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化成被覆または塗料中の防食添加剤としての第四級アンモニウム塩
説明

化成被覆または塗料中の防食添加剤としての第四級アンモニウム塩

【課題】化成被覆または塗料に防食性を与える薬剤を提供する。
【解決手段】炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、グリコール酸塩およびそれらの混合物のような非ハロゲンアニオン含む第四級アンモニウム塩からなり、例えば1種以上の炭酸または重炭酸第四級アンモニウムを含む組成物を塗布する方法及びこの方法に従って処理した金属基材及び上記組成物を含む金属基材についてのさび止め塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、化成被覆としての並びに塗料およびコーティング剤の添加剤としての、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩のような非ハロゲンアニオンを含む第四級アンモニウム塩の使用に関する。
【0002】
発明の背景
金属表面が水(液体の水であれ湿っぽい空気であれ)と接触するプロセスにおいて、常に腐食の危険が存在する。このことは、金属自体が腐食する傾向があり、コートされていない場合に特に問題である。
【0003】
腐食する傾向がある金属の例は、合金鉄から作製される型打ちした金属の車両部品、機械加工されたスチール部品のような研磨された表面、および鋳鉄から作製される機械部品に見出される。
【0004】
化成被覆が、腐食を抑制するために、また金属表面、特にスチールへの塗料の良好な付着を確実にするために用いられる。むき出しのスチールは、有機コーティング剤と良好な接着を形成しない。金属/有機コーティング剤の接着を改善するために、クロム酸塩またはリン酸塩の化成被覆がスチールと化学的に反応し、金属−リン酸塩の小板(platelet)を有する粗い表面構造を形成し、金属表面に対する有機ポリマーの機械的および化学的双方の定着(付着)を提供する。例えば、Watson, J. 「A refresher: Understanding pretreatment」 Powder Coating 1996, 7(3) および Ferguson, D.;Monzyk, B.,「Nonpolluting replacement for chromate conversion coating and zinc phosphate in powder coating applications」,Powder Coating 2001, 12(7) を参照されたい。本明細書中においては、化成被覆とは、金属基材表面上の保護バリア膜または層であると同時に、腐食抑制と塗料付着の双方が可能であって、(i)有機膜、(ii)金属エッチングおよび再付着プロセスから生じる無機酸化物、(iii)真の付着プロセスから生じる無機酸化物、または(iv)(i)、(ii)および(iii)からの無機材料および有機材料のいずれもの混合物から成ることを意味すると理解されるべきである。最も幅広く用いられている化成被覆は、クロム酸塩処理、ホスホクロム酸塩処理(phosphochromating)、および亜鉛リン酸塩処理プロセスである。クロム酸塩処理は優れた腐食抑制を与える一方で、ホスホクロム酸塩処理は優れた塗料の付着を与えることが考えられる。金属表面に対して化成被覆を塗布する前に、金属表面上のいかなる油脂をも取り除くために、金属表面を洗浄する必要がある。化成被覆は浸漬または噴霧のいずれかにより塗布することができる。クロム酸塩およびホスホクロム酸塩の化成被覆は、最も一般的な化学的な化成被覆であるが、健康、安全性および環境問題のために、他のタイプの化成被覆が必要である。
【0005】
発明の概要
重炭酸塩、炭酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩のような非ハロゲンアニオンを含む第四級アンモニウム塩、より具体的にはアニオンとして重炭酸塩、炭酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩を含むジアルキルジメチルアンモニウム塩、およびこれらの種々の組み合わせが、金属表面、特にスチールのための化成被覆としての適用性を有することが発見された。さらに、上記の第四級物は、スチール基材上の所望の表面酸化物(すなわち、マグネタイト、Fe)の成長のような所望の表面変質をもたらすことができることが発見された。この酸化物形成は明確な結晶ドメインをもたらし、これは金属基材に対して付着し、かつこれに対して塗料のようなコーティング剤は改善された付着を示すことが期待される。加えて、上記第四級アンモニウム塩は塗料に直接的に加えることができ、金属表面に対する塗料のより優れた付着を提供し、よって耐食性を改善する。
