説明

化粧料塗布体

【課題】化粧料塗布体において、簡単な構造により塗布部を傾倒させ、その状態を維持することができるようにする。
【解決手段】軸部11、塗布部12とともに化粧料塗布体10を構成する可動部15で、軸部11と塗布部12とを変形自在となるように一体成形された脚部16、16により連結するとともに、該塗布基部14の後端には先端を凸湾曲面17aとする係止部17を、また軸部11の先端には該係止部17の凸湾曲面17aに合致する複数の凹湾曲部18aを平坦部18bを中心に配設する被係止部18を一体成形するとともに、係止部17と被係止部18との間で間隙19を形成し、係止部17が移動し,被係止部18と当接しつつ摺動し、且つ両者が係止自在となる傾倒機構Aを形成するので、簡単な構造によって、塗布部を押勢して軸部に対して傾倒させ、その傾倒状態を維持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、軸部の先端の塗布部が傾倒自在となる化粧料塗布体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、マスカラ等の液体化粧料やアイシャドウ等の粉状化粧料を塗布するために使用する化粧料塗布体には、蓋本体と一体となる軸部の先端において、該軸部の軸線方向に沿って塗布部が形成されているものがある。すなわち、上記化粧料塗布体では、軸部と塗布部とは、その軸線方向が一致しているものである(特許文献1参照)。
【0003】
そのため、化粧料容器を構成する容器本体内へ該塗布部を収容し、又容器本体内から該塗布部を取り出すにあたっては、該塗布部を容器本体に対して直線的に挿脱するだけで円滑、且つ容易に行うことができるものである。
【0004】
しかしながら、上記化粧料塗布体においては、軸部と塗布部との軸線方向が一致しているため、例えば、放射状に生えている睫毛に対してマスカラを塗布する場合には、睫毛の生えている方向に合わせて持ち手を少しずつ動かすことで、塗布部の角度を少しずつ変えながら何回も塗布しなけらばならず、使用者にとって非常に煩雑な作業となるものである。
そして、塗布部の角度を誤ると軸部が瞼や頬に接触してしまい、肌を汚損するものである。
さらに、上記マスカラの塗布作業は利き手側では正確に行い易いものであるが、利き手ではない側による場合は化粧料塗布体の軸部と鼻が干渉して邪魔になってしまい、正確にマスカラの塗布を行えないものである。
その上、睫毛をカールさせるにあたっては塗布部で睫毛を持ち上げるようにするが、上記化粧料塗布体の塗布部が軸部の先端で保持されていると、持ち手の微妙な震えが塗布部では大きく伝達され、睫毛を確実に持ち上げることができなくなるものである。
【0005】
また、睫毛においてより広範囲に渡ってマスカラを一度に塗布することができるように塗布部を軸部の軸線方向に対して湾曲させると、該塗布部が睫毛に沿って合致して確実にマスカラの塗布を行える反面、容器本体への収納が難しくなるものである。
【0006】
そこで、容器本体に対する挿脱に際して、軸部と塗布部との軸線方向が一致するものであるが、マスカラを塗布するに際して、必要に応じて軸部に対して塗布部を傾倒自在とし、且つその状態を維持できるようにするものが提案されている(特許文献2、3参照)。
【0007】
しかしながら、上記軸部に対して塗布部を傾倒自在とし、且つその状態を維持できるようにする構造は、複雑であって、部品点数も多くなるものである。その結果、部品コストの上昇とともに、製造工程での作業効率が低下してしまうので、化粧料塗布体の製品コストが著しく上昇してしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−8729号公報
【特許文献2】実開昭60−70215号公報
【特許文献3】実開昭60−113711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明が解決しようとする課題は、簡易な構造によって、軸部に対して塗布部を傾倒自在とし、且つその状態を維持させることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の特徴として、
後端に根元部を形成する軸部と、先端に塗布体を有する塗布部と、これら間に配置される可動部とから構成され、
