説明

化粧料塗布膜内部の画像の取得方法

【課題】非均質な試料である化粧料塗布膜について、所望の深度部分の画像を取得する方法を提供する。
【解決手段】次の工程(A)〜(D)(A)走査型顕微鏡の加速電圧を変え同一化粧部分の複数の画像データを取得する工程、(B)高加速電圧での画像データと、これに隣り合い、これより低い加速電圧での画像データから、複数の差分画像データ候補を得る工程、(C)上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補を二値化処理し、これらから各々0の集合P(ρ)を得る工程、(D)集合P(ρ)の領域について、複数のP(ρ)の乖離度を求める工程、(E)複数のP(ρ)の乖離度を比較し、最小値となるρを選択する工程、(F)上記(E)のρを前記式(1)に代入して得た差分画像データを画像化する工程を含む化粧料塗布膜内部の画像の取得方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料塗布膜内部の画像の取得方法に関し、更に詳細には、皮膚上に塗布した化粧料塗布膜の、所望の深度の内部画像を、走査型電子顕微鏡を使用して取得する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧した後の化粧料塗布膜が、どのような状態になっているかを知ることは、化粧品等の開発や、適切な化粧品の選択にとって極めて重要なことである。皮膚表面の性質、構造は、古くから数多く研究され、その成果が報告されているが、皮膚に塗布された化粧料塗布膜の構造等については、あまりその報告がなされていない。
【0003】
従来、化粧料塗布膜の状態を知る方法としては、化粧料を塗布した皮膚上に、粘着性と柔軟性を有し、皮膜を形成できるレプリカ剤を塗布し、皮膜形成後これを剥離して、皮膚の形状と付着した化粧料を観察する方法が知られている(特許文献1)。そしてこの文献では、電子顕微鏡の加速電圧を変化させることにより、肌に一番近い部分の情報から遠い部分の情報までが得られることが記載されている。しかしながら、この文献では、特定の深度における化粧料塗布膜内部の画像の取得については何も言及していない。
【0004】
一方、走査型電子顕微鏡の加速電圧を変えることにより、複数の画像を得、更にこれらの差分から特定の深度の画像を得ることにより試料の構造を非破壊で調べることが知られている(特許文献2)。しかしながら、この文献の方法では、画像の明暗の相違を、予め与えられたテーブルによる輝度調整によって行っており、実質的に均質素材にのみ適用可能な方法であった。従って、例えば、ファンデーション等の化粧膜などのような、種々の素材が存在する可能性のある非均質な試料では、きれいで明暗が均質な画像を得ることは困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−355235号公報
【特許文献2】特開平6−103950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明は、非均質な試料である化粧料塗布膜について、所望の深度部分の画像を取得する方法の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、所定の工程により画像を処理することで、非均一な素材であってもきれいな所望深度部分の画像を取得しうることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、 次の工程(A)〜(D)
(A)走査型顕微鏡を使用し、加速電圧を変えながら同一化粧部分の複数の画像データ
を取得する工程、
(B)高加速電圧での画像データ、fH(x,y)と、これに隣り合い、これより低い
加速電圧での画像データfL(x,y)から、次の式(1)、
(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0から2の数である)
により複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(C)上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補を二値化処理し、これらから各
々0の集合P(ρ)を得る工程、
(D)集合P(ρ)の領域について、次の式(2)
【数3】

により、複数のP(ρ)の乖離度を求める工程、
(E)複数のP(ρ)の乖離度を比較し、これが最も小さい値となるρを選択する工
程、
(F)上記(E)で求められたρを前記式(1)に代入し、差分画像データf(x,
y)を求め、画像化する工程
を含む化粧料塗布膜内部の画像の取得方法である。
【0009】
また本発明は、次の工程(A)〜(I)
(A)走査型顕微鏡を使用し、加速電圧を変えながら同一化粧部分の複数の画像データ
を取得する工程、
(B)高加速電圧での画像データ、fH(x,y)と、これに隣り合い、これより低い
加速電圧での画像データfL(x,y)から、所定間隔でρを選択し、次の式(1)

(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0から2の数である)
により複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(C)上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補を二値化処理し、これらから各
々0の集合P(ρ)を得る工程、
(D)集合P(ρ)の領域について、次の式(2)
【数4】