【0006】
炭酸第四級アンモニウムおよび重炭酸第四級アンモニウムの腐食抑制性質は、共に係属中である米国特許出願第10/810729号(US 2005/0003978 A1)中に開示されている。さらに、防止フィルム下で、保護されたスチール表面は所望の表面酸化物(すなわち、マグネタイト、Fe)を成長させることが見出された。この酸化物形成は、塗料のような有機コーティング剤が改善された付着を示すことが期待されるドメインを形成する。
【0007】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムのような非ハロゲンアニオンを含むある種の第四級アンモニウム塩は、鉄およびスチールのような鉄合金の表面に塗布された際に、鉄およびスチールのような鉄合金の表面上の既知の所望の変質を、従来知られているものよりも非常に穏やかな温度条件下でもたらす傾向を有することが見出された。>110℃におけるスチール表面の熱的に誘発される変質は当該技術分野において知られており、これらの変質をもたらすのに必要とされる高温は、今まで、それらの商取引の開発を制限していた。しかしながら、上記の第四級アンモニウム塩は、室温程度の低い温度においてスチール表面の同様の変質をもたらすことができると思われる。
【0008】
さらに、上記の第四級アンモニウム塩(そのままであるか、または配合物)の独特の性質は、最終的なコーティング剤塗布の前の1工程の金属表面調製プロセスを可能にする。これらの溶液への金属の浸漬は同時に洗浄をし、腐食を抑制し、および下塗剤が最終的なコーティング剤塗布に備えて金属表面にコートされることを見出した。このことは現在のプロセスに対するかなりの改善を示し、現在のプロセスは、段階的な方法で以下の個々の作用を行い、処理する必要があるかなり大量の工業廃液を伴う:
a)原材料をオイルを用いて不動態化して、フラッシュさびを防止し、
b)不動態化オイルを除去して処理し、
c)金属表面を化成被覆溶液(酸性の、重原子を含有する化学物質)により処理し、最終的なコーティング剤を塗布する前に硬化させる。
【0009】
本発明により処理されるスチール表面はフラッシュさびに耐性を示すことを見出した。フラッシュさびは、新たに形成されたむき出しのスチール表面が水に曝されると生じ、反応して赤い水酸化鉄のさび層を形成する。
【0010】
本発明により処理されたコイル状シートのスチールはエッジ汚れに耐性を示し、このエッジ汚れは、コイルのエッジにおいて水蒸気が凝縮する際に生じる。現在のところ、スチールシートには、貯蔵または輸送前に軽油を噴霧する。このオイルはさらなる表面処理またはコーティングの前に取り除く必要がある。
【0011】
本発明により形成される酸化物層は、スチールの地塗りの化成被覆または下塗剤となる可能性がある。むき出しのスチールは、有機コーティング剤と良好な接着を形成しない。金属/有機コーティング剤の接着を改善するために、クロム酸塩またはリン酸塩化成被覆がスチールと化学的に反応し、金属−リン酸塩小板(platelet)を有する粗い表面構造を形成し、金属表面に対する有機ポリマーの機械的および化学的双方の定着(付着)を提供する。
【0012】
本発明の化成被覆とさび止め塗料は、引っかいた際にある種の自己回復性質を示すことが見出され、これは引っ掻き傷における「むき出し」の金属表面でさえも、周囲のコーティング剤からの第四級アンモニウム塩の移動に起因し得るある不動態化を示すことを意味する。いくつかの場合において、長く持続する酸化物変質が、引っ掻かれた領域の長期の不動態化をもたらすことが観察される。このことは、クロムコートされた金属表面において観察される自己回復と同様の効果である。
【0013】
とりわけ、本発明は、金属基材の表面に化成被覆を塗布するための方法に関し、上記方法は、
(a)非ハロゲンアニオンを含む少なくとも1種の第四級アンモニウム塩、および
(b)任意に溶媒
を含む組成物に上記の基材を接触させる工程を含む。
【0014】
好ましくは、第四級アンモニウム塩は、式
【化1】

