説明

化学物質検出装置

【課題】小型に構成可能な多重内部反射法を用いた化学物質検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の化学物質検出装置は、互いに対向する上面及び下面を有する半導体結晶基板を備え、当該半導体結晶基板は、下面に形成されている第1の凹条部及び第2の凹条部を有し、赤外光源で生成された赤外光は、第1の凹条部の一壁面である入射面から当該半導体結晶基板の内部に入射し、第2の凹条部の一壁面である出射面から当該半導体結晶の外部に出射され、赤外検出器により検出される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質検出装置に関し、特に、赤外多重内部反射法により化学物質の同定及びその定量化を行なう化学物質検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質の種類を同定し、あるいは定量化することは、様々な局面において要請されている。イオン発生装置を備えた空気清浄機においては、空気中のイオンを測定・管理できることが好ましい。
【0003】
イオン発生装置においては、例えば放電電極に電圧が印加され放電することでイオンが発生される。このようなイオン発生装置によると、イオン発生直後に空気中の水分子がイオンに付加し、例えば特許文献5に示すようなH(HO)m(mは0または任意の自然数)であるプラスイオンと、O(HO)n(nは0または任意の自然数)であるマイナスイオンが放出される。化学物質検出装置により、このようなイオンが精度良く測定されることが期待される。
【0004】
従来、空気中のイオンを検出する方法としては、ゲルディエン法(Gerdien Condenser)を原理とする二重円心円筒や、これを応用した平行平板型のものが主流であった。前者の測定技術に関する文献としては、例えば非特許文献1がある。また、後者の例としては特許文献1などに示す装置が代表的である。これらの方法は電界をかけた二重円筒や板に対して垂直方向に送り込む気体中のイオンを電気的に捕らえることにより検出するため、精度良く検出するためにはイオンが検出部を十分な移動度で走行する必要があり、移動度の小さなイオン、すなわち、イオンが大きくなるほど測定が困難になる特徴がある。
【0005】
電気的な作用を利用することなく気体中の微粒子を検出する方法として、微粒子もしくは微粒子群に直接レーザ光を照射してその散乱光を観測し検出する特許文献2や3に示す方法などがある。さらには、フィルタに付着させる方法や、特許文献4に示すように大気を吸引して透明部材に気体中の粒子を付着させ、その部材に垂直に入射させた光もしくはレーザ光の透過率を監視する方法も提案されている。ただし、光の散乱を検出するには屈折率の変動を伴う密度が必要になり、また光の波長程度以上の大きさの微粒子でなければ検出できないという問題がある。したがって、紫外光やX線などの人体にも有害な光を使わなければ、ナノメートルレベルの極微小なイオンなどを検出することができない。これらの光は、高エネルギーであるため検出対象の微粒子そのものを変化させてしまう可能性もある。
【0006】
その他に、赤外分光法も、無機化合物あるいは有機化合物の赤外活性種の化学組成分析に広く利用されている。この赤外分光法の感度を上げる方法として、多重内部反射法が知られている(非特許文献2、3、特許文献6参照)。
【0007】
特許文献6に開示されている、多重内部反射法を用いた化学物質検出方法においては、結晶基板表面上に付着した化学物質の官能基による赤外吸収から、化学物質の付着量を測定し、その付着量に基づいて大気中における化学物質の濃度を算出することができる。
【0008】
多重内部反射法では、光が屈折率の異なる2種類の媒質の界面において、屈折率の大きい媒質側から入射する時に全反射を起こす現象を利用している。半導体の屈折率が空気や真空に比して大きいため、平板状の半導体結晶の側面から結晶内に入射した赤外線は結晶内で全反射を多数回繰り返しながら進行する。全反射するときに表面から波長程度外側にエバネッセント波と呼ぶ染み出しがあり、結晶表面上に付着又は吸着物があると、その物質によってエバネッセント波が吸収を受け、表面吸着種の検出と同定ができる。この方法は、結晶基板表面上の1原子層以下の超微量の元素を検知できる高い検出感度を有する。
【0009】
この方法の利点として、反射回数を多くすることにより表面感度を高くできることや、赤外線が結晶内部を進行するために、様々な測定環境に対応できることが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−4786号公報
【特許文献2】特開平4−177149号公報
【特許文献3】特開2005−62055号公報
【特許文献4】特開2003−329587号公報
【特許文献5】特開2002−58731号公報
