説明

化学反応用カートリッジ及びその使用方法

【課題】安全に化学反応用カートリッジに試料を導入する。
【解決手段】試料採取室8に内端を接続した針5と、室7に内端を接続させた針6と、針の保護部材4とが端部に構成されたカートリッジ1を用い、採血管13を保護部材4の穴部4aに挿入しつつ、針5,6をゴム栓14に穿刺する。室7から空気等を採血管13内に充填して血液12を押出し試料採取室8に注入する。採血管13をカートリッジ1に接続したまま、検査を行い、そのまま採血管13及びカートリッジ1を廃棄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応用カートリッジ及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、特に溶液の合成や溶解、検出、分離などを、決められたプロトコルに従って個人差がなく低価格で安全、容易に行うことを目的に、内部に室及び流路が形成され、その室や流路内での流動体の流動・流動阻止を可能にする弾性体と、位置や形状を保持するための剛性体の基板とから構成された化学反応用カートリッジが提案されている。
特許文献1記載の発明によれば、ローラ等で弾性体を変形させて室や流路を押し潰し、押し潰した状態でローラ等を移動又は停止することで、流動体の流動・流動阻止を行っている。
【0003】
このような化学反応用カートリッジは、DNA、RNA、蛋白等を検査・分析するためのバイオ用カートリッジ(バイオチップ)としても利用される。特許文献1の段落0033及び図21には、血液等の試料の注入口に凹部を形成しておき、漏れた試料を凹部に留めるようとする発明が記載されている。注射針はカートリッジから抜き取られる。
【0004】
特許文献2には、注射器に挿入されて採血を行い励起光や励起される蛍光に対して透明な採血管と、ゴム栓と、採取された血液が一旦保持される採取部と、分離、抽出、蛍光標識の付加等の前処理を行う前処理部と、既知のDNAの断片が配置された基板とから構成されるバイオチップが記載されている。
特許文献2の段落0035〜0038に記載されるように、採血針からバイオチップを抜き取って採取を完了する。
【特許文献1】特開2005−037368号公報
【特許文献2】特許第3757412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2記載の発明にあっては、バイオチップの容器として採血管を用い、内部の負圧を利用して血液を順次最深部へと導入するものであり、特許文献1記載の発明のように、採取後、ローラの押圧等により適時に血液を最深部等へ移送することはできない。また、特許文献2記載の発明にあっては、採血針をバイオチップのゴム栓から抜き取るので、ゴム栓の穿刺部からの血液の漏洩のおそれがあり、漏洩した血液が周囲の物に付着する危険性が存在する。
特許文献1記載の発明によれば、採取後、ローラの押圧等により適時に血液を最深部等へ移送することができる。特許文献1記載の発明によれば、注射針をカートリッジから抜き取るが、穿刺部周囲の凹部により、漏洩した血液が周囲の物に付着するおそれは少ない。しかし、漏洩した血液が周囲の物に付着するおそれは皆無とは言えず、また、漏洩した試料が外気に晒されており、試料によっては危険性がある。
また、カートリッジとは別に、採血に用いた採血管、採血針等を廃棄処理しなければならず、煩雑性、危険性がある。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、安全に試料を導入することができる化学反応用カートリッジ及びその使用方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室の一つとして外部から導入される試料を一旦保持する試料採取室と、
前記試料採取室と外部とを連通する注入針とを有することを特徴とする化学反応用カートリッジである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記注入針に併設された排出針と、
前記排出針の内端に接続し、外部から前記弾性体に外力を加えることにより内部にある流体状の物質を、前記排出針を介して外部に排出することができるように構成された排出室とを有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジである。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記注入針に併設された排出針と、
前記排出針の内端に接続し、前記弾性体により少なくとも一部の壁部が形成された排出室とを有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジである。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記針を包囲する保護部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジである。
【0011】
