説明

化学的物質および生物学的物質の除染用の繊維

毒性物質を少なくともある程度解毒することができる粒子を含む、ナノサイズまたはマイクロサイズの繊維。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、化学的物質および生物学的物質の除染のために使用できる繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
生物学的危険物および化学的危険物に起因する脅威は常に存在してきた。このような脅威には、戦争、偶発的な化学物質漏出、感染症の大発生、および薬剤の漏出を伴う産業事故などが含まれる。健康に対する潜在的な脅威をヒトおよび動物に与える化学的物質には、ホスゲン(肺に損傷を与えるか、または窒息させる物質)、SOx、NOx、マスタードガス(びらん性毒ガス)、メチルホスホノチオラート(神経作用物質)、およびシアン化水素(シアン)などの毒が含まれる。健康に対する潜在的な脅威をヒトおよび動物に与える生物学的物質には、SARS、鳥インフルエンザ、天然痘、および出血熱を引き起こすもののようなウイルス、疫病、コレラ、およびジフテリアを引き起こすもののような細菌に由来するもの、ならびに炭疽(Anthrax)毒素、ボツリヌス(Botulinum)毒素、およびサキシトキシンなどの様々な兵器剤が含まれる。たいていの場合は、このような作用物質への短時間の直接的曝露は致死的であるか、またはヒトおよび動物に永久的損傷をもたらし得る。
【0003】
現在、このような危険物質の処分または回避には、防護服および除染/解毒剤の両方が必要である。防護服は、不浸透性で吸着性または浸透性で吸着性のいずれかでよい。このような防護服は、最終用途によるが、望ましくは、高度に疎水性、高度に吸着性、可撓性であり、ことによると、ある種の抗菌活性を有する。
【0004】
活性炭が吸着剤として使用されている。Cu、Ag、Zn、Mo、およびトリエチレンジアミンを含浸させた活性炭は、フェイスマスク(Morrison, R. W. 2002 Overview of current collective protection filtration technology, Presented in 2002 NBC Defense collective protection conference, USA)および防護服用のキャニスター中で解毒剤として使用されている。しかしながら、これらのマスクは重量が重く、水分を不利益に保持することが公知である。ホスゲン、シアン化水素、および塩化シアンなどの気体は、含浸させた金属イオンによって容易に分解されるが、他のいくつかの毒性化学物質は、物理吸着され、分解されず、それによって、使用後の処分の問題が生じる。
【0005】
また、DS2が、神経作用物質の漏出物を拭き取るために、米国陸軍(United States Army)によって神経作用物質の除染剤として使用されている。DS2は、2%のNaOH、28%の2-メトキシエタノール、および70%のジエチレントリアミンからなる。これは、神経作用物質漏出物を除去するために有効な神経作用物質除染剤であるが、DS2溶液は、30分間の反応時間を要し(すなわち、低反応性)、著しく腐食性、可燃性であり、毒性副産物を放出する。さらに、DS2は、生物学的物質に対して活性ではない。
【0006】
XE555(商標)樹脂(Ambergard Rohm & Hass Company, Philadelphia, Pennsylvania, USA)は、別の代替の除染/解毒剤である。しかしながら、XE555(商標)樹脂は高価で、十分な中和特性を有さず、また、収着媒(sorbent)と混合された場合に有毒ガスを放出する。
【0007】
ある種の金属酸化物は、活性炭と同様に、危険な化学的物質の吸着剤であることが公知である。金属酸化物は、神経作用物質、びらん剤、殺虫剤モデル化合物、および他の危険な生物学的物質などの様々な作用物質を除染/解毒することが示されている(Koper, O et al, Development of Reactive Topical Skin Protectants against Sulfur Mustard and Nerve Agents, J. Appl . Toxicol., 19, S59, 1999 (非特許文献1)(Stoimenov, et al, Langmuir, 2002, 18, 6679(非特許文献2))。しかしながら、これらの公知の金属酸化物の不都合な点は、金属酸化物は操作が困難な形態で存在するため、実際的な見地からすると使用が困難であることである。例えば、化学的物質を解毒するための公知の金属酸化物は、ばらばらの粉末形態で存在するため、それらを収容するのは困難である。物体の表面から化学的物質を除去する場合、金属酸化物の粉末は、毒性の表面に塗布し、次いで、解毒が完了したら、物理的に除去する必要がある。これは面倒である。
【0008】
さらに、金属酸化物粒子の自由な流動は、毒性の化学的物質上にそれらを固定せずに置いた場合、潜在的な危険物をそれら自体がもたらす可能性がある。これは、特に、金属酸化物がナノスケールまたはマイクロスケールのサイズである場合の事例であり、粒子のサイズが小さいために、空中を浮遊し、潜在的な呼吸危険物をもたらす傾向が高くなることがその理由である。
【0009】
