説明

化粧品及び医薬品使用のための精油を含有する糖系界面活性剤マイクロエマルジョン

本発明は、様々な植物精油、糖系界面活性剤、多価アルコール、及び水相を含有する、熱力学的に安定な生体適合性の環境に優しい温度非依存性(temperature-insensitive)のマイクロエマルジョンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水相及び多価アルコールと組み合わせて様々な精油を含有し、生体適合性の糖系界面活性剤(単数又は複数)を用いて安定化される、パーソナルケア及び医薬品用途のための、マイクロエマルジョンに関する。
【発明の背景】
【0002】
現在のところ、多くのパーソナルケア産業及び医薬品産業は、顧客に対して様々な送達形態の商品を提供している。或る典型的なよく知られている製品は、局所付与用のクリーム、ローション、及びゲル形態などのエマルジョンである。化粧品及び医薬品使用のためのエマルジョンの設計は、かなり複雑であり、これらの形態の重大な欠点は、不混和性の2液相への分離(すなわち、相分離)を引き起こす熱力学的不安定性である。一般に、エマルジョンの安定度は、粒子サイズ減少とともに増加する。この点で、この欠点を克服する、新規で有効な送達システム開発の必要性が存在する。
【0003】
近年、従来のエマルジョンの強力な代替として並びに化粧品及び薬物送達システムの可能な候補として、マイクロエマルジョンに対する関心がますます多く生じてきた。マクロエマルジョンとは違い、マイクロエマルジョンは、光透過性で、熱力学的に安定であり、低い粘性を持ち、界面活性分子の界面膜により安定化される、油相と水相の等方性ナノ分散である。マイクロエマルジョンの構造は、3つの明確な型に分類される:すなわち(a)連続油相の中に水相が分散している油中水型マイクロエマルジョン;(b)油相と水相のミクロドメインがほぼ等容量でシステム中に相互に分散している両連続型マイクロエマルジョン;及び(c)連続水相の中に油相が分散している水中油型マイクロエマルジョン;である。
【0004】
合成添加剤の潜在的副作用についての関心が増加しているため、化粧品及び医薬品使用において可能性のある抗酸化剤及び抗菌剤として使用することができる天然の精油に対して、消費者の関心が高まりつつある。一般に、エマルジョンは、パーソナルケア用途において及び経口又は局所使用の医薬品用途において、ローション、顔用化粧液、シャンプー、香水及び石鹸の製造に使用される。これらの効果は通常、希釈した油を皮膚へ付与することにより達成される。大抵の精油は、精油を種々のキャリアオイル(例えば、大豆油、甘扁桃油、ひまし油、及び杏仁油)で希釈し、次いでこのブレンドを吸収させるために、皮膚へ付与することにより使用される。マイクロエマルジョン送達システムを含む精油系配合物の研究は、その心理的及び身体的治療効果のため幅広く研究されてきた。
【0005】
米国特許第4,568,480号明細書は、アルコキシル化フェノール誘導体とともに種々の芳香及び香味油を含有し、更に追加の界面活性剤をも含有することができるマイクロエマルジョンの調製を開示している。これらのマイクロエマルジョンは、5〜70重量%、好ましくは10〜30重量%のアルコキシル化フェノール誘導体エステル、約0〜40重量%の油相、約30〜90重量%の水及び0〜40重量%の任意の追加のアルコキシル化リン酸エステルを含有する。
【0006】
米国特許第5,468,725号明細書は、水、1以上の疎水性芳香油、少なくとも1以上のカチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を含有し、低級アルカノールをほとんど又は全く含まず、アルコールを含まない透明な香水配合物を開示している。米国特許第5,707,610号明細書は、アニオン界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム及びテトラデシル硫酸ナトリウム)と組み合わせて、安息香酸ナトリウム、弱カルボン酸、及び着香料を含む抗菌性口腔衛生組成物を開示している。米国特許第6,323,171号明細書は、硬表面をきれいにして消毒するためのマイクロエマルジョン形態の多目的液体洗浄剤を開示する。前記洗浄剤は、0.1〜3重量%の精油、香水、又は炭化水素成分を含むことができ、少なくとも1のエトキシル化非イオン界面活性剤(例えば、Plurafacea(R)(BASF)、Tween(R)(ICI)、及びNeodol(R)(Shell))、グリース除去剤としてのカチオン界面活性剤、並びに抗菌剤としての両性界面活性剤の混合物を0.1〜20重量%の範囲で含むことができる。米国特許第6,902,756号明細書は、透明飲料の着香効果を目的として、透明で熱力学的に安定な濃縮した水中油型マイクロエマルジョンの調製を開示している。前記マイクロエマルジョンは、9〜18の間の親水性親油性比(HLB)を有する少なくとも2つの食品等級非イオン界面活性剤(例えば、Tween(R)、Span(R)、Glycosperse(R)、及びPolyaldo(R)シリーズ(ICI社製))とともに、少なくとも30重量%の香味油を含有する。
【0007】
先行技術の配合物を用いる精油の適用は、かなりの欠点を有する。比較的高い油相含量のせいで、皮膚はねばねばして脂っこい感じがして(特に油性肌)、その皮膚吸収及び貯蔵寿命は比較的乏しい。更に、化粧品及び薬物送達賦形剤として一般に使用される精油を含有するマクロエマルジョン配合物は、主として合体及びフロキュレーションにより、熱力学的に不安定でもある。液滴サイズは、非常に大きく、典型的には1〜20μmの範囲で、結果的に濁った乳状の溶液となる。小さい粒子サイズを得ることは、より安定で優雅な(elegant)エマルジョン製品にとって、一つの重要な問題である。液滴サイズを所望のレベルまで低減するために、高せん断ミキサー又は高圧ホモジナイザーによる特別な外部エネルギーが必要とされる。更に、水不溶性又は難水溶性(sparingly water soluble)の化粧品及び医薬品成分の水相溶液中溶解度が乏しいことは、化粧品及び医薬品送達システムにとって重大な技術的障害でもある。配合物中で所望の濃度を得るために、水中油型マクロエマルジョンが一般に使用されてきた。
【0008】
マイクロエマルジョンシステムは、マクロエマルジョンと比較して非常に良い利点を有するけれども、それでもなお解決すべきいくつかの問題を有している。M.A.Thevennin et al.,“Sucrose esters/cosurfactant microemulsion systems for transdermal delivery:assessment of bicontinuous structures,”International Journal of Pharmaceutics.137,177−186(1996)は、水と、油相としてのオクタン酸セテアリルと、共界面活性剤としてのアルカノールとを含有する、局所使用のためのマイクロエマルジョンを配合するための、スクロースエステルの性能を記載している。スクロースエステル系マイクロエマルジョンのために使用される共界面活性剤としてのアルカノール量が高いこと及びマイクロエマルジョン領域が比較的狭いことにより、実際の適用にはいくらか制限が有り得る。米国特許第4,568,480号明細書に記載されたマイクロエマルジョンは、時に皮膚に対してアレルギー反応を引き起こすことがある比較的高含量の界面活性剤及び共界面活性剤を用いて調製され、50〜70℃の範囲の高温では、その物理的安定度が低い可能性がある。米国特許第5,468,725号及び第5,707,610号明細書に記載されているマイクロエマルジョンの必須成分として、強い洗浄効果を有する従来のアニオン界面活性剤を使用することは、他の活性成分の不安定性及び失活並びにpH依存的感受性のために、重要な欠点である。上に記載した米国特許第6,323,171号及び第6,902,756号明細書では、潜在的に毒性で不安定であるだけでなく複雑な界面活性剤システムが採用され、環境に対して有害である可能性がある。非イオン界面活性剤により安定化されるマイクロエマルジョンは、温度上昇とともに界面活性剤溶解度が減少するために、温度に対してかなり敏感に反応し、これによりしばしば転相現象を示す。この非イオン界面活性剤による転相現象により、化粧品及び医薬品送達システムとしてのマイクロエマルジョンの開発に対して、いくつかの問題が引き起こされ得る。