請求項5記載の発明は、前記保護部材を着脱可能なキャップ部材とすることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジである。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記注入針及び前記排出針を包囲する保護部材を有し、前記保護部材が固定されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の化学反応用カートリッジである。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記保護部材は、穿刺可能な端部を有した試料採取器が挿入される穴部であって、前記針を包囲する穴部を有し、
前記穴部に挿入される前記穿刺可能な端部にその挿入動作とともに穿刺されるように前記針が配置されてなることを特徴とする請求項6に記載の化学反応用カートリッジである。
【0014】
請求項8記載の発明は、前記排出室に、試料に影響を与えない流体状の物質が充填されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の化学反応用カートリッジである。
【0015】
請求項9記載の発明は、流路及び室が形成された面の形状を維持するための剛性体の基板を備え、前記針の外端部が前記基板に対して傾いて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジである。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置した状態で、前記試料採取器内に流体状の物質を充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とする化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項2に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置するとともに、前記試料採取器内の試料外の空間に前記排出針の外端開口を配置した状態で、外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記排出室の内部にある流体状の物質を、前記排出針を介して前記試料採取器内に充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0018】
請求項12記載の発明は、請求項3に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置するとともに、前記試料採取器内の試料外の空間に前記排出針の外端開口を配置した状態で、前記弾性体に第3の針を穿刺して当該第3の針、前記排出室及び前記排出針を介して流体状の物質を外部より前記試料採取器内に充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0019】
請求項13記載の発明は、請求項7に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部を前記保護部材の前記穴部に挿入しつつ当該端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺することにより、試料採取器と化学反応用カートリッジとの接続を行うことを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0020】
請求項14記載の発明は、前記針が前記試料採取器の穿刺可能な端部に穿刺された状態で、化学反応用カートリッジを試料の検査に使用することを特徴とする請求項10から請求項13のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0021】
請求項15記載の発明は、前記針が前記試料採取器の穿刺可能な端部に穿刺された状態で、化学反応用カートリッジを試料の検査に使用し、前記試料採取器及び化学反応用カートリッジを廃棄することを特徴とする請求項14に記載の化学反応用カートリッジの使用方法である。
【0022】
請求項16記載の発明は、前記針又は前記化学反応用カートリッジを重力方向に対して傾けた状態で、前記試料採取器から前記試料採取室に試料を注入することを特徴とする請求項10から請求項15のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、試料採取器と化学反応用カートリッジとを接続し、そのまま一体で使用し、廃棄することにより、微小の試料の漏洩も防がれ、安全に試料を化学反応用カートリッジに導入し、化学反応用カートリッジを含む使用器具を安全に廃棄することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。なお、本発明の化学反応用カートリッジは、一般に「マイクロリアクタ」とも呼ばれる反応器として応用されるものである。本発明は特定の用途に限定されない。
【0025】
図1に本発明の実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面図(a)、水平断面図(b)及び垂直断面図(c)を示す。