さらに、小さなサイズの金属酸化物粒子は空中を浮遊する性質があるため、ガスマスクで使用するには非実用的である。小さなサイズの金属酸化物粒子は、フィルター付きの(filtered)キャニスターに閉じ込めることができるが、フィルターの孔サイズは、空気の十分な流動を可能にするのに十分な大きさでなければならない。しかしながら、フィルターの孔サイズが大きいということは、小さなサイズの金属酸化物粒子をキャニスターに閉じ込められないということを意味する。より大きな金属酸化物粒子がキャニスター中で使用される場合には、金属酸化物粒子の吸着特性が続いて指数関数的に低下して、解毒剤として役に立たなくなる。
【0010】
前述の不都合な点のうち1つまたは複数を克服するか、または少なくとも改善する、生物学的物質および/または化学的物質の有効な除染のための方法を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Koper, O et al, Development of Reactive Topical Skin Protectants against Sulfur Mustard and Nerve Agents, J. Appl . Toxicol., 19, S59, 1999
【非特許文献2】Stoimenov, et al, Langmuir, 2002, 18, 6679
【発明の概要】
【0012】
概要
第1の局面によれば、解毒粒子(detoxifying particle)を含む、ナノサイズまたはマイクロサイズの繊維が提供される。
【0013】
1つの態様において、ナノサイズの解毒粒子を含むナノサイズの繊維が提供される。
【0014】
有利には、解毒粒子は、毒性物質を少なくともある程度解毒することができる。
【0015】
有利には、ナノサイズまたはマイクロサイズの形態の繊維は、工業化学物質および生物学的廃棄物などの他の毒性物質に加えて、化学兵器(「CW」)および生物兵器(「BW」)などの高毒性物質で汚染された表面を除染するための材料および物品を製造するために使用することができる。有利には、前記粒子を含む開示される繊維は、生物学的生命に対して少なくともある程度、好ましくは完全に無害である形態に毒性物質を改変することができる。マイクロサイズまたはナノサイズの開示される繊維の別の利点は、手作業で取り扱うのが容易な形態で存在することである。例えば、複数の繊維を一緒につなぎ、それによって、繊維に解毒粒子を結合させることにより、解毒粒子が空中を浮遊するのを防止することができる。
【0016】
第2の局面によれば、複数の粒子がその中に懸濁された紡糸溶液を電界紡糸して、該粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を形成させる段階を含む、繊維を作製するための方法であって、該粒子が毒性物質を少なくともある程度解毒することができる方法が提供される。
【0017】
第3の局面によれば、毒性物質を少なくともある程度解毒するための物品の製造における、解毒粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維の使用が提供される。
【0018】
第4の局面によれば、毒性物質の解毒における、解毒粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維の使用が提供される。
【0019】
第5の局面によれば、次の段階を含む、毒性物質を解毒する方法が提供される:
解毒粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を提供する段階;および
毒性物質の少なくとも一部を解毒するための条件下で、該繊維を該毒性物質と接触させる段階。
【0020】
第6の局面によれば、毒性物質を少なくともある程度解毒することができる金属酸化物粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの解毒繊維が提供される。
【0021】
第7の局面によれば、毒性物質を少なくともある程度解毒することができる金属酸化物粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を含む、反応性収着媒が提供される。
【0022】
第8の局面によれば、複数のつながれたナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を含み、該繊維がそれぞれ解毒粒子を含む、毒性物質を解毒するための物品が提供される。
【0023】
定義
本明細書において使用される次の単語および用語は、以下に指定する意味を有するものとする。
【0024】
「毒性物質」、「毒(素)」、「毒性物品」、および「毒性材料」という用語は、同義的に使用されてよく、生物学的生命に対して一般に有害である任意の作用物質を意味する。また、本明細書における毒性物質への言及は、非限定的に、ホスゲンおよび誘導体などの毒性有機リン型物質ならびに当技術分野で公知である類似したこのような毒を含む、CW兵器を包含することが意図される。BW兵器もまた、毒性物質という用語に包含され、炭疽毒素およびボツリヌス毒素などの作用物質が含まれる。さらに、別段の定めが無い限り、本明細書において使用される毒性物質という用語はまた、非限定的に有機リン型殺虫剤などを含む、毒性工業化学物質を含むことも意図される。特に、「神経ガス」、「神経作用物質」、および「神経毒素」などの用語は、同義であり、かつ、前記に考察したように、少なくともある程度、動物の神経系の構成要素を不能状態にすることによって、毒性に作用するか、または毒性を示す毒、例えば、ACHE阻害剤を意味すると意図される。
【0025】