【0009】
前述のことに鑑みて、必要とされるのは、生体適合性で、非毒性の、臨床的に許容可能なマイクロエマルジョン配合物を用いる材料であり、マイクロエマルジョンそのものが、広い範囲の温度で、温度非依存性(temperature-insensitive)であるべきである。本発明は、これらの必要性及びその他の必要性を満たすものである。
【発明の要約】
【0010】
本発明は、熱力学的安定度、光透過性及び温度非依存性(temperature -insensitivity)を有するマイクロエマルジョンを提供する。有利には、マイクロエマルジョンは、自発的な形成を経て、調製や使用が単純容易である。
【0011】
このため、或る実施態様においては、本発明は、
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含む局所付与用マイクロエマルジョンを提供する。
【0012】
特定の観点においては、本発明は、更に、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、その誘導体又はその組み合わせ)を含むことができる。
【0013】
他の観点においては、本発明は、更に、活性剤(例えば、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤又はその組み合わせ)を含むことができる。
【0014】
本発明のマイクロエマルジョンは、長い貯蔵寿命を保証し、広い温度範囲にわたり温度非依存性(temperature-insensitive)の、優れた熱力学的安定度を有する。
【0015】
特定の観点においては、本発明は、実質的にアルカノールを含まない糖系界面活性剤マイクロエマルジョン配合物である。
【0016】
別の実施態様においては、本発明は、局所付与用マイクロエマルジョンを製造する方法を提供するものであって、前記方法が、
(a)界面活性剤及び場合により共界面活性剤を精油と混合して、油相を形成すること;
(b)油相を水に添加して、粗マクロエマルジョンを形成すること;並びに
(c)粗マクロエマルジョンを振盪し及び撹拌して、自発的にマイクロエマルジョンを形成すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0017】
なお、更に別の実施態様においては、本発明は、局所付与治療用薬物の製造において、
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含むマイクロエマルジョンの使用を提供する。
【0018】
本発明は、皮膚問題(例えば、皮膚の加齢、感染、又は疾患)のケア及び治療のために適用することができる。
【0019】
以下の添付図及び詳細な説明を参照することにより、前記の並びにその他の観点、利点及び実施態様はより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1は、安定なマイクロエマルジョン領域を説明する本発明のマイクロエマルジョンの擬三元(pseudoternary)状態図を示す図である。
【0021】
図2は、安定なマイクロエマルジョン領域を説明するトリアセチンを含有するマイクロエマルジョンの擬三元(pseudoternary)状態図を示す図である。
【0022】
図3は、25℃〜70℃の範囲の温度での水中油型マイクロエマルジョンのZ−平均粒子サイズを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0023】
I.概要
本発明は、化粧品及び医薬品用途における局所使用のための、生体適合性で熱力学的に安定な温度非依存性(temperature-insensitive)のマイクロエマルジョンに関する。特定の実施態様においては、前記マイクロエマルジョンは、実質的にアルカノールを含まず、改良された皮膚柔和性と減少した皮膚刺激性を有する。有利には、水中油型マイクロエマルジョンは、水不溶性成分(例えば、水不溶性ビタミン)、又は、難水溶性成分に対して特に有用である。マイクロエマルジョンは、熱力学的に安定であり、非常に低い界面張力のせいで穏やかな撹拌及び振盪とともに自発的に形成する。特定の観点においては、平均マイクロエマルジョン液滴直径は、約10〜100nmである。
【0024】
II.マイクロエマルジョン
或る実施態様においては、本発明は:
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含む局所付与用マイクロエマルジョンを提供する。
【0025】
本発明は、広い温度範囲(例えば、5〜70℃)にわたり、熱力学的に安定で、温度非依存性(temperature-insensitive)である。
【0026】
特定の事例においては、本発明で使用される主要な界面活性剤としての界面活性剤は、一般にスクロースエステルと呼ばれるスクロース脂肪酸エステルであり、親水基としてのスクロースと、疎水基としての脂肪酸とを有する非イオン界面活性剤である。
【0027】
特定の事例においては、スクロース脂肪酸エステルを含む界面活性剤(surface-active agents;surfactants)は、マイクロエマルジョンの形態にある組成物中の油と水との界面に存在する。界面活性剤の親水性親油性比(HLB)は、水又は油に対する乳化剤の親和性を記述する。HLB目盛は、1(完全に親油性)〜20(完全に親水性)の範囲にあり、10は両特性が等バランスにあることを表す。親油性乳化剤は、油中水(w/o)型エマルジョンを形成し;親水性界面活性剤は、水中油(o/w)型エマルジョンを形成する。2つの乳化剤のブレンド品のHLBは、乳化剤「A」の重量分率×そのHLB値、プラス乳化剤「B」の重量分率×そのHLB値(加重平均)に等しい。本発明による界面活性剤は、組成物の水相と油相を含むエマルジョンを安定化するのに適したHLB値を有する。
【0028】
本発明の1つ以上の実施態様によれば、界面活性剤は、約9と約14以上との間の親水性親油性比(HLB)を有し、それは、大部分の油及び疎水性溶媒の必要HLB(所与の油のO/Wエマルジョンを安定化するのに必要なHLB)である。従って、1以上の実施態様においては、組成物は、約9と14以上との間のHLB値を有する単一の界面活性剤を含有し、そして1つ以上の実施態様においては、組成物は、1を超える界面活性剤を含有し、それらのHLB値の加重平均は、約9と約14以上との間にある。
【0029】
特定の観点においては、糖系界面活性剤は、約1重量%〜約20重量%で存在し、好ましくは、約5%〜約15重量%で存在する。或る観点においては、糖系界面活性剤は、5〜16の間の親水性親油性比(HLB)を有するスクロースエステルである。特定の他の観点においては、界面活性剤システムは、7〜16の間のHLB値を有し、好ましくは、15又はそれより高いHLB値を有する。本発明のマイクロエマルジョンは、異なるHLB値を有する糖系界面活性剤の混合物を有することができ、例えば、5の値を有する一つの界面活性剤と16の値を有するもう一つの界面活性剤との混合物などを有することができる。すべてのそのような組み合わせが本発明の範囲内にある。
