説明

化粧剤

【課題】 皮膚の角層を軟化してなめらかにし、湿潤性を与えて、たとえば脂足の人の嫌な悪臭を消臭することができる、化粧剤を提供する。
【解決手段】 この化粧剤は、サリチル酸系剤と石炭酸および/またはフェノール類とを含む混合物からなる化粧剤であって、担体に対して、サリチル酸系剤を10〜30gと、石炭酸および/またはフェノール類を6〜30gの割合でそれぞれ混合(添加)した、化粧剤である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚の角層を軟化してなめらかにし、湿潤性を与えて、たとえば脂足の人の嫌な悪臭を消臭することができる、化粧剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】皮膚の化粧剤として従来多数のものが提供されてきたが、その効力において決定的なものは未だ現れていない状態である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者は、医師・医学博士とともに行った多年の臨床外科及び皮膚科治療の経験及び研究の結果を踏まえ、有機性殺菌消毒剤として高純度エタノールにサリチル酸およびレゾルシンを混合することにより、特に脂足の消臭や皮膚の角層を軟化してなめらかにし、湿潤性を与え、洗浄作用にも優れるとともに、皮膚を再生することに対し著しい作用を奏することに着目し、外用の化粧剤として優れた効果が得られることを発見したものである。
【0004】それゆえに、この発明の主たる目的は、皮膚の角層を軟化してなめらかにし、湿潤性を与えて、たとえば脂足の人の嫌な悪臭を消臭することができる、化粧剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る化粧剤は、サリチル酸系剤と石炭酸および/またはフェノール類とを含む混合物からなる化粧剤であって、担体に対して、サリチル酸系剤を10〜30gと、石炭酸および/またはフェノール類を6〜30gの割合でそれぞれ混合(添加)した、化粧剤である。請求項2に係る化粧剤は、担体は、エタノール液である、請求項1に記載の化粧剤である。請求項3に係る化粧剤は、担体として100ccのエタノール液に対して、サリチル酸を10〜30gおよびレゾルシンを6〜30gの割合でそれぞれ混合(添加)した、請求項1に記載の化粧剤である。請求項4に係る化粧剤は、サリチル酸とレゾルシンの配合比は、1対1ないし3対2でそれぞれ混合(添加)した、請求項3に記載の化粧剤である。請求項5に係る化粧剤は、サリチル酸を15〜25g、レゾルシンを10〜20gの割合でそれぞれ混合(添加)した、請求項1および請求項4に記載の化粧剤である。請求項6に係る化粧剤は、メントールを微量添加した、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化粧剤である。
【0006】〔作用〕エタノールは殺菌や真菌の細胞膜に対する透過性に優れ、殺菌作用を有するものであり、特に高純度のエタノールを用いれば、抗真菌作用に極めて優れている。
【0007】また、サリチル酸は局部刺激作用に優れ、角質軟化性を有すると共に、抗真菌作用により白癬菌等の糸状菌に対する強い殺菌作用を有するものである。而して、本発明に係る化粧剤によれば、脂足を解消し消臭をするとともに、皮膚のかさかさした乾燥状態を解消し潤いを与えることができるとともに、患部の皮膚を脱落させて再生することができる。特に、サリチル酸にレゾルシンを加えることによって、塗布して後々痒み痛みもなく皮膚が自然に浮いてくる。また、新しい皮膚と古い皮膚との差もなくなる。もし、レゾルシンを加えなければ、また、配合比が違ってくれば、皮膚はうろこの様になって、取れにくくなり、再生はできない。また、メントールによって患部のかゆみ止め作用をなすとともに、清涼感を与える。
【0008】本願発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照しながら行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る化粧剤は、その主成分として日本薬局方所載の高純度の無水エタノール(純度95.1%〜95.6%)を有機性殺菌消毒剤とし、これに寄生性皮膚疾患に対する治療効果の顕著なサリチル酸及びレゾルシンを配合し、清涼剤及び香料としての少量のメントールを添加配合して成るものである。本剤において、上記の如くエタノールは、患部皮膚に対する優れた消毒作用をなすとともに、患部の皮膚組織下への浸透作用を促進し、更にサリチル酸およびレゾルシンにより殺菌作用をなし、脂足の消臭をするとともに皮膚のかさかさした乾燥状態を解消するものであり、かつメントールは患部の清涼作用を奏するものであり、これらの組み合わせ配合により得られる相乗効果により皮膚の角層を軟化してなめらかにし、湿潤性を与えて、たとえば脂足の人の嫌な悪臭を消臭することができるという顕著な効果が得られるものである。本発明に係る化粧剤において、上記各配合成分は、高純度エタノール 100ccサリチル酸 10〜30gレゾルシン 6〜30gメントール 微量の割合で混合するものである。