【0015】
(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRは互いに独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸のアニオン、およびヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する。
【0016】
本明細書中で、C1−20アルキル基は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルキル基であり、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびイコシルを含む。アリール置換されたC1−20アルキル基は、アリール基、特にフェニルを置換基として有するいずれもの上記した基である。アリール置換されたC1−20アルキル基の好ましい例は、ベンジル、フェニルエチルおよびフェニルプロピルである。
【0017】
「リン酸塩」という語は、酸およびリン酸の中性塩の双方を含み、すなわち、二水素リン酸塩(HPO)、一水素リン酸塩(HPO2−)、リン酸塩(PO3−)、および二リン酸塩(ピロリン酸塩)、および三リン酸塩のようなオリゴ−およびポリリン酸の塩を含むと理解される。
【0018】
亜リン酸塩は、アニオンHPOおよび/またはHPO2−を含むリン酸の塩である。
【0019】
硫酸塩は、硫酸水素塩(HSO)および硫酸塩(SO2−)、および二硫酸塩(S2−)および関連するアニオンである。
【0020】
ホウ酸塩は、ホウ酸(HBO)および種々のポリホウ酸から誘導されるいずれものアニオンである。
【0021】
飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸は、特にギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、およびイコサン酸のようなアルカン酸、またはアクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸およびリノール酸のようなアルケン酸である。
【0022】
飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸は、特にシュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸およびアジピン酸のようなアルカン二酸、またはフマル酸若しくはマレイン酸のようなアルケン二酸である。
【0023】
ヒドロキシ置換されたカルボン酸は、カルボキシラート基に加えて少なくとも1つのヒドロキシ基を含むいずれものカルボン酸であって、例えばグリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、またはサリチル酸である。
【0024】
上記した効果を示すより好ましい第四級アンモニウム塩は、炭酸第四級アンモニウム塩、重炭酸第四級アンモニウム塩、リン酸第四級アンモニウム塩、およびグリコール酸第四級アンモニウム塩である。
【0025】
さらにより好ましくは、式Iの第四級アンモニウム塩におけるRおよびRはメチル基である。
【0026】
好ましい実施形態において、Rはメチルである。
より好ましい実施形態において、Rはベンジルまたはフェニルエチルである。
他の好ましい実施形態において、RおよびRは同じC1−20アルキル基である。
より好ましい実施形態において、RおよびRはC10アルキル基である。
さらにより好ましい実施形態において、RおよびRはn−C10アルキル基である。
特に好ましい実施形態において、第四級アンモニウム塩は炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウム、および/または重炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムである。
好ましくは、金属基材はスチールである。
より好ましくは、スチールはコイル状シートスチールである。
【0027】
本発明の他の目的は、上記した方法またはいずれものその好ましい実施形態により処理された金属基材を含む製品である。
ここでも、好ましい金属基材はスチールである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、
(a)非ハロゲンアニオンを含む少なくとも1種の第四級アンモニウム塩、
(b)バインダ、
(c)任意に、溶媒、および
(d)任意に、顔料
を含むさび止め塗料である。
【0029】
上記した方法におけるように、さび止め塗料中の第四級アンモニウム塩は、好ましくは、式
【化2】

