説明

化粧料およびその製造方法

【課題】被乳化成分と水などの界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化を形成し、さらに使用感の良い化粧料及び、この化粧料の製造方法を提供することである。
【解決手段】高級アルコール、油性成分及び多糖類を乳化状態で含有する化粧料及びその製造方法である。その化粧料において、高級アルコールは、融点の異なる2種以上の高級アルコールを含有し、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有される。油性成分は、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有される。さらに、多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に界面活性剤に分類される有機物を含まないで、しかも被乳化成分の種類を問わないで、経時安定性に優れた乳化分散状態を維持し、更に滑らかな感触を有する化粧料及びこの化粧料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、化粧料の種類に応じて極めて多様な成分が含まれており、例えば油性成分として、有機溶剤、油性成分、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、香料等の成分が含まれている。ここで油性成分とは、皮膚面に対し清浄化、保水性、エモリエント効果、保護効果を有するものや、化粧料の展延性、滑沢性、光沢性、付着性等を向上させる機能を有するものである。
【0003】
この化粧料に含まれる被乳化成分である油性成分を化粧料に使用する場合は、従来これらの成分を、界面活性剤を使用して精製水に乳化および分散させている。
油性成分の場合には、油性成分の所要HLB値や穎粒表面の性質に応じて界面活性剤を選択し、多種類の界面活性剤を使用して、乳化および分散を行っていた。また、乳化分散剤として用いられる界面活性剤の所要HLB値は、水中油滴型(O/W型)エマルションを作る場合と油中水滴型(W/O型)エマルションを作る場合とのそれぞれに応じて使い分ける必要があり、しかも、熱安定性や経時安定性が十分でないため、多種多様な界面活性剤を混合して用いていた(例えば、非特許文献1〜4参照。)。
【0004】
従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化剤(界面活性剤)を必要とするものであった。
しかし、界面活性剤は、生分解性が低く、泡立ちの原因となるので、環境汚染などの問題があり、その使用の削減が必要となっている。
【0005】
また、油性成分の乳化製剤の調製法として、HLB法、転相乳化法、転相温度乳化法、ゲル乳化法等の物理化学的な乳化方法が一般に行われているが、いずれも油/水界面の界面エネルギーを低下させ、熱力学的に系を安定化させる作用をエマルション調製の基本としている。このため、化粧料のための最適な乳化剤を選択するために非常に煩雑かつ多大な労力を有しており、まして化粧料においては、多種類の油性成分が混在しているため、安定して乳化させることは困難な場合が多かった。
【0006】
また、化粧料において、極めて多機能な効能を求められることから、界面張力が多様な多くの物質(被乳化成分)を一つの化粧料の中に安定化させる必要性がある。特に、シリコーンオイルは、化学的に安定で、反応性がほとんどなく安全性が高く、無臭でべたつきが少なく、表面張力が低く延びが良く、なめらかな感触があることから、一般のクリーム、乳液、ローション、ジェル等の多くの化粧料に配合されている。
【0007】
しかしながら、シリコーンオイルは、非常に疎水的で界面張力が低いことから、水溶液中に安定化させることが困難であった。また、シリコーンオイルを乳化させる界面活性剤を使用すると、ステアリン酸等の有機酸や、セタノール等の高級アルコールの乳化が不安定になるという問題があり、更に、化粧料に二酸化チタン粒子や、酸化鉄粒子のような有機化合物と界面張力が極端に違う物質の場合は、一層困難となるという問題点があった。
また、油性成分を水に対して大量に混入すると、エマルジョンの「型」の転相が生じ、界面活性剤を使用する場合は、油性成分相と水相が分離する場合もあった。
【0008】
そこで、界面活性剤を用いた乳化の問題点を解決するために、ナノ分散等の技術により、界面活性剤を添加しないで油性成分を乳化させる技術が知られている。(例えば、非特許文献5〜6及び特許文献1参照。)。
これは、油/両親媒性化合物/水系の中で独立相として存在するナノ粒子をファンデルワールス力によって油性成分表面に付着させることで乳化を行なう三相乳化法である。この乳化は界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれるものであり乳化方法としては優れている。
【0009】
しかし、この技術を利用した化粧料は感触が悪く実用的ではなかった。すなわち、図1に示すように、実際に化粧料を使用してみると肌に塗布する際に指等の圧力や肌との摩擦力等で油性成分が変形し、ナノ粒子と油性成分との間にあったファンデルワールス力が減少更に消滅してしまい、油性成分表面からナノ粒子が遊離する。これにより分散していた油性成分は肌上で合一し大きな油滴となり水から分離する。分離した油性成分はそのままの状態で肌の表面存在することになり、肌に対してのなじみが悪くなっていた。したがって三相乳化法を用いた化粧品は、肌馴染みを改善するために界面活性剤あるいは、水素添加レシチン等のリン脂質やスフィンゴ糖脂質等のセラミド誘導体等の実質的に界面活性効果を有する化合物を添加しており、界面活性剤を添加しない化粧品は実質的に製造することは出来なかった。
【0010】
【非特許文献1】”Emulsion Science” Edited by P.Sherman, Academic Press Inc.(1969)
【非特許文献2】”Microemulsions−Theory and Practice” Edited by Leon M.price,Academic Press lnc.(1977)
【非特許文献3】「乳化・可溶化の技術」辻薦,工学図書出版(1976)
【非特許文献4】「機能性界面活性剤の開発技術」シー・エム・シー出版(1998)
【非特許文献5】第43回日本油化学年次大会、大阪大学コンベンションセンター 要旨(11/1−11/2,2004)
【非特許文献6】日本化学会、第57回 コロイドおよび界面化学討論会要旨(9/9−9/11,2004)、
【特許文献1】特開2004−130300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これに対して、油性成分の乳化方法において、本発明者らは、新規な乳化技術を使用した化粧料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、特定の多糖類と特定の高級アルコールの2種類以上を配合し、70℃以上で乳化させた後、さらに攪拌したまま40℃まで冷却させることで、肌になじみが良い乳化状態の化粧料を得ることを見出した。
そしてさらに、油性成分の中から特定の油性成分を選び2区分に分類しそれぞれの区分から1種以上を選び加えることによりその乳化系が格段に安定化することを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成したものである。本発明の化粧料は、界面活性剤(実質的な界面活性性能を有する物質を含む)を添加しなく、その油性成分等の被乳化成分の乳化安定性は長時間保たれるものである。
【0012】
そこで、本発明においては、化粧料に特定の多糖類と融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上及び2区分に分類された油性成分それぞれの区分から1種類以上を選び配合することで、熱安定性や経時安定性に優れた乳化を形成し、さらに使用感の良い化粧料及び、この化粧料の製造方法を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、高級アルコール、油性成分及び多糖類を乳化状態で含有する化粧料において、
高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上含有し、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、油性成分は、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されることを特徴とする乳化状態の化粧料である。
【0014】
請求項1の本発明では、融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上含有し、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有されている。融点が45℃以上の高級アルコールが2種類以上含まれると、高級アルコールと多糖類の会合体の大きさが不均一となり、結晶化しにくくなることで乳化がより安定になる。高級アルコールが1種類でも乳化はできるが、40℃等の高温で静置すると離水を生じる。高級アルコールが1種類の場合は他の油と水との間で高級アルコールが規則正しい状態(液晶化状態)になり、経時と共に上記会合体の結晶化が進み、それに伴い水の吐き出し現象が起きると考えられる。
高級アルコールが化粧料の全量に対して、1%以下であると十分な乳化は得られず、20%以上においても安定した乳化は可能であるが、本発明の高級アルコールは融点が45℃以上であり、配合割合を上げると常温以上の成分が増えるため、塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。
【0015】
油性成分は、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有されている。油性成分が1%重量以下であると肌に対して、化粧料として充分な滑らかさを与えることができなく、20重量%以上では、高級アルコールと本発明の多糖類により安定した乳化状態を得ることができない。
【0016】
多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有される。下記の特定の多糖類と高級アルコールを使用すると親水性部分と疎水性部分を持った擬似活性剤が生成し、この擬似活性剤が油性成分を安定的に乳化させることができる。この多糖類が0.01重量%以下では十分な安定性は得られず、1重量%以上では添加量に見合う安定性能の向上が見られず、コスト的に好ましくない。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で油性成分(A)と油性成分(B)が1:1〜50:1となる範囲で含む乳化状態の化粧料である。
【0018】
請求項2の発明では、高級アルコール、油性成分、多糖類に加えた乳化状態において、油性成分の中の特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)とに別けそれぞれから1種以上選択し添加することで、油性成分の表面に極性油があつまり、それにより油滴表面がより極性を持つことで乳化状態の安定性が増す。これにより、表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等の乳化安定性を損なう成分が含まれていても、安定した乳化状態を維持することができる。
また、油性成分(A)が、油性成分(B)より多いことが必要であり、その比が1:1以上であることが必要である。また、50:1以上となると、表面に十分な極性がえられないことから、安定した乳化は得られない。
【0019】
請求項3の発明は、油性成分(A)及び油性成分(B)が、それぞれ
油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上のものであり、
油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上のものを組み合わせて用いる請求項1又は請求項2記載の乳化状態の化粧料である。
【0020】
請求項3の発明では、油性成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いる方法は、経験的に見出されたものであり、その効果を発揮する理由は十分解明されていないが、以下のように推測される。
極性が近い油性成分同士を組み合わせた場合は、油滴の中で油性成分が均一に混合してしまい油滴全体の極性が低くなってしまう。さらに、融点が低く比較的極性が高い油性成分を配合することで油滴の表面を固化させず、油滴の表面の極性を保たれることで水との親和性が上がり、乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ、安定化に寄与し、融点の高い化合物は油滴の大きさを小さくする作用があり、油滴の大きさをより不ぞろいにすると、油滴が不均一なほど乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ安定化に寄与すると推測される。
【0021】
請求項4の発明は、多糖類が、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている乳化状態の化粧料である。
【化1】

