説明

化粧シート

【課題】低温化でも折り曲げ加工時に白化が起こることが無く、加工時の耐熱クリープ性も良く丸鋸またはテノーナー、ルーター等による切削加工を施した際に切削部にバリやヒゲなどが発生することのない化粧シートを提供すること。
【解決手段】基材上に絵柄模様層、接着剤層、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂層またはマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、表面保護層側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を架橋してなることを特徴とする。化粧シートとしての切削性と耐熱クリープ性の両立を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の化粧シートは、鋼板ラミネート用シート、建築内装材、外装材、アルミニウム基材へのラッピング用シート、木質系基材への積層、ラッピング、真空成形用に使われる化粧シートに関し、特にVカット加工やルーター加工するときの切削性が求められる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
鋼鈑のラミネート用や、窓枠やガレージなどのアルミニウム基材へのラッピング用に用いる化粧シートは、低温下で折り曲げ加工を行うと、折り曲げ部での白化が起こりやすかった。
【0003】
このためにマレイン酸変性ポリエチレン系樹脂やマレイン酸変成ポリプロピレン系樹脂などの比較的柔らかい樹脂層を間に設ける方法が考えられるが、加工時の耐熱クリープ性が悪く、丸鋸またはテノーナー、ルーター等による切削加工を施した際に、切削部にバリやヒゲなどが発生するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術における上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、低温化でも折り曲げ加工時に白化が起こることが無く、加工時の耐熱クリープ性も良く丸鋸またはテノーナー、ルーター等による切削加工を施した際に切削部にバリやヒゲなどが発生することのない化粧シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を解決するものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、基材上に絵柄模様層、接着剤層、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、表面保護層側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を架橋してなることを特徴とする化粧シートである。
【0006】
またその請求項2記載の発明は、基材上に絵柄模様層、接着剤層、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、表面保護層側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を架橋してなることを特徴とする化粧シートである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1、2記載の発明により、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂あるいはマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂を架橋させかつ一部劣化させる程度の条件の電子線を照射することで、化粧シートとしての切削性と耐熱クリープ性の両立を図ることが可能となるという作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の化粧シートを図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。基材1上に、絵柄模様層2、接着剤層3、マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4、透明熱可塑性樹脂層5、表面保護層6を少なくともこの順に設けてなる。
【0009】
またさらに図示しないが、通常の化粧シートなどと同様に、透明熱可塑性樹脂層5と表面保護層6の間にアンカー層を設けたり、表面に凹凸を設けたり、基材シート1の裏面にプライマー層などを適宜備えていても良い。
【0010】
本発明の基材1としては、熱可塑性樹脂からなるシートが使用可能であり、適宜着色剤、充填剤などの添加物を添加してもよい。シートの層厚としては50〜200μm程度が好適である。
【0011】
基材1としては、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂をカレンダー法によってシート化したものが好適である。化粧シートの切削加工時などに、シートが切削刃との間で引き延ばされることによってバリやヒゲや白化等が発生する可能性がある。しかしながら、カレンダー法によってシート化された基材2は、押出し成形されたものなどに比して柔軟性があり、これにより応力が緩和されることでバリやヒゲや白化等の発生が効果的に抑制される。
【0012】
また、基材1に無機充填剤を適宜添加することでも、これらバリやヒゲや白化等の発生が抑制される効果が得られる。充填剤の熱可塑性樹脂に対する部数は、2〜60重量%が望ましい。これ以下では効果がうすれ、これ以上だともろくなりすぎてシートの平滑性や強度が実用的でなくなる。
【0013】
絵柄模様層2は、本発明の化粧シートに絵柄による意匠性を付与するために設けられるものである。絵柄模様層2は、染料または顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂と共に適当な希釈溶媒中に溶解または分散してなる印刷インキまたは塗料等を使用して、例えばグラビア印刷法またはオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法またはロールコート法等の各種塗工法などによって形成されるのが一般的である。バインダー樹脂としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等またはそれらの混合物等がよく使用されるが、勿論これらに限定されるものではない。絵柄の種類は、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字または記号、それらの組み合わせ等、所望により任意であり、単色無地であっても良い。また、化粧シートの隠蔽性を向上するために、絵柄模様層2の裏面側に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキまたは塗料による隠蔽層が併設される場合もある。
【0014】
本発明における接着剤層3としては、絵柄模様層2と後述するマレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4とを接着可能なものであればよく、特にはイソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を使用することが最も好ましい。具体的には、主剤としては例えばポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール等であり、硬化剤としてはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が好適であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0015】
