化学結合状態分析を行うX線分析装置
【課題】高次回折の特性X線を用いる状態分析において、高次線の測定を行う条件を自動的に設定し、得られたスペクトルを1次線の値に換算して表示できるようにする。
【解決手段】 入力装置12から状態分析を行う元素の元素名、特性X線種及び回折次数を入力する。測定制御装置11は指定された元素の特性X線種に従って記憶装置14から1次線の波長データを読出し、回折次数に基づいて実際の分光波長位置と測定波長範囲を求める。さらに、指定された回折次数のX線信号のみが選別されるように、WDS測定系8内のPHAの条件を設定する。
測定された高次回折線のスペクトルを1次線の値に換算し、表示装置13に表示する。
【解決手段】 入力装置12から状態分析を行う元素の元素名、特性X線種及び回折次数を入力する。測定制御装置11は指定された元素の特性X線種に従って記憶装置14から1次線の波長データを読出し、回折次数に基づいて実際の分光波長位置と測定波長範囲を求める。さらに、指定された回折次数のX線信号のみが選別されるように、WDS測定系8内のPHAの条件を設定する。
測定された高次回折線のスペクトルを1次線の値に換算し、表示装置13に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に電子線又はX線を照射し、試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器(以下、「WDS」と略称する)により分光・検出して、試料の分析を行うX線分析装置に係わり、特に特性X線スペクトルの変化を利用して化学結合状態の分析を行うX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子プローブマイクロアナライザ(以下、「EPMA」と略称する)は、試料に電子線を照射し、試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出して、試料の分析を行うX線分析装置装置である。図10は、EPMAに装備されているWDSの原理を説明するための模式図である。
【0003】
図10のX線分光器は、分光結晶5の回折面中心Cが、X線発生点Sから水平面に対してX線取り出し角αだけ傾斜した直線SC上を移動するようになっている。このとき、X線発生点S、分光結晶5の回折面中心C、X線検出器6のスリットの中心Fは常に一定の半径Rを持つローランド円RCの円周上に在り、線分SCと線分CFの長さが常に等しくなるようにX線検出器6のスリット中心位置F及びローランド円の中心Qが移動する。このとき、結晶格子面が点Dを中心として曲率2Rに湾曲された分光結晶3の回折面は常にローランド円の中心Qを向くようになっている。線分SCの長さは分光位置Lであり、回折面中心CへのX線入射角(回折面中心Cを通りローランド円6に外接する直線C1と直線SCのなす角)をθとすると、
L=2R×sinθ …(1)
である。一方、分光結晶の回折条件は、X線の波長をλ、分光結晶の面間隔をdとするとブラッグの条件から、
2d×sinθ=n×λ …(2)
が成り立つ。但し、nは回折次数で正の整数である。nが2以上の回折線は一般に高次回折線(以下、「高次線」と略称することがある)と称される。
式(1)、(2)から、
L=(2R/2d)×n×λ …(3)
が導かれる。分光位置Lを測ることにより、回折された特性X線の波長λを知ることができる。特性X線は元素固有の波長を有するので、波長λから試料に含まれる元素の同定が行える。また、測定された特性X線の強度から試料に含まれる元素の濃度を知ることができる。
【0004】
なお、実際のWDSには、LB膜(Langmuir- Brodgett 膜)、人工多層膜(又は「人工超格子」とも称される)のように、厳密には結晶ではないものも使用されているが、本発明の説明においてはこれらも便宜的に分光結晶と称する。また、分光素子とは、ブラッグの条件に基づいてX線の分光を行う分光結晶、回折格子等の素子全般を指すものとする。
【0005】
図3は、図10に示す波長分散形X線分光器によって収集される特性X線スペクトル(以下「スペクトル」と略称することがある)を表示する方法を説明するための図である。図3では、タングステンの特性X線W-Mβのスペクトルを、複数の異なる単位で表示する例を示している。縦軸はX線強度であるが、横軸のとり方には表示目的に応じていくつかの方法がある。波長(nm又はÅ)若しくはエネルギー(KeV又はeV)は、分光結晶の種類とX線分光器の大きさに無関係な表示方法である。回折角度θ(通常、θの2倍の2θで表示する)若しくはsinθは、式(2)から分かるように、X線分光器の大きさには無関係であるが、分光結晶の種類(即ち、面間隔d)に依存して定まる。分光位置Lは、式(3)から分かるように、分光結晶の種類とX線分光器の大きさの両方に依存して定まる。なお、以下の説明でスペクトルの横軸を、表示単位に関わり無く、便宜的に「波長軸」と称すことがある。
【0006】
試料を構成する元素から放出される特性X線種には、元素毎にKα線、Kβ線、Lα線、Lβ線、Mα線、Mβ線等多くの種類がある。さらに、WDSで分光されたスペクトルには、多数の高次線が存在する。こうした複雑なスペクトルを解析して元素同定を行い易いようにする技術が、例えば特許文献1の特公平6−97213号公報に開示されている。特公平6−97213号公報においては、指定されて元素の特性X線について、1次回折線(以下、「1次線」と略称することがある)のみならず、高次線の表れる分光位置にマーカーを表示するようにしている。
【0007】
元素分析における高次線は、分析に使用する1次線にとっての邪魔者であり除去の対象として扱われる。例えば、特許文献2の特開2002−357571号公報には、波長分散形の蛍光X線分析装置において、多重波高分析器を用いて高次線等に起因するバックグランドを除去する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献3の特開2006−58015号公報には、エネルギー分散形X線分光器(以下、「EDS」と略称する)が装備するマルチチャンネルアナライザ(以下、「MCA」と略称する)を利用して、高次線を除去する技術が開示されている。
【0009】
ところで、物質を構成する元素の化学結合状態を分析するために、試料から放出される特性X線のスペクトルを用いる方法が知られている。特性X線スペクトルを用いて目的元素の化学結合状態分析(以下、「状態分析」と略称することがある)を行う場合、化学結合状態の違いによりスペクトルの波長(エネルギーに同じ)、スペクトル波形の形状、複数の特性X線種間の強度等が変化することを利用して分析を行う。例えば、特許文献4の特開2003−75376号公報には、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)により測定したタングステンの特性X線のW-Mα線とMβ線の強度に基づいて、タングステンの化学結合状態を分析する技術が開示されている。
【0010】
特性X線スペクトルの変化を用いる状態分析では、スペクトルの波長又はエネルギー分解能がなるべく良い測定条件を選ぶ方が有利である。そのため、なるべく波長分解能の高い分光結晶や、測定する特性X線の回折角ができるだけ大きくなるような面間隔を持つ分光結晶を選ぶ等の方法がある。こうした測定技術のひとつに高次回折線を用いる方法がある。例えば、特許文献5の特許第2759922号公報には、蛍光X線分析によるEXAFS測定において、分光結晶の高次反射を利用する技術が開示されている。EXAFSはX線吸収端近傍における吸収スペクトルの構造解析を行う手法であるが、高次回折を利用する目的のひとつは、状態分析に波長分解能を向上させる目的で高次回折の特性X線を用いるのと同じ理由である。
