説明

化粧品組成物、化粧処置方法、および化合物

本発明は、OH-官能化またはCOOH-官能化されたワックスと、次式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含んでおり、1種または複数のパートナー結合基と水素結合を確立することができる結合基との間の反応によって得ることができる化合物を、化粧品として許容される媒体中に含む化粧品組成物に関する。


本発明は、前記化合物を使用する化粧処置方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官能化ワックスと結合基との間の反応によって得られる化合物を含む化粧品組成物に関し、前記組成物を使用する化粧処置方法、および前記化合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの化粧品組成物では、ワックスは、組成物にいくらかコシを与えるために、油および他の脂肪物質との混合物として使用される。こうした組成物は、皮膚および/または毛髪の、メイクアップおよび/またはケア分野に、主に用途が見出される。ワックスは、組成物に質感を与えるために汎用され、概して経時的に非常に安定である。
【0003】
しかし、ワックスと揮発性製品、特に化粧品組成物に一般に存在する揮発油との間に、力学的安定性および/または適合性の問題が発生することがある。ワックスの含量が低い場合、組成物、例えばスティックなどの硬さが不十分であることが実際に指摘されており、それは、安定性または使用に関する問題の原因となる恐れがある。硬化ワックスの割合を単純に増加しても、こうした問題を解決することはできない。その理由は、これが概して製品の化粧品特性の劣化に反映され、付け心地が悪くなるためである。
【0004】
実際には、ある場合には、組成物が、べた付き感および脂っぽい付着層の感触を有することがあり、特に組成物が多すぎる量のワックスを含む場合は、塗布することが困難であることがある。その上、ケラチン支持体上に形成された付着層は、特にワックスの濃度が高いと、不均等になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第898960号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第898958号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Folmerら、Adv.Mater、12、874〜78(2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、化粧品中のワックスの量を制限し、それにより不適合性の問題を回避するために、適正な硬化を得ることができる、すなわち適正なゲル化力を有するワックスを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の主題は、
- OHまたはCOOHから選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する、少なくとも1種のワックスと、
- 1種または複数のパートナー結合基と水素結合を確立することができる、少なくとも1種の結合基であって、結合基の各対合が、少なくとも4個の水素結合を伴い、前記結合基が、ワックスが有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1種の「相補的な」反応性官能基を有し、前記結合基が、下記に定義される通りの式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含む結合基と
の間の反応によって得ることができる化合物を、化粧品として許容される媒体中に含む化粧品組成物である。
【0009】
得られる化合物は、本発明の別の主題を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ワックスをウレイドピリミドンで官能化することによって、ケラチン物質上に均一な付着層を、またはさらには薄膜に近い特性を有する付着層を得ることができ、よって、等価な硬化に少量のワックスを使用すること、あるいは、べとべとするもしくは脂ぎった影響を塗布に及ぼすことなく高濃度で使用することができる。
【0011】
本発明に従って官能化されたワックスは、固体状である。これにより、特に、ケラチン基材に塗布したときに指に移らない非粘着性物質を形成することが可能となる。
【0012】
また、ウレイドピリミドン基を介する4個の水素結合による架橋結合により、こうした架橋結合の強度を増大させることができ、よって、所望の化粧効果の耐摩耗性、最も特に付着層の耐摩耗性を向上させることができることを見出した。
【0013】
さらに、本発明による化合物または官能化ワックスは、通常の化粧品媒体、特に通常の化粧用油性媒体中に移し易い。
【0014】
これらは、化粧品分野、特にメイクアップにおいてその使用を容易にする、化粧品用の油性または溶媒媒体、特に、油、脂肪アルコールおよび/または脂肪エステル中に容易に移される。これらは、様々な化粧用油性媒体、例えば植物油、アルカン、エステル(それが酢酸ブチルもしくは酢酸エチルなどの短鎖エステルであろうと、脂肪エステルであろうと)、および脂肪アルコールなどにおいて、最も特に、イソドデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノールおよび/またはC12〜C15安息香酸アルキルを含む媒体において、適切な溶解性を示す。
【0015】
本発明による化合物は、
- 第1に、OHまたはCOOHから選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する、少なくとも1種のワックスと、
- 第2に、1種または複数のパートナー結合基と水素結合を確立することができる、少なくとも1種の結合基であって、結合基の各対合が、少なくとも4個の水素結合を伴い、前記結合基が、ワックスが有する反応性官能基と反応することができる少なくとも1種の「相補的な」反応性官能基、特にイソシアネートを有し、前記結合基が、下記に定義される通りの式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含む結合基と
の間の反応によって得ることができる。
【0016】
よって、最終的に、本発明による化合物は、ワックスに由来する少なくとも1つの部分と、結合基に由来する少なくとも1つの部分(G)とを含み、前記部分(G)が、式(I)または(II)の少なくとも1つの単位を含む。
【0017】
特に、前記部分は、共有結合を介して結合し、特に、ワックスが有するOHおよび/またはCOOH反応性官能基と、結合基が有する、前記OHおよびCOOH官能基と反応することができる相補的な反応性官能基、特にイソシアネートとの間の反応中に形成される共有結合により結合することができる。
【0018】
したがって、本発明に関連して使用することができるワックスは、結合基が有する相補的な反応性官能基と反応することができる、特に、結合基が有するイソシアネート基と化学的に反応することができる、少なくとも1種の反応性官能基を有する。好ましくは、この官能基はOHもしくはCOOH官能基、またはさらにはカルボン酸無水物官能基である。該ワックスは、好ましくはOH官能基のみを、優先的には一級または二級OH官能基を、さらに良好には一級OH官能基のみを有する。
【0019】
本発明による化合物を調製するために使用することができるワックスは、25℃で結晶であり、周囲温度かつ大気圧下(25℃、1気圧)で固体であり、好ましくは、可逆的に固体/液体状態が変化し、融点が概して40℃超、さらに良好には55℃超、なおさら良好には75℃超であり、それが最大200℃まで、特に最大120℃まで及んでもよい、親油性の脂肪物質または親油性の脂肪物質の混合物である。ワックスをその融点にすることによって、油と混和させ、微視的に均一な混合物を形成することができるが、混合物の温度を周囲温度に戻せば、混合物の油からワックスの再結晶が得られる。
【0020】
本発明に関連して使用することができるワックスは、植物、鉱物、動物、または合成由来であってもよい。
【0021】
これらは、以下のワックスから単独でまたは混合物として選択することができ、こうしたワックスは、反応性官能基、特にOH、COOH、またはさらには無水物反応性官能基を有すると理解される。
【0022】
(i)式CH3-(CH2)n-OH(nは、13から60の間、特に15から47の間、またはさらには15から31の間)の、長鎖の、通常直鎖のアルコール。
【0023】
かかる脂肪アルコールは、例えば、New Phase Technologies社またはPetrolite社から市販されている。これらは、極めて低い多分散度指数(Mw/Mnが1.1未満)を有するポリマーを得ることを可能とする重合法により得ることができる、長鎖の直鎖アルコールの混合物であってもよい。これらの重量平均モル質量(Mw)は、概して350から1000の間である。特に、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびオクタコサノールを挙げることができる。
【0024】
(ii)飽和または不飽和の、通常直鎖のC8〜C60長鎖酸。特に、式CH3-(CH2)n-COOH(nは6から58の間、特に8から48の間、またはさらには10から32の間)のものを挙げることができる。C6〜C60またはさらにはC8〜C32の、一不飽和または多価不飽和脂肪酸も挙げることができる。
【0025】
(iii)ラノリン脂肪酸カルシウムまたはステアリン酸カルシウム。
【0026】
(iv)ラノリンおよびその誘導体、例えば、水添、ヒドロキシル化、またはアセチル化ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、およびアセチル化ラノリンアルコールなど。
【0027】
(v)好ましくは、融点が25℃超、好ましくは25から110℃の間であり、任意選択によりポリオキシアルキレン化(C2〜C3アルキル)され、任意選択により(ポリ)グリセロール化され、少なくとも1つの官能基-OH、-COOH、またはカルボン酸無水物を有し、例えば、-(ポリオキシアルキレン)n-OHまたはポリグリセロールを有する、ポリオレフィンワックス、特に、ポリ(アルファ-オレフィン)ホモポリマーおよびコポリマー。
【0028】
こうしたポリオレフィンのうち、C2〜C30、好ましくはC2〜C10、またはさらにはC2〜C3オレフィンの、ホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。ポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマー、および、互いとのまたは別のC4〜C10アルファオレフィンとのこれらのコポリマーが特に好ましい。こうしたポリオレフィン、好ましくはMWが10,000未満のオリゴマーは、既知の重合技術、すなわち、ラジカル重合、チーグラーナッタ重合、またはメタロセン開始剤を使用することにより得ることができる。
【0029】
特に、以下を挙げることができる。
- OH末端基を末端とする、ポリエチレンまたはポリプロピレンワックス、例えば、New Phase Technologiesにより販売されるPerformacol製品、特にPerformacol 350(融点79℃)、425(融点91℃)および550(融点99℃)など、
- -(POE)-OH、-(PPO)-OHまたは-(POE)/(PPO)-OH末端基を末端とする、ポリオキシエチレン化またはポリオキシプロピレン化されたポリエチレンまたはポリプロピレンワックス、例えば、New Phase Technologiesにより販売されるPerformatox Ethoxylate エトキシ化ポリエチレン、特に、Performatox Ethoxylate 420(融点91℃)、450(融点91℃)、480(融点88℃)、490(融点71℃)、520(融点99℃)および550(融点99℃)など、
- グリセロール化またはポリグリセロール化された(-[O-CH2-CH(OH)-CH2]x-OH基を有し、xは好ましくは1から50の間である)ポリオレフィン、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレン、
- COOHまたはカルボン酸無水物基を有するポリオレフィン、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレン、特に、