【0030】
適切なスクロースエステルとしては、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース又はその組み合わせが挙げられる。好ましくは、スクロースエステルは、ラウリン酸スクロースである。当業者は、本発明において使用するのに適した他のスクロースエステルについて知っているであろう。
【0031】
特定の観点においては、糖界面活性剤は、アルキルポリグルコシドである。アルキルポリグルコシドは、アルキル鎖の長さとそれに連結するグルコース単位の平均数、すなわち重合度を特徴とする(Rybinski et al.,Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,1328−1345を参照のこと)。アルキルポリグルコシドは、Akzo Nobel(Stenungsund,Sweden)、BASF、Henkel(Deusseldorf,Germany)、ICI(Middlesborough,U.K.)、SEPPIC、及びUnion Carbide(Danbury,USA)から商業的に入手可能である。適切なアルキルポリグルコシドとしては、C8〜16デシルグルコシド、C8〜16ココグルコシド、C12〜16ラウリルグルコシド又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。誤解を避けるために付記すると、アルキルポリグルコシド分子は、炭素鎖分布のある(例えば、多分散の)ポリグルコシド単位、例えば、「C8〜16」すなわち重合度8〜16個のグルコース単位、に結合するアルキル官能基、例えば、「デシル基」からなる。好ましい観点においては、アルキルポリグルコシドは、約1重量%〜約5重量%で存在する。
【0032】
特定の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、共界面活性剤を含む。組成物中に使用される好ましい共界面活性剤は、FDAによりGRAS(Generally Recognized As Safe:一般に安全と認められる)と評価されている。適切な共界面活性剤としては、多価アルコール(例えば、二価アルコール、三価アルコール又は糖アルコール)が挙げられるがこれに限定されるものではない。特定の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、多価アルコールを約1重量%〜約10重量%の量で含有する。
【0033】
或る好ましい観点においては、二価アルコールは、グリコールである。適切なグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。好ましい観点においては、共界面活性剤は、プロピレングリコールである。他の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、三価アルコール(例えば、グリセリン)を含む。
【0034】
特定の他の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、糖アルコールを含む。適切な糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0035】
特定の実施態様においては、本発明は、精油、薬学的に許容可能な油、又はその組み合わせを含むマイクロエマルジョンを提供する。或る観点においては、油は、約0.5重量%〜約10重量%の量で存在する。
【0036】
好ましくは、精油は、植物抽出物に由来する。本発明のマイクロエマルジョンでの使用に適当な油の非限定例としては、ユーカリ油、ラベンダー油、ティーツリー油、緑茶油、ローズマリー油、パチョリ油、シダーウッドアトラス油、クローブリーフ油、パルマローザ油、グレープフルーツ油、ベルガモットカラブリアン油、松根油、カルダモン油、ペパーミント油、桂皮油、及びイランイラン油又はその混合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。特定の観点においては、本発明に使用される油相としては、水蒸気蒸留により植物の種々の部分から普通に抽出される天然精油が挙げられる。
【0037】
或る観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、更にビタミンを含む。特定の好ましい観点においては、難水溶性のビタミン(例えば、ビタミンA、E、及びK並びにその誘導体)は、特に本発明に適している。或る観点においては、ビタミンは、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0038】
別の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、本発明の文脈で有用な抗酸化剤又はラジカルスカベンジャーを含む。前記抗酸化剤又はラジカルスカベンジャーとしては、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、トコフェロール(ビタミンE)、及びその誘導体(例えば、ソルビン酸トコフェロール、その他のトコフェロールエステル)、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びその塩、6−ヒドロキシ−2、5、7、8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、没食子酸及びそのアルキルエステル(特に、没食子酸プロピル)、尿酸並びにその塩及びそのアルキルエステル、並びに、ソルビン酸及びその塩が挙げられ、更に、EDTA、及びBHTなどと同様に、脂肪酸のアスコルビルエステル、アミン(例えば、N、N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノグアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、並びにジヒドロキシフマル酸及びその塩を使用することができる。
【0039】
特定の実施態様においては、本発明は、更に増粘剤を含むマイクロエマルジョンを提供する。適切な増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カラゲナン又はその組み合わせが挙げられる。或る観点においては、増粘剤は、例えば、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する。他の観点においては、増粘剤は、局所使用のための所望の粘性を改良するために、重量で0.1〜5重量%の量で使用することができる。
【0040】
好ましくは、増粘剤は、実質的に他の成分に対して化学的に不活性である。増粘剤は、合成物質又は天然に生ずる物質であることができる。ある実施態様においては、増粘剤は、親水コロイドであり、例えば、寒天、アルギネート、アラビノキシラン、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロース、カードラン、ゼラチン、ジェラン、β−グルカン、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、デンプン、カルボマー、又はキサンタンガムである。ある実施態様においては、増粘剤は、天然ガムであり、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、カラゲナン(アルギネートガム)、ペクチン又はグアーガムである。ある実施態様においては、増粘剤は、キサンタンガムである。
