説明

化粧料またはケア製品組成物を塗布するための塗布具を含む用具

本発明はヒトのケラチン物質に組成物を塗布するための用具に関し、本用具は:・払拭部材(7)が設けられており、化粧料またはケア製品組成物(P)を収容する容器(2)と;・容器内に収容されている組成物を塗布するための塗布具(3)であって:・組成物を塗布するための塗布部材(5);・柄(6);および・塗布部材を柄に連結する軸体(4)であって、長手方向軸(X)に沿って延び、見える部分を備える軸体であって、見える部分の断面がその長さ(l)の半分超にわたって変化し、見える部分の端部(4a,4g)からゼロでない距離に位置する少なくとも1つの最大部(M)を通過する軸体;を備える塗布具と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物をヒトのケラチン物質、特に、睫毛または眉毛などのケラチン繊維に塗布するための用具に関し、本用具は、払拭部材が設けられている容器と;軸体の端部に配置される塗布部材を備える塗布具とを備える。本発明は、より詳細には、睫毛または眉毛に化粧料またはケア製品組成物、特にマスカラを塗布するための塗布具に関するが、これに限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
既知の用具の中には、塗布具の挿入または取り出しに伴って、軸体が払拭部材と接触してピストンロッドの役割を果たすピストン現象の結果として、容器内の圧力が変化するものがある。取り出し中、容器内に生じる吸引力により吸引音が生じることがあり、払拭部材に付着している組成物の残留物が塗布部材の方に突出し、それによって化粧効果の質が低下することがある。塗布具を容器に挿入する時、圧力の増加により塗布具の挿入が妨げられ、組成物が払拭部材に蓄積することがある。
【0003】
軸体の直径が比較的大きい、例えば、塗布部材の直径に近い塗布具が知られており、それには直径の大きい払拭穴を有する払拭部材を使用することが必要である。
【0004】
また、化粧料を塗布する時、塗布部材を見やすくし、ピストン現象を回避することができる細い軸体を備える塗布具も知られているが、このような軸体は、常に完全に十分払拭されるとは限らない。払拭穴の直径を軸体の直径と同じくらい小さくすると、必然的に付着量と、塗布具を容器に戻す前に使用できる時間が減少してしまう。
【0005】
また、保管位置にある時に払拭部材が変形しないようにすることによって払拭部材の状態を保つために狭窄部が設けられている軸体もある。塗布具を容器に挿入する時、容器が大気圧に戻るのが遅くなることがあり、使用者は不快な反動(jerk)を感じることがある。
【0006】
また、塗布具を容器に挿入する時、塗布部材により払拭部材に堆積した組成物を容器の中に押し戻すことを可能にする突起を備えた「清掃」軸体もある。このような突起は、容器の出口に過剰な組成物を蓄積させ、魅力のないものになってしまうことがあり、塗布具を容器から取り出す時または容器に挿入する時、反動が生じることがある。
【0007】
欧州特許出願公開第1477083号明細書、欧州特許出願公開第1738894号明細書、欧州特許出願公開第2027792号明細書、および欧州特許出願公開第1504691号明細書は、それぞれ、軸体が狭窄部を含むために、より大きく変形可能な、および/または弾力的な軸体を有する塗布具を開示している。このような塗布具の軸体の断面は、狭窄部以外、一定である。
【0008】
さらに、独国特許出願公開第3327405号明細書はアイライナー塗付具に関し、その軸体は小径部を含み、組成物を貯蔵するための海綿体が嵌装されている。
【0009】
欧州特許出願公開第1797789A2号明細書および英国特許出願公開第2099374号明細書は、軸体の見える部分の断面が塗布部材の方に向かって縮小する塗付具を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
十分に払拭されるのに好都合となるように、かつ、塗布部材が組成物を収容する容器から容易に取り出され、その中に容易に挿入されるように、既知の用具をさらに改善する必要がある。
【0011】
