化粧料容器
【課題】化粧料の使用の度に、化粧料容器から薄肉の中蓋トレイを取り出す必要のない、使い勝手のよい化粧料容器を提供する。
【解決手段】中蓋トレイ6の係合用延長片22が上記容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入され、上記係合用延長片22の凸部25が上記切り欠き部9の奥端面10の係合凸部11と係合するとともに、上記係合用延長片22の張り出し片が容器本体1のスリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイ6の本体部7が、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在に取り付けられている。
【解決手段】中蓋トレイ6の係合用延長片22が上記容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入され、上記係合用延長片22の凸部25が上記切り欠き部9の奥端面10の係合凸部11と係合するとともに、上記係合用延長片22の張り出し片が容器本体1のスリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイ6の本体部7が、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パフやブラシ等を載置するための中蓋トレイを軽量化し、全体として軽量化、小型化を図る化粧料容器において、使い勝手をよくするとともに、その製造を低コストで行うことができる化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料容器は、外出時に携帯されることが多いため、意匠性だけでなく、緩衝性や携帯性に優れることが要求されている。特に、近年は、より小型の化粧料容器がユーザーに好まれるという状況にある。このため、例えば、特許文献1に示すように、化粧に用いるパフやブラシ等を化粧料の横に並べて収容するのではなく、容器本体と蓋体との間に、パフやブラシ等を収容する中蓋トレイを設けることにより、全体として小型化された化粧料容器が考案されている。
【0003】
しかし、このものは、容器本体と蓋体とを回動自在に係合する連結ピンを、中蓋トレイにも共用した構成になっているため、中蓋トレイを容器本体および蓋体と同様に強度の高い成形体に形成して、ヒンジ連結するための連結部を設ける必要がある。したがって、中蓋トレイの構造が複雑になって、その製造コストが上昇し、また、中蓋トレイの重量が増加し、化粧料容器全体としての重量が重くなるため、これらの改良が強く求められている。
【0004】
このような問題を解決するため、本発明の出願人は、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品を、中蓋トレイとして用いる化粧料容器をすでに発明し、実施している。この化粧料容器は、容器本体の化粧料収容凹部の上に、薄肉成形によって浅皿状に形成された中蓋トレイを単に載せただけのものであり、化粧料を使用する際には、この中蓋トレイを一旦、化粧料容器から取り出し、使用後には元に戻すものである。この化粧料容器によれば、中蓋トレイが単純で、低コストで得られる上、従来品に比べ、全体形状のコンパクト化と軽量化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭52−168698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の化粧料容器は、先に述べたように、化粧料の使用時には、中蓋トレイを一旦、化粧料容器の外へ取り出し、使用後には再び戻すという一連の動作が必要であるため、煩雑で使い勝手がよくないという問題がある。また、上記動作の途中でパフやブラシ等が脱落しやすいという問題がある。したがって、それらの改良が強く望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、薄肉に形成された中蓋トレイを化粧料容器に確実に固定することができ、しかも、使用の度に、化粧料容器から中蓋トレイを取り出す必要のない、使い勝手のよい化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、化粧料収容凹部を有する容器本体と、上記容器本体を蓋する蓋体と、上記容器本体と蓋体との間に位置する中蓋トレイとを備え、上記容器本体の後端部の一部が切り欠かれ、その切り欠き部に上記蓋体の後端部から突出する連結用部が嵌入されヒンジ連結されて容器本体に対して蓋体が開閉自在に取り付けられた化粧料容器であって、上記中蓋トレイが、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品からなり、上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを有し、この係合用延長片には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片が設けられるとともに、その先端側に凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には、その奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部が設けられているとともに、その切り欠き部の左右両側に上記係合用延長片の張り出し片を挿入しうるスリットが設けられており、上記中蓋トレイの係合用延長片が上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入され、上記係合用延長片の凹凸の少なくとも一部が上記切り欠き部の奥端面の係合凸部と係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片が上記スリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に取り付けられていることをその要旨とする。
【0009】
本発明者らは、容器本体とこれを蓋する蓋体との間に、中蓋トレイを設けるという構造を踏襲しつつ、中蓋トレイを軽量化し、しかも化粧料容器自体にしっかりと取り付けることができないか研究を重ねた。その結果、容器本体に対し蓋体がヒンジ連結され開閉自在に取り付けられた化粧料容器において、上記中蓋トレイを、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品とし、かつその形状を上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを組み合わせたものとした。そして、上記係合用延長片の根元側の左右両側から側方に突出する張り出し片を設け、その先端側に凹凸を設けるとともに、容器本体の切り欠き部の奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部を設けるようにすると、この中蓋トレイの係合用延長片を上記容器本体と蓋体とのヒンジ連結部分に生じる隙間に挿入して、上記係合用延長片の凹凸を容器本体の係合凸部に係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片を上記容器本体のスリットに挿入することにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に確実に取り付けられることを突き止め、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の化粧料容器は、容器本体に対して蓋体がヒンジ連結により開閉自在に取り付けられた化粧料容器において、容器本体と蓋体との間に設けられる中蓋トレイとして、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品が用いられている。このため、中蓋トレイの重量が軽くなり、その結果、全体重量が軽くなる。しかも、上記中蓋トレイは、簡単に製造することができ、コストを低く抑えることができる。また、上記中蓋トレイが、浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、所定幅で延びる係合用延長片とを有し、上記係合用延長片には凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には係合凸部が設けられているため、この係合用延長片を上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入し、上記係合用延長片と係合凸部とを係合することで、上記中蓋トレイの本体部を、容器本体と蓋体との間で開閉自在となるように確実に取り付けることができる。さらに、上記係合用延長片には、その根元側の左右両側から側方に突出する張り出し片が設けられているとともに、上記容器本体の切り欠き部の左右両側に上記張り出し片が挿入しうるスリットが設けられているため、この係合用延長片の張り出し片を上記スリットに挿入することにより、取り付けの確実性の向上を図るとともに中蓋トレイの開閉時のがたつきを抑えることができるようになっている。そして、中蓋トレイの係合用延長片が、上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間にしっかりと取り付いているため、上記蓋体を開蓋し、化粧料を使用する際に、中蓋トレイを一旦、化粧料容器の外へ取り出し、使用後には再び戻すという一連の動作が不要で、使い勝手がよい。
