説明

化学増幅型レジスト組成物の酸発生剤の中間体

【課題】酸発生剤用の塩として有用なトリフェニルスルホニウム 1−アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホナート塩等の中間体であり、製造にあたり設備を腐食させることが少なく簡便に製造することができる化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】式(I)で示されることを特徴とする塩。


(式(I)中、Q1、Q2は互いに独立にフッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、Rは炭素数2〜30の置換されていてもよい炭化水素基を表し、A+はアンモニウムイオンを表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型レジスト組成物に使用される、化学増幅型レジスト組成物に含有される酸発生剤の中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ技術を用いた半導体の微細加工に用いられる化学増幅型レジスト組成物は、露光により酸を発生する化合物からなる酸発生剤を含有してなる。
半導体の微細加工においては、高い解像度で良好なパターン形状のパターンを形成することが望ましく、化学増幅型レジスト組成物としては、良好なパターン形状を有するパターンを作製することができ、高い解像度を示すものが求められている。
【0003】
高い解像度を示す化学増幅型レジスト組成物を与える酸発生剤用の塩として、最近、トリフェニルスルホニウム 1−アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホナート(塩)等の式(X)で示される塩が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、これらの塩をより簡便に製造する方法が求められていた。
【0004】

(式(X)中、Q1およびQ2は互いに独立にフッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、Rは炭素数2〜30の置換されていてもよい炭化水素基を表し、P1〜P3は、互いに独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、該アルキル基及び該アルコキシ基は、直鎖でも分岐していてもよい。)
【0005】
【特許文献1】特開2004−4561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記トリフェニルスルホニウム 1−アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホナート(塩)は、1−アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホン酸ナトリウムを中間体とし、該中間体とトリフェニルスルホニウム クロリドを反応させる製造方法により従来製造されており、1−アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホン酸ナトリウムはジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチルエステルを水酸化ナトリウムで加水分解し、塩酸でジフルオロスルホ酢酸 ナトリウム塩を得た後、高温下でアルコールと脱水エステル化する方法により製造されていた。このジフルオロスルホ酢酸 ナトリウム塩は、その製造時に副生するフッ化水素がその取り出し工程及び高温下でのエステル化反応で設備を腐食させるため、設備の材料にはハステロイなどの高価な材料が必要であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、式(X)で示される塩の製造に用いることができる中間体であり、製造にあたり設備を腐食させることが少なく簡便に製造することができる中間体およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは、上記課題を解決するために式(X)で示される塩の製造に用いることができる中間体およびその製造方法について鋭意検討した結果、設備を腐食させることが少ないマイルドな条件下で合成可能であり、式(X)で示される塩の製造に用いることができる中間体となる塩およびその製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、式(I)で示されることを特徴とする塩を提供する。

(式(I)中、Q1およびQ2は互いに独立にフッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、Rは炭素数2〜30の置換されていてもよい炭化水素基を表し、A+はアンモニウムイオンを表す。)
【0010】
また本発明は、式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(IV)で示される化合物を脱酸剤の存在下に反応させて式(XX)で示される化合物を得た後、式(XX)で示される化合物をアミン水で加水分解することを特徴とする式(I)で示される塩の製造方法を提供する。

(式(IV)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)

(式(XX)中、Q1、Q2およびRは前記と同じ意味を表す。)
【0011】
また本発明は、式(XX)で示される化合物を提供する。

(式(XX)中、Q1、Q2およびRは前記と同じ意味を表す。)
【0012】
また本発明は、式(III)で示されるアルコールと、式(IV)で示される化合物を脱酸剤の存在下で反応させることを特徴とする式(XX)で示される化合物の製造方法を提供する。
【0013】
また本発明は、式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(V)で示される化合物を反応させた後、アミン水で加水分解することを特徴とする式(I)で示される塩の製造方法を提供する。

(式(V)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)
【0014】
また本発明は、式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(IV)で示される化合物を反応させた後、脱酸剤の存在下で反応させることを特徴とする式(XX)で示されるフルオロスルホニル化合物の製造方法を提供する。


(式(XX)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の塩は、製造にあたり設備を腐食させることが少なく簡便に製造することができ、本発明の塩は高い解像度を示す化学増幅型レジスト組成物を与える酸発生剤用の塩を製造するための中間体として用いることができるので、本発明は工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の塩は、式(I)で示されることを特徴とする。