【0030】
(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和のC2−12ジカルボン酸のアニオン、およびヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する。
【0031】
上記した方法における第四級アンモニウム塩のさらに好ましい実施形態は、同じようにさび止め塗料にもあてはまる。
【0032】
好ましくは、バインダは、アクリル樹脂、カゼイン(牛乳のタンパク)、ビニール樹脂、ラテックス樹脂、アセテート樹脂、エポキシ樹脂、およびそれらの混合物から成る群から選択される。
【0033】
好ましい実施形態において、さび止め塗料はラテックス塗料である。
他の好ましい実施形態において、さび止め塗料はエナメルスプレー塗料である。
さらに好ましい実施形態において、さび止め塗料はEコーティング塗料である。
他の好ましい実施形態において、さび止め塗料はアクリル塗料である。
【0034】
本発明のさらに他の目的は、上記したさび止め塗料を塗布した金属基材を含む製品である。さび止め塗料、上記塗料中に含まれる第四級アンモニウム塩、および金属基材に関する全ての好ましい実施形態は同様に、上記製品にも当てはまる。
【0035】
本発明のさらに他の目的は、式
【化3】

【0036】
(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸のアニオン、およびヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは、塗料またはコーティング剤中の防食剤としての上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する第四級アンモニウム塩の使用である。
【0037】
上記方法における第四級アンモニウム塩のさらに好ましい実施形態は、防食剤としての使用にも同様に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムを0.1%含む、3.5%の水性NaCl溶液中に2週間浸漬した後のスチール表面のSEM顕微鏡写真(表面上の六方晶系の小板の形成に注目)。
【図2】炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムを0.1%含む、3.5%の水性NaCl溶液中に2ヶ月浸漬した後のスチール表面のSEM顕微鏡写真(これらの層の1つは、強磁性体(マグネタイト,Fe)である)。
【図3】水道水中のグリコール酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムの0.1%溶液中に70℃で48時間浸漬した後のスチール表面のSEM顕微鏡写真。
【図4】水道水中に70℃で1時間浸漬した後のスチール表面のSEM顕微鏡写真(対照実験)。
【図5】塩水噴霧に曝露した後のいくつかのEコートされたスチールサンプルを用いた塗料の剥がれ試験の結果。
【図6】第四級アンモニウム塩の添加によるさび止め剤で作られたラテックス塗料を塗布したスチールサンプルの塩水噴霧試験の結果。
【図7】種々の量の第四級アンモニウム塩を含む光沢保護スプレーエナメルを塗布したスチールサンプルの塩水噴霧試験の結果。
【0039】
以下の例は本発明を示すが、これに限定されない。全ての割合およびパーセンテージは他に示さない限り重量で示す。
【0040】
例1
化成被覆研究(リファレンス:NB5751−001〜018)を、CarboShield(登録商標)1000(重炭酸/炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウム)、「Phosphoquat」(リン酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウム)、および種々の関連する対照のいずれかの種々の水性処理によりスチールパネル(S−46,オハイオ州,クリーブランド,Q−Panel Lab Productsから購入)を調製することを目的として行った。
【0041】
直径27.9cm(11インチ)で高さ27.9cm(11インチ)のプラスチックタンクを、パネルを処理するために用いた。プラスチックタンクには9600グラムの試験溶液を満たした。
【0042】
上端から6.35mm(1/4インチ)に位置する直径6.35mm(1/4インチ)のホールを有する10.16cm×15.24cm×1.59mm(4インチ×6インチ×1/16インチ)のスチール(S−46)パネルを、パネルのホールを通してプラスチックピペットを配置することにより処理した。3つのパネルまで同じピペットを用いて斜めに立てかけた。これはパネルを直立させることを可能にし、パネルの底部のみがタンクの底に接触していた。その後タンクを70℃のオーブンに1時間入れた。1時間後、パネルをタンクから取り出し、ペーパータオルで乾燥させた後、ビニールラップでラップして、ラベルを付した。調製した試験溶液は、以下のリストに含まれ得る。全ての濃度は重量パーセントで示す。CarboShield(登録商標)およびPhosphoquatについて示す濃度は、活性化合物の真の濃度である。