【0011】
図4は、通常の分析に用いる1次線と2次回折線(以下、「2次線」と略称することがある)との関係を説明するための模式図である。横軸は波長又はエネルギー、縦軸はX線強度を表す。1次回折の特性X線A1とB1の波長をそれぞれλa、λb、半値幅をそれぞれΔλa、Δλb、エネルギーをそれぞれEa、Ebとする。1次線A1、B1の2次線A2、B2は、分光器の波長がλa、λbの2倍の分光位置2λa、2λbにおいて検出される。このとき、2次線A2、B2の半値幅は1次線の半値幅Δλa、Δλbとほぼ同じである。
一般に高次線は1次線に比較してX線強度が低下する問題はある。しかし、図4から明らかなように、1次回折に比べて高次回折は、次数分だけ分散が大きくなるので、高次線を使用すればピークの半値幅Δλa、Δλbが同じ大きさでも相対的に高いスペクトル分解能で分析を行うことができる。このとき、2次線A2,B2のエネルギーは1次線A1,B1のエネルギーと同じであるが、2次線A2,B2のスペクトル近傍に表れる他の元素の1次線が持つエネルギーは、Ea、Ebのほぼ半分の大きさであることに注意しなければならない。
【0012】
なお、EPMAに装備される波長分散形X線分光器は、図10に示すように、回折面を分散方向に湾曲させた分光結晶が用いられている。そのため、回折面の加工の不完全性や湾曲面の不完全性等に起因する幾何学的集光の不完全性により、回折角度が小さい分光領域においてX線スペクトルに歪みを生じる場合がある。しかし、高次線は1次線より回折角度が高いので、高次線を用いれば、スペクトルの歪みを緩和し、より精度の高い状態分析が行えるという効果も期待できる。
【0013】
高次線を用いて状態分析を行う例として、マグネシウムが挙げられる。図5は、マグネシウムの化学結合状態の分析を行うときに、Mg−Kα線(波長:0.9889nm)の2次線を使用する例を説明するための模式図である。横軸は波長、縦軸はX線強度を表す。特許文献4の特開2003−75376号公報においてW−Mα線、Mβ線の測定に使用されている分光結晶PET(Pentaerythritol)の分光範囲の上限波長λpは0.812nm程度(装置により若干異なる)であるため、Mg−Kα線を分光検出することができない。一方、EPMAで汎用的に使われている分光結晶のなかでPETよりも面間隔の大きい分光結晶TAP(Thallium acid phthalate)の場合、分光範囲の上限波長λtは2.392nm程度(装置により若干異なる)である。そのため、Mg−Kα線の1次線及び2次線の両方がTAPで分光可能である。なお、TAPの分光範囲の下限波長も存在するが図示は省略している。上述したように、波長分解能を重視する分析を行う場合は、TAPによるMg−Kα線の2次線を使用することになる。
【0014】
【特許文献1】特公平6−97213号公報
【特許文献2】特開2002−357571号公報
【特許文献3】特開2006−58015号公報
【特許文献4】特開2003−75376公報
【特許文献5】特許第2759922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
EPMAや蛍光X線分析装置等のX線分析装置においては、元素同定(定性分析)や定量分析という元素分析が第1の使用目的とされる。状態分析とりわけ高次回折線を用いる方法は装置の使用法のひとつではあるが、元素分析に比べればその重要度は低い。そのため、これらX線分析装置はハード及びソフトの両面で元素分析を効率的に行えるような工夫が優先されている。例えば、コンピュータ制御による自動化の進んだ装置では、分析目的元素名と分析に使用する特性X線種を指定すると、自動的に1次線の波長位置に分光結晶が設定されるように分析条件が決められるようになっている装置が多い。また、スペクトルを収集する波長範囲(分光結晶の走査範囲)は高次線の回折次数に応じて広くしなければならない。それ故、状態分析を行うために、例えば2次線を使用する場合であれば、1次線の2倍の波長と分光結晶の走査範囲を手計算などで求める必要がある。
【0016】
また、元素分析の自動化が進んだ装置では、分光波長位置に対応する1次線のエネルギー値に基づいて、高次線を除去する条件にWDSが装備する波高分析器(以下、「PHA」と略称する)を自動的に設定する機能を備えていることがある。高次線を分析に使用する場合は、元素分析の場合とは逆にその波長位置で回折される1次線を除去するようにPHAを設定しなければならない。図6、図7及び図8は、PHAを用いてX線信号のエネルギー選別を行う操作を説明するための図である。例えば、図6に示すように、λaの2倍の波長を持つ2次線A2を状態分析に使用するが、その近傍にλcの波長を持つ1次線C1が存在する場合を考える。このとき、A2の波長2λaとC1の波長λcとが近接しているため、A2のエネルギーEaは、C1のエネルギーEcのほぼ2倍である。
【0017】
図7と図8は、PHAに構成されるシングルチャンネルアナライザ(以下、「SCA」と略称する)におけるX線信号の選別方法を説明するための模式図である。図中の横軸はX線検出器で検出されるX線量子のエネルギーに比例した電気パルスの大きさ(X線信号波高値)を表している。選別すべき電気パルスの波高値が、0〜10ボルト(V)の範囲に収まるように増幅される。縦軸は、電気パルスの波高値に対応してX線検出器から取り出されるX線量子の計数値である。元素分析を行う場合は、SCAにおいて1次線のエネルギーEcを中心とした信号のみが選別されるようにウィンドウ(図7中にWindowと図示)を設定する。しかし、2次線を分析に使用する場合は図8に示すように、2次線のエネルギーEaを中心とした信号が選別されるように電気パルスの増幅率とウィンドウ(図8中にWindowと図示)を設定しなければならない。
【0018】
なお、図6に示した例のように状態分析に使用する2次線に他の元素の1次線が近接する場合は必ずしも多くはないが、一般に高次線は1次線に比べて強度が低いため、1次線のバックグランドを除去するために、常にPHAによるX線信号の選別を行うことが好ましい。
【0019】
上記したように、高次線を分析目的に使用するためには、元素分析と異なる分析条件に設定するように種々の操作を手動で行わなければならない。こうした操作は操作者にとって面倒であるばかりでなく、設定ミスを犯す可能性がある。
【0020】
また、当然ながら高次線のスペクトルを表示する場合は、例えば2次線であれば2倍の波長を持つスペクトルとして表示される。しかし、状態分析に高次線を用いるのはあくまでもスペクトルの波長分解能若しくはエネルギー分解能を向上させたいからであって、高次線の分光位置の絶対波長やその波長の1次線に対応するエネルギーは意味を持たない。いずれにせよ測定されたスペクトルから化学結合状態に関する知見を得るためには、高次線の波長若しくはエネルギーを、もとの1次線の波長若しくはエネルギーに換算して表示する必要がある。しかしながら、こうした機能は元来元素分析には不要なため、自動的に換算して表示する機能を備えてはいなかった。高次線の次数に応じてスペクトルの波長を1次線の波長に換算し直して表示することは操作者にとって煩わしく間違えを犯しやすい。