「解毒する」、「除染する」、「不活性化する(deactivate)」、「不活性化すること(deactivating)」という用語、およびそれらの文法的変形は、本明細書の文脈において毒性物質に言及する場合、生物学的生命、特にヒトおよび動物の生命の機能に対して毒性の低い状態または非毒性の状態のいずれかにこれらの毒性物質を改変することを意味する。これらの毒性物質の改変は、これらの毒性物質を化学的または物理的に結合して、生物学的生命に対するそれらの毒性学的活性を減少または消失させることを含んでよい。
【0026】
「解毒粒子」という用語は、前述のように毒性物質を解毒する性質を示す粒子を意味する。
【0027】
本明細書において使用される「マイクロ」という用語は、約1ミクロン〜約500ミクロンの間の寸法を含むと広く解釈されるべきである。
【0028】
本明細書において使用される「ナノ」という用語は、約1000nm未満の寸法を含むと広く解釈されるべきである。
【0029】
「紡糸溶液」という用語は、電界紡糸され得る任意の溶液を含むと広く解釈されるべきである。
【0030】
「ポリマー溶液」という用語は、溶媒中に溶解された1種または複数種のポリマー、コポリマー、またはポリマー混合物を含み、かつ、電界紡糸され得る濃度のポリマーを含む任意の溶液を含むと広く解釈されるべきである。例示的なポリマーには、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(アクリロニトリル-co-メタクリラート)、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ塩化ビニル、ポリ(塩化ビニリデン-co-アクリラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン12およびナイロン-4,6などのナイロンシリーズ、アラミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリ(ビニルアルコール)、セルロース、酢酸セルロース、酢酸セルロースブチラート(butylate)、ポリ(ビニルピロリドン-酢酸ビニル)、ポリ(ビス-(2-メトキシ-エトキシエトキシ))ホスファゼン(MEEP)、ポリ(エチレンイミド)、ポリ(エチレンスクシナート)、ポリ(エチレンスルフィド)、ポリ(オキシメチレン-オリゴ-オキシエチレン)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリアニリン、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(酸化エチレン)、SBSコポリマー、ポリ(乳酸)、ポリペプチド、タンパク質のような生体高分子、コールタールピッチおよび石油ピッチなどのピッチシリーズが含まれるが、それらに限定されるわけではない。上記のポリマーのコポリマーおよび混合物を使用してよい。
【0031】
別段の指定が無い限り、「含むこと(comprising)」および「含む(comprise)」という用語、ならびにそれらの文法的変形は、列挙された要素をそれらが含むが、その他の列挙されていない要素を含めることも許容するように、「排他的でない」または「包括的な」言い回しに相当すると意図される。
【0032】
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、配合物の成分の濃度という文脈において、典型的には、提示された値の±5%、より典型的には、提示された値の±4%、より典型的には、提示された値の±3%、より典型的には、提示された値の±2%、さらにより典型的には、提示された値の±1%、およびさらにより典型的には、提示された値の±0.5%を意味する。
【0033】
本開示の全体を通して、特定の態様は、範囲の形式で開示してよい。範囲の形式での説明は、便宜および簡略のためにすぎず、開示される範囲の限界に対する融通のきかない制限と解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の説明は、存在し得る部分範囲すべてならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1〜6のような範囲の説明は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などのような部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは、範囲の広さに関わらず、当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
添付図面は、開示される態様を例示し、開示される態様の原理を説明するのに役立つ。しかしながら、図面は例証のために描かれるに過ぎず、本発明の限界の定義として描かれないことを理解すべきである。
【図1】図1は、開示される態様の方法によって形成された、MgOナノ粒子を含むポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン)コポリマーの拡大率4000倍での走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図2】図2は、(a)ポリスルホンのみに載せたパラオキソン、(b)PVDFコポリマーのみに載せたパラオキソン、(c)MgOを含むポリスルホンに載せたパラオキソン、(d)MgOを含むPVCに載せたパラオキソン、および(e)MgOを含むPVDFコポリマーに載せたパラオキソンの吸着分解を示すグラフである。
