説明

化粧料容器

【課題】 棒状化粧料繰出装置において、残り少なく一定量となったとき、棒状化粧料の保持筒、すなわち摺動ホルダーから中皿を取外し、取外した複数の異なる棒状化粧料を収納した中皿を、塗布具とともに収納するようにした化粧料容器を提供すること。
【解決手段】 化粧料容器として、棒状化粧料繰出容器の摺動ホルダーから取出した化粧料が残り少なくなった中皿を、塗布具とともに収納し、中皿が、種類の異なる化粧料を収納した複数の中皿であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料容器、とくに残り少なくなった棒状化粧料の中皿を塗布具とともに収納した化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
口紅等の棒状化粧料の繰出し容器において、棒状化粧料が少なくなったときに、化粧料を保持する中皿(ホルダ)を保持筒(受皿)から抜き取り、新しい化粧料を保持した中皿(ホルダ)を保持筒(受皿)に付け替えるようにした繰出し容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、異なる種類の口紅を保持した複数個の保持筒と小型の繰出し容器、および塗布具とを収納した携帯容器も知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】実開昭61−188516号公報
【特許文献2】実開昭58−54219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
口紅等の使用にあたって、一般には、棒状化粧料を直接塗布したり、塗布具を使って塗布しており、残り少なくなったときには、塗布具を使って、最後まで使用するようにしている。
しかしながら、特許文献1記載の繰出し容器では、口紅が残り少なくなった場合に、新しい口紅が入った中皿と付け替えており、古い中皿はそのまま廃棄するので、中皿と残った口紅等の化粧料が無駄になるという問題があった。
【0004】
特許文献2記載の容器は、異なる種類の口紅を少量ずつ入れた中皿を繰出し容器に装着して、残り少なくなるまで使用できるが、中皿を繰出容器に取着しなければならず、繰出容器を化粧料容器に収納するので、容器が大型になるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情を考え、棒状化粧料繰出装置において、残り少なく一定量となったとき、棒状化粧料の保持筒、すなわち摺動ホルダーから中皿を取外し、取外した複数の異なる棒状化粧料を収納した中皿を、塗布具とともに収納するようにした化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、化粧料容器として、棒状化粧料繰出容器の摺動ホルダーから取出した化粧料が残り少なくなった中皿を、塗布具とともに収納したことを特徴とする構成を採用し、中皿の実施例として、中皿が、種類の異なる化粧料を収納した複数の中皿であることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
化粧料容器の実施例として、ケース本体と、ケース本体に装着された中皿支持枠と、蓋体とからなる化粧料容器であって、中皿支持枠は、支持板に立設され、塗布具支持片と支持板から垂設され、内周に山部と谷部とからなる係合カムを設けた中皿保持筒を具備しており、中皿支持枠に取着される中皿は、前記山部と谷部に対応する係合カムを設けた側周壁と、側周壁下端から垂設され、複数のスリットを穿設し、縮径自在な係合筒とを具備していることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
化粧料の塗布方法として、化粧料の残り少なくなった中皿を棒状化粧料繰出容器から取出し、塗布具とともに化粧料容器に収納し、塗布具を用いて化粧料を塗布するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
棒状化粧料繰出容器の摺動ホルダーから化粧料が残り少なくなった中皿を取出し、中皿を塗布具とともに化粧料容器の中皿保持筒に装着、収納し、塗布具によって口唇等所望の個所に塗布するようにしたので、棒状化粧料を最後まで無駄なく使いきることができるようになった。
また、種類の異なる化粧料を入れた複数の中皿を収納できるようにしたから、所望する化粧料を選択できるようになった。
そして、化粧料容器には、塗布具とともに、少量の化粧料を入れた中皿が複数個収納されているだけであるから、容器を小型にすることができ、携帯に便利となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の化粧料容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは化粧料容器で、ケース本体Bと蓋体C、および中皿支持枠Dから構成されている。
