mmol)、KCO(0.549g、4mmol)、水(2mL)、1−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(0.731g、4mmol)、およびアセトン(50mL)を用いて、に関連して記載したO−アミノアルキル化手順を利用した。後処理を行ってからフラッシュSiOにより精製して灰白色固体として250mg(30%)の標記生成物を得た。LCMS (ESI): m/z 640 (M + H) +.
工程2:4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール(
THF(5mL)+MeOH(25mL)中の(200mg、0.31mmol)および1N NaOH(5mL)を用いて、に関連して記載した手順を利用した。クエン酸後処理を行ってからフラッシュカラムクロマトグラフィーに付して灰白色固体として134mg(92%)の標記生成物を得た。LCMS (ESI): m/z 472 (M + H) +
【0128】
机上の実施例
実施例3:4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化16】

【0129】
実施例4:4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化17】

【0130】
実施例5(#):
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ブテン−1,1−ジイル}ジフェノール
【化18】

【0131】
実施例6(#)
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ペンテン−1,1−ジイル}ジフェノール
【化19】

【0132】
実施例7(#)
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ヘキセン−1,1−ジイル}ジフェノール
【化20】

【0133】
実施例8(#) 4,4’−[2−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化21】

【0134】
実施例9(#)
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化22】

【0135】
実施例10(#)
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化23】

【0136】
実施例11(#)
4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化24】

【0137】
実施例12(#):
4,4’−[2−(4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘプテン−1,1−ジイル]ジフェノール
【化25】

