説明

化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法

ボトル経時安定性が良好な化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を提供する。ノボラック樹脂またはヒドロキシスチレン系樹脂に架橋剤を反応させて酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性の樹脂として、これを(B)放射線の照射により酸を発生する化合物とともに有機溶剤に溶解して、酸成分の含有量が10ppm以下の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、新規化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターンの形成方法に関する。
本願は、2003年5月20日に出願された特願2003−141805号、2003年12月24日に出願された特願2003−426503号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
これまで、半導体素子、液晶表示素子、印刷版、バンプ形成、磁気ヘッド等を製造する分野においては、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基含有化合物(感光剤;Photoactive Compound:PAC)を主成分とするg線、h線及びi線のホトレジスト組成物、酸解離性基含有化合物(樹脂)と酸発生剤(Photo Acid Generator:PAG)を主成分とするi線用、KrF用、ArF用又は電子線用化学増幅型ホトレジスト組成物などが一般に用いられてきた。
化学増幅型ホトレジスト組成物としては、下記特許文献1〜3に記載のもの等が挙げられる。
特許文献1には、酸成分及び水酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線状高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
特許文献2には、酸基を有する線状高分子、PAG、特定のエノールエーテル基を少なくとも2つ有する化合物を含有し、当該線状高分子と特定の化合物とを熱により架橋させたことを特徴とする組成物が記載されている。
特許文献3には、酸触媒の存在下で水酸基含有ポリマーとポリビニルエーテルとを反応させて得られた部分架橋ポリマーとPAGを含有してなる組成物が記載されている。
【特許文献1】特開平6−148889号公報
【特許文献2】特開平6−230574号公報
【特許文献3】特表2002−529552号公報
一方、近年、半導体素子の集積度はますます高まっている。
これまで、半導体素子の集積度の向上に寄与する化学増幅型のレジストについては多数の提案がなされている。
下記特許文献4には、KrFエキシマレーザー光に対する透明性の高いポリヒドロキシスチレンの水酸基の水素をt−boc(tert−ブトキシカルボニル)基のような第3級アルキルオキシカルボニル基、1−エトキシエチル基のようなアセタール基などの酸解離性のアルカリ溶解抑制基により置換した基材樹脂と酸発生剤を主成分とした2成分系のレジストが記載されている。
当該特許文献4に提案されたレジストにおけるレジストパターン形成の原理の概要は、次のとおりである。すなわち、基材樹脂はt−boc基等のアルカリ溶解抑制基を有していることにより、そのアルカリ溶解性がt−boc基等を有さないポリヒドロキシスチレンに比べ低くなっている。そして、そのような樹脂を酸発生剤と混合し、選択的に露光すると露光部では酸発生剤から発生した酸の作用によりt−boc基等が解離し、ポリヒドロキシスチレンが生成し、アルカリ可溶性となる。
【特許文献4】特開平4−211258号公報
【特許文献5】特開平10−268508号公報
【特許文献6】特開2003−167357号公報
【発明の開示】
しかし、前記特許文献1、2に記載の組成物は、レジスト調製後のボトル経時安定性が劣るという問題があった。
また、特許文献3に記載の組成物は、ポリマーの製造に使用した酸触媒がレジスト中に残存し、同様にレジスト調製後のボトル経時安定性の点で問題があった。
第1の形態においては、当該課題(第1の課題)を解決することを目的とする。
なお、ボトル経時安定性(storage stability as a resist solution in a bottle)が劣るとは、レジスト調製後の保存安定性が劣ることであって、主に感度の低下等の特性劣化が生じることである。
一方、前記特許文献4に記載の技術では、選択露光時の基材樹脂のアルカリ溶解性は、露光によりt−boc基等が解離してポリヒドロキシスチレンが本来有するアルカリ溶解性を取り戻すというもので、それ以上のアルカリ溶解性は得られない。よって、解像性等の点で不充分である。また、アルカリ溶解抑制基を用いていることで、アルカリ現像する際のディフェクトのリスクが非常に高い。
前記特許文献5には、ヒドロキシスチレン単位とシクロヘキサノール単位を有する樹脂を予めエーテル基で架橋化させた樹脂を用いたレジスト材料が提案されているが、ディフェクトの問題があり、不十分である。
なお、ディフェクトとは、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンの真上から観察した際に検知されるスカムやレジストパターンの不具合全般のことである。
前記特許文献6には、ヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子の一部をアセタール基等のアルカリ溶解抑制基で保護した樹脂と、酸発生剤と、架橋性ポリビニルエーテル化合物を含むホトレジス組成物が提案され、プリベークにより上記樹脂と上記ポリビニルエーテル化合物を架橋させた後、露光、PEB(露光後加熱;Post exposure bake)、現像してパターニングを行っているが、上記樹脂にはアルカリ溶解抑制基を導入している為、ディフェクトの問題があり不十分である。
よって、本発明の第2の課題は、解像性の向上とディフェクトの低減を実現できるポジ型レジスト組成物及びレジストパターン形成方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究した結果、前記第1の課題を解決するものとして以下の様な解決手段を見出した。
第1の形態に係る化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物(第1の例)は、(A)下記一般式(I)

[式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは、1〜3の整数を示す。]
で表される構成単位(a1)と、
下記一般式(III)

[式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す)で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは、1〜3の整数を示す。]
で表される分子間架橋部分(a2)
の一方あるいは両方を有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のノボラック樹脂、及び(B)放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤、又は光酸発生剤という場合がある)、
を有機溶剤に溶解してなり、酸成分の含有量が10ppm以下である化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物(以下、レジスト組成物ということがある。)である。
また、第1の形態に係る他の化学増幅型ホトレジスト組成物(第2の例)は、(A’)下記一般式(IV)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す)で表される基のいずれかを示し、これらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)で表される構成単位(a’1)と、
下記一般式(V)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す)で表される基のいずれかを示し、これらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)で表される分子間架橋部分(a’2)
の一方あるいは両方を有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のポリヒドロキシスチレン系樹脂、及び
(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、
を有機溶剤に溶解してなり、酸成分の含有量が10ppm以下である化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物である。
第1の形態に係るさらに他の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物(第3の例)は、(A’’)前記一般式(IV)で表される構成単位(a’1)と、前記一般式(V)で表される分子間架橋部分(a’2)の一方あるいは両方と、スチレン系構成単位とを有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のポリヒドロキシスチレン系樹脂、及び(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、を有機溶剤に溶解してなることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物である。
前記(A)成分の合成方法は、酸触媒の実質的な不存在下でノボラック樹脂と下記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする。

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す)で表される基のいずれかを示し、これらのアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいても良い。)
前記(A’)成分の合成方法は、酸触媒の存在下でヒドロキシスチレン系樹脂と前記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする。
前記(A’’)成分の合成方法は、酸触媒の存在下でヒドロキシスチレン系樹脂と前記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする。
また、第1の形態に係るレジストパターンの形成方法は、前記第1の形態(前記第1〜第3の例)の化学増幅型ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を、2〜7μmの厚膜で基板の上に設け、選択的露光を行った後、現像し、(露光後加熱;Post Exposure Bake:PEB)処理し、現像することを特徴とする厚膜フォトリソグラフィプロセスのレジストパターンの形成方法である。
なお、構成単位とは、ポリマー中の、当該ポリマーの材料である各モノマーから誘導される単位のことを意味するものとする。
また、上記第2の課題を達成するために、本発明の第2の形態では以下の構成を採用した。
第2の形態に係る化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、(A2)(A1)アルカリ可溶性樹脂と(C1)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応性生成物からなる酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂、及び(B1)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤を含む化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物(以下「2成分系化学増幅型レジスト組成物」という場合がある。)において、
前記(A1)成分は、下記一般式(I’)