- COOH末端基を有する、ポリエチレンまたはポリプロピレン、例えば、New Phase Technologiesにより販売されるPerformacid Acid製品、特に、Performacid Acid 350(融点89℃)、425(融点93℃)、550(融点101℃)および700(融点110℃)など、
- 1つまたは複数の無水コハク酸基をその鎖に沿って有し、無水マレイン酸を1つもしくは複数の残留する不飽和結合に付加することによって、またはオレフィン-無水マレイン酸の直接共重合によって得られるポリオレフィン、特にエチレンおよび/またはプロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、例えば、(i)無水マレイン酸基(または鎖に付着した直後の無水コハク酸基)を含むポリプロピレン、特にClariant製のLicocare PP207、(ii)無水マレイン酸基を含むポリエチレン、特にHoneywell製のエチレン-無水マレイン酸コポリマー、例えばA-C 573 A(滴点:106℃)、A-C 596 A(滴点:143℃)など、(iii)ポリ(イソブチレン-無水マレイン酸)コポリマー、特にクラレによってIsobamという商品名で販売されるもの、(iv)無水マレイン酸/オクタデセンコポリマー、例えば、Chevron Phillips CompanyによってPA18という名称で販売されるものなど、(v)長鎖オレフィンと無水マレイン酸とのコポリマー、例えば、Clariant製のLicocare CM 401 LP 3345など。
【0030】
(vi)多くの遊離脂肪アルコール部分および/または遊離脂肪酸部分を有する天然ワックス。遊離脂肪アルコールを含むものの中では、カンデリラワックス、カルナウバワックス、およびサトウキビワックスを挙げることができる。遊離脂肪酸を含むものの中では、蜜ロウ、オレンジワックス、モンタンワックス、レモンワックスおよびサトウキビワックスを挙げることができる。
【0031】
(vii)ポリオキシエチレン化(末端OHを有する)またはポリグリセロール化(幾つかの側鎖OHおよび末端OH)された「天然」ワックス。これらは、アルコール、ジアルコール、ポリオールもしくはエトキシ化アルコール、または、C2〜C4アルキレングリコール(好ましくはグリセロール)もしくはポリグリセロールと反応する、1個または複数の残留COOHを有している可能性がある、天然または合成ワックスである。特に以下を挙げることができる。
- ポリオキシエチレン化された天然ワックス(EOの数が好ましくは2から100の間)。PEG蜜ロウ(Gattefosse製ApifilまたはKoster Keunen製PEG-8 Bee Wax)、PEG カンデリラワックス、Koster Keunen製PEG-12 CarnaubaなどのPEGカルナウバワックス、PEGラノリン、オキシプロピレン化ラノリンワックス、PEG鯨ロウ、PEGセラックワックス、
- グリセロール化またはポリグリセロール化されたワックス。ポリグリセロール化蜜ロウ、特にポリグリセリル-3蜜ロウ(Koster Keunen製Cera Bellina Wax)、フサアカシア/ホホバ/ヒマワリ種子ワックス/ポリグリセリル-3エステル混合物(Gattefosse製Hydracire S)。
【0032】
(viii)シリコーンワックス、例えばポリエーテルシリコーンワックス、および16から45個の炭素原子を有する、アルキルまたはアルコキシジメチコン。
【0033】
(ix)少なくとも1つのC12〜C40、特にC14〜C32アルキル基と、OH末端基があるポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基とを特に有する、ポリオキシアルキレン化されたC12〜C40脂肪アルコール。特にポリオキシエチレン化ステアリルアルコール、より詳細には、ステアレス-10またはポリオキシエチレン化(10EO)ステアリルアルコール、ステアレス-2またはポリオキシエチレン化(2EO)ステアリルアルコール、およびステアレス-20またはポリオキシエチレン化(20EO)ステアリルアルコール、特に、Croda製のBrij S10-SO、Brij S2-SOおよびBrij S20-SO;オキシエチレン化ラノリン脂肪アルコールの混合物、例えば、Lubrizol製のSolulan 16 Lanolin;Evonik製のTegocare 150、Gattefosse製のEmulcire 61 WL2659;イソステアレス-20またはポリオキシエチレン化(20EO)イソステアリルアルコール、例えば、Witco製のArosurf 66E20など;PEG-6デシルテトラデセス-30、特に日光ケミカルズ製のNikkopol PEN-4630;PEG-6デシルテトラデセス-12、特に日光ケミカルズ製のNikkol PEN-4612;モンタン酸PEG-4、特にClariant製のLicowax KST;水添およびポリオキシエチレン化ヒマシ油、例えば、PEG-7水添ヒマシ油、特にBASF製のCremophor PHなど;PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、特にAkzo製のElfacos ST9。
【0034】
(x)少なくとも1個の遊離OHを有する、グリセロールを含めた少なくとも1種のポリオールとC8〜C40モノ脂肪酸との間のモノエステルおよびマルチエステル、ならびに、ポリオールとC8〜C40モノ脂肪アルコールとの間のモノエステルおよびマルチエステル。特に、脂肪酸として、ステアリン酸、ベヘン酸を挙げることができ、少なくとも1個の残留OHを有するポリオールとして、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロールおよびスクロースを挙げることができる。特に、バチルアルコールまたはグリセリルモノステアリルエーテル、特に日光ケミカルズ製のBatyl Alcohol 100;ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(=イソステアリン酸、アジピン酸、およびグリセリルの植物脂肪酸エステル)、例えばSasol製のSoftisan 649など;モンタン酸グリコールまたはオクタコサン酸グリコール、例えばClariant製のLicowax KPS Flakesなど;ジステアリン酸ペンタエリスリチル、例えばCognis製のCutina PESなど;残留OHを有する、スクロースと脂肪酸とのエステル、特に、6〜8個のベヘン酸鎖でエステル化された、少なくとも2つの遊離OHを含むスクロース、例えばCroda製のCromaderm B;残留OHを有するイソステアリン酸/カプリン酸/カプリル酸/アジピン酸ペンタエリスリチル、例えばCroda製のSupermol L-LQ(RB)など、パルミチン酸スクロース、例えば三菱化学フーズ製のSurfhope SE COSME C-1615など;トリベヘン酸スクロース、例えば三菱化学フーズ製のSurfhope SE COSME C-2203などを挙げることができる。
【0035】
好ましいものとして、モノグリセロール化またはポリグリセロール化された少なくとも1種のグリセロールと、C8〜C40、特にC12〜C32モノ脂肪酸との間の、少なくとも1個の遊離OHを有するモノエステルまたはマルチエステルも挙げることができる。特に、ベヘン酸/エイコサン二酸ポリグリセリル-10、例えば日清オイリオ製のNomcort HK-P;ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、例えば日清オイリオ製のNomcort HK-G;ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/エイコサン二酸ポリグリセリル-10、例えば日光ケミカルズ製のNikkol Nikkowax LM;ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10(5個の遊離OH)、例えば太陽化学製のSunsoft Q-185S;ステアリン酸グリセリル、例えば太陽化学製のSunsoft 8000V;ラウリン酸グリセリル、例えば太陽化学製のSunsoft 750;ベヘン酸グリセリル(モノベヘン酸+ジベヘン酸)、例えばStearineries Dubois製のDub BGを挙げることができる。
【0036】
(xi)少なくとも1種のC8〜C40ポリカルボン酸と1種のC8〜C40モノアルコールとの間のモノエステルまたはマルチエステル。
【0037】
(xii)少なくとも1個のOH基をさらに有する、C8〜C40脂肪酸とC8〜C40脂肪アルコールとのエステル、特に、
- 12-ヒドロキシステアリン酸と、C8-C40モノアルコール、ジオール、またはポリオールとのエステル、特に、トリヒドロキシステアリンまたはトリヒドロキシステアリン酸グリセリル、例えばElementis製のThixin R;ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、例えば、Alzo製のWickenol 171;ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、例えば日清オイリオ製のSalacos 168M;C18〜C38脂肪アルコールのヒドロキシステアロイルステアリン酸エステル、例えばKoster Keunen製のKesterwax K82P;ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、例えばAkzo製のElfacos C26(末端に2個の遊離OHを有する)、
- 水添リシノール酸とC8〜C40モノアルコール、ジオールまたはポリオールとのエステル、特に、水添ヒマシ油脂肪酸のセチルエステル、例えばSophim製のPhytowax Ricin 16L 64など、
- 水添ヒマシ油分子(OHが3個)の3個のOHのうち少なくとも1個を保持する、水添ヒマシ油とC8〜C40の一酸または二酸との間のエステルまたはポリエステル、特に、水添ヒマシ油とイソステアリン酸およびアジピン酸との間の重縮合物、例えば高級アルコール工業製のHaimalate 618、
- 少なくとも1個の、酸の遊離OHを含む、クエン酸とC8〜C40脂肪アルコールとのエステル、特にクエン酸トリ(C14〜C15)アルキル、例えばSassol製のCosmacol ECL。
【0038】
明白なことに、ワックスの混合物を使用することができる。
【0039】
好ましくは、本発明で使用することができるワックスは、セチルアルコール、蜜ロウ、カルナウバワックス、およびホホバワックス、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0040】
本発明による化合物を形成するのに使用することができる結合基は、ワックスが有するOHまたはCOOH官能基と相補的な、少なくとも1種の反応性官能基、特にイソシアネート官能基を有する。こうした官能基は、前記ワックスと前記結合基との間に、特にウレタン型の共有結合を形成するために、前記ワックスのOHおよびCOOH反応性官能基と反応することができる。
【0041】
前記結合基は、同一または異なる化学的性質の1種または複数のパートナー結合基とH結合を確立することができ、各結合基対合は、少なくとも4個のH(水素)結合を伴う。
【0042】
本発明の目的のために、用語「結合基」は、H結合の供与体または受容体であり、同一または異なるパートナー結合基と、少なくとも3個のH結合、好ましくは少なくとも4個のH結合、優先的には4個のH結合を確立することができる基を含む、任意の官能基を意味する。
【0043】
本発明の目的のために、用語「パートナー結合基」は、本発明による同一または別のポリマーの1種または複数の結合基とH結合を確立することができる、任意の結合基を意味する。結合基は、化学的性質が同一であっても異なっていてもよい。結合基が同一であれば、結合基自体の間でH結合を確立することができ、その場合は自己相補的結合基と呼ばれる。結合基が異なれば、結合基は、H相互作用に関して相補的であるように選択される。
【0044】
よって、イソシアネート基を有する前記結合基は、(G)-(NCO)p(pはゼロ以外の整数であり、好ましくは1または2に等しい)として概略的に表すことができる。
【0045】
結合基は、以下に定義する通りの、式(I)の一価単位を少なくとも1つ、および/または式(II)の二価単位を少なくとも1つさらに含む:
【0046】
【化1】