該可動部において、軸部と塗布部とを、該軸部と塗布部との間で一体成形され、変形自在となる脚部によって連結するとともに、該軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に係止部を一体成形し、他方の端部に被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部とが係止自在となることで軸部に対して塗布部を傾倒自在としてなる傾倒機構を形成するものである。
【0011】
そのため、軸部に対して直線状となっている塗布部を押勢すると、該軸部と塗布部との間に配置される可動部では、被係止部との間で間隙を形成している係止部が移動するとともに被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部とが係止する。そして、軸部と塗布部とを連結するように一体成形された脚部は伸長しながら折曲して軸部と塗布部の間で引張力を発生するものである。その結果、塗布部は傾倒するとともに、その傾倒状態を脚部の引張力で維持することができるものである。従って、軸部に対して傾倒させ、その状態を維持してなる塗布部によって、簡易且つ正確に化粧料を塗布することができるものとなる。
【0012】
さらに、化粧料塗布体を構成する軸部、塗布部並びに脚部及び傾倒機構からなる可動部は一体成形されるので、部品点数は減少し、傾倒機構は簡単な構造となるものである。その結果、製造作業における作業効率は向上し、製品コストの低減を図ることができるものである。
【0013】
第1の特徴を踏まえて、第2の特徴として、
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に先端を凸湾曲面とする係止部を一体成形し、他方の端部に該係止部の先端の形状に合致する複数の凹湾曲部を配設する被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部の凸湾曲面と被係止部の凹湾曲部とが係止自在となるものである。
【0014】
そのため、軸部に対して直線状となっている塗布部を押勢すると、該軸部と塗布部との間に配置される可動部では、被係止部との間で間隙を形成している係止部が移動するとともに被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部の先端の凸湾曲面と被係止部の凹湾曲部とが合致して係止する。そして、軸部と塗布部とを連結するように一体成形された脚部は伸長しながら折曲して軸部と塗布部の間で引張力を発生するものである。その結果、塗布部は傾倒するとともに、その傾倒状態を脚部の引張力と合わせてより強固に維持することができるものである。従って、軸部に対して傾倒させ、その状態を維持してなる塗布部によって、簡易且つ正確に化粧料を塗布することができるものとなる。
【0015】
さらに、上記第1の特徴と同様に、化粧料塗布体を構成する軸部、塗布部並びに脚部及び傾倒機構からなる可動部は一体成形されるので、部品点数は減少し、傾倒機構は簡単な構造となるものである。その結果、製造作業における作業効率は向上し、製品コストの低減を図ることができるものである。
【0016】
第1の特徴を踏まえて、第3の特徴として、
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に平面である係止部を一体成形し、他方の端部に断面略U字形状の被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ平面である係止部と断面略U字形状の被係止部とが係止自在となるものである。
【0017】
そのため、軸部に対して直線状となっている塗布部を押勢すると、該軸部と塗布部との間に配置される可動部では、被係止部との間で間隙を形成している係止部が移動するとともに、当接しつつ摺動し、且つ係止部の平面と断面略U字形状の被係止部表面とが任意の位置で係止する。そして、軸部と塗布部とを連結するように一体成形された脚部は伸長しながら折曲して軸部と塗布部の間で引張力を発生するものである。その結果、塗布部は傾倒するとともに、その傾倒状態を脚部の引張力を合わせて維持することができるものである。従って、軸部に対して任意の位置に傾倒させ、その状態を維持してなる塗布部によって、簡易且つ正確に化粧料を塗布することができるものとなる。
【0018】
さらに、上記第1及び第2の特徴と同様に、化粧料塗布体を構成する軸部、塗布部並びに脚部及び傾倒機構からなる可動部は一体成形されるので、部品点数は減少し、傾倒機構は簡単な構造となるものである。その結果、製造作業における作業効率は向上し、製品コストの低減を図ることができるものである。
【0019】
第1の特徴を踏まえて、第4の特徴として、