本発明におけるマレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4には、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂あるいはマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂が用いられる。ポリエチレンまたはポリプロピレンに無水マレイン酸を反応させ、直鎖状のポリオレフィンにマレイン酸残基を導入したものであり、マレイン酸に基づく酸基の作用により接着強度を高くすることができる。
【0016】
マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4は、絵柄模様2を設けた基材1と透明熱可塑性樹脂層5との接着性を向上させるために設けられる。そして、透明熱可塑性樹脂層5の表面に表面保護層6を設けたあとに表面側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂を架橋してなることで、マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂を架橋させかつ一部劣化させる程度の条件の電子線を照射することで、化粧シートとしての切削性と耐熱クリープ性の両立を図ることが可能となるという作用効果を奏する。
【0017】
本発明における透明熱可塑性樹脂層5は、絵柄模様層の上に設けることで絵柄模様に立体感と表面の各種耐性を与えるものであり、適宜凹凸を設けてさらに立体感を向上させても良い。
【0018】
基材1や透明熱可塑性樹脂層5に使用する熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、基本的には従来の一般の化粧シートに使用されていたものと同様のものを使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等、或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用することができる。なお、基材1や透明熱可塑性樹脂層5の材質は、同一であっても良いし、相異なっていても良い。また、基材1に上記の熱可塑性樹脂を複数混合しても良い。
【0019】
上記の各種の熱可塑性樹脂の中でも、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の様な塩素(ハロゲン)を含有する樹脂の採用は望ましいものではなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を採用することが望ましい。中でも各種物性や加工性、汎用性、経済性等の面からは、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。これらのうちポリオレフィン系樹脂は、従来よりポリ塩化ビニル樹脂を代替する化粧シート用材料として採用が進んでいたものの、切削加工性の悪さが目立つことが指摘されて来たが、本発明によって切削加工性の格段の改善が可能となり、本発明の効果が最も顕著に発現する素材でる。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した様に多くの種類のものが知られており、それらの中から化粧シートの使用目的等に応じて適宜選択して使用すれば良いが、中でも一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわちプロピレンを主成分とする単独または共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独または適宜配合したり、それらにさらにアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1またはオクテン−1、のコモノマーの1種または2種以上を15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体またはその水素添加物等の改質剤を適宜添加することもできる。
【0021】
基材1や透明熱可塑性樹脂層5には、必要に応じて例えば着色剤、充填剤(シリカ、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム等)紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤(ステアリン酸、金属石けん等)、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤、艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
【0022】
本発明の化粧シートの切削加工性をさらに向上させるために、透明熱可塑性樹脂層5の表面に、表面保護層6を設ける。この表面保護層6が、透明熱可塑性樹脂層5の表面側の伸びを抑制し、伸び率が一定以上に達したときに破断を容易にするので、切削加工時の応力によりバリやヒゲ、白化等の抑制に有効である。
【0023】
表面保護層6としては、2液硬化型のアクリルウレタン系樹脂または電離放射線硬化性樹脂からなるものが好適に使用可能である。アクリルウレタン系樹脂としては、2液硬化型のポリオールとイソシアネートを使用することができる。電離放射線硬化性樹脂としては、電子線または紫外線等の電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する、(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーを主成分とし、必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してなる組成物を使用することができる。
【0024】
上記重合性不飽和結合を有するプレポリマー及び/またはプレポリマーとしては、例えばメラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を挙げることができる。
【0025】
表面保護層6の厚みは、本発明において特に限定されるものではないが、薄すぎると効果に乏しく、厚すぎると可撓性が低下して割れ易くなるので、一般的には1〜20μm程度が好適であり、中でも3〜10μm程度が最も好適である。一方、アンカー層を持った化粧シートを木質基材に積層した後、表面保護層を設ける場合は、60μmから130μm程度まで塗装することができる。
【0026】
なお、この表面保護層6は、表面保護層や艶調整層としての機能を兼ねて設けることができ、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、滑剤、減摩剤、艶調整剤等の添加剤を適宜添加することもできる。或いは、必要に応じて、表面保護層5上に別途、表面保護層または艶調整層もしくはその両者の機能を兼ね備えた層を設けることも差し支えない。なお、表面保護層5は透明乃至半透明とされるのが通例である。
