説明

化学方法

【課題】[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の化学製造法の提供。
【解決手段】下式で表される化合物の製造法であって、


(式中、X1はO、NR1又はSから選択され、そして、X2はCH又はNから選択され、ここで、R1は窒素保護基である。)例えば、2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールの(i)メチル−又は場合により置換アリール−リチウム、次いで、(ii)n−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−又はn−ヘキシル−リチウム、次いで、(iii)-ボレートエステルとの逐次反応を含む、前記製造法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は中間体を製造するための改良した化学方法に関する。これらの中間体のあるものは、例えば、ヒトのような温血動物の癌疾患、疼痛疾患や心臓血管疾患の治療に有用である化合物、特に、エンドセリンレセプターアンタゴニスト活性を有する化合物の製造に有用である。
【0002】
特に、本発明は国際特許出願WO96/40681号の実施例36として開示されている化合物であるN-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造に使用される[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の化学製造法に関する。この前者の化合物はエンドセリンレセプターアンタゴニスト活性を有し、したがって、このようなアンタゴニスト活性が所望されるときに有用である。例えば、高血圧症、肺高血圧症、心臓若しくは脳循環疾患及び腎臓疾患を含む(これら限定されない)疾病や病状の治療において、薬理学的、診断及び関連研究の研究ツールとして有用である。更に、当該化合物は、ヒトのような温血動物における癌及び疼痛の治療に有用でもある。
【0003】
N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドを製造する経路は国際特許出願WO96/40681号及びWO98/40332号に開示されている。この経路はN-(イソブトキシカルボニル)-2-(4-メトキシカルボニルフェニル)-N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-3-スルホンアミドの中間体としての使用に関連し、合成の最終においてフェニル基の4位に1,3,4-オキサジアゾールの形成が起こる。この既存の経路は、比較的少量のN-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの合成に満足がいくものであるが、相当数の中間体の単離に関連する、収束合成ではなくてむしろ直線的合成である。当然、この合成の全収率は高くない。
【0004】
さらに、フェニル基の4位のヘテロアリール部分が最終工程として形成されるので、残りの分子が最初に製造されることを伴う直線的合成アプローチを受けることが必要である。これは、構造−活性関係を研究するために分子の別個の部分における置換基が変動するとき、明らかに望ましくない。この種の化合物の合成に収束合成アプローチが工夫できたなら非常に望ましいだろう。これは、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの大規模量を製造することの効率に顕著な利点もあるであろう。
【0005】
我々は、今、ヘテロアリール−フェニルボロン酸、特に、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の秀でた改良製造法を考案した。N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドに至る従来記載されている経路よりもより収束経路の開発ができる方法であり、単離しなければならない中間体の数を減少できる。これは、製造時間と製造経費に顕著な利点を与える。
【0006】
本発明の別の態様では、本発明にしたがって製造される、ヘテロアリール−フェニルボロン酸の一つである[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸を使用して、N-保護N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン -2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミド、特に、N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドを製造する。これらの中間体を、次いで、脱保護して、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドを形成できる。
【0007】
本発明のヘテロアリール−フェニルボロン酸の製造法はヘテロアリール環プロトンの酸性度を増加させることを利用し、続いて二種の塩基の使用を伴う。ハロゲン−金属交換をもたらすためにヘテロアリール−フェニルブロモ化合物に塩基の1等量を加える最初の試みは、ヘテロアリール環の脱プロトネーションの競合に導いた。ボレートエステルで停止するときに、無視し得る量の所望の生成物を達成し、出発物と副生物を伴った。本発明者達は、驚くべきことに、二種の塩基の逐次使用が良好な収率で所望のヘテロアリール−フェニルボロン酸をもたらすことを見出した。本発明の方法では、ヘテロアリール環を、(典型的には)「強」塩基でハロゲン−金属交換をもたらす前に、(典型的には)「弱」塩基で最初に脱プロトン化する。
【0008】
本発明の第1態様では、式I
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、XはO、NR又はSから選択され、そして、XはCH又はNから選択され、ここで、Rは窒素保護基である。)の化合物の製造法であって、式II
【0011】
【化2】