【0138】
生物学的データ
ERα蛍光偏光アッセイ
全長タンパク質およびリガンド結合ドメインタンパク質の両方を用いてアッセイを行った。
【0139】
全長ERα: 市販のキット(P3029, Invitrogen, Carlsbad, California)を用いてアッセイを行った。製造業者のプロトコルに準拠したがわずかな変更を加えてアッセイを行った。すなわち、15nM ERαおよび1nM Fluormone EL RedをComplete ER Red Buffer中に溶解し混合した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10−5〜10−12Mの濃度範囲内の化合物を含むGreiner低容量プレート(黒色の固体低容積384ウェルプレート)(Greiner - Product No. 784076)の各ウェルに10μlの混合物を分配した。プレートを200gで1分間遠心し、カバーをして光から試薬を保護し、次に、室温で2時間インキュベートした。530−25nm励起および580−10nm発光干渉フィルターと561nmダイクロイックミラーとを用いてAcquest, LJL Biosystems, Sunnyvale, CAにおいてプレートを読み取った。
【0140】
ERα LBDの発現および精製
ヒトERαの残基297〜555に対応するcDNA配列(アクセッション番号NP_000116.2)をN末端ヘキサヒスチジンタグと共にpET24ベクター(Novagen, San Diego, CA)中にクローニングした。プラスミドをE.コリ(E. coli)BL21−DE3細胞中へと形質転換した。細胞を23℃で18時間増殖させ、温度を18℃に低下させた後、250μM IPTGを添加した。細胞をさらに24時間増殖させた後、回収した。50mM TRIS pH8.0/250mM NaCl/2Mウレア中で細胞を溶解させ、遠心沈降させた。イミダゾール中50mMになるように上清を作製し、Niキレートセファロースカラム(Pharmicia)上に充填し、そして50〜500mMイミダゾールの線形勾配を用いて溶出させた。ERα LBDを含有する画分をプールし、50mM TRIS pH8.0/250mM NaCl/5mM DTT+10%グリセロールに対して透析した。サンプルをアリコートに分けて−70℃で凍結させた。
【0141】
アッセイ緩衝液[Tris−HCl(50mM;pH8)、KCl(500mM)、ジチオトレイトール(1mM)、エチレンジアミン四酢酸(1mM)、グリセロール(10%v/v)、3 クロルアミドプロピル−ジメチルアンモニオ1−プロパンスルホネート(2mM)、オルトバナジン酸ナトリウム(1mM:これは、蒸留水中に溶解させて、pH10への調整、煮沸、および冷却よりなるラウンドを逐次的に2回行うことにより、100mMストック液として調製したものである)]中で15nM ERα LBDを1nM Fluormone−EL−Red(Invitrogen No. P3030)と混合することにより、アッセイを行った。ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10−5〜10−12Mの濃度範囲内の化合物を含むGreiner低容量プレート(黒色の固体低容積384ウェルプレート)(Greiner, Longwood, FL - Product No. 784076)の各ウェルに10μlの混合物を分配した。プレートを200gで1分間遠心し、カバーをして光から試薬を保護し、次に、室温で2時間インキュベートした。530−25nm励起および580−10nm発光干渉フィルターと561nmダイクロイックミラーとを用いてAcquestにおいてプレートを読み取った。
【0142】
ERβ蛍光偏光アッセイ
全長タンパク質およびリガンド結合ドメインタンパク質の両方を用いてアッセイを行った。
【0143】
全長ERβ: 市販のキット(P3032, Invitrogen)を用いてアッセイを行った。製造業者のプロトコルに準拠したがわずかな変更を加えてアッセイを行った。すなわち、30nM ERβおよび1nM Fluormone EL RedをComplete ER Red Buffer中に溶解し混合した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10−5〜10−12Mの濃度範囲内の化合物を含むGreiner低容量プレート(黒色の固体低容積384ウェルプレート)(784076,Greiner)の各ウェルに10μlの混合物を分配した。プレートを200gで1分間遠心し、カバーをして光から試薬を保護し、次に、室温で2時間インキュベートした。530−25nm励起および580−10nm発光干渉フィルターと561nmダイクロイックミラーとを用いてAcquest(Acquest/Biosystems)においてプレートを読み取った。
【0144】
ERβLBDの発現および精製
ヒトERβの残基257〜530に対応するcDNA配列(アクセッション番号NP_001428.1)をN末端ヘキサヒスチジンタグと共にpRSETa(Novagen)ベクター中にクローニングした。プラスミドをE.コリ(E. coli)BL21−DE3細胞中へと形質転換した。細胞を23℃で18時間増殖させ、温度を18℃に低下させ、次に、250μMのIPTGを添加した。細胞をさらに24時間増殖させた後、回収した。50mM TRIS pH8.0/250mM NaCl中で細胞を溶解させ、遠心沈降させた。イミダゾールが50mMになるように上清を作製し、Niキレートセファロースカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, N.J.)上に充填し、そして50〜500mMイミダゾールの線形勾配を用いて溶出させた。ERβ LBDを含有する画分をプールし、50mM NaClになるように希釈し、そして50mM TRIS pH8.0/50mM NaCl/5mM DTT+10%グリセロールで平衡化されたQ−セファロースカラム(Pharmacia)上に充填した。50mM〜500mM NaClの線形勾配を用いてERβを溶出させた。ERβ LBDを含有する画分をプールし、50mM TRIS pH8.0/250mM NaCl/5mM DTT+10%グリセロールに対して透析した。サンプルをアリコートに分けて−70℃で凍結させた。
【0145】
アッセイ緩衝液[Tris−HCl(50mM;pH8)、KCl(500mM)、ジチオトレイトール(1mM)、エチレンジアミン四酢酸(1mM)、グリセロール(10%v/v)、3 クロルアミドプロピル−ジメチルアンモニオ1−プロパンスルホネート(2mM)、オルトバナジン酸ナトリウム(1mM:これは、蒸留水中に溶解させて、pH10への調整、煮沸、および冷却よりなるラウンドを逐次的に2回行うことにより、100mMストック液として調製したものである)]中で30nM ERβ LBDを1nM Fluormone−EL−Red(Invitrogen No. P3030)と混合することにより、アッセイを行った。ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10−5〜10−12Mの濃度範囲内の化合物を含む黒色固体低容積384ウェルプレート(784076,Greiner)の各ウェルに10μlの混合物を分配した。プレートを200gで1分間遠心し、カバーをして光から試薬を保護し、次に、室温で2時間インキュベートした。530−25nm励起および580−10nm発光干渉フィルターと561nmダイクロイックミラーとを用いてAcquestにおいてプレートを読み取った。
【0146】
データ解析
データはすべて、各プレート上の16個の高対照ウェルと16個の低対照ウェルの平均値に対して標準化した。次に、以下の形式の四パラメーター曲線あてはめを適用した。
【数1】