【0043】
試験溶液
脱イオン水
水道水(アレンデール,NJ)
5%塩(NaCl)水
脱イオン水中の0.1%CarboShield(登録商標)1000
水道水中の0.1%CarboShield(登録商標)1000
5%塩(NaCl)水中の0.1%CarboShield(登録商標)1000
脱イオン水中の0.1%Phosphoquat**)(pH=2.5)
脱イオン水中の0.1%Phosphoquat(pH=4.0)
脱イオン水中の0.1%Phosphoquat(pH=7.5)
脱イオン水中の0.1%Glycoquat***)(pH=7.5)
*)CarboShield(登録商標)1000は、(重)炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムの50%水溶液である(90モル%重炭酸塩、10モル%炭酸塩)。
【0044】
**)Phosphoquatは、CarboShield(登録商標)1000に対して特定されるpHを得るために必要な85%リン酸水溶液の量を添加により調製されるリン酸水素ジ−n−デシルジメチルアンモニウムの溶液である。
【0045】
***)Glycoquatは、CarboShield(登録商標)1000に対して特定されるpHを得るために必要なグリコール酸の量を添加することにより調製されるグリコール酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムの溶液である。
【0046】
スチールパネルを試験溶液で処理した後に、これらに3つの異なる塗料工程を用いて塗布した。2つのパネルは各々の塗布工程で塗布された。1つの塗布工程において、スチールパネルに、Rust−Oleum(登録商標)’s Peofessional High Performance Enamel(Hunter Green)spray paintを用いてスプレー塗布した。4つのスチールパネルを端と端をくっつけて平らに横たえ、約18gの塗料を用いてスチールパネルの上面にスプレイ塗布し、終夜乾燥させておいた。翌日、パネルの下側を同様の方法で処理した。第2の一組のパネルに、Rust−Oleum(登録商標)’s Painters Touch(登録商標)(Hunter Green)latex paintを用いて塗布した。塗料はスチールパネルにフォームローラー(foam roller)を用いて塗布した。全部で塗料の2回コートをスチールパネルの両側で行った。第3の一組のパネルを、Eコーティング(ポリマーベースのコーティング)として知られる工業用の塗布工程を用いて塗布した。これらのサンプルに、特許方法を用いてRoyal Eコート(コスタメサ,カリフォルニア)で塗布した。第4の一組のスチールパネル(未処理)に、CarboShield(登録商標)1000を0.1%、0.5%または1.0%加えたRust−Oleum(登録商標)’s Painters Touch(登録商標)(Hunter Green)latex paintを塗布した。第5の一組のスチールパネル(未処理)を、CarboShield(登録商標)1000、Phosphoquatまたはglycoquatを示す濃度で加えたRust−Oleum(登録商標)’s Gloss Protective Spray Enamel(Hunter Green)ペイントを用いて塗布した。
【0047】
全ての塗布したサンプルを、塩水噴霧試験(ASTM B117)についてAssured Testing Services(224River Rd.,リッジウエー,PA 15853)に送った。1組のパネルに、パネルの中心に「X」の刻みをつけた。刻みXについて剥がれた塗料の量を5つの異なる位置で測定した。測定を平均化した。より低い平均値であるほど、より優れた処理能力であった。サンプルを試験の過程中、異なる時間間隔で測定した。第2の組みはエッジ効果を防止するようにワックスでエッジコートした。刻みをつけないパネル表面を、全ての視覚可能なさびについて周期的に評価し、0〜100%で評価した。
【0048】
化成被覆/塗料/塩水噴霧試験結果
噴霧塗布した(エナメル)パネルは、対照パネルに対して、塗料付着における大きな改善を示した。評価したサンプルの殆どについて、ラテック塗料サンプルは、試験サンプルと対応する対照との間で違いを示さなかった。Eコートサンプルは、144時間後に剥がれる最小の塗料の量を示した。試験サンプルと対照との間に存在する差異に適切な結果を、以下の表1および2にまとめる。
【表1】

【0049】
データは、試験パネルがCarboShield(登録商標)1000およびPhosphoquat材料で予備処理された際に、市販のスプレーエナメルの場合における塗料剥がれに対する劇的な改善を示す。
【表2】