【0041】
特定の好ましい観点においては、本明細書に記載するマイクロエマルジョンは、実質的にアルカノールを含まない。本明細書に使用する「実質的にアルカノールを含まない」とは、約2.0%未満又は約0%を意味する。
【0042】
特定の観点においては、本発明のマイクロエマルジョンは、更なる活性成分の有無にかかわらず、「美容的」皮膚障害(例えば、皮膚の老化、しわ、色素過剰症(黒皮症、褐色斑、及びそばかすなど)、鱗状皮膚及びその他の皮膚の望ましくない特性)を治療するための、「薬用化粧品」調製品(治療効果を有する化粧品)としての更なる用途に適している。
【0043】
特定の観点においては、用語「化粧用活性剤」は、化粧品組成物の主要な機能(単数)又は機能(複数)を遂行するために作用する主な成分(単数)又は成分(複数)を指す。任意の化粧用活性剤が、本発明の文脈で、「活性剤」と考えられる。CTFA Cosmetic Ingredient Handbookには、スキンケア産業で一般に使用される、本発明の組成物での使用に適当な、広範囲の限定されない化粧用活性剤が記載されている。これらの成分の部類の例としては:研磨剤、吸収剤、化粧用成分(例えば、芳香剤)、色素、着色剤/着色料、精油、アストリンゼント、クローブ油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メチル、ウィッチヘーゼル留出物、抗ざ瘡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、生物学的添加剤、化粧用アストリンゼント、化粧用殺生剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白及び美白剤(例えば、ハイドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルグルコサミン)、皮膚コンディショニング剤(例えば、混合型及び閉塞型を含む保湿剤)、皮膚鎮静及び/又は治癒剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム)、並びにビタミン及びその誘導体が挙げられる。
【0044】
特定の他の実施態様においては、本発明のマイクロエマルジョンは、更に活性剤を含む。適切な活性剤としては、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0045】
特定の好ましい観点においては、抗菌性物質としては、クロラムフェニコール、合成及び半合成ペニシリン、β−ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド系抗生物質、アゼライン酸、サリチレート、ペプチド系抗菌性物質、サイクロスポリン又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0046】
特定の他の観点においては、抗生物質としては、クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、薬学的に許容可能なその塩、又はそのプロドラッグが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0047】
特定の好ましい観点においては、抗真菌剤としては、クロトリマゾール、ミコナゾール、メトロニダゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール又はスルコナゾールが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0048】
特定の他の実施態様においては、レチノイドとしては、ビタミンA、レチノール(cis又はtrans)、レチナール(cis又はtrans)、レチノイン酸(cis)、トレチノイン、ヒドロキシレトロレチノール、ジデヒドロレチノイン酸、エトレチネート、パルミチン酸レチニル、β−カロテン、タザロテン、アシトレチン、アダパレン又はその組み合わせが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0049】
特定の好ましい観点においては、殺虫剤は、天然殺虫剤である。
【0050】
特定の他の実施態様においては、マイクロエマルジョンは、乾癬及び他の皮膚炎症性状態の治療に役立つ、ω−3及びω−6脂肪酸(例えば、リノール及びリノレン酸、γ−リノール酸(GLA)、エイコサペンタエン酸(EPA)並びにドコサヘキサエン酸(DHA))を含有する多価不飽和脂肪酸などの抗酸化剤であって、皮膚保護及び再生のための前記抗酸化剤を送達するのに適している。同様に、皮膚軟化薬及びシリコーン油は、皮膚に対して、保湿及び皮膚保護効果を与える。従って、皮膚軟化薬、シリコーン油(単数)及びシリコーン油(複数)から選択され、不飽和脂肪酸に富み、従って抗酸化スカベンジャー剤と賦形剤成分との相乗的治療効果を与える疎水性溶媒を全部又は一部に含む、皮膚保護組成物が提供される。
【0051】
III.調製
別の実施態様においては、本発明は更に、本明細書に記載するマイクロエマルジョンを製造する方法を提供する。本発明は、局所付与用マイクロエマルジョンを製造する方法を提供するものであって、前記方法が:
(a)界面活性剤及び場合により共界面活性剤を精油と混合して、油相を形成すること;
(b)油相を水に添加して、粗マクロエマルジョンを形成すること;並びに
(c)粗マクロエマルジョンを振盪し又は撹拌して、自発的にマイクロエマルジョンを形成すること、
を含む、前記方法を提供する。
【0052】
この実施態様においては、方法は、界面活性剤及び場合により共界面活性剤を精油と混合して、油相を形成することを含む。好ましくは、油を、連続的で穏やかな撹拌下に、界面活性剤混合物へ添加する。この観点においては、配合物中の油相は、連続的水相中に分散される。好ましくは、二重濾過(0.45μm,ミリポア)脱イオン水を、水相として用いる。界面活性剤と油との混合物を、水相に添加して、透明な単相溶液が2以上の相を示す不透明混合物(すなわち、粗マクロエマルジョン)に変わるまで添加する。安定なマイクロエマルジョンは自発的に形成して、穏やかに手で振盪し又は撹拌することにより短時間のうちに平衡に達する。その後、次いで各相の溶液を、光学顕微鏡により及び/又は交差偏光下に調べて、それが等方相であるかそれとも液晶相であるかを決定することができる。それは、交差位置に配置された偏光(例えば、一方の投光器−受光器対が「垂直偏光」であり、他方の対が「水平偏光」である平面偏光;これにより、そのとき一番暗いマトリックス外観が生ずる)を用いて操作することができる。
【0053】
さて、図1を参照すると、そこに示すように、本発明のマイクロエマルジョンは、擬三元(pseudoternary)状態図を与える。この観点においては、マイクロエマルジョンは、スクロースモノラウレート、精油、及び脱イオン水を含有する。安定なマイクロエマルジョン領域は、重量基準で、上方の境界曲線(例えば、ユーカリ油系マイクロエマルジョン)の上の斜線部分(「ME」)に出現する。或る観点においては、この斜線部分は、本発明の成分の好ましい重量パーセンテージを表す。
【0054】
