説明

化粧料塗布具

【課題】微細な固形粉体状化粧料がブラシ部の先端面に略均一に移行して、且つ、該化粧料が該ブラシ部から飛散せず、そして、皮膚に塗布された該化粧料が肌に略均一に付着されると共に、該化粧料により凹凸が強調されないように塗布でき、使用するにつれ中心部が硬くならない化粧料塗布具を提供する。
【解決手段】柄部に毛素材が植毛されたブラシ部から成る微細な粉体を含む粉体状化粧料を塗布する化粧料塗布具であって、
該柄部の内面と該柄部内に設けた芯外面に形成された環状部に毛素材が植毛され、前記ブラシ部の毛素材が前記柄部から上方に延び、その先端が前記柄部に対して水平の形状の外周縁が形成されると共に、その外周縁からブラシ部の中央軸に向かって徐々に窪む形状に形成されていることを特徴とする化粧料塗布具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔に化粧料を塗布する化粧料塗布具に関する。詳しくは、微細な粉体を含む粉体状化粧料を塗布する化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固形粉体状化粧料は、平均粒径が0.1〜10μmの微細な粉体を油性成分等に混合したものが用いられてきており、化粧料塗布時の滑らかな伸び広がりや肌への付着力や保湿感の点では優れているが、肌への密着力が高すぎて粉が皮膚の凹凸に沿って付着するため、シワや毛穴等の好ましくない凹凸を強調するものとなっている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、前記微細な固形粉体状化粧料を顔に塗布する際に、従来の平均粒径が大きい固形粉体状化粧料用として、ブラシ部の先端面が凸状に形成された化粧用ブラシが多く用いられている。該化粧用ブラシを用いて、化粧容器から前記平均粒径の微細な固形粉体状化粧料を該ブラシに移行させて、化粧料が肌に略均一になるように該ブラシで塗布を行っている。しかし、化粧容器から微細な固形粉体状化粧料を該ブラシに移行させると、該ブラシの先端面が凸状なためにブラシの先端面に略均一に該化粧料が移行されず、凸部にだけ移行された状態で該ブラシを用いて顔に化粧料の塗布を行っている。そのために、最初に塗布した部位に大量に塗布されて他の部位が少なく塗布されるので、塗布量が顔の部位により異なることとなり、斑(濃淡)が生じる虞がある。
更に、該ブラシで化粧容器の化粧料を移行させる際、凸状の凸部は毛素材が密集しているので剛性が大きく、化粧料を移行させるために該ブラシを押圧した状態で往復動させると、該凸状の凸部に移行した化粧料がその押圧に対する反発力で飛散する傾向がある。
【0004】
他方、美容のプロが行なったような化粧に対する関心が高まり、該美容のプロの化粧の仕上がりを簡単に得たいというニーズが高まっているが、上記の化粧用ブラシを用いて化粧をすると、化粧料がメリハリなく且つ不均一に塗布されるので、本来ハイライトが出るべき部分とそうでない部分の差が少なく、平面的な仕上がりとなってしまい、また、厚くなったり、仕上がりが粉っぽくなるという問題がある。その問題を解消するために、平均粒径が50μm程度の板状粉体からなる化粧料を、先端が略球形状のブラシ毛からなる化粧用ブラシを用いて、そのブラシ毛のコシを使いながら少しずつ回転させつつ一方方向に動かして化粧料の塗布を行っている。(特許文献3参照)
【0005】
このため、柄部と該柄部に毛素材が植毛されたブラシ部から成る微細な粉体を含む粉体状化粧料を塗布する化粧料塗布具であって、前記ブラシ部の毛素材が前記柄部から上方に延び、その先端が前記柄部に対して水平の形状の外周縁が形成されると共に、その外周縁からブラシ部の中央軸に向かって徐々に窪む形状に形成されてなる化粧料塗布具があるが、その化粧料塗布具の場合には、ブラシ部の中心軸と外周部とで毛素材の密度が一定であるので、使用するうちにブラシ部の中心軸部分に粉体状化粧料が移行して溜まり、その溜まった部分が硬くなることがある。その結果良好な使用感が劣化する可能性があった。(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−265214号公報