【0050】
表2に示す結果を図5にも示す。
【0051】
刻みをつけていない塗装パネルのもう1組を調製し、塩水噴霧曝露試験に供した。以下の表3は、試験サンプルと対照間に差異が存在する主要な結果の集計表である。
【表3】

【0052】
全体的に、このデータは、塩水噴霧試験における市販のラテックスおよびスプレーエナメル処理の全体のさびを有意に低減させるための、CarboShield(登録商標)1000およびPhosphoquat双方の型の「化成被覆」予備処理の劇的な能力を示す。
【表4】

【0053】
このデータは、CarboShield(登録商標)1000を市販の塗料配合中に直接的に取り込んだ際の塗料の剥がれにおける劇的な改善を示す。
【0054】
他の試験において、24〜456時間の塩水噴霧曝露後の視覚できるさびの量(%)を、種々の量のCarboShield(登録商標)1000(CS)を混ぜたラテックス塗料で塗布した刻みをつけない試験パネル表面について示す。データを以下の表5にまとめ、かつ図6に示す。
【表5】

【0055】
他の試験において、24〜168時間の塩水噴霧曝露後に視覚できるさびの量(%)を、種々の量のCarboShield(登録商標)1000(CS)、Phosphoquat、およびglycoquatを用いて光沢保護スプレーエナメルを用いて塗布した試験パネル表面について示す。データを以下の表6にまとめ、かつ図7に示す。
【表6】

【0056】
表5および6に示すデータは、CarboShield(登録商標)1000または関連するPhosphoquat若しくはglycoquat材料を市販の塗料配合に取り込んだ場合の、耐食性における劇的な改善を示す。
【0057】
例2および比較例1
ラテックス塗料を、表7に示す成分の量および順番並びに工程段階に従って配合した。1つの配合(例2)はCarboShield(登録商標)1000を含むが、一方他方の配合(比較例1)は非イオン性界面活性剤(Triton X−100)と一般的なさび止め剤(Canguard(登録商標)327)の組み合わせを含んだ。
【表7】

【0058】
Natrosol(登録商標)250 HBRは、Hercules Inc.,ウィルミントン,デラウェアの水溶性ヒドロキシエチルセルロースである。
Tamol(登録商標)850は、Rohm and Haas Co.,フィラデルフィア,ペンシルバニアのポリアクリル酸ナトリウムである。
Triton(登録商標)X−100は、Dow Chemical Companyのオクチルフェノールエトキシレートである。
Drewplus(登録商標)L−493は、Ashland Specialty Chemical Co.,ブーントン,ニュージャージーの消泡剤である。
Canguard(登録商標)327は、Dow Chemical Companyの子会社であるANGUS Chemical Companyのオキサゾリジンベースのさび止め剤である。
AMP−95(登録商標)は、ANGUS Chemical Companyから入手できる5%水を含む2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールである。
Ti−Pure(登録商標)R−931は、DuPont Titanium Technologies,ウィルミントン,デラウェアのルチル型二酸化チタン顔料である。
【0059】
Imsil(登録商標)A−15は、Unimin Specialty Minerals Inc.,Tamms,イリノイの微晶質シリカである。
UCAR(登録商標)123は、UCAR Emulsion Systems,カリー,ノールカロライナの高固体スチレン−アクリルバインダである。
Texanol(登録商標)は、Eastman Chemical Company,キングズポート,テネシーの2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラートである。
Acrosol(登録商標)RM−825は、BASF AG,ルートウィヒスハーフェン,ドイツのアクリレートコポリマーベースのレオロジー改変剤である。
【0060】
表7の調合物を、貯蔵安定性および粘度、並びに金属表面に対する塗布フィルムの耐洗浄性(scrub resistance)と隠蔽力について試験した。
【0061】
例2の調合物は、殆ど分離せずに幾日も安定であり、比較例1のものと比べてずっと優れていた。調合物はまた、比較調合物と比べて「よりクリーム状」(より望ましい)であった。この観察は、CarboShield(登録商標)1000は、ラテックス系に適合することを確認する。
【0062】
黒色点(を隠すコーティングの能力である隠蔽力は、比較例において96.8%であり、本発明による例において97.2%であった。このことは、CarboShield(登録商標)1000が、Triton(登録商標)X−100と比べてより良好に働くことを示す。隠ぺい力は、標準的なLeneta(タイプ2C)カード上に引き下ろされたバードバー(bird bar)(76.2μm=3ミル)を用いるコントラスト比により測定し、黒色および白色のL値(LABカラーシステム)の比として表現される。
【0063】
例2の調合物から調製した塗膜の耐洗浄性(scrub resistance)は、480サイクルで失われたが、比較例1の調合物から調製された塗膜の耐洗浄性はたった370サイクルで失われた。これは著しい約30%の改善である。耐洗浄性は、標準ASTM D2486方法を用いて測定した。
【0064】
光沢測定は、両方の調合物から調製されたコーティング間で殆ど違いがないことを示した。
【0065】
例2の調合物のストーマー粘度は比較例1のものよりもわずかに高く、83KU対73KUであった。このことは、調合物に添加する会合性増粘剤の量を低減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材の表面に化成被覆を形成するための方法であって、前記方法は、前記基材を、
(a)非ハロゲンアニオンを含む少なくとも1種の第四級アンモニウム塩、および
(b)任意に溶媒
を含む組成物に接触させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記第四級アンモニウム塩は、式
【化1】

