説明

化学増幅型レジスト組成物

【目的】 優れた感光性を有する化学増幅型レジスト組成物を提供する。
【構成】 式(I)


〔R1 、R2 ;置換もしくは非置換のアミノフェニル、9−ジュロリジル、Y=CH−(Y;置換もしくは非置換の含窒素複素環基)または

(Z1 、Z2 ;置換もしくは非置換のフェニル)〕で表わされるスクアリリウム化合物と光酸発生剤とバインダーとを含有する化学増幅型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に、可視から近赤外線領域の光線に対し高感度でポジ型レジストまたはネガ型レジストを与える化学増幅型レジスト組成物に関する。化学増幅型レジスト組成物はレーザーダイレクト製版用PS版、ドライフィルムレジスト、デジタルプルーフ、ホログラム等の材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】感光剤として光酸発生剤を用い、露光によって生じた酸の触媒作用により二次的な化学反応を起こさせ、現像液に対する溶解速度の変化を引き起こしパターンを形成させる化学増幅型レジスト組成物が知られている〔有機合成化学、49, 437(1991) 、繊維と工業、47, 358(1991)〕。
【0003】また、スクアリリウム化合物の用途としては、エチレン性不飽和化合物との共存下におけるレジスト材料(特開昭63-142346 号公報、特開平2-306247号公報)、光不安定性ブロックト界面活性剤との共存下における像形成システム (特開昭60-243653 号公報) 、電子写真用感光体の電荷発生剤( Dyes and Pigments,9 ,85(1988)、特開昭52-55643号公報、特開昭60-224674 号公報) 、光メモリディスク用メディア材料 (特開平3-149263号公報) 、集光用樹脂板材料 (特開昭63-235370 号公報) 、LB(Langmuir-Brodget)膜用材料 (日経ニューマテリアル、1987年10月26日) 等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に、可視から近赤外線領域の光線に対し高感度でポジ型レジストまたはネガ型レジストを与える化学増幅型レジスト組成物を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は式(I)
【0006】
【化3】


【0007】〔式中、R1 およびR2 はそれぞれ同一もしくは異なって置換もしくは非置換のアミノフェニル、9−ジュロリジル、Y=CH−(式中、Yは置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表わす)または
【0008】
【化4】


【0009】(式中、Z1 およびZ2 は同一もしくは異なって置換もしくは非置換のフェニルを表わす)を表わす〕で表わされるスクアリリウム化合物と光酸発生剤とバインダーとを含有する化学増幅型レジスト組成物に関する。式(I)のYの含窒素複素環基としてはインドリン−2−イリデン、ベンズ〔e〕インドリン−2−イリデン、2−ベンゾチアゾリニリデン、ナフト〔2,1−d〕チアゾール−2(3H)−イリデン、ナフト〔1,2−d〕チアゾール−2(1H)−イリデン、1,4−ジヒドロキノリン−4−イリデン、1,2−ジヒドロキノリン−2−イリデン、2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ〔4,5−b〕キノキサリン−2−イリデン、2−ベンゾセレナゾリニリデン等があげられる。
【0010】アミノフェニル、フェニル、9−ジュロリジルおよび含窒素複素環基の置換基としては同一または異なって置換数1〜3の例えば、アルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ等があげられる。アルキルとしては炭素数1〜6のアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、ヘキシル等があげられる。
【0011】アルコキシとしては炭素数1〜6のアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等があげられる。アリールとしては、炭素数6〜10の例えば、フェニル、ナフチル等があげられ、アラルキルとしては、炭素数7〜10の例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル等があげられ、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等があげられる。
【0012】式(I)で表わされるスクアリリウム〔化合物(I)〕は公知化合物(例えば、特開昭63-142346 号公報、特開平2-306247号公報) および新規化合物であり、例えば次の方法により製造される。
製法1
【0013】
【化5】


【0014】(式中、R1 およびR2 は前記と同意義であり、Xは塩素、臭素、ヨウ素または
【0015】
【化6】


【0016】を表わす)この反応は、R1 H(またはR1 2 + ・X- )と等モルのR2 H(またはR2 2 + ・X- )と等モルのスクアリン酸および要すれば等モル〜2倍モルの塩基性化合物を用いて、溶媒中、90〜110℃で反応させ1〜24時間で完了する。溶媒としては、炭素数4〜6のアルコール系溶媒のみ、またはベンゼンもしくはトルエンとの混合溶媒(アルコール系溶媒50%以上)、または酢酸が用いられる。
【0017】塩基性化合物としては、トリエチルアミン、キノリン、ピリジン等があげられる。反応混合物から溶媒を留去、または生成物をろ過することにより化合物(I)を得る。
製法2
【0018】
【化7】


