説明

化学的クラフト繊維由来の修飾セルロース、ならびにそれを作製および使用する方法

独自の特性を有する修飾されたクラフトパルプ繊維を提供する。この修飾された繊維は、低重合度(DP)を有することを除き、その従来の対応物とはほとんど区別がつかない修飾された漂白クラフト繊維であることができる。この修飾された繊維、およびそれから作製される製品を作製する方法も提供する。本方法は、多段階漂白プロセスの単一段階に組み込むことができる、1ステップの酸性の、鉄で触媒される過酸化物処理プロセスであることができる。これらの製品は、化学的セルロース原料、微結晶性セルロース原料、綿毛パルプ、およびそれらから作製される製品であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セルロース繊維の化学修飾に関する。より具体的には、本開示は、その性能を、クラフトパルプに由来する標準セルロース繊維よりも改善させ、これまで高価な繊維(例えば、綿または高α内容物亜硫酸パルプ)に制限されてきた用途において、それを有用にさせる、独自の一連の特徴を呈する漂白クラフトパルプに由来する化学修飾されたセルロース繊維に関する。特に、化学修飾された漂白クラフト繊維は、以下の有利な特徴(改善された臭気制御、改善された圧縮率、および/または改善された明度を含むが、これらに限定されない、)のうちの1つまたは複数を呈する。化学修飾された漂白クラフト繊維は、化学修飾されていない漂白クラフト繊維の1つまたは複数の他の特徴を維持し、例えば、繊維長および/またはろ水度を維持しながら、これらの特徴のうちの1つまたは複数を呈し得る。
【0002】
本開示はさらに、低重合度または超低重合度を呈し、それを吸収性製品において綿毛パルプとして、セルロース誘導体(セルロースエーテルおよびエステルを含む)の生産における化学的セルロース原料として、かつ消費者製品における使用に好適にさせる、漂白針葉樹および/または広葉樹クラフトパルプに由来する化学修飾されたセルロース繊維に関する。本明細書に使用するとき、「重合度」は、「DP」に短縮し得る。本開示はさらに、約80未満のレベルオフ重合度を有する、化学修飾されたクラフト繊維に由来するセルロースに関する。より具体的には、低重合度または超低重合度(本明細書において、「LDP」または「ULDP」と称される)を呈する、本明細書に説明する化学修飾されたクラフト繊維は、約80未満まで、例えば、約50未満まで重合度をさらに低減させるように、酸またはアルカリ加水分解によって処理して、それを種々の下流用途に好適にすることができる。
【0003】
本開示は、説明する改善された繊維を生産する方法に関する。本開示は、クラフト繊維のカルボン酸およびアルデヒド官能性を同時に増大させる方法を一部で提供する。説明する繊維は、触媒酸化処理を受ける。いくつかの実施形態では、繊維を、鉄もしくは銅で酸化し、次いで、さらに漂白して、有益な明度特徴、例えば、標準漂白繊維と同程度の明度を有する繊維を提供する。さらに、漂白繊維の処理後の費用が付加されたステップの導入なく、上述の改善された有益な特徴を提供することができる、少なくとも1つのプロセスを開示する。この費用の少ない実施形態では、繊維は、クラフト漂白プロセス等のクラフトプロセスの単一段階において処理することができる。また、さらなる実施形態は、DE1D1E2D2のシーケンスを含む、5段階漂白プロセスに関し、第4の段階(E2)は、触媒酸化処理を含む。
【0004】
最後に、本開示は、消費者製品、セルロース誘導体(セルロースエーテルおよびエステルを含む)、および微結晶性セルロースに関し、すべては、説明するとおり、化学修飾されたセルロース繊維を使用して生産される。
【背景技術】
【0005】
セルロース繊維および誘導体は、紙、吸収性製品、食品または食品関連用途、医薬品、および工業用途において広く使用されている。セルロース繊維の主な源は、木材パルプおよび綿である。セルロース源およびセルロース加工条件は、一般に、セルロース繊維の特徴、したがって、ある最終使用への繊維の適用性を決定する。加工が比較的安価であるが、非常に万能であり、種々の用途におけるその使用を可能にする、セルロース繊維に対する必要性が存在する。
【0006】
セルロースは、一般に、何百から何万ものグルコース単位を含むポリマー鎖として存在する。セルロースを酸化する種々の方法は、公知である。セルロース酸化では、セルロース鎖の配糖体のヒドロキシル基は、例えば、アルデヒド基等のカルボニル基またはカルボン酸基に変換することができる。カルボニル修飾の種類、度合い、および位置は、使用する酸化方法および条件によって異なり得る。ある酸化条件が、例えば、セルロース鎖内のグリコシド環を切断し、脱重合をもたらすことによって、セルロース鎖自体を分解し得ることは公知である。大半の例では、脱重合されたセルロースは、低減した粘度を有するだけでなく、出発セルロース系材料よりも短い繊維長も有する。脱重合する、および/または繊維長および/または繊維の強度を有意に減少させること等によって、セルロースが分解されるとき、加工することが困難であり得る、および/または多くの下流用途に不適であり得る。カルボン酸およびアルデヒド官能性の両方を改善し得るセルロース繊維を修飾する方法に対する必要性が依然として残り、その方法は、セルロース繊維を大幅に分解しない。本開示は、これらの欠如のうちの1つまたは複数を解決する、独自の方法を提供する。
【0007】
セルロースを酸化して、セルロース繊維を分解することなく、セルロース鎖にカルボン酸およびアルデヒド官能性の両方を提供するために、種々の試みがなされてきた。従来のセルロース酸化方法では、アルデヒド基がセルロース上に存在するとき、セルロースの分解を制御または制限することは困難であり得る。これらの問題を解決する以前の試みは、複数のステップの酸化プロセスの使用、例えば、1つのステップにおいてあるカルボニル基を部位特異的に修飾、別のステップにおいて他のヒドロキシル基を酸化、および/または媒介剤および/または保護剤を提供することを含み、それらのすべては、セルロース酸化プロセスに追加の費用および副産物を付与し得る。したがって、費用効果がある、および/またはクラフトプロセス等のプロセスの単一ステップにおいて実行することができる、セルロースを修飾する方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、先行技術において試みた方法よりも大幅な改善を提供する新規方法を提供する。一般に、先行技術におけるセルロースクラフト繊維の酸化は、漂白プロセス後に行われる。驚くべきことに、発明者は、セルロース繊維の酸化のために、漂白シーケンスの既存の段階、特に、5段階漂白シーケンスの第4の段階を使用することが可能であることを見出した。さらに、驚くべきことに、発明者は、例えば、触媒がセルロース内に結合されたままではなく、当該分野における知識に基づく予想よりも、漂白シーケンスの終了前に残留鉄の少なくともいくつかの容易な除去をもたらしたため、金属触媒、特に、鉄触媒を漂白シーケンスに使用して、最終製品に干渉することなく、この酸化を達成することができることを見出した。その上、予想外にも、発明者は、かかる方法が、繊維を実質的に分解することなく行うことができることを見出した。
【0009】
クラフトパルプを含むセルロース繊維が、金属および過酸化物、および/または過酸で酸化し得ることは、当該分野において公知である。例えば、セルロースは、鉄および過酸化物(「フェントン試薬」)で酸化し得る。Kishimoto et al.,Holzforschung,vol.52,no.2(1998),pp.180−184を参照されたい。フェントン試薬等の金属および過酸化物は、比較的安価な酸化剤であり、それらを、多少、クラフトプロセス等の大規模な用途に望ましくさせる。フェントン試薬の場合では、この酸化方法が、酸化条件下でセルロースを分解することができることは公知である。したがって、フェントン試薬が、酸条件で、繊維の大規模な分解なく、例えば、付随する繊維長の損失を有するクラフトプロセスに使用することができることは予想されていなかったであろう。セルロースの分解を防止するために、フェントン試薬は、しばしば、アルカリ条件下で使用され、そこで、フェントン試薬は、大幅に阻害される。しかしながら、アルカリ条件下でフェントン試薬を使用する上で付加的な欠点が存在し得る。例えば、セルロースは、それにもかかわらず、分解または変色され得る。クラフトパルプ加工では、セルロース繊維は、しばしば、従来、漂白シーケンスの最終における、または最終間近の少なくとも1つのアルカリステップを含む、強酸性および強アルカリ性漂白ステップを含む多段階シーケンスにおいて漂白される。したがって、当該分野において公知であったものとは異なり、クラフト漂白プロセスの酸性段階において鉄で酸化された繊維が、改善された化学特性を有するが、物理的劣化または変色のない繊維をもたらすことができることは、実に驚きであった。
【0010】
したがって、セルロースを大幅に分解する、および/またはセルロースを多くの下流用途に不適にさせることなく、クラフトパルプに由来する繊維等のセルロース繊維にアルデヒドおよびカルボン酸官能性の両方を付与することができる、低費用および/または単一ステップの酸化に対する必要性が存在する。その上、セルロース繊維に、カルボン酸、ケトン、およびアルデヒド基等の高レベルのカルボニル基の付与に対する必要性が依然として存在する。例えば、アルカリpHでのフェントン試薬の使用とは異なり、例えば、酸化反応を阻害しない条件下で酸化剤を使用して、高レベルのカルボニル基を付与することが望ましいであろう。本発明の発明者は、先行技術の多くの困難を克服し、これらの必要性を満たす方法を提供する。
【0011】
セルロース酸化製品の化学構造、およびこれらの製品の分解を制御する際の困難に加えて、酸化方法が、最終製品における化学的および物理的特性、および/または不純物を含む、他の特性に影響を及ぼし得ることは公知である。例えば、酸化方法は、最終製品における結晶化度、ヘミセルロース含有量、色、および/または不純物のレベルに影響を及ぼし得る。最終的に、酸化方法は、工業用途または他の用途のためにセルロース製品を加工する能力を付与し得る。
【0012】
木材パルプの漂白は、一般に、物理的特性にマイナスの影響を与えることなく、典型的には、リグニンおよび他の不純物を除去することによって、パルプの白色度または明度を選択的に増大させる目的で行われる。クラフトパルプ等の化学パルプの漂白は、一般に、優れた選択性を有する所望の明度を達成するために種々の異なる漂白段階を必要とする。典型的には、漂白シーケンスは、変化するpH範囲で行われる段階を採用する。この変化は、例えば、リガニン破壊の製品を可溶化することによって、漂白シーケンスで生成された不純物の除去を目的とする。したがって、一般には、シーケンスにおける3つの酸化段階等の漂白シーケンスにおける一連の酸性段階の使用は、酸性アルカリ酸性等の変化する酸性/アルカリ段階と同一の明度を提供しないことが予想される。例えば、典型的は、DEDEDシーケンスは、DEDADシーケンス(Aは、酸処理を指す)よりも明るい製品を生産する。故に、介在するアルカリ段階を有さないが、同程度の明度を有する製品を生産するシーケンスは、当業者によって予測されていないであろう。
【0013】
一般に、ある漂白シーケンスが、クラフトプロセスにおいて、他のシーケンスよりも利点を有し得ることが公知であるが、任意の利点の背景にある理由は、あまり解明されていない。酸化に関して、研究は、多段階シーケンスにおける酸化への任意の選好、または繊維特性が酸化後の段階/処理によって影響を受けることができるという任意の認識を明らかにしていない。例えば、先行技術は、初期段階の酸化よりも後半段階の酸化への任意の選好を開示しない。いくつかの実施形態では、本開示は、クラフトプロセスにおいて利点を有し、独自の一連の物理的および化学的特徴を有する繊維をもたらす、特定の段階(例えば、漂白プロセスの後半段階)において独自に行われる方法を提供する。
【0014】
加えて、クラフト漂白プロセスにおける明度に関しては、パルプ出発材料に存在する特定の遷移金属における金属は、製品の明度に有害であることは公知である。したがって、漂白シーケンスは、しばしば、最終製品からある遷移金属を除去して、標的明度を達成することを目的とする。例えば、キレート剤を採用して、パルプから自然発生の金属を除去し得る。したがって、パルプ内に自然に存在する金属を除去することが重要視されるため、当業者は、一般に、化合物がより明るい製品を達成することが困難になるため、漂白シーケンスに任意の金属を追加しない。
【0015】
その上、鉄に関しては、パルプへのこの金属の追加は、例えば、紙を焼却するときに存在する変色に類似する、有意な変色につながる。本開示は、これまで、焼却された紙の変色と同様に、非可逆性であると考えられてきた。したがって、追加された鉄による木材パルプの変色時に、パルプは、付加的な漂白で回復することができない、明度の永久喪失に見舞われることが予想されている。
【0016】
したがって、鉄もしくは銅および過酸化物がセルロースを安価に酸化することができることは公知であるが、これまで、それらは、鉄もしくは銅酸化ステップを採用せずに、標準シーケンスと同程度の明度を達成する方法で、パルプ漂白プロセスにおいて採用されなかった。一般に、パルプ漂白プロセスにおいて、それらの使用が回避されてきた。驚くべきことに、発明者は、これらの困難を克服し、いくつかの実施形態では、パルプ漂白プロセスにおいて鉄もしくは銅でセルロースを安価に酸化する新規方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、非常に驚くべきものであり、かつ先行技術の教示に基づき予想された特徴と異なる特徴を有する製品をもたらす。したがって、本開示の方法は、先行技術の製品よりも優れ、より費用効果よく生産することができる製品を提供し得る。
【0017】
例えば、鉄等の金属が、セルロースによく結合し、通常の洗浄によって除去することができないことは、当該分野において一般に理解される。典型的には、セルロースから鉄を除去することは、困難であり、かつ費用がかかり、付加的な加工ステップを必要とする。セルロース製品中の高レベルの残留鉄の存在は、特に、パルプおよび製紙用途において、いくつかの欠点を有することが公知である。例えば、鉄は、最終製品の変色につながり得る、および/またはオムツおよび創傷包帯等の最終製品が皮膚と接触している用途に不適であり得る。したがって、クラフト漂白プロセスにおける鉄の使用は、多くの欠点に見舞われることが予想されるであろう。
【0018】
これまで、官能性を改善するためのクラフト繊維の酸化処理は、しばしば、繊維が漂白された後の酸化処理に制限されてきた。その上、繊維をよりアルデヒドにするための公知のプロセスもまた、繊維の明度または品質の同時の喪失を引き起こす。さらに、繊維のアルデヒド官能性の強化をもたらす公知のプロセスはまた、カルボン酸官能性の喪失をもたらす。本開示の方法は、これらの欠点のうちの1つまたは複数に見舞われない。
【0019】
化学的クラフトパルプ方法によって生産されたクラフト繊維は、一般に、パルプ化を介してその繊維長を維持する、安価なセルロース繊維源を提供し、一般に、優れた明度および強度特性を有する最終製品を提供する。そのため、紙用途に広く使用される。しかしながら、標準クラフト繊維は、クラフトパルプ化および漂白からもたらされるセルロースの化学構造のため、セルロース誘導体生産等の下流用途において、適用性が制限されている。一般に、標準クラフト繊維は、過度の残留ヘミセルロース、および繊維のその後の物理的および/または化学修飾に介入し得る他の自然発生の材料を含有する。その上、標準クラフト繊維は、化学的官能性が制限されており、一般に、剛性であり、極めて圧縮性ではない。
【0020】
クラフト繊維の剛性および粗い性質は、ヒトの皮膚との接触を必要とする用途、例えば、オムツ、衛生用品、およびティッシュ製品における層化、または綿等の異なる種類の材料の追加を必要とすることができる。故に、例えば、多層製品において他の材料を使用する必要性を低減させるように、より優れた可撓性および/または柔軟性を有するセルロース繊維を提供することが望ましい場合がある。
【0021】
体の老廃物および/または流体の吸収に関与する用途、例えば、オムツ、成人用失禁製品、創傷包帯、生理用ナプキン、および/またはタンポンにおけるセルロース繊維は、しばしば、体の老廃物中に存在するアンモニア、および/または体の老廃物および/または流体に関連する細菌によって生成されたアンモニアに暴露される。バルクおよび吸収度を提供するだけでなく、臭気低減特性および/または抗細菌特性を有する、例えば、アンモニア(NH)等の窒素化合物からの臭気を低減させることができるセルロース繊維を、かかる用途において使用することが望ましい場合がある。これまで、その臭気制御能力を改善するための酸化によるクラフト繊維の修飾は、必ず、望ましくない明度の減少をもたらした。優れた明度特徴を維持しながら優れた吸収性特徴および/または臭気制御能力を呈する、安価な修飾クラフト繊維に対する必要性が存在する。
【0022】
今日の市場では、消費者は、吸収性製品、例えば、より薄い、オムツ、成人用失禁製品、および生理用ナプキンを望む。超薄型製品設計は、より軽い繊維重量を必要とし、使用される繊維が短すぎる場合に製品の統合性の喪失に見舞われることができる。クラフト繊維の化学修飾は、繊維長の喪失をもたらすことができ、ある種類の製品、例えば、超薄型製品における使用に許容されない。より具体的には、臭気制御の改善に関連する、アルデヒド官能性を改善するために処理されたクラフト繊維は、化学修飾中の繊維長の喪失に見舞われ得、それを超薄型製品設計における使用に不適にさせる。繊維長の喪失なく圧縮性を呈し、それを超薄型設計に独自に好適にさせる(すなわち、製品は、より軽い繊維重量で製品の統合性を維持しながら、より小さい隙間に圧縮することができる繊維の量に基づき、優れた吸収性を維持する)、安価な繊維に対する必要性が存在する。
【0023】
従来、吸収性製品またはティッシュにおいて有用であったセルロース源は、セルロースエーテルおよびセルロースエステル等の下流セルロース誘導体の生産においても有用ではなかった。標準クラフト繊維等の高粘度セルロース原材料に由来する低粘度セルロース誘導体の生産は、不要な副製品を付与し、セルロース誘導体の全体の品質を低減させる一方、有意な費用を追加し得る付加的な製造ステップが必要であった。一般に高重合度を有する、綿くずおよび高αセルロース含有亜硫酸パルプは、セルロースエーテルおよびエステル等のセルロース誘導体の生産に使用される。しかしながら、高重合度および/または粘度を有する綿くずおよび亜硫酸繊維の生産は、綿の場合では、出発材料の費用、亜硫酸パルプの場合では、パルプ化および漂白の高エネルギー、化学的および環境的費用、および両方の場合に適用される広範囲の精製プロセスが必要であるため、高価である。高費用に加えて、市販される亜硫酸パルプの供給の弱まりが存在する。したがって、これらの繊維は、非常に高価であり、パルプおよび紙用途における適用性が制限され、例えば、より高いDPまたはより高い粘度のパルプが必要とされ得る。セルロース誘導体製造者には、これらのパルプは、それらの全体の製造費用の有意な部分を構成する。したがって、セルロース誘導体の生産に使用され得る、修飾クラフト繊維等の低費用の繊維に対する必要性が存在する。
【0024】
微結晶性セルロースの生産において使用することができる、安価なセルロース材料に対する必要性も存在する。微結晶性セルロースは、食品、医薬品、化粧品、および工業用途において広く使用され、部分的に脱重合されたセルロースの精製された結晶形態である。広範囲の漂白後の加工ステップの追加なく、微結晶性セルロース生産におけるクラフト繊維の使用は、これまで、制限されていた。微結晶性セルロース生産は、一般に、高度に精製されたセルロース出発材料を必要とし、それは、セルロース鎖の非晶質セグメントを除去するための酸加水分解である。Battistaらの米国特許第2,978,446号およびBraunsteinらの米国特許第5,346,589号を参照されたい。「レベルオフDP」と呼ばれるセルロースの非晶質セグメントの除去の際の鎖の低重合度は、しばしば、微結晶性セルロース生産の開始点であり、その数値は、主に、セルロース繊維源および加工に左右される。標準クラフト繊維からの非結晶セグメントの溶解は、一般に、1)残留不純物、2)十分に長い結晶セグメントの不足、または3)典型的には、200〜400の範囲の高すぎる重合度を有するセルロース繊維をもたらすということの少なくとも1つのため、それを大半の用途に不適にさせる程度まで繊維を分解して、それを微結晶性セルロースの生産に有用にする。例えば、優れた純度および/またはより低いレベルオフDP値を有するクラフト繊維は、ドラフト繊維が、微結晶性セルロース生産および用途においてより高い多用途性を提供し得るため望ましいであろう。
【0025】
本開示では、説明した特性のうちの1つまたは複数を有する繊維は、単に、典型的なクラフトパルプ化の修飾および漂白プロセスを介して生産することができる。本開示の繊維は、上述の公知の修飾クラフト繊維に関連する多くの制限を克服する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】消費された過酸化物の割合の関数として、最終の0.5%の毛状CED粘度のチャートを示す。
【図2】湿潤強度の樹脂レベルの関数として、湿潤強度対乾燥強度の比率のチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の開示
I.方法
本開示は、セルロース繊維を処理するための新規方法を提供する。いくつかの実施形態では、セルロース繊維を修飾する方法は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維を酸化することとを含む。本明細書に使用するとき、「酸化された」、「触媒的に酸化された」、「触媒酸化」、および「酸化」はすべて、互換的であり、セルロース繊維のヒドロキシル基のうちの少なくともいくつかが酸化されるように、少なくとも触媒量の鉄もしくは銅および少なくとも1つの過酸化物のうちの少なくとも1つを有する、セルロース繊維の処理を指すことを理解されたい。「鉄もしくは銅」および同様に「鉄(もしくは銅)」という句は、「鉄もしくは銅、またはその組み合わせ」を意味する。いくつかの実施形態では、酸化は、セルロース繊維のカルボン酸およびアルデヒド含有量を同時に増大させることを含む。
【0028】
本明細書に説明する方法に使用されるセルロース繊維は、針葉樹繊維、広葉樹繊維、およびその混合物に由来し得る。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、サザンパイン等の針葉樹に由来する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、ユーカリ等の広葉樹に由来する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、針葉樹および広葉樹の混合物に由来する。さらに別の実施形態では、修飾セルロース繊維は、以前にクラフトプロセスのすべてまたは一部を受けたセルロース繊維、すなわちクラフト繊維に由来する。
【0029】
「セルロース繊維」または「クラフト繊維」への本開示における参照は、異なるものとして具体的に指示されるか、当業者がそれらが異なるものであると理解するであろう場合を除き、互換的である。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、一般にセルロース繊維の繊維長を維持しながらセルロース繊維を酸化することと、を含む。
【0031】
「繊維長」および「平均繊維長」は、繊維の特性を説明するために使用されるとき、互換的に使用され、長さ・重量平均の繊維長を意味する。したがって、例えば、2mmの平均繊維長を有する繊維は、2mmの長さ・重量平均繊維長を有する繊維を意味することを理解されるべきである。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維を部分的に漂白することと、セルロース繊維を酸化することとを含む。いくつかの実施形態では、酸化は、漂白プロセスにおいて行われる。いくつかの実施形態では、酸化は、漂白プロセス後に行われる。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維を酸化し、それによって、セルロース繊維の重合度を低減させることとを含む。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、そのセルロース繊維のカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を維持しながら、セルロース繊維を酸化することとを含む。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維を酸化することと、その酸化したセルロース繊維の明度を標準セルロース繊維よりも増大させることとを含む。
【0036】