【0047】
[式中、
- R1およびR3は、同一であっても異なっていてもよく、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から8個のヘテロ原子を任意選択により含んでおり、かつ/あるいは、エステルもしくはアミド官能基またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている、(i)直鎖または分岐のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される二価の炭素系の基を表し、
- R2は、水素原子、または、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖、分岐もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32の炭素系の基、特に炭化水素系の(アルキル)基を表す]。
【0048】
基R1は、特に以下のものであってもよい。
- 直鎖または分岐の、二価のC2〜C12アルキレン基、特に、1,2-エチレン基、1,6-ヘキシレン基、1,4-ブチレン基、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)基、1,4-(4-メチルペンチレン)基、1,5-(5-メチルヘキシレン)基、1,6-(6-メチルヘプチレン)基、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)基または1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)基、
- 特に以下の基から選択される、二価のC4〜C12シクロアルキレン基またはアリーレン基:-イソホロン-、トリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、4,4-ビスフェニレンメチレン、または以下の構造を有する基。
【0049】
【化2】

【0050】
用語「-イソホロン-」は、以下の構造を有する二価の基を意味する。
【0051】
【化3】

【0052】
優先的には、R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-または4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンを表す。
【0053】
基R2は、特に、Hまたは他に、
- C1〜C32、特にC1〜C16またはさらにはC1〜C10アルキル基、
- C4〜C12シクロアルキル基、
- C4〜C12アリール基、
- (C4〜C12)アリール(C1〜C18)アルキル基、
- C1〜C4アルコキシ基、
- アリールアルコキシ基、特にアリール(C1〜C4)アルコキシ基、
- C4〜C12複素環、
あるいはこれらの基の組み合わせであってもよく、任意選択によりアミノ、エステル、および/またはヒドロキシル官能基で置換されていてもよい。
【0054】
好ましくは、R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、または他に-CH(C2H5)(C4H9)を表す。
【0055】
好ましくは、R3は二価の基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐のC1〜C32アルキル基もしくはC4〜C16シクロアルキル基、またはC4〜C16アリール基、あるいはこれらの混合物から選択される、二価の炭素系の基を表す。
【0056】
特に、R'3およびR'4は、メチレン、1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,4-ブチレン、1,6-(2,4,4-トリメチルヘキシレン)、1,4-(4-メチルペンチレン)、1,5-(5-メチルヘキシレン)、1,6-(6-メチルヘプチレン)、1,5-(2,2,5-トリメチルヘキシレン)、1,7-(3,7-ジメチルオクチレン)、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレン、2-メチル-1,3-フェニレン、4-メチル-1,3-フェニレン、4,4'-ビスフェニレンメチレン、1,2-トリレン、1,4-トリレン、2,4-トリレン、2,6-トリレン、1,5-ナフチレン、テトラメチルキシリレン、イソホロンを表してもよい。
【0057】
最も特に、R'3は、C1〜C4アルキレン、とりわけ1,2-エチレンを表してもよい。
【0058】
好ましくは、R'4は、イソホロンから誘導される二価の基を表してもよい。
【0059】
最も特に、R3は、以下の構造を有してもよい。
【0060】
【化4】

【0061】
特に好ましい方式では、式(I)に以下を適用することができる。
- 次式の単位となる、R1=-イソホロン-、R2=メチル、
【0062】
【化5】

【0063】
- 次式の単位となる、R1=-(CH2)6-、R2=メチル、
【0064】
【化6】

【0065】
- 次式の単位となる、R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピル、
【0066】
【化7】

【0067】
- 次式の単位となる、R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンおよびR2=メチル。
【0068】
【化8】

【0069】
特に好ましい方式では、式(II)において、R1は-イソホロン-基を表し、R2=メチルおよびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロンであり、それにより次式の二価の単位となる。
【0070】
【化9】

【0071】
ただ1個のイソシアネート官能基を有する結合基は、次式であってもよい:
【0072】
【化10】

【0073】
[式中、R1およびR2は上で定義した通りであり、特に、
- R1は、-イソホロン-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンもしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または、
- R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは他に-CH(C2H5)(C4H9)を表す]。
【0074】
好ましくは、結合基は、以下の基から選択することができる。
【0075】
【化11】

【0076】
2個のイソシアネート官能基を有する結合基は、次式を有していてもよい:
【0077】
【化12】

【0078】
[式中、R1、R2およびR3は上で定義した通りであり、特に、
- R1は、イソホロン-、-(CH2)2-、-(CH2)6-、-CH2CH(CH3)-CH2-C(CH3)2-CH2-CH2、4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンもしくは2-メチル-1,3-フェニレンを表し、かつ/または、
- R2は、H、CH3、エチル、C13H27、C7H15、フェニル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、n-プロピル、もしくは他に-CH(C2H5)(C4H9)を表し、かつ/または、
- R3は二価の基-R'3-O-C(O)-NH-R'4-を表し、式中、R'3およびR'4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖もしくは分岐のC1〜C30アルキル基、C4〜C12シクロアルキル基、およびC4〜C12アリール基、またはこれらの混合物から選択される、二価の炭素系の基を表し、特に、R'3は、C1〜C4アルキレン、特に1,2-エチレンを表し、R'4は、イソホロンから誘導される二価の基を表す]。
【0079】
最も特に好ましい結合基は、次式を有するものである。
【0080】
【化13】