【0012】
の化合物の、
(i)メチル−又は場合により置換アリール−リチウム、次いで、
(ii)n−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−又はn−ヘキシル−リチウム、次いで、
(iii)-ボレートエステル
との逐次反応を含む製造法が提供される。
【0013】
プロセス工程(i)、(ii)及び(iii)のため、不活性溶媒又は稀釈剤又はエーテル性溶媒、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン若しくは1,4-ジオキサン中で都合よく反応を行うことができる。したがって、例えば、反応は、2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールを4-メチルフェニルリチウムで、次いで、n-ヘキシルリチウムで、そして最後にトリイソプロピルボレートで、適切な溶媒又は稀釈剤、例えば、テトラヒドロフランのようなエーテル性溶媒中で、例えば、−90〜−50℃、より特定的に−70〜−55℃、都合よくは−70℃若しくはその近辺で、逐次的に反応させることができる。
【0014】
場合により、ヘテロアリール−フェニルボロモ化合物を、脱プロトン化できるように第1塩基の溶液に変え、次いで、第2塩基の添加により金属交換反応(transmetallation)を引き起こすことができる。この方法は、収率及び品質がわずかに劣るが、周囲温度で安定性に欠けるため塩基をその場で発生させなければならない場合に利点がある。この場合、プロセスを完了させるために極低温容器のみを必要とする。
【0015】
プロセス工程(i)、(ii)及び(iii)に使用される試薬のモル比は、好ましくは、それぞれ、1.0〜1.5: 1.0〜1.5: 2.1〜3の範囲内であり、しかし、より好ましくは、それぞれ、1.06〜1.3: 1.07〜1.1: 2.2〜2.3の範囲内である。都合のよいことに、式IIの化合物の式Iの化合物へ変換の間に形成されるリチウム化中間体はそのまま単離されないが、各々調製され、有機溶媒の溶液として使用される。それにより、式Iの化合物は、ワンポット手順で式IIの化合物から製造できる。
【0016】
アリールリチウムは、例えば、フェニルリチウム又はナフチルリチウムである。
アリールリチウムの任意の置換基は、例えば、メチルである。
特に好適な、場合により、置換されたアリールリチウムは、例えば、フェニルリチウム、2-メチルフェニルリチウム、4-メチルフェニルリチウム、メシチルリチウム又はナフチルリチウムである。
【0017】
ボレートエステルは、アルキル、アルケニル、又はアリールボロン酸エステル、例えば、トリメチルボレート、トリエチルボレート、又はトリイソプロピルボレートである。
R1が窒素保護基であるとき、例えば、保護に適する方法は当業者に公知の方法である。慣用の保護基は標準的なプラクティスにしたがって使用できる(例えば、T.W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991参照)。
【0018】
適切な窒素保護基R1は、例えば、(1-6C)アルキル、フェニル、アリル、メトキシメチル、ベンジル、トリフェニルメチル、又はジフェニルホスフィニル保護基である。
本発明のこの第一態様は商業的に許容できる収率及び高品質の式Iの化合物を提供する。
【0019】
及びXの別の意味は下記の通りである。以前若しくは以降に定義される定義、特許請求の範囲若しくは実施態様の場合にこのような意味を使用できる。
はO、XはNR、XはS、XはCH、XはNである。XはOでありXはCHである。XはOであり、XはNである。X及びXはNである。XはNRであり、XはCHである。XはNRであり、XはNである。XはSであり、XはCHである。XはSであり、XはNである。Rはアリル又はベンジルである。Rはベンジルである。
【0020】
したがって、本発明の追加の態様では、式Iの化合物の製造法が提供される。すなわち、式I
【0021】
【化3】

【0022】
(式中、XはO、NR又はSから選択され、そして、XはCH又はNから選択され、ここで、Rは窒素保護基である。)の化合物の製造法であって、式II
【0023】
【化4】