上述のとおり、本開示に従い、セルロース繊維の酸化は、少なくとも触媒量の鉄もしくは銅および過酸化水素でのセルロース繊維の処理を伴う。少なくとも1つの実施形態では、方法は、鉄および過酸化水素でセルロース繊維を酸化することを含む。鉄源は、当業者が認識するであろう、例えば、硫酸第一鉄(例えば、硫酸第一鉄七水和物)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、またはクエン酸第二鉄アンモニウム等の任意の好適な源であることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、方法は、銅および過酸化水素でセルロース繊維を酸化することを含む。同様に、銅源は、当業者が認識するであろう任意の好適な源であることができる。最後に、いくつかの実施形態では、方法は、銅および鉄ならびに過酸化水素の組み合わせでセルロース繊維を酸化することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維をパルプ化することと、セルロース繊維を漂白することと、セルロース繊維を酸化することとを含む、セルロース繊維を処理するための方法を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、セルロース繊維を酸素脱リグニンすることを含む。酸素脱リグニンは、当業者に公知の任意の方法によって実施することができる。例えば、酸素脱リグニンは、従来の2段階酸素脱リグニンであり得る。例えば、クラフト繊維等のセルロース繊維の酸素脱リグニン化は、加工中にセルロース繊維のカルボン酸、および/またはアルデヒド含有量を変化し得ることは公知である。いくつかの実施形態では、方法は、セルロース繊維を漂白する前のセルロース繊維の酸素脱リグニン化を含む。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、方法は、クラフトパルプ化ステップ、酸素脱リグニンステップ、およびクラフト漂白ステップのうちの少なくとも1つにおいて、セルロース繊維を酸化することを含む。好ましい実施形態では、方法は、少なくとも1つのクラフト漂白ステップにおいてセルロース繊維を酸化することを含む。少なくとも1つの実施形態では、方法は、2つまたは1つ以上のクラフト漂白ステップにおいてセルロース繊維を酸化することを含む。
【0041】
セルロース繊維が漂白ステップにおいて酸化されるとき、セルロース繊維は、酸化中または酸化後に漂白プロセスにおける実質的にアルカリの条件を対象とするべきではない。いくつかの実施形態では、方法は、酸性pHで、セルロース繊維を酸化することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維を酸性にすることと、次いで、酸性pHで、セルロース繊維を酸化することとを含む。いくつかの実施形態では、pHは、約2〜約6、例えば、約2〜約5、または約2〜約4の範囲である。
【0042】
pHは、当業者が認識するとおり、任意の好適な酸、例えば、硫酸もしくは塩酸、または多段階漂白プロセスの二酸化塩素(D)段階等の漂白プロセスの酸性漂白段階からのろ液を使用して調節することができる。例えば、セルロース繊維は、外来酸を追加することによって、酸性化され得る。外来酸の例は、当該技術において公知であり、硫酸、塩酸、および炭酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、セルロース繊維は、排出ろ液等の漂白ステップからの酸性ろ液で酸性化される。いくつかの実施形態では、漂白ステップからの酸性ろ液は、高い鉄含有量を有さない。少なくとも1つの実施形態では、セルロース繊維は、多段階漂白プロセスのD段階からの酸性ろ液で酸性化される。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、多段階漂白シーケンスの1つまたは複数の段階においてセルロース繊維を酸化することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、多段階漂白シーケンスの単一段階においてセルロース繊維を酸化することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、多段階漂白シーケンスの最終において、または最終間近でセルロース繊維を酸化することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、5段階漂白シーケンスの少なくとも第4の段階においてセルロース繊維を酸化することを含む。
【0044】
本開示に従い、多段階漂白シーケンスは、アルカリ漂白ステップ後に酸化ステップを含まない、任意の漂白シーケンスであることができる。少なくとも1つの実施形態では、多段階漂白シーケンスは、5段階漂白シーケンスである。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、DEDEDシーケンスである。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、DE1D1E2D2シーケンスである。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、D(EoP)D1E2D2シーケンスである。いくつかの実施形態では、漂白シーケンスは、D(EO)D1E2D2である。
【0045】
多段階漂白シーケンスの非酸化段階は、本開示に説明する修飾繊維の生産において有用であるという条件で、従来の条件下で行われる、任意の慣例または発見後の一連の段階を含み得、アルカリ漂白ステップは、酸化ステップに従い得ない。
【0046】
いくつかの実施形態では、酸化は、多段階漂白プロセスの第4の段階に組み込まれる。いくつかの実施形態では、方法は、DE1D1E2D2のシーケンスを有する5段階漂白プロセスにおいて実施され、第4の段階(E2)は、クラフト繊維を酸化するために使用される。
【0047】
いくつかの実施形態では、κ数は、セルロース繊維の酸化後に増大する。より具体的には、過マンガン酸試薬と反応するリグニン等の材料において予期された減少に基づき、この漂白段階にわたるκ数の減少を典型的に予想するであろう。しかしながら、本明細書に説明する方法において、セルロース繊維のκ数は、不純物、例えば、リガニンの損失のため、減少し得るが、κ数は、繊維の化学修飾のため増大し得る。理論にとらわれずに、修飾セルロースの増大した官能性は、過マンガン酸試薬と反応することができる付加的な部位を提供すると考えられている。故に、修飾されたクラフト繊維のκ数は、標準クラフト繊維のκ数に対して上昇する。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、酸化は、鉄もしくは銅、および過酸化物の両方が追加された後、かつある保持時間が提供された後の漂白シーケンスの単一段階において生じる。適切な保持は、鉄もしくは銅で過酸化水素を触媒するのに十分である時間の量である。かかる時間は、当業者によって容易に解明可能である。
【0049】
本開示に従い、酸化は、所望の反応完了を生成するために十分である時間の間、かつ温度で実行される。例えば、酸化は、約60〜約80℃の範囲の温度で、かつ約40〜約80分の範囲の時間の間、実行され得る。酸化反応の所望の時間および温度は、当業者にとって容易に解明可能であろう。
【0050】
有利に、セルロース繊維は、漂白前に標的κ数まで消化される。例えば、酸化されたセルロースが、紙の等級または綿毛パルプセルロースに望ましいとき、セルロース繊維は、セルロースを漂白し、酸化する前に、約30〜約32の範囲のκ数まで、Lo−Solids(登録商標)蒸解を用いて、2容器型油圧消化器内で消化され得る。代替的には、酸化されたセルロースが、セルロース誘導体用途、例えば、セルロースエステルの生産に望ましい場合、セルロース繊維は、本開示の方法に従い、セルロースを漂白し、酸化する前に、約20〜約24の範囲のκ数まで消化され得る。いくつかの実施形態では、セルロース繊維は、セルロース繊維を漂白し、酸化する前に、従来の2段階酸化脱リグニンステップにおいて消化され、脱リグニン化される。有利に、脱リグニンは、酸化されたセルロースが、セルロース誘導体用途を対象とするとき、約6〜約8の範囲の標的κ数まで、酸化されたセルロースが、紙および/または綿毛用途を対象とするとき、約12〜約14の範囲の標的κ数まで実行される。
【0051】
いくつかの実施形態では、漂白プロセスは、約85〜約95%、または約88%〜約90%の範囲等の約88〜90%の最終ISO明度を標的とする条件下で行われる。
【0052】
本開示はまた、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維のDPを低減させることと、セルロース繊維の繊維長を維持することとを含む、セルロース繊維を処理する方法を提供する。いくつかの実施形態では、セルロース繊維は、クラフト繊維である。いくつかの実施形態では、セルロース繊維のDPは、漂白プロセスにおいて低減される。いくつかの実施形態では、セルロース繊維のDPは、多段階漂白シーケンスの最終における、または最終間近で低減される。いくつかの実施形態では、DPは、多段階漂白シーケンスの少なくとも第4の段階において低減される。いくつかの実施形態では、DPは、多段階漂白シーケンスの第4の段階において、またはその後に低減される。
【0053】
代替的には、多段階漂白シーケンスは、セルロース繊維を酸化する前に、よりロバスト性漂白条件を提供するように変化され得る。いくつかの実施形態では、方法は、酸化ステップ前に、よりロバスト性条件を提供することを含む。よりロバスト性漂白条件は、より少ない量の鉄もしくは銅、および/または過酸化水素で、セルロース繊維の重合度および/または粘度が、酸化ステップにおいて低減されることを可能にし得る。したがって、最終セルロース製品の明度および/または粘度が、さらに制御することができるように、漂白シーケンス条件を修飾することが可能であり得る。例えば、酸化前によりロバスト性漂白条件を提供しながら、過酸化物および金属の量を低減することは、同一の酸化条件であるが、ロバスト性の少ない漂白で生産された酸化された製品よりも低い粘度および高い明度を有する製品を提供し得る。かかる条件は、いくつかの実施形態において、特に、セルロースエーテル用途において有益であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示の方法はさらに、酸化段階前に測定されたセルロース繊維の結晶性よりも低いように、セルロース繊維の結晶化を低減させることを含む。例えば、本開示の方法に従い、セルロース繊維の結晶性指数は、酸化段階前に測定された出発結晶性指数に対して、最大20%まで低減され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示の方法はさらに、少なくとも1つの腐食物質またはアルカリ性物質で修飾セルロース繊維を処理することを含む。例えば、少なくとも1つの実施形態では、セルロース繊維を処理する方法は、本開示の酸化されたセルロース繊維を提供することと、酸化されたセルロース繊維をアルカリ性物質または腐食物質に暴露することと、次いで、セルロース製品を乾燥干しすることとを含む。理論にとらわれることなく、修飾セルロースへの少なくとも1つの腐食物質の追加が、非常に高い官能性および非常に短い繊維長を有するセルロース繊維をもたらし得ると考えられている。
【0056】
増加したアルデヒド基を含むセルロースが、セルロース繊維の湿潤強度を改善する際に有益な特性を有し得ることは公知である。例えば、Smithらの米国特許第6,319,361号、およびThorntonらの第6,582,559号を参照されたい。かかる特性は、例えば、吸収性材料用途において、有益であり得る。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の修飾セルロース繊維を提供することと、本開示の修飾セルロース繊維を製品に追加することとを含む、紙製品等の製品の湿潤強度を改善する方法を提供する。例えば、方法は、漂白プロセスにおいてセルロース繊維を酸化することと、酸性物質または腐食物質で酸化されたセルロース繊維をさらに処理することと、処理した繊維をセルロース製品に追加することとを含み得る。
【0057】
本開示に従い、過酸化水素を、最終セルロース製品の所望の酸化および/または重合度および/または粘度を達成するために十分な量で、酸性媒体中でセルロース繊維に追加する。例えば、過酸化物を、パルプの乾燥重量に基づき、約0.1〜約4%、または約1%〜約3%、または約1%〜約2%、または約2%〜約3%の量で追加することができる。
【0058】
鉄もしくは銅を、少なくとも、過酸化物でのセルロースの酸化を触媒するために十分な量で追加する。例えば、鉄は、クラフトパルプの乾燥重量に基づき、約25〜約200ppmの範囲の量で追加することができる。当業者は、最終セルロース製品の酸化および/または重合度および/または粘度の所望レベルまたは量を達成するように、鉄もしくは銅の量を容易に最適化することができるであろう。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、過酸化水素の追加前または追加後のいずれかに蒸気を追加することを伴う。
【0060】
いくつかの実施形態では、パルプの最終DPおよび/または粘度は、鉄もしくは銅および過酸化水素の量、ならびに酸化ステップ前の漂白条件のロバスト性によって制御することができる。当業者は、本開示の修飾クラフト繊維の他の特性が、鉄もしくは銅および過酸化水素、ならびに酸化ステップ前の漂白条件のロバスト性によって影響され得ることを認識するであろう。例えば、当業者は、鉄もしくは銅および過酸化水素の量、ならびに酸化ステップ前の漂白条件のロバスト性を調節して、最終製品の所望の明度および/または所望の重合度または粘度を標的とするか、または達成し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示は、セルロース繊維を提供することと、セルロース繊維の重合度を低減させることと、セルロース繊維の繊維長を維持することとを含む、セルロース繊維を修飾する方法を提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示の酸化されたクラフト繊維は、精製されない。酸化されたクラフト繊維の精製は、その繊維長および統合性へのマイナス影響を有し得、例えば、繊維の精製は、繊維を崩壊し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、5段階漂白プロセスの各段階は、(当業者に公知のとおり)少なくとも混合器、反応器、および洗浄器を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、クラフトパルプは、D1段階の洗浄器上で酸性化され、鉄源はまた、D1段階の洗浄器上のクラフトパルプに追加され、過酸化物は、E2段階のタワーの前に混合器またはポンプ内の添加地点で鉄源(もしくは銅源)の後に追加され、クラフトパルプは、E2のタワーにおいて反応させられ、E2の洗浄器上で洗浄され、蒸気は、蒸気混合器内のE2のタワー前に任意に追加され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、パルプが、D1段階において最初に(すなわち、鉄の追加前)酸性化されることを条件に、鉄(もしくは銅)は、D1段階の最終まで追加することができるか、または鉄(もしくは銅)はまた、E2段階の開始時に追加することができる。蒸気は、過酸化物の追加前または追加後のいずれかに任意に追加され得る。
【0066】
例示的実施形態では、低粘度の修飾セルロース繊維を調製する方法は、多段階漂白プロセスにおいてクラフトパルプを漂白することと、酸性媒体および鉄の存在下で過酸化水素での処理を使用して、多段階漂白プロセスの最終において、または最終間近に(例えば、多段階漂白プロセスの第4の段階において、例えば、5段階漂白プロセスの第4の段階において)、パルプのDPを低減させることとを伴い得る。例えば、パルプの最終DPは、実施例セクションにおいてさらに説明するように、鉄もしくは銅および過酸化水素の適切な用途によって制御され得る。いくつかの実施形態では、鉄もしくは銅および過酸化水素は、低DP繊維(すなわち、約1180〜約1830の範囲のDPw、または約7〜約13mPa・sの範囲の0.5%の毛状CED粘度を有する繊維)を生産するのに好適な量および条件下で提供される。いくつかの例示的実施形態では、鉄もしくは銅および過酸化水素は、提供され得る。いくつかの例示的実施形態では、鉄もしくは銅および過酸化水素は、超低DP繊維(すなわち、約700〜約1180の範囲のDPw、または約3.0〜約7mPa・sの範囲の0.5%0.5%の毛状CED粘度を有する繊維)を生産するのに好適な量および条件下で提供され得る。
【0067】
例えば、いくつかの実施形態では、鉄もしくは銅を有する酸性媒体における過酸化水素での処理は、クラフトパルプのpHを、約2〜約5の範囲のpHに調節することと、鉄源を酸性化されたパルプに追加することと、過酸化水素をクラフトパルプに追加することとを伴い得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、例えば、本開示の範囲内で修飾セルロース繊維を調製する方法は、クラフトパルプを、(例えば、硫酸を使用して)約2〜約5の範囲のpHに酸性化することと、鉄源(例えば、硫酸第一鉄、例えば、硫酸第一鉄七水和物)を、約1%〜約15%の範囲の稠度で、クラフトパルプの乾燥重量に基づき約25〜約250ppmのFe+2を適用した酸性化されたクラフトパルプ、ならびにクラフトパルプの乾燥重量に基づき約0.1%〜約1.5%の範囲の量で、約1重量%〜約50重量%の濃度の溶液として追加することができる過酸化水素と混合することと、を伴い得る。いくつかの実施形態では、硫酸第一鉄溶液を、約7%〜約15%の範囲の稠度でクラフトパルプと混合する。いくつかの実施形態では、酸性クラフトパルプを、鉄源と混合し、約60〜約80℃の範囲の温度で、約40〜約80分の範囲の期間の間、過酸化水素と反応させる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の範囲内の修飾セルロース繊維を調製する方法は、鉄(もしくは銅)の存在下で、酸性媒体において過酸化水素でクラフトパルプを処理することによってDPを低減させることを伴い、酸性の過酸化水素および鉄(もしくは銅)の処理は、多段階漂白プロセスに組み込まれる。いくつかの実施形態では、鉄、酸、および過酸化水素での処理は、多段階漂白プロセスの単一段階に組み込まれる。いくつかの実施形態では、鉄(もしくは銅)、酸、および過酸化水素での処理は、多段階漂白プロセスの最終における、または最終間近の単一段階に組み込まれる。いくつかの実施形態では、鉄(もしくは銅)、酸、および過酸化水素での処理は、多段階漂白プロセスの第4の段階に組み込まれる。例えば、パルプ処理は、鉄(もしくは銅)および過酸化物の両方が追加され、およびある保持時間が提供された後に、E2段階等の単一段階において生じ得る。いくつかの実施形態では、5段階漂白プロセスの各段階は、(当業者に公知のとおり)少なくとも混合器、反応器、および洗浄器を含み、クラフトパルプは、D1段階の洗浄器上で酸性化され得、鉄源はまた、D1段階の洗浄器上でクラフトパルプに追加され得、過酸化物は、E2段階のタワー前に混合器またはポンプ内の添加地点において鉄源(もしくは銅源)の後に追加され得、クラフトパルプは、E2のタワー内で反応させられ、E2の洗浄器上で洗浄され得、蒸気は、蒸気混合器内でE2のタワー前に任意に追加され得る。いくつかの実施形態では、パルプが、D1段階において最初に(すなわち、鉄の追加前)酸性化され、必要に応じて余分な酸が追加され、pHを約3〜約5の範囲にさせ得、過酸化物が鉄(もしくは銅)の後に追加され得ることを条件に、例えば、鉄(もしくは銅)は、D1段階の最終まで追加することができるか、または鉄(もしくは銅)はまた、E2段階の開始時に追加することができるであろう。蒸気は、過酸化物の追加前または追加後に追加し得る。
【0070】
例えば、一実施形態では、針葉樹セルロース出発材料で行った上述の5段階漂白プロセスは、以下の特性(少なくとも2.2mmの平均繊維長、約3.0mPa・s〜13mPa・s未満の範囲の粘度、約16%〜約20%の範囲のS10腐食溶解度、約14%〜約18%の範囲のS18腐食溶解度、2meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量、1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量、約1〜4のカルボニル含有量、約700ml〜約760mlの範囲のろ水度、約5km〜約8kmの範囲の繊維長、および約85〜約95ISOの範囲の明度)のうちの1つまたは複数を有する修飾セルロース繊維を生産し得る。例えば、いくつかの実施形態では、上述の例示的5段階漂白プロセスは、先述の特性のそれぞれを有する修飾セルロース針葉樹繊維を生産し得る。
【0071】
セルロース繊維が針葉樹繊維である別の実施例に従い、上述の例示的5段階漂白プロセスは、少なくとも2.0mm(例えば、約2.0mm〜約3.7mm、または約2.2mm〜約3.7mmの範囲)である平均繊維長、13mPa・s未満の粘度(例えば、約3.0mPa・s〜13mPa・s未満、または約3.0mPa・s〜約5.5mPa・s、または約3.0mPa・s〜約7mPa・s、または約7mPa・s〜13mPa・s未満の範囲の粘度)、および少なくとも85(例えば、約85〜約95の範囲)の明度を有する修飾セルロース針葉樹繊維を生産し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の修飾クラフト繊維を提供することと、次いで、綿毛パルプを生産することとを含む、綿毛パルプを生産する方法を提供する。例えば、方法は、多段階漂白プロセスにおいてクラフト繊維を漂白することと、酸性条件下で、多段階漂白プロセスの少なくとも第4または第5の段階において、過酸化水素または触媒量の鉄もしくは銅で繊維を酸化することと、次いで、綿毛パルプを形成することとを含む。少なくとも1つの実施形態では、繊維は、多段階漂白プロセス後に精製されない。
【0073】
本開示はまた、体の老廃物からの臭気、例えば、尿または血液からの臭気を低減させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示に従い修飾された漂白クラフト繊維を提供することと、標準クラフト繊維の等価重量に対する等価量の付臭剤の適用時の大気量の付臭剤と比較して、大気量の付臭剤が低減されるように、漂白クラフト繊維に付臭剤を適用することとを含む、臭気を制御する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、細菌臭の生成を阻害することを含む、臭気を制御する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、窒素付臭剤等の付臭剤を、修飾クラフト繊維上に吸収させることを含む、臭気を制御する方法を提供する。本明細書に使用するとき、「窒素付臭剤」は、少なくとも1つの窒素を含む付臭剤を意味することを理解されたい。
【0074】
少なくとも1つの実施形態では、臭気を低減させる方法は、本開示に従い修飾セルロース繊維を提供することと、窒素化合物、例えば、アンモニア等の付臭剤、または窒素化合物を修飾クラフト繊維に生成することが可能な有機体を適用することとを含む。いくつかの実施形態では、方法はさらに、修飾クラフト繊維に付臭剤を追加する前に、修飾セルロース繊維から綿毛パルプを形成することを含む。いくつかの実施形態では、付臭剤は、窒素化合物を産生することが可能な少なくとも1つの細菌を含む。いくつかの実施形態では、付臭剤は、アンモニア等の窒素化合物を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、臭気を低減させる方法はさらに、アンモニアを修飾セルロース繊維に吸収させることを含む。いくつかの実施形態では、臭気を低減させる方法はさらに、細菌アンモニア産生を阻害することを含む。いくつかの実施形態では、細菌アンモニア産生を阻害する方法は、細菌の成長を阻害することを含む。いくつかの実施形態では、細菌アンモニア産生を阻害する方法は、細菌尿素合成を阻害することを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、臭気を低減させる方法は、修飾セルロース繊維を少なくとも1つの他の臭気還元剤と組み合わせることと、次いで、臭気還元剤と組み合わせた修飾セルロース繊維に付臭剤を適用することとを含む。
【0077】