【0081】
本発明の特定の一実施形態によると、結合基をイソシアネートで官能化することを介して、結合基をワックスに付着させてもよい。別の実施形態によると、ワックスをジイソシアネートで予め官能化することによって、逆反応を行うことができる。
【0082】
したがって、上で述べた通りに、本発明による化合物は、ワックスと結合基との化学反応の結果として得ることができる。
【0083】
本発明による化合物は、ワックスの遊離OH官能基と結合基が有するイソシアネート官能基との間にウレタン結合を形成するために、当業者に通常採用される方法を介して調製することができる。
例として、一般的な調製方法は、
- 少なくとも1種の反応性官能基、特にOHを含むワックスを、60℃から140℃の間であってもよい温度に加熱するステップと、
- 反応性官能基、特にイソシアネートを有する結合基を添加するステップと、
- 任意選択により、該混合物を、制御雰囲気下で約100〜130℃の温度にて1〜24時間撹拌するステップと、
- ピークの完全消失で反応を停止し、次いで最終生成物を室温まで放冷するために、イソシアネートの特性吸収帯(2500から2800cm-1の間)の消失を赤外分光分析により監視するステップと
に存する。
【0084】
該反応は、溶媒、特にメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、トルエン、または酢酸ブチルの存在下で行ってもよい。ウレタン結合を形成するための従来の触媒を添加することもできる。挙げることができる例は、ジブチルスズジラウレートである。最終的に、化合物は、当業者の一般的な知識に従って、洗浄、乾燥させてもよく、またはさらに精製してもよい。
【0085】
別の実施形態によると、該反応は、以下のステップ、すなわち、ジイソシアネートでワックスを官能化するステップと、それに次ぐ、6-メチルイソシトシンまたは5-ヒドロキシエチル-6-メチルイソシトシンと反応させるステップとを含んでもよい。かかる反応の説明は、Folmerら、Adv. Mater、12、874〜78(2000)に示される。
【0086】
本発明による化合物を使用すると、組成物をケラチン物質に塗布した後に、物理的に架橋結合された、特に水素結合によって架橋結合されたネットワークの形態の超分子ポリマーが形成され、それは概して薄膜の形態であり、極めて良好な機械的強度を有することを見出した。
【0087】
本発明の目的のために、用語「超分子ポリマー」は、本発明による非ポリマー化合物と、本発明による他の少なくとも1種の同一または異なる非ポリマー化合物との集合体から形成されるポリマー鎖またはポリマーネットワークであって、各集合体は、同一または異なる対合結合基の対を少なくとも1つ含む、ポリマー鎖またはポリマーネットワークを意味する。
【0088】
本発明の目的のために、用語「対合結合基の対」は、2個の結合基であって、本発明による同一の化合物が、その各々を任意選択により有していてもよく、該2個の基が4個のH結合を介して互いに連結している、2個の結合基を意味する。
【0089】
よって、超分子ポリマーは、こうした結合基対の間のH結合によってもたらされる物理的架橋点を有することとなる。物理的架橋は、化学的架橋と同様に化粧効果を確実に維持および持続させる一方で、可逆性、すなわち付着層を完全に除去する可能性を同時に与えることとなる。
【0090】
本発明による化合物の数平均分子量(Mn)は、好ましくは180から18,000、好ましくは200から15,000、またはさらには300から10,000、さらに良好には400から5000、優先的には500から2500の間である。
【0091】
本発明による化合物は、通常使用される化粧用油性媒体、特に、植物油、C6〜C32アルカン、C8〜C32脂肪エステル、C2〜C7短鎖エステル、C8〜C32脂肪アルコール、より詳細には、少なくとも、イソドデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチルまたは酢酸エチルを、単独でまたは混合物として含む媒体に可溶性であることが有利である。用語「可溶性」は、化合物が、25℃で、少なくとも5重量%の割合で、イソドデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチルまたは酢酸エチルから選択される少なくとも1種の溶媒中で、透明な溶液を形成することを意味する。
【0092】
本発明による化合物は、化粧品として許容される媒体、すなわち、顔または身体の皮膚、睫毛、眉毛、唇および爪などのケラチン物質と適合性がある媒体をさらに含む、化粧品組成物中で有利に使用することができる。
【0093】
該組成物中に存在する化合物の量は、組成物の種類および所望の特性に明らかに依存し、それは、最終化粧品組成物の重量に対して、概して5重量%から80重量%の間、好ましくは10重量%から75重量%の間、特に20重量%から70重量%の間、またはさらには25重量%から65重量%の間、さらに良好には30重量%から60重量%の間の、極めて広い範囲内で変動する可能性がある。
【0094】
よって、該組成物は、意図する用途に応じて、この種の組成物によくある構成成分を含むことができる。
【0095】
本発明による組成物は、本発明によるポリマーのための溶剤を構成することができる液体脂肪相を有利に含むことができ、該液体脂肪相は、鉱物、動物、植物または合成由来の、揮発性または不揮発性の、炭素系、炭化水素系、フッ化および/またはシリコーンの油および/または溶媒から、安定で均一な混合物を形成し、かつ意図する使用に適合性があることを条件として、単独でまたは混合物として選択される、少なくとも1種の化合物を含むことができる。
【0096】
本発明の目的のために、用語「揮発性」は、ケラチン物質または唇と接触すると、周囲温度(25℃)および大気圧(1atm)下で1時間経たないうちに蒸発することが可能な任意の化合物を意味する。特に、こうした揮発性化合物は、周囲温度および大気圧下で、とりわけ0.13Paから40,000Pa(10-3から300mmHg)の範囲の、特に1.3Paから13,000Pa(0.01から100mmHg)の範囲の、より詳細には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の、ゼロ以外の蒸気圧を有する。
【0097】
対照的に、用語「不揮発性」は、周囲温度および大気圧下で、少なくとも1時間ケラチン物質または唇上に残存し、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する化合物を意味する。
【0098】
好ましくは、本発明による組成物の生理学的に許容される媒体は、以下から単独にまたは混合物として選択することができる、少なくとも1種の油および/または溶媒を液体脂肪相中に含んでもよい。
【0099】
1/ モノカルボン酸と、モノアルコールおよびポリアルコールとのエステル。有利には、前記エステルは、C12〜C15安息香酸アルキル、または次式R'1-COO-R'2
(式中、R'1は、直鎖もしくは分岐の、炭素原子1から40個の、好ましくは炭素原子7から19個のアルキル基であって、任意選択により1個または複数のエチレン二重結合を含み、任意選択により置換されており、その炭化水素系鎖は、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子、ならびに/または1個もしくは複数のカルボニル官能基に割り込まれていてもよいアルキル基を表し、ならびに、
R'2は、直鎖もしくは分岐の、炭素原子1から40個の、好ましくは炭素原子3から30個の、さらに良好には炭素原子3から20個のアルキル基であって、任意選択により1個または複数のエチレン性二重結合を含み、任意選択により置換されており、その炭化水素系鎖は、NおよびOから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子、ならびに/または1個もしくは複数のカルボニル官能基に割り込まれていてもよいアルキル基を表す)
に相当する。
【0100】
用語「任意選択により置換されている」は、R'1および/またはR'2が、アミノ、アミン、アルコキシ、またはヒドロキシルなどの、Oおよび/またはNから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む基から選択される、1つまたは複数の置換基を有していてもよいことを意味する。
【0101】
基R'1の例は、脂肪酸、好ましくは高級脂肪酸から誘導されるものであって、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オレオステアリン酸、アラキドン酸およびエルカ酸、およびこれらの混合物から形成される群から選択されるものである。
【0102】
好ましくは、R'1は、炭素原子4から14個の、好ましくは炭素原子8から10個の非置換分岐アルキル基であり、R'2は、炭素原子5から15個の、好ましくは炭素原子9から11個の非置換分岐アルキル基である。
【0103】
特に挙げることができるのは、好ましくは、NおよびOのうちの1個もしくは複数のヘテロ原子、ならびに/または1個もしくは複数のカルボニル官能基を、任意選択によりその炭化水素系鎖に組み込んでいる、C8〜C48エステル;より詳細には、purcellin oil(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、C12〜C15安息香酸アルキル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル;ならびに、アルコールまたはポリアルコール、例えば脂肪アルコールの、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステル、またはリシノール酸エステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、またN-ラウロイルサルコシン酸イソプロピル(とりわけ、味の素製のEldew-205SL);ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル;ならびにペンタエリスリトールエステル;分岐C8〜C16エステル、特にネオペンタン酸イソヘキシルである。