図1に示すように、化学反応用カートリッジ1は、気密状で弾力性のあるゴムなどの弾性体3と、硬質材料で形成された位置決め及び形状維持のための剛性体の基板2より形成されている。また、化学反応用カートリッジ1の端部には、保護部材4が固定されている。
【0026】
弾性体3の材質としては、シリコンゴム、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、天然ゴムおよびその重合体、アクリルゴム、ウレタンゴムなどである。
基板2の材質としては、ガラス、金属、硬質樹脂あるいは曲げることが可能な剛体を用いることができる。
保護部材4は、基板2と同一材料で一体に形成しても良いし、基板2とは別に形成して基板2に固定しても良い。
【0027】
図1に示すように、弾性体3の一面に凹部(例えば3a)が形成されている。弾性体3の凹部が形成された面の凹部を除く部分が、基板2の面に接着されることにより、流路及び室が形成されている。室は2以上形成される。流路は室間を繋げ、室間の物質の移送を可能にする。移送される物質は、流動性のある物質、液体その他の流体状の物質である。移送目的の反応物質が、固体等の流動しないもの、流動し難いものである場合は、その反応物質を含んだ溶液が室に入れられる。
【0028】
流路及び室は、弾性体により全体を被うようにして形成しても良いし、一部の壁部を弾性体により構成しても良い。基板2と弾性体3との間にもう一層の弾性体を介在させることにより、流路及び室の全体を弾性体により被うように形成することができる。また、基板2に代えて弾性体を用い、剛性体の基板なしで構成しても良い。
【0029】
物質の移動は次のように行う。
まず、ローラ、スキージ、シリンジ等の押圧手段を、流路又は室上の弾性体3に押し当て、流路又は室を押し潰す。流路又は室を押し潰すことにより、内部の物質を流動させて移動させることができる。さらには、押圧位置を移動させることにより、内部の物質を流動させ、押圧位置の移動方向に物質を移動させることができる。押圧位置の移動は、押圧位置において流路又は室の対向する内壁同士を接触させることにより内部空間を遮断する状態まで押圧して行うことが好ましい。
【0030】
物質の移動阻止は、押圧手段により流路又は室の対向する内壁同士を接触させて内部空間を遮断することで行われる。押圧手段を複数使用することにより、一方の押圧手段により物質の移動を行わせつつ、その移動方向の前方において他方の押圧手段により流路又は室を押圧して、その位置より先への物質の移動を阻止することもできる。
以上のような移動、移動阻止を基本として、カートリッジ1内の物質の移動が制御される。
【0031】
以上の原理により、化学反応用カートリッジ1内の物質の移動を制御して、化学反応のための操作を行う。以下本実施形態では、試料を血液とし、試料採取器を採血管として説明する。
図1に示すようにカートリッジ1には、排出室7と、試料採取室8と、試料採取室8に繋がる流路9とが形成されている。流路9は図示しない前処理室に繋がれている。
試料採取室8には、弾性体3を貫通し、試料採取室8と外部とを連通する注入針5が付設されている。
注入針5と平行に排出針6が併設されている。排出室7は排出針6の内端に接続されている。すなわち、排出針6は弾性体3を貫通し排出室7と外部とを連通する。
排出室7は、カートリッジ内の流路や室を介して試料採取室8に繋がれていない独立した室である。排出室7自体は、複数の室を流路で繋いだ構成であっても良い。上述した原理で排出室7上の弾性体3をローラ等で押圧することにより、排出室7の内部にある空気その他の流体状の物質を、排出針6を介して外部に排出することができる。
【0032】
注入針5は排出針6より長く、注入針5の外端部は排出針6の外端部より長く延出している。保護部材4の穴部4aは、注入針5及び排出針6を包囲している。なお、保護部材4に代え、図4に示すようにカートリッジ本体10に着脱自在なキャップ部材11を針の保護部材としても良い。
【0033】
次に、本カートリッジ1の使用方法につき図2及び図3を参照して説明する。
まず、注射器で人体等から採取した血液12が内部に保持された採血管13と、本カートリッジ1を用意する。採血管13の開口端は、穿刺可能なゴム栓14で密閉されている。
【0034】
図2(a)(b)に示すように、採血管13を穴部4aに挿入する。このとき、ゴム栓14側の端部を挿入方向前方にして挿入する。そのようにして穴部4aに採血管13を挿入しつつゴム栓14に注入針5及び排出針6を穿刺する。採血管13を穴部4aの奥まで押し込み、これにより採血管13と本カートリッジ1との接続を完了する。採血管13は、注入針5及び排出針6と、穴部4aとに保持され、本カートリッジ1と一体化する。この一体化した状態のまま、採血管13から試料採取室8への血液の導入、血液の検査、採血管13と本カートリッジ1の廃棄までを行う。
【0035】
次に、採血管13から試料採取室8への血液の導入を行う。
まず、図2(b)(c)に示すように、注入針5の外端開口を採血管13内の血液12内に配置するとともに、採血管13内の血液12外の空間に排出針6の外端開口を配置した状態とする。適宜、図2(c)に示すようにゴム栓14側を上にして採血管13を傾ける等によりこの状態をつくる。