【0022】
請求項4の発明では、上記の一般式(化1)で表される多糖類及び特定の高級アルコール2種類以上で他の油性成分である被乳化成分を乳化すると、安定した化粧料を得ることができる。上記多糖類と特定の高級アルコールを2種類以上を使用すると、その多糖類と高級アルコールが、水素結合にて結合し、更に会合体(塊)を生じることで粒子構造を形成し、安定した乳化状態を有する化粧料を得ることができる。
【0023】
請求項5の発明は、高級アルコールが、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている乳化状態の化粧料である。
【0024】
請求項5の発明では、上記特定の高級アルコールを2種類以上使用するため、水酸基を持った化合物が複数含まれることにより多糖類と高級アルコールから生じる会合体が多様な大きさを有して、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
それぞれの高級アルコールを0.4重量%以上使用しないと実質的に2種類以上の高級アルコールを使用した効果が得られない。また、2種類以上の高級アルコールの混合物が化粧料の全量に対して0.8重量%以下では、多糖類と充分な粒子構造を形成することができなく、20重量%以上混入しても、混入量に見合う効果が生じなく、コスト的に好ましくない。
【0025】
請求項6の発明は、2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする乳化状態の化粧料である。
【0026】
請求項6の発明では、2種類以上の高級アルコールの混合物の混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲であるため、2種以上混合された高級アルコールは、1つの高級アルコールが少なくとも他の1つの高級アルコールに対して五分の一以上混合されているので、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が実質的に相当量の異なる大きさの会合体を形成して、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
【0027】
請求項7の発明は、化粧料が、実質的な界面活性機能を有する物質を含まない乳化状態の化粧料である。
【0028】
請求項7の発明では、長期間安定する馴染みがよい乳化物を得ることができるため、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用しなくてもよい。このため環境汚染の少ない、肌になじみのよい化粧料を得ることができる。
【0029】
請求項8の発明は、多糖類がランダムな粒径に細分化された乳化状態の化粧料である。
【0030】
請求項8の発明は、多糖類がランダムな粒径に細分化されたため、油性成分の乳化状態が安定した化粧料を得ることができる。
【0031】
請求項9の発明は、高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分及び多糖類を乳化状態で含有する化粧料の製造方法において、
70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を水および/又は親水性溶媒に溶解させて溶液を製造した後に、
融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有する高級アルコールについて、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量と、油性成分について、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量を、溶液に添加し、溶解させ、70℃以上で乳化攪拌させ、更に、乳化攪拌したまま上記成分が含有された溶液を40℃以下まで冷却させることを特徴とする乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0032】
請求項9の発明では、まず、70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を、水および/又は親水性溶媒に溶解させて溶液を製造する。
このため、上記の特定の多糖類と、後でその溶液に入れる高級アルコールを溶解すると、親水性部分と疎水性部分を持った擬似活性剤が生成し、この擬似活性剤が油性成分を安定的に乳化させることができる。この多糖類が0.01重量%以下では十分な安定性は得られず、1重量%以上では添加量に見合う安定性能の向上が見られず、コスト的に好ましくない。
【0033】
次に、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有する高級アルコールについて、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量と、油性成分について、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量を溶液に添加し、溶解させる。十分に分散した多糖類の分散液に本発明の高級アルコールが分散され融点が45℃以上の高級アルコールが2種類以上その溶液に含まれため、上記高級アルコールと多糖類から構成される粒子の大きさが不均一となり、油性成分を含む乳化粒子は、結晶化しにくくなり、乳化はより安定になる。どれか1種類では十分な乳化安定は得られない。
高級アルコールが化粧料の全量に対して、1%以下であると十分な乳化は得られず、20%以上においても安定した乳化は可能であるが、本発明の高級アルコールは融点が45℃以上であり、配合割合を上げると常温以上の成分が増えるため、化粧料の塗布後の感触が硬くなり使用感が悪くなる。
【0034】
上記溶液を70℃以上で乳化攪拌させ、更に、乳化攪拌したまま上記成分が含有された上記溶液を40℃以下まで冷却させる。
多糖類と2種類以上の高級アルコール及び上記油性成分を分散された溶液に、70℃以上で、乳化させることにより被乳化成分を安定して乳化させることができる。
70℃以上で、上記の多糖類と上記の高級アルコール2種類以上と油性成分の集合体が乳化攪拌により水および親水性溶媒を巻き込み分散した状態を、乳化攪拌しつづけることで維持しながら、40℃以下まで冷却し、その状態を固定することができる。これにより本発明の化粧料はこのように油性成分と水が特殊に分散した状態であるため、肌になじみのよい乳化状態の化粧料を得ることができる。この乳化攪拌したまま40℃以下まで冷却するときは、そのまま同じ攪拌装置を使用することができる。
【0035】
請求項10の発明は、化粧料の製造方法において、油性成分が少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを、重量比で油性成分(A)と油性成分(B)が1:1〜50:1となる範囲で添加する請求項8に記載の乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0036】
請求項10の発明では、化粧料の製造方法において、油性成分(A)と油性成分(B)とに別け、それぞれから1種以上選択し添加することで、乳化状態の安定性が増す。これにより、表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等の乳化安定性を損なう成分が含まれていても、安定した乳化状態を維持することができる。
また、油性成分(A)が、油性成分(B)より多いことが必要であり、その比が1:1以上であることが必要である。また、50:1以上となると、表面に十分な極性がえられないことから、安定した乳化は得られない。
【0037】
請求項11の発明は、油性成分(A)及び油性成分(B)が、それぞれ
油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上であり、
油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上を組み合わせて用いる乳化状態の化粧料である。
【0038】
請求項11の発明では、油性成分(A)と油性成分(B)を使用することにより、油滴の表面を固化させずに油滴の表面の極性を保つことで水との親和性が上がり、乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ安定化に寄与する。また、融点が高い2価のアルコールや固体ロウでは、油滴の大きさを小さくする作用があり、油滴の大きさをより不ぞろいにする。このため、油滴が不均一なほど乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ安定化に寄与することができる。
【0039】
請求項12の発明は、多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている乳化状態の化粧料の製造方法である。
【化1】

