説明

化学的および/または電気化学的な処理のための装置内でプレート状の基板を搬送するための装置

本発明は、化学的および/または電気化学的な処理、特に導電性の層の無電解めっきするための装置(8)内においてプレート状の基板(10)を搬送するための装置であって、該装置(8)が、回転する少なくとも1つの搬送エレメント(14)を有していて、該搬送エレメント(14)が、少なくとも部分的に鉱物ガラスから成っていて、搬送エレメント(14)の搬送部分(20)が、プレート状の基板(10)のための回転対称的な少なくとも1つの載置エレメント(34;44)により形成されていて、載置エレメント(34;44)が、搬送エレメント(14)上に被せ嵌められているか、または収縮嵌めされていることを特徴とする、化学的および/または電気化学的な処理のための装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の特徴を有する、化学的および/または電気化学的な処理、特に導電性の層を無電解めっきのための装置内でプレート状の基板を搬送するための装置に関する。
【0002】
プレート状の基板を化学的または電気化学的に処理するためには処理装置が用いられる。処理装置では基板が処理槽に輸送され、この場合、たとえば金属のコーティング、特に銅が、フィルムまたはプレート状の基板の表面に析出され得る。プレート状の基板は、たとえばウェハ、ソーラセル、可撓性フィルム、特にプリント回路基板およびプリント回路フィルムのようなプリント配線板であってよい。プレート状の基板は、たとえば水平方向に輸送される。この場合、基板は、回転する同一の多数の搬送エレメントの間を輸送される。これらの搬送エレメントは駆動装置を使用することができ、搬送エレメントは、同時にプレート状の基板のための載置部と、輸送駆動装置とを成している。回転する各搬送エレメントは、2つの側で支承された回転するシャフトにより形成されている。シャフトは、プレート状の基板が接触しかつ輸送される円柱形の外周面を有しているか、またはたとえばその長さにわたって、ディスク状で円柱状の、プレート状の基板のための載置エレメントを有している。この載置エレメント上にプレート状の基板の下面が載置するか、もしくは載置エレメントが、基板の上面に当て付けられる。ペアの軸部もしくはシャフトは、真っ直ぐにかつ平行に配置されていなければならず、これにより、基板の上面および下面に対する接触面が、正確に互いに一致し、これによって、プレート状の基板の曲げおよび変形ならびにシャフトの偏心的な回転運動を可能な限り小さく維持することができる。
【0003】
回転する搬送エレメントならびに槽に接触する全ての構成部材は、出来るだけ化学的に不活性であり、したがって化学的な作用に対して耐性であり、槽溶液と相互作用してはならない。特に、処理槽からの金属の析出を阻止することが望ましい。したがって、従来、シャフトのためには、たとえばGfK(ガラス繊維強化樹脂)またはCfK(炭素繊維強化樹脂)のようなプラスチックまたは貴金属またはチタン合金が使用されているのに対して、ディスク状の載置エレメントは、通常は適当な熱可塑性プラスチックから成っている。従来使用された、GfKまたはCfKから成る軸もしくはシャフトにおける問題は、特に、これらの材料において微細な破片が剥離して、槽を汚染し得ることにより引き起こされる。さらに、コーティングされていない金属軸でも、顕著な、かつ場合によっては迅速に進行する金属析出が生じ得る。コーティングされた軸では、層厚さの均一さが大きな誤差を受けるという問題がある。
【0004】
本発明の課題は、化学的に不活性であり、機械的に負荷可能な、回転する搬送エレメントを高い同心度(Rundlauf)で提供することであり、この場合、該搬送エレメントが、高いコーティング品質および製品品質を保証するために、プレート状の基板を正確にガイドし輸送することができるようにする。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴により解決される。本発明の有利な変化形の特徴は、請求項2以下に記載されている。課題を解決するために、本発明は、化学的または電気化学的な処理のための装置内でプレート状の基板を搬送するための装置を提案する。この装置は、特に導電性の層を無電解めっき(電気を使わずに析出する)するために働く。したがって、本発明は、プレート状の基板のための搬送装置の回転する搬送エレメントを含む。搬送装置は、化学的または電気化学的な処理装置の一部である。この場合、輸送は、有利には規定された輸送方向で行われる。この場合、複数の、同様に回転する別の搬送エレメントが一緒にプレート状の基板のための載置部を提供し、プレート状の基板は搬送方向で回転する搬送エレメント上を移動させられる。本発明によれば、回転する1つもしくは複数の搬送エレメントは、少なくとも部分的に鉱物ガラスから成っている。
