説明

化学指標試験ストリップ

有機検体の検出及び/又は定量化についての物品並びに方法を記載する。本発明は、基材と、基材上にロイコ染料複合体を含むコーティングとを含む化学指標試験ストリップを提供し、コーティングは水に不溶性であると共に有機検体と反応性であり、ロイコ染料及び展開剤の溶液からコーティングは得られる。別の態様では、コーティングは、非水溶性、極性、疎水性、非プロトン性物質の形態で、検体検出の下限を下げる補助剤を更に含む。更に別の態様では、本発明は、(a)有機検体を含む試料に化学指標試験ストリップを曝露する工程、(b)曝露工程に続く化学指標試験ストリップ上の変色を測定する工程、(c)変色と試料中の検体の濃度を相関付ける工程、を含む、化学指標試験ストリップを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学指標試験ストリップ並びに有機検体の検出及び定量化のための化学指標試験ストリップの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な工業又は商業プロセスで特定の有機化合物を検出及びモニターすることが望ましい。例えば、特定の作用流体中で溶媒を検出することは、半導体産業におけるプロセス、発酵及び蒸留のためのプロセス、並びに、ビタミン、アルカロイド、及び抗生物質の抽出及び調製のためのプロセスなどの数多くの工業プロセスにおいて重要である。更に、有害な廃棄場及び地下貯蔵槽からの有機汚染は、地下水質を脅かすことがあり、絶えず増大する数のモニタリング井戸の試料採取及び分析を行う労力が必然的に伴う。
【0003】
更に、在庫管理及び品質管理といった懸案事項のために、濃縮された組成物から調製(例えば、希釈)しておいた使用準備済みの配合物で活性有機構成成分の濃度をモニターすることが望ましい。中鎖脂肪酸及びこれらのエステル、例えば、C〜C12脂肪酸エステルなど、を含む配合は、肉の中にいる、食物を媒介とするヒト病原体の数を削減するための、並びに、果物及び野菜の品質及び貯蔵寿命に悪影響を与える真菌及び様々な病原体から植物を守るのを助けるための、食物の抗菌処理に有用である。しかしながら、抗菌脂質は典型的には他の抗菌剤(例えば、漂白剤、過酸化物、及び/又は弱有機酸)よりも高価であり、その費用のために、食物の汚染除去に使用される時にはモニターし、管理し、これらの浪費を最小化することが重要である。
【0004】
現行のモニタリング技術にはガスクロマトグラフィーの使用が挙げられ、典型的には試料採取と分析結果のコミュニケーションとの間に長時間を必要とする。より一般的には、既知のモニタリング技術は、典型的には高価で、労働集約的な分離性の方法を利用しており、これにより試料採取及び操作手順に不確実性を組み込むことになる。従来の方法では有機検体のためにその場での実時間モニタリングを提供できないことは、産業界における未達成の問題である。
【0005】
置換3,3’−ジフェニルフタリドから誘導されるラクトンは、ビスフェノールAなどの弱酸構成成分との反応によりトリフェニルカルベニウムイオンを生じる。この発色反応は、カーボンレス感圧性コピー用紙及びサーモクロミック印刷用紙に使用されるマイクロカプセルコーティング技術で有用である。ポッシュ(Posch)及びウォルベイズ(Wolbeis)(「タランタ(Talanta)」第35巻、第2号、89〜94ページ、1988年)は、空気中の極性溶媒蒸気のための比色分析指標として感熱紙を使用して見せた。この用途では、十分に展開された強い色調の感熱紙は、蒸気に曝露すると、色強度に減少を示す。強度の減少は蒸気の分圧に比例し、溶媒蒸気による水素結合ネットワークの撹乱が、着色されたキノイド染料を無色のラクトン形態に変換することに起因する。ディッカート(Dickert)及び共同研究者(「アナリティカル・ケミストリー(Anal. Chem)」1988年、第60巻、1377〜1380ページ)は、ラクトン染料及びプロトン供与体の混合物を透過性光学検出システムと共に石英プレート上にスピンコートして低沸点極性溶媒蒸気のための光化学センサーとして働かせた。以上の技術は蒸気形態の溶媒の検出に限定されてきたため、これらは液体水流中の有機化合物のモニタリングを提供することができなかった。更に、これらの技術は典型的には高価な光学素子及び較正システムを必要とし、このような技術は温度及び湿度の両方に感受性を有することが知られている。
【0006】
試験ストリップ又は指標スティックは、このストリップ又は指標スティックを液体中に浸漬して変色及び色強度を観察することにより、液体中の検体の存在及び濃度を指示するのに利用できる。これらの製品には、pH測定のためのお馴染みのリトマス試験、並びに、血液及び尿試料中のブドウ糖又はタンパク質などの、生体液中の臨床的に重要な標識を検出するための複雑な試験が挙げられる。試験ストリップ又は指標スティックは、高いレベルの正確性を体現する安価な1回使用の分析器具を代表し、視覚的な比較チャートを用いて又は定量的な情報及び電子記録保存のための読み取り装置と共に定性的に使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
水中に浸漬でき、水混和性有機化合物の定量的測定及びモニタリングに有用である試験ストリップ又は指標スティックを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、有機検体の検出及び/又は定量化のための物品並びに方法を提供する。1つの態様では、本発明は、
基材と、
基材上にロイコ染料複合体を含むコーティングと、を含む化学指標試験ストリップを提供し、コーティングは水に不溶性であると共に有機検体と反応性であり、ロイコ染料及び展開剤の溶液から得られる。
【0009】
一般に、本明細書で使用される用語は、当業者により与えられている意味と一致する意味を有すると理解される。明確化のために特定の用語をここで更に定義する。
本明細書で使用する時、「ロイコ染料」とは、分子が2つの形態を取ることができ、その1つが無色である染料を指す。
【0010】
「ロイコ染料複合体」とは、1種以上の展開剤と結合している1種以上のロイコ染料からなる複合体を指す。
【0011】
「MIBK」は、メチルイソブチルケトンの略称である。
【0012】
別の態様では、本発明は、コーティングが補助剤を更に含む上述の化学指標試験ストリップを提供し、該補助剤は、非水溶性、極性、疎水性、非プロトン性物質であり、検体検出の下限をそのような補助剤が不在の場合に達成可能な下限よりも下げる。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、化学指標試験ストリップを使用する方法を提供し、これは
(a)化学指標試験ストリップが
基材、及び
基材上にロイコ染料複合体を含むコーティング、を含み、コーティングが水に不溶性であると共に有機検体と反応性であり、ロイコ染料及び展開剤の溶液からコーティングが得られ、溶液中に有機検体を含む液体試料に化学指標試験ストリップを曝露する工程と、
(b)曝露工程に続く化学指標試験ストリップ上の変色を測定する工程と、
(c)変色と試料中の検体の濃度を相関付ける工程と、を含む。
【0014】
本発明の特徴は、様々な実施例及び図並びに特許請求の範囲と一体となっている実施形態の詳細な説明を包含する開示の残り部分を考慮すれば、当業者によってより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態の説明では、様々な図への参照が行われる:
【図1】本明細書の実施例1に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図2】本明細書の実施例3に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対(1)アセトン及び(2)炭酸プロピレンの濃度のグラフ。
【図3】本明細書の実施例4に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図4】本明細書の実施例5に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図5】3種の異なる展開剤を使用する本明細書の実施例6に記載されている化学指標試験ストリップについての、光学密度対時間のグラフ。
【図6】本明細書の実施例7に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対(1)プロピレングリコール及び(2)n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図7】本明細書の実施例9に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図8】本明細書の実施例9の化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図9】本明細書の実施例10の化学指標試験ストリップについての、光学密度対n−プロパノールの濃度のグラフ。
【図10】本明細書の実施例11の化学指標試験ストリップを使用する、光学密度対炭酸プロピレンの濃度のグラフ。
【図11】本明細書の実施例13の化学指標試験ストリップについての、光学密度対濃度のグラフ。
【図12】本明細書の実施例15の化学指標試験ストリップについての、光学密度対濃度のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態をここに記載する。本発明は、化学指標試験ストリップ、並びに、有機化合物の定性的及び定量的モニタリングのための化学指標試験ストリップの使用方法を提供する。本発明の実施形態は、水又は他の溶媒の中の有機化合物の濃度を迅速かつ定量的に測定するのに使用することができる比色分析用の、浸漬可能な化学指標試験ストリップを提供する。本明細書で使用する時、「化学指標試験ストリップ」及び「試験ストリップ」は本発明の物品を参照するのに互換的に使用される。
【0017】
本発明の試験ストリップは、溶媒中への、特に水系中への、浸漬に耐えることができるロイコ染料複合体でコーティングされた基材を含む。本発明の実施形態では、ロイコ染料複合体をまず、ロイコ染料と、展開剤と、試験ストリップの性能を高める任意の追加的な構成成分とからなる液体指標組成物中に提供する。いくつかの実施形態では、最終化学指標試験ストリップが特定の検体を検出する能力を高めるために、及び/又は、より低い検体濃度での試験ストリップの感受性を高めるために、任意の追加的な構成成分を添加する。液体指標組成物を基材上にコーティングし、乾燥させて、本発明による化学指標試験ストリップを提供する。
【0018】
ロイコ染料複合体は、少なくとも1種の色形成剤及び少なくとも1種の展開剤を含み、これらは結合すると、化学指標試験ストリップの基材の表面に非白色又は着色外観を付与する。しかしながら、ロイコ染料複合体は、展開剤を溶解することができる有機検体の存在下では、元に戻るか又は「漂白して」無色状態になる。変色又は漂白の程度は水中の検体の濃度に比例し、このため、有機検体の濃度が増加するにつれて、化学指標試験ストリップは累進的に軽い色になっていく。予備標準化により、試験ストリップが変色する度合いは、検体の濃度と相関付けることができる。
