説明

化学試験装置

溶媒(211)に溶解した薬品の溶解度を測定する装置(100)が記載される。未溶解の粒子(210)は溶媒(211)中で攪拌され、溶媒は溶けた薬品で飽和される。溶媒のサンプルは、分析のため、例えば、HPLC分析装置(150)による分析のため採取される。溶媒中での薬品の溶解度プロファイルを測定するため、サンプルは様々な温度で採取される。装置(100)は、未溶解薬品粒子のサンプルへの混入を防ぐため、フィルター(430)を持つ。このフィルターには、フィルターのデッドボリュームを減ずるために、凹所(832)を持つことができる。コンピュータ(600)は、HPLC(150)で分析される薬品が多過ぎるか少な過ぎるかを判定でき、HPLC(150)が過剰の薬品で飽和されないように、サンプルを分析用薬瓶(141)内で希釈することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品の溶解度試験を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学の分野では、特定な溶媒に対する或る薬品の溶解度を測定することが、しばしば、必要とされる。例えば、或る研究者は、特定な温度におけるβ−ナフトールの水に対する溶解度を測定したいことがある。β−ナフトールの水への溶解度は、勿論、周知であるが、新たに構成された薬品の特定な溶媒に対する溶解度は、当然のことながら未知である。
【0003】
より一般的には、研究者は或る溶媒に対する薬品の溶解度プロファイルを求めたい。溶解度プロファイルは、様々な温度での溶媒に対する薬品の溶解度を示す曲線であって、例えば、β−ナフトールの水に対する20℃、35℃及び50℃の各溶解度は、それぞれ0.75、0.9及び1.9mg/mlである。
【0004】
溶解度プロファイルは、手作業で測定することができるが、薬品や溶媒や測定装置の温度を調節しなければならないため、手作業による溶解度プロファイルの測定には、思いのほか時間が掛かる。
【0005】
従来技術の溶解度測定装置は、溶媒の濁度を検知するものである。最初に、既知質量の薬品と既知容量の溶媒を容器に入れる。その容器を薬品が溶けるまで加熱する。次いで容器の温度を徐々に低下させ、容器に光を通過させることで溶媒の濁度を測定する。温度が低下すると、溶けていた薬品は溶液から析出するので、光検知器に達する光の量が低下する。このような従来装置の不都合な点は、最初に容器に入れた既知量の溶媒が、測定中蒸発しないと想定しているので、蒸発があると誤差が発生することである。今一つの不都合は、薬品を手作業で秤量して容器に収めなければならないことである。
【発明の開示】
【0006】
本発明の一態様によれば、溶解度測定装置が提供され、その装置は、薬品と薬品で飽和した溶媒を収めた容器の温度を調節するための手段と、その容器から飽和された溶媒のサンプルを採取する手段を備え、そのサンプル採取手段は、未溶解薬品の採取を阻止する厳格なフィルターと、飽和溶媒のサンプルの薬品濃度を測定する手段を備えている。
【0007】
本発明の別の態様では、或る容器からのサンプル採取装置が提供される。
【0008】
さらに別の態様では、飽和溶媒のサンプル中の薬品濃度を測定することを基礎とする溶解度測定装置を、自動的に調節する方法が提供される。
【発明の第1態様】
【0009】
図1は溶解度測定を行うための装置100を示す。この装置の主要構成要素は、温度制御ブロック110,XYZアーム120,サンプリング針130,溶媒ラック135,サンプル希釈ブロック140(この中で希釈が行われる),高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)装置150及び洗浄ステーション160である。装置100の主要構成要素は、支持体(図示なし)に取り付けられている。図示の態様では、装置100のX軸方向の幅が約80cmであり、Y軸方向の奥行きが約60cmであり、Z軸方向の高さが約80cmである。
【0010】
大まかに言えば、装置100は、温度制御ブロック110内の試験管111から、飽和溶媒(図2の符号211参照)を試料採取するためのサンプリング針130を使用する。この針は中空であり、図示の態様では、平らな先端を持つ。採取された試料は、サンプル希釈ラック140で希釈され、HPLC150に注入される。HPLC150に注入する前に試料を希釈しているので、HPLC内部の検出器(図示なし)が飽和状態にさらされることはない。洗浄ステーション160では、試験管111から飽和溶媒を採取する前に、サンプリング針130が洗浄される(複数個の試験管を使用する場合は、各試験管から試料を採取する前に、サンプリング針は洗浄される)。
【0011】
装置100をセットアップするには、装置使用者が、まず、溶解度を測定しようとする薬品を、溶媒と共に試験管111に入れる。試験管に入れる薬品の量は、その全てが溶媒に溶解する量でなければならない。使用者はまた、溶媒ラック135に溶媒を用意する(場合によっては、装置100は試験管に溶媒を自動的に供給するようにすることができる)。各試験管は、溶媒への薬品の溶解が平衡に到達し、過剰に溶けた薬品が溶媒に析出するまで攪拌される。溶媒が溶解薬品で飽和されるまでの時間が経過した後に、様々な温度において飽和溶媒の試料(サンプル)が、HPLC150で分析するために試験管から採取される。
【0012】
温度制御ブロック110は、複数個の円筒空洞(図示なし)を持つ。各円筒空洞には一本の試験管111が収納され、各試験管は、溶解度が測定される薬品と溶媒の組合せのそれぞれに使用される。図示の態様では、各試験管111に約1〜3mlの溶媒が収納される。温度制御ブロック110は、各試験管111の温度をコンピュータ(図示なし)にて設定する。この温度制御ブロックには、試験管の温度が所要温度に保持されるように、試験管を加熱又は冷却するためのヒータとクーラントが設けられている。図示の態様では、各試験管の温度を、個々に−30℃から150℃の範囲で設定することができる。試験管111内の薬品の溶解度が一旦測定されると、コンピュータはその試験管について新しい設定温度を維持するよう温度制御ブロックを指令する。例えば、水へのβ−ナフトールの溶解度を測定する場合、β−ナフトールと水が入った試験管111は、20℃、35℃及び50℃に加熱される。
【0013】