ここで、式(I)中、Q1およびQ2は互いに独立にフッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、Rは炭素数2〜30の置換されていてもよい炭化水素基(酸素原子、窒素原子、硫黄原子が含まれていてもよい。)を表し、A+はアンモニウムイオンを表す。
1およびQ2としてはそれぞれ独立にフッ素原子または−CF3である場合が好ましく、ともにフッ素原子である場合がさらに好ましい。
【0017】
式(I)におけるアンモニウムイオンA+としては、下記式で示されるアンモニウムイオンが好ましい。

(式(XI)中、Z1、Z2およびZ3はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよい炭素数5〜10のへテロ芳香族基、またはZ1とZ2およびZ3の少なくとも二つ以上でヘテロ原子を含んでも良い環を表す。)
【0018】
式(XI)で示されるアンモニウムイオンとしては、下記式で示されるアンモニウムイオンが挙げられる。

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】
式(XI)で示されるカチオンの中でもZ1、Z2およびZ3が互いに同一であり、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基およびフェニル基のいずれかである場合がより好ましく、式(XII)で示されるカチオンである場合が最も好ましい。

【0023】
式(I)におけるRとしては、環(環としては、単環でも多環でもよく、二重結合を含んでいても芳香環でもよい。)を含んでいてもよい炭素数2〜30の炭化水素で、Rに含まれる炭素原子はその一部が酸素原子で置換されていてもよく、カルボニル基を形成していてもよい炭化水素の1価の残基などが挙げられ、いずれも炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、水酸基又はシアノ基の一つ以上を置換基として含んでいてもよい(Rの炭素数には置換基の炭素数、炭素原子と置換した酸素原子の数も含まれる。)。
【0024】
式(I)で示される塩のアニオン部の具体例としては、下記式で示されるアニオンが挙げられる。

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】
式(I)で示される塩としては、Rが式(VI)で示される基である場合が、式(I)で示される塩が優れた解像度及びパターン形状を示す化学増幅型レジスト組成物を与える酸発生剤の中間体となることから好ましい。

環Xは環Xの一部を形成するように記載された二つの炭素原子とともに形成する炭素数3〜30の、=Oと結合している単環式または多環式炭化水素基を表す。
【0033】
中でも、本発明の式(I)で示される塩としては、Rが

で示される基の場合である式(II)で示される塩が、優れた解像度及びパターン形状を示す化学増幅型レジスト組成物を与える酸発生剤の中間体となることからさらに好ましい。

(式(II)中、Q1、Q2およびA+は前記と同じ意味を表す。)
【0034】
式(I)で示される塩は、式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(IV)で示される化合物とを、

(式(IV)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)
例えば、クロロホルム等の不活性溶媒中にて、脱酸剤の存在下に0℃〜80℃程度の温度範囲、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲にて攪拌して反応させ、式(XX)で示される化合物を得た後、

(式(XX)中、Q1、Q2およびRは前記と同じ意味を表す。)
例えば、クロロホルム等の不活性溶媒中、アミン水と、0℃〜80℃程度の温度範囲、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲にて攪拌して加水分解させて製造することができる。脱酸剤としては、ジエチルアニリン、トリエチルアミン、ピリジンのような有機塩基あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基あるいは、それらの混合物が挙げられる。好ましくは、トリエチルアミンのような有機塩基が挙げられる。脱酸剤は水溶液として用いることも可能である。脱酸剤の使用量としては、式(IV)で示されるジフルオロ化合物1モルに対して、0.5モル〜5モル程度で、好ましくは、1モル〜2モル程度である。アミン水に用いるアミンとしては、アンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、アダマンチルアミン、アニリン、ジエチルアニリン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどの有機アミンが挙げられるが、好ましくは低級トリアルキルアミンが挙げられ、より好ましくはトリエチルアミンが挙げられる。アミンの使用量としては、式(IV)で示されるジフルオロ化合物1モルに対して、0.01モル〜3モル程度で、好ましくは、0.1モル〜1モル程度である。
【0035】
式(IV)の化合物の使用量としては、通常、式(III)で示されるアルコール1モルに対して、0.5〜2モル程度である。該塩(I)は再結晶で取り出してもよいし、水洗して精製してもよい。
【0036】
また、式(I)で示される塩の製造方法の別法として、式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(V)で示される化合物とを、