【0019】
ロイコ染料
本発明の化学指標試験ストリップで有用なロイコ染料複合体は、色形成剤及び展開剤を含む。本発明の実施形態では、ロイコ染料の好適な部類には、フルオラン、ローダミン、及び、トリアリールメタンラクトンロイコ染料が挙げられる。これらの化合物は、ルイス酸、サリチル酸、フェノール化合物又は酸性粘土などの酸性展開剤と反応して、ラクトン環の開環によって濃い色調の種を形成する。このような化合物の特定の例には、商標名「ペルガスクリプト(Pergascript)」(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))で既知のものが挙げられるが、これに限定されない。本発明の実施形態で有用な別のロイコ染料は、ロイコ染料クリスタルバイオレットラクトン(crystal violet lactone)(トリアリールメタンラクトン)である。そのラクトン形態で、クリスタルバイオレットラクトンは無色又はわずかに黄色である。しかし、低pH環境下では、これはプロトン化して強いスミレ色を呈する。
【0020】
ロイコ染料の以下の非限定的なリストは、個別か又は2種以上の組み合わせかのいずれかで、本明細書での使用に好適である:
アシルオーラミン
アシルロイコフェノチアジン
α−不飽和アリールケトン
アザフタリド
ベンゾイルロイコメチレンブルー
ベンゾイルロイコオキサジン
ベンゾイルロイコチアジン
β−不飽和アリールケトン
塩基性モノアゾ染料
ビスインドリルフタリド
10−ベンゾイル−N,N,N,N−テトラエチル−3,7−ジアミノ−10H−フェノキサジン
カルバゾリルブルー
発色性アザフタリド化合物
クリスタルバイオレットラクトン
ジアリールフタリド
ジフェニルメタン
ジチオ−オキサミド
ジ[ビス−(インドイル)エチレニル(ethyleneyl)]テトラホロフタリド(tetraholophthalide)
フルオラン
フルオラン誘導体(例えば、3−ジアルキルアミノ−7−ジアルキルアミルフルオラン)
グリーンラクトン
3−(インドール−3−イル)−3−(4−置換アミノフェニル)フタリド
インドリルビス−(インドイル)エチレン
インドリルレッド
ロイコオーラミン
ロイコベンゾイルメチレンブルー
ロイコマラカイトグリーン
3−メチル−2,2−スピロビ(ベンゾ−[f]−クロメン)
フェノキサジン
フタリドロイコ染料
フタラン(phthlans)
ポリスチロール(polystyrl)カルビノール及び8−メトキシベンゾインドリノスピロピラン
ローダミンβラクタム
スピロピラン
置換4,7−ジアザフタリド
スルチン
ミヒラーズ・ヒドロール(Michler's hydrol)のパラ−トルエンスルホネート
トリアリールメタン
トリフェニルメタン(ゲンチアンバイオレット及びマラカイトグリーン)
3,3−ジアリール−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1−オキシド
【0021】
展開剤
展開剤は、本発明のロイコ染料複合体に包含される。このような展開剤は多くの場合、電子受容体と呼ばれるが、より正確にはプロトン供与体と記述される。特定の実施形態では、展開剤は非水溶性である。いくつかの実施形態では、展開剤は、p−ヒドロキシ安息香酸オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、1,2,3−トリアゾール、4−ヒドロキシクマリン誘導体、及び上述のものの2種以上の組み合わせから選択される弱酸である。
【0022】
いくつかの実施形態では、ルイス酸を、本明細書で述べているロイコ染料複合体で展開剤として使用してもよい。このような展開剤の例には、アタパルジャイト、酸性粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、酸活性化ベントナイト若しくはモンモリロナイト、ゼオライト、ハロイサイト(hoalloysite)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化ジルコニウム水和物、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、活性化カオリン又は他の粘土などの活性化粘土物質が挙げられる。
【0023】
他の実施形態では、酸性有機化合物が展開剤として有用である。このような展開剤の例には、環置換フェノール、レゾルシノール、サリチル酸(例えば、3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)サリチル酸(salicylic);3,5−ビス((γ−メチルベンジル)サリチル酸)、又はサリチル酸エステル、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩)が挙げられる。追加的な酸性有機化合物には、例えば、フェノール系ポリマー、アルキルフェノールアセチレン樹脂、マレイン酸/コロホニウム樹脂、又は、無水マレイン酸と、スチレン、エチレン、又はビニルメチルエーテルとの、部分的に若しくは完全に加水分解されたポリマー、あるいはカルボキシメチレンなどの特定のポリマー材料が挙げられる。モノマーの、及びポリマーの酸性有機化合物の2種以上の混合物も使用してもよい。
【0024】
更に他の実施形態では、展開剤は、フェノール樹脂又はフェノール系化合物、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、メチレン−ビス(p−フェニルフェノール)、4−ヒドロキシジフェニルエーテル、α−ナフトール、β−ナフトール(napthol)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−シクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、チオシアン酸亜鉛のピリジン錯体、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン(phoroglucine)、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から選択されてもよい。
【0025】
更に別の実施形態では、展開剤は、ポリ(4−ビニルフェノール)である。更に別の実施形態では、展開剤は、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノールである。
【0026】
補助剤
本発明のいくつかの実施形態では、ロイコ染料複合体は、所望により、非水溶性、極性、疎水性、非プロトン性の構成成分の形態である少なくとも1種の補助剤を配合される。補助剤を記述する文脈で使用する時、「極性」とは、物質が水素結合を形成する能力を指す。いくつかの実施形態では、極性、疎水性、非プロトン性の補助剤は低い蒸気圧を有する(例えば、13Pa(0.1mmHg))。
【0027】
補助剤を、存在する場合には、ロイコ染料複合体と共に最初の液体指標組成物に添加する。次に、液体指標組成物を基材に塗布し、乾燥させて、改善された分析範囲を有する化学指標試験ストリップを提供する。換言すれば、補助剤の存在により、低い検体濃度での化学指標試験ストリップの感度が改善し、特定の有機検体についての検出可能性の下限を下げる。本発明の化学指標試験ストリップ中に補助剤を含むことは、低濃度での特定の検体検出が所望される場合に、最も典型的に所望されるが、これは有機検体についての検出限界が、補助剤の存在下ではこのような補助剤の不在である場合には達成可能であるものに較べ、はるかに下方まで届くからである。いくつかの実施形態では、補助剤を含むことにより、分析範囲は水中の検体の重量で約0.2重量%も下方に拡大される。
【0028】
補助剤化合物は、典型的には、ロイコ染料に色を与えない化合物から選択される。この部類からの代表的及び好適な化合物には、クエン酸塩、フタル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、アゼライン酸塩、及びメリト酸塩から選択されるものなどのカルボン酸の脂肪族エステル並びに芳香族エステルが挙げられる。いくつかの実施形態では、補助剤は、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、及びスルホンアミドから選択される。他の実施形態では、分子当たり大きな数(例えば、3を超える)の極性官能基を有する補助剤が好ましい。更に他の実施形態では、補助剤は、クエン酸塩及びスルホンアミドから選択される。
【0029】
界面活性剤
本発明の様々な実施形態では、本発明の化学指標試験ストリップは、ロイコ染料複合体を界面活性剤と組み合わせるコーティングを含む。これらの実施形態では、1種以上の界面活性剤が、基材に塗布される最初の液体指標組成物中に含まれる。いったん乾燥すると、得られるコーティングはロイコ染料複合体及び界面活性剤を含む。水性環境の中で基材の濡れを促進するために、及び、有機検体の化学指標試験ストリップ中への移送の補助として、並びにその上のロイコ染料複合体と組み合わせて、1種以上の界面活性剤を染料複合体と共に包含してもよい。好適な界面活性剤は、ロイコ染料と組み合わせても色を与えない化合物から選択することができる。
【0030】
以下に更に説明するように、界面活性剤はコーティング可能な液体指標組成物中に含まれてもよく、ロイコ染料複合体は基材上にコーティングされる。界面活性剤を含むことが特定の有機検体のために所望されることがある。例えば、水中の抗菌脂肪酸モノエステルの検出、モニタリング及び/又は定量化は、本発明の化学指標試験ストリップ中に界面活性剤が存在することにより、高められる。このような抗菌剤は、例えば、病原体による汚染を防止するための食物品目の抗菌処理に使用してもよい。商業的用途では、脂肪酸モノエステルは、例えば、約1.0〜50.0重量%のモノエステルを含む濃縮された組成物の形態で、ユーザーに提供してもよい。しかしながら、モノエステルの食物への適用に先立って、濃度を水で希釈して、約0.001〜5.0重量%及びいくつかの実施形態では約0.005〜1.0重量%のモノエステル濃度を有する希釈された、使用準備済みの脂肪酸モノエステル配合物を提供することができる。
【0031】
本発明の実施形態では、1種以上の界面活性剤が、基材上にコーティングされるロイコ染料複合体の液体指標組成物中に含まれてもよい。コーティング方法及び液体組成物の関連する配合は、本明細書の他の箇所に記載されている。界面活性剤を組み込む実施形態では、界面活性剤に加えて必ずしも補助剤を包含しなくてもよい。例えば、C〜C12脂肪酸エステル(例えば、食物の抗菌処理に使用される)などの特定の脂肪酸エステルの検出のために本発明による化学指標試験ストリップを使用することが、補助剤を包含しない場合でも、典型的には、本明細書で述べているエステル濃度内のそのまま使用できる配合でエステルを検出するように行うことができる。