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に、後述の切り欠き部幅よりも大となる幅を有して突出する係止部を一体成形し、他方の端部に脚部内側に当接するとともにその中間に切り欠き部を形成してなる被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部の切り欠き部内で係止部が当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部の切り欠き部とが係止自在となるものである。
【0020】
そのため、軸部に対して直線状となっている塗布部を押勢すると、該軸部と塗布部との間に配置される可動部では、被係止部との間で間隙を形成している係止部が移動するとともに、被係止部の切り欠き部内で当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部の切り欠き部とが任意の位置で係止する。そして、軸部と塗布部とを連結するように一体成形された脚部は該被係止部を支点として伸長しながら折曲するものとなる。その結果、塗布部は傾倒するとともに、その傾倒状態を維持することができるものである。従って、軸部に対して任意の位置に傾倒させ、その状態を維持してなる塗布部によって、簡易且つ正確に化粧料を塗布することができるものとなる。
【0021】
さらに、上記第1乃至第3の特徴と同様に、化粧料塗布体を構成する軸部、塗布部並びに脚部及び傾倒機構からなる可動部は一体成形されるので、部品点数は減少し、傾倒機構は簡単な構造となるものである。その結果、製造作業における作業効率は向上し、製品コストの低減を図ることができるものである。
【発明の効果】
【0022】
本願発明では、化粧料塗布体において、簡単な構造の傾倒機構により、塗布体を有する塗布部を軸部に対して傾倒させ、且つその状態を維持させることができるので、製造作業における作業効率は向上し、製品コストの低減を図ることができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本願発明の実施例1である化粧料塗布体を具える化粧料塗布容器の拡大断面図である。
【図2】図2(イ)は本願発明の実施例1である化粧料塗布体をなす軸部の正面図及び要部横断面図、(ロ)は本願発明の実施例1である化粧料塗布体をなす軸部の側面図である。
【図3】図3は本願発明の実施例1であるキャップ内に固持される化粧料塗布体の塗布部の動作を示す図である。
【図4】図4は本願発明の実施例2であるキャップ内に固持される化粧料塗布体の塗布部の動作を示す図である。
【図5】図5は本願発明の実施例3であるキャップ内に固持される化粧料塗布体の塗布部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
簡易な構造により、化粧料塗布体の塗布部を軸部に対して傾倒し、且つその状態を維持することを、軸部と塗布部との間に配置される可動部において、該軸部と塗布部との間を変形自在となる脚部によって一体に連結するとともに、該軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に係止部を一体成形し、他方の端部に被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該被係止部との間で間隙を形成する係止部が移動するとともに当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部とが係止自在となることで軸部に対して塗布部を傾倒自在としてなる傾倒機構を形成することで実現した。
【実施例1】
【0025】
図1において示すのは、本願発明の実施例1である化粧料塗布体10を具える化粧料容器1である。そして、該化粧料容器1は、その内部でマスカラ3を貯留するとともに、その開口部4内では、後述する本願発明の実施例1である化粧料塗布体10を構成する軸部11及び塗布部12の表面に過剰に付着したマスカラ3を拭去するシゴキ5を内装するとともに、その外周面に雄ネジ部6を螺設してなる容器本体2と、その開口部8の内周面で、前記容器本体2の開口部4の外周面に螺設する雄ネジ部6と螺合する雌ネジ部9を配設するものであって、本願発明の実施例1である化粧料塗布体10を固持してなるキャップ7とから構成されるものである。
【0026】
