説明

化粧フレームの取付構造

【課題】固定ねじにて化粧フレームを壁に取付固定する場合において、万一固定ねじが壁裏の電気配線を損傷して裸の電線に触れた状態となることがあっても、化粧フレームの前面への電気の流れ込みを防止して、使用者が化粧フレームに触れても感電することのない化粧フレームの取付構造を提供する。
【解決手段】樹脂製で外表面全体に金属メッキ層が形成された化粧フレーム14を、ねじ孔36に挿通した固定ねじ18にて壁10に取付固定する取付構造において、化粧フレーム14の前面及び後面のねじ孔36周りの部分に絶縁性塗膜42を全周に亘り形成しておき、固定ねじ18と金属メッキ層とを絶縁性塗膜42にて電気的に絶縁しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は化粧フレームの取付構造に関し、特にフラッシュバルブ装置における操作パネルの保持用の化粧フレームの取付けに適用して好適な化粧フレームの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種化粧枠の取付構造として、従来、下記特許文献1に開示のものが公知である。
この特許文献1に開示のものは、化粧枠に設けたねじ孔に固定ねじを挿通し、これを取付板にねじ込むことで化粧枠を壁に取付固定するようにしている。
また取付板自体もねじにて壁に固定するようにしている。
【0003】
しかしながらこのように固定ねじにて化粧枠を壁に取付固定するようにした場合、壁裏に電気配線が施してあると固定ねじが電気配線を貫通してこれを損傷してしまうことがあり、この場合裸になった電線が固定ねじに触れて固定ねじまで電気が流れ込んで来てしまう。
【0004】
また壁裏に挟持プレートを配し、この挟持プレートと化粧フレームとを固定ねじにて締結し、それら挟持プレートと化粧枠とで壁を内外両側から挟み込む状態に化粧枠を壁に取付固定するようになした場合、挟持プレートが壁裏の電気配線を挟み込んでしまって同じくこれを損傷し、裸となった電線が直接固定ねじに接触したり或いは挟持プレートを介して接触し、固定ねじまで電気が流れ込んで来てしまうといったことが生ずる。
【0005】
而して化粧フレームの前面の表面層が導電性の金属層とされている場合、固定ねじまで流れ込んで来た電気が更に化粧フレームの表面の金属層まで流れ込んで来てしまう。
そしてこのように化粧パネルの表面層まで電気が流れ込んで来てしまうと、特にその化粧フレームがフラッシュバルブ装置等の操作パネルを保持するものである場合、使用者が操作パネルの操作部を操作する際に化粧フレームに触れてしまうと感電してしまう問題を生ずる。
【0006】
【特許文献1】実公平7−16827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、固定ねじにて化粧フレームを壁に取付固定するようになした場合において、万一固定ねじが壁裏の裸の電線と導通状態となったような場合においても、化粧フレームの前面への電気の流れ込みを防止して、使用者が化粧フレームに触れることによって感電してしまう問題を生じることのない、化粧フレームの取付構造を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して請求項1のものは、樹脂製で少なくとも前面の表面層が金属層とされた化粧フレームを、該化粧フレームに設けたねじ孔に挿通した固定ねじにて壁に取付固定するようになした化粧フレームの取付構造において、前記化粧フレームの前面の前記ねじ孔周りの部分を絶縁層として構成してあることを特徴とする。
【0009】
請求項2のものは、請求項1において、前記絶縁層が絶縁性塗膜にて構成してあることを特徴とする。
【0010】
請求項3のものは、請求項2において、前記絶縁層の形成部分が該絶縁層の形成前に部分的に凹又は凸面となしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0011】
