化学防護衣料品およびエンクロージャ
本発明は、多量の水蒸気を透過でき有毒な化学物質の透過に耐性のある、衣料品およびエンクロージャなどの保護外被を対象とする。好ましい化学防護外被は、少なくとも1層の衣類布帛およびスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる布帛積層体を含んでなる。本発明は、有害化学物質への人の暴露を低減する方法をさらに対象とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学防護外被(chemical protective covering)を対象とする。より具体的には、本発明は、人々および内容物を有毒または有害な化学物質から防護するために使用できる物質および物品に関する。本発明にしたがい提供される化学防護外被は、衣服、フード、テント、寝袋、カジュアリティバッグ(casualty bag)、シェルターなどの衣料品およびエンクロージャ(enclosure)などの用途に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
化学防護外被は、外的環境に存在する有害な濃度の化学物質が外被の使用者または着用者あるいは内容物に達するのを防ぐことを目的としている。
【0003】
化学防護服は、有害または有毒な化学物質に個人が暴露される潜在的な危険を周囲環境が呈する場合に着用される。歴史的に、防護服の使用者は、物質的な限界のため防護を快適さと交換してきた。すなわち、化学防護性のより高いものは容認できないほど不快であり、満足できるほど快適なものは良好な防護を与えなかった。
【0004】
例えば、当分野に公知である1手法は、一般的に「不浸透性」と称される物質を、着用者と有害環境の間に挿入した。好適な不浸透性物質は有害化学物質に対して低い浸透性を示し、衣服または衣類用途の他の物品に使用できるほど柔軟性がある。例には、化学バリアとしてブチルゴムを使用する手袋がある。
【0005】
これらの物質は、有害化学物質の通過を大幅に制限することにより、そのような物質からの適切な防護を与えることもあるが、それらは特質上水蒸気の通過も防ぐ。水蒸気の透過を大幅に防ぐ物質は非通気性と呼ばれる。
【0006】
非通気性物質は、汗の蒸発により通常達成される人体の熱の放散過程を妨げる。水蒸気の大幅な透過または通気性がないと、非通気性材料の長時間使用は我慢できない不快をもたらし、またはこれらの材料からできている外被を着用している人が死亡することもある。着用者により発せられる高濃度の水分は防護外被内部に蓄積し、次に蒸発冷却の欠如から生じる熱ストレスが起こる。非通気性防護外被材料のこのような問題のある特性のため、それらは、非常に短時間の使用または限定された部分の覆い以外には不適当である。
【0007】
逆に、多くの織布または不織ポリオレフィン材料を含む、水蒸気の透過率が著しく高い多くの材料は、有害または有毒な化学物質に対する望ましいレベルの防護を提供しないであろう。したがって、それらは満足できる快適さを提供するかもしれないが、満足できる防護を提供しない。防護と快適さの兼ね合いに対処するため様々な努力がなされてきた。
【0008】
例えば、Blucherらによる米国特許第4,510,193号に記載のものなど、着用者と汚染された環境の間に吸着物質を挿入することが当分野に公知である。吸着性化学防護システムは、有害な液体および蒸気を吸着剤中に吸着し、前記システムが防護の対象とするものにそれらが到達するのを阻害することにより作用する。吸着剤は、化学物質を吸着する有限な容量および防護が必要でない化学種の非識別吸着により限定される。したがって、防護の目的である化学物質の吸着のために利用可能な容量は限られている。さらに、吸着システムは、暴露と同時に大気中に存在する種々の化学汚染物質を吸着し始め、時間とともにその利用可能な容量が減少するであろう。これにより、そのような物質の使用期間および貯蔵寿命が限定される。
【0009】
有限容量および非識別吸着特性のため、適切なレベルの防護を達成するために、化学防護外被内で比較的大量の吸着成分の使用が必要である。そのため、熱および水分が非常に移動しづらく、着用者に望ましくない生理学的ストレスを与えることのある厚く重いバリアシステムになる可能性がある。したがって、吸着システムも、防護と快適さの兼ね合いにより制限される。さらに、嵩高さおよび重量も、これらの物質の包装、貯蔵、取扱いおよび輸送にとって望ましくない特性である。
【0010】
満足できる快適さおよび防護を提供する化学防護外被をつくるためのより好ましい手法は、望ましくない化学種の通過を制限する一方で望ましい化学種の透過を促進する連続ポリマー層の使用に依存している。有毒または有害な化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性をポリマー物質が持てば望ましいであろう。特に化学防護服の物品には、水蒸気透過性が有毒または有害な化学物質の透過性より著しく高くなければならない。これは、防護性が高いと同時に快適でもある防護外被の原則を提供できる。さらに、これらの物質が化学物質の吸着に依存していない場合、吸着システムに固有の限界を持たない。非常に大量で厚い適切な物質に頼って十分かつ持続的な防護を与える吸着システムとは異なり、これらの限界を持たない物質は非常に薄く軽量にできる。これにより、はるかに嵩張らず軽い防護服および付属品の作成が容易になる。
【0011】
低減した重量および嵩高さとともに快適な防護を提供するのに加え、有毒または有害な化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性を有する物質からつくられた化学防護外被は、通常の使用および手入れの条件下で十分な防護を維持しなければならない。通常の使用および手入れの間、化学防護外被は、燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および汚染物質だけでなく、温度、相対湿度、紫外(UV)線および洗浄および乾燥などの異なる、しばしば変化する環境条件にも曝されそうである。したがって、優先的透過性物質の性能がこの暴露の結果として著しく低下せず、一般化学物質、汚染物質、液体水、洗剤、紫外線および高温に暴露しても防護性を保つことが望ましい。化学防護外被の意図される典型的用途は消防である。典型的な消防環境は、消防士を大量の液体水、非常な高温および消火剤の泡などの一般化学物質に接触させる。さらに、消防士は、防護が必要な毒性化学物質に遭遇するが、熱ストレスがないこともある。したがって、消防用途では、化学防護外被が毒性化学物質に対する防護を与えると同時に、高温、液体水および一般化学物質への暴露の間およびその後で高い水蒸気透過を可能にすることが望ましい。
【0012】
快適であるうえに毒性化学物質からの防護を与える化学防護外被を提供する試みが数例あった。例えば、Baurmeisterによる米国特許第5,743,775号に教示されるセルロース系ポリマーを用いるフィルムならびにWhiteによる米国特許第5,824,405号に教示されるポリイミドポリマーが、上記の要求を満たすために使用されてきた。米国特許第5,391,426号のWuおよび米国特許第6,395,383号のMaplesは、ポリアルキレンイミン系物質を使用して、良好な水蒸気透過性および毒性化学物質からの防護を有する化学防護外被の提供を教示している。しかし、これらの物質系に使用されるポリマーに固有な性質は、環境条件ならびに一般化学物質および環境汚染物質への暴露により影響を受けることがある。特に、毒性化学物質および水蒸気がこれらのポリマーを通る透過性のレベルは、温度および相対湿度の変化に対応して変化したり、ボディーオイル、潤滑剤および燃料などの一般化学物質および環境汚染物質への暴露時に変化したりすることがある。
【0013】
さらに、E.I.Du Pont de Nemours and Companyに付与された米国特許第4,515,761号および第4,518,650号において、脂肪族フッ化イオン交換ポリマーに基づく物質でできた防護服が教示されており、それは水蒸気には透過性であるが、ほとんどの有機物質には非透過性である。しかし、フッ化イオン交換ポリマーは製造コストがかかるので、これらの物質を防護服用途に使用することはできない。
【0014】
したがって、有毒または有害な化学物質に比べ優先的な水蒸気の透過性を有し、着用者の毒性化学物質への暴露を低減すると同時に通常の使用および手入れの条件下で高い水蒸気透過性を可能にし、防護服における使用に経済的である物質を有すれば望ましいであろう。特に、これらの物質は、高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質への暴露時に防護性を保たなければならない。
【0015】
熱可塑性エンジニアリングポリマーが高い熱安定性、良好な機械的性質、高いガラス転移温度ならびに加水分解および酸化に対する優れた耐性を有することが知られている(ニューヨーク州、ニューヨーク、John Wiley and Sonsにより出版されたEncyclopedia of Polymer Science and Engineeringおよびニュージャージー州、ハイツタウン、McGraw Hillにより出版されたModern Plastics Encyclopedia)。これらの物質は一般的に強靭で延性のあるフィルムを生み出し、接着剤、フィルムならびに自動車およびエレクトロニクス産業用のコーティングを含む多様な用途のセットに使用するのに望ましい性質を有する。代表的な熱可塑性エンジニアリングポリマーには、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ(アクリレンエーテル)、ポリ(アクリレンスルホン)、ポリイミドおよびポリエーテルイミドがある。多くの場合、熱可塑性エンジニアリングポリマーは、芳香環を置換基またはポリマー主骨格の一部として含み、それらを容易に置換または修飾して、特定用途用の追加の機能性付与が可能である。
【0016】
芳香族基がポリマー骨格中に取り込まれているポリマーが高度の熱安定性および化学的安定性を示すことが知られている(Heat Resistant Polymers−Technologically Useful Materials,Critchleyら、1983年、Plenum Press、ニューヨーク、ニューヨーク州)。さらに、特定の脂肪族ポリマーと比較すると、芳香族骨格ポリマー(本願において、以下「芳香族ポリマー」と称する)は、より高い機械的強度を有し、燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質への暴露の後でのこれらの性質の維持がより高程度である。さらに、これらの芳香族ポリマーは、ある範囲の毒性化学物質だけでなく水蒸気に対しても低い透過性を示す。これらの芳香族ポリマーに親水性を付与し水蒸気の透過を促進する1手法は、芳香環のスルホン化である。米国特許第5,013,765号および第5,362,836号は、限外濾過、脱塩および微生物の除去ならびに電解槽のイオン交換メンブレンに使用するスルホン化芳香族ポリマーを調製する方法を教示している。米国特許第5,403,675号および第6,509,441号は、燃料電池に使用するスルホン化芳香族ポリマーメンブレンの調製を教示している。国際公開番号WO 01/19896A1は、スルホン化イオン導電性ポリマーおよび基材物質からできているイオン交換メンブレンとして使用するための複合メンブレンを教示している。言及されている用途には、とりわけ、電気化学燃料電池、クロマトグラフィ分離用のイオン交換物質、ガス分離および浸透気化がある。
【0017】
米国特許第4,824,916号は、高度にスルホン化されたポリアミドおよびポリウレア物質の使用を教示している。前記ポリマーは、増粘剤として使用するために水溶性であり、剪断劣化に対して耐性を示し、「望ましい」流動学的性質を有する。高度にスルホン化されたポリアミドまたはポリウレア水溶性ポリマーフィルムを多孔質基材上にキャストし、次いで架橋することによりメンブレンを調製可能である。架橋した場合、吸水剤としておよび浸透気化、ガス分離および溶媒脱水のためのメンブレンとして使用するために実質的に水不溶性になっていることが教示されている。水透過性衣服がこれらの物質の潜在的な用途として言及されているが、スルホン化の程度が高いため、これらのメンブレンは衣類用途に十分な耐久性を持っていないと思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、現行の手法に固有の限界を持たない化学防護衣料品およびエンクロージャが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、衣料品およびエンクロージャなどの防護外被であって、大量の水蒸気を透過でき、有毒化学物質への着用者の暴露を低減できると同時に、防護外被における使用に経済的な防護外被を対象とする。本発明の防護外被は、高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質に暴露されても防護性を維持すると思われる。
【0020】
特定のスルホン化芳香族ポリマーが、高い水蒸気透過性および有毒または有害な化学物質の低い透過性を提供できることが見いだされた。本発明の化学防護衣料品およびエンクロージャは、有毒化学物質に比べて水蒸気の優先的な透過性を付与するように、かつ高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質に暴露された後でこれらの性質を維持するように、特殊なポリマー組成および特定のスルホン化度を持つように設計されているスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる。高度のスルホン化により水の存在下で過度に膨潤するスルホン化芳香族ポリマーが生じることがあるので、これらのポリマー中のスルホン化の量は慎重に制御する必要がある。重度の膨潤は、機械的強度の損失につながり、有毒または有害な化学物質の透過を増加させ、あるいは水へのポリマーの完全な溶解を起こすことがある。逆に、スルホン化が不十分であると、大幅な水蒸気透過を促進する親水性が十分に付与されない。ポリマー中のスルホン酸基の量の測定は、塩基による滴定によりスルホン化ポリマーのイオン交換容量(IEC)を測定して実施可能である。高いIECは、高度のスルホン化を示す。スルホン化の程度の他の尺度は当量であり、1000/IECである。それ自体、高い当量は低いスルホン化度を示す。
【0021】
ある好ましい化学防護外被は、少なくとも1層の衣類布帛およびスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる布帛積層体を含んでなる。前記ポリマーは、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、芳香族基の少なくとも一部は、スルホン酸またはその塩を含んでなる少なくとも1種の側基を有する。スルホン化芳香族ポリマーは、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するのが好ましく、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、衣類布帛の少なくとも1層に積層される。繰り返し芳香族基は、好ましくはケトン、スルホン、イミドおよびエーテル基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合されていることが好ましい。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態は、化学物質への人の暴露を低減すると同時に高い水蒸気透過性を提供する方法であって、化学物質に暴露されている人の少なくとも一部を、水蒸気を透過できると同時に、20時間で約100μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)の透過率を有する積層品を含んでなる化学防護外被で覆う工程を含んでなる方法を対象とする。本発明の防護外被は、外套、下着、ジャケット、上着、シャツ、ズボン、手袋、履物、フードなどの衣服を含む衣料品として形成でき、テント、寝袋、カジュアリティバッグ、シェルターなどのエンクロージャをさらに含むこともある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、大量の水蒸気を透過でき、有毒または有害な化学物質への人および/または内容物の暴露を低減する積層体を含んでなる、衣料品およびエンクロージャなどの化学防護外被を対象とする。化学防護外被は、有毒または有害な化学物質の通過を実質的に制限する積層物質を有し、それらの有害な化学物質と防護しようとするものの間に挿入されるように意図される物品を含むと意図される。前記積層体の水蒸気透過率(MVTR)は、少なくとも約600g/m2/日でなくてはならず、好ましくは約1000g/m2/日以上であり、より好ましくは約2000g/m2/日以上である。前記積層体が、本願中でビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)に関して記載している試験法に実質的に従い試験する場合、20時間で約100μg/cm2以下の2CESの透過率を有することが好ましく、より好ましくは前記透過率は20時間で約30μg/cm2以下でなくてはならず、さらに好ましくは20時間で約20μg/cm2以下であり、最も好ましくは20時間で約10μg/cm2以下である。本発明の積層体は、本願の「試験方法」部門に記載する試験法に実質的に従い試験する場合、20時間で約30μg/cm2以下、より好ましくは20時間で約10μg/cm2以下の、さらに好ましくは20時間で約5μg/cm2以下のピナコリルメチルホスホノフルオリデート(PMF)の透過に対する耐性も有することが好ましい。
【0024】
化学防護外被は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層およびメンブレン、フィルムまたは布帛などの少なくとも1つの追加層を含んでなる積層体を含んでなる。好ましくは、前記積層体は、メンブレン、フィルムまたは布帛の追加層を少なくとも2層含んでなる。好ましい積層体は、少なくとも1つの層が衣類布帛である布帛積層品である。衣類布帛とは、衣服、テント、寝袋、カジュアリティバッグなどの衣料品およびエンクロージャにおける使用に十分柔軟性があり、しなやかで、耐久性がある布帛を意味する。衣類布帛には、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、例えば綿糸、レーヨン、亜麻糸、セルロースアセテートおよび他の修飾セルロースなど、ポリウレタン、アクリル、モダクリル、そのブレンドまたは上記のいずれかを含んでなるブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなるニット、織布または不織布がある。好ましい布帛は、木綿、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリウレタンおよびそのブレンドから選択される。
【0025】
布帛積層体は、少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、好ましくは同一または異なる布帛の衣類布帛層を少なくとも2層含んでなる。好ましい実施形態において、布帛積層体は少なくとも2層の衣類布帛層を含んでなり、1層は衣類表面布帛(apparel face fabric)の層であり、他の層は衣類裏地布帛(apparel backing fabric)の層である。衣類表面布帛は一般的に布帛積層体の最も外側の層であり、風雨に曝される。衣類表面布帛はどのような布帛でもよいが、好ましくはポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、アクリル、綿糸、羊毛などでできている織布である。衣類表面布帛を処理して、疎水性および/または疎油性にすることもできる。衣類裏地布帛は内部層であり、例えば、ニット、織布または不織布でよく、任意に処理して水分吸収性の向上または疎水性および/または疎油性の付与が可能である。難燃性、帯電防止性、耐紫外線性、制御された赤外(IR)反射率、迷彩性などの性質を付与するために、衣類布帛層をさらに好適な物質で処理することもできる。