【0019】〔式中、R1 、R2 およびXは前記と同意義であり、R0 は塩素またはOR3 (式中、R3 は炭素数1〜4のアルキルを表わす)を表わす〕炭素数1〜4のアルキルとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチル等があげられる。化合物(III)はR1 H(またはR1 2 + ・X- )と等モルの化合物(II) 、および要すれば等モルの塩基性化合物または金属ナトリウムとを溶媒中、10〜35℃で5分間〜5時間反応させることにより得られる。
【0020】塩基性化合物としては前記と同様なものが用いられる。溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。化合物(III)の単離は反応混合物から溶媒を留去するか、または生成物をろ過することにより行われる。
【0021】化合物(IV)は化合物(III) を50〜90(重量%)の酢酸水溶液中、90〜110℃で1〜24時間反応させることにより得られる。化合物(IV)の単離は前記と同様である。化合物(I)は化合物(IV)と等モルのR2 H(またはR2 2 + ・X- )、および要すれば等モルの塩基性化合物を溶媒中、90〜110℃で1〜24時間反応させることにより得られる。塩基性化合物としては前記と同様なものが用いられる。溶媒としては、炭素数4〜6のアルコール系溶媒のみ、またはベンゼンもしくはトルエンとの混合溶媒(アルコール系溶媒50%以上) が用いられる。
【0022】化合物(I)の単離は前記と同様であり、さらに、化合物(I)を再結晶法、強制沈殿法、カラムクロマトグラフィー等の方法により精製することができる。つぎに、化合物(I)の代表例を第1表に示す。
【0023】
【表1】


【0024】
【表2】


【0025】光酸発生剤としては、少なくとも1個のトリハロメチル基で置換されたs−トリアジン化合物類〔2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフタレニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等〕、鉄−アレーン化合物類〔(η6-イソプロピルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)の
【0026】
【化8】