【0021】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、
波長分散形X線分光器により高次線のスペクトルを収集して状態分析を行うとき、一般の元素分析とは異なる分析条件にX線分光器が自動的に設定されて効率よく高次線の測定が行えるようにすることである。また本発明のもうひとつの目的は、状態分析のために高波長分解で収集された高次線のスペクトルの波長軸を自動的に元の1次線の値に換算して表示することによって、化学結合状態の解析を素早く行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の問題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定する設定手段と、
前記特性X線のスペクトルを測定する前記測定条件を設定するために必要なパラメータが予め記憶されている記憶手段とを備え、
前記設定手段は、前記指定手段によって指定された前記特性X線の特性X線種とその回折次数に基づいて、前記記憶手段に記憶されているパラメータを読出し、前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定することを特徴とする。
【0023】
また請求項2に記載の発明は、前記記憶手段は、少なくとも、
前記指定手段により指定された前記特性X線のエネルギー及び/又は波長と、
前記指定手段により指定された特性X線のスペクトル測定が可能なX線分光素子の種類及び該X線分光素子の面間隔とが記憶されていることを特徴とする。
【0024】
また請求項3に記載の発明は、前記設定手段は、前記指定手段により指定された特性X線が2次以上の回折線であるとき、前記特性X線を検出するX線検出系の波高分析器を、前記指定手段により指定された2次以上の回折線のみを検出するように設定する手段を備えることを特徴とする。
【0025】
また請求項4に記載の発明は、前記測定条件により測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
1次回折線の波長に換算された特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0026】
また請求項5に記載の発明は、試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された特性X線種と回折次数に基づいて測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
前記換算手段により換算された前記特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、高次回折線を用いて元素の化学結合状態分析を行うときに、通常の元素分析に用いられる1次回折線のスペクトル測定に適した測定条件とは異なる高次回折線のスペクトル測定に適した測定条件を簡単に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、測定条件を求めるのに必要なパラメータを記憶手段から呼び出して、高次回折線のスペクトル測定に適した測定条件を簡単に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、通常の元素分析に用いられる1次回折線のスペクトル測定に適した波高分析器の設定条件とは異なる高次回折線のスペクトル測定に適した波高分析器の設定条件に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、高次回折によって得られる高波長分解能のスペクトルを元の1次回折線の波長又はエネルギー軸に簡単に換算して表示することができるので、化学結合状態の解析を素早く行える。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、高次回折によって得られる高波長分解能のスペクトルを元の1次回折線の波長又はエネルギー軸に簡単に換算して表示することができるので、化学結合状態の解析を素早く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。各図において、同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。
【0033】
図1は、EPMAを例にとった、本発明を実施する概略構成例を示すブロック図である。図1において、EPMA100の中に配置されている電子銃1から放出された電子線EBは集束レンズ17、対物レンズ19により細く絞られて試料2に照射される。走査コイル18は、電子線を二次元的に走査、電子線の照射位置変更が可能である。試料2から発生した特性X線3は、WDS4により分光・検出される。WDS4は分光結晶5、検出器6、WDS駆動系7を含む構成で、WDS測定系8を介して制御と信号取り込みが行われる。WDSを複数基装着するためには、WDS4と同じ構成が複数組必要である。
【0034】
試料ステージ9に載置された試料2上の電子線EBの照射位置(即ち分析点)は、試料ステージ駆動機構10によりX、Y(水平方向)とZ(高さ方向)に移動可能である。WDS測定系8、試料ステージ駆動機構10は測定制御装置11に接続されており、測定制御装置11は測定のために必要な制御と信号取り込みを行う。なお、前述のPHAはWDS測定系8の中に設けられている。測定制御装置11にはキーボード・マウス等の入力装置12、液晶モニタ等の表示装置13、記憶装置14が接続されている。記憶装置14には、各元素の特性X線波長及び又はエネルギー値、PHA設定条件、分光結晶面間隔等の分析とスペクトル表示に必要なパラメータが格納されている。
【0035】
なお、実際の装置では、鏡体内部を10−3Pa程度の高真空に保持するための真空排気系、二次電子・反射電子信号検出器、電源、DA・AD変換器等が構成されているが本発明を理解する上で直接関係しないので図示及び説明を省略する。
【0036】
次に、図1の構成を持つEPMAにおいて、本発明を実施するための手順を、図11のフロー図を参照して説明する。但し、図11はEPMAにおいて本発明を実施する手順の一例である。
【0037】
ステップS1において、操作者は入力装置12を用いて、状態分析を行う元素の元素名と、分析に用いる特性X線の特性X線種及び回折次数を入力する。ステップS2において、測定制御装置11は指定された元素の特性X線種に従って記憶装置14から1次線の波長データを読出し、回折次数に応じた実際の分光波長位置と測定波長範囲を求める。さらに、1次線の波長からエネルギーを求め、指定された回折次数のX線信号のみが選別されるように、WDS測定系8内のPHAの条件を設定する。
【0038】
ステップS3において、測定制御装置11はWDS駆動系を制御して分光結晶5を測定波長範囲で走査し、X線スペクトルを測定する。ステップS4において操作者は、測定されたスペクトルの表示方法を選択する。表示方法の選択肢としては、例えば横軸の種類(波長、エネルギー等とその単位)、1次線の値に換算するか否か等がある。ステップS5において、1次線の値に換算する方法が選択されていればステップS6に進み、回折次数に従って横軸を1次線の値に換算する。1次線の値に換算しない場合は、そのままステップS7に進む。
【0039】
