説明

化粧料及びそれを含浸したシート状化粧料

【課題】皮膚に対し刺激性がなく、毛穴の引き締め効果に優れ、皮膚を健やかに保つことのできる化粧料及びシート状化粧料を提供すること。
【解決手段】地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水のうち少なくともいずれか一方を0.05質量%以上含有する化粧料。好ましくは、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、プラセンタエキス及びプラセンタ様組成物のうち少なくとも一種を0.005質量%以上さらに含有する。上記化粧料をシート基布質量の2倍量以上含浸させたシート状化粧料でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に対し刺激性がなく、毛穴の引き締め効果に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温泉水あるいは海洋深層水などが皮膚に対して有用であるといわれており、保湿効果やアトピー性皮膚炎を改善させるなどの報告はあるが、毛穴の引き締め効果やその有用性に対しての検討はあまりされていない。これらの水は塩濃度が低いために原料として使用する場合、微生物の問題で防腐剤を使用しなければならず、皮膚に対する刺激の原因になったりするため、皮膚に刺激を与えずに毛穴を引き締める効果を得るには不充分といった問題があった。
【0003】
一方、美容意識の高まりとともに、毛穴の汚れに対する消費者の関心も高まっている。最近の清潔志向により洗顔回数も増えているが、過度の化粧により毛穴が広がり、その中に汚れが溜まったりすると、これが黒く目立ってしまうため、毛穴の広がりを抑え、さらに毛穴を引き締める効果に対するニーズが大きくなっている。例えばグリセリンなどの多価アルコールを高含量となるように配合し、皮膚の水分や水を添加した際に発生する水和熱を利用して皮膚をあたため、毛穴を広げ汚れを落とす化粧料がある(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような化粧料の使用後は毛穴を引き締める化粧料を使用することが多い。しかし、これらの作業は煩雑でまた洗い流しが必要であるため、簡便に行うことが望まれている。一方、皮膚または毛穴の引き締め効果が得られる成分として、タンニンなどを含む天然物質または化学物質、あるいはクランベリーの抽出液、緑茶やカキタンニンといった植物抽出液成分が用いられている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらの成分は皮膚実感が得られるものの、製剤中での安定性に問題がある場合が多く、使用しにくい問題があった。また、植物の種類によっては、供給面に不安のある場合があり、これらは十分な効果が得るにはコストの点からも高価であり、安定性の点でも着色や製剤の沈殿の問題があり安定に配合することが困難であるため、安価でなおかつ天然由来の成分の開発が望まれていた。
【0004】
天然由来成分を配合した化粧料としては、地核深層中に封止された古代塩水により、ミネラル成分を経皮吸収的に補給し、同時に活性酸素や活性化脂質の過剰発生・蓄積を著しく抑制するものがある(特許文献3参照。)。しかしながら、この化粧料は毛穴の引き締め効果について全く分かっていなかった。
【0005】
なお、本発明者らは、各種イオン化ミネラル成分を配合した皮膚化粧料が、皮膚に対し刺激性がなく、荒れ肌改善効果及び美肌作用、抗酸化の効果に優れることを見出しているが(特許文献4、5参照)、毛穴の引き締め効果については全く分かっていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平6−80534号公報
【特許文献2】特開2001−240527号公報
【特許文献3】特開2002−145737号公報
【特許文献4】特開2000−72614号公報
【特許文献5】特開2006−206499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らはこれらの問題点を解決するために、鋭意研究した結果、特定の塩水を特定量配合した化粧料が、毛穴の引き締め効果に対する有用性が高く、安価な化粧料の
開発が可能であることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、皮膚に対し刺激性がなく、毛穴の引き締め効果に優れ、皮膚を健やかに保つことのできる化粧料及びシート状化粧料を提供することにある。さらに詳しく言うと、各種イオン化されたミネラルを含有することにより、優れた毛穴の引き締め効果を有し、美肌効果を発現し、なおかつ皮膚の状態、感触を改善する安定性の高い化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の化粧料は、地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水のうち少なくともいずれか一方を0.05質量%以上含有している。本発明の化粧料は、さらに、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、プラセンタエキス及びプラセンタ様組成物のうち少なくとも一種を0.005質量%以上含有することが好ましい。また、本発明は上記化粧料をシート基布質量の2倍量以上含浸させたシート状化粧料でもある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、皮膚に対し刺激性がなく、毛穴の引き締め効果に優れ、皮膚を健やかに保つことのできる化粧料及びシート状化粧料を提供できる。さらに詳しく言うと、各種イオン化されたミネラルを含有することにより、優れた毛穴の引き締め効果を有し、美肌効果を発現し、なおかつ皮膚の状態、感触を改善する安定性の高い化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の化粧料及びそれを含浸したシート状化粧料について詳細に説明する。
【0012】
まず、本発明の化粧料に用いる地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水について説明する。
【0013】
地球が誕生した後の海は真水だったとされ、その後山から陸に降った雨が川となり大陸地殻の塩類を溶かし、海へ注ぎ、時が経て海は、現在のような塩水となったといわれている。その後の地殻変動によりこれら地層の中に封じ込められた水や川などから流れ込んだ水をせき止めて天日乾燥されたもののが多く知られている。代表的に天然界に存在するものとして、太古珊瑚浸透水(沖縄瀬底島:日本)、ソルトレイク(米国)、デボラ湖(オーストラリア)、死海(イスラエル)、カールン湖(エジプト)をジェリーフィッシュレイク(パラオ)などがある。
【0014】
本発明の化粧料に用いる地核深層中に封止された古代塩水とは、上記太古珊瑚浸透水のことであり、沖縄本土本部町瀬底島の地下300mからくみ上げられたもので、石灰珊瑚層長年にわたり高圧力の影響で光と空気を遮断され、熟成された貴重な水である。
【0015】
上記ソルトレイク(本発明においてはグレート・ソルト・レイクという。)はアメリカ合衆国ユタ州ソルトレイクシティの北西部の人里離れた未開の地にあり、標高1280m、面積3681m、平均水深4m、塩分濃度は約20−25%、湖水の主要成分は塩化ナトリウムで、死海の次に塩濃度が高い湖として知られている塩湖である。この塩湖は、生物として、藻、小えび等を産し、60億トンの塩分が貯蔵されていると推計されている。本発明の化粧料に用いるグレート・ソルト・レイクから得られる湖水とは、この塩湖の湖水又は湖水を天火で濃縮したものであり、塩分濃度により、原水をソルトレイクIW、ソルトレイクOM、ソルトレイクGMに分けられる。
【0016】
本発明の化粧料に使用する地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイ
クから得られる湖水の一般的な成分組成を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】