【0026】
さらに、前記積層体は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる。芳香族ポリマーという用語は、ポリマー骨格すなわち主鎖に芳香族基を有するポリマーを意味する。好ましいスルホン化芳香族ポリマーは、少なくとも約10,000の分子量を有する。本発明のスルホン化芳香族ポリマーは、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、芳香族基の少なくとも一部は、スルホン酸またはその塩を含んでなる少なくとも1種の側基を有する。好適な塩には、アンモニア、アミン(第一、第二または第三)で形成されているものまたはNa+、K+、Ca2+、Fe3+、Ba2+、Cu2+、Zr4+およびAl3+などの一価または多価の金属イオンで形成されているものがあるが、これらに限定されない。スルホン酸基は芳香環に直接結合していても、芳香環上の置換基に結合していてもよい。約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するポリマーが好ましい。より好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーは、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する。芳香族基は、独立に置換されていても非置換でもよいが、置換されている場合、C1-8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-8エステルおよびC1-8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有してよい。
【0027】
スルホン化芳香族ポリマーは、芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミドおよびエステル基ならびに置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン基、置換または非置換ホスフィン基およびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している結合をさらに含んでもよく、置換されている場合、置換基は、フッ素または塩素などのハロゲン、アリール、C1-5アルキルおよびC1-5ハロアルキルから選択される。好ましい結合はスルホン、エーテル、イミドおよびケトン結合である。
【0028】
好ましいスルホン化芳香族ポリマーには、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびそれらのブレンドがあるが、これらに限定されない。本発明における使用に好適な他の芳香族ポリマーには、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリアリールエーテルスルホン(PAS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトン−エーテルケトン−ケトン(PEKEKK)、ポリ(ビスベンゾオキサゾール)(PBO)、ポリ(ベンゾ(ビス−ジアゾール)−1,4−フェニレン))(PBI)、ポリアラミド(PAR)、ポリ(ベンゾ(ビス−チアゾール)−1,4−フェニレン))(PBT)、ポリフェニレンスルホキシド(PPSO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリ(フェニルキノキサリン)(PPQ)、ポリ(トリフルオロ−メチル−ビス(フタルイミド)−フェニレン)およびポリ(トリフェニルホスフィンオキシドスルフィド−フェニルスルホン−スルフィド)のスルホン化形態がある。スルホン化芳香族ポリマーは、複数のスルホン化ポリマーのブレンドを含んでなってもよく、上記のものなどスルホン化ポリマーと非スルホン化ポリマーのブレンドを含んでもよい。相溶性のある場合、ブレンドは、ポリ(ビニリデンフルオライド)など他の非スルホン化ポリマーを含んでもよい。ブレンドは、ポリマーフィルムの機械的性質(乾燥状態および湿潤状態の両方において)、水蒸気透過率、化学物質透過、膨潤および寸法変化などを調整するのに有用である。
【0029】
スルホン化芳香族ポリマーは任意に架橋していてもよい。水を含むスルホン化芳香族ポリマーの膨潤は、スルホン化の量の調整による膨潤の制御に加え、ポリマー鎖の架橋により制御できると考えられている。ポリマーは共有結合またはイオン結合により架橋でき、架橋は、加熱、放射、電子線または架橋剤との反応などの手段により達成できる。架橋剤には、例えば、CaまたはFeイオンなどの二価または多価イオンなどの多官能化学種あるいはジアミンなどの二官能または多官能有機化合物がある。
【0030】
本発明に使用されるスルホン化芳香族ポリマーをつくる方法は公知であり、例えば、米国特許第5,013,765号、第5,362,836号および第6,451,921号ならびに本発明の実施例に見いだすことができる。好適なスルホン化芳香族ポリマーは、例えば、芳香族ポリマーをスルホン化してもつくることができ、スルホン化モノマーの重合により本発明に使用するスルホン化芳香族ポリマーを形成してもよい。
【0031】
スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、フィラーまたは可塑剤などの少なくとも1種の追加成分をさらに含んでもよく、例えば、ヒュームドシリカまたは可塑剤を使用して機械的性質を向上させ、かつ/または膨潤を低減することができ、紫外線安定性のために二酸化チタンを用いてもよい。
【0032】
スルホン化芳香族ポリマーは、フィルム(図1の20)あるいは溶液または分散液の形態であることが好ましい。芳香族ポリマーを含んでなる層は、積層体または布帛積層体の別個な層または連続層を形成してもよい(図2)。あるいは、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、衣類布帛25および25aの層など、積層体の1つまたは複数の層の内部に部分的または完全に存していてもよい(図3)。芳香族ポリマーを含んでなる層は、積層体または布帛積層体に、防水性など追加の利点を与えることがある。防水性は一般的に、約5kPa水圧を超える水の侵入圧力を有すると定義される。
【0033】
スルホン化芳香族ポリマーは、メンブレンまたはフィルムなどの1つまたは複数の支持体と組み合わせて使用される場合、柔軟でしなやかな複合体層を形成することがある。このように、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は複合体をさらに含んでもよい。したがって、本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1層の衣類布帛ならびに少なくとも1つの支持体とスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる化学防護外被を対象とする。複合体は衣類布帛の少なくとも1層に積層されて布帛積層体を形成する。好適な複合体支持体は、スルホン化芳香族ポリマーのための防護および/または支持を与え、多孔質、微孔質および非多孔質支持体があり、支持体が非多孔質である場合、布帛積層体の望ましい水蒸気透過性が維持されるという条件がある。多孔質または微孔質支持体は、開気孔でも閉気孔構造でもよく、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの多孔質ポリテトラフルオロエチレンなどの物質から形成される。
【0034】
支持体が開気孔支持体である場合、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が多孔質支持体を部分的または完全に満たしてよい。理論により拘束されることを望まないが、スルホン化芳香族ポリマーの膨潤が、多孔質または微孔質支持体の気孔内の閉じ込めによりさらに制御可能であると考えられている。したがって、スルホン化芳香族ポリマーが開気孔支持体の気孔内に完全または部分的に存する複合体は、高湿度または水の存在下でより高い防護性を与えることができる。防水性を向上させ風に抵抗性のある多孔質または微孔質メンブレンが好ましく、ePTFEが特に好ましい。好ましいePTFEメンブレンの平均細孔径は、約0.03から100μmの範囲であり、好ましい細孔度は50−95%の範囲である。好ましい非多孔質支持体には、ポリエーテル−エステル、ポリウレタン、ポリエーテル−アミド、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートおよびポリイミドがある。
【0035】
少なくとも1つの支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体は、多様な形態に配置可能である。可能性のある複合体形態の例には、図4−21に示す例があるが、これらに限定されない。図4、図5および図6は、スルホン化芳香族ポリマー20が、それぞれ非多孔質支持体21ならびに閉気孔支持体22および開気孔支持体23を含む多孔質支持体の表面上に基本的に存し、連続層を形成している複合体を示している。本発明の目的には、多孔質という用語は、多孔質および微孔質の両方を含むことを意味する。図7は、スルホン化芳香族ポリマー20が開気孔支持体23の表面上に基本的に存する他の実施形態を示している。
【0036】
図8および9は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20の一部が多孔質支持体23を部分的に満たしている複合体を示している。図10および11は、それぞれ基本的にスルホン化芳香族ポリマー20の全てが多孔質支持体23内に含まれており、多孔質支持体を部分的に満たしている複合体を示している。図12は、スルホン化芳香族ポリマー20で実質的に満たされている多孔質支持体23を示している。図13および14は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20の一部により実質的に満たされている多孔質支持体23の例を示している。
【0037】
望まれる場合、図15から19に示すとおり追加の支持体を加えてもよい。図15および16は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20が、多孔質支持体23と23aの間に含まれている複合体の実施形態を示している。図15は、多孔質支持体23および23aが基本的に互いに接触するようにおかれ、スルホン化芳香族ポリマー20が支持体内に完全に存し、スルホン化芳香族ポリマーの一部がそれぞれの支持体の内部にある実施形態を示している。図16は、スルホン化芳香族ポリマー20の一部が多孔質支持体23および23aのそれぞれの中に存し、支持体内に存しないスルホン化芳香族ポリマーの別個の層により支持体が分離されている実施形態を示している。図17および18は、スルホン化芳香族ポリマー20が、多孔質支持体23および非多孔質支持体21の間に含まれ、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が多孔質支持体内に存する複合体の例を示している。図17は、2つの支持体層が互いに接触しておりスルホン化芳香族ポリマー20の基本的に全てが開気孔支持体23の内部に存する例を示しており、図18は、スルホン化芳香族ポリマー20の一部のみが多孔質支持体23の内部に存する例を示している。閉気孔または開気孔支持体が、それぞれの例における非多孔質支持体の代わりに構想可能であることは明らかである。図19は、スルホン化芳香族ポリマー20、非多孔質ポリマー21ならびに2つの開気孔支持体23および23aの複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーおよび非多孔質ポリマーの一部が、多孔質支持体のそれぞれの内部に存する複合体を示している。図20は、スルホン化芳香族ポリマー20、非多孔質ポリマー21ならびに2つの開気孔支持体23および23aの複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体のそれぞれの内部に存し、非多孔質ポリマーの一部が多孔質支持体の片方の内部に存する複合体を示す。
【0038】
スルホン化芳香族ポリマーが多孔質または非多孔質支持体をコーティングまたは覆い、基本的に支持体の表面に別個の層または連続層として存することが分かる。開気孔支持体の場合、スルホン化芳香族ポリマーは、さらに、支持体または複数の支持体中に吸収または染みこんでいてもよく、その厚さ全体に渡って多孔質支持体を部分的に満たすかまたは実質的に満たしてもよい。スルホン化芳香族ポリマーは、多孔質支持体内に完全に存してもよいが、スルホン化芳香族ポリマーの一部のみが多孔質支持体内に存してもよく、残りのスルホン化芳香族ポリマーは支持体の表面上に別個の層として存する。図は本発明の実施形態のいくつかのみを説明しており、本発明の可能性のある実施形態の全てを示しているわけではないことを理解されたい。
【0039】
ある好ましい実施形態は、少なくとも1層の衣類布帛ならびにスルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの多孔質支持体を含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる衣料品またはエンクロージャなどの化学防護外被を含んでなり、図21に示されている。この構造において、スルホン化芳香族ポリマー20は2つの多孔質支持体23および23aの内部に存する。複合体は、不連続に塗布された接着剤24および24aにより、衣類表面布帛25および衣類裏地布帛25aに積層されている。接着剤は不連続な点として示されているが、格子、線などの形態でもよい。十分な水蒸気透過性が保たれるという条件で、接着剤を連続的に塗布することもできる。
【0040】
化学物質への暴露を低減するのに用いる、好ましい化学防護衣料品またはエンクロージャは、ePTFE支持体とスルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホンおよびスルホン化ポリフタラジノンエーテルケトンから選択されたスルホン化芳香族ポリマーの複合体に積層された、ポリアミド、木綿またはポリエステル布帛の少なくとも1つの衣類布帛層を含んでなる布帛積層体を含んでなる。好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部がePTFE支持体内に存し、支持体を部分的または実質的に満たして複合体を形成する。より好ましい複合体は、少なくとも1つの非多孔質支持体および少なくとも1つの追加のePTFEメンブレンを含む少なくとも2つの追加の支持体をさらに含んでなる。ある好ましい実施形態において、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が2つのePTFE支持体内に部分的または完全に存する。他の好ましい実施形態において、非多孔質支持体の一部はスルホン化芳香族ポリマーと接触しており、非多孔質支持体の一部は追加のePTFE支持体中に部分的に存する(図19)。次いで、複合体は、衣類布帛の少なくとも1層に積層される。
【0041】
本発明の他の実施形態において、化学防護外被は水蒸気を透過できる衣料品またはエンクロージャとして形成されるが、衣料品には、外套、下着、ジャケット、上着、シャツ、ズボン、手袋、履物、帽子、フードなどの衣服があり、テント、寝袋、カジュアリティバッグ、シェルターなどのエンクロージャをさらに含むこともある。化学防護衣料品またはエンクロージャは、衣類表面布帛層、衣類裏地布帛層およびスルホン化芳香族ポリマーを有する層またはスルホン化芳香族ポリマーと支持体層を含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含むことが好ましい。
【0042】
本発明の他の好ましい実施形態は、高い水蒸気透過率を提供すると同時に、有毒または有害な化学物質への人の暴露を低減する方法を対象とする。前記方法は、有害化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性を有する積層品を含んでなる、衣料品またはエンクロージャなどの化学防護外被を人と有害化学物質との間に挿入する工程を含んでなる。前記積層品は、少なくとも1つのメンブレン、フィルムまたは布帛層に積層される本願に記載される少なくともスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる。前記防護外被が衣料品を含んでなる場合、前記方法は、有毒または有害な化学物質に暴露されるかもしれない人の少なくとも一部を前記外被で覆う工程を含んでなることが好ましい。好ましくは、前記化学防護外被は、少なくとも1層の衣類布帛ならびにスルホン化芳香族ポリマーと支持体の複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる。より好ましくは、前記布帛積層体は、2CESの透過率が約100μg/cm2以下であり、PMFの透過率が約30μg/cm2以下である。
【0043】
化学物質による透過に耐性のある衣料品またはエンクロージャを作成する方法は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を提供する工程、少なくとも1層のメンブレン、フィルムまたは衣類布帛にそれを積層し、2CESの透過率が約100μg/cm2未満である積層体を形成する工程および前記積層体を衣料品またはエンクロージャへと形成する工程を含んでなる。積層は当分野に公知のどのような方法で行ってもよい。例えば、熱接合、縫製接合または他の固定法などの機械的取り付け、本発明の2つ以上の層の少なくとも一部のコーティングまたは接着により行うことができる。好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーを有する層または複合体が、例えば熱または接着剤による接着により、衣類布帛の少なくとも1層に直接積層される。上述のとおり、十分な水蒸気透過性が維持されるならば、接着剤は、不連続にも、連続的にも、図形状にも塗布できる。接着または縫製結合は、キルト縫いまたはポイントボンド不織材料などのように層全体に渡って存在してもよいし、例えば衣類、手袋または他の衣料品などにおいて縫い目または袖口のみに存在してもよい。したがって、本願で使用する「積層体」という用語は、結合により一体化したどのような層状構造をも意味する。あるいは、スルホン化芳香族ポリマーが溶液または分散液中にある場合、少なくとも1層の衣類布帛または支持体上への印刷、ロールコーティング、噴霧、押出などのどのような公知のコーティング法により、布帛層または支持体層に積層してもよい。
試験方法
水蒸気透過率試験
水蒸気透過率(MVTR)は、酢酸カリウムを塩として、開気孔ePTFEを防水性水蒸気透過性メンブレン用に使用し、米国特許第4,862,730号に記載の手順により測定した。これらのメンブレンは、名目上75%から80%の細孔度、0.2μmの平均細孔径および約0.04mmの厚さを有した。環境を相対湿度50%に保った。水浴を23±0.5℃に保った。試料を直径3インチ(約7.5cm)のプラスティック製の輪に拘束し、織られたシェルファブリックを上向きにして浴の上に置いた。プラスティック製の輪を使用する目的は、試料の跳ね上がり防止である。試験開始前に約15分間、浴の上で塩のカップを上に載せ試料を調整した。MVTR数は、g/m2/日の単位で報告する。
ビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)の透過試験