同様に、図2を参照すると、擬三元(pseudoternary)状態図は、スクロースモノラウレート、油相としての精油とトリアセチンとの混合物、及び、水相としての脱イオン水を含有するマイクロエマルジョンを説明する。安定なマイクロエマルジョン領域は、重量基準で、上方の境界曲線(例えば、ユーカリ油系マイクロエマルジョン)の上の斜線部分(「ME」)に出現する。或る観点においては、この斜線部分は、本発明の成分の好ましい重量パーセンテージを表す。
【0055】
特定の実施態様においては、本発明は、良好な生物学的適合性を有する化粧品及び医薬品用途のクリーム、ゲル、又はスプレー形態として、皮膚表面に局所送達システムとして付与することができる。本発明はまた、皮膚の老化及び疾患を引き起こす遊離基を減少させる皮膚抗酸化剤、並びに種々の感染性病原体の増殖を阻害する抗菌薬(単数又は複数)として使用することもできる。
【0056】
特定の事例においては、マイクロエマルジョンは、pH調整剤(例えば、酸、塩基、緩衝対又は緩衝剤)を含有する。ある実施態様においては、pH調整剤は、緩衝剤(例えば、所望のpHを安定に維持する緩衝対)である。選ばれる緩衝剤又は緩衝対の選択は、含まれる活性成分に依存するであろう。適当な緩衝剤は、所望のpHにある又はその付近にあるようなpKa値を有するであろう。マイクロエマルジョンのpHは、配合物に含まれる活性剤に依存するであろう。最終pHは、活性剤の化学的及び物理的安定度を増進するであろう。
【0057】
IV.使用
なお、更に他の実施態様においては、本発明は、局所付与治療用薬剤の製造において、
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含むマイクロエマルジョンの使用を提供する。
【0058】
特定の実施態様においては、マイクロエマルジョンは、更に、活性剤(例えば、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤及びその組み合わせ)を含む。
【0059】
特定の実施態様においては、マイクロエマルジョンは、ざ瘡、しわ及び瘢痕の治療において有用である。有用な抗ざ瘡活性物質の例としては、治療的有効濃度にある、レゾルシノール、硫黄、サリチル酸及びサリチレート、α−ヒドロキシ酸、非ステロイド性抗炎症薬、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、イソレチノイン酸及びその他のレチノイド化合物、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸及びアゼライン酸誘導体、抗生物質製剤(例えば、エリスロマイシン及びクリンダマイシン)、亜鉛塩及び錯体、並びにその組み合わせが挙げられる。
【0060】
特定の実施態様においては、マイクロエマルジョンは抗しわ/抗萎縮活性剤のための有用な賦形剤であり、例えば、含硫D及びLアミノ酸及びその誘導体並びに塩(特に、N−アセチル誘導体);チオール;ヒドロキシ酸(例えば、乳酸及びグリコール酸及びその誘導体並びに塩のα−ヒドロキシ酸;又は、例えば、サリチル酸及びサリチル酸塩並びに誘導体のβ−ヒドロキシ酸)、尿素、ヒアルロン酸、フィチン酸、リポ酸;リゾホスファチジン酸、皮膚剥離剤(例えば、フェノール、及びレゾルシノールなど)、ビタミンB3化合物(例えば、ナイアシンアミド、ニコチン酸及びニコチン酸塩並びにエステル、例えば非血管拡張性ニコチン酸エステル(例えば、ニコチン酸トコフェリル)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸ニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシド及びニコチンアミドN−オキシド)、ビタミンB5及びレチノイド(例えば、レチノール、レチナール、レチノイン酸、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、アスコルビン酸レチニル)である。乾燥鱗状皮膚(乾燥症)及び魚鱗癬の場合において、前記薬剤は、これらの病態と関連するかゆみの一時的軽減により症状を緩和することができる。
【0061】
本発明は、本発明のマイクロエマルジョンを患部に局所的に付与することにより皮膚病態を治療的及び予防的に治療する方法をも提供する。本発明による治療に適した皮膚病態の例としては、発疹、湿疹、接触性皮膚炎、ざ瘡(尋常性ざ瘡及び酒さ性ざ瘡を含む)、真菌性感染症、及び細菌感染症などが挙げられる。
【0062】
マイクロエマルジョンをざ瘡病変が存在するか又は存在しそうな領域にある皮膚に付与することにより、ざ瘡を治療的にも予防的にも治療する。マイクロエマルジョンは、一般に、マイクロエマルジョンが部分的に又は完全に吸収及び/又は吸着されるまで、皮膚中に擦りこまれる。マイクロエマルジョンは、必要に応じ、又は医療サービス提供者による指示どおりに、1日に1、2、3、4回又は4回以上付与することができる。
【0063】
V.実施例
以下の実施例は、更に本発明を説明する。
【0064】
実施例1は、純粋な精油を油相として含有する、いくつかのアルカノールを含まないマイクロエマルジョン配合物を説明する。
【表1】

【0065】
実施例2は、精油と薬学的に許容可能な油との混合物を油相として有する、いくつかのアルカノールを含まないマイクロエマルジョン配合物を説明する。
【表2】

【0066】
図3に示すように、スクロースモノラウレート、油相としての精油とトリアセチンとの混合物、及び、水相としての脱イオン水を含有する水中油型マイクロエマルジョンの25〜70℃の範囲におけるZ−平均粒子サイズ。有利には、これらの配合物の液滴サイズは、温度の変化に対して感受性が低かった。
【0067】
実施例3は、抗酸化剤としての難水溶性ビタミンを有する、マイクロエマルジョンを説明する。
【表3】

【0068】
実施例1、2及び3に記載する本発明のマイクロエマルジョンの物理的安定度を更に、5000xgで30分間の遠心分離試験、及び異なる貯蔵温度(5〜70℃)で24時間の凍結−解凍試験により調べた。試験したマイクロエマルジョンはすべて、最大70℃まで温度非依存性(temperature-insensitive)であり、室温で6カ月を超えていずれの相変化及び/又は相分離もなく、安定であった。
【0069】
本明細書に引用したすべての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照することにより組み込まれるべく具体的に個別に指示されたかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。前述の発明は、理解を明瞭にする目的で説明図と実施例を手段としていくらか詳細に記載してきたが、添付した特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、それに加えて特定の変更及び修正がなされ得ることは、本発明の教示に照らして、当業者には容易に明らかであろう。

【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所付与用マイクロエマルジョンであって、前記マイクロエマルジョンが:
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含む、前記マイクロエマルジョン。
【請求項2】
前記糖系界面活性剤が、約1重量%〜約20重量%で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項3】
前記糖系界面活性剤が、5〜16のHLBを有するスクロースエステルである、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項4】