温度制御ブロック110はまた、回転攪拌子(図2の201参照)用の磁気攪拌機(図示なし)を備え、各攪拌子は試験管それぞれの底部に入れられている。磁気攪拌機は、未溶解の薬品を溶媒中で攪拌し、飽和に到達するまでに要する時間を短縮させる役割を果たす。
【0014】
XYZアーム120は、サンプリング針130を支持し、試験管111、サンプル希釈ブロック140、HPLC150及び洗浄ステーション160の間の任意の個所に、サンプリング針130を移動させる。XYZアーム120はコンピュータ制御の下で、直交方向に移動可能である。図1に示すように、Y軸に沿って動かすことで、温度制御ブロック110内の特定の試験管111を選択することができ、X軸に沿って動かすことで、サンプリング針130を温度制御ブロック110から、サンプル希釈ブロック140に、さらに洗浄ステーション160に、そしてHPLC150に動かすことができる。また、Z軸方向での移動は、サンプリング針130の上昇又は下降に対応する。XYZアーム120によって、サンプリング針130は、試験管111内に挿入され、飽和溶媒の試料を抜き出す。次いで針130は上昇してサンプル希釈ブロック内の薬瓶(バイアル)141の上の位置まで移動した後、薬瓶141内に下降する。薬瓶141は、実際には、小型の試験管(必要に応じて密封可能)であり、図示の態様では、2mlの液体が収められる小型試験管である。
【0015】
サンプリング針130は、可撓性ある移送チューブ(図示略)経由で、注射器ポンプ(図示略)に接続されており、注射器ポンプは、液体とこれを取り巻く空気を、サンプリング針130から排出させる。注射器ポンプ自体には、溶媒容器が設けられており、その中の溶媒は、移送チューブ内で油圧油として機能し、また、試験管111又は薬瓶141に分配される。
【0016】
サンプルが一旦薬瓶141内に入れられると、予め移送チューブに蓄えられていた希釈剤、すなわち、溶媒(例えば、β−ナフトールと水の組合せの場合の水)の所定量が、サンプリング針130から分配される。この溶媒は、溶媒瓶136に用意されているが、注射器ポンプの溶媒容器からもたらすこともできる。幾つか異なる溶媒に対する薬品の溶解度を測定する場合には、複数種の溶媒が溶媒瓶136に用意される。
【0017】
ここで説明している実施態様では、注射器ポンプの溶媒容器(図示略)からの溶媒(水)で、サンプルを50倍に希釈する。注射器ポンプ(図示略)を稼動させてサンプルを針130から追い出すと共に、充分量の水も薬瓶141に追い出す。薬瓶141内の希釈されたサンプルの一部は、HPLC150に注入することができる。
【0018】
溶媒の量は、溶媒が薬品で飽和されてくるに従って、HPLC150内の検出器の尤度(likelihood)を減少させるばかりでなく、サンプリング針130を試験管111から薬瓶141に移動させる過程で、針130の内側で析出する薬品を再溶解させる。ちなみに、飽和溶媒のサンプルが、50℃で試験管から取り出された場合、装置100の環境温度が50℃又はそれ以上でない限り、試験管111から薬瓶141に移動する過程で、針130が冷やされるために、薬品の一部(針130内に含まれる)が析出する。
【0019】
図示の実施態様では、注射器ポンプの溶媒容器(図示略)からの水が、薬瓶141内の試料の希釈に使用されるが、別の実施態様では、溶媒ラック135の溶媒瓶136からの溶媒で試料を希釈してから、希釈試料の一部をHPLC150に注入しても差し支えない。
そのような場合には、一塊の空気(針130及び移送チューブ内の気泡)を、空隙に利用して、(i)溶媒瓶136からの溶媒と、(ii)注射器ポンプの溶媒容器(図示略)からの液体(例えば水)とを分離し、サンプリング針130及び移送チューブ内での液体の混合を防ぐことができる。
【0020】
溶媒瓶136からの溶媒を使用する場合、試験管111からサンプル(試料)を取り出す前に、その溶媒をサンプリング針130及び移送チューブに送り込んで置くことが好ましい。こうすることで、試験管から試料が採取された時に、サンプリング針130及び移送チューブ内のサンプルの上側に、その溶媒を予め存在させておくことができる。針130が薬瓶141の内側に入ると、注射器ポンプが稼動し始めて試料と以前に貯留されていた溶媒が、薬瓶141内に吐き出される。上記したように、気泡を利用すると、(i)溶媒瓶136からの溶媒と、(ii)注射器ポンプの溶媒容器(図示略)からの液体(例えば水)との混交が軽減される。当業者に周知のように、気泡を使用することで、溶媒瓶136から過剰の溶媒を取り出さずに済む。ちなみに、この過剰溶媒は薬瓶141に分配されず、注射器ポンプの溶媒容器からの液体への混入を避けるために廃棄される。
【0021】
当業者に周知のように、HPLC150は、ポンプ、オーブン、検出器及び脱気装置(いずれも図示略)を備えている。サンプルは、多位置回転式切り替え弁(図示略)と連動して機能する注入口151からHPLC150に導入される。サンプリング針130は、注入口151内に降りて、薬瓶141で得た希釈溶媒のサンプルをHPLC150に注入する。この実施態様では、前記の多位置回転式切り替え弁は、20μlの試料ループ(図示略)を有し、その中にサンプルが充填される。HPLC150にはさらに、カラム(図示略)が設けられており、このものはユーザーが任意に温度設定できるオーブン内に保持される。サンプルが注入口151を経て試料ループに充填されると、多位置回転式切り替え弁が変位してHPLC溶媒(本実施態様では、水とアセトニトリルの等量混合物)がサンプルを試料ループから押し出してHPLC150のカラムに押し込む。薬品(例えばβ−ナフトール)は、当該カラムに対して固有の滞留時間(これは温度、HPLC溶媒の種類及び流速に依存する)にてカラムから流出し、サンプル内の他の成分を区別する検出器に入る。サンプル内の他の成分は、HPLC活性溶媒であって差し支えなく、このものは試験管111内で薬品を溶かすのに使用でき、あるいは薬品の調合又はその分解生成物に由来する不純物を溶かすのに使用できる。
【0022】
ここで説明している実施態様では、HPLC150の検出器(図示略)は、紫外分光法を利用して稼動するものであり、光の波長には測定対象の薬品に適した波長が選ばれる。この実施態様では、波長220nmを使用した。当業者に周知のように、一般に使われる溶媒の多くは、約200nmより長い波長において有意な吸光度を持たない。従って、分光分析に200nmより長い波長、例えば220nmを採用することで、HPLC150の検出器は、薬品(例えばβ−ナフトール)に満足に応答するまで、溶媒(例えば水)には事実上応答しない。薬品は、紫外光のいくらかを吸収する結果、検出器への入射するUV光の量が減少する。検出器は、コンピュータ(図6の600参照)にピーク線図の電気信号を提供する。ピークの下の面積は、HPLC150に入ったサンプル中の薬品の量に比例する。