【図3】図3は、(a)ポリスルホンのみに載せたパラオキソン、(b)MgOを含むポリスルホンに載せたパラオキソン、(c)MgO粒子のみに載せたパラオキソン、(d)活性炭粒子のみに載せたパラオキソン、(e)アルミナ粒子のみに載せたパラオキソン、および(f)Al2O3を含むポリスルホンに載せたパラオキソンの吸着を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
態様の詳細な開示
毒性物質を少なくともある程度解毒することができる粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維の例示的で非限定的な態様を以下に開示する。また、開示される繊維を合成する方法も開示される。
【0036】
繊維
毒性物質を少なくともある程度解毒することができる粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維が提供される。繊維を織って、毒性物質を解毒するために使用できる物品にすることができる。例えば、繊維を織って布にする場合、繊維を含む布を用いて、毒性物質を吸着し、次いで解毒することができる。毒性物質は、液体および/または蒸気の形態であってよい。処理すべき毒性物質が液状形態であり、表面に存在する場合、繊維を含む布を用いて、毒性物質を吸着および解毒することの両方ができる。
【0037】
1つの態様において、繊維の直径はマイクロメートルの範囲である。繊維の直径は、約500ミクロン未満、約500ミクロン〜約400ミクロン、約400ミクロン〜約300ミクロン、約300ミクロン〜約200ミクロン、約200ミクロン〜約100ミクロン、約100ミクロン〜約10ミクロン、約10ミクロン〜約1ミクロン、約1ミクロンでよい。
【0038】
1つの態様において、繊維の直径はナノメートルの範囲である。繊維の直径は、約1000nm未満、約500nm未満、約50nm〜約500nm、および約100nm〜約500nmでよい。
【0039】
マイクロサイズの繊維およびその上の粒子は、毒性物質をある程度まで解毒するが、それらは、ナノサイズの粒子が上に載ったナノサイズの繊維ほど好ましくはない。ナノサイズの粒子を有するナノサイズの繊維の方がはるかに大きな表面積を有し、したがって、毒性物質に曝露され得る活性部位がより多く、その結果、ナノサイズの繊維の方が、毒性物質を解毒する際の作用の有効性が、より大きな繊維と比べて高くなることが、その理由である。
【0040】
1つの態様において、繊維はポリマー繊維である。また、ポリマー繊維は、疎水性または親水性でよい。使用され得る例示的なポリマーには、ポリエステル、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、ポリハロゲン化物、ポリアクリラート、ポリスチレン、ポリカルボナート、ポリ酸化エチレン、ポリメタクリラート、ポリアクリル酸、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール酸)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリカルバミド、ポリウレタン、ポリマーメルト、ポリマーブレンド、前記ポリマーのコポリマーまたはターポリマー、およびそれらの混合物が含まれる。
【0041】
特に有用なポリマーは、ポリスルホン、ポリウレタン、およびポリカルボナートなど比較的優れた吸着特性を有するものであり、これらは、毒性物質を吸着するのを助ける。例示的なポリスルホン化合物には、ポリアリールスルホン、例えば、ビスフェノールAポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリ(フェノキシフェニルスルホン)、およびそれらの混合物が含まれ得る。例示的なポリウレタンには、ポリ(フルオロシリコーンウレタン)コポリマー、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびブタンジオールの重付加生成物、トリレンジイソシアナートおよびポリ(酸化エチレン)の重付加生成物が含まれる。例示的なポリカルボナートには、ポリエチレンカルボナート、ポリブチレンカルボナート、およびポリトリメチレンカルボナート、ならびにそれらの誘導体が含まれる。
【0042】
繊維はさらに、毒性物質を吸着するために望ましい付加的な特性を繊維に与えることができる材料でコーティングされてもよい。例えば、毒性物質が神経ガスである場合、滑石粉またはベントナイトなどの吸収剤もまた、繊維をコーティングするために使用され得る。
【0043】
1つの態様において、前記繊維中に存在する粒子は、ナノサイズまたはマイクロサイズである。粒子がナノサイズである場合、これらの粒子の平均粒径は、約10nm〜約200nm、約10nm〜約20nm、約10nm〜約50nm、約10nm〜約100nm、および約50nm〜約100nmでよい。粒子がマイクロサイズである場合、これらの粒子の平均粒径は、約10ミクロン〜約200ミクロン、約10ミクロン〜約20ミクロン、約10ミクロン〜約50ミクロン、約10ミクロン〜約100ミクロン、および約50ミクロン〜約100ミクロンでよい。粒子のサイズは、粒子の平均粒径が繊維の平均直径以下になるように、繊維の全体のサイズに基づいて選択してよい。粒子は、規則的な形状または不規則な形状でよい。1つの態様において、粒子は、実質的に対称性の形状でよい。また、粒子は、完全に中実、部分的に多孔質、メソポーラス、または完全に多孔質でよい。粒子は、少なくとも、約40m2/g〜約850m2/g、または約100m2/g〜約400m2/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積を示してよい。粒子はコーティングされるか、またはコーティングされなくてよい。1つの態様において、粒子は、その表面に結合された反応性官能基を有する。これらの反応性官能基は、毒性物質の解毒を助けることができる場合がある。