そして、本願発明の実施例1である化粧料塗布体10は、後端部にキャップ7内に固持させる根元部11aを形成する軸部11と、芯線に挟持された繊維を螺旋状に巻回することにより形成される円柱状の刷毛体からなる塗布体13及び該塗布体13において巻回された芯線を固持する塗布基部14とからなる塗布部12と、該軸部11及び塗布部12の間に配置される可動部15とから構成されるものである。
【0027】
さらに、前記可動部15では、軸部11と塗布部12をなす塗布基部14とを変形自在となるように一体成形された二本の脚部16、16によって連結されている。そして、塗布部12の塗布基部14の後端の脚部16、16間には先端を凸湾曲面17aとする係止部17を一体成形し、また軸部11の先端の脚部16、16間には該係止部17の凸湾曲面17aの形状に合致する軸部11の軸線方向に位置する平坦部18bを中心とした両側の複数の凹湾曲部18a、18aを配設する被係止部18を一体成形するとともに、該係止部17と被係止部18との間で間隙19を形成するものであって、該係止部17は移動して被係止部18と当接しつつ摺動し、且つ係止部17と被係止部18とが該被係止部18の凸湾曲面17aが軸部11の軸線方向に位置する平坦部18bを中心とした両側の複数の凹湾曲部18a、18aのうちの一つと合致して係止自在となる傾倒機構Aを形成するものである。
【0028】
本願発明の実施例1である化粧料塗布体10は以上のような構成を具えるので、軸部11、可動部15とともに化粧料塗布体10を構成する塗布部12を軸部11に対して傾倒し、その状態を維持してマスカラ3を塗布するにあたっては次のようにするものである。
まず、容器本体2と一体に螺合しているキャップ7の螺合を解くとともに引き上げると、化粧料塗布体10の塗布部12は、該軸部11の軸線方向と一致して収容されているので、容器本体2内から化粧料塗布体10を円滑、且つ容易に取り出すことができる。
そして、容器本体2内より取り出した化粧料塗布体10において、該化粧料塗布体10の塗布部12を軸部11に対して傾倒させるには、容器本体2の開口部4内周縁に塗布部12を当接させて押勢するものである。すなわち、塗布部12を容器本体2の開口部4内周縁に当接させて押勢することで、当初該軸部11の軸線方向に位置する平坦部18bとの間で間隙19を持って位置している塗布部12の係止部17は、隣接するいずれかの凹湾曲部18a方向へ移動し当接しつつ摺動して、塗布部13の係止部17の凸湾曲面17aは軸部11の被係止部18の凹湾曲部18aと合致して、係止する。このとき、軸部11と塗布部12とを一体に連結する脚部16、16は軸部11の移動及び摺動に伴って弾性に抗して伸長しつつ折曲し、軸部11と塗布部12の間で引張力を発生するものである。
その結果、軸部11と塗布部12とは脚部16、16の引張力と合わせてより強固に係止され、塗布部12は該軸部11に対して傾倒した状態を維持することができるものである。
従って、軸部11に対して傾倒し、且つその状態で維持されている塗布部12の塗布体13によってマスカラ3を簡易且つ正確に塗布することができるものとなる。
【0029】
また、化粧料塗布体10を容器本体2内に収容するにあたっては次のようにするものである。
まず、軸部11に対して傾倒し、その状態で維持されている塗布部12を容器本体2の開口部4内周縁に対して当接させて軸部11の軸線方向に位置する平坦部18b方向へ押勢するものである。すなわち、軸部11に対して傾倒している塗布部12を容器本体2の開口部4内周縁に当接させて押勢すると、軸部11先端に形成され、塗布部12の傾倒状態に合わせて被係止部18の凹湾曲部18aと合致し、係止している塗布部12の塗布基部14に形成される係止部17が、該軸部11の軸線方向に位置する被係止部18の平坦部18b方向へ当接しつつ摺動し、被係止部18の平坦部18bに間隙19を持って位置するものである。このとき、軸部11と塗布部12の塗布基部14とを一体に連結し、伸長しつつ折曲している脚部16、16は収縮しながら弾性により直線状になるものである。
その結果、塗布部12は軸部11の軸線方向と一致して直線状態を維持するものとなるので、化粧料塗布体10を容器本体2内に容易に収容することができるものである。
【実施例2】
【0030】
本願発明の実施例2である化粧料塗布体10’は、実施例1の化粧料塗布体10と同様に、キャップ7’内に一体に固持される根元部を形成する軸部11’と、芯線に挟持された繊維を螺旋状に巻回することにより形成される円柱状の刷毛体からなる塗布体13’及び該塗布体13’において巻回された芯線を固持する塗布基部14’とからなる塗布部12’と、両者を一体に連結する可動部15’とから構成される点で、軸部11と、塗布部12と、両者を一体に連結する可動部15とから構成される実施例1である化粧料塗布体10と共通するものである。