【0023】
図2は試験管111を透視した断面図である。図示の態様では、試験管111は略円筒状であって、下部に狭窄領域200を備えている。図2では、狭窄領域200に未溶解薬品210の粒子と溶媒211が示されている。
【0024】
狭窄領域200の底に攪拌子201が示されている。狭窄領域200を設けることは、使用する薬品210及び溶媒211の量が少なくて済むので有利である。量が少なくて済むことは、測定のために薬品を多量に入手できない場合に、例えば、僅か数百ミリグラムしか入手できない場合に有利である。攪拌子201は、狭窄領域200内で自由に回転できる大きさであり、しかも有効な攪拌が可能なように、溶媒211中に沈んでいる。
【0025】
図2の符号215はサーマル環であって、このものは狭窄領域200と温度制御ブロック110との良好な熱的接触をもたらす。この実施態様では、試験管111はホウケイ酸ガラス製であり、全長16cm、直径3cmの寸法にあり、狭窄領域の長さは4cm、直径は1.5cmである。
【0026】
試験管111は頂部に雄ねじ270を備え、これにはキャップ220をねじ込むことができる。キャップ220は、サンプル抽出装置230が挿通する穴を持っている。サンプル抽出装置230は、断面図で示されていない。前記穴の大きさは、サンプル抽出装置230が出し入れできる大きさにある。図示の態様では、サンプル抽出装置230は、胴体240とノズル250とを備え、胴体240は、様々な溶媒に耐性を持つ熱可塑性のポリエーテル・エテール・ケトン(PEEK)製である。ノズル250はステンレススチール製であって、このものも様々な溶媒に耐性を示す。ノズル250は、その雌ネジと、胴体240の雄ネジとの螺合で胴体240に取り付けられる。コイルばね260は、サンプル抽出装置230を上向きに付勢しているので、ノズル250は図示のとおり、通常、溶媒211から離れている。
【0027】
胴体240とノズル250は、それぞれ内腔として軸方向の貫通孔(図3の313及び323)を備え、この貫通孔を通してサンプリング針130をノズル250の底に接触させることができる。針130がノズル250に接触してから、さらに針130をコイルばね260の上向きの付勢力に抗してさらに下降させ、ノズル250の底が攪拌子201の真上に来るように、サンプル抽出装置230を下降させる。この位置で、サンプリング針130は、貫通孔313、323(図3参照)を介して、ノズル250の底の溶媒211を採取することができる。サンプルが針130内に採取されると、その針は上昇してサンプル希釈ブロック140に移動するので、採取試料である溶媒211は、分析用の薬瓶141に収めることができる。サンプリング針130が上昇すると、コイルばね260はサンプル抽出装置230を図2に示す位置に復帰させる(すなわち、ノズル250の底は溶媒211から離れている)。
【0028】
図3は、胴体240、ノズル250、キャップ220及びコイルばね260の分解図であり、キャップ220とコイルばね260は、断面図で示されている。胴体240は、胴体上部310と胴体下部320からなり、胴体上部310はその頂部にフランジ311を備えている。このフランジは胴体上部310がキャップ220の穴に入り込むのを防ぎ、コイルばね260の上縁止めとして機能する。胴体上部310の底部には、胴体上部を胴体下部320に取り付けるための雄ねじ312が設けられている。貫通孔313を介して、サンプリング針130は胴体上部310に挿通される。
【0029】
胴体下部320はその頂部にフランジ321を備え、このものはキャップ220の穴に胴体上部310が入り込むのを防ぐ。従って、フランジ311及び321は、胴体240とキャップ220との連結を確かにする。フランジ321の上面のリップ322は、キャップ220の下面にエアシールを形成させるために設けられている。コイルばね260は、シール用リップ322を付勢してこれをキャップ220に接触させる。シール用リップとキャップとの間のシールは、完全な気密ではないが、試験管111からの溶媒211の漏れを軽減させるには充分である。サンプリング針130は、貫通孔323を介して胴体下部320に挿通される。雌ねじ324は雄ねじ312と協働して、胴体下部320を胴体上部310に固定する。また、雄ねじ325は胴体下部320をノズル250に固定している。胴体下部320は底部に突出部326を備え、この突出部は胴体下部320をノズル250に取り付けた時に、ノズル内に突き出る。
【0030】
図4はノズル250と胴体下部320をより詳細に示すもので、ここではノズル250と胴体下部320が断面図で示されている。ノズル250は円筒状である。ノズル250の頂部には、胴体下部320の雄ねじ325に取り付けるための雌ねじ401が設けられている。胴体下部320の突出部326は、ノズル250の底部付近まで延びていて、その先端は環状(輪状)面410を呈している。この輪状面410に注入口シール420が隣接している。HPLCの技術分野で当業者に周知のように、注入口シールは典型的にはHPLC装置に設けられ、HPLCのサンプル注入口にサンプリング針を差し込んでサンプルを注入するのが通例である。注入口シール420は、ゴム製のOリング421と、その周囲を取り囲むポリテトラエチレンフルオロエチレン(PTFE)製の鞘422とで構成されている。
【0031】
上記の鞘422の上面は、輪状面410をシールし、下面はフリットフィルター430の上面をシールする。HPLCの分野の当業者に周知のとおり、粒子状夾雑物によってHPLCカラムが汚染されるのを防止するために、フリットフィルターは、通常、HPLCカラムの前のインラインに設置される。フリットフィルター430は、円盤状のフリット431と周辺部432とからなる。円盤状フリット431は、ステンレススチールの焼結粒子で形成されている。この実施態様では、円盤状フリット431の細孔サイズは2μmであるので、これより大きい粒子の通過を円盤状フリット431は阻止する。周辺部432は、輪状の薄い金属板であり、円盤状フリット431を支持している。
