説明

化学的消臭香料組成物

【課題】アンモニア、トリメチルアミン又は硫化水素を化学的に除去すると同時に芳香を付与し、不快感を効果的に解消することができる化合物を有効成分として含有する、化学的消臭香料組成物を提供すること。
【解決手段】 アルデヒド類、ギ酸エステル類、ヘキシルチグレート及びゲラニルチグレートから成る群から選ばれる1種又は2種以上の香気成分を有効成分として20重量%以上含有する、化学的消臭香料組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア、トリメチルアミン又は硫化水素を化学的に消臭すると同時に芳香を付与させることができる化学的消臭香料組成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境に対する意識の変化に伴い、身の回りの悪臭に対して、より有効に消臭することが強く要求されている。例えば、家庭内においては、トイレや台所からの臭い、ペット臭、タバコ臭などが問題となるが、主な悪臭物質としては、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素などが知られており、不快感を引き起こす主な原因となっている。従来、このような悪臭を消臭する方法としては、次にあげる(1)〜(4)の4つの方法が提案されている。
(1)感覚的消臭 : 強い香気により感覚的に悪臭をマスキングする方法(2)物理的消臭 : 活性炭、ゼオライト、サイクロデキストリンなどによって悪臭成分を吸着あるいは包接して物理的に消臭する方法(3)化学的消臭 : 悪臭成分と化学的に反応(中和、付加、縮合、酸化等)させて消臭する方法(4)生物的消臭 : 活性汚泥等微生物を利用し、生物的に無臭化する方法
【0003】これらの方法のうち、(1)の感覚的消臭方法では、悪臭の強度より強い芳香を使用するため、混合前の臭気と比較して、混合後のにおいがさらに強くなり、不快臭としてとらえられてしまう場合がある。(2)、(3)、(4)の方法を、人体への安全性を考慮し、一般家庭において実施した場合でも、悪臭を完全には消臭しきれないため、不快感は解消されず、十分な満足感を得られていない場合が多くみられる。悪臭物質は多成分において構成されているため、人体に安全でかつ簡便な方法を用いた場合、すべての悪臭物資を完全に除去することは際めて困難であり、また、空間に漂う悪臭物質と(2)、(3)、(4)の消臭剤を効果的に作用させるためには、スプレー等による噴霧する場合など限られた方法しかなく、一般的な液体、固形、粒状などの薬剤形態においては、空間中の悪臭物質と消臭剤との作用機会が不十分で実効性が小さいのが現実である。
【0004】従来から、主に植物からの天然抽出物を使用した化学的消臭剤が知られているが(特開平11−178907号)、これらの消臭剤において実際に有効成分としてどのような物質が作用しているのか解明されていない場合も多く、更に、これらの有効成分を分離精製するための工程が煩雑である場合も多く、工業的には有利でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、化学的消臭効果が具体的に示された化合物を含有する化学的消臭剤の開発が求められていた。従って本発明は、アンモニア、トリメチルアミン又は硫化水素を化学的に除去すると同時に芳香を付与し、不快感を効果的に解消することができる化合物を有効成分として含有する、化学的消臭香料組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく研究の結果、アルデヒド類、ギ酸エステル類、ヘキシルチグレート及びゲラニルチグレートから選ばれる香気成分が、アンモニア、トリメチルアミン、又は、硫化水素に対して化学的消臭効果を有することを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は、アルデヒド類、ギ酸エステル類、ヘキシルチグレート及びゲラニルチグレートから成る群から選ばれる1種又は2種以上の香気成分を有効成分として20重量%以上含有する、化学的消臭香料組成物に係る。ここで、「香気成分」とは、一般に、適当な濃度において芳香を生じさせる化合物をいう。本発明は、更に、上記化学的消臭香料組成物を含む芳香消臭剤にも係る。
【0007】上記香気成分として、特に、アンモニア又はトリメチルアミンに対する化学的消臭効果を有する香気成分をA群、及び、硫化水素に対する化学的消臭効果を有する香気成分をB群として以下に示すことが出来る。A群:炭素数6〜12の脂肪族アルデヒド類、トリメチルウンデカナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、10-ウンデセン-1-アール、イソヘキセニルシクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2-ブテナール、フェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)-プロピオンアルデヒド、2-フェニルプロパナール、3-フェニルプロパナール、3-(4-t-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(p-メトキシフェニル)-プロパナール、4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ベンズアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、メトキシシトロネラール、シンナミックアルデヒド、メチルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンジルフォーメート、シトロネリルフォーメート、ゲラニルフォーメート、フェニルエチルフォーメート、アニシルフォーメート、リナリルフォーメート;B群:ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、t-2-ヘキセナール、3,5,5-トリメチルヘキセナール、2-フェニルプロパナール、シトロネラール、メトキシシトロネラール、メチルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘキシルチグレート、ゲラニルチグレート。