化学透過試験および分析は、(1)U.S. Army Test and Evaluation Command,Test Operating Procedure 8−2−501(1997年3月)に概説されているプロトコール、「Air−Permeable and Semi−permeable Materials Sorbent/Reactant Capacity Testing(Vapor Agent Challenge/Vapor Penetration)」および(2)Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents,CRDC−SP−84010(1984年6月)から改作した。試験は、メリーランド州、ゲーサーズバーグのGeomet Technologies,Inc.で完了した。試験装置および実験条件の説明を以下に示す。
【0044】
「2CES」と呼ばれるビス−2−クロロエチルスルフィド(化学構造Cl−CH2−CH2−S−CH2−CH2−Cl)の透過率は、積層品試料が置かれる一連の試験セルからなる装置を用いて測定した。試験セル一式の全体を、温度が32℃に制御される恒温恒湿チャンバー内に置く。各セルは、セルトップおよびセルボトムと呼ばれる上部および下部部分からなる。セルの半分のどちらにも入口および出口が備えてあり、セルを通り試料表面全域に渡る気流の掃流が可能である。セルトップ中の気流は0.25リットル/分に、セルボトム中の気流は0.3リットル/分に保つ。これらの気流の温度は32±1.1℃に制御し、相対湿度(RH)は80±8℃に制御する。名目上、8滴の2CES(それぞれ1μl)を試料表面に置く。トップセル気流を排気流に送る。試料を透過した2CES蒸気はボトム気流中に流され、固体吸収剤および液体衝突により下流で捕捉される。
【0045】
2CES攻撃に暴露される領域は約10cm2である。セルには、検体をしっかりと取り付け、セルからの漏れおよびセルの半分の間からの漏れの両方を防ぐに十分なリング、プレート、クランプおよびシールが備えられている。セル一式は全て試験前に圧力をかけ漏れ試験を行う。
【0046】
恒温恒湿チャンバー内のセルへの試料装着が完了すると、検体全てを32℃および相対湿度80%で2時間調整する。セルを一度に取り出し、セルトップを外すことにより2CESの液滴に試料を曝す。セルを閉め、恒温恒湿チャンバーに戻す。その後直ちに試験を開始する。2時間後、接続媒体を新品と交換する。接続媒体を、6時間後、12時間後および20時間後に再び交換する。固体吸収剤およびインピンジャーからの液体を、上記の参考文献に記載の比色測定/蛍光測定技術により分析する。透過データを、各試料に対しマイクログラム/cm2(μg/cm2)の単位で、20時間の累積質量として報告する。この試験の分解能および検出下限は約0.1μg2CES/cm2であった。
ピナコリルメチルホスホノフルオリデート(PMF)の透過試験
PMFの透過は2CESに関し上記で概説した手順と似た手順で測定したが、以下の例外がある。2CESの8滴の代わりに、10滴のPMFを使用した。約2ミリリットル(ml)の人工汗(上記に示した米国海軍試験手順に記載のとおり調製)を、織布とは反対側に置いた。約15分後、試料を傾けて余分な液体を切り、PMFの液滴を織布側に置いた。利用した環境条件は、上述の2CES透過に関して記載したのと類似のものであった。
【0047】
PMF分析に利用した分析手順は、「Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents」、CRDC−SP−84010(1984年6月)という題名の書類に記載の酵素阻害試験と実質的に類似である。結果を、20時間の透過累積量として報告する。使用単位はμg/cm2である。この試験法の検出下限は約0.000046μg/cm2である。
イオン交換容量および当量
フィルムまたはパウダー試料のイオン交換容量(IEC)は、酸塩基滴定により測定した。酸形態でない場合、150mlの1NのHClに一晩浸漬し、次いで脱塩水で完全にすすいで未反応のHClを除くことにより、まず試料を酸形態に変換した。次いで、試料を約50℃のオーブンで、一定の重量になるまで乾燥した。これを、乾燥試料の質量(m)と呼ぶ。乾燥試料を100mlの0.1NのNaOH溶液に約24時間浸漬した。10mlの試料溶液をデカンテーションし、メチルオレンジを指示薬として0.1NのHClで滴定した。IECを以下の式により計算した。
【0048】
【数1】
【0049】
上式において、N1、N2およびV1、V2はそれぞれNaOHおよびHClの規定度および体積であり、mは乾燥試料の質量である。N1およびN2が0.1Nであり、V1は100mlであるので、IECは以下のとおりに書くことができる。
IEC=(10−V2)/m
IECの単位はmeq/gである。当量(EW)は1000/IECであると定義される。単位はg/当量である。
【0050】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されないことは明らかである。
スルホン化芳香族ポリマーの調製
スルホン化ポリエーテルスルホン(sPES)
Solvay Advanced Polymers,L.L.C.(ジョージア州、アルファレッタ)から得られたPESパウダーから調製したsPESが得られた。スルホン化の手順は、「Influence Of The Nature Of Polymer Matrix And The Degree Of Sulfonation On The Properties Of Membranes」(Komkovaら、Polymer Science、ser A、43巻、3号、2001年、300−307ページ)に記載の方法に実質的にしたがって行い、スルホン化ポリスルホンの調製に利用した。得られたsPESポリマーは、上述の手順にしたがい測定すると約1meq/gのIECを有していた。計算したEWは約1000g/当量であった。スルホン化ポリマーは以下の構造を有していた。
【0051】
【化1】
【0052】
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)
Entegris Inc.(アメリカ合衆国、ミネソタ州、チャスカ)から得たPEEKパウダーから、「Influence Of The Nature Of Polymer Matrix And The Degree Of Sulfonation On The Properties Of Membranes」(E.N.Komkovaら、Polymer Science、ser A、43巻、3号、2001年、300−307ページ)に記載の方法に実質的にしたがいスルホン化して調製したsPEEKを得た。約1.3meq/g、約1.5meq/gおよび約2.52meq/gのIECを有する3種の異なるスルホン化量を持つスルホン化PEEK試料を製造した。計算された当量は、それぞれ約769、667および397グラム/当量であった。1.5IECポリマーのカリウム塩版も、KOH溶液での中和により調製した。スルホン化PEEKカリウム塩は以下の構造を有していた。
【0053】
【化2】
【0054】
スルホン化ビフェニルスルホン水素形態(sBPSH)
2002年3月28日に公開されたMcGrathらによる「Ion−Conducting Sulfonate Polymeric Materials」という題名のPCT公開WO02/25764A1に記載の方法に実質的にしたがい調製したsBPSHが得られた。約1.52meq/gのIEC(EW:660g/当量)を有するNa/K形態のsBPSHをも製造した。sBPSHポリマーは、以下の繰り返し単位を有するコポリマーであった。
【0055】
【化3】
【0056】
上式において、XはNaまたはKであり、nは0より大きく1未満である。
スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン(sPPEK)
2003年1月16日に公開されたGuyu Xiaoらによる「Ionomer For Use In Fuel Cells And Method Of Making Same」という題名のPCT公開WO03/005474A2に記載の方法に実質的にしたがい調製したsPPEKを得た。約1.67meq/gのIEC(EW:600g/当量)を有するNa/K形態のsPPEKを製造した。sPPEKポリマーは以下の繰り返し単位を有するコポリマーであった。
【0057】
【化4】
【0058】
上式において、MはNaまたはKであり、R1およびR2はHであり、nは0より大きく1未満である。
【実施例】
【0059】
実施例1−3
ポリアミド織布およびsPES、sPEEKおよびPES/sPEEKブレンドのフィルムから作成した布帛積層体を調製し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0060】
sPES、sPEEKおよび20/80重量%のPES/sPEEK混合物のフィルムは、 ポリマーをジメチルホルムアミド(DMF)溶媒に溶解し、室温で少なくとも約30分間攪拌して20%キャスト溶液を形成することにより調製して得た。各ポリマーを、キャスト用ナイフ(casting knife)を用いてガラス板上にキャストし、約60℃で約4から6時間乾燥してフィルムを形成し、ピンセットを用いてガラス板からはずした。得られたフィルムを真空オーブン中で約100℃で約36時間乾燥した。
【0061】
真空乾燥の後、各フィルムを、多目的スプレー接着剤Super77(55144−1000ミネソタ州、セントポール、3M Engineered Adhesive Division)を用いて織布に積層した。前記接着剤を布帛の表面に軽くスプレーし、フィルムを接着剤の上に置いた。手の圧力を用いて2層の間の良好な接触を確実にした。織布は、平織りポリアミドナイロン6,6布帛(2.8オンス/平方ヤードすなわち約90g/m2、スタイル#130665、サウスカロライナ州、スパルタンバーグ、Milliken&Company)であった。前記布帛をフルオロポリマー樹脂(ニュージャージー州、サマセット、Mitsubishi Textile Chemicals)により製造者が推奨する手順により前処理して、耐久撥水性(DWR)を付与した。得られた布帛積層体を、水蒸気透過率(MVTR、g/m2/日)および2CES透過(μg/cm2)に関して特性化し、その結果を以下に報告する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例4
sPPEKフィルムおよびポリアミド織布の布帛積層体を調製し、蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0064】
およそ1.11gのsPPEKパウダーをDMSOに溶解して約9.4重量%の溶液を形成した。溶解は、インキュベーター中で約60℃で24時間振盪させて実施した。フィルムを8インチ×16インチ(約20cm×40cm)のガラス板上に、20ミル(0.51mm)の開口部を持つ幅5インチ(約12.7cm)のドローダウンバー(draw down bar)(メリーランド州、コロンビア、BYK Gardner,Inc.)を用いてキャストした。空気循環オーブン中で約6時間約30℃でフィルムを乾燥した。約60℃で24時間乾燥を継続し、次いで24時間約100℃に加熱した。最終的な加熱を、約150℃で15分実施した。次いで、得られたフィルムを、上記の実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層した。布帛積層体は、約7551g/m2/日のMVTRを有し、2CES透過は約0.2μg/cm2であった。
実施例5−7
ポリアミド織布に積層したsPEEKフィルムの3つの試料から布帛積層体を調製し、水蒸気透過率(MVTR)および化学物質透過に関して試験した。
【0065】
sPEEK(IEC=1.3meq/g)の20重量%溶液を、キャスト用ナイフを用いてガラス板上にキャストし、フィルムを得た。ポリマーを約60℃で約4から6時間乾燥しフィルムを形成し、ピンセットを用いてガラス板からはずした。空気循環オーブン中で約95℃で約21時間、フィルムをさらに乾燥した。
【0066】
5インチ×10インチ(約12.5cm×25cm)フィルムを、等しい長さの試料片3つに切った。試料片の2つは、約180℃で15分熱処理し、次いで約200℃で約10分間加熱して、スルホン酸基の架橋を付与した。3つのフィルムを全て、上記の実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層した。追加のニット層を全試料のフィルム側に付着させたが、まずニット上にスプレー接着剤Super77(ミネソタ州、セントポール、3M Engineered Adhesive Division)を噴霧し、フィルムの側をニットに向けて積層体を置くことにより付着させた。優しく手の圧力をかけ、層の間の良好な接触を確実にした。使用したニットは1.1オンス/平方ヤード(約35g/m2)のポリエステルワープニット(スタイル#A1012、ニューヨーク州、ニューヨーク、Native Textiles,Inc.)であった。得られた積層体を、MVTR(g/m2/日)および化学物質透過(μg/cm2)に関して特性化し、その結果を以下に報告する。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例8
ePTFE/ポリエステルニット積層品のePTFEメンブレン側にsBPSH溶液を塗布し、次いでポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0069】
sBPSHパウダーをN−メチルピロリジノン(NMP)溶媒に溶かすことにより、sBPSHの20重量%溶液を作成した。溶解は、約55℃で少なくとも約12時間インキュベーター/シェーカーで実施した。溶液を用いて、予め作成されたePTFE/ニット積層体とともに複合体を作成した。ePTFE/ニット積層体は、米国特許第4,194,041号に記載のポリウレタン接着剤を用いて、実施例7に記載のポリエステルニットに接着した、重量が約50g/m2である延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成した。接着剤の塗布範囲がおよそ35%になるように、不連続な形状で接着剤を塗布した。ePTFEメンブレン(メリーランド州、エルクトン、W.L.Gore&Assoc.Inc.)を、米国特許第3,953,566号に記載の方法に実質的にしたがって作成した。積層体のePTFE側を、米国特許第6,118,218号に記載の手順に実質的にしたがって大気プラズマで処理し、濡れ特性を向上させた。
【0070】
ドラフトチャンバー中でePTFE/ニット積層体の8インチ×16インチ(約20cm×40cm)の試料片を、メンブレン側を上にしておくことにより複合体を調製した。それを少量のNMP溶媒で予め濡らし、その後、実施例4ですでに記載した開口部が15ミル(約0.38mm)のドローダウンバーを用いて、20重量%のsPBSH溶液を上にキャストした。得られた複合体を、周囲条件で約2日間乾燥した。次いで、巻き上がりを防ぐためにそれをガラス板にテープで貼り、空気循環オーブンで約100℃で約16時間加熱し、次いで約5時間約150℃に加熱した。
【0071】
ポリアミド織布の追加層を、上記の実施例1−3に記載の手順および布帛を用い、sBPSHポリマー側に接着した。最終的な積層体のMVTRは約1,996g/m2/日であり、2CES透過は約0.1μg/cm2であった。
実施例9
ePTFE/ポリエステルニット積層体のePTFEメンブレン側にsPPEK溶液を塗布し、次いでポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0072】
sPPEKポリマーをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒に溶かすことにより、sPPEKの10重量%溶液を作成した。溶解は、約55℃で少なくとも約12時間インキュベーター/シェーカーで実施した。溶液を用いて、予め作成されたePTFE/ニット積層品とともに複合体を作成した。ePTFE/ニット積層体は、米国特許第4,194,041号に記載のポリウレタン接着剤を用いて、実施例7に記載のポリエステルニットに接着した、重量が約50g/m2である延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成した。接着剤の塗布範囲がおよそ35%になるように、不連続な形状で接着剤を塗布した。ePTFEメンブレン(メリーランド州、エルクトン、W.L.Gore&Assoc.Inc.)を、米国特許第3,953,566号に記載の方法に実質的にしたがって作成した。積層品のePTFE側を、米国特許第6,118,218号に記載の手順に実質的にしたがって大気プラズマで処理し、濡れ特性を向上させた。
【0073】
ドラフトチャンバー中でePTFE/ニット積層体の8インチ×16インチ(約20cm×40cm)の試料片を、メンブレン側を上にしておくことにより複合体を調製した。それを少量のDMSO溶媒で予め濡らし、その後、実施例4ですでに記載した開口部が15ミル(約0.38mm)のドローダウンバーを用いて、20重量%のsPPEK溶液を上にキャストした。得られた複合体を、周囲条件で約2日間乾燥した。次いで、巻き上がりを防ぐためにそれをガラス板にテープで貼り、空気循環オーブンで約100℃で約16時間加熱し、次いで約5時間約150℃に加熱した。
【0074】
ポリアミド織布の追加層を、上記の実施例1−3に記載の手順および布帛を用い、sPPEKポリマー側に接着した。最終的な積層体のMVTRは約4831g/m2/日であり、2CES透過は約0.1μg/cm2未満であった。
実施例10−11
sPEEKポリマーおよびそのカリウム塩版のフィルムを形成し、次いでカルシウム塩形態に変換し、ポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、MVTRおよび2CES透過に関して試験した。
【0075】
IECが約1.5であるsPEEKポリマーおよびそのカリウム塩版を、インキュベーター/シェーカーで約50℃で24時間DMSOに溶解させ、20重量%の溶液を得た。約10ミル(約0.25mm)の開口部を持つドローダウンバーを用いてフィルムをガラス板上にキャストした。得られたフィルムを、フード中で周囲条件で少なくとも12時間乾燥した。次いで、それらを約100℃で約22時間乾燥し、その後約150℃で約2時間加熱した。ついで、それらを1NのCaCl2・2H2O溶液に少なくとも24時間浸漬することによりカルシウム塩形態に変換した。浸漬期間の間、シェーカー中で穏やかな振盪を行った。フィルムを浸漬溶液から取り出し、過剰な脱イオン水で2度すすぎ、CaCl2塩を除去した。すすぎ水のpHは約6−7であった。
【0076】
フィルムを周囲条件で数日間乾燥し、次いで、実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層し、MVTRg/m2/日および2CESμg/cm2透過に関して特性化した。結果を以下に報告する。
【0077】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】スルホン化芳香族ポリマーのフィルムの例を示す。
【図2】スルホン化芳香族ポリマーの層と接触している衣類布帛の層を有する布帛積層品の例を示す。
【図3】2層の衣類布帛と、衣類布帛層のそれぞれの一部の内部に部分的に存するスルホン化芳香族ポリマーを有する布帛積層品の例を示す。
【図4】非多孔質支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図5】閉気孔支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図6】開気孔支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図7】多孔質支持体上のスルホン化芳香族ポリマーの複合体の他の例を示す。
【図8】ポリマーの一部が多孔質支持体内に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図9】ポリマーの一部が多孔質支持体内に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の他の例を示す。