【0044】
1つの態様において、粒子は、酸化マグネシウムの塩素付加体または臭素付加体などの金属酸化物ハロゲン付加体である。これらの金属酸化物ハロゲン付加体は、胞子を破壊することができ、したがって、炭疽菌のような生物学的物質に対して有用であるため、殺菌剤として特に有用である。理論に拘束されるわけではないが、金属酸化物ハロゲン付加体は、ハロゲン化物原子が原因で、細菌および他の微生物に対して毒性であると考えられている。金属酸化物ハロゲン付加体および細菌は、互いに逆の電荷を有し、従って、互いに強固に結合する傾向がある。金属酸化物ハロゲン付加体は、細菌の膜を破壊する傾向があり、それによって細菌の活性を無効にする。金属酸化物ハロゲン付加体は、MgOのような金属酸化物をCl2のようなハロゲンガスに曝露させることによって合成することができる。
【0045】
前記繊維内に存在する粒子は、様々なタイプの粒子の混合物でよく、または、同じタイプの粒子からなってもよい。前記繊維内に存在する粒子のサイズは、実質的に同じでよく、または、互いに実質的に異なってもよい。粒子は、化学的または物理的に、繊維に結合させることができる。
【0046】
1つの態様において、粒子は、金属、金属酸化物、金属酸化物ハロゲン付加体、およびそれらの混合物からなる群より選択される。1つの態様において、粒子は、次の群の内の任意の1つまたは複数より選択される:MgO、CaO、BaO、TiO2、SrO、ZnO、Mn2O3、Fe2O3、FeO、ZrO2、V2O3、V2O5、CuO、NiO、Al2O3、CeO2、SnO2、Fe3O4、MnO、Cu2O、Nb2O5、InO3、HfO2、Cr2O3、Ta2O5、Ga2O3、Y2O3、MoO3、Co3O4 SiO2、ZnO、Ag2O、Ag、MgO/Al2O3、MgO/Cl2、MgO/I2、およびMgO/Br2
【0047】
粒子はコーティングされるか、またはコーティングされなくてよい。1つの態様において、粒子が金属酸化物粒子である場合、金属酸化物粒子の表面の少なくとも一部分は、第1の金属酸化物とは異なり、かつ、Ti、V、Fe、Cu、Ni、Co、Mn、Znの酸化物およびそれらの混合物からなる群より選択される、ある量の第2の金属酸化物でコーティングされる。1つの態様において、金属酸化物粒子は、Fe2O3でコーティングされたMgOおよびCaOの内の1つである。
【0048】
繊維の合成
前述したように、いくつかの態様において、粒子は金属酸化物である。金属酸化物粒子は、非加水分解的なゾル-ゲル方法、エーロゲル方法、ソルボサーマル法、エマルジョン沈殿、および従来の粉砕方法からなる群より選択される方法によって合成することができる。ゾル-ゲル処理を用いて金属酸化物をベースとするナノサイズの材料を合成するための例示的な方法は、米国特許第6,986,818号で開示されており、例示的なエーロゲル合成は、Utamapanya et al., Chem. Mater., 3, 175-181で開示されている。
【0049】
繊維は、複数の粒子がその中に懸濁された紡糸溶液を電界紡糸して、それらの粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を形成させる段階を含む方法によって作製される。これらの繊維を電界紡糸するために使用される装置は、紡糸溶液を分配するためのノズルおよび紡がれた繊維を回収するためのコレクターを含んでよく、この紡糸溶液とコレクターの間に電圧が印加され、その結果、紡糸溶液が、コレクターと逆の極性に帯電する。また、他方をアースしつつ、紡糸溶液およびコレクターの内のいずれか一方に電圧を加えて帯電させてもよい。1つの態様において、ノズルから出て行く紡糸溶液に電荷を与えるために、電界紡糸装置のノズルに電圧を加えて帯電させてもよい。静電場を紡糸溶液とコレクターの間で確立し、それによって、それらの間にテイラーコーンを形成させることができる。1つの態様において、コレクターをアースしつつ、電界紡糸装置のノズルに正電圧を印加する。ノズルの先端からコレクターまでの距離は、約5cm〜約20cm、約10cm〜約20cm、約15cm〜約20cm、または約10cm〜約15cmの範囲であってよい。1つの態様において、コレクターは、繊維に対して反応性ではないか、または形成された繊維に対して不利益に反応せず、かつ、それらの解毒活性を徐々に弱めない材料で作られてよい。1つの態様において、コレクターはアルミニウム製である。
【0050】
紡糸溶液は、化学的毒性物質または生物学的毒性物質に対する吸着剤であるポリマー、例えば神経作用物質に対するポリスルホンの単量体前駆体を含んでよい。
【0051】
紡糸溶液はまた、前記粒子を含む。1つの態様において、粒子は、該紡糸溶液中に懸濁される。紡糸溶液の流速は、シリンジポンプのような制御手段によって制御することができる。
【0052】