本発明の化粧料には、表1に示した天然界に存在するミネラル水から得たものを用いることができる。これらは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンのうち少なくともいずれかを1mg/ml以上含有しており、本発明の化粧料に用いるのに好適である。これらのイオン化ミネラル水は、必要により原水を加熱殺菌、ろ過し、ろ液をそのまま、あるいは乳糖などの賦型剤を用い凍結乾燥及び熱風乾燥し粉末化することも可能であるが、できればそのまま液体として使うことが経済的な観点からも望ましい。
【0019】
このようにして得られたイオン化ミネラル水を配合した化粧料は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのイオン化したミネラルが皮膚に作用し、相乗的に作用し合って皮膚の機能を亢進する。
【0020】
上記例のように抽出したイオン化ミネラル水は、熱水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等のような親水性溶媒を用いて流通することも可能である。また場合によっては、熱処理をしたものや紫外線殺菌したものやごく微量の防腐剤などを添加することも出来る。
【0021】
本発明の化粧料において、地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水の配合量は、化粧料組成物の総量を基準として、0.05質量%以上が必要であり、95質量%以下が効果の発現性や原価の点から考えて好ましい。特に0.01〜50質量%が好ましい。
【0022】
本発明の化粧料には、地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水のうち少なくともいずれか一方を0.05質量%以上含有することが必要であるが、その他に好ましく配合する成分として、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、プラセンタエキス及びプラセンタ様組成物が挙げられる。
【0023】
これらの成分は、通常化粧品に用いられる公知の成分であるが、生物由来の原料の使用が
好ましい。例えば、コラーゲンやヒアルロン酸としては、保湿剤やしわ改善剤として通常化粧品に使用される公知のブタ、サメ又は魚由来のものが挙げられ、プラセンタエキス及びプラセンタ様組成物としては、保湿剤や美白剤として通常化粧品に使用される公知のブタやウマ由来の胎盤抽出物が挙げられる。
【0024】
これらの成分は、化粧料組成物の総量を基準として、これらの成分のうち少なくとも一種を0.005質量%以上配合するのが好ましいが、特に0.1%〜90質量%配合するのがより好ましい。二種以上を配合する場合は、併せた配合量がこの範囲になればよい。この好ましい範囲で配合すれば、本発明の化粧料における毛穴の引き締め効果をより一層優れたものとできるだけでなく、保湿や抗老化の効果も得ることができる。
【0025】
本発明の化粧料には上述した各成分以外にも、他の化粧料成分を配合できる。他の化粧料成分としては、通常使用出来るものなら全て使用出来るが、効能、効果に応じ以下の物質から適宜選択できる。例えば一般に化粧料で用いられている賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、界面活性剤、保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、植物粉砕物及び生薬類、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤などの各種化粧料成分が挙げられる。
【0026】
前記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば大豆油、アーモンド油、パラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、ホホバ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリンなどの植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリン油、スクワランなどの動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンなどの合成油脂などが挙げられる。
【0027】
前記界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0028】
前記保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシグリセリン(26E.O)、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン−Sスルホン酸塩などの合成保湿剤;エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、ローヤルゼリー、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチンなどや、その他の植物や動物由来の抽出液などの天然保湿剤などが挙げられる。
【0029】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルブチンやこれらの誘導体などのほかにも、その他の植物や動物由来の抽出液などが挙げられる。
【0030】
前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、などの有機酸、無機酸及びその塩類などが挙げられる。
【0031】
前記粘結剤類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーン
ガム、カラギナン、寒天、カーボポールなどが挙げられる。
【0032】
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0033】
前記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料などが挙げられる。
【0034】
前記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0035】
前記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
【0036】
前記酸化防止剤としては、例えばアルコルビン酸、EDTA4Na,EDTA2Na、ブチルオキシトルエンなどが挙げられる。
【0037】
前記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが,例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0038】
前記顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。
【0039】
前記植物粉砕物及び生薬類としては、レモンの皮、海藻、ヒノキ、ヒバ、フッカス、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カンゾウ、チンピ、トウヒ、ユズ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケイヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツレ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタバ、ウコギ、ゴボウ、黒ゴマ、黒米等の粉砕物及びその抽出液などが挙げられる。
【0040】
無機塩類及び無機酸類として、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸などが挙げられる。
【0041】
前記洗浄剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0042】
前記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとしてショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステ
ル等のショ糖脂肪酸エステル;テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル;大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/又は水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチン等のレシチン類;モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステルなどを挙げることができ、1種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
さらに、本発明の化粧料は、上記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳、チタン、タルク等の無機顔料、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジンなどの殺菌剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2,ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8などのビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等流動化剤及び医薬品、医薬部外品並びに化粧品用タール系色素等を適宜配合出来る。
【0044】
本発明の化粧料は、上述した必須の成分、好適な成分及び任意の成分を配合するものであるが、この化粧料組成物をシート基布に含浸させたシート状化粧料とすることにより、毛穴の引き締め効果や美肌効果、皮膚の状態、感触を改善する安定性の何れをも更に高めることができる。
【0045】
本発明のシート状化粧料は、化粧料組成物の含浸量が、含浸させるシート基布質量の2倍以上であることが好ましく、より好ましくは2〜15倍、さらに好ましくは3〜10倍である。2倍未満であると化粧料組成物がシート状化粧料全体に含浸しにくくなるため、密着感が悪くなり、十分な角質除去効果や、毛穴の引き締め効果、美肌効果、皮膚の状態、感触を改善するなどのパック効果が得られにくい。また、15倍を超えても、化粧料組成物が含浸しきれずに使用時に滴り落ちやすくなるため、使用感が好ましくない場合が生じる。
【0046】
上記シート基布の目付としては、15〜300g/mがパックとふき取り両方に適しており好ましく、さらに好ましくは、30〜120g/mである。15g/m未満であると扱いにくく、また300g/mを超えると重かったり、はがれ落ちてしまう可能性があり、含浸させた化粧料を硬く感じて肌当たりや使用感が好ましくない。
【0047】
上記シート基布は、吸水性を有するものであれば、その材質は特に限定されず繊維製品でも樹脂製品でもよい。例えば、繊維原料を常法により織物、編物、不織布とした繊維製品や、樹脂原料を発泡成形した多孔質の樹脂製品である発泡プラスチックが挙げられる。織物、編物、不織布などの繊維製品とする繊維原料としては、綿(コットン)、麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維等の天然繊維;レーヨン、キュプラなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエステル系、
ポリアクリロニトリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの合成繊維等の化学繊維;が挙げられるが、綿(コットン)を原料に用いて不織布としたものが、肌への密着性が高く、肌触り、使用感に優れており、またパック剤又はふき取り化粧料として用いるのに好ましい。また、発泡プラスチックとしては、ポリウレタンフォーム(軟質、硬質)、ポリスチレンフォーム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム(軟質、硬質)、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノール樹脂フォーム、ユリア樹脂フォームが挙げられるが、綿の不織布と同様の理由で、軟質のポリウレタンフォームが好ましい。これは、所謂パフ材と呼ばれるものである。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例において用いた抗酸化評価測定法、血液量測定法、皮膚明度測定法、角質層のターンオーバー速度測定法、荒れ肌改善効果の測定法、及び官能試験法ならびに毛穴の引き締め効果の評価方法は下記の通りである。なお、実施例及び比較例におけるの各成分の配合量の単位は質量%である。
【0049】
(1)抗酸化評価方法
方法:β−カロテン退色法(リノール酸の自動酸化に伴い生じるリノール酸過酸化物がβ−カロテンの色の消失することを利用した方法。)を用いた。
実験操作:試験管立てを50℃の恒温槽に入れておき、試験管に被験物質を100μl採取し、4.9mlのリノール酸−β−カロテン混合液を加え、まずコントロールの470nmにおける吸光度を測定し、素早く試験管に反応液を戻した後、直ちに恒温槽内の試験管立てに立てる。次いで、同様の操作でコントロールの吸光度を測定して浴槽に移動した時を0分とし、60分後における吸光度の減少を測定し、酸化率を以下の式で求めた。
酸化率(%)=(0分の吸光度−60分後の吸光度)/(0分の吸光度)×100
コントロールの60分後の酸化率は85.83±1.07%であり、これより数値が小さいほど抗酸化力が強いといえる。
【0050】
(2)血液量測定法
レーザードップラー血流計(オメガフロー製)を用いて測定を行った。測定には接触タイプの深度可変型プローブを用い、内眼角下部(深度0.6mm)について測定を行った。各測定は約20秒ずつ行い、値の安定したおよそ10秒の平均値を測定値とした。試料連用前と10日間連用後の血液量を測定し、連用後の値から連用前の値を引いた値を血液量差とした。
【0051】
(3)皮膚明度差測定法
色彩色差計(CR−321:ミノルタ製)を用いて、L*値の測定を行った。測定は内眼角下部について5回行い、最大、最小値を除いた3点の平均値を皮膚明度とした。試料連用前と10日間連用後の皮膚明度を測定し、連用後の値から連用後の値を引いた値を皮膚明度差とした。
【0052】
(4)角質層のターンオーバー速度測定法
蛍光色素のダンシルクロライドを白色ワセリン中に5重量%配合した軟膏を作り、被験者の前腕部の皮膚に24時間閉塞貼布し、角質層にダンシルクロライドを浸透結合する。その後同じ部位に1日2回(朝、夕)被験試料を塗布し、毎日ダンシルクロライドの蛍光を調べ、その蛍光が消滅するまでの日数を皮膚角質のターンオーバー速度とした。なお、通常の皮膚角質層のターンオーバー速度は、14〜16日であるが、老化した皮膚においては18日前後に延び、それに対して老化防止効果が現れると12日前後にまで短縮される。
【0053】
(5)荒れ肌改善効果の測定試験法
下脚に荒れ肌を有する中高年被験者20名を対象として4週間連続塗布効果を調べた。被験者の左側下脚試験部位に1日2回約1gの試料を塗布し、試験開始前及び終了後の皮膚の状態を下記の判定基準により判定した。右側下脚は試料を塗布せず対照とした。試験前後の試験部位と対照部位の判定結果を比較し、皮膚乾燥度が2段階以上改善された場合(例えば;+→−、++→±)を「有効」、1段階改善された場合を「やや有効」、変化がなかった場合を「無効」とした。試験結果は「有効」「やや有効」となった被験者の人数で示した。
【0054】
(6)官能試験法
被験者20名が試料を10日間連用した後の試料の特性を評価した。評価は、肌の明るさ、つや、平滑性、弾力性のアンケート項目に対し、「皮膚が明るくなった」、「皮膚のつやが増した」、「皮膚が滑らかになった」、「皮膚に張りが生じた」と回答した人数で示した。
【0055】
(実施例1,2及び比較例1)
表2に示す組成からなる各化粧料組成物について、成分bと成分cをそれぞれ均一に溶解した後、両者を混合溶解、さらに成分aを攪拌しながら加え、スキンローションを作成した。得られたスキンローションについて諸試験を実施した結果を表2に併せて記載する。
【0056】
【表2】