また、鏡で自分を見ながら、睫毛に組成物を塗布することを習得できるようにする必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の例示的実施形態は、
・払拭部材を設けられており、化粧料またはケア製品組成物を収容する容器と;
・容器内に収容されている組成物を塗布するための塗布具であって:
・組成物を塗布するための塗布部材;
・柄;および
・塗布部材を柄に連結する軸体であって、該軸体は長手方向軸に沿って延在し、見える部分を備え、該見える部分が、その長さの半分超にわたって変化しかつ見える部分の端部からゼロでない距離に、特に、見える部分の長さの1/8より大きい、あるいは1/6より大きい、または1/4より大きい、あるいは1/3より大きい距離に位置する、少なくとも1つの最大部を通過する断面を示すところの軸体;
を備える塗布具と;
を備える用具を提供する。
【0013】
「断面」という用語は、その長手方向軸に対して垂直に局所的に測定される軸体の外側断面を意味し、長手方向軸は直線状であってもまたは曲線状であってもよい。変化する断面とは、最大寸法が変化する断面である。円形の断面では、最大寸法は直径となる。
【0014】
「軸体の見える部分」という用語は、軸体を垂直にして水平な観察方向に沿って観察したときに見える軸体の部分を意味する。軸体は、柄の内側に延在する見えない部分を備えてもよい。本発明の例示的実施形態では、塗布具が容器内の所定の位置にあるとき、軸体の見える部分が全部、容器に嵌入されていてもよい。
【0015】
用具は、塗布具を容器から分離するとき、払拭部材が軸体を払拭するように構成されてもよい。
【0016】
軸体、特に、軸体の見える部分は、その最終的な形状に成形されてもよい。
【0017】
一変形例では、軸体は、機械加工によって得られてもよい。
【0018】
軸体の形状は円状に対称であってもまたは円状に対称でなくてもよい。
【0019】
本発明の軸体は断面が変化する形状であるため、軸体が塗布部材の近傍に比較的細い部分を有することができ、塗布中、使用者が塗布部材を見やすいため、使用者は化粧料の塗布に使用される動きをよりうまく制御することができる。
【0020】
軸体に沿って断面最大部が存在することにより、塗布部材を容器に挿入する時、前記軸体は払拭部材の内側を清掃してもよく、それによって払拭部材が詰まるリスクを低減し得る。塗布部材を容器に戻す時、塗布具は払拭部材の中に溜まった組成物の残留物を一部、容器の中に徐々に運んでもよく、反動が生じることなくこれを行うようにし得る。例として、軸体は、少なくとも軸体の見える部分の断面がその最大部を通過する箇所において、払拭リップの縁部と接触してもよい。
【0021】
さらに、軸体の断面はかなりの距離にわたって払拭部材と接触し得るため、本発明により、比較的よく払拭される軸体を得ることが可能になる。
【0022】
さらに、軸体の見える部分がこの目的で製造され、例えば、十分に細い2つの部位を最大部のどちら側にも有する場合、本発明の塗布具は、塗布部材が容器に挿入される時または容器から取り出される時、容器がかなり速く大気圧に戻ることを可能にし得る。最後に、軸体は払拭部材に面して配置されることになる部位が比較的細くなり得るため、本発明の塗布具により、塗布具を容器の所定の位置に保管する時、払拭部材が変形しないようにすることが可能になる。例えば、軸体の見える部分は、少なくとも軸体の断面が極小となる箇所において払拭リップの縁部と接触する必要はない。本発明の例示的実施形態では、軸体は、軸体の長手方向軸に沿った少なくとも2点における断面が、払拭部材の払拭穴の断面より小さくなっている。
【0023】
その断面の変化にもかかわらず、軸体は、目に見える変形を回避するのに十分な剛性を維持してもよく、例えば、塗布部材で組成物を塗布する時、軸体は直線状のままであってもよい。従って、断面が最小となる軸体の1つ以上の部位は、ヒンジのような挙動を回避するのに十分な大きさを維持してもよい。
【0024】
軸体の見える部分は、軸体の見える部分の長さの4分の1超、あるいは3分の1超、あるいは軸体の見える部分の長さの半分超、あるいは見える部分の全長にわたって延在するセグメントに、最大部を1つだけ備えてもよい。
【0025】