【0032】
フリットフィルター430の下面は、ノズル250の底部の面440と隣接している。穴450を通って溶媒211は、フリットフィルター430に達する。ノズル250を胴体下部320に取り付けることで、輪状面410は、注入口シール420をフリットフィルター430に押し付ける。この押圧により注入口シール420は、僅かに変形する結果、サンプリング針130をシールする注入口シール420の能力が向上する。
【0033】
ゴム製Oリング421の外端は、ノズル250の内壁に隣接している。このため、注入口シール420は、ノズル250及び胴体240に関して中心に位置するようになり、サンプリング針130が胴体240の貫通孔313及び323に案内され、そして、PTFEの鞘422の中心に案内されることになる(もし、サンプリング針130が胴体140の中心から外れると、サンプリング針130がPTFEの鞘422にぶつかり、僅かながらこれを削り落とす虞がある)。
【0034】
図5は、図4と同じ部品を示すことに加えて、フリットフィルター430と接しているサンプリング針130を示している。図5において、サンプリング針130は、胴体240及びノズル250を試験管111の狭窄領域200内に押し込んでいる。図5には溶媒211も示されている。この図から分かるように、ノズル250の底部は攪拌子201から離れている。
【0035】
PTFEの鞘422の円筒状内壁は、サンプリング針130をシールする。それ故、サンプリング針130の内部が、可撓性の移送チューブ(図示略)を介して注射器ポンプ(図示略)で減圧されると、周りの大気圧の影響を受けて、溶媒211はフリットフィルター430を通ってサンプリング針130内に押し込まれる。この際、フリットフィルター430は、未溶解の粒子状薬品210が、サンプリング針130内に入るのを実質的に防止する。サンプリング針130は、次いで上昇し、試料をサンプル希釈ブロック140に移送する。
【0036】
図6は、本発明に係る装置100の構成要素ではあるが、これまでの図面には示されていないコンピュータ600を示す。コンピュータ600は、プロセッサとメモリからなり、温度制御ブロック110、XYZアーム120、注射器ポンプ610(図1〜図5に表示なし)及びHPLC150と電気的に接続されている。コンピュータ600は、温度制御ブロック110と電気的な通信を行い、温度制御ブロック110の様々な試験管111の温度を設定する。また、コンピュータ600は、XYZアーム120を装置100に関して様々な位置に動かすべく、XYZアーム120に指令する。さらにまた、コンピュータ600は、注射器ポンプ610と電気的な通信を行い、サンプリング針130に対する溶媒及び空気の出し入れを、注射器ポンプ610で制御する。注射器ポンプ610は、サンプリング針130内での液体及びガスの流れを制御するための電磁弁(図示略)と、移送チューブ(図示略)を備えている。コンピュータ600は、HPLC150に通信してその注入口151に注入された試料(サンプル)の分析を開始させる。コンピュータ600は、また、分析結果についてもデータをHPLCから受信する。
【0037】
図7は、HPLC150の出力の一例を示す。HPLC150の検出器(図示略)は、電気信号を発信する。HPLC150は、電気信号をコンピュータ600への送信に適したデータ形式に変換する。図7には、薬品(例えば、β−ナフトールの水溶液におけるβ−ナフトール)の単一ピーク710が示されている。
【0038】
図7は、注入されたサンプルの分析が時間t=0で始まったことを示し、β−ナフトールの水溶液の場合、略60秒後に、ピーク710が現れる。ピーク710の下側の面積は、サンプル中の薬品(β−ナフトール)の量に比例し、また、当該薬品の波長220nmでのUV吸収度にも比例する。ピーク710の下側面積から薬品の量を知るためには、既知(標準)の濃度の薬品の220nmにおける吸収度を求めなければならない。220nmにおける標準UV吸収度は、サンプルと同じ条件の下でHPLC150にて測定することができる。
【発明の第2態様】
【0039】
上記の第1態様で説明したように、円盤状フリット431はデッドボリュームを持つ。フリット431のデッドボリュームは、サンプリング針130が取り除かれた時点でフリット431を経てサンプルが吸引された後に、フリット431の細孔に保持されるサンプルの容積である。サンプリング針130がフリット431に戻る時は、例えば、前の温度と異なる温度で溶媒211のサンプルを採取するために、サンプリング針130がフリット431に戻る時は、サンプリング針130に吸引された溶媒211の最初のサンプルは、フリット431の細孔に保持されていた溶媒211となる。サンプリング針130にサンプルがさらに吸引されると、試験管から新しい溶媒211が、フリット431内を通過する。
【0040】
第2態様は第1態様を踏まえているが、フリット431のデッドボリュームの影響を軽減するために、フリットのデザインとコンピュータ600のソフトウエアに変更を加えた。
【0041】
装置100においては、フリット431は円盤状であった。第2態様では図8に示すように、フリットは別の形をとる。図8に示されるフリットフィルター830は、フリット831と周辺部832とを備え、フリット831は凹所832を備えている。この凹所832の寸法は、サンプリング針130がフリット831と接触した際に、サンプリング針の先端の一部が入り込める大きさにある。第2態様の利点は、フリット831に閉じ込められる溶媒211のデッドボリュームが、フリット431のデッドボリュームに比較して少ないことである。凹所832の別の利点は、溶媒がフリット431に比較してフリット831の薄い部分を行き来せざるを得ないので、溶媒211の粘性がフリット431の場合に比較して減少することである。
【0042】
コンピュータ600のソフトウエアが、デッドボリュームの影響を軽減させる方途を具体的に説明するために、図9を利用する。図9は、装置100を使用して、3つの異なる温度それぞれについて、或る薬品の溶解度を3回測定した例を示している。図9の縦軸は、薬品の溶解度測定値を示す。横軸は測定番号を示し、1は初回の測定を、9は全9回の測定の最終回を示す。測定番号1〜3は、全て20℃で溶解度測定を行い、測定番号4〜6は、全て35℃で、また、測定番号7〜9は、全て50℃で溶解度測定を行った。図9に示すように、35℃及び50℃での測定では、最初の測定結果(すなわち、測定番号4及び7の測定結果)が、その後の2つの測定結果(すなわち、測定番号5,6,8,9の測定結果)よりも低い。フリット831の細孔は当初空気で満たされ、溶媒211を含んでいないので、測定番号1ではデッドボリュームの影響がない。コンピュータ600のソフトウエアは、デッドボリュームの影響を避けるために、新しい温度での初回の溶解度測定結果を無視するように仕組まれている。