【特許文献6】特開2003−156440号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】中江茂;エアロゾル研究 Vol.2(2) P.111-6 (1987)
【非特許文献2】Y.J.Chabal;Surface Science Reports 8 P.211 (1988)
【非特許文献3】G.S.Higashi et al.;Applied Physics Letters 56 P.656 (1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献5に開示されているようなイオン発生装置によって発生するイオンは水分子をクラスター化したクラスターイオンであり、このようなクラスターイオンは水分子のO−H結合が赤外活性を有するため、特許文献6に開示された化学物質検出方法によって検出することが可能である。
【0013】
しかしながら、上記検出方法を採用した従来の化学物質検出装置は、空気調和器や空気清浄機に組み込むまれることを前提に構成されていないため、装置が大型化してしまう可能性や、空気中の埃や塵により測定精度が低下してしまう可能性があった。
【0014】
本発明は、空気調和器や空気清浄機で発生するイオンを空気調和器や空気清浄機で発生するイオンの検出に用いることができる多重内部反射法を用いた化学物質検出装置であって、空気調和器や空気清浄機に組み込みやすいような小型に構成可能な化学物質検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の化学物質検出装置は、互いに対向する上面及び下面を有する半導体結晶基板と、当該半導体結晶基板に入射する赤外光を生成する赤外光源と、当該半導体結晶基板の内部で、上面と下面での反射を複数回繰り返した後に当該半導体結晶基板より出射する赤外光を検出する赤外検出器と、当該赤外検出器での検出結果に基づいて、当該半導体結晶基板の上面及び/又は下面に付着した化学物質を分析する分析手段とを備え、当該半導体結晶基板は、下面に形成されている第1の凹条部及び第2の凹条部を有し、当該赤外光源で生成された赤外光は、第1の凹条部の一壁面である入射面から当該半導体結晶基板の内部に入射し、第2の凹条部の一壁面である出射面から当該半導体結晶の外部に出射され、当該赤外検出器により検出される。
【0016】
本発明の好ましい形態は、上記赤外光源および上記赤外検出器を収納する上部が開口している筐体を有し、上記半導体結晶基板は、当該筐体の上部の開口を封止するように配置されている。
【0017】
本発明は、さらに、補正用の赤外光を生成する補正用光源を備え、補正用の赤外光は、上記入射面から半導体結晶基板の内部に入射するように構成されていてもよい。
【0018】
本発明において、上記赤外光源は、好ましくは、半導体レーザ又は発光ダイオードである。
【0019】
本発明は、さらに、上記半導体基板結晶の、第1の凹条部と第2の凹条部との間の下面に接するように配置された電極を備えるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、赤外吸収スペクトル測定用の半導体結晶基板をそのまま化学物質検出装置の外殻の構成の一部とすることができるため、別途半導体結晶基板を保持するための保持部材が不要であり、化学物質検出装置全体を小型化することができる。
【0021】
また、装置内部は光学系を備えるため、塵埃等が侵入しないように密閉する必要があるが、この構成によると、半導体結晶基板を装置の外殻の蓋とすることで、外殻と半導体結晶基板の接合部分が簡素化され、容易に密閉状態を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】多重内部反射法による化学物質測定方法の原理を説明する模式図である。
【図2】実験用のイオン発生検出システムの構成を示す模式図である。
【図3】図2の入射集光光学系を示す模式図である。
【図4】シリコンプリズムの端面における赤外光の集光の様子を示す図である。
【図5】イオン発生装置の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】イオン発生装置により発生したイオンの質量分析結果を示す図である。
【図7】イオン発生検出システムにおける赤外吸収スペクトルの検出結果を示す図である。
【図8】イオンと純水との赤外吸収スペクトルの検出結果を示す図である。
【図9】半導体結晶基板の種類による赤外透過強度スペクトルを示す図である。
【図10】第1の実施形態の化学物質検出装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図11】図10の化学物質検出装置における出力スペクトルの概略図である。
【図12】シリコンプリズムにおける凹条部の形成方法を示す断面図である。
【図13】シリコンプリズムと電極の関係を模式的に示す下面斜視図である。
【図14】参考形態の化学物質検出装置の概略構成を示す断面図である。