により、複数のP(ρ)の乖離度を求める工程、
(E)複数のP(ρ)の乖離度を比較し、これが最も小さい値となるρを選択する工
程、
(G)上記(E)で求められたρの前後の数値範囲内において、工程(B)でρを選択
したより狭い間隔で、再度ρを選択し、これを式(1)に代入することにより、再度
複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(H)工程(C)ないし(E)を繰り返す工程、
(I)上記(H)で求められたρを前記式(1)に代入し、差分画像データf(x,
y)を求め、画像化する工程
を含む化粧料塗布膜内部の画像の取得方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最大で5μm程度までの所望の深度部分の化粧料塗布膜の画像を得ることができ、皮膚に塗布した化粧料構成成分の分布状態を簡単に知ることができる。
【0011】
従って本発明方法は、化粧品の評価に役立つ画像情報を簡単に得ることができるものであり、新しい化粧料や配合成分の開発に有利に使用することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明方法を実施するには、まず、走査型顕微鏡を使用し、加速電圧を変えながら同一化粧部分の複数の画像データを取得することが必要である(工程(A))。
【0013】
試料として用いられる化粧部分としては、例えば、前出特許文献1の開示に従い、所望の化粧部分からレプリカ剤を用いて採取した、皮膚の形状と、化粧料塗布膜が付着した試料を用いることが好ましい。
また、取得する画像データの数としては、2以上であれば良く、好ましくは、4ないし5であるであるが、それ以上でもかまわない。
【0014】
次に、上記のようにして得られた画像データのうち、お互いにとなり加速電圧で取得した画像データの相対的に高加速電圧で得た画像データf(x,y)と、これより相対的に低い加速電圧での画像データf(x,y)を取り出し、次の式(1)、
(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0から2の数である)
により複数の差分画像データf(x,y)候補を得る(工程(B))。
【0015】
この複数の差分画像データf(x,y)候補は、上記式(1)において、0〜2の範囲で縮尺係数ρを複数個選択し、これ代入することによりこれに対応したものとして得られる。
【0016】
このρは、適当な区切り、例えば、0.01刻みで選択すれば良く、これに対応する数の差分画像データ候補を得ることができる。
【0017】
なお、このρは高加速電圧画像データと、低加速電圧画像データの輝度の差に該当するものであり、これらの輝度の差が大きくなれば、ρの値も大きくなる性質のものである。このρは一般的には、0.7から1.3の範囲に入るので、簡略化する場合は、この範囲で選択しても良い。
【0018】
次いで、上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補は、二値化処理して、1の集合(P)と、0の集合(P)に分け、このうち各ρに応じた0の集合P(ρ)を得る(工程(C))。
【0019】
この二値化処理は、判別分析によって行うことができる。この二値化は、例えば、大津らの、「判別および最小2乗基準に基づく自動しきい値選定法」、電子通信学会論文誌、Vol.J63−D, No.4, pp.349−356(1980)等を参考にして実施することができる。
【0020】
更に、集合P(ρ)の領域について、次の式(2)
【数5】