この状態で、排出室7から排出針6を介して空気等を採血管13内に充填する。これにより、採血管13内の血液12は、押出され注入針5を介して試料採取室8に注入される。
【0036】
排出室7から排出針6を介して空気等を採血管13内に充填する方法として、次の2例を挙げる。
まず一つの方法は、図3(a)に示すようにして、ローラ16で排出室7上の弾性体を押圧し排気方向へ移動することにより行う方法である。ローラに代えスキージ、シリンジ等の他の押圧手段を用いても良い。この方法の場合、排出室7内の空気等により血液12を押出す必要がある。したがって、排出室7の容積を、必要量の血液12を試料採取室8に注入するために十分な大きさとする必要がある。
【0037】
他の一つの方法は、図3(b)に示すようにして、注射器17の注射針(第3の針)17aを排出室7に穿刺し、注射器17により空気等を送出して、注射針17a、排出室7及び排出針6を介して空気等を採血管13内に充填する方法である。この方法の場合、血液12を押出す空気等は外部から供給できるため、排出室7は注射針17aを穿刺しやすい程度の大きさがあれば足りる。
【0038】
排出針6を介して採血管13内に充填する流体状の物質は空気に限られず、油その他の試料に影響を与えない流体状の物質とすれば良い。図3(a)に示す方法の実施のためには、排出室7に空気、油その他の試料に影響を与えない流体状の物質が充填されたカートリッジを用いる。
また、図2(c)に示すように、初めに油を充填して油膜15を形成しておき、その後、空気を充填して、空気が試料採取室8に混入されるのを防ぐことも有効である。
【0039】
以上のようにして、試料採取室8への血液の導入を行い、その後、注入針5及び排出針6がゴム栓14に穿刺され、採血管13と本カートリッジ1とが接続された状態で、本カートリッジ1を血液の検査に使用する。さらにその後、その状態のまま採血管13と本カートリッジ1とを廃棄する。
【0040】
次に、図5を参照して他の形態の化学反応用カートリッジを示す。
図5に示す化学反応用カートリッジ21は、排出針23が付属しておらず、注入針22のみ有するカートリッジである。この場合も注入針22に保護キャップを設けることが好ましい。
【0041】
注入針22は、基板2と平行に延在するものでもよいが、外端部が基板2に対して傾いて配置されているものを示した。
このような傾いた注入針22を有したカートリッジ21にあっては、水平な台24にカートリッジ21を載置して状態において、血液注入時の適した角度に採血管13のみを傾けることができる。
【0042】
図5に示すカートリッジ21にあっては、排出針23が付属していないので、注入作業時に排出針23をゴム栓14に穿刺し、排出針23を介して採血管内に、図示しないシリンダ等の装置により空気等を充填する。
【0043】
以上の実施形態に拘わらず、注入針及び排出針を有し、かつ、注入針及び排出針の両外端部を基板に対して傾けたものを実施しても良い。この場合、カートリッジを水平に載置状態で、ローラ等による排出室等の押圧を行うことができる。
また、注入針及び排出針の保護部材を固定した又は着脱可能に付属させたカートリッジを実施するなど、種々の変更、組み合わせは任意である。
【0044】
また、上記実施形態においては試料を血液としたが、本発明に適用できる試料はこれに限定されず、生体、自然界等から採取したあらゆるものが試料となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る化学反応用カートリッジの平面図(a)、水平断面図(b)及び垂直断面図(c)である。
【図2】本発明の実施形態に係る化学反応用カートリッジ及び採血管の水平断面図(a)(b)及び垂直断面図(c)である。
【図3】本発明の実施形態に係る化学反応用カートリッジへの試料注入の様子を示す平面図(a)、及び他の方法の様子を示す平面図(b)である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る化学反応用カートリッジの垂直断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る化学反応用カートリッジ、採血管等の垂直断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 化学反応用カートリッジ
2 基板
3 弾性体
4 保護部材
4a 穴部
5 注入針
6 排出針
7 排出室
8 試料採取室
9 流路
11 キャップ部材
13 採血管
14 ゴム栓
15 油膜
16 ローラ
17 注射器
17a 注射針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成材として弾性体を含み、
内部には、流路と、前記流路で繋がれる2以上の室とが形成され、
外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記流路若しくは室又はその両者を部分的に塞いでその流路又は室にある流体状の物質を移動又は移動阻止することができるように構成され、
前記室の一つとして外部から導入される試料を一旦保持する試料採取室と、
前記試料採取室と外部とを連通する注入針とを有することを特徴とする化学反応用カートリッジ。