【0032】
本発明は、部分的には、本明細書に記載されている化学指標試験ストリップを使用する、脂肪酸モノエステルの検出及び定量化のための方法を提供する。本発明の化学指標試験ストリップを使用して検出できる脂肪酸モノエステルには、多価アルコールの1種以上の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、これらの(エステル又はエーテルのいずれかの)アルコキシル化誘導体、及び上述のものの2種以上の組み合わせが挙げられる。このような組成物には、ヒドロキシ酸の脂肪族アルコールエステル、これらのアルコキシル化誘導体、又はこれらの組み合わせを包含する抗菌構成成分が挙げられる。有効量の抗菌構成成分(典型的には、抗菌脂質構成成分)は、(C〜C)ヒドロキシカルボン酸の(C〜C14)飽和脂肪族アルコールモノエステル、(C〜C)ヒドロキシカルボン酸の(C〜C22)単価又は多価不飽和脂肪族アルコールモノエステル、上述のもののいずれかのアルコキシル化誘導体、又はこれらの組み合わせを含み、アルコキシル化誘導体はヒドロキシカルボン酸1モル当たり5モル未満のアルコキシドを有する。
【0033】
好適な界面活性剤は、4つの主な群、すなわち、アニオン性、カチオン性、非イオン性、及び双極性イオン(両性)、のいずれかから選択することができる。本発明での使用に好適な代表的な界面活性剤には、本明細書の実施例に例示されているものが挙げられる。
【0034】
代表的なカチオン性界面活性剤としては、所望によりポリオキシアルキレン化された一級、二級又は三級脂肪族アミンの塩;ハロゲン化物(好ましくは塩化物若しくは臭化物)又はメトサルフェート若しくはエトサルフェートなどのアルキルサルフェートといった適合性のあるアニオン性対イオン並びに他のアニオン性対イオンを有するテトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム、又はアルキルピリジニウムのような四級アンモニウム塩;イミダゾリン誘導体;カチオン性のアミンオキシド(例えば、酸性pHで)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、及びアルキルピリジニウムハロゲン化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上のカチオン性界面活性剤を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、アルキル及びアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドを包含するものなどのアミンオキシド界面活性剤を使用してもよい。アミンオキシド界面活性剤の例には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシド及びセチルアミンオキシドである、商品名アモニックス(AMMONYX)LO、アモニックスLMDO、及びアモニックスCOとしてステパン社(Stepan Company)から市販されているものが挙げられる。
【0036】
他の実施形態では、サルコシン酸塩、グルタミン酸塩、硫酸アルキル、アルキレート硫酸ナトリウム又はカリウム、アルキレート硫酸アンモニウム、ラウレス−n−硫酸アンモニウム、ラウレス−n−硫酸塩、イセチオネート、アルキル及びアラルキルグリセリルエーテル硫酸塩、アルキル及びアラルキルスルホコハク酸塩(例えば、ジオクチルスルホサクシネート)、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、アルキルホスホン酸塩、及びアラルキルホスホン酸塩が挙げられるがこれらに限定されないアニオン性界面活性剤を使用してもよい。これらのアニオン性界面活性剤は、金属又は有機アンモニウム対イオンを有し得る。特定の実施形態では、本発明の組成物に有用なアニオン性界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0037】
好適なスルホン酸塩及び硫酸塩には、硫酸アルキル、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンエーテル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩、及び第二級硫酸アルキルなどが挙げられる。ラウリルエーテル硫酸塩などの市販のアルキルエーテルスルホン酸塩は、ステパン社(Stepan Company)から入手可能な商品名ポリステップ(POLYSTEP)B12及びポリステップB22で入手可能である。他の市販のアニオン性界面活性剤には、メチルタウリン酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社(Nikko Chemicals Co.)(日本、東京)から商品名ニッコール(NIKKOL)CMT30で入手可能);クラリアント社(Clariant Corp.)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))から入手可能な(C14〜C17)第二級アルカンスルホン酸ナトリウム(α−オレフィンスルホン酸塩)であるホスタプル(Hostapur)SASなどの第二級アルカンスルホン酸塩;商品名αステップ(ALPHASTEP)PC−48でステパン社(Stepan Company)から入手可能な、ナトリウムメチル−2−スルホ(C12〜16)エステル及び2−スルホ(C12〜C16)脂肪酸二ナトリウムなどのメチル−2−スルホアルキルエステル;両方ともステパン社から、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム(商品名ランサノール(LANTHANOL)LAL)及びラウレススルホコハク酸二ナトリウム(ステパンマイルド(STEPANMILD)SL3)として入手可能なアルキルスルホ酢酸塩及びアルキルスルホコハク酸塩;ステパン社から、商品名ステパノール(STEPANOL)AMで市販されているラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸アルキル;サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)からエアゾール(AEROSOL)として入手可能なジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩が挙げられる。
【0038】
好適なリン酸塩及びホスホン酸塩には、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、及びアラルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。このような界面活性剤には、クラリアント社(Clariant Corp.)から商品名ホスタファット(HOSTAPHAT)340KLとして市販されている、一般にトリラウレス−4−リン酸塩と呼ばれるモノ−、ジ−及びトリ−(アルキルテトラグリコールエーテル)−o−リン酸エステルの混合物、並びに、クローダ社(Croda Inc.)(ニュージャージー州パーシパニー(Parsippany))から商品名クローダホス(CRODAPHOS)SGとして入手可能なPPG−5セテス10リン酸塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
更に他の実施形態では、両性界面活性剤を使用してもよく、プロトン化されてもよい第三級アミン基を有する界面活性剤、並びに、双極性イオン界面活性剤を含有する第四級アミンが挙げられる。有用な両性界面活性剤には、両性カルボン酸アンモニウム、並びに両性スルホン酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。両性カルボン酸アンモニウム界面活性剤の例には、ココベタイン及びコカミドプロピルベタインのような特定のベタイン(マッキンタイアーグループ(McIntyre Group Ltd.)(イリノイ州ユニバーシティパーク(University Park)から商品名マッカム(MACKAM)CB−35及びマッカムLとして市販されている);ラウロアンホ酢酸ナトリウムのようなモノ酢酸塩;ラウロアンホ酢酸二ナトリウムのような二酢酸塩;ラウルアミノプロピオン酸のようなアミノ−及びアルキルアミノ−プロピン酸塩(マッキンタイアーグループから、それぞれ、商品名マッカム1L、マッカム2L及びマッカム151Lとして市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、「スルタイン」又は「スルホベタイン」と呼ばれる両性スルホン酸アンモニウムの例には、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(マッキンタイアーグループからマッカム50−SBとして市販されている)が挙げられる。スルホアンフォテリクス(sulfoamphoterics)は、スルホネート基が非常に低いpH値でもイオン化されたままであるため、カルボキシレートアンフォテリクスよりも好ましい場合がある。
【0040】
更に他の実施形態では、非イオン性界面活性剤を使用してもよく、これには、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、スクロースエステル、脂肪酸と多価アルコールとのエステル、脂肪酸アルカノールアミド、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族の酸、エトキシ化脂肪族アルコール(例えば、両方ともシグマ社(Sigrna)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)から、商標名トリトン(TRITON)X−100で入手可能なオクチルフェノキシポリエトキシエタノール及び商標名ノニデット(NONIDET)P−40で入手可能なノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、エトキシ化及び/又はプロポキシル化脂肪族アルコール(例えば、ICIから商標名ブリッジ(BRIJ)で入手可能)、エトキシ化グリセリド、エトキシ化/プロポキシル化ブロックコポリマー、例えば、BASFから入手可能なプルロニック(PLURONIC)及びテトロニック(TETRONIC)界面活性剤、エトキシ化環状エーテル付加物、エトキシ化アミド及びイミダゾリン付加物、エトキシ化アミン付加物、エトキシ化メルカプタン付加物、アルキルフェノールによるエトキシ化濃縮物、エトキシ化窒素系疎水性物質、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ポリマー性シリコーン、フッ素化界面活性剤(例えば、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Co.)(ミネソタ州セントポール(St. Paul))から商標名フルオロラッド(FLUORAD)−FS300で、及びデュポン・ド・ヌムール社(Dupont de Nemours Co.)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))から商標名ゾニル(ZONYL)で、入手可能なもの)、重合性(反応性)界面活性剤(例えば、PPGインダストリーズ社(PPG Industries, Inc.)(ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh))から商標名メゾン(MAZON)で入手可能であるサム(SAM)211(アルキレンポリアルコキシサルフェート)界面活性剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明の組成物に有用な非イオン性界面活性剤は、BASFからのプルロニック(PLURONIC)などのポロキサマー、ソルビタン脂肪酸エステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
