説明

化学検出システムを診断する装置および方法

【課題】サロゲート化合物を利用せずに異常状態を判定する診断ルーチン化学検出システム内で実行する装置および方法を提供する。
【解決手段】化学検出システムは、排出化学物質を測定するまえにニューマティックコンポーネントおよび化学センサを診断すべく、制御された暴露を実行する。制御モジュールは、前記診断を行うべく、システム制御およびデータ処理を行う。かかる制御モジュールは、診断ルーチン中に正確な暴露を行うべく、排出物質サンプル受け取りシステムを操作する。センサインターフェイス回路は、前記化学センサにデータの問い合わせを行い、データを取り出し、格納し、解析する。前記化学センサは、所定の暴露シナリオの間に、それに応じて予測可能な変化を起こす。複数の時間ドメイン信号処理技術を用いて、システムレベルおよびセンサレベルにおける異常状態が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス工業において用いられる装置からの揮発性有機排出物質の定量に用いられる化学検出システムを診断する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願は、1999年5月10日に出願された、表題が「共鳴化学センサの固有ノイズを減少する高周波数測定回路」である米国特許第6,222,366号と、1997年11月12日に出願された、表題が「サンプル受け取りシステム」である米国特許第6,029,506号と、1994年9月2日に出願された、表題が「通信システムおよびその方法」である米国特許第5,451,923号とに関連するものである。上記の引用文献は、本特許出願と同一の譲受者に譲渡されており、ここで参照することにより援用される。
【0003】
揮発性有機化合物(VOC)を取り扱う工業プラントは、煙突の如き点状ソースならびにバルブ、ポンプ、およびベッセルの如き非点状ソースから大気中に、上記の化合物の不要に排出していることが一般的である。非点状ソースからの排出は、通常、結合部および密封部からのVOCの漏洩が原因で発生し、「漏洩排出」と呼ばれている。制御バルブからの漏洩排出は、バルブステムの周りのパッキンセットからの漏洩として発生する。大きな温度変動およびバルブステムの頻繁な移動を含む厳しい使用条件で用いられる制御バルブは、一般的に、バルブステムのパッキンセットの劣化を加速させる問題を有している。
【0004】
米国環境保護局(EPA)は、制御バルブからの特定の有害性大気汚染物質(たとえば、ベンゼン、トルエン、1,1,1トリクロロエタン)の最大許容漏出量を指定した規則を発布した。この規則は、施設運営者が全ての制御バルブおよびポンプ密封部からの排出物質を定期的に調査することを要求している。この調査間隔は、1ヶ月ごとでもよく、3ヶ月ごとでもよく、6ヶ月ごとでもよく、または12ヶ月ごとでよい。施設管理者が、過度の漏洩を有するバルブおよびポンプの確実なパーセンテージが所定の最小値を下回ることを証明できる場合には、調査の要求頻度は少なくなる。したがって、漏洩するバルブのパーセンテージを低く抑えると、1年間に要求される調査の数が減少し、これにより、コストが著しく削減される。
【0005】
最も厳しい使用条件を必要とするデバイスに自動化学検出システムを搭載することにより、漏れがあるデバイスを特定して修理することが可能になり、その結果、以前よりも容易にEPA規則に準拠することができる。さらに重要なことは、正確な化学検出システムを搭載することにより、デバイス故障の可能性を施設運用者に警告でき漏洩がひどくなるまえに防止手段を取ることを可能にする事前警告システムを実現できる。
【0006】
産業環境に自動化学検出システムを配備するという目的を首尾良く達成するために、化学検出システムは、装置から放出される漏洩排出物質を効率的に収集し、その排出物質を気体センサ配列部に搬送するコンポーネントを有していなければならない。化学検出システムのこのようなコンポーネントをサンプル受け取りシステムと呼ぶ。このサンプル受け取りシステムは、気体センサが正確にかつ整合性のある方法で漏洩排出物質の濃度を測定可能にするために、既知の流量でサンプルストリームを搬送しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
産業環境において気体センサを使用するには、幅広い温度範囲(−10℃から+50℃まで)全体にわたり高い相対湿度(最大85%)の下で十分に作動するセンサを設計する必要がある。また、このセンサは、所定の排出物質と他の環境汚染物質とを識別可能でなければならないのと同時に、低濃度の漏洩排出物質を検出するのに十分な感度を保持してなければならない。さらに、このセンサは、スプレー洗浄および高振動を受ける領域を含む他の過酷な環境において動作可能でなければならない。
【0008】
したがって、現場に配備される化学検出システムの設計には、漏洩が報告されるまえの適切な動作を確保するための独自の物理的設計および異常状態を自己診断する機能の両方が要求される。複数の異常状態により誤った解釈がもたらされることがある。たとえば、流量が変動すると、化学感知の熱力学が変わり、エラーを誘発する。好ましくない化学品への暴露、粒子状物質の堆積、ならびに極端な温度および湿度により、センサのベースライン周波数が恒久的にシフトする場合がある。さらに、特定の種類の化学センサは、暴露レベルがその飽和限界値を超えると、不可逆的に変化する場合がある。このような異常状態により、測定エラー、または「偽陽性」の漏洩報告をもたらす場合がある。偽陽性の漏洩報告に対処すると、手動による調査を行うのと同じぐらいのコストがかかる場合がある。