【0027】塩等〕、オニウム塩類{ジアリールヨードニウム塩類〔8−アニリンナフタレン−1−スルホン酸ジフェニルヨードニウム塩等〕、トリアリールスルホニウム塩類、トリアリールセレノニウム塩類、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩類、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩類、イオドニウム塩類等}、アリールジアゾニウム塩類、ジアゾケトン類、o−ニトロベンジルエステル類〔9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホン酸−p−ニトロベンジルエステル等〕、スルホン酸エステル類〔α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート等〕、シラノール−アルミニウム錯体類等があげられる。これらの中で、少なくとも1個のトリハロメチル基で置換されたs−トリアジン化合物類が好ましく、これらは、例えば特開平2-306247号公報記載の手法により得ることができる。
【0028】バインダーとしては、アクリル酸、そのエステル化物、メタクリル酸、そのエステル化物、(無水)マレイン酸、そのエステル化物、アクリロニトリル、スチレン、α−アルキルスチレン、α−アセトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、α−アルキルヒドロキシスチレン、α−アセトキシヒドロキシスチレンまたはこれらの水酸基が酸処理により容易に解離される保護基(例えば、トリアルキルシリル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブトキシカルボニル基等)置換化合物またはこれらの環状類似体、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、クロトン酸、イタコン酸、N−置換マレイミド、ビニル安息香酸、これらのエステル化物の単独もしくは共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、塩素化ポリオレフィン、ポリアルキレン、ポリアルデヒド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、変性ポリビニルアルコールの単独もしくは組合せによるブロックまたはグラフト共重合体または変性体等があげられる。
【0029】また、現像時の耐プラズマ性を向上させるために、これらのバインダー中に露光前または露光後にケイ素含有置換基を導入してもよい。化合物(I)の割合は光酸発生剤100重量部 (以下、部は重量部を意味する)に対して1〜60部であり、バインダーの量は光酸発生剤1部に対して2〜100部、好ましくは5〜50部である。
【0030】また、特に、酸存在下で熱架橋反応によりネガ型レジストを得る場合は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を少なくとも二個有するアミノ化合物、例えば、メラミン誘導体〔ヘキサメトキシメチル化メラミン(三井サイアナミッド(株)製サイメル300シリーズ(1))等〕、ベンゾグアナミン誘導体〔メチル/エチル混合アルキル化ベンゾグアナミン樹脂(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(2))等〕、グリコールウリル誘導体〔テトラメチロールグリコールウリル(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(3))等〕、また、官能基としてアルコキシメチル基、メチロール基、アセトキシメチル基等を有する少なくとも二置換の芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、1,3,5−トリアセトキシメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラアセトキシメチルベンゼン等があげられ、これらはPolym. Mater. Sci. Eng., 64 ,241(1991) に記載の手法により合成することができる。
【0031】架橋剤の量は光酸発生剤1部に対して0.1 〜100部、好ましくは0.2 〜50部である。さらに、化学増幅型レジストの使用目的に応じて、溶媒(エチルセロソルブ等)、溶解抑制剤(シリルエーテル等)、可塑剤(ジオクチルフタレート等)、感度改善剤(三級アミン等)、暗反応防止剤、有機もしくは無機の染顔料からなる着色剤等を含有してもよい。
【0032】本発明の化学増幅型レジスト組成物は、例えば、化合物(I)と光酸発生剤とバインダーおよび必要により架橋剤等を混合することにより得られる。さらに、本発明の化学増幅型レジスト組成物を例えば溶媒(エチルセロソルブ等)に溶解した溶液を、表面処理されたアルミニウム板、シリコンウエハー、ガラス板等に塗布し乾燥させることにより、特に可視光から近赤外線領域の光線に対して高い感度を有する感光性試料とすることができる。
【0033】可視光から近赤外線領域の光線の光源としては、例えば、水銀灯、カーボンアーク、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード、レーザー光線等の化合物(I)に吸収可能な光線の光源を用いることができる。また、光照射後、引き続き行う熱処理の温度としては、室温から得られた感光性試料の融点(分解点)以下で、特に50〜120 ℃の温度範囲が好ましい。最終的な画像を形成するための現像に際しては、組成に応じて溶媒 (例えば、希アルカリ水溶液等) を用いる湿式現像、加熱、プラズマ、加速イオン等を用いる乾式エッチングを用いることができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例および参考例を示す。
実施例1ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕 100部、ヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミッド(株)製サイメル301 〕40部、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部および化合物11部をエチルセロソルブ 900mlに溶解して化学増幅型レジスト組成物の溶液を得た。この溶液を砂目立ておよび陽極酸化処理を施したアルミニウム板に回転塗布器を用い乾燥膜厚が1μm となるように塗布し、温風ドライヤーで乾燥した。得られた感光性試料に光学濃度段差0.15のステップタブレットを重ね、3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA-30 (HOYA製)、色ガラスフィルターR−61および干渉フィルターKL−63〔いずれも東芝ガラス(株)製〕を通して得られる630nm前後の光(I0 =80.5μJ /cm2 ・s)を照射した。引き続き100 ℃のオーブン中で5分間熱処理を行い、さらに2wt%メタケイ酸ナトリウム水溶液で現像後、PS版現像インキPI−2〔富士写真フィルム(株)製〕を用いインキを着け、インキの付着した硬化段数から硬化に必要なエネルギー量を求めたところ0.7mJ/cm2 と高い感度を示した。
【0035】実施例2実施例1において、化合物1 1部および熱処理条件(100℃、5分間)を化合物4 1部および熱処理条件(90℃、10分間)とする以外は実施例1と同様に行ったところ1.4mJ/cm2 の感度が得られた。
【0036】実施例3実施例1において熱処理条件(100℃、5分間)を90℃、10分間とする以外は実施例1と同様に行ったところ0.24mJ/cm2 の非常に高い感度が得られた。
【0037】実施例4実施例1において、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部の代わりに(η6 −イソプロピルベンゼン)(η5 −シクロペンタジエニル)鉄(II) の
【0038】
【化9】