【0024】
の化合物の、
(i)4−メチルフェニルリチウム、次いで、
(ii)n−ヘキシルリチウム、次いで、
(iii)トリイソプロピルボレート
との逐次反応を含む方法である。
【0025】
本発明の別の態様では、式Iの化合物の製造法が提供される。すなわち、式I
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、XはO、NR又はSから選択され、そして、XはCH又はNから選択され、ここで、Rは窒素保護基である。)の化合物の製造法であって、式II
【0028】
【化6】

【0029】
の化合物の、
(i)メチルフェニルリチウム、次いで、
(ii)n−ヘキシルリチウム、次いで、
(iii)トリイソプロピルボレート
との逐次反応を含む方法である。
【0030】
本発明の別の態様では、式Iの化合物の製造法が提供される。すなわち、式I
【0031】
【化7】

【0032】
(式中、XはOであり、XはNである。)の化合物の製造法であって、式II
【0033】
【化8】

【0034】
の化合物の、
(i)メチルリチウム、次いで、
(ii)n−ブチルリチウム、次いで、
(iii)トリイソプロピルボレート
との逐次反応を含む方法である。
【0035】
本発明の別の態様では、式Iの化合物の製造法が提供される。すなわち、式I
【0036】
【化9】

【0037】
(式中、XはOであり、XはNである。)の化合物の製造法であって、式II
【0038】
【化10】

【0039】
の化合物の、
(i)4−メチルフェニルリチウム、次いで、
(ii)n−ブチルリチウム、次いで、
(iii)トリイソプロピルボレート
との逐次反応を含む方法である。
【0040】
式IIの化合物は、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2002, 12(20), 2879−2882; Eur. J. Med. Chem., 2000, 35, 157−162; Helvetica Chimica Acta, 1950, 33, 1271−1276; Eur. J. Med. Chem., 1985, 20(3), 257−66 and J. Het. Chem., 1989, 26, 1341に開示されている方法及び手順にしたがって製造できる。
【0041】
本発明の別の態様は、N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造に有用な中間体である式IVの化合物の製造において、本発明にしたがって製造される、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の使用を提供する。
【0042】
式IVの化合物を脱保護することにより、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドが製造される。
【0043】
本発明のこの態様では、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸は、式IIIの化合物とカップリングし、式IVの化合物を形成する。
【0044】
【化11】