【0009】
複数の診断方法がこれまで提案されてきた。そのような方法の一つが、米国特許第6,200,443号B1に記載されているが、この方法では、一酸化炭素センサを励起するサロゲートエミッションを有する外部刺激が必要である。サロゲートエミッションに対して予測されたシステム応答およびセンサ応答に基づいて異常に関する判断が下される。この方法は、測定システム内においてサロゲート化合物の格納および保存が要求される点が不利である。したがって、本発明は、以上で記載した課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、サロゲート化合物を利用せずに異常状態を判定する診断ルーチン化学検出システム内で実行する装置および方法を提供することにある。
【0011】
本発明の一つの態様では、サンプルフローの異常、センサノイズに起因する不安定な読み込み、および排出物質に対する過剰暴露に起因する限定センサの損傷に関連する異常状態を検出する装置を提供する。
【0012】
本発明の他の態様では、診断ルーチン中の被制御サンプルフローに対する化学センサの応答を解析することにより、バルブ故障またはシステムポート障害を検出する方法を提供する。
【0013】
本発明の他の態様では、センサのベースライン周波数の絶対ドリフト値の決め方を教示する。
【0014】
本発明のさらに他の態様では、化学センサノイズおよび化学検出システムノイズの両方を検出および定量する方法を提供する。
【0015】
さらに他の態様では、本発明は、化学センサの損傷を防ぐために過剰の漏洩排出物質を検出する方法を教示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
化学検出システムを適切に機能させるためには、複数の設計技術が用いられなければならない。たとえば、化学センサに所定の化学物質を供給するように設計されたシステムは、計測シナリオを開始するまえに正しく機能する状態でなければならない。さらに、化学センサは、動作環境内の汚染成分に耐えるように設計されなければならない。本発明は、当業者に、システム動作の妥当性を検査する方法を教示するのみならず、化学センサそれ自体の調子および完全性を確認する方法をも教示する。
【0017】
本発明の利点を十分に理解するために、システムのコンポーネントとそれらが化学物質を検出すべくどのように動作するのかを理解する必要がある。好ましい実施例では、診断技術が制御バルブに関連させて教示されているが、ポンプの如き他のプロセス装置に対しても適用可能であることは当業者にとり明らかなことである。ここで、図面を参照して図1Aに関してまず説明すると、本発明の例示の実施例のブロック線図が提示され、化学検出システムの主要部が示されている。
【0018】
大規模かつ複合的なプロセスプラントでは世界中で利用される消費財を生産している。食料品から原油にいたる範囲の消費財がこれらの大規模な産業施設において加工される。そして、これらの施設は、その加工プロセスを制御するためにコンピュータシステムに依存している。図1Aにおいてプロセス制御システム40として表されているこのようなコンピュータシステムは、さまざまな複数のタイプのプロセス制御デバイスおよび計測器と通信する。本発明では、プロセス制御システム40は、以下で排出物質源12と呼ぶ制御バルブと通信する。これらの通信には、排出物質源12が、プロセス制御コンピュータ40により実行される制御戦略にしたがってそのバルブステムを移動させ、かつ米国特許第5,451,923号に開示されている通信プロトコル17に従って通信することが必要である。上記の米国特許第5,451,923号は、フィッシャーコントロールズインターナショナル社に譲渡されており、ここで、参照することにより援用される。上述のように、このような過酷な動作環境により、排出物質源12のバルブステムの周りのパッキンセットの劣化が加速され、漏洩排出または漏洩が発生する。
【0019】
化学検出システム10は、排出物質源12からの非常に低濃度の物質を検出するように設計されている。検出限界は10ppmが普通である。このような非常に低濃度では、排出物質が気体の状態であるのことが一般的である。図1Aでは、排出物質源12が排出物質サンプルストリーム14に漏れて、サンプル受け取りシステム100により収集されることが示されている。新規のサンプル受け取りシステム100が米国特許第6,029,506号に開示されており、フィッシャーコントロールズインターナショナル社に譲渡されており、その米国特許第6,029,506号は、ここで、参照することにより援用される。
【0020】
プロセス制御設備では、制御バルブを操作するために圧縮空気が広く一般的に使用されている。このような豊富にあるエネルギー源により、化学検出システム10は、排出物質を排出物質サンプルストリーム14に容易に収集できる。圧縮空気源30は、サンプル受け取りシステム100を空にして排出物質を化学検出システム10に引き込む推進力を備えている。制御モジュール400は、電気インターフェイス20を通じたサンプル受け取りシステム100に対して作動ロジックおよびタイミングロジックを与える。診断および計測シナリオが完了すると、サンプル成分15はそのシステムから排出される。
【0021】