ステップS7において、測定制御装置11は選択されている表示方法に従って、測定されたスペクトルを表示装置13に表示する。ステップ8において、操作者はスペクトルの表示方法を変更するか否かを判断し、変更する場合はステップS4に戻る。変更しない場合は処理を終了する。
【0040】
以上が実施手順の説明である。上記手順においてスペクトル測定後に、スペクトル表示方法を操作者が選択するようにしているが、例えば測定開始前に表示方法を選択するようにしても良いし、操作者の選択無しに自動的に1次線の値に換算して表示し、必要に応じて操作者が表示方法を変更できるようになっていても良い。また、例えばステップS2において設定された測定条件を記憶装置14に記憶し、元素名の指定のみで直ちにその元素の状態分析が行えるようになっていても良い。
【0041】
図9は、1次線A1、B1の2次線A2、B2のスペクトルを測定し、1次線の値に換算して表示した例を示す模式図である。スペクトルの波長分解能が向上する様子を理解しやすいように、1次線のスペクトルと比較表示している。実際の測定では、2次線A2、B2のスペクトルは図9に表示されている値の2倍の波長範囲で測定されているが、1次線の値に換算して表示すると波長範囲は半分となる。それに従ってピークの半値幅Δλa、Δλbも半分の大きさとなり波長分解能が2倍向上することが分かる。
【0042】
次に、図2を参照しながら、EPMAを例にとって、本発明を実施するもうひとつの形態について説明する。EPMA200においてEPMA100と同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付して、説明を省略する。
【0043】
EPMA200は、例えば回折格子等の分光素子24と、多波長のX線を同時に検出可能なCCD等の検出器26からなる波長分散形X線分光器(WDS24)を装備している。EPMA100に装備されているWDS4は、分光結晶5を機械駆動してX線を単色化し、回折位置におけるX線強度を順次取得する方法でスペクトルを測定する。一方、EPMA200に装備されているWDS24は、多波長のX線を一度に分散し、同時検出してスペクトルを一度に取得することができるX線分光器である。分光素子24が回折格子の場合、好ましくは分散範囲の異なる複数の回折格子を切り換えて使用できる機構を備えることで、より広い波長範囲のスペクトル測定が可能である。
【0044】
EPMA200において、スペクトルの測定範囲は一定としておいても良いし、EPMA100の場合と同様に、状態分析を行う元素の元素名、特性X線種及び回折次数を指定すると、分析目的に応じた最適な分光素子や測定波長範囲が選択されるようになっていても良い。
【0045】
WDS24によって取得されたスペクトルは、横軸を波長軸、縦軸をX線強度として表示装置13に表示される。高次線を測定に用いた場合、EPMA100の実施例で説明したのと同様に、測定したスペクトルの波長は自動的若しくは操作者の選択により1次線の値に換算されてスペクトル表示が行われる。
【0046】
前述したように、波長分散方X線分光器によって測定したX線スペクトルを用いて状態分析を行うときに、高次回折線を利用する方法はこれまでもしばしば行われてきた。しかし、元素分析における測定の自動化が進んだX線分析装置ほど、高次回折線を利用した状態分析が面倒であるという問題が生じていた。
【0047】
上述した本発明によれば、高次回折線を利用して状態分析を行うとき、一般の元素分析とは異なる分析条件にX線分光器が自動的に設定して効率よくスペクトルの測定が行える。また、高次線のスペクトルの波長を、自動的に元の1次線の波長に換算して表示できるので、化学結合状態の解析を素早く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】EPMAを例にとった、本発明を実施する概略構成例を示すブロック図。
【図2】EPMAを例にとった、本発明を実施する他の概略構成例を示すブロック図。
【図3】波長分散形X線分光器によって収集されるスペクトルを表示する方法を説明するための図。
【図4】1次回折線と2次回折線との関係を説明するための模式図。
【図5】マグネシウムの状態分析に、Mg-Kα線の2次線を使用する例を説明するための模式図
【図6】1次と2次の回折線が近接している様子を示す模式図。
【図7】PHAに構成されているSCAにおいて、1次線のみを選別する状態を示す図。
【図8】PHAに構成されているSCAにおいて、2次線のみを選別する状態を示す図。
【図9】2次線のスペクトルの波長を1次線の値に換算して表示した例を示す模式図。
【図10】EPMAに装備されている波長分散形X線分光器の原理を説明するための模式図。
【図11】EPMAにおいて本発明を実施する手順の一例を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0049】
(同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付す。)
EB 電子線 RC ローランド円
1 電子銃 2 試料
3 特性X線 4、24 WDS
5 分光結晶 6、26 検出器
7 WDS駆動系 8 WDS測定系
9 試料ステージ 10 試料ステージ駆動機構
11 測定制御装置 12 入力装置
13 表示装置 14 記憶装置
25 分光素子
100、200 EPMA
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に電子線又はX線を照射し、試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器(以下、「WDS」と略称する)により分光・検出して、試料の分析を行うX線分析装置に係わり、特に特性X線スペクトルの変化を利用して化学結合状態の分析を行うX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子プローブマイクロアナライザ(以下、「EPMA」と略称する)は、試料に電子線を照射し、試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出して、試料の分析を行うX線分析装置装置である。図10は、EPMAに装備されているWDSの原理を説明するための模式図である。
【0003】
図10のX線分光器は、分光結晶5の回折面中心Cが、X線発生点Sから水平面に対してX線取り出し角αだけ傾斜した直線SC上を移動するようになっている。このとき、X線発生点S、分光結晶5の回折面中心C、X線検出器6のスリットの中心Fは常に一定の半径Rを持つローランド円RCの円周上に在り、線分SCと線分CFの長さが常に等しくなるようにX線検出器6のスリット中心位置F及びローランド円の中心Qが移動する。このとき、結晶格子面が点Dを中心として曲率2Rに湾曲された分光結晶3の回折面は常にローランド円の中心Qを向くようになっている。線分SCの長さは分光位置Lであり、回折面中心CへのX線入射角(回折面中心Cを通りローランド円6に外接する直線C1と直線SCのなす角)をθとすると、
L=2R×sinθ …(1)
である。一方、分光結晶の回折条件は、X線の波長をλ、分光結晶の面間隔をdとするとブラッグの条件から、
2d×sinθ=n×λ …(2)
が成り立つ。但し、nは回折次数で正の整数である。nが2以上の回折線は一般に高次回折線(以下、「高次線」と略称することがある)と称される。