【特許文献2】特開平10−295441号公報
【特許文献3】特開2006−69902号公報
【特許文献4】特開2008−220880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平均粒径の小さい固形粉体状化粧料を特許文献1で示す化粧用ブラシで塗布すると、上述したように、該ブラシの凸状の凸部にだけ前記固形粉体状化粧料が移行された状態で、該ブラシで肌に塗布を行うので、最初に塗布した部位に大量の化粧料が付着する。このように化粧料の塗布量が最初に塗布した部位と他の部位とにより異なる状態が発生する。
そこで凸部に付着した化粧料を手等で毛素材に移行した量を均してから顔に塗布を行っている。一方、微細でない化粧料と比べて、微細な化粧料を塗布すると、その平均粒径が微細なために小鼻の横から口の両端に伸びるシワ、目尻からこめかみにかけての放射状のシワ、又は、毛穴等に沿って略均一に付着する傾向があり、皮膚の凹凸が強調される虞がある。
そのために化粧料の塗布量を略均一にするために、そして、凹凸の強調を低減するために、ブラシで何回も往復動させながら上手く塗布する必要があり、化粧が非常に煩雑であり、時間がかかるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献3で示す先端が略球形状のブラシ毛からなる化粧用ブラシで塗布するには、そのブラシ毛のコシを使いながら少しずつ回転させつつ一方方向に動かして化粧するという、化粧が非常に煩雑であり時間がかかり、又、50μm程度の板状粉体からなる化粧料を塗布する場合には、皮膚の凹凸が強調される虞は少ないが、該化粧用ブラシで微細な固形粉体状化粧料を塗布する際には、皮膚の凹凸が強調されるという問題が発生する。
【0009】
さらに、化粧料塗布具の中心軸部分に粉体状化粧料が移行して溜まるために硬くなり、その結果使用感が損なわれる可能性がある。
【0010】
本発明の課題は、上記問題点を解決するものであって、微細な固形粉体状化粧料がブラシ部の先端面に略均一に移行して、且つ、該化粧料が該ブラシ部から飛散せず、さらに、ブラシ先端部の毛の密度が高くならず、その結果ブラシが硬くならないので、使用感を向上させることである。
そして、皮膚に塗布された該化粧料が肌に略均一に付着されると共に、該化粧料により凹凸が強調されないように塗布できる化粧料塗布具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.柄部と、柄部に毛素材が植毛されたブラシ部から成る微細な粉体を含む粉体状化粧料を塗布する化粧料塗布具であって、
該柄部の内面と該柄部内に設けた芯外面に形成された環状部に毛素材が植毛され、前記ブラシ部の毛素材が前記柄部から上方に延び、その先端が前記柄部に対して水平の形状の外周縁が形成されると共に、その外周縁からブラシ部の中央軸に向かって徐々に窪む形状に形成されていることを特徴とする化粧料塗布具。
2.前記窪む形状が、逆円錐状であることを特徴とする1記載の化粧料塗布具。
3.前記窪む形状が、曲面状であることを特徴とする1記載の化粧料塗布具。
4.前記窪む形状が、階段状であることを特徴とする1記載の化粧料塗布具。
5.前記窪む形状の凹率が0.05〜0.3であることを特徴とする1乃至4の何れか1に記載の化粧料塗布具。
6.柄部と該柄部に毛素材が植毛されたブラシ部とを備えた、化粧料を塗布する化粧料塗布具の製造方法であり、
該柄部の内面と該柄部内に設けた芯外面に形成された環状部に毛素材を植毛し、前記ブラシ部の先端面を、ブラシ部の外周縁からブラシ部の中央軸に向かい徐々に窪む形状に形成することを特徴とする化粧料塗布具の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料塗布具は、ブラシ部の外周縁からブラシ部の中心軸に向かって徐々に窪む形状に形成されていることにより、ブラシ先端面に化粧料を略均一に移行させるという移行機能と、化粧料が飛散するのを防止する防止機能と、肌に略均一に化粧料を塗布させて付着させるという付着機能と、そして、皮膚の凹凸が強調されるのを低減させるという低減機能とを備えている。