【0031】
しかしながら、本願発明の実施例2である化粧料塗布体10’の可動部15’は、軸部11’と塗布部12’の塗布基部14’とを変形自在となるように一体成形された二本の脚部16’、16’によって連結するとともに、塗布部12’をなす塗布基部14’の後端の脚部16’、16’間には平面17a’である係止部17’を一体成形し、また軸部11’の先端の脚部16’、16’間には両側面を平面18b’、18b’とするとともに先端を凸湾曲面18a’とする断面略U字形状の被係止部18’を一体成形するとともに、該係止部17’と被係止部18’との間で間隙19’を形成するものであって、該塗布部12’の塗布基部14’に形成される係止部17’は移動して軸部11’に形成される被係止部18’と当接しつつ摺動し、且つ係止部17’の平面17a’と断面略U字形状の被係止部18’の側面である平面18b’とが係止自在となる傾倒機構A’を形成する点で、軸部11と塗布部12をなす塗布基部14とを変形自在となるように一体成形された二本の脚部16、16によって連結するとともに、塗布部12をなす塗布基部14の後端の脚部16、16間には先端を凸湾曲面17aとする係止部17を一体成形し、軸部11の先端の脚部16、16間には該係止部17の先端の形状に合致する複数の凹湾曲部18a、18aを軸部11の軸線方向に位置する平坦部18bを中心とした両側に配設する被係止部18を一体成形するとともに該係止部17と被係止部18との間で間隙19を形成するものであって、該係止部17は移動して被係止部18と当接しつつ摺動し、且つ係止部17の凸湾曲面17aと被係止部18の複数の凹湾曲部18a、18aとが係止自在となる傾倒機構Aを形成する実施例1である化粧料塗布体10の可動部15とは相違するものである。
【0032】
本願発明の実施例2である化粧料塗布体10’は以上のような構成を具えるので、軸部11’、可動部15’とともに化粧料塗布体を構成する塗布部12’を軸部11’に対して傾倒し、その状態を維持してマスカラを塗布するにあたっては次のようにするものである。
まず、容器本体と一体に螺合しているキャップ7’の螺合を解くとともに引き上げると、化粧料塗布体10’の塗布部12’は、該軸部11’の軸線方向と一致して収容されているので、容器本体内から化粧料塗布体10’を円滑、且つ容易に取り出すことができる。
そして、容器本体内より取り出した化粧料塗布体10’において、該化粧料塗布体10’の塗布部12’を軸部11’に対して傾倒させるには、容器本体の開口部内周縁に塗布部12’を当接させて押勢するものである。すなわち、塗布部12’を容器本体の開口部内周縁に当接させて押勢することで、軸部11’先端の断面U字形状の被係止部18’先端の凸湾曲面18a’に間隙19’を持って位置している塗布部12’の平面である係止部17’は、該被係止部18’の表面に沿って側面の平面18b’方向へ移動し、当接しつつ摺動して最終的に被係止部18’の側面である平面18b’に至るまで任意の位置に係止する。このとき、軸部11’と塗布部12’の塗布基部14’とを一体に連結する脚部16’、16’は軸部11’の移動及び摺動に伴って弾性に抗して伸長しつつ折曲し、軸部11’と塗布部12’との間で引張力を発生するものである。
その結果、軸部11’と塗布部12’とは、軸部11’の被係止部18’の表面に沿って任意の位置で係止され、最終的に側面である平面18b’にまで至ると面接触で強固に係止され、塗布部12’は該軸部11’に対して直角に傾倒した状態を維持することができるものとなる。
従って、軸部11’に対して傾倒し、且つその状態で維持されている塗布部12’の塗布体13’によってマスカラを簡易且つ正確に塗布することができるものである。
【0033】
また、化粧料塗布体10’を容器本体内に収容するにあたっては次のようにするものである。
まず、軸部11’に対して傾倒し、その状態で維持されている塗布部12’を容器本体の開口部内周縁に対して当接させて被係止部18’の先端の凸湾曲面18a’方向へ押勢するものである。すなわち、軸部11’に対して傾倒している塗布部12’を容器本体の開口部内周縁に当接させて押勢すると、例えば軸部11’先端に一体成形されている被係止部18’の側面である平面18b’と面接触している塗布部12’の平面17a’の係止部17’は、該軸部11’の被係止部18’先端の凸湾曲面18a’方向へ当接しつつ摺動し、被係止部18’の先端である凸湾曲面18a’に間隙19’を持って位置するものとなる。このとき、軸部11’と塗布部12’の塗布基部14’とを一体に連結し、伸長しつつ折曲している脚部16’、16’は収縮しながら弾性により直線状になるものである。