前記スクロースエステルが、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項5】
前記スクロースエステルが、ラウリン酸スクロースである、請求項4に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項6】
前記アルキルポリグルコシドが、C8〜16デシルグルコシド、C8〜16ココグルコシド、C12〜16ラウリルグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項7】
前記アルキルポリグルコシドが、約1重量%〜約5重量%で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項8】
前記多価アルコールが、約1重量%〜約10重量%で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項9】
前記多価アルコールが、二価アルコール、三価アルコール、糖アルコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項10】
前記二価アルコールが、グリコールである、請求項8に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項11】
前記グリコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項10に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項12】
前記三価アルコールが、グリセリンである、請求項8に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項13】
前記糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項8に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項14】
前記精油が、約0.5重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項15】
前記精油が、植物抽出物に由来する、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項16】
前記精油が、ユーカリ油、ラベンダー油、ティーツリー油、緑茶油、ローズマリー油、パチョリ油、シダーウッドアトラス油、クローブリーフ油、パルマローザ油、グレープフルーツ油、ベルガモットカラブリアン油、松根油、カルダモン油、ペパーミント油、桂皮油、イランイラン油及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項15に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項17】
前記マイクロエマルジョンが、更にビタミンを含む、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項18】
前記ビタミンが、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項17に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項19】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、その誘導体及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項17に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項20】
前記マイクロエマルジョンが、更に増粘剤を含む、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項21】
前記増粘剤が、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項20に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項22】
前記増粘剤が、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カラゲナン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項20に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項23】
前記マイクロエマルジョンが、実質的にアルカノールを含まない、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項24】
前記マイクロエマルジョンが、更に活性剤を含む、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項25】
前記活性剤が、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項26】
前記抗菌性物質が、クロラムフェニコール、合成及び半合成ペニシリン、β−ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド系抗生物質、アゼライン酸、サリチレート、ペプチド系抗菌性物質、サイクロスポリン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項25に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項27】
前記抗生物質が、クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、薬学的に許容可能なその塩、及びそのプロドラッグからなる群から選択される構成員である、請求項25に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項28】
前記抗真菌剤が、クロトリマゾール、ミコナゾール、メトロニダゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナゾールからなる群から選択される構成員である、請求項25に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項29】
前記レチノイドが、ビタミンA、レチノール(cis又はtrans)、レチナール(cis又はtrans)、レチノイン酸(cis)、トレチノイン、ヒドロキシレトロレチノール、ジデヒドロレチノイン酸、エトレチネート、パルミチン酸レチニル、β−カロテン、タザロテン、アシトレチン、アダパレン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項25に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項30】
前記殺虫剤が、天然殺虫剤である、請求項25に記載のマイクロエマルジョン。
【請求項31】
マイクロエマルジョンの使用であって、局所付与治療用薬物の製造において、前記マイクロエマルジョンが:
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含む、前記使用。
【請求項32】