【0006】
本発明による装置の有利な態様によれば、搬送エレメントは、搬送エレメントを回転可能に支承するための少なくとも1つの支承手段と、プレート状の基板に対する面状または線形の少なくとも1つの接触領域を備えた少なくとも1つの搬送部分とを有している。搬送部分も支承手段も、それぞれ少なくとも部分的に鉱物ガラスから形成されていてよい。搬送エレメントは、軸もしくはシャフトを有していて、軸もしくはシャフトは、鉱物ガラスを含んでいて、かつ/または少なくとも部分的に鉱物ガラスから製造されていて、少なくとも部分的に支承手段を形成している。軸もしくはシャフトは、少なくとも部分的にガラスロッドまたはガラス管により形成されていてよい。ガラス管の使用時に、ガラス管が有利には両側で閉じられた端部を有している。
【0007】
さらに、搬送エレメントの搬送部分は、プレート状の基板のための少なくとも1つの回転対称な載置エレメントにより形成されていてよい。これによって、搬送エレメントは、たとえば基板のための回転対称な載置エレメントを有していてよい。有利な変化形は、搬送部分が、ローラ(円柱体)または管の形態の回転対称な中央部分を有していて、ローラまたは管が、両端面において、1つもしくは複数の支承手段のシャフト基部(スタブシャフト)のための収容区分をそれぞれ有していることにある。ローラ自体は、その直径において、たとえば僅かに減径された中心領域によって段付けされて形成されていてよく、中心領域は、両側の外側縁部よりも、たとえば約0.05〜1mm、有利には0.1〜0.3mmだけ小さな直径を有していてよい。外側縁部は、より小さな直径を有する、該外側縁部にそれぞれ接続するシャフト基部もしくは支承手段に隣接している。これによって、プレート状の基板は、単に縁部側で、外側に位置する縁部上で搬送されるのに対して、基板の極めて大きな面積は、減縮された、もしくは僅かに縮径された中心の領域の上方に配置されていて、十分に無接触に搬送されることが確実にされ得る。ローラのこのような変化形によって、たとえばプリント配線版のためのベース材料として働くいわゆる加工素材の無接触の搬送が可能にされている。なぜならば、後に取り除かれる縁区分しか接触されないからである。
【0008】
本発明による装置の別の態様によれば、搬送エレメントは、回転対称な中央部分の他に、中央部分の各両側において、軸センタリングされた軸ピンもしくはシャフト基部を有している。シャフト基部は、搬送エレメントの回転支承のために機能し、装置の対応する支承区分内に収容され得る。有利には、この態様では、中央部分もしくは搬送部分の直径は、1つまたは複数の支承手段のシャフト基部の直径よりも大きく形成されている。さらに、シャフト基部および/または中央部分もしくは搬送部分の少なくとも表面は、鉱物ガラスから成っている。既に述べたように、少なくとも1つの載置エレメントは、シャフトもしくはガラスロッド上に取り付けられ、かつ/または1つまたは複数の支承手段のシャフト基部の間に配置された、円柱状の外周面を有する少なくとも1つのローラによって形成されていてよい。中央部分におけるシャフト基部の取付けは、選択的に、搬送エレメント全体の一体的な形成によって、またはたとえば接着、溶接、プレス締結のような適当な接合工程によって、または適当な位置固定装置の形成によって行われてよい。
【0009】
本発明による装置の択一的な形態は、載置エレメントが、少なくとも区分的に規則的に互いに対して間隔を空けて配置された、シャフトもしくはガラスロッド上に取り付けられたプラスチックディスクによって形成されていて、プラスチックディスクは、円柱状の外周面と、丸み付けされたエッジとを有している。選択的に、隣り合った2つの載置エレメントの側方の縁部の間の間隔は、300mmよりも小さな、有利には100mmよりも小さな値を有している。