【0039】塩8部を用いる以外は実施例1と同様に行ったところ3.4mJ/ cm2 の感度が得られた。
【0040】実施例5実施例1において、化合物1 1部および熱処理条件(100℃、5分間)を化合物3 1部および熱処理条件(90℃、10分間)とする以外は実施例1と同様に行ったところ4mJ/cm2 の感度が得られた。
【0041】実施例6実施例1において、化合物1 1部および熱処理条件(100℃、5分間)を化合物2 1部および熱処理条件(90℃、10分間)とする以外は実施例1と同様に行ったところ4.5mJ/cm2 の感度が得られた。
【0042】実施例7実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油化学(株)製PHSマルカリンカーH3F〕100部へ、化合物1 1部を参考例1で得られた化合物6 1部へ、熱処理条件を100℃、5分間から90℃、10分間へ変更し、さらに干渉フィルターKL−63〔東芝ガラス(株)製〕を用いずに 600〜800nm前後の光(I0 =2.46mJ/cm2 s )を露光した以外は実施例1と同様に行ったところ5mJ/cm2 の感度が得られた。
【0043】実施例8実施例7において参考例1で得られた化合物6 1部を参考例2で得られた化合物7 1部に代える以外は実施例7と同様に行ったところ5mJ/cm2 の感度が得られた。
【0044】実施例9実施例7において、参考例1で得られた化合物6 1部を化合物5 1部に代える以外は実施例7と同様に行ったところ18mJ/cm2 の感度が得られた。
【0045】実施例10実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をポリメタクリル酸エステルポリマー100部へ、また、露光後の熱処理条件を100℃、5分間から90℃、6分間とする以外は実施例1と同様に行ったところ感度0.9mJ/cm2 の感度が得られた。
【0046】実施例11実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油化学(株)製PHSマルカリンカーH3F〕100部へ、ヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミッド(株)製サイメル301〕40部をヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミッド(株)製サイメル300〕40部へ変更する以外は実施例1と同様の手法により調製した化学増幅型レジスト組成物の溶液を表面処理したガラスに回転塗布し、乾燥することにより膜厚1μm の感光性試料を得た。これにHe−Neレーザーの光をビームスプリッターで2光束に分け、感光性試料に対して同じ面から角度θ=74゜で入射させた。露光終了後、90℃のオーブン中で15分間熱処理を行い、引き続き2ωt %メタケイ酸ナトリウム水溶液で現像し、水洗後乾燥することで明るい表面ホログラムを得た。
【0047】実施例12実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をメタクレゾール型ノボラック樹脂 (m/p =6/4)100部へ、また、露光後の熱処理条件を100℃、5分間から90℃、10分間へ変更する以外は実施例1と同様に行ったところ0.7mJ/cm2 の感度が得られた。
【0048】実施例13実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をスチレン−マレイン酸モノイソブチル共重合体100部へ、また、露光後の熱処理条件を100℃、5分間から90℃、1分間へ変更する以外は実施例1と同様に行ったところ6mJ/cm2 の感度が得られた。
【0049】実施例14実施例7において、ヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミッド(株)製サイメル301〕40部をヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミッド(株)製サイメル300〕42部へ、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部を8−アニリンナフタレン−1−スルホン酸ジフェニルヨードニウム塩9部へ、参考例1で得られた化合物6 1部を化合物11部へ、さらに露光後の熱処理条件を90℃、10分間から90℃、6分間へ変更する以外は実施例7と同様に行ったところ43mJ/cm2 の感度が得られた。
【0050】実施例15実施例1において、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部を2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部へ、また、露光後の熱処理条件を100℃、5分間から90℃、12分間とする以外は実施例1と同様に行ったところ感度3mJ/cm2 が得られた。
【0051】実施例16ヒドロキシ基をテトラヒドロピラニル基で保護したアルカリ不溶性の含フッ素ポリイミド100部、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8.4部および化合物1 0.9部をエチルセロソルブ900mlに溶解して化学増幅型レジスト組成物の溶液を得た。この溶液を砂目立ておよび陽極酸化処理を施したアルミニウム板に、回転塗布器を用いて乾燥膜厚が1μmとなるように塗布し、温風ドライヤーで乾燥した。得られた感光性試料に光学濃度段差0.15のステップタブレットを重ね、3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)、色ガラスフィルターR−61〔東芝ガラス(株)製〕を通して得られる610nm前後の光を照射した。引き続き120℃のオーブン中で15分間熱処理後、PS版現像液DN3C〔富士写真フィルム(株)製〕で現像を行ったところ光照射部分が溶解しポジ画像が得られた。
【0052】実施例17実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油化学(株)製PHSマルカリンカーH3F〕100部へ、ヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミド(株)製サイメル301〕40部をヘキサメトキシメチル化メラミン〔K&K製〕40.8部へ、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン8部を7.6部へ、化合物1 1部を参考例1で得られた化合物6 1.02部へ、3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)、色ガラスフィルターR−61および干渉フィルターKL−63〔いずれも東芝ガラス(株)製〕を通して得られる630nm前後の光(I0 =80.5μJ /cm2 ・s)を3W超高圧水銀灯よりKL−78〔東芝ガラス(株)製〕を通して得られる780nm前後の光(I0 =162μJ /cm2 ・s)へさらに熱処理条件を100℃、5分間から90℃、10分間とする以外は実施例1と同様に行ったところ2.0mJ/cm2 の感度が得られた。
【0053】実施例18実施例17において参考例1で得られた化合物6 1.02部を参考例2で得られた化合物7 1.25部へ、さらに熱処理条件を90℃、10分間から90℃、11分間とする以外は実施例17と同様に行ったところ、1.36mJ/cm2 の感度が得られた。
【0054】実施例19実施例17において、参考例1で得られた化合物6 1.02部を参考例3で得られた化合物8 1.1部へ、さらに熱処理条件を90℃、10分間から90℃、13分間とする以外は実施例17と同様に行ったところ、3.1mJ/cm2 の感度が得られた。
【0055】実施例20実施例1において、ポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製レジンM〕100部をポリ−p−ヒドロキシスチレン〔丸善石油(株)製PHSマルカリンカーH3F〕100部へ、ヘキサメトキシメチル化メラミン〔三井サイアナミド(株)製サイメル301〕40部をヘキサメトキシメチル化メラミン(K&K製)48部へ、化合物1 1部を参考例4で得られた化合物9 1.1部へ、さらに熱処理条件を100℃、5分間から90℃、8分間とする以外は実施例1と同様に行ったところ3.4mJ/cm2 の感度が得られた。
【0056】実施例21実施例20において、参考例4で得られた化合物9 1.1部を下記構造を有する化合物10(特開平2−306247に記載の化合物)1.1部へとする以外は実施例20と同様に行ったところ1.9mJ/cm2 の感度が得られた。
【0057】
【化10】