図1Bを参照すると、上記の化学検出システムのさらに詳細な図が示されている。排出物質源12からの漏れを正確に定量するために、非汚染物質源であるプラント現場の大気がそのシステムにより収集され、ベースライン暴露量、すなわち「ゼロ濃度」暴露量が求められる。ゼロ濃度サンプルまたは排出物質サンプルを収集するために、圧縮空気源30を使用したニューマティックシステム、すなわちサンプル受け取りシステム100が構築されている。化学検出システム10のニューマティックコンポーネントとしては、ボンネットカプセル102、エジェクタ140、および調整器144がさらに挙げられる。サンプル受け取りシステム100のセンサ室114内には、気体センサ配列200が設置されている。ゼロ濃度サンプルは、大気サンプル採取口32に吸い込まれ、大気サンプルバルブ132を通過し、センサ室114に至る。通常、気体センサ配列200は、少数の種類の排出物質に対して高い感度を有するように設計されている。排出物質を含まない現場の大気を用いたベースラインの計測を行うとともに、所定の排出物質に対しての化学センサの感度に関する知識を前もって有しておくことにより、化学検出システム10またはプロセス制御システム40は、排出物質源12からの排出物質の濃度を決定することが可能となる。
【0022】
さらに、図1Bでは、ボンネットカプセル102は、排出物質が予測される排出物質源12の表面領域を包むように設計されたエンクロージャからなっている。このボンネットカプセル102は、該ボンネットカプセル102と排出物質源12との間に間隙(図示せず)が残るように、排出物質源12に取り付けられる。これにより、インピーダンスによるニューマティック抑制が小さくなり、その間隙を通過した流れが、ボンネットカプセル102を通過し、排出物質サンプル採取口34に至ることができる。この流れが、上記の排出物質源からの排出されるいかなる漏洩排出物でも、排出物質サンプル採取口34へ、そしてセンサ室114へと搬送する。
【0023】
排出物質サンプルの収集中、排出物質サンプルストリーム14は、ボンネットカプセル102からセンサ室114へと供給され、気体センサ配列200に暴露される。エジェクタ140は、センサ室を空にするために用いられるニューマティックデバイスであり、当業者にとって公知のものである。圧縮空気源30は、圧縮空気32を調整器144に供給する。この調整器144により、制御圧力をエジェクタ140に供給する。エジェクタ140を通る流れにより、圧力降下が起こり、センサ室114が空になり、これにより、排出物質サンプルストリーム14が、センサ室114、排出バルブ134、排出口36を通って、エジェクタ140へと制御された速度で吸引される。気体センサ配列200が排出物質サンプルに対して応答可能になるように、バルブ130、132、134を閉じることで、そのサンプルをセンサ室114内に滞留する。明らかに、バルブ130、132、134が適切に作動することにより、化学検出システム10が、排出物質濃度およびベースライン用濃度を分離・管理し、以下でさらに詳細に記載する診断ルーチンを実行することが可能となる。最終的には、圧縮空気32および排出物質サンプルストリーム14はエジェクタ140内で混合され、サンプル成分15は大気中に排出される。
【0024】
ここで、図1Cを参照しながら、ニューマティックハードウェアの制御および操作を記載する。本発明のニューマティックハードウェアおよび化学センサは、従来型の電子手段により作動される。センサ出力を処理し、化学検出システム10の制御および通信を実行する制御モジュール400が設けられている。さらに、制御モジュール400は、本発明の主題である診断ルーチンを実行する。この制御モジュール400は、次のコンポーネントを備えている:センサインターフェイス回路402、マイクロコントローラ404、プログラムメモリ406、バルブ駆動回路407、診断メモリデバイス408、データメモリ409、温度センサ410、通信インターフェイス回路800、および電力変換回路900。
【0025】
気体センサ配列200は、センサインターフェイス回路402に接続されている。このセンサインターフェイス回路402は、気体センサ配列200(図1B)からの信号を処理し、診断ルーチンのため、センサデータをマイクロコントローラ404に供給する。この診断ルーチンはプログラムメモリ406に格納されている。温度センサ410は、サンプル受け取りシステム100にさらに設けられてもよい。この温度センサ410は、診断ルーチン動作決定の実行に用いられる温度データを提供する。適切な気体センサおよびセンサインターフェイス回路が米国特許第6,222,366号に開示されており、フィッシャーコントロールズインターナショナル社に譲渡されており、その米国特許第6,029,506号は、ここで、参照することにより援用される。
【0026】
前記米国特許第6,222,366号の教示によれば、流体の濃度は、流体ストリーム内の水晶振動子マイクロバランス(QCM)上に形成された化学センサにより測定される。このQCM化学センサは、平坦な基板の両側に少なくとも二つの電極が形成された水晶基板の表面に形成されているコーティングまたはオーバレイからなっている。QCMは、当該QCMの共鳴周波数で振動する回路を必要とする発信器内に共鳴ネットワークを供する。この共鳴周波数は、一秒間にQCMにより行われる電気的転移の数を数えることにより決定される。選択されるコーティングは、所定の排出物質に対して選択的親和性を有する。さまざまな吸着・吸収プロセスにより、コーティングの質量が増加し、コーティングの粘弾性特性が変化し、それにより、QCMの共鳴周波数にずれが生じる。
【0027】