【0010】
図示された全ての態様において、ガラスの、媒体に接触する箇所における表面粗さが、1μmよりも小さな値を有していると有利である。
【0011】
さらに有利な形態は、少なくとも1つの搬送エレメントが、特に搬送エレメントのシャフト基部の一方に配置された、たとえば歯車等の形態の少なくとも1つの回転伝動エレメントを介して駆動されていることにある。
【0012】
本発明は、最後に、上述の形態による多数の回転する搬送エレメントを備えた輸送装置を含む。搬送エレメントは、それぞれ対になって互いに上下に重なって配置されていてよく、これによって搬送エレメントの間を通してプレート状の基板を運動させることができる。
【0013】
以下に、本発明の重要な態様の他に、別の態様および実施の形態をまとめる。本発明による搬送エレメントは、選択的に、駆動装置を有していてよい。さらに、回転する搬送エレメントは、2つの側、たとえば両側で支承されている。搬送エレメントは、回転するシャフトまたは軸として形成されていて、シャフトまたは軸は、その長さに沿って、プレート状の基板のための載置エレメントを有している。本発明によれば、シャフトの少なくとも1つの区分が鉱物ガラスから形成されている。本発明による搬送エレメントでは、シャフトの区分がガラスロッド、特に中空ガラスロッド、つまりガラス管から形成されていてよい。試験では、ガラス管の使用が、中実のガラスロッドに比べて利点を有していることが判った。なぜならば、管材料が小さな重量で有利な機械的な特性を有しているからである。シャフトとしてガラス管を使用する場合、有利には、両端面が閉じられている。これによって、処理媒体が侵入することはできない。侵入した処理媒体は、たとえば洗浄時に十分に取り除くことが困難である。
【0014】
搬送エレメントは、回転対称な少なくとも2つの載置エレメントを有している。搬送エレメントの載置エレメントは、特に規則的に互いに対して間隔をおいてシャフトもしくはガラスロッドもしくはガラス管上に取り付けられた複数のホイール、たとえば円柱状または球形に湾曲された外周面および丸み付けされたエッジを有する複数のプラスチックディスクにより形成されていてよい。このプラスチックディスクは、有利には遊び無しに、シャフト上に、もしくはガラスロッドもしくはガラス管の円柱状の外周面上に位置固定されている。プラスチックディスクは、この場合、特に、収縮嵌めプロセスを用いてシャフト上に堅固に位置固定されていてよい。ディスクのプレス締結または接着も可能である。
【0015】
さらにシャフトは、少なくとも一方の端部において、駆動伝動エレメントを有している。この駆動伝動エレメントは、たとえば、プラスチックまたは別の適当な材料から成る歯車によって形成されていてよい。この駆動伝動エレメントもしくは歯車は、選択的には、やはりシャフト上に収縮嵌めされ、かつ/またはシャフトに接着されていてよい。歯車は、選択的にシャフトにプレス締結されていてよく、場合によっては付加的に接着される。
【0016】
本発明による搬送エレメントは、特にプレート状またはフィルム状の基板のための搬送シャフトとして機能する。このためには、搬送エレメントは、通常は輸送装置内で使用される。輸送装置は、上述の形態の1つによる、多くの場合それぞれペア状に互いに上下に重なって配置された回転する複数の搬送エレメントを有している。搬送エレメントの間を通って、それぞれプレート状またはフィルム状の基板が運動可能である。搬送シャフトの装着は、種々異なっていて、それぞれの使用目的に適合されていてよい。載置エレメントとは、搬送シャフトとは別個に形成された部分である。載置エレメントは、搬送シャフト上に被せ嵌められ、かつ形状接続式にまたは摩擦接続式に、たとえば収縮嵌めで、または材料接続式に、たとえば接着されて搬送シャフトに結合され得る。有利な態様では、載置エレメントは間隔を置いて組み付けられていて良い。載置エレメントは、その幾何学形状に関して、小型ホイールおよび/またはディスクおよび/またはローラとして形成されていてよい。例示的には、1つまたは複数の載置エレメントが球状またはボール形の接触面を有する丸い形状付与も設定可能である。それぞれの載置エレメントと、輸送されるべき基板との間の表面接触は、各載置エレメントの幾何学形状に応じて、線形または点状に形成され得る。たとえばプラスチックディスクにより形成されていてよい、被せ嵌められた、または収縮嵌めされた載置エレメントは、たとえばその取扱い時、シャフトの交換時および/または装置の別の保守時に、機械的な損傷に対するガラスシャフトの保護を提供する。このためには、それぞれ隣り合う載置エレメントの縁部間の間隔が、300mmよりも小さく、有利には100mmよりも小さいと有利である。