【図10】基本的に全てのポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図11】基本的に全てのポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の他の例を示す。
【図12】多孔質支持体内に存し、前記多孔質支持体を実質的に満たしているスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図13】スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体内に存し、多孔質支持体を実質的に満たしている、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図14】スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体に存し、多孔質支持体を実質的に満たしている、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図15】2つの多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、基本的に全てのポリマーが支持体内に存する複合体の例を示す。
【図16】2つの多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、ポリマーの一部がそれぞれの支持体の内部に存する複合体の例を示す。
【図17】非多孔質支持体、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体であって、スルホン化芳香剤ポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する複合体の例を示す。
【図18】多孔質支持体と非多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体の一部の内部に存する複合体の例を示す。
【図19】スルホン化芳香族ポリマー、非多孔質支持体と2つの開気孔支持体の複合体であって、芳香族ポリマーおよび非多孔質支持体の一部が多孔質支持体の片方の内部に存する複合体の例を示す。
【図20】スルホン化芳香族ポリマー、非多孔質支持体と2つの開気孔支持体の複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体のそれぞれの内部に存し、非多孔質支持体の一部が多孔質支持体の1つの内部に存する複合体の例を示す。
【図21】2つの衣類布帛層と、2つの多孔質支持体の間にあり前記支持体の一部の内部に存するスルホン化芳香族ポリマーの複合体を有する多層布帛積層品であって、多孔質層が不連続に塗布された接着剤により衣類布帛層に付着している多層布帛積層品の例を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は化学防護外被(chemical protective covering)を対象とする。より具体的には、本発明は、人々および内容物を有毒または有害な化学物質から防護するために使用できる物質および物品に関する。本発明にしたがい提供される化学防護外被は、衣服、フード、テント、寝袋、カジュアリティバッグ(casualty bag)、シェルターなどの衣料品およびエンクロージャ(enclosure)などの用途に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
化学防護外被は、外的環境に存在する有害な濃度の化学物質が外被の使用者または着用者あるいは内容物に達するのを防ぐことを目的としている。
【0003】
化学防護服は、有害または有毒な化学物質に個人が暴露される潜在的な危険を周囲環境が呈する場合に着用される。歴史的に、防護服の使用者は、物質的な限界のため防護を快適さと交換してきた。すなわち、化学防護性のより高いものは容認できないほど不快であり、満足できるほど快適なものは良好な防護を与えなかった。
【0004】
例えば、当分野に公知である1手法は、一般的に「不浸透性」と称される物質を、着用者と有害環境の間に挿入した。好適な不浸透性物質は有害化学物質に対して低い浸透性を示し、衣服または衣類用途の他の物品に使用できるほど柔軟性がある。例には、化学バリアとしてブチルゴムを使用する手袋がある。
【0005】
これらの物質は、有害化学物質の通過を大幅に制限することにより、そのような物質からの適切な防護を与えることもあるが、それらは特質上水蒸気の通過も防ぐ。水蒸気の透過を大幅に防ぐ物質は非通気性と呼ばれる。
【0006】
非通気性物質は、汗の蒸発により通常達成される人体の熱の放散過程を妨げる。水蒸気の大幅な透過または通気性がないと、非通気性材料の長時間使用は我慢できない不快をもたらし、またはこれらの材料からできている外被を着用している人が死亡することもある。着用者により発せられる高濃度の水分は防護外被内部に蓄積し、次に蒸発冷却の欠如から生じる熱ストレスが起こる。非通気性防護外被材料のこのような問題のある特性のため、それらは、非常に短時間の使用または限定された部分の覆い以外には不適当である。
【0007】
逆に、多くの織布または不織ポリオレフィン材料を含む、水蒸気の透過率が著しく高い多くの材料は、有害または有毒な化学物質に対する望ましいレベルの防護を提供しないであろう。したがって、それらは満足できる快適さを提供するかもしれないが、満足できる防護を提供しない。防護と快適さの兼ね合いに対処するため様々な努力がなされてきた。
【0008】
例えば、Blucherらによる米国特許第4,510,193号に記載のものなど、着用者と汚染された環境の間に吸着物質を挿入することが当分野に公知である。吸着性化学防護システムは、有害な液体および蒸気を吸着剤中に吸着し、前記システムが防護の対象とするものにそれらが到達するのを阻害することにより作用する。吸着剤は、化学物質を吸着する有限な容量および防護が必要でない化学種の非識別吸着により限定される。したがって、防護の目的である化学物質の吸着のために利用可能な容量は限られている。さらに、吸着システムは、暴露と同時に大気中に存在する種々の化学汚染物質を吸着し始め、時間とともにその利用可能な容量が減少するであろう。これにより、そのような物質の使用期間および貯蔵寿命が限定される。
【0009】
有限容量および非識別吸着特性のため、適切なレベルの防護を達成するために、化学防護外被内で比較的大量の吸着成分の使用が必要である。そのため、熱および水分が非常に移動しづらく、着用者に望ましくない生理学的ストレスを与えることのある厚く重いバリアシステムになる可能性がある。したがって、吸着システムも、防護と快適さの兼ね合いにより制限される。さらに、嵩高さおよび重量も、これらの物質の包装、貯蔵、取扱いおよび輸送にとって望ましくない特性である。
【0010】
満足できる快適さおよび防護を提供する化学防護外被をつくるためのより好ましい手法は、望ましくない化学種の通過を制限する一方で望ましい化学種の透過を促進する連続ポリマー層の使用に依存している。有毒または有害な化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性をポリマー物質が持てば望ましいであろう。特に化学防護服の物品には、水蒸気透過性が有毒または有害な化学物質の透過性より著しく高くなければならない。これは、防護性が高いと同時に快適でもある防護外被の原則を提供できる。さらに、これらの物質が化学物質の吸着に依存していない場合、吸着システムに固有の限界を持たない。非常に大量で厚い適切な物質に頼って十分かつ持続的な防護を与える吸着システムとは異なり、これらの限界を持たない物質は非常に薄く軽量にできる。これにより、はるかに嵩張らず軽い防護服および付属品の作成が容易になる。
【0011】
低減した重量および嵩高さとともに快適な防護を提供するのに加え、有毒または有害な化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性を有する物質からつくられた化学防護外被は、通常の使用および手入れの条件下で十分な防護を維持しなければならない。通常の使用および手入れの間、化学防護外被は、燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および汚染物質だけでなく、温度、相対湿度、紫外(UV)線および洗浄および乾燥などの異なる、しばしば変化する環境条件にも曝されそうである。したがって、優先的透過性物質の性能がこの暴露の結果として著しく低下せず、一般化学物質、汚染物質、液体水、洗剤、紫外線および高温に暴露しても防護性を保つことが望ましい。化学防護外被の意図される典型的用途は消防である。典型的な消防環境は、消防士を大量の液体水、非常な高温および消火剤の泡などの一般化学物質に接触させる。さらに、消防士は、防護が必要な毒性化学物質に遭遇するが、熱ストレスがないこともある。したがって、消防用途では、化学防護外被が毒性化学物質に対する防護を与えると同時に、高温、液体水および一般化学物質への暴露の間およびその後で高い水蒸気透過を可能にすることが望ましい。
【0012】
快適であるうえに毒性化学物質からの防護を与える化学防護外被を提供する試みが数例あった。例えば、Baurmeisterによる米国特許第5,743,775号に教示されるセルロース系ポリマーを用いるフィルムならびにWhiteによる米国特許第5,824,405号に教示されるポリイミドポリマーが、上記の要求を満たすために使用されてきた。米国特許第5,391,426号のWuおよび米国特許第6,395,383号のMaplesは、ポリアルキレンイミン系物質を使用して、良好な水蒸気透過性および毒性化学物質からの防護を有する化学防護外被の提供を教示している。しかし、これらの物質系に使用されるポリマーに固有な性質は、環境条件ならびに一般化学物質および環境汚染物質への暴露により影響を受けることがある。特に、毒性化学物質および水蒸気がこれらのポリマーを通る透過性のレベルは、温度および相対湿度の変化に対応して変化したり、ボディーオイル、潤滑剤および燃料などの一般化学物質および環境汚染物質への暴露時に変化したりすることがある。
【0013】
さらに、E.I.Du Pont de Nemours and Companyに付与された米国特許第4,515,761号および第4,518,650号において、脂肪族フッ化イオン交換ポリマーに基づく物質でできた防護服が教示されており、それは水蒸気には透過性であるが、ほとんどの有機物質には非透過性である。しかし、フッ化イオン交換ポリマーは製造コストがかかるので、これらの物質を防護服用途に使用することはできない。
【0014】
したがって、有毒または有害な化学物質に比べ優先的な水蒸気の透過性を有し、着用者の毒性化学物質への暴露を低減すると同時に通常の使用および手入れの条件下で高い水蒸気透過性を可能にし、防護服における使用に経済的である物質を有すれば望ましいであろう。特に、これらの物質は、高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質への暴露時に防護性を保たなければならない。
【0015】
熱可塑性エンジニアリングポリマーが高い熱安定性、良好な機械的性質、高いガラス転移温度ならびに加水分解および酸化に対する優れた耐性を有することが知られている(ニューヨーク州、ニューヨーク、John Wiley and Sonsにより出版されたEncyclopedia of Polymer Science and Engineeringおよびニュージャージー州、ハイツタウン、McGraw Hillにより出版されたModern Plastics Encyclopedia)。これらの物質は一般的に強靭で延性のあるフィルムを生み出し、接着剤、フィルムならびに自動車およびエレクトロニクス産業用のコーティングを含む多様な用途のセットに使用するのに望ましい性質を有する。代表的な熱可塑性エンジニアリングポリマーには、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ(アクリレンエーテル)、ポリ(アクリレンスルホン)、ポリイミドおよびポリエーテルイミドがある。多くの場合、熱可塑性エンジニアリングポリマーは、芳香環を置換基またはポリマー主骨格の一部として含み、それらを容易に置換または修飾して、特定用途用の追加の機能性付与が可能である。
【0016】
芳香族基がポリマー骨格中に取り込まれているポリマーが高度の熱安定性および化学的安定性を示すことが知られている(Heat Resistant Polymers−Technologically Useful Materials,Critchleyら、1983年、Plenum Press、ニューヨーク、ニューヨーク州)。さらに、特定の脂肪族ポリマーと比較すると、芳香族骨格ポリマー(本願において、以下「芳香族ポリマー」と称する)は、より高い機械的強度を有し、燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質への暴露の後でのこれらの性質の維持がより高程度である。さらに、これらの芳香族ポリマーは、ある範囲の毒性化学物質だけでなく水蒸気に対しても低い透過性を示す。これらの芳香族ポリマーに親水性を付与し水蒸気の透過を促進する1手法は、芳香環のスルホン化である。米国特許第5,013,765号および第5,362,836号は、限外濾過、脱塩および微生物の除去ならびに電解槽のイオン交換メンブレンに使用するスルホン化芳香族ポリマーを調製する方法を教示している。米国特許第5,403,675号および第6,509,441号は、燃料電池に使用するスルホン化芳香族ポリマーメンブレンの調製を教示している。国際公開番号WO 01/19896A1は、スルホン化イオン導電性ポリマーおよび基材物質からできているイオン交換メンブレンとして使用するための複合メンブレンを教示している。言及されている用途には、とりわけ、電気化学燃料電池、クロマトグラフィ分離用のイオン交換物質、ガス分離および浸透気化がある。
【0017】
米国特許第4,824,916号は、高度にスルホン化されたポリアミドおよびポリウレア物質の使用を教示している。前記ポリマーは、増粘剤として使用するために水溶性であり、剪断劣化に対して耐性を示し、「望ましい」流動学的性質を有する。高度にスルホン化されたポリアミドまたはポリウレア水溶性ポリマーフィルムを多孔質基材上にキャストし、次いで架橋することによりメンブレンを調製可能である。架橋した場合、吸水剤としておよび浸透気化、ガス分離および溶媒脱水のためのメンブレンとして使用するために実質的に水不溶性になっていることが教示されている。水透過性衣服がこれらの物質の潜在的な用途として言及されているが、スルホン化の程度が高いため、これらのメンブレンは衣類用途に十分な耐久性を持っていないと思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、現行の手法に固有の限界を持たない化学防護衣料品およびエンクロージャが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、衣料品およびエンクロージャなどの防護外被であって、大量の水蒸気を透過でき、有毒化学物質への着用者の暴露を低減できると同時に、防護外被における使用に経済的な防護外被を対象とする。本発明の防護外被は、高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質に暴露されても防護性を維持すると思われる。
【0020】
特定のスルホン化芳香族ポリマーが、高い水蒸気透過性および有毒または有害な化学物質の低い透過性を提供できることが見いだされた。本発明の化学防護衣料品およびエンクロージャは、有毒化学物質に比べて水蒸気の優先的な透過性を付与するように、かつ高温、液体水ならびに燃料、潤滑剤およびボディーオイルなどの一般化学物質および環境汚染物質に暴露された後でこれらの性質を維持するように、特殊なポリマー組成および特定のスルホン化度を持つように設計されているスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる。高度のスルホン化により水の存在下で過度に膨潤するスルホン化芳香族ポリマーが生じることがあるので、これらのポリマー中のスルホン化の量は慎重に制御する必要がある。重度の膨潤は、機械的強度の損失につながり、有毒または有害な化学物質の透過を増加させ、あるいは水へのポリマーの完全な溶解を起こすことがある。逆に、スルホン化が不十分であると、大幅な水蒸気透過を促進する親水性が十分に付与されない。ポリマー中のスルホン酸基の量の測定は、塩基による滴定によりスルホン化ポリマーのイオン交換容量(IEC)を測定して実施可能である。高いIECは、高度のスルホン化を示す。スルホン化の程度の他の尺度は当量であり、1000/IECである。それ自体、高い当量は低いスルホン化度を示す。
【0021】
ある好ましい化学防護外被は、少なくとも1層の衣類布帛およびスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる布帛積層体を含んでなる。前記ポリマーは、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、芳香族基の少なくとも一部は、スルホン酸またはその塩を含んでなる少なくとも1種の側基を有する。スルホン化芳香族ポリマーは、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するのが好ましく、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、衣類布帛の少なくとも1層に積層される。繰り返し芳香族基は、好ましくはケトン、スルホン、イミドおよびエーテル基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合されていることが好ましい。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施形態は、化学物質への人の暴露を低減すると同時に高い水蒸気透過性を提供する方法であって、化学物質に暴露されている人の少なくとも一部を、水蒸気を透過できると同時に、20時間で約100μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)の透過率を有する積層品を含んでなる化学防護外被で覆う工程を含んでなる方法を対象とする。本発明の防護外被は、外套、下着、ジャケット、上着、シャツ、ズボン、手袋、履物、フードなどの衣服を含む衣料品として形成でき、テント、寝袋、カジュアリティバッグ、シェルターなどのエンクロージャをさらに含むこともある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、大量の水蒸気を透過でき、有毒または有害な化学物質への人および/または内容物の暴露を低減する積層体を含んでなる、衣料品およびエンクロージャなどの化学防護外被を対象とする。化学防護外被は、有毒または有害な化学物質の通過を実質的に制限する積層物質を有し、それらの有害な化学物質と防護しようとするものの間に挿入されるように意図される物品を含むと意図される。前記積層体の水蒸気透過率(MVTR)は、少なくとも約600g/m2/日でなくてはならず、好ましくは約1000g/m2/日以上であり、より好ましくは約2000g/m2/日以上である。前記積層体が、本願中でビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)に関して記載している試験法に実質的に従い試験する場合、20時間で約100μg/cm2以下の2CESの透過率を有することが好ましく、より好ましくは前記透過率は20時間で約30μg/cm2以下でなくてはならず、さらに好ましくは20時間で約20μg/cm2以下であり、最も好ましくは20時間で約10μg/cm2以下である。本発明の積層体は、本願の「試験方法」部門に記載する試験法に実質的に従い試験する場合、20時間で約30μg/cm2以下、より好ましくは20時間で約10μg/cm2以下の、さらに好ましくは20時間で約5μg/cm2以下のピナコリルメチルホスホノフルオリデート(PMF)の透過に対する耐性も有することが好ましい。
【0024】