前記米国特許第6,222,366号の好ましい実施例では、二つのQCMが個々の発信器回路に接続される。第一のQCMは、参照デバイスとして機能し、感知デバイスが排出物質に暴露されていないときのその感知デバイスの共鳴周波数を表す共鳴周波数を提供する。第二のQCMは、化学センサとして機能し、上記のサンプル受け取りシステムにより所定の排出物質に暴露される。この第二のQCMは、局部環境から収集される排出物質の量に比例する信号を発生する。デジタル差分回路が、これら二つの発信回路の出力部に接続され、感知デバイスの共鳴周波数と参照デバイスの共鳴周波数との間の算術差を表す周波数を有する信号を発生する。さらに、上記の教示は、デバイスの周波数の差から、排出物質の定量的測定値を導く方法を当業者に教えている。
【0028】
本発明では、マイクロコントローラ404は、化学センサデータおよび温度データをデータメモリ409に格納する。このデータは、診断ルーチンの実行中にデータメモリ409から呼び出される。いかなる異常に対してもアラームが生成される。米国特許第5,451,923号で教示されている通信インターフェイス回路800が、プロセス制御システム40または現在図示されていないメンテナンス制御装置に、直接化学センサデータおよび温度データを伝送可能である、ということは当業者にとり明らかなことである。あるいは、制御モジュール400が、診断ルーチンを用いて、上記のデータを操作し異常状態を生成してもよい。これらの異常状態により、診断アラームが生成される。これらは、診断メモリ408に格納され、その後、報告書作成およびEPA規則の準拠のため、または排出物質の削減もしくは除去する制御アクションを開始するために呼び出される。
【0029】
診断メモリ408は、複数の診断ルーチン試験結果を格納できる奥行(depth)を有している。たとえば、本発明のデータメモリ409は、256の異常状態およびアラームからのデータに対応可能である。電力変換回路900は、プロセス制御システム40により通信リンクを介して伝送されるまたはバッテリにより供給される電力を受け取る。
【0030】
つまり、以上において、産業設備内の現場設置計器を用いて分析用計測を行うのに必要なシステムコンポーネントを記載している。本発明により、化学検出システム内の異常状態を判定する診断装置および診断方法が提供される。以下の診断方法は、当業者により周知の標準プログラミング技術を用いて実現される。図2Aおよび図2Bは、好ましい実施例にかかる診断方法を実現するために必要なロジックを例示している。図2Aおよび図2Bに詳細に示されているルーチンは、スーパバイザ診断ルーチンである。このルーチンは、プログラムメモリ406に格納されている主実行可能プログラムから起動される。この主実行可能プログラムは、常に、測定シナリオを進行するまえに診断メモリ208を検査してフラッグ付の異常状態またはアラームが存在するか否かを調べる。いかなるアラーム状態であっても測定シナリオより優先され、上記のさまざまな通信技術により報告される。上記システムおよびその周囲の大気の状態についての特定の診断情報を取得するために上記の装置および化学センサを用いるスーパバイザ診断ルーチンから実行できるルーチンには四つの異なるルーチンがある。これらのルーチンは、サンプル供給口診断ルーチン、ステップS103、絶対周波数シフト異常状態ルーチン、ステップS106、センサノイズ異常状態ルーチン、ステップS108、および飽和限界異常状態ルーチン、ステップS110を有している。
【0031】
システムの供給口内の障害物またはバルブ故障により、サンプル受け取りシステム100の流れが阻害され、サンプル収集ができなくなる。これらの異常状態を正しく診断しないと化学検出システム10が完全に機能不全になる。これらのシステム診断は、流れにより誘発される気体センサ配列200上の第二の感知現象に依存している。制御されている暴露中に気体センサ配列200から取得されるデータに対する過渡応答解析を用いることにより、非常に効果的な診断ツールが開発された。サンプル供給口診断ルーチンが、図3Aおよび図3Bに例示され、以下でさらに詳細に記載される。
【0032】
以前に報告されているように、工場において感知する環境とは信じられないほど過酷な環境である。好ましくない化学物質への暴露により、センサのベースライン周波数に恒久的なシフトが発生する。コーティングの剥離および粒子の蓄積によっても同様の影響が生じる。図4Aおよび図4Bに例示されている診断ルーチンが、これらの異常状態を検査するために必要なロジックを明らかにし、以下のステップS106においてさらに詳細に記載されている。
【0033】
サンプル収集中のシステムのサンプル受け取りコンポーネント内の異常により流れが変動すると、または気象状態が著しく変動すると(たとえば、強風)、気体センサ配列200のデータに大きな変動またはノイズを誘発する。図5Aおよび図5Bに例示されている診断ルーチンが、これらの異常状態を検査するために必要なロジックを明らかにし、以下のステップS108においてさらに詳細に記載されている。
【0034】
最後に、排出物質源12の過度の漏洩は、取り返しがつかないほど化学センサを損傷する。上述のように、高濃度の排出物質は、センサから感知コーティングを損傷するかまたは剥離する。当業者は、これらの高濃度を化学センサの飽和限界と呼ぶ。その飽和ポテンシャルを決定するために必要なロジックが図6Aおよび図6Bに例示され、以下のステップS110でさらに詳細に記載される。
【0035】
図2Aおよび図2Bにより表されているスーパバイザ診断ルーチンは、すべての計測シナリオおよび排出物質データの報告のまえに、制御モジュール400で動作している主実行可能プログラムにより呼び出されることが一般的である。すべてのルーチンはプログラムメモリ406に格納されている。好ましい実施例は、化学検出システム10の診断用妥当性検査のために実行される順番及び特定のルーチンを示している。明らかに、動作順序が変更された場合であってもまたは診断ルーチンの全数より少ない数の診断ルーチンが実行された場合であっても、診断情報が得られる。完了すると、異常状態が検出されなかった場合には、スーパバイザ診断ルーチンは、主実行可能プログラムに戻り、実測調査を再開する。