【0017】
使用された、鉱物ガラスから成るシャフトは、多数の利点、たとえば十分な弾性を伴う特別な形状安定性を有している。これによって、塑性変形、つまり永久的な変形が排除されている。シャフトは、ある程度の負荷がかけられた場合に弾性的に変形し、かつ所望の使用目的のために必要となる頑丈さを提供する。さらにシャフトは、極めて温度耐性である。なぜならば、このシャフトは、著しい膨張無く高い温度に耐えることができるからである。機械的な負荷は、搬送される基板の比較的低い重量に基づき小さいので、ガラスは、全ての使用事例のために十分な剛性を有している。
【0018】
ガラスシャフトは、必要な直径に関しても、同心度に関しても、高い精度で極めて廉価に形成され得る。約500mmから1メートルを超える長さのシャフトの場合、典型的な直径は約10mmである。中空に形成されたガラスシャフトの壁厚さは、このような寸法設計では、約2mmである。シャフトの全長にわたる同心度の偏差もしくは偏心度は、この場合、有利には0.1mmよりも小さく、直径における寸法精度は+/−0.15mmよりも小さい。
【0019】
ガラスシャフトおよび該ガラスシャフトに被せ嵌められたプラスチック小型ホイールを有するこのような搬送エレメントの使用領域は、化学的に中性な特性に基づいて、重要な全てのプロセスの大多数においてほぼ制限されない。なぜならば、当該エレメントの極めて長時間の使用後に初めて、その表面における金属コーティングが生じるからである。
【0020】
念のために、本発明は、基板を処理するための方法を含むことを示唆しておく。この方法では、基板が上述の実施の形態の搬送または輸送装置により搬送される。
【0021】
本発明を以下に有利な実施の形態につき、添付の図面につき詳しく説明する。図中の同様の部分には、同一の符号が備えられていて、したがって部分的に重複して説明される。基本的には、図示された実施の形態は、本願を図示するが、本願はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】複数の搬送エレメントを備えた輸送装置を示す概略図である。
【図2】搬送エレメントの第1の実施の形態を示す概略図である。
【図3】搬送エレメントの第2の実施の形態を示す概略図である。
【図4】搬送エレメントの第3の実施の形態を示す概略図である。
【0023】
図1に示した概略図は、プレート状の基板10を搬送するための、該図1においては単に部分的にしか示されていない装置8内における搬送経路の一部を示している。プレート状の基板10は、矢印12の示す水平方向(搬送方向12)に、回転する搬送エレメント14の、相前後して配置されたペアの間を通って輸送される。搬送装置8の領域には、それぞれ水平方向に延びる回転軸線16を中心として回転するこのような搬送エレメント14が多数配置されていてよい。これらの搬送エレメント14は、プレート状の基板10を規定された搬送方向12へ水平方向に輸送するために働き、この目的のために少なくとも部分的に、駆動装置(図1には図示せず)を使用することができる。回転する搬送エレメント14が、このような駆動装置を使用している限り、駆動は、大抵の場合歯車等を介して、両側で支承された搬送エレメント14の一方の側において行われる。
【0024】
図1に概略的に図示された搬送装置8が、それぞれペアで上下に重なって配置された搬送エレメント14を有していて、この場合、これらの搬送エレメント14は、プレート状の基板10が、上下に重なって配置された搬送エレメント14の外周面18の間を通って、上側かつ下側の転がり接触部を形成しながら輸送されるように間隔を空けているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。同様に、基板10の水平方向の輸送が、相前後して配置された搬送エレメント14によってのみ行われる変化形も考えられる。この場合、搬送エレメントは、水平方向の載置/輸送平面を形成する。この場合、基板10の上方に別の搬送エレメント14が配置されることはない。