【0040】
請求項12の発明では、一般式(化1)で表される多糖類により、特定の高級アルコール2種類以上及び他の油性成分である被乳化成分を乳化すると、安定した化粧料を製造することができる。上記多糖類と特定の高級アルコールを2種類以上を使用すると、その多糖類と高級アルコールが、水素結合にて結合し更に会合体(塊)を生じることで粒子構造を形成し、安定した乳化状態を有する化粧料を製造することができる。
【0041】
請求項13の発明は、高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0042】
請求項13の発明では、上記特定の高級アルコールを2種類以上使用するため、上記多糖類と高級アルコールにより、水酸基を持った会合物が複数含まれることにより溶液内に多様な粒子が生じて、分子量の異なる高級アルコールと多糖類が、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態の安定化した化粧料を製造することができる。
また、それぞれの高級アルコールを0.4重量%以上使用しないと実質的に2種類以上の高級アルコールを使用した効果が得られない。2種類以上の高級アルコールの混合物が化粧料の全量に対して0.8重量%以下では、多糖類と充分な粒子構造を形成することができなく、20重量%以上混入しても、混入量に見合う効果が生じなく、コスト的に好ましくない。
【0043】
請求項14の発明は、2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0044】
請求項14の発明では、2種類以上の高級アルコールの混合物は、その混合比が、それぞれ1:5〜5:1の範囲で混合されたため、2種以上混合された高級アルコールは、1つの高級アルコールが、少なくとも他の1つの高級アルコールに対して五分の一以上混合されているので、分子量の異なる高級アルコールと多糖類の会合体が実質的に相当量の異なる大きさの会合体を形成させることができ、均一な粒子構造を形成することを防止して、乳化状態を安定化させることができる。
【0045】
請求項15の発明は、化粧料が、実質的な界面活性機能を有する物質を含まない乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0046】
請求項15の発明では、多糖類と高級アルコールを使用して、長期間安定する馴染みがよい乳化物を製造することができるため、実質的な界面活性能を有する界面活性剤を使用しなくても、環境汚染の少ない、肌に馴染みのよい化粧料を製造することができる。
【0047】
請求項16の発明は、70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、多糖類をランダムな粒径に細分化するように撹拌した乳化状態の化粧料の製造方法である。
【0048】
請求項16の発明では、70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、多糖類をランダムな粒径に細分化するように撹拌したため、油性成分の乳化状態が安定した化粧料を得ることができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明において、特定の多糖類と融点が45℃以上の高級アルコールを2種類以上を使用し、熱安定性や経時安定性に優れた乳化状態を有する化粧料を得ることができる。このため、界面活性剤を使用しないでも、安定した乳化状態を保つことができると共に、感触も優れた化粧料を得ることができる。更に、界面活性剤等を添加しなくても、肌馴染みが良い化粧料を製造することができる。
また、本発明において特定の多糖類と融点が45℃以上の高級アルコール2種類以上を使用して、他の油性成分も配合することが可能となることから、化粧料に多種類含まれる被乳化油性成分の所要HLB値に関係なく、油脂成分を乳化させることが可能となるので、炭化水素系油性成分やシリコーン系油性成分の乳化も可能となる。このため、化粧料の製造において、多種類の被乳化成分に適合する乳化分散剤を選択する煩わしさや労力を最小限にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明の最良の実施形態を従来の化粧料と比較して説明する。
本発明の化粧料は、通常の化粧料が有する油性成分としての被乳化成分である油性成分を1重量%〜20重量%含有し、特定の多糖類を化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有し、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ドコサノールから選ばれた2種類以上の高級アルコールを全量に対して1重量%〜20重量%含有している。被乳化成分である油性成分としては、シリコーンオイル、炭化水素、フッ化炭化水素、ロウ、炭素数14未満のアルコール、脂肪酸エステル、有機酸エステル等があるが、それら化合物の誘電率の値が1〜5(F/m)の範囲であり、無機性値/有機性値比が0〜0.5(F/m)の範囲の化合物である場合の有機物が特に望ましい。
【0051】
本発明で用いる高級アルコールは融点が45℃以上の高級アルコールで、具体的には直鎖飽和脂肪族アルコールのヘキサデカノール(セチルアルコール)(融点50℃)、オクタデカノール(ステアリルアルコール)(融点59℃)、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)(融点72℃)、テトラコアサノール(融点74℃)等であり、さらに植物抽出油脂を水素添加して得られたアルコールの水添ナタネ油アルコール(融点60〜70℃)、水添ココナッツアルコール(融点50〜65℃)、水添パーム油アルコール(融点50〜65℃)等がある、これらの高級アルコールを1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましくは、上記高級アルコールがヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有させる。
【0052】
本発明における被乳化成分である油性成分としては、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、融点45℃未満のアルコール、多価アルコール、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、有機酸エステル、ロウ、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、リン脂質等がある。好ましくは油性成分の中から特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、油性成分として少なくともそれぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いられる。
【0053】
油性成分(A)としては、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウが挙げられ、油性成分(B)としては固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質が挙げられる。
具体的な脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ウンデシレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸等がある。
融点45℃未満のアルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール等がある。
【0054】
油性成分(A)のシリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン−メチル(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体などのようなポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン−アルコキシ(炭素数4〜12)メチルシロキサン共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどのような環状ジメチルポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのフッ素変性オルガノポリシロキサン、フルオロメチルシロキサン・ポリオキシエチレンメチルシロキサン共重合体やフルオロメチルメチルシロキサン・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメチルシロキサン共重合体などのフルオロアルキル・ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、末端に水酸基を導入したジメチルポリシロキサン変性物や側鎖に部分的に水酸基を導入したヒドロキシメチルシロキサン・ジメチルポリシロキサン共重合体等の末端あるいは側鎖変性オルガノポリシロキサン、側鎖にジアルキルアミノアルキル基を持つジメチルアミノブチルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン重合体などの変性アミノオルガノポリシロキサンがあげられる。特にジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキサンが適している。
【0055】
油性成分(A)のフッ素化炭化水素としては、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチル、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチルPEGリン酸、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシメチルジステアラミド、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタンがある。
【0056】
油性成分(A)の炭化水素としては、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン(炭素数16から炭素数40までのn−炭化水素単独あるいはそれらの混合物)、マイクロクリスタリンワックス(分子量450〜1000のイソパラフィンと少量のn−パラフィン及びナフテン系炭化水素の混合物)、流動パラフィン、流動イソパラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ワセリン等がある。好ましくは、スクワラン、パラフィンである。
【0057】
油性成分(A)の1価アルコールの脂肪酸エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、コハク酸−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−ジ−2−ヘプチルウンデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、オレイン酸デシル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸オレイル等が挙げられる。中でもパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリルが好ましい。
【0058】
油性成分(A)の動植物油脂としては、植物由来の油脂と動物由来の油脂がある。植物由来の油脂には、乾性油、半乾性油、不乾性油及び常温で固型の植物脂があり、乾性油としてはサフラワー油、大豆油、月見草油、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油等、半乾性油としてはアルモンド油、ごま油、コムギ胚芽油、とうもろこし油、綿実油等、不乾性油としてはアボガド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ひまし油、落花生油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等、植物脂としてはカカオ脂、シア脂、木ロウ、ヤシ油、パーム油、パーム核油等がある。中でもぶどう種子油、ローズヒップ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油が適している。
【0059】
動物由来の油脂としては、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、タートル油、豚脂、馬脂、ミンク油、肝油、卵黄油等がある。
油性成分(A)のオキシカルボン酸エステルとしては、リンゴ酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリエチル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、コハク酸ジオクチル等が挙げられる。