前述の界面活性剤を別個に又は前述のものの2種以上の組み合わせで使用することができることが理解されよう。
【0042】
基材
上述したように、前述の染料複合体を基材上にコーティングして、本発明による化学指標試験ストリップを提供する。
【0043】
染料複合体を塗布する基材又は基材材料として様々な材料のいずれのものを使用してもよい。いくつかの実施形態では、基材材料はセルロース系及び非セルロース系材料を包含することができ、例えば、紙、天然又は合成繊維;綿、レーヨン、麻、ジュート、竹繊維、酢酸セルロース、並びに、カルボキシメチル化溶媒−紡糸セルロース繊維など糸及び織糸が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、基材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸塩、ポリアクリル、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンポリエチレン、エチレンプロピレンコポリマー、及びエチレン−ブチレンコポリマー)、ポリウレタン(ポリウレタンフォームなど)、ビニル(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリスチレン、繊維ガラス、セラミック繊維、ガラス、二酸化ケイ素、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデン、二フッ化物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、スチレン−エチレンブチレン−スチレンエラストマー、スチレン−ブチレン−スチレンエラストマー、スチレン−イソプレン−スチレンエラストマー、及び上述のものの2種以上の組み合わせから選択される材料を含んでもよい。
【0045】
特定の実施形態では、材料の組み合わせを基材内に包含させてもよく、前述の材料のいずれかの2種以上の組み合わせは、本発明の化学指標試験ストリップでの使用に許容可能な範囲内である。
【0046】
様々な実施形態で、基材は多孔質又は無孔であることができ、例えば、染料複合体は基材の表面上にコーティングすることができるか又は基材の中に浸透することができる。本発明の実施形態においては、基材は可撓性であってよく、天然又は合成化合物から作られた織布又は不織布材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材はポリマーウェブ(不織布又は織布)、ポリマーフィルム、ヒドロコロイド、フォーム材料、金属ホイル、紙、及び/又は上述のものの2種以上の組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、基材は、例えば、吸収性綿ガーゼ又は綿棒であり得る。更に他の実施形態では、基材はガラスであり、例えば、ガラススライドなどである。
【0047】
本発明の実施形態における基材としての使用に好適な多孔質材料には、紙、ニット、織布(例えば、チーズクロス及びガーゼ)、不織布(スパンボンドされている不織布、及びBMF(ブラウンマイクロファイバー(blown micro fibers))など)、押出多孔質シート、並びに穿孔シートが挙げられる。
【0048】
化学指標試験ストリップの調製
本発明の化学指標試験ストリップの調製では、液体指標組成物を好適な基材上に塗布して乾燥させる。本発明の実施形態では、化学指標試験ストリップの調製は、基材に塗布することができるコーティング可能な液体指標組成物を調製することを包含する。一般に、少なくとも1種のロイコ染料及び少なくとも1種の展開剤を溶媒に添加することにより、液体指標組成物を調製する。指標組成物のための追加的な構成成分には、前述した補助剤及び/又は界面活性剤が挙げられる。
【0049】
コーティング可能な液体指標組成物の構成成分は任意の順番で溶媒に添加し、混合して溶媒中に構成成分を確実に溶解させることが可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、液体指標組成物は、例えばMIBK又はメチルイソブチルケトンなどの好適な溶媒中に、ロイコ染料及び任意で補助剤を含む。個々の構成成分の濃度は本発明の範囲内で変動することができる。いくつかの実施形態では、ロイコ染料の濃度は、約0.02重量%〜約2.0重量%の範囲内である。他の実施形態では、ロイコ染料は、約0.05重量%〜約1.0重量%の範囲内である。更に他の実施形態では、ロイコ染料の濃度は、約0.1重量%〜約0.3重量%の範囲内である。
【0051】
上述したように、液体指標組成物は、展開剤を含む。いくつかの実施形態では、展開剤の濃度は、約0.2重量%〜約20重量%の範囲内である。他の実施形態では、展開剤は、約0.5重量%〜約10重量%の範囲内である。更に他の実施形態では、展開剤の濃度は、約1重量%〜約3重量%の範囲内である。
【0052】
前述の実施形態では、ロイコ染料と展開剤との間の重量比は、約10/1〜約1/100の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、ロイコ染料と展開剤との間の重量比は、約5/1〜約1/20の範囲であることができる。更に他の実施形態では、ロイコ染料と展開剤との間の重量比は、約1/1〜約1/10の範囲であることができる。
【0053】
液体指標組成物が補助剤を含む実施形態では、補助剤の濃度は、約0.2重量%〜約20重量%の範囲内である。他の実施形態では、補助剤は、約0.5重量%〜約10重量%の範囲内である。更に他の実施形態では、補助剤の濃度は、約1重量%〜約3重量%の範囲内である。これらの実施形態では、ロイコ染料と補助剤との間の重量比は、約10/1〜約1/100の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、ロイコ染料と補助剤との間の重量比は、約5/1〜約1/20の範囲であることができる。更に他の実施形態では、ロイコ染料と補助剤との間の重量比は、約1/1〜約1/10の範囲であることができる。
【0054】
液体指標組成物が界面活性剤を含む実施形態では、界面活性剤の濃度は、約0.04重量%〜約4重量%の範囲内である。他の実施形態では、界面活性剤は、約0.08重量%〜約2重量%の範囲内である。更に他の実施形態では、界面活性剤の濃度は、約0.2重量%〜約0.6重量%の範囲内である。これらの実施形態では、ロイコ染料と界面活性剤との間の重量比は、約5/1〜約1/5の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、ロイコ染料と界面活性剤との間の重量比は、約3/1〜約1/3の範囲であることができる。更に他の実施形態では、ロイコ染料と界面活性剤との間の重量比は、約2/1〜約1/2の範囲であることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、化学指標の調製方法は、基材の選択を包含する。いくつかの実施形態では、材料の利用可能な表面積及び吸収特性が、好適な基材を選択する際の要素であることができる。例えば、多孔質材料は、指標組成物をコーティングするより大きい表面積を有する基材を提供することができる。基材の表面積及び吸収特性はまた、どれだけ容易に有機検体を、乾燥したロイコ染料複合体との溶媒和に誘導することができるかについての要因でもある。いくつかの実施形態では、非吸収性材料が吸収性材料よりも好ましいことがあるが、これは、乾燥したロイコ染料が非吸収性基材の最も外側の表面上に、より容易に保持されるからである。このような構成では、本発明の化学指標試験ストリップが特定の水性環境をモニタリングするのに使用される時、有機検体との水素結合を形成するために、乾燥した染料複合体がより容易に利用可能である。このような実施形態では、少なくともある程度の多孔性を有する非吸収性材料は、ロイコ染料複合体でコーティングされるために利用可能である基材の総表面積を増加するのに、基材として有利に使用することができる。
【0056】
液体指標組成物を基材に塗布する方法は、基材の少なくとも1つの表面を濡らすのに、十分な量又は容積の液体指標組成物の付着を必要とする。液体指標組成物の好適な量又は容積は、乾燥すると染料に覆われた表面を提供する任意の量又は容積を包含する。典型的には、染料で覆われた表面は、水性系又はそれに類するものの代表試料採取を可能とするのに十分な領域を有する。更に、コーティングされた基材の表面積は、望ましくは、その上での変色がデンシトメーター又はそれに類するものなどの電子検出器によって容易に検出可能であるように、十分に大きな領域である。いくつかの実施形態では、基材の外側表面と密接に組み合わせられている染料複合体を最終物品に提供するために、指標組成物の軽い又は薄いコーティングが好ましいことがある。基材に塗布される液体指標組成物の実際の湿式コーティング重量は、染料指標、並びに、最終物品に含まれるものとして選択されている他の構成成分、基材として選択された材料、選択された基材のコーティング可能な表面積など、に依存して変動することができる。基材上での指標組成物についての適切なコーティング重量の決定は、当業者の技術の範囲内であり、過度の実験を必要としない。
【0057】
いったん乾燥すると、液体指標組成物は基材上に着色コーティングを形成し、得られる物品は本発明による化学指標試験ストリップとして使用することができる。乾燥は任意の好適な手段により達成することができる。いくつかの実施形態では、乾燥は、濡れた基材をオーブン又はそれに類するものの中に置き、十分な時間にわたって高温にして溶媒を飛ばすことにより達成され、本明細書に記載されているような使用に好適な乾燥した物品を提供する。いくつかの実施形態では、濡れた基材は、単純に溶媒を蒸発させることにより周囲温度又は室温で乾燥させる。他の実施形態では、濡れた基材をオーブンに短時間(例えば、数分間)にわたって高温(例えば、150°F又は66℃)で置いてもよい。いったん乾燥すると、得られる物品は化学指標試験ストリップとしての使用に利用できる。
