説明

化学反応装置および化学反応方法

【課題】流路の閉塞の可能性を抑える。
【解決手段】化学反応装置は、状態変換部10と、混合部16と、生成物回収部22とを備える。状態変換部10は溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にする。混合部16は溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する。生成物回収部22は生成物含有流体を回収する。生成物含有流体は原料流体と溶媒物質と添加物とが混合されることで生成するものである。化学反応装置は、固相停滞抑制部20をさらに備える。固相停滞抑制部20は、原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応装置および化学反応方法に関し、特に、流路の閉塞を改善する化学反応装置および化学反応方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ナノサイズ粒子の製造方法を開示する。この方法は、次の工程を備える。第1の工程は、第1流体に対して加圧と加熱とを行う工程である。これにより、第1流体の温度はその臨界温度より高くなる。第2の工程は、第2流体を加熱する工程である。第2流体は前駆体および反応剤の少なくとも一方を含む。このとき、第2流体の温度はそこに含まれる前駆体または反応剤の熱分解温度未満である。第3の工程は、混合ゾーン内で第1流体と第2流体とを混合する工程である。第1流体と第2流体との混合物が「流体混合物」である。この流体混合物の温度は所定の温度に維持される。第4の工程は、所定の反応時間、流体混合物を第3の工程の場合と同じ温度に維持する工程である。第5の工程は、流体混合物を摂氏100度未満の温度に冷却する工程である。第6の工程は、流体混合物を1つ以上の工程で膨張させる工程である。この方法において、流体混合物のゼータ電位と流体混合物のpH値とのうち少なくとも一方が制御される。これは、生成した材料を流体混合物中で懸濁状態に保つためである。流体混合物のゼータ電位の制御は、次に述べる2種類の制御の少なくとも一方によって実現される。1種類目の制御は、流体混合物のpH値の制御である。この制御は、酸および塩基の少なくとも一方の添加によって実現される。2種類目の制御は、流体混合物中に存在する電解質の濃度の制御である。
【0003】
特許文献1に開示された方法によれば、ナノサイズ粒子の大量生産に適した方法を提供できる。そのナノサイズ粒子は従来以上に均一な特性を備える。特許文献1に開示された方法によれば、ナノサイズ粒子の大量生産の際、流路の閉塞を避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−518167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示され方法には、流路の閉塞を回避できない場合があるという問題点がある。本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、流路の閉塞を改善する化学反応装置および化学反応方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照し本発明の化学反応装置を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためであって内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、化学反応装置は、状態変換部10と、混合部16と、生成物回収部22とを備える。状態変換部10は溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にする。混合部16は溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する。生成物回収部22は生成物含有流体を回収する。生成物含有流体は原料流体と溶媒物質と添加物とが混合されることで生成するものである。化学反応装置は、固相停滞抑制部20,70をさらに備える。固相停滞抑制部20,70は、原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する。
【0008】
停滞した固相(流体中の固体である成分)は、流路の閉塞の原因となり得る。固相の停滞が生じないと、固相の停滞が生じる場合に比べ、流路の閉塞の可能性は低くなる。原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を固相停滞抑制部20,70が抑制することにより、それらがともに抑制されない場合に比べ、それらのうち少なくとも一方が生じにくくなる。その結果、流路の閉塞を改善できる。
【0009】
また、上述した固相停滞抑制部20が、生成物冷却部130と、冷却制御部132とを有する。生成物冷却部130は生成物含有流体を冷却する。冷却制御部132は、所定の温度まで生成物含有流体が冷却されるよう生成物冷却部130を制御する。
【0010】
生成物含有流体が冷却され過ぎることにより、生成物含有流体中の固相のいずれかについては停滞することがあり得る。生成物含有流体を冷却し過ぎなければ、そのことに起因して固相のいずれかにつき停滞することを抑えられる。所定の温度まで生成物含有流体が冷却されるよう生成物冷却部130を冷却制御部132が制御することにより、生成物含有流体の冷却のし過ぎを防止できる。その結果、生成物含有流体の固相のいずれかにつき停滞することを抑制できる。