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の化学的消臭香料組成物は、それに含まれる上記有効成分によって、アンモニア、トリメチルアミン及び/又は硫化水素に対する化学的消臭効果及び芳香を併せ持ち、不快感を効果的に解消することができるものである。アンモニアやトリメチルアミンが主な対象悪臭の場合は、化学的消臭効果を有する香気成分を主にA群から選択することが好ましい。更に、より好適な芳香を付与できる香料組成物を調整する上では、これらの香気成分のうち2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)-プロピオンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、シトロネリルフォーメートが特に好ましいものとしてあげられる。一方、硫化水素が主な対象悪臭の場合は、化学的消臭効果を有する香気成分を主にB群から選択することが好ましい。更に,より好適な芳香を付与できる香料組成物を調整する上では、これらの香気成分のうちヘキシルチグレート、ゲラニルチグレートが特に好ましいものとしてあげられる。尚、A群及びB群の両方に共通して挙げられている香気成分を有効成分として使用すれば、アンモニア、トリメチルアミン及び硫化水素等の悪臭を同時に消失させることが可能である。上記香気成分の本発明の化学的消臭香料組成物への配合量は、A群とB群から選ばれる有効成分の合計で20重量%以上であることが必要であるが、30〜70重量%が好ましい。これは、低配合量では化学的消臭効果が低く実用的ではなく、高配合量では却って芳香が損なわれてしまう場合があり、好ましくないからである。本発明の化学的消臭香料組成物における、A群あるいはB群の中から具体的に選択する香気成分やそれぞれの成分の配合量は、対象となる悪臭の種類や臭気の程度、あるいは香料組成物に求められる芳香の強度や香調に応じて適宜選択されるべきであり、特に限定されるべきものではない。
【0009】本発明の化学的消臭香料組成物に含有される上記有効成分は、それ自体で芳香を有するものであるが、上記有効成分以外に芳香を付与する目的で、更に、公知の香料を添加することができる。公知の香料の例として、例えば、レモン油、オレンジ油、ライム油、ベルガモット油、ラバンジン油、ラベンダー油、ゼラニウム油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリプタス油、ローズ油、サンダルウッド油などの天然精油、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、p-サイメンなどの炭化水素、オクタノール、cis-3-ヘキセノール、p-tert-ブチルシクロヘキサノールなどの脂肪族アルコール、シトロネロール、ゲラニオール、テルピネオールなどのテルペン系アルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミックアルコールなどの芳香族アルコール、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド、アセタール、鎖式ケトン、cis-ジャスモン、ダマスコン、ヨノン、メチルヨノンなどの環式ケトン、カルボン、メントン、カンファーなどのテルペン系ケトン、アセトフェノン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトン、ジベンジルエーテルなどのエーテル、リナロールオキサイド、ローズオキサイドなどのオキサイド、シクロペンタデカノリドなどの合成ムスク、γ-ノナラクトン、γ-ウンデカラクトンなどのラクトン類、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステルなどの脂肪族エステル、安息香酸エステル、フェニル酢酸エステル、サリチル酸エステルなどの芳香族エステルなどがあげられる。本発明の化学的消臭香料組成物へこれらの公知の香料を配合する際、具体的に選択される成分およびそれぞれの成分の配合量は、目的に応じて適宜選択されるべきであり、特に限定されるべきものではない。
【0010】本発明の化学的消臭香料組成物は、水、アルコール類、グリコール等の液体担体、LPG等のガス担体、並びにケイ酸カルシウム及びシリカゲル等の固体担体から成る公知の適当な担体と組合わせて、液状、スプレー状、ビーズ状、ゲル状、及び固形状等の任意の形態で使用することが出来、又、洗剤などのハウスホールド製品に利用することも出来る。更に、該芳香消臭剤には、上記成分の他の任意成分として、当該技術分野で公知の、キレート剤、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、pH調節剤、紫外線吸収剤等の添加剤を、夫々の目的などに応じて適宜含有させることが出来る。従って、こうして得られる芳香消臭剤も本発明の範囲である。当業者は、本発明の芳香消臭剤の形態・使用目的等に応じて、それに適当な量の本発明の化学的消臭香料組成物を含ませることが出来るが、通常、0.1〜10重量%程度である。
【0011】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】アンモニア及びトリメチルアミンに対する化学的消臭効果試験香気成分(被験成分)のアンモニア及びトリメチルアミンに対する化学的消臭効果試験は下記の方法で行った。それぞれの被験成分について95%エタノールを混合調整し、10%エタノール溶液を得る。100mL三角フラスコの中に調整した各エタノール溶液を5gずつ入れる。95%エタノールを三角フラスコの中に5g入れたものをコントロールとする。それぞれの三角フラスコにあらかじめ調整したアンモニア0.1%水溶液あるいはトリメチルアミン0.1%水溶液を0.1gずつ加え攪拌し均一とする。密閉後、10分間放置した後、ガス検知管にて臭気ガス濃度を測定する。下記に示す式により、アンモニアあるいはトリメチルアミンに対する消臭率を求めた。
消臭率(%)={(C−S)/C}× 100S:被験成分の臭気ガス濃度C:コントロールの臭気ガス濃度以上の結果を表1に示した。
【0012】
【表1】