【0104】
2/ グリセロールの脂肪酸エステルから形成されるトリグリセリドを高い含量で有する炭化水素系植物油であって、その脂肪酸が、C4からC24までの様々な鎖長を有してもよく、これらの鎖が、場合によって直鎖または分岐および飽和または不飽和である、炭化水素系植物油。これらの油は、特に、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット油、ダイズ油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、ブラックカラント種子油、月見草油、雑穀油、オオムギ油、キノア油、オリーブ油、ライムギ油、紅花油、ククイナッツ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油、ホホバ油、パーム油またはテリハボク油であり、あるいは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリル、例えば、Stearinerie Dubois社によって販売されるもの、またはDynamit Nobel社によって、Miglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)の名称で販売されるものである。
【0105】
3/ C6〜C32、特にC12〜C26アルコール、特にモノアルコール、例えば、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノールおよびオクチルドデカノール。
【0106】
4/ 5から100個の炭素原子を含有する炭化水素系油、特にワセリン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、スクアランおよびペルヒドロスクアレン、ならびにこれらの混合物から選択することができる、直鎖または分岐の、揮発性または不揮発性の、合成または鉱物由来の炭化水素系油。
【0107】
より詳細には、直鎖、分岐および/または環状のC5〜C48アルカン、優先的には分岐C8〜C16アルカン、例えば、石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、特に、デカン、ヘプタン、ドデカンおよびシクロヘキサン、ならびにまたイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンを挙げることができる。
【0108】
5/ 揮発性または不揮発性のシリコーン油。
挙げることができる揮発性シリコーン油には、揮発性の直鎖または環状の、シリコーン油、特に、8センチストーク未満の粘度を有し、特に2から10個のケイ素原子を含有し、これらのシリコーンが、1から22個の炭素原子を含有するアルキル基またはアルコキシ基を任意選択により含むもの、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびメチルヘキシルジメチルシロキサン、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0109】
本発明に従って使用することができる不揮発性シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であって、アルキル基またはアルコキシ基を含み、これらの基がシリコーン鎖の側基であるか、および/または末端にあり、これらの基それぞれが2から24個の炭素原子を含有するポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであってもよい。
【0110】
優先的には、本発明による組成物の生理学的に許容される媒体は、イソドデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコン、C12〜C15安息香酸アルキル、酢酸ブチルおよび酢酸エチル、ならびに/またはD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)から単独でまたは混合物として選択される、少なくとも1種の油および/または溶媒を液体脂肪相に含む。
【0111】
液体脂肪相は、以下から単独でまたは混合物として選択することができる、追加的な油および/または溶媒も含むことができる。
- フッ化油、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリンなどのパーフルオロアルカン、パーフルオロアダマンタン、パーフルオロアルキルリン酸モノエステル、ジエステル、およびトリエステル、ならびにフッ化エステル油、
- 動物由来の油、
- C6〜C40、特にC10〜C40のエーテル;周囲温度で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、
- C8〜C32脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸、ならびにこれらの混合物、
- エステルおよび/またはアミドから選択される2つの官能基を含み、6から30個の炭素原子、特に8から28個の炭素原子、さらに良好には10から24個の炭素原子、およびOおよびNから選択される4個のヘテロ原子を含んでおり、好ましくは、該アミドおよびエステル官能基が鎖中にある、二官能性油、
- 周囲温度(25℃)で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンおよびアセトン、
- 周囲温度で液体であるアルデヒド、例えば、ベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒド。
【0112】
液体脂肪相は、組成物の全重量のうち、組成物の1重量%から90重量%、とりわけ5重量%から75重量%、特に10重量%から60重量%、またはさらには25重量%から55重量%に相当してもよい。
【0113】
本発明による組成物は、特に以下から選択され得る増粘剤を有利に含むことができる。
- シリカ、特に欧州特許出願公開第898960号明細書に記載されるものなどの疎水性シリカ、例えば、Degussa社によるAerosil R812(登録商標)、Cabot社によるCab-O-Sil TS-530(登録商標)、Cab-O-SIL TS-610(登録商標)およびCab-O-Sil TS-720(登録商標)、ならびにDegussa社によるAerosil R972(登録商標)およびAerosil R974(登録商標)の参照名で販売されるもの、
- モンモリロナイトなどの粘土、ベントン(bentone)などの変性粘土、例えば、ステアラルコニウムヘクトライト、ステアラルコニウムベントナイト、
- 多糖アルキルエーテル(特に、そのアルキル基が、1から24個の炭素原子、好ましくは1から10個、さらに良好には1から6個、さらにとりわけ1から3個を含む)、例えば、欧州特許出願公開第898958号明細書に記載されるもの。
【0114】
本発明による組成物中の増粘剤の全割合は、組成物の全重量に対して、0.05重量%から40重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%、さらに良好には1重量%から15重量%の範囲であってもよい。
【0115】
本発明による組成物は、少なくとも1種の、植物、動物、鉱物もしくは合成由来のワックス、またはさらにはシリコーンワックスも含むことができる。
【0116】
単独でまたは混合物として、炭化水素系ワックス、例えば蜜ロウ、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、木ロウ、コルク繊維ロウ、またはサトウキビワックス;パラフィンワックス、亜炭ロウ、微晶ロウ、ラノリンワックス、モンタンワックス、臭ロウ、ポリエチレンワックス;フィッシャー‐トロプシュ合成により得られるワックス;25℃で固体である水添油、脂肪エステルおよびグリセリドを、特に挙げることができる。シリコーンワックスを使用することもでき、中でも、アルキルもしくはアルコキシポリメチルシロキサンおよび/またはポリメチルシロキサンエステルを挙げることができる。
【0117】
本発明による組成物中のワックスの量は、組成物の全重量に対して、0.1重量%から70重量%、好ましくは1重量%から40重量%、さらに良好には5重量%から30重量%の範囲であってもよい。
【0118】
本発明による組成物は、粉末化合物、例えば、顔料、充填剤、真珠光沢剤および光輝フレーク、ならびに/または、脂溶性もしくは水溶性染料から選択される1種または複数の着色料も含むことができる。
【0119】
該着色料、特に粉末着色料は、組成物の重量に対して、0.01重量%から50重量%、好ましくは0.1重量%から40重量%、またはさらには1重量%から30重量%の含有量で、組成物中に存在してもよい。
【0120】
用語「顔料」は、生理的媒体に不溶であり、組成物を着色することが意図される、白色または有色の、任意の形状の無機または有機粒子を意味するとして理解されるべきである。
【0121】
用語「真珠光沢剤」は、特にある種の軟体動物によりその殻で生成されるか、そうでなければ合成される、任意の形状の虹色の粒子を意味するとして理解されるべきである。
【0122】