【図15】第2の実施形態の化学物質検出装置の部分的な構成を示す模式図である。
【図16】イオン発生検出システムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
最初に、本発明に係る赤外光による多重内部反射法による化学物質検出方法の原理について図面を参照して説明する。
【0024】
[多重内部反射法]
図1は、多重内部反射法による化学物質測定方法の原理を説明する模式図である。ここでは、本発明に係る半導体結晶基板とは異なる形状の半導体結晶基板を図示するが、測定原理は本発明に係る化学物質検出装置においても同様である。図1(a)に示すようにシリコンウエハ102から、厚さ500μm、長さ30mmの半導体結晶基板であるシリコンプリズム100を切り出す。シリコンプリズムの長さは、例えば15〜50mmとすることができる。図1(b)に、シリコンプリズム100の断面図を示す。シリコンプリズム100は、面100dと面100cとは互いに対向し平行である。端面100aと端面100bは、面100dに対して斜め45°のテーパー状となるように加工されている。
【0025】
端面100aからシリコンプリズム100の内部に入射した赤外光は、面100cと面100dを全反射しながら進行し、端面100bから出射される。この現象を多重反射と呼ぶが、各反射の際に反射面となる面100c及び面100dでシリコンプリズム100の外へエバネッセント(Evanescent)波が染み出す。この染み出した領域をエバネッセント領域と呼ぶ。図1(b)に一つのエバネッセント領域101を拡大して示す。エバネッセント領域101は、面100cからその数μm上方に至る範囲である。このエバネッセント領域101に付着又は吸着した物質は特有の結合エネルギーに応じた波数の光を吸収するため、反射毎に繰り返し同一の吸収を重ねることで、出射光として高い感度の吸収波形が得られる。
【0026】
[イオン発生検出システムの実験]
まず、図1に示すシリコンプリズム100を用いてイオン発生装置により発生されるイオンを多重内部反射法により検出する実験を行なう。かかる実験結果は、本発明を実施する化学物質検出装置の具体的な構成を検討するために利用する。
【0027】
図2は、この実験を行なうために組み立てるイオン発生検出システムの構成を示す模式図である。図2に示すイオン発生検出システムは、イオン発生装置30と、その下方にシリコンプリズム100とを備え、さらに、平面鏡121と凹面鏡122とを備える入射集光光学系と、平面鏡123と凹面鏡124とを備える出射集光光学系と、赤外検出器117とを備える。赤外検出器117としては、液体窒素冷却HgCdTe(MCT)検出器を使用する。
【0028】
イオン発生装置30とシリコンプリズム100の間には、テフロン(登録商標)製の筒状体112が配置さる。筒状体112は、シリコンプリズム100及びイオン発生装置30とはOリング113を介して接触するように配置され、筒状体112の内部は密閉された測定空間が形成される。測定空間には、大気組成に近い、二酸化炭素(CO)5%、酸素(O)21%、窒素(N)74%の混合ガスを水分捕集器に通して除湿し湿度がほぼ0%となるように調整した乾燥空気が導入される。
【0029】
図2に示すイオン発生検出システムでは、不図示の光源より出射された赤外光110が平面鏡121及び凹面鏡122で反射され、端面100aよりシリコンプリズム100の内部に入射する。入射した赤外光は、面100dおよび面100cで全反射を繰り返して、端面100bより出射された後、凹面鏡124及び平面鏡123により集光され赤外検出器117により検出される。面100dの大部分は測定空間に露出しており、面100dではエバネッセント領域101に付着している化学物質による吸収を受け、赤外検出器117で検出される赤外光の吸収スペクトルに影響を与える。赤外検出器117で検出された吸収スペクトルは、不図示の分析手段により分析され、面100dに付着している化学物質の同定、定量などの分析がなされる。
【0030】
筒状体112は、内壁に凸部112aを備え、凸部112a上に水滴114をセットできるように構成されている。水滴114は、測定空間で気化し、イオン発生装置30によりイオン化され、または発生したイオンに付加してクラスターを構成する。
【0031】
測定空間中にイオンが発生すると、その一部がシリコンプリズム100の面100dに付着する。シリコンプリズム100の面100dのエバネッセント領域101に付着したイオンは、上記にて説明したように、赤外検出器117で検出される赤外光の吸収スペクトルに影響を与えるので、その吸収スペクトルを解析することにより、シリコンプリズム100の面100dに付着したイオンに関する情報を得ることができる。
【0032】