【0011】
また、上記中蓋トレイの本体部後端部に、上記係合用延長片形成部を挟んで水平に張り出す左右一対のストッパーが設けられている場合には、中蓋トレイを完全に開蓋した際に、このストッパーの先端部分が容器本体の後端部内側に入り込み、中蓋トレイが再び閉まろうとするのを妨げるため、中蓋トレイの開蓋状態がより安定に保たれ、使い勝手がよい。
【0012】
そして、上記容器本体の係合凸部の上面が下り傾斜面に形成され、同じくその下面が垂直面に形成されている場合には、上記中蓋トレイの係合用延長片を容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入する際に、係合用延長片の凹凸を、係合凸部の傾斜面に沿ってスライドさせて容器本体の係合凸部に係合しやすくなるとともに、一旦、両者が係合すると、容器本体の係合凸部の下面が切り欠き奥端面に対し垂直面に形成されているため、中蓋トレイの係合用延長片を手前に引き抜きにくく、簡単に取り外せないようになっている。
【0013】
そして、上記中蓋トレイの係合用延長片が、断面が下向き円弧状の接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記断面が下向き円弧状の接続部において、上記係合用延長片屈曲時に反発力が発現されるようになっている場合には、上記蓋体を開蓋する際に、中蓋トレイを容器本体に対して任意の角度に保つことができるため、使い勝手がよい。
【0014】
さらに、上記中蓋トレイの係合用延長片が、平坦な接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記平坦な接続部に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段が設けられている場合には、とりわけ簡単な構成でありながら、上記蓋体を開蓋する際に、中蓋トレイを容器本体に対して任意の角度に保つことができるため、使い勝手がよいとともに、低コスト化を図ることができる。
【0015】
また、上記化粧料容器の形状が平面視略円形状である場合には、必然的にヒンジ連結のための容器本体の切り欠き部および連結用部の幅が狭くなるが、その場合も、容器本体と蓋体との間に、中蓋トレイを開閉自在に取り付けることができるため、化粧料容器デザインのバリエーションの範囲が広がり、好適である。
【0016】
そして、上記中蓋トレイの厚みが0.15mm〜1.5mmの範囲にある場合には、軽量性と耐久性とのバランスがよいとともに、中蓋トレイを、よりがたつきをなくした状態で、容器本体と蓋体との間で開閉自在とすることができる。
【0017】
また、上記中蓋トレイが、樹脂シートの真空成形品である場合には、これを効率よく製造することができ、化粧料容器全体の製造コストを低減することができる。
【0018】
なお、平面視略円形状とは、その平面視が、単なる円形だけでなく、多角形のうち、角の数が多く、各辺の長さが比較的短くなるものを含むことを意味し、具体的には、六角形以上の多角形を含むものをいう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】上記化粧料容器を分解した状態を示す説明図である。
【図3】上記化粧料容器の容器本体を示す斜視図である。
【図4】上記容器本体を示す平面図である。
【図5】図4における上記容器本体のA−A断面の部分的な拡大図である。
【図6】上記化粧料容器の蓋体を示す平面図である。
【図7】上記化粧料容器の中蓋トレイを示す平面図である。
【図8】図7における上記中蓋トレイのB矢視図である。
【図9】図7における上記中蓋トレイのC−C断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】上記中蓋トレイの部分拡大図である。
【図12】上記中蓋トレイを化粧料容器に取り付ける方法の説明図である。
【図13】上記中蓋トレイの開蓋状態を示す説明図である。
【図14】上記中蓋トレイの閉蓋状態を示す部分的な断面図である。
【図15】上記中蓋トレイの開蓋状態を示す部分的な断面図である。
【図16】上記実施の形態における接続部の他の例を示す部分的な平面図である。
【図17】上記接続部のさらに他の例を示す部分的な平面図である。
【図18】上記接続部のさらに他の例を示す部分的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の化粧料容器の一実施の形態を示し、図2はその分解説明図を示している。これらの図において、1は白色半透明の容器本体で、その上面には、化粧料4が充填された中皿5を収容するための収容凹部3が形成されている。また、2は上記容器本体1を蓋する無色透明の蓋体であり、上記容器本体1と蓋体2との間には、無色透明の薄肉の中蓋トレイ6が設けられている。そして、上記容器本体1の後端部の一部に切り欠き部9が設けられ、この切り欠き部9に上記蓋体2の後端部から突出する連結用部12が嵌入されヒンジ連結されて、容器本体1に対して蓋体2が開閉自在に取り付けられている。また、上記中蓋トレイ6の上面には、化粧料4を肌に塗布するためのパフやブラシ等を収容するためのスペース8が設けられている。なお、図において、各部分は模式的に示したものであり、実際の大きさ、厚み等とは異なっている(以下の図においても同じ)。
【0022】
より詳しく説明すると、上記容器本体1は、合成樹脂製であり、その斜視図である図3と、その平面図である図4に示すように、平面視略円形状をしており、その上面に、化粧料4が充填された平面視円形状の中皿5を収容できるよう、平面視円形状の収容凹部3を有している(図2参照)。この収容凹部3の後端近傍の底面には、中皿5を取り出すために外部からピン等を差し込むことができる貫通孔14が穿設されている。また、容器本体1の後端部には、切り欠き部9(切り欠き幅W1=13.7mm)が設けられており、その奥端面10に、後述する上記中蓋トレイ6の係合用延長片22の凹凸(凸部25)と係合しうる係合凸部11(幅W2=1.5mm、高さH1=0.6mm)が設けられている。この係合凸部11は、上面が外側に向かって下り傾斜の傾斜面27に形成され、下面が垂直面28に形成されている(図5参照)。また、この切り欠き部9の両側には、蓋体2とヒンジ連結するための連結ピンを保持する横孔13がそれぞれ設けられている。そして、容器本体1の前端部には、切り欠き部15が設けられ、この切り欠き部15の奥端面16に、後述する蓋体2の係合凸部20と着脱自在に係合する係合凸部17が設けられている。さらに、図3に示すように、上記収容凹部3の開口縁のうち、上記切り欠き部9が形成された部分の左右両側に、後述する中蓋トレイ6の係合用延長片22の張り出し片24を挿入しうる、上記張り出し片24が寸法よく収まる大きさのスリット18が設けられている。
【0023】
上記容器本体1を蓋する上記蓋体2は、上記容器本体1と同じく合成樹脂製であり、その平面図である図6に示すように、上記容器本体1と同じく平面視略円形状をしている。そして、蓋体2の前端部には、切り欠き部19が設けられ、この切り欠き部19の奥端面上端内側に、上記容器本体1の係合凸部17と着脱自在に係合する係合凸部20が設けられている(図1参照)。また、蓋体2の後端部には、上記容器本体1とヒンジ連結する連結用部12(幅W3=13.5mm)が突出形成され、この連結用部12の先端近傍には、容器本体1とヒンジ連結する連結ピンを保持する横孔21が設けられている。
【0024】
また、上記容器本体1と上記蓋体2との間に位置する中蓋トレイ6は、一枚のポリエチレンテフタレート(PET)製のシート(厚み0.4mm)を真空成形によって賦形したもので、全体が薄肉で軽量である。そして、この中蓋トレイ6は、その平面図である図7に示すように、上記容器本体1の収容凹部3を覆う浅皿状の本体部7と、その後端部から後方に、上記容器本体1の切り欠き部9と略同じ幅(W4=13.2mm)で延びる係合用延長片22と、この係合用延長片22の形成部を挟み、外側へ水平に張り出すように設けられた左右一対のストッパー23とを有している。そして、上記係合用延長片22は、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に、上記本体部7の開口が上向きになる状態で挿入されている(図1参照)。
【0025】
なお、上記係合用延長片22には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片24が形成されるとともに、その先端側に係合用延長片22を水平に延ばした状態で上方に突出する一対の凸部25が形成されている。そして、上記一対の凸部25が、上記切り欠き部9の係合凸部11とそれぞれ係合するとともに、上記張り出し片24が、上記容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されることにより、上記中蓋トレイ6の本体部7が、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在となるよう確実に取り付けられている。
【0026】