【0147】
式中、aは最小値であり、bはヒルスロープであり、cはIC50であり、そしてdは最大値である。データは、n回の実験の平均値の標準偏差と共に平均pIC50として示される。
【0148】
以上の実施例の化合物は、6〜8.5の範囲内のpIC50値を呈した。
【0149】
本発明の特定の実施形態が本明細書に示されているが、本発明はそれらに限定されるものではない。以上の詳細な説明は、本発明の代表例として提供されたものであり、本発明をなんら限定しようとするものではない。変更形態は、当業者には自明であろう。また、本発明の精神から逸脱することのない変更形態はすべて、添付の特許請求の範囲内に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
は、C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ−OH、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、−S−R、−SO−R、および−SO−Rよりなる群から選択され;
各Rは、同一であり、かつ水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、−O−R−Rから選択され;
は、水素、−OH、C〜Cアルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、およびC〜Cハロアルキルから選択され;
は、C〜Cアルキレンから選択され;
は、置換型もしくは無置換型のC〜Cアルキル基であり;
は、NR10であり;
およびR10は、独立して、H、C〜Cアルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、およびメトキシ(C〜C)アルキルから選択されるか、またはRおよびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、1個以上のハロゲンおよび/もしくは1個以上のC〜Cアルキルで場合により置換されていてもよい4〜8員のヘテロ環を形成する〕
で示される化合物または製薬上もしくは生理学上許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
各Rがヒドロキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC1〜6アルキルである、請求項1および2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
がエチルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が水素である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、−NCHCH
【化2】