【0057】
表2から明らかなように、実施例1,2のスキンローションは諸試験において良好な結果であった。それに対して比較例2のスキンローションは、諸試験において顕著な効果は認められなかった。また実施例1〜2のスキンローションはヒト皮膚を用いた諸試験においても全く皮膚刺激は生じなかった。
【0058】
実施例1,2及び比較例1の各スキンローションに対するさらなる評価方法を以下に示す。
【0059】
[皮膚有用性評価方法]
専門パネラーを各評価品目ごとに10名ずつ用意し(但し、品目によりパネラーが重複する場合もある)、以下に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す(満点:50点)。
【0060】
(基準) (点数)
効果が高く感じられる 5点
効果が感じられる 4点
効果はやや感じられる 3点
効果はわずかしか感じられない 2点
効果が感じられない 1点
【0061】
表3に評価結果を示す。評価は(7)皮膚の引き締め効果、(8)化粧崩れのしにくさ及び(9)安定性評価の3項目について行った。皮膚の引き締め効果は、肌実感を評価したものであるが、各実施例は比較例と比べてより皮膚の引き締め効果が優れている。化粧崩れのしにくさは、試料が肌をひきしめることで、皮脂の分泌を抑制する結果、化粧崩れが起こりにくくなるか否かを見たものであるが、各実施例は比較例と比べて優れた効果を示した。安定性評価は、各実施例及び各比較例の試料を室温下で窓際に1ヶ月間静置保管した際の安定性(変色の有無)について、目視評価した結果により製剤の安定性を評価したものであるが、各実施例は安定性も優れていることがわかる。さらに、実施例2では継続使用後に肌がなめらかになる美肌作用が認められた。
【0062】
【表3】