【0045】
特に、この反応は水性溶媒中、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、工業用変性アルコール(Industrial Methylated Sprit:IMS)、イソブタノール、NMP(N-メチルピロリジノン)、DMF中で有機相、例えば、トルエン若しくはキシレンと共に又は有機相無しで、例えば、60〜100℃、より特に好ましくは、75〜85℃の範囲内の温度で、
(i) ボロン酸;
(ii) パラジウム(0)の適切な源、例えば、PdCl、Pd(PhP)又はPd(OAc)
(iii) 適切なリガンド、例えば、トリフェニルホスフィン又は3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩;
(iv) 塩基、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、トリエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミン、酢酸カリウム、フッ化セシウム又はフッ化カリウム
の共存下で起こる。
【0046】
特に、パラジウム源は酢酸パラジウムである。
特に、塩基はN−メチルモルホリンである。別の態様では、特に、塩基はトリエチルアミンである。
【0047】
特に、この反応は有機相のない水性溶媒中で起こる。別の態様では、特にこの反応は有機相のある水性溶媒中で起こる。この反応が有機相のある水性溶媒中で起こる場合、特に、有機相はトルエンを含む。本発明の別の態様では、この反応が有機相のある水性溶媒中で起こる場合、特に、有機相はキシレンを含む。
【0048】
別の態様では、特に具体的には、この反応は、水及びイソプロパノール中の酢酸パラジウム、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩、N−メチルモルホリンの共存下で起こる。
【0049】
別の態様では、特に具体的には、この反応は、酢酸パラジウム、3,3’,3”−ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩、トリエチルアミン、キシレン、水及びIMSの共存下で起こる。
【0050】
プロセス工程(i)、(ii)、(iii)及び(iv)に使用する試薬のモル比は、好ましくは、それぞれ、1.0〜2.0:0.02〜0.3:0.06〜0.9:1.5〜5.0の範囲内であるが、より好ましくは、それぞれ、1.4〜1.6:0.03〜0.1:0.09〜0.3:2.0〜3.0の範囲内である。
【0051】
式III又は式IVの化合物では、Pは窒素保護基である。保護のための適切な方法は当業者に公知の方法である。慣用的な保護基は、標準的な実践にしたがって使用できる(例えば、T.W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991)。
【0052】
Pの適切な基は、例えば、アシル基、例えば、アセチルのようなC1-6アルカノイル基;例えば、ベンゾイルのようなアロイル;C1-6アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル若しくはtert−ブトキシカルボニル基;アリールメトキシカルボニル基、例えば、ベンジルオキシカルボニル;ホスフィニル基、例えば、ジフェニルホスフィニル;ベンジル基又はアリルのようなC2-6アルケニル基である。
【0053】
Pのための適切な基はC1-6アルコキシカルボニル基である。Pのためのより適切な基は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はイソブトキシカルボニル基である。Pのためのより特に適切な基はイソブトキシカルボニル基である。
【0054】
本明細書中で記載する窒素保護基のための脱保護条件は、保護基の選択に伴って必然的に変動する。したがって、例えば、C1-6アルカノイル基若しくはC1-6アルコキシカルボニル基又はアロイル基のようなアシル基は、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば、水酸化リチウム若しくは水酸化ナトリウム又はアミン、例えば、アンモニアのような適切な塩基で加水分解できる。あるいは、tert−ブトキシカルボニル基のようなアルコキシカルボニル基は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸若しくはトリフルオロ酢酸のような適切な酸で処理することにより除去でき、そしてベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素上パラジウムのような触媒による水素化により、あるいは、例えば、ボロントリス(トリフルオロアセテート)のようなルイス酸で処理することにより除去できる。ホスフィニル基は、アルカリ金属ヒドロキシド、例えば、水酸化リチウム若しくは水酸化ナトリウム又はアミン、例えば、アンモニアのような塩基加水分解により除去できる。ベンジル基は、炭素上パラジウムのような触媒による水素化により除去できる。アリルのようなC2-6アルケニル基は、パラジウム促進加水分解により除去できる。
【0055】
本発明の別の態様では、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸と式IIIの化合物との反応を含む式IVの化合物の製造法を提供する。
本発明の別の態様では、本発明にしたがって調製した[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸と式IIIの化合物との反応を含む式IVの化合物の製造法を提供する。
【0056】