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、lは1〜3の整数を表す。)で表される(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される単位(a1’)と、酸解離性溶解抑制基を有さないアルカリ不溶性単位(a2’)とを有し、かつ当該(A1)成分の2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解速度が10〜100nm/秒であることを特徴とする。
また、第2の形態に係るレジストパターン形成方法は、本形態の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、プリベークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とする。
本発明の第1の形態においては、ボトル経時安定性に優れる化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
また、本発明の第2の形態においては、解像性の向上とディフェクトの低減を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、本発明は以下の各形態に限定されるものではなく、例えばこれら形態の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
第1の形態
[化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物]
(A)成分
(A)成分は、前記一般式(I)で表される構成単位(a1)と、前記一般式(II)で表される分子間架橋部分(a2)の一方あるいは両方を有し、かつ酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のノボラック樹脂である。
(A)成分は、好ましくは酸触媒の実質的な不存在下で、ノボラック樹脂と上記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることにより得られるものである。なお、反応条件等によって(A)成分中の構成単位(a1)の割合と、分子間架橋部分(a2)の割合は変化し、特定することはできないが、通常は両方含まれる。
前記架橋剤がノボラック樹脂の水酸基と予め結合していることにより、レジスト塗布液(組成物)の経時変化が抑えられ、感度経時(change in sensitivity)の少ないレジスト材料となる。そして、当該レジスト材料を基板上に塗布し、加熱すると、(A)成分の側鎖のフェノール性水酸基は、前記構成単位(a1)の末端ビニル基と反応し、架橋構造が形成される。そして、これにより、レジスト被膜は、レジストパターン形成時に用いられるアルカリ現像液等のアルカリ性水溶液に対して難溶性となる。そして、この架橋構造を有する(A)成分に、露光によって(B)成分から発生した酸が作用すると、当該架橋構造が解裂し、(A)成分のアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する。
ノボラック樹脂
使用するノボラック樹脂としては、一般にレジスト組成物に用いられているものであれば特に制限はなく、フェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの少なくとも1種の芳香族ヒドロキシ化合物と、アルデヒド類及び/又はケトン類とを酸性触媒の存在下に縮合させたもの等が挙げられる。
アルデヒド類、ケトン類としては特に制限はなく、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒドなどが好ましいものとして挙げられ、ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が好ましいものとして挙げられる。
酸触媒としては、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸などが挙げられるが、シュウ酸を用いることが、安価で容易に入手でき好ましい。
中でも、芳香族ヒドロキシ化合物として、フェノール、キシレノール(いずれの異性体でもよい)、クレゾール(o−、m−、p−のいずれでもよい)のいずれかひとつ以上を用いたものが好ましく、m−クレゾールのみを用いたもの、及びm−クレゾール/p−クレゾール=30/70〜50/50(モル比)の混合物を用いたものは、感度、解像性、パターン形状等のトータル的なレジスト特性に優れて好ましい。
また、アルデヒド類として、ホルマリンと、嵩高いアルデヒドを用いて合成したものが耐熱性向上、高感度化の点から好ましい。嵩高いアルデヒドとしては、サリチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンアルデヒド等が挙げられる。このときホルマリンと嵩高いアルデヒドとの比率は耐熱性向上効果が優れる点から、1/0.1〜1/0.6(モル比)、特には1/0.2〜1/0.5(モル比)であると好ましい。
したがって、これら芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類の好ましいものを組み合わせたものが特に好ましい。
ノボラック樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw、以下単に質量平均分子量ということがある。)は1000〜10000、特には2000〜8000であることが、耐熱性、パターン垂直性、レジスト形状のパターン依存性、解像力、高感度化の点で好適である。
架橋剤との反応
・ノボラック樹脂の前処理
ノボラック樹脂と架橋剤とを反応させる際に、酸成分が反応系中に存在するとレジスト調製後のボトル経時安定性の点で好ましくない。そのため、架橋剤と反応させる前に、ノボラック樹脂に含まれる酸成分を除く操作を厳しく行うことが好ましい。なお、酸成分は、例えばノボラック樹脂の合成時に用いる酸触媒、反応溶媒中に存在する遊離酸等の酸成分であり、ガスクロマトグラフィー等により分析することができる。
酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
特にイオン交換樹脂を使用する方法は、有機酸を確実に低減できる点で好ましい。当該方法は、例えばノボラック樹脂100gをメタノール300〜600g、純水30〜60gからなる混合溶媒に溶解し、当該ノボラック樹脂溶液をイオン交換樹脂を用いて精製することにより行うことができる。
イオン交換樹脂としては、超純水用途に使用するための高度な精製処理を行ったモノヘッド樹脂などが挙げられ、例えばオルガノ社製のアンバーライトEG−4、EG−290などが好ましく用いることができる。
精製操作としては、(1)カラム法、(2)バッチ法を挙げることができ、(1)カラム法は、上記ノボラック樹脂溶液を、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂を充填したカラムに1〜数回通すことにより行うことができる。一方、(2)バッチ法は、上記ノボラック樹脂溶液が入ったビーカー中に、純水にて十分に水和させたイオン交換樹脂を、例えばノボラック樹脂固形分に対し、10質量%程度になるように計量し、これを上記ビーカー中に投入し、約1時間程度攪拌した後、ろ紙にてろ過することにより行うことができる。なお、水和の条件等は、各イオン交換樹脂の使用方法に従い適宜行うことが望ましい。
そして、架橋剤との反応前のノボラック樹脂中の酸成分の濃度は0.1ppm以下、特に0.01ppm以下にしておくことが好ましい。
・架橋剤
前記一般式(VI)で表される架橋剤において、Rは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の分岐鎖状、直鎖状、環状のアルキレン基、または前記一般式(II)で表されるものである。なお、当該アルキレン基は主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいても良い。
一般式(II)中、Rも、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の分岐鎖状、直鎖状、環状のアルキレン基であり、当該アルキレン基は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいても良い。Rとしては、−C−、−COC−、−COCOC−、及び一般式(II)で表されるもの等が好ましく、中でも一般式(II)で表されるものが好ましく、特にRの炭素数が1で、mが1のものが好ましい。
架橋剤はノボラック樹脂固形分に対して3〜15質量%、好ましくは4〜8質量%の割合で用いられる。3質量%未満では、レジストパターン未露光部の膜減りが大きくなり、レジストパターンのコントラストが低下する傾向があり、15質量%を超えると現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性が著しく劣る傾向があり、感度が劣る、パターンが解像しない等の問題を発生する恐れがある。なお、ノボラック樹脂と架橋剤との反応においては、酸触媒を用いなくても反応は進行するので、酸触媒を用いることは必須ではなく、レジスト組成物のボトル経時安定性の点からは、用いない方が好ましい。
架橋剤と反応させた後の(A)成分の質量平均分子量は10000〜70000、特には20000〜50000であることが耐熱性、パターン垂直性、レジスト形状のパターン依存性、解像力、高感度化の点で好適である。
上述の様に、反応前のノボラック樹脂から酸成分を取り除いたり、反応時に酸触媒を用いない様にすることにより、架橋剤と反応した後の(A)成分中の酸濃度を好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下、最も好ましくは0.1ppm以下とすることができる。
ノボラック樹脂と架橋剤との反応は、具体的には、例えばノボラック樹脂から酸成分を除く操作を行った後、当該ノボラック樹脂を反応溶剤に溶解し、濃縮作業を行うことにより、ノボラック樹脂中に残留するメタノール、水等を除去すると共に固形分濃度を調整する。固形分濃度は、例えば固形分30質量%程度に調整することが好ましい。そして、これを昇温し、内温が、好ましくは100〜110℃程度になるようにし、この温度条件下で攪拌し、これに上記の反応溶剤を用いて固形分濃度が10〜50質量%程度に調整された架橋剤溶液を少量ずつ滴下する。
滴下終了後、上記温度を維持した状態で24時間程度攪拌を続けた後、内温を室温(25℃程度)に下げ、その温度条件下で12時間程度更に攪拌を行って(A)成分を得る。その後、溶剤をレジスト組成物の調製に用いる有機溶剤に置換して(A)成分と当該有機溶剤の混合物とすると好ましい。
ノボラック樹脂と架橋剤との上記の反応は、酸による影響がそれほどシビアではないため、反応系中の酸濃度を厳密にコントロールする必要はない。
上記反応溶剤としては、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等の溶剤を適宜用いることができる。
なお、架橋剤としては、後述する第2の形態と同じものを用いることもできる。
(A’)成分
(A’)成分は、前記構成単位(a’1)と、前記分子間架橋部分(a’2)の一方あるいは両方を有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のポリヒドロキシスチレン系樹脂である。
(A’)成分は、前記(A)成分において、ノボラック樹脂に代えて、ヒドロキシスチレン系樹脂を用い、これを前記架橋剤と反応させることにより、合成することができる。
アルカリ水溶液に対する溶解性が変化するメカニズムは(A)成分と同様である。
ヒドロキシスチレン系樹脂は、一般にレジスト組成物に用いられるものであって、ヒドロキシスチレン構成単位を含んでいれば特に限定するものではない。例えば、ヒドロキシスチレンの単独重合体や、ヒドロキシスチレンと他のヒドロキシスチレン系単量体あるいはスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸またはメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などが挙げられる。
ヒドロキシスチレン系樹脂中、ヒドロキシスチレン系構成単位は少なくとも50モル%以上、好ましくは70モル%以上含まれていることが、架橋剤の反応性の点から好ましい。
中でも、ヒドロキシスチレン系構成単位とその他に少なくともスチレン系構成単位を含むコポリマーは、レジスト組成物の高耐熱性、高感度が得られる上、ライン状のレジストパターンの形状改善効果があるため好ましい。この様にスチレン系構成単位を必須とする樹脂成分を用いて架橋剤と反応させると、前記(A’’)成分が得られる。この中ではさらにヒドロキシスチレン系構成単位と、スチレン系構成単位とからなるコポリマーが好ましい。
スチレン系構成単位とは、例えば後述する第2の形態の式(II’)で示す構成単位である。
スチレン系構成単位の含有量は、架橋剤との反応性の確保の点、耐熱性向上、感度向上の点から、1〜30モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
ヒドロキシスチレン系樹脂の質量平均分子量は1000〜8000、特には2000〜5000であることが、耐熱性、パターン垂直性、レジスト形状のパターン依存性、解像力、高感度化、架橋剤との反応の安定性の点で好ましい。
架橋剤との反応
・ヒドロキシスチレン系樹脂の前処理
ヒドロキシスチレン系樹脂と架橋剤は、通常酸触媒下で反応させる。酸触媒としては、上記ノボラック樹脂の合成の説明で例示したもの等を用いることができる。
そして、ヒドロキシスチレン系樹脂と架橋剤とを反応させる際に、酸触媒を含む酸成分全体の含有量は樹脂固形分に対して10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmにすることが好ましい。なお、ヒドロキシスチレン系樹脂自体は、酸不純物をほとんど含んでいないため、反応時に反応系中に存在する酸濃度は、触媒として配合する酸触媒濃度にほぼ等しいので、反応時の酸濃度のコントロールは、酸触媒の配合量でコントロールすることができる。
1000ppmを超えると、レジスト調製後のボトル経時安定性の点で好ましくない。また、10ppm未満では、架橋時の触媒作用が働かず、反応が進行しないおそれがある。
反応後は、反応生成物中に含まれる酸成分を除く操作を、必要に応じて行うことが好ましい。酸成分を除く方法は、ノボラック樹脂の場合と同様の方法を適用することができる。
その結果、反応後のスチレン系樹脂中の酸濃度を、(A’)成分中、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下とすることができる。
また、架橋反応が十分進行した後は、架橋反応をコントロールあるいは停止させることを目的にピリジン等の塩基性化合物を用いることもできる。
これは、反応後の樹脂の経時安定化の点から、樹脂固形分に対して1〜5質量%程度用いると好ましい。
このようにして架橋剤と反応させた後の(A’)成分の質量平均分子量は50000〜150000、特には60000〜100000であることが耐熱性、パターン垂直性、レジスト形状のパターン依存性、解像力、高感度化、未露光部分の膜減り抑制、塗膜性向上等の点で好適である。
・架橋剤
架橋剤は(A)成分での説明と同様のものを用いることができる。
架橋剤はヒドロキシスチレン系樹脂固形分に対して3〜15質量%、好ましくは5〜10質量%の割合で用いられる。3質量%未満では、レジストパターン未露光部の膜減りが大きくなり、レジストパターンのコントラストが低下する傾向があり、15質量%を超えると現像液(アルカリ水溶液)に対する溶解性が著しく劣る傾向があり、感度が劣る、パターンが解像しない等の問題を発生する恐れがある。
ヒドロキシスチレン系樹脂と架橋剤との反応は、具体的には、例えばヒドロキシスチレン系樹脂を合成後、必要に応じてその酸成分を除去する操作を行った後、反応溶剤に溶解し、濃縮作業を行うことにより、ヒドロキシスチレン系樹脂中に残留するメタノール、水等を除去すると共に固形分濃度を調整する。固形分濃度は、例えば固形分30質量%程度に調整することが好ましい。
ついで、当該濃縮された溶液に対し酸触媒を添加し、内温が好ましくは100〜110℃程度になるようにし、この温度条件下で攪拌し、これに上記反応溶剤を用いて固形分濃度が10〜50質量%程度に調整された架橋剤溶液を少量ずつ滴下する。滴下終了後、上記温度を維持した状態で20時間程度攪拌を続けた後、ピリジンを滴下し、室温(25℃程度)に内温を戻し、その温度条件下で1時間程度攪拌した後、2−ヘプタノン等のレジスト組成物の調製に用いる有機溶剤を投入し、溶解させる。
次いでこの溶液を、例えばメタノール/水の溶液で数回洗浄し、酸成分を除去する。2−ヘプタノン等の有機層と分離し、濃縮して残留するメタノール/水を除去すると、(A’)成分と有機溶剤の混合物が得られる。
上記反応溶剤としては、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができるが、ヒドロキシスチレン系樹脂と架橋剤との反応は、酸による影響が非常に大きいため、反応系中の酸濃度を厳密にコントロールする必要があり、酸含有量の少なく安定したγ−ブチロラクトンを選択することが望ましい。
本形態のレジスト組成物においては、(A)成分または(A’)成分[好ましくは(A’’)成分]の一方あるいは両方が含まれていればよい。また、(A)成分、(A’)成分[好ましくは(A’’)成分]は、それぞれ種類の異なるものを1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分
(B)成分としては、特に限定はなく、従来から化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物の組成材料として知られている光酸発生剤を挙げることができる。
例えばスルホニルジアゾメタン系酸発生剤、オニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤などを用いることができる。
中でも、i線に吸収のあるものが既存のi線露光装置をそのまま利用できる点から好ましい。この場合i線用に好適なレジスト組成物が得られる。
当該i線露光に適した(B)成分としては、例えば以下のような化合物を挙げることができる。
下記一般式(ii)、(iii)で表されるもの。