【0036】
スーパバイザルーチンに入ると、温度センサ410が、ステップS101で、周囲の温度を決定する。このセンサ410は、好ましくは(しかし必要というわけではないが)、摂氏温度で周囲の温度をデジタル表記でマイクロコントローラ404に提示する。気体センサ配列200の性能が温度に依存するので、診断ルーチンは、ステップS102で、周囲の温度が所定の動作範囲、たとえば摂氏−10から+50度までの範囲に収まっているか否かを判定する。周囲の温度がその動作範囲の外に存在する場合、診断メモリ408内のdiag_flagという符号が付けられているメモリレジスタのビットが、ステップS104で、無効動作範囲を表すように設定されるかまたはフラッグが付され、診断ルーチンは、ステップS116で、開放される。フラッグの付けられたまたは検出された異常状態は、いずれも、アラームを発生し、診断ルーチンを中断し、主実行可能プログラムに戻る。
【0037】
上記の温度が所望の動作範囲内である場合、サンプル供給口診断ルーチンが、ステップS103で、駆動される。このサンプル供給口診断ルーチンにより異常状態が検出された場合、この状態は、diag_flag内においてフラッグが付され、スーパバイザルーチンは、ステップS116で、開放される。異常状態が検出されない場合、実行は、ステップS106の絶対周波数シフト診断ルーチンに進む。絶対周波数シフトに異常状態が検出されない場合、実行は、ステップS108のノイズしきい値診断ルーチンに移動する。このノイズしきい値診断ルーチンが良好に完了すると、ステップS110で、飽和限度診断ルーチンが実行される。四つの診断ルーチンが良好に完了すると、ステップS116で、プログラムの流れは、制御モジュール400により実行されている主実行可能プログラムへと戻される。さらに続けて詳細に説明すると、図3Aおよび図3Bは、サンプル供給口診断ルーチンを例示している。このルーチンは、気体センサ配列200により示される過渡流れ現象に基づいている。たとえば、米国特許第6,222,366号に開示されている化学センサは、scfh当たり約69ppmの過渡流れ感度を有している。図7に記載されているように、流量の急激な変化により、センサデータに過渡流れ現象である過渡応答が生成される(たとえば、静的流れから200sccmの流れへのステップ変化により、15MHz回路基盤に約450Hertzのセンサ過渡応答が生される)。したがって、流れに対してステップ変化を誘発させると同時に気体センサ配列200の応答データを取得・解析するように、サンプル受け取りシステムのコンポーネントを操作することにより、流れの異常状態を検出することができる。この基礎に有るロジックは以下の通りである:バルブ130、132、134のうちのいずれかが、流量の低下を生じるように、部分的にまたは全体的に閉鎖される場合、気体センサ配列200の測定される過渡動作は、診断ルーチンに明記されている「しきい値」状態を下回る。さらに、バルブの作動に異常が有る場合、それがどのようなものであっても、流れに対して同様の阻害を発生する。
【0038】
異常状態の存在を正確に判定するためには、ステップS201で、8つのセンサの読み取り値を問い合わせて収集する必要がある。気体センサ配列200のノイズ間に相関性がないので、センサインターフェイス回路402からの8つのセンサの順次の読み取り値は、ノイズを減らすための算術平均または「アベレッジ」の算出に用いられる。そのデータ内にノイズ「スパイク」があると、正しくないアラームを引き起こす。このセンサの算術平均は、ステップS202で、データメモリ409内のレジスタに格納される。マイクロコントローラ404は、サンプル収集中にさまざまな流れシナリオを有効にするために、バルブ駆動回路407を介してバルブ130、132、134を制御する。バルブ駆動回路407は、当業者に周知の典型的なh−ブリッジドライバである。
【0039】
マイクロコントローラ404は、ステップS203で、排出バルブ134および大気サンプルバルブ132を開く。上述のように、エジェクタ140は、センサ室114を真空にすることにより、ベースラインである大気をセンサ室114に引き込み、急激に流量が増加する流れに対して気体センサ配列200を暴露する。大気サンプル用バルブ132または排出バルブ134上のサンプル採取口32が障害物を有しておらず、これらのバルブが正しく動作する場合に、気体センサ配列200に予測通りの過渡応答の動作が起こる。気体センサ配列200の過渡動作の発生には、通常、2秒もかからず、そのことが図7に例示されている。ステップS204では、動的な流れ状態で8つの読み取り値が順次に読み取られ、その平均値が計算され、マイクロコントローラ404の内部メモリのレジスタに格納される。その後、ステップS205で、排出バルブ134および大気サンプル用バルブ132が閉じられる。次いで、ステップS206で、静的流れ中のベースライン読み取りからの算術平均と、流れの急激な変化中の算術平均との間の差の絶対値が計算される。システム内の流れが適切であれば、すべての動作状態において、過渡応答は特定の値よりも大きい。上記の診断ルーチンでは、状態試験は、ステップS207で、差の絶対値の範囲が所定の値、たとえば200Hertzよりも小さいか否かを判定する。ステップS208で、状態試験の結果がポジティブである場合、異常状態が検出され、そうでなければ、状態試験は継続され、ステップS209〜S216で、他のセンサを評価する。図3Aおよび図3Bは、二つのセンサを有する化学検出システム10のロジックを例示している。なお、同一のロジックを単一のセンサまたは複数のセンサに対して適用してもよいことは当業者にとり明らかである。異常状態は、以上で説明したように処理される。完了すると、プログラムの実行は、ステップS217で、スーパバイザ診断手続きに戻される。