1つの態様において、電界紡糸の前に、架橋剤が紡糸溶液に添加される。架橋剤の添加は、電界紡糸繊維を強化するのに役立ち得る。別の態様において、電界紡糸によって作製された繊維は、電界紡糸後に熱処理に供される。例示的な架橋剤には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(すなわち、ビスエポキシド)およびグリオキサールが含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0053】
1つの態様において、電界紡糸のための印加電圧は、約1KV〜約50KVまたは約4KV〜約25KVである。印加電圧は、ポリマー溶液の使用に合わせて選択され得る。例えば、ポリスルホンポリマー溶液が使用される場合、印加電圧は、約11KV〜約13KVでよい。1つの態様において、印加電圧は約12.5KVである。別の態様において、印加電圧が約12.5KVである場合、電界紡糸装置のノズル先端とコレクターの間の距離は、約15cmである。
【0054】
開示される繊維を形成させるための電界紡糸の工程は、摂氏約22度の室温、および約60%未満または約50%未満の相対湿度で実施してよい。
【0055】
1つの態様において、電界紡糸繊維は、膜を形成させるのに使用される。電界紡糸繊維から形成された膜は、真空ポンプのような乾燥手段を用いて乾燥させることができる。
【0056】
別の態様において、電界紡糸工程によって形成された繊維は、撚糸(yarn)を形成させるのに使用され得る。繊維を相互に撚り合わせて、強度を改善することができる。電界紡糸装置のコレクターを用いて回収した繊維を配置して、ランダムなパターンまたは規則正しいパターンを形成させてよい。
【0057】
別の態様において、繊維はまた、マトリックス材料上に直接的に電界紡糸して、複合材料を形成させてもよい。例示的なマトリックス材料には、エポキシまたは他の樹脂、セラミック、および金属などが含まれる。
【0058】
1つの態様において、開示される繊維は、毒性化学的物質または毒性生物学的物質を解毒することができる。毒性化学的物質または毒性生物学的物質は、ガス、液体、またはゲルなどの流体形態でよい。また、毒性化学的物質または毒性生物学的物質は、吸入できる粉末のような固形形態でもよい。また、繊維は、毒性物質を吸収および解毒することができる材料の製造にも使用され得る。例示的な毒性化学的物質には、神経作用物質およびそれらの誘導体、びらん剤およびそれらの誘導体、殺虫剤モデル化合物、血液剤、酸、アルコール、P、S、N、Se、またはTe原子を有する化合物、炭化水素化合物、および毒性金属化合物からなる群より選択される作用物質が含まれる。例示的な毒性生物学的物質には、炭疽菌、ペスト、細菌、真菌、ウイルス、リケッチア、クラミジア、および毒素が含まれる。細菌には、B.グロビギイ(globigii)およびB.セレウス(cereus)のようなグラム陽性菌が含まれ得る。生物学的毒素には、アフラトキシン(Aflatoxin)、ボツリヌス毒素、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)毒素、コノトキシン(Conotoxin)、リシン(Ricin)、サキシトキシン(Saxitoxin)、志賀(Shiga)毒素、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)毒素、テトロドトキシン(Tetrodotoxin)、ベロ毒素(Verotoxin)、ミクロシスチン(Microcystin)(シアンギノシン(Cyanginosin))、アブリン(Abrin)、コレラ(Cholera)毒素、破傷風(Tetanus)毒素、トリコテセン(Trichothecene)マイコトキシン、モデシン(Modeccin)、ボルケンシン(Volkensin)、ヤドリギ(Viscum album)レクチン1、連鎖球菌(Streptococcal)性毒素(例えば、発赤毒およびストレプトリシン)、シュードモナス(Pseudomonas)A毒素、ジフテリア(Diphtheria)毒素、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)毒素、炭疽菌(Bacillus anthracis)毒素複合体、野兎病菌(Francisella tularensis)毒素、百日咳毒素、ペスト菌(Yersinia pestis)毒素複合体、腸炎エルシニア(Yersinia enterocolytica)エンテロトキシン、およびパスツレラ(Pasteurella)毒素が含まれ得る。
【0059】
1つの態様において、開示される繊維は、塩素化された炭化水素化合物および塩素化されていない炭化水素化合物の両方を破壊的に吸着することができる。
【0060】
実施例
本発明は、具体的な実施例を参照することにより、より詳細にさらに説明されるが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【0061】
実施例1 酸化マグネシウムナノ粒子を調製するエーロゲル方法
不活性雰囲気を作るための窒素の存在下、室温で、マグネシウムおよびメタノール(Merck & Co. Inc., New Jersey)を攪拌することによって、マグネシウムメトキシドを調製した。一晩攪拌後、ゲルを1℃/分の加熱速度で250℃までオートクレーブ加熱し、この温度で15分間維持した。結果として生じる白色粉末を、改良した手順を用いてさらに熱処理に供した。白色粉末を磁製るつぼ中に採取し、1℃/分で室温から220℃まで加熱し、かつ220℃で5時間維持した。オートクレーブの温度を1℃/分で220℃から400℃まで再び上げ、この温度で4時間維持した。合成したMgO材料の表面積は、BET法によって155m2/g であることが判明した。これは、報告されている(Utamapanya et al., Chem. Mater., 3, 175-181)(400m2/g)よりも小さい。