(式中、m’は0又は1;Xは1又は2;Rは、1又はそれ以上の炭素数1〜12のアルキル基が置換していてもよいフェニル基、ヘテロアリール基等、又は、m’が0の場合はさらに炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CN等;R’は炭素数2〜12のアルキレン基等;Rは1又はそれ以上の炭素数1〜12のアルキル基が置換していてもよいフェニル基、ヘテロアリール基等、又は、m’が0の場合はさらに炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、CN等;Rは炭素数1〜18のアルキル基等;R’は、X=1のとき炭素数1〜18のアルキル基等、X=2のとき炭素数2〜12のアルキレン基、フェニレン基等;R、Rは独立に水素原子、ハロゲン、炭素数1〜6のアルキル基等;AはS、O、NR等;Rは水素原子、フェニル基等を示す。)で表される化合物(USP 6004724)。具体的には、例えば下記式(VII)で表されるチオレン含有オキシムスルホネートなどが挙げられる。

また、下記式(iv)

(式中、R、Rは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物、又は、該化合物(iv)と下記式(v)

(式中、Zは、4−アルコキシフェニル基等を示す。)で表されるビス(トリクロロメチル)トリアジン化合物とを組み合わせたもの(特開平6−289614号公報、特開平7−134412号公報)が挙げられる。
トリアジン化合物(iv)としては、具体的には、例えば2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−4−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−4−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。これらのトリアジン化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、上記トリアジン化合物(iv)と所望に応じて組み合わせて用いられる上記トリアジン化合物(v)としては、例えば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−プロポキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−カルボキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−6−ヒドロキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−エトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−メトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−プロポキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジン化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、下記式(vi)

(式中、Arは置換又は未置換のフェニル基、ナフチル基;R’’は炭素数1〜9のアルキル基;n’は2又は3の整数を示す。)で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上例示した化合物の中でも、特に、式(VII)で表される化合物および下記式(vii)で表される化合物は、i線に対する酸発生効率に優れるため、好ましく用いられる。