【0027】
本発明の化粧シートを製造する方法としては、基材1上に絵柄模様層2を形成した後、接着剤3を介して、マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂層4と透明熱可塑性樹脂層5とを共押出ししたシートを貼り合わせ、その後、表面にコーティングして表面保護層5を設けるという製造方法を主として想定したものである。しかしながら、特にこれに限定するものではない。
【0028】
本発明の化粧シートの表面に適宜設けられる凹凸(図示しない)は、化粧シートに立体的な意匠感を付与するために必要に応じて設けられるものである。凹凸の形状は所望により任意であり、例えば木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群または平行曲線群もしくはそれらの組み合わせ等の幾何学模様状等を挙げることができる。凹凸の形成は、透明熱可塑性樹脂5を着色熱可塑性樹脂2上に積層する前でも後でも良いし、ダブリングエンボス法または押出ラミネート同時エンボス法等により、積層と同時に形成することもできる。
【0029】
本発明の化粧シートの裏面に適宜設けられるプライマー層(図示しない)は、各種の化粧材用基材への接着に使用される接着剤との密着性を向上させるために、必要に応じて施されるものである。化粧材用基材として最も一般的な木質基材などへの接着剤としては、例えば酢酸ビニルエマルジョン系や2液硬化型ウレタン系などの接着剤が汎用されているので、プライマー層1はこれら汎用接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。具体的には、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を挙げることができ、中でもポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤などが有効である。また、例えばシリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨効果による接着力の向上などに有効である。
【実施例1】
【0030】
基材1として、厚さ80μmのカレンダー法にて製造した着色ポリエチレン系樹脂シート(RIVEST TPO リケンテクノス株式会社製、充填剤15部)を用いた。
絵柄模様層2として、前記基材1表面に、ウレタン系印刷インキにて絵柄を印刷した。
接着剤層3として、前記絵柄模様層上に、を乾燥後の塗布量が5g/mとなるように設けた。
マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4としてマレイン酸変性ポリエチレン系樹脂接着剤(アドマーMF550 三井化学(株)製)を用い、これを層厚20μmとなるようにして、透明熱可塑性樹脂層5となる厚さ60μmの透明ポリプロピレン系樹脂シートとともに押出成形して前記接着剤層上にラミネートした。
その後、表面保護層5として、前記透明熱可塑性樹脂層4上にアクリルウレタン系樹脂(UCクリヤー;大日本インキ化学工業(株)製)を乾燥後の塗布量が5g/mとなるように塗工して設けた。
最後に、前記表面後層5上から、20Gy(2Mrad)、加速電圧200kV、ライン速度11m/分の条件で電子線を照射し、本発明の化粧シートを得た。
【実施例2】
【0031】
マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層4としてマレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂接着剤(QE060 三井化学(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0032】
<比較例1>
電子線の照射を5Gyとした以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0033】
<比較例2>
電子線を110Gyとした以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0034】
<性能比較>
上記実施例1〜2、比較例1〜2の化粧シートを、厚さ12mmの合板の表面に、変性酢酸ビニル系接着剤(塗布量80g/mwet)を介して貼り合わせた。
その後、化粧シートの表面側から両側面へ片胴付き柄(ホゾ)を削り出すときのC面部を面取りカッター(刃物品番699−F466−400、外径×刃厚×座厚×軸穴径×刃数=275×3.0×2.5×50×40、回転数1500rpm)でC:0.3±0.1の寸法で切削加工を行い、切削部の状態を目視にて評価した。比較例1では柔らかすぎてヒゲが発生し、比較例2では脆くなって崩れが発生した。また、耐熱クリープ性は60℃一時間後に500gfで化粧シートを剥がそうとして剥がれた長さを測定した。比較例1では柔らかすぎて5mm剥がれ、比較例2では脆くなって10mm剥がれた。以上の結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明により、住宅等の建築物の内装材や造作材または玄関ドア、テラス、カーポート等の外装材、建具などの建築資材や、家具什器類、住設機器、家電製品、車両内装材等の表面化粧材に使用するためのポリオレフィン系熱可塑性樹脂からなる化粧シートに関するものであり、特に、切削加工時にバリやヒゲ、白化等の切削不良を発生しにくい、切削性に優れた化粧シート及び化粧材に関する。さらに、耐キャスター性、耐衝撃性優れた床材、腰壁等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1…基材
2…絵柄模様層
3…接着剤層
4…マレイン酸変成ポリオレフィン系樹脂層
5…透明熱可塑性樹脂層
6…表面保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に絵柄模様層、接着剤層、マレイン酸変性ポリエチレン系樹脂層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、表面保護層側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリエチレン樹脂を架橋してなることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
基材上に絵柄模様層、接着剤層、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層を少なくともこの順に設けてなる化粧シートにおいて、表面保護層側より10〜100Gyの条件で電子線を照射して前記マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を架橋してなることを特徴とする化粧シート。

【図1】
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【公開番号】特開2008−302545(P2008−302545A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150147(P2007−150147)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】