化学防護外被は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層およびメンブレン、フィルムまたは布帛などの少なくとも1つの追加層を含んでなる積層体を含んでなる。好ましくは、前記積層体は、メンブレン、フィルムまたは布帛の追加層を少なくとも2層含んでなる。好ましい積層体は、少なくとも1つの層が衣類布帛である布帛積層品である。衣類布帛とは、衣服、テント、寝袋、カジュアリティバッグなどの衣料品およびエンクロージャにおける使用に十分柔軟性があり、しなやかで、耐久性がある布帛を意味する。衣類布帛には、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、例えば綿糸、レーヨン、亜麻糸、セルロースアセテートおよび他の修飾セルロースなど、ポリウレタン、アクリル、モダクリル、そのブレンドまたは上記のいずれかを含んでなるブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなるニット、織布または不織布がある。好ましい布帛は、木綿、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリウレタンおよびそのブレンドから選択される。
【0025】
布帛積層体は、少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、好ましくは同一または異なる布帛の衣類布帛層を少なくとも2層含んでなる。好ましい実施形態において、布帛積層体は少なくとも2層の衣類布帛層を含んでなり、1層は衣類表面布帛(apparel face fabric)の層であり、他の層は衣類裏地布帛(apparel backing fabric)の層である。衣類表面布帛は一般的に布帛積層体の最も外側の層であり、風雨に曝される。衣類表面布帛はどのような布帛でもよいが、好ましくはポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、アクリル、綿糸、羊毛などでできている織布である。衣類表面布帛を処理して、疎水性および/または疎油性にすることもできる。衣類裏地布帛は内部層であり、例えば、ニット、織布または不織布でよく、任意に処理して水分吸収性の向上または疎水性および/または疎油性の付与が可能である。難燃性、帯電防止性、耐紫外線性、制御された赤外(IR)反射率、迷彩性などの性質を付与するために、衣類布帛層をさらに好適な物質で処理することもできる。
【0026】
さらに、前記積層体は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる。芳香族ポリマーという用語は、ポリマー骨格すなわち主鎖に芳香族基を有するポリマーを意味する。好ましいスルホン化芳香族ポリマーは、少なくとも約10,000の分子量を有する。本発明のスルホン化芳香族ポリマーは、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、芳香族基の少なくとも一部は、スルホン酸またはその塩を含んでなる少なくとも1種の側基を有する。好適な塩には、アンモニア、アミン(第一、第二または第三)で形成されているものまたはNa+、K+、Ca2+、Fe3+、Ba2+、Cu2+、Zr4+およびAl3+などの一価または多価の金属イオンで形成されているものがあるが、これらに限定されない。スルホン酸基は芳香環に直接結合していても、芳香環上の置換基に結合していてもよい。約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するポリマーが好ましい。より好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーは、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する。芳香族基は、独立に置換されていても非置換でもよいが、置換されている場合、C1-8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-8エステルおよびC1-8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有してよい。
【0027】
スルホン化芳香族ポリマーは、芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミドおよびエステル基ならびに置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン基、置換または非置換ホスフィン基およびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している結合をさらに含んでもよく、置換されている場合、置換基は、フッ素または塩素などのハロゲン、アリール、C1-5アルキルおよびC1-5ハロアルキルから選択される。好ましい結合はスルホン、エーテル、イミドおよびケトン結合である。
【0028】
好ましいスルホン化芳香族ポリマーには、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびそれらのブレンドがあるが、これらに限定されない。本発明における使用に好適な他の芳香族ポリマーには、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリアリールエーテルスルホン(PAS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトン−エーテルケトン−ケトン(PEKEKK)、ポリ(ビスベンゾオキサゾール)(PBO)、ポリ(ベンゾ(ビス−ジアゾール)−1,4−フェニレン))(PBI)、ポリアラミド(PAR)、ポリ(ベンゾ(ビス−チアゾール)−1,4−フェニレン))(PBT)、ポリフェニレンスルホキシド(PPSO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリ(フェニルキノキサリン)(PPQ)、ポリ(トリフルオロ−メチル−ビス(フタルイミド)−フェニレン)およびポリ(トリフェニルホスフィンオキシドスルフィド−フェニルスルホン−スルフィド)のスルホン化形態がある。スルホン化芳香族ポリマーは、複数のスルホン化ポリマーのブレンドを含んでなってもよく、上記のものなどスルホン化ポリマーと非スルホン化ポリマーのブレンドを含んでもよい。相溶性のある場合、ブレンドは、ポリ(ビニリデンフルオライド)など他の非スルホン化ポリマーを含んでもよい。ブレンドは、ポリマーフィルムの機械的性質(乾燥状態および湿潤状態の両方において)、水蒸気透過率、化学物質透過、膨潤および寸法変化などを調整するのに有用である。
【0029】
スルホン化芳香族ポリマーは任意に架橋していてもよい。水を含むスルホン化芳香族ポリマーの膨潤は、スルホン化の量の調整による膨潤の制御に加え、ポリマー鎖の架橋により制御できると考えられている。ポリマーは共有結合またはイオン結合により架橋でき、架橋は、加熱、放射、電子線または架橋剤との反応などの手段により達成できる。架橋剤には、例えば、CaまたはFeイオンなどの二価または多価イオンなどの多官能化学種あるいはジアミンなどの二官能または多官能有機化合物がある。
【0030】
本発明に使用されるスルホン化芳香族ポリマーをつくる方法は公知であり、例えば、米国特許第5,013,765号、第5,362,836号および第6,451,921号ならびに本発明の実施例に見いだすことができる。好適なスルホン化芳香族ポリマーは、例えば、芳香族ポリマーをスルホン化してもつくることができ、スルホン化モノマーの重合により本発明に使用するスルホン化芳香族ポリマーを形成してもよい。
【0031】
スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、フィラーまたは可塑剤などの少なくとも1種の追加成分をさらに含んでもよく、例えば、ヒュームドシリカまたは可塑剤を使用して機械的性質を向上させ、かつ/または膨潤を低減することができ、紫外線安定性のために二酸化チタンを用いてもよい。
【0032】
スルホン化芳香族ポリマーは、フィルム(図1の20)あるいは溶液または分散液の形態であることが好ましい。芳香族ポリマーを含んでなる層は、積層体または布帛積層体の別個な層または連続層を形成してもよい(図2)。あるいは、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は、衣類布帛25および25aの層など、積層体の1つまたは複数の層の内部に部分的または完全に存していてもよい(図3)。芳香族ポリマーを含んでなる層は、積層体または布帛積層体に、防水性など追加の利点を与えることがある。防水性は一般的に、約5kPa水圧を超える水の侵入圧力を有すると定義される。
【0033】
スルホン化芳香族ポリマーは、メンブレンまたはフィルムなどの1つまたは複数の支持体と組み合わせて使用される場合、柔軟でしなやかな複合体層を形成することがある。このように、スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層は複合体をさらに含んでもよい。したがって、本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1層の衣類布帛ならびに少なくとも1つの支持体とスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる化学防護外被を対象とする。複合体は衣類布帛の少なくとも1層に積層されて布帛積層体を形成する。好適な複合体支持体は、スルホン化芳香族ポリマーのための防護および/または支持を与え、多孔質、微孔質および非多孔質支持体があり、支持体が非多孔質である場合、布帛積層体の望ましい水蒸気透過性が維持されるという条件がある。多孔質または微孔質支持体は、開気孔でも閉気孔構造でもよく、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの多孔質ポリテトラフルオロエチレンなどの物質から形成される。
【0034】
支持体が開気孔支持体である場合、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が多孔質支持体を部分的または完全に満たしてよい。理論により拘束されることを望まないが、スルホン化芳香族ポリマーの膨潤が、多孔質または微孔質支持体の気孔内の閉じ込めによりさらに制御可能であると考えられている。したがって、スルホン化芳香族ポリマーが開気孔支持体の気孔内に完全または部分的に存する複合体は、高湿度または水の存在下でより高い防護性を与えることができる。防水性を向上させ風に抵抗性のある多孔質または微孔質メンブレンが好ましく、ePTFEが特に好ましい。好ましいePTFEメンブレンの平均細孔径は、約0.03から100μmの範囲であり、好ましい細孔度は50−95%の範囲である。好ましい非多孔質支持体には、ポリエーテル−エステル、ポリウレタン、ポリエーテル−アミド、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートおよびポリイミドがある。
【0035】
少なくとも1つの支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体は、多様な形態に配置可能である。可能性のある複合体形態の例には、図4−21に示す例があるが、これらに限定されない。図4、図5および図6は、スルホン化芳香族ポリマー20が、それぞれ非多孔質支持体21ならびに閉気孔支持体22および開気孔支持体23を含む多孔質支持体の表面上に基本的に存し、連続層を形成している複合体を示している。本発明の目的には、多孔質という用語は、多孔質および微孔質の両方を含むことを意味する。図7は、スルホン化芳香族ポリマー20が開気孔支持体23の表面上に基本的に存する他の実施形態を示している。
【0036】
図8および9は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20の一部が多孔質支持体23を部分的に満たしている複合体を示している。図10および11は、それぞれ基本的にスルホン化芳香族ポリマー20の全てが多孔質支持体23内に含まれており、多孔質支持体を部分的に満たしている複合体を示している。図12は、スルホン化芳香族ポリマー20で実質的に満たされている多孔質支持体23を示している。図13および14は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20の一部により実質的に満たされている多孔質支持体23の例を示している。
【0037】
望まれる場合、図15から19に示すとおり追加の支持体を加えてもよい。図15および16は、それぞれスルホン化芳香族ポリマー20が、多孔質支持体23と23aの間に含まれている複合体の実施形態を示している。図15は、多孔質支持体23および23aが基本的に互いに接触するようにおかれ、スルホン化芳香族ポリマー20が支持体内に完全に存し、スルホン化芳香族ポリマーの一部がそれぞれの支持体の内部にある実施形態を示している。図16は、スルホン化芳香族ポリマー20の一部が多孔質支持体23および23aのそれぞれの中に存し、支持体内に存しないスルホン化芳香族ポリマーの別個の層により支持体が分離されている実施形態を示している。図17および18は、スルホン化芳香族ポリマー20が、多孔質支持体23および非多孔質支持体21の間に含まれ、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が多孔質支持体内に存する複合体の例を示している。図17は、2つの支持体層が互いに接触しておりスルホン化芳香族ポリマー20の基本的に全てが開気孔支持体23の内部に存する例を示しており、図18は、スルホン化芳香族ポリマー20の一部のみが多孔質支持体23の内部に存する例を示している。閉気孔または開気孔支持体が、それぞれの例における非多孔質支持体の代わりに構想可能であることは明らかである。図19は、スルホン化芳香族ポリマー20、非多孔質ポリマー21ならびに2つの開気孔支持体23および23aの複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーおよび非多孔質ポリマーの一部が、多孔質支持体のそれぞれの内部に存する複合体を示している。図20は、スルホン化芳香族ポリマー20、非多孔質ポリマー21ならびに2つの開気孔支持体23および23aの複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体のそれぞれの内部に存し、非多孔質ポリマーの一部が多孔質支持体の片方の内部に存する複合体を示す。
【0038】
スルホン化芳香族ポリマーが多孔質または非多孔質支持体をコーティングまたは覆い、基本的に支持体の表面に別個の層または連続層として存することが分かる。開気孔支持体の場合、スルホン化芳香族ポリマーは、さらに、支持体または複数の支持体中に吸収または染みこんでいてもよく、その厚さ全体に渡って多孔質支持体を部分的に満たすかまたは実質的に満たしてもよい。スルホン化芳香族ポリマーは、多孔質支持体内に完全に存してもよいが、スルホン化芳香族ポリマーの一部のみが多孔質支持体内に存してもよく、残りのスルホン化芳香族ポリマーは支持体の表面上に別個の層として存する。図は本発明の実施形態のいくつかのみを説明しており、本発明の可能性のある実施形態の全てを示しているわけではないことを理解されたい。
【0039】
ある好ましい実施形態は、少なくとも1層の衣類布帛ならびにスルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの多孔質支持体を含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる衣料品またはエンクロージャなどの化学防護外被を含んでなり、図21に示されている。この構造において、スルホン化芳香族ポリマー20は2つの多孔質支持体23および23aの内部に存する。複合体は、不連続に塗布された接着剤24および24aにより、衣類表面布帛25および衣類裏地布帛25aに積層されている。接着剤は不連続な点として示されているが、格子、線などの形態でもよい。十分な水蒸気透過性が保たれるという条件で、接着剤を連続的に塗布することもできる。
【0040】
化学物質への暴露を低減するのに用いる、好ましい化学防護衣料品またはエンクロージャは、ePTFE支持体とスルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホンおよびスルホン化ポリフタラジノンエーテルケトンから選択されたスルホン化芳香族ポリマーの複合体に積層された、ポリアミド、木綿またはポリエステル布帛の少なくとも1つの衣類布帛層を含んでなる布帛積層体を含んでなる。好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部がePTFE支持体内に存し、支持体を部分的または実質的に満たして複合体を形成する。より好ましい複合体は、少なくとも1つの非多孔質支持体および少なくとも1つの追加のePTFEメンブレンを含む少なくとも2つの追加の支持体をさらに含んでなる。ある好ましい実施形態において、スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が2つのePTFE支持体内に部分的または完全に存する。他の好ましい実施形態において、非多孔質支持体の一部はスルホン化芳香族ポリマーと接触しており、非多孔質支持体の一部は追加のePTFE支持体中に部分的に存する(図19)。次いで、複合体は、衣類布帛の少なくとも1層に積層される。
【0041】
本発明の他の実施形態において、化学防護外被は水蒸気を透過できる衣料品またはエンクロージャとして形成されるが、衣料品には、外套、下着、ジャケット、上着、シャツ、ズボン、手袋、履物、帽子、フードなどの衣服があり、テント、寝袋、カジュアリティバッグ、シェルターなどのエンクロージャをさらに含むこともある。化学防護衣料品またはエンクロージャは、衣類表面布帛層、衣類裏地布帛層およびスルホン化芳香族ポリマーを有する層またはスルホン化芳香族ポリマーと支持体層を含んでなる複合体を含んでなる布帛積層体を含むことが好ましい。
【0042】
本発明の他の好ましい実施形態は、高い水蒸気透過率を提供すると同時に、有毒または有害な化学物質への人の暴露を低減する方法を対象とする。前記方法は、有害化学物質に比べて優先的な水蒸気の透過性を有する積層品を含んでなる、衣料品またはエンクロージャなどの化学防護外被を人と有害化学物質との間に挿入する工程を含んでなる。前記積層品は、少なくとも1つのメンブレン、フィルムまたは布帛層に積層される本願に記載される少なくともスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を含んでなる。前記防護外被が衣料品を含んでなる場合、前記方法は、有毒または有害な化学物質に暴露されるかもしれない人の少なくとも一部を前記外被で覆う工程を含んでなることが好ましい。好ましくは、前記化学防護外被は、少なくとも1層の衣類布帛ならびにスルホン化芳香族ポリマーと支持体の複合体を含んでなる布帛積層体を含んでなる。より好ましくは、前記布帛積層体は、2CESの透過率が約100μg/cm2以下であり、PMFの透過率が約30μg/cm2以下である。
【0043】
化学物質による透過に耐性のある衣料品またはエンクロージャを作成する方法は、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層を提供する工程、少なくとも1層のメンブレン、フィルムまたは衣類布帛にそれを積層し、2CESの透過率が約100μg/cm2未満である積層体を形成する工程および前記積層体を衣料品またはエンクロージャへと形成する工程を含んでなる。積層は当分野に公知のどのような方法で行ってもよい。例えば、熱接合、縫製接合または他の固定法などの機械的取り付け、本発明の2つ以上の層の少なくとも一部のコーティングまたは接着により行うことができる。好ましくは、スルホン化芳香族ポリマーを有する層または複合体が、例えば熱または接着剤による接着により、衣類布帛の少なくとも1層に直接積層される。上述のとおり、十分な水蒸気透過性が維持されるならば、接着剤は、不連続にも、連続的にも、図形状にも塗布できる。接着または縫製結合は、キルト縫いまたはポイントボンド不織材料などのように層全体に渡って存在してもよいし、例えば衣類、手袋または他の衣料品などにおいて縫い目または袖口のみに存在してもよい。したがって、本願で使用する「積層体」という用語は、結合により一体化したどのような層状構造をも意味する。あるいは、スルホン化芳香族ポリマーが溶液または分散液中にある場合、少なくとも1層の衣類布帛または支持体上への印刷、ロールコーティング、噴霧、押出などのどのような公知のコーティング法により、布帛層または支持体層に積層してもよい。