図3は、図2に示すイオン発生検出システムの入射集光光学系の位置関係の詳細を示す図である。イオン発生検出システムでは、シリコンプリズム100の端面100aに正確に像が結ばれるように、入射集光光学系は高精度に設計される必要がある。凹面鏡122として曲率半径が50mmの凹状反射面を有するものを用い、入射集光光学系の平面鏡121及び凹面鏡122は、シリコンプリズム100の中心軸Z1から距離L1の位置に配置される。平面鏡121により下方へ反射された赤外光が凹面鏡122の表面に直径6.5mm程度の像を結び、その像(虚像)は凹面鏡122により反射されシリコンプリズム100の端面100aに実像を結ぶ。
【0033】
図4は、計算結果に基づく、シリコンプリズム100の端面100aにおける赤外光の集光の様子を示す図である。図4は、凹面鏡122の凹面上の最外径6.5mmの同心円状の像に対するシリコンプリズム100の端面100a上の結像の形を計算した結果であり、横長の楕円形に集光することがわかる。シリコンプリズム100の端面100aが10mm程度の長さで0.7mm程度の幅を持った横長形であることを考慮すると、点状の集光よりむしろ好ましい集光状態となっている。
【0034】
シリコンプリズム100の形状や大きさの僅かな違いにより、赤外光の集光状態が変化する。したがって、できるだけ光強度を大きくして、赤外検出器117によって検出されるスペクトルのS/N比を増大させることが好ましい。また、S/N比を増大させるためには光学系の微調整が必要となることがあるので、シリコンプリズム100のホルダー(不図示)や平面鏡121、123及び凹面鏡122、124のホルダーに微調整機能を備えておくことが好ましい。
【0035】
図5は、図2に示したイオン発生装置30の構成の詳細を模式的に示す平面図である。イオン発生装置30は、二つのイオン発生部31、32が保持体33により保持されている構成である。保持体33の内部には、イオン発生部31、32に電圧を印加する給電部(不図示)が設けられている。給電部からイオン発生部31、32に電圧が印加されることによってイオン発生部31、32がイオンを発生する。
【0036】
イオン発生部31、32は、針状の放電電極31a、32aと、放電電極31a、32aを囲むように配置された誘電電極環31b、32bとを有している。放電電極31a、32aはそれぞれ誘電電極環31b、32bの中心部に配されている。以下に説明するように、イオン発生部31、32の一方が正イオンを発生し、イオン発生部31、32の他方が負イオンを発生するように構成されている。イオン発生部31、32から発生するイオンの極性を所定時間毎に切り替えることもできる。
【0037】
イオン発生部31、32の一方には正電圧が印加され、放電によるプラズマ領域で空気中の水分子が電気的に分解して主として水素イオンHが生成される。そして、生成された水素イオンの周りに空気中の水分子が凝集し、正のクラスターイオンH(HO)が形成される。ここで、mは0または任意の自然数である。
【0038】
イオン発生部31、32の他方には負電圧が印加され、放電によるプラズマ領域で空気中の酸素分子が電気的に分解して主として酸素イオンOが生成される。そして、生成された酸素イオンの周りに空気中の水分子が凝集し、負のクラスターイオンO(HO)が形成される。ここで、nは0または任意の自然数である。以下、「正イオン」というときは正のクラスターイオンを意味し、「負イオン」というときは負のクラスターイオンを意味するものとする。正負のクラスターイオンの生成は飛行時間分解型質量分析法により確認することができる。
図6は、図5に示すイオン発生装置30より発生した正イオンと負イオンの飛行時間分解型質量分析法による質量分析結果を示す。この質量分析結果のピークは、水分子のクラスターイオンが発生していることを示している。図6(a)は正イオンの質量分析結果を示し、図6(b)は負イオンの質量分析結果を示す。図6に示す結果から、上記した「正イオン」及び「負イオン」として様々なm、nの値をとり得ることがわかる。
【0039】
図7は、図2に示すイオン発生検出システムにおいて、イオン発生装置30のON/OFFの状態、及びON/OFFを切り換えてからの時間による赤外吸収スペクトルの検出結果を示す。図7に示すように、イオン発生装置30をONにする(「PCI ON」と表記する)と、3200〜3500cm−1付近にピークを持つO−H伸縮振動及び1640cm−1付近にピークを持つO−H変角振動の赤外吸収スペクトルが観察される。これは、イオン発生装置30の駆動によって生じた水分子のクラスターイオンがシリコンプリズム100の表面に付着したことを示している。一方、イオン発生装置をOFFにする(「PCI OFF」と表記する)と、時間の経過とともに3200〜3500cm−1付近のピークと、1640cm−1付近のピークが共に減少し、水分子のクラスターイオンがシリコンプリズム100の表面から脱離することがわかる。
【0040】