【0058】
当業者であれば、本発明の化学指標試験ストリップの製造方法が本明細書の様々な実施例に更に例示されていることを理解するであろう。
【0059】
化学指標試験ストリップの使用
本発明の化学指標試験ストリップは、溶媒(例えば、水)中の有機検体の存在を検出するための非特定的分析器具を提供する。検体が既知であるプロセス又は系では、本発明の化学指標試験ストリップは、定性的及び/又は定量的に有機検体をモニタリングするための便利で迅速な手段を提供する。本発明の化学指標試験ストリップは、水性配合物、作用流体、又は槽などの様々な有機検体のいずれかのものの量を検出及び/又は測定するための様々なプロセスのいずれかをモニタリングするために使用してもよい。
【0060】
化学指標試験ストリップを、検体の存在又は不在についての定性的なモニタリングのみに使用する実施形態では、作用流体又は検体が存在し得る他の液体の中に化学指標試験ストリップを単純に浸漬する。指標試験ストリップを液体試料中に浸漬してもよく、ストリップが適切に濡れるのに十分な時間(例えば、10〜20秒間)にわたって穏やかに撹拌する。液体から試験ストリップを取り出す時、紙タオル又はそれに類するもので穏やかな圧を加えて拭き取り、過剰な液体を取り除く。いくつかの実施形態では、検体の存在は、試験ストリップに生じる変色を観察することにより視覚的に検出することができ、典型的には基材上の染料複合体の色が軽減していくのを観察することによる。必要であれば、染料複合体の、有機検体への浸漬及び曝露に先立つ最初、すなわち開始時の色を有する「対照」ストリップと試験ストリップとを比較してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、有機検体の存在の定性的測定は、変色が生じたかどうかを決定する試験環境での、その浸漬の前後の試験ストリップの色を電子的に比較することによって、より容易に明らかになる。例えば、デンシトメーターは、曝露されていない試験ストリップに対する曝露された試験ストリップの光学密度を測定することによって、変色の決定に有用であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明の化学指標試験ストリップは、有機検体の存在を決定するために定性的に使用され、並びに、有機化合物の濃度を測定するために定量的に使用される。定量的な結果を提供する実施形態では、光学密度と検体濃度との間の標準関係を提供するために、標準化曲線を提供する。このような標準化曲線は、モニターされる流体、水槽、又は組成物の予期された化学的構成に類似する標準溶液の準備されたセットに基づいてもよい。標準検体溶液は典型的には、モニターされるプロセスに関して合理的に予測される検体濃度の範囲をカバーするように作られる。前述の標準を使用すると、光学密度対検体濃度の、標準化プロットを定めることができる。続いて、モニタリングプロセスで得た試料についての光学密度読み取り値を標準化プロットと比較して、化学指標試験ストリップについての光学密度の測定に基づいて、試料中の検体の濃度を決定する。
【0063】
有機検体の定量的測定では、標準曲線を決定するために使用される標準組成物は、好ましくは予期される試料の組成物と同様であるか又はほぼ化学的に同一である。このような定量的測定のための化学指標試験ストリップの使用では、検体作用流体又はそれに類するものへいずれかの試験試料を曝露する時間量は試料ごとにほぼ等しくすべきであり、試料と標準溶液も等しくすべきである。
【0064】
本発明の実施形態では、本発明の化学指標試験ストリップは、約0重量%〜約50重量%の範囲の検体濃度で、組成物、作用流体、又はこれらに類するものの中の有機検体を検出することができる。いくつかの実施形態では、特定の有機検体についての検出限度は、約0重量%〜約25重量%の範囲である。
【実施例】
【0065】
本発明の化学指標試験ストリップの使用の更なる態様は、本明細書の様々な非限定的な実施例を考慮すれば、当業者にとって明白であろう。
【0066】
実施例1(ほぼ水溶性のキノイド染料複合体を用いる指標ストリップの作製)
チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州)から入手した20ミリグラムのペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RNを、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手した5グラムのメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。別個に、200ミリグラムのポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)を展開剤として、及び20ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム界面活性剤(両方ともアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)を5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク指標ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。化学指標試験ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0067】
比較例1(水溶性展開剤ビスフェノール−Aを用いる染料複合体からの指標ストリップの作製)
チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州)から入手した20ミリグラムのペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RNを、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手した5グラムのメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。別個に、200ミリグラムのビスフェノール−A及び20ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム界面活性剤(両方ともアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)を5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク化学指標試験ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。指標ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0068】
実施例2(実施例1の指標の使用)
n−プロパノール(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)の水溶液を0%w/w〜14%w/wの濃度の範囲で調製した。実施例1に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで緑色フィルター設定を使用して光学密度を直ちに測定した。プロパノール濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。
【0069】
結果は図1にグラフとして表されており、これは指標の光学密度が約6%の濃度よりも上で指標の水性濃度に線形に関連することを示す。
【0070】
実施例3(低蒸気圧及び高蒸気圧溶媒への実施例1の指標の使用)
アセトン及び炭酸プロピレン(両方ともアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)の水溶液を0%w/w〜14%w/wの濃度の範囲で調製した。実施例1に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで緑色フィルター設定を使用して光学密度を直ちに測定した。溶媒濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。
【0071】
結果は図2にグラフとして表されており、これはたとえ炭酸プロピレンがアセトン(20℃で24.7kPa(185mmHg))よりもはるかに低い蒸気圧(20℃で4.0Pa(0.03mmHg))を有するとしても、炭酸プロピレンは単位濃度変化当たりの光学濃度においてより大きな変化を呈することを示す。この光学密度対濃度の線形領域は、アセトンに関しての下限が6%であるのに較べて、4%まで下限を下げる。
【0072】
実施例4(異なるラクトン染料を用いる指標の形成及び使用)
チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州)から入手した20ミリグラムのペルガスクリプト・レッド(Pergascript Red)I−6Bを2.5グラムのMIBKに溶解させた。別個に、200ミリグラムのポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)及び20ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを2.5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク指標ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い赤に変わった。使用に先立って、指標ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0073】
n−プロパノールの水溶液を0%w/w〜16%w/wの濃度の範囲で調製した。上記の型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで光学密度を直ちに測定した。溶媒濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は下記の図3にグラフとして表されている。青色染料を含む化学指標試験ストリップ(図1参照)と同様に、赤色染料を用いて作製した化学指標試験ストリップも濃度についての光学密度変化の線形領域を示した。しかしながら、青色指標は、赤色指標(10%)に較べて、より下方の検出限界(6%)を示した。
【0074】
実施例5(疎水性展開剤として4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノールを用いる指標の作製及び使用)