(式(V)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)
例えば、クロロホルム等の不活性溶媒中にて、脱酸剤の存在下に0℃〜80℃程度の温度範囲、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲にて攪拌して反応させた後、例えば、クロロホルム等の不活性溶媒中、アミン水と、0℃〜80℃程度の温度範囲、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲にて攪拌して反応させて式(I)で示される塩を得る方法も本発明者らは見出した。
【0037】
式(V)の化合物の使用量としては、通常、式(III)で示されるアルコール1モルに対して、0.5〜2モル程度である。該塩(I)は再結晶で取り出してもよいし、水洗して精製してもよい。
【0038】
なお、Q1およびQ2としてはそれぞれ独立にフッ素原子または−CF3である場合が好ましく、ともにフッ素原子である場合がさらに好ましい。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ないかぎり重量基準である。また、化合物の構造はNMR(日本電子製JNM−FX90Q型またはVarian製Gemini−200型)、質量分析(日本電子製JMS−700型)で確認した。
【0040】
(1)テトラフルオロβ−サルトンの合成



1LのSUS304製耐圧オートクレイブにSO3347g(4.33mol)を入れ、空間部をN2置換した後にテトラフルオロエチレンを圧入した。発熱反応が開始したのを確認後、内温を40〜50℃、圧力0.2〜0.4MPaに調節しながらテトラフルオロエチレンの吸収がなくなるまで圧入を継続した。テトラフルオロエチレンを448g(4.48mol)圧入停止後、室温まで冷却し生成物として779gの無色液体を得た。得られた液体は、19F−NMR測定によりテトラフルオロβ−サルトンであることを確認した。
【0041】
19F−NMR(CDCl3、内部標準物質CFCl3):δ(ppm)−99.7(t,CF2SO2);−89.8(t,CF2O)
【0042】
(2)2−(フルオロスルホニル)ジフルオロアセチルフルオリドの合成



撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた100mL四つ口フラスコに、トリエチルアミン6.00g(0.06mol)を投入し0℃に冷却した。滴下漏斗よりテトラフルオロβ−サルトン121.79g(0.68mol)を0〜5℃に維持しながら滴下し、投入後反応液を室温に戻した後1時間撹拌を継続した。得られた液体を常圧下30℃で蒸留精製しテトラフルオロβ−サルトンの異性体である2−(フルオロスルホニル)ジフルオロアセチルフルオリド109.61g(0.61mol)を得た。
【0043】
19F−NMR(CDCl3、内部標準物質CFCl3):δ(ppm)−104.4(dd,CF2)、24.8(td,COF)、43.0(td,SO2F)
【0044】
(3)4−オキソアダマンタン−1−イル−オキシカルボニル(ジフルオロ)メタンスルホニルフルオリドの合成



撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた200mL四つ口フラスコに、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン5.00g(0.03mol)、トリエチルアミン3.65g(0.04mol)、クロロホルム58.44gを投入した。滴下漏斗より上記2−(フルオロスルホニル)ジフルオロアセチルフルオライド5.96g(0.03mol)を20〜35℃に維持しながら滴下し、投入後反応液を室温付近において1時間撹拌を継続した。この反応液に水37gを加えて有機層を分離した。この水洗操作を更に2回実施した後、有機層を濃縮して反応混合物10.72gを得た。この反応混合物は、展開液にヘキサン:酢酸エチル=5:1(体積比)を用いた5.05gのシリカゲルカラムで精製した。溶媒を減圧下で除去後、6.66g(0.02mol)の目的とするエステルが収率68.1%で得られた。得られた液体は、19F−NMR測定することにより、目的とするエステルであることを確認した。
【0045】
19F−NMR(CDCl3、内部標準物質CFCl3):δ(ppm)−103.6(d,CF2)、40.7(t,SO2F)
【0046】
同様にして、目的物を精製単離しないで次工程につなぐ合成を行った。
撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた200mL四つ口フラスコに、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン5.00g(0.03mol)、トリエチルアミン3.65g(0.04mol)、クロロホルム58.44gを投入した。滴下漏斗より上記2−(フルオロスルホニル)ジフルオロアセチルフルオリド5.96g(0.03mol)を20〜35℃に維持しながら滴下し、投入後反応液を室温付近において1時間撹拌を継続した。得られた液体を19F−NMR測定することにより、目的とするエステルが生成したことを確認した。
【0047】
19F−NMR(CDCl3、内部標準物質CFCl3):δ(ppm)−103.6(d,CF2)、40.7(t,SO2F)
【0048】
(4)4−オキソアダマンタン−1−イル−オキシカルボニル(ジフルオロ)メタンスルホン酸 トリエチルアミン塩の合成