式(1)、(2)から、
L=(2R/2d)×n×λ …(3)
が導かれる。分光位置Lを測ることにより、回折された特性X線の波長λを知ることができる。特性X線は元素固有の波長を有するので、波長λから試料に含まれる元素の同定が行える。また、測定された特性X線の強度から試料に含まれる元素の濃度を知ることができる。
【0004】
なお、実際のWDSには、LB膜(Langmuir- Brodgett 膜)、人工多層膜(又は「人工超格子」とも称される)のように、厳密には結晶ではないものも使用されているが、本発明の説明においてはこれらも便宜的に分光結晶と称する。また、分光素子とは、ブラッグの条件に基づいてX線の分光を行う分光結晶、回折格子等の素子全般を指すものとする。
【0005】
図3は、図10に示す波長分散形X線分光器によって収集される特性X線スペクトル(以下「スペクトル」と略称することがある)を表示する方法を説明するための図である。図3では、タングステンの特性X線W-Mβのスペクトルを、複数の異なる単位で表示する例を示している。縦軸はX線強度であるが、横軸のとり方には表示目的に応じていくつかの方法がある。波長(nm又はÅ)若しくはエネルギー(KeV又はeV)は、分光結晶の種類とX線分光器の大きさに無関係な表示方法である。回折角度θ(通常、θの2倍の2θで表示する)若しくはsinθは、式(2)から分かるように、X線分光器の大きさには無関係であるが、分光結晶の種類(即ち、面間隔d)に依存して定まる。分光位置Lは、式(3)から分かるように、分光結晶の種類とX線分光器の大きさの両方に依存して定まる。なお、以下の説明でスペクトルの横軸を、表示単位に関わり無く、便宜的に「波長軸」と称すことがある。
【0006】
試料を構成する元素から放出される特性X線種には、元素毎にKα線、Kβ線、Lα線、Lβ線、Mα線、Mβ線等多くの種類がある。さらに、WDSで分光されたスペクトルには、多数の高次線が存在する。こうした複雑なスペクトルを解析して元素同定を行い易いようにする技術が、例えば特許文献1の特公平6−97213号公報に開示されている。特公平6−97213号公報においては、指定されて元素の特性X線について、1次回折線(以下、「1次線」と略称することがある)のみならず、高次線の表れる分光位置にマーカーを表示するようにしている。
【0007】
元素分析における高次線は、分析に使用する1次線にとっての邪魔者であり除去の対象として扱われる。例えば、特許文献2の特開2002−357571号公報には、波長分散形の蛍光X線分析装置において、多重波高分析器を用いて高次線等に起因するバックグランドを除去する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献3の特開2006−58015号公報には、エネルギー分散形X線分光器(以下、「EDS」と略称する)が装備するマルチチャンネルアナライザ(以下、「MCA」と略称する)を利用して、高次線を除去する技術が開示されている。
【0009】
ところで、物質を構成する元素の化学結合状態を分析するために、試料から放出される特性X線のスペクトルを用いる方法が知られている。特性X線スペクトルを用いて目的元素の化学結合状態分析(以下、「状態分析」と略称することがある)を行う場合、化学結合状態の違いによりスペクトルの波長(エネルギーに同じ)、スペクトル波形の形状、複数の特性X線種間の強度等が変化することを利用して分析を行う。例えば、特許文献4の特開2003−75376号公報には、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)により測定したタングステンの特性X線のW-Mα線とMβ線の強度に基づいて、タングステンの化学結合状態を分析する技術が開示されている。
【0010】
特性X線スペクトルの変化を用いる状態分析では、スペクトルの波長又はエネルギー分解能がなるべく良い測定条件を選ぶ方が有利である。そのため、なるべく波長分解能の高い分光結晶や、測定する特性X線の回折角ができるだけ大きくなるような面間隔を持つ分光結晶を選ぶ等の方法がある。こうした測定技術のひとつに高次回折線を用いる方法がある。例えば、特許文献5の特許第2759922号公報には、蛍光X線分析によるEXAFS測定において、分光結晶の高次反射を利用する技術が開示されている。EXAFSはX線吸収端近傍における吸収スペクトルの構造解析を行う手法であるが、高次回折を利用する目的のひとつは、状態分析に波長分解能を向上させる目的で高次回折の特性X線を用いるのと同じ理由である。
【0011】
図4は、通常の分析に用いる1次線と2次回折線(以下、「2次線」と略称することがある)との関係を説明するための模式図である。横軸は波長又はエネルギー、縦軸はX線強度を表す。1次回折の特性X線A1とB1の波長をそれぞれλa、λb、半値幅をそれぞれΔλa、Δλb、エネルギーをそれぞれEa、Ebとする。1次線A1、B1の2次線A2、B2は、分光器の波長がλa、λbの2倍の分光位置2λa、2λbにおいて検出される。このとき、2次線A2、B2の半値幅は1次線の半値幅Δλa、Δλbとほぼ同じである。
一般に高次線は1次線に比較してX線強度が低下する問題はある。しかし、図4から明らかなように、1次回折に比べて高次回折は、次数分だけ分散が大きくなるので、高次線を使用すればピークの半値幅Δλa、Δλbが同じ大きさでも相対的に高いスペクトル分解能で分析を行うことができる。このとき、2次線A2,B2のエネルギーは1次線A1,B1のエネルギーと同じであるが、2次線A2,B2のスペクトル近傍に表れる他の元素の1次線が持つエネルギーは、Ea、Ebのほぼ半分の大きさであることに注意しなければならない。
【0012】
なお、EPMAに装備される波長分散形X線分光器は、図10に示すように、回折面を分散方向に湾曲させた分光結晶が用いられている。そのため、回折面の加工の不完全性や湾曲面の不完全性等に起因する幾何学的集光の不完全性により、回折角度が小さい分光領域においてX線スペクトルに歪みを生じる場合がある。しかし、高次線は1次線より回折角度が高いので、高次線を用いれば、スペクトルの歪みを緩和し、より精度の高い状態分析が行えるという効果も期待できる。
【0013】
高次線を用いて状態分析を行う例として、マグネシウムが挙げられる。図5は、マグネシウムの化学結合状態の分析を行うときに、Mg−Kα線(波長:0.9889nm)の2次線を使用する例を説明するための模式図である。横軸は波長、縦軸はX線強度を表す。特許文献4の特開2003−75376号公報においてW−Mα線、Mβ線の測定に使用されている分光結晶PET(Pentaerythritol)の分光範囲の上限波長λpは0.812nm程度(装置により若干異なる)であるため、Mg−Kα線を分光検出することができない。一方、EPMAで汎用的に使われている分光結晶のなかでPETよりも面間隔の大きい分光結晶TAP(Thallium acid phthalate)の場合、分光範囲の上限波長λtは2.392nm程度(装置により若干異なる)である。そのため、Mg−Kα線の1次線及び2次線の両方がTAPで分光可能である。なお、TAPの分光範囲の下限波長も存在するが図示は省略している。上述したように、波長分解能を重視する分析を行う場合は、TAPによるMg−Kα線の2次線を使用することになる。
【0014】
【特許文献1】特公平6−97213号公報
【特許文献2】特開2002−357571号公報