【0013】以上の結果から明らかなように、上記の各被験成分について、アンモニア及びトリメチルアミンに対して優れた化学的消臭効果を認めた。
【0014】
【実施例2】硫化水素に対する化学的消臭効果試験香気成分(被験成分)の硫化水素に対する化学的消臭効果試験は下記の方法で行った。それぞれの被験成分について95%エタノールを混合調整し、10%エタノール溶液を得る。100mL三角フラスコの中に調整した各エタノール溶液を5gずつ入れる。95%エタノールを三角フラスコの中に5g入れたものをコントロールとする。それぞれの三角フラスコにあらかじめ調整した硫化水素エタノール溶液を0.1gずつ加え攪拌し均一とする。密閉後、10分間放置した後、ガス検知管にて臭気ガス濃度を測定する。下記に示す式により、硫化水素に対する消臭率を求めた。
消臭率(%)={(C−S)/C}× 100S:被験成分の臭気ガス濃度C:コントロールの臭気ガス濃度以上の結果を表2に示した。
【0015】
【表2】


【0016】以上の結果から明らかなように、上記の各被験成分について、硫化水素に対して優れた化学的消臭効果を認めた。
【0017】
【実施例3】下記配合により、本発明の化学的消臭香料組成物を調整した。このものはシトラスの香りを有していた。
【0018】
【表3】