【0013】
本発明の化粧料塗布具は上記機能を備えていることにより、化粧料を手等で毛素材に移行した量を均す必要がなくなり、毛素材に化粧料を移行させるだけでブラシ先端面に化粧料が略均一に移行されるので、すぐに肌に塗布することができるという優れた効果を奏する。
そして、化粧容器から化粧料が飛散するのを防止できるので、貴重な化粧料を有効に利用できると共に清掃作業が不要になるという優れた効果を奏する。
又、ブラシ部に化粧料が略均一に移行されているため、ブラシを塗布する部位に当てて複数回往復動するだけで、肌に略均一に化粧料を塗布させることができると共に、皮膚の凹凸が強調されるのを低減することができ、シワや毛穴等の凹凸感が生じることを抑制でき、美容のプロのような化粧の仕上がりが簡単に得られるという優れた効果を奏する。
さらに、ブラシ部の中心軸部分の毛の密度が外周縁の毛の密度よりも低いことで、一端ブラシ部の中心軸部分に入り込んだ粉体状化粧料が、毛に付着したままにならず、ブラシ部から放出されやすいので、使用するにつれてブラシ部の中心軸部分が硬くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態を示した斜視図
【図2】第1実施形態のA−A’断面図
【図3A】第1実施形態の化粧料塗布具で化粧容器から化粧料をブラシ先端面21に移行させる模式図
【図3B】第1実施形態の化粧料塗布具でブラシ先端面21に移行された化粧料を肌に付着させる模式図
【図4】第2実施形態を示した斜視図
【図5】第2実施形態のA−A’断面図
【図6】第3実施形態を示した斜視図
【図7】第3実施形態のA−A’断面図
【図8】第4実施形態の側面図
【図9】第4実施形態のA−A’断面図
【図10】従来用いられていた化粧料塗布具のA−A’断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の化粧料塗布具について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る化粧料塗布具1の第1実施形態を示した斜視図である。図2は第1実施形態の化粧料塗布具1を図1のA−A’面で切断した断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態の化粧料塗布具1は、略円柱状の柄部10とブラシ部20とを備えた化粧料を塗布する化粧料塗布具である。前記柄部10の先端部は、該柄部10の中心軸23に対して垂直に切断された面を形成しており、その面に毛素材が植毛されブラシ部20を形成している。そして、該毛素材は、前記柄部10の先端部から逆円錐状に広がっている。
【0017】
本実施形態に係る化粧料塗布具1において、前記柄部10は、持ちやすく化粧料を塗布しやすい形状であれば、略円柱状には限定されず、適宜の形状及び大きさのものを選択して用いることができる。また、該柄部10を構成する材質についても金属製、合成樹脂製、木製等のものを適宜選択して、又はそれらを適宜組み合わせて用いることができる。
前記毛素材としては、用途に応じて獣毛、合成樹脂製等を用いることができ、又、前記毛素材の長さ等についても適宜調整することができる。
【0018】
前記ブラシ部20の先端面(柄部10に植設されている方の反対側の面)(以下、「ブラシ先端面21」という。)は、図2に示すようにブラシ部20の外周縁22からブラシ部20の中心軸23に向かい徐々に窪む形状である逆円錐状30に形成されている。前記中心軸23の深さがもっとも深くなる。前記ブラシ先端面21を上記の如くの形状に形成することで、該ブラシ先端面21に略均一に化粧料を移行させることができ、そして、該化粧料が飛散するのを防止できる。
【0019】
前記逆円錐状の凹率は、約0.05〜約0.3が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。
ここで、前記凹率は、毛が植設されている柄部10の先端部からブラシ部20の外周縁22までの高さを(A)、ブラシ部20の外周縁22から凹部の最深部までの高さを(B)とした場合、B/Aで表される値である。