【特許文献3】特開2006−58015号公報
【特許文献4】特開2003−75376公報
【特許文献5】特許第2759922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
EPMAや蛍光X線分析装置等のX線分析装置においては、元素同定(定性分析)や定量分析という元素分析が第1の使用目的とされる。状態分析とりわけ高次回折線を用いる方法は装置の使用法のひとつではあるが、元素分析に比べればその重要度は低い。そのため、これらX線分析装置はハード及びソフトの両面で元素分析を効率的に行えるような工夫が優先されている。例えば、コンピュータ制御による自動化の進んだ装置では、分析目的元素名と分析に使用する特性X線種を指定すると、自動的に1次線の波長位置に分光結晶が設定されるように分析条件が決められるようになっている装置が多い。また、スペクトルを収集する波長範囲(分光結晶の走査範囲)は高次線の回折次数に応じて広くしなければならない。それ故、状態分析を行うために、例えば2次線を使用する場合であれば、1次線の2倍の波長と分光結晶の走査範囲を手計算などで求める必要がある。
【0016】
また、元素分析の自動化が進んだ装置では、分光波長位置に対応する1次線のエネルギー値に基づいて、高次線を除去する条件にWDSが装備する波高分析器(以下、「PHA」と略称する)を自動的に設定する機能を備えていることがある。高次線を分析に使用する場合は、元素分析の場合とは逆にその波長位置で回折される1次線を除去するようにPHAを設定しなければならない。図6、図7及び図8は、PHAを用いてX線信号のエネルギー選別を行う操作を説明するための図である。例えば、図6に示すように、λaの2倍の波長を持つ2次線A2を状態分析に使用するが、その近傍にλcの波長を持つ1次線C1が存在する場合を考える。このとき、A2の波長2λaとC1の波長λcとが近接しているため、A2のエネルギーEaは、C1のエネルギーEcのほぼ2倍である。
【0017】
図7と図8は、PHAに構成されるシングルチャンネルアナライザ(以下、「SCA」と略称する)におけるX線信号の選別方法を説明するための模式図である。図中の横軸はX線検出器で検出されるX線量子のエネルギーに比例した電気パルスの大きさ(X線信号波高値)を表している。選別すべき電気パルスの波高値が、0〜10ボルト(V)の範囲に収まるように増幅される。縦軸は、電気パルスの波高値に対応してX線検出器から取り出されるX線量子の計数値である。元素分析を行う場合は、SCAにおいて1次線のエネルギーEcを中心とした信号のみが選別されるようにウィンドウ(図7中にWindowと図示)を設定する。しかし、2次線を分析に使用する場合は図8に示すように、2次線のエネルギーEaを中心とした信号が選別されるように電気パルスの増幅率とウィンドウ(図8中にWindowと図示)を設定しなければならない。
【0018】
なお、図6に示した例のように状態分析に使用する2次線に他の元素の1次線が近接する場合は必ずしも多くはないが、一般に高次線は1次線に比べて強度が低いため、1次線のバックグランドを除去するために、常にPHAによるX線信号の選別を行うことが好ましい。
【0019】
上記したように、高次線を分析目的に使用するためには、元素分析と異なる分析条件に設定するように種々の操作を手動で行わなければならない。こうした操作は操作者にとって面倒であるばかりでなく、設定ミスを犯す可能性がある。
【0020】
また、当然ながら高次線のスペクトルを表示する場合は、例えば2次線であれば2倍の波長を持つスペクトルとして表示される。しかし、状態分析に高次線を用いるのはあくまでもスペクトルの波長分解能若しくはエネルギー分解能を向上させたいからであって、高次線の分光位置の絶対波長やその波長の1次線に対応するエネルギーは意味を持たない。いずれにせよ測定されたスペクトルから化学結合状態に関する知見を得るためには、高次線の波長若しくはエネルギーを、もとの1次線の波長若しくはエネルギーに換算して表示する必要がある。しかしながら、こうした機能は元来元素分析には不要なため、自動的に換算して表示する機能を備えてはいなかった。高次線の次数に応じてスペクトルの波長を1次線の波長に換算し直して表示することは操作者にとって煩わしく間違えを犯しやすい。
【0021】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、
波長分散形X線分光器により高次線のスペクトルを収集して状態分析を行うとき、一般の元素分析とは異なる分析条件にX線分光器が自動的に設定されて効率よく高次線の測定が行えるようにすることである。また本発明のもうひとつの目的は、状態分析のために高波長分解で収集された高次線のスペクトルの波長軸を自動的に元の1次線の値に換算して表示することによって、化学結合状態の解析を素早く行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の問題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定する設定手段と、
前記特性X線のスペクトルを測定する前記測定条件を設定するために必要なパラメータが予め記憶されている記憶手段とを備え、
前記設定手段は、前記指定手段によって指定された前記特性X線の特性X線種とその回折次数に基づいて、前記記憶手段に記憶されているパラメータを読出し、前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定することを特徴とする。
【0023】
また請求項2に記載の発明は、前記記憶手段は、少なくとも、
前記指定手段により指定された前記特性X線のエネルギー及び/又は波長と、
前記指定手段により指定された特性X線のスペクトル測定が可能なX線分光素子の種類及び該X線分光素子の面間隔とが記憶されていることを特徴とする。
【0024】
また請求項3に記載の発明は、前記設定手段は、前記指定手段により指定された特性X線が2次以上の回折線であるとき、前記特性X線を検出するX線検出系の波高分析器を、前記指定手段により指定された2次以上の回折線のみを検出するように設定する手段を備えることを特徴とする。
【0025】
また請求項4に記載の発明は、前記測定条件により測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
1次回折線の波長に換算された特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0026】
また請求項5に記載の発明は、試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された特性X線種と回折次数に基づいて測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