例示的臭気還元剤は、当該分野において公知であり、例えば、臭気減少剤、臭気マスキング剤、バイオサイド、酵素、および尿素阻害剤が挙げられる。例えば、修飾セルロース繊維は、ゼオライト、活性炭、珪藻土、シクロデキストリン、粘土、キレート剤(銅イオン、銀イオン、または亜鉛イオン等の金属イオンを含有するもの等)、イオン交換樹脂、抗菌性もしくは抗微生物性ポリマー、および/または芳香剤から選択される少なくとも1つの臭気還元剤と混合され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、少なくとも1つの超吸収性ポリマー(SAP)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、SAPは、臭気還元剤であり得る。本開示に従い使用することができるSAPの例には、BASF社から販売されるHysorb(商標)、Sumitomo社から販売されるAqua Keep(登録商標)、およびEvonik社から販売されるFAVOR(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
II.クラフト繊維
本明細書において、「標準」、「従来の」、または「伝統的な」クラフト繊維、クラフト漂白繊維、クラフトパルプ、またはクラフト漂白パルプについて言及する。かかる繊維またはパルプは、しばしば、本発明の改善された特性を定義するための参照点として説明される。本明細書に使用するとき、これらの用語は、互換的であり、組成物と同等であり、単独に、または1つもしくは複数のアルカリ処理または酸処理(すなわち、標準または従来の方法で加工された)の後の任意の酸化を受けることなく標的繊維またはパルプに同様の方法で加工された繊維またはパルプを指す。本明細書に使用するとき、「修飾された」という用語は、単独で、または1つもしくは複数のアルカリ処理または酸処理後の酸化処理を受けた繊維を指す。
【0079】
本明細書に記載される修飾セルロース繊維の物理的特長(例えば、繊維長および粘度)は、実施例セクションに提供されるプロトコルに従い測定される。
【0080】
本開示は、低粘度および超低粘度を有するクラフト繊維を提供する。特に特定しない限り、本明細書に使用するとき、「粘度」は、プロトコルに参照されるとおり、TAPPAI T230−om99に従い測定される、0.5%の毛状CED粘度を指す。本発明の修飾クラフト繊維は、それに行われた化学修飾を示す、独自の特徴を呈する。より具体的には、本発明の繊維は、標準クラフト繊維の特徴と同様の特徴、すなわち、長さおよびろ水度を呈するが、修飾繊維に含まれる増大した数の官能基の機能である、いくつかの非常に異なる特性も呈する。この修飾繊維は、記載した粘度を測定するためのTAPPI試験を受けるとき、独自の特徴を呈する。具体的には、記載したTAPPI試験は、試験方法の一部として、腐食剤で繊維を処理する。説明するとおり、修飾繊維への腐食剤の適用は、標準クラフト繊維と異なって修飾繊維を加水分解させ、したがって、一般的に、標準クラフト繊維の粘度よりも低い粘度を報告する。故に、当業者は、報告された粘度が、粘度測定方法によって影響を受け得ることを理解するであろう。本発明の目的のために、記載したTAPPI方法によって測定される、本明細書に報告された粘度は、繊維の重合度を算出するために使用されたクラフト繊維の粘度を表す。
【0081】
特に特定しない限り、本明細書に使用するとき、「DP」は、TAPPAI T230−om99に従い測定された、0.5%の毛状CED粘度から算出された平均重合重量度(DPw)を指す。例えば、J.F.Cellucon Conference in The Chemistry and Processing of Wood and Plant Fibrous Materials,p.155、test protocol 8,1994(Woodhead Publishing Ltd.,Abington Hall,Abinton Cambridge CBI 6 AH England,J.F.Kennedy et al.eds)を参照されたい。「低DP」は、約1160〜約1860の範囲のDP、または約7〜約13mPa・sの範囲の粘度を意味する。「超低DP」繊維は、約350〜約1160の範囲のDP、または約3〜約7mPa・sの範囲の粘度を意味する。
【0082】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約350〜約1860の範囲のDPを有する。いくつかの実施形態では、DPは、約710〜約1860の範囲である。いくつかの実施形態では、DPは、約350〜約910の範囲である。いくつかの実施形態では、DPは、約350〜約1160の範囲である。いくつかの実施形態では、DPは、約1160〜約1860の範囲である。いくつかの実施形態では、DPは、1860未満、1550未満、1300未満、820未満、または600未満である。
【0083】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約3.0mPa・s〜約13mPa・sの範囲の粘度を有する。いくつかの実施形態では、粘度は、約4.5mPa・s〜約13mPa・sの範囲である。いくつかの実施形態では、粘度は、約3.0mPa・s〜約5.5mPa・sの範囲である。いくつかの実施形態では、粘度は、約3.0mPa・s〜約7mPa・sの範囲である。いくつかの実施形態では、粘度は、約7mPa・s〜約13mPa・sの範囲である。いくつかの実施形態では、粘度は、約13mPa・s未満、10mPa・s未満、8mPa・s未満、5mPa・s未満、または4mPa・s未満である。
【0084】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、漂白プロセス中にそのろ水度を維持する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、少なくとも約700ml、または約710ml、または約720ml、または730ml等の少なくとも約690mlの「ろ水度」を有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、漂白プロセス中にその繊維長を維持する。
【0086】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維が針葉樹繊維であるとき、修飾セルロース繊維は、下記の実施例セクションに説明する試験プロトコル12に従い測定される、約2mm以上の平均繊維長を有する。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、約3.7mmを超えない。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、少なくとも約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、または約3.7mmである。いくつかの実施形態では、平均繊維長は、約2mm〜約3.7mm、または約2.2mm〜約3.7mmの範囲である。
【0087】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維が広葉樹繊維であるとき、修飾セルロース繊維は、約0.75〜約1.25mmの平均繊維長を有する。例えば、平均繊維長は、約0.95mm、または約1.05mm、または約1.15mm等の少なくとも約0.85mmであり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、クラフト繊維の標準クラフト繊維と同等の明度を有する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、少なくとも85、86、87、88、89、または90ISOの明度を有する。いくつかの実施形態では、明度は、約92を超えない。いくつかの実施形態では、明度は、約85〜約92、または約86〜約90、または約87〜約90、または約88〜約90の範囲である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、標準クラフト繊維よりも圧縮性がある、および/またはエンボス加工可能である。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維を使用して、等価量の標準クラフト繊維で生産された構造よりも薄い、および/またはそれよりも高い密度を有する構造を生産し得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、少なくとも約0.21g/cc、例えば、約0.22g/cc、または約0.23g/cc、または約0.24g/ccの密度まで圧縮され得る。いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、約0.21〜約0.24g/ccの範囲の密度まで圧縮され得る。少なくとも1つの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、20psiゲージ圧力での圧縮時に、約0.21〜約0.24g/ccの範囲の密度を有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、約5psiのゲージ圧力下での圧縮時に、約0.110〜約0.114g/ccの範囲の密度を有する。例えば、本開示の修飾セルロース繊維は、約5psiのゲージ圧力下での圧縮時に、少なくとも約0.110g/cc、例えば、少なくとも約0.112g/cc、または約0.113g/cc、または約0.114g/ccの密度を有し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、約10psiのゲージ圧力下での圧縮時に、約0.130〜約0.155g/ccの範囲の密度を有する。例えば、本開示の修飾セルロース繊維は、約10psiのゲージ圧力下での圧縮時に、少なくとも約0.130g/cc、例えば、少なくとも約0.135g/cc、または約0.140g/cc、または約0.145g/cc、または約0.150g/ccの密度を有し得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、標準クラフト繊維の密度より少なくとも約8%高い密度まで圧縮することができる。いくつかの実施形態では、本開示の修飾セルロース繊維は、標準クラフト繊維の密度よりも約8%〜約16%高い、例えば、約10%〜約16%高い、または約12%〜約16%高い、または約13%〜約16%高い、または約14%〜約16%高い、または約15%〜約16%高い密度を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、標準クラフト繊維に対して増大したカルボキシル含有量を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約2meq/100g〜約9meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する。いくつかの実施形態では、カルボキシル含有量は、約3meq/100g〜約8meq/100gの範囲である。いくつかの実施形態では、カルボキシル含有量は、約4meq/100gである。いくつかの実施形態では、カルボキシル含有量は、少なくとも約2meq/100g、例えば、少なくとも約2.5meq/100g、例えば、少なくとも約3.0meq/100g、例えば、少なくとも約3.5meq/100g、例えば、少なくとも約4.0meq/100g、例えば、少なくとも約4.5meq/100g、または例えば、少なくとも約5.0meq/100gである。
【0096】
本開示の修飾クラフト繊維は、標準漂白クラフト繊維に対して増大したアルデヒド含有量を有する。いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、約1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する。いくつかの実施形態では、アルデヒド含有量は、少なくとも約1.5meq/100g、約2meq/100g、約2.5meq/100g、約3.0meq/100g、約3.5meq/100g、約4.0meq/100g、約4.5meq/100g、または約5.0meq/100g、または少なくとも約6.5meq、または少なくとも約7.0meqである。
【0097】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約0.5以上等、約1以上等、約1.4以上等の約0.3以上の総アルデヒドとカルボキシル含有量との比率を有する。いくつかの実施形態では、アルデヒドとカルボキシルとの比率は、約0.3〜約1.5の範囲である。いくつかの実施形態では、比率は、約0.3〜約0.5の範囲である。いくつかの実施形態では、比率は、約0.5〜約1の範囲である。いくつかの実施形態では、比率は、約1〜約1.5の範囲である。
【0098】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、標準クラフト繊維よりも高いキンクおよびカールを有する。本発明に従う修飾クラフト繊維は、約1.3〜約2.3の範囲のキンク指数を有する。例えば、キンク指数は、約1.5〜約2.3、または約1.7〜約2.3、または約1.8〜約2.3、または約2.0〜約2.3の範囲であり得る。本開示に従う修飾クラフト繊維は、約0.15〜約0.2等の約0.11〜約0.23の範囲の長さ加重カール指数を有し得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維の結晶性指数は、標準クラフト繊維の結晶性指数に対して約5%〜約20%、例えば、約10%〜約20%、または約15%〜約20%低減される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本開示に従う修飾セルロースは、約65%〜約85%、例えば、約70%〜約85%、または約75%〜約85%の範囲のR10値を有する。いくつかの実施形態では、本開示に従う修飾繊維は、約75%〜約90%、例えば、約80%〜約90%、例えば、約80%〜約87%の範囲のR18値を有する。R18およびR10の含有量は、TAPPI235に説明されている。R10は、10重量%の腐食でのパルプの抽出後に残留する残留不溶解材料を表し、R18は、18重量%の腐食溶液でのパルプの抽出後に残留する不溶解材料の残留量を表す。一般に、10%の腐食溶液では、ヘミセルロースおよび化学分解された短鎖セルロースは、溶液中で溶解され、除去される。対照的には、一般に、ヘミセルロースのみが、18%の腐食溶解中で溶解され、除去される。したがって、R10値と、R18値との間の差異(R=R18−R10)は、パルプサンプル中に存在する化学分解された短鎖セルロースの量を表す。
【0101】
繊維のキンクおよびカール、修飾クラフトの増大した官能性、ならびに結晶性等の上述の特性のうちの1つまたは複数に基づき、当業者は、本開示の修飾クラフト繊維が、標準クラフト繊維が保持しないある特性を有することを予想するであろう。例えば、本開示のクラフト繊維が、標準クラフト繊維よりも可撓性であり、細長であり、および/または湾曲し、および/または弾性を呈し、および/またはウィッキングを増大し得ると考えられている。その上、理論にとらわれずに、パルプ内の比較的固定された空間位置のままであり、それらの分散を遅延させるように、修飾クラフト繊維が、例えば、綿毛パルプにおいて、繊維のもつれおよび繊維/繊維接着をもたらすか、またはパルプに適用された材料をもつれさせるであろう、物理的構造を提供し得ることが予想されている。加えて、標準クラフト繊維に対して、少なくとも低減された結晶性のため、本開示のその修飾クラフト繊維は、標準クラフト繊維よりも柔軟であり、吸収性製品用途、例えば、オムツおよびバンドエイド用途における適用性を強化させることが予想されている。
【0102】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約16%〜約30%、または約14%〜約16%の範囲のS10の腐食溶解度を有する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約14%〜約22%、または約14%〜約16%の範囲のS18の腐食溶解度を有する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約2.9以上のΔR(S10とS18との間の差異)を有する。いくつかの実施形態では、ΔRは、約6.0以上である。
【0103】
いくつかの実施形態では、湿式ゼロスパン裂断長によって測定されるとおり、修飾セルロース繊維強度は、約4km〜約10km、例えば、約5km〜約8kmの範囲である。いくつかの実施形態では、繊維長は、少なくとも約4km、約5km、約6km、約7km、または約8kmである。いくつかの実施形態では、繊維長は、少なくとも約5km〜約7km、または約6km〜約7kmの範囲である。
【0104】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、臭気制御特性を有する。いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、尿または月経等の体の老廃物の臭気を低減させることが可能である。いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、アンモニアを吸収する。いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、細菌臭気産生を阻害する、例えば、いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、細菌アンモニア産生を阻害する。
【0105】
少なくとも1つの実施形態では、修飾クラフト繊維は、窒素含有付臭剤、例えば、アンモニア等の付臭剤を吸収することが可能である。
【0106】
本明細書に使用するとき、「付臭剤」という用語は、匂いもしくは臭気を有するか、または嗅覚受容体と相互作用することが可能な化学材料を意味するか、または匂いもしくは臭気を生成する化合物を生成することが可能な細菌、例えば、尿素を生成する細菌等の有機体を意味することを理解されたい。
【0107】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、標準漂白クラフト繊維が大気中アンモニアを低減させるよりも多く大気中アンモニア濃度を低減させる。例えば、修飾クラフト繊維は、修飾クラフト繊維に適用されたアンモニアサンプルの少なくとも一部を吸収するか、または細菌アンモニア産生を阻害することによって、大気中アンモニアを低減させ得る。少なくとも1つの実施形態では、修飾クラフト繊維は、アンモニアを吸収し、細菌アンモニア産生を阻害する。
【0108】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、大気中アンモニアを、標準クラフト繊維よりも少なくとも約40%多く、例えば、アンモニアを、標準クラフト繊維よりも少なくとも約50%多く、または約60%多く、または約70%多く、または約75%多く、または約80%多く、または約90%多く低減させる。
【0109】
いくつかの実施形態では、約9gの修飾セルロースへの0.12gの50%のアンモニア水酸化物の溶液の適用、および45分間の培養時間後の本開示の修飾クラフト繊維は、1.6L〜150ppm未満、例えば、約125ppm未満、例えば、約100ppm未満、例えば、約75ppm未満、例えば、約50ppm未満の容積の大気中アンモニア濃度を低減させる。
【0110】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、繊維1g当たり約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する。例えば、修飾セルロースは、繊維1g当たり約6〜約10ppm、または約7〜約10ppm、または約8〜約10ppmのアンモニアを吸収し得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、標準クラフト繊維と比較して改善された臭気制御特性および改善された明度の両方を有する。少なくとも1つの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約85〜約92の範囲の明度を有し、臭気を低減させることが可能である。例えば、修飾セルロースは、約85〜約92の範囲の明度を有し得、繊維1g毎に約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する。
【0112】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、MEM溶出細胞毒性試験、0〜4等級で2未満のISO10993−5を有する。例えば、細胞毒性は、約1.5未満、または約1未満であり得る。
【0113】
酸化されたセルロース、特に、アルデヒド基および/またはカルボン酸基を含むセルロースが抗ウイルスおよび/または抗微生物活性を呈することは公知である。例えば、Song et al.Novel antiviral activity of dialdehyde starch,Electronic J. Biotech.,Vol.12,No.2,2009、Looneyらの米国特許第7,019,191号を参照されたい。例えば、ジアルデヒドスターチ中のアルデヒド基は、抗ウイルス活性を提供し、例えば、カルボン酸基を含有する、酸化されたセルロースおよび酸化された再生セルロースが、それらの殺菌特性および止血特性のため、損傷用途において一部頻繁に使用されていることは公知である。故に、いくつかの実施形態では、本開示のセルロース繊維は、抗ウイルス活性、および/または抗微生物活性を呈し得る。少なくとも1つの実施形態では、修飾セルロース繊維は、抗細菌活性を呈する。いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、抗ウイルス活性を呈する。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、約100未満、または約80未満、または約75、または約50、または約48未満もしくは同等等の200未満のレベルオフDPを有する。レベルオフDPは、当該分野において公知の方法によって、例えば、BattistaらのLevel Off Degree of Plymerization,Division of Cellulose Chemistry,Symposium on Degradation of Cellulose and Cellulose Derivatives,127th Meeting,ACS,Cincinnati,Ohio,March−April 1955に開示される方法によって測定することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、約2未満のκ数を有する。例えば、修飾クラフト繊維は、約1.9未満のκ数を有する。いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、約0.1〜約0.9、約0.1〜約0.8、例えば、約0.1〜約0.7、例えば、約0.1〜約0.6、約0.1〜約0.5、または約0.2〜約0.5等の約0.1〜約1の範囲のκ数を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、多段階プロセスにおいて漂白されたクラフト繊維であり、酸化ステップは、少なくとも1つの漂白プロセスの後に続く。かかる実施形態では、少なくとも1つの漂白ステップ後の修飾繊維は、TAPPI UM251に従い測定される、約0.2〜約1.2の範囲の「κ数」を有する。例えば、κ数は、約0.4〜約1.2、または約0.6〜約1.2、または約0.8〜約1.2、または約1.0〜約1.2の範囲であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、約2より大きい銅価を有する。いくつかの実施形態では、銅価は、2.0より大きい。いくつかの実施形態では、銅価は、約2.5より大きい。例えば、銅価は、約3より大きい場合がある。いくつかの実施形態では、銅価は、約3〜約5.5、例えば、約3〜約5.2等の約2.5〜約5.5の範囲である。
【0118】
少なくとも1つの実施形態では、修飾クラフト繊維のヘミセルロース含有量は、標準無漂白クラフト繊維と実質的に同一である。例えば、針葉樹クラフト繊維に対するヘミセルロース含有量は、約16%〜約18%の範囲であり得る。例えば、広葉樹クラフト繊維のヘミセルロース含有量は、約18%〜約25%の範囲であり得る。
III.さらなる加工−酸/アルカリ加水分解
いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、セルロース誘導体の生産、例えば、低粘度のセルロースエーテル、セルロースエステル、および微結晶性セルロースの生産に好適である。いくつかの実施形態では、本開示の修飾クラフト繊維は、加水分解された修飾クラフト繊維である。本明細書に使用するとき、「加水分解された修飾クラフト繊維」、「加水分解されたクラフト繊維」、および同等物は、セルロース鎖を脱重合化することで公知の任意の酸またはアルカリ処理で加水分解された繊維を意味することを理解されたい。いくつかの実施形態では、本開示に従うクラフト繊維はさらに、その粘度および/または重合度を低減させるように処理される。例えば、本開示に従うクラフト繊維は、酸または塩基で処理され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示に従いクラフト繊維を漂白することと、次いで、漂白クラフト繊維を加水分解することとを含む、クラフト繊維を処理する方法を提供する。加水分解は、当業者に公知の任意の方法であることができる。いくつかの実施形態では、漂白クラフト繊維は、少なくとも1つの酸で加水分解される。いくつかの実施形態では、漂白クラフト繊維は、硫酸、鉱酸、および塩酸から選択される酸で加水分解される。
【0120】
本開示はまた、セルロースエーテルを生産する方法も提供する。いくつかの実施形態では、セルロースエーテルを生産する方法は、本開示に従い、クラフト繊維を漂白することと、水酸化ナトリウム等の少なくとも1つのアルカリ性剤で漂白クラフト繊維を処理することと、少なくとも1つのエーテル化剤と繊維を反応させることとを含む。
【0121】
本開示はまた、セルロースエステルを生産する方法も提供する。いくつかの実施形態では、セルロースエステルを生産する方法は、本開示に従いクラフト繊維を漂白することと、硫酸等の触媒で漂白クラフト繊維を処理することと、次いで、少なくとも1つの無水酢酸または酢酸で繊維を処理することとを含む。代替的実施形態では、セルロース酢酸塩を生産する方法は、本開示に従いクラフト繊維を漂白することと、硫酸で漂白クラフト繊維を処理することと、少なくとも1つの無水酢酸または酢酸で、加水分解されたクラフト繊維を処理することとを含む。
【0122】
本開示はまた、微結晶性セルロースを生産する方法も提供する。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースを生産する方法は、本開示に従うクラフト繊維を提供することと、所望のDPに到達するまで、またはレベルオフDPに到達する条件下で、少なくとも1つの酸で漂白クラフト繊維を加水分解することとを含む。さらなる実施形態では、加水分解された漂白クラフト繊維は、例えば、研削、ミル加工、またはせん断によって、機械的に処理される。微結晶性セルロース生産において、加水分解されたクラフト繊維を機械的に処理する方法は、当業者に公知であり、所望の粒径を提供し得る。微結晶性セルロースを生産するための他のパラメータおよび条件は、公知であり、例えば、米国特許第2,978,446号および第5,346,589号に説明されている。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示に従う修飾クラフト繊維はさらに、その粘度および/または重合度を低減させるように、アルカリ性剤または腐食剤でさらに処理される。約9を超えるpHのアルカリ処理は、ジアルデヒドを反応させ、β−ヒドロキシ脱離させる。アルカリ性剤で処理された、このさらなる修飾繊維はまた、ティッシュ、タオル、および他の吸収性製品の生産において、かつセルロース誘導体用途において有用であり得る。より従来の製紙において、補強剤は、しばしば、繊維スラリーに追加され、最終製品の物理的特性を修飾する。このアルカリ修飾繊維を使用して、ティッシュおよびタオルの生産に使用される強度調節剤のいくつかまたはすべてを交換し得る。
【0124】
上述のとおり、本明細書に説明するプロセスによって調製することができる、3種類の繊維製品が存在する。第1の種類は、触媒酸化によって処理されている繊維であり、その繊維は、(少なくとも、物理的特性および製紙特性に関する限り)その従来の対照物とほとんど区別がつかないが、それに関連する機能性を有し、それは、その臭気制御特性のうちの1つまたは複数、圧縮率、低DPおよび超低DP、および/または、アルカリまたは加水分解条件(セルロース誘導体生産、例えば、エーテルまたは酢酸塩生産に関する条件等)下で、「in−situ」を低DP/低粘度繊維に変換する能力を与える。この種類の繊維の物理的特長および製紙特性は、それを典型的な製紙用途および吸収性製品用途における使用に適切にする。一方、増大した官能性(例えば、アルデヒドおよびカルボン酸)、およびその官能性に関連する特性は、この繊維を、標準クラフト繊維よりも望ましく、多目的にさせる。
【0125】
第2の種類の繊維は、触媒酸化を受け、次いで、アルカリ性または腐食剤で処理されている繊維である。アルカリ性剤は、酸化プロセスを介して追加されたカルボニル官能性の部位において繊維を分解させる。この繊維は、酸化のみを受けた繊維とは異なる物理的および製紙特性を有するが、粘度を測定するために使用された試験、およびそれによって、DPが繊維を腐食剤にさらすため、同一または同様のDPレベルを呈し得る。異なるアルカリ性剤およびレベルが、異なるDPレベルを提供し得ることは、当業者には明らかであろう。
【0126】
第3の種類の繊維は、触媒酸化を受け、次いで、酸加水分解ステップにおいて処理されている繊維である。酸加水分解は、恐らく、そのレベルオフDPと一致するレベルまで繊維の分解をもたらす。
IV.クラフト繊維から作製された製品
本開示は、本明細書に説明する修飾クラフト繊維から作製された製品を提供する。いくつかの実施形態では、製品は、典型的に、標準クラフト繊維から作製される製品である。他の実施形態では、製品は、典型的に、綿くずもしくは亜硫酸パルプから作製される製品である。より具体的には、本発明の修飾繊維は、さらなる修飾なく、吸収性製品の生産において、かつ化学的誘導体の調製における出発材料(エーテルおよびエステル等)として使用することができる。
これまで、綿および亜硫酸パルプ等の高α含有量セルロース、ならびに伝統的なクラフト繊維を交換するために有用であった繊維は、使用可能ではなかった。
【0127】
「綿くず(もしくは亜硫酸パルプ)のために代用することができる」、および「綿くず(または亜硫酸パルプ)と互換性がある」、および「綿くず(もしくは亜硫酸パルプ)の代わりに使用することができる」、ならびに同等物等の句は、繊維が、通常、綿くず(もしくは亜硫酸パルプ)を使用して作製された最終用途における使用に好適な特性を有することのみを意味する。句は、繊維が、必然的に、綿くず(もしくは亜硫酸パルプ)と同一の特徴のすべてを有することを意味することを意図しない。
【0128】
いくつかの実施形態では、製品は、医療デバイス(創傷ケア(例えば、バンドエイド)を含む)、幼児用オムツ、授乳パッド、成人用失禁製品、女性衛生用用品(例えば、生理用ナプキンおよびタンポンを含む)、エアレイド不織製品、エアレイド組成物、「卓上」雑巾、ナプキン、ティッシュ、タオル、および同等物が挙げられるが、これらに限定されない、吸収性製品である。本開示に従う吸収性製品は、使い捨て型であり得る。これらの実施形態では、本発明に従う修飾繊維は、これらの製品の生産において典型的に使用される漂白広葉樹または針葉樹繊維のすべてまたは部分的代用品として使用することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、修飾セルロース繊維は、綿毛パルプの形態であり、修飾セルロース繊維を吸収性製品の従来の綿毛パルプよりも有効にさせる、1つまたは複数の特性を有する。より具体的には、本発明の修飾繊維は、改善された圧縮率および改善された臭気制御を有し得、それらの両方は、それを、現在使用可能な綿毛パルプ繊維の代用品として望ましくさせる。本開示の繊維の改善された圧縮率のため、より薄く、より小型の吸収性構造を生産しようと努める実施形態において有用である。本開示の繊維の圧縮性性質を理解すれば、当業者は、この繊維を使用することができる吸収性製品を容易に想定することができるであろう。例として、いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の修飾クラフト繊維を含む、超薄型衛生製品を提供する。超薄型綿毛コアは、典型的には、例えば、女性用衛生製品または幼児用オムツに使用される。本開示の繊維で生産することができる他の製品は、吸収性コアまたは圧縮された吸収性層を必要とするすべてのものであることができる。圧縮されるとき、本発明の繊維は、吸収性の損失、またはその実質的な損失を呈さないが、可撓性の改善を示す。
【0130】
さらなる修飾なく、本発明の修飾繊維はまた、ティッシュ、タオル、ナプキン、および伝統的な製紙機械で形成される他の紙製品が挙げられるが、これらに限定されない、吸収性製品の生産においても使用され得る。伝統的な製紙プロセスは、典型的には、水がその後除去される形成ワイヤ上に配置される水性繊維スラリーの調製を伴う。本開示の修飾セルロース繊維の増大した官能性は、これらの修飾繊維を含む、製品の改善された製品特徴を提供し得る。上述の理由のため、本発明の修飾繊維は、繊維の増大した官能性に関連する可能性の高い強度の改善を呈し得るように、それを使用して製品を作製させる。本発明の修飾繊維はまた、改善された柔軟性を有する製品をもたらし得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示の修飾繊維は、さらなる修飾なく、酸亜硫酸パルププロセスによって生産された綿くずおよび漂白針葉樹繊維に由来するもの等のセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース)、および約2950〜約3980の非常に高いDP(すなわち、0.5%の毛状CEDによって測定されるとおり、30mPa・s〜約60mPa・sの範囲の粘度を有する繊維)、および非常に高い割合のセルロース(例えば、95%以上)を有する繊維の代用品としてのエステルの製造において使用することができる。酸加水分解を受けていない本発明の修飾繊維は、一般に、セルロースエーテルまたはエステルを作製するための生産プロセスにおいて、かかる酸加水分解処理を受ける。
【0132】
説明するとおり、第2および第3の種類の繊維は、繊維を誘導体化または加水分解するプロセスを介して生産される。これらの繊維はまた、吸収性物品、吸収性紙製品、およびセルロース誘導体(エーテルおよびエステルを含む)の生産においても有用であることができる。
V.酸/アルカリ加水分解製品
いくつかの実施形態では、本開示は、綿くずもしくは亜硫酸パルプの代用品として修飾クラフト繊維を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、綿くずもしくは亜硫酸パルプの代用品として、例えば、セルロースエーテル、セルロース酢酸塩、および微結晶性セルロースの製造において使用することができる修飾クラフト繊維を提供する。
【0133】
理論にとらわれることなく、従来のクラフトパルプに対するアルデヒド含有量の増大が、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、および同等物等の最終製品にエーテル化のための付加的な活性部位を提供し、製紙およびセルロース誘導体の両方に使用することができる繊維の生産を可能にすると考えられている。
【0134】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、それを、セルロースエーテルの製造に好適にさせる化学的特性を有する。したがって、本開示は、説明する修飾クラフト繊維に由来するセルロースエーテルを提供する。いくつかの実施形態では、セルロースエーテルは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルメチルセルロースから選択される。本開示のセルロースエーテルは、伝統的なセルロースエーテルが使用される任意の用途において使用され得ると考えられている。例えば、かつ制限する目的ではなく、本開示のセルロースエーテルは、コーティング、インク、結合剤、制御放出薬物錠剤、およびフィルムに使用され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、それを、セルロースエステルの製造に好適にさせる化学的特性を有する。したがって、本開示は、本開示の修飾クラフト繊維に由来するセルロース酢酸塩等のセルロースエステルを提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の修飾クラフト繊維に由来するセルロース酢酸塩を含む、製品を提供する。例えば、制限する目的ではなく、本開示のセルロースエステルは、家庭用家具、タバコ、インク、吸収性製品、医薬デバイス、およびプラスチック(例えば、LCDおよびプラズマ画面、ならびにフロントガラスを含む)に使用され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、修飾クラフト繊維は、それを、微結晶性セルロースの製造に好適にさせる化学的特性を有する。微結晶性セルロース生産は、比較的清潔で、高度に精製された出発セルロース材料を必要とする。そのため、伝統的には、主に、高価な亜硫酸パルプがその生産に使用されている。本開示は、本開示の修飾クラフト繊維に由来する微結晶性セルロースを提供する。したがって、本開示は、微結晶性セルロース生産のための費用効果の高いセルロース源を提供する。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースは、約100未満、例えば、約75未満、または約50未満である、DPを有する修飾クラフト繊維に由来する。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースは、約65%〜約85%、例えば、約70%〜約85%、または約75%〜約85%の範囲のR10値、および約75%〜約90%、例えば、約80%〜約90%、例えば、約80%〜約87%の範囲のR18値を有する修飾クラフト繊維に由来する。
【0137】
本開示の修飾セルロースは、微結晶性セルロースが伝統的に使用されている任意の用途において使用され得る。例えば、制限する目的ではなく、本開示の修飾セルロースは、薬学的用途または栄養補助用途、食品用途、化粧用途、紙用途において、または構造用複合材料として使用され得る。例えば、本開示の修飾セルロースは、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、錠剤成型助剤、安定剤、テクスチャー剤、脂肪代替物、充填剤、凝固阻止剤、発砲剤、乳化剤、増粘剤、分離剤、ゲル化剤、キャリア材料、乳白剤、または粘度修飾剤であり得る。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースは、コロイドである。
VI.酸加水分解された製品を含む製品
いくつかの実施形態では、本開示は、加水分解されている本開示の修飾クラフト繊維から生産されている、微結晶性セルロースを含む薬学的製品を提供する。薬学的製品は、微結晶性セルロースが伝統的に使用されている任意の薬学的製品であり得る。例えば、制限する目的ではなく、薬学的製品は、錠剤およびカプセルから選択され得る。例えば、本開示の微結晶性セルロースは、希釈剤、崩壊剤、結合剤、圧縮助剤、コーティング、および/または潤滑剤であり得る。他の実施形態では、本開示は、加水分解された修飾クラフト繊維等の、本開示の少なくとも1つの修飾された誘導体化クラフト繊維を含む薬学的製品を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態では、本開示は、加水分解されている、本開示の漂白クラフト繊維を含む食品製品を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の漂白クラフト繊維に由来する少なくとも1つの製品を含む、食品製品を提供する。さらなる実施形態では、本開示は、本開示のクラフト繊維に由来する微結晶性セルロースを含む、食品製品を提供する。いくつかの実施形態では、食品製品は、本開示のクラフト繊維に由来するコロイド性微結晶性セルロースを含む。食品製品は、微結晶性セルロースが伝統的に使用されている任意の食品製品であり得る。微結晶性セルロースが使用され得る例示的食品カテゴリーは、当業者に周知であり、例えば、国際食品規格(Codex Alimentarius)、例えば、表3で確認することができる。例えば、本開示の化学修飾されたクラフト繊維に由来する微結晶性セルロースは、凝固阻止剤、充填剤、乳化剤、発砲剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、および/または懸濁剤であり得る。
【0139】
本開示に従う化学修飾されたクラフト繊維に由来するセルロース誘導体および微結晶性セルロースを含む他の製品はまた、当業者によって想定し得る。かかる製品は、例えば、化粧用途および工業用途において確認し得る。
【0140】
本明細書に使用するとき、「約」は、実験誤差による変動を占めることを意味する。すべての測定は、特に具体的に記載されない限り、「約」が明確に記載されているかどうかにかかわらず、「約」という用語によって変化することを理解する。したがって、例えば、「2mmの長さを有する繊維」という記述は、「約2mmの長さを有する繊維」を意味することを理解されたい。
【0141】
本発明の1つまたは複数の非制限的実施形態の詳細は、下記の実施例に記載する。本発明の他の実施形態は、本開示の考察後に当業者に明らかでなければならない。
【実施例】
【0142】
実施例
A.試験プロトコル
1. 腐食溶解度(R10、S10、R18、S18)は、TAPPI T235−cm00に従い測定される。
2. カルボキシル含有量は、TAPPI T237−cm98に従い測定される。
3. アルデヒド含有量は、Econotech Services LTD(所有生産者ESM055B)に従い測定される。
4. 銅価は、TAPPI T430−cm99に従い測定される。
5.カルボニル含有量は、Biomacromolecules 2002,3,969−975からの式(カルボニル=(Cu.No−0.07)/0.6に従い、銅価から算出される。
6. 0.5%の毛状CEDの粘度は、TAPPI T230−om99に従い測定される。
7. 固有粘度は、ASTM D1795(2007)に従い測定される。
8. DPは、The Chemistry and Processing Of Wood And Plant Fibrous Materials,p.155、woodhead Publishing Ltd,Abington Hall,Abington,Cambridge CBI 6AH,England,J.F.Kennedy,et al.editorsに刊行される1994 Cellucon Connferenceからの式(DPw=−449.6+598.4ln(0.5%の毛状CED)+118.02ln(0.5%の毛状CED))に従い、0.5%の毛状CEDの粘度から算出される。
9.炭水化物は、Dionexイオンクロマトグラフィーによる分析を用いる、TAPPI T249−cm00に従い測定される。
10. セルロース含有量は、TAPPI Journal 65(12):78−80 1982からの式(セルロース=グルカン−(マンナン/3))に従い、炭水化物組成物から算出される。
11. ヘミセルロース含有量は、糖の合計−セルロース含有量から算出される。
12. 繊維長および粗さは、製造者の標準手順に従い、OPTEST,Hawkesbury,OntarioからのFiber Quality Analyzer(商標)上で判定される。
13. 湿式ゼロスパン引張は、TAPPI T273−pm99に従い判定される。
14.ろ水度は、TAPPI T227−om99に従い判定される。
15. 保水値は、TAPPI UM256に従い判定される。
16. DCM(ジクロロメタン)抽出物は、TAPPI T204−cm97に従い判定される。
17. 鉄含有量は、酸消化およびICPによる分析によって判定される。
18.灰含有量は、TAPPI T211−om02に従い判定される。
19.過酸化物残基は、Interox手順に従い判定される。
20.明度は、TAPPI T525−om02に従い判定される。
21.多孔性は、TAPPI T460−om02に従い判定される。
22.バースト因子は、TAPPI T403−om02に従い判定される。
23.せん断因子は、TAPPI T414−om98に従い判定される。
24.裂断長および伸張は、TAPPI T494−om01に従い判定される。
25.不透明性は、TAPPI T425−om01に従い判定される。
26.Frazier多孔性は、製造者の手順に従い、Frazier Instruments,Hagerstown,MDのFrazier低空気浸透装置上で判定される。
27.繊維長および形状要因は、製造者の標準手順に従い、Lorentzen & Wettre,Kista,SwedenのL&W繊維試験器上で判定される。
28.きょう雑物および破片は、TAPPI T213−om01に従い判定される。
B.修飾セルロース繊維を作製するための例示的方法
半分漂白またはほぼ漂白されたクラフトパルプは、繊維の粘度またはDPを低減させる目的で、酸、鉄、および過酸化水素で処理され得る。繊維は、硫黄、塩化水素、酢酸、または二酸化塩素段階等の酸漂白段階の洗浄器からのろ過物を用いて、約2〜約5のpH(すでにこの範囲ではない場合)に調節され得る。鉄は、Fe+2の形態で追加され得る、例えば、鉄は、硫酸第一鉄七水和物(FeSO7HO)として追加され得る。硫酸第一鉄は、約0.1〜約48.5g/Lの範囲の濃度で、水中で溶解され得る。硫酸第一鉄溶液は、パルプの乾燥重量に基づき、Fe+2として、約25〜約200ppmの範囲の散布量で追加され得る。次いで、硫酸第一鉄溶液は、湿潤パルプの総質量の乾燥パルプ含有量として測定された約1%〜約15%の稠度で、pHが調節されたパルプと十分に混合され得る。次いで、過酸化水素(H)は、パルプの乾燥重量に基づき、約0.1%〜約3%の量で、水中のHの約1重量%〜約50重量%の濃度を有する溶液として追加され得る。硫酸第一鉄および過酸化物と混合された、約2〜約5のpHのパルプは、約60〜約80℃の温度で、約40〜約80分の範囲の時間の間、反応させられ得る。粘度(またはDP)の減少は、反応において消費された過酸化物の量によって左右され、それは、適用された過酸化物および鉄の濃度および量、ならびに保持時間および温度の関数である。
【0143】
処理は、DE1D1E2D2の標準シーケンスを有する、典型的な5段階漂白プラントにおいて達成され得る。そのスキームを用いて、付加的なタンク、ポンプ、混合器、タワー、または洗浄器は、不必要である。第4の段階、またはE2段階は、好ましくは、処理のために使用され得る。D1段階の洗浄器上の繊維は、必要に応じて、酸、またはD2段階からのろ過物の追加によって、約2〜約5のpHに調節され得る。硫酸第一鉄溶液は、パルプに追加され得る。(1)既存のシャワーヘッダーまたは新規のヘッダーを介して、それをD1段階の洗浄器マットに噴射することによって、パルプに追加、(2)リパルパにおけるスプレー機構を介して追加、または(3)第4の段階の混合器またはポンプの前の添加地点を介して追加され得る。溶液としての過酸化物は、第4の段階のタワー前に、混合器またはポンプ内の添加地点において、硫酸第一鉄の後に追加され得る。蒸気はまた、必要に応じて、蒸気混合器内のタワー前に追加され得る。次いで、パルプは、適切な保持時間の間、タワー内で反応させられ得る。次いで、化学修飾されたパルプは、通常の方法で、第4の段階の洗浄器上で洗浄され得る。付加的な漂白は、通常の方法で動作される第5またはD2段階による処理後に、任意に達成され得る。
実施例1
本開示の繊維の調製方法
A.ミル方法A
サザンパインセルロースを消化し、酸素を、従来の2段階酸化脱リグニンステップにおいて、約9〜約10のκ数まで脱リグニン化した。脱リグニンパルプを、D(EO)D1E2D2のシーケンスで5段階漂白プラントにおいて漂白した。第4またはE2段階の前に、パルプのpHを、シーケンスのD段階からのろ過物で、約2〜約5の範囲に調節した。pHを調節した後に、パルプの乾燥重量に基づき、0.2%の過酸化水素、およびパルプの乾燥重量に基づき、FeSO7HOの形態の25ppmのFe+2を、E2段階のタワーにおいてクラフト繊維に追加し、約78〜約82℃の温度で、約90分間、反応させた。次いで、反応した繊維を、第4の段階の洗浄器上で洗浄し、次いで、第5(D2)の段階において、二酸化塩素で漂白した。
【0144】
B.ミル方法B
パルプを0.6%の過酸化物および75ppmのFe+2で処理したことを除き、ミル方法Aに説明するとおりに繊維を調製した。
【0145】
C.ミル方法C
パルプを1.4%の過酸化物および100ppmのFe+2で処理したことを除き、ミル方法Aに説明するとおりに繊維を調製した。
例示的繊維の特性
ミル方法A(サンプル2)、B(サンプル3)、およびC(サンプル4)に従い調製した繊維のサンプルを、上述の5段階漂白シーケンスの後に収集した。標準綿毛等級繊維(GP River Cellulose,New Augusta,MS;サンプル1)、および市販のサンプル(Weyerhaeuser COから販売されるPEACH(商標);サンプル5)に加えてこれらのサンプルの種々の特性を、上述のプロトコルに従い測定した。これらの測定の結果を下記の表1に報告する。
表1
【0146】
【表1−1】