以上のように本発明は、少なくとも前面の表面層が金属層とされた化粧フレームを固定ねじにて壁に取付固定する固定構造において、化粧フレームの前面のねじ孔周りの部分を絶縁層として構成したもので、本発明によれば、万一固定ねじまで電気が流れ込んで来ることがあっても、化粧フレームの前面のねじ孔周りの部分が絶縁層として構成してあるため、かかる固定ねじを介して化粧フレームの前面まで電気が流れ込むのを防止でき、従って使用者が化粧フレームの前面に触れたときに感電してしまうといった問題を解消することができる。
【0012】
本発明は、樹脂表面に金属メッキ層が形成してあるものに適用して好適なものである。
この場合、通常は化粧フレームの後面を含む外表面が全体的に金属メッキ層とされる。
この場合において後面のねじ孔周りの部分も上記の絶縁層として構成しておくことが望ましい。
また上記絶縁層は絶縁性塗膜にて構成しておくことができる(請求項2)。
この場合ねじ孔周りの部分に絶縁性塗料を塗布して塗膜形成しておき、その状態で化粧フレームの樹脂表面に金属メッキを施すことで、容易にねじ孔周りを絶縁層となしておくことができる。
【0013】
更にこの場合において、上記ねじ孔周りの絶縁層の形成部分を絶縁層形成前に部分的に凹又は凸面となしておくことができる(請求項3)。
このようにしておくと、作業者が手作業で絶縁性塗料を塗布する際にその凹又は凸面に塗料を塗布すれば良く、塗料の塗布範囲が明瞭となって塗布作業を行い易く、また確実に必要な範囲に亘って絶縁性塗料を塗布することができる。
【0014】
本発明は、特に化粧フレームがフラッシュバルブ装置における操作パネルの保持用のものである場合に適用して好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明を自動フラッシュバルブ装置における操作パネル保持用の化粧フレームの取付けに適用した場合の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図3において、10は壁で取付孔12が設けられている。
14は壁10の前面側に配置された化粧フレームで、16は壁10の裏側に配置された金属製の挟持プレートであり、それら化粧フレーム14と挟持プレート16とが4個の固定ねじ18にてねじ締結されている。
そしてそのねじ締結力に基づいてそれら化粧フレーム14と挟持プレート16とが、壁10を前後両側から挟持する状態に壁10に取付固定されている。
【0016】
図2及び図4に示しているように化粧フレーム14は矩形枠状をなしていて、その左右両側辺にマグネット20が取り付けられており、それらマグネット20による吸着力にて、壁10の前面側の操作パネル22が化粧フレーム14に保持されている。
ここで操作パネル22には後面側に操作部ユニット24が止めねじ26にて固定されている。尚28は押しボタン式の操作部である。
化粧フレーム14には、前面側に嵌込用の凹所50が設けられており、そこに操作パネル22が嵌め込まれ、その状態でマグネット20により保持されている。
【0017】
図2に示しているように、上記挟持プレート16もまた矩形枠状をなしており、その四隅に壁10側に直角に折れ曲がった挟持爪30が突設されて挟持プレート16はこれら挟持爪30を壁10の後面に突き当てて壁10を後側から挟持している。
この挟持プレート16には各コーナー部に雌ねじ部32が形成されており、それら雌ねじ部32に上記の固定ねじ18がねじ込まれている。
【0018】
図2の部分拡大図に示しているように、化粧フレーム14には各コーナー部に半円形状で突出する突出部34が設けられており、その突出部34の中心部にねじ孔36が形成されている。
上記固定ねじ18はこれらねじ孔36に挿通され、そして頭部38を化粧フレーム14の前面のねじ孔36周りに着座させる状態に、各先端部が壁10の裏側の挟持プレート16の雌ねじ部32にねじ込まれている。
【0019】
化粧フレーム14は樹脂製のものであって、その前面及び後面のねじ孔36周りの部分を除いた外表面全体に金属メッキ層40が樹脂基材39(図4の部分拡大図参照)上に形成されている。
【0020】
一方、化粧フレーム14の前面及び後面の何れもねじ孔36周りの部分に、全周に亘って絶縁性塗膜(絶縁層)42が形成されており、金属製の固定ねじ18と化粧フレーム14における金属メッキ層40とがこれら絶縁性塗膜42にて電気的に絶縁されている。
【0021】
