説明

化粧品

【課題】赤外線効果、荷電粒子放射、紫外線カットの効果を高めた化粧品を提供する。
【解決手段】
化粧品に衝撃波で合成されたダイヤモンド粉末を適宜配合し、その半導体特性から生じる特有な赤外線波長及び荷電粒子放射特性を利用する。必要に応じて、無機酸化物粉末を加え、ファンデーション、パウダー、ジェル、口紅、アイシャドウ、マニキュア等の化粧料として有効な特性を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド粉末を使用する化粧品、とくに身体に塗擦することを前提にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイヤモンドは、化粧品材料としては、宝石としての価値を生かして、爪等の装飾皮膜形成材としてエナメル液等と混合し塗布して使用されていた。このため、ダイヤモンドのサイズは、0.0033−0.01カラットのサイズのものが使用されている(特許文献1参照)。
【0003】
従来のダイヤモンドは、用途が装飾用であるため、宝石が光を受けた場合に、各面が光を各方向に反射屈折して宝石としての輝きを増加させる目的で、多面体にカッテイング加工されている。
【0004】
ダイヤモンドの代わりに、多面体にカッテイングされたガーネット、ルビー、サファイア、エメラルド及びトルマリン等も、化粧品材料として使用することが提案されているが、いずれも装飾品としての使用である。
【0005】
また、セラミック粉末である酸化チタン、酸化亜鉛等を油脂、ロウ類、高級アルコール等の化粧品基剤に配合した化粧品が知られているが、これらのセラミック粉末は、絶縁体としてのバンド構造に基づく紫外線反射能を用いて紫外線をカットする日焼け防止を目的として使用されている(特許文献2及び3)。
【0006】
赤外線放射効果を利用した化粧品として、トルマリン及び酸化チタンを利用した製品が知られているが、いずれも絶縁体であるため、その赤外線放射効果は弱く、トルマリンは圧電焦電材料であるが、化粧品として人体に接触させても絶縁体であり、電荷の移動は期待出来ないので、マイナス電荷の発生効果は殆ど期待できない(特許文献4)。
【特許文献1】特開2005−102980号公報
【特許文献2】特開2000−119152号公報
【特許文献3】特開2002−154915号公報
【特許文献4】特開2003−192527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、解決しようとする課題は、化粧品として使用された時に、紫外線遮蔽、赤外線放射、及び、荷電粒子放射の3重の効果を同時に発揮し、日焼け防止の美容効果、赤外線及び荷電粒子浸透による血流増加による皮膚の新陳代謝増進による活性化を通じて、皮膚劣化の防止効果のみならず美容効果を発揮する化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、衝撃波により合成されたナノサイズのSP3構造を持つダイヤモンド粉末を含有する化粧品であることを特徴とする(請求項1)。
上記化粧品には、衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末以外の赤外線放射材料及び半導体材料粉末をさらに混合することが望ましい(請求項2)。
衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末以外の赤外線放射材料としては、トルマリン、水晶、黒鉛の1種又は2種以上を、半導体材料としてGe及び/又はSiを使用することができる(請求項3)。
本発明の化粧品は、ダイヤモンド粉末を0.1wt%以上、10wt%以下を含有する複合材料粉末を使用することが望ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0009】
[請求項1の発明の効果]
衝撃波により合成されたダイヤモンド粉末は、製造工程において使用される爆薬の窒素等がダイヤモンドの結晶格子に侵入するため、不純物レベル0.1−0.4eVを持つバンド幅5.5eVの半導体になる。このため、化粧品として人体に接触すると、体温程度の加熱励起で人体の血流増大作用に有効な波長4-10μmの赤外線が放射され、また、励起された不純物レベルより荷電粒子が放出される。放出されたマイナス荷電粒子は、皮膚より人体に浸透し、血流を促進して体の内部から皮膚を活性化させる。従って、化粧品の人体へのノリ等が改善され、化粧品の有効成分の吸収が促進される。以上のように、本発明の化粧品は、紫外線遮蔽、赤外線放射、及び、荷電粒子放射の3重の効果を同時に発揮し、日焼け防止の美容効果、赤外線及び荷電粒子浸透による血流増加による皮膚の新陳代謝増進による活性化を通じて、皮膚劣化の防止効果のみならず美容効果を発揮することができる。
[請求項2及び3の発明の効果]
請求項2及び3の発明によれば、有効な赤外線放射帯域が広がり、その効果を一層発揮することができる。
[請求項4の発明の効果]
請求項4の発明によれば、人体温程度の加熱励起で充分な量の荷電粒子放射能を有する化粧品とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
続いて、本発明の実施の形態について説明する。
衝撃波で合成されたダイヤモンドは、そのバンド構造に基づき、体温による加熱エネルギー及び太陽光の波長帯の広い範囲の光エネルギー、紫外線等をも吸収し、人体に有効な波長4−10μmの不純物ドナーレベルよりの赤外線に変換放射するので、紫外線遮蔽効果もある。その結果、有効な赤外線放射帯域が広がり、その効果を一層発揮させるため、100μm程度の長波長を出すバンド幅の狭い半導体、例えばGe、また、4μm以下の比較的波長の短い赤外線を出す圧電焦電材料、例えばトルマリン等と併用して使用することができる。
ダイヤモンドは、トルマリン等の絶縁物セラミックに比較して高価であるので、必要とされる赤外線波長帯域及び荷電粒子放射能によって、その割合を適宜選択することが良い。人体温程度の加熱励起で充分な量の荷電粒子放射能を有する化粧品とするためには、ダイヤモンドの最小添加量は、圧電焦電材料及び半導体粉末の1wt%以上10wt%以下が望ましい。1wt%以下では、ダイヤモンド特有の赤外線及び荷電粒子効果が減少する。10wt%以上では、ダイヤモンドから出る荷電粒子により、化粧基剤である油脂、高級アルコール等が損傷を受け易い。
ダイヤモンド、圧電焦電材料及び半導体粉末(複合材料粉末)の添加量は、化粧品組成物に対して、5wt%以上、20wt%以下が望ましい。5wt%未満であると、ダイヤモンドよりの荷電粒子放射効果が減少し、皮膚活性化の作用が期待できなくなる。20wt%超であると、逆にダイヤモンドよりの荷電粒子により化粧品を構成する有機高分子材料の結合が切られ、有効寿命が下がる傾向があり、コストもUPする。
【0011】
本発明に従い、衝撃波により合成されたダイヤモンド粉末を化粧品に含有させ、その化粧品を人体に使用した場合は、その素材の持つ赤外線及び荷電粒子マイナスイオンの持つエネルギーにより、人体細胞の賦活作用、すなわち、4−10μmを中心とする赤外線が温熱を人体深部に浸透させ、細胞及び水分に作用して分子同士の活性化をもたらし、マイクロマッサージ効果及び自己発熱効果を促進する。
【0012】
また、荷電粒子は、皮膚より人体内部に浸透して筋肉の疲労回復、鎮痛効果をもたらすので、化粧品として使用すると皮膚が活性化するため、化粧品のノリが良くなり、化粧品の有効成分が皮膚に良く浸透して、上記医療効果のほかに、肌のハリを良くするなどの美容効果も大きい。
【0013】
衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末は、粒子サイズが0.1−0.01μm(10−100nm)と細かく、化粧品基剤の中で分散し易いので、必要に応じて他の圧電焦電材料であるトルマリン等と混合し、これを乳化剤等と混合して、パウダー、クリーム、ジェル、パック、ファンデーション等の基礎化粧品やメイクアップ化粧品に含ませることができる。この化粧品を皮膚に塗擦した場合は、人体への高い作用効果が期待できる。
【0014】
また、ダイヤモンド粉末は、表面が薄いSP2グラファイト層で覆われているため、化粧品基剤への分散性がよく、粉末がナノサイズで微細なため、皮膚の毛穴等から皮膚へ浸透し、その固有の赤外線波長及び放射するマイナスイオンで皮膚を活性化する。また、マイナスイオンは還元作用を有するため、紫外線等で酸化され劣化した皮膚を活性化し、修復する。
【0015】
衝撃波で合成されたダイヤモンド粒子の基本となる粒径は10−100nmであり、通常1−4μm程度の凝集体として存在する。トルマリン等の赤外線放射材料が無機粒子である場合は、両者を所定の配合比で混合した後、さらに均一に分散させるため、分散剤を含む溶媒、例えば水で縣濁液を作り、攪拌混合し、この縣濁液を熱風のもとで圧力噴霧ノズルより噴射して、一体化された複合粉末を作り、これを化粧品基剤と混合することにより、化粧品を製造する。
【0016】
この複合粒子は、化粧品全般に使用でき、ファンデーション、白粉、下地化粧料、アイシャドウ、アイライナー、口紅、マニキュア、乳液、クリーム等の化粧料に配合することができる。複合粉末の化粧料に対する配合量は、限定はないが、好ましくは5−20wt%である。5wt%未満であると、ダイヤモンドよりの荷電粒子放射効果が減少し、皮膚活性化の作用が期待できなくなる。20wt%超であると、逆にダイヤモンドよりの荷電粒子により化粧品を構成する有機高分子材料の結合が切られ、有効寿命が下がる傾向があり、コストもUPする。高分子材料を使用しない粉末状の化粧品の場合は、配合量の上限は、コスト及び化粧品としての皮膚へのノリにより決定される。
【実施例】
【0017】
本発明に使用されるダイヤモンド粒子を得る方法の具体例としては、密閉容器の中で高性能CB爆薬を爆発させて、200万気圧と数千度の温度を瞬時に発生させ、SP3構造炭素粒子を合成するか、又はカーボン微粉末及びCu粉末等を容器に入れ、上部にセットされた爆薬を点火することにより、同様の圧力温度を粉末混合品にかけてカーボンの結晶構造を変えた後、金属粉を酸で溶かしてSP3構造炭素粒子を得る。その粒子は、製造後の冷却過程で、表面がSP2構造を有する炭素膜で覆われる場合があるが、そのSP2構造の炭素膜は必要に応じて加温濃硝酸又は加温超臨界水等で除去する。(非特許文献1、2参照)。
【非特許文献1】大澤映二 Japan Nanonet Bulletin P108 06.03.08
【非特許文献2】住友石炭鉱業(株)クラスター技術研究会 06.03.27
【0018】
上記方法により得られたダイヤモンド粒子と市販トルマリン粒子の赤外線波長放射特性及びダイヤモンド粒子の荷電粒子放射能温度特性を図1及び図2に示す。図1は、本発明に使用するダイヤ粉末と市販トルマリンの赤外線放射分光特性図である。実施例は、乳化剤に対してダイヤモンド粉末を10wt%配合したもの、比較例は、乳化剤に対してトルマリン紛末を50wt%配合したものである。トルマリンは電気的に絶縁物であるため、体温程度の加熱励起では荷電粒子の放出量は殆どない。これに対して、衝撃波で合成されたダイヤモンドは、半導体であるため、そのドナーレベルよりの励起粒子が多く放射される。
【0019】
図1及び図2に示すように、衝撃波で合成されたSP3ダイヤモンドから構成される炭素粒子は、太陽光線エネルギー及び人体加温により活性化され、励起された荷電粒子による特有な赤外線波長放射及び荷電粒子浸透効果により、人体の皮膚を活性化し、化粧のノリ等を良くするとともに、ダイヤモンドの光反射特性により、大きな美白効果をも発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に使用するダイヤ粉末と市販トルマリンの赤外線放射分光特性図。
【図2】ダイヤモンド荷電粒子放射温度特性図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末からなる赤外線放射材料及び荷電粒子放出材料を含有する化粧品。
【請求項2】
衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末以外の赤外線放射材料及び半導体材料粉末をさらに混合してなる請求項1記載の化粧品。
【請求項3】
衝撃波法により合成されたダイヤモンド粉末以外の赤外線放射材料として、トルマリン、水晶、黒鉛の1種又は2種以上を、半導体材料としてGe及び/又はSiを使用している請求項2記載の化粧品。
【請求項4】
請求項2記載の化粧品において、ダイヤモンド粉末を0.1wt%以上10wt%以下を含有した複合材料粉末を使用した化粧品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−137908(P2008−137908A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323438(P2006−323438)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(302000438)有限会社 日本アルタ (7)
【Fターム(参考)】