【0147】
【表1−2】

【0148】
表1に報告するとおり、対照繊維(サンプル1)の鉄含有量は、測定されなかった。しかしながら、サンプル1で報告した条件と同一の条件下で処理された、4つのミルで作製されたパルプサンプルの鉄含有量を採取した。これらのサンプルの鉄含有量を2.6ppmに平均化した。故に、サンプル1では、鉄含有量が約2.5ppmに類似することを予想するであろう。
【0149】
表1で確認することができるとおり、本発明に従う修飾繊維は、予想外に、総カルボニル含有量、ならびにカルボキシル含有量、およびアルデヒド含有量において、対照繊維(サンプル1)、および代替的な市販の酸化繊維(サンプル5)の両方と異なる。総カルボニル基とアルデヒド基との間の差異が存在する程度まで、付加的なカルボニル官能性は、他のケトンの形態であり得る。データは、我々が、カルボン酸基を保持しながら、かつアルデヒドと総カルボニル基とのほぼ一環した比率(表1に見られるとおり、約1.0(0.95)〜1.6)を保持しながら、比較的高いレベルのアルデヒドを達成することを示す。これは、高明度を呈し、比較的強く、吸収性である繊維においてより驚くべきものである。
【0150】
表1で確認することができるとおり、標準綿毛等級繊維(サンプル1)は、3.13meq/100gのカルボキシル含有量、および0.97meq/100gのアルデヒド含有量を有した。0.2%のHおよび25ppmのFe+2での低用量処理(サンプル2)、または0.6%のHおよび75ppmのFe+2での高用量処理(サンプル3)、または1.4%のHおよび100ppmのFe+2での高用量処理(サンプル4)の後、繊維長および算出されたセルロース含有量は、比較的変化せず、湿式ゼロスパン方法によって測定された繊維強度は、いくらか低下したが、カルボキシル、カルボニル、およびアルデヒド含有量はすべて、上昇し、セルロースの大幅な酸化を示す。
【0151】
比較すると、代替的方法によって製造された酸化されたクラフト針葉樹サザンパイン繊維の市販のサンプル(サンプル5)は、サンプル1として報告された綿毛等級繊維と比較して、湿式ゼロスパン方法によって測定されるとおり、繊維長の有意な減少、および繊維強度の70%の損失を示す。サンプル5のアルデヒド含有量は、標準綿毛等級繊維と比較して、視覚的に変化しなかったが、ミル方法A〜Cによって調製された本発明の繊維(サンプル2〜4)は、セルロースの算出された総カルボニル含有量の約70〜約100%を表す、非常に上昇したアルデヒドレベルを有した。対照的に、PEACH(登録商標)アルデヒドレベルは、セルロースの算出された総カルボニル含有量の30%未満であった。総カルボニルとアルデヒドとの比率は、特に、比率が約1〜約2の範囲(サンプル2〜4のように)である場合に、本開示の範囲内の修飾繊維の広範な適用性を有する繊維の最良の指数であるように見えるであろう。サンプル3および4等、かつ約1.5〜2.0未満のカルボニル/アルデヒド比率を有する低粘度繊維は、繊維長を維持したが、比較のサンプル5の繊維長は、維持されなかった。
【0152】
上述の標準繊維(サンプル1)のろ水度、密度、および強度を上述のサンプル3と比較した。この分析の結果を表2に図示する。
【0153】
【表2】