Eは残り少なくなった口紅、リップクリーム、その他の棒状化粧料を保持する中皿、Fは塗布具である。
【0011】
図2に示すように、ケース本体Bは、ほぼ六角形の側周壁1と底壁2とからなり、側周壁1の所定の位置には、蝶番用の切欠部3が設けられ、切欠部3の両側面に軸穴3a、3bが穿設されている。
側周壁1の反対側の位置には、フック4が立設されており、両側の角部には、つまみ5が設けられている。
【0012】
図3に示すように、蓋体Cは、ケース本体Bと同形の頂壁6と側周壁7とからなり、頂壁6の裏面には、鏡8が取着されている。
側周壁7の所定の位置には、軸穴9aを穿孔した蝶番用の連結片9が垂設されており、その反対側の側周壁7裏面には、フック4と係合する凹部10が設けられ、側周壁7表側下端には、つまみ11が突設されている。
【0013】
図4に示すように、中皿支持枠Dは、ケース本体Bの側周壁1頂面に支持される角形の支持板12と、支持板12の所定の位置に垂設された中皿保持筒13、および中央部に立設された一対の塗布具保持片14とを具えている。
支持板12には、ケース本体Bの切欠部3に対応して切欠き15が設けられ、反対側には、フック4に対応して切欠凹部16が設けられており、中央部には、塗布具保持片14の間に凹部17が凹設されている。
【0014】
中皿保持筒13には、上端部内周に段部18が設けられ、山部19aと谷部19bとからなる係合カム20が形成されている。
【0015】
図1に示すように、化粧料容器Aの組立は、ケース本体Bの側周壁1の天面に中皿支持枠Dが載置されて溶着、接着等によって装着され、蓋体Cの蝶番用の連結片9が切欠部3に合わされ、それぞれの軸穴3a、9bに蝶番ピン21を差込むことによって蝶番が形成されて、蓋体Bが開閉されるようになっている。
次いで、残り少ない種類の異なる化粧料を入れた中皿Eと塗布具Fが収納され、化粧料容器が閉じられ、持ち運びされる。
【0016】
前記実施例では、化粧料容器Aの横断面形状を六角形としたが、四角形、または楕円形、円形としてもよく、複数の中皿保持筒13と塗布具保持片14を配設できるものであれば、実施例の形状に限定されない。
【0017】
中皿Eは、棒状化粧料繰出容器において、棒状化粧料を収納し摺動ホルダーに取着されたもので、繰出容器の使用により、一定量以下に残り少なくなった化粧料Kを収納したものである。
【0018】
ここで、棒状化粧料繰出容器について説明し、その中で中皿Eの構成を説明する。
図5に示すように、棒状化粧料繰出容器30は、スリットを刻設した案内筒31と、螺旋溝を刻設した螺旋案内筒32とを具えた繰出機構と、外装部33、および中皿Eを取着し繰出機構によって上下動される摺動ホルダー34とを備えている。
図6に示すように、摺動ホルダー34の側周壁35には、内周上部に段部36が設けられ、山部37aと谷部37bとからなる係合カム38が形成されており、下部外周には、案内筒31のスリットに嵌挿され、螺旋案内筒32の螺旋溝に係合する突出部39が設けられている。
【0019】
中皿Eは、側周壁40と底壁41、および側周壁40の下端から垂設された係合筒42とから構成されている。
側周壁40の外周には、段部43が設けられ、その上方には、滑り止めのための多数の凸条44が配設されており、段部43の下方には、山部45aと谷部45bとからなる係合カム46が形成されている。
係合筒42には、複数のスリット47が設けられ、下端外周には、係止突条48が突出されている。
【0020】
中皿Eと摺動ホルダー34との係合離脱は、中皿Eを摺動ホルダー34に押込み、中皿Eの側周壁40外周を把持して廻動すると、係合カム46と係合カム38が係合し、中皿Eの山部45aと摺動ホルダー34の谷部37bが当接するときには、中皿Eの係合筒42の係止突条48が側周壁35の下端に係止し、摺動ホルダー34と一体化される。
そして、中皿Eの山部45aと摺動ホルダー34の山部37aが当接するときには、中皿Eは上方に上昇し、係合筒42が縮径して中皿Eを摺動ホルダー34から抜き出すことができる。
【0021】
抜き出された中皿Eを、化粧料容器Aの中皿保持筒13に押込むと、中皿Eの係合筒42が縮径して中皿保持筒13内に嵌挿される。
その際、中皿Eの係合カム46は、中皿保持筒13の係合カム20と係合し、係合カム20の山部19aと、係合カム46の谷部45bが接合するときには、中皿Eは最下降位置を取り、係合筒42の係止突条48が中皿保持筒13の下端に係合して保持される。
【0022】
塗布具Fは、ブラシ毛を集束した筒(図示されない)を出し入れ自在に嵌挿した筒体50と、筒体50に設けたスリットから突出するつまみ51を備えているが、従来公知のブラシ毛を装着した筒体であってもよく、とくに限定されない。