【0058】実施例22実施例20において、ヘキサメトキシメチル化メラミン(K&K製)48部を40部へ、化合物9 1.1部を化合物11 1.0部へ、3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)、色ガラスフィルターR−61および干渉フィルターKL−63〔いずれも東芝ガラス(株)製〕を通して得られる630nm前後の光(I0=80.5μJ /cm2 ・s)の代わりに3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)および色ガラスフィルターR−66〔東芝ガラス(株)製〕を通して得られる660nm以上の光(I0=2.55mJ/cm2 ・s)を照射し、さらに熱処理条件を90℃、8分間から90℃、18分間とした以外は実施例20と同様に行ったところ4.9mJ/cm2 の感度が得られた。
【0059】実施例23実施例20において、ヘキサメトキシメチル化メラミン(K&K製)48部を40部へ、化合物9 1.1部を化合物12(特開平3−149263に記載の化合物)1.0部へ、3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)、色ガラスフィルターR−61および干渉フィルターKL−63〔いずれも東芝ガラス(株)製〕を通して得られる630nm前後の光(I0=80.5μJ/cm2 ・s)の代わりに3KW超高圧水銀灯より熱線吸収フィルターHA−30(HOYA製)、色ガラスフィルターR−66および干渉フィルターKL−68〔いずれも東芝ガラス(株)製〕を通して得られる680nm前後の光(I0=112μJ /cm2 ・s)を照射し、さらに熱処理条件を90℃、8分間から90℃、5分間とした以外は実施例20と同様に行ったところ3.3mJ/cm2 の感度が得られた。
【0060】
【化11】