【0154】
上記の表2で確認することができるとおり、本開示に従う修飾セルロース繊維は、漂白シーケンスにおいて酸化処理を受けていない標準綿毛繊維に相当するろ水度を有し得る。
実施例2
約14.6mPa・sの0.5%の毛状CED粘度を有する、OD(EOP)D(EP)D漂白プラントのD1段階からのサザンパインパルプのサンプルを、0.25%〜1.5%、およびFeSO−7HOとして追加されたFe+2の50または100ppmのいずれかの過酸化水素用途で、約10%の稠度で、処理した。Fe+2を、水中の溶液として追加し、パルプと十分に混合した。次いで、水中の3%の溶液としての過酸化水素を、パルプと混合した。混合されたパルプを、78℃で、1時間、水槽内に維持した。反応時間後に、パルプをろ過し、ろ過物をpHおよび残留過酸化物に対して測定した。パルプを洗浄し、0.5%の毛状CED粘度を、TAPPI T230に従い判定した。結果を表3に示す。
【0155】
【表3】

【0156】
実施例3
15.8mPa・s(DPw2101)の0.5%の毛状CED粘度を有する、実施例2に説明する漂白プラントからのD1パルプのサンプルを、適用した0.75%の過酸化水素で処理し、かつ保持時間も45〜80分で異なったことを除き、実施例2と同一の方法で、50〜200ppmのFe+2を追加した。結果を表4に示す。
【0157】
【表4】

【0158】
実施例4
14.8mPa・s(DPw2020)の0.5%の毛状CED粘度を有する、実施例2に説明する漂白プラントからのD1パルプのサンプルを、処理時間が80分であったことを除き、実施例2で説明したものと同一の方法で、0.75%の過酸化水素、および150ppmのFe+2で処理した。結果を表5に示す。
【0159】
【表5】

【0160】
実施例5
15.6mPa・s(DPw2085)の0.5%の毛状CED粘度を有する、OD(EO)D1(EP)D2シーケンスのD1段階からのサザンパインパルプを、10%の稠度で、パルプ上で0.25重量%または0.5重量%のいずれかの過酸化水素用途、およびFeSO7HOとして追加された25、50、または100ppmのFe+2で処理した。Fe+2を、水中の溶液として追加し、パルプと十分に混合した。過酸化水素は、次いで、パルプと混合された、水中の3%の溶液であり、混合されたパルプを、78℃で、1時間、水槽内に維持した。反応時間後、パルプをろ過し、ろ過物をpHおよび残留過酸化物に対して測定した。パルプを洗浄し、0.5%の毛状CED粘度を、TAPPI T230に従い判定した。結果を表6に示す。
【0161】
【表6】

【0162】
実施例6
実施例5と同一の方法で、15.2mPa・s(DPw2053)の0.5%の毛状CED粘度を有する、D1パルプの別のサンプルを、0.10、0.25、0.50、または0.65%の過酸化水素、および25、50、または75ppmのFe+2で処理した。結果を、表7に示す。
【0163】
【表7】

【0164】
実施例7
クラフトおよび酸化段階における脱リグニンの程度が増大された後に、サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)D漂白シーケンスのD1段階から収集し、より低いDPwまたは0.5%の毛状CED粘度を有するパルプを生産した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、12.7mPa・s(DPw1834)であった。0.50または1.0%のいずれかの過酸化水素を、100ppmのFe+2で追加した。他の処理条件は、10%の稠度、78℃、および1時間の処理時間であった。結果を表8に示す。
【0165】
【表8】

【0166】
実施例8
処理時間が80分であったことを除き、実施例7と同様の方法で、11.5mPa・s(DPw1716)の0.5%の毛状CED粘度を有する、OD(EO)D(EP)DのD1段階からのD1パルプの低粘度サンプルを、0.75または1.0%のいずれかの過酸化水素、および75または150ppmのFe+2で処理した。結果を表9に示す。
【0167】
【表9】

【0168】
実施例9
サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)DシーケンスのD1段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、11.6mPa・s(DPw1726)であった。1.0%、1.5%、または2%のいずれかの過酸化水素を、75、150、または200ppmのFe+2で追加した。他の処理条件は、10%の稠度、78℃、および1.5時間の処理時間であった。結果を表10に示す。
【0169】
【表10】

【0170】
実施例10
サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)DシーケンスのD1段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、14.4mPa・s(DPw1986)であった。1.0%、1.5%、または2%のいずれかの過酸化水素を、75、150、または200ppmのFe+2で追加した。他の処理条件は、10%の稠度、78℃、および1.5時間の反応時間であった。結果を表11に示す。
【0171】
【表11】

【0172】
実施例11
サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)DシーケンスのD1段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、15.3mPa・s(DPw2061)であった。過酸化水素を、200ppmのFe+2を有するパルプに3%で追加した。他の処理条件は、10%の稠度、80℃、および1.5時間の反応時間であった。結果を表12に示す。
【0173】
【表12】

【0174】
上記の実施例2〜11は、0.5%の毛状CED粘度および/または重合度における有意な減少が、本開示の酸性の触媒された過酸化物処理で達成することができることを示す。DPwの最終粘度は、図1に示すように、反応によって消費される過酸化物の量に左右されるように見え、2つの異なるミル機(「Brunswick」およびLeaf River(「LR」))からのパルプの粘度を、消費された過酸化物の割合の関数として報告する。過酸化物消費は、適用された過酸化物および鉄の量および濃度、反応時間、ならびに反応温度の関数である。
実施例12
サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)DシーケンスのD1段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、14.8mPa・s(DPw2020)であった。過酸化水素を、CuSO5HOとして追加された、100、150、または200ppmのうちのいずれかのCu+2を有するパルプに、1%で追加した。他の処理条件は、10%の稠度、80℃、および3.5時間の反応時間であった。結果を表13に示す。
【0175】
【表13】

【0176】
鉄の代わりに、銅の使用は、より遅い反応および粘度におけるより少ない低減をもたらしたが、依然として、対照の未処理パルプよりも、粘度、カルボキシル含有量、およびアルデヒド含有量において有意な変化をもたらした。
実施例13
OD(EOP)D(EP)DシーケンスのE2(EP)段階を変更して、超低重合度パルプを生産した。FeSO 7HOの溶液を、Fe+2として150ppmの適用速度で、D1段階の洗浄器リパルパでパルプ上に噴射した。腐食剤(NaOH)をE2段階に追加せず、過酸化物用途を0.75%に増大させた。保持時間は、約1時間であり、温度は、79℃であった。pHは、2.9であった。処理されたパルプを真空ドラム洗浄器上で洗浄し、その後、91℃で、約2時間の間、0.7%のCIOで、最終D2段階において処理した。最終漂白パルプの0.5%の毛状CED粘度は、6.5mPa・s(DPw1084)であり、ISO明度は、87であった。
実施例14
実施例13において生産されたパルプを、標準ドライヤーカンを有するFourdrinierタイプのパルプドライヤー上のパルプボードに作製した。対照パルプおよび本発明のパルプ(ULDP)のサンプルを収集し、化学組成物および繊維特性に対して分析した。結果を表14に示す。
【0177】
【表14】

【0178】
処理されたパルプ(ULDP)は、10%および18%のNaOHにおいて、より高いアルカリ溶解度、およびより高いアルデヒド、ならびに総カルボニル含有量を有した。ULDPは、0.5%の毛状CED粘度によって測定されるように、DPにおいて有意に低かった。繊維統合性における減少も、湿式ゼロスパン引張強度の低下によって判定した。DPwの有意な低下にかかわらず、繊維長およびろ水度は、本質的に変化しなかった。機械上の排出またはボード作製に有害な影響はなかった。
実施例15
実施例13と同様の方法で、OD(EO)D(EP)DシーケンスのE2(EP)段階を変化させて、超低重合度パルプを生産した。この実施例では、FeSO 7HOを、Fe+2として75ppmで追加し、E2段階において適用された過酸化水素は、0.6%であった。処理段階のpHは、3.0であり、温度は、82℃であり、保持時間は、約80分であった。パルプを洗浄し、次いで、約150分の間、92℃で、0.2%のCIOで、D2段階において処理した。完全に漂白されたパルプの0.5%の毛状CED粘度は、5.5mPa・s(DPw914)であり、ISO明度は、88.2であった。
実施例16
実施例15において生産されたパルプを、エアボーンFlakt(商標)ドライヤーセクションを有する、Fourdhnierタイプのパルプドライヤー上のパルプボードに作製した。標準パルプおよび本発明のパルプ(ULDP)のサンプルを収集し、化学組成物および繊維特性に対して分析した。結果を表15に示す。
【0179】
【表15】

【0180】
処理されたパルプ(ULDP)は、10%および18%のNaOHにおいてより高いアルカリ溶解度、およびより高いアルデヒド、ならびに総カルボニル含有量を有した。ULDPは、0.5%の毛状CED粘度およびより低い湿式ゼロスパン裂断長によって測定されるように、DPにおいて有意に低かった。明度は、依然として、88.2の許容可能な値であった。処理は、繊維長およびろ水度を保存し、ボードを形成し、乾燥させる動作的な問題はなかった。
実施例17
実施例13と同様の方法で、OD(EO)D(EP)DシーケンスのE2(EP)段階を変化させて、低重合度パルプを生産した。この場合では、FeSO 7HOを、Fe+2として、25ppmで追加し、E2段階において適用された過酸化水素は0.2%であった。処理段階のpHは、3.0であり、温度は、82℃であり、保持時間は、約80分であった。パルプを洗浄し、次いで、約150分の間、92℃で、0.2%のCIOで、D2段階において処理した。完全に漂白されたパルプの0.5%の毛状CED粘度は、8.9mPa・s(DPw1423)であり、ISO明度は、89であった。
実施例18
実施例15において生産されたパルプを、エアボーンFlakt(商標)ドライヤーセクションを有する、Fourdhnierタイプのパルプドライヤー上のパルプボードに作製した。標準パルプおよび本発明の低重合度パルプ(LDP)のサンプルを収集し、化学組成物および繊維特性に対して分析した。結果を表16に示す。
【0181】
【表16】

【0182】
処理されたパルプ(LDP)は、10%および18%のNaOHにおいてより高いアルカリ溶解度、およびより高いアルデヒド、ならびに総カルボニル含有量を有した。LDPは、0.5%の毛状CED粘度によって測定されるように、DPにおいて低かった。明度において、最小限の損失があった。処理は、繊維長およびろ水度を保存し、ボードを形成し、乾燥させる動作的な問題はなかった。
実施例19
実施例14に説明するパルプボードを繊維化し、Kamas Laboratory Hammermill(Kamas Industrial,Sweeden)を使用して4″×7″パッドに空気形成した。次いで、空気形成されたパッドを、実験プレス機を使用して種々のケージ圧力で圧縮した。プレスした後、パッドキャリパーを、0.089psiの足圧を有するEmvecoマイクロゲージキャリパーゲージモデル200−Aを使用して測定した。パッド密度をパッドの重量およびキャリパーから算出した。結果を表17に図示する。
【0183】
【表17】

【0184】
表17のデータは、本開示の範囲内で生産された修飾繊維が、より圧縮性であり、今日の使い捨て吸収性製品設計により好適な、より薄く、かつより高い密度の構造をもたらしたことを示す。
【0185】
理論にとらわれることなく、セルロースの酸化は、ポリマーの結晶性構造を崩壊し、より堅さを少なくし、より適合性にさせると考えられている。次いで、修飾セルロース構造から成る繊維は、より圧縮性になり、より高い密度の吸収性構造の生産を可能にする。
実施例20
サザンパインパルプを、OD(EO)D(EP)DシーケンスのD1段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、14.9mPa・s(DPw2028)であった。1.0%または2%のいずれかの過酸化水素を、100または200ppmのFe+2でそれぞれ追加した。他の処理条件は、10%の稠度、80℃、および1時間の保持時間であった。次いで、これらの綿毛パルプを、脱イオン化水でスラリー化し、スクリーン上で湿ったまま広げて繊維マットを形成し、ローラープレス機を介して脱水し、250°Fで乾燥した。乾燥シートを脱繊維化し、Kamas Laboratory Hammermill(Kamas Industries,Sweden)を使用して、8.5g(空気乾燥)の重量の4″×7″のエアレイドパッドに空気形成した。不織カバーストックの単一の完全なカバレーッジシートを、各パッドの1つの面に適用し、サンプルを、145psigの荷重を印加するCarver油圧プラテンプレス機を使用して、密度化した。
【0186】
これらのパッドを、チェック弁および1/4 ID Tygon(登録商標)管と嵌合した取り外し可能の蓋を有する個々の1.6Lの気密プラスチック容器に定置した。容器の蓋を固着する前に、室温の60グラムの脱イオン化水および0.12グラムの50%のNHOHの絶縁を、サンプルの全体にわたって、0.1psiの荷重を印加することが可能な送達デバイス上の中心の1″ID垂直管に注入した。絶縁の完全な吸収時、送達デバイスは、サンプルから取り外され、封止されたサンプリングポートを有する蓋を容器と嵌合し、カウントダウンタイマーを開始した。45分間の終了時に、ヘッドスペースサンプルを、アンモニア選択性短期的ガス検出管およびACCURO(登録商標)ベローポンプ(ともに、Draeger Safetyy Inc.,Pittsburgh,PAから入手可能)を使用して、サンプリングポートから採取した。表18のデータは、本開示の範囲内で生産された修飾繊維が、ヘッドスペース内のアンモニアガスの量を低減させ、しばしば、湿った失禁用製品において好ましくないとして挙げられる揮発性の悪臭化合物の抑制を提供する構造をもたらすことが可能であったことを示す。
【0187】
【表18】

【0188】
実施例21
実施例14と同一の方法で、市販のクラフトパルプ化設備のOD(EO)D(EP)DシーケンスのE2段階を変化させて、低重合度パルプを生産した。この実施例では、FeSO−7HOを、Fe+2として100ppmで追加し、E2段階において適用された過酸化水素は、1.4%であった。パルプ特性を表19に示す。
【0189】
【表19】

【0190】
生産された修飾化学セルロースを、エアボーンFlakt(商標)ドライヤーセクションを有するFourdhnierタイプのパルプドライヤー上のパルプボードに作製した。この製品および対照クラフトパルプボードのサンプルを、Kamas Laboratory Hammermillを使用して脱繊維化した。繊維特性の光分析を、製造者のプロトコルに従い、Optest Equipment,Inc.,Hawkesbury,ON,Canadaから入手可能なHiRes繊維品質分析器を介して、Kamasミルサンプル前後で実施した。結果を下記の表に図示する。
【0191】
【表20】

【0192】
表20で確認することができるように、本開示に従い調製されたULDPの繊維は、鉄および過酸化物で処理されていない対照繊維よりも高いキンクおよびカールを有する。
【0193】
上記の脱繊維化された繊維を、4.25グラムの重量(空気乾燥)の4″×7″のパッドに空気形成した。BASFから供給されるポリアクリル酸ナトリウム超吸収(SAP)顆粒を、2つの4.25グラムのパッドの間に均一に適用した。完全なカバレージ不織カバーストックを、繊維/SAPマトリクスの上面に適用し、パッドを、Carverプラテンプレス機を介して印加された145psigの荷重によって、密度化した。
【0194】
合成尿を、脱イオン水中で、2%の尿素、0.9%塩化ナトリウム、および0.24%の栄養ブイヨン(Hardy Diagnostics,Santa Maria,CAから入手可能なCriterion(商標)ブランドを溶解し、1.4×10CFU/mlの出発細菌濃度をもたらす、プロテウスブルガリスのアリコートを追加することによって、調製した。次いで、実施例20に説明するとおり、上述のパッドをヘッドスペースチャンバ内に定置し、80mlの合成尿溶液で絶縁した。絶縁直後に、チャンバを封止し、30℃の温度での環境に定置した。ドラガーサンプリングを、4時間および7時間の間隔で、順番に実施した。実験を3回繰り返し、平均結果を表21に報告する。
【0195】
【表21】