すなわち、上記中蓋トレイ6の後端部から所定幅で延びる係合用延長片22は、図7のB矢視図である図8と、同じく図7のC−C断面図である図9と、図9の部分拡大図である図10と、図7の部分拡大図である図11に示すように、その断面が下向き円弧状の接続部26(幅W5=2mm、高さH2=1.5mm)を介して容器本体1と一体的に形成されており、接続部26に近い根元側に、張り出し片24(幅W6=1.2mm、長さW7=4mm)が左右一対に設けられている。また、係合用延長片22(長さW8=11.2mm)の先端側には、左右一対の凸部25(長辺W9=3.2mm、短辺W10=2mm、高さH3=0.6mm)が設けられ、この部分が凹凸になっている(図10,図11参照)。そして、上記凸部25は、上記容器本体1の切り欠き部9における係合凸部11とほぼ隙間なく係合するために、その根元側の側面が傾斜面29に形成され、先端側の側面が垂直面30に形成されている(図10参照)。したがって、上記張り出し片24および凸部25を有する係合用延長片22を、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入する際には、上記係合凸部11の傾斜面27に沿ってスライドさせて奥まで挿入しやすくなり、係合用延長片22の凸部25を上記係合凸部11により簡単に係合できる。また、一旦、両者が係合すると、容器本体1の係合凸部11の下面が切り欠き部9の奥端面10に対し垂直な垂直面28に形成されているため、上記係合用延長片22は手前方向に引き抜きにくくなっており、簡単に取り外すことができないようになっている。
【0027】
一方、上記張り出し片24は、図11に示すように、係合用延長片22の根元側の左右両側から、側方に突出する、平面視が略長方形の板状体に形成されており、上記係合用延長片22を、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入した状態では、上記張り出し片24が、上記容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されるようになっている。これにより、上記中蓋トレイ6の開閉時において、上下方向だけでなく、左右方向および前後方向へのがたつきをなくすことができ、その使用感が一層向上する。
【0028】
また、上記中蓋トレイ6の本体部7の後端部に設けられた左右一対のストッパー23(長辺W11=8.5mm、短辺W12=4mm)は、根元側が幅広になっており、先端に向かうに連れてその幅が狭くなる略三角形状の板状体に形成されている。このため、上記張り出し片24はその先端部分がたわみやすくなっており、後述するように、化粧料容器に取り付けた中蓋トレイ6を開蓋する際、この先端部分を容器本体1の周側壁を乗り越えさせ収容凹部3の内側に入れ込むこと、もしくは収容凹部3の内側から取り出し元の状態に戻すことが容易にできるようになっている。
【0029】
そして、上記中蓋トレイ6の本体部7は、その底面が側面から中央に向かうに従い高くなっており、その中央部分に、図2および図7に示すように、パフやブラシ等を載置するための、平面視楕円形状の凹部31が設けられている。さらに、上記本体部7の外周面には、図7のB矢視図である図8に示すように、その外周面に、上記収容凹部3に係合させるための凸部32が左右二個所ずつ(合計四個所)に設けられている。これらの凸部32は、上記収容凹部3の内壁面への当たりとなり、中蓋トレイ6を一旦はめ込むとその状態を確実に保つことができるようになっている。そして、上記本体部7は上記収容凹部3と上記凸部32の四個所において当接し、互いの接触面積が少ないため、これを開蓋する際の摩擦が小さくなり、上記本体部7を小さな力で押し上げることができるため、使い勝手がよい。
【0030】
上記中蓋トレイ6を、化粧料容器に取り付けるには、図12に示すように、まず、係合用延長片22を、接続部26を中心に下方におよそ90°の角度に折り曲げる。そして、その状態で、上記係合用延長片22を容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間(ヒンジ連結部の周囲)に挿入し、上記張り出し片24を容器本体1のスリット18に挿入するとともに、上記凸部25を容器本体1の係合凸部11と係合させる。このようにすると、前述のとおり、中蓋トレイ6の係合用延長片22を上記ヒンジ連結部に確実に係合できる。なお、このとき、係合用延長片22の凸部25と容器本体1の係合凸部11とがほぼ隙間なく係合するため、中蓋トレイ6を開閉する際の上下方向のがたつきが制限されるようになっている。また、係合用延長片22の張り出し片24が容器本体1のスリット18にほぼ隙間のない状態で挿入されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向および前後方向のがたつきも制限されるようになっている。
【0031】
そして、上記中蓋トレイ6を図1に示す状態から、90°以上回動させると、図13に示すように、中蓋トレイ6のストッパー23の先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越えて収容凹部3の内側に入り込み、中蓋トレイ6の開蓋状態が保たれ、容易に閉蓋されないようになる。すなわち、中蓋トレイ6が閉蓋状態の際は、図14に示すように、ストッパー23の先端部分は容器本体1の周側壁の上面に載置されているが、中蓋トレイ6を上記の開蓋状態にすると、図15に示すように、ストッパー23の先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越えて、収容凹部3の内側に入り込むようになる。一旦、この状態になると、手指等でこの中蓋トレイ6を押し下げる等、意図的に中蓋トレイ6を押圧し、閉蓋する操作をしない限り、上記ストッパー23が文字どおりストッパーの動きをし中蓋トレイ6の閉蓋状態となることがないため、中蓋トレイ6の開蓋状態が保たれる。したがって、この状態で、取り出したパフやブラシを用いて、容器本体1に収容された化粧料4を顔に塗布して化粧することができる。そして、化粧が終わったら、まず中蓋トレイ6を手指で押し下げ、その上にパフやブラシを載せ、蓋体2を閉じれば、内側の中蓋トレイ6ともども閉めることができる。なお、図13では、中蓋トレイ6の状態をわかりやすく示すため、蓋体2の表示を省略している。
【0032】
このように、この実施の形態の化粧料容器によれば、中蓋トレイ6として、樹脂シートを真空成形により賦形してなる薄肉成形品が用いられているため、これを簡単に大量に製造することができ、コストを低く抑えることができる。しかも、その重量が軽くなり、その結果、化粧料容器全体の重量が軽くなる。そして、中蓋トレイ6が浅皿状の本体部7とその後端から所定幅で延びる係合用延長片22とを有し、この係合用延長片22に張り出し片24と、一対の凸部25からなる凹凸とが設けられているため、この係合用延長片22をヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入し、上記張り出し片24を容器本体1のスリット18に挿入するとともに、上記凸部25を容器本体1の係合凸部11に係合するだけで、上記中蓋トレイ6の本体部7を、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在となるように確実に取り付けることができる。
【0033】
また、中蓋トレイ6(本体部7および係合用延長片22)の厚みが0.4mmに形成され、係合用延長片22が上記切り欠き部9と連結用部12との間でほぼ隙間なく保持されているため、中蓋トレイの軽量性と耐久性のバランスがよいとともに、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向のがたつきが低減されている。そして、上記係合用延長片22の張り出し片24が容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向および前後方向のがたつきが低減されている。さらに、上記係合用延長片22の凸部25が、容器本体1の係合凸部11にほぼ隙間なく係合されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の上下方向のがたつきも低減されている。
【0034】
また、上記中蓋トレイ6の係合用延長片22が、断面が下向き円弧状の接続部26を介して本体部7と一体的に形成されているため、中蓋トレイ6を開蓋する際、上記接続部26の反発力を利用して、上記本体部7を容器本体1に対して任意の角度に保った状態にすることができる。なお、仮に上記接続部26を、断面上向きの円弧状に形成すると、上記本体部7を上に押し上げるために余分な力が必要となり、また、容器本体1に対して本体部7を任意の角度に保つことが困難となるおそれがあるため、接続部26を円弧状に形成する場合には、断面下向きに形成することが好ましい。
【0035】