本発明のこの態様では、さらに具体的には、本発明は、式IVの化合物のN-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン -2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造における本発明にしたがって調製した[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の使用、及びN-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造に有用な中間体の使用を提供する。
【0057】
本発明のこの態様では、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸をN-(イソブトキシカルボニル)-2-クロロ-N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン -2-イル)ピリジン-3-スルホンアミドとカップリングさせ、N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドを形成する。
【0058】
N-(イソブトキシカルボニル)-2-クロロ-N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン -2-イル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造はWO96/40681の実施例1に記載されている。
本発明のこの態様では、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸とN-(イソブトキシカルボニル)-2-クロロ-N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)ピリジン-3-スルホンアミドとをカップリングさせることを含むN-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造法を提供する。
【0059】
したがって、本発明の別の態様では、N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造における[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の使用を提供する。
【0060】
本発明の別の態様では、N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造における、本発明の方法にしたがって調製した[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸の使用を提供する。
【0061】
本発明の別の態様では、式IVの化合物を提供する。
本発明の別の態様では、N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドを提供する。
【0062】
本発明の別の態様では、N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの製造におけるN-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミドの使用を提供する。
【0063】
本発明を、今、下記の非限定的実施例により例証する。実施例中、特記しない限り、
(i) 収率は読者の補助のためにのみ記載し、必然的に勤勉なプロセス開発により達成できる最大値でなく;
(ii) H NMRスペクトルは内部標準としてトリメチルシラン(TMS)を使用するDMSOd6中、270MHz又は400MHzのいずれかで決定し、主要ピークの指定の慣用的な略号(s、シングレット;m、マルチプレット;t、トリプレット;br、ブロード;dダブレット)を使用するTMSに関する化学シフト(デルタ値)としてppmで表現する。
【0064】
実施例1
[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸
メチルリチウム溶液(ジエトキシメタン中8%w/w)(65 ml)を、−65℃のテトラヒドロフラン(THF)(415 ml)中の2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(40g)懸濁液に加えた。1時間後、次いで、n-ブチルリチウム溶液(ヘキサン中2.5M)(78 ml)を、−65℃で加えた。1時間後、次いで、トリイソプロピルボレート(90 ml)を、反応混合物を−65℃に維持しながら加えた。1時間、−65℃に反応混合物を維持し、次いで、−20℃に温め、水中(222 ml)酢酸(28 ml)混合物中に入れた。得られた固体を単離し、THF及び水で洗浄し、乾燥すると標記化合物を得た(28.96 g @ 95.1% w/w, 82%); 400MHz NMR スペクトル: (DMSOd6) 8.00 (s, 4H), 8.31 (s, 2H), 9.35 (s, 1H); マススペクトル MH+ 191.0628 (11−Bを使用して計算) 実測値 191.0633。
【0065】
出発物質として使用した2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールを下記のようにして調製した。
工業用変性アルコール(700 ml)中の4-ブロモ安息香酸ヒドラジド(200 g)懸濁液にトリエチルオルソホルメート(309 ml)、工業用変性アルコール(100 ml)及び硫酸(0.8 ml)を加えた。反応混合物を1時間還流温度に加熱した。反応混合物を0〜5℃に冷却し、生成物を結晶化させた。得られた生成物を単離し、乾燥すると2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(186.1 g, 89.9%)を得た。400MHz NMR スペクトル: (DMSOd6) 9.35 (s, 1H), 7.98 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.81 (d, 1H);マススペクトルMH+224.9663 (79−Brを使用して計算) 実測値224.9701。
【0066】