【0043】
この実施態様では、測定が全て終了してからコンピュータ600がデータファイル(図示略)を作成する。一つの動作モードにおいて、コンピュータ600は、溶解度測定結果の全てを含むデータファイルを作成する。好ましいモードでは、データファイルは試験された様々な薬品及び溶媒の溶解度プロファイルを含み、データファイルを計算した時に、コンピュータ600は、デッドボリュームの影響を受けたと思われる測定結果を無視する。
【発明の第3態様】
【0044】
第3態様は第1(又は第2)態様を踏襲するもので、装置100は、HPLC150の飽和状態が自動的に回避できるようなソフトウエアを備えている。HPLC150の検出器(図示略)が飽和状態になったことを、コンピュータ600が察知すると、コンピュータ600は、サンプリング針130に試験管111から付加的なサンプルの吸引を準備させ、HPLC150への注入前に、付加的なサンプルに少なくとも一つの希釈段階を経験させる。
【0045】
コンピュータ600のソフトウエアが、飽和の影響を軽減させることを具体的に説明するために、図10を使用する。図10は異なる希釈度で溶解度測定を行った例を示している。
【0046】
図10aは、薬品と溶媒のサンプルが希釈されずに(つまり、サンプル希釈ブロック140を使用せず)、HPLC150に直接注入された場合のHPLC検出器のアウトプットを示す。これから分かるように、検出器のアウトプットは、平らな頂部1011を持つピーク1010である。平らな頂部1011は、検出器が溶解した薬品で飽和され、薬品の濃度に直線的に比例するアウトプット信号を、検出器が最早出せないことを示している。
【0047】
図10bは、薬品/溶媒の付加的なサンプル(図10aについて採用されたと同じ温度の温度制御ブロック110を使用)が、50倍に希釈されてHPLC150に注入された場合のHPLC検出器のアウトプットを示す。この50倍希釈は、サンプル希釈ブロック140において、分析用薬瓶141を使用して行われる。図10bから分かるように、ピーク1020にも平らな頂部1021が存在するが、ピーク1020はピーク1010よりも幅が狭い。
【0048】
図10cは、さらに別のサンプルに関する検出器のアウトプットを示す。図10aのサンプルと比較すると、図10cのサンプルは、HPLC150への注入前に、2度の50倍希釈が行われて最終的には2500倍に希釈されている。図10bについて使用した分析用薬瓶141からのサンプルを出して別の分析用薬瓶141に移す。次いで、その分析用薬瓶141に希釈剤を加えて50倍に希釈する。それ故、2つの分析用薬瓶がひつようである。図10cから分かるように、ピーク1030は丸い頂部を持ち、これはHPLC検出器が飽和されていないことを示している。また、ピーク1030の下側領域は、ピーク1010及び1020の下側領域より小さいことが分かる。その理由は、図10aや図10bの場合に比較してHPLC150に注入される溶解薬品の量が、希釈に原因して少なくなっているからにほかならない。
【0049】
コンピュータ600は、HPLC150からのアウトプットをモニターするようプログラムされている。HPLC150の飽和状態が検出されると、コンピュータ600はサンプリング針130に試験管130からの新サンプルの採取を準備させ、HPLCへの注入前に、その新サンプルを希釈する。この新サンプルがHPLCを飽和状態にしている場合には、HPLC150が飽和されなくなるまで何回の希釈を行われる。
【別の態様例】
【0050】
上に説明してきた装置100は、サンプリング針130とフリットフィルター430との間にシールを設けるために、注入口シ−ル420を使用している。別の態様では、サンプリング針130とフリットフィルター430との間のシールに、Oリング(図示略)を使用することができる。胴体240に関して、また、サンプリング針130に関してそのOリングを所定位置に配置するために、輪状凹所(図示略)を利用することもできる。また、胴体240に関して注入口シ−ル420を所定位置に配置するための輪状凹所を設けることもできる(装置100では、管状ノズル250の内壁を使用して、注入口シ−ル420を胴体240に関して位置合わせしている)。
【0051】
先に説明したサンプリング針130は、平らな先端を保持している。しかし、当業者に周知のように、角度のある先端を持ったサンプリング針も使用可能であるが、使用するばあには、サンプリング針と胴体240とフリットフィルター430との間のシールの仕方に工夫を要する。例えば、胴体240とフリットフィルター430との間に、複数個の隣接注入口シ−ル420を設け、角度のある先端を持つサンプリング針に適合させる。
【0052】
上に説明してきた装置100では、未溶解薬品の粒子210がサンプリング針内に吸引されないように、フリットフィルター430を使用している。別の態様では、同じ目的で多孔性のセラミックフィルター、編んだ金属メッシュフィルター、あるいはその他の硬いフィルターを用いることができる。ろ紙やその他の可撓性フィルターも使用可能である。しかし、可撓性フィルターを使用する場合には、溶媒がフィルターの縁部周囲を通って胴体240の内側の管腔(すなわち、貫通孔313,323)に入りこまないように、可撓性フィルターを胴体240とノズル250との間に配設する。例えば、ろ紙を胴体240に固定して未溶解薬品粒子210の管腔への到達を阻止する。
【0053】
上に説明した試験管111は、狭窄領域200を備えていたが、別の態様では、これに代えて、全体的に円筒形の試験管を使用することができる。そうした試験管を使用する場合、胴体240とノズル250は、図2〜図5に示すものとは異なる形状にある。熱電対が挿入できるサイドポケット(図示略)を持つ試験管を使用して、溶媒211の温度を測定する際の正確性を向上させることができる。挿入された熱電対は、試験管111の内容物の温度を直接モニターするのに使用できる。
【0054】