その場合、軸体の見える部分の断面は長手方向軸に沿って拡大し、その後に縮小してもよい。断面が変化する軸体セグメントの合計の長さは、軸体の見える部分の長さの3分の2より大きくても、あるいは4分の3より大きくてもよい。軸体の断面は、適宜、その見える長さ全体にわたって変化してもよい。
【0026】
軸体の見える部分の最大横断寸法(例えば、円形の断面を有する軸体では直径)は、5mm以上であってもよい。
【0027】
軸体の見える部分の最大横断寸法の最大値、例えば、最大直径は、4.5ミリメートル(mm)〜8mmの範囲、あるいは5.5mm〜6.5mmの範囲、例えば、6mmであってもよい。
【0028】
軸体の断面の少なくとも1つの最大部は、軸体の見える部分の断面の2つの最小部の間に位置してもよい。連続する2つの最小部は、軸体の見える部分の長さの4分の1より大きく、あるいは3分の1より大きく、あるいは半分より大きく離間していてもよい。
【0029】
軸体の見える部分の断面の最小部から最大部までの距離は、軸体の見える部分の長さの4分の1より大きくても、あるいは3分の1より大きくてもよい。従って、最小部と最大部の間の断面の変化は比較的緩やかであってもよい。最大部と最小部の間の軸体によって形成される傾斜は、比較的緩やかであってもよい。それによって、塗布具の外観を改善し、反動のない滑らかな払拭を容易にすることが可能になる。傾斜は、例えば、30°以下である。例として、軸体の見える部分は、基部が接触し、最大部のどちら側にも延びる、反対側を向いた2つの円錐状部分を備えてもよい。
【0030】
軸体の見える部分の遠位端の最大横断寸法は、厳密には、軸体の見える部分の断面の最大寸法の最大部より小さくてもよい。
【0031】
複数の最小部が存在するとき、断面の最小部の1つは、軸体の見える部分の遠位端に位置してもよい。この位置に軸体の断面の最小部が存在することにより、組成物を収容する容器から塗布具を取り出す時、空気の取り入れを容易にすることが可能になる。
【0032】
最小部は、有利には軸体をダイスタンピングする以外の方法で得てもよく、特に、それらは軸体を成形することによって得てもよい。
【0033】
軸体は、弾性変形可能な遠位部を備えてもよい。例として、遠位部は、軸体の残りの部分に嵌合し、かつ比較的剛性の高い材料から製造され得るエンドピースによって形成されてもよい。エンドピースは1つ以上の環状溝を備えてもよく、それによって可撓性を高めることができる。
【0034】
軸体の少なくとも1つの断面は、以下に挙げるもの:円形;非円形;ぎざぎざの形;から選択される形状であってもよい。軸体は、1つ以上の長手方向の溝を備えてもよい。少なくとも1つの長手方向の溝は、軸体の見える部分の長さの4分の1超にわたって、あるいは3分の1超にわたって、より望ましくは半分超にわたって延びてもよい。軸体は、軸対称であっても、あるいは円状に対称であってもよい。
【0035】
軸体は、柄に固定するための固定手段と一体成形されてもよく、あるいは前記柄の全部または一部と一体成形されてもよい。軸体は内側キャップと一体成形されてもよく、内側キャップは容器の首部にねじ固定するためのねじを備えていても、または備えていなくてもよい。適宜、軸体は塗布部材の全部または一部と一体成形されてもよい。軸体の見える部分は、1種類の熱可塑性材料から製造される単一部品であってもよい。
【0036】
塗布部材、例えば、芯部が捩れている(twisted−core)ブラシの包絡面の断面の最大寸法は、10mm以上であってもよい。
【0037】
軸体の最大横断寸法は、最良の払拭結果が得られるように、塗布部材に応じて選択されてもよい。
【0038】
例として、払拭部材が容器の首部に配置されてもよい。
【0039】
払拭部材は払拭穴を画成し、払拭穴の直径は、断面および軸体の見える部分に沿って、少なくとも1点において、あるいは見える部分の長さの4分の1超、3分の1超、または半分超にわたって、断面における軸体の最大寸法より小さくてもよい。払拭穴の縁部が円形でない場合、払拭穴の直径は、軸体の長手方向軸に沿って投影して観察した払拭穴の縁部を取り囲む最小円の直径とする。
【0040】
前記最大部における最大横断寸法は、払拭穴の直径より大きくてもよい。換言すれば、円形の断面を有する払拭穴を画成する払拭部材、および円状に対称の形状を有する軸体では、軸体の見える部分の最大直径は、払拭穴の最小直径より大きい。例として、それは払拭穴より少なくとも1mm大きくてもよい。