【0010】サリチル酸の一例としてのサリチル酸ナトリウムは、常温において白色の結晶もしくは粉末であり、匂いはなく甘味および塩味を有する物質である。サリチル酸の他の例としてのアセチルサリチル酸は、通常、解熱・鎮痛剤として使用されるものであるが、本発明においては上記サリチル酸ナトリウムと併用的に添加することによって、角質軟化作用ないし角質剥離作用を促進する上ですぐれた効果を発揮するものと考えられる。このサリチル酸の混合量としては、エタノール液100ccに対し、15〜25g程度が好ましい。また、レゾルシンの混合量としては、エタノール液100ccに対し、10〜25gが好ましい。特に、白癬菌などで皮膚が荒れている場合においては、前記サリチル酸の混合量が15〜20gに対し10〜20gが好ましく、また前記サリチル酸とレゾルシンの配合比は、1対1ないし3対2が好ましい。前記サリチル酸の混合量が10gまたはレゾルシンの混合量が10g未満の場合は、抗菌力ならびに角質軟化力は減少し、目的とする効果が得られにくく、レゾルシンが6g未満の場合は、皮膚の再生ができない。仮にできても、時間がかかり、再生する箇所と再生しない箇所といったように皮膚のムラができる。一方、サリチル酸の混合量が25gを超える場合またはレゾルシンが25gを超える場合にあっては、薬効が飽和し、逆に皮膚刺激作用が強まって、30gを超えると痒痛が増強し使用に適しなくなるので好ましくない。本発明においては、上記の有効成分の他に、メントールを微量含有させることができる。メントールは、主として香料として使用される。このような目的で添加されるメントールの添加量としては、極微量で足りる。
【0011】通常は,サリチル酸とレゾルシンを適当な液体担体(例えば溶剤)に溶解するか、あるいはこれに分散させ、また適当な固体担体(例えば希釈剤、増量剤)と混合するか、あるいはこれに吸着させ、所要の場合にはさらにこれらに、分散剤、乳化剤、懸濁剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、粘漿剤、安定剤などを添加し、溶液剤、顆粒剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、散剤、噴霧剤、パスター剤、パップ剤などを剤型として使用する。液体担体としては、例えば水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、グリコール、グリセリン等)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなど)等が用いられる。固定担体としては、例えばワックス類(ポリエチレングリコール4000、鯨蝋、木蝋など)があげられる。
【0012】なお、本発明において、100ccのエタノール液に10〜30gのサリチル酸および6〜30gのレゾルシンを混合(添加)した化粧剤の他に、それと同じ割合でそれらを混合したものでもよい。また、本剤の保管は、茶色のガラスビン等によって行うことが、太陽光線等の影響を少なくする意味でよい。
【0013】(使用例)その1A氏 男性(59歳)
(a)使用開始時の所見足が脂足であり悪臭を放つ状態。
(b)使用法100ccのエタノール液に15〜25gのサリチル酸および10〜25gのレゾルシンを混合(添加)した化粧剤を、1日1回患部へ塗布する。主として、サリチル酸とレゾルシンの配合比は、1対1のものを用いた。それを5日間連続して行う。
(c)症状の変化使用を始めて3日目から皮膚の表皮が浮き徐々に皮膚が再生される等、症状の変化が顕れ、32日目には全体的にそろった皮膚が再生された。そして、特に、脂足は、古い皮膚が浮いてきて脱落し、再生した美しい皮膚となることにより解消する。再生した美しい皮膚と古い皮膚との間の色の差は出ず、再生した皮膚の部分に痛み・かゆみも出てこない。それにともない悪臭も消える。水虫特有のむずかゆさは、1回目〜3回目塗布することにより、すぐになくなっていく。3日目(3回塗布)ぐらいより皮膚ははがれてくるが、その上より4回目〜5回目と塗布するとよい。指の間は、一度だけ皮膚が再生するのではなく、古い皮膚は数回(2〜3回)再生する。1ヵ月後ぐらいには、全体そろった美しい皮膚が再生されている。
【0014】(使用例)その2B氏 男性(35歳)
(a)使用開始時の所見足が脂足であり悪臭を放つ状態。
(b)使用法100ccのエタノール液に15〜25gのサリチル酸および10〜25gのレゾルシンを混合(添加)した化粧剤を、1日1回患部へ塗布する。主として、サリチル酸とレゾルシンの配合比は、6対5のものを用いた。それを3日間連続して行う。
(c)症状の変化使用を始めて3日目から皮膚の表皮が浮き徐々に皮膚が再生される等、症状の変化が顕れ、30日目には全体的にそろった美しい皮膚が再生された。そして、特に、脂足は、古い皮膚が浮いてきて脱落し、再生した美しい皮膚となることにより解消する。再生した美しい皮膚と古い皮膚との間の色の差は出ず、再生した皮膚の部分に痛み・かゆみも出てこない。それにともない悪臭も消える。