化粧フレーム14には、前面及び後面何れにもねじ孔36周りに円弧状の凸条40が形成されていて、その凸条46の内側の部分、即ちねじ孔36側の部分が凹面48とされており、絶縁性塗膜42がこの凹面48に形成されている。
【0022】
本実施形態の取付構造においては、化粧フレーム14を壁10に取付固定するに際し、固定ねじ18を化粧フレーム14のねじ孔36を挿通してねじ込んだ際に、固定ねじ18の先端部が壁10の裏側の電機配線に当ったり貫通したりしてこれを損傷し、裸となった電線に固定ねじ18が接触して固定ねじ18に電気が流れ込むことがあっても、固定ねじ18と化粧フレーム14の外表面の金属メッキ層40とが絶縁性塗膜42にて電気的に絶縁されているため、金属メッキ層40まで電気が流れ込むことがなく、従って使用者が化粧フレーム14の前面に手を触れることがあっても感電を生じるといったことがない。
【0023】
またこの実施形態では化粧フレーム14の前面,後面ともにねじ孔36周りの部分が絶縁性塗膜42の形成前に凹面48とされているため、作業者がそこに刷毛塗り等にて絶縁性塗料を塗布するに際して塗料の塗布を行い易く、また塗料の塗布範囲が明瞭であるため確実に必要な範囲に亘って絶縁性塗料を塗布することができる。
【0024】
尚、化粧フレーム14の外表面に金属メッキを施すに際し、先ず予めねじ孔36周りの部分に絶縁性塗料を塗布して絶縁性塗膜42を形成しておく。その状態で化粧フレーム14を構成する樹脂基材39の表面に金属メッキを施す。
このとき、ねじ孔36周りの部分は絶縁性塗膜42にてマスクされた状態にあるため、そこには金属メッキ層が形成されず、自動的にこれを除いた部分だけ金属メッキ層が形成される。
【0025】
上記実施形態ではねじ孔36を取り巻くように凸条46を設け、その凸条46の形成によって内側に凹面48を形成しているが、図5(A)に示しているようにねじ孔36周りを段違い形状となして、その段違い形状に基づいて凹面48を形成するといったことも可能であるし、或いはまた図5(B)に示しているようにねじ孔36周りを凸面52となして、そこに絶縁性塗膜42を形成するといったことも可能である。
【0026】
また本発明はフラッシュバルブ装置における操作パネルの保持用の化粧フレームの取付けに適用して特に好適なものであるが、壁に取り付けられる他の様々な化粧フレームに適用することも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態の化粧フレームの取付構造を化粧フレーム取付状態で示す図である。
【図2】図1の取付構造を各部材に分解して示す斜視図である。
【図3】図1に示す取付構造を各部材に分解して示す側面断面図である。
【図4】図1〜図3における化粧フレームを単体状態で示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 壁
14 化粧フレーム
18 固定ねじ
22 操作パネル
36 ねじ孔
40 金属メッキ層
42 絶縁性塗膜
46 凸条
48 凹面
52 凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製で少なくとも前面の表面層が金属層とされた化粧フレームを、該化粧フレームに設けたねじ孔に挿通した固定ねじにて壁に取付固定するようになした化粧フレームの取付構造において
前記化粧フレームの前面の前記ねじ孔周りの部分を絶縁層として構成してあることを特徴とする化粧フレームの取付構造。
【請求項2】
請求項1において、前記絶縁層が絶縁性塗膜にて構成してあることを特徴とする化粧フレームの取付構造。
【請求項3】
請求項2において、前記絶縁層の形成部分が該絶縁層の形成前に部分的に凹又は凸面となしてあることを特徴とする化粧フレームの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−283354(P2006−283354A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103718(P2005−103718)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】