前記凹率が、上記範囲内にあれば、ブラシ部先端面への化粧料の移行量を略均一にでき、且つ、該化粧料が飛散するのを防止できるし、肌への付着量を略均一にできる。
【0020】
図2に示すように、本発明の化粧料塗布具1には、該柄部10内の毛素材を植設・固定する際に、中心軸23を中心軸とする芯11が設けられており、該柄部10内の毛素材は該芯11の外面と該柄部10の内面との間に形成された環状部に挿入されて固定されることになり、芯11を中心とするドーナツ状を形成するように固定される。
その結果、該柄部10の上には、空間12が形成されることになる。この空間は、環状の空間に固定された毛素材が前記柄部10の先端部から逆円錐状に拡がる結果、内部においても同様に拡がるために形成された空間である。該芯11は硬質の材料からなることが必要であり、例えば木材、金属、樹脂等から形成される。
図2に示されるように、この芯11の端部は毛素材が固定された柄部10の端部よりも、ブラシ部先端面側に出た状態で固定されていてもよく、芯11の端部を柄部10の端部から出ないようにすることもできる。
この芯11の端部が柄部10の端部よりも出た状態とされる場合には、使用時において毛素材に寝る方向に力が加えられても毛素材が寝ることがないように支える役割を果たすことができる。
そして、これにより毛素材自体の腰が強くなった状態となり、また、毛素材は寝ることがなく使用感を向上させることができる。
芯11の端部を、柄部10の端部を基準にしてブラシ部先端面側に出す場合には、ブラシ部端部から出ている毛素材の長さ、毛素材の硬さを考慮して芯11の端部を出す程度を決めることができ、その出る程度は10mm以下とすることができ、好ましくは3〜10mm、より好ましくは4〜7mmである。出ていることが望ましい。
【0021】
図3Aは化粧容器から化粧料をブラシ先端面21に移行させる模式図である。
図3Bはブラシ先端面21に移行された化粧料を肌に付着させる模式図である。上記したブラシ部先端面への化粧料の移行量及び肌への付着量を略均一にできる理由、そして、化粧料が飛散しない理由を、この模式図を用いて詳細に説明する。
【0022】
図3Aに示すように、1回目に化粧料塗布具1で化粧料を肌に塗布するために、最初に化粧容器から化粧料をブラシ先端面21に移行させると、ブラシ先端面21の柄部10からの毛素材の長さが、外周縁22が長く中心軸23に行くに従い短くなっているので、毛先の曲がりが外周縁22から中心軸23に向かうに従い小さくなっている(左図参照)。そのために、毛素材の長さと曲がりの大きい外周縁22付近に大量の化粧料が移行するが、該化粧料塗布具1を複数回往復動させると中心軸23付近の毛素材の長さと曲がりの小さい毛素材に、毛素材の長さと曲がりの大きい外周縁22付近から小さい中心軸23付近に化粧料(図3A中○印で示す)が移行して、全体として化粧料の移行量を略均一にできる(中央及び右図参照)。
【0023】
次に、化粧料が飛散しない理由を説明する。図3Aの左図及び中央図に示すように、化粧容器から化粧料を移行させる際には、化粧料塗布具1の外周縁22が化粧料に当接して押圧される。該当接する外周縁22の毛素材は、従来の凸状ブラシと違って一カ所に集中しておらず分散された構造であるから剛性は小さい。そのために化粧料塗布具1で化粧料を押圧した状態で往復動させても、その押圧に対する反発力が小さいので前記外周縁22に移行した化粧料が飛散するのが防止される。
【0024】
一方、図3Bに示すように、ブラシ先端面21に移行された化粧料を肌に付着させるために、ブラシ先端面21を肌に軽く押圧するが、ブラシ先端面21の形状が逆円錐状30であるので、顔の曲面と近似したものとなっている。そのために、化粧料塗布具1を複数回往復動させると、顔の肌をブラシ先端面21が略均等の圧力で押圧し、ブラシ先端面21に略均一に移行された化粧料を肌に略均一に付着できると共に、前記ブラシ先端面21の往復動により、毛穴等の凹凸に対してその表面を略均一な表面にすることができるので、皮膚の凹凸感が抑制される。
【0025】