そして、上記容器本体1および蓋体2のそれぞれの形状が平面視略円形状であり、ヒンジ連結のための切り欠き部9および連結用部12のそれぞれの幅が必然的に狭められているが、このようにヒンジ連結部分の幅が狭い場合(全体が平面視略円形状の場合)であっても、その部分に中蓋トレイ6を開閉時のがたつきを少なくした状態で取り付けることができるため、より化粧料容器デザインのバリエーションの幅を広げることができる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6として、PET製のシートを賦形してなる薄肉成形品を用いるようにしているが、その他にも、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂製のシートを賦形してなる薄肉成形品を用いるようにしてもよい。また、上記中蓋トレイ6の厚みを0.4mmとしているが、その他の厚みにしてもよい。しかし、軽量性と耐久性とのバランスの観点からPETからなる薄肉成形品を用い、その厚みを0.15〜1.5mmの範囲にすることが好ましい。すなわち、厚みが薄すぎると、保形性に問題が生じる傾向がみられ、逆に、厚すぎると、中蓋トレイ6の軽量性が失われる傾向がみられるためである。
【0037】
そして、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6の係合用延長片22が、断面が下向き円弧状の接続部26を介して本体部7と一体的に形成されているが、接続部26の形状は、必ずしも断面下向き円弧状でなくてもよい。すなわち、図16に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成しても、この接続部26に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段として、係合用延長片22が延びる方向と垂直にミシン目33を入れることにより、上記中蓋トレイ6を所望の開蓋角度に保つことができる。
【0038】
また、図17に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成し、この接続部26の中央近傍に、上記係合用延長片22の屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段として、係合用延長片22が延びる方向と垂直方向に細長い貫通孔34を設けるようにしてもよい。さらに、図18に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成し、上記反発調整手段として、この接続部26の幅を狭く形成するようにしてもよい。このように、接続部26を平坦な板状体に形成しても、これらの反発調整手段を設けることにより、上記中蓋トレイ6を所望の開蓋角度に保つことができる。
【0039】
そして、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6において、浅皿状の本体部7の中央部分に凹部31を設けるようにしているが、特に設けなくてもよい。しかし、上記凹部31を設けるようにすると、本体部7に収容したパフやブラシ等を化粧料容器内で動かないように保持することができる。
【0040】
そして、上記実施の形態では、上記容器本体1に、上面が外側に向かって下り傾斜の傾斜面27に形成され、下面が垂直面28に形成された一対の係合凸部11を設けるようにしているが、凸部の個数や形状は、必ずしも上記実施の形態に限らない。また、凸部だけでなく凹部を設けるようにしてもよい。しかし、係合凸部11の形状を上記実施の形態の形状とすると、中蓋トレイ6の係合用延長片22に設ける凹凸の形状をこれに対応させることにより、単純な構成で、容器本体1と蓋体2のヒンジ連結部に確実に係合させることができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の係合用延長片22の凸部25が、上記容器本体1の係合凸部11に対応するため、根元側の側面が傾斜面29に形成され、先端側の側面が垂直面30に形成されているが、この形状も上記実施の形状に限らず、上記係合凸部11の形状の変化に対応して、任意の形状に変更することができる。しかし、上記係合凸部11と凸部25の形状を上記実施の形態の形状とすると、より確実に容器本体1と蓋体2のヒンジ連結部に係合させることができる。
【0042】
そして、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の本体部7の後端部に一対のストッパー23が形成されているが、中蓋トレイ6を開蓋状態で保持する必要がない等の場合には形成しなくてもよい。また、ストッパー23を形成する場合、その形状は、中蓋トレイ6の開蓋時にその先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越え、収容凹部3の内側に入り込む形状であればよく、上記実施の形状に限らない。しかし、操作性と耐久性がともに高いことから、上記実施の形状とすることが好ましい。
【0043】
また、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の係合用延長片22の張り出し片24を、平面視略長方形の板状体に形成しているが、この他にも平面視が略正方形、略円形、略楕円形等の、様々な形状の板状体に形成することができる。しかし、形成が容易な点と耐久性が高い点から、上記実施の形状とすることが好ましい。
【0044】
また、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6の本体部7の外周面に、上記収容凹部3に係合させるための凸部32が左右それぞれ二個所(合計四個所)に設けられているが(図8参照)、本体部7の撓みだけで充分に上記収容凹部3に係合できる場合には、これらを設けなくてもよい。
【0045】
そして、上記実施の形態では、上記容器本体1の収容凹部3に、化粧料4が充填された中皿5を収容するようにしているが、中皿5を用いずに化粧料4を直接、上記収容凹部3に充填するようにしてもよい。この場合、部品点数を少なくでき、より低コスト化を図ることができる。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、蓋体2および中蓋トレイ6を無色透明に形成しているが、これらを有色、不透明に形成してもよい。しかし、蓋体2および中蓋トレイ6の双方を無色透明に形成すると、これらを透かして化粧料容器の外側から化粧料4の表面模様を見せることができ、一目で化粧料4の色を把握できるとともに、見栄えがよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、軽量化、小型化された、使い勝手のよい化粧料容器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 容器本体
2 蓋体
6 中蓋トレイ
7 本体部
9 切り欠き部
10 奥端面
11 係合凸部
12 連結用部
22 係合用延長片
25 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パフやブラシ等を載置するための中蓋トレイを軽量化し、全体として軽量化、小型化を図る化粧料容器において、使い勝手をよくするとともに、その製造を低コストで行うことができる化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料容器は、外出時に携帯されることが多いため、意匠性だけでなく、緩衝性や携帯性に優れることが要求されている。特に、近年は、より小型の化粧料容器がユーザーに好まれるという状況にある。このため、例えば、特許文献1に示すように、化粧に用いるパフやブラシ等を化粧料の横に並べて収容するのではなく、容器本体と蓋体との間に、パフやブラシ等を収容する中蓋トレイを設けることにより、全体として小型化された化粧料容器が考案されている。
【0003】
しかし、このものは、容器本体と蓋体とを回動自在に係合する連結ピンを、中蓋トレイにも共用した構成になっているため、中蓋トレイを容器本体および蓋体と同様に強度の高い成形体に形成して、ヒンジ連結するための連結部を設ける必要がある。したがって、中蓋トレイの構造が複雑になって、その製造コストが上昇し、また、中蓋トレイの重量が増加し、化粧料容器全体としての重量が重くなるため、これらの改良が強く求められている。
【0004】
このような問題を解決するため、本発明の出願人は、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品を、中蓋トレイとして用いる化粧料容器をすでに発明し、実施している。この化粧料容器は、容器本体の化粧料収容凹部の上に、薄肉成形によって浅皿状に形成された中蓋トレイを単に載せただけのものであり、化粧料を使用する際には、この中蓋トレイを一旦、化粧料容器から取り出し、使用後には元に戻すものである。この化粧料容器によれば、中蓋トレイが単純で、低コストで得られる上、従来品に比べ、全体形状のコンパクト化と軽量化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭52−168698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の化粧料容器は、先に述べたように、化粧料の使用時には、中蓋トレイを一旦、化粧料容器の外へ取り出し、使用後には再び戻すという一連の動作が必要であるため、煩雑で使い勝手がよくないという問題がある。また、上記動作の途中でパフやブラシ等が脱落しやすいという問題がある。