【0019】実施例1と同様の方法で、アンモニア及びトリメチルアミンについて化学的消臭効果を測定した。アンモニアに対しては98%、トリメチルアミンにたいしては92%の消臭率を得た。このことから、このシトラスの香りを有する本発明の化学的消臭香料組成物は優れた化学的消臭効果を有していることが認められた。
【0020】
【実施例4】実施例3で得た化学的消臭香料組成物を用い、下記配合によりエアゾール芳香消臭剤を調整した。
LPG 70.0 実施例3 化学的消臭香料組成物 0.5 エタノール 29.5 合計(%) 100.0
【0021】
【実施例5】官能評価による化学的消臭効果試験実施例4で得られたエアゾール芳香消臭剤について、悪臭としてアンモニアとトリメチルアミンに対する化学的消臭効果を以下のようにして調べた。高さ2m×0.9m×0.9mの官能評価用ボックスの中をアンモニアあるいはトリメチルアミンのにおい強度が3程度になるように調整する。実施例4で得られたエアゾール芳香消臭剤をこの中に3秒間噴霧し、10分間密閉した後、下記に示す評価基準に従い官能評価を行った。5人のパネラーによって評価を行い平均値を求めた。
(においの快・不快度)
−3 : 非常に不快−2 : 不快−1 : やや不快0 : 快でも不快でもない1 : やや快2 : 快3 : 非常に快(におい強度<香料の匂い及び悪臭の臭い>)
0 : 無臭1 : やっと感知できるにおい2 : 何のにおいであるかがわかる弱いにおい3 : 楽に感知できるにおい4 : 強いにおい5 : 強烈なにおい(化学的消臭効果)
0 : コントロールと同程度の悪臭を感じる1 : やや化学的消臭効果が認められる2 : 化学的消臭効果が認められる3 : かなり化学的消臭効果が認められる4 : 悪臭が感じられない尚、コントロールは悪臭のみボックス内に充満させた場合アンモニアに対する化学的消臭効果を表4に、トリメチルアミンに対する化学的消臭効果を表5に夫々示した。
【0022】
【表4】


【0023】
【表5】


【0024】以上の結果より明らかなように、本発明の化学的消臭香料組成物を含むエアゾール芳香消臭剤は、優れた化学的消臭効果を示すとともに、芳香を付与することによりアンモニアあるいはトリメチルアミンに由来する不快感を効果的に解消するだけではなく、心地よい匂いに変えていることが認められた。
【0025】
【実施例6】下記配合により、本発明の化学的消臭香料組成物を調整した。このものはフローラルの香りを有していた。
【0026】
【表6】


【0027】実施例2と同様の方法で、硫化水素について化学的消臭効果を測定した。硫化水素にたいしては100%の消臭率を得た。このことから、このフローラルの香りを有する化学的消臭香料組成物は優れた化学的消臭効果を有していることが認められた。
【0028】
【実施例7】実施例6得た化学的消臭香料組成物を用い、下記配合によりゲル芳香消臭剤を調整した。
カラギーナン 2 ローカストビーンガム 0.2 プロピレングリコール 2 POE(20)ソルビタンモノステアレート 0.5 実施例6 化学的消臭香料組成物 5 精製水 90.3 合計(%) 100.0
【0029】
【実施例8】官能評価による化学的消臭効果試験実施例7で得られたゲル芳香消臭剤について、悪臭として硫化水素に対する化学的消臭効果を以下のようにして調べた。高さ2m×0.9m×0.9mの官能評価用ボックスの中を硫化水素のにおい強度が3程度になるように調整する。実施例7で得られたゲル芳香消臭剤をこの中に入れ、30分間密閉した後、実施例5と同じ評価基準を用い官能評価を行った。5人のパネラーによって評価を行い平均値を求めた。以上の結果を表7に示した。
【0030】
【表7】


【0031】以上の結果により、本発明の化学的消臭香料組成物を含むゲル芳香消臭剤は、優れた化学的消臭効果を示すとともに、芳香を付与することにより硫化水素に由来する不快感を効果的に解消するだけではなく、心地よい匂いに変えていることが認められた。
【0032】
【実施例9】下記配合により、本発明の化学的消臭香料組成物を調整した。このものはフルーティの香りを有していた。
【0033】
【表8】