【0040】
続けて図4Aおよび図4Bを用いて、気体センサ配列200のオーバレイヤにおける粒子の蓄積および恒久的粘弾性変化を検出する異常状態について説明する。プロセス工業内の環境条件は驚くほど過酷である。現場の大気には微小粒子および酸化化合物が多く含まれている。化学検出システム10の設計により、これらの混乱因子に対する暴露および感度は減少したが、それらをなくすことは不可能である。気体センサ配列200に対して恒久的に質量が増加すると、または酸化誘発型ストレスが負荷されると、それがどのようなものであれ、静的流れ中のベースライン共鳴周波数に不可逆性のシフトが発生する原因となる。現場に設置されるまえに、気体センサ配列200の動作温度範囲全体にわたり摂氏1度の分解能を有する50個のベースライン読み取り値が増分「温度特性」として診断メモリ408に格納される。ベースライン読み取り値は、現行の周波数と元の特性データとを比較するために用いられる。特定の温度における「特性範囲」の外側への大きなシフトは異常状態と考えられる。
【0041】
診断ルーチンは、ステップS301において、周囲温度の読み取りを摂氏1度の制度で行うことにより開始される。実行中、センサインターフェイス回路402は、ステップ302で、算術平均の算出に用いる8個のセンサの順次読み取り値を報告し、気体センサ配列200のSensor1の符号がつけられている個々のセンサのベースライン共鳴周波数における好ましくないノイズを減らす。ステップS304では、条件文により、算出された平均値に対して絶対偏差試験が実行される。たとえば、平均ベースライン共鳴周波数が、その測定温度における特性データよりも5kHzを超えて大きい場合には、ステップS305で、異常状態が発せられる。異常状態は、上記のように報告される。異常が発せられない場合、実行が引き続き行われ、ステップS307〜S309で、同様のロジックにより上記の試験が気体センサ配列200の第二のセンサに適用される。診断メモリ408に格納されているコンフィグレーションデータの分解能は、摂氏50度の動作範囲における1度の分解能と一致しているので、温度と相関関係を有するベースライン周波数を算出するための内挿スキームを備える必要がない。これに代えて、それよりも優れた温度分解能または内挿スキームを採用してもよい。上記のルーチンが完了すると、ステップS310で、実行はスーパバイザ診断手続きに戻される。
【0042】
図5Aおよび図5Bは、気体センサ配列200のノイズ診断ルーチンを例示している。ノイズを有するセンサはシステムの完全性に害を及ぼす。気体センサ配列200上の蓄積粒子またはオーバレイヤの剥離により音響接続が劣化すると、連続計測において共鳴周波数に不規則なずれが生じる。(たとえば、+5KHzから+10KHzまでの)周波数スキップ、(たとえば、+50KHzを超える)不調和音、および(たとえば、+/−100Hzを超える)広帯域ノイズは、すべて、周知の現象であり、QCMの如き音波センサのノイズの定量に用いられる。
【0043】
ノイズ診断ルーチンに入ると、実行まえに、ステップS501で、データメモリ409内のmagnitudeレジスタとsample_countレジスタとの二つのレジスタが初期化される。このmagnitudeレジスタには、インラインしきい値演算の出力値が納められている。また、sample_countレジスタは、解析される必要のあるデータサンプルの総数を確定する。インラインしきい値演算は、32の連続したセンサ問い合わせの各々を検査し、最大値を保持する。ステップS502で、まず、気体センサ配列200のデータの取得から始められる。それが初期の問い合わせである場合、ステップS504で、その現在値が、bias_valueとしてデータメモリ409のメモリレジスタに格納される。それが初期の問い合わせでない場合、ステップS505に実行が進む。このbias_valueと現在値との間の差の絶対値が計算される。差の絶対値が算出される理由は、必要なのが偏差の程度であり、偏差の算術的な符号または方向ではないからである。この差の絶対値は、ステップS506で、magnitudeレジスタに格納されている値と比較される。差の絶対値がmagnitudeレジスタの値よりも大きければ、ステップS506〜S508で、この差の絶対値が、新しい最大値になり、magnitudeレジスタに格納されている前回の値と入れ替えられる。一つの繰り返しループにより、気体センサ配列200の32個の連続した読み込み値が比較され、並び替えられる。図5Aおよび図5Bに示されているフローチャートは単一のセンサの診断ロジックを表している。システム設計により示唆されているように、同一のロジックを複数のセンサに対して適用してもよい。さらに、当業者にとり明らかなように、本発明の精神から逸脱することなく、連続問い合わせ総数を著しく変更しうる。たとえば、繰り返し回数を減らすことにより、センサ診断を最適化しうる。
【0044】
