説明

化粧料含浸フェイスマスクおよびその使用方法

【課題】 使用に際して、化粧料の含浸層側が容易に判別できる化粧料含浸フェイスマスクおよびその使用方法の提供。
【解決手段】 化粧料を含浸させた含浸層および化粧料が含浸しない非含浸層を二層に積層したシートからなり、包装容器への収納時には前記シートが折り畳まれた状態となっている化粧料含浸フェイスマスクであって、前記シートは周縁部より外側に突出する少なくとも2つのつまみ部が設けられ、当該つまみ部が互いに識別可能に形成されていることを特徴とする化粧料含浸フェイスマスク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料含浸層および非含浸層を二層に積層したシートからなる化粧料含浸フェイスマスクの構造およびその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料を含浸させたシートを顔面などの体の特定の部位に一定時間貼付して、肌の手入れを行うことが一般的になされている。しかしながら、このような肌への長時間の貼付によって、化粧料の成分がある程度蒸散することは避けられず、よって、化粧料を効率よく肌に浸透させる妨げとなっていた。
【0003】
そこで、かかる化粧料の蒸散を防ぐべく、特許文献1では、化粧料を含浸する不織布シートに疎水性を有するシート状フィルムを積層させたシートタイプの化粧品が開示されている。このものは、化粧料を含浸する不織布シート側が化粧料を肌に浸透させる一方、シート状フィルム側は外部に露出し、使用中の化粧料の蒸散を防ぐというものである。
【0004】
このようなシートタイプの化粧品のうち、顔の肌面に適用するタイプの所謂フェイスマスクは、サイズ的にも大判となるため、通常は何回か折り畳まれた状態で包装袋に収納され、販売されている。
【0005】
したがって、かかるフェイスマスクは、使用時に包装袋より取り出して広げる必要があるが、上記のように化粧料の含浸層と非含浸層の2層構造となっており、肌面に適用する側があらかじめ決められているものについては、特に商品が化粧料で湿潤している場合、広げたときにどちらが顔面に適用する含浸層側か判別しにくくなり、使い勝手が悪いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−211425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明は、従来の化粧料含浸フェイスマスクのかかる欠点を克服し、使用に際して、化粧料の含浸層側が容易に判別できる化粧料含浸フェイスマスクおよびその使用方法の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、化粧料を含浸させた含浸層および化粧料を含浸しない非含浸層を二層に積層したシートからなり、包装容器への収納時には前記シートが折り畳まれた状態となっている化粧料含浸フェイスマスクであって、前記シートは周縁部より外側に突出する少なくとも2つのつまみ部が設けられ、当該つまみ部が互いに識別可能に形成されていることを特徴とする化粧料含浸フェイスマスクである。
【0009】
さらに本発明は、本発明の化粧料含浸フェイスマスクにおいて、前記化粧料含浸フェイスマスクを顔面にのせる際、前記2つのつまみ部もしくはそれらから選択された一のつまみ部を左右いずれの側に位置させるのかを指示することにより前記シートの含浸層側を使用者に指示し、顔の肌面に適用させることを特徴とする化粧料含浸フェイスマスクの使用方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧料含浸フェイスマスクは、シート周縁部に設けられた2つのつまみ部が互いに識別可能に形成されているため、それらのつまみ部に基づいて、顔の肌面に適用する際のシートの表裏を確実に指示することができる。
【0011】
そして、本発明の化粧料含浸フェイスマスクの使用方法によれば、フェイスマスクを顔面にのせる際、前記2つのつまみ部がシートの表裏を識別するための標識として機能するため、使用者が前記シートの表裏を誤ることなく、含浸層側を顔の肌面に適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る化粧料含浸フェイスマスクの正面図。
【図2】図2a−fは、本発明に係る化粧料含浸フェイスマスクを折り畳む方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の化粧料含浸フェイスマスクの実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0014】
図1は、本発明に係る化粧料含浸フェイスマスクの正面図である。図中、1はシート、2はつまみ部(大)、3はつまみ部(小)、4は孔部、5は切り込みをそれぞれ示す。図に示すように、本実施態様の化粧料含浸フェイスマスクは、略楕円形状に形成されたシート1に、使用者の目と口にあたる付近に孔部4を設け、さらに、顔面の凹凸にフィットしやすいように所定の位置に切り込み5を設けたものである。また、シート1の周縁部には、つまみ部(大)2とつまみ部(小)3が、それぞれ一箇所ずつ外側に突出して設けられている。
【0015】
つまみ部(大)2とつまみ部(小)3が設けられる位置は、シート1周縁部であれば特に限定されないが、使用時のフェイスマスクの広げやすさ、また、顔へ適用する際の持ちやすさなどから、それぞれ目の孔部4の斜め上方向に設けるのが好ましい。本実施態様では、ふたつのつまみ部はシート1周縁部において左右対称の位置ではなく、つまみ部(大)2の方がつまみ部(小)3に比べシート1の縦中心線により近く設けられている。このように、ふたつのつまみ部を左右対称の位置に設けない理由は、後述するように、使用時におけるフェイスマスクの広げやすさに資するためである。
【0016】