【0011】
また、上述した生成物冷却部130が、流体通過管140と、熱交換器142とを有していることが望ましい。流体通過管140には生成物含有流体が流れる。熱交換器142は流体通過管140に取付けられる。熱交換器142では熱媒が循環する。この場合、冷却制御部132が、熱媒冷却部150と、熱媒温度制御部152とを有する。熱媒冷却部150は熱媒を冷却する。熱媒温度制御部152は熱媒冷却部150を制御する。これにより、熱媒の温度が次に述べる流体冷却温度に冷却される。その流体冷却温度とは、生成物含有流体を所定の温度まで冷却可能な温度である。
【0012】
流体通過管140を流れる生成物含有流体は流体通過管140と熱交換器142とを介して熱媒により冷却される。熱交換器142を用いて冷却されるので、生成物含有流体が熱媒に直接接触することでその生成物含有流体が冷却される場合に比べ、生成物含有流体の成分が化学変化を起こす恐れが少なくなる。その結果、生成物含有流体の成分の変質を抑制できる。
【0013】
もしくは、上述した熱媒冷却部150が冷却槽を有していることが望ましい。冷却槽は熱媒を冷却する。この場合、熱媒温度制御部152が温度保持装置を有する。温度保持装置は冷却槽内の温度を流体冷却温度に保つ。
【0014】
熱媒が冷却槽の中で冷却される場合、例えば断熱膨張といった方法で冷却される場合に比べ、熱媒の温度変化速度を抑えることができる。温度変化速度を抑えることができるので、熱媒における温度分布を均一化しやすくなる。温度分布が均一化しやすいので、生成物含有流体を上述した所定の温度へ冷却しやすくなる。その結果、生成物含有流体の固相のいずれかにつき停滞することを容易に抑制できる。
【0015】
または、上述した固相停滞抑制部70が原料製造部86を有することが望ましい。原料製造部86は、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合して原料流体を製造する。ここで言う分散剤とは、原料物質を流動性付与物質中に分散させる物質のことである。ここで言う流動性付与物質とは、原料物質に対して流動性を付与する物質のことである。ここで言う原料物質とは、生成物含有流体に所定の成分を含ませるため選択される物質のことである。
【0016】
原料製造部86が原料流体を製造する際、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とが混合される。これにより、原料流体中では原料物質が分散していることとなる。原料物質が分散していれば、そうでない場合に比べ、原料物質は凝集しにくくなる。原料物質が凝集しにくくなるので、凝集が生じやすい場合に比べ、固相の停滞の可能性は低くなる。固相の停滞の可能性が低くなると、流路の閉塞の可能性は低くなる。その結果、流路の閉塞を改善できる。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、化学反応方法は、状態変換工程S200と、混合工程S202,S222と、生成物回収工程S206,S224とを備える。状態変換工程S200は、溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にする工程である。混合工程S202,S222は溶媒物質と原料流体と添加物と混合する工程である。生成物回収工程S206,S224は、生成物含有流体を回収する工程である。生成物含有流体は、原料流体と溶媒物質と添加物とが混合されたことにより生成する。化学反応方法は固相停滞抑制工程S204,S220をさらに備える。固相停滞抑制工程S204,S220は、原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する工程である。
【0018】
停滞した固相は、流路の閉塞の原因となり得る。固相の停滞が生じないと、固相の停滞が生じる場合に比べ、流路の閉塞の可能性は低くなる。原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方が固相停滞抑制工程S204,S220において抑制されることにより、それらがともに抑制されない場合に比べ、それらのうち少なくとも一方が生じにくくなる。その結果、流路の閉塞を改善できる。
【0019】
また、上述した固相停滞抑制工程が、流体冷却工程S204を有することが望ましい。流体冷却工程S204は、所定の温度まで生成物含有流体を冷却する工程である。
【0020】
生成物含有流体が冷却され過ぎることにより、生成物含有流体中の固相のいずれかについては停滞することがあり得る。生成物含有流体を冷却し過ぎなければ、そのことに起因して固相のいずれかにつき停滞することを抑えられる。流体冷却工程S204では所定の温度まで生成物含有流体が冷却される。これにより、生成物含有流体の冷却のし過ぎを防止できる。その結果、生成物含有流体の固相のいずれかにつき停滞することを抑制できる。
【0021】
もしくは、上述した生成物含有流体の成分のいずれかが、所定の軟化温度より高い温度では軟化する物質であることが望ましい。流体冷却工程S204が、所定の温度まで生成物含有流体を冷却する工程であることが望ましい。その所定の温度は、軟化温度より高い。
【0022】
生成物含有流体の成分のいずれかが所定の軟化温度より高い温度では軟化する物質を含む場合、生成物含有流体の温度がその軟化温度より高ければ、その成分が硬化することを防止できる。その成分の硬化が防止できれば、その成分が停滞することを抑制できる。