油性成分(A)の多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)としては、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセル、トリラウリン酸グリセル、イソステアリン酸コレステリル、トリイソパルミチン酸グリセル、トリオレイン酸グリセル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル酸・カプリン酸)プロピレングリコール、ジステアリン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。特にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリルが適している。
油性成分(A)の液体ロウとしては、液状ラノリン、ホホバ油があり、中でもホホバ油が好ましい。
【0060】
油性成分(B)の固体ロウとしては、動物性ロウと植物性ロウがあり、動物性ロウにはミツロウ(蜜蝋)、鯨ロウ、ラノリン、硬質ラノリン、硬化ラノリン、還元ラノリン、精製ラノリンを含む)等があり、植物性ロウにはカルナウバロウ、キャンデリラロウ、水素添加ホホバ油等がある。中でもミツロウ(蜜蝋)が好ましい。
油性成分(B)の2価の高級アルコールとしては、キミルアルコール(モノパルミチルグリセリンエーテル)、バチルアルコール(モノステアリルグリセリンエーテル)がある。
【0061】
油性成分(B)の環状アルコールとしては、コレステロール(コレステリン)、ジヒドロコレステロール、フィトステロール(シトステロール)、カンペステロール、スチグマステロール等があり、中でもコレステロール(コレステリン)、フィトステロール(シトステロール)が好適である。
油性成分(B)の 環状アルコールの脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシルエステル、コレステリル・オクチルドデシルエステル、オレイン酸・フィトステリルエステル、2−オクチル、ドデシルフィトステリルエステル、2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリルエステル等がある。中でもステアリン酸コレステリルが好適である。
【0062】
油性成分(B)の多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)としては、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリオキシステアリン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリラノリン脂肪酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリル、エリスリトール脂肪酸エステルのジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット等がある。特に(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリル、(ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸の混合酸)ジペンタエリスリチル、12―ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが適している。
油性成分(B)のリン脂質としては、大豆リン脂質、卵黄レシチン等がある。
【0063】
本発明の高級アルコールは、本発明の多糖類と会合体(塊)を形成した後、油性成分に吸着し、水と隔離分散する。従って、高級アルコールが1種類であると、本発明の多糖類との会合体(塊)の大きさが均一になることから、この会合体(塊)が規則正しく整列し、液晶状態になる。このような結晶状態は経時と共に結晶化が進み、離水や離油が生じて、乳化状態が不安定になり好ましくない。
したがって高級アルコールと多糖類との会合体(塊)の大きさを不ぞろいにすることにより結晶化を防止し安定化させることができることから、より不ぞろいにさせるために本発明の高級アルコールは少なくとも2種類を併用し、より好ましくは、3種類以上の多数の高級アルコールを併用した方がより安定化する。
【0064】
また、本発明の高級アルコールは、多糖類との会合体(塊)を形成した後、油性成分に吸着し水と隔離分散させるため、配合する油性成分の種類や量により適正配合量は変化するが、最低でも高級アルコールは、化粧料の全量の1重量%以上の配合量が必要でありそれ以下では安定した乳化状態は得られない。また20重量%以上では効果は得られるものの、塗布後が蝋を塗ったような状態となり感触的に悪くなり、化粧品としては実用的ではない。
【0065】
また、本発明の乳化において、配合する2種類以上の高級アルコールうち、1つの配合量が過剰になると、高級アルコールを1種類配合した場合と類似した状態となり、他の油と水との間で高級アルコールが規則正しい結晶化状態になり、経時と共に結晶化が進むことから離水を起こす。従って、各高級アルコールは、それぞれが少なくても0.4重量%以上は添加する必要がある。2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とすることが好ましい。即ち、添加された高級アルコールは、他の高級アルコールとの配合割合がそれぞれ5倍以内にすることが好ましい。
【0066】
本発明の多糖類の種類については、その多糖類を単独で使用してもよく、あるいは、他の多糖類2種類以上組み合わせても良い。しかし、後述する式(化1)の多糖類を単独で、あるいは、後述する式(化1)の多糖類と他の多糖類との組み合わせが最も効率よく本発明の効果が得られる。また添加量は、最終化粧品製剤全量に対して0.01重量%〜1重量%、望ましくは、0.02重量%〜0.2重量% 更に望ましくは0.05重量%〜0.08重量%添加する。0.01重量%以下では十分な効果は得られない。また1重量%以上では、効果は得られるものの、コストが上がり効率的ではない。
【0067】
本発明において使用する高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上である。その選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されているように高級アルコールを使用する。この高級アルコールと本発明の多糖類と会合体(塊)を形成した後、その会合体が、他の油性成分に吸着し、水と隔離分散させた後、系内が本発明の高級アルコールの融点以下になることで油の分散状態が固定され、良好な乳化状態が得られると推測している。
【0068】
実際、本発明の乳化方法における乳化状態は、別の油性成分の乳化方法における乳化状態とは、特に界面活性剤を使用しない3相乳化法とは、別の特殊な乳化状態であることが確認された。すなわち、例えば常温で液体であるスクワランと本発明の多糖類及び高級アルコールを2種類以上配合して乳化させた場合は、その乳化状態は40℃に於いて数ヶ月の長期間安定である。
しかし、本発明に使用する高級アルコールではない融点が低い(分子量が低い)テトラデカノール単独、あるいはドデカノールと組み合わせて、本発明の多糖類とスクワランを配合して乳化させた場合は、その乳化状態は50℃に於いて数分で分離してしまう。また、本発明に使用する高級アルコールでない炭素数(C)24以上の高級アルコールを用いた乳化は、肌に適用した際に、よれて粕状の物が発生してしまい、化粧料としては不完全である。
【0069】
また化粧料は各種成分を多く配合させるので、その配合成分の種類及び量によっては、本発明の高級アルコールを2種類以上配合した場合だけでは安定性が不十分な場合がある。特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等を配合した場合はその影響が大きい。その場合は、本発明の高級アルコールを2種以上配合するとともに、安定した乳化状態を得るために、極性の異なる油性成分を2種以上配合する。具体的には、油性成分の中で特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いられる。油性成分(A)はシリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、融点45℃未満のアルコール、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上である。油性成分(B)は、固体ロウ、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上である。この油性成分(A)と油性成分(B)を組合せ、さらに、その配合比は重量比で1:1〜50:1の範囲で配合すると乳化状態の安定性がより高まる。
【0070】
本発明の油性成分の中で特定の成分を油性成分(A)と油性成分(B)の2組に分け、それぞれの油性成分から1種以上を選択して組み合わせて用いる方法は、経験的に見出されたものであり、その効果を発揮する理由は十分解明されていないが、以下のように推測される。
極性が近い油性成分同士を組み合わせた場合は、油滴の中で油性成分が均一に混合してしまい油滴全体の極性が低くなってしまう。さらに、融点が低く比較的極性が高い油性成分を配合することで油滴の表面を固化させず、油滴の表面の極性を保たれることで水との親和性が上がり、乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ、安定化に寄与し、融点の高い化合物は油滴の大きさを小さくする作用があり、油滴の大きさをより不ぞろいにすると、油滴が不均一なほど乳化成分の凝集・結晶化を防ぎ安定化に寄与すると推測される。
【0071】
極性が異なる油性成分を組み合わせることは、乳化状態の安定性を増加させるものであり、化粧料に配合すると化粧料の乳化分散を不安定にさせるもの(表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等など)を化粧料に配合する時に使用すると、化粧料の乳化分散を安定的に維持させることができ、効果的であるが、このようなものを配合しない場合に極性がことなる油性成分を組み合わせることになんら制限を加える物ではない。
また、界面活性効果を有する有機物やレシチンおよびその水素添加物、リン脂質およびその化合物及び糖脂質およびその化合物、セラミドおよびその化合物を配合する必要はないが、例えば、保湿剤やエモリエント剤として配合してもなんら問題はない。
【0072】
次に、本発明の化粧料の製造方法について説明する。
化粧料の製造方法は、まず、70℃以上の、水単独、親水性溶媒単独、または水と親水性溶媒の混合物に、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を全量に対して0.01重量%〜1重量%を溶解させる。この多糖類の具体的な1例を下記する。
【0073】
その際、強いシェアーをかける必要があり、ホモジナイザー(たとえばTKホモミクサーMARKII2.5型羽に本体TKロボミックス、特殊機化工業株式会社製)あるいはデイスパーザー(たとえばTKホモディスパーザー2.5型2.5型羽に本体TKロボミックス、特殊機化工業株式会社製)を使用して撹拌する。
これにより、上記多糖類をランダムに細分化させることができる。また、本発明の上記多糖類の大きさがバラバラである方が、本発明の高級アルコールと付着した際の会合体(塊)の大きさもバラバラになることで結晶化しにくくなり、乳化がより安定になる。
【0074】
次に、本発明の上記多糖類の水溶液に、高級アルコールのうち、少なくとも、化粧料の全量に対して化粧料の0.4重量%以上のヘキサデカノール、化粧料の全量に対して0.4重量%以上のオクタデカノール、化粧料の全量に対して0.4%以上のエイコサノール、化粧料の全量に対して0.4重量%以上のドコサノールから選ばれた2種類以上の高級アルコールを、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有させ、同時に、油性成分を化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有した混合物を添加し、溶解させて、70℃以上で乳化させ、更に、乳化攪拌したまま40℃まで冷却させる。
なお、この高級アルコールと油性成分を添加するときに、二酸化チタン等の乳化しにくい成分を含有する場合は、極性高低が異なる区分の油性成分と区分Bの油性成分を組み合わせて使用する。
【0075】
この乳化の方法において、ホモジナイザーと称される通常の乳化装置を用いることが出来る。その際、70℃以上に加熱した本発明の特定の多糖類の溶液をホモジナイザーにより攪拌している状態のところに、70℃以上に加熱した被乳化成分である本発明の高級アルコールや油性成分、必要な場合は、乳化補助成分を添加し乳化させる。装置、液量により異なるが、10分〜60分攪拌した後、攪拌をそのまま続けた状態で、冷却を開始する。冷却時間は装置、液量により異なるが、10分〜60分かけ常温にする。この方法にて、本発明の乳化状態の化粧料を得ることができる。
【0076】
本発明に使用する多糖類は、上記のように、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類であることが本発明を効率よく行うためには重要であるが、例えば、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含む多糖類であり、好ましくは下記式(化1)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類(A)である。
【0077】
【化1】