撹拌機、温度計を備えた300mL四つ口フラスコに上記で得られた液体を全量投入し、さらに水7.61g、トリエチルアミン10.66g(0.11mol)を液温20〜35℃に維持しながら投入した。投入後反応液を室温付近において1時間撹拌を継続した。19F−NMR測定により原料消失を確認後、反応液を水42gで2回洗浄し得られた有機層を濃縮することで目的のアンモニウム塩を11.52g(収率は、90%)得た。
【0049】
1H−NMR(DMSO−d6、内部標準物質DMSO):δ(ppm)1.79−2.01(c,4H)、2.21−2.53(c,9H)
19F−NMR(CDCl3、内部標準物質CFCl3):δ(ppm)−110.8(s,CF2
【0050】
(5)4−オキソアダマンタン−1−イル−オキシカルボニル(ジフルオロ)メタンスルホニルフルオリドの合成



撹拌機、滴下漏斗、温度計を備えた100mL四つ口フラスコに、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン5.00g(0.03mol)、トリエチルアミン3.37g(0.03mol)、クロロホルム56.58gを投入した。滴下漏斗より上記(1)で得られたテトラフルオロβ−サルトン5.42g(0.03mol)を20〜35℃に維持しながら滴下し、投入後反応液を室温付近において1時間撹拌を継続した。得られた液体を19F−NMR測定することにより、目的化合物であるエステル体が生成した事を確認した。
【0051】
(6)4−オキソアダマンタン−1−イル−オキシカルボニル(ジフルオロ)メタンスルホン酸 トリエチルアミン塩の合成



撹拌機、温度計を備えた100mL四つ口フラスコに上記で得られた液体15.01gを投入し、さらに水1.00g、トリエチルアミン1.00g(0.01mol)を液温20〜35℃に維持しながら投入した。投入後反応液を室温付近において2時間撹拌を継続した。19F−NMR測定により原料消失を確認後、反応液を分層し得られた有機層を濃縮することでアンモニウム塩2.46g(収率は、90%)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の塩は、優れた解像度及びパターン形状を与える化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の酸発生剤の中間体として好適に用いられ、中でも、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィならびにArF液浸露光リソグラフィに好適な高い解像度を示す化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の酸発生剤の中間体として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示されることを特徴とする塩。

(式(I)中、Q1、Q2は互いに独立にフッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表し、Rは炭素数2〜30の置換されていてもよい炭化水素基を表し、A+はアンモニウムイオンを表す。)
【請求項2】
1、Q2がそれぞれ独立にフッ素原子または−CF3である請求項1に記載の塩。
【請求項3】
Rが環を含んでいてもよい炭素数2〜30の炭化水素で、Rに含まれる炭素原子はその一部が酸素原子で置換されていてもよく、カルボニル基を形成していてもよい炭化水素の1価の残基(いずれも炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、水酸基又はシアノ基の一つ以上を置換基として含んでいてもよい。)である請求項1又は2に記載の塩。
【請求項4】
式(I)で示される塩が、式(II)で示される塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塩。

(式(II)中、Q1、Q2およびA+は前記と同じ意味を表す。)
【請求項5】
+が一般式(XI)で示されるアンモニウムイオンである請求項1〜4のいずれかに記載の塩。

(式(XI)中、Z1、Z2およびZ3は、互いに独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラルキル基、置換されていてもよいナフチル基、置換されていてもよい炭素数5〜10のへテロ芳香族基、またはZ1、Z2およびZ3の少なくとも二つ以上でヘテロ原子を含んでもよい環を表す。)
【請求項6】
式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(IV)

(式(IV)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)
で示される化合物を脱酸剤の存在下で反応させて式(XX)で示される化合物を得た後、

(式(XX)中、Q1、Q2およびRは前記と同じ意味を表す。)
式(XX)で示される化合物をアミン水で加水分解することを特徴とする請求項1記載の式(I)で示される塩の製造方法。
【請求項7】
式(XX)で示されることを特徴とする化合物。

(式(XX)中、Q1、Q2およびRは前記と同じ意味を表す。)
【請求項8】
請求項6記載の式(III)で示されるアルコールと、請求項6記載の式(IV)で示される化合物を脱酸剤の存在下で反応させることを特徴とする請求項7記載の式(XX)で示される化合物の製造方法。
【請求項9】
式(III)で示されるアルコールと、

(式(III)中、Rは前記と同じ意味を表す。)
式(V)で示される化合物を反応させた後、アミン水で加水分解することを特徴とする請求項1記載の式(I)で示される塩の製造方法。

(式(V)中、Q1およびQ2は前記と同じ意味を表す。)

【公開番号】特開2008−94835(P2008−94835A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235108(P2007−235108)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】