【0062】
実施例2 金属酸化物ナノ粒子が埋め込まれたナノサイズのポリマー繊維を調製するための方法
様々な量のMgOナノ粒子(またはAl2O3ナノ粒子)およびポリマー溶液を混合することによって、MgOナノ粒子(またはAl2O3ナノ粒子)の添加重量が異なるポリスルホンポリマー(PSU)、ポリ[(フッ化ビニリデン)-co-(ヘキサフルオロプロピレン)](PVDFコポリマー)、ポリ(塩化ビニル)(PVC)のポリマー溶液を調製した。市販されているナノAl2O3をAldrich社から購入し、この材料をふるいにかけた後、BET法によって表面積が280m2/gであることを見出した。
【0063】
この実験でそれぞれ使用されるPSU、PVDFコポリマー、およびPVCポリマーの平均分子量数値(Mn)は、26,000、110,000および99,000であった。
【0064】
PSU電界紡糸膜を調製するために採用される典型的な手順をここに提供する。ポリマー2gおよびジメチルホルムアミド(DMF)8gを、室温で約12時間、磁力を利用して攪拌して、ポリマーを溶解させた。ポリマーを完全に溶解させた後、MgOナノ粒子200mgを添加し、室温(約22℃)で24時間、攪拌した。ポリマー溶液を均一に分散させるために、混合物を超音波処理した。次いで、結果として生じるポリマー溶液を、シリンジポンプに装着されたシリンジ中に充填した。高電圧DC電源装置の正端子をシリンジの金属針に連結した。アースしたアルミニウムホイルを針の先端から15cmの位置に置き、膜を回収するための標的として使用した。4mL/時間の速度で溶液を送達するようにシリンジポンプを設定し、高電圧(12.5KV)を印加した。電界紡糸は、相対湿度が50%未満の大気中、室温で実施した。電界紡糸した膜を真空ポンプによって乾燥し、加水分解効率の調査のために試験した。
【0065】
図1は、MgOナノ粒子を含むポリフッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレンナノ繊維で構成されるナノコンポジット膜の拡大率4000倍のSEM画像である。
【0066】
実施例3 ナノコンポジット繊維によるパラオキソンの解毒
前述のナノコンポジット膜を成功裡に製作した後、概念実証のため、および適切な膜を選択するために、神経刺激物パラオキソンの解毒試験を実施した。個々のポリマー膜およびMgOナノ粒子を含む膜(図2を参照されたい):(a)ポリスルホンのみに載せたパラオキソン、(b)PVDFコポリマーのみに載せたパラオキソン、(c)MgOを含むポリスルホンに載せたパラオキソン、(d)MgOを含むPVCに載せたパラオキソン、および(e)MgOを含むPVDFコポリマーに載せたパラオキソンに対して、UV調査を実施した。
【0067】
ポリスルホンは、PVDF(e)およびPVC(d)と比べて、優れた吸着特性を有することが判明した。これらの結果から、適切なポリマー支持体の選択もまた、MgO活性を保持するために重要であることが示唆される。
【0068】
また、経時的なUV吸着調査を、ポリスルホンポリマーのみ、ナノコンポジット膜およびMgOナノ粒子、Al2O3ナノ粒子、ならびに木炭の存在下、ヘプタン溶液中のパラオキソンに対しても実施した(図3):(a)ポリスルホンのみに載せたパラオキソン、(b)MgOを含むポリスルホンに載せたパラオキソン、(c)MgO粒子のみに載せたパラオキソン、(d)活性炭粒子のみに載せたパラオキソン、(e)アルミナ粒子のみに載せたパラオキソン、および(f)Al2O3を含むポリスルホンに載せたパラオキソン。
【0069】
得られた結果から、ナノコンポジット膜が、MgO粒子の活性を大きく失うことなく、毒性物質を解毒する能力を有することが示された。MgOで構成されるナノコンポジット膜は、キャニスター用途で使用される市販の活性炭よりも活性であることが判明している。
【0070】
応用
本明細書において説明する態様によって作製された粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維は、限定されるわけではないが、表面の漏出物除去、防護服、ろ過媒体、またはガス分離用の材料など様々な目的のために使用することができる。
【0071】
有利には、繊維は、軽量で、低価格で、かつ、化学的物質および生物学的物質を除染/解毒するにあたって著しく効果的である。
【0072】
有利には、繊維は、いかなる毒性副産物も生成させずに、化学的物質および生物学的物質を除染または解毒する。
【0073】
有利には、繊維は通気性があり、したがって、防護衣服またはフェイスマスクとして使用することができる。ナノコンポジット膜は、空気を通過させ、化学的物質および生物学的物質を選択的に吸着すると考えられ、小孔が存在することにより、吸着の促進が助けられると考えられる。より有利には、粒子は、繊維に結合されているため、空中を浮遊しない。したがって、(a)戦場の兵士(兵器剤に対抗)、(b)一般大衆(鳥インフルエンザ、エボラ、SARSのようなウイルスに対抗)、(c)産業労働者(毒性の化学煙霧または化学物質漏出に対抗)、および(d)医療従事者(高感染性疾患に対抗)によって繊維が使用されることが可能になる。
【0074】
有利には、繊維の可撓性の性質により、繊維が任意の形状になることが可能になり、それゆえ、ヒト身体の入り組んだ部分ならびに床、兵士の装備品、輸送機、および高価な機器など他の表面の上の化学的物質または生物学的物質の漏出物を封じ込め(contain)、清掃するための拭き取り布として使用することができる。