により、複数のP(ρ)の乖離度を求める(工程(D))。
【0021】
この工程は、高加速電圧画像データと、低加速電圧画像データの共通部分と解されるP(ρ)の一致度を調べるための情報を得るための工程である。
【0022】
上記工程(D)により、多数の差分画像データ候補について、P(ρ)の乖離度が得られるが、これを全て比較し、これが最も小さい値となるρを選択し、これを式(1)に代入し、差分画像データf(x,y)を求め、画像化する(工程(E)および工程(F))。
【0023】
この選択されたρは、高加速電圧画像データと、低加速電圧画像データの共通部分の差を最少とするものであるから、これを代入することにより得られる差分画像データは、高加速電圧画像により初めて加えられた画像情報(すなわち、所定加速電圧の条件で電子が初めて到達する部分の画像)を意味するのであるから、所望の深度の化粧料塗布膜情報を得ることが可能となるのである。
【0024】
このようにすることにより、薄片等の試料を作成することなく、最大5μm程度までの深さの所望の深度部分の化粧料塗布膜の画像のみを得ることができる。
【0025】
なお、本発明をより簡略化するためには、最初にρを細かく区切ることなく大ざっぱに区切って(例えば、0.1刻み)、工程(A)から(E)までを実施し、次いで、この工程(E)で求められた乖離度が最少となるρの前後の数値範囲内において、工程(B)でρを選択したより狭い間隔(例えば、0.01刻み)で、再度ρを選択する方法を採用しても良い(工程(G))。
【0026】
そして、この工程(G)で選択されたρを式(1)に代入し、再度工程(C)ないし(E)を繰り返すことにより、より乖離度が小さくなるρを選択することができる(工程(H))。
【0027】
この方法により得られたρは、最初に得られたρよりも、本当に乖離度を最少とする値に近いため、より好ましい差分画像データを得ることができる。また、この方法は、まず、大ざっぱに乖離度が最少となるρの数値を把握した上で、その両隣のρの範囲という狭い範囲でより細かく区切って再度、乖離度が最少となるρを見出すというものであるため、より少ない演算回数で、乖離度が最少となるρを見出すことができるという特徴も有するものである。
【0028】
なお、本発明の各工程をそのまま実施する演算ソフトウエアは、現時点では市販されていないが、各工程でのアルゴリズムに従い、適当なプログラミング言語(例えば、C++等)を利用することにより、容易に作製することができるので、これを利用すればよい。
【実施例】
【0029】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0030】
実 施 例 1
(1)試料の作成
レプリカ剤を用いて、化粧後の皮膚状態の試料を作成した。すなわち、下記油中水系日焼け止め化粧料を人の腕部に塗布した後、その上から下記組成のレプリカ剤を、第1剤と第2剤が1:1となるように混合後、できるだけ化粧料塗布膜に影響を及ぼさないように塗布した。
【0031】
塗布部の上面に支持体(板状)を載せた後、30分ほど静置し、レプリカ剤が硬化、皮膜形成した後に、その支持体をもって皮膜の端の部分を少し剥がし、その後できるだけ
塗布面が変形しないように皮膜を剥がし、転写物を得た。
【0032】
<油中水系日焼け止め化粧料>
処 方:
(1)アクリルシリコーン系グラフト共重合体(注1) 2.0
(2)デカメチルシクロペンタポリシロキサン 30.0
(3)パラメトキシ桂皮酸オクチル 5.0
(4)ジカプリン酸プロピレングリコール 残 量
(5)酸化亜鉛(注2) 20.0
(6)ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン(注3) 2.0
(7)精製水 20.0
(8)1,3−ブチレングリコール 3.0
(9)エタノール 5.0
(10)食塩 0.5
(注1)KP−540(信越化学工業社製)
(注2)MZ−500(テイカ(株)社製)
(注3)KF−6017(信越化学工業社製)
【0033】
製 法:
A:成分(1)〜(6)を三本ローラーにて混錬する。
B:成分(7)〜(10)を混合溶解する。
C:AにBを攪拌しながら注入して乳化し、脱泡して油中水系の日焼け止め化粧料を
得た。
【0034】
< レプリカ剤 >
第1剤;4,4'−イソプロピリデンジフェニルジグリシジルエーテル
第2剤;30%以下のN−アミノエチルピペラジンを含有するノニルフェノール
【0035】
(2)反射電子画像の取得
上記(1)で得られた転写物(剥がした後の皮膜)は、その後3時間程度硬化が完全に完了するまで放置した。完全に硬化した後、およそ5mm四方に切り、観察試料とした。この観察試料を、走査型電子顕微鏡(JSM−6700F:日本電子(株)製)を用いて4つの加速電圧(5kV、10kV、15kV、20kV)にて観察を行い、同一視野における4つの反射電子像を取得した。これらの画像を、図1の上部側に示す。
【0036】
(3)差分画像データの取得
(a)上記(2)で得られた画像データのうち、5kVで得たものについて、判別分析法(大津、「判別および最小2乗基準に基づく自動しきい値選定法」、電子通信学会論文誌、Vol.J63−D、No.4、pp.349−356(1980)参照)による二値化を施し、5kVでの二値化画像Aを得た。この画像を、図1の下部側右端に示す。
【0037】
(b)一方、10kVで得た画像データの輝度[f(x,y)]と5kVで得た画像データの輝度[f(x,y)]について、ρを0から0.01刻みで2まで変化させて、下記式
(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0ないし2の数)
に代入し、各ρについての差分画像データf(x,y)候補を得た。
【0038】
(c)上記で得た各差分画像データf(x,y)候補を、上記(a)と同様にして二値化し、このうち0のデータ部分の集合(P)について、下記式に従って前記(a)で得た画像Aの0のデータ部分に対する乖離度を求めた。
【0039】
【数6】