【0063】
[皮膚有用性評価]
次に、毛穴の引き締め効果の評価方法を以下に示す。
【0064】
(10)ロボスキンアナライザーによる毛穴目立ち改善効果確認
被験者5名を対象に太古珊瑚浸透水を2%配合し常法により調製した表4に示す処方例1の美容液をコットン不織布に含浸させたシートマスクを使用して、マスク使用前後の毛穴の目立ちをロボスキンアナライザー(インフォワード社)にて測定した。この結果を図1〜3に示す。マスク使用の前後で、目立つ毛穴の数、開きの目立つ毛穴の数、黒ずみが目立つ毛穴の数が減少することを確認できた。なお、ロボスキンアナライザーではモノクロ画像中で、周辺部位に比べて「やや暗い部分」と「暗い部分」としての縁辺を検出できる対象物のうち、丸みを帯びていて、かつサイズが0.1〜0.6mmの、連続した領域を「目立つ毛穴」として認識している。その中で、0.3〜0.6mmの、連続した領域を「開きが目立つ毛穴」、また、周辺部位に比べて「暗い部分」としての縁辺を検出できる対象物のうち、丸みを帯びていて、かつサイズが0.1〜0.6mmの、連続した領域を「黒ずみが目立つ毛穴」として認識している。
【0065】
(処方例1)
【表4】