上に説明した温度制御ブロック110は、磁気攪拌器を使用して試験管111を攪拌するものであったが、これに代えて多の攪拌手段を採用することもできる。例えば、温度制御ブロックで試験管111を振動させるようにすることができる。また、サンプリング針130を使用して試験管111内に空気をバブリングすることで攪拌することもできる。さらに言えば、モータ又は磁気的駆動装置で作動する架空の攪拌器を使用して試験管内を攪拌することもできる。試験管を攪拌する手段を全く使用しない態様も可能であるが、その場合には、攪拌を行なう場合に比較して平衡に到達するまでに長時間を要する。
【0055】
装置100の幾つかの態様では、温度制御ブロック110の上に冷却マニフォールド(図示略)を設けることができる。この冷却ブロックは、試験管111の上部域を冷却して蒸散した溶媒を凝縮し、試験管111の内壁を伝わらせて狭窄領域200に戻すようにする。冷却ブロックの使用は、溶媒の揮発性や毒性が高い場合に有用である。
【0056】
装置の別の態様では、試験管111を不活性ガス(窒素のような)又は希ガスで満たすための手段が設けられる。そのような手段は試験管111から周囲空気を排除する作用を果たし、それ故、溶媒又は薬品が周囲に酸素や湿気と反応する場合に、好んで使用される。
【0057】
上に説明した装置100の温度制御ブロックは、複数本の試験管111の温度を制御するものであるが、この温度制御ブロックは、試験管1本だけの温度を制御するものであっても差し支えない。温度制御ブロックを使用することは、1回の試験で薬品と溶媒の様々な組合せを測定できる点で好ましい。
【0058】
上に説明した装置100は、3つの直交方向に可動なXYZアーム120を備えているが、別の態様では、サンプリング針130と装置100の様々な部分との間の相対運動を許容する他の手段を採用することができる。例えば、温度制御ブロック110、溶媒ラック135、サンプル希釈ブロック140、洗浄ステーション及びHPLCを、X軸方向に可動なテーブル(図示略)に搭載し、そのテーブルに、Y軸及びZ軸方向に可動なYZアームを組み合わせることが可能である。
【0059】
上記の装置100は、試験管111の外にノズル250を付勢するためのコイルばね260を備えていたが、これを別のタイプの弾性装置に代替させることができる。別の態様では、コイルばね260を用いずに済ませることもできる。しかし、試験管111内の溶媒211内に、ノズル250が何時までも挿入されていると、攪拌子201の攪拌効果が低下するので、ノズル250は通常は溶媒211の外に保持されていることが好ましい。
【0060】
上記の装置100は、サンプルをHPCLに注入する前にそのサンプルを希釈剤(すなわち、追加的溶媒)で希釈するものであった。この希釈は、HPLC150の検知器が飽和する可能性を減少させるものと説明した。ちなみに、HPLCは高感度手法であると共に、溶解した薬品の過剰濃度による検出器の不注意な飽和状態は、好ましからざる事態である。場合によっては、溶媒211のサンプルを希釈する工程は、省略することができる。例えば、薬品が少ししか溶媒に溶けず、HPLCの検出器パラメータが低感度にセットされている場合には、追加的な溶媒でサンプルを希釈する必要がない。その様な場合には、試験管111からのサンプルは、HPLC150に直接注入される。
【0061】
第2態様の場合、コンピュータ600のソフトウエアは、ある温度の最初の測定結果を無視するようになっている(但し、デッドボリュームがない場合の最初の測定結果を除く)。別の態様では、コンピュータ600は、ある温度での最初の測定結果が、その温度での爾後の測定結果と、統計的に相似するか否かを判定できるようになっている。当業者で周知のように、コンピュータ600は、信頼度95%に満たない(例えば、標準偏差値2の)測定結果を自動的に無視するようにすることができる。また、コンピュータ600は、特定な温度での測定される爾後の測定結果から、或る所定の比率で外れる測定結果を、自動的に無視するようにすることもできる。
【0062】
上記の第3態様では、試験管からサンプルを採取してこれを直接HPLC150に注入した。もし、溶解薬品の濃度がHPLC150を飽和状態にするものであった場合には、HPLC150が飽和状態にないこととコンピュータが判定するまで、1回又はそれ以上の希釈が行われる。多くの場合、HPLC150の感度を考慮すると、サンプルをHPLC150に注入する前に、これを分析用薬瓶141で希釈する必要がある。別の態様では、サンプルを分析用薬瓶141で自動的に溶解することもできる。次いで、コンピュータ600は、HPLC150が溶解した薬品に対応するピークを検知したことを確認するために、HPLC150のアウトプットをチェックする。もし、ピークが検知できなければ、コンピュータ600は、HPLC150に注入されたサンプルが希釈し過ぎであると推定し、試験管111から別のサンプルがHPLC150に直接注入されるお膳立てをする。
【0063】
装置100はHPLC150を備えている。当業者に周知のように、HPLCは、様々の薬品を識別することができる。様々な薬品はHPLCにおけるカラム通過時間が異なるからである。この識別能力以上に、当業者に知られているのは、HPLCが溶解した薬品の量(すなわち、ピーク下面積)の測定に使用できることである。別の態様では、薬品の量を測定に別の手段を採用することもできる。例えば、ガスクロマトグラフは、UV検出器の代わりに、水素炎イオン化検出器を使用する。
【0064】
装置100は試験管111の温度を制御するための温度制御ブロック110を備えている。別の態様では、温度制御ブロック110を用いずに済ませ、温度が制御された環境下に、装置を設置する。さらに別の態様では、温度が制御された環境を用意せずに、装置を室温で使用することもできる。
【0065】
当業者に周知のように、別の多くの態様では、コンピュータ600を専用の電気回路網と置き換えることもできる。コンピュータ600を使用する場合、装置100を制御するために当該コンピュータをプログラミングするプログラムは、フロッピーデスクのようなデータ担体を使用して分配することができ、また、インターネットからダウンロード可能なファイルとして分配することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】溶解度測定を行うための装置100の主要構成要素とサンプリング針130を示す斜視図。