【0034】実施例1及び実施例2と同様の方法で、アンモニア、トリメチルアミン及び硫化水素について化学的消臭効果を測定した。アンモニア、トリメチルアミン及び硫化水素にたいしていずれも100%の消臭率を得た。このことから、このフルーティの香りを有する化学的消臭香料組成物は優れた化学的消臭効果を有していることが認められた。
【0035】
【実施例10】実施例9得た化学的消臭香料組成物を用い、下記配合により液体芳香消臭剤を調整した。
実施例9 化学的消臭香料組成物 2 POEアルキルエーテル 4 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 0.5 エタノール 3 精製水 90.5 合計(%) 100.0
【0036】
【実施例11】官能評価による化学的消臭効果試験実施例9で得られた液体芳香消臭剤について、悪臭としてアンモニア、トリメチルアミン及び硫化水素に対する化学的消臭効果を以下のようにして調べた。高さ2m×0.9m×0.9mの官能評価用ボックスの中をアンモニア、トリメチルアミンあるいは硫化水素のにおい強度が3程度になるように調整する。実施例10で得られた液体芳香消臭剤をこの中に入れ、30分間密閉した後、実施例5と同じ評価基準を用い官能評価を行った。5人のパネラーによって評価を行い平均値を求めた。以上の結果をアンモニアに対する化学的消臭効果を表9、トリメチルアミンに対する化学的消臭効果を表10、及び、硫化水素に対する化学的消臭効果を表11に夫々示した。
【0037】
【表9】


【0038】
【表10】


【0039】
【表11】


【0040】以上の結果により、本発明の化学的消臭香料組成物を含む液体芳香消臭剤は、優れた化学的消臭効果を示すとともに、芳香を付与することによりアンモニア、トリメチルアミン及び硫化水素に由来する不快感を効果的に解消するだけではなく、心地よい匂いに変えていることが認められた。
【0041】
【発明の効果】本発明により、アルデヒド類、ギ酸エステル類、ヘキシルチグレート及びゲラニルチグレートから選ばれる香気成分が、アンモニア、トリメチルアミン、及び/又は、硫化水素に対して化学的消臭効果を有することが解明され、これらの香気成分を有効成分として含有する、アンモニア、トリメチルアミン又は硫化水素を化学的に消臭すると同時に芳香を付与させることができる化学的消臭香料組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルデヒド類、ギ酸エステル類、ヘキシルチグレート及びゲラニルチグレートから成る群から選ばれる1種又は2種以上の香気成分を有効成分として20重量%以上含有する、化学的消臭香料組成物。
【請求項2】 アンモニア又はトリメチルアミンに対する化学的消臭効果を有する香気成分から成るA群、及び/又は、硫化水素に対する香気成分から成るB群から選ばれる1種または2種以上の化合物を、有効成分として合計で全組成の20重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の化学的消臭香料組成物:A群:炭素数6〜12の脂肪族アルデヒド類、トリメチルウンデカナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、10-ウンデセン-1-アール、イソヘキセニルシクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル)-2-ブテナール、フェニルアセトアルデヒド、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)-プロピオンアルデヒド、2-フェニルプロパナール、3-フェニルプロパナール、3-(4-t-ブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(p-メトキシフェニル)-プロパナール、4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、p-イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ベンズアルデヒド、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、メトキシシトロネラール、シンナミックアルデヒド、メチルシンナミックアルデヒド、p-t-ブチル-α-メチルヒドロシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、アニスアルデヒド、ベンジルフォーメート、シトロネリルフォーメート、ゲラニルフォーメート、フェニルエチルフォーメート、アニシルフォーメート、リナリルフォーメート;
B群:ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、t-2-ヘキセナール、3,5,5-トリメチルヘキセナール、2-フェニルプロパナール、シトロネラール、メトキシシトロネラール、メチルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘキシルチグレート、ゲラニルチグレート。
【請求項3】 請求項1又は2記載の化学的消臭香料組成物を含む芳香消臭剤。

【公開番号】特開2001−303090(P2001−303090A)
【公開日】平成13年10月31日(2001.10.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−119878(P2000−119878)
【出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(500184062)ハ−マンアンドライマ−株式会社 (1)
【Fターム(参考)】