したがって、それらの改良が強く望まれている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、薄肉に形成された中蓋トレイを化粧料容器に確実に固定することができ、しかも、使用の度に、化粧料容器から中蓋トレイを取り出す必要のない、使い勝手のよい化粧料容器の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、化粧料収容凹部を有する容器本体と、上記容器本体を蓋する蓋体と、上記容器本体と蓋体との間に位置する中蓋トレイとを備え、上記容器本体の後端部の一部が切り欠かれ、その切り欠き部に上記蓋体の後端部から突出する連結用部が嵌入されヒンジ連結されて容器本体に対して蓋体が開閉自在に取り付けられた化粧料容器であって、上記中蓋トレイが、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品からなり、上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを有し、この係合用延長片には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片が設けられるとともに、その先端側に凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には、その奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部が設けられているとともに、その切り欠き部の左右両側に上記係合用延長片の張り出し片を挿入しうるスリットが設けられており、上記中蓋トレイの係合用延長片が上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入され、上記係合用延長片の凹凸の少なくとも一部が上記切り欠き部の奥端面の係合凸部と係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片が上記スリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に取り付けられていることをその要旨とする。
【0009】
本発明者らは、容器本体とこれを蓋する蓋体との間に、中蓋トレイを設けるという構造を踏襲しつつ、中蓋トレイを軽量化し、しかも化粧料容器自体にしっかりと取り付けることができないか研究を重ねた。その結果、容器本体に対し蓋体がヒンジ連結され開閉自在に取り付けられた化粧料容器において、上記中蓋トレイを、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品とし、かつその形状を上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを組み合わせたものとした。そして、上記係合用延長片の根元側の左右両側から側方に突出する張り出し片を設け、その先端側に凹凸を設けるとともに、容器本体の切り欠き部の奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部を設けるようにすると、この中蓋トレイの係合用延長片を上記容器本体と蓋体とのヒンジ連結部分に生じる隙間に挿入して、上記係合用延長片の凹凸を容器本体の係合凸部に係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片を上記容器本体のスリットに挿入することにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に確実に取り付けられることを突き止め、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明の化粧料容器は、容器本体に対して蓋体がヒンジ連結により開閉自在に取り付けられた化粧料容器において、容器本体と蓋体との間に設けられる中蓋トレイとして、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品が用いられている。このため、中蓋トレイの重量が軽くなり、その結果、全体重量が軽くなる。しかも、上記中蓋トレイは、簡単に製造することができ、コストを低く抑えることができる。また、上記中蓋トレイが、浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、所定幅で延びる係合用延長片とを有し、上記係合用延長片には凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には係合凸部が設けられているため、この係合用延長片を上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入し、上記係合用延長片と係合凸部とを係合することで、上記中蓋トレイの本体部を、容器本体と蓋体との間で開閉自在となるように確実に取り付けることができる。さらに、上記係合用延長片には、その根元側の左右両側から側方に突出する張り出し片が設けられているとともに、上記容器本体の切り欠き部の左右両側に上記張り出し片が挿入しうるスリットが設けられているため、この係合用延長片の張り出し片を上記スリットに挿入することにより、取り付けの確実性の向上を図るとともに中蓋トレイの開閉時のがたつきを抑えることができるようになっている。そして、中蓋トレイの係合用延長片が、上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間にしっかりと取り付いているため、上記蓋体を開蓋し、化粧料を使用する際に、中蓋トレイを一旦、化粧料容器の外へ取り出し、使用後には再び戻すという一連の動作が不要で、使い勝手がよい。
【0011】
また、上記中蓋トレイの本体部後端部に、上記係合用延長片形成部を挟んで水平に張り出す左右一対のストッパーが設けられている場合には、中蓋トレイを完全に開蓋した際に、このストッパーの先端部分が容器本体の後端部内側に入り込み、中蓋トレイが再び閉まろうとするのを妨げるため、中蓋トレイの開蓋状態がより安定に保たれ、使い勝手がよい。
【0012】
そして、上記容器本体の係合凸部の上面が下り傾斜面に形成され、同じくその下面が垂直面に形成されている場合には、上記中蓋トレイの係合用延長片を容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入する際に、係合用延長片の凹凸を、係合凸部の傾斜面に沿ってスライドさせて容器本体の係合凸部に係合しやすくなるとともに、一旦、両者が係合すると、容器本体の係合凸部の下面が切り欠き奥端面に対し垂直面に形成されているため、中蓋トレイの係合用延長片を手前に引き抜きにくく、簡単に取り外せないようになっている。
【0013】
そして、上記中蓋トレイの係合用延長片が、断面が下向き円弧状の接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記断面が下向き円弧状の接続部において、上記係合用延長片屈曲時に反発力が発現されるようになっている場合には、上記蓋体を開蓋する際に、中蓋トレイを容器本体に対して任意の角度に保つことができるため、使い勝手がよい。
【0014】
さらに、上記中蓋トレイの係合用延長片が、平坦な接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記平坦な接続部に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段が設けられている場合には、とりわけ簡単な構成でありながら、上記蓋体を開蓋する際に、中蓋トレイを容器本体に対して任意の角度に保つことができるため、使い勝手がよいとともに、低コスト化を図ることができる。
【0015】
また、上記化粧料容器の形状が平面視略円形状である場合には、必然的にヒンジ連結のための容器本体の切り欠き部および連結用部の幅が狭くなるが、その場合も、容器本体と蓋体との間に、中蓋トレイを開閉自在に取り付けることができるため、化粧料容器デザインのバリエーションの範囲が広がり、好適である。
【0016】
そして、上記中蓋トレイの厚みが0.15mm〜1.5mmの範囲にある場合には、軽量性と耐久性とのバランスがよいとともに、中蓋トレイを、よりがたつきをなくした状態で、容器本体と蓋体との間で開閉自在とすることができる。
【0017】
また、上記中蓋トレイが、樹脂シートの真空成形品である場合には、これを効率よく製造することができ、化粧料容器全体の製造コストを低減することができる。
【0018】
なお、平面視略円形状とは、その平面視が、単なる円形だけでなく、多角形のうち、角の数が多く、各辺の長さが比較的短くなるものを含むことを意味し、具体的には、六角形以上の多角形を含むものをいう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】上記化粧料容器を分解した状態を示す説明図である。
【図3】上記化粧料容器の容器本体を示す斜視図である。
【図4】上記容器本体を示す平面図である。
【図5】図4における上記容器本体のA−A断面の部分的な拡大図である。
【図6】上記化粧料容器の蓋体を示す平面図である。
【図7】上記化粧料容器の中蓋トレイを示す平面図である。
【図8】図7における上記中蓋トレイのB矢視図である。
【図9】図7における上記中蓋トレイのC−C断面図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】上記中蓋トレイの部分拡大図である。
【図12】上記中蓋トレイを化粧料容器に取り付ける方法の説明図である。