(B)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分の配合量は、樹脂固形分100質量部に対して、0.5〜5質量部、好ましくは1〜4質量部とされる。0.5質量部未満ではパターン形成が十分に行われない場合があり、5質量部をこえると未露光部分の膜減りが増大する傾向にあり、またレジスト組成物のボトル内保管中の異物経時(storage stability as a resist solution by particles)が劣化する傾向にあるため好ましくない。
(C)成分
本形態のレジスト組成物においては、引置き安定性を高めるために、(C)成分として、塩基性化合物(好ましくはアミン類)を配合することが好ましい。
当該化合物としては、レジスト組成物に対する相容性を有するものであれば良く、特に制限されるものではないが、例えば特開平9−6001号公報に記載の化合物を挙げることができる。特開平9−6001号公報の内容をここに援用する。
中でも、3級アミンが好ましく、特に、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミンは、ボトル経時安定性の点で好適である。また、ピリジン系、特に2,6−ルチジンは、露光後の引き置き安定性(Post exposure delay:PED)に優れて好ましい。
(C)成分は1種または2種以上の混合して用いることができる。
(C)成分は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜5.0質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲で配合することが、効果の点から好ましい。
有機溶剤
有機溶剤としては、化学増幅型ポジ型レジスト組成物に用いられるものであれば、特に限定せずに用いることができる。
例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等)、乳酸エステル(例えば乳酸エチル等)等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;等の非エステル系溶剤が挙げられる。なおエステル系溶剤は、有機カルボン酸とアルコールとの反応生成物であることから、遊離酸である有機カルボン酸を含有する。そのため、前記の(C)成分を配合しないレジスト組成物、または後述の保存安定剤を配合しないレジスト組成物においては、そのような遊離酸を含有しない非エステル系溶剤を選択することが好ましく、特にケトン類(ケトン系の溶剤)は好ましい。その中でも2−ヘプタノンは、塗膜性、(B)成分の溶解性の点からも好適である。
なお、エステル系溶剤も非エステル系溶剤も、ともに経時的に分解して酸を副生成する場合があるが、前記(C)成分の存在下、あるいは後述の保存安定剤の存在下においては、当該分解反応は抑制される。特にエステル系溶剤においてはその効果が顕著であり、当該(C)成分、保存安定剤の存在下においては、むしろエステル系溶剤が好ましく、特にPGMEAは好適である。
なお、上記分解により副生成する酸成分としては、例えば2−ヘプタノンの場合、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生じることが確認されている。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
有機溶剤は、レジスト組成物の固形分の濃度が20〜50質量%、好ましくは25〜45質量%となる配合量で用いると、塗布性の点から好ましい。
本形態のレジスト組成物には、この他、必要に応じて以下の様な保存安定剤を配合することが好ましい。
すなわち、エステル系の溶剤に限らず、非エステル系の溶剤においても分解して酸成分を副生する場合がある。
このような場合、保存安定剤を配合することが好ましい。
当該保存安定剤としては、溶剤の分解反応を抑制する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開昭58−194834号公報に記載されているような酸化防止剤を挙げることができる。特開昭58−194834号公報の内容をここに援用する。酸化防止剤としてはフェノール系化合物とアミン系化合物が知られているが、特にフェノール系化合物が好ましく、中でも2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール及びその誘導体が、エステル系溶剤、ケトン系溶剤の劣化に対して有効であり、商業的に入手可能、かつ安価であって、さらに保存安定効果に優れる点で好ましい。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヘプタノンに対する劣化防止効果に極めて優れる。
上記保存安定剤の配合量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜3質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲であることが好ましい。
この範囲より少ないと保存安定効果が十分に得られないし、この範囲を超えるとレジストパターンのトップ部分の膜減り形状、感度の低下、露光マージンの変化の点で好ましくない。
また、後述する厚膜フォトリソグラフィプロセスに用いられる(以下、厚膜用、厚膜プロセス用と略記する場合がある)レジスト組成物は、一般にレジスト濃度(固形分濃度)が高いため、(B)成分のレジスト中における溶解性が不安定で異物析出の原因となる。このような場合、組成物中に溶解安定剤を配合することが好ましい。
なお、厚膜用のレジスト組成物は、厚膜の塗布性の点から、例えば固形分濃度が25〜50質量%、好ましくは30〜40質量%とされる。
当該溶剤安定剤としては、特にγ−ブチロラクトンが好ましい。
溶剤安定剤の配合量は、レジスト組成物の固形分100質量部に対して1〜10質量部、特には3〜7質量部の範囲であることが好ましい。
この範囲より少ないと(B)成分の析出または異物経時の劣化が起こり、この範囲を超えると未露光部の残膜性低下の点で好ましくない。
また、本形態のレジスト組成物には、本形態の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤などの慣用の添加物を含有させることができる。
また、レジスト組成物中の酸成分の濃度は、ボトル経時安定性の点から、10ppm以下、好ましくは8ppm以下、さらには5ppm以下であることが好ましい。零に近い程好ましいので、下限値を限定する技術的意義はない。
当該酸成分の濃度は、上述の様に(A)成分や(A’)成分中の酸成分濃度をできるだけ減少させる処理を行ったり、酸成分を発生しにくい有機溶剤を用いる、3級アミンを配合する、保存安定剤を配合するなどにより、調整することができる。
なお、(A’)成分において、ヒドロキシスチレン系構成単位とスチレン系構成単位とを有する(A’’)成分を用いると、レジスト組成物の高耐熱性、高感度が得られる上、ライン状のレジストパターンの形状改善効果があるため好ましいのは上述の通りである。
ここで、これらの効果の観点からは、必ずしもポジ型ホトレジスト組成物において、酸成分の含有量を10ppm以下とすることは必須ではない。
すなわち、前記(A’’)成分を用いた化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物(第3の例)は、架橋剤との反応による架橋構造と、スチレン系構成単位を含むことにより、レジスト組成物の高耐熱性、高感度が得られる上、ライン状のレジストパターンの形状改善効果が得られる。
[レジストパターンの形成方法]
このようして調整したレジスト組成物は、例えば膜厚2〜7μm程度のいわゆる厚膜プロセスに好適である。
この様な厚膜のレジストパターンは、高エネルギーインプランテーション用レジスト、またはメタル配線用レジストとして利用される。
当該厚膜用のレジスト組成物には特に耐熱性が求められる。本形態のレジスト組成物は、耐熱性が良好であるとともに、高感度化であるため、要求レベルに十分に対応することができるものである。
以下、厚膜フォトリソグラフィプロセス(以下、厚膜プロセスという)を中心に本形態のレジスト組成物の好適な使用方法について説明する。
まず、各種成分を有機溶剤に溶かして調製したレジスト組成物を、シリコンウェーハ等の基板上にスピンナー等を用いて塗布し、プリベークして2〜7μm程度の厚膜のレジスト膜(感光層)を形成し、次いで光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯を用い、好ましくはi線(365nm)の光を照射して、所望のマスクパターンを介して選択的露光する。次に90〜150℃程度の加熱条件でPEB(露光後加熱)処理を行い、これを現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のようなアルカリ性水溶液に浸漬すると、露光部が溶解除去されてマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。次いで90〜140℃程度の加熱条件でポストベークを行い、厚膜プロセス用のレジストパターンを形成する。
当該レジストパターンは2〜7μm程度の厚膜条件下でも、垂直形状に優れている。よって、インプランテーションやメタル配線用のレジスト膜として好適である。
本形態のレジスト組成物は、以下の様な効果を有するものである。
すなわち、ボトル経時安定性に優れる。
また、低価格であるという利点も有する。
つまり、従来のアルカリ可溶性樹脂とPACを主成分とするレジスト組成物にしても、酸解離性基含有樹脂と酸発生剤を主成分とする化学増幅型ホトレジスト組成物にしても、非常に高価な原料を多量に使用するため、原料コストが高く、近年の製品価格の低額化に対応できないといった問題がある。高価な原料とは、前者においては、PAC、感度向上剤(増感剤)である。後者においては、リビングアニオン重合により合成された単分散ポリヒドロキシスチレンや、特殊な酸解離性基を付けた樹脂成分である。
本形態のレジスト組成物においては、必ずしもこの様な材料を使用しなくてもよいため、低価格化が可能である。
また、本形態のレジスト組成物は、断面形状の垂直性が高く、良好な形状のレジストパターンが得られる。
そして、本形態のレジスト組成物は高い耐熱性、高感度特性を有し、断面形状の垂直性が高いため、イオンプランテーション、メタル配線用の厚膜のレジストパターンを形成するためのものとして好適である。
なお、メタル配線形成時、インプランテーション時における耐熱性を高めるために、レジストパターン形成後にポストベークと呼ばれる高温加熱処理を施すのが一般的である。従来のレジスト組成物を用いて形成したレジストパターンは、ポストベーク時にテーパー形状が更に拡大するといった問題を有している。
特にインプランテーションにおいては、レジストパターンの垂直形状が厳しく求められるため、垂直形状に優れたレジストパターンを形成できる材料の実現が望まれている。
本形態においては、ポストベークを経ても、レジストパターンの垂直形状が維持されるという効果が得られる。
また、本形態のレジスト組成物は、パターン寸法に対する依存性が低く、例えば幅1μm程度の微細なレジストパターンを形成する場合にも垂直形状に優れるレジストパターンが得られ、かつ幅が大きい、例えば100μmを超えるような、非常に大きなレジストパターンを形成する場合にも、断面形状がテーパー状にならず、良好な形状のものが得られる。
この様に微細なパターンと、ラフなパターンも、いずれも良好な形状のパターンとして得られるため、1枚の基板上に、一度にこの様なサイズの異なるパターンを形成する用途、例えばいわゆるシステムLCD用としても本形態のホトレジスト組成物は好適である。
第2の形態
[化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物]
第2の形態に係る化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、(A2)(A1)アルカリ可溶性樹脂と(C1)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応性生成物からなる酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂、及び(B1)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤を含む2成分系化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物において、
前記(A1)成分は、前記一般式(I’)で表される(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される単位(a1’)と、酸解離性溶解抑制基を有さないアルカリ不溶性単位(a2’)とを有し、かつ当該(A1)成分の2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解速度が10〜100nm/秒であることを特徴とする。
(A2)前記(A1)成分と前記(C1)成分との反応性生成物からなる酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂
まず、(A1)成分と(C1)成分との反応生成物(以下(A2)成分という)について説明する。
(A2)成分
(A2)成分は前記(A1)成分と前記(C1)成分とを反応させて得られる反応生成物であり、アルカリ水溶液に対して難溶性または不溶性であって酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する特性を有する。
(A1)成分と、(C1)成分とを反応させると、通常(C1)成分の片方の末端のビニル基が(A1)成分の、例えば側鎖のフェノール性水酸基に結合した構成単位を備えた反応生成物が得られる。
かかる構成単位の具体例としては、下記一般式(2A)で表される構成単位が挙げられる。
また、(A1)成分と(C1)成分とを反応させると、(C1)成分の両方の末端のビニル基が(A1)成分中の、例えば側鎖の2つのフェノール性水酸基にそれぞれ結合した部分が存在する反応生成物が得られる。かかる構成単位の具体例としては、下記一般式(2B)で表される分子間架橋部分が挙げられる。
なお、通常は(C1)成分の片方の末端のみが結合した構成単位(例えば(2A))と、両方が結合した部分(例えば(2B))の両方が存在する反応生成物(a)が得られる。