図8は、図2に示すイオン発生検出システムにおいて、イオン発生装置30をONにして20時間経過した後の赤外吸収スペクトルの検出結果と、イオン発生装置30をOFFにして、代わりにシリコンプリズム100の面100dに純水を付着させた状態での赤外吸収スペクトルの検出結果とを示す。二つのスペクトルの形状は似ているが、イオン発生装置30でイオンを発生させている場合は、O−H伸縮振動由来ピークの低周波数側の強度が純水に比べて小さいことがわかる。このことは、多重内部反射法により、水分子のクラスターイオンの同定が可能であることを示している。
【0041】
図9は、(a)長さ30mmで厚さ500μmのシリコンプリズム(抵抗率5−10Ω・cm)と、(b)長さ15mmで厚さ500μmのシリコンプリズム(抵抗率5−10Ω・cm)と、(c)長さ30mmで厚さ650μmのガリウム砒素プリズム(抵抗率1×10Ω・cm以上)とをそれぞれ用いて、赤外光を多重内部反射させて赤外透過強度スペクトルを検出した結果を示す。各プリズムの入射面及び出射面は、下面に対して45°となるように加工されているものを用いる。それぞれの赤外透過強度スペクトルは最大強度で規格化を行なっている。
【0042】
(a)の場合、図9の(a)のスペクトルに示すように、1500cm−1以下の波数領域ではシリコンの格子吸収や自由キャリアによる吸収により赤外光がほとんど透過しない。そのため、低波数領域まで測定するためには、プリズムの長さを短くし、シリコンによる赤外光の吸収を抑えなければならない。
【0043】
(b)の場合、図9(b)のスペクトルに示すように、1000cm−1付近まで赤外光が透過する。一方、(c)のガリウム砒素プリズムの場合、プリズムの長さが(a)と同じであっても、図9(c)のスペクトルに示すように1000cm−1以下まで赤外光を透過させることができ、低波数領域まで測定することが可能である。しかし、ガリウム砒素結晶の表面はシリコン結晶の表面と比べて化学的に不安定であり、室内環境などにおいて好ましくない砒素酸化物が発生する。したがって、プリズム表面では安全性を確保するために適当な表面処理が必要である。
【0044】
[実施形態]
(化学物質検出装置)
本発明に係る化学物質検出装置は、上記にて説明した多重内部反射法による測定方法を用いるものである。以下、本発明の第1の実施形態の化学物質検出装置の詳細について説明する。第1の実施形態の化学物質検出装置においては、上記の実験結果に基づいて、図5に示したイオン発生装置30で発生されるイオンの検出に適した構成とする。
【0045】
図10は、第1の実施形態の化学物質検出装置の構成を模式的に示す断面図である。化学物質検出装置3は、図5に示したイオン発生装置で発生されたイオンを検出するのに適した構成を採用している。
【0046】
化学物質検出装置3は、シリコンプリズム12、測定用の赤外光を生成する測定用半導体レーザ7a、補正用の赤外光を生成する補正用半導体レーザ7b、測定用の赤外光を検出する測定用赤外検出器4a、補正用の赤外光を検出する補正用赤外検出器4b、シリコンプリズム12の下面12aに配置された一対の電極11を備える。さらに、測定用半導体レーザ7aの作動を検知すると共に強度検出するプリズム反射光測定用赤外検出器13a、および補正用半導体レーザ7bの作動を検知すると共に強度検出する補正用のプリズム反射赤外検出器13bを備える。そして、測定用半導体レーザ7a、補正用半導体レーザ7b、測定用赤外検出器4a、補正用赤外検出器4b、プリズム反射光測定用赤外検出器13a、補正用のプリズム反射赤外検出器13b、および電極11へ供給される電源を制御する制御部9を備える。
【0047】
測定用半導体レーザ7a、補正用半導体レーザ7b、測定用赤外検出器4a、補正用赤外検出器4b、プリズム反射光測定用赤外検出器13a、補正用のプリズム反射赤外検出器13b、および制御部9は、断面コの字型で上部が開口している筐体5の内部に収納されている。シリコンプリズム12は、筐体5の上部の開口を封止するように配置されており、筐体5内部に直方体の密閉空間が形成される。つまり、シリコンプリズム12は、下面12aが筐体5の内部に露出し、上面12bが筐体5の外部に露出するように配置されている。
【0048】
シリコンプリズム12は、上面12bと下面12aが平行な平板であり、下面12aに二つの凹条部22、23が形成されている。凹条部22、23は、シリコンプリズム12の内部における赤外光の進行方向に対して垂直方向に延在するように形成されている。凹条部22の壁面の内、シリコンプリズム12の中心側の壁面22aは赤外光の入射面となり、凹条部23の壁面の内、シリコンプリズム12の中心側の壁面23aは赤外光の出射面となる。凹条部22、23の形状は限定されないが、それぞれの中心側の壁面22a、23aは入射した赤外光がプリズム上面12bで全反射する条件を満たす角度と同一である。また、凹条部22は、測定用半導体レーザ7a、補正用半導体レーザ7bから出射される赤外光が、遮られることなく入射面となる壁面22aに入射するために十分な空間を形成しているものであり、凹条部23は、壁面23aから出射された赤外光が遮られることなく測定用赤外検出器4aまたは補正用赤外検出器4bに入射するために十分な空間を形成しているものとする。