【0041】
軸体の断面の最小部の少なくとも1つは、払拭穴の直径以下の最大寸法(例えば、直径)を有してもよい。換言すれば、最大部の両側に位置する2つの部位では、軸体の直径は払拭穴の直径より小さくてもよい。
【0042】
軸体の見える部分の断面は、柄の近傍で、払拭部材の払拭穴の断面より小さい断面の最小部を通過してもよい。
【0043】
見える部分の一端から他端に進む時、軸体の見える部分の円形断面の直径は、2mm〜4mm、例えば、3mm〜3.5mmの範囲の値から、5.5mm〜7mmの範囲の値に、その後、2mm〜4mm、例えば、3mm〜3.5mmの範囲の値になる。
【0044】
軸体の見える部分の断面は、塗布部材の近傍で、払拭部材の払拭穴の断面より小さい断面の最小部を通過してもよい。
【0045】
払拭部材の払拭穴は、次に挙げるもの:円形;非円形;多角形;波状;スロット付きから選択される形状であってもよい。
【0046】
払拭部材は、エラストマー材料から製造されてもよい。
【0047】
塗布具の柄は、容器を密閉する密閉キャップとして使用されてもよい。柄と容器は、例えば、ねじ固定により互いに協働してもよい。容器は、漏れないように塗布具の柄で密閉されてもよい。
【0048】
塗布部材は、芯部が捩れているブラシとは異なっていてもよく、成形により、例えば、単一部品として成形することにより、特に射出成形により、または芯部上に塗布要素を成形することにより製造されてもよい。
【0049】
本発明は、また、軸体がその最終形状に成形される前述の用具の製造方法も提供する。
【0050】
本発明は、また、化粧処置方法、特に、睫毛または眉毛用の化粧料を塗布する方法も提供し、本方法は、睫毛または眉毛に組成物を前述の用具で塗布する工程を含む。
【0051】
本発明の非限定的な実施形態に関する以下の説明を読み、添付の図面を考察すると、本発明をさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の用具の一例を示す図である。
【図2a】使用中の図1の用具を示す図である。
【図2b】使用中の図1の用具を示す図である。
【図2c】使用中の図1の用具を示す図である。
【図2d】使用中の図1の用具を示す図である。
【図3】異なる実施形態の概略部分図である。
【図4a】異なる実施形態を示す、図1に類似する図である。
【図4b】異なる実施形態を示す、図1に類似する図である。
【図4c】異なる実施形態を示す、図1に類似する図である。
【図4d】異なる実施形態を示す、図1に類似する図である。
【図5a】異なる実施形態の概略部分断面図である。
【図5b】異なる実施形態の概略部分断面図である。
【図6a】払拭穴の異なる実施形態を示す図である。
【図6b】払拭穴の異なる実施形態を示す図である。
【図6c】払拭穴の異なる実施形態を示す図である。
【図6d】払拭穴の異なる実施形態を示す図である。
【図6e】図6dの払拭部材の縦断面図である。
【図7a】軸体の遠位端の異なる実施形態を示す図である。
【図7b】軸体の遠位端の異なる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、化粧料組成物を塗布するための用具1の実施例を示す。図示するように、用具1は、塗布される化粧料組成物Pを収容する容器2と、例えば、円形の断面を有する軸体4を備える塗布具3とを備え、軸体4の遠位端4aには塗布部材5が設けられており、軸体4の近位端は柄6に連結しており、柄6は容器2を密閉するための密閉キャップも構成する。
【0054】
図1に示すように、容器2は、例えば、エラストマー部品によって構成され、容器の首部8に挿入されている払拭部材7を備える。払拭部材は、任意選択により通常のものであってもよく、さらに調節可能であってもよい。
図1に示すように、容器2は、払拭部材7を備え、該払拭部材7は、例えば、エラストマー部品によって構成され、容器の首部8に挿入されている。払拭部材は、任意選択により通常のものであってもよく、さらに調節可能であってもよい。
【0055】