12は後述する一般式(III’)と同じである。
この例における(A2)成分は、好ましくは酸触媒の実質的な不存在下で、上記(A1)成分と上記(C1)成分とを反応させることにより得ることができる。これにより、(A1)成分中に(C1)成分による架橋構造が形成され、レジスト組成物中のベース樹脂(A2)は、レジストパターン形成時に用いられるアルカリ現像液等のアルカリ性水溶液に対して、好ましくは難溶性または不溶性となる。
また、前記(C1)成分が(A1)アルカリ可溶性樹脂の側鎖の水酸基と予め結合していることにより、化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物の経時変化が抑えられ、感度経時の少ない材料となる。
そして、当該化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を塗布し、加熱すると、レジスト被膜が形成される。このとき、例えば(A2)成分の側鎖の未反応のフェノール性水酸基が残存している場合には、前記構成単位(2A)の末端ビニル基と反応し、さらに架橋構造が形成される。
そして、この架橋構造を有する(A2)成分に、露光によって(B1)成分から発生した酸が作用すると、当該架橋構造が開裂し、(A2)成分のアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する。
本実施形態においては、(A1)成分と(C1)とを予め反応させているため、プリベーク時に必ずしも架橋反応を進行させる必要がなく、プリベークの温度条件等の制限が少なくなるため、具体的には120℃以下の温度でも架橋反応を進行させることも可能であり、好ましい。
なお、(A1)成分と(C1)成分とを反応させる際に、酸成分濃度を厳密にコントロールすることが好ましいが、経時安定性の件から、酸成分が不純物として(A1)成分中に含まれているのは好ましくない。そのため(C1)成分と反応させる前に、(A1)成分に含まれる酸成分を除く操作を厳しく行うことが好ましい。なお、酸成分はガスクロマトグラフィー等により分析することができる。酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
そして、(C1)成分との反応前の(A1)成分中の酸成分の濃度は0.1ppm以下、特に0.01ppm以下にしておくことが好ましい。
(C1)成分は、(A1)成分に対して5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%の割合で用いられる。下限値以上とすることにより、架橋反応が十分に進行せずに、未露光部と露光部とのコントラストが低下するなどの不都合を防ぐことができる。上限値以下とすることにより、レジスト被膜内の組成の均一性が得られず、リソグラフィー特性が低下する等の不都合を抑制できる。
(A2)成分の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算の値)は例えば20000〜150000、好ましくは30000〜100000であることが、経時安定性の点、ディフェクト低減の点から好ましい。また、この範囲であれば溶剤不溶性となったり、耐ドライエッチング性が低下したりすることを防ぐことができる。
なお、(A2)成分の分散度(Mw/Mn:Mnは数平均分子量)は、解像性向上、ディフェクト低減の点から、1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0であることが好ましい。該(A2)成分は後述する(B1)成分を含む2成分系化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物に好適に用いられる。
(A1)アルカリ可溶性樹脂
(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される単位(a1’)
(A1)成分においては、構成単位(a1’)を有することにより、(A1)成分全体としてアルカリ可溶性となると共に、(C1)成分との反応工程やプリベーク時の加熱により(A1)成分と(C1)成分との架橋化反応生成物が得られる。
前記式(I’)中、Rは水素原子又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。
1は、工業上入手しやすい等の点から、1であることが好ましい。
水酸基の置換位置はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。1が2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。1が1である場合、o−位、m−位、p−位のいずれでもよいが、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。
なお、「(α−メチル)ヒドロキシスチレン」とは、ヒドロキシスチレンとα−メチルヒドロキシスチレンの一方あるいは両方を意味する。「(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」は、(α−メチル)ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
また、本特許請求の範囲及び明細書において、「単位」または「構成単位」とはポリマー(重合体)を構成するモノマー単位を意味する。
構成単位(a1’)の割合は、(C1)成分との反応による溶解性の制御の点から、(A1)成分中60モル%以上であることが好ましく、70〜90モル%、好ましくは75〜85モル%とされる。
酸解離性溶解抑制基を有さないアルカリ不溶性単位(a2’)
構成単位(a2’)において、「酸解離性溶解抑制基を有さない」とは、例えばフェノール性水酸基を有する単位において、前記水酸基の水素原子が、上記t−boc(tert−ブトキシカルボニル)基、エトキシエチル基等のような酸解離性のアルカリ溶解抑制基で置換されている構成単位や、(メタ)アクリレート単位[(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの一方または両方を示す]であって、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位のカルボキシル基のOH基が第3級アルキルオキシ基で置換された第3級エステル構成単位を除く意味である。
本形態のレジスト組成物は、後述する(B1)成分から発生する酸成分による影響を受けがたく、かつアルカリ不溶性(アルカリ現像液に対して不溶性)である構成単位(a2’)を有することにより、アルカリ現像によるレジストパターンの膨潤を防ぐことができ、特に微細なパターンの解像性の向上を図ることができる。
構成単位(a2’)としては、上述の様に酸解離性溶解抑制基を有さないものであり、アルカリ不溶性であれば特に限定するものではないが、下記一般式(II’)で表される(α−メチル)スチレンから誘導される単位であると耐ドライエッチング性に優れ好ましい。

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を表し、pは0または1〜3の整数を表す。)
なお、「(α−メチル)スチレン」とは、スチレンとα−メチルスチレンの一方あるいは両方を意味する。「(α−メチル)スチレンから誘導される構成単位」は、前記一般式(II’)から明らかであるが、(α−メチル)スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
式(II’)中、R11は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましい。
pは、0または1〜3の整数である。これらのうち、pは0または1であることが好ましく、特に工業上0であることが好ましい。
なお、pが1〜3である場合には、Rの置換位置はo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、さらに、pが2または3の場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。
前記(A1)成分中の前記構成単位(a2’)の割合は5〜35モル%、好ましくは10〜30モル%、さらに好ましくは15〜25モル%であると望ましい。下限値以上とすることにより現像時の未露光部の膜減り等の不都合を抑制し、解像性を向上させることができる。また、アルカリ現像によるレジストパターンの膨潤を防ぐことができ、特に微細なパターンの解像性の向上を図ることができる。上限値以下にすることにより有機溶剤に可溶とすることが容易となる。
溶解速度
本形態において、(A1)成分は、2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解速度が10〜100nm/秒、好ましくは20〜80nm/秒である。
100nm/秒以下という小さな溶解速度を有することにより、解像性が向上する。これは、後述する様に、前記(C1)成分と前記(A1)成分との間で形成される架橋構造が、露光部では、酸の作用を受けて壊れることにより、アルカリ現像液に溶解する一方で、未露光部ではアルカリ現像液に溶解しないことから、界面のコントラストを大きくすることができるからであると推測される。また、ディフェクト低減の効果が得られる。
また、10nm/秒以上とすることにより、有機溶剤に溶解し、レジストとすることができる。
溶解速度は例えば構成単位(a1’)、(a2’)の割合を変更することによって調整可能である。例えば構成単位(a2’)の割合を多くすることにより、溶解速度を小さくすることができる。
溶解速度の値は、具体的には次のようにして求めた値である。
まず、シリコンウェーハ上に(A1)成分を有機溶剤に溶解した溶液を塗布し、加熱処理によって有機溶剤を揮散させることにより、樹脂被膜(厚さ500〜1300nm、例えば厚さ1000nm)を形成する。有機溶剤は後述する様な化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物に用いられる公知のものの中から適宜選択する。また、(A1)成分の濃度もレジスト組成物中の濃度と同様とすることができるが、例えば10〜25質量%、例えば20質量%とされる。次に該樹脂被膜の膜厚を測定した後、このウェーハを、23℃、2.38質量%のTMAH水溶液に浸す。そして、樹脂膜が完全に溶解する時間を測定し、これより単位時間当りの樹脂被膜の膜減り量(nm/秒)を求める。
このようにして求めた樹脂被膜の膜減り量が(A1)成分の溶解速度である。
なお、(A1)成分には、前記構成単位(a1’)と前記構成単位(a2’)の他に、これら構成単位(a1’)と構成単位(a2’)と共重合可能な構成単位が含まれていてもよいが、これら構成単位(a1’)と構成単位(a2’)の合計が80モル%以上、好ましくは90モル%であることが望ましく、最も好ましくは100モル%である。ただし、ディフェクト低減の点等から、(A1)成分は好ましくは前記構成単位(a1’)と前記構成単位(a2’)からなることが望ましい。
また、(A1)成分は、質量平均分子量が異なる樹脂や、構成単位の割合が異なる樹脂等を1種または2種以上混合して用いることができる。
また、(A1)成分は、構成単位(a1’)、(a2’)を誘導するモノマー等を公知のラジカル重合やリビングアニオン重合することにより製造することができる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算の値)は例えば1500〜30000、好ましくは2000〜20000、さらに3000〜20000であることが、経時安定性の点、ディフェクト低減の点から好ましい。また、この範囲であれば溶剤不溶性となったり、耐ドライエッチング性が低下したりすることを防ぐことができる。
なお、(A1)成分の分散度(Mw/Mn:Mnは数平均分子量)は、解像性向上、ディフェクト低減の点から、1.0〜5.0、好ましくは1.0〜3.0である。
(C1)架橋性ポリビニルエーテル化合物
(C1)成分は前記(A1)成分に対して架橋剤として作用するものである。
(C1)成分の架橋性ポリビニルエーテル化合物は、以下の様な作用を有するものである。すなわち(C1)成分は、(A1)成分に対して以下の様に機能する。
3成分系化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板等に塗布し、80〜150℃、好ましくは120℃以上の温度でプリベークすると、この加熱により(C1)成分と(A1)成分との架橋反応が生じ、基板全面にアルカリ不溶化または難溶化レジスト層が形成される。そして、露光工程、PEB工程においては、(B1)成分から発生した酸の作用により、該架橋が分解され、露光部はアルカリ可溶性へ変化し、未露光部はアルカリ不溶のまま変化しない。そのため、アルカリ現像により露光部を除去し、レジストパターンを形成することができる。
したがって、(C1)成分としては、この様な機能を有するものであれば、その種類に特に制限はない。
(C1)成分としては、具体的には少なくとも2個の架橋性のビニルエーテル基を有する化合物を用いることができる。具体的には、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中では、架橋性ジビニルエーテル化合物がより好ましい。
そして、ジビニルエーテル化合物としては、下記一般式(III’)で示すものも好ましい。