【0023】
次に、本発明化粧料容器の作用効果について説明する。
化粧料容器Aには、残り少なくなった化粧料の入った中皿Eと、塗布具Fが収納されており、中皿Eには、棒状化粧料繰出容器で使用され、残り少なくなった一定量の化粧料が収納されているので、塗布具を使って口唇等所要の個所に塗布することができ、化粧料を最後まで無駄なく使いきることができる。
また、残余の種類の異なる化粧料Kを収納した複数の中皿Eが用意されており、塗布具Fを使って所望する化粧料を塗布することができる。
【0024】
中皿に収納している化粧料は、ほぼ中皿いっぱいの量であり、塗布具とともに複数の小容量の中皿だけが収納されるので、化粧料容器は小型であり、また、所望する化粧料がそろっていると、複数の棒状化粧料繰出容器を持ち運びする必要もなく携帯に便利である。
【0025】
上記実施形態では、中皿と摺動ホルダーとを、中皿を廻動することによって係合カムを介して着脱するようにしているが、ねじを使って着脱するようにしてもよく、その場合には、有底の保持筒に嵌挿しておくだけでよいので、中皿と化粧料容器の保持筒の形状は、実施例に限定されない。
【0026】
また、上記実施形態では、中皿の側周壁40外周を把持して廻動するようにしたが、操作部材を外周に嵌挿して廻動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、棒状化粧料繰出容器の摺動ホルダーから化粧料が残り少なくなった中皿を取外して、化粧料容器の中皿保持筒に装着し、塗布具を使って塗布できるので、化粧料を最後まで使いきることができるようになった。
口紅、リップクリーム等の棒状化粧料をはじめ、直接塗布と、塗布具による塗布ができる化粧料に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の化粧料容器の断面立面図である。
【図2】ケース本体の説明図で、(a)は上面図、(b)は断面立面図である。
【図3】蓋体の説明図で、(a)は上面図、(b)は断面立面図である。
【図4】中皿支持枠の説明図で、(a)は上面図、(b)は断面立面図、(c)は図(a)のA−A線における断面図である。
【図5】棒状化粧料繰出容器の一部断面立面図である。
【図6】中皿と摺動ホルダーの分解図である。
【符号の説明】
【0029】
A 化粧料容器
B ケース本体
C 蓋体
D 中皿支持枠
E 中皿
F 塗布具
K 化粧料
1 側周壁
2 底壁
3 切欠部
3a,3b、9a,9b 軸穴
4 フック
5 つまみ
6 頂壁
7 側周壁
8 鏡
9 連結片
10 凹部
11 つまみ
12 支持板
13 中皿保持筒
14 塗布具保持片
15 切欠き
16 切欠凹部
17 凹部
18、36、43 段部
19a、37a、45a 山部
19b、37b、45b 谷部
20、38、46 係合カム
21 蝶番ピン
30 棒状化粧料繰出容器
31 案内筒
32 螺旋案内筒
33 外装部
34 摺動ホルダー
35 側周壁
39 突出部
40 側周壁
41 底壁
42 係合筒
44 凸条
47 スリット
48 係止突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料繰出容器の摺動ホルダーから取出した化粧料が残り少なくなった中皿を、塗布具とともに収納したことを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
中皿が、種類の異なる化粧料を収納した複数の中皿であることを特徴とする請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
ケース本体と、ケース本体に装着された中皿支持枠と、蓋体とからなる化粧料容器であって、
中皿支持枠は、支持板に立設され、塗布具支持片と支持板から垂設され、内周に山部と谷部とからなる係合カムを設けた中皿保持筒を具備しており、
中皿支持枠に取着される中皿は、前記山部と谷部に対応する係合カムを設けた側周壁と、側周壁下端から垂設され、複数のスリットを穿設し、縮径自在な係合筒とを具備していることを特徴とする化粧料容器。
【請求項4】
化粧料の残り少なくなった中皿を棒状化粧料繰出容器から取出し、塗布具とともに化粧料容器に収納し、塗布具を用いて化粧料を塗布するようにしたことを特徴とする化粧料の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−151611(P2007−151611A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346981(P2005−346981)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)