実施例2
[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸
アルゴン雰囲気下、反応器にリチウム顆粒(8.2 g)及びテトラヒドロフラン(670 g)を装填し、混合物を−35℃に冷却した。4-クロロトルエン(74.3 g)を−35℃で加え、混合物をこの温度に6時間維持した。得られた溶液を、−65℃でテトラヒドロフラン(800 g)中2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(124.4 g)懸濁液に加えた。30分後、次いで、n-ヘキシルリチウム溶液(ヘキサン中33%w/w)(240ml)を−65℃で加えた。さらに30分後、次いで、トリイソプロピルボレート(230.8 g)を、反応混合物を−65℃に維持しながら加えた。反応混合物を−35℃に温め、水中(688 g)酢酸(91.5 g)溶液に滴加した。得られた固体を単離し、THF及び水で洗浄し、乾燥すると標記化合物を得た(92.2 g, 88%)。
【0067】
実施例3
[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸
実施例2を繰り返したが、4-クロロトルエンの装填を1.06モルから1.30モルに増加させた。標記化合物の収率は89.3%に増加した。
【0068】
実施例4
[4-(1,3,4-オキサジアゾール−2−イル)フェニル]ボロン酸
テトラヒドロフラン(250g) をリチウム顆粒(3.02 g)及びビフェニル(0.01 g)の混合物にアルゴン雰囲気下で加え、得られた混合物を−30℃に冷却した。2-クロロトルエン(27.55 g)を−30℃でゆっくりと加えた。反応混合物を6時間−30℃に維持し、次いで、−65℃に冷却した。THF(300 g)中の2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(50.0 g)の混合物を−65℃でゆっくりと加えた。反応物を30分間−65℃に維持し、次いで、n-ヘキシルリチウム溶液(ヘキサン中33%w/w, 86 ml)を−65℃で加えた。反応物を30分間−65℃に維持し、次いで、トリメチルボレート(48.7 g)を−65℃で加えた。反応物を10分間−65℃に維持し、次いで、メタノール(55.3 g)を加え、次いで、4-メチル-2-ペンタノン(240 g)を加えた。反応混合物を温め、低沸点溶媒を最大温度55℃にした真空下で蒸留除去した。残留混合物を0℃に冷却し、10%w/w硫酸(92 g)を加え、次いで、温度を7℃に以下に維持しながら、水(92 g)を加えた。生成物が沈殿した。さらに10%w/w硫酸(85.3 g)の添加によりpHを6.5に調整した。得られた混合物を40℃に加熱し、次いで、5〜10℃に冷却し戻した。生成物を単離し、THF(56g)及び水(60g)で洗浄し、標記化合物を得た(25.2 g, 60%)。
【0069】
実施例5
[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸
アルゴン雰囲気下、テトラヒドロフランをリチウム顆粒(7.6 g)に装填し、得られた混合物を−30℃に冷却した。2-クロロトルエン(69.4 g)を−30℃でゆっくりと加えた。反応物を−30℃に6時間維持し、次いで、テトラヒドロフラン(800 g)中の2-(4-ブロモフェニル)-1,3,4-オキサゾール(124.4 g) 懸濁液に−65℃で加えた。反応物を−65℃に30分間維持し、次いで、n-ヘキシルリチウム溶液(ヘキサン中33%w/w、245 ml)を−65℃で加えた。反応物を−65℃に30分間維持し、次いで、トリメチルボレート(230.8 g)を−65℃で加えた。反応物を−65℃に30分間維持し、次いで、メタノール(175 ml)を加え、次いで、4-メチル-2-ペンタノン(600 g)を加えた。反応混合物を温め、低沸点溶媒を最大温度50℃にした真空下で蒸留除去した。得られた反応混合物を5〜10℃に冷却し、5%w/w硫酸(990.5 g)の添加によりpHを6.5に調整した。得られた混合物を40℃に加熱し、次いで、10℃に冷却し戻した。生成物を単離し、THF及び水で洗浄し、乾燥して、標記化合物を得た(79.3 g, 75.5%)。
【0070】
実施例6
[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸
実施例4を繰り返したが、2-クロロトルエンの代わりにクロロベンゼン(61.6 g)を使用した。標記化合物の収量は87.8g(83.8%)。
【0071】
実施例7
N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ -5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミド
酢酸パラジウム(0.4144g)及び3,3’,3’’-ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩30% w/w 水溶液(3.26g)を超音波浴中で6分間にわたって水(35ml)に溶解した。得られた黄色溶液を攪拌下の[4-(1,3,4-オキサジアゾール- 2-イル)フェニル]ボロン酸(10g)及びキシレン(100ml)中のイソブチル[(2-クロロピリジン-3-イル)スルホニル](3-メトキシ-5-メチルピリジン-2-イル)カルバメート(16.86g)、工業用変性アルコール(50ml)及びトリエチルアミン(17ml)からなるスラリーに加えた。次いで、触媒溶解フラスコを水(5ml)で洗浄し、反応混合物を油浴(105℃)中で還流温度(80℃)に加熱し、24.5時間還流しながら攪拌した。反応混合物を30℃に冷却し、Whatman GF/Bガラス濾紙を通過させ、水性下相を分離して除いた。キシレン(20ml)で反応フラスコと濾過ケーキを洗浄した。キシレン洗浄液を使用して水相を再抽出した。有機相を合わせ、攪拌し、オーバーヘッドスターラー、水用コンデンサーを備え、窒素雰囲気の洗浄した500ml四口フラスコ中で還流温度(85℃)に加熱した。