【0040】
(d)得られた乖離度のうち、最少なものを選び、そのときのρの値を、再度式(1)に代入し、10kVの条件で電子が到達する部分の画像Bを得た。
【0041】
(e)15kVで得た画像データと、10kVで得た画像データを用い、上記(b)〜(d)工程を繰り返すことにより、15kVの条件で電子が到達する部分の画像Cを、また、20kVで得た画像データと、15kVで得た画像データを用い、上記(b)〜(d)工程を繰り返すことにより、20kVの条件で電子が到達する部分の画像Dをそれぞれ得た。画像BないしDも図1の下部側に示す。
【0042】
実 施 例 2
化粧料塗布膜の残存状態の確認:
実施例1で用いたものと同組成の日焼け止めファンデーションを皮膚上に塗布した後、下記処方のクレンジング料及び洗顔料による除去試験を行った。
【0043】
クレンジング料の使用方法は、これを乾いた手のひらに、2mL程度をとり、指先でメイクアップ料となじませ、その後ぬるま湯で洗い流す方法によった。また、洗顔料の使用方法は、手のひらと顔をぬるま湯でぬらしてから2cmくらいの量をとり、充分泡立てて、両手で顔を包み込むようにして洗い、その後ぬるま湯で洗い流す方法によった。
【0044】
除去試験は、それぞれの場合について、洗浄後の化粧料塗布膜の残存状況を、実施例1のレプリカ剤及び評価方法を用いて観察し、比較・評価した。
【0045】
この結果、クレンジング料を用いて洗浄した場合、粉体は観察されなかったのに対し、洗顔料で洗浄した場合は粉体が皮溝に残っている状態が観察され、どの深さにどのような粉体が残存することがわかった。本発明の方法はメイクアップ除去料がどの程度の深さまで除去可能であるかの評価及び、除去されにくい物質を確認することに関しても有効であることが確認できた。
【0046】
クレンジング料(クレンジングオイル):
( 成 分 ) (%)
1.テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 9
2.グリセリン 0.2
3.ジイソステアリン酸トリグリセリル 0.5
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
5.無水ケイ酸(注4) 0.5
6.流動パラフィン 残 量
7.d1―α―トコフェロール 0.1
8.フェノキシエタノール 0.8
注4:AEROSIL R974(日本アエロジル社製)
【0047】
( 製造方法 )
A:成分(1)〜(8)を均一に混合する。
B:Aをポンプ付き容器に充填してクレンジング料を得た。
【0048】
洗 顔 料(ゲル状):
( 成 分 ) (%)
1.N―ヤシ油脂肪酸アシルーL−グルタミン酸
トリエタノールアミン 7
2.N―ヤシ油脂肪酸アシルーN−カルボキシメトキシエチレン−
N−カルボキシメチルエチレンジアミンニナトリウム 10
3.ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム 5
4.ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.グリセリン 10
7.エデト酸ニナトリウム 0.2
8.ポリビニルピロリドン 2
9.煙霧状無水ケイ酸(注5) 10
10.精製水 残 量
注5:AEROSIL 200(日本アエロジル社製)
【0049】
( 製造方法 )
A:成分1〜6を70℃に加熱して、均一に混合溶解する。
B:Aに成分7〜10を混合して冷却する。
C:Bをチューブ容器に充填し洗顔料を得た。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、走査型電子顕微鏡により得られる画像情報から、所定の電圧強度で電子が到達する部分の情報のみを取り出すことができるので、例えば、所望の深度部分の化粧料塗布膜の画像のみを得ることができる。
【0051】
従って、皮膚に塗布した化粧料構成成分の分布状態を簡単に知ることができ、新しい化粧料や配合成分の開発に有利に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施例1における原電子顕微鏡画像およびこれから得られた画像と、その取得過程を示した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(A)〜(D)
(A)走査型顕微鏡を使用し、加速電圧を変えながら同一化粧部分の複数の画像データ
を取得する工程、
(B)高加速電圧での画像データ、fH(x,y)と、これに隣り合い、これより低い
加速電圧での画像データfL(x,y)から、次の式(1)、
(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0から2の数である)
により複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(C)上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補を二値化処理し、これらから各
々0の集合P(ρ)を得る工程、
(D)集合P(ρ)の領域について、次の式(2)

【数1】

により、複数のP(ρ)の乖離度を求める工程、
(E)複数のP(ρ)の乖離度を比較し、これが最も小さい値となるρを選択する
工程、
(F)上記(E)で求められたρを前記式(1)に代入し、差分画像データf(x,
y)を求め、画像化する工程
を含む化粧料塗布膜内部の画像の取得方法。
【請求項2】
次の工程(A)〜(I)
(A)走査型顕微鏡を使用し、加速電圧を変えながら同一化粧部分の複数の画像データ
を取得する工程、
(B)高加速電圧での画像データ、fH(x,y)と、これに隣り合い、これより低い
加速電圧での画像データfL(x,y)から、所定間隔でρを選択し、次の式(1)

(x,y)=f(x,y)−ρf(x,y) … … (1)
(ここで、ρは0から2の数である)
により複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(C)上記工程(B)で得られた各差分画像データ候補を二値化処理し、これらから各
々0の集合P(ρ)を得る工程、
(D)集合P(ρ)の領域について、次の式(2)
【数2】

により、複数のP(ρ)の乖離度を求める工程、
(E)複数のP(ρ)の乖離度を比較し、これが最も小さい値となるρを選択する工
程、
(G)上記(E)で求められたρの前後の数値範囲内において、工程(B)でρを選択
したより狭い間隔で、再度ρを選択し、これを式(1)に代入することにより、再度
複数の差分画像データf(x,y)候補を得る工程、
(H)工程(C)ないし(E)を繰り返す工程、
(I)上記(H)で求められたρを前記式(1)に代入し、差分画像データf(x,
y)を求め、画像化する工程
を含む化粧料塗布膜内部の画像の取得方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−263932(P2007−263932A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93360(P2006−93360)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】