試験方法
水蒸気透過率試験
水蒸気透過率(MVTR)は、酢酸カリウムを塩として、開気孔ePTFEを防水性水蒸気透過性メンブレン用に使用し、米国特許第4,862,730号に記載の手順により測定した。これらのメンブレンは、名目上75%から80%の細孔度、0.2μmの平均細孔径および約0.04mmの厚さを有した。環境を相対湿度50%に保った。水浴を23±0.5℃に保った。試料を直径3インチ(約7.5cm)のプラスティック製の輪に拘束し、織られたシェルファブリックを上向きにして浴の上に置いた。プラスティック製の輪を使用する目的は、試料の跳ね上がり防止である。試験開始前に約15分間、浴の上で塩のカップを上に載せ試料を調整した。MVTR数は、g/m2/日の単位で報告する。
ビス−2−クロロエチルスルフィド(2CES)の透過試験
化学透過試験および分析は、(1)U.S. Army Test and Evaluation Command,Test Operating Procedure 8−2−501(1997年3月)に概説されているプロトコール、「Air−Permeable and Semi−permeable Materials Sorbent/Reactant Capacity Testing(Vapor Agent Challenge/Vapor Penetration)」および(2)Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents,CRDC−SP−84010(1984年6月)から改作した。試験は、メリーランド州、ゲーサーズバーグのGeomet Technologies,Inc.で完了した。試験装置および実験条件の説明を以下に示す。
【0044】
「2CES」と呼ばれるビス−2−クロロエチルスルフィド(化学構造Cl−CH2−CH2−S−CH2−CH2−Cl)の透過率は、積層品試料が置かれる一連の試験セルからなる装置を用いて測定した。試験セル一式の全体を、温度が32℃に制御される恒温恒湿チャンバー内に置く。各セルは、セルトップおよびセルボトムと呼ばれる上部および下部部分からなる。セルの半分のどちらにも入口および出口が備えてあり、セルを通り試料表面全域に渡る気流の掃流が可能である。セルトップ中の気流は0.25リットル/分に、セルボトム中の気流は0.3リットル/分に保つ。これらの気流の温度は32±1.1℃に制御し、相対湿度(RH)は80±8℃に制御する。名目上、8滴の2CES(それぞれ1μl)を試料表面に置く。トップセル気流を排気流に送る。試料を透過した2CES蒸気はボトム気流中に流され、固体吸収剤および液体衝突により下流で捕捉される。
【0045】
2CES攻撃に暴露される領域は約10cm2である。セルには、検体をしっかりと取り付け、セルからの漏れおよびセルの半分の間からの漏れの両方を防ぐに十分なリング、プレート、クランプおよびシールが備えられている。セル一式は全て試験前に圧力をかけ漏れ試験を行う。
【0046】
恒温恒湿チャンバー内のセルへの試料装着が完了すると、検体全てを32℃および相対湿度80%で2時間調整する。セルを一度に取り出し、セルトップを外すことにより2CESの液滴に試料を曝す。セルを閉め、恒温恒湿チャンバーに戻す。その後直ちに試験を開始する。2時間後、接続媒体を新品と交換する。接続媒体を、6時間後、12時間後および20時間後に再び交換する。固体吸収剤およびインピンジャーからの液体を、上記の参考文献に記載の比色測定/蛍光測定技術により分析する。透過データを、各試料に対しマイクログラム/cm2(μg/cm2)の単位で、20時間の累積質量として報告する。この試験の分解能および検出下限は約0.1μg2CES/cm2であった。
ピナコリルメチルホスホノフルオリデート(PMF)の透過試験
PMFの透過は2CESに関し上記で概説した手順と似た手順で測定したが、以下の例外がある。2CESの8滴の代わりに、10滴のPMFを使用した。約2ミリリットル(ml)の人工汗(上記に示した米国海軍試験手順に記載のとおり調製)を、織布とは反対側に置いた。約15分後、試料を傾けて余分な液体を切り、PMFの液滴を織布側に置いた。利用した環境条件は、上述の2CES透過に関して記載したのと類似のものであった。
【0047】
PMF分析に利用した分析手順は、「Laboratory Methods for Evaluating Protective Clothing Systems Against Chemical Agents」、CRDC−SP−84010(1984年6月)という題名の書類に記載の酵素阻害試験と実質的に類似である。結果を、20時間の透過累積量として報告する。使用単位はμg/cm2である。この試験法の検出下限は約0.000046μg/cm2である。
イオン交換容量および当量
フィルムまたはパウダー試料のイオン交換容量(IEC)は、酸塩基滴定により測定した。酸形態でない場合、150mlの1NのHClに一晩浸漬し、次いで脱塩水で完全にすすいで未反応のHClを除くことにより、まず試料を酸形態に変換した。次いで、試料を約50℃のオーブンで、一定の重量になるまで乾燥した。これを、乾燥試料の質量(m)と呼ぶ。乾燥試料を100mlの0.1NのNaOH溶液に約24時間浸漬した。10mlの試料溶液をデカンテーションし、メチルオレンジを指示薬として0.1NのHClで滴定した。IECを以下の式により計算した。
【0048】
【数1】
【0049】
上式において、N1、N2およびV1、V2はそれぞれNaOHおよびHClの規定度および体積であり、mは乾燥試料の質量である。N1およびN2が0.1Nであり、V1は100mlであるので、IECは以下のとおりに書くことができる。
IEC=(10−V2)/m
IECの単位はmeq/gである。当量(EW)は1000/IECであると定義される。単位はg/当量である。
【0050】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されないことは明らかである。
スルホン化芳香族ポリマーの調製
スルホン化ポリエーテルスルホン(sPES)
Solvay Advanced Polymers,L.L.C.(ジョージア州、アルファレッタ)から得られたPESパウダーから調製したsPESが得られた。スルホン化の手順は、「Influence Of The Nature Of Polymer Matrix And The Degree Of Sulfonation On The Properties Of Membranes」(Komkovaら、Polymer Science、ser A、43巻、3号、2001年、300−307ページ)に記載の方法に実質的にしたがって行い、スルホン化ポリスルホンの調製に利用した。得られたsPESポリマーは、上述の手順にしたがい測定すると約1meq/gのIECを有していた。計算したEWは約1000g/当量であった。スルホン化ポリマーは以下の構造を有していた。
【0051】
【化1】
【0052】
スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sPEEK)
Entegris Inc.(アメリカ合衆国、ミネソタ州、チャスカ)から得たPEEKパウダーから、「Influence Of The Nature Of Polymer Matrix And The Degree Of Sulfonation On The Properties Of Membranes」(E.N.Komkovaら、Polymer Science、ser A、43巻、3号、2001年、300−307ページ)に記載の方法に実質的にしたがいスルホン化して調製したsPEEKを得た。約1.3meq/g、約1.5meq/gおよび約2.52meq/gのIECを有する3種の異なるスルホン化量を持つスルホン化PEEK試料を製造した。計算された当量は、それぞれ約769、667および397グラム/当量であった。1.5IECポリマーのカリウム塩版も、KOH溶液での中和により調製した。スルホン化PEEKカリウム塩は以下の構造を有していた。
【0053】
【化2】
【0054】
スルホン化ビフェニルスルホン水素形態(sBPSH)
2002年3月28日に公開されたMcGrathらによる「Ion−Conducting Sulfonate Polymeric Materials」という題名のPCT公開WO02/25764A1に記載の方法に実質的にしたがい調製したsBPSHが得られた。約1.52meq/gのIEC(EW:660g/当量)を有するNa/K形態のsBPSHをも製造した。sBPSHポリマーは、以下の繰り返し単位を有するコポリマーであった。
【0055】
【化3】
【0056】
上式において、XはNaまたはKであり、nは0より大きく1未満である。
スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン(sPPEK)
2003年1月16日に公開されたGuyu Xiaoらによる「Ionomer For Use In Fuel Cells And Method Of Making Same」という題名のPCT公開WO03/005474A2に記載の方法に実質的にしたがい調製したsPPEKを得た。約1.67meq/gのIEC(EW:600g/当量)を有するNa/K形態のsPPEKを製造した。sPPEKポリマーは以下の繰り返し単位を有するコポリマーであった。
【0057】
【化4】
【0058】
上式において、MはNaまたはKであり、R1およびR2はHであり、nは0より大きく1未満である。
【実施例】
【0059】
実施例1−3
ポリアミド織布およびsPES、sPEEKおよびPES/sPEEKブレンドのフィルムから作成した布帛積層体を調製し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0060】
sPES、sPEEKおよび20/80重量%のPES/sPEEK混合物のフィルムは、 ポリマーをジメチルホルムアミド(DMF)溶媒に溶解し、室温で少なくとも約30分間攪拌して20%キャスト溶液を形成することにより調製して得た。各ポリマーを、キャスト用ナイフ(casting knife)を用いてガラス板上にキャストし、約60℃で約4から6時間乾燥してフィルムを形成し、ピンセットを用いてガラス板からはずした。得られたフィルムを真空オーブン中で約100℃で約36時間乾燥した。
【0061】
真空乾燥の後、各フィルムを、多目的スプレー接着剤Super77(55144−1000ミネソタ州、セントポール、3M Engineered Adhesive Division)を用いて織布に積層した。前記接着剤を布帛の表面に軽くスプレーし、フィルムを接着剤の上に置いた。手の圧力を用いて2層の間の良好な接触を確実にした。織布は、平織りポリアミドナイロン6,6布帛(2.8オンス/平方ヤードすなわち約90g/m2、スタイル#130665、サウスカロライナ州、スパルタンバーグ、Milliken&Company)であった。前記布帛をフルオロポリマー樹脂(ニュージャージー州、サマセット、Mitsubishi Textile Chemicals)により製造者が推奨する手順により前処理して、耐久撥水性(DWR)を付与した。得られた布帛積層体を、水蒸気透過率(MVTR、g/m2/日)および2CES透過(μg/cm2)に関して特性化し、その結果を以下に報告する。
【0062】
【表1】
【0063】
実施例4
sPPEKフィルムおよびポリアミド織布の布帛積層体を調製し、蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0064】
およそ1.11gのsPPEKパウダーをDMSOに溶解して約9.4重量%の溶液を形成した。溶解は、インキュベーター中で約60℃で24時間振盪させて実施した。フィルムを8インチ×16インチ(約20cm×40cm)のガラス板上に、20ミル(0.51mm)の開口部を持つ幅5インチ(約12.7cm)のドローダウンバー(draw down bar)(メリーランド州、コロンビア、BYK Gardner,Inc.)を用いてキャストした。空気循環オーブン中で約6時間約30℃でフィルムを乾燥した。約60℃で24時間乾燥を継続し、次いで24時間約100℃に加熱した。最終的な加熱を、約150℃で15分実施した。次いで、得られたフィルムを、上記の実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層した。布帛積層体は、約7551g/m2/日のMVTRを有し、2CES透過は約0.2μg/cm2であった。
実施例5−7
ポリアミド織布に積層したsPEEKフィルムの3つの試料から布帛積層体を調製し、水蒸気透過率(MVTR)および化学物質透過に関して試験した。
【0065】
sPEEK(IEC=1.3meq/g)の20重量%溶液を、キャスト用ナイフを用いてガラス板上にキャストし、フィルムを得た。ポリマーを約60℃で約4から6時間乾燥しフィルムを形成し、ピンセットを用いてガラス板からはずした。空気循環オーブン中で約95℃で約21時間、フィルムをさらに乾燥した。
【0066】
5インチ×10インチ(約12.5cm×25cm)フィルムを、等しい長さの試料片3つに切った。試料片の2つは、約180℃で15分熱処理し、次いで約200℃で約10分間加熱して、スルホン酸基の架橋を付与した。3つのフィルムを全て、上記の実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層した。追加のニット層を全試料のフィルム側に付着させたが、まずニット上にスプレー接着剤Super77(ミネソタ州、セントポール、3M Engineered Adhesive Division)を噴霧し、フィルムの側をニットに向けて積層体を置くことにより付着させた。優しく手の圧力をかけ、層の間の良好な接触を確実にした。使用したニットは1.1オンス/平方ヤード(約35g/m2)のポリエステルワープニット(スタイル#A1012、ニューヨーク州、ニューヨーク、Native Textiles,Inc.)であった。得られた積層体を、MVTR(g/m2/日)および化学物質透過(μg/cm2)に関して特性化し、その結果を以下に報告する。
【0067】
【表2】
【0068】
実施例8
ePTFE/ポリエステルニット積層品のePTFEメンブレン側にsBPSH溶液を塗布し、次いでポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0069】
sBPSHパウダーをN−メチルピロリジノン(NMP)溶媒に溶かすことにより、sBPSHの20重量%溶液を作成した。溶解は、約55℃で少なくとも約12時間インキュベーター/シェーカーで実施した。溶液を用いて、予め作成されたePTFE/ニット積層体とともに複合体を作成した。ePTFE/ニット積層体は、米国特許第4,194,041号に記載のポリウレタン接着剤を用いて、実施例7に記載のポリエステルニットに接着した、重量が約50g/m2である延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成した。接着剤の塗布範囲がおよそ35%になるように、不連続な形状で接着剤を塗布した。ePTFEメンブレン(メリーランド州、エルクトン、W.L.Gore&Assoc.Inc.)を、米国特許第3,953,566号に記載の方法に実質的にしたがって作成した。積層体のePTFE側を、米国特許第6,118,218号に記載の手順に実質的にしたがって大気プラズマで処理し、濡れ特性を向上させた。
【0070】
ドラフトチャンバー中でePTFE/ニット積層体の8インチ×16インチ(約20cm×40cm)の試料片を、メンブレン側を上にしておくことにより複合体を調製した。それを少量のNMP溶媒で予め濡らし、その後、実施例4ですでに記載した開口部が15ミル(約0.38mm)のドローダウンバーを用いて、20重量%のsPBSH溶液を上にキャストした。得られた複合体を、周囲条件で約2日間乾燥した。次いで、巻き上がりを防ぐためにそれをガラス板にテープで貼り、空気循環オーブンで約100℃で約16時間加熱し、次いで約5時間約150℃に加熱した。
【0071】
ポリアミド織布の追加層を、上記の実施例1−3に記載の手順および布帛を用い、sBPSHポリマー側に接着した。最終的な積層体のMVTRは約1,996g/m2/日であり、2CES透過は約0.1μg/cm2であった。
実施例9
ePTFE/ポリエステルニット積層体のePTFEメンブレン側にsPPEK溶液を塗布し、次いでポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、水蒸気透過率(MVTR)および2CES透過に関して試験した。
【0072】
sPPEKポリマーをジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒に溶かすことにより、sPPEKの10重量%溶液を作成した。溶解は、約55℃で少なくとも約12時間インキュベーター/シェーカーで実施した。溶液を用いて、予め作成されたePTFE/ニット積層品とともに複合体を作成した。ePTFE/ニット積層体は、米国特許第4,194,041号に記載のポリウレタン接着剤を用いて、実施例7に記載のポリエステルニットに接着した、重量が約50g/m2である延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンから形成した。接着剤の塗布範囲がおよそ35%になるように、不連続な形状で接着剤を塗布した。ePTFEメンブレン(メリーランド州、エルクトン、W.L.Gore&Assoc.Inc.)を、米国特許第3,953,566号に記載の方法に実質的にしたがって作成した。積層品のePTFE側を、米国特許第6,118,218号に記載の手順に実質的にしたがって大気プラズマで処理し、濡れ特性を向上させた。
【0073】
ドラフトチャンバー中でePTFE/ニット積層体の8インチ×16インチ(約20cm×40cm)の試料片を、メンブレン側を上にしておくことにより複合体を調製した。それを少量のDMSO溶媒で予め濡らし、その後、実施例4ですでに記載した開口部が15ミル(約0.38mm)のドローダウンバーを用いて、20重量%のsPPEK溶液を上にキャストした。得られた複合体を、周囲条件で約2日間乾燥した。次いで、巻き上がりを防ぐためにそれをガラス板にテープで貼り、空気循環オーブンで約100℃で約16時間加熱し、次いで約5時間約150℃に加熱した。
【0074】
ポリアミド織布の追加層を、上記の実施例1−3に記載の手順および布帛を用い、sPPEKポリマー側に接着した。最終的な積層体のMVTRは約4831g/m2/日であり、2CES透過は約0.1μg/cm2未満であった。
実施例10−11
sPEEKポリマーおよびそのカリウム塩版のフィルムを形成し、次いでカルシウム塩形態に変換し、ポリアミド織布に積層して布帛積層体を形成し、MVTRおよび2CES透過に関して試験した。
【0075】
IECが約1.5であるsPEEKポリマーおよびそのカリウム塩版を、インキュベーター/シェーカーで約50℃で24時間DMSOに溶解させ、20重量%の溶液を得た。約10ミル(約0.25mm)の開口部を持つドローダウンバーを用いてフィルムをガラス板上にキャストした。得られたフィルムを、フード中で周囲条件で少なくとも12時間乾燥した。次いで、それらを約100℃で約22時間乾燥し、その後約150℃で約2時間加熱した。ついで、それらを1NのCaCl2・2H2O溶液に少なくとも24時間浸漬することによりカルシウム塩形態に変換した。浸漬期間の間、シェーカー中で穏やかな振盪を行った。フィルムを浸漬溶液から取り出し、過剰な脱イオン水で2度すすぎ、CaCl2塩を除去した。すすぎ水のpHは約6−7であった。