【0015】(使用例)その3C氏 男性(45歳)
(a)使用開始時の所見足が脂足であり悪臭を放つ状態。
(b)使用法100ccのエタノール液に15〜25gのサリチル酸および10〜25gのレゾルシンを混合(添加)した化粧剤を、1日1回患部へ塗布する。主として、サリチル酸とレゾルシンの配合比は、3対2のものを用いた。それを5日間連続して行う。
(c)症状の変化使用を始めて3日目から皮膚の表皮が浮き徐々に皮膚が再生される等、症状の変化が顕れ、30日目には全体的にそろった皮膚が再生された。そして、特に、水虫の箇所は、古い皮膚が浮いてきて脱落し、再生した美しい皮膚となる。再生した美しい皮膚と古い皮膚との間の色の差は出ず、再生した皮膚の部分に痛み・かゆみも出てこない。においも消える。水虫特有のむずかゆさは、1回目〜3回目塗布することにより、すぐになくなっていく。3日目(3回塗布)ぐらいより皮膚ははがれてくるが、その上より4回目〜5回目と塗布するとよい。指の間は、一度だけ皮膚が再生するのではなく、古い皮膚は数回(2〜3回)再生する。1ヵ月後ぐらいには、全体そろった美しい皮膚が再生されている。
【0016】(使用例)その4D氏 男性(56歳)
(a)使用開始時の所見足が脂足であり悪臭を放つ状態。
(b)使用法100ccのエタノール液に15〜20gのサリチル酸および10〜25gのレゾルシンを混合(添加)した化粧剤を、1日1回患部へ塗布する。主として、サリチル酸とレゾルシンの配合比は、4対3のものを用いた。それを3日間連続して行う。
(c)症状の変化使用を始めて3日目から皮膚の表皮が浮き徐々に皮膚が再生される等、症状の変化が顕れ、30日目には全体的にそろった皮膚が再生された。そして、特に、水虫の箇所は、古い皮膚が浮いてきて脱落し、再生した美しい皮膚となる。再生した美しい皮膚と古い皮膚との間の色の差は出ず、再生した皮膚の部分に痛み・かゆみも出てこない。においも消える。爪の生え変わり周期は3ヵ月であるが、数ヵ月で徐々に悪い爪も美しくなる。
【0017】
【発明の効果】請求項1ないし請求項5にかかる発明によれば、脂足や皮膚がかさかさした乾燥状態で治療を要する患部に対し、皮膚消毒性、皮膚殺菌性、皮膚浸透性、皮膚脱落性、皮膚湿潤性、消臭性および皮膚再生性に優れ、皮膚の表皮等を菌とともに取り去ることができる、化粧剤を得ることができる。そして、痛み・かゆみはすぐに解消され、塗布による痛み痒みの発生がない。また、塗布するたびに、皮膚が美しくなり爽やかであり、新旧の皮膚の色の差がない。治療は一度で終わるのではなく、時期がくれば何度行ってもよい。皮膚が浮いて剥がれても、炎症・化膿・痛み・痒み等の発生はなく、脂足で悪臭を放っていた状態が消え消臭され、皮膚のかさかさした乾燥状態も解消される。サリチル酸にレゾルシンを加えることによって、塗布して後々痒み痛みもなく皮膚が自然に浮いて(再生して)くる。また、新旧の皮膚の色の差もできない。レゾルシンを加えることにより、また、配合比を変えることにより、角質をおかすことなく皮膚再生が可能になってくる。レゾルシンを加えなければ、また、レゾルシンの配合比を少なくすると新旧の皮膚の色の差はもとより、皮膚がうろこのようになって取れにくく、角質をおかさずしての再生は(難しい)できない。請求項6にかかる発明によれば、患部のかゆみ止め作用を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 サリチル酸系剤と石炭酸および/またはフェノール類とを含む混合物からなる化粧剤であって、担体に対して、前記サリチル酸系剤を10〜30gと、前記石炭酸および/またはフェノール類を6〜30gの割合でそれぞれ混合(添加)した、化粧剤。
【請求項2】 担体は、エタノール液である、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項3】 担体として100ccの前記エタノール液に対して、サリチル酸を10〜30gおよびレゾルシンを6〜30gの割合でそれぞれ混合(添加)した、請求項1に記載の化粧剤。
【請求項4】 前記サリチル酸と前記レゾルシンの配合比は、1対1ないし3対2でそれぞれ混合(添加)した、請求項3に記載の化粧剤。
【請求項5】 前記サリチル酸を15〜25g、前記レゾルシンを10〜20gの割合でそれぞれ混合(添加)した、請求項1および請求項4に記載の化粧剤。
【請求項6】 メントールを微量添加した、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化粧剤。

【公開番号】特開2000−212019(P2000−212019A)
【公開日】平成12年8月2日(2000.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−9144
【出願日】平成11年1月18日(1999.1.18)
【出願人】(598170442)
【Fターム(参考)】