顔料は、白色または有色の、無機および/または有機の、ならびに干渉または非干渉の顔料であってもよい。挙げることができる無機顔料の中には、任意選択により表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、また、酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物ならびにフェリックブルーがある。挙げることができる有機顔料の中には、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、および、コチニールカーマイン系の、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウム系のレーキがある。
【0123】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母、有色真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタン雲母、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたチタン雲母、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタン雲母、またオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢顔料から選択することができる。
【0124】
充填剤は、無機でも有機でもよく、また層状でも球状でもよい。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ナイロンパウダーおよびポリエチレンパウダー、ポリ-β-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、中空微小球体、例えばExpancel(Nobel Industrie)、Polytrap(Dow Corning)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球体(Maprecos製Silica Beads)、ガラスもしくはセラミックのマイクロカプセル、ならびに、8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、もしくはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0125】
脂溶性染料は、例えば、スダンレッド、DC赤色17号、DC緑色6号、β-カロテン、ダイズ油、スダンブラウン、DC黄色11号、DC紫色2号、DCオレンジ色5号およびキノリンイエローである。これらは、組成物の重量の0.01%から20%、さらに良好には0.1%から6%に相当してもよい。
【0126】
水溶性染料は、例えば、ビーツ汁またはメチレンブルーであり、組成物の全重量の0.01%から6%に相当してもよい。
【0127】
該組成物は、化粧品組成物に汎用される他の成分も含むことができる。かかる成分は、抗酸化剤、香料、精油、保存料、化粧品用活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、サンスクリーン、界面活性剤、ゲル化剤、展着剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、中和剤、安定剤、ポリマー、特に脂溶性の薄膜形成ポリマー、およびこれらの混合物から選択することができる。
【0128】
言うまでもなく、当業者であれば、このもしくはこれらの任意選択による追加的な化合物、および/またはその量を慎重に選択し、本発明による使用のための組成物の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けないように、または実質的に悪影響を受けないようにするであろう。
【0129】
本発明による組成物は、化粧品組成物に一般に許容される任意の形態であってもよい。よって、これらは、懸濁液または分散液、特に小胞による水中油型;任意選択により濃厚化またはさらにはゲル化された、有機または油性溶液;水中油型、油中水型または多相乳剤;ゲルまたはムース;油性または乳化ゲル;小胞、特に脂質小胞の分散液;二相または複相のローション;スプレー;ローション、クリーム、膏薬、ソフトペースト、軟膏、特にスティックとしてもしくは皿中にキャスト成形またはモールド成形された固体、あるいは圧縮成形された固体の形態であってもよい。
【0130】
当業者は、適正な生薬形態、またそれを調製する方法を、第1に、使用する構成成分の性質、特に担体中のその溶解性、第2に、組成物の意図する用途を考慮に入れて、自らの一般知識に基づいて選択することができる。
【0131】
本発明による組成物は、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇または毛髪などのケラチン物質を手入れまたはメイクアップするために、より詳細には、唇、睫毛および/または顔をメイクアップするために使用することができる。
【0132】
よって、これらは、身体または顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪または爪を手入れおよび/またはメイクアップするための製品の形態、日焼け止め(antisun)またはセルフタンニング製品、あるいは毛髪用製品であってもよく、これらは有利には、メイクアップ組成物の形態、特に、マスカラ、アイライナー、口紅、リップグロス、白粉、アイシャドウ、ファンデーション、マニキュア液または爪を手入れする製品であってもよい。
【0133】
本発明の主題は、前に定義した通りの化粧品組成物を、ケラチン物質、特に身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、睫毛、および/または毛髪に塗布することを含む、前記物質を処置するための化粧方法でもある。
【0134】
本発明によるこの方法は、前記ケラチン物質、特に唇および/または爪を、本発明による組成物、特に口紅、ファンデーションまたはマスカラを塗布することによって、手入れするまたはメイクアップすることを特に可能とする。
【0135】
本発明は、以降の例示的な実施形態においてより詳細に例示される。
【0136】
(実施例1)
蜜ロウ13gを、ジブチルスズジラウレート(触媒)11mgとメチルイソシトシン0.93gとの混合物として加熱する。この混合物を100℃に加熱し、真空下に2時間置く。次いで、この混合物をアルゴン下で70℃に下げ、イソホロンジイソシアネート1.5gを添加し、アルゴン下に70℃のままで2時間混合を行う。
【0137】
次いで、無水プロピレンカーボネート2.5mlを添加し、反応媒体の温度を140℃に上げ、この温度で、アルゴン下で3時間撹拌する。イソシアネート官能基の消失を、赤外分光分析によって、2250cm-1の特性ピークが完全に消失するまで監視する。次いで、この混合物の温度を70℃に戻し、テトラヒドロフラン60mlとエタノール5mlとを添加し、続いて30分間撹拌する。反応混合物をセライト上で濾過し、エタノールから析出させ、減圧下で乾燥する。
【0138】
所望の官能化ワックスが、白色ワックスの形態で得られる。
【0139】
観察:
- イソドデカン中、蜜ロウ23%:混合物は白色で緻密である。ガラス板上に熱蒸着させ、25℃に冷却した後、非凝集性のべとべとする白色の付着層が形成されるのが観察される。触ると指が付着層に沈み込み、脂っぽい感触がある。
- イソドデカン中、上で調製した官能化蜜ロウ23%:混合物は白色で緻密である。ガラス板上に熱蒸着させ、25℃に冷却した後、イソドデカンの蒸発後に脆性で非凝集性の付着層が形成されるのが観察される。脂っぽい感覚は感じられず、逆に触ると乾燥している。指は付着層に沈み込まない。
【0140】
(実施例2)
以下を含む口紅を調製する(重量%):
- 実施例1で調製した官能化蜜ロウ 10%
- イソドデカン 40%
- シクロペンタポリシロキサン 10%
- 水添ポリイソブテン 30%
- 顔料 10%
【0141】
(実施例3)
セチルアルコール19.3gを減圧下で60℃に加熱し、2時間後に、無水酢酸ブチル10mlを添加し、この混合物を、制御雰囲気下のままで40℃にする。次いでIPDI(イソホロンジイソシアネート)18.9g、続いてさらなる酢酸ブチル10mlおよび触媒(ジブチルスズジラウレート)9mgを添加する。反応媒体を、制御雰囲気下で40℃にて16時間撹拌する。メチルイソシトシン12.73gおよび無水プロピレンカーボネート20mlを次いで添加し、この混合物を140℃にし、温度を2時間30分間維持する。イソシアネートの消失をIR分光分析により監視し、イソシアネートの特性ピーク(2250cm-1)の完全消失後、撹拌をさらに30分間維持する。反応媒体を70℃にし、ヘキサン200mlで希釈し、セライト上で濾過する。この有機相を、NaClで飽和させたH2O/エタノール(2/1)混合液で3回洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥し、減圧下で濾過して乾燥する。所望の生成物が脆性固体の形態で得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
- OHまたはCOOHから選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する、少なくとも1種のワックスと、
- 1種または複数のパートナー結合基と水素結合を確立することができる、少なくとも1種の結合基であって、結合基の各対合が、少なくとも4個の水素結合を伴い、前記結合基が、前記ワックスが有する前記反応性官能基と反応することができる、少なくとも1種の「相補的な」反応性官能基を有し、前記結合基が、式(I)または(II)
【化1】