【0078】
上記式(化1)の多糖類は、例えばアルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができる。アルカリゲネス レータスB−16株細菌は、通常の微生物培養方法で培養され、培養後、該培養液にアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を入れると産出多糖類が不溶解物として析出する。析出物を分離して多糖類を得ることができる。
【0079】
一般式(化1)で表される多糖類と本発明の高級アルコールを使用すると、より安定した化粧料を得ることができる。上記一般式(化1)で表される多糖類の水素基と、上記の特定の高級アルコールの水酸基が水素結合により吸着することにより、多糖類と特定の高級アルコールの会合体(塊)が形成する。本発明の乳化をより安定化させるためには、この多糖類と特定の高級アルコール会合体(塊)の大きさや分極がよりバラバラであるのが望ましい。
【0080】
本発明の多糖類は水中にて網目を形成しているが、1ユニットの多糖類が紐状に伸びて絡んでいるのではなく、図2に示したように、1ユニットが球状になっており、それが水素結合にて数珠状に連なり紐状となりさらに、絡み合い網目を形成している。したがって、まずホモジナイザー等で強いせん断力を与え、水素結合を物理的に切り、紐状断片や、球状の1ユニットにする必要がある。
【0081】
このバラバラの大きさの多糖類と特定の上記高級アルコールを高温時で混合すると、高級アルコール同士が水酸基の水素結合により会合し、次に多糖類の水素基と高級アルコールの水酸基が水素結合により会合し、高級アルコールと多糖類の乳化状態が形成する。次にその状態で徐々に冷却していく工程において、乳化溶液の温度が高級アルコールの融点以下になったときに、固化し、会合体(塊)を形成する、そして、溶液中の他の油性成分と接触し、さらに他の油性成分との集合体となる。この集合体を乳化攪拌により水および親水性溶媒と巻き込み、分散した状態で、乳化攪拌しつづけることを維持しながら40℃以下まで冷却することで、本発明の高級アルコールが融点以下になり、固化し、その乳化状態が固定されることで本発明の化粧料を製造することができる。
本発明の化粧料はこのようなに油性成分と水が特殊に分散した状態であるため、肌になじみのよい乳化状態の化粧料を得ることができる。
【0082】
本発明の多糖類において、微生物は一般に2種以上の多糖類を産生することが多いが、本発明の効果を妨げるものでなければ、他種の多糖類が含まれていても差し支えない。例えば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられており、培養液から分離した多糖類の構成単糖比率はモル比でフコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜2)であるが、2種の多糖類を分離すると、一つは、前記一般式(化1)に示すようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖中にある1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造を有する多糖類であり、他はフコースとマンノースを繰り返し単位とする多糖類である。前者は、本発明の多糖類であり、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比は1:2:1:1であり、分子量は10〜10程度の高分子成分である〔1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁参照〕。後者は、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造の多糖類であり、分子量が10〜10の低分子成分である〔Y.Nohata,J.Azuma,R.Kurane,Carbohydrate Research 293,(1996)213〜222参照〕。この低分子成分は本発明の多糖類の範囲外であるが、本発明の安定化効果を妨げるようなことはなく、結果的に本発明に用いられることになっても差し支えない。この多糖類は、アルカシーラン〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕として市販されている。
【0083】
また、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の代わりに、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)又はSPH−012(FERM BP−08579)を使用しても、本発明の多糖類を得ることができる。それ以外に、主鎖がグルクロン酸、グルコース、ラムノースで、側鎖がラムノースである、ウエランガム(CPケルコ社製)、ダイユータンガム(CPケルコ社製)等がある。
【0084】
また、本発明の乳化をさらに安定化させるために、親水性成分を添加しても良い。アミノ酸、糖およびその誘導体、(POEメチルグルコシド)、親水性ポリマー、低分子多価アルコール等である。水相を多成分の混合系にすることにより、水相も不均一にすることができる。これにより乳化物の結晶化を水相からも防止することができる。
アミノ酸としては、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルチニン、グルタミン、グリシン、グルタミン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン、シスチン、シトルリン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、テアニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩等が上げられる。
【0085】
糖およびその誘導体としては、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖、POEメチルグルコシド、加水分解水添デンプン、グルコシドトレハロース等がある。
親水性ポリマーは、例えば、キサンタンガム、アラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムクラフト重合体、疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロースなどの半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などであり、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもある。
【0086】
低分子多価アルコールとしては、エタノール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタノール、プロパノール、ペンタンジオール、オクタンジオール、1−(2−エチルヘキシル)グリコールエーテル等が挙げられる。
【0087】
本発明の化粧料は、その使用目的により種々のものがあり、従って必要によりさらに、薬品類、医薬部外品類、化粧品類などに配合される成分である精製水、温泉水、深層水、増粘剤、色素、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症(消炎)剤、皮膚(細胞)賦活化剤、抗菌剤、経皮吸収促進剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、褪色防止剤、緩衝剤などが任意に加えられる。本発明は、その目的とする効果を妨げない範囲でこれら各種添加剤の配合することを制限するものではない。
【0088】
本発明の化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内で、外用剤の他、内服剤、注射剤等、種々の形態の製剤とすることができるが、通常は、医薬品、医薬部外品、化粧品等の外用剤として用いることが好ましい。
【実施例】
【0089】
次に、本発明の実施例について説明する。
(多糖類)
1.多糖類(A−1):アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(粗製品)
グルコース〔和光純薬工業(株)製、試薬〕40.0g、リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕4.0g、リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕2.0g、塩化ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.1g、硫酸マグネシウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.2g、硝酸カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕1.0g、イーストエキストラクト〔オキソイド(OXOID)社製〕1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調整し、全量を1リットルとした。この水溶液150mLを500mLの三角フラスコに取り、オートクレーブにより加熱滅菌(121℃、15分間)した後、室温まで戻し、アルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を1白金耳接種し、30℃にて6日間振とう培養(180rpm)した。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してアルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(A−1)を得た。この多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含み、その存在比は7:1(重量比)である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0090】
2.多糖類(A−2):上記多糖類(A−1)の精製品
上記多糖類(A−1)の0.5重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12とした。この水溶液をイオン交換樹脂「ダイヤイオンHPA−75(OH−)(商品名)」(日本錬水(株)製)のカラムを用いて8Ru以下で処理し、さらに濾過助剤「ラジオライトRL700」と5μmメンブランフイルターで濾過し、タンパク質、核酸、微生物類を除去した。濾液を希塩酸にてpHが7にしてから減圧濃縮し、アセトンを投入して多糖類を沈澱させ、さらに10倍量のアセトンで洗浄し、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:2:1:1で構成され、分子量が5,000万の多糖類(A−2)を得た。
【0091】
3.多糖類(A−3):アルカシーラン(伯東(株)製)〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕
【0092】
4.多糖類(A−4)、多糖類(A−5):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011、SPH−012株細菌の産出多糖類(粗製品)。
下記組成の培地50Lを、マルビシエンジニアリング社製の90Lの発酵槽に入れ、滅菌後、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)又はSPH−012(FERM BP−08579)をそれぞれ摂取し、培養を行った。