繰り返しループを出ると、ステップS509〜S514で、残りの条件試験がノイズの大きさの定量を行う。その結果は,データメモリ409内の他のメモリレジスタに記録され、検出された排出物質の「完全性係数」を作成するために主実行可能プログラムにより用いられうる。この完全性係数を用いて異常状態の特性および程度(たとえば、周波数スキップ、不調和音、または広帯域ノイズ)を定量し、報告しうる。この診断ルーチンが完了すると、ステップS515で、実行は、スーパバイザ診断ルーチンのステップS110に戻される。異常状態は以上に記載したとおりに伝達されうる。この同一の診断ロジックを実測調査まえまたはその間に適用してもよい。実測調査まえに実行される場合、異常はセンサの劣化を表す。実測調査中にこのルーチンが適用されると、極めて変わりやすい気象状態(すなわち、過度の風速)に起因するサンプル採取異常に関連するような動作中の異常状態を表しうる。
【0045】
ここで、図6Aおよび図6Bを説明すると、飽和限界システム異常を診断する課題が具象化されている。上述したように、排出物質の濃度レベルが気体センサ配列200の飽和限界を超えると、センサに対して取り返しのつかない害を与え、化学検出システム10の性能を劣化させてしまう。飽和限界ポテンシャルは、気体センサ配列200の応答勾配を測定することにより検出される。この応答勾配は以下の式により定義される:
ΔR=ΔF/Δt(Hertz/秒)
ここで、
ΔR=応答勾配(Hertz/秒)であり、
ΔF=応答周波数の変化量(Hertz)であり、
Δt=時間の変化量(秒)である。
【0046】
特定の時間において応答勾配があるしきい値を超えると、異常状態がフラッグを用いて警告される。たとえば、好ましい実施例では、この値が200Hertz/secondである。ステップS601では、この大きさを算術平均で算出して、ランダムノイズの影響を削減する。ステップS602で、気体センサ配列200のベースライン読み取り値からの算術平均がデータメモリ409に格納される。マイクロコントローラ404が、バルブ駆動回路407を介して、排出バルブ134および気体サンプルバルブ130を開放する。両方のバルブを開放することにより、排出物質サンプルが希釈される。この希釈によって、気体センサ配列200が過度の排出物質に対して暴露されない。当業者にとり明らかなように、大気採取口および排出口から個別にサンプルを収集することは、飽和限界診断も実行する。続けて説明すると、ステップS604では、過度の暴露を行わずにかつ気体センサ配列200の応答時間を考慮して、5秒毎のタイミングで、ループが実行される。この5秒間の暴露が完了すると、平均暴露応答が算出される。ステップS605〜S606で、マイクロコントローラ404は、排出バルブ134および大気サンプル採取バルブ130を閉鎖し、暴露を終了させる。ステップS607〜S608で、応答勾配が算出され、しきい値を超えているか否かを判定する条件試験が実行される。この応答勾配が所定のしきい値を超えている場合、異常状態が確定され、診断メモリに408内に記録される。このことは、以上で記載されたとおりに報告される。ステップS609で異常状態が検出されなかった場合、実行は、スーパバイザ診断ルーチンにオペレーション戻す。このスーパバイザ診断ルーチンは、実行を主実行可能プログラム戻し、化学検出システム10は計測シナリオを進行させてもよい。
【0047】
本明細書で記載および例示された技術および構成に対してさまざまな修正および変更を加えてもよく、そのような修正および変更が、本発明の精神および範疇から逸脱することはない。したがって、本明細書で記載された方法および装置は、例示のみを意図し、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】化学検出システムの主要部分を示すブロック線図である。
【図1B】サンプル受け取りシステムの主要部分を詳細に示すブロック線図である。
【図1C】通信回路および制御回路の主要部分を詳細に示すブロック線図である。
【図2A】化学検出システムのスーパバイザ診断ルーチンのロジックを示すフローチャートである。
【図2B】化学検出システムのスーパバイザ診断ルーチンのロジックを示すフローチャートである。
【図3A】本発明の一つの実施例に従ってサンプル採取口の異常を評価する診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図3B】本発明の一つの実施例に従ってサンプル採取口の以上を評価する診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図4A】QCMにおける絶対周波数シフトの決定に用いられる診断ルーチンの処理方法を示すフローチャートである。
【図4B】QCMにおける絶対周波数シフトの決定に用いられる診断ルーチンの処理方法を示すフローチャートである。
【図5A】QCMのセンサノイズ診断ルーチンの処理方法を示すフローチャートである。
【図5B】QCMのセンサノイズ診断ルーチンの処理方法を示すフローチャートである。
【図6A】化学センサの飽和ポテンシャルを決定する診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図6B】化学センサの飽和ポテンシャルを決定する診断ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】熱力学条件の突然の変化に対するQCM化学センサの過渡的な応答挙動を図示している。
【符号の説明】
【0049】
10 排出物質検出システム
12 排出物質源
13 排出物質サンプルストリーム
15 サンプル成分
17 通信プロトコル
20 電気インターフェイス
30 圧縮空気源
32 大気サンプル採取口