前記一般式(III’)において、R12は、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の分岐鎖状、又は直鎖状のアルキレン基、または下記一般式(IV’)で表されるものである。なお、当該アルキレン基は主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいても良い。

一般式(IV’)中、R13も、置換基を有していてもよい、炭素数1〜10の分岐鎖状、直鎖状のアルキレン基であり、当該アルキレン基は、主鎖に酸素結合(エーテル結合)を含んでいても良い。
Yは0または1である。
12としては、−C−、−COC−、−COCOC−、及び一般式(IV’)で表されるもの等が好ましく、中でも一般式(IV’)で表されるものが好ましく、特にR13の炭素数が1で、Yが1のもの(シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル)が好ましい。
(C1)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(B1)放射線の照射により酸を発生する化合物
本形態において、ポジ型ホトレジスト組成物には、(B1)成分として、さらに、従来の化学増幅型ホトレジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤を含有してもよい。酸発生剤は、これまでヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩、オキシムスルホネート類、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類、イミノスルホネート類、ジスルホン類など多種のものが知られているので、(B1)成分としては、このような公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
ジアゾメタン系酸発生剤の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン系酸発生剤としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。

上述の酸発生剤の中でも、化合物の分解点が120℃以上、好ましくは120℃〜160℃の酸発生剤が好ましく、その中では特にポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン系酸発生剤が好ましく、化合物Gを用いることが最も好ましい。
分解点が120℃以上の酸発生剤を用いると、プリベークや露光後過熱の際に、分解や昇華を生じない為である。
ただし、第2の形態においてはプリベークの条件を、80℃程度まで低温化できプリベークの選択の幅が広がり好ましい。
そのため、(B1)成分もポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン系酸発生剤の様な耐熱性が良好なものにとらわれず、酸発生剤の選択の幅が広がり好ましい。中でも、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類が解像性に優れ好ましい。
(B1)成分の含有量は、(A1)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないおそれがあり、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
(B1)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(D’)含窒素有機化合物
本形態のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D’)(以下、(D’)成分という)を配合させることができる。
この(D’)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンを言う。その第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D’)成分は、(A1)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
(E)成分
本形態のポジ型ホトレジスト組成物には、前記(D’)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D’)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A1)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
有機溶剤
本形態のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
そして、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤との混合溶剤は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜8:2、より好ましくは2:8〜5:5の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜5:5、より好ましくは3:7〜4:6であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定せず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には、有機溶剤は、レジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内で用いられる。
その他の任意成分
本形態のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
[レジストパターンの形成方法]
本形態のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80℃以上、好ましくは120℃以上、150℃以下の温度条件下、プリベーク(PB)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばKrF露光装置などにより、KrFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
なお、より好ましいプリベークの条件は、架橋構造形成の点から、80℃以上、好ましくは90〜110℃とすることが望ましい。
次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%TMAH水溶液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線;extreme ultraviolet)、VUV(真空紫外線;vacuum ultraviolet)、EB(電子線;electron beam)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本形態にかかる化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物は、KrFエキシマレーザーに対して有効である。
本発明の第2の形態の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターンの形成方法においては、良好な解像性が得られる。例えばKrFエキシマレーザー等の短波長の光源を使用した場合に要求される微細なパターンを解像できる。さらに具体的には、例えばL&S(ラインアンドスペース)パターンの場合、好ましくは幅300nm以下程度のパターンの解像が可能となる。さらに、ディフェクトの低減を実現できる。よって、微細なパターンの不具合が解消され、高集積化において非常に有利である。
この例において、良好な解像性が得られる理由は定かではないが、(A1)成分の溶解速度が小さいことにより、未露光部分の溶解性と、露光部分の溶解性の差が大きくなることが要因の一つではないかと推測される。
ディフェクトの低減については、(A1)成分は、酸解離性溶解抑制基で保護したものとする必要がないため、アルカリ現像液で現像した後、純水等でリンスする際にディフェクトの原因となるアルカリ現像液に溶けていたものが析出する等の不具合が生じにくいことが要因の一つなのではないかと推測される。
また、ラインエッジラフネス(LER;line edge roughness:ライン側壁の不均一な凹凸のこと)も抑制できる。LERの低減はディフェクトと同様の要因によるものではないかと推測される。
また、レジストパターンの形成において、未露光部は(C1)成分により架橋構造が形成された、比較的高分子量のベース樹脂を含む被膜となるため、レジストパターンの耐熱性が高いという効果も得られる。
また、(B1)成分から発生する酸成分により、アルカリ難溶性または不溶性からアルカリ可溶性に変化させるエネルギーは比較的低く、PEB条件を緩和できる等の効果も得られる。
【実施例】
第1の形態に係る実施例
本実施例において、ホトレジスト組成物の諸物性は次のようにして求めた。なお、レジストパターン形成の基本の操作は以下の通りである。
試料をスピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、これをホットプレート上で130℃、90秒間乾燥して膜厚3μmのレジスト膜を得た。この膜にマスクを介し、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA(Numerical Aperture)=0.57(可変))を用いて選択的露光をしたのち、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行い、2.38質量%TMAH水溶液で23℃にて60秒間現像し、30秒間水洗して乾燥した。
(1)Eop感度:
0.1秒から0.01秒間隔で選択的露光をし、1.5μmのラインアンドスペース幅(L&S)が1:1で形成できたときの露光時間をEop感度としてミリ秒(ms)単位で表した。
なお、400ms以下であれば、インプランテーション、メタル配線形成に用いられる厚膜用として好適である。
(2)解像性:
上記Eop感度(Eop露光量)における限界解像度で表した。
(3−1)断面形状(パターン依存性評価:微細パターン):
1.5μmのL&Sが1:1のレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察し、矩形であったものをA、ほぼ矩形であるがT−top形状や基板界面での食い込み形状(undercutting shape)、あるいは裾引き(tailing shape)形状が見られたものをB、分離パターンが得られなかったものをCとして表わした。
(3−2)断面形状(パターン依存性評価:ラフパターン):