Essochem 溶媒30 (炭化水素、沸点100〜130℃)(100ml)を6分間にわたって滴加し、得られた混合物を周囲温度に自冷し、次いで、さらに−5℃に冷却し、1時間維持した。生成物を濾過し、Essochem溶媒30(50ml)で洗浄した。濾紙上で3時間ケーキを乾燥させ、15.20g@100% strengthを得た(収率76.8%)。270 MHz 1H-NMRスペクトル: 0.70 (d, 6H), 1.72 (m, 1H), 2.51 (s, 3H), 3.84 (d, 2H), 4.00 (s, 3H), 7.59 (m, 1H); 7.80 (d, 2H), 7.90 (s, 1H), 8.17 (d, 2H), 8.50 (s, 1H), 8.90 (m, 1H) and 9.00 (d, 1H). マススペクトルMH+= 525.2 (C24H25N6O6S = 525.16)。
【0072】
実施例8
N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-
オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミド
オーバーヘッドスターラーを備えた窒素パージした500mL多口フラスコにイソブチル[(2-クロロピリジン-3-イル)スルホニル](3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)カルバメート(22.15g)、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸(12.26g)、イソプロパノール(60ml)、水(140ml)及び3,3’,3’’-ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩30% w/w水溶液(13.7g)を装填した。攪拌を開始し、10分後酢酸パラジウム(0.541g)を加えた。N-メチルモルホリン(13.25ml)を加え、温度を80℃に調整した。4時間20分後、トルエン(140ml)加え、温度を60℃に調整した。さらに45分後、混合物を1μmガラス繊維濾紙を通過させ、水相を分離した。反応フラスコ及び濾過ケーキをトルエン(22ml)で洗浄した。トルエン洗浄液を使用して水相を再抽出し、有機相を合わせた。これらは分離されなかった標記化合物(22.8g, 90%)を含有した。
【0073】
実施例9
N-(イソブトキシカルボニル)N-(3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)-2-(4-[1,3,4-
オキサジアゾール-2-イル]フェニル)ピリジン-3-スルホンアミド
オーバーヘッドスターラーを備えた窒素パージした150mL多口フラスコにイソブチル[(2-クロロピリジン-3-イル)スルホニル](3-メトキシ-5-メチルピラジン-2-イル)カルバメート(7.75g)、[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸(4.29g)、イソプロパノール(21ml)、水(49ml)及び3,3’,3’’-ホスフィニジントリス(ベンゼンスルホン酸)三ナトリウム塩30% w/w水溶液(2.88g)を装填した。攪拌を開始し、10分後酢酸パラジウム(0.114g)を加えた。フッ化カリウム(2.48g)を加え、温度を80℃に調整した。5時間後、トルエン(49ml)を加え、温度を60℃に調整した。さらに10分後、混合物を1μmガラス繊維濾紙を通過させ、水相を分離した。有機相は、分離されなかった標記化合物(7.36g, 83%)を含有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、XはO、NR又はSから選択され、そして、XはCH又はNから選択され、ここで、Rは窒素保護基である。)の化合物の製造法であって、式II
【化2】

の化合物の、
(i)メチル−又は場合により置換アリール−リチウム、次いで、
(ii)n−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−又はn−ヘキシル−リチウム、次いで、
(iii)-ボレートエステル
との逐次反応を含む、前記製造法。
【請求項2】
がOである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がNである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記メチル−又は場合により置換アリール−リチウムが4−メチルフェニルリチウム又はメチルリチウムである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記n−ブチル−、s−ブチル−、t−ブチル−又はn−ヘキシル−リチウムがn−ヘキシルリチウム又はn−ブチルリチウムである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ボレートエステルがトリイソプロピルボレートである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの方法により製造される[4-(1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]ボロン酸。

【公開番号】特開2012−31174(P2012−31174A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178493(P2011−178493)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【分割の表示】特願2006−553660(P2006−553660)の分割
【原出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】