発酵槽の攪拌羽にはタービン攪拌羽根を用いて、700rpm〜800rpmの範囲で撹拌し、通気量は1vvm〜2vvmの範囲とした。pHは、6.5±0.4の範囲となるようにNaOHの1N水溶液を使用してコントロールした。また、培養温度は、30℃±0.2でコントロールを行った。培養は6日間行った。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011細菌の産出多糖類(A−4)およびSPH−012細菌の産出多糖類(A−5)を得た。多糖類(A−4)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他、ラムノースとマンノースをモル比2:1で構成される多糖類を含む。また、多糖類(A−5)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含む多糖類である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
<培地の組成>
グルコース 〔和光純薬工業(株)製〕4.00g
リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製〕0.40g
リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製〕0.20g
塩化ナトリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.01g
硫酸マグネシウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.02g
硝酸カリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.10g
イーストエキストラクト Hy−Yeast 412 〔シグマ社製〕0.15g
【0093】
5.多糖類(A−6)および多糖類(A−7):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH −011、SPH−012株細菌の産出多糖類(精製品)。
多糖類(A−4)および多糖類(A−5)の0.5重量%水溶液に、それぞれ0.02重量%濃度になるように水酸化ナトリウムを添加し、一晩撹拌を行い多糖類を分散させた。更に、121℃、10分間の条件で加熱して溶解させた。次に、遠心分離(40,000G,40分)にて除菌を行った。菌体除去の確認は、上清の透明度で判断した。次に、前記メンブレンフィルターシステムにて濾過を行い濾過残渣を得た。この濾過残渣に再度、体積として約100倍量の純水を足し、撹拌した後、再濾過をおこなう。この操作を5回繰り返し水不溶成分の脱塩を行なった。メンブレンフィルターシステムによりある程度脱水したゲル状の水不溶成分をそのまま常温減圧乾燥し、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011株細菌の産出多糖類(A−6)(精製品)を得た。同様に、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類製(A−7)を得た。
【0094】
6.多糖類(A−8):キサンタンガム(KELTROL(商品名);CPケルコ社製)
(本発明高級アルコール)
・ヘキサデカノール(B−1)〔「ハイノール16SS(ヘキサデカノール99%以上、融点49−53℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製〕
・オクタデカノール(B−2)〔「ハイノール18SS(オクタデカノール99%以上、融点55−60℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製〕
・エイコサノール(B−3)〔「ハイノール20SS(エイコサノール95%以上、融点60−65℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製〕
・ドコサノール(B−4)〔「ハイノール22S(ドコサノール97%以上、融点67―73℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製)
・セトステアリルアルコール(B−5)〔「セトステアリルアルコール(ヘキサデカノール50%、オクタデカノール50%、融点54−56℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製)
・ベヘニルアルコール(B−6)〔「ベヘニルアルコール65(ドコサノール65〜70%、エイコサノール10〜20%、オクタデカノール10〜20%、融点65−73℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製〕
・水素添加ナタネ油アルコール(B−7)〔「アルコールNo.20―B(オクタデカノール40%、ドコサノール50%、融点60−70℃)」(商品名);高級アルコール工業(株)製〕
【0095】
(本発明で用いる高級アルコールを除く油性成分)
(本発明で用いる油性成分(A))
・ジメチルポリシロキサン(C−1)(粘度50mPa・s、25℃)(信越化学工業(株)製)
・スクワラン(C−2)(「クラレスクワランN」(商品名);クラレ(株)製)
・ぶどう種子油(C−3)(「グレープシード油」(商品名);日光ケミカルズ(株))
・オリブ油(C−4)(「クロピュアOL」(商品名);クローダジャパン(株)製)
・流動パラフィン(C−5)(「ミネラルオイル」(商品名);ビーアンドオー研究所製)
・トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−6)(「NIKKOL Trifat S−308」(商品名);日光ケミカルズ(株)製)
・トリ(カプリル酸、カプリン酸)グリセリル(C−7)(「NIKKOL トリエスター F−810」(商品名);日光ケミカルズ(株)製)
・ミリスチン酸イソステアリル(C−8)(「コスモール812」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・ホホバ油(ホホバオイル)(C−9)(「ホホバオイル」(商品名);ビーアンドオー研究所製)
(本発明で用いる油性成分(B))
・キミルアルコール(D−1)(「NIKKOL キミルアルコール100」(商品名);日光ケミカルズ(株)製)
・バチルアルコール(D−2)(「NIKKOL バチルアルコール100」(商品名);日光ケミカルズ(株)製)
・ヒドロキシステアリン酸コレステリル(D−3)(「サラコスHS」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)(D−4)(「エルデュウCL−301」(商品名);味の素(株)製)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)(D−5)(「エルデュウCL−202」(商品名);味の素(株)製)
・オレイン酸フィトステリル(D−6)(「サラコスPO」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(2−オクチル・ドデシルフィトステリル)(D−7)(「エルデュウCL−203」(商品名);味の素(株)製)
・ラウロイルグルタミン酸ジ(2−オクチルドデシル・ベヘニル・フィトステリル)(D−8)(「エルデュウCL−304」(商品名);味の素(株)製)
・高級脂肪酸(ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸の混合酸)ジペンタエリスリチル(D−9)(「コスモール168AR」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・12―ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(D−10)(「コスモール168M」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル(D−11)(「ノムコートLAH」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・トリ(カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸)グリセリル(D−12)(「サラコス334」(商品名);日清オイリオグループ(株)製)
・ミツロウ(蜜蝋)(D-13)(「ゴールデンブランドミツロウ」(商品名);三木化成(株)製)
【0096】
〔高級アルコール乳化物の調製と評価(1)〕
(実施例1〜19)
80℃の温水159.7gにパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間、攪拌して、多糖類を溶解した。次に、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱した高級アルコール(B−1)10g、(B−2)10g、ジメチルポリシロキサン(C−1)5g、スクワラン(C−2)5g、流動パラフィン(C−5)5g、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−6)5gを混合し、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、実施例1の乳化物を得た。同様にして、高級アルコール(B−2)〜(B−7)の2種以上を組み合わせて20gとして用いて、実施例2〜11,実施例13〜19の乳化物を得、高級アルコール(B−7)を40gとして用いて、実施例12の乳化物を得た。
【0097】
(実施例20〜28)
80℃の温水159.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−1)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間攪拌して、多糖類を溶解した。次に、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したベヘニルアルコール(B−6)10g、水素添加ナタネ油アルコール(B−7)10g、トリ(カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸)グリセリル(D−12)5g、ミツロウ(D−13)5g、バチルアルコール(D−2)5g、12−ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(D−10)5gを混合し、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、実施例20の乳化物を得た。同様にして多糖類(A−1)を多糖類(A−2)〜(A−7)に置き換えて、実施例21〜28の乳化物を得た。
【0098】
(比較例1)
80℃の温水189.7gにパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間、攪拌して、多糖類を溶解した。次に、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱した高級アルコール(B−1)10gを混合し、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、比較例1の乳化物を得た。
【0099】
(比較例2〜6)
比較例2〜5は、実施例1〜4に対応して、温水169.7gとして、それぞれ高級アルコールの(B−1)〜(B−4)の1種のみを10g用いて調製した。また、比較例6は実施例1において、高級アルコール(B−1)10g、高級アルコール(B−2)10gを温水20gに置き換えて調製した。
【0100】
(高級アルコール乳化物の官能試験)
得られた高級アルコール乳化物を皮膚に塗布して皮膚感触の官能試験を行い、
○:なじみが良い感触
×:なじみが良くなく、皮膚上で撥水(あるいは撥油)して、はじく感触がある。
とした。さらに乳化物の安定性の目視評価として、乳化物50gをガラス容器に入れ、密栓して、−10℃(24時間)〜50℃(24時間)のサイクル恒温槽に入れ、
○:乳化状態が保たれている。
×:表面に油分が浮く、あるいは乳化相が上部に分離し水相と油相の分離が見られる。
として評価を行った。その結果を表1にまとめた。
【0101】

【表1】

融点45℃以上の2種以上の高級アルコールを使用した本発明の乳化方法を使用すると、界面活性を添加しなくても安定な乳化状態及び皮膚なじみの良い高級アルコール乳化物が得られることが分かる。
【0102】
〔高級アルコール乳化物の調製と評価(2)−二酸化チタンの微細粉体を含む乳化物〕
(実施例29〜58)
80℃の温水115.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間攪拌して、多糖類を溶解した。そこに二酸化チタンの微細粉体(SMT−100WR;テイカ社製)を20gし、次にホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したベヘニルアルコール(B−6)10g、水素添加ナタネ油アルコール(B−7)10g、油性成分(A)よりジメチルポリシロキサン(C−1)5g、スクワラン(C−2)5g、オリブ油(C−4)5g、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−6)5gを混合し、油性成分(B)よりキミルアルコール(D−1)4gを加え、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、実施例29の二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物を得た。同様にして、油性成分(B)のキミルアルコール(D−1)を種々置き換えて実施例30〜58の二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物を得た。
【0103】
(比較例6)
80℃の温水139.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間攪拌して、多糖類を溶解した。そこに二酸化チタンの微細粉体(SMT−100WR;テイカ社製)を20gし、次にホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したベヘニルアルコール(B−6)10g、水添ナタネ油アルコール(B−7)10gを混合し、5分間攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、比較例6の二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物を得た。
【0104】
(比較例7)
80℃の温水139.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間攪拌して、多糖類を溶解した。そこに二酸化チタンの微細粉体(SMT−100WR;テイカ社製)を20gし、次にホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したベヘニルアルコール(B−6)10g、水添ナタネ油アルコール(B−7)10gを混合し、更に油性成分(B)のキミルアルコール(D−1)4gを加え、5分間攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、比較例7の二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物を得た。
【0105】
(比較例8)
80℃の温水139.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間攪拌して、多糖類を溶解した。そこに二酸化チタンの微細粉体(SMT−100WR;テイカ社製)を20gし、次にホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したベヘニルアルコール(B−6)10g、水素添加ナタネ油アルコール(B−7)10g、油性成分(A)のジメチルポリシロキサン(C−1)5g、スクワラン(C−2)5g、オリブ油(C−4)5g、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−6)5gを混合し、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、更に氷冷水にて5分間かけて25℃まで冷却して、比較例8の乳化物を得た。
【0106】
(二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物の官能試験)
得られた二酸化チタンの微細粉体を含む高級アルコール乳化物を皮膚に塗布して皮膚感触の官能試験を行い、
○:なじみが良い感触
×:なじみが良くなく、皮膚上で撥水(あるいは撥油)して、はじく感触がある。
とした。さらに乳化物の安定性の目視評価として、乳化物50gをガラス容器に入れ、密栓して、−10℃(24時間)〜50℃(24時間)のサイクル恒温槽に入れ、
○:乳化状態が保たれている。
×:表面に油分が浮く、あるいは乳化相が上部に分離し、水相と油相の分離が見られる。
として評価を行った。その結果を表2にまとめた。
【0107】

【表2】

【0108】
本発明の乳化方法を使用すると、界面活性を添加しなくても乳化分散が難しい二酸化チタンを含む高級アルコール乳化物の安定な乳化物が得られる。さらに皮膚なじみも良い乳化物が得られることが分かる。
【0109】
〔高級アルコール乳化物の調製と評価(3)〕
(実施例59〜65)
80℃の温水129.7g〜184.7gに防腐剤としてパラオキシ安息香酸メチル0.2gを添加し、更に多糖類(A−3)を0.1g(もしくは0.2g)加え、ホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで回転させながら、10分間、攪拌して、多糖類を溶解した。次にホモミキサー(IKA社製)を16,000rpmで攪拌しながら80℃に加熱したセトステアリルアルコール(B−5)とベヘニルアルコール(B−6)の等量混合物5gと油性成分のジメチルポリシロキサン(C−1)9gとミツロウ(D−13)の等量混合物10g(もしくは25又は40g)加え、5分間、攪拌して乳化させた。次いで攪拌速度を13,000rpmに減速させ、冷水にて10分間かけて40℃まで冷却し、さらに氷冷水にて5分かけて25℃まで冷却して、実施例59〜61の高級アルコール乳化物を得た。同様にして、セトステアリルアルコール(B−5)とベヘニルアルコール(B−6)を等量混合物15g、25g、油性成分(C−1)と(D−13)の9:1の混合物10g、25g、40gとして、実施例62〜65の高級アルコール乳化物を得た。
【0110】
(高級アルコール乳化物の官能試験)
得られた高級アルコール乳化物を皮膚に塗布して皮膚感触の官能試験を行い、
○:なじみが良い感触。
×:なじみが良くなく、はじく感触がある。
とした。さらに乳化物の安定性の目視評価として、乳化物50gをガラス容器に入れ、密栓して、−10℃(24時間)〜50℃(24時間)のサイクル恒温槽に入れ、その安定性を
○:乳化状態が保たれている。
×:表面に油分が浮く、あるいは乳化相が上部に分離し、水相と油相の分離が見られる。として評価を行った。その結果を表3にまとめた。
【0111】

【表3】


本発明の乳化方法を使用すると、界面活性を添加しなくても安定した乳化状態が得られるだけでなく、皮膚なじみの良い乳化が得られる。
【0112】
〔化粧料の調製及び評価〕
(実施例66:乳液1)
乳液1の組成を表4に示す。

【表4】

【0113】
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却して乳液1(実施例66)を得た。
【0114】
(実施例67:乳液2)
実施例66の成分bのベヘニルアルコール(B−6)の代わりに同量のヘキサデカノール(B−1)、水添ナタネ油アルコール(B−7)の代わりに同量のオクタデカノール(B−2)に置き換えて調製し、乳液2(実施例67)を得た。
【0115】
(実施例68:乳液3)
実施例66の成分bのベヘニルアルコール(B−6)の代わりに同量のセトステアリルアルコール(B−5)、水添ナタネ油アルコール(B−7)の代わりに同量のドコサノール(B−4)に置き換えて調製し、乳液3(実施例68)を得た。
【0116】
(実施例69:乳液4)
実施例66の成分bのベヘニルアルコール(B−6)の代わりに半分量のヘキサデカノール(B−1)と半分量のオクタデカノール(B−2)、水添ナタネ油アルコール(B−7)の代わりに半分量のエイコサノール(B−3)と半分量のドコサノール(B−4)に置き換えて調製し、乳液4(実施例69)を得た。
【0117】
(実施例70:乳液5)
乳液5の組成を表5に示す。実施例66:乳液1と同様にして調製し、乳液5(実施例70)を得た。

【表5】

【0118】
(実施例71:乳液6) 実施例70の成分bのオリブ油(C−4)の代わりに同量のミネラルオイル(C−5)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−6)の代わりに同量のラウオリルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)(D-5)、バチルアルコール(D−2)の代わりに同量のキミルアルコール(D−1)に置き換えて調製し、乳液6(実施例71)を得た。
【0119】
(実施例72:乳液7)
実施例70の成分bのオリブ油(C−4)の代わりに同量のオレイン酸・フィトステリルエステル(D-6)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(C−4)の代わりに同量のラウオリルグルタミン酸ジ(コレステル・ベヘニル・オクチルドデシル)(D―4)、バチルアルコール(D−2)の代わりに同量のラウオリルグルタミン酸ジ(コレステル・オクチルドデシル・ベヘニル)(D-5)に置き換えて調製し、乳液7(実施例72)を得た。
【0120】
(実施例73:乳液8)
実施例70の成分bのオリブ油(C−4)の代わりに同量の高級脂肪酸(ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸の混合酸)ジペンタエリスリチル(D-9)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(D-3)の代わりに同量の12―ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(D-10)、バチルアルコール(D−2)の代わりに同量の(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセルオリゴエステル(D-11)に置き換えて調製し、乳液8(実施例73)を得た。
【0121】
(実施例74:乳液9)
実施例70の成分bのオリブ油(C−4)の代わりに同量のトリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセル(C−7)、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(D-3)の代わりに同量の12―ヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(D-10)に置き換えて調製し、乳液9(実施例74)を得た。
【0122】
(実施例75:乳液10)
乳液10の組成を表6に示す。

【表6】

【0123】
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液2を徐々に添加した(分散液3)。
5.ハイビスワコー105を予めディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液4)。
6.分散液3に分散液4を加え、均一混合した(分散液5)。
7.区分eの各成分を均一に分散させた(分散液6)。
8.分散液5に分散液6を加えて中和後、攪拌を行い、室温まで冷却して乳液10(実施例75)を得た。
【0124】
(実施例76:乳液11)
実施例75の成分dのカルボキシビニルポリマーを同量のアクリル酸・メタクリル酸・アルキル共重合体(PEMULEN TR−1 日光ケミカルズ社製)に置き換えて調製し、乳液11(実施例76)を得た。
【0125】
(比較例13:乳液12)
実施例75の成分bのベヘニルアルコール(B−6)を同量のドコサノール(B−4)に置き換えて調製し、乳液12(比較例13)を得た。
【0126】
(実施例77:クリーム1)
クリーム1の組成を表7に示す。