更に、従来の先端面が凸状に形成されたブラシで、化粧容器の皿部に平坦状に充填された化粧料を移行する場合、平坦状に充填された化粧料の中央部付近が凹状となり、前記皿部に残存している化粧料を移行するのが困難となるが、第1実施形態の化粧料塗布具1を用いれば、化粧料が上層から略均一に減少していくので常にブラシに化粧料を移行するのが容易に行える。
【0026】
なお、化粧料として微細な固形粉体状化粧料を対象に説明したが、本発明の化粧料塗布具は、固形粉体状化粧料に限定されるものではなく、微細粉末を水に溶かした溶液状の粉体状化粧料にも使用できる。溶液状の粉体状化粧料を化粧容器の平皿に注いだ状態で、前記化粧料塗布具で該化粧料を移行させるために、塗布具を複数回程度往復動させれば、固形粉体状化粧料と同様に毛の先端部分にのみ化粧料が移行し、全体として、ブラシ先端面の化粧料の移行量が略均一になる。
【0027】
そして、ブラシ先端面21の化粧料の移行量が略均一な状態で、顔に対してブラシ先端面21を顔の肌に接触させて往復動させると、ブラシ先端面21を構成している多数の毛素材が、肌に対してほぼ近似した押圧力で化粧料を塗布することになる。その結果、該ブラシ先端面21の形状である逆円錐状に沿った状態で化粧料が塗布されるので、固形粉体状化粧料と同様に、肌に略均一に化粧料を塗布させることができると共に、シワや毛穴等の凹凸に対して逆円錐状に化粧料が付着されるので、ブラシ先端面21の形状が逆円錐状である化粧料塗布具を用いることにより、化粧料により凹凸が強調されないように塗布することできる。
【0028】
さらに、本発明の化粧料塗布具は柄部10内に芯11を有するために、毛素材は芯11と柄部10内面との間のドーナツ状の箇所に植毛されるので、植毛された毛素材が逆円錐状に拡がる。その結果、ブラシ部20における中心軸あたりであっても、毛素材の密度が高くなることはない。その結果、ブラシ部20の中心軸あたりの毛素材表面から多くの粉体状化粧料が内部に入り、中心軸当たりが硬くなることがなく使用感が向上すると共に、さらに均一に化粧料を塗布することが可能となる。
【0029】
(第2実施形態)
図4は本発明に係る化粧料塗布具1の第2実施形態を示した斜視図である。
図5は第2実施形態の化粧料塗布具1を図4のA−A’面で切断した断面図である。
第2実施形態の化粧料塗布具1は、徐々に窪む形状が曲面状31である点のみ、前記第1実施形態の化粧料塗布具1と相違するが、その他の点においては、前記第1実施形態の化粧料塗布具1と同じ構成である。
徐々に窪む形状が曲面状31であれば、一層、毛の先端部分のみに化粧料が移行し、全体として、ブラシ先端面21の化粧料の移行量が略均一にできる。
【0030】
また、ブラシ先端面21が、曲面状であるため、化粧料を塗布する顔の部位の曲面状に近い形状になっている。そのために、該ブラシ先端面21を顔の肌に接触させて往復動させると、ブラシ先端面21を構成している多数の毛素材が、肌に対してほぼ近似した押圧力で化粧料を塗布することになる。その結果、該ブラシ先端面21の形状である曲面状に沿った状態で化粧料が塗布されるので、肌に略均一に化粧料を塗布させることができると共に、シワや毛穴等の凹凸に対して曲面状に化粧料が付着される。従って、ブラシ先端面21の形状が曲面状である化粧料塗布具を用いることにより、化粧料により凹凸が強調されないように塗布することできる。
【0031】
(第3実施形態)
図6は本発明に係る化粧料塗布具1の第3実施形態を示した斜視図である。
図7は第3実施形態の化粧料塗布具1を図6のA−A’面で切断した断面図である。
第3実施形態の化粧料塗布具1は、徐々に窪む形状が階段状32である点のみ、前記第1及び第2実施形態の化粧料塗布具1と相違するが、その他の点においては、前記第1及び第2実施形態の化粧料塗布具1と同じ構成である。
【0032】
第3実施形態の化粧料塗布具1は、ブラシ部の先端面21が、ブラシ部の外周縁22から中心軸23に向かい段差部が設けられて徐々に窪む形状(同心円状に窪む形状)に形成されているものである。設けられる段差部の個数については、適宜調整できるものである。
本第3実施形態の化粧料塗布具においても前記第1及び第2実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0033】