図示するように、首部8は、塗布具3を容器2に固定するために、かつ漏れないように容器2を密閉するために、柄6の内側の雌ねじと協働する雄ねじを外側に備えてもよい。例として、柄6は、前記柄を首部8の所定の位置にねじで固定すると、容器2が漏れないように密閉されるように構成される。
【0056】
前述の実施形態のように、軸体4は、塗布具が容器に固定されているとき容器2の長手方向軸と一致する直線状の長手方向軸Xを有してもよい。
【0057】
図1では、軸体4は、塗布部材5と柄6の下端部6aとの間に軸方向に延在する、長さ
【数1】

の見える部分4eを備え、見える部分4eの端部には4aおよび4gの参照符号が付けられている。長さ
【数2】

は、例えば、30mm〜60mmの範囲である。
【0058】
前述の実施形態では、軸体4の見える部分4eの断面は、軸体の長手方向軸Xに沿って一定ではない。より正確には、図示するように、その断面は軸体の遠位端4aから拡大した後、柄6の方に向かって縮小してもよい。
【0059】
軸体4の見える部分4eの断面は円形であってもよく、ある点における断面の最大寸法は前記点における外径に相当する。
【0060】
軸体4の見える部分4eの断面の最大寸法は、長さ
【数3】

の半分超にわたって変化する。
【0061】
当該実施形態では、断面の最大寸法は、遠位端4aに位置する最小部mと最大部Mとの間の長さlにわたり増大し、その後、最大部Mと最小部mとの間の長さlにわたり、柄6の方に向かって減少する。図示するように、軸体4は、最小部mに相当する一定の断面を有する、長さlの軸体セグメントを含んでもよい。当該実施形態では、軸体の断面が一定ではない長さl+lは、軸体の断面が一定である軸体の長さlより大きい。断面が最大となる長さはかなり短く1点であってもよく、または比較的長くてもよい。最大部Mは見える部分の遠位半分に位置しても、または他の場所に位置してもよい。
【0062】
図示した実施形態では、軸体4の見える部分4eの断面は、前述のような最大部を1つだけ通過し、2つの最小部mおよびmを通過し、その1つmは軸体の遠位端4aに位置し、他方mは一定の断面を有するセグメントに位置する。これは、後述のように異なってもよい。図2aおよび図2bに示すように、最大部Mの存在により、塗布具を戻す時、払拭部材の中にある組成物の残留物を容器の中に徐々に押し込むことが可能になる。図2cおよび図2dに示す(図2dは図2cの細部を示す)ように、第2の最小部mが存在することにより、塗布具を容器に完全に挿入するとき、容器が大気圧に戻ることが可能になる。第1の最小部mがあると、塗布具を取り出す時、塗布部材が払拭部材を通過する前に容器がより大気圧に戻り易くなる。
【0063】
最小部mまたはmと最大部Mと間の軸体によって形成される傾斜は比較的緩やかであってもよい。傾斜角度αは、例えば、30°未満である。図3では、角度αは分かり易くするために誇張されている。最大部の上と下で角度が異なっていてもよい。塗布部材に最も近いところに位置する最小部mと最大部との間の傾斜は、最大部と柄に最も近いところに位置する最小部mとの間の傾斜より緩やかであってもよい。例えば、第1の傾斜角度は約4°であってもよく、第2の傾斜角度は約8°であってもよい。
【0064】
図4aは、最大部Mが軸体の見える部分4eの中心部に位置する軸体4を示し、図4bは、最大部Mが軸体の見える部分の近位端の近傍に、即ち、塗布部材5より柄6に近いところに位置する軸体を示す。
【0065】
図4cに示す実施形態のように、塗布部材に隣接する最小部mにおける軸体4の見える部分4eの断面の方が、柄に隣接する最小部mにおける軸体の見える部分の断面より僅かに大きくてもよい。
【0066】
最後に、図4dに示すように、軸体4は2つの最大部Mと、3つの最小部m、mおよびmを備えてもよい。図4dでは、見える部分4eの断面は、柄6から拡大し、第1の最大部Mに達した後、縮小し、最小部mを通過し、再度拡大し、第2の最大部Mを通過した後、塗布部材5の方に向かって縮小することが分かる。
【0067】
図4a〜図4dのように、軸体を側面から観察したとき、軸体の輪郭は、実施例に応じて、略双円錐状、卵形、または砂時計形であってもよい。
【0068】
軸体の断面形状は、図5aに示すように円形であってもよく、または他の何らかの形状であってもよい。例として、それは、図5bに示すようにぎざぎざの形を含んでもよい。例として、軸体4は、見える部分の長さ