【0049】
本実施形態においては、赤外光の入射面となる壁面22aおよび赤外光の出射面となる壁面23aが、シリコンプリズム12の最端部に位置することなく、さらに壁面22a、23aの形成位置を適宜調整することにより、測定用半導体レーザ7a、補正用半導体レーザ7b、測定用赤外検出器4a、補正用赤外検出器4b、プリズム反射光測定用赤外検出器13a、補正用のプリズム反射赤外検出器13bの配置位置がシリコンプリズム12の幅の範囲内であるように構成することができる。したがって、図10に示すような、上面全体がシリコンプリズム12からなる直方体の密閉空間内に、構成要素の全てを配置した化学物質検出装置3を構成することができる。
【0050】
化学物質検出装置3の内部は、塵埃や、他の化学物質の侵入により、赤外光の無用な吸収や擾乱を避けるために、密閉されている構成が好ましい。本実施形態の化学物質検出装置3においては、筐体5とシリコンプリズム12とを密着させ、筐体5内の空間を密閉する。この密閉空間は、赤外光の無用な吸収や擾乱を避けるため、乾燥空気、乾燥窒素を封入するか、又は、真空とする。
【0051】
測定用半導体レーザ7aは、波数3200〜3500cm−1(波長2.8〜3.1μm)の赤外光を生成する。この波数は、図8に結果を示した実験でも検出されているように、水分子のO−H伸縮振動のエネルギーに対応する波数であり、クラスターイオンに関する情報を得ることができる波数である。測定用赤外検出器4aは、中赤外に感度を持つ半導体型光電素子であるインジウム砒素(InAs)ディテクター、または硫化鉛(PbS)ディテクターを受光素子とし、その出力強度を測定する。補正用半導体レーザ7bは波数4250cm−1(波長2.35μm)の赤外光を生成する。これは、図7及び図8にも示すように、水分子による実質的な赤外吸収がない領域の波数である。
【0052】
測定用赤外光の赤外吸収の強度と、補正用赤外光の赤外吸収の強度を、測定用赤外検出器4aおよび補正用赤外検出器4bにより常に同時に測定する。それぞれの出力値を制御部9に入力し、制御部9にて測定用赤外光の赤外吸収の強度から、補正用赤外光の赤外吸収の強度をバックグラウンドとして差し引き、その出力値を赤外吸収の検出値とする。これにより、半導体レーザ等の揺らぎによる影響を排除することができる。
【0053】
図11は、この機構を用いた出力スペクトルの概略図を示す。なお、補正用半導体レーザ7bおよび補正用赤外検出器4bは必須ではないが、このように半導体レーザ等の揺らぎによる影響を排除することができるので、より精度の高い検出のために、配置されていることが好ましい。また、プリズム反射光測定用赤外検出器13aおよび補正用のプリズム反射赤外検出器13bは、プリズム表面12bでの検出赤外光吸収量を算出すると共に誤動作の確認を容易にすることから配置されている。
【0054】
測定用光源、補正用光源としては限定されないが、上記した半導体レーザや、発光ダイオードが、小型であるため好ましく用いられる。光学測定では、熱が感度や精度において問題となるため、光源としての半導体レーザ又は発光ダイオード、更に赤外検出器の受光素子に、ペルチェ素子を用いた冷却手段を設けることが好ましい場合がある。発光側、受光側いずれにおいても、半導体素子は、高熱に伴う格子結合の揺らぎから、伝導率が低下する傾向があるが、冷却によってそれを抑え、光出力や光感度が向上する。素子の選択や十分な放熱能力を確保することでコンパクトな構造にすることも可能である。
【0055】
図12は、本実施形態のシリコンプリズム12における凹条部22、23の形成方法の一例を模式的に示す断面図である。図12に示す方法においては、半導体プロセスを利用して凹条部22、23を形成する。図12に示す方法では、まず、両面が研磨され平行なシリコン基板20を用意してこれを熱酸化処理し、約1μmの厚みのシリコン酸化膜21を両面に形成する(図12(a))。
【0056】
次に、シリコン基板20の下面に、レジスト材料を塗布してフォトリソグラフィーで凹条部22、23の位置をパターン形成する(不図示)。その後、パターンにしたがって凹条部22、23の位置のシリコン酸化膜21を5%フッ化水素酸水溶液などで取り去った後に(図12(b))、90℃に保った25%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液に浸漬して凹条部22、23を形成する(図12(c))。かかる浸漬により、シリコン基板20の表面が非等方エッチングされる。ここでは、シリコン基板20の(111)面が他の面よりエッチングが遅いため、エッチング部分である凹条部22、23の壁面は下面に対して約125.3°の角度に形成される。最後に、5%のフッ化水素酸でエッチングの際にマスクとして用いたシリコン酸化膜21および表面酸化膜を全て除去する(図12(d))。
【0057】