20ミリグラムのロイコ染料ペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RN(チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州))を5グラムのMIBKに溶解させた。別個に、200ミリグラムの展開剤4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノール(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)及び20ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク指標ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。使用に先立って、化学指標試験ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0075】
n−プロパノールの水溶液を0%w/w〜16%w/wの濃度の範囲で調製した。上記の型の化学指標試験ストリップをn−プロパノール溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで光学密度を直ちに測定した。溶媒濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図4にグラフとして表されており、これは濃度についての光学密度変化の線形領域を示す。
【0076】
実施例6(実施例1、比較例1、及び実施例5からの指標の水安定性の比較)
実施例1、比較例1、及び実施例5に記載されているように作製された化学指標試験ストリップを15秒〜20分の範囲の時間の異なる長さにわたって12%n−プロパノールの水溶液中に浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで光学密度を直ちに測定した。結果は図5にグラフとして表されており、これはほぼ非水溶性の展開剤を用いて調製された化学指標試験ストリップが非常に良好な溶解安定度を示す一方で、ビスフェノールA、親水性展開剤を使用して作製された化学指標試験ストリップ中のロイコ染料複合体が水中で素早く分解することを示している。更に、展開剤としてビスフェノールAを使用する化学指標試験ストリップは浸漬すると青色からほぼ無色になる一方で、他の化学指標試験ストリップはその色を保持した。
【0077】
実施例7
n−プロパノール及びプロピレングリコール(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)の水溶液を0%w/w〜16%w/wの濃度の範囲で調製した。実施例1に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで光学密度を直ちに測定した。プロパノール溶液についての溶媒濃度の増加と共に、色強度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。採用されたプロピレングリコールの最高濃度においてさえも光学密度に変化は観察されなかった。これらの2つの密接に関連しているアルコールの反応性の違いは、n−プロパノールがポリ(4−ビニルフェノール)を溶解できる一方でプロピレングリコールはポリ(4−ビニルフェノール)を溶解できないことに起因する。結果は図6にグラフとして表されており、これは、本発明による化学指標試験ストリップが、採用された展開剤を溶解する能力における違いに基づいて、2つの密接に関連した有機溶媒のうちの1つに変色を選択的に示すことができることを教示している。
【0078】
実施例8(ほぼ非水溶性のロイコ染料複合体と非水溶性補助剤とを用いる指標ストリップの作製)
チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州)から入手した20ミリグラムのロイコ染料ペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RNを、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手した2.5グラムのメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。別個に、200ミリグラムの展開剤ポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)及び200ミリグラムの補助剤クエン酸アセチルトリブチル(モアフレックス社(ノースカロライナ州)からのシトロフレックス(Citroflex)A−4)を5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク化学指標試験ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。化学指標試験ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0079】
比較例2
この例は、ほぼ非水溶性のキノイド染料複合体と非水溶性の無極性非プロトン性化合物とを用いる指標ストリップの作製を例証する。20ミリグラムのペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RNを2.5グラムのメチルイソブチルケトン(MIBK)に溶解させた。別個に、200ミリグラムのポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)及び400ミリグラムの鉱油(カンバーランド・スワン(Cumberland Swan)(テネシー州)から入手)を2.5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク指標ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。指標ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0080】
実施例9
この例は、実施例8の化学指標試験ストリップの使用を例証する。n−プロパノール(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)の水溶液を0%w/w〜14%w/wの濃度の範囲で調製した。実施例8に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで緑色フィルター設定を使用して光学密度を直ちに測定した。プロパノール濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図7にグラフとして表されており、これは検体濃度領域全体における、濃度への光学密度の線形依存を示す。
【0081】
上記の型の化学指標試験ストリップを調製したが、補助剤は用いなかった。ストリップをn−プロパノール溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで緑色フィルター設定を使用して光学密度を直ちに測定した。特定の値を超えるプロパノール濃度増加と共に、色強度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図8にグラフとして表されており、曲線の線形領域は8%n−プロパノールまで下方に拡大している。
【0082】
実施例10(異なる疎水極性非プロトン性化学物質を用いる化学指標試験ストリップの作製及び使用)
20ミリグラムのロイコ染料ペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RNを2.5グラムのMIBKに溶解させた。別個に、200ミリグラムの展開剤ポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)及び400ミリグラムの補助剤N−ブチルベンゼンスルホンアミド(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals))を2.5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。支持された両面PSAを使用して、0.8cm(0.3”)×0.8cm(0.3”)のワットマン(Whatman)114濾紙の見本(ワットマン・インターナショナル(Whatman International)(英国)から入手)を10.2cm(4”)×0.8cm(0.3”)ポリエステルストリップ(127マイクロメートル(5mils)厚)の一端に熱接合することにより、ブランク化学指標試験ストリップを調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、青に変わった。指標ストリップを1分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0083】
n−プロパノールの水溶液を0%w/w〜16%w/wの濃度の範囲で調製した。上記の型の化学指標試験ストリップを調製して、これらの溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで光学密度を直ちに測定した。溶媒濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図9に示される。
【0084】
実施例11(炭酸プロピレン検体を用いる実施例8の指標の使用)
炭酸プロピレン(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals))の水溶液を0%w/w〜12%w/wの濃度の範囲で調製した。実施例8に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、炭酸プロピレン溶液中に各15秒間にわたって穏やかに撹拌しながら浸漬した。次に各ストリップを溶液から取り出し、吸水性紙タオルで穏やかな圧を加えて素早く拭き取り、マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで緑色フィルター設定を使用して光学密度を直ちに測定した。炭酸プロピレン濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図10にグラフとして表されており、濃度への光学密度の線形依存は0%水中検体付近まで下方に拡大している。
【0085】
実施例12
20ミリグラムのペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RN(チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州))を5グラム(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals))のMIBKに溶解させた。別個に、200ミリグラムの4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノール及び40ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals))を5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、単一の透明で均質な溶液を得た。ブランク化学指標試験ストリップをVWRサイエンティフィック(VWR Scientific)(ペンシルバニア州)製の吸取紙#703から調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。化学指標試験ストリップを10分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0086】
実施例13(脂肪酸モノエステルの検出)
モノカプリル酸プロピレングリコール(アビテック(Abitec)、純度99%、FCC等級)及びジオクチルスルホサクシネート(サイテック(Cytec)、FCC等級)の重量比98:2の混合物の水性酸性溶液を0%w/w〜1%w/wの濃度の範囲で調製し、検体溶液として使用した。溶液は乳酸については0.25%、リンゴ酸については0.25%であった(ブレンタグ(Brenntag)、FCC等級)。
【0087】
実施例12に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、指標領域上に40マイクロリットルの検体溶液で染みをつけた。次に、各ストリップを室温で10分間にわたって展開させ、66℃(150°F)で5分間にわたって乾燥させた。マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで相対濃度条件下において赤色フィルター設定を使用して化学指標試験ストリップの光学密度を測定した。エステル濃度の増加と共に、色密度の段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図11にグラフとして表されており、化学指標試験ストリップの光学密度はモノエステルの水性濃度に線形依存し、単位濃度変化当たりの反応が大きいことを示している。
【0088】
実施例14
20ミリグラムのロイコ染料ペルガスクリプト・ブルー(Pergascript Blue)I−2RN(チバ−ガイギー・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba-Geigy Specialty Chemicals)(ノースカロライナ州))を5グラムのMIBK(アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals))に溶解させた。別個に、200ミリグラムの展開剤ポリ(4−ビニルフェノール)(分子量=1.3E−20g(8000Da)及び40ミリグラムのジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(両方ともアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手)を5グラムのMIBKに溶解させた。2つの溶液を一緒に混合して、透明で均質な溶液を得た。ブランク化学指標試験ストリップをVWRサイエンティフィック(VWR Scientific)(ペンシルバニア州)製の吸取紙#703から調製した。5マイクロリットルの溶液で紙に染みをつけた。最初に無色であった点が、MIBKが蒸発すると、深い青に変わった。指標ストリップを10分間にわたって66℃(150°F)で乾燥させ、冷却した。
【0089】
実施例15
モノカプリル酸プロピレングリコール(アビテック(Abitec)、純度99%、FCC等級)及びジオクチルスルホサクシネート(サイテック(Cytec)、FCC等級)の重量比98:2の混合物の水性酸性溶液を0%w/w〜1%w/wの濃度の範囲で調製した。溶液は乳酸については0.25%、リンゴ酸については0.25%であった(ブレンタグ(Brenntag)、FCC等級)。実施例13に記載した型の化学指標試験ストリップを調製して、指標領域上に40マイクロリットルの試験溶液で染みをつけた。次に、各ストリップを室温で10分間にわたって展開させ、66℃(150°F)で5分間にわたって乾燥させた。マクベス(MacBeth)RD917デンシトメーターで相対濃度条件下において赤色フィルター設定を使用してストリップの光学密度を測定した。エステル濃度の増加と共に、色密度の非常に段階的な減少を視覚的に識別することができた。結果は図12にグラフとして表されている。
【0090】
本発明の特徴が、本明細書で述べている様々な実施形態に関連して説明されたが、その変更又は修正が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われてもよいことを、当業者は理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上にロイコ染料複合体を含むコーティングと、
を含み、前記コーティングが水に不溶性であると共に有機検体と反応性であり、前記コーティングがロイコ染料及び展開剤の溶液から得られる、化学指標試験ストリップ。
【請求項2】
前記ロイコ染料が、アシルオーラミン、アシルロイコフェノチアジン、α−不飽和アリールケトン、アザフタリド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコオキサジン、ベンゾイルロイコチアジン、β−不飽和アリールケトン、塩基性モノアゾ染料、ビスインドリルフタリド、10−ベンゾイル−N,N,N,N−テトラエチル−3,7−ジアミノ−10H−フェノキサジン、カルバゾリルブルー、発色性アザフタリド化合物、クリスタルバイオレットラクトン、ジアリールフタリド、ジフェニルメタン、ジチオ−オキサミド、ジ[ビス−(インドイル)エチレニル(ethyleneyl)]テトラホロフタリド(tetraholophthalide)、フルオラン、フルオラン誘導体(例えば、3−ジアルキルアミノ−7−ジアルキルアミルフルオラン)、グリーンラクトン、3−(インドール−3−イル)−3−(4−置換アミノフェニル)フタリド、インドリルビス−(インドイル)エチレン、インドリルレッド、ロイコオーラミン、ロイコベンゾイルメチレンブルー、ロイコマラカイトグリーン、3−メチル−2,2−スピロビ(ベンゾ−[f]−クロメン)、フェノキサジン、フタリドロイコ染料、フタラン(phthlans)、ポリスチロール(polystyrl)カルビノール、8−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、ローダミンβラクタム、スピロピラン、置換4,7−ジアザフタリド、ミヒラーズ・ヒドロールのパラ−トルエンスルホネート、トリアリールメタン、トリフェニルメタン(ゲンチアンバイオレット及びマラカイトグリーン)、スルチン、3,3−ジアリール−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1−オキシド、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項3】
前記展開剤がプロトン供与体を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項4】
前記展開剤が、ビスフェノールA、p−ヒドロキシ安息香酸オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、1,2,3−トリアゾール、4−ヒドロキシクマリン誘導体、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される弱酸を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項5】
前記展開剤が1種以上のルイス酸を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項6】
前記ルイス酸が、アタパルジャイト、酸性粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、酸活性化ベントナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ハロイサイト(hoalloysite)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化ジルコニウム水和物、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、活性化カオリン及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される活性化粘土物質を含む、請求項5に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項7】
前記展開剤が、環置換フェノール、レゾルシノール、サリチル酸(例えば、3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)サリチル酸(salicylic);3,5−ビス((γ−メチルベンジル)サリチル酸)、又はサリチル酸エステル、及びこれらの金属塩からなる群から選択される有機化合物を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項8】
前記展開剤が、フェノール系ポリマー、アルキルフェノールアセチレン樹脂、マレイン酸/コロホニウム樹脂、無水マレイン酸と、スチレン、エチレン、又はビニルメチルエーテルとの部分的に若しくは完全に加水分解されたポリマー、カルボキシメチレン、及び上述のものの2種以上の混合物からなる群から選択されるポリマー材料を含む1種以上の酸性有機化合物を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項9】
前記展開剤が、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、メチレン−ビス(p−フェニルフェノール)、4−ヒドロキシジフェニルエーテル、α−ナフトール、β−ナフトール(napthol)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−シクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、チオシアン酸亜鉛のピリジン錯体、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン(phoroglucine)、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選択されるフェノール樹脂又はフェノール系化合物を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項10】