(第4実施形態)
図8は本発明に係る化粧料塗布具1の第4実施形態を示した側面図である。
図9は第4実施形態の化粧料塗布具1を図6のA−A面で切断した断面図である。
第4実施形態の化粧料塗布具1は、第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と同様に、ブラシ部の先端部が徐々に窪む形状を備える点において、第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と共通するが、第4実施形態の化粧料塗布具はその断面図である第9図をみて明らかなように、柄及びブラシ部の横断面は円形ではない形状を呈している。この形状により使用時において横断面の長手方向、あるいは横手方向に向けて移動させることにより塗布量や肌表面への押圧力を調整しつつ化粧料を塗布することができる。
【0034】
このように、第4実施形態の化粧料塗布具1は、その断面形状において前記第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と相違する。そして図示はしないが、第4実施形態の化粧料塗布具1においても第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と同様に、中心部に芯11が設けられ、その芯11の端部は毛素材が固定された柄部10の端部よりも、ブラシ部先端面側に出た状態で固定されていてもよく、芯11の端部を柄部10の端部から出ないようにすることもでき、特に芯11の端部を柄部の端部よりもブラシ部先端側に出た状態で固定したことによる効果は、上記の第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と共通する。また、芯11の大きさや柄に対する位置に関しても第1〜3実施形態の化粧料塗布具1と同じである。
さらに、第4実施形態の化粧料塗布具1において、化粧料塗布具の横断面は図9に示すような形に限定されず、例えば楕円形状、四角形状等の多角形状等でもよく、中央部に芯11を設けることが可能な形状であればよい。さらに芯11は円柱状でもよく、化粧料塗布具の使用感を損なわない程度の断面が円以外の柱状であってもよい。さらにこれらの場合には、本発明における環状部の外周は柄部内面の形状を反映し、内周は芯11の外周を反映した形状となる。
【0035】
これら第1〜4実施形態の化粧料塗布具1に、上記した柄部の内部に粉体状化粧料を内蔵させた構造のものを用いてもよい。この場合、芯11に粉末状化粧料を内蔵させたり、芯11に外部から粉末状化粧料の供給路を設けることができる。さらに芯のブラシ部の先端側に向けて、粉末状化粧料の吐出口、及び例えば柄部に設けた中空弾性体を押圧することによる空気圧の供給等によって、塗布時に任意の手段による粉末状化粧料を供給することができる。そのときに供給された粉末状化粧料は、ちょうどブラシ部20の毛の密度が低い中央部を通ってブラシ部先端に供給される。
第1〜4の実施形態のブラシ部20は、外周縁22からブラシ部20の中心軸23に向かい徐々に窪む形状に形成されているので、該窪み形状の中心軸23付近に吐出された化粧料は、窪み形状をした面に沿って化粧料が広がっていくので、化粧料の移行量がほぼ全面に略均一になり、そして、その状態で化粧料を顔に塗布すると、肌に略均一に化粧料を塗布させることができる。そして、皮膚の凹凸が強調されるのを低減することができるので、シワや毛穴等の凹凸感が生じることを抑制できる。
その場合、粉体状化粧料を芯11及び柄部10内に収納しておくことも可能である。
【0036】
以上のように、第1〜4実施形態の化粧料塗布具1は、ブラシ部20の外周縁22からブラシ部20の中心軸23に向かって徐々に窪む形状に形成されていることにより、ブラシ先端面21に化粧料を略均一に移行させるという移行機能と、肌に略均一に化粧料を塗布させて付着させるという付着機能と共に、皮膚の凹凸が強調されるのを低減させるという低減機能を備えていることが分かる。
【0037】