【0025】
本発明によれば、搬送エレメント14は、少なくとも部分的に鉱物ガラス(無機ガラス)から製造されていて、たとえば、搬送エレメント14の支承手段(図2以降を参照)が鉱物ガラスから製造されていてよい。
【0026】
搬送エレメント14の第1の実施の形態である図2の概略図に示されているように、第1の実施の形態では、各搬送エレメント14が、比較的大きな直径の搬送部分20と、該搬送部分20の両側に配置された、搬送エレメント14を回転可能に支承するための支承手段22とを有している。搬送部分20は、中央部分とも呼称され得る。この円柱形の搬送部分20の外周面18は、プレート状の基板に対する面状または線形の接触領域を有している(図1を参照)。搬送部分20も支承手段22も、それぞれ少なくとも部分的に鉱物ガラスにより形成されていてよい。図示された実施の形態では、支承手段22は、スタブシャフトもしくはシャフト基部(Wellenstumpf)24またはシャフト区分により形成されている。シャフト区分は、アクスルボルトとして形成され得る。これに関して、「シャフト」またはシャフト基部24の呼称が優先される。なぜならば、支承手段のこの部分が回転する一方で、支承手段収容部26は、固定されていて、装置の部分内にアンカ固定されているからである。中央部分もしくは搬送部分20の両端面28に、かつ典型的には中央部分もしくは搬送部分20の円筒状の外周面18に対して同軸的に配置されたシャフト基部24は、有利には鉱物ガラスから成っている。この軸もしくはシャフトもしくはシャフト基部24は、少なくとも部分的にガラスロッドによってまたはガラス管30によって形成されていてよい。ガラス管30の使用時に、該ガラス管30は少なくとも一方の側で、有利には両側で閉じられた端面32を有している。
【0027】
搬送エレメント14の搬送部分20は、図示された実施の形態では、プレート状の基板10のための回転対称な載置エレメント34によって形成されている。この場合、載置エレメント34は、1つのローラ36によって形成されている。このローラ36は、両端面28においてそれぞれ、支承手段22の両シャフト基部24のための収容区分(図示せず)を有している。
【0028】
図3につき搬送エレメント14の別の実施の形態の概略図が示すように、さらにローラ36自体が直径を段付けされて形成されていてよい。このことは僅かに縮径された中心領域38によって実現され得る。この中心領域38は、両側の外縁部40よりも、たとえば約0.05〜1mmだけ小さな直径を有していてよい。外縁部40は、該外縁部40にそれぞれ接続するより小さな直径のシャフト基部24もしくは支承手段22に接している。これによって、プレート状の基板10が、縁側において外側に位置する縁部40上でのみ搬送されるのに対して、基板10の極めて大きな面積が、中心の減縮されたもしくは僅かに縮径された領域38の上方に配置されていて、十分に無接触に搬送されることが保証され得る。ローラ36のこのような変化形により、たとえばプリント配線板のためのベース材料として働くいわゆる加工素材(Nutzen)の無接触の搬送が可能にされている。なぜならば、後に除去される縁区分しか、ローラ36の縁領域40に沿って接触されないからである。
【0029】
中央部分20におけるシャフト基部24の取付けは、図2および図3に示した変化形では、選択的に、搬送エレメント14全体の一体的な形成によって、またはたとえば接着、溶接、プレス締結のような適当な接合方法によって、または適当な位置固定装置の形成によって行うことができる。選択的に、ローラ36は、遊び無しに、一貫して延びるシャフトもしくはガラス管30の円柱形の外周面上に、たとえば接着または選択的には収縮嵌め工程によっても位置固定され得る。
【0030】