【請求項2】
前記注入針に併設された排出針と、
前記排出針の内端に接続し、外部から前記弾性体に外力を加えることにより内部にある流体状の物質を、前記排出針を介して外部に排出することができるように構成された排出室とを有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項3】
前記注入針に併設された排出針と、
前記排出針の内端に接続し、前記弾性体により少なくとも一部の壁部が形成された排出室とを有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項4】
前記針を包囲する保護部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項5】
前記保護部材を着脱可能なキャップ部材とすることを特徴とする請求項4に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項6】
前記注入針及び前記排出針を包囲する保護部材を有し、前記保護部材が前記基板に固定されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項7】
前記保護部材は、穿刺可能な端部を有した試料採取器が挿入される穴部であって、前記針を包囲する穴部を有し、
前記穴部に挿入される前記穿刺可能な端部にその挿入動作とともに穿刺されるように前記針が配置されてなることを特徴とする請求項6に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項8】
前記排出室に、試料に影響を与えない流体状の物質が充填されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項9】
流路及び室が形成された面の形状を維持するための剛性体の基板を備え、前記針の外端部が前記基板に対して傾いて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置した状態で、前記試料採取器内に流体状の物質を充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とする化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項11】
請求項2に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置するとともに、前記試料採取器内の試料外の空間に前記排出針の外端開口を配置した状態で、外部から前記弾性体に外力を加えることにより前記排出室の内部にある流体状の物質を、前記排出針を介して前記試料採取器内に充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項12】
請求項3に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺し、
前記注入針の外端開口を前記試料採取器内の試料内に配置するとともに、前記試料採取器内の試料外の空間に前記排出針の外端開口を配置した状態で、前記弾性体に第3の針を穿刺して当該第3の針、前記排出室及び前記排出針を介して流体状の物質を外部より前記試料採取器内に充填することにより前記注入針を介して前記試料採取室に試料を押出し注入することを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項13】
請求項7に記載の化学反応用カートリッジの使用方法であって、
試料が保持された試料採取器の穿刺可能な端部を前記保護部材の前記穴部に挿入しつつ当該端部に前記注入針及び前記排出針を穿刺することにより、試料採取器と化学反応用カートリッジとの接続を行うことを特徴とするの化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項14】
前記針が前記試料採取器の穿刺可能な端部に穿刺された状態で、化学反応用カートリッジを試料の検査に使用することを特徴とする請求項10から請求項13のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項15】
前記針が前記試料採取器の穿刺可能な端部に穿刺された状態で、化学反応用カートリッジを試料の検査に使用し、前記試料採取器及び化学反応用カートリッジを廃棄することを特徴とする請求項14に記載の化学反応用カートリッジの使用方法。
【請求項16】
前記針又は前記化学反応用カートリッジを重力方向に対して傾けた状態で、前記試料採取器から前記試料採取室に試料を注入することを特徴とする請求項10から請求項15のうちいずれか一に記載の化学反応用カートリッジの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−175608(P2008−175608A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7807(P2007−7807)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】