前述したように、近年化粧料の平均粒径が一層微細化される状況において、一層美しく見せたい、シワ等の凹凸を目立たないようにさせるため、化粧料用塗布具を用いて長時間をかけて化粧等を行っている。
本第1〜4実施形態の化粧料塗布具1は、簡単に肌に化粧料を略均一に塗布でき、シワ等の凹凸を目立たないようにすることができるので、非常に煩雑な化粧、長時間かかることなく美容のプロのような化粧の仕上がりが得られるものである。
【0038】
なお、化粧料塗布具の窪み形状は顔の形状や部位、即ち、顔の肌の曲面の大小に応じて選択すればよい。例えば、顔の表面の凸部の形状に合うような窪み形状を選択すると効果が一層顕著なものとなる。さらに、化粧料塗布具の窪む形状は、上記した3種類の形状に限定されるものではなく、本発明の化粧料塗布具の技術思想に合致したものが含まれることは明らかである。
【0039】
一方、従来より、柄部の内部に粉体状化粧料が内蔵されている化粧料塗布具が知られている。この化粧料塗布具の柄部の中心部分に粉体状化粧料の吐出口があり、該吐出口から吐出された粉体状化粧料は、先端面が凸状に形成されたブラシ部の中心部分を通り先端面に達する。そのためにブラシ部の先端面の中心軸付近に多量の化粧料が移行するが、周縁部に化粧料の移行がほとんどなく、上記した特許文献2で示す化粧用ブラシと同様に、ブラシの先端面に略均一に該化粧料が移行されず、凸状な凸部にだけ移行された状態で該ブラシを用いて顔に化粧料を塗布している。
【0040】
次に、本実施形態に係る化粧料塗布具の製造方法について説明する。
本実施形態に係る化粧料塗布具は、ブラシ部の先端面を、ブラシ部の外周縁から中心軸に向かい徐々に窪む形状に形成することで製造する。
【0041】
具体的な製造方法について説明するが、下記に示す製造方法は、一例であり、該製造方法に限定されるものではない。
まず、毛素材を植設する柄部断面形状に合わせるように束ね揃える。そのとき、毛素材の固定される側には芯を巻き込むようにして束ねても良い。そして束ね揃えた毛素材の一端側に凸状物を押し当て、該一端側に窪む形状を形成させる。
また、予め柄の中に芯が固定されている場合には、芯に当接する、芯と断面形状が同じ中子を巻き込むようにして毛素材を束ねる。その後束ねた毛素材を該中子と共に柄内部に入れるように芯に当接する。その状態で柄内面と芯外面の間に形成された環状部に毛素材のみを挿入して固定し、該中子は固定する段階または固定後に抜き取る。
このようにして、前記束ね揃えた毛素材の他端側を前記柄部の植設に接合することで製造できる。
【0042】
前記凸状物としては、金属製、樹脂製のものを挙げることができ、形成させる窪む形状に合った凸状物を適宜選択して用いることができる。
前記接合させる手段としては、例えば、接着剤により接合させる方法或いは中空筒状の柄部の一端側に、前記一端側に窪む形状を形成させた毛素材の他端側を押し込み、押し込んだ部分の柄部をかしめることで接合させる方法等を挙げることができる。
【0043】
上記で説明したように、本発明の化粧料塗布具は、ブラシ部の先端面が、ブラシ部の外周縁から略中心部に向かい徐々に窪む形状に形成されているため、化粧料をブラシ部の先端面に略均一に付着させることができる。
また、本発明の化粧料塗布具においては、ブラシ部には、化粧料が略均一に付着しているため、皮膚等の塗布部へほぼ均一に化粧料を塗布させることができ、斑(濃淡)が生じることを抑制できる。
更に、本発明の化粧料塗布具においては、化粧容器内の固形状化粧料の減り方が略均一となり、特定の箇所のみが極端に減少することが防止できる。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
毛素材が植設されている柄部先端部からブラシ部最先端までの高さ25mm、ブラシ部最先端におけるブラシの直径35mm、芯の直径10mm、柄部先端部からブラシ先端面方向への芯の端部までの高さ5mm、毛素材が植設されている柄部先端部における円状のブラシの直径20mm及びブラシ部最先端から凹部の最深部までの高さ3mmに形成した窪む形状(逆円錐状)の化粧料塗布具を用いて、化粧料付着試験を行った。