搬送エレメント14の択一的な実施の形態に付き図4の概略図が示すように、搬送エレメント14は、ガラス管30から成る、両側で支承された一貫して延びて形成された回転するシャフト42としても形成され得る。このシャフト42は、その長さにわたって、プレート状の基板10のための円柱状の複数の載置エレメント44(図1を参照)を有している。この実施の形態では、中空に形成されたシャフト42が、管状の鉱物ガラスから製造されていて、該鉱物ガラスの外周面46上に円柱形またはディスク形の載置エレメント44が被せ嵌められて、取り付けられている。各シャフト42の両方の端面28は、閉じられているので、ガラス管30の内部に媒体が侵入しないようになっている。媒体は洗浄時に取り除くことが難しい。搬送エレメント14の載置エレメント44は、図示された実施の形態では、シャフト42もしくはガラス管30上に規則的に互いに対して間隔を置いて取り付けられた多数のプラスチックディスク48によって形成されている。これらのプラスチックディスク48は、円柱状の外周面および、場合によっては丸み付けされたエッジを有している。これらのプラスチックディスク48は、遊びなしに、シャフト42、もしくはガラス管30の円柱状の外周面46上に、有利には、収縮嵌めプロセスを用いて、または接着によって、または別の適切な接合方法によって位置固定されている。
【0031】
図4に示した搬送エレメント14の第3の実施の形態では、ディスク48の形態の、互いに間隔をおいた載置エレメント44が一緒に、中央部分もしくは搬送部分20を形成しているのに対して、左右では、シャフト42の、縁部側の載置エレメント44から突出する区分が、それぞれ支承手段22を形成している。支承手段22は、支承ブロック(図示せず:図2および図4では、支承手段収容部26)内に支承されていてよい。載置エレメント44は、たとえばプラスチックおよび/または金属および/またはセラミック材料および/または鉱物ガラスによって形成されていてよい。
【0032】
図4に示した実施の形態では複数のプラスチックディスク48により形成されている、被せ嵌められた、または収縮嵌めされた載置エレメント44は、機械的な損傷に対するガラスシャフト42の良好な保護を、たとえば該ガラスシャフト42の取扱い時、シャフト42の交換時および/または装置の他の保守時に提供する。載置エレメント44は、プラスチックまたは鉱物ガラスから成っている。
【0033】
さらに、搬送エレメント14もしくはシャフト42は、少なくとも一方の端部に、駆動伝動エレメントを有している。この駆動伝達エレメントは、図2,図3および図4に示されているように、たとえば駆動ホイール50、もしくはプラスチックまたは別の最適な材料から成る歯車により形成されていてよい。この駆動伝動エレメントもしくは駆動ホイール50は、選択的に、同様にシャフト42(図4)もしくは相応するシャフト基部24上に収縮嵌めされ、かつ/または接着されていてよい。
【0034】
図2および図3に示したローラ36は、たとえばプラスチックから、または鉱物ガラスから、または別の材料から製造されていてよく、円柱状の外周面ならびに場合によっては僅かに丸み付けされたエッジを有していてよい。選択的には、ローラ36は、図3に相応する1つまたは複数の減縮部等を有していてよいので、支持区分40は、僅かに小さな直径を有する1つまたは複数の減縮部または段部により互いに分離されている。図示の実施の形態ではローラ36により形成されている、被せ嵌められた、または収縮嵌めされた搬送部分20は、機械的な損傷に対してガラスシャフト42もしくは24の良好な保護を、たとえばガラスシャフト42,24の取扱い時、シャフト42の交換時および/または装置の別の保守時に提供する。
【0035】
鉱物ガラスから成る、使用されたシャフト42もしくはシャフト区分24(図1〜図4を参照)は、多数の利点、たとえば十分な弾性を伴う特別な形状安定性を有している。塑性変形は、この使用時には生じない。さらにシャフト42,24は、極めて温度耐性である。なぜならば、シャフト42,24は、高温を著しい膨張なしに耐えることができるからである。機械的な安定性は、上述の使用目的のためには十分である。なぜならば、基板10はしばしば極めて軽く形成されていて、使用されるシャフト42,24の著しい重量負荷をもたらさないからである。
【0036】