5.0μmのL&Sが1:1のレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察し、矩形であったものをA、ほぼ矩形であるがT−top形状や基板界面での食い込み形状、あるいは裾引き形状が見られたものをB、分離パターンが得られなかったものをCとして表わした。
(4)ボトル経時安定性評価:
レジスト組成物の調製後、ボトルにサンプリングを行い、室温(25℃)で保管後、露光量寸法カーブの測定を行った。その結果、3ヶ月経過後も寸法変化が見られなかったものをA、2週間後に寸法化が生じたものをBとして表した。
なお、露光量寸法カーブの測定は、保管中、レジスト組成物を定期的にサンプリングし、保管前のレジスト感度(上記Eop感度)における選択的露光を行い、得られた1.5μmL&Sの寸法幅(ライン幅)を側長SEMにて測定し、その値をプロットして行った。
(5)耐熱性評価:
現像後、ポストベークを110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃と各条件で300秒行い、5.0μmのパターンを断面SEM(走査電子顕微鏡)にて観察を行った。
その結果、パターン形状が実質的に変化しなかった最高温度を表に示した。
なお150℃以上でも垂直形状が良好であれば、インプランテーション、メタル配線用に用いられる厚膜用として好適である。
すなわち、本実施例では、インプランテーション、メタル配線等の厚膜プロセスを実際には行っていないが、感度、耐熱性の評価によって、これらの用途に適したものであるか判断することができる。
[合成例1](ノボラック樹脂1の合成)
m−クレゾール/p−クレゾール=40/60(モル比)の混合フェノール類と、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)の混合アルデヒド類とを用いて常法により縮重合反応を行ってノボラック樹脂を得た。得られたノボラック樹脂のMwは5449、分散度(Mw/Mn)は10.4であった(Mn:質量平均分子量)。
ついで、以下の処理によって、10ppmであったノボラック樹脂中の酸成分濃度を10ppm未満にまで減少させた。なお処理後の酸成分濃度は検出限界である0.1ppmよりも低かった。
ノボラック樹脂100gを、固形分30質量%の溶液になるようにMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、その溶液にこの溶液と同量の純水を添加し、15分間攪拌を行った。攪拌終了後、静置し、分離した純水層を除去し、再度純水を用いて同様の操作を6回繰返した。その後溶液中の水分濃度が0.1質量%以下になるまで減圧濃縮し、酸成分の除去されたノボラック樹脂溶液を得た。
[合成例2](ノボラック樹脂2の合成)
m−クレゾールと、ホルムアルデヒドとを用いて常法により縮重合反応を行ってノボラック樹脂を得た。得られたノボラック樹脂のMwは8137、分散度(Mw/Mn)は11.5であった。
ついで、合成例1と同様の処理によって、10ppmであったノボラック樹脂中の酸成分濃度を10ppm未満にまで減少させた。なお処理後の酸成分濃度は検出限界である0.1ppmよりも低かった。
[合成例3](ノボラック樹脂3の合成)
m−クレゾールと、ホルムアルデヒド/サリチルアルデヒド=1/0.3(モル比)の混合アルデヒド類とを用いて常法により縮重合反応を行ってノボラック樹脂を得た。得られたノボラック樹脂のMwは5718、分散度(Mw/Mn)は8.0であった。
ついで、合成例1と同様の処理によって、10ppmであったノボラック樹脂中の酸成分濃度を10ppm未満にまで減少させた。なお処理後の酸成分濃度は検出限界である0.1ppmよりも低かった。
[合成例4](プレ樹脂1の合成)
メチルイソブチルケトン(MIBK)溶剤に濃度30質量%になるようにノボラック樹脂1を攪拌溶解し、内温100〜110℃にした後、架橋剤(シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル)を樹脂固形分100質量部に対して8質量部滴下した。
滴下時の架橋剤濃度は30質量%(MIBK溶液中)とした。24時間反応後、12時間以上室温にて後攪拌を行い、その後、MIBKから2−ヘプタノンに溶剤置換を行った。
得られた(A)成分(プレ樹脂1)の質量平均分子量は25000であった。また、(A)成分中の酸成分の濃度は2.5ppmであった。
[合成例5](プレ樹脂2の合成)
ノボラック樹脂2を用いた以外は、合成例4と同様にして、プレ樹脂2を得た。質量平均分子量は38000、酸成分の濃度は2.2ppmであった。
[合成例6](プレ樹脂3の合成)
ノボラック樹脂3を用いた以外は、合成例4と同様にして、プレ樹脂3を得た。質量平均分子量は23000、酸成分の濃度は1.8ppmであった。
[合成例7](プレ樹脂4の合成)
スチレン系樹脂1[ヒドロキシスチレン−スチレンコポリマー(スチレン構成単位の含有率:10モル%、質量平均分子量2500)]をイオン交換で精製し、γ−ブチロラクトンで溶剤置換し、30質量%濃度に調整した後、酢酸を樹脂固形分に対し0.1%添加し、内温100〜110℃下で攪拌をしながら、架橋剤(シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル)を樹脂固形分100質量部に対して9.5質量部滴下した。
滴下時の架橋剤濃度は30質量%(γ−ブチロラクトン溶液中)とした。21時間反応後、ピリジン4gを滴下し、更に室温で1時間攪拌した後、2−ヘプタノンに溶解した。これをメタノール/純水で5回洗浄した後、2−ヘプタノン層を分離しそして濃縮して残留するメタノール/水を除去した。
得られた(A’)成分の質量平均分子量は85563であった。また、酸成分の濃度は0.51ppmであった。
[合成例8](プレ樹脂5の合成)
スチレン系樹脂2[ヒドロキシスチレン−スチレンコポリマー(スチレン構成単位の含有率:5モル%、質量平均分子量4000)]を用いた以外は合成例7と同様にして(A’)成分(質量平均分子量96500、酸成分濃度0.8ppm)を製造した。
[合成例9](プレ樹脂6の合成)
スチレン系樹脂3[ヒドロキシスチレン−スチレンコポリマー(スチレン構成単位の含有率:20モル%、質量平均分子量2000)]を用いた以外は合成例7と同様にして(A’)成分(質量平均分子量65000、酸成分濃度1.5ppm)を製造した。
[合成例10](プレ樹脂7の合成)
スチレン系樹脂4[ポリヒドロキシスチレン(質量平均分子量4000)]を用いた以外は合成例7と同様にして(A’)成分(質量平均分子量87000、酸成分濃度2.5ppm)を製造した。
【実施例1】
(A)成分[プレ樹脂1]:100質量部(固形分換算)
(B)成分[上記一般式(vii)で表される化合物]:2質量部
(C)成分[t−n−デシルアミン]:0.2質量部
その他成分[2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール]:0.5質量部
上記各種成分を2−ヘプタノンに溶解し、35質量%になるように調整した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、レジスト組成物を調製し、その(1)〜(5)の物性と、レジスト組成物の酸成分濃度(測定した酸成分:シュウ酸、プロピオン酸、蟻酸、酢酸等。以下同様。)を表1に示した。
【実施例2〜7】
実施例1において、(A)成分を、それぞれ上記合成例で合成したプレ樹脂2〜7(それぞれ実施例2〜7に対応)に代えた以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調整した。
このものについての上記(1)〜(5)の物性と、レジスト組成物の酸成分濃度を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、実施例1で用いたレジスト組成物に対して、酢酸を配合し、レジスト組成物の酸成分濃度を24.9ppmにした以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調整した。
このものについての上記(1)〜(5)の物性と、レジスト組成物の酸成分濃度を表1に示した。
[比較例2]
(A)成分[ノボラック樹脂1]:100質量部(固形分換算)
(B)成分上記一般式(vii)で表される化合物]:2質量部
(C)成分[t−n−デシルアミン]:0.2質量部
その他成分[シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル]:8質量部
上記各種成分を2−ヘプタノンに溶解し、35質量%になるように調整した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、レジスト組成物を調製した。
このものについての上記(1)〜(5)の物性と、レジスト組成物の酸成分濃度を表1に示した。
[比較例3〜8]
実施例2〜7において、実施例2〜7で用いたレジスト組成物に酢酸を配合し、レジスト組成物の酸成分濃度をそれぞれ表1に示した濃度に調整した以外は、実施例2〜7と同様にしてレジスト組成物を調整した。
このものについての上記(1)〜(5)の物性と、レジスト組成物の酸成分濃度を表1に示した。
[比較例9]
実施例1の組成物に代え、ノボラック−ナフトキノン系のi線用ポジ型ホトレジスト組成物である『THMR−iP5800』(製品名:東京応化工業(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして上記(1)〜(5)の物性を表1に示した。

表1の結果より、本形態に係るレジスト組成物は、感度、解像性、ボトル経時安定性が良好で、ラフパターン、微細パターンでも断面形状が良好で、かつ耐熱性も良好であった。
第2の形態に係る実施例
[合成例]
以下の様にして樹脂1、樹脂2を合成した。
樹脂1の合成
前記合成例7において、スチレン系樹脂1の代わりに前記一般式(I’)において、R=水素原子、l=1、水酸基がp−位に結合した構成単位(a1’)を誘導するモノマー(p−ヒドロキシスチレン)70モル%、前記一般式(II’)において、R=水素原子、p=0の構成単位(a2’)を誘導するモノマー(スチレン)30モル%とを重合したコポリマー(質量平均分子量3000;(A1)成分に相当)を用いた以外は前記合成例7と同様にして樹脂1を合成した。質量平均分子量は45000であった。。
樹脂2の合成
前記樹脂1の合成において、当該合成例で用いたコポリマーの代わりに構成単位(a1’)を誘導するモノマー(p−ヒドロキシスチレン)と、構成単位(a2’)を誘導するモノマー(スチレン)の比率を90モル%:10モル%としたコポリマー(質量平均分子量2500)を用いた以外は樹脂1の合成と同様にして樹脂2を得た。質量平均分子量は86000であった。
【実施例8】
下記材料を下記有機溶剤に溶解して化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を製造した。
(A2)成分 樹脂1/樹脂2を質量比1:1で混合した混合樹脂 100質量部
(B2)成分 下記化学式で表される化合物 5質量部