上記化粧料塗布具を用いて、化粧容器に充填された平面状の化粧料面を往復で2回撫でて化粧料を移行させ、その後に顔の複数の部位に対して、往復2回撫でて部位を移動させ顔全体に化粧料を塗布して肌に付着させた。
3人の目視で、ブラシ先端面及びブラシ内部に略均一に化粧料が付着していることが確認された。そして、顔の化粧料の塗布量、凹凸の強調の状態を確認した結果、肌に対して略均一に付着しており、凹凸の強調される部位を見つけられなかった。
さらに、使用を継続してもブラシ部最先端の中央部の毛の密度が高くならず、また特に化粧料が中心部に移行しないので、ブラシ部最先端が硬くなることがない。
【0045】
(比較例1)
毛素材が植設されている柄部先端部からブラシ部最先端までの高さ35mm、ブラシ部最先端におけるブラシの直径35mm、毛が植設されている柄部先端部におけるブラシの直径20mm及びブラシ部先端面が略凸状な化粧料塗布具を用いて、化粧料付着試験を行った。比較例においては芯を設けなかった。
試験方法は、上記実施例1と同様に行い、3人の目視で、ブラシ先端面の略凸状部分に大量の化粧料が移行しており、ブラシ内部では、ブラシの略凸状部分の移行量が多く、外周縁にいくに従い化粧料の移行量が少なかったことが確認された。そして、顔の化粧料の塗布量、凹凸の強調の状態を確認した結果、肌に対して不均一に付着して斑が発生しており、凹凸の強調される部位が複数見つけられた。
【0046】
(比較例2)
芯を設けなかった他は実施例1と同様にして化粧料塗布具を作成し、同様の試験を行った。
その結果、試験当初は比較例1によるような、肌に対して不均一に付着した斑の発生や、凹凸の強調される複数の部位の発生はなかったが、使用につれてブラシの先端部に化粧料が移行することによるブラシの硬化が生じて、使用感が良好ではなくなると共に、均一な塗布が困難であるという障害が発生した。
【符号の説明】
【0047】
1 化粧料塗布具
10 柄部
11 芯
12 空間
20 ブラシ部
21 ブラシ先端面
22 外周縁
23 中心軸
30 逆円錐状
31 曲面状
32 階段状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄部と、柄部に毛素材が植毛されたブラシ部から成る微細な粉体を含む粉体状化粧料を塗布する化粧料塗布具であって、
該柄部の内面と該柄部内に設けた芯外面に形成された環状部に毛素材が植毛され、前記ブラシ部の毛素材が前記柄部から上方に延び、その先端が前記柄部に対して水平の形状の外周縁が形成されると共に、その外周縁からブラシ部の中央軸に向かって徐々に窪む形状に形成されていることを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
前記窪む形状が、逆円錐状であることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
前記窪む形状が、曲面状であることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記窪む形状が、階段状であることを特徴とする請求項1記載の化粧料塗布具。
【請求項5】
前記窪む形状の凹率が0.05〜0.3であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載の化粧料塗布具。
【請求項6】
柄部と該柄部に毛素材が植毛されたブラシ部とを備えた、化粧料を塗布する化粧料塗布具の製造方法であり、
該柄部の内面と該柄部内に設けた芯外面に形成された環状部に毛素材を植毛し、前記ブラシ部の先端面を、ブラシ部の外周縁からブラシ部の中央軸に向かい徐々に窪む形状に形成することを特徴とする化粧料塗布具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85817(P2013−85817A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230727(P2011−230727)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(591254958)株式会社タイキ (35)
【Fターム(参考)】