【数4】

の一部にわたって、例えば、軸体の見える部分の長さの半分超にわたって延びる長手方向の溝を含んでもよい。
【0069】
見える部分4eに沿った軸体4の断面は中実であってもまたは中空であってもよい。
【0070】
本発明の塗布具の一例の寸法を例として以下に記載する。塗布部材の、特にその中心部の最大横断寸法は約10mmであってもよい。さらにその遠位部の形状は、塗布部材の自由端の方に向かって先細りになる円錐台状であり、端部の最大横断寸法が約4mmであってもよい。また、塗布部材は最大横断寸法約5mmの斜面も含み、そこで軸体に連結してもよい。軸体の見える部分の最大横断寸法約の最大部は約6mmであってもよく、例えば、直径が約6mm〜6.5mmの範囲であってもよく、最小部は約1.5mm〜3.5mmの範囲、あるいは約2.5mm〜3.5mmの範囲、より望ましくは約3mm〜3.5mmの範囲であってもよい。例として、軸体の見える部分4eの長さ
【数5】

は約30mm〜60mmの範囲であってもよい。
【0071】
払拭部材はエラストマーから製造されてもよい。
【0072】
例として、払拭部材の払拭穴の形状は、図6aに示すように円形であってもよく、図6bおよび図6cに示すようにスロット付きであってもよい。図6bでは、スロットは放射状であり、図6cでは、スロットは払拭穴に接している。
【0073】
例として、払拭部材7の払拭穴7aの直径
【数6】

は、約3mm〜5.5mmの範囲、例えば、約4.5mmまたは5mmであってもよい。
【0074】
払拭部材7は、場合によっては、図6cおよび図6dに示すように、塗布部材が払拭穴を通過するとき、払拭穴がより拡張し易くなるように波状起伏7cを備えてもよい。図6dは、図6eの矢印VIに沿って見た、払拭穴の図である。
【0075】
払拭穴は、図6eに示すように、払拭穴7aを画成する内側自由縁部を有する波状の払拭リップ9によって画成されてもよい。払拭部材7は、例えば、3〜12の範囲の、多数の波状起伏7cを含んでもよい。払拭リップ9は、容器の長手方向軸と角度
【数7】

をなす母線Gを有し容器の底部に向かって収束する円錐に略沿って延びてもよい。波状起伏をうまく使用することによって、塗布部材が払拭穴を通過する時、払拭部材を過度に変形させることなく、払拭穴の直径が、例えば、4mmから5.5mmに拡大する。
【0076】
一変形例では、払拭リップ9は、軸Xに垂直な中心面に略沿って、あるいは容器の出口に向かって収束する円錐に略沿って延在してもよい。
【0077】
払拭部材は他の何らかの方法で製造されてもよく、例えば、スロットを形成し得る発泡体ブロックからなってもよい。
【0078】
払拭部材は、また、適宜、調節可能であってもよい。
【0079】
例として、払拭部材は、米国特許出願公開第2005/0028834号明細書、米国特許出願公開第2005/0175394号明細書、米国特許出願公開第2004/0258453号明細書、米国特許第6,375,374号明細書、米国特許第6,328,495号明細書、米国特許第7,455,468号明細書に記載されているようなものであってもよく、これらの内容は参照により本明細書に援用される。
【0080】
塗布部材が固定される軸体4の少なくとも一部、および特に全部が可撓性であってもよく、特に、塗布部材の近傍が可撓性であってもよい。
【0081】
例として、図7aに示すように、軸体は、例えば、エラストマー製の少なくとも1つの可撓性要素80を備えてもよい。可撓性要素は、可撓性を付与する形状、例えば、図7bに示すように、少なくとも1つの環状溝81を有してもよい。