【図2】装置100の一部を構成する試験管111の断面を、胴体240及びノズル250と共に示す図面。
【図3】胴体240及びノズル250の分解組立図。
【図4】ノズル250を取り付けた胴体240の一部の断面図。
【図5】ノズル250に挿入されたサンプリング針130、試験管111の狭窄領域200、溶媒に浸されたノズル250と共に、胴体240及びノズル250の最下部を示す図面。
【図6】装置100の主要構成要素とインターフェースで接続されたコンピュータ600の系統図。
【図7】装置100の一部を構成する高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)の出力信号の一例を示す図面。
【図8】改良型フリットフィルター830を示す図面。
【図9】異なる温度での一連の溶解度測定値を示し図面であって、ノズル250のデッドボリュームの影響を低減させるのに使用できる方法を図解するものである。
【図10a】異なる希釈度における一連の溶解度測定値を示し図面であって、希釈度ファクターの調節によってHPLC150の飽和状態を回避するのに利用できる方法を図解するものである。
【図10b】異なる希釈度における一連の溶解度測定値を示し図面であって、希釈度ファクターの調節によってHPLC150の飽和状態を回避するのに利用できる方法を図解するものである。
【図10c】異なる希釈度における一連の溶解度測定値を示し図面であって、希釈度ファクターの調節によってHPLC150の飽和状態を回避するのに利用できる方法を図解するものである。
【符号の説明】
【0067】
110:温度制御ブロック 111:試験管
120:XYZアーム 130:サンプリング針
135:溶剤ラック 136:溶媒瓶
140:サンプル希釈ブロック 141:分析用薬瓶
150:HPCL 151:注入口
160:洗浄ステーション 200:狭窄領域
201:攪拌子 210:薬品粒子
211:溶媒 215:サーマル環
220:キャップ 230:サンプル抽出装置
240:胴体 250:ノズル
260:コイルばね 270:ねじ
310:胴体上部 311,321:フランジ
313,323:貫通孔 320:胴体下部
326:突出部 410:輪状面
420:注入口シール 421:Oリング
422:鞘 430:フリットフィルター
431:円盤状フリット 432:周辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内腔を備えた胴体と、前記内腔への未溶解薬品粒子の進入を実質的に阻止して溶媒の進入を許すフィルターと、このフィルターと前記内腔との間をシールする密閉手段とを備えてなるところの容器から溶媒のサンプルを採取するためのサンプリング装置。
【請求項2】
前記密閉手段が注入口シールである請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記胴体に前記フィルターを作用させるノズルを備え、そのノズルが溶媒を前記フィルターに到達させる穴を備えている請求項1又は請求項2記載の装置。
【請求項4】
容器の頂部に係合するキャップを備える請求項1〜請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記のキャップが胴体に固定されている請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記胴体が胴体上部と胴体下部とからなり、前記キャップが胴体上部と胴体下部との間に設置されている請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記の容器が試験管であって、前記キャップがその試験管に係合可能である請求項4〜請求項6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記キャップが容器の上部に係合した際、容器からの溶媒の漏洩が防止可能である請求項4〜請求項7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記胴体に前記キャップと当接するリップを設けて、溶媒の漏洩を防止する請求項8記載の装置。
【請求項10】
容器内の溶媒から胴体が乖離するように胴体を付勢する手段を備えた請求項4〜請求項9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記付勢手段がコイルばねである請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記のフィルターが実質的に硬いフィルターである先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記のフィルターがフリットからなる請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記フィルターが凹所を備える請求項12又は請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記フィルターの凹所がフィルターの内腔側に設けられている請求項14記載の装置。
【請求項16】
溶けた薬品と未溶解の薬品粒子を含有する溶媒が収納された容器を保持する容器保持具と、未溶解粒子を実質的に含まない溶媒のサンプルを容器から採取するためのフィルターを備えたサンプリング装置と、前記サンプリング装置で得た溶媒のサンプルに溶けている薬品の量を測定するための分析器と、溶媒のサンプルを容器から前記分析器に移送するための液体移送手段とを備えたところの溶解度測定装置。
【請求項17】