【0075】
本発明の他の様々な修正および適応は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、前述の開示内容を読んだ後に当業者には明らかになることは明らかであり、かつ、このような修正および適応はすべて、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。例えば、本明細書において詳細な説明で説明したもの以外の態様において、繊維が毒性物質を効果的に解毒することが認識されるであろう。
【0076】
本発明の等価な態様を説明するために妥当な努力を払ったものの、本発明の他の様々な修正および適応は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明において行えることが、前述の開示内容を読んだ後に当業者には明らかになると考えられ、かつ、このような修正および適応はすべて、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解毒粒子を含む、ナノサイズまたはマイクロサイズの繊維。
【請求項2】
解毒粒子がナノサイズまたはマイクロサイズである、請求項1記載の繊維。
【請求項3】
ポリマーを含む、請求項1記載の繊維。
【請求項4】
ポリマーが毒性物質に対する吸着剤である、請求項1記載の繊維。
【請求項5】
吸着剤ポリマーが、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリカルボナート、およびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項4記載の繊維。
【請求項6】
ポリマー繊維が紡糸溶液から電解紡糸される、請求項3記載の繊維。
【請求項7】
解毒粒子が、金属、金属酸化物、金属酸化物ハロゲン付加体、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載の繊維。
【請求項8】
解毒粒子が、次の群、MgO、CaO、BaO、TiO2、SrO、ZnO、Mn2O3、Fe2O3、FeO、ZrO2、V2O3、V2O5、CuO、NiO、Al2O3、CeO2、SnO2、Fe3O4、MnO、Cu2O、Nb2O5、InO3、HfO2、Cr2O3、Ta2O5、Ga2O3、Y2O3、MoO3、Co3O4 SiO2、ZnO、Ag2O、Ag、MgO/Al2O3、MgO/Cl2、MgO/I2、およびMgO/Br2の内の任意の1つまたは複数より選択される、請求項7記載の繊維。
【請求項9】
紡糸溶液が解毒粒子を含む、請求項6記載の繊維。
【請求項10】
複数の解毒粒子がその中に懸濁された紡糸溶液を電界紡糸して、該解毒粒子を含むナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を形成させる段階を含む、繊維を作製するための方法。
【請求項11】
解毒粒子がナノサイズまたはマイクロサイズである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
解毒粒子が、金属、金属酸化物、金属酸化物ハロゲン付加体、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
解毒粒子が、次の群、MgO、CaO、BaO、TiO2、SrO、ZnO、Mn2O3、Fe2O3、FeO、ZrO2、V2O3、V2O5、CuO、NiO、Al2O3、CeO2、SnO2、Fe3O4、MnO、Cu2O、Nb2O5、InO3、HfO2、Cr2O3、Ta2O5、Ga2O3、Y2O3、MoO3、Co3O4 SiO2、ZnO、Ag2O、Ag、MgO/Al2O3、MgO/Cl2、MgO/I2、およびMgO/Br2の内の任意の1つまたは複数より選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
電界紡糸する段階の間に、解毒粒子が紡糸溶液中に懸濁される、請求項10記載の繊維。
【請求項15】
紡糸溶液がポリマー溶液を含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
複数のつながれたナノサイズまたはマイクロサイズの繊維を含み、該繊維がそれぞれ解毒粒子を含む、毒性物質を解毒するための物品。
【請求項17】
繊維で作った膜である、請求項16記載の物品。
【請求項18】
毒性物質の解毒における、請求項16記載の物品の使用。
【請求項19】
請求項16記載の物品を毒性物質と接触させる段階を含む、毒性物質を解毒する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−526941(P2010−526941A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502979(P2010−502979)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/SG2008/000117
【国際公開番号】WO2008/127200
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(507335687)ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール (28)
【Fターム(参考)】