例として、可撓性要素は、欧州特許第1917883A2号明細書に記載されているようなものであり、少なくとも一部、次に挙げるもの:エラストマー材料;熱可塑性樹脂;熱可塑性エラストマー;低密度ポリエチレン(LDPE);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリウレタン(PU);熱可塑性エラストマーポリエステル、特に、エステル化ポリテトラメチレンオキサイドグリコールとブテンテレフタレートの共重合体;Hytrel(登録商標);エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM);プロピレン−ジエン三元共重合体(PDM);エチル酢酸ビニル(EVA);スチレン−イソプレン−スチレン(SIS);スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS);スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS);ラテックス;シリコーンゴム;ニトリルゴム;ブチルゴム;ポリウレタン;ポリエーテルブロックアミド;ポリエステルから選択される材料から製造されてもよいが、これらに限定されるものではない。可撓性要素80は、例えば、ショアAスケール(ShA)の25〜ショアDスケール(ShD)の80の範囲、あるいは40ShA〜70ShDの範囲の硬度を有する材料で製造されてもよい。軸体の剛性部分は、熱可塑性材料、特に、次に挙げるもの:高密度ポリエチレン(HDPE);LDPE;線状ポリエチレン(PE);多結晶(PT);ポリプロピレン(PP);ポリオキシメチレン(POM);ポリアミド(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET);およびポリブチルテレフタレート(PBT)から選択される材料の1つで製造されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0082】
塗布部材5の遠位端は、例えば、欧州特許出願公開第1836924号明細書に記載のように、任意選択により長手方向軸Xに対してオフセットしていてもよい。
【0083】
塗布部材5は、撚り合わせた2本の金属ストランドによって形成された捩れた芯部10を備えてもよく、芯部は熱可塑性材料製の芯部以外のものであってもよく、芯部10の近位部は、軸体4の遠位端4aに存在するハウジングに固定されてもよく、例えば、ハウジングに圧力嵌めされてもよい。例として、2本のストランドは、ワイヤを半分に折り曲げることによって得られる。芯部のストランドは左撚りされても、または右撚りされてもよい。芯部のストランドの直径は、例えば、0.35mm〜1mmの範囲であってもよい。ブラシは左撚りであってもよい。この項目については、欧州特許第611170号明細書を有効に参照することができる。
【0084】
一変形例では、塗布部材は熱可塑性材料から製造された芯部を備え、塗布要素は、芯部の熱可塑性材料と同一の、またはそれと異なる熱可塑性材料から製造されてもよい。
【0085】
塗布部材の芯部は、曲線状の長手方向軸に沿って延びてもよい。
【0086】
当然、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0087】
異なる実施形態に関連して記載された特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0088】
「1つの〜を備える」という表現は、特記しない限り、「少なくとも1つの〜を備える」を意味するものと理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトのケラチン物質に組成物を塗布するための用具であって、
・払拭部材(7)を設けられており、化粧料またはケア製品組成物(P)を収容する容器(2)と;
・前記容器内に収容されている前記組成物を塗布するための塗布具(3)であって:
・前記組成物を塗布するための塗布部材(5);
・柄(6);および
・前記塗布部材を前記柄に連結する軸体(4)であって、該軸体は長手方向軸(X)に沿って延在し、見える部分(4e)を備え、前記見える部分が、その長さ(l)の半分超にわたって変化しかつ前記見える部分の端部(4a,4g)からゼロでない距離に位置する少なくとも1つの最大部(M)を通過する断面を示すところの上記軸体(4);
を備える塗布具と;
を備え、前記塗布具を前記容器から分離するとき、前記払拭部材が前記軸体を払拭するように構成されている、用具。
【請求項2】
前記軸体(4)の前記見える部分(4e)の長さ(l)の4分の1超にわたって軸方向に延在するセグメント上に最大部(M)を1つだけ備える、請求項1に記載の用具。
【請求項3】