【0196】
データから確認することができるとおり、尿素の細菌加水分解からもたらされる環境アンモニアは、標準クラフトサザンパイン繊維で生産された複合構造に対して、本開示の範囲内で生産された修飾セルロース繊維を組み込む複合構造(市販の尿失禁用製品と構造において同様)においてより低い。したがって、本開示に従う修飾セルロース繊維を含む構造は、標準クラフトサザンパイン繊維よりも優れた臭気制御特性を有した。
実施例22−第4の段階と、漂白後処理との比較
サザンパインパルプを、OD(EO)D1(EP)D2シーケンスのD1の段階から収集した。出発の0.5%の毛状CED粘度は、14.1mPa・sであった。過酸化水素を、Fe+2の150ppmを有するパルプの乾燥重量に基づき、1.5%として追加した。本明細書に使用するとき、「P*」を使用して、鉄および過酸化水素処理段階を示す。シーケンスの第4の段階において、1時間、78℃で10%の稠度で処理を行った。次いで、この処理されたパルプを洗浄し、D2段階において、78℃で、2時間、0.25%のCIOで漂白した。結果を表22に示す。
【0197】
【表22】

【0198】
上記のD2サンプルも、1時間、105℃のオーブン内に定置することによって、明度復元に対して試験した。明度ならびにL*(白色度)、a*(赤〜緑)、およびb*(青〜黄色)の値を、製造者のプロトコルに従い、復元処理の前後に、Hunterlab MiniScanによって測定した。結果を下記の表23に示す。より陽性のb値は、より黄色を示す。したがって、より高いb値は、大半の紙およびパルプ用途において望ましくない。下記に報告する変色後の数は、時効前後のk/sの比率(k=吸収係数およびs=散乱係数、すなわち、変色後の数=100{(k/s)時効後−(k/s)時効前})における差異を表す(例えば、H.W.GiBrtZ,Svensk Papperstid.,48(13)、317(1945)参照)。
【0199】
【表23】

【0200】
同一の出発毛状CED粘度を有するサザンパインパルプを、上述のとおり、同一の漂白プラントのD2段階から収集し、上述のとおり、過酸化水素およびFe+2で処理した。過酸化水素を、Fe+2の150ppmを有するパルプの乾燥重量に基づき、1.5%として追加した。この処理されたパルプの特性を表24に図示する。
【0201】
【表24】

【0202】
P*パルプを、上述のとおり、明度復元に対して試験した。結果を以下の表25に図示する。
【0203】
【表25】

【0204】
上記のデータから確認することができるとおり、5段階漂白プランとの最終段階後の処理と比較して、5段階漂白プラントの第4の段階における酸性の触媒された過酸化物処理は、有益な明度特性をもたらす。第4の段階の処理では、処理段階からの任意の明度の損失は、高明度パルプが依然として取得されるように、最終D2漂白段階で補うことができる。漂白後処理の場合では、補うことができない、3.4ポイントの有意な明度の損失が存在する。促進された明度復元処理の後、後者の場合では、依然として、有意に低い明度を有する。
実施例23 強度データ
本開示に従う、5.1mPa・sの粘度を有する修飾セルロースから生産された綿毛パルプの強度を、15.4mPa・sの粘度を有する従来の綿毛パルプと比較した。結果を下記の表26に図示する。
【0205】
【表26】

【0206】
実施例24 修飾セルロースの誘導体化
実施例21からのULDPのサンプルを、122℃で、3時間、5%の稠度で、0.05MのHCIで酸加水分解した。D1段階からの初期パルプ、ULDP、および酸加水分解されたULDPを、下記の方法によって、平均分子量および重合度に対して試験した。
【0207】
3つのパルプサンプルを、20メッシュスクリーンを通過させるように粉末化した。セルロースサンプル(15mg)を、マイクロ撹拌バーを装備する別個の試験管に定置し、一晩、40℃で、真空下で乾燥させた。次いで、試験管を、ゴム製セプタで蓋をした。無水ピリジン(4.00mL)およびイソシアン酸フェニル(0.50mL)を、注射器を介して連続的に追加した。試験管を70℃の油槽に定置し、48時間、撹拌させた。メタノール(1.00mL)を追加して、任意の残留イソシアン酸フェニルを急冷した。次いで、各試験管の内容物を、7:3のメタノール/水混合物(100mL)に滴下して追加し、誘導体化されたセルロースの沈殿を促進した。固体をろ過によって収集し、次いで、メタノール/水(1×50mL)の後に、水(2×50mL)で洗浄した。次いで、誘導体化されたセルロースを、40℃で、真空下で、一晩、乾燥した。GPC分析前に、誘導体化されたセルロースを、THF(1mg/mL)中で溶解し、0.45μmのフィルターを介してろ過し、2mLの自動サンプラーバイアル内に定置した。得られるDPwおよびDPn(重合度の平均数)を下記の表27に報告する。
【0208】
【表27】

【0209】
上記の表で確認することができるとおり、本開示に従う酸加水分解後の修飾セルロースは、48のDPnを有することができる。
実施例25
繊維をスラリーし、pHを約5.5に調節し、次いで、一時的湿潤強度剤として、Kemira Chemicalsのグリオキシル化されたポリアクリルアミドを追加することによって、Leaf River ULDPの繊維および標準針葉樹繊維をハンドシートに作製した。次いで、繊維を形成し、シートにプレスし、乾燥させた。シートの特徴を公知の方法によって測定した。結果を下記の表28に報告する。
【0210】
【表28】