(D’)成分 トリエタノールアミン 0.15質量部
有機溶剤 PGMEA/EL=6/4(質量比) 630質量部
(比較例10)
樹脂成分 100質量部
[上記一般式(I’)において、R=水素原子、l=1で、p−位に水酸基が結合した構成単位(a1’)のみからなるヒドロキシスチレン樹脂(p−ヒドロキシスチレンのホモポリマー、質量平均分子量12000、分散度=2.2)の水酸基の39モル%を1−エトキシエチル基で保護した樹脂75質量部と、上記一般式(I’)において、R=水素原子、l=1で、p−位に水酸基が結合した構成単位(a1’)のみからなるヒドロキシスチレン樹脂(p−ヒドロキシスチレンのホモポリマー、質量平均分子量12000、分散度=2.2)の水酸基の35モル%をt−boc基で保護した樹脂25質量部との混合物
溶解速度:0.5nm/秒]
(B1)成分:ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン 5.0質量部
(D’)成分:トリエタノールアミン 0.1質量部
有機溶剤:PGMEA 600質量部
(比較例11)
(A1)成分:ヒドロキシスチレン樹脂[上記一般式(I’)において、R=水素原子、l=1で、p−位に水酸基が結合した構成単位(a1’)のみからなる樹脂](p−ヒドロキシスチレンのホモポリマー、質量平均分子量12000、分散度2.2)100質量部
溶解速度:500nm/秒以上
(B1)成分:比較例10と同様
(C1)成分:シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル 20質量部
(D’)成分:比較例10と同様
有機溶剤 PGMEA/EL=6/4(質量比) 630質量部
[評価方法]
上記実施例8および比較例10、11で得られた化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物について、以下の評価(1)〜(2)を行った。)
(1)解像性評価
表面にヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理した8インチSi基板上にレジスト組成物をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、実施例8については130℃、60秒間、比較例10については100℃、60秒間、比較例11については130℃、60秒間の条件でそれぞれプリベーク処理して乾燥し、実施例8では、膜厚540nm、比較例10、11では膜厚420nmのレジスト膜を得た。
次いで、KrF露光装置(製品名「NSR−S203B」、ニコン社製、NA=0.60、σ=0.65)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスク(バイナリー)を介して選択的に照射(選択的露光)した後、実施例8については110℃、60秒間、比較例10については110℃、60秒間、比較例11については130℃、60秒間の条件でそれぞれPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後10秒間、純水を用いて水リンスした。振り切り乾燥を行った後乾燥させてL&S(ラインアンドスペース)パターンを形成した。
そして、そのときライン幅300nm、ピッチ600nmのL&Sのレジストパターンを忠実に再現できる露光量(EOP300、単位:mJ/cm)を求めた。
また、上記EOP300にて選択的露光を行い、形成されたパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。
その結果、実施例8は180nm(ピッチ360nm)のL&Sパターンを解像できたが、比較例10では220nm(ピッチ440nm)のL&Sパターンまでしか解像できなかった。比較例11は現像の際にすべてレジスト膜がすべて溶解してしまった。
なお、実施例については、プリベークとPEBの温度を変化させて同様の実験を行った。その結果、プリベーク温度/PEB温度が120℃/110℃、130℃/100℃、130℃/110℃では、いずれも180nm(ピッチ360nm)のL&Sパターンを解像できた。
(2)ディフェクト評価
上記評価(1)で形成されたレジストパターンについて、ディフェクトを、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2132(製品名)を用いて測定し、ウェハ内の欠陥数を評価した。
その結果、1枚のウェーハ当たりの欠陥数は、実施例8では5個、比較例10では260個であった。比較例11はレジスト膜がすべて溶けてしまった為、評価できなかった。
上記実施例及び比較例の評価の結果より、本形態に係る化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物では、解像性の向上及びディフェクト低減の効果が得られることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
本発明の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法は、半導体製造分野、液晶素子製造分野等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)

[式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または下記一般式(II)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは、1〜3の整数を示す。]
で表される構成単位(a1)と、
下記一般式(III)

[式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよく、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは、1〜3の整数を示す。])
で表される分子間架橋部分(a2)
の一方あるいは両方を有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のノボラック樹脂、及び
(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、
を有機溶剤に溶解してなり、酸成分の含有量が10ppm以下である化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項2】
(A’)下記一般式(IV)

(式中、Rは、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
で表される構成単位(a’1)と、
下記一般式(V)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
で表される分子間架橋部分(a’2)
の一方あるいは両方を有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のポリヒドロキシスチレン系樹脂、及び
(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、
を有機溶剤に溶解してなり、酸成分の含有量が10ppm以下である化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項3】
(A’’)下記一般式(IV)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
で表される構成単位(a’1)と、
下記一般式(V)

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
で表される分子間架橋部分(a’2)
の一方あるいは両方と、スチレン系構成単位とを有し、酸の存在下でアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する性質を有するアルカリ難溶性あるいは不溶性のポリヒドロキシスチレン系樹脂、及び(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、を有機溶剤に溶解してなることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項4】
(B)成分が、i線(365nm)の照射により酸を発生する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項5】
さらに、(C)成分として、塩基性化合物を配合してなる請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項6】
前記(C)成分を、当該レジスト組成物中に含まれる樹脂成分100質量部に対し、0.01〜5質量部配合してなる請求項5記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項7】
γ−ブチロラクトンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項8】
レジスト膜厚を2〜7μm程度の厚膜に形成する厚膜フォトリソグラフィプロセスに用いられるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項9】
前記厚膜フォトリソグラフィプロセスは、インプランテーション用のレジストパターンを形成するためのものであることを特徴とする請求項8記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項10】
酸触媒の実質的な不存在下でノボラック樹脂と下記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする請求項1記載の(A)成分の合成方法。

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
【請求項11】
酸触媒の存在下でヒドロキシスチレン系樹脂と下記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする請求項2記載の(A’)成分の合成方法。

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
【請求項12】
酸触媒の存在下でヒドロキシスチレン系樹脂と下記一般式(VI)で表される架橋剤とを反応させることを特徴とする請求項3記載の(A’’)成分の合成方法。

(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基、または上記一般式(II)(式中、Rは、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキレン基を示し、mは0又は1を表す。)
で表される基のいずれかを示し、それらアルキレン基は主鎖中に酸素結合(エーテル結合)を含んでいてもよい。)
【請求項13】
請求項1〜3のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物からなるレジスト膜を、2〜7μmの厚膜で基板の上に設け、選択的露光を行った後、現像し、露光後加熱処理(PEB)し、現像することを特徴とする厚膜フォトリソグラフィプロセスのレジストパターンの形成方法。
【請求項14】
前記厚膜フォトリソグラフィプロセスにおいて、インプランテーション用のレジストパターンを形成することを特徴とする請求項13に記載のレジストパターンの形成方法。
【請求項15】
(A2)(A1)アルカリ可溶性樹脂と(C1)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応性生成物からなる酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂、及び(B1)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤を含む化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物において、
前記(A1)成分は、下記一般式(I’)

(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、lは1〜3の整数を表す。)で表される(α−メチル)ヒドロキシスチレンから誘導される単位(a1’)と、酸解離性溶解抑制基を有さないアルカリ不溶性単位(a2’)とを有し、かつ当該(A1)成分の2.38質量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液に対する溶解速度が10〜100nm/秒であることを特徴とする化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項16】
前記構成単位(a2’)が、下記一般式(II’)で表される(α−メチル)スチレンから誘導される単位であることを特徴とする請求項15に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。

(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を表し、pは0または1〜3の整数を表す。)
【請求項17】
前記(A1)成分中の前記構成単位(a2’)の割合が5〜35モル%であることを特徴とする請求項16に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項18】
前記(A2)成分の質量平均分子量が20000〜150000であることを特徴とする請求項15に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項19】
前記(B1)成分が、分解点が120℃以上の酸発生剤であることを特徴とする請求項15に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項20】
前記(B1)成分が、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン系酸発生剤であることを特徴とする請求項19記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項21】
さらに(D’)含窒素有機化合物を含有することを特徴とする請求項15に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物。
【請求項22】
請求項15に記載の化学増幅型ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、プリベークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。

【国際公開番号】WO2004/104702
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506385(P2005−506385)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007139
【国際出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】