本実施態様のつまみ部(大)2とつまみ部(小)3は、それぞれ、隅丸の矩形状に形成されているが、この形状に限定されず、例えば、正方形、三角形、半円形、舌片状など、その他の形状から適宜選択することができる。そして、本実施態様では、ふたつのつまみ部の大きさを変えることにより、互いを識別可能としているが、これを、例えば、一方のつまみ部を正方形、他方を半円形とするなど、それぞれの形状を変えて、互いを識別可能としてもよい。さらに、ふたつのつまみ部の大きさおよび形状をともに変えて、互いを識別可能としてもよい。なお、ここで、「識別可能」とは、使用者が、一方のつまみ部と他方のつまみ部とを、それぞれ互いに取り違えることなく識別できることを意味する。
【0017】
本実施態様のシート1は、以下の構成よりなる。すなわち、使用時に顔面に適用する側は、化粧料を含浸させた含浸層であって、材料として、セルロースやレーヨン等の天然繊維、合成繊維を用いた吸水性の不織布、織布、紙等から選択されたシート材、または、ポリアクリル酸等の水溶性合成樹脂や、カラギーナン、ジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、コラーゲン、ゼラチン等のタンパク質、更にこれらに多価アルコールや多価金属塩等の架橋剤を配合したものを使用した含水性ゲルシート等から適宜選択することができる。また、使用時に外部に露出する側は、化粧料を含浸しない非含浸層であって、材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(エチレン・酢酸ビニル)、シリコーンゴム等の非水溶性の合成樹脂製フィルム等から適宜選択することができる。この含浸層および非含浸層を1枚のシートに形成する方法は特に限定されないが、例えば、非水溶性の合成樹脂フィルムなどを加熱溶融して押出してシート状にし、不織布上に載置し押え付けて冷却する方法により形成することができる。
【0018】
本実施態様においてシート1の含浸層側に含浸される化粧料は、含浸層に含浸可能であれば特に限定されないが、例えば、透明ローションや白濁ローション、乳液、クリーム等の液状ないしペースト状の化粧料が好ましい。また、これらの化粧料の系中にさらに粉末状成分を含有させた化粧料であってもよい。
【0019】
本発明の化粧料含浸フェイスマスクは、他のフェイスマスク製品と同様に、折り畳んだ状態で包装袋等の包装容器に収納され、販売されるが、その折り畳み方法の一例について説明する。まず、シート1の非含浸層側を自分の方に向け、上下を逆にして置き、縦半分に折る(a)。次に、口の孔部4の中心で上から下方向に折る(b)。これ(c)を裏返し、目の孔部4の中心で上から下方向に折る(d)。この状態(e)で包装袋に収納される(f)。
【0020】
使用者は、本発明の化粧料含浸フェイスマスクを使用する際、上記の手順を逆に行うことでシート1を広げることができるが、包装袋や包装箱に以下のような使用方法を具体的に指示することにより、確実に含浸層側を顔面に適用させることができる。
【0021】
まず、シート1を広げる際の注意として、「袋からマスクを取り出し、2つの突起(つまみ部)を持ってゆっくりと広げます。」等の指示を与える。次に、顔にのせる際の注意として、「マスクには表裏があります。大きい突起(つまみ部)を右側にし、目の形に併せて顔にのせ、ひたい、両頬、口のまわり、鼻の側面を手で押さえて密着させます。」等の指示を与える。かかるつまみ部の位置に関する指示は、これ以外にも、「大きい突起(つまみ部)を右側に、小さいつまみ部を左側にし」等、両方のつまみ部の位置関係について指示を与えることも可能であるが、いずれか一方のつまみ部を選択したうえで、そのつまみ部が使用者の顔に対して左右いずれかに位置するのかを指示する前述の方法がより理解しやすく、好ましい。これらの指示によって、使用者は、広げたシート1の表裏を間違えることなく、確実に含浸層側を顔の肌面に適用させることができる。
【0022】
なお、本発明の化粧料含浸フェイスマスクは、ふたつのつまみ部を左右対称の位置に設けられていないため、折り畳まれた状態(図2e)では、つまみ部(大)2とつまみ部(小)3は重ならず、よって、それぞれを指で保持しやすく、広げる作業が容易となる。
【符号の説明】
【0023】
1 … … シート
2 … … つまみ部(大)
3 … … つまみ部(小)
4 … … 孔部
5 … … 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を含浸させた含浸層および化粧料を含浸しない非含浸層を二層に積層したシートからなり、包装容器への収納時には前記シートが折り畳まれた状態となっている化粧料含浸フェイスマスクであって、前記シートは周縁部より外側に突出する少なくとも2つのつまみ部が設けられ、当該つまみ部が互いに識別可能に形成されていることを特徴とする化粧料含浸フェイスマスク。
【請求項2】
前記2つのつまみ部が、互いに大きさおよび/または形状が異なるものであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料含浸フェイスマスク。
【請求項3】
折り畳まれた収納状態において、前記2つのつまみ部が互いに重なり合わない位置の前記シート周縁部に設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料含浸フェイスマスク。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化粧料含浸フェイスマスクにおいて、前記化粧料含浸フェイスマスクを顔面にのせる際、前記2つのつまみ部もしくはそれらから選択された一のつまみ部を左右いずれの側に位置させるのかを指示することにより前記シートの含浸層側を使用者に指示し、顔の肌面に適用させることを特徴とする化粧料含浸フェイスマスクの使用方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−275222(P2010−275222A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128694(P2009−128694)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】