その結果、塗布部12’は軸部11’の軸線方向と一致して直線状態を維持するものとなるので、化粧料塗布体10’を容器本体内に容易に収容することができるものである。
【実施例3】
【0034】
本願発明の実施例3である化粧料塗布体10”は、実施例1の化粧料塗布体10と同様に、キャップ7”内に一体に固持され、後端部にキャップ7”内に固持させる根元部を形成する軸部11”と、塗布部12”と、該軸部11”及び塗布部12”と一体成形される可動部15”とから構成される点で共通するものである。
【0035】
しかしながら、本願発明の実施例3である化粧料塗布体10”の可動部15”は、軸部11”と塗布基部14”とを変形自在となるように一体成形された断面略コ字形状の脚部16”によって連結されるとともに、軸部11”の先端には中央に切り欠き部18a”を有し、該脚部16”に当接してなる被係止部18”を一体成形し、また塗布部12”の後端には前記被係止部18”の中央に有する切り欠き部18a”幅よりも大の幅を有するように突出してなる係止部17”を一体成形するとともに、該係止部17”と被係止部18”との間で間隙19”を形成するものであって、係止部17”は被係止部18”方向へ移動して軸部11”の被係止部18”の切り欠き部18a”内において当接しつつ摺動し、且つ係止部17”と被係止部18”の切り欠き部18a”とが係止自在となる傾倒機構A”を形成する点で、軸部11と塗布部12をなす塗布基部14とを変形自在となるように一体成形された二本の脚部16、16によって連結するとともに、塗布部12をなす塗布基部14の後端の脚部16、16間には先端を凸湾曲面17aとする係止部17を一体成形し、軸部11の先端の脚部16、16間には該係止部17の凸湾曲面17aの形状に合致する複数の凹湾曲部18a、18aを軸部11の軸線方向に位置する平坦部18bを中心とした両側に配設する被係止部18を一体成形するとともに、該係止部17と被係止部18との間で間隙19を形成するものであって、該係止部17は移動し被係止部18と当接しつつ摺動し、且つ係止部17の凸湾曲面17aと被係止部18の複数の凹湾曲部18a、18aとが係止自在となる傾倒機構Aを形成する実施例1である化粧料塗布体10の可動部15とは相違するものである。
【0036】
本願発明の実施例3である化粧料塗布体10”は以上のような構成を具えるので、軸部11”、可動部15”とともに化粧料塗布体10”を構成する塗布部12”を軸部11”に対して傾倒させてマスカラを塗布するにあたっては次のようにするものである。
まず、容器本体と一体に螺合しているキャップの螺合を解くとともに引き上げると、化粧料塗布体10”の塗布部12”は、該軸部11”の軸線方向と一致して収容されているので、容器本体内から化粧料塗布体10”は円滑、且つ容易に取り出すことができる。
そして、容器本体内より取り出した化粧料塗布体10”において、該化粧料塗布体10”の塗布部12”を軸部11”に対して傾倒させるには、容器本体の開口部内周縁に塗布部12”を当接させて押勢するものである。すなわち、塗布部12”を容器本体の開口部内周縁に当接させて押勢することで、塗布部12”の後端に一体成形する係止部17”が、間隙19”を持って位置している軸部11”先端に一体成形される被係止部18”方向へ移動するとともに、被係止部18”の中央に有する切り欠き部18a”内で当接しつつ徐々に摺動して、任意の位置で係止する。このとき、軸部11”と塗布部12”とを一体に連結する脚部16”は被係止部18”後背により弾性に抗して伸長しつつ湾曲するものである。
その結果、軸部11”と塗布部12”とは任意の位置で係止され、塗布部12”は該軸部11”に対して傾倒した状態を維持することができるものとなる。
従って、軸部11”に対して傾倒し、且つその状態で維持されている塗布部12”の塗布体13”によってマスカラを簡易且つ正確に塗布することができるものである。
【0037】
また、化粧料塗布体10”を容器本体内に収容するにあたっては次のようにするものである。