から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
式I:
【化3】

〔式中、
は、C〜CアルキルおよびC〜Cハロアルキルよりなる群から選択され;
各Rは、−OHであり;
各Rは、水素であり;
は、−O−R−Rから選択され;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシから選択され;
は、C〜Cアルキレンから選択され;
は、NR10であり;
およびR10は、独立して、HおよびC〜Cアルキルから選択されるか、またはRおよびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒になって、1個以上のハロゲンおよび/または1個以上のC〜Cアルキルで場合により置換されていてもよい4〜8員のヘテロ環を形成する〕
で示される化合物または製薬上もしくは生理学上許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項8】
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ブテン−1,1−ジイル}ジフェノール;
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ペンテン−1,1−ジイル}ジフェノール;
4,4’−{2−[4−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−1−ヘキセン−1,1−ジイル}ジフェノール
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピロリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(1−ピペリジニル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール;
4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ペンテン−1,1−ジイル]ジフェノール;および
4,4’−[2−(4−{[2−(ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル)エチル]オキシ}フェニル)−1−ヘキセン−1,1−ジイル]ジフェノール
から選択される化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物と、製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項10】
活性治療物質として使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
治療の必要な哺乳動物において選択的エストロゲンレセプターモジュレーションにより影響を受ける病状または障害の治療に使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記病状または障害が、骨粗鬆症、骨脱灰、骨の量、密度、もしくは成長の減少、変形性関節症、骨折の修復および治癒の促進、関節置換における治癒の促進、歯周病、歯の修復もしくは成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋肉疲労、筋肉の強度および機能の維持および増強、虚弱もしくは加齢性機能低下(「ARFD」)、骨格筋減少症、慢性疲労症候群、慢性筋肉痛(chronic myaligia)、急性疲労症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、無重力状態、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満症、摂食障害(悪液質もしくは老化に関連する食欲不振を包含する)、高コルチゾール症およびクッシング症候群、心臓血管疾患もしくは心機能不全、鬱血性心不全、高血圧、乳癌、アンドロゲンレセプターを含有する悪性腫瘍細胞(乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺のものを包含する)、前立腺肥大症、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症、前立腺の腺腫および新形成、高インスリン血症、インスリン抵抗症、糖尿病、X症候群、脂肪異常症、尿失禁、アテローム性動脈硬化症、性欲亢進、性機能不全、鬱病、抑鬱症状、神経過敏症、過敏性、ストレス、精神的エネルギー低下および低自尊心、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の抑制、月経前症候群、避妊、子宮類繊維疾患および/もしくは大動脈平滑筋細胞増殖、膣乾燥症、掻痒症、性交疼痛、排尿障害、頻尿症、尿路感染症、高コレステロール血症、高脂血症、末梢血管疾患、再狭窄、血管痙攣、免疫応答に起因する血管壁損傷、アルツハイマー病、骨疾患、老化、炎症、関節リウマチ、呼吸器疾患、気腫、再灌流傷害、ウイルス性肝炎、結核、乾癬、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、脳梗塞、CNS外傷、痴呆、神経変性、乳房痛および月経困難症、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、性欲の亢進用、性的機能低下障害の治療用、性的興奮障害、オルガスムの頻度および強度の増大用、膣痙、骨減少症、子宮内膜症、BPH(良性前立腺肥大症)、月経困難症、自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、重症筋無力症、ならびに虚血心筋の再灌流損傷よりなる群に含まれる病状または障害から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
前記障害または病状が、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、子宮内膜症、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰、および骨粗鬆症よりなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
骨形成剤、抗骨吸収剤、増殖促進剤、成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン放出因子およびその類似体、成長ホルモンおよびその類似体、ソマトメジン、αアドレナリン作動性アゴニスト、セロトニン5−HTアゴニスト、選択的セロトニン再取込み阻害剤、ソマトスタチンもしくはその放出を阻害する薬剤、5−α−レダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、GnRH阻害剤、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、エストロゲン、テストステロン、SERM、プロゲステロンレセプターアゴニスト、ならびに核ホルモンレセプターの他のモジュレーターから選択される他の治療剤と組み合わせて、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物を少なくとも1種含む、医薬組成物。
【請求項15】