【0023】
もしくは、上述した流体冷却工程S204が、所定の温度まで生成物含有流体を冷却する工程であることが望ましい。その所定の温度は、生成物含有流体の成分のいずれかの融点より高い。
【0024】
生成物含有流体の温度がその成分のいずれかの融点より高ければ、その成分が凝固することを防止できる。その成分の凝固が防止できれば、その成分が停滞することを抑制できる。
【0025】
また、上述した固相停滞抑制工程が、原料製造工程S220を有することが望ましい。原料製造工程S220は、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合して原料流体を製造する工程である。ここで言う分散剤とは、原料物質を流動性付与物質中に分散させる物質のことである。ここで言う流動性付与物質とは、原料物質に対して流動性を付与する物質のことである。ここで言う原料物質とは、生成物含有流体に所定の成分を含ませるため選択される物質のことである。
【0026】
原料製造工程S220において、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とが混合される。これにより、原料流体中では原料物質が分散していることとなる。原料物質が分散していれば、そうでない場合に比べ、原料物質は凝集しにくくなる。原料物質が凝集しにくくなるので、凝集が生じやすい場合に比べ、固相の停滞の可能性は低くなる。固相の停滞の可能性が低くなると、流路の閉塞の可能性は低くなる。その結果、流路の閉塞を改善できる。
【0027】
また、上述した分散剤が添加物と同一成分であることが望ましい。分散剤が添加物と同一成分であれば、分散剤の成分と添加物の成分とが異なる場合に比べ、分散剤が原料物質と添加物との反応へ悪影響を与える可能性を抑制できる。
【0028】
また、上述した添加物の成分のいずれかが原料物質に結合する官能基と流動性付与物質に結合する官能基とを有することが望ましい。これにより、原料物質を流動性付与物質中によく分散させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、流路の閉塞を改善するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる化学反応装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる化学反応方法の工程を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる化学反応装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる化学反応方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0032】
<第1実施形態>
[構成の説明]
図1を参照しつつ、本実施形態にかかる化学反応装置の構成を説明する。本実施形態にかかる化学反応装置は、状態変換部10と、原料流体供給路12と、添加物供給路14と、混合部16と、反応器18と、冷却部20と、生成物回収部22と、生成物槽24とを備える。
【0033】
状態変換部10は溶媒物質を供給する。また、状態変換部10は溶媒物質を超臨界状態にする。本実施形態の場合、溶媒物質とは、超臨界状態または亜臨界状態となったとき、溶媒の役割を果たす物質である。本実施形態の場合には溶媒物質として精製水が用いられる。
【0034】
原料流体供給路12は原料流体を供給する。本実施形態の場合、原料流体は金属化合物のスラリーである。本実施形態の場合、この金属化合物はアルミナである。
【0035】
添加物供給路14は添加物を供給する。本発明において、添加物とは、原料流体の成分である原料物質と化学反応を起こす物質のことである。本実施形態の場合、添加物としてオレイン酸が用いられる。これは、アルミナの表面に化学的修飾を施すためである。
【0036】
混合部16は溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する。混合部16は、原料流体合流部50と、添加物合流部52とを有する。状態変換部10と原料流体供給路12とは原料流体合流部50で互いに接続してある。これにより、原料流体合流部50は、溶媒物質と原料流体とを混合する役割を担当することとなる。添加物合流部52は原料流体合流部50より下流側に設けられている。添加物供給路14は添加物合流部52に接続される。これにより、添加物合流部52は、溶媒物質(原料流体が混合されているもの)と添加物とを混合する役割を担当することとなる。
【0037】
反応器18は、溶媒物質と原料流体と添加物との混合物を収容する。これまでの説明から明らかなとおり、反応器18内に入った溶媒物質は超臨界状態となっている。反応器18の中で原料物質(原料物質は原料流体が含む)と添加物とが反応する。これにより、溶媒物質と原料流体と添加物との混合物は、生成物含有流体となる。生成物含有流体は、生成物(本実施形態の場合、化学修飾が施されたアルミナ)と、溶媒物質とを含む。本実施形態の場合、生成物含有流体が反応しなかった添加物を含むことがある。
【0038】
冷却部20は生成物含有流体を冷却する。また、本実施形態の場合、冷却部20は生成物含有流体中の固相の停滞を抑制する役割も担当する。生成物回収部22は、生成物含有流体を回収する。生成物槽24は生成物含有流体を蓄える。