【0211】
上記の表28で確認することができるとおり、本開示に従うULDPは、ウェットプレス紙の製造において使用し得る。図2に示されるように、ULDPから形成されたハンドシートの湿潤/乾燥の比率は、標準サザン針葉樹のみから作製された日比較のシートの湿潤/乾燥の比率よりも高い。
他の発明の実施形態
出願者が現在望む発明は、付属の請求項に定義されるが、本発明はまた、以下の実施例に従い定義され得るものであり、これらの請求を必ずしも排他または制限しないことを理解されたい。
A. 繊維が、約13mPa・s未満、好ましくは、約10mPa・s未満、より好ましくは、8mPa・s、より一層好ましくは、約5mPa・s未満、またはさらにより一層好ましくは、約4mPa・s未満の0.5%の毛状CED粘度を有する、漂白針葉樹または広葉樹クラフトパルプ由来の繊維。
B. 繊維が、少なくとも約2mm、好ましくは、少なくとも約2.2mm、例えば、少なくとも約2.3mm、または例えば、少なくとも約2.4mm、または例えば、約2.5mm、より好ましくは、約2mm〜約3.7mm、より一層好ましくは約2.2mm〜約3.7mmの平均繊維長を有する、漂白針葉樹クラフトパルプ由来の繊維。
C. 繊維が、少なくとも約0.75mm、好ましくは、少なくとも約0.85mm、または例えば、少なくとも約0.95、またはより好ましくは、少なくとも約1.15、または約0.75mm〜約1.25mmの範囲の平均繊維長を有する、漂白広葉樹クラフトパルプ由来の繊維。
D. 繊維が、約13mPa・s未満の0.5%の毛状CED粘度、少なくとも約2mmの平均繊維長、および約85〜約95の範囲のISO明度を有する、漂白針葉樹クラフトパルプ由来の繊維。
E. 粘度が、約3.0mPa・s〜約13mPa・s、例えば、約4.5mPa・s〜約13mPa・s、好ましくは、約7mPa・s〜約13mPa・s、または例えば、約3.0mPa・s〜約7mPa・s、好ましくは、約3.0mPa・s〜約5.5mPa・sの範囲である、実施例A〜Dのうちのいずれかに従う繊維。
F. 粘度が、約7mPa・s未満である、実施例A〜Dに従う繊維。
G. 粘度が、約3.5mPa・s未満である、実施例A〜Dに従う繊維。
H. 粘度が、約4.5mPa・s未満である、実施例A〜Dに従う繊維。
I. 粘度が、約5.5mPa・s未満である、実施例A〜Dに従う繊維。
J. 粘度が、約6mPa・sを超えない、実施例Eに従う繊維。
K. 粘度が、約13mPa・s未満である、上記の実施例のうちの1つに従う繊維。
L. 平均繊維長が少なくとも約2.2mmである、実施例A〜B、およびD〜Kのうちの1つに従う繊維。
M. 平均繊維長が約3.7mmを超えない、実施例A〜B、およびD〜Lのうちの1つに従う繊維。
N. 繊維が、約16%〜約30%、好ましくは、約16%〜約20%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、実施例A〜Mのうちの1つに従う繊維。
O. 繊維が、約14%〜約16%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、実施例A〜Mのうちの1つに従う繊維。
P. 繊維が、約14%〜約22%、好ましくは、約14%〜約18%、より好ましくは、約14%〜約16%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、実施例A〜Oのうちの1つに従う繊維。
Q. 繊維が、約14%〜約16%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、実施例A〜Pのうちの1つに従う繊維。
R. 繊維が約2.9以上のΔRを有する、実施例A〜Qのうちの1つに従う繊維。
S. 繊維が、約3.0以上、好ましくは、6.0以上のΔRを有する、実施例A〜Qのうちの1つに従う繊維。
T. 繊維が、約2meq/100g〜約8meq/100g、好ましくは、約2meq/100g〜約6meq/100g、より好ましくは、約3meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
U. 繊維が、少なくとも約2meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
V. 繊維が、少なくとも約2.5meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
W. 繊維が、少なくとも約3meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
X. 繊維が、少なくとも約3.5meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
Y. 繊維が、少なくとも約4meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
Z. 繊維が、少なくとも約4.5meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
AA. 繊維が、少なくとも約5meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
BB. 繊維が、少なくとも約4meq/100gのカルボキシル含有量を有する、実施例A〜Sのうちの1つに従う繊維。
CC. 繊維が、約1meq/100g〜約9meq/100g、好ましくは、約1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
DD. 繊維が、少なくとも約1.5meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
EE.
FF. 繊維が、少なくとも約2.0meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
GG. 繊維が、少なくとも約2.5meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
HH. 繊維が、少なくとも約3.0meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
II. 繊維が、少なくとも約3.5meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
JJ. 繊維が、少なくとも約4.0meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
KK. 繊維が、少なくとも約5.5meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
LL. 繊維が、少なくとも約5.0meq/100gのアルデヒド含有量を有する、実施例A〜BBのうちの1つに従う繊維。
MM. 繊維が、約2より大きい、好ましくは、約2.5より大きい、より好ましくは、約3より大きい、銅価によって判定される、カルボニル含有量、または約2.5〜約5.5、好ましくは、約3〜約5.5、より好ましくは、約3〜約5.5の銅価によって判定されるカルボニル含有量を有し、繊維は、約1〜約4の銅価によって判定されるカルボニル含有量を有する、実施例A〜MMのうちの1つに従う繊維。
NN. カルボニル含有量が約2〜約3の範囲である、実施例A〜NNのうちの1つに従う繊維。
OO. 繊維が、約3より大きい銅価によって判定されるカルボニル含有量を有する、実施例A〜NNのうちの1つに従う繊維。
PP. 繊維が、約0.9〜約1.6の範囲の総カルボニルとアルデヒド含有量との比率を有する、実施例A〜NNのうちの1つに従う繊維。
QQ. 総カルボニルとアルデヒド含有量との比率は、約0.8〜約1.0の範囲である、実施例A〜NNのうちの1つに従う繊維。
RR. 繊維が、少なくとも約690ml、好ましくは、少なくとも約700ml、好ましくは、少なくとも約710ml、好ましくは、少なくとも約720ml、好ましくは、少なくとも約730mlのカナダ標準ろ水度水度(「ろ水度」)を有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
SS. 繊維が、少なくとも約710mlのろ水度を有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
TT. 繊維が、少なくとも約720mlのろ水度を有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
UU. 繊維が、少なくとも約730mlのろ水度を有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
VV.繊維が、少なくとも約760mlのろ水度を有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
WW. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、約4km〜約10kmの範囲の繊維長を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
XX. 繊維は、約5km〜約8kmの範囲の繊維長を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
YY. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約4kmの繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
ZZ. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約5kmの繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
AAA. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約6kmの繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
BBB. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約7kmの繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
CCC. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約8kmの繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
DDD. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約5km〜約7kmの範囲の繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
EEE. 繊維は、湿式ゼロスパン裂断長によって測定される、少なくとも約6km〜約7kmの範囲の繊維強度を有する、実施例A〜WWのうちの1つに従う繊維。
FFF. ISO明度は、約85〜約92、好ましくは、約86〜約90、より好ましくは、約87〜約90、または約88〜約90のISOの範囲である、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
GGG. ISO明度は、少なくとも約85、好ましくは、少なくとも約86、より好ましくは、少なくとも約87、具体的には、少なくとも約88、より具体的には、少なくとも約89、または約90のISOである、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
HHH. ISO明度が少なくとも約87である、実施例A〜FFFのうちの1つに従う繊維。
III. ISO明度が少なくとも約88である、実施例A〜FFFのうちの1つに従う繊維。
JJJ. ISO明度が少なくとも約89である、実施例A〜FFFのうちの1つに従う繊維。
KKK. ISO明度が少なくとも約90である、実施例A〜FFFのうちの1つに従う繊維。
LLL. 繊維は、標準クラフト繊維とほぼ同一の長さを有する、上記の実施形態のうちの1つに従う繊維。
MMM. 標準クラフト繊維よりも高いカルボキシル含有量を有する、実施形態A〜S、およびSS〜MMMのうちの1つに従う繊維。
NNN. 標準クラフト繊維よりも高いアルデヒド含有量を有する、実施形態A〜S、およびSS〜NNNのうちの1つに従う繊維。
OOO. 約0.3以上、好ましくは、約0.5以上、より好ましくは、約1.4以上、または例えば、約0.3〜約0.5の範囲、または約0.5〜約1の範囲、または約1〜約1.5の範囲の総アルデヒドとカルボキシル含有量との比率を有する、実施形態A〜S、およびSS〜MMMのうちの1つに従う繊維。
PPP. 標準クラフト繊維よりも高いキンク指数、例えば、約1.3〜約2.3、好ましくは、約1.7〜約2.3、より好ましくは、約1.8〜約2.3の範囲、または約2.0〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
QQQ. 約0.11〜約0.2、好ましくは、約0.15〜約0.2の範囲の長さ加重カール指数を有する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
RRR. 標準クラフト繊維よりも低い結晶性指数、例えば、標準クラフト繊維に対して約5%〜約20%低減、より好ましくは、標準クラフト繊維に対して約10%〜約20%低減、さらに好ましくは、標準クラフト繊維に対して約15%〜約20%低減された結晶性指数を有する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
SSS. R10値が、約65%〜約85%、好ましくは、約70%〜約85%、より好ましくは、約75%〜約85%の範囲である、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
TTT. R18値が、約75%〜約90%、好ましくは、約80%〜約90%、より好ましくは、約80%〜約87%の範囲である、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
UUU. 繊維が臭気制御特性を有する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
VVV. 繊維が、大気中アンモニア濃度を標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多く、好ましくは、少なくとも約50%多く、より好ましくは、少なくとも約60%多く、具体的には、少なくとも約70%多く、または少なくとも約75%多く、より具体的には、少なくとも約80%多く、または約90%多く低減させる、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
WWW. 繊維が、繊維1グラム当たり約5〜約10ppm、好ましくは約7〜約10ppm、より好ましくは、繊維1グラム当たり約8〜約10ppmのアンモニアを吸収する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
XXX. 繊維が、2未満、好ましくは、約1.5未満、より好ましくは、約1未満のMEM溶出細胞毒性試験値を有する、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
YYY. 銅価が、2未満、好ましくは、1.9未満、より好ましくは、1.8未満、さらにより好ましくは、1.7未満である、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
ZZZ. 約0.1〜約1、好ましくは、0.1〜約0.9、より好ましくは、約0.1〜約0.8、例えば、約0.1〜約0.7、または約0.1〜約0.6、または約0.1〜約0.5、より好ましくは、約0.2〜約0.5の範囲のκ数を有する、実施形態A〜YYYのうちのいずれかに従う繊維。
AAAA. 標準クラフト繊維と実質的に同一の、例えば、繊維が針葉樹繊維であるとき、約16%〜約18%の範囲、繊維が広葉樹繊維であるとき、約18%〜約25%の範囲のヘミセルロース含有量を有する、上記の実施形態のいずれかに従う繊維。
BBBB. 繊維が抗微生物および/または抗ウイルス活性を呈する、上記の実施形態のいずれかに従う繊維。
CCCC. DPが、約350〜約1860、例えば、約710〜約1860、好ましくは、約350〜約910、または例えば、約1160〜約1860の範囲である、実施形態B〜C、またはL〜CCCCのいずれかに従う繊維。
DDDD. DPが、約1860未満、好ましくは、約1550未満、より好ましくは、約1300未満、さらにより好ましくは、約829未満、または約600未満である、実施形態B〜C、またはL〜CCCCのいずれかに従う繊維。
EEEE. 繊維が、標準クラフト繊維よりも圧縮性および/またはエンボス加工可能である、上記の実施形態のうちのいずれかに従う繊維。
FFFF. 繊維が、少なくとも約0.210g/cc、好ましくは、少なくとも約0.220g/cc、より好ましくは、少なくとも約0.230g/cc、具体的には、少なくとも約0.240g/ccの密度まで圧縮され得る、実施形態A〜OOOに従う繊維。
GGGG. 繊維を、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%高い、具体的には、標準クラフト繊維よりも約8%〜約16%高い、好ましくは、約8%〜約10%、または約12%〜約16%高い、より好ましくは、約13%〜約16%高い、より好ましくは、約14%〜約16%高い、具体的には、約15%〜約16%高い範囲の密度まで圧縮することができる、実施形態A〜OOOに従う繊維。
【0212】
多くの実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、種々の修正を行い得ることを理解されたい。故に、他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約85のISO明度を保持しながら、臭気制御を改善させるセルロース上のアルデヒド基の数を増大させるように触媒酸化により処理されているセルロースを含む、化学修飾されたクラフト繊維。
【請求項2】
前記ISO明度が少なくとも約87である、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記ISO明度が少なくとも約90である、請求項1に記載の繊維。
【請求項4】
約350〜約1860の重合度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項5】
約350〜約910の重合度を有する、請求項4に記載の繊維。
【請求項6】
約1160〜約1860の重合度を有する、請求項4に記載の繊維。
【請求項7】
1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項8】
約1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項7に記載の繊維。
【請求項9】
標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項1に記載の繊維。
【請求項10】
標準クラフト繊維よりも少なくとも50%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項1に記載の繊維。
【請求項11】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項1に記載の繊維。
【請求項12】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約7〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項1に記載の繊維。
【請求項13】
約13mPa・s未満の粘度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項14】
約10mPa・s未満の粘度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項15】
約8mPa・s未満の粘度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項16】
約5mPa・s未満の粘度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項17】
約4mPa・s未満の粘度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項18】
約2meq/100g〜約8meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項19】
約2meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項20】
約2より大きい銅価を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項21】
約2.5より大きい銅価を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項22】
約3より大きい銅価を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項23】
約0.9〜約1.6の範囲の総カルボニルとアルデヒドとの比率を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項24】
少なくとも約690mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項25】
少なくとも約700mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項26】
少なくとも約710mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項27】
約14%〜約30%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項28】
約14%〜約20%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項29】
約14%〜約22%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項30】
約14%〜約18%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項31】
約1.3〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項32】
約1.7〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項33】
約2.0〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項34】
約1.1〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項35】
約1.5〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項36】
約65%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項37】
約70%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項38】
約75%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項39】
約75%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項40】
約80%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項41】
約2.9以上のΔRを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項42】
約3.0以上のΔRを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項43】
約6.0以上のΔRを有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項44】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、約16%〜約18%のヘミセルロース含有量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項45】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも2mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項46】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも2.2mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項47】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも2.4mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項48】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、約18%〜約25%のヘミセルロース含有量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項49】
前記繊維は、広葉樹であり、少なくとも0.75mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項50】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.85mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項51】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.95mmの繊維長を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項52】
前記繊維は、圧縮性であり、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%高い密度まで圧縮することができる、請求項1に記載の繊維。
【請求項53】
前記繊維は、圧縮性であり、標準クラフト繊維よりも約8%〜約16%高い密度まで圧縮することができる、請求項1に記載の繊維。
【請求項54】
少なくとも約87のISO明度を有し、約350〜約1860の重合度を有し、1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有し、かつ標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、クラフト繊維。
【請求項55】
少なくとも約690mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を呈し、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%高い密度まで圧縮することができる、化学修飾されたクラフト繊維。
【請求項56】
少なくとも約700mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項57】
少なくとも約710mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項58】
前記繊維は、圧縮性であり、標準クラフト繊維よりも約8%〜約16%高い密度まで圧縮することができる、請求項55に記載の繊維。
【請求項59】
約350〜約1860の重合度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項60】
約350〜約910の重合度を有する、請求項59に記載の繊維。
【請求項61】
約1160〜約1860の重合度を有する、請求項59に記載の繊維。
【請求項62】
前記ISO明度は、少なくとも約85である、請求項55に記載の繊維。
【請求項63】
前記ISO明度は、少なくとも約87である、請求項55に記載の繊維。
【請求項64】
前記ISO明度は、少なくとも約90である、請求項55に記載の繊維。
【請求項65】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、約16%〜約18%のヘミセルロース含有量を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項66】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項67】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.2mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項68】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.4mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項69】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、約18%〜約25%のヘミセルロース含有量を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項70】
前記繊維は、広葉樹であり、少なくとも0.75mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項71】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.85mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項72】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.95mmの繊維長を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項73】
1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項74】
約1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項73に記載の繊維。
【請求項75】
標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多くアンモニア濃度を低減させる、請求項55に記載の繊維。
【請求項76】
標準クラフト繊維よりも少なくとも50%多くアンモニア濃度を低減させる、請求項55に記載の繊維。
【請求項77】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項55に記載の繊維。
【請求項78】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約7〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項55に記載の繊維。
【請求項79】
約13mPa・s未満の粘度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項80】
約10mPa・s未満の粘度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項81】
約8mPa・s未満の粘度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項82】
約5mPa・s未満の粘度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項83】
約4mPa・s未満の粘度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項84】
約2meq/100g〜約8meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項85】
約2meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項86】
約2より大きい銅価を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項87】
約2.5より大きい銅価を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項88】
約3より大きい銅価を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項89】
約0.9〜約1.6の範囲の総カルボニルとアルデヒドとの比率を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項90】
約14%〜約30%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項91】
約14%〜約20%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項92】
約14%〜約22%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項93】
約14%〜約18%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項94】
約1.3〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項95】
約1.7〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項96】
約2.0〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項97】
約1.1〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項98】
約1.5〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項99】
約65%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項100】
約70%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項101】
約75%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項102】
約75%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項103】
約80%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項104】
約2.9以上のΔRを有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項105】
約3.0以上のΔRを有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項106】
約6.0以上のΔRを有する、請求項55に記載の繊維。
【請求項107】
少なくとも約690mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)、約350〜約1860の重合度、少なくとも約85のISO明度を呈し、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%高い密度まで圧縮することができる、クラフト繊維。
【請求項108】
少なくとも約690mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)、および約350〜約1860の重合度を呈する、クラフト繊維。
【請求項109】
少なくとも約700mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項110】
少なくとも約710mlのカナダ標準ろ水度(「ろ水度」)を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項111】
約350〜約910の重合度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項112】
約1160〜約1860の重合度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項113】
前記ISO明度が少なくとも約85である、請求項108に記載の繊維。
【請求項114】
前記ISO明度が少なくとも約87である、請求項108に記載の繊維。
【請求項115】
前記ISO明度が少なくとも約90である、請求項108に記載の繊維。
【請求項116】
前記繊維は、圧縮性であり、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%〜16%高い密度まで圧縮することができる、請求項108に記載の繊維。
【請求項117】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、約16%〜約18%のヘミセルロース含有量を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項118】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項119】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.2mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項120】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.4mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項121】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、約18%〜約25%のヘミセルロース含有量を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項122】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.75mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項123】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.85mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項124】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも0.95mmの繊維長を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項125】
1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項126】
約1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項125に記載の繊維。
【請求項127】
標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項108に記載の繊維。
【請求項128】
標準クラフト繊維よりも少なくとも50%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項108に記載の繊維。
【請求項129】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項108に記載の繊維。
【請求項130】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約7〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項108に記載の繊維。
【請求項131】
約13mPa・s未満の粘度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項132】
約10mPa・s未満の粘度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項133】
約8mPa・s未満の粘度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項134】
約5mPa・s未満の粘度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項135】
約4mPa・s未満の粘度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項136】
約2meq/100g〜約8meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項137】
約2meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項138】
約2より大きい銅価を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項139】
約2.5より大きい銅価を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項140】
約3より大きい銅価を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項141】
約0.9〜約1.6の範囲の総カルボニルとアルデヒドとの比率を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項142】
約14%〜約30%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項143】
約14%〜約20%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項144】
約14%〜約22%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項145】
約14%〜約18%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項146】
約1.3〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項147】
約1.7〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項148】
約2.0〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項149】
約1.1〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項150】
約1.5〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項151】
約65%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項152】
約70%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項153】
約75%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項154】
約75%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項155】
約80%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項156】
約2.9以上のΔRを有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項157】
約3.0以上のΔRを有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項158】
約6.0以上のΔRを有する、請求項108に記載の繊維。
【請求項159】
約350〜約1860の重合度を呈し、かつ前記繊維が針葉樹である場合、少なくとも約2.0mmの繊維長を呈し、前記繊維が広葉樹である場合、少なくとも約0.75mmの繊維長を呈する、化学修飾されたクラフト繊維。
【請求項160】
約350〜約910の重合度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項161】
約1160〜約1860の重合度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項162】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項163】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.2mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項164】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、少なくとも約2.4mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項165】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも約0.75mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項166】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも約0.85mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項167】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、少なくとも約0.95mmの繊維長を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項168】
前記繊維は、針葉樹繊維であり、約16%〜約18%のヘミセルロース含有量を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項169】
前記繊維は、広葉樹繊維であり、約18%〜約25%のヘミセルロース含有量を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項170】
前記ISO明度は、少なくとも約85である、請求項159に記載の繊維。
【請求項171】
前記ISO明度は、少なくとも約87である、請求項159に記載の繊維。
【請求項172】
前記ISO明度は、少なくとも約90である、請求項159に記載の繊維。
【請求項173】
前記繊維は、圧縮性であり、標準クラフト繊維よりも少なくとも約8%〜16%高い密度まで圧縮することができる、請求項159に記載の繊維。
【請求項174】
1meq/100g〜約9meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項175】
約1meq/100g〜約3meq/100gの範囲のアルデヒド含有量を有する、請求項174に記載の繊維。
【請求項176】
標準クラフト繊維よりも少なくとも40%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項159に記載の繊維。
【請求項177】
標準クラフト繊維よりも少なくとも50%多く大気中アンモニア濃度を低減させる、請求項159に記載の繊維。
【請求項178】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約5〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項159に記載の繊維。
【請求項179】
前記繊維は、繊維1グラム当たり約7〜約10ppmのアンモニアを吸収する、請求項159に記載の繊維。
【請求項180】
約13mPa・s未満の粘度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項181】
約10mPa・s未満の粘度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項182】
約8mPa・s未満の粘度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項183】
約5mPa・s未満の粘度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項184】
約4mPa・s未満の粘度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項185】
約2meq/100g〜約8meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項186】
約2meq/100g〜約6meq/100gの範囲のカルボキシル含有量を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項187】
約2より大きい銅価を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項188】
約2.5より大きい銅価を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項189】
約3より大きい銅価を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項190】
約0.9〜約1.6の範囲の総カルボニルとアルデヒドとの比率を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項191】
約14%〜約30%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項192】
約14%〜約20%の範囲のS10の腐食溶解度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項193】
約14%〜約22%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項194】
約14%〜約18%の範囲のS18の腐食溶解度を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項195】
約1.3〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項196】
約1.7〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項197】
約2.0〜約2.3の範囲のキンク指数を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項198】
約1.1〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項199】
約1.5〜約0.2の範囲の加重カール指数を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項200】
約65%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項201】
約70%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項202】
約75%〜約85%の範囲のR10値を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項203】
約75%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項204】
約80%〜約90%の範囲のR18値を有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項205】
約2.9以上のΔRを有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項206】
約3.0以上のΔRを有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項207】
約6.0以上のΔRを有する、請求項159に記載の繊維。
【請求項208】
100未満のレベルオフDPを有する、化学修飾されたクラフト繊維。
【請求項209】
前記レベルオフDPは、80未満である、請求項208に記載の繊維。
【請求項210】
前記レベルオフDPは、75未満である、請求項208に記載の繊維。
【請求項211】
前記レベルオフDPは、50未満である、請求項208に記載の繊維。
【請求項212】
100未満の重合度を呈する、加水分解されたクラフト繊維。
【請求項213】
前記重合度は、80未満である、請求項212に記載の繊維。
【請求項214】
前記重合度は、75未満である、請求項212に記載の繊維。
【請求項215】
前記重合度は、50未満である、請求項212に記載の繊維。
【請求項216】
多段階漂白プロセスを使用してクラフトパルプを漂白することと、前記多段階漂白プロセスの少なくとも第4の段階中に、酸、鉄もしくは銅、および過酸化水素で前記クラフトパルプを処理して、標準クラフトパルプに対して低減された重合度を有するクラフト繊維を生産することと、を含む、方法。
【請求項217】
酸、鉄もしくは銅、および過酸化水素での前記処理は、前記クラフトパルプのpHを、約2〜約5に調節することと、鉄源または銅源を前記酸性化されたクラフトパルプに追加することと、過酸化水素を前記クラフトパルプに追加することと、を含む、請求項216に記載の方法。
【請求項218】
前記クラフトパルプは、乾燥重量を有し、前記鉄もしくは銅は、鉄源であり、前記鉄源は、硫酸第一鉄溶液であり、前記硫酸第一鉄溶液は、前記クラフトパルプの乾燥重量に基づき、約25〜約200ppmのFe+2の適用で追加され、かつ約1〜約15%範囲の稠度で前記クラフトパルプと混合され、前記過酸化水素は、前記クラフトパルプの前記乾燥重量に基づき約0.1〜約2%の範囲の量で、約1〜約50重量%の濃度の溶液として追加される、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
前記硫酸第一鉄溶液は、約7〜約15%の範囲の稠度で前記クラフトパルプと混合される、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
約2〜約5のpHの前記パルプ、前記Fe+2、および前記過酸化水素は、約60〜約80℃の範囲の温度で、約40〜約80分の範囲の期間の間、反応させられる、請求項218に記載の方法。
【請求項221】
前記多段階漂白プロセスは、DE1D1E2D2のシーケンスを含む5段階の漂白プロセスであり、第4の段階(E2)は、前記クラフトパルプを過酸化水素で処理するために使用される、請求項218に記載の方法。
【請求項222】
各段階が、少なくとも混合器、反応器、および洗浄器を含み、前記クラフトパルプは、D1段階の洗浄器上で硫酸を使用して約2〜約5の範囲のpHに調節され、前記硫酸第一鉄溶液は、前記D1段階の洗浄器上で前記クラフトパルプに追加され、前記過酸化物は、前記E2段階のタワー前に、混合器またはポンプ内の添加地点において前記硫酸第一鉄の後に追加され、前記クラフトパルプは、前記E2のタワー内で反応させられ、前記E2の洗浄器上で洗浄され、低粘度の漂白された針葉樹繊維を調製するための前記方法は、任意に、蒸気混合器内の前記E2のタワー前に追加される蒸気を含む、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
前記クラフトパルプは、針葉樹クラフトパルプであり、前記クラフト繊維は、約13mPa・s以下の0.5%の毛状CED粘度、約85〜約95の範囲の明度、および少なくとも2mmの平均繊維長を有する針葉樹クラフト繊維である、請求項221に記載の方法。
【請求項224】
クラフト繊維を漂白する方法であって、漂白プロセス中の少なくとも1つの酸化ステップにおいて、前記繊維を酸化剤と接触させることを含み、
前記酸化ステップは、前記繊維上のカルボン酸およびアルデヒドの両方の官能基を増大させ、前記クラフト繊維の重合度を同時に低減させる、方法。
【請求項225】
前記繊維は、精製を受けない、請求項224に記載の方法。
【請求項226】
前記繊維は、酸化後にアルカリ漂白段階を受けない、請求項224に記載の方法。
【請求項227】
前記繊維は、漂白後に酸加水分解を受けない、請求項216によって作製される繊維。
【請求項228】
50のレベルオフDPを有する繊維を作製する方法であって、漂白プロセス中の少なくとも1つの酸化プロセスにおいて、前記繊維を酸化剤と接触させることと、
前記繊維を酸加水分解することと、を含む、方法。
【請求項229】
多段階漂白プロセスを使用して、クラフトパルプを漂白することと、
酸性条件下で、過酸化水素および触媒を用いて前記多段階漂白プロセスのうちの少なくとも1段階の間に前記クラフトパルプを酸化して、低減された重合度を有するクラフト繊維を生産することと、を含む、方法。
【請求項230】
前記触媒は、銅および鉄のうちの少なくとも1つから選択される、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
前記多段階漂白プロセスは、5段階漂白プロセスである、請求項229に記載の方法。
【請求項232】
前記酸化は、漂白の第4の段階で実施される、請求項231に記載の方法。
【請求項233】
前記酸化は、漂白の第5段階で実施される、請求項231に記載の方法。
【請求項234】
前記漂白は、DEDEDシーケンスにおいて実施される、請求項231に記載の方法。
【請求項235】
前記漂白は、DE1D1E2D2において実施される、請求項234に記載の方法。
【請求項236】
前記漂白は、D(EoP)D1E2D2シーケンスにおいて実施される、請求項234に記載の方法。
【請求項237】
前記漂白は、D(EO)D1E2D2において実施される、請求項234に記載の方法。
【請求項238】
前記クラフトパルプは、針葉樹パルプである、請求項229に記載の方法。
【請求項239】
前記クラフトパルプは、広葉樹パルプである、請求項229に記載の方法。
【請求項240】
前記クラフトパルプは、漂白前の消化を受ける、請求項229に記載の方法。
【請求項241】
前記パルプは、約30〜約32のκ数に消化される、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
前記パルプは、約20〜約24のκ数に消化される、請求項240に記載の方法。
【請求項243】
前記パルプは、漂白前の脱リグニンを受ける、請求項229に記載の方法。
【請求項244】
前記パルプは、漂白前の脱リグニンを受ける、請求項241に記載の方法。
【請求項245】
前記パルプは、約12〜約14のκ数に脱リグニンされる、請求項244に記載の方法。
【請求項246】
前記パルプは、漂白前の脱リグニンを受ける、請求項242に記載の方法。
【請求項247】
前記パルプは、約6〜約8のκ数に脱リグニンされる、請求項246に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528256(P2012−528256A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513347(P2012−513347)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036763
【国際公開番号】WO2010/138941
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511286861)ゲーペー ツェルローゼ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】