まず、軸部11”に対して傾倒し、その状態で維持されている塗布部12”を容器本体の開口部内周縁に対して当接させて元の位置方向へ押勢するものである。すなわち、軸部11”に対して傾倒している塗布部12”を容器本体の開口部内周縁に当接させて押勢すると、軸部11”先端に形成されている被係止部18”の中央に有する切り欠き部18a”内において係止されている塗布部12”の係止部17”が徐々に切り欠き部18a”外へ離脱するように摺動し、該切り欠き部18a”外で被係止部18”との間で一定の間隙19”を持って位置するものとなる。このとき塗布部12”が傾倒することで伸長しつつ湾曲していた脚部16”は、軸部11”の軸線方向と一致するように収縮しつつ弾性により直線状になるものである。
その結果、塗布部12”は軸部11”の軸線方向と一致して直線状態を維持するものとなるので、化粧料塗布体10”を容器本体内に容易に収容することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明は、簡単な構造により塗布部を軸部に対して傾動させることができるので、化粧品のみならず様々なものを塗布する塗布体に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 化粧料容器
2 容器本体
3 マスカラ
4 開口部
5 シゴキ
6 雄ネジ部
7、7’、7” キャップ
8 開口部
9 雌ネジ部
10、10’ 化粧料塗布体
11、11’ 軸部
11a 根元部
12、12’、12” 塗布部
13、13’、13” 塗布体
14、14’、14” 塗布基部
15、15’、15” 可動部
16、16’、16” 脚部
17、17’、17” 係止部
17a 凸湾曲面
17a’ 平面
18、18’、18” 被係止部
18a 凹湾曲部
18b 平坦部
18a’ 凸湾曲面
18b’ 平面
18a” 切り欠き部
19 間隙
A、A’、A” 傾倒機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端に根元部を形成する軸部と、先端に塗布体を有する塗布部と、これら間に配置される可動部とから構成され、
該可動部において、軸部と塗布部とを、該軸部と塗布部との間で一体成形され、変形自在となる脚部によって連結するとともに、該軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に係止部を一体成形し、他方の端部に被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部とが係止自在となることで軸部に対して塗布部を傾倒自在としてなる傾倒機構を形成する
ことを特徴とする化粧料塗布体。
【請求項2】
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に先端を凸湾曲面とする係止部を一体成形し、他方の端部に該係止部の先端の形状に合致する複数の凹湾曲部を配設する被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ係止部の凸湾曲面と被係止部の凹湾曲部とが係止自在となる
ことを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布体。
【請求項3】
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に平面である係止部を一体成形し、他方の端部に断面略U字形状の被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部と当接しつつ摺動し、且つ平面である係止部と断面略U字形状の被係止部とが係止自在となる
ことを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布体。
【請求項4】
上記傾倒機構が、軸部と塗布部のうち、いずれか一方の端部に、後述の切り欠き部幅よりも大となる幅を有して突出する係止部を一体成形し、他方の端部に脚部内側に当接するとともにその中間に切り欠き部を形成してなる被係止部を一体成形するとともに該係止部と被係止部との間で間隙を形成するものであって、該係止部が移動するとともに、被係止部の切り欠き部内で係止部が当接しつつ摺動し、且つ係止部と被係止部の切り欠き部とが係止自在となる
ことを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85777(P2013−85777A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230226(P2011−230226)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)