【0039】
状態変換部10は、溶媒槽40と、溶媒加圧ポンプ42と、加熱部44とを備える。溶媒槽40は溶媒物質(本実施形態の場合は精製水)を蓄える。溶媒加圧ポンプ42は溶媒物質を臨界圧力以上に加圧する。加熱部44は溶媒物質を所定の温度(本実施形態の場合、この場合「所定の温度」とは臨界温度以上の温度であることを必要とする。)に加熱する。
【0040】
原料流体供給路12は、原料貯留部60と、原料加圧部62と、原料加熱部64とを備える。原料貯留部60は原料流体を蓄える。原料加圧部62は原料流体が溶媒物質と同程度の圧力を受けるよう原料流体を加圧する。原料加熱部64は原料流体が溶媒物質と同程度の温度となるように原料流体を加熱する。
【0041】
原料貯留部60は、原料槽80と、ガスボンベ82と、開閉弁84とを有する。原料槽80は原料流体を蓄える。ガスボンベ82は原料槽80に気体(本実施形態の場合、この気体は窒素ガスである。)を供給する。原料槽80に窒素ガスが供給されることにより、原料槽80に蓄えられている原料流体は押し出される。開閉弁84は、ガスボンベ82から原料槽80へ至る流路を開閉する。なお、本実施形態の場合、原料流体は、アルミナと精製水との混合物である。これらは予め混合される。アルミナが本実施形態における原料物質である。精製水が本実施形態における流動性付与物質である。
【0042】
原料加圧部62は、一対のシリンダポンプ90と、2つの開閉弁92とを有する。シリンダポンプ90は、原料流体(これは原料貯留部60から供給されたものである)を原料加熱部64へ供給する。その際、原料流体はシリンダポンプ90から圧力を受ける。2つの開閉弁92は、原料貯留部60からシリンダポンプ90へ至る流路を開閉する。これらが適切に開閉することにより、一方のシリンダポンプ90が原料流体を吐出している間に他方のシリンダポンプ90へ原料流体が供給されることとなる。
【0043】
添加物供給路14は、添加物供給槽100と、添加物加圧ポンプ102と、添加物加熱部104とを備える。添加物供給槽100は添加物を蓄える。オレイン酸が本実施形態における添加物である。添加物加圧ポンプ102は、添加物が溶媒物質と同程度の圧力を受けるよう添加物を加圧する。添加物加熱部104は添加物が溶媒物質と同程度の温度となるように添加物を加熱する。
【0044】
冷却部20は、生成物冷却部130と、冷却制御部132とを有する。生成物冷却部130は生成物含有流体を冷却する。冷却制御部132は生成物冷却部130を制御する。この制御により、所定の温度まで生成物含有流体が冷却される。本実施形態の場合、この「所定の温度」は本実施形態にかかる化学反応装置を制御する者によって任意に設定される温度である。ただし、その温度は生成物含有流体中の成分が硬化する温度より高いことを要件とする。本実施形態の場合、この「所定の温度」は333.15K(摂氏60度)である。これは、添加物(オレイン酸)が十分軟化する温度である。ちなみに、本実施形態における「軟化」の例には、融解直前の蝋のように可塑性を持った固体状態となる(しかも流体によって押し流される程度に柔らかくなる)ことがある。
【0045】
生成物冷却部130は、流体通過管140と、熱交換器142とを有している。流体通過管140には生成物含有流体が流れる。熱交換器142は流体通過管140に取付けられる。熱交換器142を熱媒が循環する。これにより、熱交換器142は流体通過管140を介して生成物含有流体から熱を奪うこととなる。冷却制御部132は、熱媒冷却部150と、熱媒温度制御部152とを有する。熱媒冷却部150は熱媒を冷却する。本実施形態の場合、熱媒冷却部150は熱媒冷却用の流体を満たした冷却槽である。熱媒温度制御部152は熱媒冷却部150を制御する。これにより、熱媒の温度が流体冷却温度となるように熱媒が冷却される。流体冷却温度とは、生成物含有流体を上述した「所定の温度」まで冷却可能な温度である。
【0046】
生成物回収部22は、一対のシリンダポンプ120と、2つの開閉弁122とを有する。シリンダポンプ120は、生成物含有流体を生成物槽24へ排出する。この(シリンダポンプ120に供給される)生成物含有流体は高圧(反応器18内の圧力とほぼ同じ)である。シリンダポンプ120はその生成物含有流体を生成物槽24へ排出する。生成物槽24内部の圧力は大気圧とほぼ同じである。これにより、生成物槽24内に生成物含有流体が噴出することとなる。2つの開閉弁122は、冷却部20からシリンダポンプ120へ至る流路を開閉する。これらが適切に開閉すると、一方のシリンダポンプ120が生成物含有流体を排出している間に他方のシリンダポンプ120へ生成物含有流体が供給される。これにより、生成物回収部22より反応器18側と生成物回収部22より生成物槽24側との間に圧力差が設けられていることとなる。圧力差が設けられているので、生成物含有流体の排出に伴い反応器18の中の圧力が大気圧に近い圧力へ低下することはない。
【0047】
[化学反応方法の説明]
図2は本実施形態にかかる化学反応方法の工程を示す図である。図2を参照しつつ、本実施形態にかかる化学反応方法について説明する。
【0048】
S200にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、状態変換工程を実施する。本実施形態の場合、この工程は、溶媒物質を超臨界状態にする工程である。溶媒物質を超臨界状態にするため、溶媒加圧ポンプ42は、溶媒槽40から供給された溶媒物質を加圧する。これにより、溶媒物質にかかる圧力は臨界圧力以上となる。溶媒加圧ポンプ42は、加圧した溶媒物質を加熱部44に送り出す。加熱部44は、その溶媒物質を加熱する。これにより、本実施形態の場合、溶媒物質は超臨界状態となる。
【0049】
S202にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、混合工程を実施する。この工程は、溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する工程である。溶媒物質と原料流体と添加物とを混合するため、原料流体供給路12は原料流体を供給する。上述したように、状態変換部10と原料流体供給路12とは原料流体合流部50で互いに接続してある。これにより、溶媒物質を原料流体とは原料流体合流部50で混合される。上述したように、添加物供給路14は添加物を供給する。添加物供給路14は添加物合流部52に接続されている。これにより、溶媒物質(この溶媒物質には既に原料流体が混合されている。)と添加物とは添加物合流部52で混合される。この後、所定の時間(ここで言う「所定の時間」は溶媒物質と原料流体と添加物との混合物中で化学的修飾が実現するために十分な時間である)、溶媒物質と原料流体と添加物との混合物は反応器18内で次に述べる状態に維持される。その状態とは、溶媒物質が超臨界状態であるという状態である。
【0050】
S204にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、固相停滞抑制工程を実施する。固相停滞抑制工程とは、原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する工程のことである。この工程は様々な工程を有し得る。しかし、本実施形態の場合、この工程では、流体冷却工程のみが実施される。流体冷却工程は、所定の温度まで生成物含有流体を冷却する工程のことである。本実施形態の場合、このステップに言う「所定の温度」は、生成物冷却部130によって生成物含有流体が冷却される温度の下限を意味する。本実施形態の場合についてより具体的に述べると、このステップにおける「所定の温度」は333.15K(摂氏60度)である。この温度であれば、添加物であるオレイン酸が生成物含有流体に残留していたとしても、そのオレイン酸は十分軟化している。十分軟化しているので、流路の内周面にそのオレイン酸が付着したとしても、後に流れてくる生成物含有流体によって押し流される。所定の温度まで生成物含有流体を冷却するため、熱交換器142内の熱媒は生成物含有流体から熱を奪う。熱交換器142内を熱媒が循環する。熱媒冷却部150はこの熱媒を冷却する。熱媒温度制御部152は熱媒の温度を上述した流体冷却温度となるように制御する。流体冷却温度となった熱媒は再び生成物含有流体から熱を奪う。
【0051】
S206にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、生成物回収工程を実施する。生成物回収工程とは、生成物含有流体を回収する工程のことである。この工程は、生成物回収部22のシリンダポンプ120から生成物槽24内へ生成物含有流体が噴出することにより実施される。
【0052】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる化学反応装置を用いて本実施形態にかかる化学反応を実施すれば、流路の閉塞を改善できる。これは、生成物含有流体中の固相(本実施形態の場合はオレイン酸)が硬化することを抑制しているためである。その固相が硬化すると、それが流路(この場合、生成物含有流体が流れる管のこと)の内周面に堆積する。すなわち、その内周面にその硬化した固相が停滞することになる。そのまま堆積が進むと、その堆積した成分が障壁となる。これにより、その流路が閉塞することとなる。これに対し、その固相の硬化が抑制されていれば、その流路の内周面へのその固相の停滞も抑制されることとなる。その固相の停滞が抑制されれば、その流路の閉塞も抑制される。これが、流路の閉塞を改善できる理由である。
【0053】
また、本実施形態において、流体通過管140を流れる生成物含有流体は流体通過管140と熱交換器142とを介して熱媒により冷却される。熱交換器142を用いて冷却されるので、生成物含有流体が熱媒に直接接触することでその生成物含有流体が冷却される場合に比べ、生成物含有流体の成分が化学変化を起こす恐れが少なくなる。その結果、生成物含有流体の成分の変質を抑制できる。
【0054】
また、本実施形態において、熱媒が熱媒冷却部150の中で冷却されると、例えば断熱膨張といった方法で冷却される場合に比べ、熱媒の温度変化速度を抑えることができる。温度変化速度を抑えることができるので、熱媒における温度分布を均一化しやすくなる。温度分布が均一化しやすいので、生成物含有流体を上述した所定の温度へ冷却しやすくなる。その結果、生成物含有流体の固相のいずれかにつき停滞することを容易に抑制できる。
【0055】
また、本実施形態において、生成物含有流体の固相のいずれかが所定の軟化温度より高い温度では軟化する物質を含む場合、生成物含有流体の温度がその軟化温度より高ければ、その固相が硬化することを防止できる。その固相の硬化が防止できれば、その固相が停滞することを抑制できる。
【0056】
<第2実施形態>
[構成の説明]
図3を参照しつつ、本実施形態にかかる化学反応装置の構成を説明する。本実施形態にかかる化学反応装置は、状態変換部10と、原料流体供給路30と、添加物供給路14と、混合部16と、反応器18と、冷却部32と、生成物回収部22と、生成物槽24とを備える。