【図13】上記中蓋トレイの開蓋状態を示す説明図である。
【図14】上記中蓋トレイの閉蓋状態を示す部分的な断面図である。
【図15】上記中蓋トレイの開蓋状態を示す部分的な断面図である。
【図16】上記実施の形態における接続部の他の例を示す部分的な平面図である。
【図17】上記接続部のさらに他の例を示す部分的な平面図である。
【図18】上記接続部のさらに他の例を示す部分的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の化粧料容器の一実施の形態を示し、図2はその分解説明図を示している。これらの図において、1は白色半透明の容器本体で、その上面には、化粧料4が充填された中皿5を収容するための収容凹部3が形成されている。また、2は上記容器本体1を蓋する無色透明の蓋体であり、上記容器本体1と蓋体2との間には、無色透明の薄肉の中蓋トレイ6が設けられている。そして、上記容器本体1の後端部の一部に切り欠き部9が設けられ、この切り欠き部9に上記蓋体2の後端部から突出する連結用部12が嵌入されヒンジ連結されて、容器本体1に対して蓋体2が開閉自在に取り付けられている。また、上記中蓋トレイ6の上面には、化粧料4を肌に塗布するためのパフやブラシ等を収容するためのスペース8が設けられている。なお、図において、各部分は模式的に示したものであり、実際の大きさ、厚み等とは異なっている(以下の図においても同じ)。
【0022】
より詳しく説明すると、上記容器本体1は、合成樹脂製であり、その斜視図である図3と、その平面図である図4に示すように、平面視略円形状をしており、その上面に、化粧料4が充填された平面視円形状の中皿5を収容できるよう、平面視円形状の収容凹部3を有している(図2参照)。この収容凹部3の後端近傍の底面には、中皿5を取り出すために外部からピン等を差し込むことができる貫通孔14が穿設されている。また、容器本体1の後端部には、切り欠き部9(切り欠き幅W1=13.7mm)が設けられており、その奥端面10に、後述する上記中蓋トレイ6の係合用延長片22の凹凸(凸部25)と係合しうる係合凸部11(幅W2=1.5mm、高さH1=0.6mm)が設けられている。この係合凸部11は、上面が外側に向かって下り傾斜の傾斜面27に形成され、下面が垂直面28に形成されている(図5参照)。また、この切り欠き部9の両側には、蓋体2とヒンジ連結するための連結ピンを保持する横孔13がそれぞれ設けられている。そして、容器本体1の前端部には、切り欠き部15が設けられ、この切り欠き部15の奥端面16に、後述する蓋体2の係合凸部20と着脱自在に係合する係合凸部17が設けられている。さらに、図3に示すように、上記収容凹部3の開口縁のうち、上記切り欠き部9が形成された部分の左右両側に、後述する中蓋トレイ6の係合用延長片22の張り出し片24を挿入しうる、上記張り出し片24が寸法よく収まる大きさのスリット18が設けられている。
【0023】
上記容器本体1を蓋する上記蓋体2は、上記容器本体1と同じく合成樹脂製であり、その平面図である図6に示すように、上記容器本体1と同じく平面視略円形状をしている。そして、蓋体2の前端部には、切り欠き部19が設けられ、この切り欠き部19の奥端面上端内側に、上記容器本体1の係合凸部17と着脱自在に係合する係合凸部20が設けられている(図1参照)。また、蓋体2の後端部には、上記容器本体1とヒンジ連結する連結用部12(幅W3=13.5mm)が突出形成され、この連結用部12の先端近傍には、容器本体1とヒンジ連結する連結ピンを保持する横孔21が設けられている。
【0024】
また、上記容器本体1と上記蓋体2との間に位置する中蓋トレイ6は、一枚のポリエチレンテフタレート(PET)製のシート(厚み0.4mm)を真空成形によって賦形したもので、全体が薄肉で軽量である。そして、この中蓋トレイ6は、その平面図である図7に示すように、上記容器本体1の収容凹部3を覆う浅皿状の本体部7と、その後端部から後方に、上記容器本体1の切り欠き部9と略同じ幅(W4=13.2mm)で延びる係合用延長片22と、この係合用延長片22の形成部を挟み、外側へ水平に張り出すように設けられた左右一対のストッパー23とを有している。そして、上記係合用延長片22は、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に、上記本体部7の開口が上向きになる状態で挿入されている(図1参照)。
【0025】
なお、上記係合用延長片22には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片24が形成されるとともに、その先端側に係合用延長片22を水平に延ばした状態で上方に突出する一対の凸部25が形成されている。そして、上記一対の凸部25が、上記切り欠き部9の係合凸部11とそれぞれ係合するとともに、上記張り出し片24が、上記容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されることにより、上記中蓋トレイ6の本体部7が、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在となるよう確実に取り付けられている。
【0026】
すなわち、上記中蓋トレイ6の後端部から所定幅で延びる係合用延長片22は、図7のB矢視図である図8と、同じく図7のC−C断面図である図9と、図9の部分拡大図である図10と、図7の部分拡大図である図11に示すように、その断面が下向き円弧状の接続部26(幅W5=2mm、高さH2=1.5mm)を介して容器本体1と一体的に形成されており、接続部26に近い根元側に、張り出し片24(幅W6=1.2mm、長さW7=4mm)が左右一対に設けられている。また、係合用延長片22(長さW8=11.2mm)の先端側には、左右一対の凸部25(長辺W9=3.2mm、短辺W10=2mm、高さH3=0.6mm)が設けられ、この部分が凹凸になっている(図10,図11参照)。そして、上記凸部25は、上記容器本体1の切り欠き部9における係合凸部11とほぼ隙間なく係合するために、その根元側の側面が傾斜面29に形成され、先端側の側面が垂直面30に形成されている(図10参照)。したがって、上記張り出し片24および凸部25を有する係合用延長片22を、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入する際には、上記係合凸部11の傾斜面27に沿ってスライドさせて奥まで挿入しやすくなり、係合用延長片22の凸部25を上記係合凸部11により簡単に係合できる。また、一旦、両者が係合すると、容器本体1の係合凸部11の下面が切り欠き部9の奥端面10に対し垂直な垂直面28に形成されているため、上記係合用延長片22は手前方向に引き抜きにくくなっており、簡単に取り外すことができないようになっている。
【0027】
一方、上記張り出し片24は、図11に示すように、係合用延長片22の根元側の左右両側から、側方に突出する、平面視が略長方形の板状体に形成されており、上記係合用延長片22を、ヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入した状態では、上記張り出し片24が、上記容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されるようになっている。これにより、上記中蓋トレイ6の開閉時において、上下方向だけでなく、左右方向および前後方向へのがたつきをなくすことができ、その使用感が一層向上する。
【0028】
また、上記中蓋トレイ6の本体部7の後端部に設けられた左右一対のストッパー23(長辺W11=8.5mm、短辺W12=4mm)は、根元側が幅広になっており、先端に向かうに連れてその幅が狭くなる略三角形状の板状体に形成されている。このため、上記張り出し片24はその先端部分がたわみやすくなっており、後述するように、化粧料容器に取り付けた中蓋トレイ6を開蓋する際、この先端部分を容器本体1の周側壁を乗り越えさせ収容凹部3の内側に入れ込むこと、もしくは収容凹部3の内側から取り出し元の状態に戻すことが容易にできるようになっている。
【0029】
そして、上記中蓋トレイ6の本体部7は、その底面が側面から中央に向かうに従い高くなっており、その中央部分に、図2および図7に示すように、パフやブラシ等を載置するための、平面視楕円形状の凹部31が設けられている。さらに、上記本体部7の外周面には、図7のB矢視図である図8に示すように、その外周面に、上記収容凹部3に係合させるための凸部32が左右二個所ずつ(合計四個所)に設けられている。これらの凸部32は、上記収容凹部3の内壁面への当たりとなり、中蓋トレイ6を一旦はめ込むとその状態を確実に保つことができるようになっている。そして、上記本体部7は上記収容凹部3と上記凸部32の四個所において当接し、互いの接触面積が少ないため、これを開蓋する際の摩擦が小さくなり、上記本体部7を小さな力で押し上げることができるため、使い勝手がよい。
【0030】