前記糖系界面活性剤が、約1重量%〜約20重量%で存在する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記糖系界面活性剤が、5〜16のHLBを有するスクロースエステルである、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
前記スクロースエステルが、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項31に記載の使用。
【請求項35】
前記スクロースエステルが、ラウリン酸スクロースである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記アルキルポリグルコシドが、C8〜16デシルグルコシド、C8〜16ココグルコシド、C12〜16ラウリルグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項31に記載の使用。
【請求項37】
前記アルキルポリグルコシドが、約1重量%〜約5重量%で存在する、請求項31に記載の使用。
【請求項38】
前記多価アルコールが、約1重量%〜約10重量%で存在する、請求項31に記載の使用。
【請求項39】
前記多価アルコールが、二価アルコール、三価アルコール、糖アルコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項31に記載の使用。
【請求項40】
前記二価アルコールが、グリコールである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記グリコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記三価アルコールが、グリセリンである、請求項39に記載の使用。
【請求項43】
前記糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項39に記載の使用。
【請求項44】
前記精油が、約0.5重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項31に記載の使用。
【請求項45】
前記精油が、植物抽出物に由来する、請求項31に記載の使用。
【請求項46】
前記精油が、ユーカリ油、ラベンダー油、ティーツリー油、緑茶油、ローズマリー油、パチョリ油、シダーウッドアトラス油、クローブリーフ油、パルマローザ油、グレープフルーツ油、ベルガモットカラブリアン油、松根油、カルダモン油、ペパーミント油、桂皮油、イランイラン油及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記マイクロエマルジョンが、更にビタミンを含む、請求項31に記載の使用。
【請求項48】
前記ビタミンが、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、その誘導体及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
前記マイクロエマルジョンが、更に増粘剤を含む、請求項31に記載の使用。
【請求項51】
前記増粘剤が、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
前記増粘剤が、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カラゲナン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項50に記載の使用。
【請求項53】
前記マイクロエマルジョンが、実質的にアルカノールを含まない、請求項31に記載の使用。
【請求項54】
前記マイクロエマルジョンが、更に活性剤を含む、請求項31に記載の使用。
【請求項55】
前記活性剤が、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項31に記載の使用。
【請求項56】
前記抗菌性物質が、クロラムフェニコール、合成及び半合成ペニシリン、β−ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド系抗生物質、アゼライン酸、サリチレート、ペプチド系抗菌性物質、サイクロスポリン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
前記抗生物質が、クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、薬学的に許容可能なその塩、及びそのプロドラッグからなる群から選択される構成員である、請求項55に記載の使用。
【請求項58】
前記抗真菌剤が、クロトリマゾール、ミコナゾール、メトロニダゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナゾールからなる群から選択される構成員である、請求項55に記載の使用。
【請求項59】
前記レチノイドが、ビタミンA、レチノール(cis又はtrans)、レチナール(cis又はtrans)、レチノイン酸(cis)、トレチノイン、ヒドロキシレトロレチノール、ジデヒドロレチノイン酸、エトレチネート、パルミチン酸レチニル、β−カロテン、タザロテン、アシトレチン、アダパレン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項55に記載の使用。
【請求項60】
前記殺虫剤が、天然殺虫剤である、請求項55に記載の使用。
【請求項61】
局所付与用マイクロエマルジョンを製造する方法であって、前記方法が:
(a)界面活性剤及び場合により共界面活性剤を精油と混合して、油相を形成すること;
(b)油相を水に添加して、粗マクロエマルジョンを形成すること;並びに
(c)粗マクロエマルジョンを振盪し及び撹拌して、自発的にマイクロエマルジョンを形成すること、
を含む、前記方法。
【請求項62】
前記マイクロエマルジョンが:
(a)スクロースエステル、アルキルポリグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される糖系界面活性剤20重量%以下;
(b)多価アルコール10重量%以下;
(c)精油、薬学的に許容可能な油、及びその組み合わせからなる群から選択される油10重量%以下;並びに
(d)水95重量%以下、
を含む、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項63】
前記糖系界面活性剤が、約1重量%〜約20重量%で存在する、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項64】
前記糖系界面活性剤が、5〜16のHLBを有するスクロースエステルである、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項65】
前記スクロースエステルが、ミリスチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ステアリン酸スクロース及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項66】
前記スクロースエステルが、ラウリン酸スクロースである、請求項65に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項67】
前記アルキルポリグルコシドが、C8〜16デシルグルコシド、C8〜16ココグルコシド、C12〜16ラウリルグルコシド及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項68】