【0066】
上記処方例1の太古珊瑚浸透水に代えて塩化ナトリウムを用いた表5に示す組成からなる比較例2を常法により調製し、皮膚の引き締め効果についての皮膚有用性評価を行った。その結果、比較例2が38点であったのに対し、処方例1は満点の50点であった。
【0067】
(比較例2)
【表5】

【0068】
以下に、本発明の化粧料のその他の処方による実施例を幾つか例示する。
【0069】
・実施例3(クリ−ム)
下記処方に従い、成分bと成分cを80℃で加熱溶解し、成分bに成分cを攪拌しながら加え、ホモジナイザーで2.5分間激しく攪拌(2500rpm)して各成分を充分乳化分散させた後、攪拌しながら徐々に冷却して、45℃で成分aを加え、攪拌しながら、35℃で攪拌を止め冷却し、クリームを作成した。
【0070】
【表6】

【0071】
・実施例4(日焼け止めクリーム)
下記処方に従い、実施例3と同様にして、日焼け止めクリームを作成した。
【0072】
【表7】

【0073】
・実施例5(ローション)
下記処方の各成分を常法により混合溶解してローションを調製した。
【0074】
【表8】

【0075】
・実施例6(ジェル)
下記処方の成分b、成分c、成分dをそれぞれ混合分散溶解し、成分dに成分aから成分cを加え、均一に溶解させジェルを作成した。
【0076】
【表9】

【0077】
・実施例7(ジェル)
下記処方の成分b、成分c、成分dをそれぞれ混合分散溶解し、成分dに成分aから成分cを加え、均一に溶解させてジェルを作成した。
【0078】
【表10】

【0079】
・実施例8(制汗ローション)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させ制汗ローションを作成した。
【0080】
【表11】

【0081】
・実施例9(乳液)
下記処方の成分bと成分cを80℃で加熱溶解し、成分bに成分cを攪拌しながら加え乳化し、攪拌しなが冷却し、45℃で成分aを加え、さらに冷却し、40℃で攪拌を止め冷却し、乳液を作成した。
【0082】
【表12】

【0083】
・実施例10(パック)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させパックを作成した。
【0084】
【表13】

【0085】
・実施例11(全身用シート状パック)
下記処方の成分b、成分cをそれぞれ混合分散溶解し、成分aから成分cを加え、均一に溶解させたる。ついでこれを成分dの1mあたり、80g塗布し、10cmに切断しパックを作成した。
【0086】
【表14】

【0087】
実施例3〜11の各化粧料は、諸試験において明らかに良好な結果を示し、皮膚刺激も生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】マスク使用前後での目立つ毛穴の数の減少を示す図である。
【図2】マスク使用前後での開きの目立つ毛穴の数の減少を示す図である。
【図3】マスク使用前後での黒ずみが目立つ毛穴の数の減少を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 被験者1の使用結果
2 被験者2の使用結果
3 被験者3の使用結果
4 被験者4の使用結果
5 被験者5の使用結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地核深層中に封止された古代塩水及びグレート・ソルト・レイクから得られる湖水のうち少なくともいずれか一方を0.05質量%以上含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
さらに、コラーゲン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、プラセンタエキス及びプラセンタ様組成物のうち少なくとも一種を0.005質量%以上含有する請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の化粧料を、シート基布質量の2倍量以上含浸したことを特徴とするシート状化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−90059(P2010−90059A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261332(P2008−261332)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】