【表7】

【0127】
1.区分bの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液9と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分cの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した(分散液3)。
5.添加後10分間攪拌を行う。
6.区分dのハイビスワコー104、105を予めティスパーザを用いて水に分散させた(分散液4)。
7.区分eの各成分を均一に分散させた(分散液5)。
8.分散液3に分散液4を加えて均一混合した(分散液6)。
9.分散液6に分散液5を加えて中和後、室温まで冷却し、クリーム1(実施例77)を得た。
【0128】
(実施例78:クリーム2)
実施例77の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量の疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース(サンジェロース90L:大同化学工業社製)に置き換えて調製し、クリーム2(実施例78)を得た。
【0129】
(実施例79:クリーム3)
実施例77の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量のデンプン・アクリル酸ナトリウムクラフト重合体(サンフレッシュ ST−500D:三洋化成社製)に置き換えて調製し、クリーム3(実施例79)を得た。
【0130】
(実施例80:クリーム4)
実施例77の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量のセルロース結晶体(RC−591S:旭化成ケミカルズ社製)に置き換えて調製し、クリーム4(実施例80)を得た。
【0131】
(実施例81:クリーム5)
クリーム5の組成を表8に示す。

【表8】

【0132】
1.区分bの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分cの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.混合液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、分散液2を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してクリーム5(実施例81)を得た。
【0133】
(実施例82:クリーム6)
クリーム6の組成を表9に示す。

【表9】

【0134】
1.区分aの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分bの各成分を計量し、70℃にて加温溶解させた(混合液1)。
3.区分cの各成分を計量し、70℃にて加温溶解させた(混合液2)。
4.区分d、区分eの各成分を計量し均一溶解した後、均一混合した(混合液3)。
5.分散液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、70℃にて混合液1を徐々に添加し、さらに70℃にて混合液2を徐々に添加した。
6.添加後、更に10分間、加温攪拌を行った(分散液2)。
7.分散液2に混合液2を加えて、均一混合した(分散液3)。
8.区分f、区分g、区分hの各成分を計量し均一溶解を行った後、分散液3に加えて攪拌し、室温まで冷却してクリーム6(実施例84)を得た。
【0135】
(実施例83:クリーム7)
実施例77の成分cのベヘニルアルコール(B−6)を同量のオクタデカノール(B−2)、水添ナタネ油アルコール(B−7)を同量のドコサノール(B−4)に置き換えて調製し、クリーム7(実施例83)を得た。
【0136】
(実施例84:クリーム8)
実施例79の成分cのベヘニルアルコール(B−6)を同量のセトステアリルアルコール(B−5)、水添ナタネ油アルコール(B−7)を同量のエイコサノール(B−3)に置き換えて調製し、クリーム8(実施例84)を得た。
【0137】
(比較例14:クリーム9)
実施例79の成分cのベヘニルアルコール(B−6)を同量のオクタデカノール(B−2)、水添ナタネ油アルコール(B−7)を同量のオクタデカノール(B−2)に置き換えて調製し、クリーム9(比較例14)を得た。
【0138】
(実施例85:サンスクリーン1)
サンスクリーン1の組成を表10に示す。

【表10】

【0139】
1.区分dの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液3)。
4.分散液2を過熱攪拌しながら分散液3を徐々に添加した(分散液4)。
5.区分cの各成分を計量し、均一混合し80℃にて加温分散させた(分散液5)。
6.分散液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、分散液5を徐々に添加した。次いで分散液4も徐々に添加した。
7.添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してサンスクリーン1(実施例85)を得た。
【0140】
(実施例86:サンスクリーン2)
サンスクリーン2の組成を表11に示す。

【表11】

【0141】
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1)。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してサンスクリーン2(実施例86)を得た。
【0142】
(比較例15:サンスクリーン3)
実施例88の成分bのベヘニルアルコール(B−6)を同量のオクタデカノール(B−2)に置き換えて調製し、サンスクリーン3(比較例15)を得た。
【0143】
〔化粧料組成物の安定性試験〕
実施例68〜88及び比較例13〜15の化粧料組成物を調製した後、100ml共栓付メスシリンダーに100ml取り、栓をして45℃の恒温器内に静置した。12週間後に100ml共栓付メスシリンダー内の化粧料組成物の分離を目視にて測定した。以下の評価基準に従い、結果を表14に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
(安定性の評価基準)
○:目視により、分離・沈澱が認められない。
×:目視により、分離・沈澱が認められる。
【0144】
〔化粧料組成物の官能試験(使用感の評価)〕
調製直後の化粧料組成物(実施例68〜86及び比較例13〜15)と、45℃の恒温器内に12週間連続で静置した化粧料組成物(実施例1〜26及び比較例1〜4)を10組の外観の同じ容器に小分けし、両者の区別が付かないようにした。次いで、10才代から50才代までの各年代から2人ずつ、合計10人のパネラーを選び、各自、適量の化粧料組成物を指でとり、次に両手の甲に着けて伸ばし、「なめらかさ」の官能評価を行なった。「なめらかさ」の評価基準は、以下のようにした。結果を表12に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
・「なめらかさ」の評価基準
○:10名中8名以上が、なめらかな感触があると評価
×:10名中7名以下が、なめらかな感触があると評価。
【0145】

【表12】

【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】従来の化粧料を皮膚に塗ったときの油性成分の動きを示す模式図である。
【図2】本発明の高級アルコールと多糖類の結合状態を示す顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高級アルコール、油性成分及び多糖類を乳化状態で含有する化粧料において、
上記高級アルコールは、融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有し、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、
上記油性成分は、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%含有され、
上記多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類を化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%含有されることを特徴とする乳化状態の化粧料。
【請求項2】
上記油性成分が、少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が1:1〜50:1となる範囲で含む請求項1記載の乳化状態の化粧料。
【請求項3】
上記油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上のものであり、
上記油性成分(A)と上記油性成分(B)を組み合わせて用いる請求項2に記載の乳化状態の化粧料。
【請求項4】
上記多糖類が、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【化1】

【請求項5】
上記高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、選ばれた2種以上の各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項6】
上記2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項7】
上記化粧料が、実質的な界面活性機能を有する物質を含まない請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項8】
上記化粧料において、上記多糖類がランダムな粒径に細分化された請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の乳化状態の化粧料。
【請求項9】
高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分及び多糖類を乳化状態で含有する化粧料の製造方法において、
70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む上記多糖類について、化粧料の全量に対して0.01重量%〜1重量%に相当する量を上記水および/又は親水性溶媒に溶解させて溶液を製造した後に、
融点が45℃以上の高級アルコールを2種以上含有する上記高級アルコールについて、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量と、上記油性成分について、化粧料の全量に対して1重量%〜20重量%に相当する量を上記溶液に添加し、溶解させ、70℃以上で乳化攪拌させ、
更に、乳化攪拌したまま上記成分が含有された上記溶液を40℃以下まで冷却させることを特徴とする乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項10】
上記化粧料の製造方法において、上記油性成分が少なくとも
油性成分(A)として、シリコーン油、フッ素化炭化水素及びその誘導体、炭化水素、脂肪酸、1価アルコールの脂肪酸エステル、動植物油脂、オキシカルボン酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃未満)、液体ロウから選ばれた1種以上のものと、
油性成分(B)として、固体ロウ、2価の高級アルコール、環状アルコール及びその脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル(融点40℃以上)、リン脂質から選ばれた1種以上のものを
重量比で上記油性成分(A)と上記油性成分(B)が1:1〜50:1となる範囲で添加する請求項9に記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項11】
上記油性成分(A)は、ジメチルポリシロキサン、トリメチルポリシロキサン、スクワラン、パラフィン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸の混合酸)グリセリル、ぶどう種子油、ローズヒップ油、ヒマワリ油、オリブ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、シア油、ホホバ油から選ばれた1種以上であり、
上記油性成分(B)は、ミツロウ(蜜蝋)、水素添加ホホバ油、キミルアルコール、バチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸コレステリル、フィトステロール、トリミリスチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリルから選ばれた1種以上である請求項10に記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項12】
上記多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【化1】

【請求項13】
上記高級アルコールは、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール及びドコサノールから選ばれた2種以上であり、各々が化粧料の全量に対して0.4重量%以上含まれ、その合計が化粧料の全量に対して0.8重量%〜20重量%含有されている請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項14】
上記2種以上の高級アルコールの混合比は、最大配合量となる高級アルコールと最少配合量となる高級アルコールと混合比が1:5〜5:1の範囲とする請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項15】
上記化粧料が、実質的な界面活性機能を有する物質を含まない請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。
【請求項16】
上記70℃以上の水および/又は親水性溶媒に、上記多糖類をランダムな粒径に細分化するように撹拌した請求項9乃至請求項15のいずれかに記載の乳化状態の化粧料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−238516(P2007−238516A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64259(P2006−64259)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】