上記中蓋トレイ6を、化粧料容器に取り付けるには、図12に示すように、まず、係合用延長片22を、接続部26を中心に下方におよそ90°の角度に折り曲げる。そして、その状態で、上記係合用延長片22を容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間(ヒンジ連結部の周囲)に挿入し、上記張り出し片24を容器本体1のスリット18に挿入するとともに、上記凸部25を容器本体1の係合凸部11と係合させる。このようにすると、前述のとおり、中蓋トレイ6の係合用延長片22を上記ヒンジ連結部に確実に係合できる。なお、このとき、係合用延長片22の凸部25と容器本体1の係合凸部11とがほぼ隙間なく係合するため、中蓋トレイ6を開閉する際の上下方向のがたつきが制限されるようになっている。また、係合用延長片22の張り出し片24が容器本体1のスリット18にほぼ隙間のない状態で挿入されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向および前後方向のがたつきも制限されるようになっている。
【0031】
そして、上記中蓋トレイ6を図1に示す状態から、90°以上回動させると、図13に示すように、中蓋トレイ6のストッパー23の先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越えて収容凹部3の内側に入り込み、中蓋トレイ6の開蓋状態が保たれ、容易に閉蓋されないようになる。すなわち、中蓋トレイ6が閉蓋状態の際は、図14に示すように、ストッパー23の先端部分は容器本体1の周側壁の上面に載置されているが、中蓋トレイ6を上記の開蓋状態にすると、図15に示すように、ストッパー23の先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越えて、収容凹部3の内側に入り込むようになる。一旦、この状態になると、手指等でこの中蓋トレイ6を押し下げる等、意図的に中蓋トレイ6を押圧し、閉蓋する操作をしない限り、上記ストッパー23が文字どおりストッパーの動きをし中蓋トレイ6の閉蓋状態となることがないため、中蓋トレイ6の開蓋状態が保たれる。したがって、この状態で、取り出したパフやブラシを用いて、容器本体1に収容された化粧料4を顔に塗布して化粧することができる。そして、化粧が終わったら、まず中蓋トレイ6を手指で押し下げ、その上にパフやブラシを載せ、蓋体2を閉じれば、内側の中蓋トレイ6ともども閉めることができる。なお、図13では、中蓋トレイ6の状態をわかりやすく示すため、蓋体2の表示を省略している。
【0032】
このように、この実施の形態の化粧料容器によれば、中蓋トレイ6として、樹脂シートを真空成形により賦形してなる薄肉成形品が用いられているため、これを簡単に大量に製造することができ、コストを低く抑えることができる。しかも、その重量が軽くなり、その結果、化粧料容器全体の重量が軽くなる。そして、中蓋トレイ6が浅皿状の本体部7とその後端から所定幅で延びる係合用延長片22とを有し、この係合用延長片22に張り出し片24と、一対の凸部25からなる凹凸とが設けられているため、この係合用延長片22をヒンジ連結された容器本体1の切り欠き部9と蓋体2の連結用部12との隙間に挿入し、上記張り出し片24を容器本体1のスリット18に挿入するとともに、上記凸部25を容器本体1の係合凸部11に係合するだけで、上記中蓋トレイ6の本体部7を、容器本体1と蓋体2との間で開閉自在となるように確実に取り付けることができる。
【0033】
また、中蓋トレイ6(本体部7および係合用延長片22)の厚みが0.4mmに形成され、係合用延長片22が上記切り欠き部9と連結用部12との間でほぼ隙間なく保持されているため、中蓋トレイの軽量性と耐久性のバランスがよいとともに、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向のがたつきが低減されている。そして、上記係合用延長片22の張り出し片24が容器本体1のスリット18にほぼ隙間なく挿入されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の左右方向および前後方向のがたつきが低減されている。さらに、上記係合用延長片22の凸部25が、容器本体1の係合凸部11にほぼ隙間なく係合されているため、中蓋トレイ6を開閉する際の上下方向のがたつきも低減されている。
【0034】
また、上記中蓋トレイ6の係合用延長片22が、断面が下向き円弧状の接続部26を介して本体部7と一体的に形成されているため、中蓋トレイ6を開蓋する際、上記接続部26の反発力を利用して、上記本体部7を容器本体1に対して任意の角度に保った状態にすることができる。なお、仮に上記接続部26を、断面上向きの円弧状に形成すると、上記本体部7を上に押し上げるために余分な力が必要となり、また、容器本体1に対して本体部7を任意の角度に保つことが困難となるおそれがあるため、接続部26を円弧状に形成する場合には、断面下向きに形成することが好ましい。
【0035】
そして、上記容器本体1および蓋体2のそれぞれの形状が平面視略円形状であり、ヒンジ連結のための切り欠き部9および連結用部12のそれぞれの幅が必然的に狭められているが、このようにヒンジ連結部分の幅が狭い場合(全体が平面視略円形状の場合)であっても、その部分に中蓋トレイ6を開閉時のがたつきを少なくした状態で取り付けることができるため、より化粧料容器デザインのバリエーションの幅を広げることができる。
【0036】
なお、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6として、PET製のシートを賦形してなる薄肉成形品を用いるようにしているが、その他にも、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂製のシートを賦形してなる薄肉成形品を用いるようにしてもよい。また、上記中蓋トレイ6の厚みを0.4mmとしているが、その他の厚みにしてもよい。しかし、軽量性と耐久性とのバランスの観点からPETからなる薄肉成形品を用い、その厚みを0.15〜1.5mmの範囲にすることが好ましい。すなわち、厚みが薄すぎると、保形性に問題が生じる傾向がみられ、逆に、厚すぎると、中蓋トレイ6の軽量性が失われる傾向がみられるためである。
【0037】
そして、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6の係合用延長片22が、断面が下向き円弧状の接続部26を介して本体部7と一体的に形成されているが、接続部26の形状は、必ずしも断面下向き円弧状でなくてもよい。すなわち、図16に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成しても、この接続部26に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段として、係合用延長片22が延びる方向と垂直にミシン目33を入れることにより、上記中蓋トレイ6を所望の開蓋角度に保つことができる。
【0038】
また、図17に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成し、この接続部26の中央近傍に、上記係合用延長片22の屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段として、係合用延長片22が延びる方向と垂直方向に細長い貫通孔34を設けるようにしてもよい。さらに、図18に示すように、接続部26を平坦な板状体に形成し、上記反発調整手段として、この接続部26の幅を狭く形成するようにしてもよい。このように、接続部26を平坦な板状体に形成しても、これらの反発調整手段を設けることにより、上記中蓋トレイ6を所望の開蓋角度に保つことができる。
【0039】
そして、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6において、浅皿状の本体部7の中央部分に凹部31を設けるようにしているが、特に設けなくてもよい。しかし、上記凹部31を設けるようにすると、本体部7に収容したパフやブラシ等を化粧料容器内で動かないように保持することができる。
【0040】
そして、上記実施の形態では、上記容器本体1に、上面が外側に向かって下り傾斜の傾斜面27に形成され、下面が垂直面28に形成された一対の係合凸部11を設けるようにしているが、凸部の個数や形状は、必ずしも上記実施の形態に限らない。また、凸部だけでなく凹部を設けるようにしてもよい。しかし、係合凸部11の形状を上記実施の形態の形状とすると、中蓋トレイ6の係合用延長片22に設ける凹凸の形状をこれに対応させることにより、単純な構成で、容器本体1と蓋体2のヒンジ連結部に確実に係合させることができる。
【0041】
また、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の係合用延長片22の凸部25が、上記容器本体1の係合凸部11に対応するため、根元側の側面が傾斜面29に形成され、先端側の側面が垂直面30に形成されているが、この形状も上記実施の形状に限らず、上記係合凸部11の形状の変化に対応して、任意の形状に変更することができる。しかし、上記係合凸部11と凸部25の形状を上記実施の形態の形状とすると、より確実に容器本体1と蓋体2のヒンジ連結部に係合させることができる。
【0042】
そして、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の本体部7の後端部に一対のストッパー23が形成されているが、中蓋トレイ6を開蓋状態で保持する必要がない等の場合には形成しなくてもよい。また、ストッパー23を形成する場合、その形状は、中蓋トレイ6の開蓋時にその先端部分が容器本体1の周側壁を乗り越え、収容凹部3の内側に入り込む形状であればよく、上記実施の形状に限らない。しかし、操作性と耐久性がともに高いことから、上記実施の形状とすることが好ましい。