使用されたガラスシャフトおよびガラス管は、必要な直径に関しても、同心度に関しても高い寸法安定性を有して極めて廉価に製造され得る。約500mmから1メートルを超えるシャフト24の長さの場合、典型的な直径は約10mmである。中空に形成されたガラスシャフトの肉厚は、このような寸法設計では約2mm(+/−30%)である。この場合、シャフトの全長にわたる同心度の偏差もしくは偏心度(半径方向の振れ)は、有利には0.1mmよりも小さく、直径における寸法精度は+/−0.15mmであるか、それよりも小さくすることができる。ガラスシャフトおよび被せ嵌められたローラ36またはプラスチック小型ホイール48を備えたこのような搬送エレメント14の利用範囲は、化学的に不活性な、もしくは中性の特性に基づいて、大多数の全ての重要なプロセスにおいて極めて多様である。
【0037】
ガラスシャフトもしくは搬送エレメント14は、通常、その両端部において、典型的にはプラスチックから成る適当な支承手段収容部26内に、それぞれ滑り支承されている。支承手段収容部26内で、ガラスシャフトもしくは搬送エレメント14は、容易に回転可能に位置していて、たとえば保守目的または洗浄目的のために、支承手段収容部26から上方に向かって取り出され得る。支承手段収容部26内に回動可能に支承されていて、少なくとも一方が駆動ホイール50を備え得る両側の軸ピンもしくはシャフト基部24は、図2および図3において、それぞれ符号「22」で示されている。支承手段収容部26はシャフトを内部に支承するための一貫した開口、たとえば貫通孔、または袋状の開口、たとえば盲孔を有していてよい。開口は、1つの通路と流体接続していてよく、これによって、液体が一貫した開口から通路を介して導出可能である。たとえば、流体は、通路を介して、一貫した開口の下方に位置している別の領域内に導出され得る。通路は、たとえば約1mm〜10mmの直径を有していてよい。有利には、通路は約2mm〜5mmの直径を有していてよい。
【0038】
媒体に接触するガラス表面の表面粗さが、1μmよりも小さく、有利には0.5μmよりも小さく、特に有利には、0.1μmよりも小さく形成されていると有利であることが判った。これによって、処理槽からの金属、特に無電解銅めっき槽からの銅の意図しない析出が効果的に抑制される。
【0039】
上述の説明、図面、特許請求の範囲に開示された、本発明による特徴は、個別でも、任意の組合せにおいても、種々異なる形態での本発明の実現のために重要である。本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。むしろ本発明の思想を利用し、したがって同様に保護範囲に属する多数の変化形および改良形が考えられる。
【符号の説明】
【0040】
8 処理機械/処理装置
10 基板
12 搬送方向、輸送方向
14 搬送エレメント
16 回転軸線
18 外周面
20 中央部分、搬送部分
22 支承手段
24 シャフト基部
26 支承手段収容部
28 端面
30 ガラス管
32 端面
34 載置エレメント
36 ローラ
38 中心領域
40 外側縁部
42 シャフト
44 載置エレメント
46 外周面
48 プラスチックディスク
50 駆動ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的および/または電気化学的な処理、特に導電性の層の無電解めっきのための装置(8)内においてプレート状の基板(10)を搬送する装置であって、該装置(8)が、回転する少なくとも1つの搬送エレメント(14)を有していて、該搬送エレメント(14)が、少なくとも部分的に鉱物ガラスから成っていて、搬送エレメント(14)の搬送部分(20)が、回転対称的な少なくとも1つの載置エレメント(34;44)によってプレート状の基板(10)のために形成されていて、載置エレメント(34;44)が、搬送エレメント(14)上に被せ嵌められているか、または収縮嵌めされていることを特徴とする、化学的および/または電気化学的な処理のための装置内においてプレート状の基板を搬送するための装置。
【請求項2】
搬送エレメント(14)が、当該搬送エレメント(14)を回転可能に支承するための、少なくとも部分的に鉱物ガラスにより形成された少なくとも1つの支承手段(22)と、プレート状の基板(10)に対する面状または線形の少なくとも1つの接触領域を備えた少なくとも1つの搬送部分(20)とを有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