【0057】
原料流体供給路30は原料流体を供給する。これは第1実施形態と同様である。本実施形態の場合、原料流体は窒化ホウ素のスラリーである。冷却部32は、生成物含有流体を冷却する。本実施形態の場合、冷却部32は、周知の熱交換器である。よく知られているように、周知の熱交換器において、熱媒の温度は特に制御されない。熱媒は単に冷たく冷やされるだけである。したがって、本実施形態にかかる冷却部32においても、熱媒の温度は特に制御されない。
【0058】
原料流体供給路30は、原料貯留部70と、原料加圧部62と、原料加熱部64とを備える。原料貯留部70は原料流体を蓄える。また、本実施形態の場合、原料貯留部70は原料流体の成分の凝集を抑制する役割も担当する。
【0059】
原料貯留部70は、原料槽80と、ガスボンベ82と、開閉弁84と、原料製造部86とを有する。本実施形態における原料製造部86は、原料流体を製造するための、撹拌機を有するタンクである。本実施形態の場合、原料流体は、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合することにより製造される。本実施形態の場合、原料物質は窒化ホウ素である。本実施形態の場合、溶媒物質と同様、流動性付与物質は精製水である。本実施形態の場合、分散剤は、ヘキシルアミンである。
【0060】
本実施形態にかかる化学反応装置の構成のうちその他の点については第1実施形態と同様である。したがって、ここではその詳細な説明を繰返さない。
【0061】
[化学反応方法の説明]
図4は本実施形態にかかる化学反応方法の工程を示す図である。図4を参照しつつ、本実施形態にかかる化学反応方法について説明する。
【0062】
S220にて、作業者は、原料製造工程を実施する。この工程は、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合して、原料流体を製造する工程である。原料流体を製造するため、作業者は、原料製造部86に原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを投入する。これらが投入されたら、作業者は、原料製造部86が有する撹拌機を用いて、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを撹拌する。これにより、原料流体が完成する。完成した原料流体は原料槽80に排出される。
【0063】
S222にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、混合工程を実施する。この工程は、溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する工程である。溶媒物質を原料流体と混合するため、原料流体供給路30は原料流体を供給する。図3から明らかなように、状態変換部10と原料流体供給路30とは原料流体合流部50で互いに接続してある。これにより、溶媒物質と原料流体とは原料流体合流部50で混合される。第1実施形態と同様に、添加物供給路14は添加物合流部52に接続されている。これにより、溶媒物質(この溶媒物質には既に原料流体が混合されている。)と添加物とは添加物合流部52で混合される。なお、本実施形態における添加物はヘキシルアミンである。すなわち、本実施形態において、分散剤と添加物とは同一成分である。
【0064】
S224にて、本実施形態にかかる化学反応装置は、急冷工程を実施する。この工程は、冷却部32によって生成物含有流体を急冷する工程のことである。その具体的な内容は周知なので、ここではその詳細な説明は繰返さない。
【0065】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる化学反応装置を用いて本実施形態にかかる化学反応を実施すれば、流路の閉塞を改善できる。これは、原料流体中で原料物質(本実施形態の場合は窒化ホウ素)が凝集することを防いでいるためである。原料物質が凝集すると、それが流路(この場合、原料流体が流れる管のこと)の内周面に堆積する。そのまま堆積が進むと、その堆積した原料物質が障壁となる。これにより、その流路が閉塞することとなる。これに対し、原料物質の凝集が防止されていれば、その流路の内周面への原料物質の堆積も抑制されることとなる。原料物質の堆積が抑制されれば、その流路の閉塞も抑制される。これが、流路の閉塞を改善できる理由である。
【0066】
また、本実施形態の場合、原料製造部86が原料流体を製造する。その際、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とが混合される。これにより、原料流体中では原料物質が分散していることとなる。本実施形態における原料物質である窒化ホウ素粒子は疎水性である。本実施形態における溶媒物質は精製水である。窒化ホウ素粒子が疎水性なので、窒化ホウ素粒子と精製水とを混合すると窒化ホウ素粒子の少なくとも一部が精製水表面に浮いた状態となる。その際、窒化ホウ素粒子は固まる。固まった窒化ホウ素粒子は気泡を含む。これは、窒化ホウ素粒子が水をはじくためである。原料流体供給路12がこのような状態の窒化ホウ素と精製水との混合物(これはスラリーとなっている)を送液すると流路の閉塞が生じやすくなる。固まった窒化ホウ素の塊が流路に送り込まれるためである(上述した原料物質の凝集も原因の一つであることは言うまでもない)。これに対し、窒化ホウ素粒子とヘキシルアミン(分散剤兼添加物)と精製水とを混合すると、ヘキシルアミンが窒化ホウ素粒子の表面に吸着する。ヘキシルアミンが吸着するので、窒化ホウ素粒子の表面は親水性になる。親水性になるので、窒化ホウ素粒子は固まらず水中に分散する。そのため、窒化ホウ素粒子とヘキシルアミンと精製水との混合物(これはスラリーとなっている)を送液すると流路の閉塞が生じ難くなる。その結果、流路の閉塞を改善できる。