【0043】
また、上記実施の形態では、中蓋トレイ6の係合用延長片22の張り出し片24を、平面視略長方形の板状体に形成しているが、この他にも平面視が略正方形、略円形、略楕円形等の、様々な形状の板状体に形成することができる。しかし、形成が容易な点と耐久性が高い点から、上記実施の形状とすることが好ましい。
【0044】
また、上記実施の形態では、上記中蓋トレイ6の本体部7の外周面に、上記収容凹部3に係合させるための凸部32が左右それぞれ二個所(合計四個所)に設けられているが(図8参照)、本体部7の撓みだけで充分に上記収容凹部3に係合できる場合には、これらを設けなくてもよい。
【0045】
そして、上記実施の形態では、上記容器本体1の収容凹部3に、化粧料4が充填された中皿5を収容するようにしているが、中皿5を用いずに化粧料4を直接、上記収容凹部3に充填するようにしてもよい。この場合、部品点数を少なくでき、より低コスト化を図ることができる。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、蓋体2および中蓋トレイ6を無色透明に形成しているが、これらを有色、不透明に形成してもよい。しかし、蓋体2および中蓋トレイ6の双方を無色透明に形成すると、これらを透かして化粧料容器の外側から化粧料4の表面模様を見せることができ、一目で化粧料4の色を把握できるとともに、見栄えがよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、軽量化、小型化された、使い勝手のよい化粧料容器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 容器本体
2 蓋体
6 中蓋トレイ
7 本体部
9 切り欠き部
10 奥端面
11 係合凸部
12 連結用部
22 係合用延長片
25 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料収容凹部を有する容器本体と、上記容器本体を蓋する蓋体と、上記容器本体と蓋体との間に位置する中蓋トレイとを備え、上記容器本体の後端部の一部が切り欠かれ、その切り欠き部に上記蓋体の後端部から突出する連結用部が嵌入されヒンジ連結されて容器本体に対して蓋体が開閉自在に取り付けられた化粧料容器であって、上記中蓋トレイが、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品からなり、上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを有し、この係合用延長片には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片が設けられるとともに、その先端側に凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には、その奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部が設けられているとともに、その切り欠き部の左右両側に上記係合用延長片の張り出し片を挿入しうるスリットが設けられており、上記中蓋トレイの係合用延長片が上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入され、上記係合用延長片の凹凸の少なくとも一部が上記切り欠き部の奥端面の係合凸部と係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片が上記スリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に取り付けられていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記中蓋トレイの本体部後端部に、上記係合用延長片形成部を挟んで水平に張り出す左右一対のストッパーが設けられている請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
上記容器本体の係合凸部の上面が下り傾斜面に形成され、同じくその下面が垂直面に形成されている請求項1または2記載の化粧料容器。
【請求項4】
上記中蓋トレイの係合用延長片が、断面が下向き円弧状の接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記断面が下向き円弧状の接続部において、上記係合用延長片屈曲時に反発力が発現されるようになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
上記中蓋トレイの係合用延長片が、平坦な接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記平坦な接続部に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項6】
上記化粧料容器の形状が平面視略円形状である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項7】
上記中蓋トレイの厚みが0.15mm〜1.5mmの範囲にある請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項8】
上記中蓋トレイが、樹脂シートの真空成形品である請求項1〜7のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項1】
化粧料収容凹部を有する容器本体と、上記容器本体を蓋する蓋体と、上記容器本体と蓋体との間に位置する中蓋トレイとを備え、上記容器本体の後端部の一部が切り欠かれ、その切り欠き部に上記蓋体の後端部から突出する連結用部が嵌入されヒンジ連結されて容器本体に対して蓋体が開閉自在に取り付けられた化粧料容器であって、上記中蓋トレイが、樹脂シートを賦形してなる薄肉成形品からなり、上記化粧料収容凹部を覆う浅皿状の本体部と、その後端部から後方に、上記容器本体の切り欠き部と略同じ幅で延びる係合用延長片とを有し、この係合用延長片には、その根元側の左右両側から、側方に突出する張り出し片が設けられるとともに、その先端側に凹凸が設けられており、上記容器本体の切り欠き部には、その奥端面に上記係合用延長片の凹凸と係合しうる係合凸部が設けられているとともに、その切り欠き部の左右両側に上記係合用延長片の張り出し片を挿入しうるスリットが設けられており、上記中蓋トレイの係合用延長片が上記容器本体の切り欠き部と蓋体の連結用部との隙間に挿入され、上記係合用延長片の凹凸の少なくとも一部が上記切り欠き部の奥端面の係合凸部と係合するとともに、上記係合用延長片の張り出し片が上記スリットに挿入されることにより、上記中蓋トレイの本体部が、容器本体と蓋体との間で開閉自在に取り付けられていることを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
上記中蓋トレイの本体部後端部に、上記係合用延長片形成部を挟んで水平に張り出す左右一対のストッパーが設けられている請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
上記容器本体の係合凸部の上面が下り傾斜面に形成され、同じくその下面が垂直面に形成されている請求項1または2記載の化粧料容器。
【請求項4】
上記中蓋トレイの係合用延長片が、断面が下向き円弧状の接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記断面が下向き円弧状の接続部において、上記係合用延長片屈曲時に反発力が発現されるようになっている請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項5】
上記中蓋トレイの係合用延長片が、平坦な接続部を介して浅皿状の本体部に一体的に形成されており、上記平坦な接続部に、上記係合用延長片屈曲時の反発力を調整するための反発調整手段が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項6】
上記化粧料容器の形状が平面視略円形状である請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項7】
上記中蓋トレイの厚みが0.15mm〜1.5mmの範囲にある請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項8】
上記中蓋トレイが、樹脂シートの真空成形品である請求項1〜7のいずれか一項に記載の化粧料容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−90873(P2013−90873A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236046(P2011−236046)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
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