前記換算手段により換算された前記特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、高次回折線を用いて元素の化学結合状態分析を行うときに、通常の元素分析に用いられる1次回折線のスペクトル測定に適した測定条件とは異なる高次回折線のスペクトル測定に適した測定条件を簡単に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、測定条件を求めるのに必要なパラメータを記憶手段から呼び出して、高次回折線のスペクトル測定に適した測定条件を簡単に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、通常の元素分析に用いられる1次回折線のスペクトル測定に適した波高分析器の設定条件とは異なる高次回折線のスペクトル測定に適した波高分析器の設定条件に設定できるので、高次回折線を用いた高波長分解能のスペクトルの測定を効率的に行うことができる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、高次回折によって得られる高波長分解能のスペクトルを元の1次回折線の波長又はエネルギー軸に簡単に換算して表示することができるので、化学結合状態の解析を素早く行える。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、高次回折によって得られる高波長分解能のスペクトルを元の1次回折線の波長又はエネルギー軸に簡単に換算して表示することができるので、化学結合状態の解析を素早く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。各図において、同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。
【0033】
図1は、EPMAを例にとった、本発明を実施する概略構成例を示すブロック図である。図1において、EPMA100の中に配置されている電子銃1から放出された電子線EBは集束レンズ17、対物レンズ19により細く絞られて試料2に照射される。走査コイル18は、電子線を二次元的に走査、電子線の照射位置変更が可能である。試料2から発生した特性X線3は、WDS4により分光・検出される。WDS4は分光結晶5、検出器6、WDS駆動系7を含む構成で、WDS測定系8を介して制御と信号取り込みが行われる。WDSを複数基装着するためには、WDS4と同じ構成が複数組必要である。
【0034】
試料ステージ9に載置された試料2上の電子線EBの照射位置(即ち分析点)は、試料ステージ駆動機構10によりX、Y(水平方向)とZ(高さ方向)に移動可能である。WDS測定系8、試料ステージ駆動機構10は測定制御装置11に接続されており、測定制御装置11は測定のために必要な制御と信号取り込みを行う。なお、前述のPHAはWDS測定系8の中に設けられている。測定制御装置11にはキーボード・マウス等の入力装置12、液晶モニタ等の表示装置13、記憶装置14が接続されている。記憶装置14には、各元素の特性X線波長及び又はエネルギー値、PHA設定条件、分光結晶面間隔等の分析とスペクトル表示に必要なパラメータが格納されている。
【0035】
なお、実際の装置では、鏡体内部を10−3Pa程度の高真空に保持するための真空排気系、二次電子・反射電子信号検出器、電源、DA・AD変換器等が構成されているが本発明を理解する上で直接関係しないので図示及び説明を省略する。
【0036】
次に、図1の構成を持つEPMAにおいて、本発明を実施するための手順を、図11のフロー図を参照して説明する。但し、図11はEPMAにおいて本発明を実施する手順の一例である。
【0037】
ステップS1において、操作者は入力装置12を用いて、状態分析を行う元素の元素名と、分析に用いる特性X線の特性X線種及び回折次数を入力する。ステップS2において、測定制御装置11は指定された元素の特性X線種に従って記憶装置14から1次線の波長データを読出し、回折次数に応じた実際の分光波長位置と測定波長範囲を求める。さらに、1次線の波長からエネルギーを求め、指定された回折次数のX線信号のみが選別されるように、WDS測定系8内のPHAの条件を設定する。
【0038】
ステップS3において、測定制御装置11はWDS駆動系を制御して分光結晶5を測定波長範囲で走査し、X線スペクトルを測定する。ステップS4において操作者は、測定されたスペクトルの表示方法を選択する。表示方法の選択肢としては、例えば横軸の種類(波長、エネルギー等とその単位)、1次線の値に換算するか否か等がある。ステップS5において、1次線の値に換算する方法が選択されていればステップS6に進み、回折次数に従って横軸を1次線の値に換算する。1次線の値に換算しない場合は、そのままステップS7に進む。
【0039】
ステップS7において、測定制御装置11は選択されている表示方法に従って、測定されたスペクトルを表示装置13に表示する。ステップ8において、操作者はスペクトルの表示方法を変更するか否かを判断し、変更する場合はステップS4に戻る。変更しない場合は処理を終了する。
【0040】
以上が実施手順の説明である。上記手順においてスペクトル測定後に、スペクトル表示方法を操作者が選択するようにしているが、例えば測定開始前に表示方法を選択するようにしても良いし、操作者の選択無しに自動的に1次線の値に換算して表示し、必要に応じて操作者が表示方法を変更できるようになっていても良い。また、例えばステップS2において設定された測定条件を記憶装置14に記憶し、元素名の指定のみで直ちにその元素の状態分析が行えるようになっていても良い。
【0041】
図9は、1次線A1、B1の2次線A2、B2のスペクトルを測定し、1次線の値に換算して表示した例を示す模式図である。スペクトルの波長分解能が向上する様子を理解しやすいように、1次線のスペクトルと比較表示している。実際の測定では、2次線A2、B2のスペクトルは図9に表示されている値の2倍の波長範囲で測定されているが、1次線の値に換算して表示すると波長範囲は半分となる。それに従ってピークの半値幅Δλa、Δλbも半分の大きさとなり波長分解能が2倍向上することが分かる。
【0042】
次に、図2を参照しながら、EPMAを例にとって、本発明を実施するもうひとつの形態について説明する。EPMA200においてEPMA100と同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付して、説明を省略する。
【0043】
EPMA200は、例えば回折格子等の分光素子24と、多波長のX線を同時に検出可能なCCD等の検出器26からなる波長分散形X線分光器(WDS24)を装備している。EPMA100に装備されているWDS4は、分光結晶5を機械駆動してX線を単色化し、回折位置におけるX線強度を順次取得する方法でスペクトルを測定する。一方、EPMA200に装備されているWDS24は、多波長のX線を一度に分散し、同時検出してスペクトルを一度に取得することができるX線分光器である。分光素子24が回折格子の場合、好ましくは分散範囲の異なる複数の回折格子を切り換えて使用できる機構を備えることで、より広い波長範囲のスペクトル測定が可能である。
【0044】
EPMA200において、スペクトルの測定範囲は一定としておいても良いし、EPMA100の場合と同様に、状態分析を行う元素の元素名、特性X線種及び回折次数を指定すると、分析目的に応じた最適な分光素子や測定波長範囲が選択されるようになっていても良い。
【0045】
WDS24によって取得されたスペクトルは、横軸を波長軸、縦軸をX線強度として表示装置13に表示される。高次線を測定に用いた場合、EPMA100の実施例で説明したのと同様に、測定したスペクトルの波長は自動的若しくは操作者の選択により1次線の値に換算されてスペクトル表示が行われる。
【0046】