(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRは互いに独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸のアニオン、並びにヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
n−が、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩およびグリコール酸塩から成る群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
およびRがメチル基である請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
がメチルであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
がベンジルまたはフェニルエチルである請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
およびRが同じC1−20アルキル基である請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
およびRがC10アルキル基である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
およびRがn−C10アルキル基である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第四級アンモニウム塩が、炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムおよび/または重炭酸ジ−n−デシルジメチルアンモニウムである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属基材がスチールである請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記スチールがコイル状シートスチール(coiled sheet steel)である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って処理した金属基材を含む製品。
【請求項14】
前記金属基材がスチールである請求項13に記載の製品。
【請求項15】
(a)非ハロゲンアニオンを含む少なくとも1種の第四級アンモニウム塩、
(b)バインダ、
(c)任意に溶媒、および
(d)任意に顔料
を含むさび止め塗料。
【請求項16】
前記第四級アンモニウム塩が、式
【化2】

(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRは互いに独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸のアニオン、並びにヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する請求項15に記載のさび止め塗料。
【請求項17】
前記バインダが、アクリル樹脂、カゼイン(牛乳のタンパク)、ビニール樹脂、ラテックス樹脂、アセテート樹脂、エポキシ樹脂、およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項15または16に記載のさび止め塗料。
【請求項18】
ラテックス塗料である請求項15または16に記載のさび止め塗料。
【請求項19】
エナメルスプレー塗料である請求項15または16に記載のさび止め塗料。
【請求項20】
eコート塗料である請求項15または16に記載のさび止め塗料。
【請求項21】
アクリル塗料である請求項15または16に記載のさび止め塗料。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか一項に記載のさび止め塗料を塗布した金属基材を含む製品。
【請求項23】

【化3】

(式中、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、Rは任意にアリール置換されたC1−20アルキル基であり、RおよびRは、互いに独立して、C1−4アルキル基であり、Xn−は、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、飽和および不飽和の非環式C1−20モノカルボン酸のアニオン、飽和および不飽和の非環式C2−20ジカルボン酸のアニオン、およびヒドロキシ置換されたカルボン酸のアニオンから成る群から選択されるアニオンであり、nは上記アニオンの負電荷の適切な数字を示す)
を有する第四級アンモニウム塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−92450(P2012−92450A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−241420(P2011−241420)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【分割の表示】特願2007−544824(P2007−544824)の分割
【原出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(592233462)ロンザ インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】