前記アルキルポリグルコシドが、約1重量%〜約5重量%で存在する、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項69】
前記多価アルコールが、約1重量%〜約10重量%で存在する、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項70】
前記多価アルコールが、二価アルコール、三価アルコール、糖アルコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項71】
前記二価アルコールが、グリコールである、請求項70に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項72】
前記グリコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項71に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項73】
前記三価アルコールが、グリセリンである、請求項70に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項74】
前記糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、キシリトール及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項70に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項75】
前記精油が、約0.5重量%〜約10重量%の量で存在する、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項76】
前記精油が、植物抽出物に由来する、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項77】
前記精油が、ユーカリ油、ラベンダー油、ティーツリー油、緑茶油、ローズマリー油、パチョリ油、シダーウッドアトラス油、クローブリーフ油、パルマローザ油、グレープフルーツ油、ベルガモットカラブリアン油、松根油、カルダモン油、ペパーミント油、桂皮油、イランイラン油及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項76に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項78】
前記マイクロエマルジョンが、更にビタミンを含む、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項79】
前記ビタミンが、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項78に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項80】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、その誘導体及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項78に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項81】
前記マイクロエマルジョンが、更に増粘剤を含む、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項82】
前記増粘剤が、0.01重量%〜約5重量%の量で存在する、請求項81に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項83】
前記増粘剤が、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カラゲナン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項81に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項84】
前記マイクロエマルジョンが、実質的にアルカノールを含まない、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項85】
前記マイクロエマルジョンが、更に活性剤を含む、請求項61に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項86】
前記活性剤が、抗菌性物質、抗生物質、抗真菌剤、レチノイド、殺虫剤及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項85に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項87】
前記抗菌性物質が、クロラムフェニコール、合成及び半合成ペニシリン、β−ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド系抗生物質、アゼライン酸、サリチレート、ペプチド系抗菌性物質、サイクロスポリン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項86に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項88】
前記抗生物質が、クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、薬学的に許容可能なその塩、及びそのプロドラッグからなる群から選択される構成員である、請求項86に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項89】
前記抗真菌剤が、クロトリマゾール、ミコナゾール、メトロニダゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール及びスルコナゾールからなる群から選択される構成員である、請求項86に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項90】
前記レチノイドが、ビタミンA、レチノール(cis又はtrans)、レチナール(cis又はtrans)、レチノイン酸(cis)、トレチノイン、ヒドロキシレトロレチノール、ジデヒドロレチノイン酸、エトレチネート、パルミチン酸レチニル、β−カロテン、タザロテン、アシトレチン、アダパレン及びその組み合わせからなる群から選択される構成員である、請求項86に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。
【請求項91】
前記殺虫剤が、天然殺虫剤である、請求項86に記載のマイクロエマルジョンを製造する方法。

【公表番号】特表2010−537977(P2010−537977A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522871(P2010−522871)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000284
【国際公開番号】WO2009/029046
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】