前述したように、波長分散方X線分光器によって測定したX線スペクトルを用いて状態分析を行うときに、高次回折線を利用する方法はこれまでもしばしば行われてきた。しかし、元素分析における測定の自動化が進んだX線分析装置ほど、高次回折線を利用した状態分析が面倒であるという問題が生じていた。
【0047】
上述した本発明によれば、高次回折線を利用して状態分析を行うとき、一般の元素分析とは異なる分析条件にX線分光器が自動的に設定して効率よくスペクトルの測定が行える。また、高次線のスペクトルの波長を、自動的に元の1次線の波長に換算して表示できるので、化学結合状態の解析を素早く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】EPMAを例にとった、本発明を実施する概略構成例を示すブロック図。
【図2】EPMAを例にとった、本発明を実施する他の概略構成例を示すブロック図。
【図3】波長分散形X線分光器によって収集されるスペクトルを表示する方法を説明するための図。
【図4】1次回折線と2次回折線との関係を説明するための模式図。
【図5】マグネシウムの状態分析に、Mg-Kα線の2次線を使用する例を説明するための模式図
【図6】1次と2次の回折線が近接している様子を示す模式図。
【図7】PHAに構成されているSCAにおいて、1次線のみを選別する状態を示す図。
【図8】PHAに構成されているSCAにおいて、2次線のみを選別する状態を示す図。
【図9】2次線のスペクトルの波長を1次線の値に換算して表示した例を示す模式図。
【図10】EPMAに装備されている波長分散形X線分光器の原理を説明するための模式図。
【図11】EPMAにおいて本発明を実施する手順の一例を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0049】
(同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付す。)
EB 電子線 RC ローランド円
1 電子銃 2 試料
3 特性X線 4、24 WDS
5 分光結晶 6、26 検出器
7 WDS駆動系 8 WDS測定系
9 試料ステージ 10 試料ステージ駆動機構
11 測定制御装置 12 入力装置
13 表示装置 14 記憶装置
25 分光素子
100、200 EPMA
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定する設定手段と、
前記特性X線のスペクトルを測定する前記測定条件を設定するために必要なパラメータが予め記憶されている記憶手段とを備え、
前記設定手段は、前記指定手段によって指定された前記特性X線の特性X線種とその回折次数に基づいて、前記記憶手段に記憶されているパラメータを読出し、前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定することを特徴とするX線分析装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、少なくとも、
前記指定手段により指定された前記特性X線のエネルギー及び/又は波長と、
前記指定手段により指定された特性X線のスペクトル測定が可能なX線分光素子の種類及び該X線分光素子の面間隔とが記憶されている、ことを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記指定手段により指定された特性X線が2次以上の回折線であるとき、前記特性X線を検出するX線検出系の波高分析器を、前記指定手段により指定された2次以上の回折線のみを検出するように設定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載のX線分析装置。
【請求項4】
前記測定条件により測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
1次回折線の波長に換算された特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項5】
試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された特性X線種と回折次数に基づいて測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
前記換算手段により換算された前記特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とするX線分析装置。
【請求項1】
試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定する設定手段と、
前記特性X線のスペクトルを測定する前記測定条件を設定するために必要なパラメータが予め記憶されている記憶手段とを備え、
前記設定手段は、前記指定手段によって指定された前記特性X線の特性X線種とその回折次数に基づいて、前記記憶手段に記憶されているパラメータを読出し、前記特性X線のスペクトルを測定するための測定条件を設定することを特徴とするX線分析装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、少なくとも、
前記指定手段により指定された前記特性X線のエネルギー及び/又は波長と、
前記指定手段により指定された特性X線のスペクトル測定が可能なX線分光素子の種類及び該X線分光素子の面間隔とが記憶されている、ことを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記指定手段により指定された特性X線が2次以上の回折線であるとき、前記特性X線を検出するX線検出系の波高分析器を、前記指定手段により指定された2次以上の回折線のみを検出するように設定する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載のX線分析装置。
【請求項4】
前記測定条件により測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
1次回折線の波長に換算された特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項5】
試料に電子線を照射し、該試料から発生する特性X線を波長分散形X線分光器により分光・検出し、該試料の化学結合状態分析を行うX線分析装置であって、
化学結合状態分析を行う元素と、該元素の該分析に用いる特性X線の特性X線種とその回折次数を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された特性X線種と回折次数に基づいて測定された特性X線スペクトルの波長を1次回折線のスペクトルの波長に換算する換算手段と、
前記換算手段により換算された前記特性X線スペクトルを表示する表示手段を備えることを特徴とするX線分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−47586(P2009−47586A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214740(P2007−214740)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
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