骨粗鬆症、骨脱灰、骨の量、密度、もしくは成長の減少、変形性関節症、骨折の修復および治癒の促進、関節置換における治癒の促進、歯周病、歯の修復もしくは成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋肉疲労、筋肉の強度および機能の維持および増強、虚弱もしくは加齢性機能低下(「ARFD」)、骨格筋減少症、慢性疲労症候群、慢性筋肉痛、急性疲労症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、無重力状態、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満症、摂食障害(悪液質もしくは老化に関連する食欲不振を包含する)、高コルチゾール症およびクッシング症候群、心臓血管疾患もしくは心機能不全、鬱血性心不全、高血圧、乳癌、アンドロゲンレセプターを含有する悪性腫瘍細胞(乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺のものを包含する)、前立腺肥大症、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症、前立腺の腺腫および新形成、高インスリン血症、インスリン抵抗症、糖尿病、X症候群、脂肪異常症、尿失禁、アテローム性動脈硬化症、性欲亢進、性機能不全、鬱病、抑鬱症状、神経過敏症、過敏性、ストレス、精神的エネルギー低下および低自尊心、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の抑制、月経前症候群、避妊、子宮類繊維疾患および/もしくは大動脈平滑筋細胞増殖、膣乾燥症、掻痒症、性交疼痛、排尿障害、頻尿症、尿路感染症、高コレステロール血症、高脂血症、末梢血管疾患、再狭窄、血管痙攣、免疫応答に起因する血管壁損傷、アルツハイマー病、骨疾患、老化、炎症、関節リウマチ、呼吸器疾患、気腫、再灌流傷害、ウイルス性肝炎、結核、乾癬、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、脳梗塞、CNS外傷、痴呆、神経変性、乳房痛および月経困難症、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、性欲の亢進用、性的機能低下障害の治療用、性的興奮障害、オルガスムの頻度および強度の増大用、膣痙、骨減少症、子宮内膜症、BPH(良性前立腺肥大症)、月経困難症、自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、重症筋無力症、または虚血心筋の再灌流損傷よりなる群から選択される病状または障害の治療に使用するための医薬の製造における、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項16】
前記治療が、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、子宮内膜症、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰、および骨粗鬆症よりなる群から選択される障害または病状を対象とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
治療の必要な哺乳動物において選択的エストロゲンレギュレーターモジュレーションの影響を受ける病状または障害を治療する方法であって、請求項1〜8のいずれかに記載の治療上有効量の化合物を投与することを含み、ここで該病状または障害が、骨粗鬆症、骨脱灰、骨の量、密度、もしくは成長の減少、変形性関節症、骨折の修復および治癒の促進、関節置換における治癒の促進、歯周病、歯の修復もしくは成長の促進、パジェット病、骨軟骨異形成症、筋肉疲労、筋肉の強度および機能の維持および増強、虚弱もしくは加齢性機能低下(「ARFD」)、骨格筋減少症、慢性疲労症候群、慢性筋肉痛、急性疲労症候群、創傷治癒の促進、感覚機能の維持、慢性肝疾患、AIDS、無重力状態、火傷および外傷の回復、血小板減少症、短腸症候群、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎、肥満症、摂食障害(悪液質もしくは老化に関連する食欲不振を包含する)、高コルチゾール症およびクッシング症候群、心臓血管疾患もしくは心機能不全、鬱血性心不全、高血圧、乳癌、アンドロゲンレセプターを含有する悪性腫瘍細胞(乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ系、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸、および前立腺のものを包含する)、前立腺肥大症、多毛症、座瘡、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、貧血、高多毛症、前立腺の腺腫および新形成、高インスリン血症、インスリン抵抗症、糖尿病、X症候群、脂肪異常症、尿失禁、アテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)、性欲亢進、性機能不全、鬱病、抑鬱症状、神経過敏症、過敏性、ストレス、精神的エネルギー低下および低自尊心、認知機能の改善、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、子癇前症の抑制、月経前症候群(premenstral syndrome)、避妊、子宮類繊維疾患および/もしくは大動脈平滑筋細胞増殖、膣乾燥症、掻痒症、性交疼痛、排尿障害、頻尿症、尿路感染症、高コレステロール血症、高脂血症、末梢血管疾患、再狭窄、血管痙攣、免疫応答に起因する血管壁損傷、アルツハイマー病、骨疾患、老化、炎症、関節リウマチ、呼吸器疾患、気腫、再灌流傷害、ウイルス性肝炎、結核、乾癬、全身性エリテマトーデス、筋萎縮性側索硬化症、脳梗塞、CNS外傷、痴呆、神経変性、乳房痛および月経困難症、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、女性性機能不全、性欲の亢進用、性的機能低下障害の治療用、性的興奮障害、オルガスムの頻度および強度の増大用、膣痙、骨減少症、子宮内膜症、BPH(良性前立腺肥大症)、月経困難症、自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、SLE(全身性エリテマトーデス)、重症筋無力症、または虚血心筋の再灌流損傷から選択される、上記方法。
【請求項18】
前記障害または病状が、閉経期もしくは閉経後の障害、血管運動性症状、泌尿生殖器もしくは外陰腟の萎縮、萎縮性膣炎、子宮内膜症、女性性機能不全、乳癌、抑鬱症状、糖尿病、骨脱灰、および骨粗鬆症から選択される、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−519225(P2009−519225A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541436(P2008−541436)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045261
【国際公開番号】WO2007/062151
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(597173680)スミスクライン ビーチャム コーポレーション (157)
【Fターム(参考)】