前記展開剤がポリ(4−ビニルフェノール)である、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項11】
前記展開剤が4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジフェノールである、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項12】
前記コーティングが更に補助剤を含む、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項13】
前記補助剤が、非水溶性、極性、疎水性、非プロトン性物質であり、検体検出の下限をそのような補助剤が不在の場合に達成可能な下限よりも下げる、請求項12に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項14】
前記補助剤がカルボン酸の脂肪族エステル又は芳香族エステルを少なくとも1種含み、前記エステルがクエン酸塩、フタル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、アゼライン酸塩、メリト酸塩、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項15】
前記補助剤が、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、スルホンアミド、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項16】
前記補助剤が、クエン酸塩及びスルホンアミド並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項17】
前記コーティングが、界面活性剤を更に含み、ロイコ染料、展開剤及び界面活性剤の溶液から得られる、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項18】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項19】
前記有機検体が脂肪酸モノエステルである、請求項1に記載の化学指標試験ストリップ。
【請求項20】
(a)化学指標試験ストリップが
基材、及び
前記基材上にロイコ染料複合体を含むコーティング、を含み、前記コーティングが水に不溶性であると共に有機検体と反応性であり、ロイコ染料及び展開剤の溶液から前記コーティングが得られ、溶液中に有機検体を含む液体試料に化学指標試験ストリップを曝露する工程と、
(b)前記曝露工程に続く前記化学指標試験ストリップ上の変色を測定する工程と、
(c)前記変色と前記試料中の前記検体の濃度を相関付ける工程と、
を含む、化学指標試験ストリップを使用する方法。
【請求項21】
前記検体の濃度を報告することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化学指標試験ストリップ上の変色と試料中の前記検体の濃度との間の標準関係を定めることを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ロイコ染料が、アシルオーラミン、アシルロイコフェノチアジン、α−不飽和アリールケトン、アザフタリド、ベンゾイルロイコメチレンブルー、ベンゾイルロイコオキサジン、ベンゾイルロイコチアジン、β−不飽和アリールケトン、塩基性モノアゾ染料、ビスインドリルフタリド、10−ベンゾイル−N,N,N,N−テトラエチル−3,7−ジアミノ−10H−フェノキサジン、カルバゾリルブルー、発色性アザフタリド化合物、クリスタルバイオレットラクトン、ジアリールフタリド、ジフェニルメタン、ジチオ−オキサミド、ジ[ビス−(インドイル)エチレニル(ethyleneyl)]テトラホロフタリド(tetraholophthalide)、フルオラン、フルオラン誘導体(例えば、3−ジアルキルアミノ−7−ジアルキルアミルフルオラン)、グリーンラクトン、3−(インドール−3−イル)−3−(4−置換アミノフェニル)フタリド、インドリルビス−(インドイル)エチレン、インドリルレッド、ロイコオーラミン、ロイコベンゾイルメチレンブルー、ロイコマラカイトグリーン、3−メチル−2,2−スピロビ(ベンゾ−[f]−クロメン)、フェノキサジン、フタリドロイコ染料、フタラン(phthlans)、ポリスチロール(polystyrl)カルビノール、8−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、ローダミンβラクタム、スピロピラン、置換4,7−ジアザフタリド、ミヒラーズ・ヒドロールのパラ−トルエンスルホネート、トリアリールメタン、トリフェニルメタン(ゲンチアンバイオレット及びマラカイトグリーン)、スルチン、3,3−ジアリール−3H−2,1−ベンゾオキサチオール1−オキシド、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記展開剤がプロトン供与体を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記展開剤が、ビスフェノールA、p−ヒドロキシ安息香酸オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、1,2,3−トリアゾール、4−ヒドロキシクマリン誘導体、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される弱酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記展開剤が1種以上のルイス酸を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記ルイス酸が、アタパルジャイト、酸性粘土、ベントナイト、モンモリロナイト、酸活性化ベントナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ハロイサイト(hoalloysite)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化ジルコニウム水和物、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、活性化カオリン及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される活性化粘土物質を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記展開剤が、環置換フェノール、レゾルシノール、サリチル酸(例えば、3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)サリチル酸(salicylic);3,5−ビス((γ−メチルベンジル)サリチル酸)、又はサリチル酸エステル、及びこれらの金属塩からなる群から選択される有機化合物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記展開剤が、フェノール系ポリマー、アルキルフェノールアセチレン樹脂、マレイン酸/コロホニウム樹脂、無水マレイン酸と、スチレン、エチレン、又はビニルメチルエーテルとの部分的に若しくは完全に加水分解されたポリマー、カルボキシメチレン、及び上述のものの2種以上の混合物からなる群から選択されるポリマー材料を含む1種以上の酸性有機化合物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記展開剤が、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、メチレン−ビス(p−フェニルフェノール)、4−ヒドロキシジフェニルエーテル、α−ナフトール、β−ナフトール(napthol)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−シクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、チオシアン酸亜鉛のピリジン錯体、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン(phoroglucine)、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選択されるフェノール樹脂又はフェノール系化合物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記コーティングが補助剤を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記補助剤が、非水溶性、極性、疎水性、非プロトン性物質であり、検体検出の下限をそのような補助剤が不在の場合に達成可能な下限よりも下げる、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記補助剤がカルボン酸の脂肪族エステル又は芳香族エステルを少なくとも1種含み、前記エステルがクエン酸塩、フタル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、アゼライン酸塩、メリト酸塩、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記補助剤が、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、スルホンアミド、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記補助剤が、クエン酸塩及びスルホンアミド並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
前記有機検体が脂肪酸モノエステルである、請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記コーティングが、前記基材上に界面活性剤を更に含み、ロイコ染料、展開剤及び界面活性剤の溶液から得られる、請求項20に記載の方法。
【請求項38】
界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、及び上述のものの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2010−513935(P2010−513935A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543103(P2009−543103)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/087583
【国際公開番号】WO2008/076888
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】