【0067】
また、本実施形態の場合、分散剤と添加物とは同一成分である。これらが同一成分であるので、分散剤の成分と添加物の成分とが異なる場合に比べ、分散剤が添加物に悪影響を与える可能性を抑制できる。
【0068】
また、本実施形態の場合、ヘキシルアミンは親水基と窒化ホウ素によく結合する官能基とを有する。これにより、分散剤も、原料物質に結合する官能基と溶媒物質に結合する官能基とを有することとなる。これらの官能基を有していれば、これらの官能基を共に有していない場合に比べ、原料物質を溶媒物質中によく分散させることができる。
【0069】
〈変形例の説明〉
上述した化学反応装置および化学反応方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。上述した化学反応装置および化学反応方法は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0070】
例えば、原料製造部86は必ずしも必要がない。原料製造部86がない場合、原料製造工程は例えば原料槽80内で実施することができる。
【0071】
また、分散剤の成分と添加物の成分とが異なっていてもよい。また、分散剤と添加物とが有する官能基は上述したものに限定されない。
【0072】
また、上述した開閉弁92,122の具体的な種類は限定されない。開閉弁の例には、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブがある。
【0073】
また、本発明にかかる添加物は、上述したヘキシルアミンとオレイン酸とに限定されない。例えば、添加物は有機アミン類(例えば、エチルアミン、プロピルアミン、および、ブチルアミン)であってもよい。本発明にかかる添加物は、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、および、ヘキシルアミンの中から選ばれる少なくとも一種類の物質を含む物であってもよい。また、添加物は、オレイン酸以外の脂肪酸を含んでもよい。オレイン酸以外の脂肪酸の例にはステアリン酸がある。本発明にかかる添加物は、オレイン酸、ステアリン酸、および、その他の脂肪酸の中から選ばれる少なくとも一種類の物質を含む物であってもよい。なお、分散剤と添加物とが同一成分の場合、添加物の成分のいずれかが原料物質に結合する官能基と流動性付与物質に結合する官能基とを有することが望ましい。窒化ホウ素とアルミナとのうち少なくとも一方が原料物質に含まれている場合、原料物質に結合する官能基の例にはアルキル基がある。
【0074】
また、第1実施形態にかかる冷却部20は、冷却制御部132に代え、これと同様の機能を持つ装置を有していてもよい。そのような装置の例には、原料流体供給路12の流路および添加物供給路14の流路の少なくとも一方に取付けられた熱交換器(図示せず)がある。この場合、熱交換器142内を循環する熱媒は、添加物供給路14の流路を流れる添加物によって冷却される。これにより、添加物供給路14の流路を流れる添加物を予熱できる。熱媒をその添加物の温度より若干高い程度の温度まで冷却できる。これにより、生成物含有流体が含む添加物に起因する流路の閉塞を防止できる。エネルギの損失を抑えることもできる。
【0075】
また、状態変換部10は、溶媒物質を亜臨界状態にするものであってもよい。この場合、溶媒加圧ポンプ42は溶媒物質を臨界圧力よりわずかに低い圧力まで加圧するものであってもよい。加熱部44は臨界温度を若干下回る温度まで溶媒物質を加熱するものであってもよい。
【0076】
また、本発明において溶媒物質として用いられるものは精製水に限定されない。溶媒物質となる物質は特に限定されるものではない。溶媒物質となり得る物質の例には二酸化炭素がある。
【0077】
また、言うまでもないことであるが、本発明において原料流体の成分は窒化ホウ素とアルミナとに限定されない。
【0078】
また、本発明は、第1実施形態に開示された冷却部20と第2実施形態に開示された原料流体供給路30とを共に備えるものであってもよい。この場合、第2実施形態にかかる原料製造工程と第1実施形態にかかる流体冷却工程とを共に実施してもよい。この場合、固相停滞抑制工程の一環として原料製造工程と流体冷却工程とが実施されることとなる。
【0079】
また、原料流体供給路12,30は設けられなくともよい。この場合、原料貯留部60,70は溶媒槽40と共に溶媒加圧ポンプ42に接続されるとよい。これにより、溶媒槽40から流出した溶媒物質(例えば精製水)と原料流体とが混合された状態で溶媒加圧ポンプ42に供給されることとなる。この場合、状態変換部10は原料流体と混合された状態の溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にすることとなる。
【0080】