[式中、
- R1およびR3は、同一であっても異なっていてもよく、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から8個のヘテロ原子を任意選択により含んでおり、かつ/あるいは、エステルもしくはアミド官能基またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている、(i)直鎖もしくは分岐のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される二価の炭素系の基を表し、
- R2は、水素原子、または、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖、分岐もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32の炭素系の基、特に炭化水素系の(アルキル)基を表す]
の少なくとも1つの単位を含む結合基と
の間の反応によって得ることができる化合物を、化粧品として許容される媒体中に含む、化粧品組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の反応性官能基、特に、OH、COOH、またはさらには無水物を有する前記ワックスが、単独でまたは混合物として、
(i)式CH3-(CH2)n-OH(nは、13と60の間、特に15と47の間、またはさらには15と31の間)の、長鎖の、通常直鎖のアルコール;
(ii)飽和もしくは不飽和の、通常直鎖のC8〜C60長鎖酸;特に、式CH3-(CH2)n-COOH(nは6と58の間)のもの;または、C6〜C60もしくはさらにはC8〜C32の、一不飽和もしくは多価不飽和脂肪酸;
(iii)ラノリン脂肪酸カルシウムまたはステアリン酸カルシウム;
(iv)ラノリンおよびその誘導体、例えば、水添、ヒドロキシル化、またはアセチル化ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、および酢酸ラノリンアルコールなど;
(v)任意選択によりポリオキシアルキレン化(C2〜C3アルキル)され、任意選択により(ポリ)グリセロール化され、少なくとも1つの官能基-OH、-COOH、またはカルボン酸無水物を有し、例えば、-(ポリオキシアルキレン)n-OHまたはポリグリセロールを有する、ポリオレフィンワックス、特に、ポリ(アルファ-オレフィン)ホモポリマーおよびコポリマー;
(vi)多くの遊離脂肪アルコール部分および/または遊離脂肪酸部分を有する天然ワックス;遊離脂肪アルコールを含むものの中では、カンデリラワックス、カルナウバワックス、およびサトウキビワックスを挙げることができる;遊離脂肪酸を含むものの中では、蜜ロウ、オレンジワックス、モンタンワックス、レモンワックスおよびサトウキビワックスを挙げることができる;
(vii)ポリオキシエチレン化(末端OHを有する)またはポリグリセロール化(幾つかの側鎖OHおよび末端OH)された「天然」ワックス;
(viii)シリコーンワックス、例えば、ポリエーテルシリコーンワックス、および16から45個の炭素原子を有する、アルキルまたはアルコキシジメチコン;
(ix)少なくとも1個のC12〜C40、特にC14〜C32アルキル基と、OH末端基があるポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基とを特に有する、ポリオキシアルキレン化されたC12〜C40脂肪アルコール;
(x)少なくとも1個の遊離OHを有する、グリセロールを含めた少なくとも1種のポリオールとC8〜C40モノ脂肪酸との間のモノエステルおよびマルチエステル、ならびに、ポリオールとC8〜C40モノ脂肪アルコールとの間のモノエステルまたはマルチエステル;
(xi)少なくとも1種のC8〜C40ポリカルボン酸と1種のC8〜C40モノアルコールとの間のモノエステルまたはマルチエステル;
(xii)少なくとも1個のOH基をさらに有する、C8〜C40脂肪酸とC8〜C40脂肪アルコールとのエステル
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の前記単位が、
- 次式の単位となる、R1=-イソホロン-、R2=メチル、
【化2】

- 次式の単位となる、R1=-(CH2)6-、R2=メチル、
【化3】

- 次式の単位となる、R1=-(CH2)6-、R2=イソプロピル、
【化4】

または
- 次式の単位となる、R1=4,4'-メチレンビスシクロヘキシレンおよびR2=メチル
【化5】

である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
式(II)の前記単位が、次式の単位となる、R1=-イソホロン-、R2=メチルおよびR3=-(CH2)2OCO-NH-イソホロン-
【化6】

である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記結合基が、以下の基:
【化7】

から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物が、最終化粧品組成物の重量に対して、5重量%と80重量%の間、好ましくは10重量%と75重量%の間、特に20重量%と70重量%の間、またはさらには25重量%と65重量%の間、さらに良好には30重量%と60重量%の間の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
鉱物、動物、植物もしくは合成由来の、炭素系、炭化水素系、フッ化および/またはシリコーンの油および/または溶媒;増粘剤;植物、動物、鉱物もしくは合成由来のワックス、またはさらにはシリコーンワックス;着色料;抗酸化剤、香料、精油、保存料、化粧用活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、サンスクリーン、界面活性剤、ゲル化剤、展着剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、中和剤、安定剤、ポリマー、特に脂溶性の薄膜形成ポリマー、ならびにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の構成成分を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
身体もしくは顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪または爪を手入れおよび/またはメイクアップするための製品、日焼け止めまたはセルフタンニング製品、あるいは毛髪用製品の形態である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載した化粧品組成物を、ケラチン物質、特に身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、睫毛、および/または毛髪に塗布することを含む、前記物質を処置するための化粧方法。
【請求項10】
- OH、COOH、または無水物から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する、少なくとも1種のワックスと、
- 1種または複数のパートナー結合基と水素結合を確立することができる、少なくとも1種の結合基であって、結合基の各対合が、少なくとも4個の水素結合を伴い、前記結合基が、前記ワックスが有する前記反応性官能基と反応することができる、少なくとも1種の「相補的な」反応性官能基を有し、前記結合基が、式(I)または(II)
【化8】

[式中、
- R1およびR3は、同一であっても異なっていてもよく、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から8個のヘテロ原子を任意選択により含んでおり、かつ/あるいは、エステルもしくはアミド官能基またはC1〜C12アルキル基で任意選択により置換されている、(i)直鎖もしくは分岐のC1〜C32アルキル基、(ii)C4〜C16シクロアルキル基、および(iii)C4〜C16アリール基、またはこれらの基の混合物から選択される二価の炭素系の基を表し、
- R2は、水素原子、または、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含んでいてもよい、直鎖、分岐もしくは環状の、飽和もしくは不飽和の、任意選択により芳香族の、C1〜C32の炭素系の基、特に炭化水素系の(アルキル)基を表す]
の少なくとも1つの単位を含む結合基と
の間の反応によって得ることができる化合物。
【請求項11】
少なくとも1種の反応性官能基、特に、OH、COOH、またはさらには無水物を有する前記ワックスが、単独でまたは混合物として、
(i)式CH3-(CH2)n-OH(nは、13と60の間、特に15と47の間、またはさらには15と31の間)の、長鎖の、通常直鎖のアルコール;
(ii)飽和もしくは不飽和の、通常直鎖のC8〜C60長鎖酸;特に、式CH3-(CH2)n-COOH(nは6と58の間)のもの;または、C6〜C60もしくはさらにはC8〜C32の、一不飽和もしくは多価不飽和脂肪酸;
(iii)ラノリン脂肪酸カルシウムまたはステアリン酸カルシウム;
(iv)ラノリンおよびその誘導体、例えば、水添、ヒドロキシル化、またはアセチル化ラノリン、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、および酢酸ラノリンアルコールなど;
(v)任意選択によりポリオキシアルキレン化(C2〜C3アルキル)され、任意選択により(ポリ)グリセロール化され、少なくとも1つの官能基-OH、-COOH、またはカルボン酸無水物を有し、例えば、-(ポリオキシアルキレン)n-OHまたはポリグリセロールを有する、ポリオレフィンワックス、特に、ポリ(アルファ-オレフィン)ホモポリマーおよびコポリマー;
(vi)多くの遊離脂肪アルコール部分および/または遊離脂肪酸部分を有する天然ワックス;遊離脂肪アルコールを含むものの中では、カンデリラワックス、カルナウバワックス、およびサトウキビワックスを挙げることができる;遊離脂肪酸を含むものの中では、蜜ロウ、オレンジワックス、モンタンワックス、レモンワックスおよびサトウキビワックスを挙げることができる;
(vii)ポリオキシエチレン化(末端OHを有する)またはポリグリセロール化(幾つかの側鎖OHおよび末端OH)された「天然」ワックス;
(viii)シリコーンワックス、例えば、ポリエーテルシリコーンワックス、および16から45個の炭素原子を有する、アルキルまたはアルコキシジメチコン;
(ix)少なくとも1個のC12〜C40、特にC14〜C32アルキル基と、OH末端基があるポリオキシアルキレン基、好ましくはポリオキシエチレン基および/またはポリオキシプロピレン基とを有する、ポリオキシアルキレン化されたC12〜C40脂肪アルコール;
(x)少なくとも1個の遊離OHを有する、グリセロールを含めた少なくとも1種のポリオールとC8〜C40モノ脂肪酸との間のモノエステルおよびマルチエステル、ならびに、ポリオールとC8〜C40モノ脂肪アルコールとの間のモノエステルまたはマルチエステル;
(xi)少なくとも1種のC8〜C40ポリカルボン酸と1種のC8〜C40モノアルコールとの間のモノエステルまたはマルチエステル;
(xii)少なくとも1個のOH基をさらに有する、C8〜C40脂肪酸とC8〜C40脂肪アルコールとのエステル
から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記結合基が、以下の基
【化9】

から選択される、請求項10または11に記載の化合物。

【公表番号】特表2013−516445(P2013−516445A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547526(P2012−547526)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052695
【国際公開番号】WO2011/080448
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】