34 排出物質サンプル採取口
40 プロセス制御システム
100 サンプル受け取りシステム
102 ボンネットカプセル
114 センサ室
130 バルブ
132 大気サンプルバルブ
134 排出バルブ
140 エジェクタ
144 調整器
200 気体センサ配列
400 制御モジュール
402 センサインターフェイス回路
404 マイクロコントローラ
406 プログラムメモリ
407 バルブ駆動回路
408 診断メモリ
409 データメモリ
410 温度センサ
800 通信インターフェイス回路
900 電力変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学検出システムを診断する装置であって、
排出物質源から排出物質を受け取るサンプル採取口を有する蓄積室と、前記蓄積室内に設置されている前記排出物質を検出する化学センサと、検出された前記排出物質を排出する排出口とを有している、排出物質の収集・検出用のサンプル受け取りデバイスと、
前記サンプル受け取りデバイスを制御する第一の動作モードと、診断ルーチンを実行する第二の動作モードと、を有している制御モジュールとを備え、
前記診断ルーチンは、前記化学検出システムへの排出物質の流れを確認することと、前記化学検出システムへの排出物質を含まない大気の流れを確認することと、前記化学検出システム内で前記化学センサの動作の妥当性を検査することとを含み、
前記制御モジュールは、前記第一の動作モードに入って計測シナリオを進行する前に、異常状態が存在するか否かを判定するために前記第二の動作モードに入って前記診断ルーチンを実行するよう構成され、
前記制御モジュールは、さらに、異常状態が存在すれば、前記第一の動作モードに入ることより優先して、プロセス制御システムと通信して異常状態の報告を行うよう構成されている、装置。
【請求項2】
前記第二の動作モードが、複数の排出物質濃縮物に対する制御された暴露を通じて前記化学センサから応答データを取得するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記診断ルーチンが、前記化学センサから応答データを取得し、該応答データ内のノイズを定量するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記診断ルーチンが、前記化学センサを恒久的に変化させることが可能な排出物質濃縮物の存在を決定すベく、前記化学センサに対して制御された暴露を実行することを含んでなる、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは、1以上の異常状態の存在を示すフラッグをメモリに保存するよう構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
化学検出システムを診断する方法であって、
排出物質源から排出物質を受け取るサンプル採取口を有する蓄積室と、前記蓄積室内に設置されている前記排出物質を検出する化学センサと、検出された前記排出物質を排出する排出口とを有している、排出物質の収集・検出用のサンプル受け取りデバイスを提供し、
前記サンプル受け取りデバイスを制御するよう構成された制御モジュールを提供し、
前記化学検出システムへの排出物質の流れを確認することと、前記化学検出システムへの排出物質を含まない大気の流れを確認することと、前記化学検出システム内で前記化学センサの動作の妥当性を検査することとを含む診断ルーチンを、異常状態が存在するか否かを判定すべく計測シナリオを進行する前に実行するために前記制御モジュールを使用し、
異常状態が存在すれば、前記化学検出システムが計測シナリオを進めるのを防ぐべく前記制御モジュールを使用して、プロセス制御システムと通信して異常状態の報告を行う、方法。
【請求項7】
前記化学センサの動作の妥当性を検査することは、複数の排出物質濃縮物に対する制御された暴露を通じて前記化学センサから応答データを取得することを含んでなる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記化学センサの動作の妥当性を検査することは、前記化学センサから応答データを取得し、該応答データ内のノイズを定量することを含んでなる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記化学センサの動作の妥当性を検査することは、前記化学センサを恒久的に変化させることが可能な排出物質濃縮物の存在を決定すベく、前記化学センサに対して制御された暴露を実行することを含んでなる、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記制御モジュールは、メモリにフラッグが保存されているかどうかを判定することにより、計測シナリオを進める前に異常状態が存在するかどうかを判定する、請求項6に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−109509(P2009−109509A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322531(P2008−322531)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【分割の表示】特願2003−560556(P2003−560556)の分割
【原出願日】平成14年11月18日(2002.11.18)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】