【0076】
フィルムを周囲条件で数日間乾燥し、次いで、実施例1−3に記載のポリアミド織布に積層し、MVTRg/m2/日および2CESμg/cm2透過に関して特性化した。結果を以下に報告する。
【0077】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】スルホン化芳香族ポリマーのフィルムの例を示す。
【図2】スルホン化芳香族ポリマーの層と接触している衣類布帛の層を有する布帛積層品の例を示す。
【図3】2層の衣類布帛と、衣類布帛層のそれぞれの一部の内部に部分的に存するスルホン化芳香族ポリマーを有する布帛積層品の例を示す。
【図4】非多孔質支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図5】閉気孔支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図6】開気孔支持体とスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図7】多孔質支持体上のスルホン化芳香族ポリマーの複合体の他の例を示す。
【図8】ポリマーの一部が多孔質支持体内に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図9】ポリマーの一部が多孔質支持体内に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の他の例を示す。
【図10】基本的に全てのポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図11】基本的に全てのポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の他の例を示す。
【図12】多孔質支持体内に存し、前記多孔質支持体を実質的に満たしているスルホン化芳香族ポリマーの複合体の例を示す。
【図13】スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体内に存し、多孔質支持体を実質的に満たしている、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図14】スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体に存し、多孔質支持体を実質的に満たしている、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体の例を示す。
【図15】2つの多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、基本的に全てのポリマーが支持体内に存する複合体の例を示す。
【図16】2つの多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、ポリマーの一部がそれぞれの支持体の内部に存する複合体の例を示す。
【図17】非多孔質支持体、スルホン化芳香族ポリマーと多孔質支持体の複合体であって、スルホン化芳香剤ポリマーが多孔質支持体の一部の内部に存する複合体の例を示す。
【図18】多孔質支持体と非多孔質支持体の間にスルホン化芳香族ポリマーを有する複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体の一部の内部に存する複合体の例を示す。
【図19】スルホン化芳香族ポリマー、非多孔質支持体と2つの開気孔支持体の複合体であって、芳香族ポリマーおよび非多孔質支持体の一部が多孔質支持体の片方の内部に存する複合体の例を示す。
【図20】スルホン化芳香族ポリマー、非多孔質支持体と2つの開気孔支持体の複合体であって、スルホン化芳香族ポリマーの一部が多孔質支持体のそれぞれの内部に存し、非多孔質支持体の一部が多孔質支持体の1つの内部に存する複合体の例を示す。
【図21】2つの衣類布帛層と、2つの多孔質支持体の間にあり前記支持体の一部の内部に存するスルホン化芳香族ポリマーの複合体を有する多層布帛積層品であって、多孔質層が不連続に塗布された接着剤により衣類布帛層に付着している多層布帛積層品の例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともスルホン化芳香族ポリマーを含む層と、該スルホン化芳香族ポリマーを含む層に積層された少なくとも1層の追加層とを含む積層体を含んでなる化学防護外被であって、
前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有し、
前記ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有し、
前記積層体が水蒸気を透過でき、かつ、化学物質の透過に耐性がある、化学防護外被。
【請求項2】
前記外被が衣料品またはエンクロージャである、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項3】
前記衣料品またはエンクロージャが、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される、請求項2に記載の化学防護外被。
【請求項4】
前記エンクロージャが、テント、寝袋、カジュアリティバッグおよびシェルターから選択される、請求項2に記載の化学防護外被。
【請求項5】
前記の少なくとも1層の追加層が、布帛、メンブレンおよびフィルムから選択される少なくとも1層を含んでなる、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項6】
前記の少なくとも1層の追加層が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなるニット、織布または不織布から選択される少なくとも1層の布帛である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項7】
水蒸気透過率が約600g/m2/日以上である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項8】
水蒸気透過率が約2000g/m2/日以上である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項9】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で100μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項10】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で30μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項11】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で10μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項12】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で30μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項13】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で10μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項14】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で5μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項15】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項16】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミド、エステル、置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン、置換または非置換ホスフィンおよびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項17】
前記芳香族基の少なくとも一部が、C1-C8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-C8エステルおよびC1-C8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有する、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項18】
前記スルホン化芳香族ポリマーが架橋している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項19】
前記スルホン化芳香族ポリマーがイオン架橋している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項20】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が少なくとも1種の追加成分を含んでなる、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項21】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項22】
前記の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項20に記載の化学防護外被。
【請求項23】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項21に記載の化学防護外被。
【請求項24】
化学物質への暴露の低減に使用する、水蒸気を透過できる布帛積層体を含んでなる化学防護衣料品またはエンクロージャであって、
前記布帛積層体が、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有し、前記ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有する、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、前記布帛積層体のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が約100μg/cm2以下である、化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項25】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項26】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、20時間で約10μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項27】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ニット、織布および不織布から選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項28】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項29】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなる、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項30】
前記衣料品が、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項31】
前記エンクロージャが、テント、寝袋、カジュアリティバッグおよび構造から選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項32】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミド、エステル、置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン、置換または非置換ホスフィンおよびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項33】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、イミドおよびエーテルを含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項34】
前記芳香族基の少なくとも一部が、C1-C8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-C8エステルおよびC1-C8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項35】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項36】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項37】
前記複合体の少なくとも1つの支持体が多孔質支持体である、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項38】
前記複合体の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンである、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項39】
前記スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン中に部分的または完全に存する、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項40】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを有する層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも2つの支持体を含んでなる複合体である、請求項38に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項41】
水蒸気を透過でき有害化学物質の透過に耐性がある布帛積層体を含んでなり、有害化学物質への人の暴露を低減するのに使用する化学防護衣料品またはエンクロージャであって、前記積層体が
スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびスルホン化ポリフェニレンオキシドから選択される繰り返し単位を含んでなり、前記スルホン化芳香族ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、
ビス2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で約100μg/cm2以下である布帛積層体を含んでなる化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項42】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ニット、織布および不織布から選択される、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項43】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなる、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項44】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項45】
前記布帛積層体が防水性である、請求項41に記載の化学防護衣料品。
【請求項46】
前記布帛積層体が、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される衣料品である、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項47】
前記布帛積層体が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項48】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体の複合体である、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項49】
少なくとも1つの支持体が多孔質または微孔質である、請求項48に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項50】
少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項49に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項51】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでなる少なくとも2つの支持体を含んでなる、請求項48に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項52】
前記布帛積層体が、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項53】
人と有毒または有害な化学物質の間に化学防護外被を挿入する工程を含んでなる、化学物質への人の暴露を低減する方法であって、前記化学防護外被が、
少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有する、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなる布帛積層体を含んでなり、
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有し、前記積層品が20時間で約100μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する方法。
【請求項54】
前記化学防護外被が衣料品またはエンクロージャである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記化学防護外被が衣料品である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記布帛積層品が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびスルホン化ポリフェニレンオキシドから選択される繰り返し単位を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリマーと非スルホン化ポリマーのブレンドを含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、多孔質および微孔質支持体から選択される少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記の少なくとも1つの支持体が、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンおよびポリオレフィンから選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記複合体が、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでなる少なくとも2つの支持体を含んでなる、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