【0061】参考例13,4−ジクロロ−3−シクロブテン−1,2−ジオン〔Tetrahedron Lett.No.10 , P.781(1970) 記載の化合物〕0.3gにジクロロメタン15mlを加えた後、室温で、1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン0.54gを加えて攪拌した。1時間後に、反応混合物からロータリーエバポレータによりジクロロメタンを留去した。残渣に、酢酸7.6mlと水10mlを加え、100℃のオイルバス上で加熱した。1時間加熱後に、ロータリーエバポレータにより、酢酸および水を留去した。残渣にn−ブタノール20mlおよびベンゼン20ml、1,3−ジ−n−ヘキシル−2−メチルイミダゾ〔4,5−b〕キノキサリニウムトシレイト1.05gおよびキノリン0.27gを加え、2時間加熱した。その後、ロータリーエバポレータにより濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにより精製し化合物6 0.45gを得た。
融点:147℃(分解)
元素分析値:計算値(%) : C 75.83 H 7.52 N 12.06実測値(%) : C 76.13 H 7.54 N 12.26
【0062】参考例23,4−ジイソプロポキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン 1.98g、N−エチルレピジニウムアイオダイド 2.99gおよびイソプルパノール20mlの混合物を室温で攪拌した後、その中にナトリウム0.23gを加え、4時間攪拌した。その後、不溶物をろ別し、ろ液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。この精製物に酢酸30mlと水10mlを加えた後、95℃で1.5時間加熱した。反応終了後、揮発分を濃縮し乾燥した。その後、その乾燥物にn−ブタノール13mlおよび1,3−ジ−n−ブチル−2−メチルイミダゾ〔4,5−b〕キノキサリニウムクロライド0.92gとキノリン0.27gを加え、4時間加熱還流した。その後、ロータリーエバポレーターにより、溶媒および生成した水を留去した。この残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物7 0.31gを得た。
融点:237〜238℃(分解)
元素分析値:計算値(%) : C 74.84 H 6.47 N 12.83実測値(%) : C 75.13 H 6.52 N 12.94
【0063】参考例33,4−ジイソプロポキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン 1.98g、N−エチルレピジニウムアイオダイド 2.99gおよびイソプロパノール20mlの混合物を室温で攪拌した後、その中にナトリウム0.23gを加え、4時間攪拌した。その後、不溶物をろ別し、ろ液を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。この精製物に酢酸30mlと水10mlを加えた後、90〜100℃で1.5時間加熱した。反応終了後、揮発分を濃縮し乾燥した。その後、その乾燥物に1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリン0.37g、n−ブタノール21mlおよびベンゼン21mlを加え、5時間加熱還流した。その後、揮発分を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造式で示される化合物8 0.24gを得た。
【0064】
【化12】


【0065】化合物8の融点および元素分析値は下記の通りであった。
融点:260〜263℃(分解)
元素分析値:計算値(%) : C 79.59 H 6.20 N 6.63実測値(%) : C 79.90 H 6.15 N 6.80
【0066】参考例43,4−ジクロロ−3−シクロブテン−1,2−ジオン 1.5gにジクロロメタン20mlを加えた後、氷水冷却下1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリン1.7gを滴下し、2時間後に析出物をろ過、乾燥させた。この乾燥物に酢酸35mlと水50mlを加え、100℃のオイルバス上で1時間加熱し、ロータリーエバポレータにより、酢酸および水を留去した。残渣にn−ブタノール100ml、1,3−ジ−n−ヘキシル−2−メチルイミダゾ〔4,5−b〕キノキサリニウムトシレート5.25gおよびトリエチルアミン1.01gを加え、3時間加熱還流した。その後、揮発分を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記構造式で示される化合物9 3.57gを得た。
【0067】
【化13】


【0068】化合物9の融点および元素分析値は下記の通りであった。
融点:173.5〜174.9℃元素分析値:計算値(%) : C 75.59 H 7.51 N 11.60実測値(%) : C 73.99 H 7.47 N 11.17
【0069】参考例5参考例3において、1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリンの代わりに1,1,2,3−テトラメチル−1H−ベンズ〔e〕インドリウムアイオダイド0.72gおよびキノリン0.28gを加える以外は同様にして下記構造式で示される化合物11 0.17gを得た。
【0070】
【化14】


【0071】化合物11の融点および元素分析値は下記の通りであった。
融点:266〜267.6℃(分解)
元素分析値:計算値(%) : C 81.33 H 5.97 N 5.93実測値(%) : C 81.52 H 6.06 N 5.97
【0072】
【発明の効果】本発明の化学増幅型レジスト組成物は優れた感光性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】式(I)
【化1】


〔式中、R1 およびR2 はそれぞれ同一もしくは異なって置換もしくは非置換のアミノフェニル、9−ジュロリジル、Y=CH−(式中、Yは置換もしくは非置換の含窒素複素環基を表わす)または
【化2】


(式中、Z1 およびZ2 は同一もしくは異なって置換もしくは非置換のフェニルを表わす)を表わす〕で表わされるスクアリリウム化合物と光酸発生剤とバインダーとを含有する化学増幅型レジスト組成物。

【公開番号】特開平6−43633
【公開日】平成6年(1994)2月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−96173
【出願日】平成5年(1993)4月22日
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)