搬送エレメント(14)が、軸、シャフト基部(24)もしくはシャフト(42)を有していて、該軸、シャフト基部(24)もしくはシャフト(42)が、鉱物ガラスを有し、かつ/または少なくとも部分的に鉱物ガラスから製造されていて、かつ少なくとも部分的に支承手段(22)を形成している、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
軸、シャフト基部(24)もしくはシャフト(42)が、少なくとも部分的にガラスロッドまたはガラス管(30)により形成されていて、該ガラス管(30)が、少なくとも一方の側で閉じられた端面(32)を有している、請求項3記載の装置。
【請求項5】
搬送部分(20)が、ローラ(36)または管の形態の、搬送エレメント(14)の回転対称な中央部分を有していて、該ローラ(36)/管が、両端面(28)で、1つもしくは複数の支承手段(22)のシャフト基部(24)のための収容区分をそれぞれ有している、請求項1記載の装置。
【請求項6】
中央部分もしくは搬送部分(20)の直径が、1つまたは複数の支承手段(22)のシャフト基部(24)の直径よりも大きく形成されている、請求項1または請求項5記載の装置。
【請求項7】
シャフト基部(24)、および/または中央部分もしくは搬送部分(20)の少なくとも表面が、鉱物ガラスから成っている、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
隣り合う2つの載置エレメント(44)の側方の縁部の間の間隔が、約300mmよりも小さな値を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
載置エレメントが、互いに対して表面接触しておらず、その幾何学形状に関して、小型ホイールおよび/またはディスクおよび/またはローラとして形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
ガラスの、媒体に接触する箇所における表面粗さが、1μmよりも小さな値を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの搬送エレメント(14)が、特にシャフト基部(24)の少なくとも1つに配置された回転伝動エレメントもしくは駆動ホイール(50)を介して駆動されている、請求1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
搬送エレメント(14)が、支承手段収容部(26)内に回転可能に配置されていて、支承手段収容部(26)が、1つの通路に流体接続されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
それぞれ対になって互いに上下に配置された、請求項1から12までのいずれか1項記載の回転する多数の搬送エレメント(14)を備えた輸送装置であって、該搬送エレメント(14)の間を通って各プレート状の基板(10)が移動可能であることを特徴とする、輸送装置。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項記載の装置もしくは請求項13に記載の輸送装置により基板を搬送することを特徴とする、基板を処理するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−518186(P2013−518186A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550405(P2012−550405)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050885
【国際公開番号】WO2011/092131
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(300081877)アトテツク・ドイチユラント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (13)
【氏名又は名称原語表記】Atotech Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】Erasmusstrasse 20, D−10553 Berlin, Germany
【Fターム(参考)】