前記サンプリング装置が請求項1〜請求項15のいずれかに記載のサンプリング装置である請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記容器保持具が、容器の温度を制御する手段を備えている請求項16又は請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記容器保持具が、容器内の未溶解薬品及び溶媒を攪拌できる請求項16〜請求項18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記容器保持具が、磁気攪拌機を備えている請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記液体移送手段が、XYZアームとサンプリング針を備えている請求項16〜請求項20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記分析器がHPLCである請求項16〜請求項21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記容器が試験管であり、前記容器保持具が試験管を保持できる請求項16〜請求項22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記容器が複数個の容器からなる請求項16〜請求項23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記容器保持具が複数個の容器を保持できる請求項16〜請求項24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
液体操作手段を制御するための制御器をさらに備えている請求項16〜請求項25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記制御器が、請求項18記載の容器温度制御手段をも制御する請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記制御器が、分析器をも制御する請求項26又は請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記制御器がコンピュータである請求項26〜請求項28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記の容器保持具が第1の容器を保持するための第1容器保持具である請求項16〜請求項29記載の装置において、第2の容器を保持するための第2容器保持具と、第1の容器からの溶媒のサンプルを第2の容器内において溶媒で希釈するためのサンプル希釈手段とを備え、前記液体移送手段が、第1の容器からの溶媒のサンプルを第2の容器経由で分析器に移送するように機能する前記の溶解度測定装置。
【請求項31】
前記サンプル希釈手段が、前記液体移送手段を備える請求項30記載の装置。
【請求項32】
前記第2の容器が分析用薬瓶であり、前記第2容器保持具がその分析用薬瓶を保持できるものである請求項30又は請求項31記載の装置。
【請求項33】
前記第2の容器が複数個の容器からなる請求項30〜請求項32のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
前記第2容器保持具が複数個の第2の容器を保持できるものである請求項30〜請求項33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
請求項26〜請求項29のいずれかに記載の装置において、前記制御器が、溶媒のサンプルに溶けた薬品の量の指標となる分析器からの信号を受け、その信号に応じて、第1の容器から溶媒のサンプルを、第2の容器において選択的に希釈する請求項30〜請求項34のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
溶媒に溶けた薬品の量で分析器が飽和されていることを分析器からの信号が示した場合に、前記制御器が溶媒のサンプルを希釈するように機能する請求項35記載の装置。
【請求項37】
洗浄ステーションをさらに備える請求項16〜請求項36のいずれかに記載の装置。
【請求項38】
フィルターを使用して溶けた薬品を含有する溶媒のサンプルを容器から抽出し、そのサンプルの少なくとも一部を、第1の分析用サンプルとして分析器に移送する工程と、前記分析器を使用して第1の分析用サンプルの溶解薬品量を測定する工程と、第1の分析用サンプルに溶けている薬品量を表示する分析器からの信号を受ける工程と、分析の正確性を期すために、前記の信号から第1の分析用サンプルに含まれる溶解薬品量が低過ぎるか、高過ぎるかを見極める工程と、その量が低過ぎるか、高過ぎる際には、第1の分析用サンプルとは異なる濃度で薬品を含有する第2の分析用サンプルを分析器に供給する工程を包含する溶解度測定方法。
【請求項39】
前記の見極める工程が、分析の正確性を期すために溶解薬品の量が多過ぎないか確かめることからなり、第2の分析用サンプルを供給する前記の工程が、第1の分析用サンプルに関して第2の分析用サンプルを希釈することを含む請求項38記載の方法。
【請求項40】
フィルターを使用して溶けた薬品を含有して実質的に同じ温度で抽出される少なくとも2つの第1及び第2の溶媒サンプルを容器から抽出し、各溶媒サンプルの少なくとも一部を分析サンプルとして分析器に移送する工程と、前記分析器を使用して各分析用サンプルの溶解薬品量を測定する工程と、各分析用サンプルの溶解薬品量を表示する信号を分析器から受信する工程と、前記の第1及び第2分析用サンプルのそれぞれの溶解薬品量を比較する工程と、第1の量と第2の量とが、所定量を超えて相違する場合には、第1の量の測定結果を無視する工程を包含する溶解度測定方法。
【請求項41】
前記の所定量が標準偏差2である請求項40記載の方法。
【請求項42】
請求項38又は請求項39に依存する請求項40又は請求項41記載の方法。
【請求項43】
請求項38〜請求項42のいずれかの方法が実施できるようにプロセッサをプログラミングするためのプログラム製品。
【請求項44】
請求項38〜請求項42のいずれかの方法が実施できるように前記制御器がプログラミングされている請求項26〜29又は請求項35〜36記載装置。
【請求項45】
添付図面を参照して明細書で説明される方法及び装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【公表番号】特表2008−547014(P2008−547014A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517595(P2008−517595)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002298
【国際公開番号】WO2006/136838
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507418359)アナケム リミテッド (1)
【Fターム(参考)】