布帛積層体を有する化学防護衣料品で、有害化学物質に暴露される可能性のある人の少なくとも一部を覆う工程を含んでなる方法であって、前記布帛積層体が、スルホン酸当量が約400−800(IEC:1.25−2.5meq/g)であるスルホン化芳香族ポリマーを有する層を含んでなり、前記布帛積層体が20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項1】
少なくともスルホン化芳香族ポリマーを含む層と、該スルホン化芳香族ポリマーを含む層に積層された少なくとも1層の追加層とを含む積層体を含んでなる化学防護外被であって、
前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有し、
前記ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有し、
前記積層体が水蒸気を透過でき、かつ、化学物質の透過に耐性がある、化学防護外被。
【請求項2】
前記外被が衣料品またはエンクロージャである、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項3】
前記衣料品またはエンクロージャが、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される、請求項2に記載の化学防護外被。
【請求項4】
前記エンクロージャが、テント、寝袋、カジュアリティバッグおよびシェルターから選択される、請求項2に記載の化学防護外被。
【請求項5】
前記の少なくとも1層の追加層が、布帛、メンブレンおよびフィルムから選択される少なくとも1層を含んでなる、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項6】
前記の少なくとも1層の追加層が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなるニット、織布または不織布から選択される少なくとも1層の布帛である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項7】
水蒸気透過率が約600g/m2/日以上である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項8】
水蒸気透過率が約2000g/m2/日以上である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項9】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で100μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項10】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で30μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項11】
ビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で10μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項12】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で30μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項13】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で10μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項14】
ピナコリルメチルホスホノフルオリデートの透過率が20時間で5μg/cm2以下である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項15】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項16】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミド、エステル、置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン、置換または非置換ホスフィンおよびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項17】
前記芳香族基の少なくとも一部が、C1-C8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-C8エステルおよびC1-C8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有する、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項18】
前記スルホン化芳香族ポリマーが架橋している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項19】
前記スルホン化芳香族ポリマーがイオン架橋している、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項20】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が少なくとも1種の追加成分を含んでなる、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項21】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項1に記載の化学防護外被。
【請求項22】
前記の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項20に記載の化学防護外被。
【請求項23】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項21に記載の化学防護外被。
【請求項24】
化学物質への暴露の低減に使用する、水蒸気を透過できる布帛積層体を含んでなる化学防護衣料品またはエンクロージャであって、
前記布帛積層体が、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有し、前記ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有する、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、前記布帛積層体のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率が約100μg/cm2以下である、化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項25】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項26】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、20時間で約10μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項27】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ニット、織布および不織布から選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項28】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項29】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなる、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項30】
前記衣料品が、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項31】
前記エンクロージャが、テント、寝袋、カジュアリティバッグおよび構造から選択される、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項32】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、エーテル、スルフィド、ウレタン、アミド、イミド、エステル、置換または非置換の飽和または不飽和C1-5アルキレン、置換または非置換ホスフィンおよびホスフィンオキシド基を含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項33】
前記芳香族基の少なくとも一部が、ケトン、スルホン、イミドおよびエーテルを含んでなる1つまたは複数の結合により結合している、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項34】
前記芳香族基の少なくとも一部が、C1-C8アルキルおよびハロアルキル、アリール、ケトン、ヒドロキシル、ハロゲン、アミン、シアニド、ニトリル、スルフィド、カルボニル、C1-C8エステルおよびC1-C8アルコキシル基から選択される置換基を1つまたは複数有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項35】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項36】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項24に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項37】
前記複合体の少なくとも1つの支持体が多孔質支持体である、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項38】
前記複合体の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレンである、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項39】
前記スルホン化芳香族ポリマーの少なくとも一部が、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)メンブレン中に部分的または完全に存する、請求項36に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項40】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを有する層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも2つの支持体を含んでなる複合体である、請求項38に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項41】
水蒸気を透過でき有害化学物質の透過に耐性がある布帛積層体を含んでなり、有害化学物質への人の暴露を低減するのに使用する化学防護衣料品またはエンクロージャであって、前記積層体が
スルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびスルホン化ポリフェニレンオキシドから選択される繰り返し単位を含んでなり、前記スルホン化芳香族ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有するスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなり、
ビス2−クロロエチルスルフィドの透過率が20時間で約100μg/cm2以下である布帛積層体を含んでなる化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項42】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ニット、織布および不織布から選択される、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項43】
前記の少なくとも1層の衣類布帛が、ポリ(脂肪酸アミド)、ポリ(芳香族アミド)、ポリエステル、ポリオレフィン、羊毛、セルロース系繊維、修飾セルロース、ポリウレタン、アクリル、モダクリルおよびそのブレンドから選択されるポリマーの合成または天然繊維を含んでなる、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項44】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項45】
前記布帛積層体が防水性である、請求項41に記載の化学防護衣料品。
【請求項46】
前記布帛積層体が、外套、下着、ジャケット、ズボン、手袋、履物およびフードから選択される衣料品である、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項47】
前記布帛積層体が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項48】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、スルホン化芳香族ポリマーと少なくとも1つの支持体の複合体である、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項49】
少なくとも1つの支持体が多孔質または微孔質である、請求項48に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項50】
少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項49に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項51】
延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでなる少なくとも2つの支持体を含んでなる、請求項48に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項52】
前記布帛積層体が、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項41に記載の化学防護衣料品またはエンクロージャ。
【請求項53】
人と有毒または有害な化学物質の間に化学防護外被を挿入する工程を含んでなる、化学物質への人の暴露を低減する方法であって、前記化学防護外被が、
少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層であって、前記ポリマーが、N、OまたはSから選択されるヘテロ原子を0、1、2、3または4有する五員、六員または七員の単環または縮合環から選択される少なくとも1種の繰り返し芳香族基を含んでなり、該芳香族基の少なくとも一部が、スルホン酸またはその塩を含む少なくとも1種の側基を有する、少なくとも1種のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層
に積層された少なくとも1層の衣類布帛を含んでなる布帛積層体を含んでなり、
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約200−1000のスルホン酸当量(IEC:1.0−5.0meq/g)を有し、前記積層品が20時間で約100μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する方法。
【請求項54】
前記化学防護外被が衣料品またはエンクロージャである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記化学防護外被が衣料品である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、約400−800のスルホン酸当量(IEC:1.25−2.5meq/g)を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記布帛積層品が、20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ビフェニルスルホン、スルホン化ポリフタラジノンエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾールおよびスルホン化ポリフェニレンオキシドから選択される繰り返し単位を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記スルホン化芳香族ポリマーが、スルホン化ポリマーと非スルホン化ポリマーのブレンドを含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記のスルホン化芳香族ポリマーを含んでなる層が、多孔質および微孔質支持体から選択される少なくとも1つの支持体を含んでなる複合体である、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記の少なくとも1つの支持体が、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンおよびポリオレフィンから選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記の少なくとも1つの支持体が延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記複合体が、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含んでなる少なくとも2つの支持体を含んでなる、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
少なくとも2層の衣類布帛を含んでなる、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
布帛積層体を有する化学防護衣料品で、有害化学物質に暴露される可能性のある人の少なくとも一部を覆う工程を含んでなる方法であって、前記布帛積層体が、スルホン酸当量が約400−800(IEC:1.25−2.5meq/g)であるスルホン化芳香族ポリマーを有する層を含んでなり、前記布帛積層体が20時間で約30μg/cm2以下のビス−2−クロロエチルスルフィドの透過率を有する、請求項53に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2007−521160(P2007−521160A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517071(P2006−517071)
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/004145
【国際公開番号】WO2005/021100
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月11日(2004.2.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/004145
【国際公開番号】WO2005/021100
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]