また、固相停滞抑制部20,70が原料流体中の固相の停滞と生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制するための具体的な方法は上述したものに限定されない。それらの抑制を実現するための装置の構成も上述したものに限定されない。固相の停滞を抑制するための具体的な方法の例には、上述したもの(固相の軟化を目的とした加熱と凝集および塊状となることを防止するための分散剤の添加)の他、次に述べるものがある。それは、成分の析出を防止するための温度制御、固相の融解(すなわち液相化)を目的とした温度制御、固相の溶解(融解ではない)を目的とした温度制御、流体内での固体粒子の運動を促進するための温度制御、および、同じく流体内での固体粒子の運動を促進するための振動の付加である。
【符号の説明】
【0081】
10…状態変換部、
12,30…原料流体供給路、
14…添加物供給路、
16…混合部、
18…反応器、
20,32…冷却部、
22…生成物回収部、
24…生成物槽、
40…溶媒槽、
42…溶媒加圧ポンプ、
44…加熱部、
50…原料流体合流部、
52…添加物合流部、
60,70…原料貯留部、
62…原料加圧部、
64…原料加熱部、
80…原料槽、
82…ガスボンベ、
84,92,122…開閉弁、
86…原料製造部、
90,120…シリンダポンプ、
100…添加物供給槽、
102…添加物加圧ポンプ、
104…添加物加熱部、
130…生成物冷却部、
132…冷却制御部、
140…流体通過管、
142…熱交換器、
150…熱媒冷却部、
152…熱媒温度制御部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にする状態変換部と、
前記溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する混合部と、
前記原料流体と前記溶媒物質と前記添加物とが混合されることで生成する生成物含有流体を回収する生成物回収部とを備える、化学反応装置であって、
前記原料流体中の固相の停滞と前記生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する固相停滞抑制部をさらに備えることを特徴とする、化学反応装置。
【請求項2】
前記固相停滞抑制部が、
前記生成物含有流体を冷却する生成物冷却部と、
所定の温度まで前記生成物含有流体が冷却されるよう前記生成物冷却部を制御する冷却制御部とを有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応装置。
【請求項3】
前記生成物冷却部が、
前記生成物含有流体が流れる流体通過管と、
前記流体通過管に取付けられ熱媒が循環する熱交換器とを有しており、
前記冷却制御部が、
前記熱媒を冷却する熱媒冷却部と、
前記生成物含有流体を前記所定の温度まで冷却可能な流体冷却温度に前記熱媒の温度が冷却されるよう前記熱媒冷却部を制御する熱媒温度制御部とを有することを特徴とする請求項2に記載の化学反応装置。
【請求項4】
前記熱媒冷却部が前記熱媒を冷却する冷却槽を有しており、
前記熱媒温度制御部が前記冷却槽内の温度を前記流体冷却温度に保つ温度保持装置を有することを特徴とする請求項3に記載の化学反応装置。
【請求項5】
前記固相停滞抑制部が、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合して前記原料流体を製造する原料製造部を有することを特徴とする請求項1に記載の化学反応装置。
【請求項6】
溶媒物質を超臨界状態または亜臨界状態にする状態変換工程と、
前記溶媒物質と原料流体と添加物とを混合する混合工程と、
前記原料流体と前記溶媒物質と前記添加物とが混合されたことにより生成する生成物含有流体を回収する生成物回収工程とを備える、化学反応方法であって、
前記原料流体中の固相の停滞と前記生成物含有流体中の固相の停滞とのうち少なくとも一方を抑制する固相停滞抑制工程をさらに備えることを特徴とする、化学反応方法。
【請求項7】
前記固相停滞抑制工程が、所定の温度まで前記生成物含有流体を冷却する流体冷却工程を有することを特徴とする請求項6に記載の化学反応方法。
【請求項8】
前記生成物含有流体の成分のいずれかが、所定の軟化温度より高い温度では軟化する物質であり、
前記流体冷却工程が、前記軟化温度より高い前記所定の温度まで前記生成物含有流体を冷却する工程であることを特徴とする請求項7に記載の化学反応方法。
【請求項9】
前記流体冷却工程が、前記生成物含有流体の成分のいずれかの融点より高い前記所定の温度まで前記生成物含有流体を冷却する工程であることを特徴とする請求項7に記載の化学反応方法。
【請求項10】
前記固相停滞抑制工程が、原料物質と、流動性付与物質と、分散剤とを混合して前記原料流体を製造する原料製造工程を有することを特徴とする請求項6に記載の化学反応方法。
【請求項11】
前記分散剤が前記添加物と同一成分であることを特徴とする請求項10に記載の化学反応方法。
【請求項12】
前記添加物の成分のいずれかが前記原料物質に結合する官能基と前記流動性付与物質に結合する官能基とを有することを特徴とする請求項11に記載の化学反応方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71092(P2013−71092A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213793(P2011−213793)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(598084895)株式会社アイテック (24)
【Fターム(参考)】