エッチングにより形成した凹条部22、23の底部と、シリコン基板20の上面との厚さは約50μmである。また凹条部22の壁面22aと凹条部23の壁面23aとの間の下面の距離は40mm程度となるようにする。40mm程度であれば十分な強度の赤外吸収が得られる。なお、測定系によっては40mm以下に構成することも可能である。このように凹条部22、23を形成したシリコン基板20は、図12(e)に示すように、図10に示す化学物質検出装置3のシリコンプリズム12として用いることができる。
【0058】
図13は、本実施形態のシリコンプリズム12と電極11の関係を模式的に示す下面斜視図である。本実施形態においては、シリコンプリズム12の下面12aに金薄膜からなる一対の電極11が配置されている。直流電流源14により、一対の電極11間に電圧を印加し、抵抗体として作用するシリコンプリズム12を表面温度が約40℃となるように加熱して、シリコンプリズム12の上面12bに付着した化学物質の脱離を促す。シリコンプリズム12は大きな抵抗体であることから、表面温度が100℃以上となるように加熱することも可能であるが、リフレッシュ用には40℃まで加熱すれば十分である。なお、電流の方向および印加電圧を調整することにより、シリコンプリズムの上面12bに付着した化学物質を制御、同定することも可能である。
【0059】
クラスターイオンの検出はシリコンプリズム12の上面へのクラスターイオンの吸着又は付着に基づく検出であるため、継続して使用した場合はシリコンプリズム12の上面への吸着又は付着した微粒子が堆積し、検出精度と感度が低下するおそれがある。光学補正機構によってその補正を行なうことも可能であるが、特に使用回数が増えた場合には上記のように電極11に電圧を印加してリフレッシュすることで検出精度と感度の維持ができる。
【0060】
図14は、図10に示す化学物質検出装置との対比のために参考形態の化学物質検出装置の概略構成を模式的に示す断面図である。図14に示す化学物質検出装置118においては、一方の端面から赤外光を入射させて他方の端面から赤外光を出射させる構成のシリコンプリズム116を用いている。また、制御部144が筐体119の外部に別に設けられている構成である。さらに、シリコンプリズムの下面に電極が配置されていない構成である。入射光学系及び出射光学系は、図10に示す第1の実施形態の化学物質検出装置と同じである。
【0061】
図14に示す化学物質検出装置118では、シリコンプリズム116により筐体119の上部の開口部全体を覆うことができないので、シリコンプリズム116が延在しない領域は他の平板部材145で覆うように構成する必要がある。このような構成においては、図10に示す本実施形態の化学物質検出装置3のようにシリコンプリズム12で上部全体が覆われている構成と比較して上部に隙間が生じやすく、筐体119内部への埃塵の混入が生じやすい。
【0062】
図14に示す化学物質検出装置118では、制御部144が筐体の外部に別に設けられているので装置全体が大型化しやすく、また配線の故障が生じやすい。
【0063】
図14に示す化学物質検出装置118では、電極が配置されていないのでシリコンプリズム116の表面の付着物を簡単に取り除くことが難しく、効率よく検出を行なう動作が難しくなる場合がある。
【0064】
図15は、図10に示す化学物質検出装置における入射光学系を改変した第2の実施形態の化学物質検出装置の部分的な構成を示す模式図を示す。なお、図15においては、化学物質検出装置全体の図示を省略する。省略されている部材は、図10に示す化学物質検出装置3と同じである。
【0065】
図15に示す化学物質検出装置は、入射光学系にハーフミラー15を備え、測定用半導体レーザ7aからの赤外光はハーフミラー15を透過して入射面である壁面22aに入射するとともにハーフミラー15で反射してプリズム反射光測定用赤外検出器13aに入射する。補正用半導体レーザ7bからの赤外光はハーフミラー15で反射して壁面22aに入射するとともにハーフミラー15を透過して補正用のプリズム反射赤外検出器13bに入射する。ハーフミラー15を用いるか否かは化学物質検出装置全体の形状や大きさ等に関わる。ハーフミラー15を用いた場合には光が反射側も透過側も減衰することになるため光学設計次第で十分な出力の半導体レーザが必要になる。
【0066】
第1、第2の実施形態の化学物質検出装置いずれにおいても、半導体結晶基板としてシリコンプリズムを用いたが、他の材料からなる半導体結晶基板であっても用いることができる。例えば、図9に示したようにガリウム砒素を用いることも可能である。
【0067】
(イオン発生検出システム)
図16は、イオン発生装置と化学物質検出装置とを備えたイオン発生検出システムを模式的に示す断面図である。イオン発生検出システム40においては、第1の実施形態の化学物質検出装置3をイオン検出装置として使用している。イオン発生検出システム40は、化学物質検出装置3と、イオン発生装置30と、イオン発生装置30で発生されたイオンが化学物質検出装置3を経由して外部空間に放出されるように、イオンの流れをコントロールする流路調整部材43を備える。