前記最大部(M)が、前記軸体の前記見える部分(4e)の前記断面の2つの最小部(m1、m2)の間に位置する、請求項1または2のいずれか一項に記載の用具。
【請求項4】
隣り合う2つの最小部(m1、m2)が、前記軸体の前記見える部分の長さ(l)の4分の1より大きく離間している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の用具。
【請求項5】
最大部(M)から1つの最小部(m1、m2)までの距離(l1、l2)が、前記軸体の前記見える部分の長さ(l)の4分の1より大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の用具。
【請求項6】
前記軸体の前記見える部分の少なくとも1つの断面が、以下に挙げるもの:円形;非円形;ぎざぎざの形、から選択される形状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の用具。
【請求項7】
前記軸体の前記見える部分(4e)の最大横断寸法(例えば、円形の断面を有する軸体では直径)が5mm以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の用具。
【請求項8】
前記軸体の前記見える部分(4e)の前記断面が、前記柄の近傍で、前記払拭部材の払拭穴の断面より小さい断面最小部を通過する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の用具。
【請求項9】
前記軸体の前記見える部分(4e)の前記断面が、前記塗布部材の近傍で、前記払拭部材の払拭穴の断面より小さい断面最小部を通過する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の用具。
【請求項10】
前記払拭部材が払拭穴(7a)を画成し、前記払拭穴の断面が、前記軸体の前記見える部分の長さ(l)の4分の1超にわたり、前記軸体の前記見える部分の前記断面より小さい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の用具。
【請求項11】
前記最大部(M)における前記断面が、前記払拭穴の前記断面より大きい、請求項10に記載の用具。
【請求項12】
前記軸体の前記見える部分(4e)が成形によって得られたものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の用具。
【請求項13】
前記容器が、前記塗布具の前記柄によって漏れないように密閉される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の用具。
【請求項14】
前記見える部分(4e)の一端から他端に進む時、前記軸体の前記見える部分が、2mm〜4mm、例えば、3mm〜3.5mmの範囲の値(m1)から、5.5mm〜7mmの範囲の値に、その後、2mm〜4mm、例えば、3mm〜3.5mmの範囲の値(m2)に変わる直径の円形断面を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の用具。
【請求項15】
前記払拭部材の払拭穴の直径が3mm〜5.5mmの範囲である、請求項14に記載の用具。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7a】
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【図7b】
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【公表番号】特表2013−508111(P2013−508111A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535975(P2012−535975)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054663
【国際公開番号】WO2011/051852
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL