説明

化粧品組成物

液体基材、ペースト状基材、及び粉末基材からなる群より選ばれる化粧品基材、香料成分およびポリアミド粒子を含有する化粧品組成物であって、該ポリアミド粒子が、下記の(1)及び(2)に規定された多孔質ポリアミド粒子の少なくともいずれかを含むことものである化粧品組成物を人間の皮膚に適用すると、皮膚上の形状保存性が良く、その優れた光散乱性によって、皮膚表面の異常光反射を低減し、さらにその優れた吸油性によって、体内から滲みでる油脂成分を効果的に吸収する。(1)数平均粒子径が1〜30μmの範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、DSCによる結晶化度が40%以上、そして数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1.0〜1.5の範囲にある球形多孔質ポリアミド粒子;(2)数平均粒子長が0.5〜25μmの範囲にあり、粒子径に対する粒子長の比が3〜50の範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、そしてDSCによる結晶化度が40%以上である筒状もしくはダンベル状の多孔質ポリアミド粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、化粧品組成物に関し、特に、皮膚に適用した場合に、皮膚表面で発生しやすい異常光反射を効果的に抑制することができる化粧品組成物に関する。
【背景技術】
日本国特許第2653990号公報(フランス国特許出願第94 03452号の優先権を主張)には、クレンジングマスクとして使用されるゲル状の化粧品組成物として、略球状のポリアミド粒子を組成物の全重量に対して12%以上含有する化粧品組成物が記載されている。この化粧品組成物におげるポリアミド粒子の添加の効果として、クレンジングの有効性の向上、使用および除去の容易性、そして皮膚表面への悪影響(通常の固体添加剤であるカオリンの使用などで引き起こされやすい皮膚の突っ張りなど)の低減が挙げられている。
日本国特許第2653990号公報(米国特許第4831061号に対応)には、厚さが0.2μm以下の薄片からなる多孔質のポリアミド粉末であって、各薄片が互いに連結して頂点がポリアミド粉末の中心に向いた円錐形とピラミッド状との間の幾何学形状を有する空洞部を形成している、砂漠のバラ構造を有する粒子からなる多孔質ポリアミド粒子が記載されている。そして、この多孔質ポリアミド粒子が、化粧品、塗料、薬品、マイクロカプセルなどの用途で有用であることが記載されている。
【発明の開示】
本発明の発明者は、化粧品組成物に添加するポリアミド粒子として、多孔質であって、比表面積と吸油性のいずれもが高い、球状、筒状もしくはダンベル状のポリアミド粒子を用いると、その化粧品組成物を適用した皮膚の表面において優れた光散乱効果と吸油効果とを示し、皮膚表面での光異常反射(いわゆる「てかり」)の発生を効果的に抑制することができ、さらに小皺や凹みなどの肌の欠陥を効果的に隠蔽できることを見いだした。本願発明は、この新規な知見に基づき完成されたものである。
本発明は、液体基材、ペースト状基材、及び粉末基材からなる群より選ばれる化粧品基材、香料成分およびポリアミド粒子を含有する化粧品組成物であって、該ポリアミド粒子が、下記の(1)及び(2)に規定された多孔質ポリアミド粒子の少なくともいずれかを含むことを特徴とする化粧品組成物にある。
(1)数平均粒子径が1〜30μmの範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、DSCによる結晶化度が40%以上、そして数平均粒子径(Dn)に対する体積平均粒子径(Dv)の比(PDI)が1.0〜1.5の範囲にある球形多孔質ポリアミド粒子;
(2)数平均粒子長が0.5〜25μmの範囲にあり、粒子径に対する粒子長の比が3〜50の範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、そしてDSCによる結晶化度が40%以上である筒状もしくはダンベル状の多孔質ポリアミド粒子。
なお、ダンベル状多孔質ポリアミド粒子の粒子長とは、筒状もしくはダンベル状粒子の両端間の最も直線距離の長い長さを意味し、粒子径は粒子中央部の径を意味する。たたし、ダンベル状粒子の場合の粒子径は、最も細い部分の径を意味する。
本発明で規定した「煮あまに油吸油量」は、JIS K5101に記載してある吸油量の測定方法に従って測定した吸油量を意味する。
本発明で用いる多孔質ポリアミド粒子のBET比表面積は、特に8m/g以上であることが好ましく、また「煮あまに油吸油量」は、240mL/100g以上(特に250mL/100g以上)であることが好ましい。結晶化度は、45%以上であることが好ましく、さらに50%以上であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明は、皮膚の表面の異常光反射を消し、かつ皮膚表面を均一にするために用いるファウンデーションなどの化粧品組成物として、また、色素、顔料および薬剤などを担持又は吸着する化粧品組成物を代表例として包含する化粧品組成物の改良を提供する。
本発明の化粧品組成物は、一成分として多孔質ポリアミド粒子を含み、その構成成分や目的により、皮膚、唇、頭皮、睫毛、眼、爪又は髪などに適用することができる。代表的な化粧品組成物としては、ペースト状あるいは粉状のもの、またエマルジョン液体として肌の塗布しやすいものなどの形態のものを挙げることができる。
本発明の化粧品組成物は、多孔質ポリアミド粒子1〜60重量%及び油溶性媒体3〜10重量%を含有していることが好ましい。
また、本発明の化粧品組成物は、着色用化粧品組成物として用いる場合、多孔質ポリアミド粒子1〜60重量%、油溶性媒体3〜10重量%及び顔料1〜30重量%を含有し、該多孔質ポリアミド粒子が着色されていることが好ましい。すなわち、多孔質ポリアミド粒子は、赤色、緑色、黄色などの有機着色料により着色されている状態で用いることもできる。
本発明の化粧品組成物は、ファウンデーションに用いる場合、多孔質ポリアミド粒子1〜10重量%及び無機充填材1〜15重量%を含有し、特に多孔質ポリアミド粒子2〜9重量%及び無機充填材1〜15重量%を含有することが好ましい。
本発明の化粧品組成物は、皮膚治療を兼ねた組成物とすることができる。その場合には、多孔質ポリアミド粒子5〜20重量%及び薬効成分0.2〜15重量%とを含有し、また多孔質ポリアミド粒子5〜20重量%及び薬効成分0.1〜20重量%を含有することがさらに好ましい。
本発明の化粧品組成物を治療用に用いる場合、薬効成分の効果が有効に発揮されると同時に、治癒効果が持続され、また、汗や肌の分泌物を保持して化粧効果が持続するといった効果がある。薬効成分としては、肌の脱脂、湿潤作用の薬剤、または肌の脱色作用、肌の凹凸修復作用、皮膚の軟化作用、皮膚病の治療及び芳香作用などがある公知の薬剤を用いることが出来る。
ファウンデーション用の化粧品組成物は、化粧の下地として肌に直接塗り付け、肌の凹凸を滑らかにし、肌の欠陥やくぼみを隠すなどの効果を有し、また、上塗り化粧材と肌と間にあって、双方に対して密着性を示す。
ファウンデーション用の化粧品組成物は、クリーム状、水溶液、エマルジョン、ジェルなどの形態からなる。
ファウンデーション用の化粧品組成物は、多孔質ポリアミド粒子及び無機充填材を含み、さらに必要に応じて脂肪酸、エマルジョン、シリコーンオイル、水溶性ポリマー、顔料、有機添加物などを含むことが出来る。
脂肪酸としては、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体とを用いることが出来、例えば、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など、及びそれらの混合物などを挙げることが出来る。不飽和脂肪酸としては、パルミトール酸、ミリストオレイン酸、オレイン酸など及びそれらの混合物、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸などのポリ不飽和脂肪酸などを挙げることが出来る。脂肪酸の誘導体は、ヒドロキシ化、エステル化されたものを用いることができる。
エマルジョンとしては、油中水型が好ましい。油相はシリコーンオイル、鉱物油、植物油、蜜蝋、油脂、ワックスなどの非シリコーン有機油またはそれらの混合物を用いることができる。
シリコーンオイルには、揮発性シリコーンオイル、不揮発性シリコーンオイルなどがある。無機充填材には、チタン、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、珪藻土などがある。水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルカルボン酸系などがある。顔料には、酸化鉄系などの顔料がある。有機添加物は、アミノ酸、尿素などの湿潤剤、香料、色素、防腐剤などがある。油溶性媒体としては、パラフィン、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、カルナバワックス、植物油、蜜蝋、シリコーンオイル、脂肪族アルコールなどがある。
本発明の化粧品組成物は、必要に応じて無機顔料、分散剤、防腐剤、酸化防止剤などを適当量添加することができる。
化粧品組成物は、多孔質ポリアミド粒子の他の成分しては、一般に、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどの水溶性媒体、各種脂肪酸、脂肪酸アルコール、蜜蝋などのワックスとそれらの誘導体などの合成油及び油脂、各種の植物油たとえば椿油などの天然油および油脂などといった油性媒体、水性媒体、各種のエマルジョン媒体などを添加することができる。水性媒体としては、水、エタノールなどの各種アルコールや液体媒体を用いてもよい。また、化粧品組成物には、つや消し効果や艶出し効果、汗取り効果、その他剥離防止効果などとして、タルク、粘土などの無機物粉体、有機粉末、繊維状粉末などが配合されていてもよい。
化粧品組成物は、脂肪性肌を処理するための活性剤を含んでもよい。活性剤としては、例えば、β−ラクタム誘導体、シプロフロキサシン、ノルマルフロキサシン、テトラサイクリン及びその塩、エリスロマイシン及びその塩など、および植物からの抽出物などを含んでいてもよい。
本発明は、多孔質ポリアミド粒子100重量部に対して液体媒体を10〜300重量部含むものであることが好ましい。液体媒体としては、油性あるいはラッテックスのものが望ましく、揮発性あるいは不揮発性シリコーンオイル、流動パラフィン、植物性油、ワックス、グリセリン、エチレングリコールなどが好ましい。
化粧品組成物は、化粧した肌を洗浄するクレンジング剤として用いてもよい。
多孔質ポリアミド粒子は、球状粒子が好ましく、好ましくは多孔質ポリアミド粒子のうち90重量%以上が球状粒子であり、さらに好ましくは98重量%以上が球状粒子である。あるいは、本発明で規定した筒状もしくはダンベル状の多孔質ポリアミド粒子を用いることも好ましい。
多孔質ポリアミド粒子は、脂肪族、脂環族及び芳香族のポリアミド、又はこれらの共重合体から製造されるものを用いることができ、特に脂肪族及び/又は脂環族ポリアミドが好ましい。たとえば、脂肪族ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド8〜12の単独重合体およびそれらの共重合体である。好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12の単独重合体およびそれらの共重合体などをあげることができる。
本発明で使用する多孔質ポリアミド粒子は、特開2002−80629号公報に記載の方法に基づき、製造条件を選んで製造することができる。
多孔質ポリアミド粒子の数平均粒子径は、好ましくは1〜30μmの範囲、さらに好ましくは2〜20μmの範囲である。多孔質ポリアミド粒子の数平均粒子径が、上記範囲より小さいと、肌の起伏を隠すのに十分ではなく、また、分散性が劣り、肌理にむらがでることがある。また、多孔質ポリアミド粒子の数平均粒子径の範囲より大きいと、肌理が不均一となり、化粧品組成物として感触が劣るからから好ましくない。多孔質ポリアミド球形粒子の数平均粒子径(Dn)に対する体積平均粒子径(Dv)の比(PDI=Dv/Dn)は1.0〜1.5の範囲にあり、好ましくは1.0〜1.3の範囲にある。このPDIが1に近いほど粒子の分散が均一になるため、化粧品組成物に加えた場合に、その製造や使用に際して優れた効果を示す。
筒状もしくはダンベル状の粒子の平均粒子長は0.5乃至25μmの範囲にある。多孔質ポリアミド粒子の平均粒子長が、上記範囲より小さいと、肌の起伏を隠すのに十分ではなく、また、分散性が劣り、肌理にむらがでることがある。
多孔質ポリアミド粒子の平均細孔径は、好ましくは0.01〜0.2μmであり、さらに好ましくは0.02〜0.1μmである。
多孔質ポリアミド粒子は、高い結晶度を有するため、充分な硬度を示し、このため化粧品の製造時や使用時に粒子の変形や崩壊が発生しにくくなる。
多孔質ポリアミド粒子は、上記の特開2002−80629号公報に記載されているように、ポリアミド溶液と、ポリアミドの非溶媒及び適度の水を混合し、一時的に透明な均一溶液を作成し、その後ポリマーを析出することにより得ることができる。ポリアミド溶液は、ポリアミド0.1〜30重量%と溶媒99.8〜70重量%の合計100重量%、さらに好ましくはポリアミドが0.2〜25重量%と溶媒99.8〜75重量%の合計100重量%である。
ポリアミドの溶媒としては、芳香族アルコールおよびギ酸等を挙げることができる。ポリアミド溶液に用いられる芳香族アルコールとしては、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、クロロフェノール、フェノールなど及びそれらの混合物を用いることができる。
ポリアミドの非溶媒は、芳香族アルコール及び水が部分的に相容するもの(少量溶解するもの)を用いることができ、一例として脂肪族アルコール、脂肪族ケトンなど及びこれらの混合溶液などを用いることができる。また、ポリアミドの非溶媒は、水と相溶することが重要であり、一例としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトンなどの炭素数1〜4の脂肪族アルコール、炭素数1〜5の脂肪族ケトンなど及びこれらの混合溶液などを用いることができる。
多孔質ポリアミド粒子を製造するにあたり、非溶媒と水とは、非溶媒98〜10重量%及び水2〜90重量%が好ましい。
ポリアミド粒子の製造に際して、ポリアミド溶液、非溶媒及び水の添加順序については、ポリアミド溶液、非溶媒及び水を混合し、一時的に溶液が透明で均一に保たれれば良く、特に添加順序などに制限がなく、いかなる順序、方法でも良い。
すなわち、多孔質ポリアミド粒子は、▲1▼ポリアミド溶液に、非溶媒を添加し、次に水を加える、▲2▼非溶媒と水とを混合し、ポリアミド溶液を加える、▲3▼ポリアミド溶液に水を添加し、非溶媒を加えるなどの方法を利用することができる。
具体的に云えば、多孔質ポリアミド粒子は、ポリアミド溶液、非溶媒及び水とを混合し、一時的に溶液が透明で均一な溶液を形成させて、時間的な経過を経て、例えば0.1秒〜120分程度の時間経過後、ポリマー粒子を析出させる方法により製造することができる。多孔質ポリアミド粒子の製造に際して、一時的にであっても、均一な溶液を形成することが重要である。
多孔質ポリアミド粒子の製造において、一時的に溶液が透明で均一な溶液を、早く形成させるために、溶液に適当な攪拌を与えてもよい。多孔質ポリアミド粒子の製造において、ポリアミド溶液、非溶媒及び水を混合し、一時的に透明で均一な溶液からポリマー粒子を析出させる温度は、5〜70℃が好ましい。
多孔質ポリアミド粒子の製造において、析出したポリアミド粒子は、溶液からデカンテーション、遠心分離、濾過などの通常の方法で溶液から分離することができ、例えば、ポリアミド粒子の析出した溶液に、さらにメタノールを加え、デカンテーションや遠心分離などの方法で、ポリアミド粒子を分離することができる。また、析出したポリアミド粒子はさらに数回メタノールやアセトンなどで洗浄し、デカンテーションや遠心分離などの方法で分離してもよく、さらに熱風乾燥、真空乾燥にしてもよい。
【実施例】
(数平均粒子径の測定、多孔質性の評価)
ポリアミド粒子の粒子形状と大きさ、そして多孔質性は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより測定と判断とを行なった。ポリアミド粒子の粒径は、SEM写真より測定し、球形と異なる粒子の粒径は、投影面積から相当円の直径を測定することにより得た。
数平均粒子径(Dn)は、100個の粒子径から算出した。
(比表面積の測定)
ポリアミド粒子の比表面積は、窒素吸着によるBET法3点測定で行なった。
(平均細孔径)
水銀ポロシメーターで測定した。測定範囲は0.0034〜400μmであり、平均細孔径を求めた。
(結晶化度)
DSCを用いて流速40mL/分の窒素ガス中、室温から昇温速度10℃/分にて昇温させ、130〜235℃の範囲の吸熱ピーク面積から融解熱量を求め、求めた融解熱量より結晶化度を算出した。
(化粧品の評価・判定)
モニターテスト:健康な成人女性50名を被験者とするパネルを構成し、各化粧品組成物を施してもらい、その感想を聞き取った。
評価基準:AA:顕著な改善効果が見られた。
BB:改善効果が若干見られた。
CC:改善効果が見られなかった。
【実施例1】
ポリアミド6(分子量13000)10gとm−クレゾール200gからなるナイロン溶液を作製した。ナイロン溶液100g、メタノール5000g及び水100gとをマグネチックスターラーで攪拌混合して1分攪拌後、溶液は均一になった。攪拌2分後にポリマーが析出してきた。混合溶液を24時間静置して、ポリマーの析出を終了させた。得られた析出ポリマーは、加温したメタノール、アセトンで洗浄し、その後遠心分離によりポリマーを単離した。
得られた析出ポリマー粒子の評価を行い、数平均粒子径は、7.81μmであり、比較的均一で球形の多孔質ポリアミド粒子であった。粒子径分布指数(PDI)は1.08と算出した。得られた粒子の比表面積は、10800m/kgであり、平均細孔径は0.04μmであった。その他の測定結果を表1に示す。
次いで、ポリアミド多孔質球状粒子0.004gをエチレングリコール99.996g中に添加し、超音波振動を与えながらマグネティックスターラーを用いて1時間撹拌し、均一分散液を得た。この均一分散液を厚み10mmの光学セルに注入して、紫外光−可視光吸収スペクトル測定装置により、入射光に対する透過度を測定した。その結果を、波長が700nm、550nm、そして400nmの入射光の透過率(%)として、表2に示す。
【実施例2】
ポリアミド6溶液への、メタノール71.4重量%と水14.3重量%とからなる混合物の撹拌下の添加時間を30秒間とした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド6の多孔質球状粒子を得た。
得られたポリアミド多孔質粒子について実施例1と同様な測定を行なった。得られたポリアミド多孔質球状粒子の数平均粒子径は13.8μmで、体積平均粒子径は14.4μmであり、従って、PDIは1.05であった。また、平均細孔径は0.096μmであった。その他の測定結果を表1と表2に示す。
【実施例3】
ポリアミド6(分子量13,000)の1.0重量%のm−クレゾール溶液22.0重量%に、メタノール55.6重量%と水22.2重量%とからなる混合物を、撹拌しながら、120秒間かけて添加した。撹拌を停止したのち静置したところ、ポリマー粒子が析出した。析出したポリマー粒子を遠心分離器で単離したのち、熱アルコールで洗浄し、24時間真空乾燥してポリアミド6のダンベル状の多孔質粒子を得た。
得られたポリアミド多孔質粒子について実施例1と同様な測定を行なった。ポリアミド多孔質ダンベル状粒子の平均粒子長10.5μmであり、平均細孔径は0.135μmであった。その他の測定結果を表1と表2に示す。
[比較例1]
公知の方法で得たポリアミド12の球状微粒子について、実施例1と同様な測定を行なった。
得られたポリアミド多孔質粒子について実施例1と同様な測定を行なった。得られたポリアミド多孔質球状粒子の数平均粒子径は5.9μmで、体積平均粒子径は7.8μmであり、従って、PDIは1.32であった。また、細孔は観察されなかった。その他の測定結果を表1と表2に示す。


【実施例4】
(1)ファウンデーション化粧品組成物
実施例1で得た多孔性ポリアミド粒子を用い、下記の成分組成A〜Gを調製し、これらを均一に混ぜ合わして、ファウンデーションクリームを調製した。得られたファウンデーションクリームについて、化粧時ののび、感触性、小しわに対する改善効果などを評価した。その結果を表3に示す。
A相:シクロメチコーン(22重量%)、セチルジメチコーン(0.2重量%)
B相:マイカ(0.1重量%)、シリカ(1重量%)、チタン(7.5重量%)、酸化亜鉛(3重量%)
C相:酸化鉄顔料(黒色)(0.17重量%)、酸化鉄顔料(赤色)(0.52重量%)、酸化鉄顔料(黄色)(1.82重量%)
D相:トリヒドロキシステアリン(0.3重量%)、シクロメチコーン(1重量%)
E相:プロピルパラベン(0.75重量%)
F相:実施例1で得られた多孔質ポリアミド粒子(5.0重量%)
G相:グリセリン(8重量%)、ポリビニルピロリドン(0.5重量%)、塩化ナトリウム(2.0重量%)、デヒドロ酢酸ナトリウム(0.3重量%)、フェノキシエタノール(0.25重量%)、EDTA4ナトリウム(0.1重量%)
水を加えて100重量%とする。
[比較例2]
(1)非孔質ポリアミド粒子の製造
ラウロラクタム50gを流動パラフィン130mL、さらに分散助剤として、ステアリン酸ソーダ1gを添加し、温度160℃まで加熱し、ナトリウム230mg、アセチルカプロラクタムを0.98mL添加し、2時間重合した。濾過後沸騰キシレンで洗浄し、その後真空乾燥した。得られたポリアミド12球形粒子の特性は、平均粒子径4.8μm、BET比表面積1200m/kgであったが、細孔径は検出できなかった。
実施例4の(2)のファンデーション化粧品組成物の調製を、上記のポリアミド12球形粒子を用いて行なった。そして、同様にして、化粧時ののび、感触性、小しわに対する改善効果などを評価した。その結果を表3に示す。

[実施例5] リップクリーム
(1)着色粉体の製造
実施例1で得られた多孔質ポリアミド粒子40gを赤色106号1gとベンジルアルコール5gとN−メチル−2−ピロリドン10gと水84gを混合して調製した水溶液中に浸漬して50℃に加熱した。20分後染まった粉体を濾過、洗浄して40℃、24時間乾燥した。得られた粉体96gに対してシリコーンオイル(東レ(株)製SH1107C)300gに溶かした溶液に添加し、撹拌後、乾燥し、着色粉体を得た。
(2)リップクリームの調製
(1)パラフィン:15.0重量%、(2)キャンデリラワックス:3.0重量%、(3)カルナウバワックス:2.0重量%、(4)メチルフェニルポリシロキサン:40.0重量%、(5)流動パラフィン:29.8重量%、(6)香料:0.2重量%、(7)酸化防止剤:適量、(8)着色粉体1:10.0重量%を用い、(1)〜(7)を80〜85℃にて溶解混合した後、(8)の着色粉体1を混合し、所定の容器に流し込み、冷却固化して、リップクリームを得た。
[実施例6] アイシャドウ
(1)タルク:10.0重量%、(2)カオリン:6.0重量%、(3)炭酸マグネシウム:1.0重量%、(4)ステアリン酸亜鉛:5.0重量%、(5)酸化チタン:2.0重量%、(6)酸化チタン被覆雲母:20.0重量%、(7)実施例5で調製した着色粉体3:50.0重量%、(8)ソルビタンセスキオレエート:1.0重量%、(9)流動パラフィン:5.0重量%、(10)香料:少量、(11)防腐剤:少量を用意し、(1)〜(7)を均一混合し、さらに(8)〜(11)を添加混合してアイシャドウを得た。
[実施例7] 治療用化粧品
皮膚軟化剤として、イソヘキサデカンを10%担持した実施例1で得られた多孔質ポリアミド粒子を添加したクリームを調製した。
【産業上の利用可能性】
本発明の多孔質ポリアミド粒子を含む化粧品組成物を人間の皮膚に適用すると、その優れた光散乱性によって、皮膚表面の異常光反射を低減し、さらにその優れた吸油性によって、体内から滲みでる油脂成分を効率的に吸収する。また、充分な硬度を有しているため、化粧品組成物の製造時の作業性が良く、また化粧品として使用している間に型崩れが発生しにくい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体基材、ペースト状基材、及び粉末基材からなる群より選ばれる化粧品基材、香料成分およびポリアミド粒子を含有する化粧品組成物であって、該ポリアミド粒子が、数平均粒子径が1〜30μmの範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、DSCによる結晶化度が40%以上、そして数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1.0〜1.5の範囲にある球形多孔質ポリアミド粒子であることを特徴とする化粧品組成物。
【請求項2】
上記多孔質ポリアミド粒子のBET比表面積が8m/g以上である請求の範囲1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
上記多孔質ポリアミド粒子の煮あまに油吸油量が240mL/100g以上である請求の範囲1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
液体基材、ペースト状基材、及び粉末基材からなる群より選ばれる化粧品基材、香料成分およびポリアミド粒子を含有する化粧品組成物であって、該ポリアミド粒子が、数平均粒子長が0.5〜25μmの範囲にあり、粒子径に対する粒子長の比が3〜50の範囲にあり、BET比表面積が5m/g以上であって、煮あまに油吸油量が200mL/100g以上、そしてDSCによる結晶化度が40%以上である筒状もしくはダンベル状の多孔質ポリアミド粒子であることを特徴とする化粧品組成物。
【請求項5】
上記多孔質ポリアミド粒子のBET比表面積が8m/g以上である請求の範囲4に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
上記多孔質ポリアミド粒子の煮あまに油吸油量が240mL/100g以上である請求の範囲4に記載の化粧品組成物。

【国際公開番号】WO2004/043411
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【発行日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551235(P2004−551235)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014533
【国際出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】