【0068】
イオン発生装置30で生成されたイオンは、流路調整部材43内の鉛直方向の空洞部43aに放出され、外部から送りこまれる空気とともに化学物質検出装置3の上面に送り込まれた後、流路調整部材43の垂直方向の空洞部43bを経由してイオン発生検出システム40の外部空間に放出される。流路調整部材43の空洞部43aは外部気体の入り口部分に水滴不透過膜41を備え、ここで水滴が吸収されることにより流路調整部材43内には乾燥した気体が送りこまれる。化学物質検出装置3は、赤外吸収スペクトルを検出してイオン発生装置30で生成されたイオンの同定や定量等を行なう。
【0069】
赤外吸収スペクトルの検出値は、以下の方法により、シリコンプリズム12の表面に接する空間におけるクラスターイオンの濃度に換算できる。まずは、予め赤外吸収スペクトルの検出値と、シリコンプリズム12の表面に接する空間におけるクラスターイオン濃度の相関をとり、検量線を作成し、その情報を制御部9内に保持する。検量線の作成は、イオン発生検出システムにより赤外吸収スペクトルの検出値を得るとともに、同条件で他のイオン濃度測定方法によりクラスターイオン濃度を測定することで行う。次に、制御部9において実際に検出した赤外吸収スペクトルの検出値を検量線に基づきクラスターイオン濃度に換算する。なお、シリコンプリズムの長さや、光学系が検量線の作成時と変わると、赤外吸収の条件が変わってしまい正確にクラスターイオンの濃度を測定することができない。したがって、検量線作成時と同じ条件で赤外線吸収スペクトルを検出する必要がある。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
3 化学物質検出装置、4a 測定用赤外検出器、4b 補正用赤外検出器、5 筐体、7a 測定用半導体レーザ、7b 補正用半導体レーザ、9 制御部、11 電極、12 シリコンプリズム、13a プリズム反射光測定用赤外検出器、13b 補正用のプリズム反射赤外検出器、14 直流電流源、15 ハーフミラー、17 赤外検出器、20 シリコン基板、21 シリコン酸化膜、22,23 凹条部、30 イオン発生装置、31,32 イオン発生部、31a,32a 放電電極、31b,32b 誘電電極環、33 保持体、40 イオン発生検出システム、41 水滴不透過膜、43 流路調整部材、100 シリコンプリズム、101 エバネッセント領域、102 シリコンウエハ、110 赤外光、112a 凸部、112 筒状体、113 Oリング、114 水滴、116 シリコンプリズム、117 赤外検出器、118 化学物質検出装置、119 筐体、121,123 平面鏡、122,124 凹面鏡、144 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する上面及び下面を有する半導体結晶基板と、
前記半導体結晶基板に入射する赤外光を生成する赤外光源と、
前記半導体結晶基板の内部で、前記上面と前記下面での反射を複数回繰り返した後に前記半導体結晶基板より出射する赤外光を検出する赤外検出器と、
前記赤外検出器での検出結果に基づいて、前記半導体結晶基板の前記上面及び/又は前記下面に付着した化学物質を分析する分析手段とを備え、
前記半導体結晶基板は、前記下面に形成されている第1の凹条部及び第2の凹条部を有し、
前記赤外光源で生成された赤外光は、第1の凹条部の一壁面である入射面から前記半導体結晶基板の内部に入射し、第2の凹条部の一壁面である出射面から前記半導体結晶の外部に出射され、前記赤外検出器により検出される、化学物質検出装置。
【請求項2】
前記赤外光源および前記赤外検出器を収納する、上部が開口している筐体を有し、
前記半導体結晶基板は、前記筐体の前記上部の開口を封止するように配置されている、請求項1に記載の化学物質検出装置。
【請求項3】
補正用の赤外光を生成する補正用光源を備え、
補正用の前記赤外光は、前記入射面から前記半導体結晶基板の内部に入射する、請求項1または2に記載の化学物質検出装置。
【請求項4】
前記赤外光源は、半導体レーザ又は発光ダイオードである、請求項1〜3のいずれかに記載の化学物質検出装置。
【請求項5】
前記半導体基板結晶の、第1の凹条部と第2の凹条部との間の前記下面に接するように配置された電極を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の化学物質検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−169738(P2011−169738A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33671(P2010−33671)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】